名簿/512927

  • 胎児の夢 -- 2014-07-24 (木) 03:55:49
    • シトリは駆けていた。ランドルフを急かすように無理矢理術衣を纏わせると、空中に浮遊しながら目の前を駆ける影を追っていた。
      「急げランディ!! 彼奴らが我が断章を取り込んでおるのは間違いない!」
      ランドルフの耳元で小さなシトリが叫ぶ。ランドルフが術衣を纏った際に、シトリはいつもこの姿となる。
      さて、何故こうなったかはいまより30分ほど前に遡る。

      暫くの間、心ここにあらずと言った様子のシトリだったが、ランドルフとの一件が合って以降は、かつてのような元気な姿を見せていた。
      しばらく中断していた断章探しも再開し、今日は街に断章の捜索に来ていた。
      シトリが大きな魔力を感知したのである。それはこれまでのものとは違う、とても強い記述であるということを示していた。
      シトリ達がその魔力の震源地へ向かえば、計らずともそれに遭遇した。
      そこにいたのは、二人の、黒衣の幼い少女だった。

       「白しイろい眼玉は可愛いよ」
       「トットの眼玉は可愛いよ」
       「ホントの眼玉は可愛いよ」
       「可愛い可愛い可愛いよオ――」
       「「ラアラアラアラアポンチキチ……ポンチキポンチキポンチキチ……」」

      その場に現れたシトリとランドルフを見ると、口端を吊り上げて笑うと、二人してぐるぐるとまわりはじめた。
      そしてそのままシトリたちから逃げていく。ケタケタと、奇妙な歌を歌いながら、こっちにおいでと言わんばかりに手招きしながら。
      二人の少女はどこか狂ったような笑いを浮かべて走る。幼い少女の走りでありながら、それはとてつもないスピードであった。
      その二人を追いかけ、今に至るのである。 -- シトリ 2014-07-24 (木) 03:56:04
      • 調子を取り戻したシトリに対し、ランドルフも表面上は変わらないがどこか安堵のような物を感じていた
        やはり彼女はこうでなくてはいけない、振り回されるような事も時にはあるがそれもまた良いだろう

        そんな時に舞い込む新しい断章の気配、シトリの調子が戻ってすぐとはタイミングが良い、良過ぎるような…
        とは言えただの一度、今回限りの偶然やもしれない…疑心暗鬼で機を逃す必要はないだろう
        従来よりも強い記述であるとの忠告に多少なりの緊張を持ちつつ、魔力源へとたどり着けば…
        「…少女…だな」
        判断に悩む、シトリに術を習っているとは言え即興で戦う術を身につけるための戦闘技術が中心だ
        相手の力量を…怪異としての力量を見定める力はまだ、ない
        その辺りはもっぱらシトリの担当である、いずれは身に着ける必要もあるだろうが今は判断を任せる他は無い
        さてこの少女たちこそが求める断片なのか…問おうとした矢先に笑い、逃げ出したではないか

        今までの断片は敵意を持ってかただ暴走していただけかは分からないが
        少なくとも真正面から襲いかかり、完全に敵対していただけに逃げ出すのは予想していなかった
        「まさかこちらが追う側になるとは!」
        強力な断片が相手となれば逃げ回りつつ…となる事を予想していただけに
        追う側になると言う事に奇妙な感覚を覚えつつ駆けだす

        そして現在

        術衣状態となるのを失念して追いかけ始めたためにシトリの叱責を受けつつ、術衣を纏う
        「取り込んでいると言ったな!あの娘二人はこの前の『砂男』同様別の書籍の存在か!」
        ついこの間戦ったモノは断片と一般小説が混じり合ったような怪異だった、常世神のようにそのままであればシトリにも判断がついただろうが…
        断片でありつつ『何の』記述か判断がつかない以上、またも別の書との融合怪異なのだろう
        だとするならば、その書が何であるか把握する事が出来れば戦う上で優位に立つ事が出来る事は想像に難くない
        ランドルフは頭で理解して問いかけたのではない、体が、心が、魂が、戦うための術を探っているのだ

        「しかしなぜ攻撃をしてこない、おびき寄せられているのか…?」
        今までとは違う断片、それだけに罠である可能性への疑念は拭えない -- ランディ 2014-07-25 (金) 17:18:15
      • 「ああ、あれはおそらく我が断章を組み込まれて無理矢理魔導書化されたものに相違ない!」
        同じ本でためか、その気配からか、それは理解できるようだ。
        「じゃが、一体何の本じゃ……?」
        シトリは長年生きてきた。あらゆる世界を巡ってきた。それなりに有名な魔導書、小説などに関しても知識を持っているつもりであった。
        無論全ての本を知ることなどシトリは出来ないが、それでも人間の何千倍もの知識は持っている。魔導書ゆえに、記述が増える事さえあるのだ。
        しかしそれでも、目の前を走る少女らが一体なんであるのかはわからなかった。魔導書化した一般書籍と言えど、それなりの力が宿っていなければ魔導書にはなれないはずである。
        即ち、有名であるとか、何らかの力が込められているとか、である。そういうものならばシトリも想像はつく。だが、目の前の少女らはわからなかった。
        どこか狂っていて、こちらを惑わすようにして。堂々巡りのような感覚をシトリは味わっていた。

        しばらくその追いかけっこが続いていた。しかし、徐々にそれが異常な状態であることを二人は気づき始めるだろう。
        同じ景色が繰り返している。ぐるぐる、ぐるぐると、街の中ではあるのだが、延々と同じ場所を回り続けているのだ。
        少女らはきゃっきゃと笑いながら、何かのフレーズらしきものを歌い、シトリらから逃げていく。
        堂々巡り、目くらまし。永遠に同じ場所で、同じことを繰り返させられる牢獄に閉じ込められたかのような、そんな世界だった。
        少女らはまた歌を歌い始めた。今度はシトリらにもまだ意味の分かりそうな言葉であった。

          胎児よ

          胎児よ

          何故躍る

          母親の心がわかって

          おそろしいのか

        すると、それと同時に次第に奇妙な音が聞こえ始めてきた。それは時計の音。ボンボン時計が時刻を告げる時の音に似ていた。

        …………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………

        蜜蜂の唸るような音が響く。それと同時に、世界が融解しはじめ、闇が包み始める。
        深い深い眠りに急激に落とされるような、そんな感覚をシトリとランドルフを襲う。

        「そうかっ! しまった、こやつは――!」
        シトリがランドルフに何かを伝えようとするも、その声が続くことはなく、二人は急激な眠りの中へと引きずり込まれていった。
        ただ残るのは、あの二人の少女の嗤い声と、ボンボン時計の音のみであった。 -- シトリ 2014-07-27 (日) 05:53:37
      • 元のページのままであれば単純にシトリの記憶を頼りに弱点を突く事も出来るだろう
        小説…いや、もしかしたらそれは絵本なのかもしれない
        何の書であるかはランドルフの知識では把握することは出来ない…シトリが知らぬ書であればそれまでだ
        「こういう物は、知名度が高いほど強くなったりするのではないだろうか
         神が信者の数だけ強くなるように、書もまたそれを知る読者の数だけ…
         『敵』が選ぶのであれば全く誰も知らない無銘の書などではない筈だ」
        ランドルフもまた、シトリと同じような答えに辿り着いたのは教育の賜物か
        書の解を求める作業はシトリに任せ、時折身近な屋根を蹴り速度を増して駆ける

        時計台を蹴る――加速
        宿屋の屋根を蹴る――加速

        もはや常人の目に止まることの無い速度の領域には達しているだろう
        それでも少女たちに追いつくことが出来ない…速い

        巨大な広告塔を蹴る――加速
        地主のものと思われる屋敷の屋根を蹴る――加速

        いくら加速をしても届かない、いや…加速をしたつもりでもすでにこれ以上ないという速度になっているのだろうか?

        時計台を蹴る/宿屋の屋根を蹴る/巨大な広告塔を蹴る/地主のものと思われる屋敷の屋根を蹴る/時計台を蹴る/宿屋の屋根を蹴る/巨大な広告塔を蹴る/地主のものと思われる屋敷の屋根を蹴る/時計台を蹴る/宿屋の屋根を蹴る/巨大な広告塔を蹴る/地主のものと思われる屋敷の屋根を蹴る/時計台を蹴る/宿屋の屋根を蹴る/巨大な広告塔を蹴る/地主のものと思われる屋敷の屋根を蹴る/時計台を蹴る/宿屋の屋根を蹴る/巨大な広告塔を蹴る/地主のものと思われる屋敷の屋根を蹴る

        幾度も幾度も蹴り固められた部位はひしゃげ、加速をつけるに不十分な形状へと変形していく
        (蹴り辛い)
        それがきっかけ、ようやく同じ所をめぐっていることに気がついた
        同じルートを同じように移動しているからこそ、同じ部位ばかりを蹴って…
        違和感に気づくが追いつけないのでは同じことだ
        だが同じ所をめぐるのであれば…罠を張ればよい
        糸で網でも仕掛けておけばよいだろうか?きっと次に巡って来た時に絡めとる事が出来るだろう
        「シト…」
        案を伝えようと口を開いた、その時だった
        今までとは異なる、少なくとも単語単位では意味のわかる言葉が…

        「ん…何の音だ?」
        先ほどから何度も蹴り付けていた時計台の音か?
        いや、あの時計台が鳴らす音はもっと小気味よい音がするはずだ
        このような       不快な   音     では…

        突如襲い繰る睡魔に抗うことは出来ない
        シトリが何かを言おうとしている
        しかし聞こえてはこない

        ああ

        眠らせてくれ -- ランディ 2014-07-31 (木) 21:15:08
      • ……。
        ………。
        …………。

        「フーム……成程。実に面白い話だね。いわば、君は先祖の呪いというべきものに囚われ、その魔導書というものを使ってその呪いを解かんとしているわけだ」

        覚醒したランドルフの目の前には白衣を着、イガグリ頭の中央にある鼻に眼鏡を引っ掛け、葉巻を口に加える男が座っていた。
        ランドルフがいたのは、何処かの大学の教授室といったよな場所であった。先ほどまで追いかけていた二人の少女の姿はなく、シトリもランドルフの隣にはいない。
        壁にかけられた日めくりカレンダーの日付は「大正15年10月19日」となっていた。ランドルフが聞いたこともない年号だろう。
        どうやら大学病院の一室らしく、標本と思われる奇怪なものが白衣の男の後ろの棚に並べられている。
        火星侵略の建白書であるとか、大小さまざまな形の脳髄の標本、歯茎の血で描かれた絵、垢で作られた観音像、『ドグラ・マグラ』と題された原稿用紙の束……それらがその棚に並んでいた。
        ランドルフはソファの上に座らされており、部屋の窓から見える光景は、酒場の街のものとは全く違っていた。
        この一室は巨大な近代建築の中の一つであるようだった。この巨大な建築の外には巨大な広場があった。そこには誰もおらず、入り口と思われる門は固く封鎖されていた。
        「解放治療場」という看板がその外の広場に打ち捨てられていた。

        「ドウだい、君もウイスキーでもどうかね。上等なハバナもあるよ。イヤ、客の前だが失礼。コウして口を湿らせておかないと上手く舌が回ってくれないのでね。アハアハアハ……。
         しかし君の話は面白い。吾輩の心理遺伝の研究にも使えそうなものだよ。先祖の呪いというのは心理遺伝でもよく言われることでね……ある先祖の強烈な体験が、子孫の精神にも影響を及ぼすと言う――」

        男はランドルフに話しかけ続ける。どうやらランドルフは酒場の街とは全く別の場所に飛ばされてしまったようだ。
        このままだと目の前の男は勝手に話し続けるであろう。 -- ??? 2014-08-02 (土) 01:24:13
      • ここは一体どこであるのだろうか、先ほどまで自分はシトリと共に…そうだ、少女を追いかけていた筈だ
        断片を内包した何らかの書であるはずの少女たち、それから…それからどうなった???
        まずは現状を把握しなくては…周囲をぐるり見渡す

        男だ…不可解な事にこの男は私の呪いについて語っている、話した覚えは無い
        カレンダー?…日付が記載されているが年号は分からない、暦であるとは思うのだが
        標本類…気色の悪いものであると言う以上の感想は無い
        部屋…それこそ病院とは無縁であったランドルフにはそこが医療現場に係わる所であるとはわからない
        部屋の外…先ほど居た街並みではない、どこか全く別の場所のような…

        状況確認は終了
        結論は全く分からないと言う事が分かっただけだ、シトリから知識を学びつつあるとしても今は意味をなしていない

        男が何かを喋っていいるようだがランドルフには届かない
        いや、耳に入ってはいるがそれを言葉として受け取る気がランドルフにないと言うだけだ、それは至極単純にノイズとして処理されている
        常人とは大きく異なる生い立ちから来る異常な集中力と表すべきか、今の彼の頭の中は『シトリの捜索』と『現状の打破』の2つが全てを占めている

        シトリは何処へ行ったのか?
        姿は見えない、そもそも術衣として一体化していた筈だ
        引き剥がされ別々の所に分けられたか…そうであるならば、目の前の男こそがシトリを引き剥がした張本人なのだろうか?

        「バルザイの偃月刀」

        魔剣を、魔杖を、静かに喚ぶ
        いつもの行為だ、幾千幾万と繰り返した枷であり武器であるモノを喚び出す行為だ
        何のために?

        決まっている
        この男を、斬るためだ

        ランドルフにとってヒトの倫理は守るべきものではあるが最優先されるものではない
        ヒトを傷付けてはいけない、殺めてはいけない、それは己の保身のための倫理である
        保身よりも改変を、現状の打破を求めるならば、シトリと言う少女を求めるならば
        そのような役に立たないモノを捨てることなどは容易い事だった… -- ランディ 2014-08-07 (木) 21:02:28
      • 「フーム、ズイ分と嫌われたようだネ。その奇妙な刀もかなり研究のし甲斐がありそうだが……」

        偃月刀を出現されたランドルフを見つつ、白衣の男はニッと歯を見せて笑う。動じた様子はない。
        葉巻をうまそうに吸いながら、まあ待てとランドルフに言う。

        「あまり上手い解決方法ではないと思うがネ。今君が話せるのが吾輩一人なのに切って捨ててしまうとはよくない。
         それにせめて名前とここはどこかぐらい聞きたまえよ。アンポンタン・ポカン君でさえそうしたぞ。  今ならベッドも空いている。精神病とは誰デモかかる病だ。吾輩はこの地上を狂人の解放治療場といっているが……一つ治療していくかね? ワハハ」

        すくりと立ち上がり、男は窓の方へと向かう。

        「聞かれないから自分で答えるが、ここは九州帝国大学医学部精神科。その附属病院だ。
         そして吾輩は正木敬之……一応医学部の教授で学部長だヨ」

        机の上にあったウイスキーの入ったコップを呷る、そして再びランドルフに向き直る。

        「我が解放治療場の前に倒れていた君をここまで動かしてきたのだから少々骨が折れた。 吾輩お得意の暗示で話を少し話を聞きだしたのは悪かったと思っているが、ズイ分と奇妙な成りをしていたのでね、気になってしまった。
         だがもうそこまで出来るなら十分に快復したと見えるナ、結構」

        正木と名乗った男は再びニッと笑うと、懐から一冊の本を取りだし、ランドルフの前に差し出す。

        「サテ……多分君が探しているのはこの本だろう?
         コレは実に面白い本だネ……日本の神話学がひっくり返りそうなことが書いてあって、まさに奇書だネ。
         失礼ながら君が気を失っている間に読ませてもらったよ」

        男が取り出したるは『倭文祭文註抄集成』。そう、シトリの本体がそこにあった。

        「催眠中の君の話だと、まるでこの本が人と化しているような話だったが……フーム。実に面白いネ。
         ……吾輩もネ、今の吾輩が普通の存在でないことは知っておるよ」

        不意に男はそう呟くと、一つの原稿用紙の束を棚より取り出し、机に置いた。

        「これは吾輩の学位論文である『胎児の夢』というものだ。そして吾輩はすでに気づいている。ソウ、キットこの世界こそ『胎児の夢』なのだ。  学問的な説明をしてもいいが、君は聞いてくれそうにないネ。ワハハ」

        そう哄笑する。そしてバンバンと『胎児の夢』を叩く。

        「この世界には最早吾輩しか人間がいなくなった。いつのころから全てが狂い、この病院の患者も何もかもが消えてしまった。
         そして、いつも「アレ」がやって来ては、吾輩を苦しめるのだよ。きっとあれこそ、躍る胎児だろうネ。
         そこに君が現れた。きっと君は外から来た人間なのだろう。吾輩もウスウス、自分が創作物の中の人間だということには気づいているヨ。
         それで思ったのだ。君がこの世界から外に出るためには、夢を終わらせなければいけない。あの胎児の夢を覚まさなければならない。
         胎児が母親の胎内で見続ける悪夢――それがここだ。堂々巡りのめくらまし。ドグラ・マグラさ」

        突如、天地が揺れ始めた。窓の外の景色が赤く染まっていく。

        「ホラ……やってきたぞ。吾輩の罪の象徴だ。科学の為に妻子すら捨てた吾輩の。
         あア……一郎……スマナイ……吾輩は科学の為に己が息子を発狂せしめた。妻をも殺した。そしてその報いが吾輩を襲っている」

        外からは何かが泣き叫ぶ声が聞こえていた。同時に、何かがこちらへと向かってきていた。
        それは目から血の涙を流す、巨大な赤ん坊だった。大きさは小さなビル一つぐらいはあるだろう。
        それが地獄めいた鳴き声を上げつつ、こちらへと向かってきている。肩には、ランドルフが元の世界で追っていた二人の少女が立っている。

        「解放治療場での参事の後、吾輩は自ら死のうとしたが、このようなことになった。イヤ、本当は死んだはずなのかもしれない。
         だがそんなことはいい。今はただ、君に願うほかない。
         この夢を覚まさせてくれ。あそこにいる胎児の夢を覚まさせてくれ。
         君にとっても、それが一番だろう。キットあそこにいる少女二人が全ての元凶だ。
         君なら、その刀で何とか出来るだろう? 頼んだよ。ワハハ」

        そう言うと、正木博士はポンポンとランドルフの肩を叩き、窓を開けた。 -- 正木博士 2014-08-08 (金) 00:37:26
  • ある日の夜 -- 2014-07-03 (木) 21:04:20
    • アルラートとの遭遇から数日、シトリの様子がどうもおかしい
      それまでなら修行中の失態に対して叱責が飛んでいた筈だが、あれ以来…心ここに非ずと言った様子だ
      夜も寝ずに何かを考えているような…もっとも、書籍である以上睡眠が必要無いと言えば無いのかもしれないが
      この日の夜もランドルフに翌日に備え、寝るよう命じてからまた一人で考え込んでいたようだ

      「…書にこのような事を問うのは意味の無い事かも知れないが
       眠れないのか?」
      流石にアルラートに何か原因があるのだろうと察しはついている
      あの時のシトリの態度には只ならぬものがあった、それからこの調子であるからだ
      自身にとって恩人とも言うべき人物とシトリの間に何があると言うのだろう?
      問いかけずには、居られなかった -- ランディ 2014-07-03 (木) 21:04:34
      • 月夜の晩。明るい月の光がランドルフの家に差し込んでいた。
        シトリはランドルフに寝ろと命じた後、一応は布団に入ったものの抜け出して、障子を開けて空を見つめていた。
        なだらかな体の線がよく出る寝巻の浴衣姿のシトリの顔を月が照らし、より白く輝かせていた。
        何かを考え込むようにして、空を見つめていた。

        「……我は寝ろと言ったはずじゃぞ、ランディ」
        こちらの方へやってきたランドルフのほうをちらと見ていった。
        「我は書じゃ。別に寝ずとも問題はない。対してお前は人間じゃ。不死であろうと何であろうと休むべき存在じゃぞ」
        いつものような強い言葉は飛ばす、何やら諭すようなことだけ口にする。
        「……何、ちょっと、な」
        寝れないのかと聞かれると、小さくぽつりとそう漏らしただけだった。普段見せる事のない、どこか不安げな、何かを恐れているような、そんな表情だった。 -- シトリ 2014-07-03 (木) 21:18:08
      • 「差し込む月明かりで目が覚めたのさ」
        こうして見ている分には人となんら変わりはないように見える
        だが時には術衣としてその体は解け身に纏う事も…
        シトリがシトリたる中枢のようなページ以外はその身を形作る力のようなものなのだろうか
        もしもすべての断片を集めれば大きくなったりするのだろうか
        そんなたわいも無いことを考えていた

        「休もうと思っても、体がまだ休めと言ってくれなくてね
         …何か思うことがあるなら言っておくがいい
         我々はもはや他人というわけではないのだから」 -- ランディ 2014-07-04 (金) 21:51:03
      • 「ふん、小僧が。偉そうなことをいっておるでないわ」
        ランドルフに近づくと、背伸びしてぐりぐりとそのほほを指でつつく。
        そして座れと命じると、ランドルフの膝の上に頭を乗せた。
        これまでにない事だった。
        しばらくのあいだ無言だったが、やがてゆっくりと口を開いていく。

        「……思う事ならば、ある」
        ぽつりぽつりと言葉が紡ぎだされる。
        「お前の恩人ともあって、不用意な事は云わぬようにと思っていたが……駄目じゃ。
         気になっておるのはあの男の事……そう、お前の恩人というアルラートという男の事じゃ」
        シトリは彼にそう言った。シトリのことをランドルフよりもはるかに知っており、超然とした態度を取る男のことが、気になるのだと言った。
        無論、気になるというのはいい意味ではないが。
        「……お前は、どう思ったのじゃ。あの男のことを」 -- シトリ 2014-07-04 (金) 22:51:04
      • 「私も移り変わる風景の一つに関心を持つ事くらいあるさ」
        子ども扱いするようなシトリの行為にも不快感はない、心穏やかな今はそれすらも心地よい
        指示通りに座ると想像していなかった重みが膝へと…これには少なからず驚いたが表には出さない
        いつもとは違う様子にただ穏やかな表情でじっと、見つめていて

        しばらく後、ようやく口を開きだしたシトリの話に耳を傾ける…
        どうやらアルラートに対して彼女は何か思うところがあるようだ
        確かに…シトリは彼をかなり警戒、いや嫌悪してすらいるようにも見えた
        「どうとは…
         久しぶりに会った、それ位だと思うが」
        軽い嫉妬があったのだが、それは本人も気づいていないほどであり
        そしてそれが嫉妬であると把握もしていない…ただ、再開したと思っただけだ -- ランディ 2014-07-06 (日) 23:16:33
      • 「……そうか」
        ランドルフは何ともなかった、とのことである。ランドルフの嫉妬心の萌芽も、アルラートに意識が行っていたシトリが気づくはずもないことだった。
        「見て分かったと思うが、我は……あの男を好かん。初対面のはずじゃが、かつての怨敵とすら思えるほどに、我はあの男を好かん。吐き気さえ催すほどに。
         ……理由はわからん。じゃが、我の本能というか、それが告げておるのじゃ。あれは、やつは……敵だと。恐るべき、邪悪なるものだと、何かが我に教えておる。
         ……お前が恩人として慕う男をこのように言ってすまぬ。じゃが、あの男を見てから、嫌な焦燥感に襲われる。おぞましい何かが起ころうとしておる……そう、思えてしまうのじゃ」
        それに故に、これまでどこか気が気でなかったようだ。言い知れぬ不安感、恐怖とすらいっていいそれに、シトリは襲われていたのだ。
        アルラートはかなりの学識があり、魔術の知識もあるが、一見すればただの人間だ。シトリのいう邪悪な存在には見えないだろう。
        「……奴は、似ておるのじゃ。姿かたちは違う。だが存在が似ておる……。
         遥かな過去、我が生まれた頃……皇都にて我が父と共に戦った相手……。
         そう、あの怨敵、安部晴明に……奴は似ておるのじゃ」
        そしてシトリはランドルフの顔を見上げた。
        「……お前に我の過去について詳しく話したことはなかったはずじゃ。寝れぬならば聞くか? 我の昔話を」 -- シトリ 2014-07-06 (日) 23:38:10
      • 「本能で告げるほどの邪悪…?だとしたら私を導いたのは善意ではないというのだろうか
         彼に会うことがなければ、シトリとこうして会うこともなく私はいずこかの山で野生の暮らしをしていただろう
         悪く言うのはいくらシトリであっても…」
        大恩のある人物への、言ってしまえば悪口とも取れる言葉には苦言をもらす
        だがシトリをないがしろにしようと言う訳ではないようだ
        「だが…そこまで嫌うならば会わないようにしよう」
        恩人、ではあっても会いたい人物という訳ではない
        すでに過去の人間でもあるのだ、会う必要性を感じてはいない…
        もっとも今回も向こうから会いに来ていたのだが
        「生まれた国で戦った敵と?
         しかしその敵は…倒したのではないのか、それとも…」
        それとも、倒せず敗走などしたのだろうか?
        問いかけを最後まで言うことはできなかった
        「そうだな…聞かせて貰おうか、シトリのこれまでを…
         そして、ページをそろえて何をしようとしているのかを」 -- ランディ 2014-07-07 (月) 00:55:22
      • 「……さてな。我から見れば、あの男は善き存在ではないように見える。
         確かにお前に文化を与え、呪いにも気づかせた男だ。お前にとっては恩人なのだろう。
         ……じゃが、そう、会わぬ方が良い。ともすれば……いや、推測で物を言うのはいかん。奴に関しては様子見といったところじゃ」
        以外に素直なランドルフの反応だった。恩人のことをここまで言われても激しい怒りなどを見せる様子はなかった。
        ランドルフがそう承諾すると、とりあえずシトリはアルラートの話はここで打ち切った。とにかく気をつけろと、ランドルフに言って。

        「……うむ、昔の話じゃ。我が生まれ、戦った日々のことを、そして……。
         そう、お前の言うように……我が頁を集め、何を成そうとするのか、お前に今こそ語ろう。
         契約した魔導書として……さて、お前には、関係のない話やもしれぬがな」
        フ、と寂しげに笑うと、シトリは話を始めた。遥か過去、千年の昔、東の国の都にて、シトリが著されたときのことを――

        「我が著されたのは千年の昔。皇都にて、倭文惟朝によって、我は記された」
        遥か過去を回顧するシトリは、空に浮かぶ月を見上げながら口を開いた。
        お前にも教えただろう、あの日本という国だ、とランドルフに言う。世界の東の彼方の小さな島国。シトリはそこで生まれたのだった。
        シトリは自らを編んだ倭文惟朝という男について話していく。倭文氏という神代から続く氏族に生まれた男で、宮廷で行われる祭祀に関わっていたという。
        倭文氏は倭文部と呼ばれる織成に関わる職業集団をまとめていた存在であり、本来織物に関わる存在で、祭祀などとはあまり関係がないとされているはずのものだ。
        「じゃが、倭文氏の祖は、倭文神という神であった。その神こそ、彼の星神香香背男、あるいは天津甕星を誅した神なのじゃ」
        天津甕星とは、神代の時代、葦原中津国平定の際に、天にて妖しく輝いていた邪悪なる星の神のことであり、名高い武神でもその神を倒すことはできなかったという。
        しかし、織物の神である倭文神は見事天津甕星を誅したのだという。織物の神が星の神を倒したのだ。その神話が『日本書紀』という史書に記されているとシトリは語る。
        それゆえに、倭文氏はその神話に基づいて、宮廷にて星の神を祭っていたのだという。織物の神であり、そして武の神でもあった。

        「故に、倭文氏は宮廷にて星の神の祭祀を行っていた。この星の神の祭祀については、表向きの記録は一切残されておらぬ。故に史書を開いてみてもその記述はない」
        何故ならば、その星の神天津甕星こそは、日本神話の中には記されていない「外つ神」であったからなのだと言う。
        「日本には古来より天津神、つまり天の神。そして国津神、つまり国の神が信じられてきた。神代の時代の歴史はこの神々によって作られてきた。しかし、本当はもう一つの神があった。星空より来たる、異世界の神々、邪悪な神々がいた。……それが外つ神なのじゃ」
        神代の時代、天津神国津神はその外つ神と戦ったのだという。その神々はあまりに恐ろしく邪悪であったために、歴史よりその名は消された。星の神が日本神話に極端に少ないのはそのためだという。
        天津甕星はその外つ神の一柱であり、その名だけは史書に残ったものの、僅か数行の記述のみである。倭文神はその外つ神たちと戦い、ついに彼らを封じることに成功したのだと言う。
        倭文神は星をその糸で捕え、操り、星辰を動かすことによって、邪悪なる神々を封じたと倭文氏の伝承には残されているとシトリは語る。

        「……遥か星空より来たる神々は眠りについた。星空の彼方で、この海の底で、窖の中で、今も眠り続けておる。じゃが、神々もその眷属まで全てを封印することはできなかった」
        異形の神々の眷属もまた異形であり、それらは時折現世に現れて、災厄をもたらすことがあったという。その眷属たちを滅ぼすために戦っていたのが倭文の者たちなのだ。
        「故にこそ我は編まれた。あらゆる世界の魔術の知識を集成し、外なる神の眷属……いや、果ては外つ神さえも滅ぼすために、その力となるために、倭文惟朝が編纂した書物じゃ」
        シトリの使命はまさしく「外つ神を滅ぼすこと」に他ならない。それが存在意義と言っていいのだ。表向きには『倭文祭文註抄集成』は倭文氏の祭祀や伝承について記された書物とされているが、その内容こそ邪悪な神々を討つためのものだった。

        「倭文惟朝、つまり我が父は、邪悪なものどもを倒すために我を著した。そして我は、父とともに、日本に跋扈する邪悪なる外つ神の眷属どもを打ち倒していった。倭文神の力を用いて、都で、山で、海で……」
        シトリの顔が遠い過去を懐かしむような顔に変わった。
        「倭文の伝承では、外つ神は必ず未来に蘇り、再び現世に現れる。その時、邪悪なる神々を討つための力として、我は存在を生み出された」
        邪悪なる神との戦いこそがシトリの存在の全てだった。倭文惟朝ともに、シトリは日本のあらゆる場所で邪悪な物たちを滅ぼしていった。

        「……これは史書には出ていないことじゃが、実際は倭文神は天津甕星を倒したわけではない。星を糸で捕え、その魂を石に封じ込めたのじゃ。その魂を、操り、己が力とした。巨大なからくりの神を操る力が我にはあった。故にこそ、邪悪なるものどもを打ち倒してきたのだ」
        もっとも今はその星神の力は我にはないがな、とシトリは呟く。その機械の神については詳しくはシトリは話さなかった。何か考えていることがあるらしく、それが成った際に説明するとのことだ。

