暗く深い地の底で
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- (たどり着いたのは、見上げるような高い山の麓の横にある、先程の議事堂に匹敵する大きさの大地の裂け目)
(奥へ進めばそのまま奈落の底まで落ちてしまいそうな光景。意を決して踏み込めば、内部は意外に明るく) (昼間のような、とは言わずとも光苔が自生しているのか辺りを見るには困らない程度の光を天井や壁が放っていた) (奥へと進めば、なだらかな下り坂がいつまでも続く。鍾乳石がいくつも垂れ下がる道行きを注意して進む) (その広さ、高さは、かつてここに大河があったであろうことを想起させるが、水気は無く、それは不幸中の幸いだったろう) --
- さっきのあいつらは…うちの伝承じゃ正確には『ミノル・リゾーム』っつーんだ。意味は…まあ、子分だな。
んで親玉が別に居るんだが…確か…これは詳細にゃ解っちゃいねぇ。ただ、居ることだけが朧気に残ってる程度だ。 まあ…だからこそトドメとさせてねぇで、こんな土地に逃げ延びちまったのかもしれねぇが…(ただの昔話と思わず、きちんと聞いておけばと思いつつも) …いつまた奴らが出てくるか分からん。皆、警戒して進んでくれ(そう言って進むものの襲撃は発生せず、黙々と足を運ぶ) (リゾームが罠を仕掛けるほど高度な知能を持っているとは思えない。だとすれば…これはもしや…余裕の表れなのではないかと、そんなことを考えながら) -- クロト
- 根絶やし ってのは良くないイメージの付きまとう言葉だが…今回ばかりはそれを徹底しなきゃならねーようだな
(クロトの話を聞いて、うっし!と気合を入れる。見通しの悪い場所、閉所での警戒と索敵は斥候の役目) (離れ過ぎないようにしつつも皆より前に出て安全を確認し、先導する) -- ライ
- ……もしその伝承の通りでしたら、今最もその親玉の居る確率が高いのが…ここですわね。
魔物が住み着く…となれば少なからず瘴気の発生源、もしくは瘴気の溜まりやすい場所、とも言えますから…そちらにも警戒が必要ですわね。 (先の戦闘で消耗したエネルギーを飴玉で補いつつ、不気味なほど静まり返った坑内を慎重に進む。部隊の中ほど、攻勢にも防勢にも転じやすい位置を維持しながら) -- メイベル
- あれだけ街を荒らしていたのが子分で、親玉はまだ別にか……頭を抱えたくなるね(大洞窟に入るに辺り光魔法で視野を確保しようと図るが、光苔の明かりが存外照っていた)
さて……鬼が出るか蛇が出るか 討伐も山場というところだが、奥には何が待ち受けているのか (橙色に輝く剣をかざしゆく道を探っていく 先程以上の激戦が予想されるだけに、洞窟を進む足取りにも緊張が走る) -- ローザス
- (そうして…やがて、もはやどれだけ降りたか、一同がわからなくなってきたころ…)
(大洞窟の天井が一気に高くなり幅も広くなった広場へたどり着く) (恐らくは…元々は広い池であったのだろう。光苔の灯りだけでは細部まで見通せぬほど広いそこに) (天を貫き通さんと、地から伸びる巨大な根の集合体が、存在した) (広場の中心に天井と床を繋ぎ屹立するそれは、目測で全長は20メートルに届かないほどであろうか) (まるで巨大な樹木の如く、伸びるそれは、木であれば天井にへばり付く部分は枝であり、葉であったろうが) (それは床にも、天井にも夥しい数の根を張っているだけ。実りなどもたらさず、ただただ搾取するためだけの根を伸ばしていて) (地上から5,6メートルほどの部分が瘤となり膨らみ、その中心に黒い中心部を持った宝石のような紅い球体が浮かび) (その周囲を同じような球体が二つ浮いて、衛星のようにゆっくりと回っている) (それらは、まるで奈落の底から見つめる紅い眼のように。矮小なる人間を、睥睨し) (広場で天井を支える柱のようになっている鍾乳石とも似て、決定的に違う、魔としての瘴気を放ちながら泰然とそれはそこに居た) --
- 『ドミヌス・リゾーム』…!(ひと目見て分かった。これは今までとは…格が違う。震えそうになるその威圧感に、足が後ずさりそうになる)
……くっ…退いて…たまるか…!!(身を奮い立たせ、ドミヌス・リゾームへと駆けていけば…) (ごり、と鈍い音を立てて一つ一つが丸太のような根が何本も何本も浮かび上がり) ────!(球体が震え、悪寒のする不快な音を立て、まるでちっぽけな虫を叩き潰すかのように振り払われ、叩きつけられんとする) -- クロト
- クロト卿!!一閃せよ!!(クロトに振るわれそうになった根に目掛け閃光の一閃を振り払う 再度の張り直しに隙を生じるがそれを気にしている余裕はない)
直線的に動いてはダメだ!動きを悟らせるな!(それで全て切り落とせるとは思えない クロトに向かいそうな幾つかの根をおびき寄せ、そして交わす) -- ローザス
- これが……!(即座にバイザーを降ろして大斧を構える。鉄仮面の奥で溶け残った飴を噛み砕く音)
(構えた大斧を業火が包む。プレッシャーを跳ね除け、威圧するように) さて…何処から手をつけたものか…! (全身甲冑の重さを感じさせぬ足並みで巨大な根の周囲を回りこみながら、襲い来る巨大な根の末端を大斧で迎え撃ち、焼き斬って行く) -- メイベル
- クソッ!こーゆー力任せな相手は苦手だって何度も…(軽口を呟いて己の気を紛らわせようとした矢先、クロトに迫る数本の根を二つの眼が捕らえ)
「「クロト!!」」(ライとファクト、二つの心が同時に叫ぶ。そして二つの精神が考えるより早く、二本の脚で跳躍し、両の腕でクロトを突き飛ばし…) …がっ!!!(身代わりとなって、鞭に喩えるにはあまりに凶悪な根に打ち据えられた。 めきり という鈍い音が胸部から全身に響く) -- ライ&ファクト
- (蹂躙するが如く振るわれる根。それはミノルリゾームの物とは比較にならず太く、強靭なのは一見して分かる)
(それでも、ローザスの洞窟を照らす光の煌きは、クロトに叩きつけられんとしていた一本の根を見事弾き飛ばし、切り落とした) (しかしそれはただの一本だけ。もはや何本動いているのか分からない根は、気に入らぬその薔薇の輝きを打ち消さんと突き刺さるように迫り来る) (そして、それとは別方向から攻めるメイベルの元にも根は届く。それは、一旦は炎に包まれ動きを止めたものの…) (焼けた後から深緑色の腐臭を放つ液体がみるみる内に溢れ、しばらくの後、根についた炎を消してしまった) (更には、止めた根とは別の根が挟み込むようにして重装甲の騎士を押し潰さんと左右から振るわれ) (辛くも…二つの声が大広間に響いたその瞬間、痩身の男は弾き飛ばされクロトに根が及ぶことはなかった) (だが、その根はなお一撃を加えんと森の賢人へと迫る。それは…普通にはもはや対処不能な、致命の一撃だったが) --
- すまねぇローザス…!……ライ!?(自分を突き飛ばした二人の友に、致死の根が迫るのをまるでスローモーションになったように見やる)
(ここで…失ってしまうのか?共に酒を酌み交わし、共に笑った二人の友を。………そんなのは) 死んでもごめんだ!!特に…借りなんて作ったままじゃあよォ!!!(彼らの…歩んできた道を、真実と嘘を、消したりはしない) (意識を集中、根の動き、ねじれ、ひねり、伸縮、収縮、その動きの流れ…力の流れを刹那にて見極め、解析、予想…いや予測する) (普段なら無理だろう、だが…必殺の槍をも羽毛の如く受け流した伏竜鳳雛の力さえあれば…!) せぇい!!(ライに迫る巨大な根の力に片側の籠手で介入、そのままもう片方の籠手を使い全力で逸らし、誘導…そして根は壁へと突き刺さる) …グロスベ!!(それは、いつか、ライが見た、決闘場での術理。アルエットの身体を空へと舞わせた…あの技だった) -- クロト
- (蹄の音と共に黒い影が駆け抜ける。影の上を紅蓮の軌跡が走る)
(愛馬の疾駆と共に繰り出した炎の斬撃は、クロトが壁へ叩き付けた根を両断する) (次いで無数の根を牽制するように、馬上で炎吹き上げる剣を構え、ライの前に立ちふさがる)
