・・・・ ミハイロフ家出身 ジリョーニ・ツビェット 496900 ・・・・
祝・旅立ち!

「だからまた続けましょう?幸せな日常を。」
ID:496900
名前:ジリョーニ・ツビェット
出身家:ミハイロフ
情報:15歳・女・占い師・故郷に錦を飾りたくて
状態:
edit/refer
その他:ジーニ・ステ/戦歴  ステEdit
スニェグーラチカ・ステ/戦歴Edit
♥♥♥:ユーリステ/戦歴/迷いの森/あなただけのことをすべて
♪:IKOVEAdenium 旧:
3行:・ミハイロフ家のみそっかす娘が洋上学園都市へ!
ユーリのお嫁さんになって、一緒に故郷へ凱旋!
・ミハイロフ家当主になったけど逃亡中?
・危ない事もあるけれど、私は元気です
・・・・ ショートカット ・・・・
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企画/洋上学園都市

それから。 Edit

黄金暦251年。

長く不在だったミハイロフ家の当主の座に、緑の髪の末娘がおさまる事となりました。

北の雪国の王宮では盛大なパーティが連日催され、国内外から沢山の人がお祝いに来ます。
外国から来たどこそこの王族、貴族、紹介されるたびに緑の娘は笑顔で挨拶。
国内から来た王族、貴族には夫になったユーリを紹介してやっぱり笑顔。
いつの間にかユーリはどこぞの貴族の嫡男という事になっていたり。お膳立てはばっちりでした。
兄や姉や、もしかしたら両親が、色々手を回してくれたのかもしれません。
偶然にも彼はこの国の一番古い王様にそっくりだったので皆が彼を歓迎してくれました。



そしてお祝いも終わり、当主は最初の務めを果たします。
ミハイロフ家当主の最初の務め、それは北の雪国を守る結界に魔力を注ぎ、自分と繋いで安定させる事。
沢山の古い時代から生きる魔法使い達や、王様、貴族に見守られる中、儀式を行うのです。


お城の地下の大神殿に、気が遠くなるくらいに大きな魔法陣がありました。
国を守るためにミハイロフの魔法使い達が何百年もかけて創りあげたもの。
沢山の魔法使いが魔法陣の隅に座り、その真ん中に緑の髪の少女が降り立ち、歌うように呪文を紡ぎます。
白く艶のあるローブをなびかせて両手を広げ、どこか遠い異国を思わせる金の装飾品をきらきらと揺らし。

呪文は遠い昔の神様の言葉。
とてもとても古いから、その言葉の意味はもう神様しか知りません。

「恋の歌のようだね」お祝いに訪れた年寄りの竜の化身が呟きます。


緑の髪は星のような銀色に染まり
少女の持つ魔法の杖の、虹色の大きな宝石に菫の色の炎が灯り

その光が魔法陣を満たしていって…………



少女の足元から緑の芝生が絨毯の様に広がっていきます。
それを追いかけるように青い小さな花が緑の上に咲き誇り、
目の前の小さな芽がみるみるうちに大きな樹に育っていく様は、泉が湧き出るかのようで。
樹はお城の高さよりも高くて、とてもとても大きくて。

それを見て「あれは、若い世界樹だよ」と誰かがつぶやきます。

その上は洞窟のはずなのに光り輝く星達と、虹色の月。
太古の空はこんな風だったと、昔読んだ絵本に描いてあったことを少女は思い出しました。

樹に生い茂る葉が揺れてさざなみのような音がやさしく響き……少女の前には枝に吊り下げられた花ブランコが現れて
二人用のそのブランコの上には青い花の花冠。

それを見ると少女の胸は締め付けられるように苦しくなって……でも嫌ではないのです。
同じくらいあたたかい気持ちも心を満たしてくれたから。

それは少女の良く知る感情。

誰かを想う、たった一人の人を想う、切ない気持ち。



恋心。



その向こうから黒衣の人間がやってきます。
お城の古い謁見の間に飾ってある絵にそっくりな黒髪の青年です。
両手いっぱいに花冠に使われているものと同じ青い花を持っていて、
この花冠は彼が作ったものなんだと少女は思いました。