        「……このようにして、我と父は戦い続けてきた。我も破邪の書としての力を存分にふるった。……だがある日、都に一人の陰陽師が現れた。その名を安部晴明という」
        シトリが、アルラートとよく似た男という存在だ。安部晴明とは歴史書にも名を残す有名な陰陽師である。軽くそう説明すると、シトリは話を続ける。
        「その安部晴明は有名な陰陽師として都で名をはせていたが……その真実の姿は、邪悪なる外つ神の化身だったのじゃ」
        その安部晴明はある日朝廷に反旗を翻し、邪悪な神を蘇らせるための儀式を行い、異界の扉を開いたのだという。
        都にはいくつもの「星」が落ち、異形のものたちが跋扈してまさに地獄のような有様になったという。
        「我と父は機械の神を駆り、安部晴明と戦い、宇宙の彼方から帰還を遂げようとする神の復活を阻止した。その時に安部晴明も死んだ。しかし……」
        サッとシトリの顔が翳る。悲しみに満ちた表情がそこにはある。
        「……激しい戦いの果てに、我が父は命を削り、安部晴明と刺し違えになり、命を落とした」
        身を震わせながら、ぽつりぽつりとシトリは語る。
        「その安部晴明とあのアルラートという男の気配がよく似ている。無論姿かたちは全く違う。だからこそ、我の不安は晴れぬのじゃ……」
        父であり、初めての契約者であった倭文惟朝を失ったシトリは、その後、倭文氏の者たちと契約を結び、邪悪なる神々の眷属と戦い続けてきた。
        時の流れの果てに、倭文氏はついに滅んだ。しかしシトリはそれでも諦めずに、世界へと飛び立ち、何人もの魔術師らと契約し、邪悪と戦い続けた。
        そして、その果てにこの街へとたどり着いたのだった。何らかの原因によって、頁を失って。

        しかし、シトリは気づいてはいない。この記憶は既に改竄されたものだ。偽りの混じる記憶なのだ。シトリはそれに気づけない。

        「――そう、我の目的は唯一つ。頁を集める目的は唯一つ」
        ぐっ、と手に力を込めてシトリは言う。その幼げな顔がランドルフを捉える。
        「――来たるべき時に、外つ神を滅ぼすためじゃ」
        そう言った後、フ、とシトリは笑う。
        「我と契約した者は、外つ神と戦う定めを担う。……何、お前にそれを強要するつもりはない。お前には目的があるのじゃ。その目的を叶える男に、異形の神々と戦えなどというつもりはない。それは、そう、地獄の道といえよう」
        自ら魔術を学んでいない男が所有者になるのはランドルフが初めてだとシトリは言う。
        シトリはページを集めるために、ランドルフは呪いを解くために、お互いの力が必要なのだ。そういった関係は初めてなのだと。
        「これがここに至るまでの我の昔話じゃ。今はまだ邪悪なる神は復活する様子もなく、眷属どももなりをひそめておる。我が断章に介入した存在については気になるが、それも我らは退けることができた。ランドルフ、お前の願いは叶うぞ」
        子供にするように、シトリは手を伸ばし、ランドルフの頬を撫でた。シトリはランドルフを断じて人として扱っていた。人としての平穏を願っているようだ。
        確かにランドルフの遠祖はアル・アジフと共に駆けた者だったのだろう。しかし、ランドルフは遠祖そのものではない。呪いを受け継いでしまった哀れな男なのだ。
        故にこそ、シトリはまだ想像はしていない。この男とともに邪悪なる神々と戦うという気にはまだなっていない。契約時にはそのようなことも言いはしたが、外なる神々との戦いはランドルフの呪いよりもさらに重いものとなるために。 -- シトリ 2014-07-08 (火) 21:26:26
      • 「善き存在ではないとは穏やかな話ではないな
         つまり…ヒトではないと?」
        そもそもシトリにとってヒトが善き存在かどうかもわからないのだが
        その言い方からは人間ではないと言っているようにも聞こえる
        「見た目以外での判断は私にはつかない…
         もし調べようと言うなら、判断が間違っていた時に迷惑をかけぬようにな」
        ヒトではないと言うならそれでもいいだろうと、深くこだわることは無かったようだ

        シトリの過去が語られ始める

        千年、それはランドルフが生きた人生よりも恐らくはなお長い時間であるはずだ
        ある意味ではシトリの生みの親に当たる人物『倭文惟朝』…どのような人物であったのか
        そしてなぜシトリを生み出すに至ったのか、深い拘りは無いかもしれないが
        興味が無いと言えば嘘になる

        まず生来の魔術師のような人物と思っていたため
        服職人か、それに近しい職業柄の人物であったと言うことに軽い驚きを見せる
        いや、神の末裔というからにはヒトとして扱ってよいのかわからないが…
        しかもその神は相当な邪神を打ち滅ぼしたと言うではないか
        想像していたよりもなおスケールの大きい話に想像がついていけていない
        シトリはよく「糸」を出す、恐らくはああいったものを使用してその神は勝ったのだろう

        「倭文の者が眷族と戦う…か、先祖がそのような神であったからこそ負った血の業とでも言うのか」
        口にはしていないがどこか少しだけ共感するところがある
        自身の呪いもまた、血の系譜によって受け継がれて来たものであるからだ
        シトリの父に当たるものは更なる力でも求めたのだろうかわからないが
        邪神滅ぼすために生み出されたシトリの存在に言いようの無い感情が渦巻く
        (もしも、全てを滅ぼしたら…彼女はどうなるのだろうか?)

        「場所もさることながら相当な数の眷属が存在するのだな
         そうか、眠りについた…というのはいずれ目覚めると言うことか」
        眷属との戦いだけでもきっと激しいものだったのだろう
        邪神そのものとの戦いともなれば神の末裔では、神そのものの力を持たない末裔では敵わないのだろう
        神の力に近づくために、きっとシトリは生まれたのだ

        「倒した訳ではない…?
         数多くの武神を返り討ちにするような邪神の力を取り込むとは…な」
        今は存在しない星神の力、それは断片が失われていると言うことに他ならない
        そのような魂を封じたページが…これまでのように暴走したとしたら
        最悪の場合封じられた神が表に出てきてしまうのではないだろうか
        「その星神のページは…早めに探す必要がありそうだな」
        今のシトリでは全盛期の力は備わっていない
        今の自分ではそんなシトリの力ですら十分に行使出来ない
        抗う術を、持ち合わせては居ないのだから

        「ああ…その名前は私も一度くらいは聞いたことがある気がするな
         アルラートさんと似た男…?」
        もちろん安部晴明について詳しく把握しているわけではない
        有名であるからこそランドルフにも多少は聞いた覚えのある名前と言うだけだ
        それだけに実は邪神の化身であったなどと言われれば驚くこともある
        シトリと、シトリの父との戦いは恐らく壮絶なものだったのだろう
        今まで見た断片の起こした現象などとはきっと比べ物にならないほどに
        「気配の似た存在…か、その時に安部晴明は打ち滅ぼせていなかったのか?」
        封印からならば蘇る事もあるかもしれないが
        しかと打ち滅ぼしたというのなら、きっと別人なのではないか…そんな可能性を考えて
        壮絶な戦いでも失われなかっただろうページ、それらを失うほどの事とはいったい…

        シトリの説明はランドルフにとって全てである
        嘘をつく必要を感じない、いやそれどころかシトリが嘘をつくなどと全く考えていないのだ
        記憶の方が改竄されているなどつゆと考えずに…

        「来たるべき時…か」
        いずれ蘇るだろう邪神たち、その時シトリは戦うのだろう…
        「今はまだ蘇る兆しは無いと言うが、ページを奪い…書き換えたものは『敵』ではないのか
         正体はわからないようだが…」
        シトリに指が頬に触れる
        千年の時を生きた魔道書らしさは感じられない、少女の指だ
        「ふ…」
        自嘲の笑みがこぼれる
        自分は呪いを解いてそれまでと考えていたのに、目の前の少女はどうだ
        先のことを考えた上でランドルフの身を案じているではないか
        「これでは…安息を得られたとしても、先祖に顔向けはできんな」

        目を閉じ、しばし何かを考えている

        やがて静かに口を開いて
        「ならば…全てのページが揃ったのであれば、しばらくは共に戦おう
         私よりも素質を持ち、邪神に対抗するためにより良い逸材が見つかるまでな」
        魔術に疎い身では邪神そのものとの戦いには足手まといになるだろう
        しかしそれでもシトリ単独では十分な力を出すことはできないと言う
        ならば…最良のパートナーが見つかるまで、その間の繋ぎになればいい
        邪神が蘇るのがいったいどれくらいの年月を経た時かは分からないが
        自分ならそれに近い時期まで生き続けることもできるだろう

        それが…彼の出した結論だった -- ランディ 2014-07-14 (月) 03:58:18
      • 「――星神については我に考えがある。ただそれを試すにはまだ条件がそろっておらぬ。今はそれを待つのみじゃ」
        星神の招喚については何か考えがあるらしいが、今はその時ではないとシトリは言う。

        「無論、安部晴明は倒したはずじゃ。じゃが……邪神の化身じゃ。何が起こっても不思議ではない。たとえ、死から蘇ってもな」
        シトリは唇をかみしめる。もしそうなら、父親の死はなんだったのだろうということになるのだ。

        「……そうじゃ、来たるべき時じゃ。そしてそう、頁を書き換えたもの……もうお前に隠す必要もないじゃろう。おそらくは我が戦った外つ神……それに連なるものじゃろう」
        アルラートがそれであるという考えには何故か至らない。至れない。
        「それも滅ぼさねばならぬ。我の断章をどうしたいのかは知らぬが、放っておくわけにはいかぬ」

        そこで、ランドルフの言葉があった。それにシトリは目を丸くする。
        「莫迦な……お前は知らぬのじゃ、邪神どもとの戦いは、お前が想像するような、断章との戦いとはまるで……」
        しかし、シトリは続きを言わなかった。それは彼の決断だったからだ。人間としての決断だったからだ。
        真に正義のためという心から生まれた結論ではないだろう。あくまで次の契約者が見つかるまでのつなぎ、ある意味使い捨てと言えなくもない行為だ。
        シトリはそれを容認すべきか迷った。彼が良いと言ったとしても、邪神との戦いは人知を越えるもの。たとえ不死であっても、精神が持つかわからない。いや、より酷い地獄に落とされる可能性もあった。
        シトリにとっては、願ってもない話ではあるのだが。
        「……そうか」
        シトリはそう呟いた。シトリの願いとしては、ランドルフが普通の人間として生涯を終える事。
        彼がこのような運命に巻き込まれたのも、元々は自らの原本であるアル・アジフの繋がりである可能性は濃い。不思議な縁で二人はむすばれている。
        彼の運命を見届けるのも、自らの定めではないか、シトリはそう思った。
        何者かに踊らされているような不快な状況の中ではあるが……彼の申し入れを、シトリは。

        「よかろう。ならば全ての断章を集め終わった後も、我とお前の契約は続く」
        体を起こし、ランドルフと相対する。
        「言ったからには務めは果たしてもらう。次の所有者が見つかるまでは、お前は我の所有者、共に邪悪と戦う者となる。弱音は許さぬ、逃げは許さぬ」
        真面目な表情だ。それだけ真剣だということである。
        「つなぎだからと言って、手を抜くことは許さぬ。敵は、世界全てを狂気に呑むほどの邪悪なのだからな。
         これからは本腰を入れてお前を鍛え上げる。今のままではとても戦えぬからな。覚悟せよ」
        険しい顔でそういうと、フッ、と表情を緩ませる。
        「……よく決断したな、ランディ」
        いつもの子供らしい顔ではなく、母のような、そんな笑みを浮かべた。
        たとえ、彼が断章を集め終わって即、呪いを解いてほしいと言ってもシトリは怒りなどしなかった。それが本来当然だからだ。
        しかし彼はそうしなかった。永遠、とは言わないまでも、共に戦うといったのだ。ならば、シトリは彼の意志を尊重した。

        すると、ランドルフの唇に柔らかいものが落ちた。シトリの唇だった。 「……これは褒美じゃ。そして再度の契約じゃ。お前に初心な反応など別に期待はしておらぬがな」
        そうニッと笑うとランドルフの頭を撫でた。
        「では我は寝る。明日からは断章の捜索も開始するぞ。ビシバシやるからな」
        そしてシトリは寝床へと戻って行ったのだった。 -- シトリ 2014-07-15 (火) 01:55:28
      • シトリの言う条件、ページが不足しているのであればその記述もなく
        今までのことを考えれば恐らくは思い出す事すら出来ないだろう
        ページそのものは足りている…問題は呼ぶための力か
        少なくとも、もっとも厄介そうなページが敵に回らぬことを知り軽く安堵する
        「…死から蘇る、か
         その時は自分を死に追いやったものへ復讐を企てるかもしれないな…」
        だからこそ、敵対していないアルラートは違うのではないかとも思ったが
        シトリの表情を見ればそれを口にすることは出来なかった

        「眠りについた邪神以外にもまだ眷族も居ると言っていたな
         それらがページに取り付いている、と言うことだろうか
         『敵』からしてみれば対抗手段を削ごうと言うのではないだろうかな」
        不完全なシトリはページ相手にも苦戦している、そんな状態では神々に到底太刀打ちできないだろう
        現状のこの姿こそが目的の一つなのではないだろうか…

        「ああ…確かに私は邪神を知らない、どのような事になるかも想像はつかないな」
        正と邪 / 善と悪 / 本音と建前 / ランドルフの選択の理由
        「そのような苛烈な戦いに、シトリ一人を送り込む訳には行くまい」
        今までずっとランドルフは1人だった
        支えるものは居なかった、支えられるものは居なかった
        もちろん相手に振り回されることもあったが、2人と言う事に助けられたことも幾度と無く存在する
        シトリが邪魔だと切り捨て、関係を断ち切ろうとするなら仕方ないだろうとは思っていたが
        得られた返答は…

        「ああ、勿論逃げるような事はしないさ、時に弱音をはくことぐらいは許して欲しいがね」
        軽く返す、不安がないと言えば嘘になるだろう…時には弱音を吐いてしまう事もあるかもしれない
        「私としてもその邪神が…シトリの指す者が同じかは分からないが
         血族を邪神に蝕まれて居るのでね、一矢報いるのもいいだろう」
        自分だけではない、父に当たる人物もそれまでの様々な人物もアズラッドを基点として人生を狂わされているのだ
        先祖の事など彼は知りはしない、それまでの苦悩など分かりもしない
        だが…自分を、自分達をこのような状態にしたものへの密かな感情は徐々に芽生えている
        それは『怒り』理不尽な仕打ちを受けた者が抱く、『正しき怒り』だ
        憎悪とは違う…もっと純粋なもの、もしかするとそれは付けこまれる隙になりえるのかもしれない
        そうであったとしても、ランドフルが人への一歩を歩んだことには違いないだろう

        「んっ」
        不意に触れる唇、突然のことにきょとんとしていると頭を撫でられて
        「ああ…お休みだ、さて断章だけではなくいずれ魔術師として素質あるものも探さねばならないかな」
        術師として高名な者はそれなりに耳にする
        彼らが協力してくれるかは別だが…しばらくは、悩む必要は無いだろう
        まずは明日からの戦いの日々を乗り越えねばならないのだから -- ランディ 2014-07-19 (土) 05:22:08
  • 再会/邂逅 -- 2014-06-19 (木) 20:48:05
    • 「――と、こういうように西洋の魔術と我が東洋の魔術とでは実際の面においても歴史においても様々な違いがあるのじゃ。さて、それはそうともう世界地図位は覚えたか」
      シトリは何やら女教師めいた装束に身を包み、眼鏡をかけて自慢げにランドルフに講義していた。こういうのは気分が大事だということらしい。
      今回は東洋と西洋の魔術について、さらに倭文祭文註抄集成について、加えて日本語などの常識の問題を教えた。どこまで彼が理解できたかは不明である。
      先日のこともありちゃんと教育しなければ今後の戦いに差し支えるゆえに、きちんとやれというのがシトリの弁であった。
      机の上には辞書やら魔導書やらが並べられている。最高位の魔導書を使う者が魔術のいろはのいの字も知らないというのでは拙いというのはランドルフも先日の戦いで気づいたことだろう。

      「まあ、今日はこれくらいにしておこう。ランディ、茶にするぞ」
      そういうといそいそと女教師の服を脱いで着替えはじめた。雰囲気以外の意味はなかったらしい。
      先日、シトリに寛げるものを、と買い物に行かされていたランドルフが家に帰ってくると、さらに家は様変わりし、縁側まで備え付けられていた。
      和洋折衷な奇怪な家が出来上がりつつあった。 -- シトリ 2014-06-19 (木) 21:23:42
      • 「魔術というものにも国柄があるのだなあ…しかしシトリはネクロノミコン等も参考に…
         幾重もの書を経ているのであれば東洋西洋問わず記されているのではないのか?
         …地図はそうだな…細かい国の位置はまだ、完璧ではない…」
        47都道府県全てを正確な位置に当てはめられる人間がどれだけいるだろう
        ランドルフもまた名前の似通った国などの位置が把握し切れていない面もある
        少なくとも大まかな地図の形位は頭に入って入るようだが

        自身の未熟さを思い知ったこともあり前向きに勉学に励んではいるものの
        とうに成長期を過ぎ去っただけに飲み込みはお世辞にもよいとは言いがたい、体で覚えこんだ事は吸収が早いようではあるが
        その一つが察することである
        シトリの衣装に何か言いたいこともあったが、言っても無駄だろう…と察することが出来たのだ

        「ふぅーっ
         断片らとやり取りをしている方がよほど楽かもしれないな…」
        ため息をひとつ、ようやく訪れた休息の時間に安堵する
        元より文化意識が薄いためか珍奇な住まいの様相に文句も言わず、買ってきた茶を見せる
        「ダージリンとセイロンと言うのがおすすめらしいので両方買ってきてみたが
         どちらを飲むかね?」
        茶、と言えば紅茶の文化圏だったようだ -- ランディ 2014-06-20 (金) 21:29:20
      • 「良い所に気づいたなランディ。えらいぞ」
        まるで子供を褒めるように笑い、ランドルフの疑問に答える。
        「我は皇国で生まれた魔導書じゃ。じゃが、お前の言うとおりネクロノミコンを始め、シルクロードなどを渡ってきた魔導書の様々なものが、我が父倭文惟朝によって集成されたものじゃ。
         故にお前の言うとおり東洋西洋問わずに記されている。しかし、皇国に伝わる神話などとの習合や、伝わってくるにつれ元の内容と大きく変わったものも多くある。
         それに我は日本語という言葉で書かれておる。様々な世界の魔術の要素はあるが、最終的に日本語化されたものとなっておるわけじゃ」
        翻訳された言語によって色々と変わるらしい。倭文惟朝がかなりの魔術の使い手であったために、日本の魔術に合うように上手く作り変えたということもあるとシトリは付け加えた。
        「きちんと覚えておけ。今度は歴史をやるからな。一般常識についても教えねばならんが、我も普通の社会で長く暮らしてきたわけではない。少し教えるのは難しいかもしれんな」
        「じゃが、お前よりは何倍も常識はあるつもりじゃぞ。」
        と胸を張った。やけに教育に力を入れているらしく、何かあったのかもしれない。

        「ふん、何を言うておる。いくら死なんとは言え戦いの方が楽だなとというやつがあるか」
        休憩の時間が訪れた。今のところランドルフが使える魔術はそう多くない。散逸せずに済んだシトリの頁の中に強力な魔術はある程度存在するが、あまりに高度なため今のランドルフでは使えないものがほとんだ。
        というわけで、シトリは彼が人間的なマスターとなってもらうべく学習に力を入れていた。無論魔術のためであり、呪いを解くためだと言って。
        「なにっ。それではお前、紅茶ではないかーッ! 我は緑茶がいいといったのに……はあ、仕方あるまい。お前にそこらへんの知識を期待してもダメじゃったな。生まれは東ではなさそうじゃしな」
        ではダージリンを、とシトリは言う。ミルクと砂糖もいっぱいもってこいと付け加えると、縁側に座り足をぶらぶらさせ始めた。 -- シトリ 2014-06-20 (金) 22:02:56
      • 「なにやら難しいが…早い話が、東洋風にアレンジされていると言うことか」
        違う体系の術と言う話だったがアレンジは効くと言うのでまた困惑…
        今の自分には到底無理なことだが、術を作り変えるような事ができるのなら
        呪いそのものを違うものへと返ることも出来るのかもしれない
        それは単なる解呪とは異なる希望であった

        「歴史…だと?そんなものまで必要なのだろうか
         地理だけでも手一杯だと言うのに、ぐうう…」
        対照的にこちらは机に突っ伏してしまう、もともと勉強が得意ではない様子

        「そうは言うがな、いかな苦しみよりもこの頭脳の苦しみは耐えがたいものだ」
        はっきりと言うなら惰性で生きてきたような、無気力な人生を歩んできた男だ
        目標のために頑張ろうと思ったところであまり長続きしないようで…
        まずは人柄を変えることも必要なのかもしれない
        「しかし緑のまだ熟していない葉など美味くはなかろう?」
        どうやら果実のように、緑茶が完熟したら紅茶になる…などと考えているようだ
        やはりどこかしら抜けている部分は否めない

        「心得た」
        一緒に用意してきた茶の入れ方の本を読みつつ、紅茶を淹れる
        素人なだけに茶の淹れ方はたどたどしいが、それでも記述内容を守って…
        非常にそれなりな味となった紅茶と共にミルクと砂糖が運ばれてきた
        茶菓子にはドーナツを買ってきていたらしく、シュガーパウダーのまぶされたドーナツが輝いている -- ランディ 2014-06-20 (金) 23:13:53
      • 「東洋の医術と西洋の医術は全く違うものじゃろ。じゃがそれを合わせることもできる。それとおなじじゃ」
        目的さえ同じならばどうにでもなるとシトリは言った。
        科学も魔術も人の営みという点では同じだということらしい。

        「我が主が文盲無知だと恥ずかしいであろうが! それにそもそも、そういう知識がないと魔導書など読めんぞ。我には歴史書という面もあるのじゃからな。
         まったく、学校にでも通わせたいところじゃな。だがそれも無理じゃから、我が先生役をやっておるわけじゃ。感謝するがよい」

        「ふーむ……あのな、紅茶というのは茶の葉を……ええい面倒じゃ。また説明してやる。別にその葉っぱは熟しているとかいないとかそう言う問題ではないのじゃ! またお前も緑茶を飲んでみよ、良さがわかるぞ」
        どうにもこの男には中々目的の為に一気に頑張るということが中々できないようだ。
        自分の死が遠いところにあることを知っているからだろうか。時間など意味をなさないことを知っているからだろうか。 しかしそれでは文化的な生活も営めないし、真に魔術を大成させることもできないだろう。
        こう言った面を変えていかねばならないとシトリは思ったのであった。

        「ふむ、お前にしてはいいセンスの菓子じゃな。これはどーなつというやつじゃ、知っておるぞ。確かにこういう茶菓子の時は紅茶のほうが良いな。さて、茶の方は……」
        運ばれてきた茶と菓子を見て嬉しそうにする。こういうところは子供っぽかった。
        出された紅茶にミルクと砂糖を大量に入れる。これでは風味も何もなくなってしまいそうであるが。
        「……まずくはないが素晴らしくもないな……普通というか微妙というか……もっと精進が必要じゃな。ほれ、お前もやれ」
        茶菓子を楽しみつつ平穏な時間が過ぎていく。このようにのんびり過ごしたのは何百年ぶりかもしれない。 -- シトリ 2014-06-21 (土) 00:09:40
      • 「西洋東洋問わず邪神払いを目的としているならこの場合どちらでもかまわぬと言う事かな」
        それ以外の術、単なる占いなどであればシトリは東洋の術しか把握できない…のだろうか?
        線引きがいまひとつわかっていないようだ

        「恥ずかしいと言うが誰かに自慢する訳でもあるまい
         …魔術と歴史に係わりなどあるのか…ああ、学校のような公共の場は不味いな」
        やはり仕方なし、と言った形で腑に落ちない面もありながら感謝のジェスチャー
        心から感謝しているかはまた良くわからないところだ

        「熟しているわけではない…だって?
         未熟なものかと思ったが緑茶にも興味がわいたな、葉が無くなったらそちらも試してみようか」
        時間と言うものに束縛されない人生、それは生き急ぐ人の営みから外れ
        植物のようにのんびりとしていたのだろう、解呪と言う目的が出来るその日までは
        多少なりとも何かをしようと思い始めたきっかけはやはり、その転換期があったからに違いは無いのだ

        「おいおい、食わずとも死なないとはいえ私にだって空腹はある
         旨い物を食べたいと思う気持ちくらいはあるのだよ」
        本が食事を、と初めに見たときは驚いたが今は慣れたもの
        パウダーシュガーがまぶしてあるのだから手が汚れた時用の布巾も用意して
        「そこまで自信を持って作った訳ではないが…
         ミルクをそんなに入れてしまったらもうミルクの味しかしないのではないか?」
        こちらはドーナツの甘みを中和するかのようにストレート
        黙って茶を飲んでいる分には紳士のようだが、なにぶん外見に中身がついていかないのが玉に瑕である -- ランディ 2014-06-21 (土) 02:24:34
      • 「要は我は特別な書物ということじゃ。西洋と東洋、どちらをも理解しておればそれらを合わせるもできるのじゃ」
        一応倭文の生みの親が読んだであろう魔導書は漢訳されたものではあったらしいがと付け加える。
        「まあ、我が一番真価を発揮できるのは「祭祀」においてほかはないがな。我はその名の示す通り、倭文氏の祭祀についての記述が多く含まれておる。魔術も使えるが、一番は神を祭り、神の力を借りるということになるのじゃ」

        「……ふむ。それがよいぞ」
        興味が湧いたということばに眉をピクリと動かす。何かを楽しみにするという感情は男にもまだ残っているらしい。
        この前の戦闘のようなことを除けば、ランドルフが積極的に、能動的に何か行うという姿はあまり見られなかった。諦観の果てに仙人みたくなってしまったのかとも思われたが、まだ希望はありそうである。
        その希望というのは、到底ランドルフに伝えられるようなものではない。最終的に彼は終わりを手に入れるためにシトリと共にいるのだから。

        「ならばそういう感情もはっきり出していくことじゃ。お前にはそれがあまりに少ない。自分の中の強き思いは力に通じる。時にはそのような感情を発露させることも重要じゃぞ」
        ドーナツをもぐもぐしつつ言う。「うむ、うまいぞ!」と機嫌は良いようだ。
        「我はな、甘いものが好きなのじゃ。じゃからこれくらいで良い。我ほどの魔導書となればこうなっても味はわかるのじゃ」
        どうにも嘘くさい話である。

        「……少し気になっていることがあるのじゃ」
        外を見ながらシトリは話し始める。
        「お前は最初から偃月刀が呪いの刀だとは知らなかったと言っておったな。お前の様子からして、自分から魔術に関してたどり着けたとはとても思えぬ。  力ある魔導書を探し始めたことも同じじゃ。お前のその刀のことは……一体誰に聞いたのじゃ?」 -- シトリ 2014-06-23 (月) 20:55:12
      • 「どちらも出来ると言うことは…そうか、どちらも学ぶ必要があると
         完全な習得は相当な時間がかかる…だろう
         真価を発揮するポイントを主にするべきなのだろうかな
         いつまた何時に断片が現れるのかもわからないのであれば、付け焼刃でも術を扱えねばな」
        半分は本音、今後の戦いにおいて使える術が多ければ多いほど行動の幅は広がる
        今は太刀打ちできぬ相手でも、完全ではないにしろ術が増えれば対処できるかもしれない
        半分は建前、座学よりは実習のほうが良いと…

        男は何も言わずに紅茶を飲んでいる、その表情は…晴れやかと言うものではない
        単にどこかの店で口にしたものよりも美味しさを感じないだけである
        長い時間と言う牢獄に囚われた中でも、食事は楽しみの一つなのだろう
        すべての味を知ってしまえば楽しみではなくなるのかも知れない
        しかし時の経過とともに生み出されていく新たな味は、新たな喜びを彼に与えるのだ

        「感情を出す…か、それはいったいどんな感じなのだろうか
         美味い、と言う事はわかるんだが哀しいだとか怒ると言うのは良くわからんのだ」
        表にあまり色濃く出ない感情、それは人格形成期に人と接しなかった事に要因する
        人ではないにしろ、シトリと触れ合ううちに少しは笑顔が漏れるようになってはいるものの
        やはりその起伏は少ない

        1つ、2つドーナツを食べ、紅茶で口の中を洗い流し椅子にもたれているとシトリから質問が飛んでくる
        「そう言えば話した事はなかったか、あれは…何年前だろうか、100年かもっと前か忘れてしまったが
         …ある人から聞いたのだ、その人の名は…そう言えばどんな名前だったっけかな?」
        あごに手を当てて思いだそうとしているのだが思いつかないようだ
        「顔は覚えている…いや、どんな顔だったか…?」
        覚えているはず、自分の人生を決めた、新しい人生を与えた人物だから
        たとえ100年経とうが200年経とうが覚えているはず
        それなのに、顔が思い出せない、言われるまで、存在を忘れていた -- ランディ 2014-06-24 (火) 01:18:57
      • 「何じゃ? やはり勉強は嫌なのか?」
        ランドルフの言葉にニヤッと笑みを浮かべる。
        「しかし一理あることではあるな。実際にお前が神事を行えるかどうかといえば無理な話じゃろう。
         古来の神は討伐するようなものではなく、それを鎮めるくらいが関の山じゃった。邪悪なる神も神故に、人がどうにかできる存在ではなかったということじゃな。それが古代の日本であった。
         本居宣長もいっておるな。善きも悪しきも神なのじゃと。本来神と人は戦うだのそういう次元にあるものではないのじゃ。無論、時代が下れば神の地位も下がり、人に討伐される話も出てくるのじゃが……それはまあ今は良い。
         我々が戦う神とは、そういう存在とは違う。外つ神じゃ。人を救うこともなく、人の正しき信仰を受けることもない、宇宙より飛来した神々じゃ。その力はあまりに強大で、まさに神の名の如し、というものじゃ、
         そんな存在に人は太刀打ちできぬ。じゃからこそ、本来の意味での神の力にすがったのじゃ。神の力を借りて外つ神と戦ってきたわけじゃ。我に記された神々はまさにその外つ神と、日本古来の神々なのじゃ。
         単に魔術、人間本位の力ではとても叶わぬ。お前が戦いに用いる力も神の力の一つであるということを忘れるでないぞ。神事の方は我が担当するが、それでも覚えておけ。
         我らの敵はそれほどまでに……いや、違ったな」
        そこでやや悲しそうに言葉を切る。
        「……我の敵、か」
        ランドルフはあくまで利害の一致で共に戦っているにすぎない。シトリのページがすべてそろえば彼は目的のままに死ぬのかもしれない。彼がシトリとともに邪悪なる神々と戦うということはその目的にはないはずである。今は断章を集めているに過ぎない。シトリが戦ってきた邪悪なるものどもはまだ姿を現していないのだ。

