振り返ることは決してないさ 崩れてしまうから
- 新星座「トーマ座」制定記念式典 --
- (姉が壇上を降りていく様を眺めながら、もう一度語りだす 自分の目的は果たしたが、トーマ座を制定する式典はきっちりと終わらせなければ)
ええ、皆様失礼いたしました。私情を挟んだ星座制定であった、というのは事実です。ですが、それのみを目的にしてトーマ座を作った訳ではないことをご理解いただきたいのです 僕がトーマ座を作った理由、第一は先程の論争の通り、ほのおしし座を消すための上書きとしての星座制定でした 第二は当初から申し上げていた通り、人界の守護者としての勇者トーマを讃え、天より見守ってもらうためのものです 単なる建前に取られるかも知れません。ですが、認定されるのであればそれはこの世界にとって馴染みのあるものであり、喜んで迎えられるものでなければならない 故に、僕は世界を魔物の手から守ってほしいという願いを込め、勇者トーマを星座に上げる決断をいたしました 既に第二次人魔大戦から200年以上。実績も星に至るに十分と言う見解をミネラ天文台の皆様から頂けました そして、これから語るのは僕が星座を作るにあたり皆様に感じてほしかった第三の目的となります。 それは神の御技と人の成す業の違いについてです。(意味深な言葉を述べ、手を広げる) 今回僕はトーマ座を作るに当たり、様々な事柄について尽力してきました 幸いなことに様々な方々の助力を得られ、僕が想定していたよりもずっとスムーズに事が進みました それでもなお、三年という年月。そしてそれだけ掛かって、既に星空にある星々を繋いだだけ。 一方でこの星空そのものを作り給うた天球神バロネールはどうでしょう?これだけの数の星々を空に浮かべた偉業は人になし得るものではないでしょう 神の御技と人の所業。それらには大きな差があるとは思いませんか 一方で。星座を作るという範疇では、人も神の御技を真似ることが出来る。神の加護なしでも、いつかは人が歩んで行ける証拠となりましょう それでも、まだ人は神の加護なしで生きられるほどではないと言うのも事実でしょう。僕もそれが分かっていたから、トーマ座を作ったのです いずれ人が神の加護なしでも独り立ち出来るよう、またそれまでの間人々の安寧を祈っていられるよう、今回の星座制定を考案したということです。 新しい星座、トーマ座が10年先、100年先、1000年先も皆様の灯火となることを祈りつつ、お別れさせて頂きます。 シリウス・アストリア・エー……おっと。家名を無くしたシリウス・アストリアでした。(最後に深々と礼をして、観客に感謝の念を示した) -- シリウス
- 新星座「トーマ座」制定記念式典 --
- (観客席から息を切らし壇上へ上がってくる女性 ギザニアからの招待客のようであるが)わっ、私、ニュクス・プリーン・エーオースはトーマ座の創設に異議を唱えさせて頂きます!
そもそもそこは我々ギザニアがほのおしし座の場所として先に申請した場所!それを知らないミネラ王立天文台とは言わせません!それに……(弟を強く睨みつける) シリウス。貴方がほのおしし座の詳細を知らずにそのトーマ座とやらを組んだはずはない。貴方、意図的に被せたでしょう!? ほのおしし座は大海妖レヴィアタンを討ち果たした我らが英雄、オーガスタ・ディオクレオ・エーオースの星座! 貴方も私も、兄様に命を救われた身!!ギザニアの民ならばその偉大さは身をもって知っているはず! その上に違う星座を被せることが如何に愚かしい行為か知っていての事!?(彼女の激昂も無理からぬこと これは不意打ちである それも何より弟からの) -- ニュクス
- (老人は渋い顔をして)あー……ニュクス女史。そのなんと言いますか、申し上げにくい話なのですが……ミネラ天文台はほのおしし座の承認を却下することと相成りました
やはりただ一国のみの英雄を星座とするのはー……そのー……不公平と申しますか。各国としても受け入れがたく、民衆にも馴染まぬものという結論に至りまして 我ながらお恥ずかしい限りですが、個人の思いのみ、あるいは一国の思いのみによって作られた星座と言うのはどうしても馴染まぬものなのです せっかく発表した物を忘れられてゆくのは悲しいことですからなぁ。女史にも同じ思いはさせたくありません。ここで収めるのが傷口が浅うなりましょう わしはいいと思ったんじゃがなー、ねこ座(ポツリと悲しい思いが吹き出す!) -- 天文台所長
- (ニュクスの強引な登壇に分かっていたという表情 それでもなお、冷や汗は止まらない 計画はここからが肝要だ)
ええ、存じ上げていますとも。ほのおしし座が今トーマ座が当てはめられた場所にあることは しかし天球神バロネールが定めた星も限りがあり、このソラにもはや強い輝きを放つ星は限られています 必然、星座が描かれる場所も限られてくる。それも英雄の星座としてなら、かの大英雄の側というのは外せないでしょう ……もちろん姉上が兄上の星座を作る際、そういう意図で持ってほのおしし座をその場所に描いたことも存じ上げてますが(わざとらしく肩を竦め) 所長のおっしゃる通り、兄上はギザニアの英雄であれ、世界の英雄ではない。全天を共有する人々の世界の星座としては、人界すべての英雄であるトーマがより相応しいと思いますが (もっともらしい、最初から考えてきた理屈をぶつける 後から場所を横取りしたという脛の傷こそあれど) -- シリウス
- お言葉ながら、ニュクス・プリーン・エーオース殿。
私はオリヴェール・ウム・ゼイム。ゼイム帝国の第三皇子です。 (よろしくお願いする、と静やかに礼を取った) トーマ座の制定に関して、既に交わされた国際的な合意は、広義の条約にあたるものと解されます。 であれば、『合意は守られなければならない(pacta sunt servanda)』。 貴方もギザニア人ならば理解していらっしゃるでしょうね。 (効力を有するすべての条約は当事国を拘束し、当事国はこれらの条約を誠実に履行しなければならない。そのような原則は、国際法の根本規範であった) (一度有効に成立した条約は、一当事国内の都合によっては、その全体を無効にし得ない) (不服があるのであれば、ギザニア国内で相応の手続きを踏んでから、国際的な場であらためて決着を着けなければならない) (法の支配が発達した、法の先進国であるギザニアの貴人であるのなら、これらのことは当然理解しているはずだ、と) (闖入者を強く牽制する) だが、ここは国際会議の場でも、ましてや裁判所でもない。 式典の主催が許すというのなら……論戦を受けて立ちましょう。 (観客を煽るように見回しながらそう述べる、場のイニシアチブを握らんとする) -- オリヴェール
- 知らずにこのような愚行をするわけがない と思うのなら
その想いを まずはくみ取ってあげてはくれませんかにぇ (抱き上げた海星キングを示し) とキングはおっしゃっていますにぇ -- にぇ(巫女服)
- ……ニュクスさん。申し訳ないが私もシリウスの意見を支持させてもらう。私は彼の友人だ。しかしそれとは関係なく、
別の理由で勇者トーマを星座にすることを支持する。ああ、確かにオーガスタさんは英雄だったのだろう、それは間違いない。 しかし…ニュクスさんはご存知だろうか。…ここ最近、魔の驚異がまた強まっていることを。 高度な政治的判断もあったのか、それが真実かは分からないが…第一世代級魔族の出現、更には…悪神の降臨も噂されている。 勇者は、必要なんだよニュクスさん。ああ、英雄も必要だろう。だけどそれ以上に、この世界には勇者が必要なんだ。 少なくとも…そう在れる者が居た。その事実を忘れるわけにはいかない。人々の思いの内に、勇者は現れるのだから。 (多少の詭弁、歪曲を織り交ぜて楽師はその凛とした声で述べる。先程まで、魔王を演じたその声で) なるほど、貴女の兄もまた偉大だ。しかしその方は世界を背負いたいとでも願っていたのですか? 彼が背負いたかったのは、目に映る親しい人々……ギザニアの民、シリウスや…貴女だったのではありませんか? (これもまた詭弁。悪魔の証明だ。彼女が明確に故人の意思を証明できねば、その理はある程度削られる) (しかし…この反論にはまた、楽師の思いもまた、確かに含まれてはいはするが) -- フルラ
- 申請の返答をを何年も渋っておいて、挙げ句答えがそれですか!?兄様は貴方の猫とは違います 既に海難を破る者としてギザニアでは親しまれています!