……この恋心もまた、彼へのものなのだとも。


すべては魔法が見せている幻。誰かの懐かしい記憶のような……。


花冠に手を伸ばすと、触れたところから光の花びらが溢れ出し
樹や星空も皆飲み込んで消えていきました。

ひらひら舞う光の花びらの、最後のひとつを少女は両手で受け止めて……



…………そして世界が元に戻り、少女の目の前には…………幻のはずの黒衣の青年。




………………………そこから先の、ちゃんとした記録はありません。

ただ神殿内で大きな事故があり、緑の髪の少女は死んだと伝えられました。

「魔法陣が暴走して、闇が溢れて少女を飲み込んだのだ」
     その場にいた誰かが言います。
「いいや、あれは暴走ではなく、我らの知らない”何か“が少女を連れ去ったのだ」
     その場にいた遠いエルフの国の古い魔法使いが言いました。

沢山の証言が集められて、

「最も古き王が少女を気に入り、迎えに来たのだよ」
     その場にいた黒い竜の化身が言った言葉が最後に記録されました。


本当は何が起こっていたのかは、誰にもわかりません。
ただひとつ、少女はもうこの世のものではなくなっているだろうと、それは皆が口をそろえて言いました。

闇が銀色の髪になった少女の胸を貫き、沢山の血が溢れているのを見たからです。

無邪気に笑う子供のようだった新しい当主の死に、誰もが悲しみ、落胆しました。
ただ魔法陣にはしっかりと魔力が宿ったあとだったのが唯一の救いです。
これで数百年は魔法陣の守りが働き、人々が自然災害に苦しむことはないのですから。



悲しむそぶりをさっぱり見せないのは、北の雪国を守る黒い竜。
緑の娘は彼のお気に入りだったという噂だったのに。

黒い竜は大混乱のお城の中、もう使われていない古い謁見の間で
そこに飾られている最も古い王の肖像を眺め、静かに微笑むのでした。
……隣には、困った顔であうあう言う鬼の子がひとり。






国中が大騒ぎの中、出港する船が一隻。
遠い国へ美術品を届けるための貨物船です。
その甲板の上で、緑の髪の少女が、薄い栗色の青年の手を引っ張って船尾へと走ります。

「ああもうだいぶ遠い…さよなら、故郷。愛しい人達。またいつか」

北の雪国に手を振りながら寂しそうに呟いた少女。
隣で肩を抱く青年に、にっこり無邪気な笑顔を向けて


「……ねっユーリ、これからどこへ行こうか?」



見た目よりも少し幼い声が、どこまでも青い空に響くのでした。

迷いの森 Edit

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お名前:
  • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif 黄金暦251年 4月(港近くの古い教会)
    • (北の雪国へ向かうために待ち合わせ。旅行の時と同じように船で行くことになったのだった)
      (恋人には事前に待ち合わせの場所と時間を送っておいた。白い上品な封筒と手紙で)

      「港の近くの古い教会で待っています。ちょっとだけいい服で来てね?」 -- 2013-09-03 (火) 02:10:00
      • (ようやく馴染んできた新しい店を引き払って、扉に貼ってある売り出し中の張り紙を撫でると少女は教会へ向かう)
        (手には大きなトランク。ぎゅうぎゅうにつまっているから酷く重い。それを片手で持っているのだからよたよたしてる)
        (もう片方の手には別のもの……白くて、かわいくて、綺麗で、いい匂いなの)

        (たどりついたのはもう神父すらいない古い教会。手入している信者のおばあさんに、鍵を開けてもらう)
        (教会の中には、その木造の建物と同じくらい古いデザインの大きなステンドグラスがあった)
        (百合を抱いた天使。ただその翼は白いものではなく青みがかった黒いもの。身に纏っている服もそうだ)
        (一見禍々しくも見えるけれど…少女にとってはとても馴染みのある色。黒は神様の色だからと、子供の頃から教わってきた)
        (そんなステンドグラスの前に、白いワンピース姿に白いヴェールを被った少女が立っている)

