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ツェペシュ家出身 カウェント・ロッソ 446966 †
長身の赤い男の目の前に
行く手を阻むように立ちふさがる扉
その前で慣れた動作で足をあげ躊躇うことなくそれを蹴飛ばす
派手に吹き飛び外へと飛んでいく木製の扉
男にとっては心地よい感触、幾度も聞いた破砕音
微塵の名残惜しさも感じさせず、颯爽と歩き出すと壊れ倒れたそれを踏みつけつ外の世界へ
何時何時か戻るかも分からない、自身の城を振り返ってみる事もせずに男は旅立っていった
開け放たれたこの場所は時が経てば朽ちて壊れるだろう
しかし人の記憶と記録の中に男がここに居たという事は刻まれているだろう
男の名前はカウェント・ロッソ・ツェペシュ
赤い姿の目立つ男は確かにこの街に
ここに居たのだ
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だが気が向いたらある日突然
男は戻ってきているかもしれない
そういう男だ
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