そもそも、古の星座においても神や神人は一つの国のものでしかない。九善神が星に刻まれてないのは一体なぜかしら?(天文学の急所を突いていく 彼女も天文学を知るが故) シリウス……貴方には失望したわ。あの時命を救われた貴方こそが最も兄様の偉大さを知っているはずなのに。 勇者トーマの伝説は確かに広く知られた逸話。でもそれを強く知るものはもういない。兄様の偉業は私が、貴方がよく知っているはずよ!(知名度では勝てない だからこそその濃度で迫る) (合意、という言葉を突きつけられ ぐっ、と唸る)……流石ゼイムの皇子。合意を持ち出されれば、私も引き下がらざるを得ない。その合意が全て知らされていればの話よ!トーマ座の場所は知らされていなかったわ!! そういう不意打ちを、ゼイムでは合意と呼ぶのかしら!?(シリウスの策とは言え不意打ちじみた合意であったのは事実、と) 思いを知れ、と?なら私の思いも知ってもらいたいもの。エーオース家の権威もギザニアの民の思いも守らねばならなかったのに! ええ、ならばシリウスの言葉を聞きましょう。そのうえで私の思いを上回れると!?(その情熱は弟に負けることは決してないと) 魔を退けるために勇者が必要、そういう思いはわかります。勇者トーマがそれに相応しいということも。けれど、私の兄様も負けてはいない! 事実、大海妖を退けた偉業があってこその兄様の星座の制定があったのよ。それが魔に抗するにふさわしくないと?(フルラの理屈に鍔迫り合う 実際彼は偉大だったのだから) ……成る程皆様準備の上でこの大仕掛をしてきたと。ならば、私も私の理屈をぶつけさせていただきましょう。 場所ならば空いているわ!はくちょう座の側が!! そこにすれば一切揉めることなくトーマ座を作ることが出来たはず!! それを知りながら、シリウスはトーマ座をほのおしし座に被せてきた。意図はこれから聞きましょう。だけど、これは各国を使ったギザニアへの非難ではなくて!? ほのおしし座はメイビス女王陛下もお認めになった星座よ。それを消すということは、あの方に対する侮辱にはなりませんか!? (少しだけ話を盛った 女王メイビスはほのおしし座にコメントを出したことはない ただ、ギザニアの民が喜ぶならと、黙認しただけ) -- ニュクス
- あー……(九善神の話を出されれば答えに詰まる 実際、そのソラに描かれるべき実績はありながら、九善神は化身の意匠すらない)
そうですねぇ……私はこう考えております。星空は九善神の一柱、天球神バロネールが作り出したもの。それに他の神を刻むことは、バロネールの創造物の中に他の神を収めてしまうこと すなわち他の神の上にバロネール神を置いてしまうことに繋がりかねないと、神々あるいは信徒は考えたのでしょう 故に星座に刻まれるのはそれより新しい神と神人であると。星を編纂した者によって偏りが出てしまったのはいささか歴史の文でしょうが、それを今更繰り返すことはありますまいて そういう訳で、私はほのおしし座を支持せず、シリウス君のトーマ座をそこに描くことに合意したわけですな(世界の中核を担うミネラの天文台として、過去の偏りを理由として現在にも偏りを作る事は許されないと主張した) -- 天文台所長
- 汲んで欲しいのは意図ではなく
想いなのですにぇ あなたが 彼の星に掲げた想いも 彼が 彼の星を落とす想いも きっと 根源は同じだと思いますにぇ
とキングはおっしゃっていますにぇ -- にぇ(巫女服)
- (ぐ、と思わず一瞬呻いてしまう。魔へと一致団結するためにトーマ座が必要だというのなら、その星座の場所は確かにどこでもいいといえばいい)
(しかし、彼女は詰めが甘い。…それが故にシリウスにここまでの計画を許してしまったのかもしれないが) ニュクスさん。私の反論にお答え頂きありがとうございます。しかしながら、答えていただけていないことがありますね? ……言い方を変えます。オーガスタ・ディオクレオ・エーオースは、星になることを、望んでいたのですか? (紺色の衣装を着た悪魔が、ゆっくりと、呪言を唱えるように、淑女へと言葉を放つ。ここを避けたということは、これが彼女の急所の一つ) (恐らくは答えのない、答えられない問いだ。ならば近く亡くなった故人を、しかも伝説となり公共に浸透してしまったとは言い難い故人の思いは今はまだ尊重される) (それは、その想いを知るはずの、シリウスの意思が尊重されるように。彼の後押しをするために、悪魔は彼女を、じ、と見つめる) (楽師が放ったこの問いも、また穴がある。そこを突かれれば弱いが……後は、仲間を信じるのみと) -- フルラ
- いまひとつ、条約というものについて理解が浅いようですね。
そういった国内の権力者間における錯誤は、あなた方ギザニア国内だけの問題です。 各国家の代表者の間で合意が得られたのであれば、その条約は有効だ。まったく定説の通り、国際的な慣例の通りに。 我々ゼイム帝国としては、貴方の主張、貴方の存在は一顧だにする必要はないのですよ。 条約は適正に発効され、我らの国でもよく知られた英雄、勇者トーマの星座は帝国において公認された。 それが全てです。 それでもなお、敢えて付け加えるのであれば―― そもそも。貴方の主張するところの、ほのおしし座。その題材となった……ええと、オーガスタ・ディオクレオ・エーオース。 星座どころかそのような人物すら、誰も知らないのですよ、ゼイムでは。 (でしょう?と、ゼイムの代表団の方へ視線を向ける。賛成の声があがる) そういった意味で、ほのおしし座は、国際的な星座としてまったく不適であると言わざるを得ない。 題材に普遍性が欠けている。倒したのが大海妖程度というのも格落ちだ。 何より、ゼイムでも、ミネラですら公式に認定されていない。民の間に認知されていない。 国際的にはそもそも存在すらしないのです。 存在しないものに配慮する必要はない。 はくちょう座の隣が云々、というあなたがたの争いについては、そちらの専門家であるシリウスに議論を譲りますが。 それに、メイビス女王へご配慮するにもあたりません。 条約は貴方の国では、そのまま国内法として通用する――貴方の国では、王すらも法に縛られる。 そうであるのならば、当然、条約によって新たな星座が制定される、そのことが女王に対して一切不法や不自然は生まないはずではありませんか? 侮辱になど、到底あたるはずもない。 -- オリヴェール
- ……意図、か(ふーっ、と息を吐く 個人的な感情を叩きつけなければ行けなくなった)