        (両手に、白くて、かわいくて、綺麗で、いい匂いの……ブーケを持って)
        -- ジーニ 2013-09-03 (火) 02:11:07
      • (色々な事を抜けて。青年は道を歩く。)
        (頬に出来た擦過傷を親指で撫でれば、指の通った後、肌は傷を消して。)

        (ジャケットの肩を払った。ツィードの生地の上から汚れが払われると同時。)
        (服が僅かに揺れたように見えて、破れ、解れた布地が元の通りに。)

        (そしてジャケットの裾から、右手を背へと差し入れる。)
        (手を引き抜いたと同時。そこには小さなサイズの、革のボストンバッグが握られていた。)

        (港近くのこの場所。旅立ちの客を対象としたであろう店、道端のショーウインドウの中。)
        (映り込んだ己の姿を見て、髪をぐしぐしと整えて。)
        (ボタンダウンの胸元、何となく落ち着かなさそうに触れた。)

        (息を吸って、吐いたと同時。)
        (足を撫でるウール生地の感触を感じながら、最後の一歩で足を止めた場所。)
        (木造の古い教会が、そこにあった。)
        (なんとはなしに、見上げる。)
        入った瞬間に足先から消えたりしたら、なんだろ。笑うな。
        (神様は化物を見逃してくれるだろうか、なんて馬鹿げたことを思って。)
        (小さく笑いながら、教会の扉に手をかけた。)

        ジーニ。
        (開いた扉の向こう側。教会の床を、消えないままの靴底が叩く。)
        (愛しい少女の名を呼んだ声が、反響した。)
        (求めた姿は、探すまでもなくて。黒の目立つ、教会の中。唯一白い、雪百合の色に覆われて在る。)
        (薄布、ヴェールの向こう。その瞳を見ながら、青年は微笑んだ。)
        悪い、遅くなった。 -- ユーリ 2013-09-09 (月) 00:46:28
      • (扉が開かれる木の軋む音。虹色の薄い光の中、振り返る)
        (待ち望んでいた人がそこにいた。お願いしたとおり、いつもよりもちょっとフォーマルな姿で)
        (見慣れない姿。でも良く似合っていて、そんなんだからドキドキしてしまって、一瞬言葉に詰まってしまった)
        …えへへ。いいよ、船が出るまでまだまだ時間はあるし。
        それに…
        (理由はなんとなく、わかるから)
        (そう続けようとして、やめた)

        (青年がそれを隠そうとする限りは、知らないふりをしようと決めていたから)

        (人ではないもの、狩人に追われる身)
        (そんな存在が同じ場所にずっととどまればどうなっていくのか少女にも想像できる)
        (ただの人のように暮らすのは、心が磨り減ってしまうような努力が必要)
        (今までどんな風に生きてきたかも教えてもらっていた)

        (無理やりにでも四六時中傍にいて彼を守ろうかと考えた事もあったけれど)
        (そうしたら自分を守るためにさらに普通の人として振舞えなくなってしまう気がして)
        (だから彼が普通の人間のふりができるように、知らないふり)
        (扉を開けて、笑顔を見せてくれるのを信じて待つ生活が続いていた)

        (けれど、そんな生活ももう終わり)

        (今日からはずっと一緒)


        (ステンドグラスの下、少女は小さな祭壇の前で右手を差し出す)
        (左手には結婚式で勝ち取ってきたブーケ。はにかみ笑顔で)

