アシェンディア家出身 フィン 335721 †
ID: | 335721 |
名前: | フィン |
出身家: | アシェンディア |
年齢: | 19 |
性別: | |
前職: | |
理由: | |
状態: | |
フィン&ノーシェ: | ステータス/戦歴 |
アギルノ: | ステータス/戦歴 |
人の街に不似合いな姿で、けれどどこか優しい眼差しで人々を見つめ続ける大きなグリフォンがいた。
上手く飛ぶ事すらままならなくても、決して諦めずに羽ばたく小さなグリフォンがいた。
家族が見つかる事は無かったけれど、新しい家族との暮らしを手に入れた白い猫がいた。
そして、つらい事や大変な事がたくさんあっても、やはり幸せだと言える生活を送る少年がいた。
そんな日々も、今はもうずっと昔。
大きなグリフォンはもう住処を壊してしまう事も無く、空を舞う姿が誰かの目に止まる事も無い。
色々な街で白猫を背に乗せたグリフォンが噂される事はあっても、その行先は誰にも分からない。
少年が丘の上の家で過ごした日々の残滓も色褪せていく。
それが1人の冒険者の結末。
死と隣り合わせの道に歩んだ末の、当たり前の結末だった。
けれど、かつてそこには確かに幸せな日々があった。
少年を探し、当てのない旅を続ける2匹の胸にもそれは残っている。
どこか遠い、でもいつか辿り着く場所で再び空を舞う日を取り戻した1匹もそれを忘れたりはしない。
だから、きっと。少年も日々に想いを馳せているのだろう。
またいつか会える日を信じ、穏やかな笑顔で。
丘の上の家 †
誰もいない部屋 †
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隣接した部屋(住人のアークさんについては こちら) †
こちらを編集
遠い場所の1人と1匹 †
「……だからー、俺だって確実に一人前に近づいてると思うよ? 自分で言うのもなんだけどー……」
丘の上の家でもなく、故郷の山でも無い、どこか遠い場所。
巨大なグリフォンに背を預けながら、自信に目を輝かせた青年が語りかける。
「こうしてアギルノが何を言っているのかもはっきり分かるようになったし。俺もまさかここまで成長していただなんて!」
その言葉に対して苦笑いが混じった声が応える。怪物の言葉ではなく、人の言葉で。……その違いに青年は気付いてすらいない。
「……え?他の子の言葉は、って? ……むー……それは言わない約束でしょー?」
むくれながらも楽しげな口調で言い、輝く毛並みに包まれるように抱きついて目を細める。
「んー……でも、こっちにだって沢山怪物はいるんだよね? それならさ、まだまだこれからも修行は出来るって事だと思うんだ。」
自分自身に言い聞かせるように呟き、小さく頷きながら片腕を空に掲げる。
「もしかしたらあっちと行き来が出来るような子だっているかもしれないし。無理なら魔法も修行してみたり!……確かに独学は厳しそうだけど……」
掲げた掌で数えるように指を折り、これからの事を考える。5年で出来なかった事でもこれから先に出来ないなんて保証は無い。
なにせこれまで生きてきた時間よりも長い時間が待っているかもしれないのだから、と。
「……なんにせよ手紙を嘘にするのは良くないです。うん、良くない。にゃーにゃの面倒をノーシェがちゃんと見てくれてるかも気になるし。」
片手の指が全部握られる形になった辺りで軽く目を擦り、緊張感の無いあくびを出してしまう。
抱きしめたグリフォンのぬくもりに身を預け、その懐かしさに思わず微笑む。
「ふぁ……とりあえずー……父上が『寝る子は育つ』って言ってたし、今は寝とこう、かなー……こうして抱きつけるのも久々だから、さ……」
うつらうつらしながら言い訳のように小さな声を出し、やがて目を閉じる。
ここには昼夜の区別はあるのかな、これは昼寝になるのかな、なんて事を考えているうちに、夢の中へと沈んていく。
「……そうだ、起きたら、案内とか……おねがいー……それでは、おやすみなさい……」