名簿/498235
- 舞台は大鐘楼へ --
- ――数式領域―― --
- ヒャハハハハ!! ハハハハハ!! 見ろよ! 鐘が鳴ってやがるぜ!!
いままで鳴ったことなんかなかったのによォ!!
――我が《ド・マリニーの時計》により、アザトース式《回路》の起動を開始する! 現在時刻を記録せよ! 大時計! いいや、《邪悪の円柱》よ!! 俺の願いはこの学園都市の《破壊》! この世に《混沌》をもたらすこと! 何もかもを――壊してやることだ!! だから、《鐘》よ!! お前に生贄を与えてやる!! 二人もだ! 喜ぶがいい!! (クラックの黄金瞳が光る。ケタケタと狂った笑いを響かせて。喝采するように、手を天へと掲げて) (現在時刻を、奇怪な文字盤の時計が記録する。クラック=クラック。《黒い男》によって狂わされたものが。) (嗤う。笑う。わらう。) (機械式の大時計。狂った文字盤と狂った針の時計。ド・マリニーの時計。) (全世界への、クラックの怨嗟の声が、数式領域に木霊する。)
だからさあ、テメエらも全員! 鐘に! 飲まれやがれぇぇっ!! (クラック持つ《ド・マリニーの時計》が激しく駆動する。時計の音を刻む!) 《現象数式》!! 俺の数式!! さあ、何もかもを破壊しやがれ!!
――《方程式》! 起動!
(この数式領域では、クラックの異能はさらに強化される。破壊の方程式は、何もかもを破壊させ、消滅させる力さえ持つ!) (クラックは駆け出す。凄まじい速さで。クラックの周りには無数の《数式》めいた文字が並んでいる。) (それは古代の文字。古のものどもが残した数式。全てに解を出すもの。) 死ねぇぇぇぇっ!! (数式が光線のように、レーチェルと義光に向けて放たれる! それに当たれば命はない。破壊されてしまう!) -- クラック=クラック
- ――当り前さ。こんなところで死ぬわけにはいかない! チクタクマンの野望を防ぐ……!!
ああ、わかったよ、ロジャー君。おそらく……何か、ある。 ――行くぞッ!! (レーチェルのマシンベルトが駆動音を上げる。ぶるんぶるんと機関が動き出す! 右手には《学園都市の輝き》、左手には《憧憬の輝き》。その二つの力を以て、レーチェルは闇を倒すのだ!) ……効かないぞ、そんなものはっ!! (レーチェルと義光目がけて奇怪な数式が投げつけられる。それは地面を走る。それが走った地面には無が残るのみ。破壊されたのだ!) (レーチェルは自分たちを追うように走る数式を光のごとき速さで交わしていく。) ――バリツ式《天津雷》!! (レーチェルの左手から雷電が走る。数式操るクラック目がけて!) -- レーチェル
- 趣味の悪い時計使ってやることが破壊光線発射とは芸がないな、使い方わかってんのか?
(半身に軽く体を傾けると懐より取り出した棒手裏剣≪千束≫を取り出し二振り投擲) (目がけて飛ぶ先は数式!実体のないその先に向かい疾駆する矢の如く!) (数式に刺さればそれ即ち、実体のないものであろうが射抜き止める楔となる!不可視を可視に、霊子を物質に変える力) (それは現象の先の、数式という構築されたものであれ射止める!) レーチェル!こいつの時計を狙え!この数式領域とそいつは繋がっている! お前より手数は俺の方が上だ、小手先の迎撃は任されたからブチかましてやれ! (刀を手に、一方では千束を指に、この世界隙間に作られた世界を駆ける!) -- 義光
- 黙れよォクソどもがぁっ!! 俺は、俺は《異能》を手に入れたんだ! いいや、それどころじゃねえ……!!
《時計》の力を、手に入れたんだからよぉぉぉっ!! (チク・タク。男の持つ懐中時計が鳴る。嗤うように) (レーチェルの雷が大地を走り、クラックを襲う。クラックは数式を展開し、それを無へと帰す。否、喰らっている。)( (喰らわれた数式が、四方八方に散らされる。レーチェルも、義光も、ロジャーも恵美も関係なく。) うるせぇよぉクソ探偵がっ! 急に現れて俺をやろうだなんてな! 無理なんだよ!! ――なんだと!? (義光の放った某手裏剣。それは、非現実、秘実在の存在である数式を、現実のものとして――打ちとめる! 数式は動きを止める!) ンだとぉっ!? ふざけた真似しやがってよぉっ!! (数式から、雷や炎や氷――これまで喰らった異能者の異能が、無秩序に放たれる。時計が時間を刻む) ……じゃあ、いいぜ、見せてやるよ。派手なやつをなああ!!
