IG/南区倉庫跡地
- 兵どもが夢の跡 --
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- 夕日に照らされる伊上の街を見る。
超巨大怪異によって壊され崩れたはずの建造物はそこにはなく、つい昨日見た景色がきらきらと反射する水面の向こうにあった。 あれは白昼夢か、あるいはキツネに摘ままれたのか、そう疑いたくなる程に安穏とした風。 春の匂いを感じるそれがススだらけの髪を撫でつければ、アタシは小さく息を吐いた。
夢なわけがない、と、ロボ部の皆で作り上げたRXを見上げる。 川べりに座るように倒れた超巨大怪異に勝るとも劣らぬその体躯は、あちこちが損傷し、融解し、あの出来事が夢なんかじゃない事を如実に表していた。
あの怪異の中から現れた少女については何も知らない、有名やクロ、やどりとの関係も全く不明だった。 でもま、これはきっと必要な事だったんだろう。 何もかもを知っていなければならない訳じゃないし、知らなくても役に立つことは出来る。 ……まあ、釈然としない所もあるけれど。 と、なぜか修復されなかったRXガーディアンを見上げ、ポリポリと焼き菓子を頬張る。 そういや、一緒に乗ってたクリスは大丈夫だろうか、あと誰がコックピットから出してくれたのだろうか、と辺りを見渡すのだ。 --
- ……(なんて、黄昏顔で全壊にも程があるRXを見上げるアオイの背後から)
\はー!なんだってRX「だけ」直してくれなかっただろうねあのやどりくんみたいななんかは!誰が修理すると思ってんだ!!/(うわっ甲高いこども声!天才だ!) はーあ、まったくひどい有様になっちゃってまあ……ついこのあいだ完成したばかりだよ?ならし運転する間もなく全壊だよシャア専用ゲルググかって話だよまったく!!(ぷんすか) だいたいぼくとみんなの傑作があんなドロドロに負けたのも気に入らない!フィールドバリアの最大出力をもっと上げるべきだったね!(なんてひとしきり毒づいてから、くるりとアオイに向き直り) ……えーと。ぶ、無事でよかった……違うな……そのぅ……お、おつかれ?(かけるべき言葉をせいいっぱい探した結果、とても間の抜けたひとことになった) -- クリス
- ん、おつかれクリス(ぴょこ、と口に咥えたお菓子を跳ね上げつつ、いつも通りの調子で返す)てか、お互い酷い有様だねウケる(煤だらけ)
てか、みたいなじゃなくてやどりっしょアレ、りゅーちゃんの尻尾?見つかったのは聞いてたケド、あの髪飾りが残りの一つだっ的な? まーやどりは意地悪するような子じゃないし?何か理由があると思うけどね、敢えて直さなかったとか、あるいは忘れてたとか?……やどり的にはあり得る (クリスの頭わしわししつつ、お菓子の箱を差し出して)とりま良かったじゃん?守れたっぽいし、名前の通りにさ?(ウインクして親指立てるアオイだ) -- アオイ
- ……うん、おつかれ(いつもどおりの顔と口調で、なんでもなかったように返してくれる。そんな強がりがどうしようもなく目頭を熱くさせるので)
ハハハぼさぼさ頭で煤だらけになることは科学者の本懐だからどってことないさ!だめだこりゃ、とか言っとけばいいかな!?(乗っかることにした。一仕事終えた後に湿っぽい空気はそぐわない!) うーん、やどりくんに侍ってるあのドラゴンズドリームみたいなかわいいやつについてぼくは詳しくないからねぇ…あんな力あったんだね彼…語尾に「だべ」とかついてたのに… 理由…理由?こんな目立つ物体をシカトする理由が…?ぼくも忘れてた説に一票だね、街と人のことで頭いっぱいで「ロボット」にまで意識向かなかったとか…あの子ならあり得る(風評被害!) ……手にススがつくよ?(わしゃられることには何も言わない。実際伊上高校で天才の頭をわしわしして抗議されないのはアオイくらいなのだ!) まーね(ぽきん)ガーディアンの本懐…無辜の市民の盾、って意味では…ぼく達はよくやった……って自賛しても許されるかな?(ぽりぽり) ……ほんと、よく頑張ってくれたよ。こいつも……アオイくんも。ぼくは機体制御にていっぱいだったからね、きみの手柄だよ、パイロット殿?(なんて、焼き菓子咥えてにひひと笑う。年相応の邪気のない笑みだ!) -- クリス
- 灯台下暗しーみたいな?や、まあ、あんまり勝手なこと言ってるとりゅーちゃんの方から怒られそうだし、とりま敢えてこうした的な?そう思っておくのがいいじゃん?