        「本来感情とは学ぶものではなく自然に現れてくるものじゃからな。……その感情を実際に得てみるのが一番じゃろうな」
        彼が哀しむとか怒るということがあるのかどうかシトリにもわからなかった。シトリの理不尽な振る舞いにも、彼は苦笑することはあっても、怒るようなことはなかった。これまで諦めの中で暮らしてきたためなのだろうか。
        それでも、笑顔は見せるようになった。ならば今後人間らしくなっていることもあるだろうとシトリは思うのだった。

        「何……?」
        ランドルフはシトリの質問に答える。そしてその答えにシトリは唖然とする。
        「覚えていない、じゃと……?」
        何か戦慄めいたものをシトリは感じた。本来そのようなことは忘れるはずもない。ある意味では恩人とも言えるような人物のことである。しかし、彼は覚えていないというのだ。シトリが言うまで気づいてもいなかったというのだ。
        それはまるで、シトリが自分がこの街に来る前に戦っていた敵、自分のページが散らばってしまった理由を忘れてしまったことと似ていた。記憶を奪われたような、隠されたような。
        「お前から聞いた話では、記憶の欠落などは呪いにはなさそうじゃ。なんだ、この、違和感は……」
        何か、思い出さなければいけないことがあるはずなのに、靄がかかったように何も見えることがない。
        偃月刀のことを知っているということは、かなり魔術に詳しい人間のはずである。しかし、彼の一族の呪いの話などそうそう外にでるはずもないものだ。一体どのような目的で、経緯で、そのことをランドルフに教えたのか、かなり疑問点は多かった。
        シトリがうんうん考え悩んでいる時であった。

        ――ランドルフは、その人物に再開することとなった。 -- シトリ 2014-06-25 (水) 20:51:55
      • 「やあ、名無しの君。ずいぶんと久しぶりだね。よもやこのような近くにいたとは私も想定はしていなかったよ」
        いつの間にか、二人の前に一人の男が立っていた。上質なスーツに身をまとった初老の男。その目にはひどく知的な光が宿っている。
        「あれから進展はあったかね。私の言う本は手に入ったかね……バルザイ君」
        親しげにその男はランドルフに話しかけてくる。果たして彼は思い出せるだろうか。な〜 この男こそ、ランドルフに偃月刀のことを教えた本人。アルラート・フィリップスであった。
        「そして初めまして、お嬢さん……いや」
        男は目を細める。そして心底嬉しそうに笑みを浮かべる。
        「彼の倭文祭文註抄集成の精霊。私もオリジナルを見たのは初めてだ」
        そして視線をランドルフに向ける。
        「やはり、良い本に出会えたようだ。君なら、引き寄せると思っていたよ」
        どこか大げさな仕草で喜びを男は示す。異様な男だった。気配はどこか混沌としていて読むことができず、異様な雰囲気を放っている。それであって、ただの人間にしか見えないのだ。 -- アルラート 2014-06-25 (水) 20:53:00
      • 「好きか嫌いかだけで分けるならそうだな、嫌いに入るだろう
         あまり頭を使うことが無かっただけになおさらな」
        これはかなわない、と手を上げ降参の意を示す
        「冒険者が使う術とは違う、神の力を借りる術…か
         確かに、私には蟲のような常世神や…この前のは時計の神だったか?
         ああしたものを神々として奉る方法はまるでわからんな
         100%の力を発揮する必要があるのであれば、一柱一柱に絞って研鑽を積まねば到底無理だろう
         …ん?」
        言い直したシトリの変化には気がつかない
        ランドルフの考えは断片と戦うことに縛られてはいるが
        その結末として考えている事は解呪ではない、何も考えていない事が正しい
        目先の目的だけに絞って、それ以外を考えないようにする…
        あるいは物事を平行して行うのが不得意なだけか、兎にも角にも彼は不完全なのだ

        「自然に現れるもの…か
         人は一体どんな時に怒り、悲しむものなのだろうな」
        野生に居たとき、もしかしたら獣として怒りを感じたことはあったかもしれない
        人の仮面を取り繕っているためにその記憶は今は残されてはいないのだが…

        「ああ、すっかりと忘れていたな
         思い返すことも特に無かったし仕方の無いことだろう…人の記憶はそれほど長くは持たないだろうさ」
        シトリとは違い、こちらは思い当たる、思い当たろうと出来るだけの知識を持たないがために答えに近づく事すらも出来ない
        それどころか悩むシトリを見て大げさな…などと思うほどで
        ティーカップがカチャリと音を立てて皿に収まると不意に影がさす、見上げればそこには―――――

        「ああ…」
        どうして忘れていたのだろうか、その顔を見た瞬間に吹き出すように記憶がよみがえる
        獣から人へと生まれ変わるきっかけでもあった人だ、忘れようはずも無かった…そのつもりだった
        若干の違和感を感じはしたものの、今は再会に…少しづつ生まれた楽の感情が、僅かながらの笑顔を浮かばせる
        「お久しぶりです、アルラートさんその節はどうも…
         ほらシトリ、さっき話していた恩人がこのアルラートさんさ」
        恩を受けたのは数百年も前のこと、普通の人間が生存できる年月ではない
        それが違和感の一つ、だが疑問にもつこともなく、もてる筈も無く

        何も問題は無い

        「オリジナルと言うことは…シトリの写本なんかも存在するのですか?」
        まるで教師の前の生徒か、親の前の子供か、シトリと居る間に見せる
        一つ張った筋のようなものがこの男の前では存在していない -- ランディ 2014-06-26 (木) 01:50:44
      • 「お前、は……」
        とてもタイミングよく、不意に現れた男。初老の紳士的な男。静かに笑みを湛える知的な瞳の男。
        シトリはそれを見た瞬間、何故かわからないが絶句した。二の句が継げなかった。
        遥か遠い過去の怨敵と出会った時のような感情だった。目の前の男など「知らないはず」なのに。
        「誰じゃ、お前は……」
        絞り出すようにしてシトリは言った。この心の底から湧いてくる焦燥感、危機感がなんなのか自分でもわからない。
        ランドルフに偃月刀のことを教えたのならば、目の前の男は魔術に酷く精通しているはずだ。使えないにしてもかなりの知識を持っているはずだ。
        なのに、魔術師独特の気配すら感じさせない。無害な笑みを浮かべる男に過ぎない。
        しかしながら、シトリはその男に敵愾心を燃やさずにいられなかった。

        考えすぎか、と静かに目を閉じ心を落ち着かせる。
        「……そうか。この男がお前に、ランディに刀について教えたのか」
        先程100年以上前の話ではないかと言っていたはずである。ランドルフがすぐにわかったということは目の前の男の容姿はそう変わっていないのだろう。
        ならば明らかにおかしい。人が生きれる時ではない。ランドルフと同じような存在なのか、それとも……。

        「いかにも我が倭文祭文註抄集成の原本じゃ、爺」
        それだけ言うと、ふんと鼻をならし、つんとした様子でシトリはそっぽを向いてしまった。
        目の前の男をどうしても好きになれないのだ。ランドルフが普段見せないような反応を示しているのも気に食わない。
        何かがおかしかった。
        シトリはランドルフの傍に落ち着き、いつでも戦闘を行えるようにひそかに術を編み始めてすらいた。
        時折、何かを思い出そうとすると頭を襲う痛みや記憶の錯綜。それがまた起こり始めていた。 -- シトリ 2014-06-27 (金) 02:22:46
      • 「おやおや、嫌われてしまったかな? いやいや、仕方あるまい。いきなりの訪問だったからね」
        ハッハッハと気の良い笑いを振りまいて男は言う。
        「ほう、名無しの君……名前が出来たのかね。ランディ、と?」
        興味深そうに二人の会話に関して尋ねてくる。ランドルフと出会った時と何も変わっていない様子であった。
        「良い、実に良い事だ。私の言うとおり、力ある書物を見つけた。そう、君の呪いが解かれる日は確実に近づいているといっていいだろう」
        そっぽを向くシトリに薄い笑いを向ける。神が被造物を憐れむかのような、絶対者の笑みだ。それすらもランドルフには普通の笑みにしか見えないだろう。
        「無論存在するよ。彼女から聞かなかったかね? 我々のような人間にとっては中々有名な本でね。
         日本語版ネクロノミコンともいうべきものだ。その内容な大きく変容してしまっているとは聞いているがね。
         写本は見たことはあるのだが、どれも不完全でね。君が良ければ、ぜひとも読みたいところだが……」
        それを聞くとシトリはより強い嫌悪の表情を見せた。
        「しかし……ランディ君。君も変わったように思える。失礼だが、随分と人間的になった……そんな気がするよ。そこで、だ。ついに君が本を手に入れた……だからこそ、少し君と話がしたい。いいかね?」 -- アルラート 2014-06-27 (金) 02:23:06
      • 不意にいつもと違う様子を見せるシトリ、よく喋る娘と思っているだけに絶句しているのは少し不思議な光景のようだ
        もしや思い当たる人物であったり、知人であったりしたのだろうか?
        シトリとアルラートに何か関係があるのだろうかと推測していたが、次に紡がれた言葉により疑問は霧散する
        彼の事を知りはしないようだ…ならばなぜ、絶句したのだろうか
        そう言えば他の人が尋ねて来たのもこれが始めて…恐らく人見知りなのだろうと
        まるで見当違いの結論を出していた

        「ああ、その通りだ
         私にバルザイの偃月刀の事や…人としての基本的な生き方を教えてくれた
         言わばセンセイのような人といってもいいだろう」
        そっぽを向いてしまうシトリにため息を一つ
        他人とのシトリを交えた触れ合いは初めてとも言えるだろう
        しかしながらこれほどまでに人見知りをするような性格だったろうか?
        シトリの中に渦巻く疑念を理解できない男にとって、その意思はすれ違うばかり

        「すいませんね、思ったよりも人見知りが激しいようで…
         ええ、シトリと契約する際に必要だと言うことで名を貰って、今はランドルフと言います
         写本の事は…彼女がその扱いを嫌がるので、それに関する話はしていませんね
         …シトリ自身が良いと言うのならですが…どうも良くはなさそうなので、申し訳ありませんが」
        ランドルフの口調もいつもと異なる、ある意味ではそれだけ『特別』な相手であると言うことなのだろうか
        それでも、特別な相手であったとしてもシトリの意思を尊重しようとはしているようだ
        記述を見せるようになどと頼む様子は無い…それは男が写本を不完全と言ったためである
        今現在、ページの全てが揃っておらず不完全なシトリはある意味で写本のような扱いを受けるかもしれない
        出会ったばかりの頃のランドルフであればそんな事まで気は回らなかっただろう…
        しかし今、シトリの内情を予想して「思いやる」事が出来ているのだ
        もっとも見当違いの方向性であるために成長を感じられはしないかもしれないが

        「私に話…ですか?ええ、構いませんが」
         その答えに警戒心は微塵も感じられない
         シトリにとってみればあまりにも無防備であり、アルラートへの嫌疑が高ければ高いほど
         許しがたい愚行にも写るだろう -- ランディ 2014-06-27 (金) 21:51:56
      • シトリは、「人見知りなどではないわ」と言い放つと口をつぐんだ。顔は背けたものの、アルラートの一挙一動に注目しているようだ。
        ランドルフの傍にくっつき、警戒は怠らない。目の前の男のことなど大して知らないはずだが、本能的に敵意を感じていた。
        あの笑顔や紳士的な態度は仮面に過ぎない。シトリはそれがよくわかっていた。
        かつて平安の都で戦った安部清明と、同じ気配をアルラートから感じていた。

        「おい、ランディ……! そんな男の話など聞くでない!」
        ランドルフがシトリに記述を見せるようにということはなかった。一応考えた結果らしいが、シトリがアルラートの閲覧を拒むのはそういう理由からではなかった。もっと根源的な嫌悪からであり、なおもすれ違いはあった。
        暫く口をつぐんでいたものの、あっさりと彼がアルラートの話に乗ってしまえば、どこか焦燥に満ちた様子でシトリは叫んだ。 -- シトリ 2014-06-28 (土) 21:48:43
      • 「いや、構わないよ。本来魔導書の類は人前に姿を現すものでもないからね。
         ほう、ランドルフか、良い名だ。まるで、彼のランドルフ・カーターのようだ」
        そう言ってシトリの方を見て嘲るような笑みをアルラートは浮かべた。
        「何となくは噂で聞いているよ。今は不完全な状態であるとね。君達が断章を集めているところも見かけたことがある。そのときは話す機会はなかったが」
        そこでいったん言葉を切り、「そう」と再開する。
        「まあそう言わないでくれ、倭文祭文註抄集成。これは君達の為を思っての提案なのだよ」
        シトリが会話を制止しようとするが、気にせずにアルラートは続ける。
        「……さて、ランドルフ君。君の目的はその偃月刀の呪いを解くことだ。私が教えたように、君はその第一の段階は既にクリアしている。
         倭文祭文註抄集成を手に入れたからだ。しかし……失礼ながら……君はやはり、まだ魔術に精通しているというわけではないように見える。そして、その倭文祭文註抄集成の頁も散逸してしまっている。
         だから、少し提案があるのだよ」
        特別な相手とあって静かに話を聞くランドルフに向けて優しげな笑みを浮かべる。
        「――私ならば、君の呪いを解くことができる。不完全であっても、その倭文祭文註抄集成と、私の魔術の知識があれば……君の呪いは解くことができるだろう」
        その提案にシトリは絶句していた。その様子をみてアルラートはますます嗤いを深め、どこか禍々しい気配さえ纏い始める。
        よもや乗るまいな、とシトリはランドルフのほうを振り向いて見る。
        「私事だが、私は本の蒐集を行っていてね。君の呪いを解く代わりといっては変だが、倭文祭文註抄集成のオリジナルが欲しいのだよ。
         本さえあれば呪いは解ける可能性があると確かに教えたが、不完全な状態ではそれも難しい……だが、私ならそれも可能だ」
        悪魔の取引のような甘い言葉でランドルフを男は誘おうとする。
        「君としても万々歳なことだろう。無理に戦いに身を投じることもなく、呪いは解かれるのだからね。そう、かつてのマスターオブネクロノミコンのように、戦う必要などないんだ……」
        その呪いのことは全て知っている。であるゆえに力ある魔導書さえあれば、すぐに解くことができる。まるで、その呪いは自分でかけたと言わんばかりの自身を以て、アルラートは言う。
        「……さあ、どうかな、ランドルフ君。悪い話では、ないと思うがね?」 -- アルラート 2014-06-28 (土) 21:49:16
      • 「ふむ…」
        違うと否定されればそれ以上の追求は出来ない
        下手に追求しようものなら機嫌が悪くなることは確実だ
        そうなってしまえば面倒なことになるのは避けられない

        「いやいや、話を聞くなとは言うが…
         彼の話を聞いてシトリと巡り会ったのだ、なにも悪いことばかりではないだろう」
        そこにあるのは恩義だけなのだろうか
        今現在の自分を作り出したと言う意味では親に似た存在でもある
        それだけに言葉には十分な重みを感じてしまうのもやむを得ないのだ



        ああ確かにそうだ、あの時…シトリが墜落して来なければ
        『偶然』出会うことが無ければ知り合うことも、まして契約することも無かったろう
        「そちらの事も…よくご存知で」
        自分は本人に聞いて始めて知ったこと
        シトリと過ごした時間は長いと言うほどのものではないが
        それでも自分以上にシトリの事を把握しているアルラートに対し
        言いようの無い気持ちが生まれ始めていることに気付いてはいない
        感情の名は『嫉妬』

        「第一の段階?ああ…なるほどそれで第一段階ですか、その提案とは?」
        確かに魔術には精通していないし、シトリも不完全である
        まだまだクリアしなければならない項目は…多い
        そうであるからこそ、提案というものは無性に気にもなるものだった
        階段を一段ずつ登るのではなく、ぴょんといくつも飛び越えてしまうような
        実に安直な提案を想像していたのだが…返答は異なっていた
        シトリを授ける事で代価として呪いを解くというのだ

        返答はさて――――――

        「ありがたいお話ですが…今回はお断りさせて頂こうと思います
         私にとって刻むべき段階が多いことは、時間が掛かることは問題ではありませんから」
        もちろん時間が問題ないというだけではない
        昔の彼であれば面倒なことを飛ばして、呪いから解放されるのはこの上ない選択だったはずだ
        それを選ばなかったのは長い時間をかけて最後の楽しみを教授しようと言うのだろうか
        あるいは…

        理由はわからない
        だが彼の選択は… 【拒否】 -- ランディ 2014-06-29 (日) 02:37:29
      • 「貴様、黙っておれば……! なんということを……!」
        アルラートの言葉に絶句していたシトリは血相を変え、アルラートに噛みつく。
        男の提案はランドルフにとっては願ってもないことだろう。断章を集める面倒もなく、呪いを解けるのだ。
        シトリを完全に道具として、手段としてみているならばそれで話は終わったに違いない。こちらに優位な契約とはいえ、契約の主はランドルフ当人だ。彼がそうするならば、シトリは従うほかないのだ。
        「ランディ……」
        何処か不安げに彼の返事を待つ。アルラートは信用できない。本当に呪いを解けるかどうかなどもわかったことではないのだ。

        「……おお!」
        ランドルフの答えは、拒否。その真意はわからない。今までの彼ならばここでアルラートの言われるままに返事をしていただろう。
        しかしそうはならなかった。自分の力で成し遂げたいと思ったのか、シトリとの生活に少しでも楽しみを得たのか。わからないが、彼は拒否した。
        シトリを手放すことを拒否したのだ。 -- シトリ 2014-06-30 (月) 01:04:14
      • 「ハハ、ハハハ……ハハハハハ!」
        ランドルフの答えを聞くと、アルラートは大きな交渉を上げ、拍手をした。
        「いやいや、なるほど。それでこそだ。そうでなくてはならない」
        面白そうにアルラートは笑みを浮かべ、奇妙な言葉を放つ。彼の答えを予見していたかのような。
        「きっと、君の遠き縁者も同じ立場ならそう言ったかもしれないな。いや、これは別の話だ。気にしないでくれたまえ。
         私は倭文祭文註抄集成の写本は全て目を通しているし、関連する知識も身に着けているつもりだ。
         私ならば、今の不足分を補って、君の呪いを解くことは容易だ。だが、君はそう、自分の力でそうするというんだね?」
        どこか邪悪な笑み、面白くて、楽しくて仕方がないというように唇を吊り上げる。
        「無粋なことを言ってすまなかった。ならば、今回は諦めるとしよう。魔導書の精霊との絆の方は、君の方が深いだろうしね」
        私の求める魔導書はまた別に探さねばならぬななどとアルラートは言いつつ、拍手を止める。
        「その様子では複写も許してもらえそうにないな」
        しかたない、と首を横に振る。
        「ならば、君の行くべき道を行くと良い。たとえ、どのような苦難がそこにあろうとも、どのような運命があろうとも。君なら、君達なら……乗り越えてくれると信じているよ。マスターオブネクロノミコンの末裔と、アル・アジフの写本たる君達ならば、ね。
         また会おう。ランドルフ君。さて、次は良い返事を聞かせてくれるといいが」
        嗤いを浮かべてアルラートは踵を返し、去っていく。その笑みは根源的な邪悪そのものだった。
        どこか意味深な言葉を残して、アルラートは消えていった。 -- アルラート 2014-06-30 (月) 01:04:54
      • シトリ自身の憤慨の理由、ランドルフが思い当たるのは不完全でも構わないとするアルラートの言葉だ
        彼女は完全な自分になることを望んでいるのだから、不完全で満足するアルラートの元に行きたがらないだろう
        だから、彼女は怒っている…それが今自覚できる精一杯の情報だった
        シトリの拒絶もアルラートの提案も頭では理解できる
        それでも出てきた答えは、頭で理解した内容とは異なる別のものであったのだ

        どこか無意識のうちに手を出していたのだろう、シトリの頭の上にランドルフの手が添えられていた

        拒否を伝えると突如高らかに笑い出すアルラート、なぜ笑い出すのかがわからず目が点になる
        「遠き縁者と言うものが誰かはわかりませんが
         今までの終わりの無い旅ではありませんからね
         苦難があるかもしれませんが、ゴールはしっかりと見えています
         今の私にとって時間はさほど意味をなしませんので」
        伝えたる意思、本音は…実に約8割と2割ほど本人の思い知らぬ
        言い知れぬ何か別の勘定が影響を及ぼしているのかもしれないが、まだ気づいてはいない、自覚していない

        「もしかしたらくじける様な事があるかもしれませんが
         そんな先の、わかりもしない未来のことは今は考えなくても良いでしょう
         我々は今を生きているのですから」
        去り際のアルラートが見せた邪悪な笑み
        運が良いのか悪いのか、ランドルフはその笑みを目にすることは無かった
        はっきりと『アル・アジフの写本』と言ってのけたアルラートのセリフに
        機嫌を損ねたのではないかと視線をシトリにきってしまったためだ
        次に視線を戻したときは既に、アルラートはいなかった -- ランディ 2014-06-30 (月) 01:58:55
      • 「……行ったか」
        頭の上にランドルフの手が乗せられていたが、それに気づかぬまま、アルラートを見送っていた。
        「……ランディ」
        シトリは静かに口を開く。写本云々に多少の怒りは覚えたようだが、それ以上の何かをアルラートから感じ取っていた。
        「あれがお前の恩人というのはわかる。じゃが……」
        本能的な、根源的な思い。あれは敵だと、シトリは直感していた。
        ともすれば、あの男はわざわざそれを教えに来たのかもしれない。
        「……我は、あの男は、嫌いじゃ」
        思う所は多くあったが、今その疑念を彼に語るわけにもいかない。あまりに漠然とした直感であったためだ。
        「気をつけよ……あれは、また……何か仕掛けてくる気がするのじゃ」
        まるで親の仇に出会ったかのような表情でシトリはいった。

        「って、お、お前! 何をしておるか! 我を子供扱いするでないわ!」
        ようやく頭の上に手が載っているのに気づき、赤面しつつそう言ったのであった -- シトリ 2014-06-30 (月) 02:12:53
      • 「嫌い…か、やれやれ
         私としては二人に険悪な間柄にはなって貰いたくないのだが
         しかしそうまで言うならなるべく、会わない方がよいのだろうな」
        シトリとは違い、こちらには当然のように警戒心は無い
        いや警戒するのはシトリとアルラートの間柄に対してではあるが

        「おや?ハハハ!これはすまない、つい…乗せていたようだ」
        嵐のような時間は過ぎ去り日も暮れ始め
        ティーセットなどを片付け夕食の用意を行うのだった -- ランディ 2014-06-30 (月) 02:31:28
  • 「木のお人形さん、ぐるぐる回れ」 -- 2014-06-10 (火) 21:46:52
    • 新たなる主ランドルフとともに常世神の断章を回収し、主は自らの呪いを解くために、シトリは断章を全て回収し、完全な状態となって邪悪と戦うために、共に歩んでいくこととなった。
      男はあくまでシトリを呪いを解くための道具として見ているらしく、共に生活はするも、まだ密接なかかわりなどはそうなかった。
      シトリにランドルフが振り回されることが多かったが、元々の性格なのか、呪いを解くために耐えているのか、ランドルフは自らの意見を強く言うような人間ではなかった。
      あまりにも常識や魔術に関して知識が無さ過ぎるというので、シトリが教師役となって知識や魔術についての稽古のようなものも始めつつあった。二人にとってあまり時というものは意味をなさず、焦りすぎる必要もなかったが、シトリは奇妙な焦燥感があった。早くしなければ、早くしなければ、という心の奥底からの叫びがあった。
      そのためなのか、シトリはランドルフを連れだし、いよいよ次の断章の捜索の為に街へと向かった。
      時刻は昼下がり。断章を探し求めて、二人はとぼとぼと歩いていた。シトリは魔力反応を察知する為に、倭文神の糸を周囲に浮遊させていた。魔力を感知するとその方向に糸が伸びるらしい。
      「……ここらへんで魔力を感じたのじゃが」
      閑静な住宅街の中でシトリはそう呟いた。倭文神の糸が淡い反応を示している。
      「おそらく“顕現”しておるはずじゃ。まだ反応は弱い。何の断章かはわからぬが……ランディ、気をつけろ。前にも言ったように、魔力は己の意志の力が最も重要だ。技術は二の次といっていい。いつでも死んでいいなどとぶっきらぼうな気持ちでは、我が断章は抑えられぬからな」
      ランドルフを見上げながら、幼い少女はそう言った。 -- シトリ 2014-06-10 (火) 22:06:44
      • ランドルフにとってシトリの存在は強大な力を持つ魔導書としても、人型としても持て余す部分があった
        どちらも原因は経験不足に他ならない、魔術について全く知識が無いことは明白だが
        生まれた時から一人であった彼は他人と接する事が得意ではない、ましてや誰かと同居するような事もなく
        共に過ごすパートナーに対してどれだけの距離感を持つべきなのかも把握できていないのだ
        最低限の必要な時に使い、使われる、それだけが出来ればよいのだろうと…
        この日もシトリが必要としたようなので従うという受身の姿勢で現場へと赴いていた
        「以前の常世神のようなものが生まれていると?」
        糸の反応は強いものではない、どこかに潜んでいるのかそれともまだ完全ではないだけなのか
        「意思…か、せめて無様な真似を晒しはしないようにはするつもりだが」
        どこか困ったような表情で、目的意識の薄い男はそうつぶやいた -- ランディ 2014-06-11 (水) 20:36:28
      • 「そうなるな。さて、次は何の記述が――」
        男から返された言葉はどうにも目的意識が薄いと思われるようなものだった。
        「ええい、じゃからな、そういうのでは真に魔術を使いこなすことはできんぞ! お前の想像力、術者の強い意志こそが魔力の真価じゃぞ! 我とお前を結ぶ絆こそが…・・・」
        腰に手を当て怒ったように言う。なんともまだちゃんと魔術などに関しての理解もされていないように感じられていた。敵と戦うということも。
        「……待て。これは」
        そうやって再び説教をしようとしたときである。倭文神の糸が強い反応を示した。
        「……来る、か!」
        異様な気配が満ち満ちていく。何かが、何かが起こるという気配がある。
        それは異形なるもの、それはあり得ざるもの、人々が知るはずのない上古の知識。
        外道の知識を秘めたシトリの断章が具現化し、この近くに迫ってきていた。 -- シトリ 2014-06-11 (水) 21:23:31
      • 「木のお人形さん、ぐるぐる回れ――」
        現れたのは一人の青年。理知的な顔立ちをしているが、その様子は明らかにおかしいものだ。
        「火の輪よ回れ、ぐるぐる回れ――」
        明らかに狂気の兆候を示していた。ぐるぐると踊り狂いながら、意味不明な言葉を青年は口走っていた。その手には遠眼鏡が握られている。それを通して世界を見ながら、彼はぐるりぐるりと回っていた。
        「はア! きれいなおめめ――きれいなおめめ」
        金切り声を上げながら、それは迫ってくる。
        青年の隣には一人の男がいた。意地の悪い、名状しがたい、邪悪な笑みを浮かべ、あごひげを動かす男がいた。
        その手に幾つかの義眼を握り、それを弄んでいる。
        「きれいなおめめもあるよ――きれいなおめめネ! きれいなレンズもあるよ! きれいなレンズ!」
        青年に髭の男はよくわからないことを吹き込みながら、こちらへと近づいてくる。すると、突然青年は歩みを止めた。遠眼鏡を覗きながら、はらはらと涙を流し始める。
        「オリンピア……」
        青年はそう呟いた。すると突然、シトリ達の前に、非常に美しい容姿の女性が姿を現した。その青い瞳は宝石のようである。
        しかしその顔に感情の色は全くない。まるで機械か人形のようにして、こちらをジッと見つめているのだ。
        青年と男と女――それらが今、揃った。

        「では始めよう。人形が回る、ぐるぐる回る。その悲劇を、喜劇を――」
        演劇の開演を告げるがごとく、恭しく髭の男は礼をし――それと同時に、ぎこちない動きで、シトリ達の目の前の人形が動き始めた。
        「ああ、あア――」
        無機質な声とともに、それはシトリ達へと迫る。異界の気配を纏って。 -- 2014-06-11 (水) 21:23:50
      • 「うう、む…しかし使いこなせたらどうなるのかという完成地点も私には…む?」
        そうだ魔術を学ぶものであればこうなりたいから、こう努力をするという発想も生まれるだろう
        目標がまだ定まっていないためになお意志も弱く
        それを伝えようとしたところでこちらも糸の反応に気がついたようだ
        「鬼が出るか蛇が出るか、どちらにせよただでは済みそうも無いな」
        帽子を深く被り直し、具現化するナニカへと注視する

        この間のような明らかな化け物を予測していただけに
        人間のような姿をした存在が現れるとどこか気が緩んでしまう
        「この者もページの一部なのか…?」
        邪神などについて記された書であったはず、しかし目の前の『人物』はただの狂人のようにも見える
        いつの間にかもう一人、髭の男が現れていたとしても攻撃をしてよい相手なのだろうかという戸惑いがある
        どうやらヒトを傷つけてはいけないという最低限の意識はランディにもあるようだ
        相手がヒトあらざる者である以上、この意識は今にしてみると邪魔でしかないのだが
        そうこうしている内に3人目が…油断していた訳ではない、視線は離していなかったはずだ