        ユーリ、ジーニと結婚式ごっこしよ?
        立会人も神父様もいないけど、二人で。

        向こうに行ってからでも良かったんだけど…やっぱり、ここでそれっぽいことしておきたいなって。
        もうひとつの故郷の、この町で。

        (普通に式をと考えてもいたけれど…人を呼んで目立ったら、ユーリがまた危険な目に合うんじゃないかって思ってやめにした)
        (事前にこのことを言ったら色々気にするかなと、彼にも詳しくは言わないでおいた)
        (本当にささやかな、子供みたいなごっこ遊びで少女は十分だったから)
        -- ジーニ 2013-09-15 (日) 07:47:48
      • (少女の姿は、己の格好よりも余程教会に相応しく。)
        (けれど青年の表情に驚きの色がなかったのは、それを予想していたからか。)
        (ほにゃっといつもの様に笑ってこちらを許すジーニへと、ありがとう、と一つ礼を告げれば。)
        (教会の硬い床、青年の靴底が叩く。)

        (左右、普通の建物とは異なる建築様式。)
        (なんだか、場違いとも感じてしまうその場所が擽ったくて。)
        (まだ少女の元へたどり着くには、入り口からの半ば辺り。)
        (少しばかり、歩みが遅くなった。)
        (そこへ差し伸ばされた、少女の手。)
        (こちらを招くような。いや、誘うその仕草。)
        (青年は、眉を上げて。それから、微笑んだ。)
        (何となく己の中にあった小さな萎縮など、この少女が誘うのであれば、灰の如く散る。)
        (手の中のバッグを近くの椅子へと置いて、再び少女へ向けて歩みを進めて。)
        (そんな青年へ向けて、伸ばされた手を追った、少女の言葉。)
        (それを聞けば。向けられた笑顔を見れば。)
        (青年は、笑った。悲しさ、申し訳なさ。そんなものの入り混じった苦さを、喉の奥へと押し込んで。)
        はは。ごっこ、か。…ごめんな、ジーニ。
        (普段は、謝ることはやめようと決めていたけれど。)
        (今だけは、謝罪の言葉一つ。それはきっと、女性にとっては特別なものだと思えたから。)
        (そしてそこでようやく、青年は少女の前へと辿り着いた。)
        (はぁ、と。深く息を吐きだして。)
        親父と母さんに怒られるな。こんなとこまで真似なくていい、って。
        (後頭部をかりかりと掻きながら、眉間に皺を寄せ、口をへの字に曲げて。)
        (気まずそうに俯いてから。一拍の間。)
        (息を吸い込むと同時、青年は顔を上げて、右の手を伸ばした。)
        (祭壇の、少女より一段低い所から。)
        (まるで、尊い人を、低き場所へと誘うように。)
        (昔話に語られる、人を闇へと引きずり込む、化物のように。)
        (こちらへと伸ばされた少女の手を掴む。)
        ジーニ。
        (名を呼んだ。他に代えられぬその響きを。) -- ユーリ 2013-09-23 (月) 01:29:49
      • (こんなことしなくったって、誓いはもう十分沢山立ててもらっていたし)
        (自分のただのわがままなだけなのに、ユーリがごめんって言うこともわかっていたのに)
        (ブーケに少しだけ顔を隠して)

        …謝らなくていいのに。ジーニのわがままなんだから。
        (やっぱり、我慢すればよかったかな)
        (俯くユーリを見て、ほんのり後悔)
        本当に、本当に、ちょっとだけの思いつきだからっ
        そ、そんなにきにしなくてもいいのよ?
        誓いの言葉とか、ジーニ調べてきてないしっ…ほ、ほんとに、てきとうで……!
        (慌てて明るい声で言い、そのまま手を引っ込めそうになった時……)
        (……待ち人の手が届いた)
        (冗談で流してしまおうかって思って作った笑顔は、ふっと消えてしまって)
        (薔薇色に染まった頬。嬉しさを隠し切れない瞳)

        (ヴェール越しに彼の顔が見えて、どきんと胸がまた高鳴る)
        (ステンドグラスの鮮やかな光に照らされた少女の影の中、見つめる青年)
        (とても明るくて優しいのに、とても深いところはずっと暗闇の中)
        (どこか危うくて、いつの間にか夢中で追いかけていた黒い瞳)