ライー? 生きてる? これ何本に見える? (暢気な声でライに向かってピースサイン) -- アルエット
- ライ卿!?くっ……剣を摂れ!!(クロトへの一撃がライへ逸れた それも致命打ではなかった しかしエンチャントの隙を縫われた形だ カバーできたはず、と苛立つ心を宥め自分にできることをする)
(しかしてライへの一撃が深く入りきることはなかった クロトによるインタラプト)……流石だ、クロト卿(根が宙を舞い、滑るように逸れていった 遠間から見てもわかるほど繊細な技 それを大一番でこなす胆力 これならばもはやクロトの精神面に心配などいらない) ……さぁ、さんざんやってくれたところだ お返しをしなくては、な!(眼のように蠢く赤い球体を目掛け、惑わせるようにジグザグと動き周り接敵する) -- ローザス
- ………一匹と…くっ…一羽………かな…。(声を出すたびに上半身全体が痛む。肋骨やその周りの骨が何本かやられたのだろう)
(しかしアルエットのピースサインに微笑んで答え、言葉を続けた) …竜に…雲雀の姿の鳳凰…まだ若いが…どちらも元気そうだ… …神の与えたもうた火に照らされ…野薔薇と百合は情熱に煌き………ああ…俺も暢気に寝てはいられんな… (ゆっくりとしかし確かな生命力を持って立ち上がり)…黄泉の河は見えたが…そこの爺に言われたよ。「折角だから力を貸してやろう」とね (その手に握られていたのは、導きの杖『ウトナピシュティム』。エルフの周囲の闇が深まると共に、その頬のタトゥーの血と死の赤、そして生命と再生の緑が混ざり合って輝く) -- ライ&ファクト
- …ライさん、ご無事ですの!?(声をかけながらも視線は巨大な触腕のような根から外すことは出来ない。眼前には挟み込むように迫る二つの丸太のような根)
(左右からの挟み撃ちをどう回避するか。答えは単純。重装甲の騎士、己の体重とほぼ同重量のウエイトを背負った状態では取りえない行動) ………っっ!!(跳ぶ。まるで軽業のように垂直に飛び上がる。そしてそのまま…) おぉぉぉぉぉっ!!!(大きく振り上げた斧の刃にひときわ大きな焔が走る。空中からの落速を加えて叩きつけられた刃の先、爆発的な火力の火柱が上がった。無論いずれ腐汁で消されることは目に見えていても、一時的に動きは止まる事を見逃しては居なかった) -- メイベル
- (かくして突き刺さったまま、無防備にその腹を晒していた根はアルエットによって断ち切られた)
(しかし、無事な根は幾本も伸び、場に似合わぬ明るい声を響かせるアルエットの目前でゆらりと揺れ) (その先端に深緑色よりもなお深い、地獄の沼の底にたまったヘドロのような液体を分泌しだし) (ぽたり、と垂れたそれは床に落ち、その床はその水滴分の穴を空ける。…それは強力な溶解液、まともに触れれば肉を骨に変える) (そして…その液体が馬ごとアルエットを溶かさんと勢い良く直線状に撃ち抜かれる) (そうしてローザスの動きを追う一つの眼、他の二つの眼は他の団員を追っており眼もくれないが) (左側に位置するその紅い眼の瞳孔に当たる黒い部分が、雷のように動くローザスに釣られ右往左往する) (が、その瞳孔が一瞬、明るい光をあてられたかのように収縮すると…轟音と共に魔力による衝撃波の塊が放たれた) (続けて爆炎が走った。薄暗い洞窟の天井をも明るく真昼のように照らすそれは二本の根の動きを完全に止め) (内部から樹液を分泌するまでもなく…莫大な火力、その力を持って根を二本、焼き切り、紅い眼はそれを忌々しげに見る) (残る一つの眼が、眼を細めるかのように瞳孔を細くする。…それは、彼の賢人に渦巻く力を…観察するかのように) --
- くっ……このままじゃ…!(有効な打撃はいくつか与えられているが、腐海の如く迫る根たちは次々と溢れ出す)
(そしてクロトには他の団員とは違い根を断つほどの剣技はすぐには出せない) (最小限の動きで籠手を使い根を逸らし続けながら、出来るだけ他の団員の負担にならぬよう根を誘導する) -- クロト
- 平気そうね。でも寝たくなったら遠慮なく。鞍には一人分の余裕あるから。
(エルフの周囲で煌く輝きを見れば、ウインクを返し軽口を叩く) さぁて。遅れたぶん元気も有り余ってるし全開で行きましょうか! 絶影。もう少し頑張ってね? (愛馬の鬣をさらりと撫でて鐙を蹴り出す。瞬時に駆け出した黒毛馬はその場に影だけ残していく) (根から撃ち出されたヘドロのような液体は影を溶かすが、その主は既に彼方へ駆けている)
ローザスが狙ったあのいかにもな感じ満点の紅いヤツ……アレね! (疾走する黒い影に揺られながら、碧い目がすぅっと細まる。鋭い視線は獲物を付け狙う狩人の色を帯びていく) (あらゆる方向から襲い来る丸太のような触手を、馬の速度を以って掻い潜る) (本体を中心として円を描くように走らせながら、紅い球体を視界に納め、手綱から手を離す) (転瞬、外套の下からアルエットの諸手が引き抜かれ銀閃が煌いた。数条の鋼糸が宙に踊る) 走れ (一拍遅れて、アルエットの詠唱に応ずるようにうねる様な炎が奔った) (炎と鋼糸が一体となり、獲物を喰らう蛇のような動きで、残る一つの眼に襲いかかっていく) (一つ一つが独立した意思を持つ様に、炎の蛇達は禍々しき紅の輝きへ殺到していく) -- アルエット
- 一つはこちらを追っているな。まずはよし ……あの液は浴びれないな(溶解液のもたらす有様を見てゾッとする まともに浴びれば骨も残るまい)
アルエット卿、随分強大な術を……!(同じ騎士と言え、全ての手の内を知るわけではない 炎の蛇がうねる様に感嘆 ともかくこれでもう一つも釘付け) さあ、こちらを向いてもらおうか!(極力目立つよう、光の剣を大きく伸ばす それは次の一撃に備えたチャージでもある 紅炎と黄煌の混じった剣が大洞窟を照らすように伸びる) -- ローザス
- …パラディンの渾名は貰ったが、流石に寝ながら馬を走らせるのは無理だ。振り落とされて、頭を打って今度こそ永眠しかねん
(にっと笑ってアルエットに答えると、精神を集中し…周囲の「死」を感じ取る。 かつてここに流れていた地下大河。それが運んでいた生命の水) (おそらくはそれを全てこの怪物に吸い上げられ、その体内の腐液へと変えられ、虚ろとなって残った大洞窟の無念、哀しみ、憎しみ…) (…死の力が、ライとファクトの体に、その手に握った『ウトナピシュティム』に満ちる。そして…) …俺は束縛するのもされるのも大嫌いだ。何かを支配するなんてできやしない。だから代わりに… 導くのさ。(その言葉を発した瞬間、その体から 死 そのものが膨大な奔流となって溢れ出し) (他の騎士たちの放つ炎や光とは全く対照的な、広がる影となってドミヌス・リゾームの全体へと絡みつき、その内側から生命を吸収していく。枯れた地下大河が憎悪と共に食らいつき、奪われたその力を取り戻すかのように) -- ライ&ファクト
- (洞窟内に響く馬の蹄音と耳慣れた声。視線を向けることこそ出来ないものの鉄仮面の下で薄く笑う)
火力を強めれば案外効きますのね… ならば!(自分は繊細な技巧を凝らした戦術を巡らせる…というのは苦手だ。ならばこそ──) (握りなおした大斧の刃はなお激しく燃え盛り、紅蓮はやがて煌々と白い灼熱へと変化してゆく) ………メイベル・C・アッシュベリー! プロメテウスの焔とともに…参りますわよ!(膨大な熱量をたたえた刃を突きつけるように一振りすると、地面を蹴立てて突進をかけた) -- メイベル
- (森の賢人へと注意を払っていた紅い眼は、ふいに横から襲い来る炎の蛇に気付けなかった)