        「奥の二人はよくわからないがあの女は人形という事だろうか…
         敵、で良いのだな?」
        敵意なのかもよくわからない異界の気配、身構えはするが行動に移すべきか迷いが生まれている
        そんな心構えは魔術においては隙だらけな事だろう -- ランディ 2014-06-11 (水) 22:07:54
      • 「……なんじゃ、これ、は」
        目の前に繰り広げられる光景にシトリは目を見張る。あれから感じられる気配は間違いなく自らの断章のものだ。
        「こんな記述、我にはないぞ……!」
        このような者たちの記述などシトリには存在しない。だがシトリはそれが明らかに人ならざるものであるということは理解していた。
        「どうなっておる、なんじゃこれは……!!」
        シトリも知らないものだ。明らかな混乱が見て取れるだろう。
        「いや、待て。これは……まさか!」
        シトリが叫ぶ。何か思い当たる節があったようだ。
        「オリンピア……ナタナエル……コッペリウス……そうか、これは!」
        何を呆けておる、そんな悠長なことをしている場合か、と叫び、シトリはランドルフ向かって飛び出す。すると眩い光が二人を包み込み、ランドルフはあの東洋めいた装束、常世神と戦った時の術衣に身をくるまれていた。
        シトリはあの時のようにぬいぐるみサイズとなり、ランドルフの周囲を浮遊していた。
        「E.T.A.ホフマンの『砂男』か! しかし、何故――! あれは、あれは「魔導書化」するような本ではない! ただの小説じゃぞ!」
        そう叫んだ時―― -- シトリ 2014-06-11 (水) 22:57:36
      • 「木のお人形さん、ぐるぐる回れ―――木のお人形さん、ぐるぐる回れ」
        狂青年――ナタナエル――は狂ったように踊りながら、あの意味不明の文句を口に出していく。
        「おめめ! おめめ! きれいなおめめ!」
        それと同時に、青い瞳の女――オリンピア――がものすごいスピードで動き始めた。キリキリ、キリキリキリと発条仕掛けの音が響いていく。
        そう、この女はホフマンの『砂男』の中に登場する麗しき女……自動人形、オートマタなのだ。
        髭の男――コッペリウス、あるいはコッポラ――もまた、『砂男』の登場人物だ。何らかの理由で、この本の内容が具現化されたのだ。
        「避けろ! ランディ!」
        ランドルフの耳元でシトリが叫ぶ。
        コッペリウスの手の中のいくつもの義眼が空中に浮き始め、ランドルフを見つめている。
        そこ目がけて、オリンピアは突撃する。踊るようにして、ぎこちない動きで、ランドルフ目がけて腕が伸びる。魔力を伴った一撃だ。それで彼の首を絞めようとしている。 -- 2014-06-11 (水) 22:57:56
      • シトリが珍しくうろたえている、目の前の怪異は求めていたものの一種ではないだろうか?
        「記述が無いと言うことは…何か別の化け物か、それとも単なる狂人か?」
        ランドルフには判断がつかない、頼みの綱のシトリも正常な判断が出来そうにはない、正面の存在は敵意をあらわにして近づいてくる
        ならば問答無用とバルザイの偃月刀を手にしようとした所でシトリのひらめきが
        「何か思いついたことが―――」
        閃光、そして術衣へ
        虚を疲れるような形で変貌を遂げたが、文句を言う意味も無い
        重要なのはこの姿へと変わった理由…目前の怪異が明らかに敵であると言う判断
        「ホフマンだか砂男だが知らないが敵には違いないのだろう、ならば」
        改めてバルザイの偃月刀を手に迎え撃つべくまっすぐに向き合う、恐怖などは微塵も無い
        今まで苦楽を共にしてきた相棒が手の中にあるのだから

        以前相対した常世神と違い、今回の…砂男としよう
        砂男たちは人型をとり人語らしきものを発している、意味こそよくわからないが
        喋っている言葉の単語単語の意味が通じるのだ
        それが余計に不快感のようなものを湧き上がらせる
        「避けるまでも無い、たたっ斬ってくれる!」
        シトリの言葉とは真逆、伸びる腕を両断すべく退魔の『剣』でなぎ払う

        がぎんっ

        耳障りな金属音、たやすく切断できると思われた腕に阻まれ
        刃はその薄皮一枚傷つけることなくランドルフたちと共に弾き飛ばされる
        「――バカ、な…」
        いかなる退魔の力を持った武器であっても、その力を十分に引き出せなければただの棒と変わらない
        この偃月刀も普通の武器よりは切れ味のよい剣だったろう
        しかし魔力を伴った腕を傷つけるためにはなにより術の練度が低すぎた
        シトリの協力があれば腕くらいは容易く両断できていたかもしれないが、今の二人にはまだそこまでの信頼は無い -- ランディ 2014-06-12 (木) 00:07:51
      • 「おい! 話を聞かんか――!!」
        シトリの叫びをランドルフは無視した。
        その手に握られているのは偃月刀。シトリよりもはるかに長い時を共に過ごした剣を彼は手に執る。
        一切合財を切り裂く魔の刀。しかしそれは――通用しなかった。
        自動人形オリンピアの細腕は彼の偃月刀を受け止めきったのだ。オリンピアの背後でコッペリウスが嫌な笑みを浮かべている。
        錬金術で作られた驚異なるオリンピア。いや、本来はそのような力など持ってはいなかったはずだ。だが、オリンピアは異様な戦闘力を持っていた。
        これは単なる物語の具現化ではなかった。紛れもなくシトリの「断章」が影響しているのだ。

        「莫迦者がッ!!」
        小さなシトリの甲高い叱責が飛ぶ。慢心するな、己が力を過信するな。これまでの生活でそれを伝えたはずである。しかし、そんなことは彼に易々と無視されてしまった。
        二人にはまだ信頼関係と言えるほどのものはないのだ。小さな手でシトリはランドルフの頬を叩く。痛みなどほとんどないだろう。
        「甘く見るな! 奴がまだどういう存在かわからぬのじゃぞ! うぬぼれるな、小僧ッ!」
        死にたいのか、と叫ぶが軽く舌打ちしてその言葉を打ち消すように首を振る。そうだ、彼の願いは死ぬことなのだ。
        だが、少なくとも今ではない。今のままでは死ねないはずだ。
        「……何故、我の言うことを聞かぬ」
        シトリは自分優位の契約を彼と結んだ故に、シトリもある程度術を行使することができる。ランドルフと話しながら、倭文神の糸を伸ばし、結界を貼る。
        オリンピアはそれに攻撃を仕掛けるも、弾かれる。だがその結界もひび割れが生じ始めている。長くは持たない。
        「良いか……異界の存在は、ただ斬ればいいというものではない。その偃月刀も万能ではない。お前が未熟ならば、その刀も真価を発揮することなどできはしない。……呪いを解きたいのならば、死にたいのならば、少しでもいい、我を、信じてくれ……我が主よ」
        邪悪と戦うために、ただそれだけの為に存在してきたシトリの言葉である。彼女もある意味、男と同じように呪いを受けているのだろう。
        その言葉には、ひどい苦痛のような響きがあった。お互いに道具として割り切ればそれはそれで上手く行くのかもしれない。だが、シトリはそれが出来なかった。
        遥か過去、生み出されたときに、著者に人間的な愛情を教えてもらった故に。

        「……ふん、つまらん話をしたな。良いかランディよ、この結界は間もなく消える。……おそらくじゃが、『砂男』に我の記述が寄生した結果が目の前のものじゃ。
        『砂男』は魔導書化しておる。じゃが本来は魔導書化などするはずもない書物じゃ。そして、我が断章が寄生するということなども本来はありえぬこと。
        どの記述が寄生したのかはまだわからぬ……じゃが、すぐにその姿を見せてくるはずじゃ。
        ……これは、何者かが、仕組んだとしか思えぬ。じゃが今それを詮索している暇はない。あれを止めるぞ、我が主よ。結界が消えるとともに……飛び立て

        シトリがそう言うと、何か祝詞のようなものを呟き始めた。
        「……常世の国に坐す神よ、現れ出で給え」
        そう呟くと、シトリの腹部が書物と化し、頁がそこから飛び出し、ランドルフの背の部分に飛んでいく。
        奇怪な魔法円が形成され、ランドルフの背に――半透明の翅が出現した。
        七色の鱗粉を放つ、常世にいます神の翅。鳥のように大空を羽ばたく力はないが、跳躍は可能のものだ。
        オリンピアの一撃がついに結界を破らんとし、強烈な一撃を放った。オリンピアの瞳が怪しく輝く。

        「今じゃ! 飛び立て!!」 -- シトリ 2014-06-12 (木) 05:15:26
      • 揺るがぬはずであった自信の一撃が防がれ、消沈した心にシトリの叱責が痛いほどに染み渡る
        もしも通用していたら己の力の過信は続いていただろう
        通用しなかったと言う結果がランドルフの心へ綻びを作ったのだ
        ややもすれば敵に付けいれられる事にもなっただろう、だが今は隣にシトリがいる
        意思とは別に発動する術に守られ、シトリの方を向いて

        「切れぬものがある筈が無い、通じぬ筈が無い…
         そう、思っていた」
        偃月刀を掲げ、じっくりと眺めるように視線を滑らせる
        刃こぼれなどの傷こそ無いものの怪異に通じる事の無かった剣
        その力は本来なら通用したのだろう、しかし自分の力ではフルスペックを扱う事はできない
        バルザイの偃月刀への信頼こそ揺るがぬものの
        説明などだけでは自覚していなかった自信の無力さ未熟さをここで思い知らされる事となった

        「私はどうしたらよい?」
        ヒトあらざる者として生まれ愛情を学んだシトリ
        ヒトとして生まれ愛情、それどころか友情も知らぬランドルフ
        素直にシトリに助言を仰ごうとしたのは情によるものではない、未熟な己への反省によるものだ
        二人の間にある溝、偃月刀が通じなかった事で今橋はかかったのかもしれない
        それでもランドルフのヒトの生活と離れた位置にある人生はヒトとしての心の円熟を妨げ、溝が深く暗い奈落になってしまっているのだ
        かかった橋はいつ切れるとも知れないつり橋…いずれ溝は埋まることがあるのだろうか

        シトリの説明、目の前の敵は単なる小説にシトリの断片が混じっていると言う
        わずかなページなのか量の度合いはわからないが少なくとも偃月刀が通じない以上常世神よりも脅威と認識する
        なぜ、そのような事を仕組まれているのか?思えば本人の記憶も不確かな所もあるようだ…
        陰謀の影に気がつけるだけのヒトとしての人生経験は残念ながら彼には、無かった
        彼なりにいろいろと考えていたがわかり易い行動の指示が入る、こうした方が彼には伝わり易いのだ
        「了解、結界が消えたら… ん、飛ぶ?それは―――」

        二足歩行の人間に空の飛び方などわかる筈も無い
        背に新たに備わった翅を見るに、これで飛べ…と言う事なのだろう
        どうやって?
        戸惑いの表情が浮かんだ瞬間、オリンピアの瞳が輝いて
        「ええい、どうにでもなれっ!」
        シトリの合図とともに…

        ドンッ

        結界の破壊とともに響く鈍い音、オリンピアの攻撃は空を切り、地面には砲弾でも落ちてきたかのように陥没した足跡が
        文字通り彼は「跳んだ」のだ、全身全霊をこめた飛行ではなく跳躍
        本来ならすぐに重力に引かれて落ちてくるはず…が、落ちてはこない
        家々の屋根程度の高さに留まった男の背では存在していたはずの翅が無い
        いや失われたのではない、高速で動いているために肉眼で捕らえづらいだけだ
        ランドルフが思い浮かべたイメージにそって羽ばたく翅は高さを生み出す事は出来ず、徐々にではあるが降下している
        「こう…か」
        垂直に浮かび上がる事は出来そうにはない、自在に飛ぶことは出来ないようだ
        ならばと試しに水平移動を試みる…僅かに移動しようとしただけのつもりであったが眼前に突如として壁が現れる

        ゴガッ

        「――っ!」
        強かに体を打ちすえ声にならない
        壁は突然現れたのではない、速度が出過ぎて知覚出来ていなかっただけなのだ
        なんとも前途は多難な初飛翔である -- ランディ 2014-06-15 (日) 17:26:13
      • 「飛んだか……!」
        ランドルフの体が宙に浮かぶ。オリンピアの一撃はランドルフを見舞うことはなかった。
        彼の背中に出現した翅が高速で羽ばたいて、舞い上がったのだ。
        「お、おい!」
        飛び立ったかに思われたランドルフの体が突如あらぬ方向へと飛んでいき、その身を壁に強 く打ち付けた。
        「……大丈夫か、ランディ。自分が飛翔するさまをよくイメージをせよ! スピードまで完 全に思い浮かべ、術を己がものとするのじゃ! そうすればある程度は制御ができる!」
        飛翔したランドルフをオリンピアが見つめている。あの脚力などをもってすれば舞い上がる ことも可能なようにも思えるが、まだ追っては来ない。いや、追えないのかもしれない。
        「……とりあえず、今はそれで上出来じゃ。それと、もろもろの話もこの断章を回収してか らじゃ! 奴はどうやらここまでは手出しできないらしい。じゃが、お前のその様子だとも うあまり滞空することはできん。奴の弱点を的確に打つしかない。
        もとよりそれは虫の羽。高く舞い上がることはできぬものじゃ。しかし今なら我らに商機が ある。弱点、弱点さえ……」
        しばらくシトリは考える。その間にもランドルフは降下していっているだろう。
        突然、ひらめいたかのようにシトリは声を上げる。
        「おめめ……! そうか、瞳じゃ! オリンピアが自動人形として必要だったものは、コッ ポラが与えた瞳じゃ! ランディ、あれの瞳を狙え!」
        オリンピアは待ち構えるかのようにこちらを見つつ、優雅な令嬢のように佇んでいた。こち らが近づいてくればおそらく決めに来るはずである。
        「前へ翔べ、オリンピアへと翔べ! そして倭文神の糸を使い、上空からあれの動きを封じ るのじゃ! そこを打てば正体も現すはず……! 飛び、捕らえ、目を偃月刀で切れ!」
        シトリはそう叫んだ。細かい飛翔の調整などは我がやると付け加えて。 -- シトリ 2014-06-15 (日) 22:37:41
      • 「む、ううう…大丈夫だ」
        衝撃で眩む頭を振る、術衣のおかげか壁が大きく破損しているにも拘らずダメージは少ないようだ
        思い浮かべたのはトンボが目にも留まらぬ速度で空を飛ぶさま、おそらくはそれが反映されたのだろう
        翅の力があったとしても本人の能力が追いついていない事が最大の原因であった

        「やれやれ射程が短いのか、それは助かるな…」
        慣れない飛行で体の節々に違和感がある、時を置けば治るだろうがオリンピアがそれを逃すかどうかはわからない
        降下する体、ホバリングでは硬度をキープできない…であれば、と指を壁に突き立てて体を固定する
        高度が下がるのは食い止められたがせいぜい2階程度の高さ、シャンプでも出来ればすぐにでも飛びつかれてしまいそうな

        弱点を探そうと苦難する様子、こちらも弱点について探ろうとするが…
        人形の弱点などわかりようも無い、操っている糸でもあるのならそれを絡める事で封じられるだろうか?
        いやそれだけでは不完全だ
        厄介なオリンピア以上に残りの二人の存在が気にかかる、オリンピアを封じたところで二対一でかかられるのはまずい
        と、そこでシトリが何かをひらめいたようだ
        「瞳?そう言えば老人のほうが何か目玉を手にしていたか
         このままでは埒が明かない…その提案を飲もう」

        まずは高く、上空へと跳ぶ必要がある…
        その問題はすぐに解決した、家々があるのならその上からさらに跳べばいい
        「この家の住人には悪いが少々家を拝借しようか」

        タンッ、と軽い音が響く
        先ほどの全力での回避とは違う軽やかな跳躍、翅を羽ばたかせることで浮力により
        自分の体重を限りなくゼロに近づける事で跳躍力が飛躍的に向上したのだ
        滞空迎撃に相当する攻撃方法が無ければ到底届かぬ高さを保ち、オリンピアの直上へと
        「あのパワーを封じられるかはよくわからんが…やれるだけやってやるさ
         繰り糸でも繋がっていれば楽なのだろうがね」
        両の手をオリンピアに向けると『糸』は勢いよく放たれる -- ランディ 2014-06-15 (日) 23:48:25
      • 「……よし! 上出来じゃ! これで奴の射程からは外れたぞ!」
        ランドルフは家の屋根の上に降り立つと、屋根を蹴り、さらに上空へと舞いあがった。
        己が体重をゼロへと近づけ舞い上がる。良い発想であった。最早オリンピアに攻撃のすべはない。
        チクタク、チクタクとからくり仕掛けの音が響く。時計仕掛けの如き精巧さでオリンピアは何かを計算するように、ランドルフを見上げる。
        後ろのコッポラとナタナエルはどうにも攻撃してくる気配はない。いや、ナタナエルは狂ったように踊りまわり、いつしかその姿は高い家の屋根へと躍り出ていた。
        ただ、戦闘に参加するわけでもない。ぐるりぐるりと、狂気の叫びのままに踊り狂っている。
        コッポラは嫌な笑みを浮かべるだけだ。非常に不愉快な笑みを。
        「……あの二人は気にしなくて良い! ナタナエルは小説の中では哀れな被害者じゃ、何もできぬ。じゃが、あのコッペリウス、コッポラ……ヒゲには気をつけろ!」
        高く舞い上がったランドルフが、術を行使する。
        強靱なる神なる糸。倭文神が星をもとらえたとされる神が紡ぐ糸。
        それが彼の手から放たれる。シトリは満足げにうむ! と叫ぶ。少なくともちゃんと糸を操るくらいにはなれたようだ。
        オリンピアはその糸を手で払う。糸はむなしく払われるも、軌道を変えてぐるりぐるりと機械の人形の周りを巡る。
        「ようし! 捕えたぞ! ランディ! 目じゃ、目を狙えッ!!」
        機械仕掛けの音色が迫る。チクタクという音色が迫る。
        不穏な静寂であった。オリンピアはただ糸に巻き取られていく。
        「……人形、機械、からくり……そうか、そうか! こやつは――!!」
        シトリが断章の正体に気づいた、その時であった―― -- シトリ 2014-06-16 (月) 22:11:06
      • 「ハッハッ――お待ちなさいな、やつはじきに降りてきますって」
        コッペリウスが嘲笑めいた笑いを浮かべて、そう言い放った。
        それと同時に、屋根の上で踊り狂っていたナタナエルが、コッペリウス目がけ―― 「はア! きれいなおめめ――きれいなおめめ!」
        そう金切り声を上げ、、頭から屋根から躍り出た。
        ナタナエルの頭はこなごなに砕け、ナタナエルの無残な死体が地面に散乱し、消えていった。
        「ハッハッハ、ハッハッハ――」
        その様子をコッペリウスが嬉しげに見つめていた。
        その瞬間、オリンピアの瞳が突如赤く光りだし、チクタクという音が高く響いていく。高く高く高く。
        オリンピアは踊り始める。火の輪を描くようにしてぐるぐるぐるぐる。
        恐るべき力がオリンピアより発せられ、オリンピアがぐるぐる巻きにされていた糸から無理矢理手をだし、ランドルフから伸びる糸を、凄まじい膂力で引っ張った!
        そう、二人を地面に落とそうとしているのだ。あの哀れなナタナエルのように。
        オリンピアの美しい顔が崩れていく。そこから現れたのはからくり仕掛け。木や鉄でくみ上げられた、むき出しの機械の人形がそこにいた。チクタク、チクタクと音を鳴らしながら。
        目の部分には妖しく光が満ちていた。異界の光。おぞましき力を生み出す瞳が。
        「チクタクマン!」
        シトリがそう叫んだ。 -- 2014-06-16 (月) 22:11:21
      • 「パワーはあるようだが射程は並…か」
        狩猟などであれば弓でも射掛けるところだろう
        しかし本領発揮出来ては居ないとは言え偃月刀の一撃を防いでいる
        生半可な攻撃ではおそらく傷一つつけることは出来ないのだろう
        本体へ攻撃するには弱点を、それも全力で切りかかる必要がありそうだ
        …後ろの男たちの行動が気にかかる、屋根の上に登ったのは距離を縮めるためか…

        「ベースとなった小説の役職と言うことか、さて気をつけるとはいったいどのような役を…」
        いかなる存在かはわからないが、おそらくはオリンピアの作者なのだろうか
        だとするならばそれにまつわる攻撃手法を持っているかもしれない
        オリンピア同様に接近するのは危ういが、距離をとればどうとでもなろうだろう

        「応ッ!」
        絡みつく糸、束縛した人形の目に向けて…真っ直ぐに急降下を
        最短距離を最速でその瞳を貫かんと偃月刀を構え―――

        それは自由落下を始めようとした時だった
        捨て置いて良いと言われた哀れな男が飛び降りて行く
        突然の行動に反応が遅れる、何か攻撃が行われるのかと思えば…
        男は頭を打ち砕き、まるで自殺をしたかのように地面に転がると消えていく
        その行為の意味は?何のために?
        ―――戸惑いがオリンピアの追撃を許してしまう

        「ぐうっ!?」
        突如として引き寄せられようとする感覚
        ナタナエルの方を向いていたため気がついていなかったが、オリンピアの容姿が全く異なっている
        顔が崩れ機械部品のような顔が、狙い定めるはずであった目も…今は光だけ
        このままでは地面に叩き付けられる…ならば、引き寄せられるままに攻撃を加えてやる!

        「シトリ!狙いは眼の部分のままでいいんだな!」
        ターゲットの形状は変わったが、眼と思しき部分は残っている
        ならば元の予定通り、垂直に最短距離を通じその眼球部分に偃月刀を突き立てる
        オリンピアが引き寄せるよりもなお速く、直下へ向かい全速の落下飛行
        真っ直ぐに構えた偃月刀はピンポイントで眼を狙えるほど精度は高くないかもしれない
        それでも顔面へ突き立ててやろうと、引き寄せるオリンピアへ向かい褐色の弾丸は翔ける -- ランディ 2014-06-17 (火) 01:28:19
      • 「クッ! 小説のラストの再現か! しかし、何ということを……!」
        『砂男』のラストシーンは、コッペリウスとの出会い、オリンピアとの出会い、オリンピアとの別れにより発狂などを経たのち、、恋人クララとよりを戻し、ナタナエルは正気を取り戻す。
        クララとその兄たちと出かけ、幸せに過ごしていたときだ。あのコッペリウスとそっくりな商人より得た遠眼鏡が、不意にポケットの中に入っているのにナタナエルは気づいた。
        それでナタナエルはクララを覗いたとき――再び、発狂した。

        「木のお人形さん――ぐるぐる回れ」

        「火の輪よ、回れ――ぐるぐる回れ」

        そう叫びながら、ナタナエルはクララを殺そうとする。その後にクララは助け出され、ナタナエルは塔の上で踊り狂い始める。
        そして、彼を見上げる雑踏の中に、コッペリウスを見つけたのだ。父親の仇である砂男を。
        彼はコッペリウスへと飛んだ。 「はア! きれいなおめめ――きれいなおめめ」と金切り声をあげて。
        彼の頭は粉々に砕けた。それで、おしまいである。

        コッペリウスは砂男のラストシーンを再現した。ランドルフがそれに気を取られている内に、オリンピアは糸を一気に引いていく。
        「突っ込む気か!? ええい構わん、行け、行けーッ! そうじゃ! 狙いは同じじゃ! コッペリウスはオリンピアから目を奪い去った! 目が重要なのじゃ! あれを破壊すればオリンピアは止まる!」
        シトリの甲高い声が響く。ランドルフは引き寄せらえる勢いを利用して一気に斬りつけるつもりだ。

        「『砂男』に寄生しておったのは「チクタクマン」……傀儡の神の記述じゃ! オリンピアは自動人形でながら、神の人形と化しておるのじゃ!」
        ランドルフが偃月刀を構える。狙うはそう、オリンピアの顔面!
        「さあさあ! 見ものだ見ものだ。神の操り人形たちが自動人形を討とうとしているぞ! ハッハッハ――ハッハッハ」
        コッペリウスの嗤いが響く。それはランドルフとシトリに向けられている。
        「それではごきげんよう。いずれ、いずれ」
        小説のラストと同じように、コッペリウスは何処となく消えてしまった。オリンピアの結末を見ることもなく。

        オリンピアは拳を構える。いや、チクタクマンが拳を構える。
        機械の神、ある神の――とある神の――化身のひとつ。だが、シトリはそれを思い出せない。その名前はまだ改竄されたままであるから。
        チクタクと時計仕掛けの音を響かせて、チクタクマンはその力を解放した。無数の機械群が、無限の機械群が、歯車が、パンチカードが、織機が、からくりが、一気に内部より溢れだし、物質的な力となってランドルフを襲う。
        しかし、それと同時に、偃月刀はチクタクマンの顔半分事切り飛ばしていた。
        爆発が起こり、「きれいなおめめ」がチクタクマンより離れて消えていく。

        「よし! 本の呪縛が消えた! ――行くぞ!」
        そしてシトリは常世神の時と同じように、チクタクマンへと向けて術式の介入を開始する。
        白い光が溢れ、糸がチクタクマンの体を包んでいき、改竄された記述を元に戻していく。
        チクタクマンの体ははじけ、本のページとなってシトリの体に戻って言った。

        「……終わった、か」 -- シトリ 2014-06-17 (火) 01:58:55
      • ランドルフは本を殆ど読まない
        そもそもの識字率も完全ではないのだ、難しい文章の本は記述の内容すらわからない
        この男たちとオリンピアの関係も知らない
        知らないからこそ原作と言う先入観を持たずに行動できるのかもしれないが…
        もしも同様に、他の書を利用した敵が現れた時
        プラスに働くか、それともマイナスに働くのかはわからない
        知識があるがゆえに慎重になりすぎてしまうかもしれない
        知識が無いがために無謀になってしまうかもしれない
        だけど今はそれでいい
        二人の足並みは完全にそろったわけではない
        歩幅が違うなら無理に合わせずとも、最終的に二人が目的地へたどり着ければそれでいいのだ

        「向こうが傀儡の神なら此方は常世の神!
         同じ神なら地力で上回ればよい!バルザイの偃月刀ッ!
        コッペリウスがいつの間にか消えている事に気づいてはいない
        襲い掛かる無数の機械群にさえ気がついていない
        真っ直ぐに全身全霊をかけた一撃をオリンピア…いや、チクタクマンの顔面へと叩き込むため
        自分の認識可能な速度を超えて、なお一点だけを見つめて―――

        「ぐうっ…!」
        チクタクマンの顔を切り飛ばすと同時に襲い掛かる衝撃
        叩き付けられるよりはよほどマシだろうが、それでも腕を通して伝わるダメージは尋常ではない
        不死とは言え痛覚はあるようで痛みに蹲りそうになるが
        離脱した「きれいなおめめ」が消え去るまで視線ははずさないでいる
        まだ敵意を持って襲ってくるかもしれないのだ、油断をするわけにはいかない…

        「そうか、呪縛は…消えたか」
        バルザイの偃月刀を杖代わりに体を支えつつ呟く
        ダメージの修復はあるものの、衝撃による振動は脳を揺さぶり…意識を刈り取るには十分なほどであった
        それでも完全に失神しなかったのは油断せぬようにと言う心構えから来たものか…
        シトリの体にページが収まるのを見届けるとふら付きながら立ち上がる
        「元のページそのものであれば弱点はわかり易い
         それを補う…敵というのは厄介なものが居るのだな…」 -- ランディ 2014-06-17 (火) 02:55:09
      • 「ランディ……!」
        術衣を解いて元の姿になったシトリは苦しんでいるランドルフへと駆け寄る。
        まともに敵の攻撃を受けたのだ。不死とはいえかなりのダメージのようだ。
        「ああいうときは糸で防護するのじゃ、阿呆……」
        そんな憎まれ口を叩くものの、心配している様子だった。死を望むために戦う彼の姿を見るシトリの視線は、時折とても痛ましいものを見るようなものなる。

        「うむ……おそらくは何ものかの介入があったはずじゃ、それは、そいつは、おそらく――這い寄る……クッ」
        その名を口にしようとしても続きが出てこない。奇妙な頭痛に苛まれ、それを口に出すことはできない。
        「……まあ良い。断章を集めていけば、必ず尻尾を出してくるはずじゃ」
        シトリは常世神の力の一部を使い、ランドルフの傷を癒し、再生の助けとする。緑色の光が彼を包む。
        「今回取り戻したのはチクタクマン……傀儡、機械の神の記述じゃ。そう、これが戻った。もしかすると……“あれ”が使えるやもしれぬな」
        それについて今詳しく語るつもりはないらしい。ランドルフの消耗などを考えてのことだろう。
        「……では、戻るかランディ。少し目立ってしまった。早々に立ち去るとしよう」 -- シトリ 2014-06-17 (火) 22:55:58
      • 「糸で…?はは、なるほどな…防御に使う事は思いつかなかった」
        打ち身による物であるため出血は内側から登ってきたのか、口元だけで外傷としては酷くは無い
        それでも常人なら命を失う可能性がある程度の傷を負ってはいるのだ

        「這い寄る…?」
        途中で顔をしかめるシトリに、それ以上聞く事はやめ
        「何が寄って来ようとかまわぬさ、間合いに入れば切り伏せるだけだ」
        不意に包まれる緑の光、不快感は無く心地よいなにかが体の中をめぐっていく
        「ハハ、もう少し体に負担のかからない記述なら嬉しいがね
         死にこそせずとも大きなダメージを受ければ一時的に行動不能には陥ってしまうのでね」

        「あの飛び降り死体も髭の男も纏めて消えてくれて助かったな
         残っていたらまた賞金が上がりかねないところだ…おっと、家も壊しているし長居は無用か」
        今回は意識を飛ばした訳ではないが、また明らかに家々に破損の後が…
        見つかれば額が上がるのは間違いないだろう、シトリを抱えてその場を早急に立ち去るのだった -- ランディ 2014-06-17 (火) 23:47:36
  • ランディの山小屋にて -- 2014-06-02 (月) 23:14:40
    • まったく! まともな風呂もないとは! あれではただの行水ではないか!
      (ぷりぷりとシトリは怒りながら、山小屋の奥から現れた。近くの泉で汗を流してきたのだ。元々魔導書ゆえにそのような必要は特にないのではあるが。)
      ちゃんとした風呂も作らねばならんなこれは……ランディ、お前には我がこれから人間らしい生活というものを教えてやるのじゃ。我の主となったからには我に相応しい人間に……。

      いや、いや、違った。今はこんな話をするつもりではないのじゃ。
      (小屋の中の男へとシトリは言う。シトリはいつの間にか普段の変形した和服ではなく、軽めの服に着替えていた。契約の後に買ったものである。)
      お前は我について悲しいかな何にも知らんようじゃからな、まずは我について詳しく教える。しっかりとメモをせい!
      (と、男の返事も聞かないままに、自分について語り始めた。
      (要は倭文惟朝という男が、アル・アジフの漢語訳版を入手し、それらと日本に伝わる古伝承、魔術などを集大成したものであるらしい。兎に角偉大なる力ある書なのだとシトリは語る。)
      (そして自分が邪神と戦ってきたこと、何人ものマスターと共に時代を超えて魔を屠ってきたことを語る。)
      ……と、いう風に我は邪神どもと戦い続けてきたわけじゃ。この世を滅さんとする邪悪なるものどもとな。
      ま、ここまでは良いとしよう。我のことならいつでも聞かせてやる。問題は、だ……。
      ……今の我は、完全な状態ではないということだ。 -- シトリ 2014-06-02 (月) 23:31:12
      • 死を願う以上、そのような暮らしを習得する必要はあまり感じないのだが…
        (それにしても魔導書だと言うシトリは濡れても平気なのだろうかと少し気にして)

        (買わされた机のようなものを設置しつつ、シトリの話に耳を傾ける)
        アル・アジフの写本と言う事は把握したつもりだが…
        (写本の存在はおろか、原本についても中身まで把握しているものではない)
        (怒らせるのも得策ではないのだ、ここは素直に従うことにし…メモを取り出した)
        (話を聞いているうちにコピーのようなものと言う考えは改められる、コピーにさらに別の記述が加わった…)
        …ずいぶんとややこしい生い立ちをしているな…
        アル・アジフとは別の力を付与してオリジナルを超えた…という事でいいのだろうか

        (不意に曇る表情、しかしその理由を聞けば…先の説明通りである)
        ページが抜け落ちた…と言っていたな、なぜそんな事になったのかはよくわからないが…
        加わった記述なども失われ今は力が弱体化しているという事でよいかな? -- ランディ 2014-06-03 (火) 00:16:11
      • うむ、決して我を写本だのなんだのいうでないぞ。そんなことをのたまえば、不死のお前でも許しを請いたくなるような地獄を見せてやるからな。
        (どうにも写本だのなんだのと言われるのが嫌いらしい。)
        死霊秘法……いわゆる『アル・アジフ』は我を著すにあたって我が父倭文惟朝が用いた書物の一つということだ。
        さらに倭文の一族の祭文や祝詞、神事や呪術、アマツミカボシについての神話、外つ神について記された隠された風土記……数多の書物の集大成がこの我なのじゃ!
        (誇らしげに胸を張る。)
        故にこそ、我はオリジナルを越えた存在なのじゃ! 我は魔を滅ぼすために著された退魔の書と言えよう!

