昔の話 †
暗い過去を背負って田舎から上京したとおもったらそんなシリアスな設定はなかったぜ。
人間の両親の間に生まれ、10歳の頃からダム工事や幹線道路、干拓工事の現場で働いていた。
超現実主義のラケダイモンと、歳の割に老けてはいるが相応に10代の男の子らしい現実に対する認識の甘さをもったガーパイク。
程度の違いはあるものの、共通しているのは「将来への諦観」
将来に対して希望がない、夢、希望、なりたいものがない。それでも二人が自棄にならなかったのは、仕事をしていたからである。
自分たちがいないと現場が止まる。自分たちの替えは他の者にはつとまらない。
それが17になるまで兄妹を支えてきた矜持だった。
二人が田舎の土建稼業を辞めて都会へ出てきたのは、それまでこなしていた仕事にどんな「意味」があるのか、それを考えてしまう程度に自分たちは知恵を身につけてしまったと感じたからである。
「勉強しないと話にならない。自分たちは何も知らなすぎるから、何もかもわかったと思い込んでしまう」
将来への閉塞感は、無知からくるもの。それを打ち破れば希望があるかもしれない。
それが根拠のない楽観だとは薄々感じながら、兄妹は上京した。
ただ漠然ときらきらした「都会への憧れ」をもって上京してくる少年少女たちとは明らかに違う玄人の目つきは、むしろ彼らの親と同年代の、出稼労働者のそれに近かった。
目的地もなく駅前馬車ロータリーをずっと眺めていた兄妹に、声をかけてくるものがあった。
「絵のモデルにならないかい?」
絵のモデル。二人は考えたこともなかった。
絵画は知っていたが、そんな分野の世界が自分たちの人生と交差することなどないと思っていた。
声をかけてきたのは、真っ白な中型犬だった。
犬が絵を描くのだという。
ガーパイクもラケダイモンも芸術には疎かったが、絵というものは、何の展望もなく無為に機械的に生み出せるものではないだろうと考えていた。
きっと、「こうありたい」という「希望」を持てる者が絵を描くのだ。
こんな犬ですら、人生の目的ややりがいを持っているというのか。
怪しいとは思わなかった。言葉で相談するまでもなく、二人は犬の申し出を受けた。
最近すっかり妖怪のたまり場と化したアイスマンの家に、30代ぐらいに見えるドラコの男女がよく出入りするようになるのはそれからすぐのことである。
……十分暗い話だった。
過去話 †
「ね、兄貴。不老不死なんて体じゃなくてさ、明日死ぬかもしてないって、そう思える体だったら……私も幸せになれたかな?」
夕日を見ながらダイモンはそう言った。
「アイスマンのおっちゃんの、古い友達の話。不謹慎かもしれないけど、うらやましいって思った」
表情を変えないままのダイモンの瞳から、涙が一筋零れ落ちた。
アイスマンに拾われて、一緒に生活するようになってから、俺たちは死と不死の話を沢山聞いた。
妻を蘇らせる秘術を探す不死者の話
死神と話をする夢
生きることに目的を見出せず混迷する若者に、命とは何か教える話
余命3年の女性を妻に迎えた医者の話
生とは、死というゴールが見えているからこそ全力で走るもの。まるでそう言われているかのようだった。
ゴールがあるから、走れる。
ゴールが見えないのは、怖い。
明日死ぬかもしれないと、そう思えるなら、確かに今日生きることを大切にするかもしれない。
でもそれは幸せだろうか。
「いつか死ぬ身となれば、その死に怯えて生きていくことになる。それが明日かもしれないとなればなおさらだ。死ねることが幸せになる理由じゃない」
自分で言っておきながら、それならば何が幸せなのかわからない。
幸せとは何だ。
ダイモンも俺も、15,6の頃から味覚がなくなり始めていた。
今は食べ物とコケを混ぜた粘土の違いもわからない。それは、水も食料もない環境下で土とコケを食んで生き延びるためには都合のいい能力なのかもしれない。
けれども、そこまでして生きなければならない動機が、俺たちにはわからない。
人類という種に発生した癌。
死にもせず、食物連鎖の袋小路であるドラコは、搾取と破壊を行うだけのものということを例えた言葉だ。
癌細胞はヘイフリック限界を持たず、ただひたすら喰らい続ける。いずれ母体を殺してしまうにも関わらず、喰らい、分裂し、破壊を止めない。
母体が死ねば、癌細胞も共に死滅するというのに。
ドラコも、いずれは自分たちを生み出した人類を食い殺すという。体組織から染体をまき散らしつづけることで、人類という種を汚染していく。
いつか、人類に取って代わる種になるのだという。
ドラコは、人類が普遍的に死を恐れ、不死を望むあまり生まれてきたという。それが本当ならなんと言う皮肉だろうか。