――来いよ。 汝の罪は我が罪、汝の姿は我が姿。 混沌より来たれ……クリッター・ニャルラトテップ!!!!
――クルーシュチャの名を以て……俺に力を貸せ! 《黒の王》!! (呪わしき神の名が叫ばれる。ニャルラトテップ。レーチェルはその名を知らないが――) (クラック右手を伸ばす。すると、背後から空間を裂くようにして……名状しがたい何かが現れた。) (燃える三つの眼を持ち、円錐状の頭を持つものが、現れた。普通の人間では見れば恐ろしさに狂気の発作をほこすほどのものが。背後より現れた!) -- クラック=クラック
- ……頼りになる。
(霊的なものを現実のものへと変えてしまう力にレーチェルは感心していた。これならばとても心強い。) ああ、わかった! あの《時計》を狙うッ!! (迫りくる無数の異能をレーチェルは躱していく。時には雷電によって。時には異能たるクラッキングで、相手の迫りくる異能の事象そのものを歪めて!) ――光の如く、切り裂け!! (レーチェルは右手を伸ばす。右手に宿る異能の化身目がけて叫ぶ。すると、レーチェルの右の機械籠手が光に包まれ、一つの剣を出現させる。) (それは光を放つ。それは何もかもを切り裂く。光の剣で相手の時計を断ち切らんとしたときだった。)
――なんだ、これは……!? (クラックの背後から現れた《怪異》……それに息を呑んだ。明らかに異次元。明らかにこの世のものではない姿。) (邪悪なるもの……それを、男は呼び出したのだ。迫りくる狂気を、黄金瞳は受け止めて、処理をする。恐怖を軽減する。) -- レーチェル
- …ちっ!この…!なんてもんを呼び出しやがった!派手つってもこいつは…!
レーチェル!マトモに見ようとするな!連中と戦い慣れてないお前じゃ脳が焼ける! (異界の名状しがたい存在を呼び寄せる…といってもまさか、こいつ個人でここまでのものを呼んでくるとは、流石に思えない) (クラックが叫ぶ通り時計の力だろうが、厄介なものを持っているもんだ、と考える) クソッ…天界の火で焼くには相性が悪い…!ロジャー!なんかないのか! -- 義光
──まて義光!レーチェル君!ド・マリニーの掛け時計…いや、時計が名前の通りなら時空間を操る力を持つはずだが…なぜその力ではなくそのものを使うのだ? それに呼び出されたアレと、あの機械…手に入れた…?まさかあれを与えたのは…! 義光、問題はない!レーチェル君、君にも説明をしておいたが…改めて、必要があれば使うといい!あの輝きを!輝く炎の神の力を! -- ロジャー
- ヒャハハハハハハ!!!
ヒャハハハハハハハ!!! 俺は、《神》さえをも操るんだよ! てめえらに、勝てるか!? 勝てねえよなあ! 人間は、神には勝てねえんだからなあ!!! (狂った笑いが響く。混沌を手にして。邪悪を手にして。男は嗤う) 行けよニャルラトテップ!! 混沌の神なら! あいつらを狂わせて! 殺せぇっ! (だがしかし。だが、しかし。) (這い寄る神は、顔のない神は、千の異形は、動かない。邪悪な笑みを浮かべるのみ) (そして――ド・マリニーの時計が、その針が、動きを止める。)
『――チク・タク、チク・タク――』
『時間だよ』
『終焉の時だ』
『さようなら。中々に面白かったが』
『やはり、偽りの《黄金瞳》では、何も成せない』
『さようなら』
(――時が止まった。時が止まった。) (静寂が満ちる。時計の音は聞こえない。戦いの音も聞こえない。) (とても、邪悪な声が、数式領域に響く) (《神》の如き声が、天から響く。嗤う声が響く) ―――!? お、お前は!! お前は!! あの時の! 《黒い男》か!! どうなってる、おかしいじゃないか! なんで、何で止まる! 《時計》が! 《鐘》が!! おい、どうなって! 俺は混沌の化身なんだろ! 俺は――
『時間だよ』
(クラックの背後のニャルラトテップが嗤い――クラックの体が、その漆黒の闇に一気に包まれた。クラックなどと比べ物にならない、真の恐怖、狂気、邪悪の声が響く) (クラックは、ニャルラトテップの《鐘》の、生贄となった――) -- クラック=クラック