(いや…気づけていたとしても反応できたかどうか。精緻に、かつ野性的に絡みつく蛇たちはそれほどまでに素早く伸びて) ─!(まるで、ガラスを擦り合わせたかのような耳障りの悪い音を立て、眼の一つがびきり、とひび割れ色を失う) (しかし…それと少し遅れ…ローザスを狙っていた眼と中心の眼が、その場で揺れるように、ブレるように奇妙に震えれば) (少しの間を置き…崩れかけた炎の蛇に捕らわれた眼が時間を巻き戻すように元の瞳の姿を取り戻し復活した) (狂った歓喜に打ち震える瞳、そのままローザスに狙いを付けた瞳は笑うように一つ震え) (それと同時に幾つもの根が先端をローザスに向ける。じわりとヘドロのような溶解液が染み出し、二重三重に発射されんとしたが) (…その下から、ドミヌス・リゾームの身を震わせる"何か"が迫る。それは、この巨大な根が知らぬ物、それはその巨大な根が与える物) (それは…死。黄泉の国から溢れ出さんとした大河の怨念。急速に両手両足の指の数ではとても数えられぬほどの数の根が萎れ) (己に向けられる未知の力に怒り狂い、押し返さんと魔力を根へ張り、まるで綱引きの状態になり、ローザスへの溶解液の発射の勢いが弱まる) (そして…メイベルの掲げる斧が、炎から…太陽のごとくと変化し、振るわれる刃は次々と拮抗した状態の根を打ち切り) (さしもの魔根も枝根を攻撃に回しすぎたためか、やせ細ってきた。怒り、怒りがドミヌス・リゾームを支配する) ───(鈍く、球体が震える。それはすぐに潰せるはずだった矮小な虫けらを、未だ仕留め損なっていることに苛立つように) (紅く、紅く、紅く、中心の球体と衛星の二つの球体が僅かに光り輝き、魔力が高まり共鳴するように震える) ─────(三つの黒い瞳が狂喜乱舞するかの如く、縦横無尽にあらゆる方向を向き、そのたびに魔力は巡り、収束し、繰り返し繰り返し密度を増す) (<死せよ、死せよ、我が最高の力受け、あらゆる命を捧げ、搾取され、偉大なるこの身に取り込まれることを栄光と思え>) (…そんな、意味さえ解ってしまう強烈な悪意の波動を撒き散らしながら、根は、胎動する) ──────!!!(そうして、輝きが最高潮になった瞬間…紅き光は一瞬で消え) (<滅びよ>次の瞬間、内圧で崩壊直前な程に圧縮され開放された魔力はリゾームを中心に全方位に圧倒的な衝撃波を撒き散らした) --
- なっ…!……皆!鍾乳石に隠れ……ッ(仲間に警告を発しながら、自らも攻撃を避けるために鍾乳石の柱に隠れようとしたものの…)
(運悪く、クロトの位置はどの柱からも遠く、一足には隠れられない。せめて、と両腕を交差し、伏竜鳳雛を盾にするように守ったが) (広場を覆い尽くすような強大な衝撃。洗濯桶の中でかき回される洗い物のように、上下左右、あらゆる方向から体中をかき回されるような衝撃) (伏竜鳳雛はその衝撃で弾き飛ばされ、どう、と広場の床へと倒れる。そして、ぴくりともその痩身は動かない) -- クロト
- (注意を引きつける策は無事に成っている 眼の一つはこちらをしきりに気にしている となれば、他のメンバーに向かう注意は三分の二)
(隙を見せればそのまま斬りかかることも考えたが)溶解液か!(牽制、と言うには十二分に殺意の溢れた溶解液が吹きかけられる) (それもライによる導きの杖の力に遮られ弱まるが)しまっ……くっ!(ローザスの移動先を読んだ一射が身体に降りかかる 重篤に焼かれることだけは避けたが、ブレストプレートが溶け落ち、その下着になる服も焼けて膨らみのある身体が顕になる) (しかしてそういった恥を気にしている暇はない いや気づいていない それというのもリゾームの眼の動きが忙しなくなりだしたからだ) なんだ……何を始める気だ!?(憎悪に満ちた瞳が魔力をかき集め、そして輝きとともに解き放たれれば嵐というのも優しいほどの暴威が振るわれ) ぐっ……があああああっ!?(地面に、壁に、そして魔力に打ち据えられる その嵐の中、眼光はまだ死んでいない これだけの力を奮ってきたということは、リゾームも追い詰められている ここで追いすがらねば) -- ローザス?
- (収束する力の流れを直感的に察すると、馬上から身を投げて、愛馬へ檄を飛ばす)
絶影! 広場の出口まで退避! (まだ足を潰されるわけにはいかない。相手がどのような逃走経路を用意しているか分かったものではない) (自身が身を隠す暇すらも無い中、走り去る愛馬とリゾームの間に立ち、剣を構える) (フォローは無理か──離れた仲間達に視線を走らせてから、長刀に魔光を宿らせ半身を外套で覆う) (遅れてやってくる不可視の衝撃。意識と剣を手放さぬよう立つのがやっとで身動ぎすらもままならない) (衝撃は去り、弱々しく彷徨う視線で倒れ伏した仲間の姿が映れば、その瞳に闘志の光が戻る) (この勝負に敗北は許されない。奥歯を噛み締めて震える足を奮い立たせ、一歩を踏み出す) -- アルエット
- …ぐ…ああっ…!! (ライとファクトにもまた、ドミヌス・リゾームの放った膨大な魔力が直撃し、根に打ち据えられたときよりも遥かに大きな苦痛に全身を引き裂かれそうになる)
(…だが…これも…先の死の力と同じ…流れを見極め…そうすれば………) (薄れそうなファクトの意識をライが助け、吹き飛ばされそうなライの精神をファクトが繋ぎとめ、そして…皆との絆が二人の心を守った) (………ライに、ファクトになるより遥か昔、今となってはその名もわからぬ存在が生を受けたときから持っていた、エルフとしての本能) (「あらゆるモノの中に力戦を見出し、その流れを導く」能力…それは滅びのために放たれた魔力の中にすら、生命の潮流を見出して…そして…) …今日は恩の貸し借りに忙しい日だ。(その力を破壊から創造へ、癒しの魔法へと転化して…温かな光に変えて、仲間へと導く) -- ライ&ファクト
- (根を取り巻く邪悪な気配が不穏な空気へと変化したのを感じ取れば、斧を握る手により一層力を込め、防御姿勢をとった)
(既に接近し過ぎている。退避は恐らく間に合わない。しかしこの斧を手放すわけには行かなかった。一度は痛打を受けようとも、再び反撃するために) っぐ…うあぁぁぁぁぁっ!!(いかに膂力があるとはいえウエイトは常人と変わらない。間近で受けた衝撃波の勢いそのままに吹き飛ばされ、壁面に激しく打ち付けられる) (鎧越しとはいえ肺腑から空気が押し出されるような衝撃に視界が揺らぎ、一瞬意識を手放しかけるが、倒れる体を大斧を杖にして持ちこたえる) (鎧には歪みが生じ、バイザーは半分外れかかっている。しかしその鉄仮面の向こうから、深紅に燃える瞳が根を、その目を見据えた) まだ…もう一撃…っ…!(半ば用を成さなくなったヘルムを脱ぎ捨て、脚甲を踏み鳴らして再び大斧を構える。視線が倒れたクロトや…半裸のローザスに向く。一瞬目を瞬かせたが、もう一度意識をリゾームの根源へと向けると、くすぶっていた大斧に再び灼熱が宿った) -- メイベル
- (嵐のような衝撃波の奔流が治まった後、洞窟の大広間は…静寂に包まれた。時折…衝撃波の威力に耐えられなかった鍾乳石の柱が崩れる音だけを残し)
(先程までの魔力の高まりが嘘のように、ドミヌス・リゾームは沈黙している) (その真実の身を晒した少女は、それでも気高く、立ち上がり、前を向く。当然だろう、彼女が今まで歩んだ道は茨の道) (美しさ以上に苛烈な、激しい痛みを伴う道だ。それであれば…この道も、立ち上がれない道理がない) (長い金髪を揺らし、前へ進む碧眼の少女を止めることなど誰にもできない。彼女が目指すのはこんな場所ではない) (全てを乗り越えた先、更にその先へ行かなければならないのだ。こんなところでは、止まれない) (森の賢人…いや、生と死を司る賢者は、果敢にも破壊の力を制御し、操り、癒やしさえしてみせる) (過酷なその生き様にこそ相応しき、鶏を導く杖を掲げ、皆に力を与え、それを見守り) (重戦士の少女が立ち上がる。その両肩には彼女だけではない、彼女を見送った者たち、彼女が護った、導いた者たちの思いがある) (だからこそ、立ち上がれる。それらを背負い、騎士の道を極め、かつ楽しもうとする少女、そんな少女が立ち上がれぬはずがない) --
- (降りかかる温かい光に、眼を薄く開ける。そこに映るのは次々と立ち上がる仲間。それと見て……へらっと、倒れたまま笑い)
