名簿/510601
- (私は彼女のことをよく知らない マダム・ジュリア──誰よりも恐ろしくて、おとぎ話の魔女みたいだったおばさま)
(幼い頃の記憶、私はおばさまの斜向かいに腰かけて大人たちのショウダンを聞いていた) (おばさまはいい顔をしなかったけれど、今この歳になってみてその理由がやっとわかった 先代は恐れていたのだ) (たとえ一瞬でも私の姿が視界から消えてしまう事を そして、たった一人の「娘」と永久の別離を味わう事を)
(先代が座っていたその場所に、今は私が腰掛けていた であれば当然、その真正面には)ご無沙汰してます、おばさま その後はお変わりありませんか? -- セアラ
- フン(不機嫌そうに、鼻を鳴らす)
ずいぶん大きくなったね。まぁいいさ、昔なじみだ、失礼は大目に見ようかね(セアラの年齢は、ジュリアの"旬"よりも過ぎてしまっていた。おばさまと呼ばれ、眉が上がる。周りを固める黒服たちが、ざわついた。おばさん、おばあさんは、ジュリアの庭では決して発してはいけない言葉とされている) フン、見ての通りさ。何の用だい?(借金ではないだろう。店の経営が悪いという話は、聞いていない。武器に関する話なら、わざわざ自分が、出る話ではないだろう) -- マダム・ジュリア
- 先代はただの「ジュリア」とお呼びしてましたけど…私はそうもいかないでしょう? それとも、お姉さまとお呼びしましょうか…
ええ、お話 今日はお話があって来たんですけどね 昔話ではないですよ でも、昨日やおとといのお話でもありません (白い方形の紙片を抜き、その一枚をマダム・ジュリアの前に置く それは子供の写真、かつてこの館の一室で首を打たれた108人のひとり) 私のところで引き取ることになってたんですけどね…この子、途中で迷子になっちゃったみたいで どこかで見かけませんでしたか? -- セアラ
- だったら、マダムとでも呼びな。こいつらみたいにね(傍らの黒服が、おじぎをする)
ン?(垂れたまぶたの下から、視線が、写真の上を撫でる) 知らないね(即答だ。当然、それはペットの一人であるのだが、微塵の感情の動きもない。虫を潰す程度にも、なんとも思っていないのだ。もしかしたら、本当に覚えていないのかもしれなかった) 人探しなら、もっとふさわしいところへ、行くんだね -- マダム・ジュリア
- そうですか、残念です これも、この子も この子もですか?(同じ様な子供たちの写真を淡々と、何枚も何枚も並べていく)
ま、いいでしょう マダムのお考えはわかりました…お心当たりがなければそれまでですもんね それ以上お聞きすることはありませんし では、これから先はお仕事のお話です(孤児たちの名前と顔写真のついたリストを並べて)かわいい子たちでしょう? これから半年かけて、順番に受け入れていこうと思っています もしもこの子たちが迷子になって、マダムのところに迷い込んでしまったら 何もせずにそのまま、こちらへ送り届けていただけませんか? お手間は取らせませんよ お気持ちばかりですけど、謝礼もお渡しします …それで、お仕事のお話でしたっけ(魔術用の宝石14種と数字が書かれたメモを置く)これも半年後までに、揃えていただけませんか? (ドライな取捨選択の結果がここにある リストにない名前は一切関知せず、割り切るということだ その対価として大口の取引を並べてみせた) -- セアラ
- フン(不機嫌そうに、鼻を鳴らす)
父親の影で震えてた娘っ子が、随分、生意気な口を利くように、なったじゃないか(帰すなという命令が、来るのか?黒服たちが、一斉に懐に、手を忍ばせる) いいだろう。全部揃えてやるよお嬢ちゃん。大きくなったお祝いにね(取引に、応じたわけではない。子供のことを嗅ぎ回ろうと、なにも気にしない。そうするだけの、権力があった。差し出された紙片を、全く見ずに、傍らの黒服に渡す) 子供を引き取って、慈善事業でも、始めるつもりかい?人殺しの道具を売る、罪滅しでもしたいのかい? -- マダム・ジュリア
- 罪滅ぼしって何です?(きょとんとした顔をして)おかしなことをおっしゃいますね まるで私たちに罪があるみたいじゃないですか
マダム、武器商人は悪の力をもって善を成します できもしない理想を並べて悦に入る善人気取りの悪党よりも、ずっとまっとうな生き方ですよ 昨日や今日始まったわけでもありません このテのことは先祖代々続けてます ご存知のとおり、アンダーシャフトの生業は「慈善事業」ですから 投資ですよこれは、息の長いお話にはなりますけど…ありがとうございます、マダム 人殺しの道具、ご入用でしたらお安くしますよ -- セアラ
- ――――― --
- ――――― --
- 一通のチラシが投函される。それは転移祭の開催が近付くことを知らせるものだった
(メインストリートに競い合うように並ぶ露店、祝祭の仮面をつけてを練り歩く人々。そしてミスコンテストが祭りを沸かせる!) (ミスコンの優勝者にはトロフィーと賞金が授与される予定となっておりますので、ふるってのご参加をお待ちしております) --
