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- (腹に大きな朱いシミを付け 風の狐が女を睨む 瞳孔は金に光り、本来白であるべき部分は黒よりも玄い漆黒の色に染まっていた) -- 風?
- ……くーちゃん、か?(知りうる様子とは余りにも違うその姿に、聞かずにはいられなかった)
どうしたんだよすげえ怪我じゃんか! 待ってろ、今医者呼んで──(そう言って走り出そうと) -- アルマ
- あはん♪あたぁ〜りぃ …まぁ待ちなよね〜さん 死に体引き摺ってここまで来たんだからさぁ…2人でゆっくりお話ししましょ?
どうせ助かりゃしねぇよ この身体は -- 空海?
- ……ホントに駄目なのか?
……話って、何だよ? 冥土の土産にやれるもんなんて持ってねえぞ、アタシは(大きくため息を吐いて、踵を返し空海に正対した) -- アルマ
- んふ 冥土?何すっとぼけたこと言ってるのかしら、おね〜さぁん?ギャハ! 死ぬなんて誰も言ってな・い・わ・よ☆
血反吐吐いて…はらわた中で食いちぎられて…脳漿ドロドロに溶かされて 前にも言ったじゃなぁ〜い?私達は空っぽの器になんのさ(ぐぶ、と押さえきれないように口から血が漏れる) (いや、それは…血なのだろうか。血と言うには、黒く、重い―――)…ぐ、クク…あいつにはモウ 7割は「あげちゃった」…モウ後戻りはキカナイのん♪ -- クウカイ?
- (ドス黒い液体にまみれながら嘲笑う空海は、ただ異様としか形容し得なかった。本能からくる恐怖に二歩、三歩と後退るその中で、どこか疼く部分があった)
お、お前……何する気だよ? -- アルマ
- あはん♪まさか致命傷受けるとは思ってなくってね〜 この身体…4人目だったかしらん つっかえない身体だったわぁ〜 あは☆
そしたらちょっと素敵な女の子がいるじゃなぁい?もう運命よね〜、あなたの身体もらって、ついでだから呪いも頂き一石二鳥♪ってとこかしらぁん? アルマちゃん…折角お誘いに来たのにつれないわ ねぇ あなたと私、身も心も一緒になりたいの… 寂しいの…独りは嫌だわ… 私達、オトモダチでしょう? ナンテナァ!ギャハハ! (少しずつアルマに近づく空海の足からは くしゃ、ぱしゃ、とスイカを落としたような…嫌な水音が響く) -- ウ ?
- お前、もう食われて……
(下がる背中を壁が押し止める。俯いて内なる獣の声に耳を澄ませば、面を上げて空海だったものを睨み付けて) ……参ったな、おんなじ事考えてやがる。ケモノは貪欲でいけねえ いいぜ、来いよ風のキュウビ。ただの人の身でどこまで許容出来るかなんぞ知ったこっちゃねえ、アタシには力が要るんだ……食ってやるよ!(一歩、踏み出した) -- アルマ
- ギャハ!同じ事? もしかしてあんた…もう随分「中身」減ってるんじゃなぁい?
(馬鹿に静かな空間…木々のざわめきが聞こえない 風が、全くない) 安心して良いわよぉ 私に食べられちゃえばやらなきゃならない事なんて…ぜ〜んぶ、無くなっちゃうから…… (つ…とアルマの足に暖かいものを感じる。それは…血 ごく浅い切り傷に、痛みは全くなかった) (詠唱もなく集まる妖力は、巨大な真空のズレを作ってゆく…その向かう先は)私は慈悲深いのよん♪さぁ…痛みも無く死ね。 -- ?
- 知らねえなァ! どんだけ磨り減ったってアタシはアタシで在り続ける!!
(無音に響く誓いにも似た号声。それは支配させはしまいと言う精一杯の虚勢でもあった) その為に、邪魔なもんは……(剣を抜き、ゆっくりと振り上げるとそれに呼応し周囲に連続した小さい破裂音が発生し始める) 斬り払う! 全部だッ!!(振り下ろされた剣と共に走る一瞬の閃光と爆音、真空の断層を容易く切り裂いて見せた) -- アルマ
- あはぁ…いいわぁ、その直情な性格…大事な体なのに…あはっ 思わず壊したくなっちゃう……♪
(その刹那、ゆっくりと…赤子を抱くように優しく手を構えた空海は) ほぉ〜ら、高いたか〜い☆(おどけるような声でそれだけ言うと…見えぬ赤子を天にかざす…) ゴォッアアアアアアアアアッ!!(その瞬間、巻き込んだものを天まで飛ばすほどの異常な量の突風がアルマの真下に噴いた) -- ?
- 気持ちの悪ィ事を……ッ!?
(突如吹き上げた烈風に為す術なく上空へと吹き飛ばされる) やべえ、この先嫌な展開しか浮かばねえ……! (思案を巡らせながら、妖気を練り始める) -- アルマ
- 子供は風の子、元気のいい女の子ねぇ… 寒いといけないわ、赤くて温かくて…とぉ〜っても素敵なおべべ、着せてあ・げ・る♪
(空海はピュウ♪と口笛を吹く…其処からできた小さな風の渦が、見る見るうちに木を切り刻み岩を砕く巨大なものへ成長していった) (そして、その竜巻の上には…)んふ、気に入ってくれるとおね〜さん嬉しいわ♪さっ、ご試着あれ☆ -- イ?
