洋上学園公安委員会執行部
- 統治塔 公安委員会執行部室棟 屋上『紅滴る月光夜』 --
- (黒髪をゆらりと風に長し、両手を広げて嗤う)
まずは小手調べだ、俺をがっかりさせるなよ!! (そして、軽く脚を踏みだけでそれは奮脚となり、衝撃の波を三人へと放つ) (小細工抜きの純粋な力の波動) -- 『翻訳鬼』
- 上等。お前こそ俺をがっかりさせるんじゃねぇぞ、クソ吸血鬼!
(位相空間に座標をズラすことで衝撃波を回避しつつ、疾駆して迫る) (叩きこむ一撃は次元反復によって絶対の刃となったロングソード) (居合い抜きにより速度が増したそれは光とも見まごう速度で翻訳鬼に迫る) -- 書記
- (純粋な力。物理的なソレには自重と筋肉のみで身を支える。その程度の衝撃波はタングステンの鎧装を纏う魔人にはそよ風程にしか感じない)
(魔力の高まるこの場は相手に有利な陣と理解しつつ、書記の一撃に合わせて放つは赤き一刀。小手調べを返すが如く、工夫が無いが故に鋭い斬撃を書記の斬撃から避ける予想点へと置くように放つ) (この程度で斃せる相手ではない事は百も承知。だが、自身に倒せぬ相手では無いと言う確信も抱いている) (それは) ルベウス。
(共に駆ける、何をするのか『読めない』仲間が居るが故に) -- グリゼア
- (力には技、力には硬さで示した二人に対し男が示すは力には力)
(白む程に圧縮された空気を弾き飛ばし力の衝撃をその速度で突き抜ける) (力と力のぶつかり合いに血が滴り、その血さえも速度により散り行く) (そして抜ければその速度のままに跳躍) ゼエエイイアッ!!! (尋常ではない力を込めた拳を『距離』も『過程』も無視して真上から『翻訳鬼』目掛けて振り下ろした) -- ルベウス
- (三者三様に迫る三つの強撃)
(翻訳鬼は身動ぎすらしない。深く溜息をついてから嗤い……嘯く) その程度か (最初に全ての過程を無視して迫るルベウスの拳はそのまま受ける。避けもしない。完全に受け切る) (鍛え上げられた人外の……吸血鬼の肉体。その上今夜は満月の夜) (無尽蔵の生命力はそのままタフネスとなってその身を支えている) (続いて迫る書記の攻撃も『避けず』に……『反撃する』) (剣が反復するほんの一瞬を『先読み』して、書記の小手先に礫を蹴り飛ばす。礫は吸い寄せられるように小手先を強かにうちつけ、そうすれば剣先は跳ね上がり……一瞬書記の手、つまりは能力の使用範囲から剣が逸脱する。無論その隙を逃す翻訳鬼ではない。すかさず刃を握り、奪い取る) (そして最後に迫るグリゼアの剣撃を書記から奪ったロングソードで打ち返し) (返す刃で迫るルベウスを斬り飛ばし、書記の能力発動の瞬間を『読み』きって蹴飛ばし、最後にグリゼアには掌を叩き込めば……拳理による内功を用い、内側にまで振動を伝えて弾き飛ばす) 見え見えだぞ (嗜虐に塗れた笑みを浮かべる) これでわかったろう、俺とお前達ではそもそも生物としてのステージが違うのだ お前達は我々吸血鬼からみれば食糧でしかない いい加減諦めて俺の元に下れ。そうすれば、今なら命ばかりは助けてやる お前達は質の良い玩具だからな -- 『翻訳鬼』
- (得物を奪われ、蹴り飛ばされる。何とか受身を取って衝撃を殺すが……それでも血反吐を吐く程度のダメージは受けてしまう)
(畜生……アクティブ型の能力は発動の瞬間を見切られちまう。オンオフのある能力は全部対処できるってことかよ……!) クソがっ……! 読めてんならわかってんだろう……お断りだ (ゆらりと立ち上がり、素手で構えを取る) (武器がなければ戦えないわけではない) -- 書記
- いいじゃあねェかジルバ。やっと此処まで、こいつの喉元までたどり着いた。
すぐに終わっちゃ興醒めってもんだろうがよ
それに、手前ェ『読んで』んだろ。この程度な訳が無ェ (発勁を受けて尚、数歩たたらを踏む程度。砕けた鎧装は中空構造となり、内功による運動量を低減する) (売買部幹部、ウィドウ・グリードとの戦いで見せた対処法をそっくりそのまま再現しつつ、鎧装の下で笑う) 生物としてのステージが違うだと? 言ってろよ吸血鬼。
(瞬時に右腕を再構築。三連の杭打ち機と化した右腕に装填されるのは、ヒヒイロカネの芯杭) (アッパーカットで掌底を叩き込むように、目の前の『翻訳鬼』の胴体へとパイルバンク。これは、支援部を離れ外なる神に意識を支配されたレパードへの攻撃の再現) -- グリゼア
- (切り飛ばされればそのままの勢いで後方へ着地する、切り傷ならば再生も容易な為心配は無い)
(しかし幾ら溢れる精神力が戦闘時の理性を保証しても驚愕を覚える) 化け物だとは思ってたけど…俺達の三連撃をこうも簡単に返すとはね♪ けど…以下同文だ(聞く耳すら持たないと吐き捨てるように) それとね、人間じゃないのは君だけの十八番じゃないんだよ! (ステージが違うのならば強引に登るまで、真なる自由を用いて人間としての箍を外そうとする) (ジルバから受け取ったリミッターによって異能のランクを落として尚理性が保てるかは分からない) (だが魔を祓う力、そして運命を味方に付ける力を引きずり出せればと) (眼前の敵を屠るべく『翻訳鬼』に寄りながら頭に手を当て内なるモノを解き放とうとする) -- ルベウス
- ハッ! それもそうだなぁ相棒……俺等はずっと昔から、あの時からずっと
コイツの横っ面張り倒してやりたかったんだもんなぁ! (グリゼアに合わせて、疾駆する) (ルベウスの能力発動を援護するように) -- 書記
- はははは! なるほど、人間を辞めれば俺に追いつくか
(言いながらもグリゼアを見て嗤う) それはもう『読んだ』ぞ、グリゼア! (いうなりパイルバンカーの釘に直接手を伸ばし、引き抜くように背後に引いて軌道を逸らすと同時にグリゼアの姿勢を崩す) (そして、間髪居れずにロングソードでグリゼアへ追撃。書記には狙い済ましたように蹴りをいれる) (さらには奪ったヒヒイロカネのパイルをルベウスへと投擲し、グリゼアと書記をあざ笑う) まだそんな事を気にしていたのか そんなに女1人死なせた事が気に入らなかったか? どちらも今では『代わり』を準備して満足しているだろうに ……ああ、そうか、そういうことか……自分達より、あのネルとかいう女と雑務を蹴りころがされたほうがお前達には好みだったか……? はっはっは! もののついでだ! ルベウス、お前の女のリゼットも大層いい女だったな! まとめて俺が可愛がってやる、安心して野垂れろ -- 『翻訳鬼』
- だろうなッ!