        ……ユーリのお父さんとお母さんの結婚式も、こんな感じだったの?
        じゃあそのまねっこをしよっか。そういうの、素敵よね。

        (初めて会ったときよりも少し低くなった気がする声で、彼が名前を呼んだ)
        (少女は闇に誘われるようにヴァージンロードの段をひとつ降りて、青年に近づく)
        (薄暗い闇の中、その姿は光るように白い)
        ……はい。
        (ひとつ返事をすると、光と同じように柔らかく、あたたかく微笑んで)
        (言葉の続きを待った)
        -- ジーニ 2013-09-28 (土) 15:42:41
      • (少女の瞳の中、揺らぐ感情、喜びの色。己の舌の上、触る甘い感触。)
        誓いの言葉とか、俺も知らないけど。
        いるのかわからない神様よりも、俺はお前に誓いたい。
        (降り注ぐステンドグラス越しの光彩は、少女へと白百合の色。青年へと暗い翼の色。)
        ここよりももっと崩れかけた、おやじの故郷でやったんだってさ。
        詳しい話は聞いてないけど。けど、うん。
        (それでも彼らは、未だに仲睦まじいと。言葉は続けぬまま。)
        (青年は、少女が己と同じ段へと降り立てば、膝をついた。)
        (握った繊手を両の手で包むようにし、額を寄せて。瞳を閉じる。)
        (深呼吸一度。そしてそれは、囁きかけるような。)

        お前がいれば俺はきっと病まず、悲しまず、貧することはない。
        (人としてあろうとする化け物であるが故に。)
        (人としての在り方を決めるのは、その心のみであるが故に。)

        だから。もしもお前が傍に居てくれるのなら。
        (額を少女の手から離し、そして暖かな微笑みを見上げて。)

        その代わりに、お前に全てを捧げたい。
        (薄闇の中、白く仄か浮かび上がるような相手へと、請うた。)

        お前だけを愛し、敬い、慰め、助けよう。
        (黒の瞳のその中心。揺蕩う色は血色の真紅。)

        いつか、死が二人を分かつまで。
        (死すらも曖昧なモノは。)

        一年か、百か、千か、あるいはそれよりもずっと長く。
        (死すら死する永劫へ向けて。)

        俺たち二人在る限り、真心を尽くすと誓う。
        (在ろうとする姿。己の定義。情報から為るに近い身を定める。)
        俺と一緒に歩いてくれ。ジーニ。 -- ユーリ 2013-10-07 (月) 23:48:38
      • (祭壇からひとつ下に降りた場所)
        (きらきら差し込むステンドグラスの光から遠ざかって、薄暗く)
        (ここからじゃ祭壇に…神様のいるに手が届かない)

        (でも、神様からも手が届かない)

        (二人がお互いに誓い合うのに、とても相応しい)

        (優しく囁く愛の誓いは形式にのっとったものではなく)
        (彼らしいまっすぐな言葉)
        (息苦しくなるくらいドキドキしているのに、心はとても優しい気持ちで満たされて)

        …ジーニも、ユーリに誓いたいな。
        (跪く青年を見下ろして微笑む)

        神様には、黒竜様には、もう旅行の時誓ってきたから。

        ユーリが全部くれるなら。ジーニも、スニェグーラチカも、全部あげる。
        そばにいるよ。
        悲しい時も、苦しい時も、お金がない時だって、病気な時だって
        つらい時は辛くなくなるまでずっと一緒にいてあげる。
        ずーっとね、ユーリが笑顔でいられるように頑張るから。
        だからずっと一緒に笑って生きていこう。
        (あどけなく、子供のように誓う)

        (………けれど)
        (ふいに、その歳よりも幼い笑顔はとても大人びたものになった)
        (ブーケを手放して、彼の頬へ………)

        (愛しげに見上げる、混沌の人)
        (大好きな黒い瞳の奥底に、少女の片目より尚紅い色)
        (紅は命の色。だけど、死の象徴の色でもある)
        (彼のすぐ傍に常にあるもの、死の匂い)
        (永遠に逃げられない。それも彼なのだから)

