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…山羊じゃない。
何処とも知れぬ場所、黴びたような生温く湿った空気と仄暗い影の世界 夜空を切り抜いた穴のような、一際黒い太陽が見上げた空に耀き、浮かび上がっていた… 遥か遠方に高々と聳える山峰……それすら凌ぐ程に、遠近感が狂ったと疑いたくなるような途方も無く巨大で、 何とも知れぬ代物…触手とでも形容する他ない…が幾十と天へと触腕を伸ばしている ***** …何処からともなく聞こえる獣如き叫び声は果たして真に人の出せるものなのか? 呼び声に誘われ、辿り着いた先には半狂乱の女がいた 無数の触手に穢され、蹂躙され、もはや身を守る役を為さぬ鎧と思しき残骸は連中の格好の塒 おぞましきモノを孕み、産み堕し、逝き絶えるまで何時までも繰り返される生き地獄 かつての女騎士は既に心此処にあらず、狂乱に抗う事を諦め、群れに悦んで溺れ、幸福そうにおぞましき魔宴へと呑まれていた ***** 一人の女の終着も…それすらも救われぬこの地の、瑣末な一端に過ぎず 其処でも彼処で、誰問わず似た光景が広がっているのだと思い知らされる 女がいた、男もいた…老いも若きも。人種はおろか種族も平等に連中にとっては何ら違わぬ蝕む対象 …彼自身も例外ではなく。新たな獲物へと奴らは這い寄ってくる 如何ともし難く、絶望しかない世界で独り彼は…