- 連中!? く、うぅぅ!! なんだ、この、根源的な……
(恐怖。本能に呼びかける恐怖。異形。人間とは遥か彼方に位置する、神。宇宙の、闇。その名こそ――) ――わかった! 使おう、あの輝く――火の力を!! (レーチェルがベルトに手を当てようとした時だった――周りの、すべての、時間が、空気が、一変した。)
……あ、あ、ああ、ああっ――!! これ、は……!! (レーチェルは天から響く声に驚愕の表情を浮かべる。恐怖の色を浮かべる。震える。本能的な恐怖に) ――チクタクマンだ!! 間違いない! あの時の! 僕を、襲った、本物の!! こいつだ……義光君、ロジャー君!! ――こいつこそが、僕を……!! (黄金瞳が告げる。逃げろと。黄金瞳が告げる。目の前のものは、恐るべきものであると)
!? クラックが……!? (クラックが、断末魔もなく、混沌に飲まれた。邪悪なる光景に、レーチェルは吐き気を催す。原初の混沌が、目の前に、顕現しようとしているのだ。) -- レーチェル
- (時計を壊すには遅すぎた。もう…遅い、本当のヤツの声が響く、不愉快な声…)
(幾度聞いても、連中の声ほど不愉快なものはない。いや聞こえて正気を保ち続けていられるものなど…少ないだろう) レーチェル!踏ん張れ!今飲み込まれたら終わりだ!てめぇの意志を奮い立たせろ! これからが本当の戦いだ! (刀を担ぎ、構える。そう…憐れな怪学生ではなく。本当の混沌にして邪悪なる存在との戦いが…) -- 義光
- (クラックの体は飲み込まれ――出現する。現れる。顕れる。)
(クラックと同じ体をもって。クラックと同じ顔をもった男が現れる) (その髪も服も白いのに。しかし悉く黒い男だ。) (――チクタクマン。クラックの体を依り代として、顕現したのだ。) (この世界へ、悲劇を演出する為に。何もかもを、嘲笑うために)
『レーチェル君、如何だったかな。《白い男》は』
『あの男の振りをするというのも、中々に面白かった。《輝き》はどうだったかな?』
『ああ、そして君達も。義光君、ロジャー君。魔導探偵……おそらくは久しぶりかな。どの《私》で会ったのかは覚えていないが』
『クラック君は面白かったが、駄目だった。私が祝福したというのに。意味のないことだ』
(チクタクマンが嗤う。その瞳は赤く――そして、時計の文字盤が浮かび上がっていた。)
『だから、私自身が演出しよう。この学園都市、すべての』
『悲劇を、喜劇を、終わらせてあげよう。《機械仕掛けの神》として』
『《現象数式実験》を行おう。あのニューヨークのように』
『君達が、観客だ。同時に、主人公だ』
『楽しんでいって、くれたまえ』
(数式空間が揺れ始める。世界が揺れ始める。時の止まった世界が、揺らめき、震え、恐怖している。) (《鐘》の音が再び響き始める) -- チクタクマン
- あ、ああ、わかっている、わかっている、とも……!!
(レーチェルは恐怖していた。どうしようもなく恐怖していた。何故か?) (当然のことであった。恐怖麻痺をレーチェルにかけたのは、目の前の《黒い男》その人なのだから。) (――あらゆるものに立ち向かう勇気を与えた――) (――あらゆるものに恐れぬ勇気を与えた――) (――ただ一つの、『例外』除いて――)
……ッ! く、う、ぅぅ……!!(正視できない。目の前の男を) (恐怖で、声が出ない。締め付けられるような圧迫感。諦めろとささやく声がする。) (視界の端で道化師が踊っている。諦めろ、諦めろとささやく。) (――だけど)
……!! もう、《白い男》はいない! 僕が憧れたあの人は、いないんだ! だけど! 僕はここにいる! 《行動的探偵》としてここにいる! 《白い男》が幻想だったとしても! 僕はあの輝きに憧れた! だから! 僕は君と戦う! 《現象数式実験》なんて起こさせはしないっ!! 僕は、怖くない! 恐ろしくない! ――みんなに。 皆に、勇気をもらったんだから!