………終われねぇんだよ…、まだ、俺は……俺たちは、ここじゃ終われねぇ…( ゆらりと、立ち上がる。両手にショートソードをぶら下げて、構えもなく、ただ立ち上がる) (肋骨は大体持って行かれている。手足にも大小様々なヒビが入っている。引き裂かれた革鎧から流れ出る血は、いくつあるかもわからない裂傷からか) (それでも、前へ。何かに突き動かされるように、前へ。それは郷里の親への意地か、傷ついた仲間たちを守りたかったからか、それとも…この数ヶ月を経て得た、騎士の誇りか) (きっと、それは全部だ。全てを、寝ぼけ眼の全部をないまぜにした、塊のような何かが細身の両足を動かしている) (ゆっくりと、右のショートソードを前へ突き出し、左のショートソードを腹の前に置き、構える) 俺は……俺は、クロトだ。ああ…そうだ、もう親父なんて関係ねぇ(呟くように、囁くように) ……俺は……シルワの国の戦士……力を持ち…正しく使う者……(自らに言い聞かせるように、唱えるように) ────『クロト・コルヌ』だッッ!! (咆哮した。いつも…常から半ば閉じているようだった目を完全に見開き、巨大な怪異を貫くように見据える) (その時…男の魂の底で何かが震えるような、そんな感覚があった) (そして…それに共鳴するように、両手の剣が、僅か震え) (ふわりと、男の背中に淡い幻のような、二つの影が浮かび上がる) (それは…白と黒の毛並みを纏った、耳持つ獣人のような姿) 「「盟約を果たせ、絶えることなく…『紡ぎ続けよ』」」 (朧気なその声を聞いたか、聞こえていないか、思う間もあればこそ、両手の剣がぐにゃりと形を変える) (左の剣は、左手に纏わりつき、そこだけ空間が無いかのような、深い深い闇の手となり) (右の剣は、右手に纏わりつき、そこにだけ太陽が生まれたかのような、輝く光の手となり) (驚く前に…その手が、教えてくれた。これは力なのだと、振るうべき…力なのだと) -- クロト
- (最大級の魔力を込めた一撃を放ったにもかかわらず、立ち上がる人間達に三つの瞳が慌てるように眼を泳がす)
(なぜ、なぜだ、なぜなのだ。矮小な、ちっぽけな人間の癖になぜ立ち上がれるのだ、と) (そうして崩れ始めた魔根の精神はクロトの両手を三つの紅い瞳が認めた瞬間、それは驚愕するように瞳孔を広げ…慄いた) (そう、始めて姿を現した時からずっとずっと騎士たちを見下し続けていたドミヌス・リゾームが事もあろうに慄いたのだ) (恐慌にかられまたもや魔力を高め始める眼。先程よりも狂気の色濃いそれは、広範囲に広がるものではなく…) (クロト、ただ一人を狙ったもの) (<知っている、知っている、我はその虚ろと輝きを知っている!>) (凝縮された魔力が渦を巻き、あらゆる物質を塵へと返す波動が痩身の男へ向けて放たれる) --
- (す、と襲い来る破壊の波動へと左手を持ち上げ…闇色の左手がそれを受け止め、全てを破壊するはずの波動は飲み込まれ…そよ風しか起こさなかった)
(そして、その力を輝く右手から放ち、反発力で持って空を駆ける。この両手は一対の武器、二つで一つの刃) (撃ち落とさんと放たれる波動を吸収し、避け、いなしながら急速に接近し…衛星の二つの眼、その二つの紅い瞳に右手の力を放出し干渉) (円周を描いていた二つの眼をまとめ…、光と闇、両の手で挟み押さえつける。先程アルエットが見せてくれた、あの時のからくりも、今ならこの手が教えてくれる) ……こいつぁ…三つ一気に潰さなきゃいけねぇ…この目ン玉共は俺が抑える! みんなは…真ん中の眼を潰してくれ!!! (…二本の腕で出来ることにはいつだって限界がある。中央の眼に干渉するには文字通り手が足りない) (だから…出来ることは一つだけ、街で決意したように、一つだけ) (…仲間を信じること、ただそれだけ) -- クロト
- (薔薇と百合の女勇士の情熱に溶かされた雫が一滴。鍾乳石から落ち、赤眼の戦士の炎斧に煽られて舞う)
(小さな雲雀の陽光の羽ばたきはその雫を煌かせ、影の中の生命の座に数百年ぶりの光を差す) (そうして眠れる龍が目覚めたとき、それに応えるかのように――)
――ズン (鈍い音を立て、その雫は一瞬にして巨大な氷柱に変わり、邪悪なる根の魔の残る腕を一本、貫いて地に縛り付けた) ――ズン ズン (一本、また一本と氷柱は増え、残り少ない根の動きを確実に奪って行く。はるか地上より放たれたにも関わらず、その内の溶解液ですら凍らせる、絶対零度の力で) (しかしその狙いは正確無比で、騎士たちの動きを害することなく――五本の氷柱がドミヌス・リゾームの手足に穿たれたところで、それは止まった)
- 心得た、クロト卿(少女の身を晒してもなお騎士たらんとする 気づいていないからというだけではない 気づいていたとしても同じことをしただろう 『任された』のだから)
(火と陽は未だ剣に宿る 剣を構え直し念じる)伸びよ、槍の如く。伸びよ、虹の如く!伸びよ、陽光のごとく!!!(一つ念じれば魔力を帯びて切っ先を伸ばす 二つ念じれば魔力が膨れ天を衝く 三つ念じれば魔力が爆ぜて吹き上がる) (もはや剣と呼ぶには長大過ぎるそれは洞窟の天を貫き、陽の光さながらの輝きで皆を照らす) (左右の目はクロトの両の腕によって封じられた ならば後は真ん中だ 今こそ全てを叩きつける時) 我が魂喰らいて疾走れ 一閃せよ!!(洞窟ごと両断するほどの勢いで橙に煌めいた剣を振り下ろす 騎士の仮面を被った少女に出来る最大の一閃) -- ローザス?
- (温かい光の流れ。その温もりに覚えはある。幾度かの会話を通じて触れ合った彼の心の光だ)
(総身に漲る力を確かめるように長刀をクルクルと回して鞘に収める。世話焼きエルフへと微笑みを送るが……) ちょっとライ! まだローザスの怪我が治ってないみたいなんだけど! 胸がすっごい腫れてる! (ローザスの露になった胸元を見て、場違いに声を張り上げる。そんな戯言も余裕があればこそだ) (今の自分で。いや今の皆で負ける気がしない。心に宿った確信が、駆ける足取りを軽やかにさせる)
ねぇ? そろそろクロトのカッコいいところ見たいなー? 見せてくれるわよね、『戦士』の勇姿♥ (指示が飛ばされる前には駆け出していた。クロトの横をすり抜け様、彼にウインクしてみせる) (納刀しておいた柄を握りなおし、標的へと視線を転じる。加速する足は止まることなく今にも飛び立たんばかり) (獲物を前にするには不釣合いなほど穏やかな笑顔を浮かべて、右の腕は振るわれた) (その笑みは、見覚えのある氷魔術の粋な計らいゆえにか? それとも共に闘う仲間の存在か? 或いはまだ見ぬ世界への期待を孕ませる『戦士』の輝きゆえにか?) (間合いは長刀の長さに見合わぬほど遠い。それでも斬れる。今の自分なら悠々と) (無走剣。鞘走りで放たれた神速の抜打ち。その衝撃波は標的のみを斬る為だけに飛んだ) (振るわれた刃の先は空気すら振るわせることも無く、ただ紅き瞳だけを切払う斬撃が放たれた) -- アルエット
- (立ち上がり、両の手に黒と白の力を纏ってドミヌス・リゾームと対峙するクロトの姿に神々しさを感じて一瞬言葉を失うが)
…やれやれ…前に出る仕事は俺の柄じゃないと…何度も言ったろう…(ファクトの笑顔で、ライの軽口) ………それはかの女王陛下も同じのようだ。おあつらえ向きの氷柱、感謝する (禁呪使いたちのそれとは違い、一寸の歪みもなく打たれた五本の氷の柱。 『ウトナピシュティム』から放たれた…) (いや…導かれた光と闇が、その五つの柱を通って交差し、混ざり合い…巨大な正五芒星を描き出す) (それはクロトの両の腕とシンクロするかのようであり、またあらゆる邪を祓い正しきを助ける力に満ちて…) そーゆーわけで、トドメは頼んだよ!皆!(…仲間の騎士たちの心身を、その奥底から鼓舞した!) -- ライ&ファクト
- (まるで陽光が差すかのような感覚。ライの癒しの光に足取りに力が戻り、一歩、また一歩と前に出る)
(クロトの声に応えんとするならば、今の自分にできることはやはり一つ。歩調は更に早まり、それに応じて大斧の刃が纏う熱も増大する) (攻め手はやはり愚直なまでにシンプルだ。だからこそ、一撃を。すべてを突き詰めた渾身の一撃を) あ、ああぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!(咆哮を上げ、陽炎を纏って吶喊する重装騎士。すべての力を前に出ること、そして巨大な根を砕くための一撃へと乗せて、振り下ろした) -- メイベル