        (どんなに人のふりをしても、人にはなれない)
        (彼はこの事に苦しみ続けるだろう)
        (死すら死する永劫に)

        永遠に、私は貴方だけのものよユーリ。

        ………貴方が望むのなら、私は何にでもなるわ。
        死んだって、わかれられないくらいにユーリのこと愛してあげる。

        人の子のようにいたいのなら、人の子でいられるようにしてあげる。
        ずっと一緒に人のふりをしよう、ユーリ。

        (頬を撫でて、そして)
        (とても優しく囁く)

        でも………
        もし、いつか………人の子でいるのがどうしょうもなく苦しくなったら………。

        ………一緒に、ばけものになってあげるわ。

        だから、永遠に……貴方はジーニだけのものよ。
        (左右色違いの瞳には慕情。それは狂気にも似た、とても強い想い)



        (船の出港を告げる鐘の音が鳴り響く)
        (………もうすぐ、時間だ)



        (少女はまた元のあどけない笑顔に戻り、彼の唇に軽く触れた)

        えへへ……誓いの証、ちょうだい?
        -- ジーニ 2013-10-15 (火) 00:41:52
      • (少女の二面は青年の希望も絶望も手に入れようと。或いはそれは、貪欲に過ぎる愛の形。)
        (けれど、それはきっと、青年の死を少しでも遠ざける、少女の想い。)
        (少女の全てを欲しいと望む青年と、青年の全てを叶えようと望む少女と。)
        (青年は少女に誓い、少女は青年に誓う。)
        (這い寄るように青年から少女へと投げ掛けられた言葉。)
        (許しを与えるかのように少女から青年へと下された言葉。)
        (互いの間に揺蕩う誓い。瞳の中の熱と熱。交わされて融ける。)

        (それを揺らすのは、響く鐘の音。)
        (この島を象徴するような、海越え届かんと鳴る金音。)
        (旅立ちの時を告げるそれは、あるいは祝福の。ウエディング・ベルであったのか。)
        (教会の中。反響し、鼓膜を揺らす。)
        (青年は、唇に触れた柔らかな感触と少女の言葉に、微笑んで。)
        (両の手で握っていた、少女の右手から手を離す。)

        (代わり、ブーケを離し、こちらの唇へと触れていた少女の左手。)
        (それを己の左の手で受ければ、立ち上がると共に、身を折って。)
        (少女の繊手、その薬指へと口付けた。)

        (ちろり、と。舌先が、ジーニの肌を僅か舐めて。継いで、ふぅ、と小さく息を吹きかけた。)
        (身を起こし、青年の口元から離された時、少女の薬指、白い肌の上。)
        (気づけば薬指を一周取り巻く、金属の細い輪。)
        (青年の髪の色にも似た、白栗色。細かな文様の入った。)
        (そこから手を離した青年の左薬指にも、同じ色の輪。)
        (悪戯げな笑いを浮かべて、そして。そのまま青年の左手は少女の頬へと伸ばされた。)
        (手の中に触れる、柔らかな感触。)
        (こんなにも近くに。)

        (からん、からん、と。響く鐘の音の下。)
        (交わされ、揺蕩う誓いを定めるように。)
        (愛しい少女の頬を撫でて。)

        ありがとう。愛してる、ジーニ。

        (舌の上。感じる熱い甘さは、相手の恋情か、己の愛情か。)
        (わからないけれど、わからないからこそ、それは殊更に甘く。)
        (それを伝えようと、青年は少女へと口付けた。)

        (誓いはここに。)
        (ユーリ・カミクラの物語だった。)
        (そしてここからは、二人の。) -- ユーリ 2013-10-17 (木) 21:01:11
      • (誓い。つまりはキスを待ち、どきどき胸をときめかせていると)
        (とられて左手の方に唇が触れて…ちょっとだけくすぐったさ)

        (キスは左手の薬指だけかな?唇にしてくれないの?とう訪ねようとした時)
        (……視界に入る、自分の左手に)

        (………………………………………金と白のあいのこの色に光る、細い指輪)

        (繊細な模様。どこかあったかい、優しい色)

        ……あ…これ…っ…………!