(射出された杭を手づかみと言う、人間であれば考えられない反応速度と膂力。だが今更、何を疑問に思うことがあろうか) (『翻訳鬼』の狙い通り、つんのめるように姿勢を崩され長剣の軌道へと身を誘導される。左拳を握り締めるとこれも強引に突き上げ、ロングソードの峰へ叩きこみ砕かんとする──否、砕く)
気に入らねえな。全くもって気に入らねえ。 何よりそうやって大事な人間を奪えば他人を弄べると思っている、手前ェの根性が気に入らねえ!
(此処からは人外の戦いだ、と言わんばかりに鎧装を再構成。重金属の拳の連打は音速を超え、衝撃波と水蒸気爆発の尾を引きながら『翻訳鬼』の鍛え上げられた肉体に迫る) (ジェット気流のような轟音の拳を重奏で奏でながら、体内構造を変化させる。生物としてのポテンシャルを引き上げ、まだ知らぬ地平へと──『翻訳鬼』ですらあずかり知らぬ地平へと自らを変えていく)
(拳の加速は止まらない。辺りの一切合切を引き裂き、周りの被害の視認が難しくなっても止まらず──最高速の一撃を、『翻訳鬼』の心臓へと叩きつける) -- グリゼア
- (投擲されたヒヒイロカネのパイルは男の右目に深々と突き刺さる)
(本来ならば痛みで思考は一瞬遮断される、だがその挑発がこの男を激昂させる保つには十二分だった、ジルバが雑務を傷つけられ激昂したように) (故に男は片手を頭に、もう片手を…ポケットへと仕舞っていたリミッターへと向け…それを砕いた)
真なる自由!!!
(男の身体が発光する、そして…光が消え去れば燃え盛るように輝く真紅の髪を持つ一人の男) (運命が流転する、可能性が収束する、この真紅の髪を持つ者が望む方向へと) (だが動かない、動かずに『翻訳鬼』を眺め何か人の言葉ではない言葉を呟く) (その言葉は西方の超古代の言語、そして『読み』解けばその内容は…「エイリァス」「フォレストオブワード」「我等を知ろうとする者」「同じ名を持つ者」) (『全て』を知っている何かが此処に居る、少なくともルベウスではけして無い何かが) (だがそれも僅かな間、紅い髪持つ何かがその手を震わせれば…その拳をパイルへと叩き付け頭部へと深々と刺す!) (咆哮を上げれば消え去りかけた、そして何よりも強い想いにヒヒイロカネは答え男の意識を強引に引き戻す) オォオオオルタアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!! (人ではない肉体は清浄なる力を結界内に無尽蔵に撒き散らしながら『翻訳鬼』へと一瞬で肉薄) (紅いその手をただただ世界に愛されるがままに『当たる』道筋を描き破壊の奔流を伴い『翻訳鬼』の頭部目掛け振るわれる) -- ルベウス
- (無言で、男は憤る)
(最早怒りすら越えた地平の彼方。ただ純粋な憤怒全てを超越した時……そこに在るのは静かな氷のような殺意だった) (重力からの干渉をカットしてグリゼアに追いつき、グリゼアのパイルからヒヒイロカネの杭を抜く) (既に意思疎通は出来ている。わざわざ既述する必要もない絆) (そこにあるのはヒヒイロカネの剣。グリゼアが事前に用意していた、書記のための剣) 黙れよ……クソ野郎 アンタの言葉で俺は幾らでも揺れる、揺さぶられる。傷つく だけどな……もう躊躇ったりはしねぇよ あの子は死んだ、俺が殺した! 後悔も懺悔もずっとし続ける! だけどな!!!
もう二度と! 俺のダチをあんなザマにはしねぇ!!
そのために俺はきたんだよ! (グリゼアにあわせて、横薙ぎに剣を振るう) (ルベウスにあわせて、まっすぐに切り抜ける) (未だ歩まぬ軌道を進むように) -- 書記
- (三者三様の言葉を、思考を読み……再び目を見開く)
(心臓を打ちぬかれ、頭を磨り潰され、コマ切れになるまで一瞬で切り裂かれ) (無様に塵となって消える) (消えた、その直後)
まさか……俺の名前を呼ぶとはな (男は現れる。さながらどこかの金髪の男のように、事実をすりかえたかの如く)
侮っていたよ、ルベウス オリジナルの力を引き出してくるとはおもわなんだった……くくく、よく『読んだ』なぁ? いいだろう、ならもう俺も諦めよう
お前達を生かすことは諦める
(殺意が、吹き荒れる。極濃のプレッシャーとなって。質量を伴った圧力となって) (同時に、男の姿が消える) (次の刹那)
(三人の意識が、生きる意志が、いいや存在しようという意志そのものが揺さぶられる) (足元から根こそぎすりつぶされるような感覚) (みれば、それはそこで嗤っていた) (『夜そのものが嗤っていた』)
この姿は余りにつまらないんでなぁ、なるべくなら出したくなかったんだが……まぁ仕方がない 読めないというなら真理を読み、お前達の存在ごと始末してやろう 俺の……夜の一部として生きるがいい、ギハハハハハハ!! -- 『翻訳鬼』
- (書記の言葉には頷きだけを。彼女を振り返るのは、この吸血鬼を。俺たちの運命を嘲笑い、弄んだ男への返礼が済んでからだと思った故に──)
(消えた。そう認識した刹那、光速の反射神経が違和感を捉える)
オリジナル? ……こいつ……!?