- (死の河に苛まれ、神の焔に焼き尽くされ、体力を削られた魔根が震える)
(しかし、魔根には千年の時をかけ地脈を吸い付くし根塊に散々に蓄えた力があり、未だ余力はある) (クロトへの破壊波動を放ちながらも、他の騎士団員が居ることは忘れてはいない) (不可解で不愉快で不快感な、搾取するだけの存在には理解できぬ人間共) (それらへと根へと余剰魔力のありったけを込め、一息に殲滅せんと伸ばした時…) (轟音。轟音。轟音。轟音。轟音) (低く低く、重い音が広間へと響き渡った。それは魔力によって顕現せし氷柱) (…一体、誰が?そんな疑問など過去に捕らわれたままのドミヌス・リゾームには分かりなどしない) (同じような千年の時を経ても決して分かりはしない) (彼女は冒険者。失われし時を、それでもその控えめな胸に抱き、生き抜く…今の、冒険者なのだから) (氷柱に動きを物理的に止められ、それでも本体が弱まるリスクを推して残った根に魔力を込め始める魔根) (だが、その試みは敵わない。光と闇を内包する二重の線に描かれた正五芒星が、本来の守護の力を発揮する) (軽いような、落ち着いたような…どちらが発したのか分からない不思議な応援) (そんな声と共に正五芒星に満ちた力は完全に巨大な魔根の動きを止め) (もはや自由となるのは真核となる中心の紅い瞳のみ) (そこへ、天を貫くように伸びる薔薇の剣) (それは曇り空の切れ目から差し込んだ陽光の如く) (闇を切り裂き無明を払い全てをつまびらかに照らし出す黄薔薇の美しき剣) (その美しさが、偽物だったのだとしても、その可憐さが、闇に押し込められていたのだとしても) (輝き雄々しくそそり立つその剣だけは、きっと誰にも真似の出来ない、彼女だけの剣) (魂の輝き乗せて、世界を上下に分かつかと思われる程の輝く刃が、紅い瞳へと吸い込まれる) (そして、この戦いの中で土にまみれ、埃をかぶり少し煤けてしまった金髪をなびかせて駆ける少女の姿があった) (脇眼も振らず…いや、少し横の男へと振っていたか。だとしても、彼女は前しか見ていない、前しか見れない) (だからこそ…彼女は事も無げに振る) (今、この瞬間だけは剣聖に手が届く程の軽やかさで、余人には真似ることさえ出来ぬ、達人を越えた達人の刃を) (音さえ響かせぬ余りにも涼やかな刃は…先の輝ける刃と交差し合うように紅い瞳へと吸い込まれる) (愚直に…全てを受け止めて抱え込みそれでも落とさず、立ちはだかる少女があった) (ヘルムを脱ぎ捨て走り込む、その鋼を指先で持って歪める朴訥で、素直な…少し抜けた所のある少女) (決死の覚悟を叫ぶ彼女の柔らかい、皆を包むような笑顔は、すぐにまた戻ってくるだろう) (彼女が持つ神の焔は…、彼女が持つ限り、人を滅ぼすこと無く…魔を滅ぼすためのもの) (その太陽の如き刃が、二つの剣閃を包み込むように上から振り下ろされ、全てが、紅き瞳を、打ち砕かんと) --
- (展開され、叩き込まれる数々の力…それを二つの瞳を押さえ込みながら見守る)
………ま、アレだ。お前に間違いがたった一つあったとすんならだな。 (陰陽そのものと化した両手をぎりぎりと押し込み、最後の渾身の力を込め…) ───鶏鳴騎士団の騎士を、舐めたことだな。 (ああ、おまけが一つあったか、と呟いた男の手の中心に挟まれた瞳は…相反する力により発生した対消滅の力に巻き込まれ) (三つの紅い紅い紅い瞳に最後に浮かんだ感情は…誰が知ることもなく掻き消えて) (それに呼応するように、ドミヌス・リゾームの巨大な魔根は全て崩れ去り…灰となって大広間の大地へと降り注いだ) -- クロト
- その恩恵を享受するにしろ、忌避し暗闇に隠れるにしろ…真に払暁の力を知ろうとしなければ、どれ程の時を生きても無為、だな
(崩れ去る邪妖の姿を見ながらかつての自分を思い出し、ふ、と短く笑い) あるいは…鳥って土の下の球根も穿り返して喰うからな?ってか(そんな冗談を言う) -- ライ&ファクト
- (陽光の剣を振り抜き、見上げればリゾームの根は灰へと帰っていく ようやく終わったのだ)
……クロト卿、貴公の懸念もこれで晴らされたというわけだね(魔力を使い果たし膝立ちに成っていた姿勢からなんとか力を入れて立ち上がる) 鶏鳴騎士団としての仕事の大詰めとしては万全と……? 何か私が変かな?(情熱の剣を収め、帰路につこうとしたところで皆の視線が自分に向いていることに気づく 固く秘していた身体が顕になっていることには全く気が付かずに) -- ローザス?
- (振り下ろした大斧の刃が触れた瞬間、蓄えられた膨大な熱量が流れ込んで、爆ぜる)
(熱を受けた周囲の空気が膨張して吹き荒れるが、それは先刻、根が放った衝撃波とは違い、暖かく柔らかい風となって灰燼となった魔の者を吹き散らしていった) …………っっ。(撃破を確認して残心を解けば、ふらつく体を大斧に預けて皆を見る) ……やりましたわね…ご無事ですか、皆さん…?(疲労の色が濃いが、それでもいつものような笑みを浮かべて。ほぼすべてのエネルギーを使い切ってしまったがために、地の底から湧き出る亡者のうめき声のような音で腹が鳴っている) …あの、ローザスさん…その何か羽織るものを…(とはいえ視線はどうしても彼…いや、彼女に向かってしまう。思っても見なかった事態に空腹の頭は上手くついてきてくれない) -- メイベル
- (大本は絶った。が、千年の時を超えて復活した魔物。どんな保険があるか予断は許さない)
(愛馬を駆って周辺を見回る算段だったが、今はそれより気がかりなことがある) いや、ローザス。だから胸、すごい腫れてるって。ほらライ。さっきのもっかいやってよ。 こんなに腫れて……腫れて……はれ? 柔らかい? (軽く具合を確かめようと触れるだけのハズだった。驚くほどふにゅりとした感触に、目を丸くする) (信じられないといった顔をしながらも、ローザスの胸をふにふにと弄ぶ指先が止まらない) -- アルエット
- (しばらくの時が経ち、キャメル率いる後続の騎士たちがどやどやとやってくる)
(全てではないのは街にリゾームが残っていないかを警戒してとのこと。水や食料、薬などを手に手に持ち、近づいてきて…) (皆の足が、一斉に止まった。もはや言うまでもないだろう) (彼の黄薔薇の騎士の…あられもない…そう、まさにあられもない姿を目撃してしまったのだから) --
- ……そういや、俺が飼いたいつって昔飼ってた鶏、チューリップの球根掘り出して食っちまったから親父に即〆られたわ。
(よっ、と軽い調子で地へと降り立てば、その瞬間に光と闇の両手は見る間に元のショートソードへと戻り、からんからんと音を立て落ちる) おっと…親父め、これ知ってたのかねぇ……ん?(そうして、ローザスの姿に今さら気づき、あちゃーって顔。後続部隊を見て更にあちゃーあちゃーって顔) はぁー…ま、もうこりゃ仕方ないな。…あーメイベル、キャメルのやつが食い物持ってるみてーだぞ…ってうぉい!?アルエットうぉい!?(驚愕) -- クロト
- ………ピンク色の力に関しては専門外でな…(そういえば他の皆はリリィのことを知らなかったな、と思い出し)
(気まずげな表情で、上着を脱いでローザス…あるいはリリィに羽織らせる) (…その胸を執拗に弄くるアルエットを引き離すことまではできなかったけれど) -- ライ&ファクト
- ローザスさんには色々と後でお話を伺うとしまして…ひとまずは…っ。
(力の入らない状態ではもはや重石にしかならない胸甲を外し、目隠し代わりにローザスの前に翳し、ライの上着を羽織るまでの時間を稼ぐ) ……あ、ありますの…? 食糧……(キャメルの方を見る赤い瞳は戦闘時とはまた違ったギラつきを見せ、ゾンビのようにずるずると寄っていく) -- メイベル
- あれー? この触り心地はソフィー? エナレス? レーネちゃん? どういうことなのかな?