- 待て待て待て! 規模がダンチ……えぇぇぇい!!
(手に持った八支刀を竜巻目掛けて投擲。渦の中心に吸い込まれた剣はその力を解放し、激しく放電を始めるが竜巻全てを壊すには至らない) ちっくしょ…… (叫び声は風に掻き消された) -- アルマ
- あは♪きこえなぁ〜い☆(渦巻く風の渦の中へ、空海はゆっくりと歩を進める…切り裂くはずの風は彼女を避け、逃げるように道を変えた)
さぁて…グズグズの可愛い〜肉隗ちゃんはどこかしらん…? -- ノロイ?
- がっ!(どしゃり、と嫌な音を立て空海のすぐ前方に落下した)
げほ、ぅ、ぅ……(血まみれで倒れる姿は人の形を留めているものの、ボロ雑巾のようにズタズタに引き裂かれていた) く、そ……(尚も立ち上がろうともがく) -- アルマ
- あぁん…気に入ってくれなかったのかしら…こんなにボロボロに着込んじゃって…
んふ、今私が綺麗にしてあげるからね…じっとしてるのよん♪(必死に立ち上がろうとするアルマの頭を、地面に叩きつけるように押さえつけ…裂けるほどの笑顔で笑った) (余った手で頬を撫でながら、空海はアルマに話し掛ける)まだ生きてるなんて…本当に絶倫なのね♪これじゃぁこの後 私、感じ過ぎていっちゃいそう…♪ (ズブリ。頬に当たっていた筈の手が不意に体の中に沈みこむ…痛みはないが、生理的に入ってはいけないものが入ってくる嫌悪感がアルマの全身を駆け抜けた) -- 呪い?
- だいたいに、して……アタシは、アウトレンジは、からっきし──ぐぅっ
(掠れた声で精一杯の軽口を吐くが、それも空海の腕に叩き伏せられる) ……へへ、頑丈さにかけちゃあ、自信があって、な……うぁ (沈み込む腕。暗く、重く、冷たく、ねっとりとしたものが身体中を流れる錯覚に思わず動かぬ身体を身震いさせた) それ、全部入ったらどうなるんだ……? -- アルマ
- あなたの傷は綺麗さっぱりなくなって、今までよりも強くなって、風の属性も付加されるのよん♪さいっこ〜の条件でしょ?
意識はあたしがもらっちゃうけど!ギャハ… あっ あはぁ う、んっ…(そうしている間にもズブズブと飲み込まれるように空海の体はアルマに収まってゆく) …さあって、もうちょっとだな?なかなか過ごしやすそうな体じゃんか…へへ! -- 呪い?
- ああ……そっか。強くなって、アタシがアタシじゃなくなって、お前になるだけ
(いっそ心地よくすらある感覚が身体に染みていく。溶け合う意識、巨大な存在と同一になれることを喜んでいる自分がいた) けど、認めるわけには……いかない (ありったけの力を振り絞り、手の中の剣に妖気を流し込んで雷の力を持つ剣……八支刀へと形成させる) 避けようが、ないだろ? 風のキュウビ (躊躇いなく、それを自らの腹に突き刺した) -- アルマ
- !? あ、ぐ お おまえ、何を きでもくるっ が、はっ!
(自殺とも取れる突然の行動に空海は驚き戸惑う)く…そ これはアタシの体だ…あたしのからだだぁぁ! (空海の怒号と同時にボコボコと傷口が泡立ちながら異常な速度で回復してゆく しかし、かなりの妖力を消費しつづけているのは傍目にも明らかだった) -- 呪い?
- ぐ、ぐぎ……は、へへ、治してくれてありがとよ……けどまだだ、まだまだ……クソ、痛ぇだろうなァ(剣を押し戻さんとする腹に、なお力を込めて剣を両手で押さえ込み)
駄目押しの──一発ッ (剣を握る腕に力を込めると、内包した力が解放される……すなわち、強烈な放電) ぐがああああ゙あ゙あ゙ああ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!! (空海もろともと身体を貫く灼光。雷の力を持つキュウビをその身に宿すアルマですら死を賭す、捨て身の戦法だった) -- アルマ
- (だ めだ…! こいつ、死ぬ気か…!)クソ!傷は後回しだ!
(空海は、まず体を乗っ取るべく同化を早める…8割、9割…そして、全てを持っていかれるその寸刻――――最後の一撃がアルマの全身を駆け巡った。) ひ ぐ ぐぎゃあああ゙あ゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!!!??
(跡に残る妖気は1つ。交じり合った2つの呪い…残った意識は………) -- ?
- ……(横倒れになって、とりあえずの一息)
身体中痛くって、どこが痛いんだかわかんねえや……えーと……アタシ、だよな(ぐーぱーと手を動かし) ま、いっか。多分アタシだろ……クソ、くーちゃんめ……傷くらい、治してけってんだ(そのまま意識を失った) -- アルマ
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