(それはまるで、グリゼアという存在の根底を否定されるような感覚) (彼が依って立つ芯すら、一切の例外無くこの世界から消滅しようという、殺意)
(消えていく) (世界の真理から剥離させられ、ただ無へ帰す名も無き塵芥として)
──それがどうした
(そもそも、もう魔剣と人の意識の天秤は、取り返しの付かない程に魔剣側へと振れている)
(最後の力を振り絞ってあの夜に打ち克ったとして、残るのは唯の)
──それがどうした!!
(だけど、最後に残ったのは。やっぱり彼女の笑顔だったから)
(真理などクソ喰らえ。俺がこの場に立つのに、誰も彼も何もかもの許しも証明も必要ない) (条理など知らぬ。不条理など知らぬ。それを知る者は俺の他に居る。ならば俺がする事は他に在る)
(瞬時に形成したコイルと電磁石の加速器で超電磁砲を形成する。/夜そのものに効きはしない) (キセノンを精製し光学兵器を照射する/夜そのものに効きはしない) (その他数多在る物質界の攻撃手段。銃も剣も斧も光も熱も質量も衝撃もどれもこれもが存在を否定する人類の敵に対して通用はしない)
(だが。諦める事は無い。『此処に居る』と全世界に対して証明を続ける為に、無様とも言える攻撃を続け──) -- グリゼア
- (男の内にある断片全てを引き出した今その瞳には『夜が運命に手を掛けている光景』が見えていた)
(その攻撃を防ぐ手立ては男には無い、神の如き力を引き出したとはいえあくまで断片、使える力は少ない) 参ったね…(絶望は眼前に、幾ら抗おうと存在すら消されれば話にならない)
(だが) (抗わねばならない)
(決めたのだ、父達が歩めなかった道を自分は歩むと) (愛する者と共に生きると)
(グリゼアの抵抗を目に考える、可能性が0ならば1にしてしまえばいい) (攻撃を『当てる』?ただの腕力だけでは到底足りない) (ならば何を当てる?闇と世界に抗うならば何を必要とする?)
(そう考え…辿り着く、右腕を前に伸ばす、目標を定める事すら不要だが…気持ちの問題だ)
君は吸血鬼だったねオルタ?そうだ、ならあるじゃないか…君を満たす素晴らしいモノが此処に グリゼア!ジルバ!もう少しの間だけ抗ってくれ!世界に! (無茶過ぎる頼みだとは思う、しかし根競べをするならば僅かにでも相手を削らねばならない)
(右腕が更に発光し四方八方へ向けて紅い紅いラインを引いていく、それは紅い世界を更に色鮮やかな赤で染め上げて) (ラインを描くは…浄化の力を持つ生命と精神!) (結界内を清浄なる力で染め上げて『翻訳鬼』の強化と邪悪な干渉を完全に遮断してしまおうという心算だ) (ただし所詮は神には至らぬ身、無限に生命満ちる場から引きずり出せば出す程肉体の限界は迫り) (更に異能によるタイムリミットも近づいている…が、それでもだ、それでも削れるだけ削り切る) (煌々を輝いていた身体から光が消え髪に白が戻る中それでもと更に絞り出し続ける) -- ルベウス
- (夜の中で、闇の中に意識が溶けていく)
(心が分解され、還元され、消えていくような感覚がある) (自分が闇であり、夜であった) (自分を自分と認識することすら危うくなる。者なのか物なのか。境目がどんどん曖昧になっていく) (真理が侵食してくる。心理の隙間に這い寄って来る)
(だが、それでも)
はっ……上等じゃねぇかよ
(笑って、ヒヒイロカネの剣を振るう) (確かに両足で夜に立って)
お前は俺に干渉できねぇ
(ピアスが、外れる) (異能が……進化する)
世界だろうがなんだろうが、抗ってやるよ (干渉されない異能は、その逆も……干渉も成す異能となる) (次元ごと、夜ごと切り裂く)
ずっと俺達はそうしてきた! なぁ、そうだよな! グリゼア! ルベウス!!!
それに……雑務ちゃん!! -- 書記
- (夜の向こうで不敵に微笑む少女が、リボンを持った片手を翳して不敵に笑う)
(夜が、反転する)
ええ、そうですとも
(負が正に書き変わる) (負に負をぶつけて正と成す) (破壊するだけの異能が、死なせるだけの異能が誰かを生かそうとしている)
抗い続けますよ、手は伸ばすことが大事で、その結果は関係ない じゃないと、張り合い甲斐がない! -- 雑務
- (夜に亀裂がはいり、男達の意志が、存在が、女の異能によって切り替わり始める)
じ、ジルバ……この土壇場で面倒な……! (かかれて居なかったものは、既述されていないものは『読めない』) (しかし、翻訳鬼は嗤う。夜は嗤う) (再び世界を夜で塗りつぶし、意志ごと侵食せんと嗤う)
何をしようが無駄な足掻きだ! 俺がお前達を殺す未来はすでに『読めて』いる 観測された未来が、確認された未来が変わる事はない お前達の死は既に定められたことだ、『全部きっと間違いなく分かっている未来』だ (一層夜の囁きが強くなる、耳元で蠢くように絶望を囁く) (負の異能により反転されているため、多少は緩和されているが……それでも) -- 『翻訳鬼』
- (夜に亀裂が入る。魔力で形作られた結界が、ルベウスの清浄なる生命の意志と、書記の次元すら干渉する異能と、雑務の負を乗じて正と成す異能により綻ぶ)
(友の声が聞こえた)
(ならば、やることは一つだ)
ルベウス、ジルバ、雑務ちゃん……そうだな 俺たちはいつもそうだ。手を伸ばして、そうやって誰かと繋いできたんだ。
(一度亀裂が入って尚も濃密さを保つ夜を前に、身体構造が戻る。人の体。その器を再変換する)
『全部きっと間違い無く分かっている未来』ってのが在るとして、そいつがどうした。 俺たちは何時だって、誰かと共に見知らぬ明日を歩む。 その先を他人が知ってたとしても……そんな物は、俺達にとっちゃ本棚の奥で埃を被ってる本と変わらねえんだよ。
(全身が赤に染まる。奇しくも、先ほどのルベウスと同じく赤く、透明な光を発する何者か)
(魔剣の因子を身に宿した青年は、その身そのものを魔剣と化し──今の今まで使った試しの無い要素) (地母の息吹、マグマのように吹き出す魔力を、揃えた手指から天を指し) (それはまるで、朝焼けの太陽のように赤く、紅く、朱く。何処までも純粋な生命の光の柱となって、結界を、夜を砕かんと振り下ろされる)
(青年は指揮者のように腕を振り上げ──)
銀の弾丸なんて在りはしない。 総てを叶えるのは人の意志だ──!!