私の手の感触、タイムスリップしちゃったのかな? THE・おっぱいっていう感じの触り心地しかしない……。 (むにむに、ふにふに、ぐにゅぐにゅと。遠い目で手は動くことを止めようとしない) -- アルエット
- (ローザスならぬリリィが皆の視線の先を追えば、自身の胸にたどり着く ガッツリ顕になったBig boobsに)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ!!!(お約束のように顔を真っ赤にして胸を隠すお約束騎士 先程まで剣を奮っていたとは思えないほどウブな少女である) ライ様、申し訳ありませ……アルエット様揉まないでくださいませ!!!(なんとかライに上着を貸してもらい事なきを得るも執拗なアルエットの揉みしだき もはや黄薔薇の騎士の対面などなくドグサレの百合があるのみだった) -- リリィ
- あっごめん。ありがとう。ごめん (剣幕にハッとして手を離し、ペコペコ頭を下げる)
ねえライ? ローザスの身体が女の子になってるんだけど、あの魔法大丈夫なの? クロトにもおっぱい出来ちゃってるの? (受け入れ難い現実に、空想じみた可能性へと思いを馳せる) -- アルエット
- (キャメルが一瞬、すわ、動く死体か!?と剣に手をかけてしまったのは誰にも責められまい)
(驚きながらも、両手に抱えた水の瓶とパン、各種果物などを恐る恐るメイベルに差し出す) (その間にも…溢れんばかりの双球へとちらちらと視線をやる騎士は数知れず、胸甲と上着に隠された時はチッ、とまで声が出た) --
- やーめーてーやーれーよー。羨まし…じゃなくてローザス困ってんだろ!?(…いや、あれむしろ喜んでんのか?と呟いて頭を捻り)
……やっぱその手の世界のこた分かんねぇわ………俺も揉んでいい?(と最大限さらっと言ってみる。もう本人的にはシルクの手触りの如くさらっと) -- クロト
- 言うなれば即興の術だったゆえ…何が起こってもおかしくないが…
いやいや、クロトが女になったら自分の感情をコントロールできる自信が無い… (アルエットに問われると、リリィの事情を知っているのに割と天然なことを言うエルフ) …クロト (それでも同性として突っ込んでおかねばと、クロトの頭を軽ーくコンと叩く) -- ライ&ファクト
- (差し出された食べ物に目を輝かせ、食らいつく様はさながら魔獣のごとく。ひとまず渡された分で最低限動けるだけのエネルギーを確保するお嬢様)
(その間もアルエットに揉まれ続けるローザス…リリィの姿が目に入り)…………アルエットさん、ひとまず… (ぽむ、とアルエットの肩に手を置くと、そのままタンゴでも踊るかのように自分の胸元に抱きこんで、負けず劣らず豊かな膨らみの中へ顔を埋めさせる。鎧下用の分厚いチュニック越しではあるが) -- メイベル
- クロト毎日箪笥の角に足の小指ぶつけ……おっ? っと? っとー?
(呪詛の言葉は途中で切られる。それも考えうる限りおよそ極上の形で) 『わっ、わっ、柔らかい! おっぱいデー? 今日はおっぱいの日なの? 8月1日が遅れてやってきた?』 (言葉にならずにモゴモゴと。チュニック越しでも充分にその感触を堪能できる幸せの丘に包まれて) (ふにふに、ぐにぐにと、再び手先は豊満な乳房に酔い痴れる。猫をあやしている時並みに至福の表情) -- アルエット
- (どうやらアルエットの
激しい愛撫悪気無いスキンシップに気絶してしまったリリィに毛布をかけ、同じく地面に敷いた毛布の上に寝かせておき) (ライに続いてキャメルまでもがクロトへと実に冷たい視線をやる。……誰もが思ってても言わないことを的な視線) --
- えっ…抵抗してないから今大開放お疲れ様夏のキャンペーン中かと…!?…冗談だよ!OK出てもやんねぇよ!(ほんのちょっとだけ本気だったとは絶対言わない)
小指壊死させたいんか!…って…うん、アレも羨ましいっちゃ羨ましいが…メイベルが下劣な男ゴコロって奴に気付いたときが怖いから止めとこう…うん。 (かつて味わった万力のような腕の力を思い出して身震いする。…今日のところはそれに助けられた訳だが、やはり怖いものは怖い) -- クロト
- ええ、ええ…ひとまず落ち着きましょうねアルエットさん… ん、くく…ふふふふっ…あまりもぞもぞされますと少しくすぐったいですわ…!
(慈母のようにアルエットの頭をぽふぽふと撫でてあやしつつ、こそばゆさに軽く身じろぎし) まさかこんなところでローザスさんの秘密を知ってしまうとは…思いも寄りませんでしたわね。(微笑みつつクロトにも片腕を広げてみせるが、反応が思わしくないことを見ればぽふっとその頭を撫でるにとどめておく) -- メイベル
- …やー…実はしばらく前に知ってたんだけどな?流石に言い出せんからなー(苦笑しつつも、頭を撫でられその温かい手の平に思わず笑みが漏れる)
前から思ってたが…メイベルってあれだな、かーちゃんみたいだよな。騎士団の母。(冗談っぽく言いつつも、若干本気でそんなことを言い) --
- 『なんだかお母さんみたいだな……』
(手の動きは自然と止み、心が温かさで満たされていく。程無くして安らかな寝息) (思った以上に心身は疲弊していたようで、完全にメイベルに身を預けて眠りについている) (その顔はひどく無防備で安心しきっている。少女の激戦は心地よい眠りで締めくくられた) -- アルエット
- …ご存知の方もおられたんですの? もっと早く言って下されば色々…困ることも無かったでしょうに。 事情がおありのようですから責める事は出来ませんけれど…
あら…ふふ……そう呼ばれるのは少し気恥ずかしくはありますけれど、こうして母のように皆さんを支えて行けたら…嬉しいですわね。 さぁ、凱旋…ですわね。 復興に救護に…まだまだ手伝うこともあってこれからが大変でしょうけれど…(寝入ってしまったアルエットをそっと抱きかかえ、もう一度、邪気の失せた広い空間を、疲労困憊ながら余韻に浸る仲間達を見渡して、満足げに破願するのだった) -- メイベル
- 事情は…知らなくてもいいんじゃないかなー(棒読み&目逸らし)まあ早めに言ってれば(百合相手的に)困ることはなかったろうが…。
ははっ、どっしり構えてて頼りになる所を含めてかーちゃんっぽいと思うぜ?(そうして同じように笑い…ふ、と気が抜ければ) あつっ……ああ…そいや剣のお陰で忘れちまってたが…俺、肋骨だいぶイってたわ… (それ以外にも大小様々な傷は大量に。キャメルに声をかけ簡易的な手当を受け、痛み止めを飲めば) …俺も、ちっとだけ寝っかな…。…メイベル、鎧下たくし上げて膝枕…いや、忘れてくれ。うん。……それじゃ、また騎士団で。 (受け取った毛布を敷いてその上で寝てしまう。その寝顔は…己の全てを燃やし尽くしたかのように、爽やかで健やかな、そんな寝顔だった) --
- (幾つもの馬車に運ばれて件の街へと旅路を往く一同)
(揺れる馬車には鶏鳴騎士団の同期たち、そしていつもは遠征に出ているキャメルという名の無口な青年騎士と騎士達) (街に運ばれるまでに見えた風景は、つい最近まで風光明媚であったことが容易に知れるものであった) (だが、実際に見えたものはただただ腐った木、萎れた草花、異臭を放つ土) (まるで異界と化したようなその光景を横目に街の入り口へと向かえば…そこでも異常に気づくだろう) (そこにあったのは既に破壊された防壁) (大量の木材や土材で作られていたのであろうそれにはちらほらと家具が混ざっている) (突貫でどうにか構築された防壁は無残にも崩れ、街は外敵を退ける力をもはや失っていた) (防壁近くの建物にはまだ新しい傷、街の中心部に目を向ければ幾筋かの煙) --
- チッ…一足遅かったか…だが。皆!早速だが戦闘態勢に入ってくれ!突っ込むぞ!
