洋上学園都市/違反部活動/売買部

  • ここは暗黒の宇宙…光の無いこの世界で、不意に、一つの巨大な岩が何かに引き寄せられるように
    一つの星へ近づいていく…それは、普段では考えられない事…恐るべき巨大さを持つ隕石が
    何かに引き寄せられるように無数の生物が住む星の、とある都市の上空めがけ、引き寄せられている!
    本来ならば確実に燃え尽きるであろう角度で侵入したそれは、どういうわけか消滅する事なく、進路を保ったまま
    寸分違わず洋上都市めがけ落下してくる!よく見れば、その岩石の周囲に強力な魔力で出来た魔術印が無数に岩石を囲っているのが、見てとれる…
    -- 2013-05-22 (水) 01:18:36
    • 大いなる宇宙。混沌たる宇宙。夜空の月嗤う、闇の世界。チク・タクと、時計鳴らすものが、地球を見下ろす世界。
      そこに、巨大な石が、降りようとしていた。遥か宇宙の彼方から――彼のアザトースが破壊したとも言われる小惑星帯の一つから――それが、地球へと降りようとしていた。
      その突入角度ならば、本来隕石は燃え尽きて消えるはずである。だが、そうはならない。それは護られていた。魔法の印によって。強固に。故にこれは壊れない。
      それは、洋上学園都市目がけて、まっすぐ、向かっていた――

      ――同時刻、洋上学園都市、“大時計塔”
      「――来たな」
      洋上学園都市の巨大建築のひとつ。彼の《大鐘塔》に次ぐ、学園都市二番目の高さの建築、“大時計塔”のてっぺんに、一人の少年――否、少女が立っていた。
      風に外套を靡かせながら、空から飛来してくる、赤く光る隕石を見据えていた。右目の《黄金瞳》にて。
      「《黄金瞳》が教えてくれた。この学園都市に迫る。理不尽、あまりに理不尽な危機を。隕石、とは」
      それは行動的探偵部部長、レーチェル・ダイオジェネスだった。《黄金瞳》が迫る危機を教えてくれたのだ。故に、レーチェルはここにいる。空に、手を伸ばすために。
      「駄目だ。こんなことで《輝き》を消させるわけにはいかないんだ。さすがに隕石は初めてだけれど……守って見せる。僕が。だから闇と戦う者達よ。僕に任せて……戦うんだ!」
      隕石が迫りくる! もう時間はない! そして――
      右手を、前へ――

      ――光の右手が――

      ――レーチェルの右手に重なって――

      ――光の鎧に包まれて――

      ――燦然と輝く《奇械》ひとつ――

      「空から来る岩よ! お前になどに輝きは消させない! 受けるがいい――」
      (レーチェルは勢いよく右手を伸ばす。そうすれば、背後の《輝き》もなぞるように、右手を前へ)
      (この《異能》は動くのだ。レーチェルの思った通りに。レーチェルの願いを叶えるのだ。)

      ……遅い。(右目が視ている。レーチェルの右目の《黄金瞳》が計算する!)
      喚くな。(隕石の突入角度を! 衝突までの時間を! 恐るべき演算能力を秘めた右目が全て計算する!)

      ――隕石の衝突は不可避――

      ――物理破壊は不可能――

      ――魔術で護られし隕石の場合――

      ――唯一の破壊方法は――

      ――魔法印と隕石の同時圧壊――

      「なるほど、確かに。人は君に何もできないだろう。自然の力には何人も勝てないだろう」
      突入する隕石。落下する隕石。人の力でこれを止めることなどは不可能。
      唯一の破壊方法は、魔術印と隕石の同時圧壊。故に、人は絶対にこれを止められない。破壊できない。
      ――けれど。
      「けれど、どうやら。輝きたる“彼”は人ではない」
      「輝きたる君、我が《奇械》。僕は、君にこう言おう」
      「“雷電のごとく、打ち砕け”」

      (背後の“彼”の体が巨大なものへと変わっていく。そして、飛ぶのだ。隕石へと向かって!)
      (輝きを纏ったその体。輝きそのもののその体が、その右手が、隕石へと伸びる――)

      (凄まじい輝きとともに、あらゆる方向から、その右手で、隕石を掴みとる。)
      (そして、砕くのだ。破壊するのだ。その隕石を――)

      (隕石は掴まれた。神の如き手によって。そして、その手で――砕かれた!) -- レーチェル 2013-05-22 (水) 01:58:13
      • 光の無い宇宙で、突如現れる巨大な閃光
        強大な魔術に守られ、対象の全てを破壊しつくす宇宙からの破滅の使者は、傲慢にも奇跡の顕現たる《奇械》に挑み
        まさに傲慢の象徴とされるバベル塔の末路の如く、極光に包まれ、魔術式ごと完全に破壊される、その破片は怨念の残滓の如く地上へと降り注ぐが
        それら全ては地上に届く前に燃え尽きていった…
        こうして、人知れず
        たった一人の少女の起こす奇跡の力により、跡形もなく爆砕した
        -- 2013-05-22 (水) 02:14:43

Last-modified: 2013-05-22 Wed 02:14:43 JST (4015d)