(──夜に向かって、振り下ろした。続く仲間と、明日を迎える為に) -- グリゼア
- (髪の毛の色が完全に元通りになると共に…異能より齎された力は切れた)
(力はほぼ全て枯渇し存在抹消に呻きかける…が、そんな中つい破顔してしまう) ああそうだ…どんなに辛くても俺達は手を伸ばし続けた (かつてこうして自分を消し去ろうとした怪物が居た) (そしてそれに抗うべく手を伸ばし掴んだ力があった) 俺はかつて…未来は暗いものしかないと思っていた けれど…抗って、それでも朝を見ようと手を伸ばして、俺は皆と一緒に見た! (目に刺さっているヒヒイロカネを抜き去る、可能性を掴むのならば神の作りし金属ではなくこの手で) (それはまるで最愛の者が力を奮う時に見せる仕草と酷似していて)
我が異能、我が力!ルベウス・アンスラックスは《開放》する!!
(そう叫んだ時異能名を唱えずとも発動した) (男を光球が包む、それは世界からの干渉を掻き消し、邪悪なる意思を掻き消し、爆発的に広がっていき) (グリゼアやジルバ、雑務を包めば彼等への悪意ある干渉も消え去り…グリゼアの力を後押しするように結界を破壊するべく更に広がりを見せる!)
夜は終わりさ…陽は常に昇る! オルタ・レプロデュス・エイリァス!
(怪物として生まれた男は人間として『人類の敵』の名を叫ぶ) -- ルベウス
- (女が不敵に微笑む。自らの慕う先輩で、友達で、兄である人達のように)
(誇らしげに、儚げに……それでいて確かな喜びと共に)
未来なんて、私はいらない みんなと共に歩む今日さえあればいい
明日なんて先のこと!! (そっと、手を伸ばして。リミッターのリボンを外す)
明日になってから欲せばいい!!
(そして……グリゼアと、ルベウスと、書記の隣に並んで叫ぶ)
全部きっと決まっている未来があるというのならそんな未来!
私が全て自壊させる!!!
(大声で歌う。人の耳には聞こえない歌。可聴域だのなんだのではない。次元を、世界を、すべてを超えて意思と事象に投げかける歌) (可能性を、不文律を、読まれるはずのすべてを消し去って)
未来は、白紙であるべきだから!!!!!
-- 雑務
- ルベウスとともに上る白光の中を、雑務の示した白紙の道を、グリゼアとともに駆ける
眩いばかりの閃光。すべてを塗りつぶす白の中、右手を伸ばす 誰にも見えない未来へ向けて、誰にも読めない未来に向けて、ただひたすらに。ただ我武者羅に
誰の為でもない。自分の為に
ひいてはそれこそが、仲間の為に
『うぅうぉおおおおおおぉおおおおおおおおぉおおおおおおおおおお!』
次元に、すべてに、未来に、運命にすら干渉するヒヒイロカネの剣が……煌く
すべての可能性を切り裂いて
ありとあらゆる未来ごと、ありとあらゆる可能性ごと、ありとあらゆる夜を切り裂く
なぜならそれは干渉する力
何者ともつながる為の力。独りにならない力
読まれようが構わない。見られようが構わない
その力の指向性はどこにも書かれていない
そして、書かれていないのなら……それは……! -- 書記
- ば……か、な……
(それは……記述されていないのなら)
なぜ……できない
(読むことなど、出来る筈もなく) そんな、この俺が……人間風情に……定命の輩などに……! (夜が、切り裂かれる) (世界ごと、運命ごと、因果ごと、定めごと、真っ二つに。その未来に従って)
(夜が崩れ落ちる。世界が崩れ落ちる。崩れた先に広がる世界は……皆で踏み込んだ屋上の一角) (人の姿すら保てなくなった夜の残滓が、形容し難い異形の夜がフェンスに背を預け……嗤う) は、はははは……ははははははははは!! そう、か……俺では、お前たちをこれ以上……『読め』ないのか
眩い光の彼方を見渡すことは、できないということか…… -- 『翻訳鬼』
- (光の柱が消え、光球は収まり、自壊した世界は繋ぐ力で戻り──世界があるべき姿に戻る)
(破壊の跡も生々しい屋上で夜の残滓と向かい合い、青年は告げる)
そうじゃねえよ、『翻訳鬼』
お前が真に眩い光の彼方を……明日を見たいと望んだなら、そりゃ簡単に見られた筈なんだ。
唯在るものを『読む』んじゃなく、知らぬ明日へ手を伸ばせば……そいつはお前の前に在ったはずなんだ。
(消え行く仇敵。彼もまた異能に、自分自身に縛られていたのかもしれない) (思いを馳せ、忘れず刻み付けて。そうして、消える彼へと最後の言葉を静かに告げる)
……報いを受けろとは言わねえさ。 だけどこの結末が、お前の背負った業なんだよ。 -- グリゼア
- (片眼から空いた穴からまるで悲しき同胞を見るかのように血涙を流し続け…)
(グリゼアの言葉に続く)
君も同じだ、カルブンクルスと…それを変えようと足掻くか読み解くかの違いだけで 下を向いて眺め続ける事で何時しか君の壁になっていた ただ視線を変えて気付ければ そして一歩踏み出す勇気あれば世界は変わったのに
(そこまで言って僅かに自戒の表情を作る、その大変さがどれだけのものか自分も分かっているのにと)
それでも君は…アイツは前を見るべきだった 『鬼』となるその前に -- ルベウス
- (それぞれの言葉に、苦笑で返す)
そうかも、しれねぇな……でもな、違う、違うんだよお前たち (夜の残滓が溶けて行く。解けるように、融けるように消えていく) 明日に手を伸ばそうが、なんだろうが……俺がこうなることは『読み通り』なのさ 全部全部俺の読み通りに事は進んでいる お前たちが勝つ事すら俺からみれば『読み』通りだ、『読んだ通り』だ
んで、最後に抗ってみたらこの様だ、『あの女の云うとおり』な
(夜が、嗤う。嘲笑する) (自嘲する。慙愧の念の前に血の涙すら流す)
俺の未来は変わらなかった
『全部きっと間違いなく決まっている』通りに俺は死んだ。死ぬ事になった 最期まであの女の掌の上だったってわけだ……ひ、ひヒヒひひ、はははははははははは!!!