(街の人間が居たら助けて後続の部隊に引き渡すように伝え、抜剣) (馬車から飛び降りるように降り、街の中心部へと進む) -- クロト
- くっ、既にこうも事態が進行しているとは……!(馬車を飛び降り抜剣、その軌跡が銀から赤へのグラデーションを描く)
(クロトの案内に続き進む 隊の中ほど 両サイドからの襲撃を警戒するポジションだ) -- ローザス
- 話には聞いておりましたけれど…これほどとは。 思った以上に深刻ですわね…!(馬車から飛び出したお嬢様は久々のフルプレート姿。馬車が使える、との事だったので可能な限りの重装備である)
生存者は……?(やや後衛、馬車の警護を意識した位置でバイザーを上げたままで索敵。手にした大斧には炎紋が踊る) -- メイベル
- (豊かな森が死に覆われる…。硬く古い記憶を金切る音を立てて引っ掻かれるようなその光景に、眉根を寄せて真剣な面持ちで駆けるエルフ)
(事の深刻さを肌で強く感じてか、いつになく無口だ) -- ライ
- (以前は活気に溢れていたのだろう、入り口から中心部へとつなぐ広い大通りを行けば、あちこちに残る戦いの跡)
(程なくして道の横からの攻撃を警戒していたローザスが道端に折れた剣を手にした青年が壁に背を預け呻いているのを見つける) 「うぅ……あんたら…増援か…?頼む…助けてくれ、街の皆は…この道の先の議事堂に避難してるはずだ」 (ライへと手を伸ばすようにしながら無念そうに言い、それが限界だったのか青年はがくりと気絶し倒れた) --
- くっ……急ぐぞ。まだ…きっと間に合う!(メイベルが護る馬車のキャメルへと青年を預ける)
(危険地帯で本来の速度を出せない馬車の足に合わせていては手遅れになるかもしれないと、先行するように駆けていく) -- クロト
- 貴公、しっかりしろ!傷は浅い!……むぅ(得られた情報は多くない だが命だけは保ったことにホッとし、青年を馬車へと運び入れる手伝いをする)
クロト卿、逸る気持ちはわかる。だが隊のペースは乱さないほうがいい(わかりきっているとは思うが、どうにも危うく感じたクロトに対し念押しの注意を加え進行を続ける) -- ローザス
- ……お願いいたしますわね、キャメルさん。(生存者が運び込まれる間も周囲への警戒は怠らず)
ええ…逸る気持ちは分かりますけれど、焦りは禁物ですわ。 何処に敵が潜んでいるか…(周囲の気配を探りつつ、馬車を先導するように歩みを進める) -- メイベル
- (いっそう表情を険しくし倒れた青年に駆け寄るが、まだ脈があるのがわかると、それも少しは和らぐ)
…他にも逃げ遅れた人がいるかもしれない (そう言って何か短い呪文を唱えると、頬のタトゥーが淡く赤く光り) (水面から出でるように、エルフの影の中から数羽の渡烏が飛び立った) 生き残りを見つけたら、あれらが鳴いて知らせてくれる (団員の中には「ファクト」であるライを見た事が無い者もいて戸惑ったかもしれないが、今はそれを気にかけている時ではない) …そのとおりだローザス。だが…(…街の者たちは一箇所に集まっている。そこが捕食者に嗅ぎつけられたならば…餌場に変わる) ………最善の策とは言い難いかもしれないものの、今は一刻が惜しい。私はクロトに続く …本隊は頼んだぜ、キャメル!(再びライに戻ると、その俊足でクロトに続く) -- ライ&ファクト
- (カァ、と一声鳴いて騎士達を眼下に飛び立つカラス達。それは進行方向へとは別の方向へそれぞれ飛び散って)
(そうして道を進めば…大きな議事堂の建物が視界に入って来る。そして、それを見たならば同じく視界に入ってくるものがあるだろう) (それは、遠目には一瞬、幾つかの人影に見えたかもしれない。だがすぐに気づくだろう、人にしては歪に太く) (人にしては崩れたシルエット、そして…人ではあり得ぬそれは、身体の全てが大小様々な根で構成されていた) (ゆっくりと、その異形は根を編まれて作られた手足を動かし、議事堂の門から敷地内へと入り込んでいようとしている) --
- ああ…分かってる、分かってるが…!(仲間に釘を刺され逸る気持ちを押さえながらも、ライと並び立ち僅かに先行し進む)
(そして、見た) …あれが…『リゾーム』…!(それを目にし、睨みつける。伝説の中の存在、大地を侵す物。決して許してはならない魔物) 伝承通りなら…胴体の中心にある紅い球根、それを潰せば無力化できるはずだ!蹴散らして突破するぞ! (こちらに気づき前面…顔が無いため恐らくそれが前面と考えられる、それを向けたリゾームの身体の中心) (そこには確かに身体を構成する茶褐色の根とは違う、拳大の血のように紅い球根がある) (そうして、こちらを敵と見なしたか…あるいはただの"養分"としてみなしたか…) (リゾームたちは丸太のような腕を振り上げ。あるいは身体から太い根を何本も伸ばし、騎士たちを迎え撃たんとした) -- クロト
- 植物の化物、と言うにはやや傲慢が過ぎる見た目かな……!!(クロトに概要を聞いてはいたものの、想像を絶するリゾームの異様に冷や汗)
とはいえ……立ち向かってこその騎士であるが!剣を摂れ!!(赤い薔薇のような細剣が黄色混じりの光の剣を帯び、さながら太陽のような煌めきを放つ) せいっ!!(一太刀は根を切り飛ばすが、蠢く根は無数)……これはキリがないぞ -- ローザス
- …ッ!!(単に振り下ろされるのではなく、急成長して伸び上がり、ヒトの腕より遥かに速く強く打ち付けられる根をかわしながら)
(…シェレアの鞭で慣れといて助かったかもしれねえな などとふと思う) クロト、一応あいつらも植物なんだよな? だったら… (答えを聞く前に、特製の「除草剤」をたっぷり塗った三光剣のような形状のナイフを、矢継ぎ早に投げつけた!) (そしてメイベルの大斧にちらと視線を移し)…なあ、メイベル。それ、あいつらによーく効きそうじゃねえか? -- ライ
- ……! なるほど、あれが根茎の妖… 流石に話して通じる相手では…ありませんわよね。
……うってつけですわね。行きますわよ、プロメテウス…!(ヘルムのバイザーを降ろし、大斧を構えると、その刃の炎紋に沿って炎が迸った) ぁあああぁっ!!(気合と共に叩きつける一閃は、一体のリゾームを火柱の中へと飲み込んだ) -- メイベル
- (赤く輝くローザスの細剣がリゾームの根を切り裂く。その輝きは美しく華麗で、リゾーム達の濁った血のような紅い球根とは天と地の色)
(鮮やかにその一刀は根を刎ねたものの…一本を切られた程度ではひるまず、続けて二本、三本と根をその薔薇を散らせんと伸ばす) (しかし、そのリゾームへと風を切って突き刺さる三光剣。それは紅い球根へとまさしく毒針のように突き刺さり) (途端に動きが鈍くなり、球根が色を失うと共にローザスに伸ばしていた根が萎れ、地に落ちた) (そしてその横の一体のリゾームが、重装甲のメイベルを感じてか、伸ばした根でなくそれが束ねられた腕とも呼べる太いそれを振るったが) (一合。その破壊力と切れ味に安々と腕を叩き切られ、胴体へと大斧の刃を埋め込まれる羽目になり) (もはや球根もへったくれもない。全てを焼き尽くすような炎に包まれ、崩れ落ちた) --
- ぬっ(槍のように突き伸ばされた根を紙一重で躱し、その身の勢いのままくるり、と一回転…)
(いや、二回転、三回転。遠心力という力をその身の内に溜め、腕を伝え、肘、そして手首、関節にて留めずその先の剣へと) セカンス!(その刃は狙い違わず球根を両断し、その瞬間にリゾームは動きを止めばたり、と倒れ伏し) ひゅー♪(と上がる火柱に口笛を吹き)ああ、そうだ、繁殖力と力が怖え魔物だが、こいつらも植物であるこた変わらねぇ。 よし、このまま、進むぞ!(未だ残る数体のリゾームから牽制に伸ばされる根を切り落としながら陣形を維持し、門をくぐる) -- クロト
- さすがメイベル卿、一撃粉砕か(炎の柱を上げ燃え上がるリゾームに「倒せる敵」という安心感を抱く)
もっと寄って切り込むべきか このまま進路を切り開く!(メイベルの切り倒したリゾームを足場とし、騎士達の進む方向へ急加速) (その行く手を阻む一体に対し)一閃せよ!!(付与したエンチャントを開放 コアがあると思しき部位ごと両断にかかる) -- ローザス
- ……よし! いけますわね! プロメテウスの焔…使いどころを誤れば破滅をもたらしかねない炎…ですけれど、今は!