さようなら――《白い男》 (幻想の彼に、別れを告げて――) (レーチェルは、対峙する。《黒い男》と) (もう、怖くない。もう、彼を正視できる。) (真に、輝きを得たのだから) -- レーチェル
おう。何度だろうがそのそっ首刎ねて異世界の狭間にバラバラに撒いてやるぜ 今は俺と、俺らと。行動的探偵がここにいるからな。 自分の意志で!内に受けた力を宿す俺たちが!テメェの茶番を書割ごとぶっ潰してやる! いつもてめぇの思い通りになると思うなよ! (これこそ演目か?否、これは宣戦布告!刀の切っ先を混沌の黒、邪悪なる混沌に向けて言い放つ) (ここには皆から受けた光を。その胸に宿すものらがいる。それこそ光輝くもの!闇を切り裂く真なる光なのだから!) (故にそれを宿すものこそ光の剣なのだ!) -- 義光
- 『喝采せよ! 喝采せよ』
『おお、おお、素晴らしきかな! 我が生贄が! 真に生贄たるべき存在となったのだ』
『探偵たち。我らが愛してやまない人間!』
『それを壊してこそ――私は、嬉しいのだから』
『高みで待とう。果てでまとう。来たまえ。探偵たちよ』
『黄金螺旋階段の果てに――』
『来てくれると、信じているよ』
『私の《終末時計》が時間を告げるそのときまでに』
『間に合ってくれることを、切に祈ろう』
『あらゆる《怪異》が学園都市に満ち溢れ、あらゆる《幻想》が復活を遂げて』
『すべてを阻んでも』
『私のもとへと来てくれたまえ』
『愛しているとも』
『人間よ』
(邪悪なる哄笑が空間に響き渡り――時が動き出す) (数多の時計群の針が無限に回り始め、邪悪なる哄笑とともに) (数式領域が――) (割れる――) (現実の世界へと――) (――戻る) -- チクタクマン
- 黄金暦249年3月 卒業式前日―― --
- レーチェルは、思弁実践的探偵部の部員たちのおかげで、“思い出す”事が出来た。
レーチェルはチクタクマンなるものにより、偽りの記憶を植え付けられていたのだ。チクタクマンそのものに、目がいかぬように。 だが、ついにレーチェル達はチクタクマンこと時計人間なるものを見つけ出した。……というより、今までなりをひそめていた彼のものが、動き出したのだ。 違反活動を再び開始した。レーチェルたちに己が存在を知らしめようとするがごとく。 そして、レーチェル達はついぞ、敵の本拠地へと乗り込んだのだ。
――旧時計塔へと。 --
- ここか!
(レーチェルはロジャー製作の機械帯を身に着けていた。機械の帯。マシンベルトを。それにて、チクタクマンという違反部活の下級構成員を殴り飛ばし、時計塔を登っていた。) (有象無象の怪学生たちは物の数ではなかった。時計塔の頂上へと登る階段を登りながら、ついぞその頂上へと上り詰めた。その頂上の房室、そこに首領がいるはずだ。) ――では、行こう。ここで、決着をつけるんだ。 (そして、頂上の扉を、レーチェルは蹴り飛ばすように開けた。)
――チク・タク。チク・タク。
(その扉を開けた先には、チクタク、チク・タクとなる無数の時計が並んでいた。時計で埋め尽くされた部屋であった。そこに……一つの影があった。男の影。) (白い服を着ているのに、漆黒であるもの。チクタクマンが、そこにいた。) -- レーチェル
- まったく怪人だかなんだかしらねーが、こんなに屯して他にやることがないのかね -- 義光
- 如何にも。無軌道とは言えど、人の心とはまさしく影をよく吸う。彼らもまた、突かれたのだろう。その隙間をね。 -- ロジャー
- (義光が刀の峰打ちで叩き、ロジャーが徒手空拳で怪学生を投げる)
(こんなにも危険な場所に踏み込んでいるのになぜか恐怖感は沸かない) (彼らがいう恐怖麻痺とやらの影響なのだろうか?) (だが今はただただ、先頭を切る彼らが頼もしく思える) (──それは、時計塔の頂上に昇りつめ…扉を開けた後。かの人物を見た今でも) -- 恵美
- ――ああ、ようやく来やがったか。名探偵の皆さんよ。