例えば(うーんと考える)今回の件、ってかアタシも何でこんな事になってんのかミリも知んないケド、それを残しとくとかそういう意味、街は壊れたままにしておくと色々ヤバいだろーし? は?むしろアタシの手を拭く勢いなんだけど?(わしわし)……てか、皆の手柄っしょ?アタシ一人じゃここまでやるの無理ゲなの赤ちゃんでもわかるじゃん?お褒めの言葉はありがたく貰うけどね あーそれにしても、動かすの本番一回こっきりかー、ホントロボ部で作ったロボっってすぐ全壊するよね(サムライしかり)また作ればいいんだけどさー ……そうそう、このRXだけど修理せずにガワだけこのままにしとこうかなって思ってる、ちょいセンチな気持ちになったのもあるケド、何となくその方がいーかなって -- アオイ
- あー、真下だったからねぇ……その可能性もなくはないね、遠景に夢中になって的な……そっちならまぁわかんなくもないけどさ
あえて残したんだとしたらぼくとアオイくんとアリスくんとバンチョーとキリコくんの努力をなんだと思ってんだと小一時間問い詰めたいッ!せっかく作ったのに!! ハハハ手拭きにするにはぼくの髪はちょっと硬すぎると思うねハハハ(ハハハ。アオイの掌の感触で全て許せるのだ!)…そだね、ぼくだけだとアイデアがあっても実行力がなかった…いや、アイデアもなかったな。ぼくロボットとか完全に専門外だし あの日なんとなくロボ部って名前が気になって部室に闖入したおかげで…ほんと、得難い経験をさせてもらって…… (わしゃる手をがっしと掴んで)こんな美人のかのじょができた!いやぁなんでもまずはチャレンジしてみるものだね!(10京ジンバブエドルの笑顔だ!) ほんとブシドーの反省も踏まえて防御には力入れたんだけどね……いや、きみとぼくが五体満足なんだから成果は出てるんだけど……でもなー、負けたのはくやしいなー(ぶつぶつ) ……うーん、製作者としては何度でも修理したいところだけど……ま、「絵になる」って意味じゃわかんなくもないし……なにより部長サマの指示だからね いいよ!まだ生きてる部品とかエンジン抜いて……こいつにはかっこいいだけの置物になってもらおうか!(改めてRXを見上げる。ほんとやけに趣き深いな、破壊された巨大ロボ……) -- クリス
- まあまあ落ち着きクリス、そもそもの話、街が全部元通りになってる方が異常なわけで、これはなるべくしてなった的に思えば腹も立たないっしょ?