- …ゲッ…(上層部の借金回収を終えて戻ろうとしたところで出くわして、回れ道しようとしながら)
(相手は借金をしたことはない、回収する相手ではない、しかしこの城でも数少ない苦手とする相手だけに) -- リハルド
- (色とりどりのバラ、が咲き乱れる区画。通称ジュリア・ガーデンと呼ばれる、瓦礫城最上層部)
(麗しき花に囲まれ、妖精のように、佇む姿をリハルドは認めた) なんだい、最近のガキは挨拶も知らないのかい(視線は、あくまで目の前の薔薇に) -- マダム・ジュリア
- (妖精?冗談じゃねぇよ、あんなの妖怪だろうが、と一瞬でも思ってしまった自分の脳を疑いながら)
…はいはい…ご機嫌麗しゅう、マダム・ジュリア…今日も相変わらず元気そうで何よりだぜ (見た目は老人でも、自分が本気で攻撃しても返り討ちになりそうな隙のなさを感じて) -- リハルド
- フン、代わり映えのしない挨拶だね。少しはひねったらどうだい(気むずかしい老人そのものといった答えだ)
最近、下が騒がしいようだね -- マダム・ジュリア
- ひねったところで、おひねりが貰えるんならちっとは考えるかもな(笑って言いながら)
…あぁ、それか…まぁ、ほぼ…間違いなくこっちには関係ねぇ話さ …何か、気になる事でも?(場合にとっては大きすぎる障害となるだけに、龍神会の一人としても気になって) -- リハルド
- フン(冗談にもつまらなそうに鼻を鳴らす)
だといいがね。あんたんとこの、なんて言ったかね?この間先代が、死んだ……派でにやってるそうじゃないかい? -- マダム・ジュリア
- …オヤジさんのことか…まぁ、オヤジは色々と分かってるからよ…ここに喧嘩を売るような真似はしねぇよ、きっとな
(その事自体は否定した所で、この話題を出した時点で調べはついてるだろうと考えて認めながら) …まぁ、先代のオヤジさんの頃ならそんな心配もされずに済んだんだろうけどな(懐かしそうに、少し悲しそうに呟いて) -- リハルド
- そうかい。ならいいけどね(心配はしていなかった。自分にとってそれなら《良い》ではない。相手にとってそれなら《良い》ことなのだ)
フン、はやく行きな。せっかくのバラ園の景色が崩れちまうよ -- マダム・ジュリア
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- (青年が連れて来られたのは、ジュリア・ガーデンにある、マダム・ジュリアの屋敷。そのロビーである)
(青年の左右には、似たような黒服が並び、正面には、2階への階段。左右に別れる踊り場に、杖をついた老婆が立ち、青年を見下ろしている) -- 黒服
- (背中を押されて尻餅をつく。)
(おそるおそる顔を上げると、階段の上に)こ、これはこれはマダム…相変わらずお美しい。(愛想笑いを浮かべる。一生一度というくらい気合の入った愛想笑いである。) -- ヒロ
- フン。おべんちゃらはいらないよ(シワの刻まれた、顔の奥に、獰猛な目がヒロを睨む)
あんたは、あたしの好みから、少しとうが立ってるが、あたしは寛大だからね。選ばせてあげるよ 農業地区とあたしの庭、どっちに撒かれたいかい?(単刀直入。マダム・ジュリアに、腹の探り合いは必要ない) -- マダム・ジュリア
- ひ、ひぃ!あ、あれはですね……。(言い訳を考える。考える。考える。が、思いつかない。この老婆に対して言い訳など思いつかない。)
か、かんべんしてくださいよマダム…。知らなかったんすよぉ……。(泣き落とし。と言うより心からの懇願である。) -- ヒロ
- フン。あんたにルビーを売った男もね、おんなじことを言ってたよ
(そいつが、どうなったかは言わない。言わなくても、わかることだからだ。) お前たち、なるべくカーペットは汚すんじゃないよ。(ロビーでひざまずくヒロに、背を向ける。問答など、時間の無駄だ。どうなるかは。最初から決めている) -- マダム・ジュリア
- ひぃっ!ごめんなさいごめんなさい!すみませんでしたぁ!(両手で頭を抱える。かちりと黒服が撃鉄を起こす音が耳に入る。) -- ヒロ
- (黒服が懐から銃を抜きヒロに向けた時、一筋の光がマダムに向かって飛んで行く。)
(コロコロと床に転がったのは、小さなルビー。) われのゆうちょる石っちゅうんはそれじゃろ? (玄関のドアの前に、いつの間にか少女が一人立っている。錫杖を手にしたセーラー服とマフラーの女学生。) 今日んところは、それで手打ちっちゅうわけにはいかんかの? -- ヤクザ
- あ、姐さぁん!(地獄に仏とはこのことだ。普段は煩わしいセイバーが、今だけは仏の垂らした蜘蛛の糸のように輝いて見える。) -- ヒロ
- (足元のルビーを、一瞥し、振り返りもせずに、言う)
わざわざ、買い戻してきたのかい? フン、聞けないね。そんな話、あたしが聞くと、思うのかい? (マダム・ジュリアにとって、そうすると決めたことは、そうなることに等しい。ヒロを殺して撒くと決めたら、ヒロは殺されてばら撒かれなければならないのだ) -- マダム・ジュリア
- メンツ、ちゅうやつかいの?