(無数の時計に囲まれるようにして、その男は立っていた。鮫のような邪悪な笑いを浮かべて。) 待ってたんだぜ、いつ来てくれるか楽しみでよ。しばらく暇してたからな。 (白い学生服に白い髪。しかしその肌は褐色で黒い。奇妙な懐中時計を手にした男――クラック=クラック。チクタクマン、時計人間の首領だ。) (その左目は――レーチェルの右目と同じく――《黄金瞳》であった。) 異能学生も食い飽きた。異能を食えば食うほど俺は強くなる。だが、それももう、飽きた。 だから、お前たちを食って、この学園都市を、終わらせることにしたよ。 俺の……あの《黒い男》が教えてくれた……《現象数式実験》で、、この学園都市まるごと、壊してやるよ。 (狂った笑いを浮かべて、男は部屋に入ってきた四人を見て、嗤った)
ようやく、俺らを見つけてくれたからな。《総会》とかが出てきて先に派手な事やられちまったからな。今度は、俺だ―― (奇妙なことを言っていた。まぎれもなく、この男がレーチェルに、偽りの記憶を与えたはずなのに。それを破られたことに対する反応が、何一つ。何一つ。なかった) -- クラック=クラック
- ――君が、時計人間の首領か。
……ああ、同じだ。あの時と……あのときと、同じ姿だ。やはり、君が……!! (レーチェルが一年生であったときに、レーチェルを襲ったもの。今でははっきりと思い出せる。間違いない。彼だ。) 《黄金瞳》……!? 君も《黄金瞳》を持っているというのか……!? (クラック=クラックの左目は黄金に輝く瞳だった。レーチェルと同じ。恵美と同じ。) ……させるものか。君がどんな目的で、僕を襲ったのかはわからない。僕に偽りの記憶を植え付け、異能に目覚めさせた理由も。 ――全部、話してもらうよ。 (レーチェルは構える。相手が動き出せばすぐにこちらも対応できる。相手は余裕綽々と言った様子で、構える事すらしていない。) ……何だ、これは? (レーチェルは奇妙に思っていた。目の前の男は自分を襲ったチクタクマンに他ならない。なのに、あの時感じたような恐怖は感じられない。) (確かに邪悪に違いないのに、その質が違う。あの時感じたものは、もっと、もっと恐ろしいものだった) -- レーチェル
…おい、どうしたレーチェル?(刀を構えたまま不可思議だという顔の彼女に問う) -- 義光
- ふむ?まだ数式領域などの異なものの展開は感じないが…?確かにこの場所はそれに近いとは思う。 -- ロジャー
- (そんな二人とは違い、レーチェルと同じく感じていた。この違和感。)
(気配?空気?雰囲気?なんだろう、どう言ったらいいのかわからないけど…) (聞いていたような、強大な存在とは思えなかった。恐怖麻痺の効果?違う。なぜならレーチェルと同じような感覚が見えていたからこそ思う) (この違和感は何?) -- 恵美
- ……いや、変なんだ。僕は、確かにあいつに、僕の目の前にいる男に、偽りの記憶を植え付けられた。
……《白い男》に助けられた記憶を。でも……。 違う。姿形はそのものだけど……口調……いや、中身が、まるで違う。 確かに、目の前の彼は邪悪だ。間違いない。……しかし。 ……まるで、邪悪の“質”が違う。 (レーチェルの《黄金瞳》は告げる。目の前のものは、あの日の《チクタクマン》ではないと――) -- レーチェル
- ――何ごちゃごちゃ言ってるんだテメエら。
まるで俺が大したことねえみたいな言いぐさだな? オイ。 (ケタケタと道化師めいた笑いを浮かべながら、チク・タクと時計を鳴らす。) ……しかも、わけわかんねえこといいやがって。《行動的探偵》殿。俺がいつテメエを襲ったっていうんだよ。 テメエがまるで、見えてねえみたいに俺たちのところに来やがらねえからな。……まあ、なんでもいいや。 俺は「破壊」するだけだ。俺の、方程式でな。 ……じゃあな、お前ら。死ねよ。《鐘》が俺の願いを叶えてくれるぜ。何もかもの破壊をナア! (まるで、覚えていないかのように。まるで、自分は、偽りの記憶など植え付けてないというように。) (男は……レーチェルと会うのは、初めてだと、言った)
黄金瞳が二人もいやがるんだ! 《鐘》もさぞかし喜びだろうさア!!