        (左右色違いの瞳をまんまるくして、驚きと嬉しさで上手く声が出ない)
        (金魚みたいにぱくぱくしてるほっぺたに触れる大きな手にも、おそろいの色が光っていた)
        (見上げる瞳に涙が揺れる。こぼれそうな嬉しい涙)
        (自分の左手と右手、両方を重ねて)
        (薔薇色の唇がとても小さく「ありがとう」と囁く)

        綺麗…大事に、するねっ……!
        ジーニ、指輪の事なんて、今すっかり忘れてて…だから…びっくり…うれしー…
        (嬉しさを必死に伝えようとして、まとまりのない言葉)


        (……でも、それも)

        (”愛してる“)

        (彼の一言で、不意に途切れた)
        (その言葉をくれた唇が、今度こそ、少女の唇に触れる)

        (キャンディを口に入れているみたいに、甘くて蕩けそうな口付け)
        (そっと閉じた瞳から、一筋の涙がこぼれた)

        (少女の望むままの、誓いの証)
        (言葉で、形で、口付けで……これ以上何も思いつかないくらい、沢山の証を受け取って)
        (時間が止まったような静かな教会の中、唇をはなして、微笑みあう)

        exp026861.jpg

        あ、いけない。ずーっとこうしていたいけど、船が出ちゃう…!!
        ……行こう、ユーリ!
        (少女は青年の腕からするりと抜けると、赤いヴァージンロードを軽い足取りで走り、扉を開いた)
        (眩しい光が、教会に満ち溢れる)
        (白い少女の姿がその光を柔らかく受け止める)
        (あと一歩、光の中に入る前。後ろに手を組んで、振り返り)

        http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp026862.jpg

        ジーニも、私も……愛してるわ、ユーリ!

        (見た目よりも幼い声が、教会に響く)
        (少女は無邪気な笑顔)

        (…………その笑顔はいつかの夏の終わりに見せたものに、よく似ていた)

        (そして、光の中を差し伸べた手を、青年が取る………………………………)




        (ひとりひとりの物語の終わり)
        (ここからは、夫婦となった二人の物語のはじまり)

        (二人は眩しい光の中に歩き出す)
        (光が眩しければ眩しいほどに、足元の影は深くて濃い闇が現れる)
        (常にその闇に足をとられ続け、苦しむかもしれないけれど……でも、ふたりなら、きっと)


        (きっと、ずっと、幸せに)


        -- ジーニ 2013-10-19 (土) 20:24:17
  • http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst079485.gif

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相談しようそうしよう Edit

ユーリとジーニ専用コメ欄なの。(二人のコメ欄へコメントページへ直行

&br; &size( ){ }; &ruby( ){ }; \/ '''' &COLOR(#00984f){ジーニ}; &new{now?};
+  http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp026122.jpg 

ミハイロフ家の魔力のない末娘 Edit

+  ジーニの設定色々!

Edit

描いてもらったやつ!自分で描いたのはろだで「あうぽよ」か「***」か「ジーニ」か「四女」で検索すると出てくるよ!

http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp025384.jpgおっぱいーんhttp://notarejini.orz.hm/up3/img/exp025458.jpgミスコンにて!
http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst083413.pngミハイロフ系雑誌?!http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp025702.jpgリング争奪戦!
http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp025801.png二人のジーニhttp://notarejini.orz.hm/up3/img/exp026043.pngおっぱいいいよね…
http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst083811.png雪合戦!!http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst083804.jpgダイスを転がせ!
http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp026100.jpg特別な日は白い服

??? Edit

+  スニェグーラチカ設定色々!

ペット Edit

http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp025865.jpg・・うさ毛玉・・
カオルにもらった謎の生物。生物?名前はまだない。
育て方の説明書

こめあうあう Edit

http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp026148.jpg
http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst083506.jpg


Last-modified: 2014-01-03 Fri 23:28:42 JST (3931d)