        ……そういうことじゃ、認めたくはないが事実じゃ。
        我の記述が失われたということは、その記述に書かれていた力は使えなくなっているということじゃ。それを取り戻すためにも、我は断章を集める必要がある。
        無論、お前の呪いを解くためにもそれらは必要じゃ。お前に無関係な話ではないぞ。
        そう、何故このようになったか、それは……。
        それは……。

        うまく、思い出せんのじゃ……。
        (小さな声でそう言った。) -- シトリ 2014-06-03 (火) 00:41:30
      • さて百科事典のように何でもあり、と言うことだろうか?
        相当なページ数になっていそうだが…どれほど抜け落ちたかはわかるのかな
        (思い浮かぶのは非常に分厚い書物、シトリの本形態を見ていないので数千ページにも及ぶ代物かと想像している)
        記述内容は多少異なるやもしれないが、アル・アジフを取り込んだと言うところかな
        (写本を盛り込んでいると言うことで内容の劣化もあるかもしれないが
         魔術に疎い身としては凄まじいページ数であればその分力も強いのだろうと安直に考えている)

        思い出せない、か
        (外道の道を歩むものならそれで何かを思いつくこともあったやも知れない
         素人であるランディも思いつきはしたが、それは…)
        ページと一緒に記憶でも抜け落ちたのだろう、回収している内に思い出すのではないかな
        (本にとっての記述は人にとっての記憶のようなものと言う連想) -- ランディ 2014-06-03 (火) 21:43:50
      • ……魔導書の力の強さとはそのような単純なことで決められるわけではないのじゃ。
        いくら分厚かろうと中身のない書物は存在する。要は量より質というわけじゃな。
        確かに我は大著だ。我が父……著者たる倭文惟朝が命を賭して書き上げたのじゃからな。だがそれは単に量が多いという理由で大著なのではない。書かれている内容ゆえ、じゃ。
        今のお前に言ってもわからぬとこだとは思うが、皇国に伝わる天津神国津神、そして邪神たる外つ神についての神話……普通には知られておらぬ、神代のことが記されておる。
        ふん……取り込んだ、などというな。アル・アジフは単に我の材料の一つにすぎぬのじゃ。
        (つーんとそっぽを向く。アル・アジフの内容が書かれているからすごい、などと思われたくないらしい。)
        我はそうじゃな……ほかにもそう言う存在はいるが、魔導書の精霊、とでもいったところじゃな。力ある本にはそういうものが宿る。本そのものが魔導器というわけじゃ。
        我から抜け落ちたページは多いが、それが一ページ一ページ常世神のようなものとして顕現するわけではない。何の某の記述という形でまとまった内容としてあらわれてくるはずじゃ。
        ……何者かの意図なのか、何かしらの偶然か、我の散らばった記述は正常な状態にはない。じゃからあの常世神のように顕現してしまうというわけじゃ。

        そもそも魔導書とはそれ自体が魔力を持ったものがある。我もその一つじゃ。故に見た目では推し量れぬのだ。見た目と比べて中身が異様に多かったり、そもそも本の形態を取っておらぬものもあるだろう……まあ、一度見ておれ。
        (すると、シトリの体が突如消え、机には一冊の古めかしい和綴じの書物が置かれていた。どうやらこれがシトリの真の姿だ。中々に分厚い本だが、確かに頁がかなり抜け落ちているらしいことがわかるだろう。)
        (あまり不完全な状態を見られたくないのか、シトリはすぐに人の形へと戻った)
        お前にはこれから覚えてもらわねばならぬことがたくさんがあるが、それがその一つだ。見た目に囚われぬな、ということじゃ。たとえ幼い童に見えても、その内実は恐ろしい魔人であることなどいくらでもある。
        魔術師など、魔術に関わる者は、そう言う存在じゃ。

        ……ああ、思い出せん。何か、何か、巨大な敵と戦い、その結果我のページは失われたのだとは思うが。
        ……そんな、単純な話ではないはずじゃ。何か、何か、もっと、何か……。
        (奇妙な焦燥感があった。自分の内側から、ひどい焦りのようなものが溢れ出していく。しかし、思い出せない。まるで記述そのものが書き換えられたかのように。)
        そう、じゃな……余りに多く失いすぎたためにそのようなことが起こったという可能性も無きにしもあらず……まずはページを集めることが最優先か。
        (ランドルフの言葉に頷く。本来シトリは邪悪に対する憎悪というのはかなり強く持っている。しかし今はそれもなりをひそめている。だが、気づかない、気づけない。)

        ……やはり、お前は魔術に関して何も知らな過ぎる。魔術とは想像力も必要なものだ。単に力任せに振り回しておればいいというものではない。
        常に狂気に取り込まれる危険を孕んだものじゃ。お前は呪いを受けているとはいえ……「人間」じゃ。ゆめゆめそれを忘れてくれるなよ。
        いつでも死んでいいなどという気持ちでは真に魔術は扱えぬ。最終の目標がそれであるにしろ、我のページを集めきる前に滅んでもらっても困る。
        前にも言ったが……呪いを解くためには、お前自身の努力も必要じゃ。今後それを教えて言ってやる。

        ……まあ、我のことはとりあえず、だ。お前にも聞きたいことがある。
        何故こんな……人を避けるように山になど住んでおる? -- シトリ 2014-06-03 (火) 22:47:38
      • 内容が何より重要と言うことか…私はその書物としてのシトリに目を通しておくべきだろうか?
        もっとも…異国で編纂された書であるようなのでまずは言語から学ばねばどうにもなりそうにはないが
        (生い立ちが生い立ちだけに学業経験はほとんど無く、読み書きは最低限と言ったところであまり得意ではない)

        精霊…私の姿を変えたように、紙片が形状を形作っているだけかと思っていたが…
        なるほどそれならば確かに水を浴びてもふやけたりしないのは合点が行く
        本に水分は御法度だと思っていたがシトリとしては問題は無いのだな

        1ページほど少なくは無いにしろごく一部の記述相手に手こずっていたとすると
        抜き取られたページにはよほど大きな力がかけられていたようだな
        (数ページ単位だとしても所詮は一部に過ぎないはず、見かけたときは明らかに劣勢…その差を埋めて有り余る何かがあるのだろう)

        本ではない魔導書…?
        (書であると言うならば…と本屋を巡り歩いていた、しかし本ではないものもあると言うならそれは全くの無意味だったのだろうか
         もっとも一般の書店に書物の形態をしているとしても力ある書が存在するとは思えないが…)
        ああ、うむ
        (シトリの言葉に従い姿を変える様子を観察する、なるほど確かに…書だ
         少女の姿をしてはいるが一体どれくらいの時間を過ごしたかわからぬ古風さを感じられる書だ
         すぐに元に戻った所でいつの生まれか…年齢、いや執筆年月を尋ねようかとも思ったが、そこから導き出される反応を想像し口を閉じる)

        常世神…と言ったか、蟲にしか見えなかったので虫取り網をと思ったが…
        見た目によって選んだアレも、あるいは良くなかっただろうかな?
        (常世神のことなどは当然の如く知りもしない、偶然なのか今回は上手く行っていたが相手次第では窮地に陥ることもあっただろう)

        「人間」か、自分がそうであると言われたのは一体どれくらいぶりだろうかな
        想像力については如何ともしがたいが…完全な状態に戻るまでは付き合うのもいいだろう
        どちらにせよ安息の終わりが来るのならば過程は問題ではないからな

        (シトリの話は終わりか、と今後の事について考えようとした矢先に不意の問いかけ)
        ここに住んでいる理由…か
        何のことは無い、私が賞金首の罪人であるためだ
        額にしてせいぜい…一月分の食費程度のものだがね、それでも時折狙われる事があるのさ -- ランディ 2014-06-03 (火) 23:30:31
      • 無論、書物としての我を読んでおくのならば読んでおいた方がいい。我には世界の闇についても書かれておるからな。
        じゃが、そう、お前の様子ではとても我のことを最初から読みこなせるとは思えん。我は日本語で書かれておるからな。それについては一応教えてはやるが……あまり現実的ではないな。
        ……お前には魔術をどうこうというより、人としてどうあるべきか、というのを教えておく必要がありそうじゃからな。
        (男の過去、この生活ぶりを見れば何となく想像はできた。)

        記述の上とはいえ、本来は人の手ではどうしようもない神、邪神、存在について我には多く記されておる。それが具現化したのじゃ。途方もない存在であるということは想像できるじゃろう。我は最高の魔導書じゃからな!
        (ふふんと胸を張るが、逆に言えば断章を集めるのはそれだけ苦労するということだ。)
        そう、本ではない魔導書……石版であるやもしれぬし、書物としては編纂されたものの、人の姿を取るものもあるじゃろう。つまり、魔導書にしても魔術にしても……現実に囚われるな、ということじゃな。
        元々が非現実的なものゆえに、常識などに縛られていてはそれと対峙した時に大いに危機が訪れることになる。……まあ、常識などにかんしては、お前は心配はなさそうじゃがな。
        つまりはそういうことじゃ。常世神は蟲の姿をしてはおったが、あれも本来は常世にいます神と呼ばれたもの。常識では計れぬ存在じゃ。
        本来人が触れるべきでない領域……それが魔の世界じゃ。ゆめゆめ忘れるではないぞ。
        ……お前が何百年生きているかは知らぬが、我はそれ以上生きておる。よいか、お前はあくまで「人間」じゃ。魔術を使えるようになろうとどうなろうと、人であることを忘れて勝手をすれば、死よりも恐ろしい破滅が待つじゃろう。お前の希望の芽も潰えるかもしれぬ。
        覚えておれよ。(その言葉には実感がこもっていた。おそらくは、かつてシトリを所有していたものにもそういう者がいたのだろう。)

        ……まあ、いいじゃろう。お前の目的がどうであれ、我と契約した以上はその果てにいたるまで、我と共に戦ってもらう。
        (男は死を求めている。あえてシトリはそれについて深くは言わないものの、思う所はあるようだった。

        ……なんじゃと? 賞金首? お前……。
        (ぴくりとシトリの眉が動く。)
        我はあくまで魔導書じゃ。人に使われてこそ力を発揮する。それゆえ所有者がどんな存在であれ、ある程度は目を瞑るが……。
        何をやった、お前は……。 -- シトリ 2014-06-04 (水) 00:11:58
      • 日本…語、聞いた事の無い言語だ
        私が独力で読み進めるのはいささか時間がかかりそうだな…さて、読み聞かされるのとどちらが早いのだろうか
        始終街中で過ごしている訳ではないが…多少は街に降りて買い物くらいはしているのだがな
        (そうだ、ここへ赴く途中にいろいろと買い込むときもたどたどしい物ではなかった、恐らくはある程度の日常生活は学習しているらしい)

        …そのようなものがこうして形作っていると言う事だが…シトリそのものが人類の敵、と言う事は無いのだろうか
        それとも人の味方になるような記述もあるのか?
        (もしかするとこの少女は、少女自身がとてつもない邪神たる存在なのではないかと一抹の不安がよぎる)

        石版?古代の文献、紙が生まれるよりもさらに前の時代の存在と言うことか
        そうしたものはさらなる力を秘めていそうではあるが、話が通じそうにも無いな
        (仮にシトリが人の敵であってもそれはそれでいいだろう、こうして話が通じる以上は…
         話が通じなければどうしようもない、たとえ敵であっても結果的に目的を果たせればランドルフはそれでよいのだ
         シトリを信頼すると言うよりも、今はただ道具として利用すべき相手として見ていて…)

        ほう、常世とはどこか場所のことを示していたのか
        (これである、なんとも常識が備わっておらず…だからこそ、神と名の付くものに虫取り網で挑む常識外れの行動を取ったのかもしれない)
        これまでの年月などは数えておらんよ、それは私にとって大いなる苦痛だった
        だが…破滅に関しては肝に銘じておこう

        (まさかそこを追求してくるとは思ってなかったようだ、少し驚いたような顔をするがすぐに戻って)
        大したことではないさ、どうも障害と器物損壊…らしい
        (らしい、とは本人に記憶が無いからである
         濡れ衣と考えた事もあったが、気が付いたら見ず知らずの場所に居る事もあった
         破壊の痕跡と思しき場所に佇んでいた事もあった
         それ故に意識の無い間に暴れてしまったのだろうかと、疑いを晴らそうなどとはしておらず潜む生活を選んだらしい) -- ランディ 2014-06-04 (水) 01:47:56
      • 我が人類の敵、じゃと……?
        (怒気を孕んだ声でつぶやき、軽くランドルフを睨む。)
        我は倭文惟朝によって著された退魔の書じゃ。都を、皇国を、世界を襲う邪悪を打ち払うために書かれた書物じゃ。
        倭文氏は世界の闇に潜む外つ神の眷属どもを打ち払うことを専門とした氏族……我は邪神を倒すためにその倭文の者に書かれた書物じゃぞ!
        奴らを滅ぼすためには奴らの記述があるのは当然のこと……邪悪を退けるための方法、術が我には記されておる。
        ……我が人類の敵などと、二度と言うな。
        (何やらシトリは人類の敵である邪悪を滅ぼすことについて強い誇りを持っているようだ。そして邪悪に対する怒りも。普段はそれほど露わにはしていないようだが。)
        (ふん、と鼻を鳴らし、シトリは話を続ける。)

        ……常世とは日本の海の彼方の……まあ良いわ。いずれお前にはちゃんと勉強してもらう。
        お前が死なぬといって無茶をすれば我が亡びる可能性もある。そんなことはあろうはずもないが……我とて現世に存在するものじゃ。
        損傷を受けすぎれば精霊として顕現できなくなる。そもそも本自体が無くなれば我も消滅する。我のような魔導書に出会うというのは普通では無理じゃ。その辺はよく覚えておけ。

        障害と器物破損、か……。
        (ふぅむ、と頷く。人を殺めたというわけではなさそうだ。)
        ……酔ってでもいたのか? もしお前でない可能性があるならば表明すればいいものを……。
        (シトリもまだそれが剣の呪いによるものだとは気付かない。非常に高度な魔術によってかけられた呪いは、易々とそれを見抜かせない。)
        妙な事を聞いたな……我は邪悪と戦うもの。その持ち主が邪悪であっては意味がない。
        魔導書の持ち主というものは往々にして精神の何処かが狂っているものだからな。じゃが、酔いなどして暴れようものなら我がすぐに止めてやる。安心しろ。
        (自信ありげに胸を張って言った。)
        ページは街に散らばっておるのにそのお前が街にあまり行けぬとなると困るなとは思っておったが、官憲のところに行くことでもしなければまあ大丈夫そうであるな。

        ま、お前が賞金首であろうがなんだろうが、この家はむさくるしい。我の住むべき空間ではない。
        作り変えさせていってもらうぞ、異論はないな。

        何、解呪の駄賃の一つと思え―― -- シトリ 2014-06-04 (水) 20:39:40
      • ああ、すまないな
        聖書が神を称えるように、邪神を称えるのかと思えば…魔導書と一口に言ってもいろいろあるものなのだな
        (顎に手をあてなにやら考え込んだ様子で)
        図鑑…とも違うか、対処法のようなものが記されていると…
        ならば抜け落ちたものが敵となるのはその弱点を突く情報がごっそりと抜けた状態になる訳だな
        (ページの回収はおそらく、全て真っ向からの勝負になってしまうのだろう)
        (「さて…他のページの力を補助にする事は出来るかもしれないが
         地力が無ければどうしようもなく不利な状態に立たされる事になりそうだ」)

        日本というのがまずわからなくてな、近辺の地図しかないが世界地図も用意するべきだったろうか?
        (確かに、シトリを身に纏うような姿で消し飛ぶような事があればページの大半も消し飛ぶことになるだろう
         そうなってしまえば回収どころでないことは明白である)
        心得た、なるべく無茶をさせないようにしておこうか
        (「しない」ではなく「させない」といった言葉に深い意味はあるのか、それとも…)

        酒はあまり飲まないのだが…酔っていたかと言われると自信は無いな
        気がつけばコトは終わり、荒れた痕跡だけが残っているのだ
        そんなことが何度か続けば釈明も届かなくなるし、何より証言もあるのでね
        (何も覚えていない様子、自分では酒乱の気でもあるのだろうかと酒は絶っているはずだが
         気がついた時にはアルコール臭が漂うこともあり自信は持てない)
        止めようとするのはありがたいが怪我をしないように頼もうか…
        ふむ、服のようになれるのであれば拘束服にでもなって動きを阻害することも出来るのだろうか

        (帽子を深く被って)
        これでも変装はしているのでね、見つかり追われるようになるたびに格好を変え…
        少し前はウエスタン・スタイルをしていたかな
        (拳銃を腰に携えはするものの、その正体はやはり例の『剣』であり、弾を撃ち出す事は無かったが)

        ただの寝床として使っていた場所に過ぎない、別にかまわぬさ
        好きに作り変えるがいい
        (相手が書であるために、男はこの時図書館のようなものを思い浮かべていた) -- ランディ 2014-06-04 (水) 23:57:30
      • 弱点などについてはある程度の予想はつく。その記述に関して関連している頁なども存在する故にな。
        ああいう手合いの存在は人間の理解の範疇を越えた者がほとんどだ。ただ一つの対処法のみでは対応しきないことも多いのじゃ。
        例えばこれじゃ。
        (シトリが何かを呟くと、どこからともなく「糸」が伸びてきて、それらがからまりあい、不可思議な光を放つ魔法円を形成した。)
        (円に囲まれた五芒星。煌々とそれが光り輝いている。)
        これは「古き印」というものじゃ。かつて邪神と対立しておった神々の印だとされておる。
        これは邪悪なるものの眷属を退けるには有効じゃが、邪悪なる神そのものに対してはいささか弱い。通じぬものもおるじゃろう。
        我が完全な状態にもどったとしても、それで奴らを易々と倒せるわけではない。それほどまでに、あれらは人類の脅威なのじゃ。
        本来ならば直視しただけで人は狂死する。そういう存在が今なお、この世界のあらゆる場所で眠っておる。「時」が来るのを待っておるのじゃ。
        (つまるところ、完全な状態でもそれだというのだから、今はかなり状況が悪いということだ。)
        ……じゃが、心配はいらぬ。我はそう言う連中と戦うために記された書物。たとえどんな状況であっても、奴らに勝てなければ意味がない。
        結局のところ、我を使い我の術を行使するのは持ち主であるお前でなくてはならない。お前が術を上手く使えれば使えるほど、我の真価は発揮される。
        我は書じゃ。書の精霊であるとはいえ、それだけでは魔は倒せぬ。……使うべき人間が必要じゃ。
        あの常世神とて神じゃ。日本書紀に伝えられる邪教の神じゃ。その神を信仰すれば貧者は富者へ、老人は若者へと変わったとされる。無論、まともな方法ではあるまい。
        最終的にその神は打ち倒された……倭文のものらと同じく、邪悪を屠る者たちによってな。
        お前を鍛えれば情報がなくとも勝てる。さらにページを集めればその分我の力は戻っていく。術の組み合わせによって我の断章の化身どもを倒すことはできるのじゃ。
        故に、安心するがいい。普通の魔導書ではそうはいかぬのじゃからな。
        (ふふんと自信ありげにいうのであった。)
        呪いがかけられているというものをあまり使うのはよくはないが、バルザイの偃月刀もある。あれは大いに魔に対する攻撃の手段となりうるものじゃ。
        ……お前に関しては初等教育からやり直してやるべきじゃな。今度教科書でも買いに行くぞ。
        我の主が無知であるなどとは許せん。(どうにもシトリはランドルフに人間的な生活をさせたいらしかった。)
        まあ、よいじゃろう。ちゃんと理解したかどうかはわからんが、無謀な戦いはお前の首を絞めるだけということを覚えておけ。

        ……なんとも、怪しいな。そういう精神の病に罹患している風でもなさそうじゃが。
        (賞金首になった件について聞き、呪いとの関係もあるのか? とシトリは思考をめぐらす。呪いをかけられた偃月刀。他に何かあってもおかしくはない。)
        (しかしそれについては今は伏せておいた。ランドルフが気づいているのかどうかはわからないが、シトリもまだ一度みただけである。早計は危険であった。)
        ふん、普通の人間よりは丈夫じゃろうが。荒っぽく止めても文句はいうでないぞ。
        拘束する手段なら我にはいくらでもある。倭文神の糸は「星」さえも捕えるのじゃからな。

        妙なところで知識があるやつじゃな……まあ、そう言う理由があるのなら変装も身には着けるか。
        自在に外見を変える剣、か……その魔術のみは行使できるというのもよく調べなければならぬな。呪いのためか、生を受けた時点でその魔術理論のみは理解をしておるということか……?
        そこまで自在に変えられるのなら有用ではあるな。呪の剣であるならば何が起こるかわからんゆえに早々使うわけにもいかぬとは思うが。
        (だが前の様子だと男はそんなことも気にしたことはないらしい。普通に使っていたようだ。)
        ……もしもの時は止むを得ぬだろうな。よいか、あの偃月刀は気軽には使ってくれるな。製法はまさしくバルザイの偃月刀そのものじゃが、かけられている呪いが高度すぎる。
        (と、自分の懸念を伝えた。)

        ほう、言ったな。(好きに作り変えろという言葉にニヤッと笑みを浮かべる。)
        では好きにさせてもらうぞ。文句は言うでないぞ。我としても生活は楽しみたいのでな。
        (いつの間にか街で貰ってきたらしいカタログめいたものに目を落とし始めた。実際に買うのか魔術で何とかするのかはわからないが、この部屋は大きく作り変えられるらしかった。)
        落ち着いたらお前に魔術の稽古をしてやる。お前にとって時間は長くあるのだとしても、我は早く完全なる我に返りたいのでな。この間のような体たらくではまともに集められぬわ。
        (しばらくカタログを読みふけっていたが、それを閉じると、家の出口へと向かう。)

        我はあの街のことをよく知らん。断章の情報集めついでにでかけてくる。
        お前はどうする? -- シトリ 2014-06-05 (木) 19:59:15
      • 特化した弱点ではないが広く対処の聞く術がおおよそに有効であると言ったところだろうか?
        ふむ…複合した、それこそ儀式のような複雑な弱点を突かねばならぬものも居るだろうか
        これはあの時の糸か?
        (融合時にシトリの補助の元で操った糸らしきもの、それが今…魔法円を形成して
         何の意味合いがあるのかはわからないが、どこか心が安らぐような気がする)
        善い神のエンブレムを恐れ、雑魚を寄せ付けぬといったところか…
        完全であっても手強いとはなるほどやはり神というだけはあるのだな
        (常世神も一応は神と呼ばれるもの、しかしそれはあくまでシトリに記述されたオリジナルにあらざるもの
         あれが本物の常世神であったのならばそれこそ太刀打ちする事も出来なかったかもしれない)
        それでは断片が集まるまでに、本物の邪神と対峙せぬよう願っておくべきかな
        (不完全な書と未熟な導師、断片ですら手一杯…いや、それも達成できるかは未確定だ)

        他の書についてもまるで知りはしないが、シトリは何かそう…構成でも特別なのだろうか
        (力こそ強くとも、性質はおおよそ皆同じものだろうと考えていたようだ)
        バルザイの偃月刀…か、そんな邪神と戦うシトリが強大だと言うのだ
        『これ』に呪いをかけたのもきっとどこかのページに記されるような奴なのだろうな
        (すなわち何らかの邪神に由来するもの、恐らくは初代が相手にしたものなのだろうと推測するがその正体は知らされていない)

        …教科書…
        (大いに眉をひそめる、もともと野生児に近い育ちをしていただけに勉学については…)

        病気はわからんな、医者に赴く事も無い…血を取り調べようと針を刺したところ
        体より針が押し出され血を採ることもままならないようだったのでね
        (自動で修復される体であるために病気などとも無縁のようで)
        荒いのは構わないだろう、なに骨の一つや二つ折れたところでどうと言う事は無いからな

        姿を変えれば追うものは見失う、匂いではなく目に頼る人を欺くにはこれが一番いいのだ
        (ステッキ状の剣を眺め)
        なるほど、これが形を変えるのも魔術の一つだったのか…確かに言われてみれば、硬い金属が形を変えるのも妙な話だな
        破壊したり預けてしまえたら楽なのだろうがそうも出来ないのでね、使ってしまわぬように善処はしよう

        (カタログのようなものに冷や汗が伝う、いったいどこまでするつもりなのだろうか…?)
        …予算の範囲内でな?
        (長く生きており、自分のために金を消費する必要があまり無いためにある程度のたくわえはあるようだ
         それでも無駄に使い過ぎればすぐになくなってしまうだろう)

        私も街の事を把握している訳ではないが、治安維持を行うものに見つからぬようあまり広くは歩けないのでね
        まあ…食料でも狩りに行くさ
        (手にしているのはステッキから戻したバルザイの偃月刀…ふだんからこれで狩を行っているらしい) -- ランディ 2014-06-05 (木) 22:38:03
      • ふむ、構成か。確かにほかのものとは少々異なるやもしれんな。
        読めばわかると思うが……本来魔導書とは外道の知識を記したものが多い。それによって、良からぬことを考える魔術師などが使うのがほとんどじゃ。
        我はそもそもそのような体で作られたものではない。先ほども言った通り魔を倒すことを最初から目的として編纂されたものじゃ。
        無論、表向きは倭文氏の祭文や儀式に注釈をつけたものとしてはあるがな。
        我は魔導書であり、歴史書であり、儀式書であり、祝詞集であり、神話集でもあるのだ。
        ま、お前にはいずれ我のことは読んでもらう。そのつもりでおれ。我が言葉だけで説明しておればかなりの時間がかかってしまう。

        本当に野生児という感じじゃなあお前は。良いか、そんな紳士めいた格好をしておるならそれらしくしてみろ。
        我が「先生」となってびしびししごいてやるからな! ふふふ。
        ……それが魔術ともなんとも不思議に思わぬような男がお前じゃ。これは骨が折れそうじゃな……。

        心配するな。我が過ごしやすい空間にするだけじゃ。金を少し貰っていくぞ。
        狩り、のう。本来その偃月刀は神を呼ぶ儀式に使うものなのじゃぞ、それを狩りに使うとは……まあよい好きにしろ。どんなものでもかまわんが、うまいものを頼むぞ。

        ではなランディ。視察ついでに買い物も行ってくるでな!
        (手を振りながら家を出て行った――その後、ランドルフが帰宅すると、部屋は大きく様変わりしていた。床は畳に変わっており、二人で買った家具、新しく買った調度品がその上におかれている。本棚には様々な辞典やら教科書らしきもの、魔術の入門書などが並んでおり、さらに工事の手も入って檜風呂が増設されていたという……。)
        (ついでにシトリの服や男の服までも変われており、壁にかけられていた。)

        (ランドルフの貯蓄は八割がた消えていたのであった――) -- シトリ 2014-06-05 (木) 23:08:51
  • 冒険者の街
    その名を聞けば知らぬものは屈強な男や旅人達が集う街を思い浮かべるだろう
    だが街について知っているのであれば…そこが一見平穏な街並みに見えたとしても
    一つ道を外せば常軌を逸した世界が存在する驚天動地の人外魔境
    そうであるからこそ彼はここを訪れたのだ、人の世から最もかけ離れたこの街に
    褐色の肌をした貴族の様な格好の男に気を払うものは居ない、注目を集めるほど際立った存在ではないからだ

    書店
    男は何件目かの書店へと入り込み、本棚に並ぶタイトルに目を通していく
    ふと目に留まったのか、一冊の書を手に取り軽く目を通す…
    しかし目的のものではなかったようですぐに棚へと戻される
    彼が探しているのは力ある本
    書店に並んでは居ないかと淡い期待を抱いてはいたようだが、この街であってもそこらの書店に置いてあるものではない
    一応、彼の欲する物ほどではないが力のある本も存在はしている
    そうした書を察知する力も持たないのだろう、てんで見当はずれの本ばかりがその手に収まるのだ

    夕暮れ
    いったいどれほど無駄に時間を費やしたのだろう
    街の本屋らしき店は大体回ったはずだが収穫は何も無い
    自分の考えの甘さに思わず自虐の笑みがこぼれる
    「…いいさ、時間はいくらでもある」 -- 2014-05-30 (金) 21:16:20
    • 夕暮れ時。黄昏時。逢魔が時。そんな空が赤く染まり、闇が忍び寄る時刻であった。
      何の変哲もない、いつもと変わらぬ夕暮れ時。無論ここは奇っ怪なまちであり、奇っ怪な事件には事欠かないもの……それはいつもの日々だった。
      力ある“本”を求める男の心境を映すかのように、黄昏れた世界は夜へと落ちようとしていた。
      `
      男が黄昏に暮れていたころ。自虐的な笑みを浮かべていたころ。――異変は起きた。
      禍々しい気配があった。
      名状しがたい気配があった。
      遥か異空より来る、この世の理を超えたものの気配があった。
      それは確実に、着実に、男の方へと近づいてきていた。おぞましい気配を伴って。
      気配は2つ。慄然たるそれと、もう一つ。

      「はあっ……はあッ……!」 何かの息遣い。小さな息遣いがどこからか聞こえてくる。
      焦るような。苦しむような。そんな息遣いが男の耳に滑りこんでいく。 横からではない。前からではない。下からではない。
      それは、上からだった。

      上空を何かが飛翔していた。ひらひらと白い布を風になびかせる何かが空を飛翔していた。
      それを追いかけるかのように、禍々しい気配の何かが、白き布をまとったそれの後について飛んでいた。跳梁していた。
      次の瞬間、禍々しい気配の何かから閃光が放たれ、爆発が起きた!