(狂笑を夜に響かせて、それは消えてく)
死ぬはずのない俺が! 消えるはずのない現象の俺が! たかが物質に押しつぶされて死ぬ! 因果のレベルでありえないことが今ここでおきた、『全部きっと間違いなく決まっている』ならそれも頷ける!
最期の最期まで、俺は歯車でしかなかった! お前たちはどうなるのかな?
あの世でじっくり『読ませて』もらうぜ、グリゼア、ジルバ、ルベウス!
そして……麗爛! 呪われた名を持つものよ! ひ、ヒヒヒヒh、はっひははははははははははは!! あーっはっはっはっはっは!
(諦観にも似た掠れた哄笑を残して……夜は消えた)
(『全部きっと間違いなく決まっている』通りに) -- 『翻訳鬼』
- 統治塔 公安委員会執行部室棟 正面門前 --
- (満月浮かぶ夜。その男は嗤って待っていた。自分を打倒せんとする者達の到来を)
(無数の執行部員達を従えて、ニヤニヤと嗤う) 揃い踏みだなぁ、よく着てくれたとまずは礼を言おうか -- 『翻訳鬼』
- 礼ならいらねぇよクソ野郎(怒気を剥き出しにして、鞘にいれたままのロングソードを片手に前に出る)
(一触即発。瞳の色は憤怒に歪んでいる) 舐めた真似してくれたじゃねぇか『翻訳鬼』さんよ……御丁寧に副室長の両足駄目にしてくれやがって 読み通りだとはおもうが、もうこっちにゃ風紀委員会と鉄道委員会っつーバックがついてる アンタをボコる大義名分ならもうあるんだぜ -- 書記
- そもそも俺達が来るのも『読んで』たんでしょーに♪(けらけらと笑う)
(笑ってはいるがその気配は既に戦闘態勢に入っており身体から白煙を上げ始めている) ま、俺は大義名分とかそんなのすら無くて…気に食わないから君を壊しに来たんだけどね、おっと訂正 君達を、だ(執行部員へと視線を移す、極めて友好的な笑みで) (副室長の両足が動かなくなった件からして中々に面倒な手合いだとは分かっているが…だからこそ愉しい、それだけの相手だという事が) -- ルベウス
- 別に俺は何もしていない。奴が我々執行部に協力しなければお前達が不幸な事になるかもしれないと忠告した上で……『銀の腕』にけしかけただけのことだ
銀の腕での戦いで両足が使えなくなった事は痛ましく思うが、俺にどうのこうのいうのは筋ちがいだろう? だいたい、そんなクチを俺に聞いていいのかルベウス、そしてジルバ 特にジルバ。お前は俺にとってはかつての忠実な部下であり、可愛い後輩でもあるんだ。そんなお前に酷いことをいわれると俺も悲しみに胸が締め付けられる想いだ
(そういうと同時に執行部室棟の屋上に今度は現れる。空間転移したのだ。吸血鬼であるこの男にとってそれは歩くことと大差がない) ……傷心の余りついついこの手から力が抜けてしまうかもしれない (そう呟いて屋上で片手を掲げれば……その手には1人の少女……意識を失った雑務が、喉首を捕まれて拘束されている) -- 『翻訳鬼』
- (一瞬、顔から色が消える。ただ一瞬、呆けるように、何をされたのか和からないといった様子でそれを見れば……)
クッソがぁあああああ! 『翻訳鬼』てめぇええ !! うちの雑務に何しやがった!! (激昂する)-- 書記
- (ジルバとは対照的に瞬時にその光景を理解し顔を顰める、それはジルバ以上には雑務を知らぬが故)
(だがそれでも男にとって少女は掛け替えのない友の一人だ、故に極めて強い怒りは抱くが…) 落ち着くんだジルバ!言葉に出た感情程『読め』る物は無いんだ! (以前の男ならばそのまま飛び出していたがしかし飛び出さず、『翻訳鬼』のその手に注目する) (必要ならばジルバを豪腕で射出して受け止められる事も考えに入れて) -- ルベウス
- (ルベウスに制され、ギリっと奥歯を噛み締めて恨めしげに頭上の『翻訳鬼』を見上げる)
畜生がァ……! -- 書記
- はっはっは! 流石はルベウス、慧眼だな
全くその通りだ。この女はお前達の感情を掻き立てて貰うために今こうなっている (愉悦に口端を歪めて目を細め) 安心しろジルバ。今はまだ気絶させているだけだ 何せお前達が此処に向かってくると『読んだ』のはつい10分前なんでな 急いで5分ほどで攫ってくるのが精一杯だった、中々に骨のある女だった、気に入ったぞ お前達が余計な真似をすれば我が眷属にくわえようと思う程度にはな (そういって、いやらしく牙を覗かせる) 俺はお前達のことも気に入っている、抵抗しなければ殺しはしない 少しばかりいためつけはするがなぁ? 異能はつかうなよ、無抵抗でそのまま大人しくしていろ (そういって首だけで合図すれば、執行部員達が一斉に二人に飛び掛る) -- 『翻訳鬼』
- (歯軋りをして)言っておくけど…今の俺に距離はそんなに関係無いから、あんまり口開けてるとモノも噛めなくなるよ?