ええ、ありますとも。他ならぬほのおしし座を上書きする理由が。なんだったらトーマ座でなくても良かった ほのおしし座を消せさえすれば(もはや取り繕うよりは吐き出すべきと) 星座に登ったものは神となる。それは神人や獣を星に召し上げた逸話からも明らかです ほのおしし座……すなわち兄上を天に登らせれば、兄上は神になる。祈りが届かない存在になる! 地に祈るものがいる限り、そんな事は許されないでしょう!天への祈りは届かないものなのですから!! 兄上の偉業を称えるなら、エーオース家の威光を取り戻すなら、銅像でも何でも立てればよかった。祭りを作ってもよかった。 だけど貴方は、最良の結果を得るために兄上の魂を手放す決断をした!! その事を知らない訳がないでしょう 他ならぬ貴方が星座を織り、制定したのだから 僕が許せないのは立場を守るために手段を選ばなかった事、それそのものではありません。姉上がどれだけ周囲の目に苦しんできたか、僕も流石に知っている それでもなお許せないのは兄上を政治の道具にし、魂を天へ送り出してしまったことだ!! 僕らにはまだ地から兄上の冥福を祈る権利がある!! 他に手がなかったとは言わせない!!貴方は焦りの余り、兄上の死を昇華してしまった!!僕らから兄上の死を奪ってしまった!! だから僕は『星を落とす』のだ!!兄上の魂を地に落とす為に!!! (らしくない激情を叩きつけた 積年の思いが堰を切って溢れ出したのだ) ……ふーっ、僕の話はもう良いでしょう。最後に、メイビス女王陛下からお手紙を預かっております(そんな個人的感情で全てを納得させられるとは思っていない だから切り札を切った) 「拝啓 ニュクス・プリーン・エーオース殿 この手紙が読み上げられているということは、残念ながら貴方の願いは取り下げられたということになるでしょう」 「私もオーガスタ殿の活躍は聞き及び、何よりギザニアの民を救った英雄であることは事実であると受け止めています」 「しかしながら、それを星座にするということはギザニア一国の都合。故に私は黙認で通してしまいました。それも、私の弱さだったのかも知れません」 「今求められているのは世界を守護する者。それは人魔大戦を終結に導いた勇者トーマであると、私も同意します」 「無論、補償としてオーガスタ殿を讃える政策は取らせていただきます。ギザニアの民をがっかりさせてはいけませんから」 「このような手紙の末尾で申し訳ありませんが、ご健勝を祈らせていただきます ギザニア王国女王 メイビス」 (美しくも優しい女王は、世界の安寧のために決意を表明した その手紙をシリウスに託していた) -- シリウス
- (世界の均衡のため、と言われれば窮する)ぐっ、ギザニア一国のための星座では、いけないというの……?(分かってはいる それでも分かりたくはなかった)
(ニェンナに代弁された海星王の言葉は)根源は同じ。そう、同じはずなのよ。なのになんで、こんな事を……?(少しの枝分かれが仲違いを生んでしまった) ……星座に登るものは、皆死んだ後よ。星に登らせるのは、神か、残された者がすること(それでも、確かに引け目はある 兄がそんな事を望むだろうか) っ……!これだからゼイムの人間は嫌いなのよ……!(オリヴェールの理論は全て筋が通っている 通り過ぎている だから歯噛みすることしか出来ない) (そして、シリウスの思いを叩きつけられれば)貴方は……そう、貴方は兄様が天に登ることを良しとしなかったのね(神に昇華することは喜ばしいことと捉えていたニュクス それは星座魔術を収めきれなかったが故か) (最後にメイビスの手紙が読み上げられれば)……そう、そうですか。申し訳ありません、陛下。貴方の優しさを、私は利用した。ギザニアのためと、エーオースのためと(その焦りがすべてを狂わせたのだと) ……分かりました。時代はトーマ座を望んでいる。それが答えなのね(観客席からは歓声が上がっている トーマ座を称える声が ギザニアの民も、不承不承ながら批判の声を上げることはやめた) でしたら、ほのおしし座を制定した私、ニュクス・プリーン・エーオースの命を持って、ほのおしし座は撤回とします。後にギザニア天文庁へと伝わるでしょう それと、最後の処分を。シリウス、前へ。分かっているでしょう(そう、弟を呼び出した いくらか優しい声色で) ……はい、姉上(眼鏡を直し、前に出た どう宣告されるかは、既に分かっていた) 貴方は新しい星座を作り出した。その功績は認めるべきところにあります。ですが、エーオース家の名を穢してしまった。 そうしてでもほのおしし座を消したかった貴方の思いは既に汲みました。だから、今度は貴方が報いを受ける番。そうでなければ、立ち行かない。 シリウス。貴方はエーオース家から追放とします。二度とエーオースの名を名乗らぬよう。そして、ミネラで行ってきた家の事業も貴方から取り上げます (次期家長として、冷徹な声で告げる 責任を取らせる為に) はい……申し訳ありませんでした(頭を深々と下げる) 今後ギザニアの地を踏まぬよう、心得なさい……っ(最後の言葉を告げる時、瞳から一筋涙が溢れた) ……貴方が泣く事はないでしょう。(お優しい、と肩を竦めた)ですが、一つだけ 何よ? 墓参りだけは、させてくださいよ ……顔を隠して。済んだら即座に立ち去りなさい (決別の言葉が交わされ、ようやくギザニアもトーマ座を認めることとなった 波乱はあったが、新星座制定式はこれにて終幕を迎えた) -- ニュクス&シリウス
- 想いを汲み取ってくださったあなたに
多大なる感謝を いつか トーマ座の星の下に あなた達3人が 憂い無く集えるコトを切に願いますにぇ
とキングはおっしゃっていますにぇ -- にぇ(巫女服)
- ………(姉弟のやり取りを、少し寂しそうな顔をして見ている。分かっていたことだ、シリウスもこうなる事は覚悟していた)
(すべて彼の計画通り、すべて彼の想定通りだ。それでも、追放を告げるその言葉の音色は、楽師の胸に刺さる) (しかし…それを告げたニュクスの瞳から、流れる星のような涙がこぼれたのを見れば…少し、救われたような気がして) …お疲れ様。頑張ったねシリウス…星は在るよ、君の隣に、ね(彼へ、柔らかく微笑みを向けた) -- フルラ
- 嫌われて結構。我々ゼイムとしては慣れた扱いではありますとも。
(罵倒には涼しげにして――その後、シリウスに下された沙汰については、心痛の思いがあった) (予想はしていたことだ。しかし……きょうだいは助け合うべきであるのに、こうした結果に繋がってしまう) (世の無情にほんの少しだけ思いをはせて、それからシリウスに向けて) 星は落ちた。君の隣に。あるいは彼の……君たちのふるさとに。 お疲れさま、シリウス。 (そう、声を掛けるのだった) -- オリヴェール
- 新星座「トーマ座」制定記念式典 --
- (一通りスピーチが終わった所で再度壇上に現れ、進行を再開する)皆様ありがとうございました
お越しいただいた皆さまについても勇者トーマの事はご存知でしょう。それでも、大枠での話を把握している程度という方もいらっしゃるのではないでしょうか つきましては皆さんにも勇者トーマの伝説を体感して頂きたいと考え、催し物を用意させて頂きました 演じるは楽士、フルラ・ヌーヴとラモニア歌劇場の皆様です。どうぞお楽しみください (す、と手を舞台袖に向け、劇の一行を迎え入れつつ捌ける) --
- (特設式典場の舞台へラモニア劇場の劇団員が現れ、全員で揃って楽師と同じような優雅で大仰な礼をする)