「数式領域展開!」
――世界が変わる――
――チク・タクと、時計の音を響かせて――
――闇が訪れる――
-- クラック=クラック
- そりゃ同意だ。どっちにせよお前さんを叩きのめすのは変わらんし -- 義光
- 同感だ、恵美君は僕の後ろへ。レーチェル君、義光、頼んだよ -- ロジャー
- …負けないでください! -- 恵美
- ――数式領域展開
(紫の空が見える。果ての見えぬ紫影の空が。)
――数式領域構築 (尖塔が、否、時計塔が地面を突き破り現れる。歪な文字盤の時計塔が。いくつも、いくつも。)
――数式領域顕現 (かつて、《総会長》が出現させた空間に似た、それが、呼び出される。大鐘塔にもにた尖塔がいくつも突き刺さった世界に、この場にいる人間は飛ばされた。)
数式領域の維持を開始
制限時間内に目標を破壊せよ お前の願いは果たされる
《鐘》が鳴っている。遠くで、果てで。何者かが、すべてを嘲笑うように。
レーチェルら4人と、クラックが、この異様な世界に立っていた。 --
- ……ここは――
(数式領域にレーチェルは立っていた。チクタクと無数の時計が時を刻んでいる。邪悪なる塔が、いくつもいくつも立っていた。) これが、フォス君たちの言っていたものか! だが、どういうことだ。これはクラックにも使えるものなのか……? (レーチェルは落ち着いていられた。フォスから話を聞いていたのもある。) 《鐘》の音……そうか、これが……これが、《鐘》か! (アンヘリカやリゼットの語っていたものが、すぐ近くにあるということがわかった。) ……ここが、決戦場か。不可解なことが多すぎるけど――戦うのみだ! -- レーチェル
- 数式領域が展開できたってことは鐘があるってことだ!
何処で作られたかはわからねぇが、そいつが呼べるってことは即ちってことさ。頼むぜ行動的探偵!ここでお前が死なれたらアイツの勝ちだからな! -- 義光
- …しかし拾えば拾うほど、不可解なことが多すぎる…気を付けたまえ。数式領域だけではない、なにかあると見たほうがいい。 -- ロジャー
- (クラック、レーチェル、本来この場所に招かれる資格のある者)
(同じくして黄金瞳を持つ恵美は思う。なにか、なにかこの先にあるのではないかと…根拠のない、何かが) (見えるような、わかるような…そんなぼんやりとした別の世界を今みているような感覚で彼らを見つめる) -- 恵美
- --
- --
チクタク、チク・タク。 チクタク、チク・タク。
――それは、バベルか。 ――それは、玉座か。 ――それは、いと高きものの座す処。 ――それは、学園都市の遥か天空。 ――鐘無き塔の最果てか。 ――それとも。邪悪なるものの祭壇か。 遥か高みの玉座にて。 今も、君臨するものは語る。 今も、君臨するものは囁く。 機械の如き笑みを浮かべて。 闇の輝きそのものの双眸で。 チクタクと、音を、響かせて。 邪悪なるものは嗤うのだ。 混沌なるものは嘲るのだ。 すべて、すべて、戯れに過ぎぬと嘯いて。 すべて、輝けるものたちのすべて。 すべて、眩きものたちのすべて。 その掌の上に見つめながら。 遥か高みの塔の頂上で。 いくつもの機械仕掛けの時計を響かせて。 嗤うのだ。笑うのだ。
学園都市の全てを。 遠く、この高みより見下ろして――
--
《大鐘楼》の頂上。《統治会》でなければ入ることも許される高き塔に。 《統治会》であるはずもない男がいた。 無数の機械と方程式と魔法陣と。科学と魔術に囲まれた、《大鐘楼》の頂上に。 白い服を着た男がいた。機械なる玉座に腰掛けて。 邪悪な笑みを浮かべた男がいた。その肌も、笑みも、黒きものであるものが。 いと高きこの塔の頂から。 学園都市の全てを見下ろして。 ――まるで、王の如く。 ――まるで、神の如く。 何もかもを嗤いながら、見つめているのだ。 学園都市で生み出される、幾百の、悲劇を。 己の、歓喜としながら。
『喝采せよ、喝采せよ』
『嗚呼、嗚呼、素晴らしきかな。盲目の生贄が終焉の階段を登るのだ』
『現在時刻を記録せよ、我が《時計》』
『私の望んだその時だ。学園都市よ、震えるがいい』
喝采するものがいた。 拍手するものがいた。 機械的な笑みを浮かべながら。 何もかもを嘲笑いながら。 その男は喜んでいた。歓喜していた。 クラック=クラック。玉座に座すのは彼の違反学生。 しかし、だが、しかし。 その姿形は彼であっても、その口調も態度も、何もかもが違っていた。 まるきり別人のような、神の如き、名状しがたい笑みを浮かべていた。
--
『ようやく、ようやく』
『我が生贄は、真実へと踏み出した』
『《黄金瞳》も、《異能》も、《輝き》も』
『何もかもは、意味がないと知らぬままに』
それは、時計鳴らすもの。 それは、時に、闇に吼えるもの。 それは、時に、主を嗤う、虚空の王。 それは、這い寄る混沌であって。 異空より来たるもの。 学園都市に現れた、悲劇もたらすもの。 その名こそ――
『チク・タク、チク・タク』
『少女、生贄、さまよう子羊たちよ』
『輝けるものたちよ』
『さあ、そろそろ、時間だよ』
『終焉の時だ』
『お前の涙を見せておくれ』
『お前の絶望を見せておくれ』