(雑務に手を出すならば当然それ相応の報復はさせて貰う、そう言葉と気配で伝えながらも…) (やはり今はまだ手が無い、その為漲らせていた力を一旦納めて両腕の力を抜く) …(襲い掛かってくる面々に視線を向ける、こいつ等の顔も当然覚えてやると言うように) -- ルベウス
──そんな浅知恵を使う辺り、底が知れるぜ『翻訳鬼』
(低い、男の声。夜闇に響いた声が、その場に居た人間の耳朶を打つ) (直後、残響を切り裂いて上空より飛来するは無数の赤い剣。ルベウスの名の由来と同じ鉱物、酸化アルミニウムの結晶) (赤光と化したルビーの長剣は、その全ての軌道を『読まれ』て『翻訳鬼』の身体に掠りもしない)
(……だが)
『読め』よ翻訳鬼。俺は今何処に居る?
(声は、外れた長剣が墓標の如く突き刺さった屋上、『翻訳鬼』が傲然と立つ、その背後) (其処に立つのは黒銀の鎧装に赤の光脈を走らせる魔人)
(──”紅玉の”グリゼア)
つまらねえ三文芝居だ。おまけに趣味も悪ぃ。 (『読む』事が可能ならば、今の『翻訳鬼』は分かるだろう……掲げたその手の中に、既に雑務は存在しない、と)
あまりにもお寒い舞台だからな。お冠なのは俺だけじゃねーみてーだぜ? -- グリゼア
- 何でも読める割には随分と短絡的な手段を使う者だね、『翻訳鬼』殿。
あれだけ大物ぶって僕にいったわりには、姑息な手だ。 (声が響く。声が響く。その姿は其処にあらずとも。否、行動的探偵は、レーチェルは、そこにいる!)
――バリツ式……《輝ける明星の神》!!
(刹那、レーチェルの体が顕現する。数多の光が結集し、レーチェルの体を形作っていく) ああ、あまりにもくだらない劇だからね、僕たちがその筋書きを壊しに来てあげたよ。 デウス・エクス・マキナには到底なれないね、君は。 (レーチェルの体が流星の如き光を身に纏い、疾走する――否、光速にて、天駆ける!) (機械帯で《変身》し、ふるきものの力を借りたレーチェルが、書記とルベウスに襲い掛からんとする執行部員たちへと、光子で形作られた無数の玉……星で攻撃する!) (黄金瞳が闇に残像を残しながら、光が襲い掛かるのだ!) -- レーチェル
- 安いヒーロー共には似合いの舞台だったろう?(にやにやと嗤う。已然として余裕が崩れることはない)
(ぐったりとした雑務は既にグリゼアの手の中。執行部員の群れはレーチェルに薙ぎ払われるが、一瞥だけ返してグリゼアに向きあう) 『読み』通りのこのこと現れてくれたなグリゼア・クロムドロス そして、レーチェル・ダイオジェネス だが、残念だったな あいにくとここまで全て筋書き通りだ
世界はいつでも俺の期待に応えてくれる、いっそ退屈なほどにな
(そういって指を鳴らせば、地響きと共に対異能隔壁が執行部棟の敷地を覆いつくし、部室棟内、さらには地面に巧妙に隠されたカタパルトからDCが無数に出撃する)
さてこれでまとめて籠の鳥だ 全員料理してやる -- 『翻訳鬼』
(その時だった。遥か後方よりスピーカーに乗せて声が聞こえてきた) 『残念だけど、思った通り、筋書き通りには、いかないんだよ』
相変わらず。本当に相変わらず。空気だけ、は『読めない』んだねえ君は。 (中空のヘリコプターから学ランをはためかせ降り立ったのは、総会の長、嘘言居 依々明、その人であった) (カタパルトから出撃しようとしたDCが発進タイミングを間違え、各々、それぞれ、個性溢れるように躓き、倒れていく これでは強襲のイニシアチブは取れそうにない) さて、何はともあれ。遅れちゃってゴメンね。ちょっと駅前のコンビニでポテトが安かったからさ。いやあ、期待に添えなくて悪かったよ。 まぁ、此処からは、僕が僕のために僕の期待通り遊んであげるからさ。一緒に楽しもうよ。 (周囲に、背後の空間から『魔法』で召喚した安全ピンを次々と射出し、ばらまくようにして異能隔壁を破壊していく) -- ウソイ
- 相棒……それに、探偵さんにウソイ先輩まできてくれるたぁ、頼もしい限りじゃねぉぇかおい
俺等もぼさっとしてられねぇなぁルベウス (めまぐるしく流れる状況を見守りつつ、タイミングを見計らう) (あのクソ野郎の横ッ面をなぐるタイミングを) -- 書記
- (呆気に取られる、読まれる以上自分は力を完全に抑えていた…)
(運命が良い方向に巡る筈も無く…つまりこれらは全て人の意思によるもの) (それに気付けば盛大に笑い出し)いいねぇー♪これも君の『読み』通りかい『翻訳鬼』♪ (即座に力を取り戻せばジルバにウィンクし)ジルバ、『読み』合いに関してはあっちが上なんだ♪ ならアイツの持ってる脚本を塗り替えなきゃ! (即座に駆ける、淡く光る拳は必中を意味する殺人技が放たれる事を意味しながら) -- ルベウス
- なっ……?!(初めて、『翻訳鬼』の顔が驚愕に歪む)
(その『虚言』と、その男の到来に目を見開き、顔を顰める) ……チッ! てめぇほどじゃねぇよ『虚言執行者』 どこが悪役だ、まるで正義のヒーローみてぇなタイミングで現れやがって (謹製の対異能障壁も魔術や純粋な腕力には意味がない……いや、相手はあのS級異能者『虚言執行者』) (その気になれば因果ごと捻じ曲げて何もかも在り得る事にしてしまう) (ならば……) てめぇ相手には同じS級ぶつけるしかねぇか (いうなり後方に飛びのけば、ウソイの目前に現れたのは……) -- 『翻訳鬼』
- (ただのネジ……を持った1人の猫の獣人)
ネジ、キル、螺子きる、捻じ切る、ネジきる (正確には手に持ったネジそのものが異能を宿した存在) (マスターナンバー999……『銀河大鉄道』) -- 『銀河大鉄道』
- いやぁ、いやぁ、一緒に楽しみますかウソイ後輩
そういうのなら私もまた吝かではない さぁ、一緒にハッピーエンドを迎えよう 昔のように幸せな世界の為に幸せになろうじゃないか (翁面を被った針金細工のような男) (マスターナンバー777 『絶対幸福主義』) -- 『絶対幸福主義』
- !? マスターエージェント……!! Repdigitの連中二人もひっぱってきやがったってのかよ……!
