あるところに、人魚と人の間に産まれた、半分人魚の少女がおりました
少女は何時も孤独を感じていました
彼女の産まれた家は人魚の間では名の知られた家
血統を重んじる名家に産まれた、何処とも知れない人間の血が混じった忌み子
表向きは大事に育てられたものの、自分が蔑まれている事を少女は良く知っていました
人魚でありながら陽光を浴びて焼けてしまう自分の肌の色
それは何よりのコンプレックスで、次第に彼女は人魚達の群れから離れ人に近づいて行きました
しかしそこでも向けられたのは侮蔑の視線でした
娯楽少ない辺境の地、四方を囲む海は子供達の絶好の遊び場でしたが
海に出てしまえば人魚の血は誰にも負ける事はなく、次第に皆少女の元から人は去って行きました

自分はきっと、誰とも仲良くなる事なんて出来ない
それは、きっと仕方のない事
少女は諦めていました

時が過ぎ、大人になりかけていたある日の事
少女は一つの何でもないチラシを目にしました
ギルド員の募集…港にでも貼り付けられていたのでしょう
加工をされたチラシは、それでも少しくたびれていましたが
少女の目にはとても、楽しそうに見えたのです
そこは辺境に浮かぶこの島から、七つの海を越えた先
永劫目にする事は無いと思っていた、遠い遠い世界から流れてきた報せ
少女は、それを運命だと感じたのです
そうして辿り着いたその先で、少女は初めて仲間というものを知りました
共に笑い
共に泣き
共に過ごす楽しさを
生きている事の喜びを、初めて感じる事が出来ました
それから先、少女が国へと戻ることはありませんでした
最高の仲間達に囲まれた、その場所が少女の居場所となったからです
そのギルドの名前は…………………


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+  幸せものの半人魚のお話

Last-modified: 2013-04-02 Tue 21:11:04 JST (4035d)