それが俺たちの生まれてきた理由なら、俺たちは人類の願望そのものが叶った姿ということになる。
「自分の幸福すらわからないのに、人類の夢を背負わされてるのか……」
思わず口をついて出た言葉に、もう味覚のないはずの口の中で苦味が広がる。
「それでも、私たちには苦痛がある」
瞬きもせず、涙をぬぐうこともなく、ただ無表情に夕日を見ながらダイモンは言った。
「アイスマンのおっちゃんが言ってた。苦痛にも生きる意味があるって。苦痛を感じないものは石と同じで、ただあるだけだけど、苦痛を感じるものはその苦痛のぶんだけ生きてる意味があるって」
「わかんねえよ、そんな意味。苦痛だけが続く生に意味があったとして、その意味がどれだけの価値を持つ?そんな生き方をしたくてするやつがいるか?」
言葉にするほど口の中が苦くなる。なぜ俺たちは素直に幸せになれないんだ。
「それでも、かあさんは私たちが生まれてきたこと祝福してくれた」
お袋は教養ある人だった。膨大な量の文学作品を記憶していて、本も買えず学校にも行けなかった俺たちに、文学と歴史を教えてくれた。
そしてドラコの俺たちに人間の子供と変わらない愛情を注いでくれた。
「かあさん言ってた。人は経験には学ぶけど歴史にはなかなか学ぼうとしないから、間違ってたらダイが正しいこと教えてあげてって。ダイなら出来るから、ダイが間違ってたらかあさんが教えてあげるからって」
「かあさん……わかんないよう…何が正しいのか私もうわかんないよう……」
ちょっと前の話 †
人が死ぬってどういうことだと思う?
そう聞かれて
「人が死ぬということだと思う」
と応えた。
今の話 †
- さて、家族と友人の生存確認も終った。家族会議はっじまっるよー -- アイスマン?
- わぁい -- メリキャット?
- チッ -- 大空寺?
- 今日の議題は、ガーパイクの味覚について -- アイスマン?
- チッ
ホントにつかえねー -- 大空寺?
- ・・・・・・・・・・・ -- ガーパイク?
- なんでダイモンもガーパイクもずっと味覚がないことを私たちに隠してたんだい? -- アイスマン?
- 人は、自覚しないだけで、細かく他人の行動を見ているもんです。味覚を感じないことも、痛覚がないことも、汗をかかないことも細かく見られてる。 -- ガーパイク?
- そうして自分達と同じパルスを出さないものに気がつくと、それを排斥しようとする。
私たちは気がついた頃には人の真似をして、人と同じに振る舞う演技をしなければならないと信じてたわ。 言いようもない不安と恐怖に後押しされてね -- 大空寺?
- ドラコは何をどうやっても滅ばせないはずだ。その君達が何の不安に駈られて嘘をつきつづけているんだね -- アイスマン?
- おやっさんは、何の不安も不足もないものが、意識をもちえると思いますか? -- ガーパイク?
- 生存のために知能が発達し、その延長に意識があるのなら、絶対に死滅しない生物に知能が宿る必要なんてあるかしら?
その逆が私たち。私たちに意識があるのなら、私たちには失いたくないものがあるということ・・・・・・だから恐怖も不安もある -- 大空寺?
- それと人の演技をすることの関連があるのかね?何故人を模倣する -- アイスマン?
- それは親父さんが一番よく知っているはずです。アダマート・ノアとして、人を模倣するように造られたおやっさんが。 -- ガーパイク?
- インテリジェンス・デザインっ・・・・・・(吐き捨てるように) -- 大空寺?
- 俺達は、神の実在を信じています -- ガーパイク?
- 生まれてから今日まで、一日としてくそったれな創造主とやらを呪わなかった日はないわ・・・・・・
私たちが意識をもっていることが、この世に神が居ることの証明なの。だって、私たちが進化上で発生したのなら、私たちは意識を持つ必要はなかったもの。何者かが、目的を持って私たちの意識を作る以外では。 -- 大空寺?
- 何が理由で染体が苗床を模倣するのかは知りません。知りたくもない。
それでも染体には「模倣せよ」という呪いがかかってる。理由もわからない、漠然とした不安と恐怖で、ドラコは囲い込まれる。 人を真似られなくなることは、俺達には大きな苦痛なんです -- ガーパイク?
- アイスマン、貴方は何故犬でありながら人の姿に作られたの?なぜあなたの島にいる機械の神は動物を人の姿に変えたの?
同じ理由だわ。何かの力が私たちに、人のようにあれと強要する。そこから外れそうになると苦痛で締め上げる。 だから私たちは人のように振る舞う演技をしてきた。それが理由よ -- 大空寺?
- なんだ兄貴やっとゾーヤとセックスする決心ついたんだ -- 大空寺?