あいつら、公安にはいってリミッターがつけられてやっとA扱いの元S級だぞ……! -- 書記
- 安心してよ、書記君。僕だってついぞ最近までリミッターつけてたんだけどさ。恋人にあげちゃったから。
そうなっちゃったら、自分で言うのもなんだけれど。 もう、ランクとかそういうの関係ないかなって思うんだ。 そう、いうなれば。ランクとか、強さとか、偉さとか、そういうの一切関係なく。そこに結果が訪れるならば。
ダマされる奴が悪い。ってことになるかな。
まー、そういう訳だから、来いよ。悪役は悪役らしく、本筋と関係なく大暴れしておくからさ。 (安全ピンを肩に乗せるように構え、グリゼアや、ルベウス達に先に行くよう促す) -- ウソイ
- ……なるほど、大した力の持ち主らしい。
(レーチェルの左手の機会籠手から雷電がほとばしる。) まさか……ウソイ君とともに戦うことになるとは、思いもよらなかったが。 ……今回ばかりは、力を貸してもらおうじゃないか。 君達の異能がどれほど強かろうが、僕には関係はない。僕は、輝きを守るだけ。 ――学園都市を襲う機械仕掛けの神、チクタクマンを退けた輝きの前で、君達は立っていられるかな? ――我が奇械《カグツチ》、共に往こう。(レーチェルの背後に立つものが、レーチェルの体と合一し――レーチェルの左目が、黄金色の瞳へと変わった!) 僕の異能は《探偵小説》――僕のいくさきには、数多事件が生ずる。機械仕掛けの神の戯れによって与えられた異能だ。 だが、ならば僕は解決しよう。行き先に事件が生まれると言うのなら――それさえ、乗り越えて見せる。 《悲劇を生み出す》異能だ。相手が喜劇とは面白い。だけど、今回ばかりは――君たちにとっての、悲劇を僕は与えよう。 ……行きたまえ、ここは僕たちが何とかする。 行って、決着をつけてきてくれ。僕たちは、その道を作る。 『書かれていないことは読むことはできない』……完璧な力なんてない、彼の顔を、吹っ飛ばして来てくれ。 (輝き放つ探偵は、バリツの構えを取りながら、グリゼア達に先に行けと言うのだった。) -- レーチェル
- (抱えた雑務を離れた場所に下ろす)
(ルベウス・アンスラックス、レーチェル・ダイオジェネスそして……嘘言居 依々明。まさか共闘するなどとは今の今まで思っても居ない) (故にこれからどうなるかなど、知らない)
(唯一つ解ること。それは)
安かろうが何だろうが、『主人公』相手に何人雁首揃えようが勝てる道理なんてねぇだろ。
脚本を書き換え、緞帳を上げろ。演出家が誰だかは知らねえが。 そして『読め』よ『翻訳鬼』。
『今宵この場での主役は俺たちだ 手前の思い通りになんざならねえよ』
(何の裏付けもないただの言葉。だが、それはこの場の登場人物の口から語られ、世界に記述される)
ああ。言われなくても。どいつもこいつも好きにやっちまえ。 俺も好きに先に行かせてもらうから。この乱痴気騒ぎの幕を引く為によ
(頷きと共に走る。狙いは『翻訳鬼』ただ一人) -- グリゼア
- (良くもまあこれだけの面子が揃ったものだなと笑う)
(何よりその結果『翻訳鬼』の脚本がズレた事が何よりも愉快で仕方がない)
どうしたんだい?笑いなよ『翻訳鬼』! 製作者にとってその手を離れて自由に駆け巡る物語程嬉しい物は無いんだろう? ああすまない…君は先を想像するのが好きなだけの『読者』だったね!
(届くかは分からないがその言葉には怒りを伝搬させている、音に情熱を載せ相手の心を操る怪物の魔技) (ウソイやレーチェル達に促されれば更に加速) (瞬間男の腕に紅く輝く光が『翻訳鬼』目掛けて放たれる) (拳が届く距離ではない、しかしその業は距離を無視して拳を『届かせる』) (開戦の狼煙だ) -- ルベウス
- はっ! いってくれるじゃねぇかウソイ先輩!
