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父様や母様の背中を追いたくて、というのももちろんある。 でも一番大きなものは、母様が夜ごと語ってくれたお話だった。 『私はね、本当はこの世界の人じゃないんだよ』 そう言って笑う母様は、少しだけ、ほんの少しだけ寂しそうだった。 そんな母様が続けて語ってくれた、異世界のお話。 もちろん、怖いお話もあったけど、むしろそれがほとんどだったけど。 そのお話を聞いているうちに、こう思うようになっていったんだ。 『いつか、いつでもいいから、母様の故郷を見てみたい』って。
父様は魔法。母様はラーサとかの演算ユニット。 二人の血を継いだ姉様も魔法使い。だったら、あたしも魔法を使えるって思うのは当然だと今でも思う。 でも、結果はそんなあたしを簡単に裏切った。 魔法適正は皆無。そんな検査結果を受け取ったのが、確か10歳になるかならないかの頃。 子供心に、すごく落ち込んだその気持ちを、今でも当時のことのように思い出せる。 どうして、あの二人の子供なのに、あたしは魔法が使えないの? そんなことを思いながら、ぼんやりと日々を過ごしていたその頃だった、はず。 あたしが、あのブリキの人形と出会ったのは。