(そして、一旦光が落とされる舞台。舞台袖近くの脇にスポットライト。そこには先程壇上に現れたときと同じ楽師の姿) 『勇者トーマ』(マイクのような台へ納められた音珠に手を触れ、シンプルな題を呟けば、旋律が響き出す) (それと同時に舞台は光魔術によって明るくライトアップされ、劇は始まる) (映し出されるのは、ある村の風景。奥に控えた腕利きの幻術士が舞台の上へ映し出すそれは、素人では一見本物の風景と区別がつかないだろう) (そこへ簡素な剣を持ち素朴な鎧を纏った少年が現れる。それは勇者トーマ) (年の頃は18、淡い栗毛の長い髪を後ろで束ね、線が細いその役者は先程のシリウスを連想させるかもしれない) (実際、楽師はシリウスに似た役者を選んだのだ。彼と紐づけることで相互に印象を良くさせる狙いを持って) (ただし、実際は騎士の家系である勇者トーマの役者は、細身とは言えしっかりと鍛え上げられた肉体を持ち眼鏡はかけていないが) (突然その村に現れたとされる勇者トーマは、日々の糧を得るために、人々の役に立ちたいと願い冒険者として旅立つ) (そして、その旅の最中、一人の少女と出会う。光差す深い森での神秘的な出会い。それは巫女だった) (巫女の役者はニェ。トーマの文献を漁る中で、断片的に知る事が出来た巫女の存在、それを彼女に配役した) (いつもの服では硬い場には刺激が過ぎるため、顔の布はそのままに薄手の神官衣装を纏ってもらっているが、その輝きはそれでも神々しく) (神々の使徒を名乗る巫女から、魔王の存在を厳かに知らされれば勇者トーマの旅の目的は明確に定まる) (勇者トーマは巫女を伴い旅を続ける。ある街では、魔王の差し向けた魔物の群れにたった一人で立ち向かう) (舞台を埋めるかのような数々の魔物は幻術ではなく、楽師が連れてきた凄腕の符術士の符を核とした実体ある魔物) (とはいえこれは舞台。実際の戦闘力がある訳では無いが、見た目は本物の魔物のようなそれを勇者は次々に切り倒し、街を救う) (勇者トーマは巫女を伴い旅を続ける。ある魔王軍の砦。そこでは全身を鋼とし、太い金棒を持った恐ろしき魔族の戦士と相対する) (これも楽師が連れてきた、実際に身体を鋼と出来る元傭兵が演じる魔族。大怪我をさせる心配もないため、砦に場面が切り替わる間にトーマは剣を真剣に持ち替えている) (振りではない、当てる剣戟。鳴り響く金属音は迫力を醸し出し、そして巫女の導きにより鋼の魔族の弱点を突いたトーマは砦を落とす) (勇者トーマは巫女を伴い旅を続ける。ある険しい山。そこに住まう竜。舞台の上方から少しはみ出てしまう程の大きなそれもまた符を核としたハリボテではある) (しかし、その足が勇者を踏み潰さんとする瞬間や、太いしっぽが振るわれる瞬間、楽師は的確に効果音を入れて実戦さながらの臨場感を演出する) (更には幻術を組み合わせた炎のブレスを凌いだ勇者は、竜を打ち倒す。その尻尾からは聖剣が顕れ、勝利を巫女と喜ぶが…竜の死をトリガーにした魔術の罠にかかる) 「貴方に、祝福を」(と、一つの言葉を残し、自身の事は構わず成すべきことを成してほしいと巫女は攫われてしまう) (勇者トーマは一人、旅を続ける。とうとう魔王城の近くへとたどり着く勇者だが、魔王城は生命あるものが渡れぬ死の海の先の孤島にある事を知る) (倒すべき相手、攫われた巫女の居る場所。無念に打ちひしがれる勇者だったが、そこで知り合ったヒトデに似た種族、海星王族と出会い、交友を深める) (巫女を知る海星王族は快く協力を申し出、その身から光を放ち、七色の光の道を死の海に渡し、勇者トーマは魔王城へと歩む) (勇者トーマは、魔王と相対する。禍々しき闇の衣を纏うは楽師。場面の間に音楽を流したままの音珠を残し着替え、敵として王座に鷹揚と座る楽師は言葉を紡ぐ) 「私の味方になれば、人界をお前にやろう」(と。十字架に貼り付けにされた巫女を見上げ、勇者は首を振り…決戦が始まる) (絢爛豪華、雄大豪壮。幻術と音を最大限に使い、狭い舞台の上を縦横無尽に飛び交う光と闇。息を呑むような戦いがそこで繰り広げられ) (最後は、聖剣の煌めく一閃が魔王を倒し楽師は事切れる。そして、勇者は巫女の手を取って…音楽は終わり、舞台の照明は落ちた) --
- (勇壮な英雄伝説を描いた劇が終わり、舞台袖からシリウスが拍手を送りながら壇上へ戻ってくる)
ラモニア歌劇場の皆様、ありがとうございました。有名な逸話ではありますが、皆様にも勇者トーマの伝説を再確認していただけたかと思います それでは、これよりトーマ座を宙天に描いてのお披露目に映りたいと思います。皆様、空をご覧ください。 Scopius, Ursa Major, Camelopardais, Andromeda, Pegasus...(シリウスは空にマナを放ち、星々を光の軌跡で繋ぎ星座を描いていく 星図を知らぬ人でも分かるよう) (空の端から描かれていった星座は遂に皆が見上げる真上の空に移り)Cygnus, Lyra, Aquila, Hercules...(大英雄の星座を描いた所で既存の星図は書き上がる) そして。(一度言葉を切り、息を入れ直す 演出と言うだけではない これが満願成就の瞬間であり、予測される争いの火蓋を切る瞬間 整えた息とともに、新たな星座の名を告げる) Tohma.(大英雄の星座とわし座、こと座に挟まれた位置 今日の夜空の中心にほど近い位置に描かれる 長剣を持つ勇者の姿) (おぉ、という歓声の中に紛れる困惑と怒りの混じった声 それは間違いなくギザニアの招待客の一団からだろう 覚悟を決め、天文台所長やスピーチ出席者と視線を交わす) (これから始まるのは席の奪い合いだ ギザニアの英雄と人魔戦争の勇者 どちらがソラに上るに相応しいか) -- シリウス
- (観客席の方に目をやれば、怒り心頭の様子で向かってくる金髪の女性)来たな、姉上……
(これはシリウスにとって予想された争いである 冷や汗を拭い、深呼吸して論戦に備える) -- シリウス
- 出席者控室 --
- (一席打ち終わって一息、と言った様子で水を飲んでいる)
さて、次はフルラの番か。私の場合、彼女の舞台はこの後いつ観られたものかわからない、見逃せないな。 -- オリヴェール
- (紹介から戻ってきて椅子に座り一息吐く)先輩はこれから公務で忙しそうですからねぇ。
実は僕も、色んな事情抜きで楽しみにさせてもらってるんですよねぇ(荒れる前の最後のひとときと、繋がれた映像に食い入る) -- シリウス
- 公務もあるが、普通にゼイムに帰るからね。瘴気払い付きの医官として下積みをすることが決まっている。
フルラは(トーマのヒロインについて)巫女派か。それもまたよし……。 しかし、随分と予算を使ったな。演出は絢爛豪華、しかし演出のそれに負けないほどの演者の技量、すごみ。 各国貴賓に見せるに恥じない仕上がりだ。流石はフルラ、と思わされるね。本当に素晴らしい。 -- オリヴェール
- ああ、いいですねぇ。フルラ先輩の音楽と、ラモニア歌劇場の舞台がこんな間近で見れる。色々と仕込んだかいがあったものです。チケット代は高くつきましたけどね(結構な請求がシリウスにも来ていた!)