(メイベルの心情を表すかのように、刃を包む焔は更に一回り大きくなり)……っ、せやぁぁぁっ!! (フルプレートながら鋭い脚捌きでリゾームの群れへと飛び込み、数体を巻き込む軌道で大斧をなぎ払う) (ひしゃげて吹き飛んだリゾームを火焔が包むのを見届けて、クロトに続いた) -- メイベル
- 植物であることは変わりない…か…(切り落とされた末端は動きを止め、塊茎を砕かれれば形を成した根は倒れ伏す、しかし…)
(…二、三の根を傷付けられたところで、大樹はびくともしない。地上の茸を刈られたところで、菌輪はほとんど衰えない) …それは良い話であり、悪い話でもあるな。(強靭な植物は不死身に近く、養分さえあれば半ば無限に成長する。そして街に来る途中の風景、「養分」を吸い上げられた大地を思い出す) (そんな考えを振り払い、今は生存者を助けることが先決だと、数体のリゾームの脚部に影の鎖を巻き付け動きを鈍らせながら、皆とともに議事堂へ) -- ファクト(ライ)
- (まるで飛ぶかのように加速したローザスが先を塞ぐリゾームの球根を…いや、その赤く、黄金に輝く光は球根に留まらず)
(殆ど胴体を真っ二つにするような勢いで切り払い、上下に別れた身体をだらん、と垂らした魔物は出来の悪い彫像のよう) (そうして、影から現れ一同を押し包むように殺到したリゾームは、あえなくメイベルの振るう豪炎に焼き尽くされ、吹き飛ぶ) (それは一時的にだが門の向こうから迫り来る新たなるリゾームへの一時的な防壁となり、偶然にだが退路が確保され) (幸運にも斧の炎を逃れた者も、ぎしり、と動きを止める。その足には漆黒の鎖、人ならぬ怪力を用いようとも切れぬ闇の鎖) (そうして、馬車から降り立った何人かの騎士達が鎖に動けぬリゾームへと切りかかり、突き刺し) (鶏鳴騎士団の猛攻に次々と大地に崩れ落ちるリゾーム、球根を破壊されたそれは少し間のたうち回るように全身の根を蠢かせていたが) (やがて力尽き、根はただの根と化して腐れ落ちた。そして、議事堂へとたどり着けばその扉はまだ破られておらず) (しかし…大量のリゾームが群がり、根を叩きつける様は今にも破られてもおかしくない) (その上…その中に、いくつか、動きの鈍い個体がいる。理由は、見ればすぐに分かる) (何故ならば、その忌むべき動く根の塊には、人間の半身が取り込まれていたのだから) (死んではいないようだが、ぐったりと衰弱した街の人々、彼らは今まさに魔物達の養分となってしまっているのだ) --
- …てめぇら……てめぇらぁあああ!!(クロトが怒りの声を上げる。取り込まれている人々には子供も、老人も居る)
(体力も魔力も劣る彼らでは、この瞬間にでも手遅れになりかねず、そして傷つけぬようリゾームを倒さねばばらない) (こちらに気づき新たなる犠牲者を増やさんとする無機質な根の化物に…猛然と突進する) -- クロト
- なんという真似を……!!(無辜の民を貪り食らう魔物 悪意などなくただの摂食活動ではあるが、それを許して置けるほど被った仮面は軽くない)
メイベル卿、人を巻き込んだ個体は私が相手する!貴公は道を切り開いてくれ!!(切り倒したリゾームを再度足場にし宙へ舞う 空から市民が飲まれている物を探し出し) コツは覚えてきたぞ……剣を摂れ!!そして突き穿て!!(再度宿る光の刃は人を取り込んだリゾームのコアを狙い撃ちにし、太陽の槍として大穴を穿ちにかかる) -- ローザス
- ……(無言のまま、背に下げていたクロスボウを構え、引き金を絞る。鋼と滑車で強化された剛弓から放たれた太矢は、鋭い風切り音を伴って人を取り込んだ一体のコアを撃ち抜いた)
……ええ、お願いいたしますわ。 他は引き受けますわね!(その一撃で溜飲を下げると、再び大斧を構えて突進する) はぁぁぁっ!!(瞬時に相手を見分けて自分が断つべきものを判断、しかる後に縦軌道の振り下ろしで巻き込みを避けつつ確実に仕留めてゆく。次々に火柱が上がった) -- メイベル
- …これも感情を持たぬ植物がゆえの…奇しくもというところだろうが…
(意図してのものではなく、ただリゾームの習性がそうだったに過ぎないのだろう。しかしそれは実に効果的な人質となっていた) こうなっては益々、いつかアルエットが言ったような大魔法で一網打尽とは行かぬ。とはいえ… (ローザスの光の刃とメイベルの大斧の炎に照らされ、一際闇色が深くなったファクトの影から大烏がまた数羽…先ほどより大きなそれが現れ) (リゾームに飛びかかると、取り込まれた人々から根を剥がすように爪を食い込ませる) …ああ!こーゆー仕事は俺たちの役目だよなッ!! (そしてライが跳ね、体との間に開いた隙間に刃を滑り込ませ、次々と根を切り落としその拘束を解いて行った) -- ファクト&ライ
- (勢い良く飛び、空に舞うローザス、それは羽ばたく白鳥のように。美しく青空を飾り、戦場を睥睨する)
(そして、一閃。的確に人体を避け、なおかつ球根を撃ち抜き得る角度、疾さ、そして…申し分ない威力) (胴体に子供が通れそうなほどの大穴を開けたリゾームはぐらりと崩れ、根はバラバラになり、捕らえられていた町民がどさ、と地面に倒れ) (その瞬間に、メイベルの放った攻城兵器にもなり得る威力を込めた矢がリゾームの一体を貫き、釣られたように倒れた) --
- (先程よりもなお激しく根を伸ばし、貫かんとするリゾームの根。それは数多く、いくつもいくつも伸び)
(そのどれもを最小限の動きで躱し、払い続けていたものの、一本の根が致命傷になりうる部分へと素早く伸びる) くっ…ままよ!(籠手…伏竜鳳雛。つい最近手に入れたその自分が知るどんな籠手よりも上質な、不思議な雰囲気を纏うそれ) (根の進行方向へと差し出し、守ってくれることを祈り…軽い、人を貫くにしては余りにも軽い衝撃を感じる) (かくして、致命の一撃を籠手によりくぐり抜け、人を取り込んだ一体のリゾームへと音もなく忍び寄り、す、と球根へ剣を添える) ……こういうときにこそ、親父に教えてもらったこれの出番…か。…魔剣ッ! (それは、唯一クロトが父親から学んだ技。クロトの家に代々継がれてきた名も無き剣、その極み) (予備動作も全く無く、静止した状態から放たれたそれは…ローザスのように派手な大穴を開けはしなかったものの) (留まった動作から放たれたとはとても思えぬ鋭さでもって球根ごとその胴体を巨大な剣で貫いたように貫通した) -- クロト
- (数を減じたリゾームの群れ、人を取り込んだ魔物の数も応じて減り、残り少なくなった所で、突然生まれた闇の怪鳥が根の魔物へと襲いかかる)
(まるでその怪鳥が飛ぶための風の如く、素早く、かつ正確に動き残る人々を次々に開放していけば) (腹に抱えた人を失い戸惑うようにオロオロと無様な姿を晒す魔物…そして、扉に群がっていたリゾームたち) (それらをまとめて、恐ろしき人を滅ぼせし炎を持ってメイベルが神なる鉄槌の如く斧を震えば一振りごとに吹き飛んでき) (しばらくの後…辺りには深緑の腐臭を放つ樹液が撒き散らされ、動くものは居なくなった) (そう、彼らが無事助けた街の人々と…騎士たち、以外には) --
- よっ、ほっと(高く高く飛び上がった位置から死骸を足場にブレーキを掛けて地上へ降り立つ いつもの剣とは比較にならない力を見せる光の剣に驚嘆を覚えるばかり)
クロト卿の方は……心配無用か、切り札もあったようだ(魔剣の力で貫かれた一個体が更に倒れ伏すのを見て胸を撫で下ろす) 救助も大分進んでいるようだ ライ卿の器用さには感謝しなければ(こちらも隠し玉の魔術を切っての救助作業を行っていたライの姿に戦場の流れは落ち着き出したと見る) ……さて、根付いているのがこれだけならばいいのだが(勝って兜の緒を締めよ 緩んだ瞬間こそが危険と、警戒を切らず周囲を見回る) -- ローザス
- これで、えーっと…(全部か と言おうとして、頭の中でファクトが油断せぬよう釘を刺す)
(と言っても一息つけたのは確からしく)…やっと人命救助に集中できるな (街の人々を助け起こす後陣の部隊に薬を投げて渡しながら言う) -- ライ
- (怒気を如実に反映した火炎と共に振るわれる大斧がリゾームたちを文字通りの灰燼へと変え、やがて動くものが他に居なくなると)………ふぅっ…
(ちりちりと余熱を残す大斧を立てて石突をつき、ひときわ大きな吐息と共に周囲を見回す) …粗方片付いたようですわね。 今のうちですわ、急ぎ生存者の救護を!(周囲の状況を探りつつ、また議事堂の様子にも意識を向ける) -- メイベル
- (物音が消えたことに安心したのか、議事堂の扉がおずおずと開かれる。扉の隙間から現状を確認したか、少しののち開け放たれ)
「儂は町長だ…救援、誠に感謝する。しかし…恐らくはこれだけではない。あいつらは…街の近くの大洞窟から来た」 (聞けば、異変の調査もその大洞窟を見つけ、何人かの人を送り込んだ後…リゾームが湧いてきたのだという) --
- (町長の言葉を聞き顎に手をあて少し考え…クロトが顔を上げ、決意と共に言う)
……その大洞窟へ、行ってみよう。活動期に入ったリゾームは爆発的に増える。時間をかけるだけ後手後手になっちまう。 …なぁに、きっと大丈夫さ。皆が居るからよ(へらっといつもの調子で笑う。しかしその眼差しは…仲間を信じていた) (今以上の戦いがそこには待ち受けているだろう、だが、皆とならば、乗り越えられる、それを信じ) (念のためローザスと同じように周囲を警戒しつつ…馬車の方も確認し、メイベルの号令に従いライの薬を受け取り) (人々へと処方しているキャメル率いる後続部隊を確認する。あちらも大事ないようだ) っと…あっちも落ち着いたか、すまんキャメル、魔物たちは多分ここに居たので全部じゃねぇ。後は頼んだ。 (こくり、と無口な青年騎士が頷くと、クロトたちは議事堂を足早に後にする) -- クロト
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