- はああ?!何言い出すんだいきなりー?!(がびーん) -- ガーパイク?
- いやー、ゾーヤは結婚しておきながら肉体関係がないとか納得しないって絶対 -- 大空寺?
- 待てよ!まだそういう話しは全然・・・・・・ -- ガーパイク?
- 指輪渡してたじゃねーか!まさか今更指輪をプレゼントしただけとか言わないわよね -- 大空寺?
- え・・・・・・指輪をプレゼントしただけなんだが・・・・・・
そうじゃなくてなんでダイモンが知ってるんだよ?!(すごいうろたえながら) -- ガーパイク?
- むしろなんで私が知らないと思った?経験でわかるでしょ、私が知らないことはないって -- 大空寺?
- 言ってる意味がわからん! -- ガーパイク?
- 私も説明しないから自力で理解して。ところであの状況で指輪プレゼントしただけはないわー。それはゾーヤの気持ちを裏切ることにしかならないわ -- 大空寺?
- ダイモンに何がわかる。今までだって、誰の事も好きになれなかったと言っていたのはダイモンじゃないか。なんでそのダイモンがゾーヤの気持ちが理解できるんだ -- ガーパイク?
- 理解と共感は違うから。条件から結果を計算すりわかるってだけでしょ。ゾーヤはきっと怒るわよ。兄貴がいつまでたってもゾーヤを束縛しようとしないからただでさえ不満がたまってそうなのに -- 大空寺?
- まるで矛盾してないか。ゾーヤは束縛されるのが嫌いだ。だからこの街を離れるのも嫌がったし、自分のすることに干渉されると不機嫌になる -- ガーパイク?
- 兄貴わかってないなー。ようするに嫉妬されたいんでしょ。誰にも渡さないとか言ってもらいたがってんじゃないの?あの行動は -- 大空寺?
- あの行動?なんのことだ?不眠症か? -- ガーパイク?
- ほら知らない。ゾーヤの事だって、私のほうがよく知ってるわけでしょ。それがダメなんじゃねーの? -- 大空寺?
- 知られたくないと思ってる事まで知ることにいい結果があるとは思えない。知ってほしいと思うことがあるなら隠さないはずだ -- ガーパイク?
- 兄貴がドラコなのに誰かを好きになれる理由がわかる気がした。根がおめでたいんだ。
羨ましいわ、マジで。 -- 大空寺?
- ガーパイクに甲斐性がない以上、出来婚に持ち込むしかないというぞにゃの判断はかんぜんにあってる -- アイスマン
- 色々突っ込みどころはあるが何で妊娠するのが俺なんだよ! -- ガーパイク
- だってぞにゃが妊娠したって絶対お前の子じゃないだろ?
でもお前が妊娠したら絶対にお前の子だろ? -- アイスマン
- うん……うn? -- ガーパイク
- さすがおっちゃんだわ、なんてわかりやすい説明かしら -- 大空寺
不老不死だったりドラゴンだったりする双子の兄妹。不死なのであまり依頼成功にこだわらないせいか、よく死ぬ。
基本的に中野さんの素なのでいつも通りのインテリヤクザキャラ。いつも通り生死観と哲学と宗教について長々と話します。
あと話しかけると本人たちより高確率でアイスマンからレス返ってくる。
生活 †
住居は花咲荘の地下室だが本人たちは家賃納めてない。
そもそも住んでるのが花咲荘って自覚がないと思う。
ちなみに花咲荘の地下室を借りているのはアイスマン。
地下室なのに野菜が育てられるほど日の光あふれるファンタジー部屋。
最近スイッチというものを知ったらしく、恋愛スイッチを嬉々としてONにしていた。
ラケダイモン?何か名前へんじゃね?て言うか女? †
名前 | ラケダイモン(LACEDAEMON) | | 性別 | F | | 人種 | ドラコ | 年齢 | 22 | | 職業 | 保母 | | ランク | RURAL(田舎の) | アイカラー | 青 | | ヘアカラー | 青 | | ニックネーム | ダイモン | 備考 | ガーパイクの双子の妹で、性格は空気を読まず苛烈。肉食系。 幼いころから母に勉強を教わった。得意分野はギリシャ古典と数学と物理。 しょっちゅう男を引っ掛けては取り替えていたが、最近大人しい。 何事もやる気がないのか、よく仕事に失敗してへらへらしている。 不老不死に肯定的で、なおかつ他人の死はあまり悼まない。人との付き合いは広く浅く、本気で誰かを好きになったことがない。 アチェ姉さんに感化されてベルモンド孤児院に就職 | 名前 | ガーパイク(GAR PIKE) | | 性別 | M | | 人種 | ドラコ | 年齢 | 22 | | 専攻 | 量子力学・哲学 | | ランク | RURAL(田舎の) | アイカラー | 青 | | ヘアカラー | 青 | | ニックネーム | ガー | 備考 | ドラコには極めて珍しい二卵性双生児。