『幾百の悲劇全てが』
『私に、力を与えてくれるのだから』
『輝けるものたちよ』
『我が《時計》の音を拒むものたち』
『滑稽なる、《鐘》の、贄たちよ』
『美しきものなど』
『輝けるものなど』
『すべて、すべて』
『あらゆるものは意味を持たない』
静かに告げて。 玉座の主は、深い笑みを浮かべる。 人のような笑みではあるが、そこには何の感情も浮かんではいない。 憐憫の一切を思わせない、“笑み”であった。
君臨する混沌は、今こそ告げる。 この高みの塔の頂で。 世界全てが、己がものと言わんばかりに。 笑みを絶やさず。 冷静に、残酷に。嘲りを以て。
『たとえば――』
『諦めてしまえば何の意味も、ない』
『ゆえに、ここまで、来たまえ』
『遥か高みへ』
『待っているとも、輝けるものたちよ』
学園都市に現れた、邪悪なるものが、嗤った――
--
- (不在そうだったので、チョコを梱包して置いて行く) -- エル?
- (郵便部から手紙が届けられた。酷く汚い字で文法なども滅茶苦茶だが、読めなくはない。どうやら子供が書いたもののようだ)
(要約すると、「来月、弟のユユが同行相手になるので一緒に頑張ってあげて欲しい」という事らしい) -- ヴェル
- ん? なんだこのきったねえ字は……ガキか。
いいぜ、よろしく一緒に頑張ってやろうじゃねえか、ガキ。(邪悪な笑みを浮かべ、手紙を破り捨てた) -- クラック=クラック
- (落第街を進んでいると)まぁクラックさん お久しぶりですわ
最近はいかがですかしら 何か楽しいことはありました? -- ミラディーア
- よお……ヘビ女のババアじゃねえか。
(チク・タク、チク・タクと懐中時計の秒針の音を響かせながら、クラックは歩いていた。 すると、女教師とすれ違い、声を掛けられた。面倒くさそうな態度を隠しもせずに、右目に顕現した黄金瞳を光らせながら彼女を見る。敢えて彼女が嫌がるようなことを言いながら。) さあ、どーだろうねエ。別に教師殿に言う事なんざねえけどな。そろそろデカい抗争でもおっぱじめようと考えてるぜ。 (背後には幾人かの異能学生らしい者たちが控えていた。クラックの部下のようだ。) -- クラック=クラック
- (カチン)発言権も信用もない小童が……リークしますわよ……?(こちらの目も爬虫類らしさが増していく)
モブ(=風紀警察下っ端)が多くて困ってますの そちらを狙ってくださると助かりますけれども -- ミラディーア
- ハハハ、そうカッカするなよ婆さん。何ズレたこと言ってんだよ。発言権も信用もこんな場所じゃなんざ意味なんてねえよ。ガキの言葉に一々目くじら立てんなよ。
チク・タク、チク・タク……時間なんだよ、時間。わかるか? 俺の時間なんだ。テメーに指図される言われも何もないんだ。 俺は俺のしたいことをする。風紀の下っ端なんざどうだっていいんだ。どうせ俺には勝てねえしな。やりたきゃテメーがやれよ? (邪悪な笑みを浮かべて、ミラディーアの顔を覗き込んで言う) -- クラック=クラック
- ズレているのはどちらですかしら? この場所は既得権益のごく一部……社会の構造すら想像もつかない小童が
ガキの一言は破滅に十分だということですわ そうですわね あなたの時間、あなたの自由意志 尊重しますわ 教師ですもの……ねぇ (覗き込んだクラックに、悪女の笑み) ではまた……楽しんでくださいまし -- ミラディーア
- はは、ははははは……社会なんてどうでもいいぜ。俺はこの学園都市を混沌に陥れるんだ。
社会組織なんて意味はねえ。全部ブッ壊れるのさ。ああ、俺の一言は破滅だ。俺の方程式は、全てを《破壊》するんだからな! ババア! てめえも俺の玩具だ。せいぜいテメーも時間が来るまでは、そうやって教師面してな! (けたけたと笑いながら、男たちは闇の中へと消えていった) -- クラック=クラック
- --
- --
- あ、ちなみにうちらはあれです。解説とか、レーチェル君の補助なんでバンバンやりたいようになってください。基本サポートに回ります。 -- 義光
- 了解です! では少々お待ちください。本日は戦闘に入れればいいかなと思います! -- レーチェル
- こんな感じの導入になります。大丈夫でしょうか? -- レーチェル
- 了解、こちらはぱぱーっとうつスタイルなので、やってまいますね -- 義光
- これは次うちらなんだろうか、それともチクタク? -- 義光
- あ、チクタクです! お待たせしてもうしわけない! 打ちましたです。
チクタクの次にそちらの会話が入りましたら、数式領域内に入ります。 -- レーチェル
- 了解! -- 義光
- これで思弁実践的探偵部の方々が会話したら、クラックが発言して戦闘開始となります! -- レーチェル
- よし、ではこんな感じでしょうか。というあたりで今日はおやすみと… -- 義光
- 了解でーすありがとうございました!! ではまた続きもよろしくお願いします!! -- レーチェル
- 後は決戦場の準備しておきます。明日続きを出来ればと…! -- レーチェル
- 本日の待機。 -- 義光
- お待たせしました!! 今より再開できます!!