それにしても、巫女に王女にと両手に花だ 勇者ともなれば女性にも随分モテますね(冗談めかして笑う 英雄色を好むではないが) さて……この後は僕の出番だ(すい、と指を走らせ軌跡を描くリハーサル 更にトーマ座の印象を植え付ける必要がある) -- シリウス
- 他にも同じパーティの魔術師と僧侶、エルフの姫君、海星王族の王女、などなどヒロイン候補は片手で足りないくらいさ。
結局誰ともくっつかなかった、というのが学説では有力だけれどね。……夢が無い、として一般には人気は無いが。 期待しているよ。この場での勝者は、観客を味方につけた方だ。とはいえ気負わず、いつも通りに。星座を描くことは十八番だろう? -- オリヴェール
- うん。流石の腕前だ。緩急もばっちり、演出家の才がある。
(星座のデザインも苦心したのだろう、しかし素人目にも、星座として一切の無理がないのが分かる。等級の高いよく輝く星が含まれ、夜空でも見つけやすいだろう) よほど練習したのだろうな。……だが、これからが大事なところだ。油断せずにいこう。 -- オリヴェール
- ふぅ…(とまた紺色の舞台衣装に着替え直した楽師が控室に戻ってくる)…さて、あとはシリウスだ(早速彼に見入る)
…うん、いいね。…綺麗だ。ふふ、やっぱり…ロマンがあるよね、この瞬間は(いつか、彼の計画を聞いた最初の思い) (それを思い出しつつ、静かに、嬉しそうに微笑む。…が、聴き逃がせぬ声がした。ギザニアの民の声だ) ああ…そうだね。これからがある意味で本番だ。気を引き締めるよ(と、目を細めて頷いた) -- フルラ
- 新星座「トーマ座」制定記念式典 --
- 8月を半ばに迎え、盛夏真っ盛りの夜。ミネラ王立天文台の前には、特別式典のための式場が設営されていた
仮説ながらもラモニア歌劇場もかくやという飾り付けをされたその式場は、新しい星座を発表するための場として設けられた 新しい星座の名は「トーマ座」。第二次人魔戦争に於ける勇者トーマの活躍を讃え、新たな神話を持つ星座として制定されることとなった そしてこれは、未だ軋轢を残す国々同士の関係を取り持つものとなってほしいという願いを込め、ミネラの人々のみならずゼイム、ギザニア、ミオなど他国の要人も招かれ開かれる事となった 各国天文台関係者、王国外交大使や大臣、或いは皇子すらも。錚々たる面々は世界の情勢を伺う会議の前置きのようでさえある 実際、トーマ座の制定にあたりミネラのみならずゼイム、ミオも追認の動きを見せており、各国が協調した動きを見せるこの行事は世界政情の安定につながると期待されている そしてギザニアからは当トーマ座の制定を行ったシリウス・アストリア・エーオースがスピーチを行う エルフ・ドワーフ領からのコメントはないが、それでも他の種族が治める国については網羅されている ……だが、スピーチを行うため招かれたもの そして観客席にいる一部の観客は既に知らされているだろう これはシリウスが仕掛けたギザニアの星座を消すための一計 理はトーマ座にあるとは言え、激しい論戦が予想される 知るものはピリピリとした空気を感じ、知らぬものは単なる式典として望むだろう --
- (時間になりゆっくりと登壇し拍手をひとしきり受ける白髪白髭の老人 拍手が止んだあたりでゆっくりと下げていた頭を上げ語りだす)
えー……皆様。この度は新星座の制定を記念した式典にお集まり頂きありがとうございます。ミネラの方々のみならず、遠路はるばるギザニアやミオ、ゼイムからも 普段は仲のよろしくない方々もおられるかも知れませんが、古来より「呉越同舟」とも申しまして……(スタッフの巻きの指示を無視して喋りまくる所長!) ……少しばかり前置きの話が長くなりましたな(相当な時間を無駄話に費やした!)さて、新星座についてですが、制定につきましてご紹介したい人物がおります。 今回の星座の制定に尽力してくださった、ギザニアからの留学生です。学生の身ながら、天文学については我々天文台の学者にも迫る傑物 エーオース家の一子、シリウス・アストリア・エーオース君です(ゆったりとした動きで舞台袖へ手のひらを向け、シリウスを招いた) -- 天文台所長
- (拍手を受け、穏やかな笑みを浮かべ一礼して)ご紹介に預かりました、シリウス・アストリア・エーオースです。
……皆さんもう前置きの話はお腹いっぱいという感じでしょうか(所長の話が長引きに長引いたのを空気を緩めるのに使って) 世界各国からお集まり頂いた方々の前で新星座をお披露目できる事、そしてこれだけの事業に携われたことは光栄の至りです それでは、ご紹介させていただきましょう。これからお見せするのは第二次人魔大戦を勝利へ導いた我らの英雄 魔を討ち果たした勇者、トーマをモデルとした「トーマ座」です! (シリウスの声掛けで除幕された二つの絵が現れる 片方は長剣を持った勇者を象った星座の図柄 もう片方はその図柄を分かりやすく絵とした勇者の肖像画) -- シリウス
- (トーマ座の図柄が示され、誇らしげに微笑んで)いかがでしょうか。我々の世界を守った勇者は先んじた星座に並ぶべき偉業であったと存じます
彼の出自は謎めいていますが、時代から言っても神ではなく、また神の子でもない。そうであるからこそ、今の時代の星座たると私は考えています 人の時代を人が切り開いた象徴になると。その軌跡を天球神バロネールの示した星明かりの中に描けた事は大きな意義があると。 さて、私からの紹介はこのあたりで。次はお越しいただいた皆様にお言葉を頂きたいと思っております 今日は各国から様々な立場の方をお招きすることが出来ました。これも偏にトーマ座が単なる星座としての意味合いのみならず、 新しい時代を生きる我々の象徴となってくれるという思いに賛同していただけたからだと存じます。では…… (そうして、控室で待つスピーチ出席者が順番に呼び出され、壇上でスピーチが行われていく) -- シリウス
- (自身の名前がコールされると、落ち着き払った様子で壇上へ。涼しげな態度は式典という場でも変わりなく、そこに緊張の色は見られない)
(式典用の礼服を纏った白皙の痩躯は、硝子細工のような繊細さを伴いながらしかし) (凛とした表情と一挙手一投足が、その内側の毅然とした精強さを示すようでもあった) (白の皇子はゆっくりと、しかしよく通る発声で話し出す) ご紹介いただきありがとうございます。 私はゼイム帝国第三皇子、オリヴェール・ウム・ゼイム。 この世界に未だ魔族の脅威が潰えぬ中、無事に今日という記念すべき日を迎えられたことを嬉しく思います。 勇者トーマを讃え、天の座に列するこの式典にお招き頂いたことは、誠に光栄で、身が引き締まる思いがいたします。 (一度呼吸を起き、聴衆に目を配る) さて。勇者の話をしましょう。 (それは、優し気な微笑――友好的で心やすい空気を醸し出すそれとともに) ――ここに一輪の花があります。(そうして、胸元から一輪の青い薔薇を取り出す) ご存じの方も多いでしょう。これは時のミネラ国の王女が、勇者トーマの無事を祈り託した花。アルミネラ・ブルーの花です。 勇者トーマの門出の日に、初めて咲いた青い薔薇。王女と人々の祈りとともに生まれた、 その時まではあり得なかった青い薔薇、可能性の花、奇跡の花、神の祝福の花。 かの王女と、勇者トーマの実らざる恋は、歌劇としても有名で、ご覧になった方も多いでしょう。 二人の愛の証としてそこに登場するこの薔薇は実は、本来そうしたものではないのです。 これは人々の祈りとともに生まれ、王女が人々の代表として、かの勇者の無事を願い贈ったもの。 