ラケダイモンのほうが妹なのだがキャラの濃さとかもろもろで兄のガーパイクは目立たない。といいつつ身長201cmと相当目方があるので人混みの中ではやたら目立つ。 性格は温厚、というか歳の割に落ち着きすぎている。 ちなみにガーという魚はかなりデカくなるのだが、気性が大人しいため水槽の中で他の魚と混成飼育していると他の魚にエサを取られる。 ドラコの存在に否定的で、心のどこかで生まれてきたことを後悔している。 ラケダイモンと違って他人の死には感化されやすい。そのため、いつか死ぬ相手と仲良くなることを恐れている。人里はなれた所で静に余生を送りたいタイプ。 壊滅的に異性とのコミュニケーションは苦手。ガチホモ説が流れる。 院で量子力学とウパニシャッド哲学を専攻 |
簡単に言うと、セックスした相手が死んでも「あの人死んだんだ」で終わるのがダイモンで 仲のいい人が死ぬと涙を流すのがガーパイク。
名前の由来 †
ラケダイモン / ガーパイク
RACE DORACO 人種の「レイス」ってアンデッドの「レイス」と同じ言葉だったんだね。知らんかった †
ドラコとはラテン語で蛇(ドラゴン)のこと。
ドラコは成長するにつれ姿が変わる。成体はリザードマンに近い姿で、全身を鱗におおわれ、全長20m(尻尾含む)にも成長する。
成体になるまで通常は140年、早熟な個体でも80年はかかるといわれている。
不老不死に近しい種と言われ、癌にかかるか特殊な毒以外で死ぬことはない。肉体は生涯成長し続ける。
非常に体が重く、水に沈むので泳げない
痛覚や味覚などの一部感覚がない
繁殖で増えるのではなく、「染体」によって増える。
染体について
ナノサイズの知性体が集まったものの総称。
無色透明で、海水を染色すると染体にだけ色がついて発見されたことから染体と呼ばれる。
性質としてはアメーバに近い。単独でも分裂繁殖するほか、他の生物に擬態していることもある。
なぜ他の生物に取り込まれ、その生物に取って代わるような生態なのかわまだ分かっていない。
今の話 †
- なんだ兄貴やっとゾーヤとセックスする決心ついたんだ -- 大空寺?
- はああ?!何言い出すんだいきなりー?!(がびーん) -- ガーパイク?
- いやー、ゾーヤは結婚しておきながら肉体関係がないとか納得しないって絶対 -- 大空寺?
- 待てよ!まだそういう話しは全然・・・・・・ -- ガーパイク?
- 指輪渡してたじゃねーか!まさか今更指輪をプレゼントしただけとか言わないわよね -- 大空寺?
- え・・・・・・指輪をプレゼントしただけなんだが・・・・・・
そうじゃなくてなんでダイモンが知ってるんだよ?!(すごいうろたえながら) -- ガーパイク?
- むしろなんで私が知らないと思った?経験でわかるでしょ、私が知らないことはないって -- 大空寺?
- 言ってる意味がわからん! -- ガーパイク?
- 私も説明しないから自力で理解して。ところであの状況で指輪プレゼントしただけはないわー。それはゾーヤの気持ちを裏切ることにしかならないわ -- 大空寺?
- ダイモンに何がわかる。今までだって、誰の事も好きになれなかったと言っていたのはダイモンじゃないか。なんでそのダイモンがゾーヤの気持ちが理解できるんだ -- ガーパイク?
- 理解と共感は違うから。条件から結果を計算すりわかるってだけでしょ。ゾーヤはきっと怒るわよ。兄貴がいつまでたってもゾーヤを束縛しようとしないからただでさえ不満がたまってそうなのに -- 大空寺?
- まるで矛盾してないか。ゾーヤは束縛されるのが嫌いだ。だからこの街を離れるのも嫌がったし、自分のすることに干渉されると不機嫌になる -- ガーパイク?
- 兄貴わかってないなー。ようするに嫉妬されたいんでしょ。誰にも渡さないとか言ってもらいたがってんじゃないの?あの行動は -- 大空寺?
- あの行動?なんのことだ?不眠症か? -- ガーパイク?
- ほら知らない。ゾーヤの事だって、私のほうがよく知ってるわけでしょ。それがダメなんじゃねーの? -- 大空寺?
- 知られたくないと思ってる事まで知ることにいい結果があるとは思えない。知ってほしいと思うことがあるなら隠さないはずだ -- ガーパイク?
- 兄貴がドラコなのに誰かを好きになれる理由がわかる気がした。根がおめでたいんだ。
羨ましいわ、マジで。 -- 大空寺?
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