      「う、うおおおおおおお!!」
      それは、幼気な少女の叫びだった。
      爆発にそれは飲まれ、そして一気に弾き飛ばされた。
      勢い良く地面に向かってそれは落下していく。落下地点は――男であった。

      「い、いかん……に、逃げろ! 逃げるのじゃそこのお前ーー!!」
      男の方に向かって落下しながら、少女は叫んだ。 -- シトリ 2014-05-31 (土) 01:43:16
      • 男は知らない、怪異に陰と陽があるのだとしたら求めるものは陰に組し、これからの時刻こそが顕現するに相応しい事を
        人としての営みを大きく外れる発想が無いのだろう、一軒、また一軒と昼の店は閉じ街は夜の顔を見せていく
        こうなってはもはや開いている書店など…影法師が薄らいで消えた方向へと歩みだす

        いくらか歩みを進めた所で不意に、例えようの無い未知の気配を肌に感じることとなる
        足を止め、精神を集中させ気配の出所を探る…小額とは言え賞金首として狙われる事があるだけに多少の武はたしなんでいるようだ
        魔術とは別の生命が持つ気を探るような、人が編み出した『術』ならぬ『技』の一種である
        察知したのが早いか、それとも声が届いたのが早いか、何らかの罠を警戒し周囲へ気を巡らせつつ、声の元へと視線を向ける

        見上げた先には布のようなものが…自分ではない何かが追われているようだがその正体はまだ掴めていない
        空を舞う異種族?ワイバーンのように巨大なものではない、ハーピーのような異形ではない
        布に見えるあれはもしや羽だろうか、妖精の類だろうか?などと、関わりの無い喧騒に淡白な感想を抱いたところであった

        ―閃光―

        不意に放たれたものに眩み、思わず目を覆う
        今何か子供の声が聞こえたような気が…追われていたものの声だろうか?
        声の主を改めて確かめようと帽子を目深に被り、眩む目を瞬かせ再び見上げる

        それはまさに回避不可能な瞬間だった
        「ぐあっ!」
        聞こえた言葉が逃げろと言う意味であった事を理解した時には既に、受け止める事もままならぬ状態で
        肺の中の空気を搾り出されるような声が搾り出されると、下敷きに…その分少女への衝撃は和らいだことだろう
        何が起こったか理解するのに少しばかり時間を要したが何の事は無い、撃ち落された少女が降って来たと言うだけだ

        「…おい、生きているか?」
        下敷きになり頭部より出血している男が問いかける、傍目には男の方が重傷にも見えるだろう
        しかし問いかけている内に、あれよあれよと言う間に傷は泡を立て塞がり
        血の痕跡も残さぬほどに傷口が修繕してしまった…血とは別の、ほの暗い闇の気配だけを僅かに漂わせて -- 2014-05-31 (土) 02:30:25
      • 「い、痛ぁっ……!」
        砲弾の如く撃ちだされた少女は、浅黒い肌の男の体に直撃した。
        男に向かって真正面から少女はぶつかったため、男を下敷きにして男に覆いかぶさった。落下の衝撃は男によって吸収されていった。

        「むぐぅぅっ……」
        それはまだ幼げな少女だった。白い肌に赤いリボンを巻いた白い髪、、変形した東洋の着物めいたものを身につけており、いささか奇妙な格好であった。
        柔らかな肌はまだ少女は幼いことを如実に示していた。あれほどの爆発に呑まれたにも関わらず、服が多少焦げただけらしく、外傷はない。¥
        男の胴体に倒れかかるように、のしかかるようにしてほんの一瞬目を回していたらしいが、すぐにハッと正気にかえり、頭を振る。
        「大丈夫じゃ。我がこの程度で傷つくとおもうてか。それよりお前は大丈夫か…… というかッ! お前がちゃんと避けておればこんなことにはならなかったんじゃぞっ!! 阿呆ッ!」
        突如、幼い少女は男の上でぷりぷりと理不尽に怒り始めた。しかし、男の頭から血が出ているのを見ると驚いた表情になり、
        「お、おい大丈夫か。お前こそ血、が……?」
        傷口は血と共に跡形もなく消えてしまった。仄暗い、闇の気配を少し残して。
        少女はそれを、その気配を、その背後に潜む何かを、“知っている”ような気がした。だが、思い出せない。モヤがかかっているがごとく、見えることがない。

        「お前、魔術師か?」
        男の上に乗ったまま。少女は尋ねた。男から感じ取れるのは闇の気配。常人の生きる世界とは違う、闇の知識を用いるものども、魔術師。
        傷を一瞬で再生させる。そのような芸当ができるのは、外道の知識を用いる魔術師である可能性が高い。
        この褐色の男からはその資質たる魔力が感じられた。普通のものではない、どこか歪なものではあったが。少女はそれゆえに、この男を魔術師を見たのだ。
        「……なんという幸運か! アマツミカボシも使えぬ今という時に術者が……」
        ぱあっ、と嬉しそうな顔を少女は浮かべる。何やら一人かってに話を進めているようであった。
        しかしそれも長く続かない。少女を追ってきた“それ”が、二人に近づいてきていた。

        「オ、オォ、オオオ、オォォオオォオオ!!」`

        常人であれば竦んでしまうような、恐怖してしまうような、慄然たる叫びがあった。おぞましい叫びがあった。
        それを聞くやいなや、少女は勢い良く立ち上がり、男を引っ張り起こすとその手を無理やり引き、路地へと駆け込む。
        「ええい、悠長に話しておる場合ではなかったわ! 常世神が……来るぞ!」
        何かが這いずりまわる音が二人の背後より聞こえてくる。吐き気を催すような、粘着質の汚らしい音だ。そして、虫の鳴き声のようなものが同時に聞こえてくる。
        「あれは我から抜け落ちた記述の一つが顕現したものだ。常世神。要は芋虫の神じゃ。あれが孵化すれば非常にまずい。我はそれを止めねばならぬのじゃ」
        男に言いつつ、時折少女は背後を振り返り、はい寄ってくる何か目掛けて手をふるう。すると、何やら白い糸のようなものが出現し、這いずりまわる何かを拘束する。しかしそれもすぐに解かれてしまう。
        「やはり、術者がいなければ……おい、お前! お前は魔術師なのじゃろう? いや、そうでなくとも魔力を持っておるのじゃ。ならば、話は早い。我と契約するのじゃ!」
        男を見上げながら、少女は言う。
        「我が名は『倭文祭文註抄集成』……彼のアル・アジフを元に倭文惟朝によって著された、原点をも超える最高の魔導書じゃ!」
        無論知っておるじゃろうが、などと付け加えつつ、少女は言った。さて魔道に通じるものならば、アル・アジフの写本の一つとしては知っているだろうが、一般にはとても知られていない書物である。
        誇らしげに自己紹介をする。天運なのだろうか。魔導書を求めるものと、術者を求めるもの。それらが今、ここに出会ったのだ。

        「お前、名をなんという!? 名乗れ! さすれば我とお前はともに戦う者となる! 力を得ることとなる!」
        少女は男に名を尋ねる。契約においてそれは重要なものだ。名はその存在を表す最たるものだからだ。
        故に少女は尋ねる。男の過去や素性など知らぬがゆえに。早口にまくしたて、話は無理やり進められていた。 -- シトリ 2014-05-31 (土) 03:29:20
      • それは見た目に魔物の類であると考えていただけに、少女の形をしたナニカに対して多少の戸惑いを持つ
        痛みを堪えている姿は小娘にしか見えず、先ほどの空中戦闘との繋がりが見えてはこない
        …そう、戦闘だ、閃光と共に視界を焼くほどの爆発が起きた筈だがそのような痕跡は僅かにしか見えない
        少なくともただの少女ではないのだろう事は男にも察することは出来たようだ

        「それはすまないな、人が降って来るとは思わなかったのでね」
        怒る訳でもなく悲しむ訳でもなく平静に返す、無論痛みが無い訳ではないがどうせしばらくしたら治ってしまうのだ
        理不尽な怒りをぶつけられようとも揺るがぬ様子は男が歩んできた人生によるものだ
        「ああ…大した事はない、じきに治る」
        体質がそうだから自らの肉体を省みない事がある、省みないから傷つく、そして同じように心配の言葉をかけられ
        すぐに傷が治る様子を見た人は気味悪がり離れていく、今まではそうだった、これからもそうだろう
        だからこの少女もまた気味悪がるのだろうと達観に近い心持ちでいたが…

        「…魔術…師?」
        思いもよらぬ言葉に戸惑いの様子が見て取れる、そんな言葉を言われたのは生まれて初めての事だ
        本人に自覚も無ければ、傷の治りが魔術によるものであると言う認識も薄い、外道の所作だとは考えているものの…
        目まぐるしく変わる少女の表情に対し、男は自分のとるべき行動が見えてこない
        歩んできた人生経験のどことも当てはまらない、勉学を学ばぬ男にとっては体験したことだけが知識なのだ
        岐路に着こうとした所で面倒な事にと小さくため息を一つ

        ―咆哮―

        獣のものを耳にすることは良くある、その雄たけびから大小や筋力など察することが出来る程度には
        だが今しがた聞こえたものはそんな考えを打ち砕くものだ、生き物のものではない、生命を冒涜する叫びだ
        ふと頭から抜け落ちていたがこの少女はそう言えば、追われていたのだ
        半ば強引に引きずり起こされ、路地へと連れ込まれる様に駆ける…走力は十分、流されるままについていく
        日常から非日常へ、ここがそう言う街であることは理解していたつもりだがそれにしても唐突だ
        「常世神?」
        走りつつも神と呼ばれた異形へ視線を向ける、おぞましい巨大な蟲のようでもあり、神などとはおこがましい肉塊の化け物に見えた
        まくし立てるように受けた説明も聞きなれぬ内容で完全に理解をすることは出来なかったが…
        「要するに、アレを倒せばよいのだろう?」
        深く物事を考える性分ではないのか拘束を破った異形を遮るように、ステッキを手に少女の前へ出ようとしたが
        「…契約?」

        まず思いついたのはこの少女が悪魔であると言うことだ
        悪魔は契約の代償に魂を奪うと聞く…死ねぬ身でも魂を奪われればもしかすると…
        「倭文祭文註抄集成……アル・アジフだと!?」
        写本を把握していたわけではないようだが、原本たるアル・アジフへようやく、人らしい反応を見せる
        真実は別ではあるものの一族にかけられたの呪いの要因と聞いている、今までその呪いを解くために力ある書を探していたのだ
        原点を超えるのであれば当然のように、オリジナルによって残された呪いを解くこともきっと…

        本当にそのような書物であるのならこちらとしても願っても無い事だ
        契約でも何でもして呪いを解いて貰うのに最適な相手はいないが…男の目に写るは書物ではなく、少女
        こんな時にからかうんじゃあないとでも言おうとしたのか口を開きかけたところで、まくし立てられ発言の機会を失ってしまう
        「…私に名は無い、名付けられるより前に捨てられた」
        あまり自分の意見を言うのは得意ではなさそうだ、今もそう…場の流れに押し流されて自分の意見を出せないで居る
        少女の意図が読めはしないが、書の名を騙る悪魔だったとしても魂を奪い命を刈り取れるのならかまうものか
        過程は重要ではない、求めるのは結果だけ…
        男の心に少女へ抵抗する意志が消える、心理的な障壁は今取り外されたのだ -- 2014-05-31 (土) 04:28:05
      • 「名がない、じゃと……? ぬぅぅ、そうか、捨て子か……」
        さあ契約だといった矢先のことであった。名前がないと言われ、アル・アジフの写本を名乗った少女は渋い顔をする。
        「……ならば、仕方あるまい。名がないのならば、今この場で、我が名を与えよう」
        と唐突にとんでもないことを言い始める。自分な名付け親になろうとでもいうのだろうか。
        「時間はない。文句は言わせぬぞ。このまま常世神に囚われ、遙かなる常世にて永劫に苦しみ続けたいというのならば別じゃがな!」
        常世神が行くところは、奇怪な植物が繁茂し始めていた。常世神は名状しがたい唸りを上げながら、二人へと迫る。異様な瘴気が満ち満ちていく。
        男の様子を見ても、あまりこちらに対して意見してくるような、反対してくるような様子は見られない。少女はそれを肯定と取った。
        「特殊な形式の契約にはなるが問題はない。むしろ、より所持者との絆も深まろうというもの!」
        少女は突然走るのをやめ、名無しの男と向き合う。金色の瞳が男を見つめる。
        幼い少女ではある。しかし、その瞳の色は少女がこれまで遥かな時を生きてきたことを想像させる、深みがあった。
        魔を滅ぼすために編まれた魔導書。遥か東の国で生まれた異形なる書物の精霊。
        それが今まさに、持ち主を得ようとしていた。

        突如、少女の体から膨大な魔力が溢れだした。
        青白い光。紫色の光。赤い光。緑の光。黄色の光。……あらゆる色が溢れだし、少女の体から、無数の白い糸と、古文書のページらしきものが顕現していく。
        白い糸は魔法円をいくつも形作りはじめ、それは強力な結界が出現させる。そのために常世神も二人に近づくことができない。
        二人は奇妙な結界に包まれ、二人だけとなった。神代文字と呼ばれる古代文字の一つが、結界の中を飛び交っている。少女と男を光が包んでいく。

        「我は遥か神代に邪悪なる神を封じし倭文神の力を得しもの」

        「時を越え、世界を超え、あまねく障害を排し、皇国に、世界に仇なす邪悪を滅ぼすものなり」

        「星を従え、邪悪の知識を用い、外道には外道の力をもって。闇には闇の智慧をもって。世界より外つ神を追放する使命を受けしもの」

        「今こそ我は、そなたと契を結び、再び永劫の戦いに身を投じよう」

        「名も無き男よ。名がないのならば、我が授けよう。力ある名前を。意味ある名前を」

        「遙かなる夢の国にて王となりしもの。彼の未知なるカダスを垣間見し夢見人」

        「彼のものの名をそなたに授ける。遙かなる旅の果てに、そなたの求めるものが得られるように」

        「――あの、ランドルフ・カーターのように」

        「そなたの名はランドルフ! その名の如く、邪神の策謀を退け、銀なる鍵を用いて世界を駆け、我と共に魔を討とう!」

        「倭文祭文註抄集成が名のもとに――ランドルフ! 我はそなたと契を結ぶ!」

        一瞬ではあるが、結界の中に、少女が戦ってきた歴史の一部が映しだされた。そこには、主と思われる人々と共に戦う少女の姿があった。
        その歴史を少女はその身に背負い続けながら、戦ってきたのだ。邪悪を滅ぼすために。
        次もまた、今度こそは、邪悪を滅ぼしきるために、男の契約するのだ。自らを使いこなせる術者として。

        タン、と少女は軽く地面を蹴った。ふわりと少女の体は浮き、男に半ば抱きつくようにして近づいた。
        次の瞬間、男の唇に柔らかいものが触れていた。それは少女の唇だった。くちづけを終えると、少女は力強く微笑み――古文書のページとなって消えていく。
        結界や糸、少女のページなどが、一気に男へと集まっていく。ランドルフと名付けられた男への体へと、光となって入り込んでいく。
        すさまじい力が、人知を超える力が、邪神を滅ぼすという強い強い少女の著者の願いが、男の体に入り込み――男の姿を変容させていく!

        大いなる倭文神よ、我は汝に呼びかけたり、
        糸を紡ぎ神の衣を編むものよ、
        力の内なる我の前に来たり、
        我を永遠の光で包みたまえ、
        神代の皇軍(すめらみいくさ)の天津衣を我にかけ、
        魔を屠る力を我に与え、神なる姿に変えたまえ!


        男の姿が変えられていく。神なる糸によって何かの衣が編まれ、男を包み込んでいく。
        それは魔術衣と呼べるものか。邪悪なる神々を滅ぼすための儀式に用いられる魔術的な衣装。
        奇妙な神代文字が浮かび上がり、どこか古代の日本の神官のような、かつ兵士のような、奇妙な姿にランドルフは変わっていた。ところどころ、書物らしい紙のような箇所も存在している。
        力が溢れるのがわかるだろう。己が存在が変容したのがわかるだろう。彼のアル・アジフも似たような姿を術者に与えたとされる。
        契約の果てに、ついに少女は術者を得、最大限に力を発揮する時がきたのだった。

        「よし!! これならば常世神とも対等に渡り合えるぞ!」
        男は現世に戻ってきていた。目の前にはあのおぞましい神がいる。
        少女の声も聞こえるが、それは先程よりも甲高い。しかし、その姿は男の周囲には見えない。 -- シトリ 2014-05-31 (土) 06:00:33
      • 「まあ…そのようなものだ」
        生まれた子を残して親が命を捨てる、世間で言う所の捨て子とは多少趣は異なるが捨て子には違いないのだろう
        そのような生い立ちだから学校などに通うことも無く、友人など居るはずも無く、名前を持つ必要は無かったのだ
        「…なに?」
        思わず聞き返す、名を与えようとする相手など当然のごとく初めて…戸惑いを隠すことは出来ない
        「好きに…しろ」
        腑に落ちない所はあるものの、名付けられる事を拒む大きな理由がある訳でもない
        ならば好きにさせればよい、深く考えることも無くそうした結論が導き出されたのだ
        それに、永劫の苦しみならまさに今受け続けているようなものなのだから

        その場で向き合い、瞳を見詰め合えばなるほど確かに金色の瞳は人あらざる者の証なのだろう
        人の身には長すぎる年月を男は歩んできた筈だが、その瞳の前では自分がまだ若造であるような錯覚を覚える
        果たしてこの選択は正しかったのか間違っていたのかはわからない
        それでもその場で足踏みを続けていき続けるよりはよほどよいだろう、これが彼の新しい一歩になるのだ

        ―結界―
        読む事の出来ない不思議な文字が飛び交う
        外界とは隔離された慎ましやかな異界、先ほどまで持っていた少女の力への疑いは
        この生み出された異界の存在により氷解し、その力を認めるには十分な効果があったようだ
        そしてそんな力の持ち主が一方的にやられる相手…まともに立ち向かっても勝つことは出来なかったかもしれない
        自身が信頼し、そして振るう唯一の武器であった『剣』…今はステッキの形をしたそれを握る手に力がこもる

        ―詠唱―
        それは呪文のようでもあり、少女の記憶(記録)のようでもあり
        これまで刻まれた時と、これからを刻む契約のための命名の儀
        「我が名は…我が名は…ランドルフ…!」
        男が、いやランドフルがその名を受け入れることでここに命名は成った
        無名の男は力ある名を授かり、新たな一ページ目として書き加えられるのだ

        僅かの間しか映し出されなかったであろう戦いの歴史も、ランドルフの網膜には鮮明に焼きついたように離れない
        いついかなる時も、どのような時代でもこの少女は戦士と共に戦い続けてきたのだろう
        …と、突如として抱きつくように接近する少女に思わず後ずさりそうになるが結界がそれを拒む
        頭の中が真っ白になったかと思えば、少女は…少女であったものは紙片へと姿を変えて

        「ぐうううぅぅおおおぉぉーーーーーっ!!」
        その身の内へと少女のもつ力が流れ込む、体の底からとめどなく力が湧き上がってくる!
        苦痛の叫びではない、戦う者の、有り余る力より繰り出される咆哮だ
        やがて全ての衣が纏われると改めて自分の指先を眺める…今までの装いとは明らかに異なる姿
        通常の着衣とはまた異なり、布地そのものが自分の肌であるかのように感じられて

        自惚れなのかもしれないがもはや誰にも負ける気はしない
        気がつけば現世、仮にも神と呼ばれた存在を前にしながらも心に恐怖は一切無い
        少女を信頼してのことか、それともただ向上しているだろう力への慢心か

        不意に、耳元へと届く声
        質が異なるが少女の声か?だが彼女はランドルフの体へとその身をほぐし溶け込むよう
        消えてしまったのではなかったのだろうか…
        声がするのであれば生きているはずだが

        「娘!無事なのか?どうなっている!」
        虚空への問いかけ、姿の見えなくなった少女を求めてかそれとも… -- ランディ 2014-05-31 (土) 07:21:35
      • 「我が主となった男がそうあたふたと喚くでない」

        諫めるような、呆れたような声がランドルフの、ランディの耳元に届く。
        しかし少女の姿はない――否、少女は確かにそこにいた。ただ、大きく姿を変えてしまってはいたが。
        「ここにおるぞ! 目が節穴にでもなったか!」
        ズイ、とランドルフの視界の中にずいぶんと小さくなった少女がいた。二頭身ほどになり、まるで何かのぬいぐるみのような見た目であった。
        とにかく、手乗りサイズのひどく縮んでしまった少女がそこにいた。
        「お前に我の術や魔力のほとんどを移しておるのでな、現世に顕現するにはこのような姿になるほかないのじゃ」
        ランドルフの周りをふよふよ浮きながら手乗りサイズの少女は言う。力の殆どを男に与えて返信させている状態のため、このように縮んでいるのだという。
        「今のお前は我の力により変容の儀式を行った姿となっておるのじゃ。お前は我が主として我が術式を自由に行使することができる……まあ、今回は変則的な契約じゃったからな。我が優位となる契約じゃ。多少、お前の術の行使に干渉はさせてもらうぞ」
        とにかく、詳しい説明はあとじゃ、というと、少女はおぞましい常世神の方へと振り返った。

        「では行くぞ話が主ランドルフ! 我々の初陣じゃ!」
        びしっ、とおぞましい神を指さし、勇ましく言い放った。
        高位の魔術師なら、この少女の記述を自由に閲覧し、自由に術を行使できるだろうが、ランドルフにそのようなことができるはずもない。少女もようやくそれに気づいたようだ。
        「お前……もしかして、魔術は全くの「しろうと」か?」
        それにしては何やら強い力を秘めているように思えるがなどとつぶやくと、少女は目を閉じ、己の中の記述を検索し始める。
        「クッ……今は「これだけ」しか使えぬか。本来ならば、あのような低級の神ならば、すぐにでも封じられるというのに……!」
        何やら苦々しげに言い放つ。本来あるべき力が使えないでいるというような感じだった。
        「仕方あるまい……いささか火力にはかけるが、今使える武器はこれだけじゃ!」
        少女はそう言うと同時に、男の両手より、不思議な「糸」が出現し、両手の前で五芒星の魔法円を描いていく。
        「これは倭文神の糸じゃ! 神の編みし魔を封じるための糸じゃ、そう簡単に切れたりはせん。これで奴の体を封じ込めるぞ! 術者がいる今ならば、この糸も力を最大まで発揮できる!」
        五芒星は解け、男の光る手からは無数の糸が飛び出していく。それは時折集まり、ひとりでに編まれて行き、反物になったりもしていく。
        「魔術の基本は想像力じゃ。難しいことは考えなくていい。術式の処理は我が行う! お前は糸を操るイメージを行えばいいのじゃ。お前が伸びろと思えばそれは伸びるし、集まれと思えば反物に変わる! それを用いてあの禍津神を封じて見せよ!」

        無茶ぶりもいいところであるが、確かにそれは男の意思によって動くらしかった。完全に制御できれば強力な武器にもなるだろう。

        「イイイイイイィイイイィイイィイ!!!」
        芋虫のような常世神が吠え、恐るべき勢いでランドルフの方へと向かい始めていた。神が行くところには腐った桃や橘が生い茂っていき、奇妙な腐臭が立ち込めていく。常世神の口元からには光が集まっている。少女を撃ち落としたあの爆裂を起こそうとしているのだ。

        「よしっ、征けランドルフ! まずはやつを糸で拘束し動きを封じろ! さすれば、我があの神の術式に介入し、改ざんされた記述を正しく戻し、我がページを取り戻す!」
        またも男を置いてけぼりにしながら、少女は言い放った。 -- シトリ 2014-05-31 (土) 21:28:05
      • 力を与えられたと言う認識はある、それは少女の力が削られたと言うことにもなるだろう
        下手をすればこの通常空間へ戻った際、捕食でもされたかと考えていたが不意に聞こえる無事を伝える声
        常世神から視線を外さぬ程度に軽く周囲を見回すがどこにも居る気配が…いや、居た
        タチの悪い冗談のように、まるで人形の如きサイズに縮んだ少女がそこに居た

        周囲を漂う少女を視界のふちに捉えつつ説明を耳にする
        なるほど力を与え、削られた分が体格の変動そのものに現れているのか
        契約の優位、外道の法則に疎いがゆえにこれらの意味合いは良くわかっていないが
        「お前の術を私が行使出来る事、了解した」
        自身の力が、肉体的にも魔術的にも強化されているには相違ないだろう
        ぬいぐるみのような少女と共に常世神へと対峙する

        「応ッ!」
        ステッキをまるで竹刀か木刀でも持つように両の手で握り締める
        一見して魔術師のそれではない、獲物が獲物なだけに発想し辛いが構えは剣士のもの
        術者として魔力を操る様子は見て取れず、その道のものであれば明らかに魔道のものではないと判るほどで
        すぐに少女にもわかったようで率直な問いかけがなされて
        「その通りだ、今まで魔術を学んだ事は無いな」
        アル・アジフに関する知識は一族から遺されたもの、しかし呪われただけの一族は魔術に関する研鑽は無く
        それ故にランドルフへも術のひとかけらも伝承されては居ないのだ
        一つだけ使えるとするのなら何故か『識っていた』剣をステッキへと擬態させ、また元に戻す方法のみ

        術が使えずとも今まで剣を振るって生きてきた
        もしかしたら外道の者も切ったうちに存在したのだろう、それすらも術を知らぬまま切り伏せてきた
        剣そのものに宿る術法がそれを可能としていたのだ
        今回もまたそうして切り伏せるつもりであったが、少女の力により『術』が発動する
        手より生まれる糸、つい先ほど二人を包んでいた結界にも似ているだろうか
        滅ぼすのではなく封じろと言う…そうだ、あのバケモノは少女の一部だと言っていた
        だとするなら吸収しなければいけない存在、抹殺してはいけないのだろう

        「なるほど…思い通りに動くな」
        確かめるように糸を動かす、小さく動いたかと思えば大きく、激しく
        言葉通り難しい事を考えるのは得意ではない、自分の体のように操れることを認識するだけだが今はそれで十分

        「ならば蟲には蟲らしくしていて貰おう!」
        腕を交差させ、一気に糸を紡ぎ出す
        細い糸同士が絡み太い糸に、太い糸はそれぞれが交差するように編みあがっていく
        生み出されたのは布ではない、もっと目の粗い…『網』だ

        かくして極大の蟲取り網は常世神へと振り下ろされる -- ランディ 2014-05-31 (土) 23:15:21
      • 「こ、これは……!」
        魔術の才能はあるらしい。変異の儀を行っても狂気に侵され死することもなかった。
        それどころか、神の糸も自在に操らんとしていた。少女は関心していた。魔術理論などについては無論素人なのだろうが、直感的に動かすこといおいては才能が見える。
        男の手からは次々と糸が紡がれていく。かつてその糸にて「星」さえも捕まえた神の力である。
        それが男の意志によって紡がれ、編まれていく。細い糸は太い糸に。太い糸は絡まり合い、ひとつのかたちを作り上げていく。

        「これは……虫取り網か! 神の蟲に対してなんという……神をも恐れぬとはこのことか! ええい、他に色々やりようはあるじゃろうが!」
        巨大な虫取り網は勢い良く常世神へと振り下ろされる。常世神は一気にその網にかかり、もがき始める。
        「よし……! 魔術の行使権に干渉する!」
        少女がそう叫ぶ。すると糸は男の意志によらずに独りでに動き出し、網は収縮し、きつく常世神を締め上げていく。これは少女は男の術式の行使に干渉したということであった。契約の優位性とはこういうことだろう。とはいえ、主側が強く抵抗すれば少女はそれに従わざるを得ないのだが。

        `「ピ、ギイィイイィイィイイィイイ!!! イイィイイイイィイイィイ!!」

        常世神が醜悪な鳴き声を放つ。常世神の周囲では、時が狂ったかのように、腐った桃が木にかえり、木が種へと戻っていたり、常世神が暴れたことによって穿たれた建物の一部が、ただの土塊へと還っていく。
        常世神の周囲の時空が狂っているのだった。老人を若者へ、貧者を富者へと変えると伝えられた常世神の力であった。
        「さあ、我が身に戻れ! 常世の――のおっ!?」
        少女が動きを封じられた常世神にアクセスし、元のページヘと戻そうとした時だった。ぶちぶち、と神の糸が一気に引きちぎられ始めた。
        常世神のおぞましい姿は更に異様さを増し徐々にその体が膨らみ始めていた。背の部分が大きく膨らみ、はじけた。そこからは人間が掲揚することのできない奇怪な色の「羽」が現れ始めていた。

        「い、いかん!! あのままでは完全に成体となってしまう! そうなってしまえば――この街は原初の土塊に返ってしまうぞ! 日本書紀に記された異端なる常世神の力……! 異界の仙郷の力が放たれれば全ては原初に返ってしまう!」
        少女の声に焦りの色が見えた。
        「クッ……! やはり糸だけでは動きを封じられぬか……! 武器が、武器の記述さえ戻れば……!」
        もう一度糸であれを拘束したとしても、糸は原初の姿に変えられ、消えていってしまうだろう。

        「――まずい!」
        再び少女は叫んだ。常世神の羽から光が溢れだしていく。あの異界の仙術を喰らえば、術衣をまとった者でもひとたまりもない。異界の仙郷へと連れて行かれ、永劫の狂気を味わうこととなる。
        「……銀鍵さえ、あれば……剣さえ、あれば……!」 防御陣を展開したとておそらくは同じこと。攻撃を受ける前にあの羽根をどうにかしなければ意味が無い。
        少女は剣を所望する。だが、今の彼女にその記述はない。あらゆるもの切り裂き異次元へと飛ばす銀鍵の記述は少女にはないのだ。