青い薔薇はもともと、人々の平和への祈りそのものなのです。 この薔薇に込められた人々の想いは、かくしてトーマを守護し。 発露した祝福によって、かの魔王の放った死の呪いを破らしめました。 勇者トーマは、第二次人魔大戦を終結に導き、人界に平和を齎しました。 ですが、彼は決して、それを一人で成したのではない。 そこには想いを抱く王女がいた。信頼する仲間たちがいた。 そして何よりも、守るべき全ての人類の祈りを、その背に受けていたのです。 トーマの偉業はまさしく、人類普遍の英雄と呼ぶのが相応しいものです。 これを讃えるのに、天なる座、星の座の列に加えること―― ――これほど素晴らしいことがあるでしょうか。 全てのひとが、宇宙(そら)を見るたびに思い出すのです。 かの英雄が世にあったことを。 人類が魔族に打ち勝ったことを。 人の持つ可能性、その輝きを、天にある彼が永久(とこしえ)に示すのです。 ゼイム帝国の代表として、この瞬間に我らが祖霊の祝福を。 この幸福な時間を、共に心から祝いましょう。 (最後に笑みを残してスピーチを終える) (一拍置いて聴衆の反応を待ち、それから静かに一礼すると、壇上を後にした) -- オリヴェール
- 観客の皆様方にはお目にかかった事もあるかもしれない。歌劇場で公演をさせてもらっている楽師フルラ・ヌーヴだ。
(壇上に現れる夜空を思わせるような濃い藍色の豪奢な衣装を纏った楽師。そして優雅で大仰な、貴族向けの礼をする) 勇者トーマは、ラモニア歌劇場でも人気の題材だ。老若男女、親に連れられた幼子から仲睦まじい恋人同士、人生の年輪を感じさせるご年配の方々まで劇を見に来られる。 劇の内容も多種多様。兎に角盛り上がる派手な冒険活劇から、独自解釈の凄惨なストーリー、果ては喜劇仕立ての笑えるコメディまである。 今まで星座になっていなかったのが不思議とも思えるような、人に愛される英雄。それがトーマ。ならばやはりそれは天に登るに相応しいと言わざるを得ない。 皆様方も、今ここに生まれる新たなる星座への祝福を願いたい。その祝福は、より天に在る彼を輝かせるだろうから。 (そこまで言い、また現れたのと同じような大仰な礼をして、戻っていく) -- フルラ
- 人界に住まうのはヒト族のみではないというのはご存じの通りで
かの英雄がもたらした偉業もまた ヒト族のみが受けた恩恵ではなく 海の星々を代表し 海の星々から空の星々へ 恩人たる勇者トーマを 新たなる仲間に迎えらることへ 多大なる感謝を
とキングはおっしゃっていますにぇ -- にぇ
- 出席者控室 --
- …ふう、壇上に出ることには慣れてるけど、やることが論説なんてのは流石に初めてだよ。…少し緊張するね?
(などと言いながらも、のんきな笑みを浮かべて水を飲んで喉を湿らせる。これからやることは別の意味で喉を使うだろうから) -- フルラ
- (リラックスした様子で椅子に座っている)
(各国の要人と、時折笑顔で挨拶などしながら、終始和やかな態度を保っている) (内心にひりついたものを感じながらも、それは一切表に出していない) -- オリヴェール
- オリヴェールは流石の貫禄だね……やっぱこういうの慣れてるんだ?(などとにしし、と笑いながら挨拶する彼に意地悪げな笑いを)
(長い付き合いだ、それが"外向け"の張り付いた皮なのは概ね分かる、と) -- フルラ
- (何より緊張しているのがこの男であろう 何しろ一番の大役を務めると同時に祖国に対する裏切りを働くのだ)
(冷や汗が止まらず瞑目したまま なんとか表に出る際には沈めなければと気を落ち着かせようと) -- シリウス
- (海星キングを膝上に乗せつつ)
ああ ちなみにキングはヒト語を喋れないので適当に代弁しますにぇ -- にぇ
- (目に見えて緊張しているシリウスに、心配そうな表情を見せる。もっとも…目をつぶっている彼には見えないだろう、だから)
…大丈夫。大丈夫だよシリウス。この日のために頑張ってきたんだろ?遠大な計画も、このときのため。 君の用意周到さはよく知ってる。きっと…上手くいくさ(ぽん、とその背中を驚かぬよう声をかけながら軽く叩く) -- フルラ
- それは慣れているとも。いちおうずっと第三皇子ではあったのだからね。
(もちろん本当はひりついているさ、とでもいうように、肩を竦めて笑って) シリウス、そう緊張することはない。何があろうと……命のかかった修羅場よりずっと多く考えるべき時間があり、同じように助けてくれる仲間がいるとも。 まずは深呼吸だ。神経を落ち着かせてくれる。 -- オリヴェール
- (喋れない割に大人しく膝には乗ってくれるのか…という海星キングを見つめる視線)
そのお方…お方?にも劇には出てもらうから、その時はよろしく頼むよニェンナ。あともちろん君もね(後で衣装渡すから、とか言いつつ) -- フルラ
- (フルラに、オリヴェールに声を掛けられ、目を閉じたまま)えぇ、分かってますとも。ここまでずっと備えてきた。大丈夫ですよ きっと
ただやはり、それでも緊張と言うのはするものです。自分の心を律せないとは、僕もまだまだ……(青い、とため息をつく 齢18でその達観に達するだけマシであろうが) 深呼吸、深呼吸ですね……(すーっ、ふーっと吐いて、冷や汗は少し引く) それに、やはり大舞台で喋ると言うのは慣れないものですね(単純にスピーチ慣れしないインドアボーイ!!) -- シリウス
- くるしゅうない 全て任せよ
とキングはおっしゃっていますにぇ (海星の手 と思われる部分を握ってふりふり させつつ) -- にぇ
- (シリウスの覚悟が少しは決まったのを見て、微笑みを漏らす)ふふ、そんなのは度胸でどうにでもなるものさ。じゃ…いこうか。
(言って、海星キングに手をひらひらと振りながら控室を出ていく) -- フルラ
- (声が掛かって目を開く)さて、では出番か。行ってきます、皆さん(すっと立ち上がり壇上へ向かっていく 若干の震えはあれど、大丈夫と) -- シリウス
- (くるしゅうない、すべてまかせよ)だそうだよ。多少のあがりもまた学生らしい。聴衆からすればそれこそ『くるしゅうない』、さ。
さあ、行こうか。(微笑を浮かべて送り出す) -- オリヴェール
- --
- ええ、ここまでなら英雄譚。後に銅像が国中に作られてもいいぐらいの功績ではあった
でもその次に持ち上がったのはエーオース家の家督問題だった。長子であったオーガスタ兄上が死に、家督を継ぐ事になったのは僕の姉、ニュクス・プリーン・エーオース。 女性ながら武に優れ、星見の才もあり、家を任せても舵取りをうまくやるだろうという評価はあったんだけど…… 何せオーガスタ兄に武が劣り、星見も僕程のものではない 中途半端な立ち位置であったことからその実力を疑問視……まあ要するに内外から嘗められていた訳で ……そこで、ニュクス姉上はエーオース家の権威を取り戻すために手を打った。……オーガスタ兄上を星座にするという一手を 実際姉上の星見も悪いものではないし、ギザニア天文庁もその星座の形成を認めた。何より命を救われた者たちからすれば、彼が星に登る……神に列されることは栄誉だと考えた こうして、ギザニアでは海難を破る者としてほのおしし座が親しまれることとなった。エーオース家の栄誉も見事回復、姉上も権威を示せてニッコリというわけだ ……僕にはそれが許せなかった。あの優しい兄上をそのような政治の道具にすることが そして ……そして天に昇らせてしまえば、兄上は神となる 地から祈る僕たちの冥福が届かない存在になってしまう 勇者トーマ程の英雄であれば神に列されるのも無理はない話だと思う。時代も遠い。だけど、兄上はまだ亡くなって五年。地に祈るものはまだいる。僕がいる(眼鏡を直し猛った気を収める) -- シリウス