今日も0時過ぎぐらいになるかもですが…すみません! ここのシーンを終えて大鐘楼に向かう! というところまで出来ればいいなと思ってます! -- レーチェル
- よし、というわけでこんな感じでどうでしょう。とっとと退場願うことになるのか…さらば彼よ -- 義光
- ちなみに必要があればに解説としてロジャーと恵美が出るくらいで、基本は僕一本でしょうな -- 義光
- 了解いたした!! 似非リアルをリアルに変える力…!! -- レーチェル
- 力(パワー)というより技(アーツ)です、うちの流派の真髄ですね… -- 義光
- あ、時計についてちょっと解説を入れたほうがいいかなと思うので少しロジャーのだけ挟みますね、義光の後。 -- 義光
- 了解いたした! -- レーチェル
- あ、あとニャルラーをどうこうするかは考えてます?よければレーチェルくんにぶっ飛ばさせる案はありますが -- 義光
- 出てきたニャル山で調子乗ろうとしてるところを、逆にニャルに取り込まれるみたいな展開は考えております! 本物のチクタクマンが現れると言うか。 -- レーチェル
- あ、なるほど。いや炎で戦うならここでちょっとレーチェルがヒノカグツチをとか思ってたけどそこはまたその先でいいですね!ベルトの機能というかなんかそんな存在をにおわせておく程度で -- 義光
- ニャルは炎に弱い!! おねがいしまーす! -- レーチェル
- というわけでこんな感じでしょうか、ルビを振るなら輝く炎の神? -- 義光
- いいねえ! 輝く炎の神!! それでいきましょう!! -- レーチェル
- 余談だけどプロメテウスの火は原子力説もあって原子力研究者として云々があるニャルとは相性が悪いと思ったので云々 -- 義光
- そういうことか!! ニャルは物理学者としての化身もあって、核爆弾の製造にも参加したみたいな設定もありますからね…ネタが細かい! -- レーチェル
- これにて数式領域は壊れ、チクタクマンが大鐘楼の頂上にやってくることになります -- レーチェル
- よし…!ラストバトルはレーチェルVSチクタクの1:1にします?途中で離脱するのがいいかと思ってたんですが螺旋階段の上りで。 -- 義光
- よろしいですか……! では一対一で行ってみようかな…! -- レーチェル
- そりゃ折角のだしな!というかここでコンビを組むのもというのはあるしね。別の存在から横やり受けますので俺のことはいいからとっとと行け!をするか! -- 義光
- やったー! 王道展開だー! ありがとうございます、それでいきましょう! -- レーチェル
- と、いうわけでお先に寝ておきますね…また明日… -- 義光
- おやすみなさい! -- レーチェル
- つーわけで待機、さてここからどういう導入になる予定やらと -- 義光
- 帰宅しました!
考えているのは、現実世界に戻ってきたら、現象数式実験が始まろうとしていて、異形のものとかが跋扈していた。 それらを乗り越えて学園都市駆け抜けて大鐘楼まで向かうみたいな感じですね。 その後螺旋階段登って、頂上で決戦という感じです。 -- レーチェル
- よしきた、それじゃ大鐘楼まで向かうまでの間のことはどこでやります?ここでしょうかね -- 義光
- 折角なんで決戦ページでやろうかなあとかは思ってますが如何でしょう -- レーチェル
- ではそちらに向かいましょう、急げ急げ -- 義光
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