(ヤクザのもつ宝具『黄金の夜に抱かれて』。 それは、経済活動が行われている場から、その利益の一部を自分のものとする能力をもつ。売り払われたルビーは他の宝石とまとめて町の外の商人へと流れていった。その取引の一部を徴収したのだ。) われのメンツもわかるがのう…わしにも引くわけにいかん都合っちゅうのがあるけぇ…。 今日のところは、引いてくれんかの…? (それは暴力だ。暴力とはなにも肉体的に振るわれるものではない。少女の立ち居振る舞い、声の響き、それはまさしく生物を本能から震え上がらせる暴力であった。) -- ヤクザ
- ざわ…
ざわ… (黒服の間に、緊張が走る。その場の全員が恐怖に震え、踊り場のマダム・ジュリアを見上げて、許しを請うている。幾人かは、その場に、腰を抜かしていた) (もし、マダムがヒロを殺すように命令したら、皆逃げ出してしまうだろう) フン… (振り向いた老婆は、ロビーの少女を睨みつける。杖をもつ手に力がこもる) 行きな…。 だがね、ヒロ、覚えておきな。このままでは済まさないよ。 -- マダム・ジュリア
- おおきに。(踊り場の老婆に笑顔を向ける。その笑顔は先程とは打って変わり、無邪気な妖精のような笑顔。)
ヒロ!去のうや! -- ヤクザ
- へ、へい!(と威勢の良い返事をかえすが、腰が抜けて立ち上がれない。) -- ヒロ
- (やれやれとヒロの首根っこを掴み、引きずってマダムの屋敷を出て行った。) -- ヤクザ
- フン!(いらだちに、杖を床に叩きつける)
いいさ、化け物の相手は化け物にさせればね… (手すりに手をつき、二階へと階段を上がっていく。そのたびにパキッパキッとかわいた音を立てて木製の手すりが、老婆の干からびた手の内で爆ぜるのだった) -- マダム・ジュリア
- お変わりないようで安心したよ。マダム -- 「線香屋」?
- いつまでも十代みたいだって?フン!おべんちゃらはいらないよ。
あたしに何のようだい? -- マダム・ジュリア
- 本当に、初めてお会いした時から変わらない(ふふふ、と笑う) 世辞を嫌うのも、昔からだ
…お借りしている農業区画の畑だけど、ちょっと大掛かりな改装をしたいんだ。陽こそ差し込まないけれど、温室のように囲いたい。…ダメかな? -- 「線香屋」?
- 相変わらず賢しいね。
好きにしな。(農業区画は誰のものでもない。が、こうしてマダム・ジュリアに許可をもらうということはここでは大きな意味をもつことを、線香屋はしっているのだろう) あんなとこに温室作ったところで、なにか変わるもんでもないだろう。 -- マダム・ジュリア
- ありがとう。マダム(にっこりと、てらいを感じさせない笑顔) 地下でも地上でも育たないようなものだって、育てられるようになるよ
(転移を繰り返し、気候のこまめに変わるこの街では陽が当たり風が通るという稀有な土地を得たとしても、生育に長い時間を要する作物が育つことは稀だ) それではどうぞ、御機嫌よう。激務に絶えず晒されている貴女だもの。僕の店のほうも、またご贔屓に(言って、銀髪眼帯の線香屋は帰って行った) -- 「線香屋」?
- (通りがかって、肌年齢から相当いってるなあと目を逸らす) -- ディスク?
- ハッ!死にな!(まず相手の若さに腹を立て、次にその態度に腹を立てる。一斉に周囲の黒服が懐から拳銃を抜く) -- マダム・ジュリア
- (ひえぇ〜〜〜!!と荒事は勘弁と脱兎の勢いで走り出した) -- ディスク?
- テストだよ! -- マダム・ジュリア
- クソババア! --
- 誰がクソお姉さんだって? -- マダム・ジュリア
- ババアックス! --
- 麗しいお姉さんだなんて褒めても、あたしゃあんたみたいな30の童貞男にゃ興味ないね! -- マダム・ジュリア
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