だったら……今はアンタの啖呵にダマされるぜ 背中は任せた! 探偵のお嬢ちゃんと一緒にそいつら畳んどいてくれよな! (言うなり自分も一歩前に出て、翻訳鬼を睨み)
一から十まで読めてるアンタでも……これから起きる事はまだ既述されていないことだ 結末は誰にもわからねぇ、そうだろ? なァッ! (重力を無視し、グリゼアと共に疾駆する) -- 書記
- (届くルベウスの拳を右腕でガードして払い……舌打ちする)
チッ! 調子にのるな畜肉共が いいだろう、そうまで言うなら……たまには本気で相手をしてやる ジルバ、グリゼア、ルベウス!!! 啖呵を切るなら『読ませて』見せろ、お前達の脚本とやらをな! どうせ『全部きっと間違いなく決まっている』だろうがなぁ! (吸血鬼が吼えれば……夜が反転し、月が紅く染まる) (魔術結界だ。自らに有利な空間を作りだす) -- 『翻訳鬼』
- --
- 黄金歴246年6月 --
- 統治塔付近 公安委員会裁判所 執行部室 --
- (来て見れば、思った通りあっさりと通される)
(当然だ。あの男が来客を拒むはずもない) (別に俺でなくてもいいのだ。どんな相手だろうと来る以上、アレは拒まない。拒むはずがない) (それと見て、読んで、娯楽として楽しむクソなのだから拒もうはずがない) -- 書記
- 手続きすら殆どせず、そのまま奥の小部屋に通される)
(一面書籍に埋もれた薄暗い部屋に) (四方を囲む壁面はおろか、天井から床に至るまで本で埋め尽くされている) (まるで本の樹林だ) (その森の主こそが……こちらを一瞥して妖しく微笑む美丈夫) (公安委員会執行部長 『翻訳鬼』) -- 書記
- (筋骨隆々。そういう他ない、凶器そのものと化した肉体を制服の中に押し込めたロングウェーブの男が笑う)
(読んでいた本を破り捨ててゴミ箱に捨てて立ち上がれば、長身といって差し支えない書記すら睥睨する体格差である) お前の方から顔を出すなんて珍しいじゃないか、ジルバ どうした? 古巣が恋しくなったのか? -- 『翻訳鬼』?
- んなわけねぇじゃねぇっすか(目を合わせずに返答する)
(この男の事は苦手だ。嫌いなのかと聞かれると困るが、決して好きではない) (戦士としては尊敬する部分もある。だが、その歪な人物性を前にすればそれよりも生理的嫌悪感が先に立つというのが正直な所だ) ちょいと野暮用でお願いにきただけッスよ、完全私用なんで手間かけさせるのは申し訳ないんすけど…… -- 書記
- グリゼア・クロムドロスの事か? -- 『翻訳鬼』?
- !?(深紅の目を見開いて、つい赤黒い奴の目を見返してしまう)
(そして直後に思い出す。そうだ、こんな事コイツにとっては朝飯前なのだと) ……何でも御察っしてことっすか、相変わらずっすね -- 書記
- 何でもではない。俺に『読める』ことだけさ
そして、お前の行動原理、性格、そしてわざわざ俺のようなクソみたいな元上司に頼み込みにくる点から用事の内容は簡単に推理することができる 安心しろ、別にお前を咎めるつもりはない 俺は優しい男だからな、先ほどお前達が望む資料は直接こちらから送付させてもらったよ (鋭い犬歯を覗かせて、ニヤニヤと嗤って嘯く) -- 『翻訳鬼』?
- (ギリッと奥歯を噛み締める)
(何が優しいだ、遠まわしに圧力加えて脅しただけじゃねぇか……俺とグリゼアの両方に『いつでも見てる』って暗にいいやがって……!) -- 書記
- そう怖い顔で見るな。俺は個人的にはお前の事は未だに気に入っているのだ
だからこそわざわざ『読んで』やった上に、部外秘の資料までちょろまかしてやったんじゃないか (わざとらしくニヤニヤと微笑んで書記の頭を撫でる。柔和な言動の中、赤黒い瞳だけは人を見る目をしていない) (注意深く観察し、弄ぶ目。実験動物を見る目だ) (心底気にかけていると指先を蠢かせながら書記の頭を撫で回し) なぁ、それよりもジルバ。人に親切にしてもらったのなら…… (そのまま頭から地面に叩きつける) 頭を下げるのが当然だとは思わないか? 以前に俺はそう教えたはずだと思ったのだがなぁ -- 『翻訳鬼』?
- あ……ぐあ……!(体が動かなくなる)
(肺腑から空気が搾り出され、揺らされた脳髄が知覚を麻痺させる) (焦点のあわない瞳では奴の目を睨み返すことすらできない) -- 書記
- (未だ回復しない書記からゆっくりと手を退けて、笑みをそのままに溜息を吐く)
礼の一つも言われないというのは寂しい話だなぁ ほら、ありがとうございますとちゃんと言ったらどうだ? さしもの俺でも謝辞の一つもないとなると(踏み潰すような勢いで書記の頭を足蹴にし) ショックのあまり少しばかり感情的になってしまうかもしれないなぁ? (愉快気な調子でそう声を落とし続ける) -- 『翻訳鬼』?
- (ただでさえ思うように動かない体を文字通り頭から押さえつけられ、意識がブラックアウトしそうになる)
(異能を使うことも手だが……そんな事をしてこの男のどこにあるのだか知れない逆鱗に触れれば何をされるか知れたものではない) (砕けんばかりに奥場を噛み締め、なんとか翻訳鬼の目に視線を合わせる。親の仇を見るような瞳を揺らし……) ありが……とう、ございま……す……! (未だ酸素を求めてまともに声も出せない喉奥から、なんとか言葉を絞り出す) -- 書記
- (蚊のなくような声だったが、それでも望む言葉が聞ければ満足気に頷いて足をどかして椅子に戻り)
その一言が聞きたかったんだ (にやにやと笑ってから適当にまた本を取る。ぱらぱらと捲っているだけにみえるが、ちゃんと読んでいる。速読しているのだ) もう帰っていいぞジルバ お前も忙しいだろう? -- 『翻訳鬼』?
- (最早興味を失ったとばかりに読書に戻る翻訳鬼を一度だけ睨みつけて、まだまともに動かない体を引きずって部屋から出て行く)
(一刻も早く、その男から離れるために) -- 書記
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