それにほら、一回造ったんだからまた造れるし、今度は今回の問題点を解決したマジ凄いヤツをさ?予算はいつもどーりアタシに任しとけばいいし う……まぁ、その……美人とか言うなし……(掴まれた手を握りなおす、傍から見ればお姉ちゃんと弟的かもしれないが)てかまだキープなんだけど(言葉と裏腹に指と指を交互に入れたそれそしっかり握る) これ修理と格納しちゃうと新しいロボ作る場所がねー、璃桜が言ってたみたいに建造棟複数ブロックに分けて作るのがいいかなーって、ま、色々これからを考えてるんだけど、これでも (クリスと一緒にRXを見上げて、やはり感慨深げな顔)悪いね、いっちゃん悲しかったり無念なのはクリスだろうケドわがまま言ってさ -- アオイ
- ……む。確かに…そもそも街が元通りになった時点で奇跡なんだし、むしろ残った実害がこの程度で済んだのは僥倖もいいところではある…しょーがないと見るべきかも知れないねぇ
任せて!時間と予算を頂ければこのクリストファー・ロバーツ、もーっとすごいロボを作る準備があるから!ああもちろんガーディアンの問題点と改善案だってばっちりだとも! ……だからさ。(空いてる手も取り、両手で指を絡ませて)こーやってしっかりキープしといてね、ぼくのこと。アオイくんが側で信じててくれるなら、ぼくにできないことなんてないんだから(へへ、と照れくさそうに笑……あっすごい湯気!自分で言って恥ずかしくなってる!) こういうこともあるし一極集中はまずいかもねぇ、工程ごとに分けてリスク分散を図るのはアリかも…作業員の皆さんには苦労させるけどさ(両手をつないだまま真面目な話してる) ま、そのへんはおいおい考えていけばいいさ。今は……ぼくらの期待通りに街を守ってくれたコイツと……きみのことで、あたまがいっぱいで……あんまり、悲しさとかないかんじ……(まーた恥ずかしがってる。自分で言っといて!) -- クリス
- (自信満々なクリスを見れば、ようやくいつもの調子だ、と安心したように小さな笑みを浮かべ)ん、期待しとく(ふ、と笑う、最近ちょっと多くなった柔らかい表情で)
そのセリフ、アタシも言えるんだけど?ちゃんとキープしときーよ?(身長差からちょっと屈んで顔の高さを合わせ、ずずいと近づく) (え、キス?と思わせる立ち振る舞いのまま、腕を回しクリスを抱きとめるアオイ) (ああホント可愛いなー……でもま、いちお約束は約束だし、勢いの任せたフリしてしても良かったんだケド……言い出しっぺから破るのはちょっとね) ……さって、なんかもうどっちが汚れてるとか関係なくなった感じだし、とりま洗い流しに戻ろっか(手を放して、そう言うのだ、秘密基地にはちゃんとシャワーも完備しておるぞ) -- アオイ
- 期待にはそれ以上の結果で応えるのが天才というものさ、決して裏切らないことだけは……\ずずい/えっ、近……
(まさかここで!?確かにムードはばっちりだし戦いの後の高揚感とか手から伝わる体温とか盛り上がるポイントはいっぱいあるけど本番までとっておくっていってたカードをここで切るってことは……まじで!?いいの!?いやぼくとしてもやぶさかではないというか望むところどけどさすがにまだ早いような) \ぎゅっ/(とかなんとか頭がぐるぐるしていたところに優しいハグ。肩の力がスーッと抜けて…)……はは。ぼくがきみ以外の女性に気を向けるとか…ありえないねぇ(リラックスした声に。心のなかでは「絶対逃さない」と決意を新たにしたとか) ……そだね。お互い真っ黒だし(いつものようにハハハと笑い飛ばしてー)何なら一緒に───うそ、ごめん。先入っていいよ待ってるから!(繋いだ手は離さないままシャワールームに向かったとさ) -- クリス
- わかった、じゃアタシが先に入るけど(そういうトコだぞ、と心中で思いつつも、まあまだ11歳だしねといつもの結論を出す)
(にしても、そう思うくらいにはマジになってるんだアタシ、はーヤバいヤバい、あと6年弱あるのに先が思いやられるじゃん) (とりまこれからの計画に注力して、出来るだけ意識しないようにしときって感じ……)
それからアリス達やお山の怪異の力も借り、RX1の動力部やヤバイ部品等を取り外すまでの間やじ馬が集まらないようにしたって話だ。 危険性のなくなったRX1の巨体はしばらくその場に置かれ、街の名物となるのであろう。 -- アオイ
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