- (彼のそんな様子もまた、初めて見た。常に冷静に、常に思考し理路整然とする彼が怒りに猛るそんな様子を。それは…大家の貴公子ではなく、一介のただの学生に見え)
……だからこそお兄様を、また地へと下ろしてあげたい。そういうことなんだ、ね(静かにそう言う。それは、切なる願いだ) 納得したよ。君の計画に対する情熱は並々ならぬものがあった。とても新しい星座を造って、その栄光を手に入れよう、なんて名誉欲だけじゃ腑に落ちないくらいのね。 そうなると…ああ、なるほど。そういうことか。この計画が、君の立場を危うくするかもしれないと言っていたのは……お姉様のことなんだね。 -- フルラ
- 兄君の死を家の権威と私(わたくし)の利益のために利用されたこと、だけではないのだね。
確かに神となれば……地より祈る者の言葉は届かない、か。 (死者への追悼、神への祈り。その違いが歴然としてあることを、オリヴェールは理解する) (『神に祈らない』とされるゼイムの精神からは離れた感性を持ち、時にアイジアへ加護を請うからこそ、それが分かる。神は、遠い) 納得したとも。変わらず協力させて貰うよ。 -- オリヴェール
- 死した兄のために姉と戦うのですかにぇ? -- にぇ
- 家督の問題は、どこでもややこしく揉めるものだね
…シリウス先輩の兄上、政治のために神にされてしまった英雄を人に戻す…か。 関係者が、人である身内がいるのに星を押し上げられてしまうというのは確かに(やりすぎだな。と感じて) 死者の持つ意味は生者が決めるしかない。シリウス先輩の姉上にあるのと同時に、シリウス先輩にもある。俺はシリウス先輩の肩を持ちたいですね。 -- バルター
- 戦い……マーそーデスネ、これはシリウスサンとそのおねーサンの……戦いなのデス
\それでおれは誰をなぐればいいんすか?/とーさん、そーゆー戦いデハないのデス(ない) -- ニコ
- 一応勘違いしないで欲しいので姉上の擁護をするけど、姉上も焦りがあったんだと思う。女性の家長と言うのは嘗められがちだからね ……昔は姉上も優しかった
それに、姉上もあの時船に乗っていた。命を救われたのは僕だけじゃない。でも、その時に見たものは違ったんだろう……
さて、動機の話はここまで。ここからは式典の話に。星座の話はミネラ王立天文台に既に提出済み。承認もまもなく出るだろう もちろん「ほのおしし座」に被せると言うことも含めて 実はミネラ天文台の方にはほのおしし座の承認要求が出てたんだけど、「承認保留」になってたことををこっそり確認した 他の国でも恐らくちゃんと承認される前の段階だったと思う エルフ領やドワーフ領は流石に話が通ってすらないとは思うけどね…… だから英雄として歴史ある勇者トーマを持ち出せば押し切れる。何より国同士の軋轢を産まない星座だからね(そのために決定を苦慮した、と苦笑)
そういう訳で、皆にやってほしいのは各国の立場からの「トーマ座」に対するコメント。歴史的観点からでも、国の立場としてでも何でも。正直ここは前置きなので自由にやってもらいたい 式典だからちょっと固くなるかなぁ? その後、フルラ先輩の音楽と小さな劇で演出を入れつつ、僕が星空に星座を描いていく。周りの星座を描いてゆき、最後にトーマ座を入れて星図が完成する、一大スペクタクルショーというところかな トーマ座が描かれた瞬間、ギザニア代表として招かれた姉上はどうするかな?「そこはほのおしし座のあるべき場所!」と激昂するだろう そうした時に、各国代表として皆で説得、或いはほのおしし座のあり方を否定して欲しい。もちろん、僕や天文台所長からも意見はする -- シリウス
- (なるほど、と思った。拙速は巧遅に勝るとは言うが、星座の承認、という話を余裕を持ってある程度とはいえ急いでいた理由はそれかと)
(被せるべき図案要求が出ているならば、余りにも悠長にやっていては先に承認されてしまい上書きすることが困難になる塩梅か) …ん、了解したよ。私がトーマについて知ってるのは劇仕立ての派手なやつばっかりだから、それだけだとあんまり説得力がなくなっちゃうかもだし、 史実に基づいた情報もいける範囲で調べておかないとだねぇ。音楽と劇については任せて!歌劇場スタッフも引っ張ってくるさ(どん、とその大きな胸を張り叩いて笑い) 一応、今のところは音楽は兎も角、劇についてはスタンダードな物を考えてるけど、それはそれでいいかな?いわゆる、勇敢な勇者が、苦難の末に魔王を討ち果たした、って感じの勇壮な冒険譚。 -- フルラ
- ドワーフは地下に住んでいて、そもそも星座への関心が薄いしね。(などと苦笑して)
ゼイムの方も、認める予定はないはずだ。他国の英雄を神として扱う星座を認める、なんて、一言で言えばゼイム的じゃない。 ほのおしし座を認める代わりに云々、なんてよほど重要な政治的取引があれば別だが、今のところはそんな話は耳に入っていない。大丈夫だろう。 スピーチに関しては、式典という場に恥ずかしくないものを用意しておくよ。 最終的には論戦になるということだから、スピーチの内容も、工夫すれば後々の布石になりそうだな。 -- オリヴェール
- 僕が直接確認に行くとほのおしし座の承認をせっついているように思われてしまうから、こっそり確認したんだけどね(肩を竦め)
助かります、フルラ先輩。僕が形成した星座もオリヴェール先輩に借りた本の描写によるものなので、一般的な冒険譚が一番似合うでしょう 姉上や他の招いたギザニア人を論破し、ほのおしし座の撤回を認めさせる過程は向こうの出してくる反論次第でしょうが、一応切り札も用意しておきます メイビス女王陛下は優しきお方故にギザニア人の心を慮ってほのおしし座を黙認……そう、黙認されたけど、国際情勢に係わるとなればそちらに配慮してくださるはず。余りあのお方のお心を煩わせる事はしたくないけど…… ともかく僕はここまで来たからには勝ち目がある論戦だと思ってる。やりきれば後は……トーマ座をきっちり広めきるよう集まってもらった各国代表団にお願いするなりして式典は終了。 ……最後に。姉上にもけじめというものがあるだろう。家に逆らって星座を書き換えた僕を追放ぐらいはするだろうね(無論そういう事を想定していないわけではない それでもやる、という覚悟が眼鏡越しに覗いた) -- シリウス
- アー、ミオの人間は「方角を見るのに便利ならなんでもいい」のデス、ぶっちゃけ。\お、おれは勇者トーマの星座ならありがたく拝むっすよ!?/
うん、だからこそとーさんを呼んだんデス。まっとうなミオ人だとありきたりの祝辞しか言えマセンからネ(あっちゃんと考えてたんだ) -- ニコ
- ゼイム側のスピーチは兄上にお願いするのがいいでしょうね。俺まで出張ると主張や立場がブレそうだ。
そうなると本番では味方側で観客席にいるくらいしかやる事はないかな…? -- バルター
- 観客席で声を上げてもらうのも立派な援護になると思うよ。場がトーマ座承認の空気になっていけばそれだけ反対派も肩身が狭くなるはず
そういう訳で観客席に色んな人を呼んでもらうのは大歓迎。揉めるのが確実とは言え、ショーとしては楽しめると思うんだ 星座に興味がなくても(そういう人たちに星座を広めるための式典でもある、と) -- シリウス
- 了解したよ、ではそのように。あー…あと、世知辛い話でもあるんだけどさ……(ちょっと申し訳無さそうな顔をして苦笑し)