        剣はない。
        今の少女には。 -- シトリ 2014-06-01 (日) 00:40:34
      • 狂気
        正気にあらざる状態
        生まれてから彼は一人だった
        育てる親も居らず、友も居らず、それでも呪いで死ぬことは無かった
        野生児と言っても差し支えない状況で育った
        成人し、人の社会に触れ、常識を知り、ようやく人としての正気を手に入れたのだ
        彼にとってはヒトの狂気こそが根源であり、正気の『仮面』を被っているに過ぎないのかもしれない

        「あいにくと私は信仰深くなくてね、それに…蟲には網かトリモチと昔から決まっている!」
        魔術だけではない、出生の経緯もあって知識も浅いのだろう
        虫取りの子供を見かけ、覚えた知識がこの捕縛方法へと繋がったのだ

        捕縛した常世神が締め付けられる、ランドルフはあくまで確保する操作までしか行使していない
        自分の操作を外れた動きに普通の人ならば戸惑うのだろうが気にする様子も無い
        魔術と言う未知の体験をしているのだ、ならば何が起きても不思議ではない…それを受け入れるだけだ
        素人の考え、怪異に容易く汚染されそうな危険な思考ではあるが、それは少女への信頼によるものであるのかは…

        少女は記述を正すと言っていた、方法はわからないが今この場においては現状を維持することが最善だろう
        ―急変―
        網を形作る糸の束は引き千切られ、常世神の体が膨れ上がる
        ランドフルもまたそのまま開放を許す訳ではない、糸を紡ぎ、破れた箇所を補強し、網を再度形作る
        所詮は一度破られた術…付け焼刃で強化しようとその暴威を押さえ込む事は出来ない

        「だめだ!このまま抑え切れん!」
        この糸の捕縛だけではどうにもならないようだ、次の手を打たねばいけない
        糸の術の次は…と、ぬいぐるみめいた少女へ手法を尋ねるがしかし、有用な手は存在しないようだ

        少女の側に打つ手はない、であれば…
        「剣があれば…良いのだろう?」
        静かに、尋ねるような問いかけ
        「あの羽根を切れば良いのだろう?」
        通じるものかどうか判るはずも無いが、如何なる敵も屠って来た相棒が彼には居る

        手馴れた所作、日常生活にありつつも剣を手放さぬよう彼が生まれつき『識っていた』術
        「開放!」
        それは術と呼べるほど完成されたものではなかった
        それは単に合図であった
        それは組み込まれた術式を動かすためだけのキーワードでしかなかった
        それは、顕現したそれはしかし今この場において最も有用な存在である事は少女にも伝わることだろう
        なぜなら…

        「バルザイの偃月刀!」
        ランドルフの手の中でステッキが姿を変える、杖であり剣であり降魔の魔具
        一つ気になる点があるとすればその色が完全な漆黒であること、文様なども全て黒で統一されている
        「霊験あらたかなる刃よ!」
        剣を…バルザイの偃月刀を振り被り、常世神の背から伸びる羽根に向かって投げつける
        単純な投擲にも見えたそれは回転を始め、まるで自らの意思を持っているかのように円形の刃となって飛翔する

        それは破邪の剣
        それは魔術師の杖
        それは邪神の力を持って【検閲】怪異を撃ち滅ぼす刃
        それは▲@*#&%$【検閲】 -- ランディ 2014-06-01 (日) 03:27:51
      • 「なんじゃと? 何か手立てでも……」
        男も自ら言っていた通り、魔術はからきしのはずである。それではあの肉体の再生はなんだったのかという疑問は残るものの、嘘は言っていないはずであった。
        何か攻撃魔術を習得しているわけでもなさそうであったし、そもそも自分以外の魔導書を持っているとも思えない。
        一体何を……と言おうとした時である。少女は目を見張った。

        「莫迦な!!」

        魔導書の少女は叫んでいた。それは悲鳴にも近かった。
        ランドルフが常に携えていたステッキが、彼の言葉を契機として変異した。いや、真の姿を現したというべきか。
        それは杖にして剣。
        ウルタールの賢人バルザイの名を冠した偃月刀。
        ヨグ=ソトースの招喚にも用いられる祭器にして武具。

        「何故、何故お前がそれを持っておるのじゃぁっ!?」

        投擲された偃月刀は弧を描き、高速で回転しながら円形となって常世神の羽へと飛翔する。
        この刃に断てぬものはない。この刃にて――の主たる彼らは魔を断ってきたのだ。幾重にも連なる無限の螺旋の彼方の――

        いや、違う。それはこの物語とは違う。別のお話だ。知ってはならない。思い出してはならない。
        気づいてはならない。気づけない。その背後で嗤うものに。遥か宇宙の深淵にて嗤う何者かに少女は気づけない。
        あまりにもあからさまな気配であるのに。
        あまりにもわかりやすい特徴を持たされているのに。
        その黒く変異したバルザイの偃月刀の真実の姿に気づけない。
        少女は奪われたために。改竄されたために。検閲されたために。
        思出せない。気づけない――

        「どういうことだ……何故あれをお前は持っている! あれは、あれは我が原本に記されたものではないか!」
        少女は彼のアル・アジフの写本――というより、アル・アジフを素材の一つとした魔導書――であるゆえに、当然それは知っている。今その頁は失われているもんお、少女にもその翻訳された記載がある。

        高速で常世神に飛来する偃月刀は、奇怪な宇宙の色を示す常世神の羽根を一気に切り裂いていく!
        常世神の無残な叫びが響き渡り、成体となろうとしていたそれは動きを止める。

        「ギ、イィイイィイイイイイイイイイ!!!」

        その瞬間を少女は逃さなかった。今しかない。

        「――ッ! 倭文祭文註抄集成たる我が、汝の禍を大直毘の力もて今こそ、直さん!」
        動きが止まったところに、少女は手を伸ばす。神代文字が次々と現れ、常世神の体を囲んでいく。
        少女は人形のような姿のまま、常世神の記述の奥深くまで意識を到達させ、そして見つけた。
        この記述を狂わせていたものを。

        「――修正!」

        少女の叫びと共に、常世神の断末魔が聞こえ、神は光に包まれ、無数の紙片となってばらばらにほどけていく。
        紙片の中から、何やら奇怪な“色”が虚空へと飛んでいき、はじけていった。少女の記述を狂わせていたものだ。
        少女の胸元が無数の本のページへと変化し、そしてその紙片は少女の中へと吸い込まれていった。

        「まずは、ひとつ、か……」
        男の術衣が解かれ、少女も元の人間の体へと戻っていく。あの狂った神はそこにはなく、その記述は少女の中へと戻されていった。
        「……さて、これでまず一つは片付いた。……さて、では聞かせてもらおう。お前の持っている剣と、お前自身について――そして、我についても説明しよう。今後、共に戦ってく身なのだからな」 -- シトリ 2014-06-01 (日) 23:17:54
      • 少女の推測通りに男に行使する術どころか外道の知識は殆ど無い
        無知であるが故に恐れを知らない
        無知であるが故に常識では踏み出せない一歩を踏み出してしまえる
        漆黒の力を行使しながら透き通った心は黒曜石のナイフのようで…

        少女の叫びは男の耳へも届く、しかしその叫びを意に介さぬかのように
        刃は投棄した時よりも加速し速く、速く、速く!
        刀剣としてはシミターに分類される形状でありながら、その速度は増し
        残像によってチャクラムと見紛う程で…それだけに威力も十二分なものを予測させるに足るものであった

        『これ』がアル・アジフから連なる物であることは聞かされている
        油絵のように塗り潰された少女と異なり、ランドルフは白紙のキャンバスのようなもの
        神話に連なる話など知りようも無く、何一つとして疑問を抱くことは無し
        『これ』は唯一無二の武器にして自らを縛る業そのものである事
        それこそが存在理由そのものなのだから

        「・・・・・・・・・・・」
        何か詠唱とは異なる掛け声のようなものを男は発しているようだがその声量は小さく少女には届かない
        多少の位置ズレがあったはずの刃はランドルフの指先の動きにより、常世神の羽を的確に、幾度にも渡って繰り返し切り刻む
        まるで子供が玩具を振り回すかのように何度も何度も何度も何度も

        「シイィィィィィッ!」
        それは吐き出された呼吸であったが不協和音のように耳障りな音が男の口元から漏れる
        羽根だけを切り裂けばよかったはずの刃はいつの間にか空高く舞い上がり、常世神目掛け高速落下
        元に戻さなければならないはずの存在をなぜか、殺戮せしめんと刃が迫る

        だが刃は神の体に触れる直前に静止する、少女が前に飛び出し視界を遮った事で躊躇が生まれたのだろうか
        もしその場で振り向いていれば、その瞳に尋常ならざる狂気が宿り初めていた事にも気づいただろう
        しまし少女の姿を確認する事で霧散し、今は平静の如くなりを潜めている

        ―浄化―
        少女の術により、常世神の姿は紙片へと変化していく
        確かにあれは一部が改竄されたものだと聞いていたがこうして目にするのは何か、不思議な気分があった
        「まずは、と言う事はあのような怪物がまだまだあちこちに居ると言う事か」
        それはきっと人の世を脅かすかもしれない、それとも先ほどのように少女を付け狙うのかもしれない
        この時はまだどこか他人事のように、大変そうだと考えていた

        化物はもう居ない、男の姿も少女の姿も出会った時のものに戻っている
        常世神によって町に刻まれた爪痕は残っているが平穏な時間だ
        「この剣が気になるか」
        真上に手を掲げると何処から飛翔し、ランドルフの手の中へ『剣』はおさまった
        どうやら術衣でなくとも操作そのものは出来るようだ
        「そうだな…呪いを解いて貰う為には話す必要があるだろう」
        男の話は実に簡素なものだった
        直接血の繋がりはない筈だが遠い一族にマスターオブネクロノミコンが居た事
        その者は何らかの邪神と戦ったらしい事
        バルザイの偃月刀はその男が遺したものであり、『剣』に対して血族に作用する呪いがかけられたらしい事
        そして呪いの内容…一族のもので剣を持たざる者は子を成せない事、死ぬ事が許されない事&br
        「お前がアル・アジフを超える者だと聞いた時、それならばこの呪いを解けるだろう…そう、思ったのだ」
        ランドルフが少女を無条件で受け入れた理由が最後に付け加えられた -- ランディ 2014-06-02 (月) 00:20:27
      • 男に宿っている狂気には気づかない。
        少女は今、常世神の封印に全神経を集中させていたためである。彼の狂気の発現には気づかないまま。
        そして全ては終わり、少女と男は対峙していた。
        「そうじゃ。なぜそうなったかの経緯は長くなるが……要は、我の頁がこの街中に散らばり、何らかの要因により具現化し、暴れておるのじゃ」
        それを止め、収集し、元の自分に戻るのが目的であると少女は語る。
        共にそれを行っていくのが目の前の男なのだが……いまいち他人事のようであった。
        「――ああ。気になる。とても気になるぞ。何故、お前がそれを……」
        ランドルフは語り始めた。己が身に降りかかる呪いと、その剣のことを――

        「――なるほど。実に奇妙な縁とでもいうべきじゃな」
        縁者に死霊秘法の主がおり、邪神とも戦ったその男がバルザイの偃月刀を残した。
        そして、剣には呪いがかけられた。成程、不死の呪いとでもいうべきものか。
        「……まるで、時じくの香の木の実じゃな。不老不死というわけか。……奇妙じゃな。何故そのような呪いをかける必要があるのじゃ。それに、一体誰が……」&br 少女は顎に手を当て思案する。理由がわからない。一体何者が。
        いや、少女は知っている。そんなことをしそうな存在を、それはNy【検閲】p、這い【検閲】……わからない。だれがそんなことをするのか。
        アル・アジフを持った者が邪神と戦うということなども、少女は知らない。知っている。いや、知らないのだ。
        失われたはずの伝説の書は、今なお世界の何処に存在し――

        「それで、我に解呪を望むというわけか。ふむ、確かに呪いの類の解除など問題はないな。じゃが、少し見ただけでも、よほど強固な呪いがかけられておるように見える……」
        数世代にわたる呪い。男はそれからの解放を望み、力ある書を求め、得た。

        「……いいじゃろう。我はアル・アジフを越えるものじゃ。完全なる我ならば、お前の呪いを解くこともできよう」
        しかし、その言葉の後、少し俯き、視線を逸らす。
        「……ただ、今の我では無理やもしれぬ。その偃月刀の呪いは非常に強固じゃ。人が書けたとは思えぬ呪い……まさに神の呪いとでもいうべきものじゃ」
        少女は自分の頁が街に散らばったと言った。つまり、本来持つべき力を今は持てていない状態なのだ。
        「じゃが、我が頁が全て揃えばお前の呪いを解くことは可能じゃ。そのためにお前にも手伝ってもらうぞ。ページを集め、そしてこの世界の邪悪を滅ぼす、戦いをな……」
        何か、重要な事が思い出せないでいた。何故自分のページはバラバラになったのだろう。何か強大な敵がいたはずだが、それが思い出せない。ページの欠落ゆえか。

        「……とにかく、この話はこんな場所で出来るほど単純なものではないぞ。場所を移すぞ、ランディ」
        少女はくいくいと男の紳士服の袖を引っ張る。その姿はさながら子供である。
        「我のことはシトリ、もしくはシズと呼べ。倭文祭文註抄集成では呼びづらいじゃろうからな。そもそもお前は魔術師としてなーんにもなっとらん。呪いを解除するためにはお前自身が魔術に精通する必要もある」
        そして、シトリはニッと笑った。男のことをランディと呼びながら。
        「……じゃからランディ。我が稽古をつけてやる。我の頁が戻ればその分使える装備や術も増えていく。それを扱っていけば、お前は一流の魔術師になれる。あの偃月刀の使い方もまだまだじゃ。何故か使い方は知っておったようじゃが、もっと効率のいいやりかたがある」
        シトリは男の手を引き路地を出始め、
        「これからそれを仕込んでやる。今のままでは我の断章に勝つことなど到底無理じゃからな! ほれ、家ぐらいあるじゃろ? 案内せんか!」
        尊大に、そう言い放った―― -- シトリ 2014-06-02 (月) 02:40:29
      • その狂気の根源は呪いなのだろうか、それともただ単純に彼の本質が表れていただけなのだろうか
        一見すると英国紳士のような出で立ちではあるが、その内側はまだ見えてはいない

        「先の蟲の化け物のような物がまだまだ居ると言うのか、なんともはた迷惑な落し物だな」
        理由を知らない事もあり騒動の原因にも成りえる少女に対し、多少のあきれを見せる
        契約した以上はそれらの、常世神のような怪異を相手取るのが自分である事は想像に難くない
        だがそれを拒む事は無く仕方ないと言った面持ちで受け入れるどこか達観した様子もあった

        「誰が、何のために、それは私にとって重要な事ではないな」
        始めの呪いが一体いつかけられたものか、少女の生まれよりも前か後か定かではない
        少なくとも数百年以上は前なのだろうが当事者は既に故人であり
        例え理由などが受け継がれてきていたとしても、彼の父は男児が生まれるとすぐに命を絶っているため知る術は無い
        考えても答えの出ないクエスチョン、そうであるからこそ無駄な事と切り捨て解呪だけを願っているのだ

        外道の知識に疎いランドルフにも少女の説明は理解できる
        中身の抜け落ちた不完全な少女の力では不足しているのだ、元の、完全な姿を目指さなくてはならない
        全てのページを回収するのに一体どれほどの年月がかかるのだろうか?
        一月 一年 十年 百年… いや、時間は問題ではない
        何の宛も無く無為に過ごす一日より、希望に向かって歩める百年の方が良い
        今の男に時間と言う楔は打ち込まれていないのだから

        「落し物を探すだけのように聞こえるが…まあいい」
        ちらりと路地の様子を見れば腐海のように無残な光景が広がっている、この現場を人に見られるのは好ましくは無い
        下手をすれば多少の活動も難しい程に自分への監視の目が強まる恐れもある
        「それはありがたい、では…シトリと呼ばせて頂こうか。…私も魔術を?」
        今までバルザイの偃月刀一つで生き延びてきただけに、他の術への必要性はあまり感じていない様子でもある
        最も死なない事をいい事に、ダメージを無視して切り刻む野蛮この上ない方法だけなのだが…
        物理的な相手には問題ないだろうが、術を行使する相手にはランディ自身は気付いていないが不安な面が多いのだ
        面倒な事は避ける性質なのかあまり修行について前向きではなさそうであったが、呪いを解くためであればこちらも已む無しである

