マゥムル家出身 スィー・クリソプレーズ 417057 †
三行 †
なるほどさっぱり分からん †
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スィーはマゥムル氏族のエルフである。精霊を奉じるこの氏族は、他のエルフ同様にリョースアールヴの伝統的な教えに従い、森の奥で細々と暮らしてきた。
スィーは物心ついた頃より、精霊の声が聞けなかった。マゥムル氏族のエルフとしては甚だ劣る存在として認識されたスィーは、同年代のエルフたちだけでなく高齢の、一人前のエルフ達からも疎まれることとなる。
マゥムル氏族の村の外れには小さな祠がある。人よけの封印を施されたそこには、一丁の銃が安置されていた。
荒れた幼年期を過ごしたスィーは、いつしか余人の寄り付かないその祠で過ごすことが多くなった。
祠の人よけの封印が薄れ始め、数発の弾も一緒に安置されていた事。またスィーが精霊の声を聞けないまでも、魔力の行使であれば問題なく可能であったこと。
これが、スィーにとっての幸運となる。
とある年の祭りの日、彼女は氏族の村を後にする。
始まりは乱闘だった。年若いエルフが、年下の精霊の声が聞こえない「出来損ない」に対して放った侮蔑の言葉。
その言葉に対し、彼女は拳で返礼した。直後に彼女を目の敵にしていた若年のエルフたちによる排斥が行われたが、その動きは一発の魔術が森に響き渡った事により、止まった。
「もうたくさんだ。カビの生えた教義に、群れなきゃ何も出来ない阿呆共。アンタらは普段見下してるディックアールヴや人間にも劣るよ」
引き金を絞った彼女は言う。
「じゃあね。あたしは、次の世界を見に行くよ」