…劇の予算、ってどのくらい出るかな?スタッフを使うにも、やっぱりお給金ってのが必要になってくる訳でさ(こればかりは、と肩を竦めて言い) (そうして、彼の表情にほんの少し息を飲む。それに彼の覚悟を感じて、やりがいのある仕事だ、と思った、が…) …一応、だけどもお姉様との和解は難しそうなのかい?お兄様の星座を落とす代わりに、君がその全力をもって当主を助力すると誓うとかさ(少し、それでは寂しいと思った) -- フルラ
- 予算は天文台に割り振られた物を広報資金として振り出してもらえるそうなので大丈夫かと。足りなければポケットマネーも使いますよ(伊達にあちこちで稼いでない、と)
(和解、と言う言葉に)……姉上の立場を考えれば難しいでしょうね。毅然とした態度を取れなければ、全てが崩壊する。僕も姉上も全て分かった上で、そう帰結するでしょう 僕も我儘の責任を取らなければいけない(そう、ギザニアに砂をかける計画だ 故にその責は自分で背負わなければ) -- シリウス
- ふふ、その辺はやっぱり君らしくちゃっかりしてるね。それじゃその辺は贅沢にやらせてもらうよ(後日、ふっつーにポケットマネーの請求が来るであろう表情で、そう笑っていたが)
(彼の固い決意を補強するような言葉が出てくれば、そっか、と一つ呟いて苦笑を浮かべた。ならば、後は自分は自分の仕事するだけ、と) …さ!それじゃ早速トーマについて調べなきゃだね!(よし、と拳を握って気合を入れる)とりあえずはそのオリヴェールに借りたって本、私にも貸してよ。イメージは共有しておいた方がいいだろう? (などと笑って言う。これはある意味では彼の兄の弔い合戦とも言える。本人の意思を確認する方法はもう無いのかもしれないが…) (かの者を思う者が地におり、それが友である。ならば、それは…楽師が音を奏でるには、充分すぎるだけの代価だ) -- フルラ
- --
- よし、揃ったかな?防諜結界も準備よしと。じゃあそろそろ始めようか。新星座制定式典の前に、ブリーフィングだ
僕の本当の目的と、式典で起こりうる事態、それに対する対応について(王都内でも隠れ家として親しまれるカフェを貸し切り、外からの盗聴を防ぐ防諜結界を準備してもらい、遂に語りだす) -- シリウス
- (念のため、耳を澄ませて周囲の音を聞き取り警戒もしておく。魔術的要素を用いない物理的盗聴手段を警戒してだ)
……うん、大丈夫。隣の壁にコップ当ててる奴とかもいないよ(なんて冗談めいて言って、席について) さって、いよいよだね。昔っから気になってたんだ、とくと聴かせてもらうよ(そう言い、前のめりになり笑う) -- フルラ
- 拝聴しよう。何が飛び出すのか楽しみだ。
(熱い紅茶を一口、喉を湿らせて微笑する) -- オリヴェール
- \ニコ…点結局おれはなんでタルトゥスから呼ばれたんすか?/とーさんは座ってにこにこしててくれればいいのデス(扱いが雑だ!) -- ニコ
- まずは単刀直入に。今までは星座を作る、という名目で協力者を集めてきたけれど、これは副次的な目的。
もちろん勇者トーマをモチーフとした星座を作れることは名誉あることだと思うし、星座魔術への寄与も大きい。 だけど、僕がこの三年間心を砕いてきた事はそれじゃない。『新しい星座を被せることにより、古い星座の存在を消す』 これが、何よりの目的だった じゃあその星座は一体何かと言えば……(シリウスは描き出す 獅子の頭部を模した星座を それは一般的なしし座とは異なり、鬣が炎のように揺らめく ……一般的なミネラでの星座にはない星座) もしかしたらオリヴェール先輩はご存知かもしれませんね(そう、ゼノバス戦でシリウスが使った星座だ) -- シリウス
- なるほどそれで『星を落とす』、か。……その節にはお世話になった。見覚えがあるとも。
確かほのおしし座、だったかな。 -- オリヴェール
- (彼が描いた星座をじっと見る、が…)…うーん…私はその星座、正直知らないや。そもそもが星座詳しくないしねぇ(と苦笑し)
でも、そんなこと出来るの?もう星座があるなら、その星座を知ってる人は結局その星座こそが本当の星座ー、なんて言ってきそうだけども。 -- フルラ
- (ぬっ…と最初からいた態で) 大剣を振り回していたアレですか先輩。獅子から大剣を引き抜いていた。 -- バルター
- \はー……それ、なんかだめな星座なんすか?きれーじゃないっすか/
とーさん、これおいしいデスヨ\あっほんとだ、さすが王都のメシはおいしいっすね/(このおやじはだめだ) -- ニコ
- ?
しかし式典がある というコトは既に話は通ってはいるんですよにぇ? 何の問題があるんですかにぇ? -- にぇ
- ええ、これは「ほのおしし座」。ここ五年ほどでギザニアで出来た星座です。まだ新しいのもそうですが、各国天文台で承認されているのもギザニアだけでしょう
……これは我が兄、オーガスタ・ディオクレオ・エーオースの栄誉と死を悼んで作られたもの。つまり、英雄の星座ということになる バルターには一度話した事があったっけ、僕が軟体生物の類が苦手だという話を 兄はその戦いで亡くなった(そして語りだす 恐ろしい記憶を)
五年と少し前。僕らギザニアの開拓を担う大船団が航海に出、帰路の出来事だった。 その船団はエーオースの物だけではない 他の貴族の配下の船団、更には王家のものまで含まれた、南洋航海の集大成ともいうべきものだった ……流石に女王陛下はお越しではなかったけどね そこにやつが現れた。大海妖レヴィアタン。無数のタコかイカのような足を持ち、海を渦巻かせ、嵐を呼んだ恐るべき魔物。 山の如き巨体で船という船に襲いかかり、船乗りたちを絞め殺し、船を海に沈めんとした。……僕もあわや絞め殺されるところだったのさ だけど、その窮地をひっくり返したのがオーガスタ兄上だった。炎の大剣でレヴィアタンの足を断ち切り、号令を上げ船団に反撃を促した。 あの戦いで多数の者が死んだ。だが、兄上のお陰でその10倍は命拾いをした。最後にヤツの眉間に剣を突き立てた兄上の姿は目に焼き付いている。ああ、英雄とはこういうものかと ……それでも、力を使い果たした兄上がギザニアの地を踏むことは無かった。船団が故郷の地を見つけたとき、兄上は安堵してこの世を去った。 (シリウスは瞑目して話を一度切った そこまで聞けばただの美談ではある) -- シリウス
- 単に、死した英雄が英雄としてその功績を讃えられ、星座として刻まれた……のではなかった、のかな、察するに。
(何か、その裏で蠢いたものを予感しながら、話の続きを待つ) -- オリヴェール
- ふーむ……まさに炎の獅子、星座に祭り上げられるにふさわしい勇者の活躍だと思いマスガ……?(落としたがるということは続きがあるんだろうなー) -- ニコ
- (彼の話す記憶をただ静かに聞く。彼に兄がいるという話は始めて聴いたが……こんな形でそれを聴いてしまうとは、と)
……うん。素晴らしいお兄様だったんだね。海上で海魔に襲われるなんてのはそれだけでも窮地だったろうに、 炎を使って海魔を倒すなんて、劣勢でも、力及ばずとも諦めない、英雄の器だったんだ(そして話を聞く分にはなんの問題もないように思える) (誇るべき兄が、天へと召し上げられた。普通に考えればそれは光栄なことで、喜ぶべきことのはずだ。しかし…彼はそれを落とそうとしている) -- フルラ
- ああ、タコの話ですね。以前しましたが…(続く話を静かに聞く)
そこまでなら英雄譚ですね…そこまでなら。シリウス先輩の兄上が…(星を落とす。星座を隠す。星というのはつまり…) -- バルター
|