        「やれやれ…魔導書とは手のかかるものだ」
        住まいを尋ねられれば山の方を指さす、どうやら街中には住んで居ないらしい
        エスコートするように歩きだしてふと
        「…シトリは食事を摂取する必要はあるのか?」
        おおよそ一般家庭とは程遠い簡素な山小屋、家へ向かう途中に必要になりそうなものを買わされる男の姿があったと言う -- ランディ 2014-06-02 (月) 20:41:38
  •   -- 2014-05-29 (木) 23:26:06
  • こんな感じだろうか -- 2014-05-29 (木) 23:44:55
    • うむ、こんな感じじゃな! -- シトリ 2014-05-29 (木) 23:46:13
      • レイアウトには悩むところだが、仮に来客が来た時に間違えないようこちらの方を下にして置いてみた
        個人に対しての相談もまあここでいいだろう…複数作ってしまうと今度は管理が追いつかない -- 2014-05-29 (木) 23:47:49
      • うむ、それで感じでいいじゃろう。煩雑になるのも困るのう。 -- シトリ 2014-05-29 (木) 23:49:16
      • さてそれではこの形で、明日から本格始動…でよいかな
        まだ何か忘れているような気もするがその内思い出すだろう、ずっと思い出さないようなら気にするほどのことでもないのだろうし -- 2014-05-29 (木) 23:56:00
      • そうなるな、では明日からはよろしくお願いしますじゃ!!! -- シトリ 2014-05-29 (木) 23:58:17
      • こちらこそよろしく、長い付き合いになるかはよくわからないが楽しく行こう! -- 2014-05-30 (金) 00:03:05
      • ああ。ようやく、ようやく遊べるからな!!!! 楽しくいくぞー! -- シトリ 2014-05-30 (金) 00:06:24
      • ずいぶん鬱憤が溜まっているようだが無理も無い、まさにここしかないと言うタイミングだったからな… -- 2014-05-30 (金) 00:08:11
      • やっとはじめれるぞー! というところじゃったからな… -- シトリ 2014-05-30 (金) 00:09:30
      • さて今日はキャラ口調のつもりで相談もしていたが、ぶれるかも知れないと先に言っておこう…
        それではまた明日会おう! -- 2014-05-30 (金) 00:11:25
      • 我も変える可能性はあるから気にするな! ではまた明日じゃ!! -- シトリ 2014-05-30 (金) 00:13:07
  • 本を探してうろついているけど、どうやって探せばいいのかわからずに意味の無い本屋めぐりをこの休止期間中の年月の間していたと言う感じですね -- 2014-05-30 (金) 21:17:25
    • 遅くなりました! 風呂に入ったらお返事します! -- シトリ? 2014-05-31 (土) 00:05:55
      • お疲れ様です、ごゆっくり! -- 2014-05-31 (土) 00:38:34
      • 戻りましたー。これより返します。 -- シトリ 2014-05-31 (土) 01:06:41
      • 打ちました! -- シトリ 2014-05-31 (土) 01:46:32
      • 起きてます!返事考えます! -- 2014-05-31 (土) 01:55:19
      • 多少なりとも契約へ繋がりそうなきっかけを出してみました -- 2014-05-31 (土) 02:39:28
      • もうすぐ投下します! -- シトリ 2014-05-31 (土) 03:23:21
      • あせらなくていい、自分のペースでしてほしい -- 2014-05-31 (土) 03:25:25
      • 名前はこんなかんじになりました。クトゥルフネタです。相性はランディです。
        そういうわけでそろそろ私はおねむかもです、すみません! 夜にまた来れると思いますので…! -- シトリ 2014-05-31 (土) 06:02:52
      • では以降名前欄はこのように、たぶん返信にまた1時間以上は時間がかかると思うのでではまた夜にでも
        それまでには返しておきますので、あと公式は返信したら登録しておきます! -- ランディ 2014-05-31 (土) 06:07:15
      • 糸はなんか自由に操れて、いろんな形として編めるという感じです。硬度も変えれて多少の切断力もあります。
        しかしやはり火力が足りなくて神を抑えられない。記述も失われていてまともな武器がないというところで、バルザイの偃月刀がある! ということでそれを出して、なんでお前それもってるの!! となる感じでどうかなと思います。 -- シトリ 2014-05-31 (土) 21:32:20
      • 戻りましたー、素人が糸を自在に操れたら?と言うことで硬度を変える発想には至らないだろうと言う感じで
        虫と言えば虫取り網、と安直に考えてと言う感じです
        今の偃月刀はステッキ状態なので気がついていないと言うところですかね、次ターンあたりで状況次第ですが攻撃手法として開放までか攻撃まで行くか… -- ランディ 2014-05-31 (土) 23:18:02
      • 糸はぶちぶちされました。シトリは剣がないとめっちゃ困ってる感じです。でもバルザイの偃月刀は実は近くにあったのだ!
        なんか感じてる奇妙な魔力は多分バルザイの偃月刀のことなのでしょう。擬態しているので気づいていませんが。
        このまま剣出して斬りかかってもいいし、いや剣ありますけどみたいな感じで言ってもいいぞ! あとすみません、今日はちょっと早めに寝ると思います……! -- シトリ 2014-06-01 (日) 00:43:30
      • これから返信こさえますが途中でお風呂に入りそうなので
        本日は寝ていただいてまた明日続きの方が安心かもしれません、返信するとおそらく2時は回ってしまいそうなので… -- ランディ 2014-06-01 (日) 00:47:43
      • 了解です! ではすみませんが今日はこれにて…! -- シトリ 2014-06-01 (日) 01:01:02
      • 2時どころか3時を回ってしまいました、初陣でこうなってくるとロボットを呼んだ時どうなってしまうのかがぞくぞくして来ますね
        一つの企画でと言うよりも長期的に見通したほうがいいでしょうかね?特に問題はありませんですし -- ランディ 2014-06-01 (日) 03:30:14
      • はい帰省から戻ってまいりました。これよりできますが明日ちょっと早いので今日も早めに寝ると思います…! 今週は明日以外だと割と遅くまで出来るかと思います。
        たしかにこのペースで行くとかなり長大なことになりそうですね……日常というかそういうときはもう少しテンポよく行けたほうがいいのかもしれません。&br;そうですね、ちょっと長期的に見てもらった方がいいかもですね。企画の期限は特にありませんし。 -- シトリ 2014-06-01 (日) 22:11:04
      • さてお疲れ様です、これから返答を考えるとして早めの目安はどれくらいでしょうか
        こちらが投げてもう一度返答するとなると1時ごろからまた返事…になりそうなので、〆に向かうとしてもお気をつけください
        明日以降は平常運転になるので朝7時起きに向かうような形で夜を迎えると思います
        日常はセリフが通常、アクションは()書き程度の通常パートで分けたほうがよさそうですね…
        今のところ異動など時間が全く取れなくなると言うことは無いので、そうした情報が入ったら連絡したいと思います -- ランディ 2014-06-01 (日) 23:25:12
      • しばらくは夜帰るのもそう遅くならないのでこちらも大丈夫かなと思います。
        僕は今日は1時ぐらいには寝ようかなと思います。わかりました、何かあればおっしゃってください。
        ページ集めパートというか、そういう重要な時は上みたいな感じにして、普通の時はそちらのいうようにもっと軽めでいったほうがいいかもですねー。 -- シトリ 2014-06-01 (日) 23:35:26
      • 今日の睡眠予定時刻了解です、そのあたりまでには返答できると思いますがさらに返信は難しいかな…そうであれば別に明日でも問題はありませんので
        共同用意して正解でしたね、長引いて文通状態でも問題なし…さて、続きこしらえます -- ランディ 2014-06-01 (日) 23:45:36
      • 駆け足になった感がありますが、後は家で色々事情説明したりとか日常になるのかなーと思います。 -- シトリ 2014-06-02 (月) 02:43:34
      • そちらが反応してとりあえずこのシーンは終わりって感じですかね! 寝ようと思ってましたが普通に1時越えてました。ちゃんと寝ます… -- シトリ 2014-06-02 (月) 02:45:45
      • 既に寝るものだと思ったらお体に気をつけて…返信をしておきましたがこんな感じですかね
        生活用品などはここで買わされたと言う事でひとそろい状態に…そして早速ですがお風呂に入ってきます -- ランディ 2014-06-02 (月) 20:42:41
      • ついに契約までが終わりましたね! こう言う感じで大丈夫です!
        色々買い物して家に向かった幹事ですね! -- シトリ 2014-06-02 (月) 21:13:34
      • 戻りました!災害もあり月が替わっちゃいましたけどなんとか契約完了ですね
        山小屋のイメージは本当にただの小屋で獣の干し肉くらいしか食料が無く
        布団も藁を敷いただけなどと住まいじゃないようなイメージですね、それでいろいろ買わされたと…家のセットアップはやっときます?そこまで重要なものでもなさそうなので行間で買ったことにしてある程度揃っている状態との認識でよいかなと -- ランディ 2014-06-02 (月) 21:58:15
      • 行間でやったということにしましょう。ちゃんと人間らしい生活しろということで色々怒られながらある程度普通の家になった感じですね。 -- シトリ 2014-06-02 (月) 22:11:15
      • それで次はどうしましょうかね。こちらのことをちゃんと説明するみたいな感じですかな。 -- シトリ 2014-06-02 (月) 22:26:55
      • 説明を日常パートで試しですかね、通常の会話位の感じで…
        こんな場所じゃ出来ない話を聞かせてもらうシーンになりますか -- ランディ 2014-06-02 (月) 22:43:46
      • そうなります! 要はページを失った経緯とか、どういう状況なのか、自分がどういう書物なのか、それらを伝えます!
        どちらから始めます? -- シトリ 2014-06-02 (月) 22:59:11
      • やはり説明なのでそちらから入ってもらった方がいいですかねー
        聞いても居ないのに語り始めてしまうぐらいで -- ランディ 2014-06-02 (月) 23:06:36
      • 了解です! では始めます。昨日の反動かすごく眠いので会話始めたあたりで今日は寝るやもしれません、すみません…! 寝るときは言います。 -- シトリ 2014-06-02 (月) 23:14:07
      • 寝るのは問題ないので、無理はしないように…時間はまだありますから -- ランディ 2014-06-02 (月) 23:20:20
  • 流しておきます。今日はこれにておやすみします! 続きはまた明日お願いします! -- シトリ 2014-06-03 (火) 00:41:49
    • こっちも寝ていました!そして今帰りました、まだ素人なので魔術がどうのと言う発想は生まれないですね -- ランディ 2014-06-03 (火) 21:44:25
      • 私の文章長い癖が出てきて危うい!
        シトリとしては魔術を使う者としてということで魔術や人間的なことについても教えようとしています。最終的に死にむかいたいんだからランディ的にはなんで…? となると思いますが! -- シトリ 2014-06-04 (水) 00:19:04
      • マスター描きました……が、かなり微妙な感じになったのでまた描きなおします…。 -- シトリ 2014-06-04 (水) 01:44:30
      • 長いのは大丈夫です!大丈夫ですが返事に時間がかかる事をご了承ください…
        これはありがたい…描き直されると言うことなのでシトリさんの方が満足が行った時に名簿には掲揚しようと思います
        他の本むすさんにも手を回したい気分もあるでしょうしね -- ランディ 2014-06-04 (水) 01:49:57
      • そうしていただけるとありがたい。実は初めて使うツールで描いたのでまだ使い方がよくわかっていないのでした。
        参加者の人たちは書いていきたいという思いあります! とにかくなるべくテンポよくやるように文章はタイトに行こうと思います。 -- シトリ 2014-06-04 (水) 01:56:32
      • 慣れない道具は仕方ないですね、絵に限らずなんでも…
        今は出会いの延長ですしイベントと言うことでもいいかもしれませんね、非日常
        通常会話と言うほどでもないので…はい、そしてすいません、今日はそろそろ寝ます -- ランディ 2014-06-04 (水) 01:58:38
      • 私もそろそろ寝ようと思っていたところです、おやすみなさい! -- シトリ 2014-06-04 (水) 01:59:45
      • 帰宅自体は10時ごろに帰っていたのですが文をこさえていたらこんな時間に…申し訳ない -- ランディ 2014-06-04 (水) 23:57:57
      • いつの間にか寝てて起きたら朝でした! すみません! 今から返します! -- シトリ 2014-06-05 (木) 19:16:48
      • 戻りました!睡眠は大事ですのでお気になさらず、ゆるりと参りましょう
        返事を考えます -- ランディ 2014-06-05 (木) 21:46:55
      • とまあこういう感じで生活環境は整った感じですね! -- シトリ 2014-06-05 (木) 23:11:40
      • >檜風呂
        いったいどれほどの金額が支払われたのやら…!
        いったんこれで区切って、第一幕・出会いパート閉幕と言ったところですかね
        明日などはどうしましょうか?このペースだと日常パートも結構一発が重くなりそうですかねー -- ランディ 2014-06-05 (木) 23:38:12
      • ランドルフの貯蓄は風呂の湯と消えました。無念。
        そうなりますねー! 明日からは次の頁蒐集でもいいですし、軽い日常試してみるのもいいかもです。
        日常もこのペースでやると長大にも長大になりそうなのである程度軽くは目指していきましょう! いえ注意すべきなのは自分なのですが!
        アマツミカボシをいつ出すかも考えているところです。ラスボスのおじさんとの出会いとかもいいですねー -- シトリ 2014-06-05 (木) 23:48:43
      • 本なのに風呂を好むなんて!
        大まかな流れがあるといいかも知れないですね、強くなってからラスボスに一度負けて、それから何かをしてアマツミカボシを出すとか
        逆にアマツミカボシを出せても返り討ちにあうと言うのもありですね
        シトリを襲うのはある程度ページを手に入れ、シトリ自身が力を集めてきたらのタイミングあたりですかね -- ランディ 2014-06-05 (木) 23:54:26
      • 一応考えてあるのは、マスターテリオンが教会に来たときみたいになんかそういうのはやろうと思っています。
        ラスボスのおじさんは多分最後のほうまで正体はださずに、「魔導書譲ってよ」おじさんになると思います。ヤバい気配はあるんですが思い出せない的な。
        タイミグはまだ考え中ですが、それで、過去編のシトリの仇敵だった安部清明(混沌の化身でラスボスおじさんの変化です)か、ラスボス予定のおじさんの本むすが襲いにくると思います。
        アマツミカボシで一度負けるというのはいいかもしれませんね。敵は生身で。 -- シトリ 2014-06-05 (木) 23:59:37
      • 敵は元々存在する書物にシトリの断章が無理矢理寄生させられて、本来魔導書化しないはずの書が魔導書化して、というので行ってみようかなと考えています。
        それなのでそいつらにも一枚一枚絵をつけたいとは考えています。(この計画は破たんする可能性もあります。)
        とりあえず三冊ぐらいの構想は今のところあります。 -- シトリ 2014-06-06 (金) 00:03:36
      • 譲ってよおじさんはこちらのキャラクター的に反応に悩みそうですね!ちょっと反応を予測しておこうかな…
        やはり鬼械神が生身に負けるのはよいですね、アッパーで吹き飛ばされるほどはやり過ぎ感もありますが
        劣化コピーのような存在になるということでしょうか、一枚絵をつける予定ならば合間に日常パートをはさむなどして緩やかに進めていくのも手ですかね -- ランディ 2014-06-06 (金) 00:20:58
      • なら私が呪いを解いてあげよう! とかいうおじさんだと思います。問題としては呪いの話題まで発展するかということですが。
        アッパーで吹っ飛ばしちゃう大導師殿はリベルレギスのらなくてもいいんじゃないかな……ってなりますからね。
        その本の内容が色々狂わされて、シトリの断章の内容とも結びついて実体化して暴れてる感じですね。本むす化する感じです。娘ではないかもしれませんが。
        本はこちらの趣味で選ぶ感じになるので知らない本があってもご容赦ください。知らなくても大丈夫なようにはします。そうですね、僕の筆の速さにもよりますが日常はさみはさみのほうがいいかもですね。 -- シトリ 2014-06-06 (金) 00:27:17
      • 胡散臭いので信じないやら、近寄ると怖いなどで話を聞かないほうがいいでしょうかね…
        アンチクロスに反逆されても平然と轢殺できそうですもんね…
        モンスター形態のアトラックナチャのようなデザインでしょうか、本の種類はむしろわからない方がランディの動きにも先入観が無く、相手の隠しだまをもろに食らうという事がしやすいかもです -- ランディ 2014-06-06 (金) 00:33:48
      • その場にシトリがいると思うんで何かしら反応はするのでなんとかなると思います。
        なんかあのときアンチクロスにやられたのもかなり茶番だった感がある……。
        本の内容にもよりますがそう言う感じになりますかねー。一応wiki障害中に一つ書いてはあります。
        本来魔導書になるはずのない小説などが魔導書化したということで、少々ネタバレにはなりますが、ドグラ・マグラです。
        これだとなんかポスターみたいな感じであれですが、巨大な胎児の上に本むす二人が載ってたり、ぼーんぼーんって時計が鳴ったりする予定です。 -- シトリ 2014-06-06 (金) 00:43:18
      • ふーむ、知り合いか尋ねる感じになりそうですね
        その後ネロから又生まれる必要は何かあるんですかね、やはりクトゥルゥー召喚には力を使った…でも父だとしてもそれ以上の神を召喚してますしね
        タイトルは聞いたことはありますが中身は読んだことは無いのでご安心を、どう相対すべきか迷いそうですね…迷う動きをするのもまた良し -- ランディ 2014-06-06 (金) 00:48:59
      • 突然あっちから話したいみたいな感じで招待してくるかもしれませんね。何かしらランドルフの生活の便宜を図ったこともあるのかもしれません。
        生まれ直したほうが強いとかなんですかねえ。強さはあまり関係なさそうですが。ネロ自体なんかよくわからない感じになってますし……。びっくりさせたかったのかもしれません。
        いきなり別世界(精神世界)に飛ばしてくる断章とかもいる可能性あります! ですが無論攻略するようにしますのでいけます! -- シトリ 2014-06-06 (金) 01:02:52
      • それだと呪いの事を教えた人物というケースもありかもしれないですね
        お決まりだからとりあえずやって置こうと言う?あの人らなそう言うことしそうですね…
        ムッ、時間の流れの違う世界で修行を積むフラグ -- ランディ 2014-06-06 (金) 01:10:54
      • それはいいですねえ! 黒い人はそういうことしそう。自分が原因なのに。
        やっぱりヒントとか与えておくべきだよね的な。
        精神と時の部屋だ! 確かに断章を取り戻してそういう使い方もありですな。 -- シトリ 2014-06-06 (金) 01:29:55
      • すいません意識が飛んでいました!
        大目的があるならまだしも、遊びで暇つぶしのために自分を滅ぼさせようとしたりしそうな、根絶し尽くすことは出来ないでしょうし
        別世界(精神世界)なので肉体的には年月は経過せずに精神だけで精神と時の部屋でしょうか、2人とも年月はあんまり関係ないタイプですが -- ランディ 2014-06-06 (金) 20:37:03
      • 今帰りましたー。遅くなりました!
        一応混沌おじさんは目的っぽいものは作るけど楽しければなんでもいいって感じでしょうね。
        実際の時より早く魔術の修練ができるのでやりそうな感じですね、
        さてどうしましょうかね。明日は休みなので敵の一枚絵を描いておこうと思います。 -- シトリ 2014-06-06 (金) 23:06:15
      • おかえりなさい、と言う事はそれが出来上がったら次の敵登場シーンでしょうかね
        ちょっと今日は頭が痛いので早めに寝る予定です -- ランディ 2014-06-06 (金) 23:15:03
      • それはどうぞ休んでいただきたい!! 敵に関しては最近読んだ昔の小説があるのでそれをネタにしようと思っています。 -- シトリ 2014-06-06 (金) 23:18:50
      • では休ませて貰うとして、敵出現の第一歩はこういう状況がよいなどもあると思うのでそちらにお任せしていいでしょうか
        修行パートをはさんだほうがいいかもしれませんが -- ランディ 2014-06-06 (金) 23:22:41
  • 了解です。では開始はこちらからということで。
    修行パートはどうしましょうかね。常世神の記述を取り戻したので常世神の力は使えるようにはなってはいるのですが……お元気になったら考えてみましょう。 -- シトリ 2014-06-07 (土) 00:50:45
    • 戻りました、ゆっくり休んで頭はすっきりと
      修行中に断片発生を感知で本番へなだれ込むと言うのもひとつですかね -- ランディ 2014-06-08 (日) 22:31:19
      • それはいいかもしれません。絵は描き始めたのですが今日完成するかどうかわかりませんし。明日には完成するとおもうので修行やりながらというのでいいかもですね! -- シトリ 2014-06-08 (日) 22:35:27
      • ペース次第ですが修行から入ると明日中に断片登場までは行かないと思うので急がずとも! -- ランディ 2014-06-08 (日) 22:44:31
      • ある程度学問的というか知識面的なことはちょっと教えたということで、実践してるシーンですかネー -- シトリ 2014-06-08 (日) 22:49:35
      • 人目のない所で試しに使用していると近くでなにやらよからぬ気配が
        近くじゃなくて街中でもいいですかね、急いで現場へ急行するような形で -- ランディ 2014-06-08 (日) 22:58:09
      • そう言う感じになりますね! あまり遠いと察知するのも難しそうですし。
        人気のないところで実地訓練をしている感じですね。常世神は最初クトゥルフ神話の神性と何か混ぜて、力にしようとはおもったんですがあまりいいのがなかったので……倭文神の糸とバルザイの偃月刀の扱い方とかになりますかね。糸での防御とか。 -- シトリ 2014-06-08 (日) 23:11:51
      • 原作だと能力に関する力を断片も使ってきたので…今回だと羽化後か腐らせる力で使い辛いですね…
        まあ使い辛いページは魔力自体の底上げだけという扱いでもいいかもしれませんね
        修行パート中に敵発見は毎回行うものでもないので、今回は置いておいて使うのに適した能力が出たタイミングで行うのもよいかもしれません -- ランディ 2014-06-08 (日) 23:20:59
      • お風呂に入ってきます -- ランディ 2014-06-08 (日) 23:28:37
      • 時間系のは一応考えてるのがあるので常世神ではそれはなしにしようと思います。羽が生えたりして飛んだりするのは良いかもしれません……一応回復能力としておこうと思います。
        常世の国の時じくの香の木の実は日本書紀によると不老不死の実(後の橘)らしいので、それを応用しての回復魔術になると思います。ランドルフが元々不死なのであまり使うことはなさそうじゃなということで。
        当初は土蜘蛛を出す予定で、土蜘蛛……またの名をアトラク=ナクア! とかにしようと思いましたが、デモベまんま感ありますし、糸でアトラック=ナチャ的なことは出来るのでボツにしました。
        そうですねー、ちゃんとした装備などになる武器を手に入れてからの方がいいかもですね。 -- シトリ 2014-06-08 (日) 23:29:39
      • 回復はもともと持っているところでもあるので飛行はいいかもしれませんね、まだページが足りていなくてそこまで思い出せないとしてすぐに盛り込まなくてもよいと思いますし
        回復術は機体の修復へまわすとよいかもしれませんね
        そんなゲームある!元が糸だと被るネタは使いづらいですものね… -- ランディ 2014-06-09 (月) 00:26:09
      • 機体の修復に回すことにしましょう。今のところ肉弾戦なので時が来れば使うことに。
        飛行は便利なので何かしらまた別の断章にしようと思います。
        アトラク=ナクアは大してクトゥルフネタは無いと聞いたのでプレイしてませんね。高橋葉介の漫画でもアトラク=ナクアが出てたりしました。
        今回は修行はとりあえずおいておいて、シトリが断章を探しにいくっていってランディを変装させて街に繰り出してたらビンゴという感じでやりましょうか。 -- シトリ 2014-06-09 (月) 00:54:54
      • いくつか組み合わせて飛行能力ゲットでもいいかもしれませんね、羽は出せるけど風を起こす程度とか段階を踏んで
        タイトルは聞いたことがある程度で…結構昔の作品だったような
        調査していたら偶然発見!ですね、最初はそのくらいでよさそうです -- ランディ 2014-06-09 (月) 01:15:01
      • 絵は完成しました! 今日から行けます! なるほどそれもありですね。蟲の羽根じゃああまり高くとべなさそうですし。最終的にシャンタクぐらいのものにはレベルアップしたいですね。一応、設定としては科戸の風ということで、科戸神の力で飛ぶことができます。
        では調査してるところぐらいから始めますかね。 -- シトリ 2014-06-09 (月) 18:59:10
      • ただいま帰宅しました!今週は帰りが遅くなりそうです…
        こちらは文通でも問題ないので始めてしまって、対応できる時にしていく形でいかがでしょうか -- ランディ 2014-06-10 (火) 01:22:37
      • 了解です! それは仕方がない! 文通な感じでやりましょう!
        ではまた今日明日にも導入を投げておきます! -- シトリ 2014-06-10 (火) 02:09:42
      • 今日はもう遅いのでご無理をなさらずに!お風呂が沸いたので入って今日は寝たいと思います… -- ランディ 2014-06-10 (火) 02:16:39
      • 今日もう先に投げとけばよかったですね! 私も今日は寝ますので明日からお願いします! -- シトリ 2014-06-10 (火) 02:21:10
  • 投げておきました! -- シトリ 2014-06-10 (火) 22:41:00
    • かえりました!昨日は帰宅即死しておりました…
      明日はまた遅くなりそうで金曜日はちょっと未定、土曜日は飲みに呼ばれているので霊圧は無いと思われます -- ランディ 2014-06-11 (水) 20:37:27
      • 了解ですー。今週の金土日は私もちょっと霊圧が怪しくなると思います。 -- シトリ 2014-06-11 (水) 21:28:11
      • なら日曜日は寝つくすかもしれない…来週はまた少し読めないところがあります
        今週末の進捗次第になるので・・・ -- ランディ 2014-06-11 (水) 22:08:57
      • 仕事などは仕方ありません! 先に先に進めるようにするつもりですのでお気になさらず! -- シトリ 2014-06-11 (水) 23:03:35
      • 迷ったところですが早々に偃月刀だけじゃどうにもならない事と、序幕としてシトリとの間柄はまだ薄いことを強調しときました -- ランディ 2014-06-12 (木) 00:09:17
      • いつのまにか寝てた!!
        むっ、いいですねえ! 良い演出です!! 言う事聞かないマン! せっかくなので常世神の翅を出してみました。多分飛ぶ想像をすれば飛べます。 -- シトリ 2014-06-12 (木) 05:16:45
      • 次はオリンピアのロールはないので、そのままシトリに続く形で返信していただければと思います。 -- シトリ 2014-06-12 (木) 05:17:21
      • 戻ってこれました
        アルコールが入って今は頭が頼りない状態なのですいません、明日変えします…
        来週は今週ほどは遅くない見込み、であると思いたいです、はい -- ランディ 2014-06-15 (日) 00:11:03
      • 了解です! 飲み会は大変ですもんね、ゆっくり休んでください。 -- シトリ? 2014-06-15 (日) 01:50:55
      • 起きたらもう4時を回っていました!
        今の翅のイメージはハンググライダーのように自由に上昇は出来ず下降するのみ、そこに加えてトンボの速度と言った感じです
        ホバリングもある程度は出来ても徐々に降下するので、最初の高さ確保はジャンプや高所からの飛び降りがなければいけないと言う程度の制限でどうでしょう
        まだ自由自在ではないというあたりのポイントとしてみましたが -- ランディ 2014-06-15 (日) 17:29:02
      • あと夕飯の買出しに出てきます -- ランディ 2014-06-15 (日) 17:30:29
      • 今自分の家におらず携帯環境のようなものなのであまり詳しく描写できませんです、すみません! このシトリとランドルフの対比はいいですねえ… -- シトリ 2014-06-15 (日) 22:38:59
      • お気になさらず、出来るときにできる範囲で!
        最初のうちは正反対のコンビと言う感じが出せればと思っていますね -- ランディ 2014-06-15 (日) 23:49:02
      • いーいですねえ。人なのに人としてのことを知らないランディと愛情知るシトリ。
        人間的生活を教える理由は十分だ! 月曜になったらパソコン環境に戻れますので明日返します! -- シトリ? 2014-06-16 (月) 01:03:07
      • 下手をするとパートナーと言うより親子になりかねないような気も?
        了解です!では今日のところはおやすみなさい -- ランディ 2014-06-16 (月) 01:21:34
      • まだ飛翔はクリアしてないマンです! 今度全部進めようと思います。チクタクマンは飛翔に出るのかな。楽しみにして待つとします。
        ママになっちゃう! いえこれだと少し違いますな。確かにこれは……母親……人間の文化的なことを教えていくって確かにまさにそんなかんじになっちゃう! -- シトリ 2014-06-16 (月) 22:13:44
      • 銃モードが強い…と思うので頑張って、ラスボスを偃月刀装備で倒したことはありません
        さてネタバレはせず秘密にしておいて、引っ張られるなら飛び込めばいいじゃないと無謀なツッコミが入りました、異常行動に戸惑ったり状況の変化に臨機応変に対応できない未熟さがありますと言うところですね
        本当の意味でのママになっちゃえ!は難しいところですけどね、子供が出来てしまうと呪いを引き継がせることになるので
        なお子供に剣を渡さなければ、子供は死なないことはありませんが孫が生まれないのでやっぱり子孫繁栄はしません -- ランディ 2014-06-17 (火) 01:32:23
      • 銃使うマンになるしかなさそうだな……
        ナタナエルが落ちたのはラストの再現で、ランドルフを驚かせる以外は特に何も意味がなかったというオチです。
        しかし今回はうまくいきました! 多分武器が増えてくれば色々できるはずですな。
        チクタクマンの記述が戻ったのでアマツミカボシの再召喚が可能になったということにしようと思います。機械の神の依代をまた作ることができるようになった的な。
        チクタクマンってつまりあれの化身なので色々とあれなのですが混沌さんについての認識が歪められてて、名前をちゃんと思い出せなかったりします。
        破滅に向かい突き進む運命すぎますねそれは……呪い破壊しなきゃ。
        まあどういう関係になるかはわかりませんしね。親子になる可能性だってあるのだ。 -- シトリ 2014-06-17 (火) 02:08:30
      • きっかけか何かかと思ったら意味が無かったとは…!
        ダメージ過多で生身戦闘はやはりあまりお勧めできない…というような空気もちょっと出しておきました、これで召喚につなげるきっかけにもしやすくなるかな?
        さてどう言う関係になるかはわかりませんが、ひとまず今日はこれでおやすみなさいさせて頂きます、もう3じだ -- ランディ 2014-06-17 (火) 02:56:47
      • 実際のオリンピアは別に戦闘能力とか皆無なやつなのです。中々技につなげるのが難しかったので次はもっとうまくやろうと思います。
        むっ、いいですねえ。これで招喚フラグが立ち始めましたな。後はでかい敵がくれば……はい、おやすみなさい! -- シトリ 2014-06-17 (火) 03:02:34
      • と言った所で締めへですね、こっちが暴走するのはもう少し絆が深まってからですね
        攻撃された時の心情が苦しくなればなるほどいいタイミングです(悪い笑み) -- ランディ 2014-06-17 (火) 23:49:09
  • アッ悪い笑みだ! これは暴走時が楽しみになった!!
    では絆を深めていくことが必要になりますね! 次はどうしましょうか。何か間に挟むか否か… -- シトリ 2014-06-18 (水) 20:34:43
    • まあ絆具合の推移にもよるんでしょうが、いったいどうなるやら
      束の間の休息タイムみたいなのがあるといいんですかね…むう -- ランディ 2014-06-18 (水) 21:34:51
      • あまり街に出てないことを考えると街での休息というのはなかなか難しそうですしねえ。
        教育パートとか? ちなみに次の断章はドグラ・マグラネタのやつでいこうと思います。絵の完成を考えているとやはり時間がかかるので、できているやつからやろうかなと。
        その次に、前に言ったラスボスのおじさんと会話という感じでどうでしょう。 -- シトリ 2014-06-18 (水) 23:17:47
      • 教育か教育後のティータイムなどでおじさんがやってきてしまったり、などのように流れで繋げるのもありかもしれませんね
        街で寛げないから寛ぎグッズをシトリに買わされたとかで -- ランディ 2014-06-18 (水) 23:34:14
      • むっ、いいですねえ。それなら別にシーンを設けなくても一シーンでいけますね。それでいきましょう。
        ランドルフの家が多分どんどん改築されてますね。縁側とか出来てそう。
        教育後くつろぎグッズで寛いでるところに例のおじさん登場という感じですね。前に言われてたランディの知己というのでいいかなと思います。 -- シトリ 2014-06-18 (水) 23:45:23
      • 一番最初のイメージは日本昔話に出てくるような水車小屋程度のものだったのですが、ずいぶんとリフォームされてしまって
        知己だけど名前はそう言えば知らない、なぜ知らないのかはわからないし、気にする事も無い…と言う所ですね -- ランディ 2014-06-19 (木) 00:03:41
      • 人間的な生活には住まいも大きな影響を与えるとおもいます!
        ではそれでいきましょう。ランドルフにそれ魔術関係だよって教えたおじさんって感じですね。
        ではそう言う感じでやっていきますかねー。 -- シトリ 2014-06-19 (木) 00:25:24
      • シトリ匠の手による劇的ビフォアーアフターの結果やいかに…
        そうなるとティータイムからはじめますかね?それとも教育シーンの終わりを導入とするべきか… -- ランディ 2014-06-19 (木) 00:42:46
      • では教育の終わりのところから始めるとしましょう! 今回は魔術の訓練というよりは魔術や世界の常識を教えてるんだと思います。 -- シトリ 2014-06-19 (木) 19:58:37
      • やれやれ戻りました、明日はお休みです -- ランディ 2014-06-20 (金) 21:17:58
      • お帰りなさいでーす! そして悲報……明日は私は家にいないのです……! 日曜かえってきます。 -- シトリ 2014-06-20 (金) 22:11:33
      • いってらっしゃいませ、事故には気をつけて! -- ランディ 2014-06-20 (金) 23:14:12
      • 明日もあり、ちょっと頭痛いので早めに寝ます! また日曜日ですね。後一回ぐらいランディと会話交わしたらおじさん出てくると思います。 -- シトリ 2014-06-21 (土) 00:17:01
      • おやすみなさい!おじさんへの繋ぎは小出しにしておく感じで行きます! -- ランディ 2014-06-21 (土) 02:29:23
  • 昨日帰ってきてはいたんですがいつの間にか寝ていました、すみません! これより返します。ではこれに乗って少しおじさんが出てきやすいようにしましょう。 -- シトリ 2014-06-23 (月) 19:58:52
    • お疲れ様です、こうして覚えていない…というフリを投げてみました、記憶からなぜかロストしている状態ですね -- ランディ 2014-06-24 (火) 01:19:32
      • 遅くなりました! これより返します。とりあえずシトリの次ぐらいにおじさん出そうと思います。 -- シトリ 2014-06-24 (火) 23:53:15
      • お疲れ様です!眠るぎりぎり前に何とか返せました、違和感を感じたのも一瞬、抵抗が無いのですぐにかき消される感じで! -- ランディ 2014-06-26 (木) 01:51:39
      • スチームというやつで半額になったので前から欲しかったソフトの製品版を買いました。
        それでマスター描きましたがなんか怖い感じになってしまった。まあ指名手配の時の顔みたいな感じで一つ… -- シトリ 2014-06-27 (金) 03:18:17
      • 一度したためたものが送信前に消失するのはがっくり来ますね…!
        すちーむ、なんでしょうか?…なんと言っていいかわかりませんがオーラが漂ってますね…!
        シトリの顔をアイアンクロー状に掴んで持ち上げたりしそうな -- ランディ 2014-06-27 (金) 21:54:17
      • 私は長文などのときはメモ帳を利用しております。消えないので便利です。
        昨日は飲み会で帰ってきたらすぐ寝ておりましたすみません。STEAMはゲームとか変えたりするやつですね。それでArtRageというソフトが半額だったのでそれを買いました。
        かなりサイコな感じになってしまい、このままだとシトリをこの表情のままボコボコにしそうな感じなのでまた描きなおそうと思います……リアル調にしようとするとあれなのかもしれません。というわけでレスしますのでお待ちください! -- シトリ 2014-06-28 (土) 21:11:54
      • メモ帳に書いたものを保存前に消してしまったのですね…おのれ再起動
        いえいえ、企画も次々に始まってますしゆるりと参りましょう…
        上手い否定への持ち込み方に悩みましたが、こんな感じで! -- ランディ 2014-06-29 (日) 02:39:24
      • ちょっとランドルフには断りづらい要求にしてしまいましたがこうなってよかったです!
        学園も始まりますね、参加はされるんでしょうか。何かしらキャラは作ろうかなとは思っていますが、明日の登録には間に合いそうにないマンです。 -- シトリ 2014-06-30 (月) 01:27:08
      • お願いします!と渡してしまっていたらどうなっていたんでしょうね、気になりますが!
        はい、一応は参加を…最後まで動けるかはわかりませんが、学園の方は恐らく流れが速いでしょうし、こちらは文通長編向けの構造となっているのでゆるりと行きましょう
        それと明日の夜は早めに寝なければいけないので今のうちに連絡をしておきます -- ランディ 2014-06-30 (月) 02:01:05
      • 多分「冗談だ」とかいうことになりそうですね。もしくは色々ひどい目に遭っていたでしょう……バッドエンドですね!
        ええ、学園が始まったらそちらの方に注力していただいて、こちらはゆっくり進める感じでいいかと思います。まだ私は何も考えていませんが……
        明日の夜は了解しましたー -- シトリ 2014-06-30 (月) 02:16:19
      • いやぁバッドエンド…一度そっちを選んでからルート分岐に戻ってやり直しですね!
        今日は上に返事をしたらそのまま寝ます -- ランディ 2014-06-30 (月) 02:21:01
      • 了解です! ではちょうどいいのでこれで〆にしておきましょう! おやすみなさい -- シトリ 2014-06-30 (月) 02:42:10
  • さて次はどうしましょうか。日常か断章集めか -- シトリ 2014-07-01 (火) 22:30:11
    • アルラートとの遭遇からシトリの様子がおかしい…というような日常パート、ですかね
      ランドルフはやはり気づかない!鈍い! -- ランディ 2014-07-02 (水) 20:43:18
      • では日常パートです! 今回はそちらから始めますか? -- シトリ 2014-07-02 (水) 22:01:16
      • さてそうするとどういう場面がいいですかね、お茶の場面が連続するのもどうかなと、どこか日常の一ページ切抜きがいいですよね…こうしたものは -- ランディ 2014-07-02 (水) 22:12:53
      • では別の日という感じですね。特に捜索には出かけていない日という感じでしょうか。たぶんシトリは考え込んだりごろごろしたりしてると思います。 -- シトリ 2014-07-02 (水) 22:17:14
      • タイミングはお楽しみに、ですかね…ああっ、落ちてた!
        特に冒険結果の関係ない展開だと油断しますねフフフ -- ランディ 2014-07-02 (水) 22:22:03
      • はい、タイミングはお任せしますです! シトリは今も元気に戦っています。あまり方針とか動かしてないので今後落ちる可能性もありますが… -- シトリ 2014-07-02 (水) 22:36:17
      • ではすいませんが明日、明日投下とさせてください!シチュエーションも考えて見ます、一味ひねったかんじで -- ランディ 2014-07-02 (水) 22:44:17
      • 了解いたした(ズオオ) では明日ですね! -- シトリ 2014-07-02 (水) 22:45:33
  • と言う訳で投げましたがすいません、数時間霊圧消えます! -- ランディ 2014-07-03 (木) 21:05:08
    • 了解ですー。その間に返しておきます! -- シトリ 2014-07-03 (木) 21:11:15
      • 数時間どころではなくワンデイになってしまいました、土曜日は夜にもしかしたら家族サービスでお出かけする可能性があります -- ランディ 2014-07-04 (金) 21:51:43
      • 家族サービス! 明日は私もちょっと出かけます。雅楽の演奏会を聞きに行ってきます。 -- シトリ 2014-07-04 (金) 22:51:36
      • 土曜日の夜はつぶれてました、うちのかぞくさけつよい -- ランディ 2014-07-06 (日) 23:17:01
      • お疲れ様です…! 酒強いのはいいですねえ、私は大して強くないので… -- シトリ 2014-07-06 (日) 23:39:12
      • 私はどうも遺伝が薄いようで、ビールでお手軽に酔えますね…1リットルも飲めば出来上がってしまいます -- ランディ 2014-07-07 (月) 00:57:45
      • すみません! リアルでちょっとやらないといけないことがあったのでそちらにかかりきりでした。
        ちょっと文章が長くなりそうなので、夜に返します! -- シトリ 2014-07-08 (火) 04:59:03
      • ちょっと長くなりすぎた感が!! 外つ神云々は要はクトゥルフ神話の神のことで、外つ神がどうとかいう話が日本神話にあるわけではありません。 -- シトリ 2014-07-08 (火) 21:27:38
      • 週末二日酔いでダウンしたりとうまく時間が取れず相当遅れて申し訳ない
        自信は持てないので一緒にずっと戦おうとは言えないランディ君です -- ランディ 2014-07-14 (月) 03:59:46
      • お疲れ様です!! いえいえ、大丈夫です、ゆっくりやりましょう。ちょっとこちらの文章も長すぎましたしね!
        さてこれが今後どうなるかですね。とりあえずまた夜に返します! -- シトリ 2014-07-14 (月) 04:08:51
      • 話を聞いている状態になるとどう返すのかって悩みなすね、それでは今日はおやすみなさい! -- ランディ 2014-07-14 (月) 04:10:11
      • 全部返そうとすると会話はかなり長くなるので取捨選択が大事ですな。こういう感じになりました! -- シトリ 2014-07-15 (火) 01:56:56
      • 明日か金曜には返せると思います、お待たせしてすいません! -- ランディ 2014-07-17 (木) 03:26:36
      • いいんだ。お気になさらず。了解です! -- シトリ 2014-07-17 (木) 21:47:17
      • 土曜日になってしまいました!とりあえず今日は眠ります…! -- ランディ 2014-07-19 (土) 05:22:38
  • というわけでこのシーンは終わりですね! さて次ぐらいでアマツミカボシを出して、という感じですかね。
    その次に教会に大導師殿が来たみたいな感じでボスがやってきますな。 -- シトリ 2014-07-21 (月) 00:19:15
    • その流れだと最初は強さにうぬぼれるといいかもしれませんね
      はたしてボスはどんな状態でやってくるのやら… -- ランディ 2014-07-22 (火) 21:29:44
      • ボコボコタイムだ!! ちょっと昨日徹夜してしまい寝不足なのですみませんが寝ますね…! 断章回収パートになります。ドグラ・マグラがでます。 -- 蘭蘭 2014-07-22 (火) 23:00:07
      • 問題ありませんのでお休みなさい!ゆっくりいきましょう!学生になってますし! -- ランディ 2014-07-22 (火) 23:36:10
  • まさか今になってゴルロア正式サービスが始まるとは思わなかった!! -- シトリ 2014-07-23 (水) 22:00:26
    • 投稿したと思ったらできてなかった、すみません! -- シトリ 2014-07-24 (木) 03:57:17
      • 今日はこのあと送別会で霊圧途絶えますのでそのまえに投げるだけ投げて置きます!
        V以降の事はまた別途相談ですね… -- ランディ 2014-07-25 (金) 17:19:18
      • 帰宅しました。少々お待ちください! ハイ、Vでこのwikiもどうなるのかまだ不透明ですから…‥
        -- 蘭蘭 2014-07-26 (土) 21:39:35
      • ここが続くなら自分は続けていくつもりです。 -- シトリ 2014-07-26 (土) 21:39:53
  • ウワアめっちゃゴルロア変わってる。黄金歴がない! -- シトリ 2014-07-28 (月) 18:31:59
    • なんとも言えない大きな変化についていけません…新しくなってよかったと思える部分もあるんですがなぜ変えてしまったのかという部分も多く…! -- ランディ 2014-07-31 (木) 21:16:05
      • 帰宅しました! ちょっと風呂入ってくるので出てきたら返します! -- シトリ 2014-08-02 (土) 00:03:40
      • しばらく帰省しますので霊圧が落ちると思います! -- シトリ 2014-08-10 (日) 00:17:06

Last-modified: 2014-08-10 Sun 00:17:06 JST (3547d)