グンマ家出身 エーファ・フリッツェ 207739 †遠き山に日は落ちて †あまり頭が良くないエーファだが大体の事は判っていた "あのアイスマン"は父親ではない、と これからどうすればいいのか 行く先の見えない不安感を何とか拭おうとしたその矢先だった エーファの喉を掴んだミイラの手 次の瞬間首から勢い良く吹き出す血 それ以降は覚えてなかった 最後の10分 †死んだ、死ぬとはこういう感覚なのか
寝ているような感覚で 虫が鳴いていて 風が涼しくて お腹が空いて …は? 「おはよう」 どこか聞き覚えがある声が聞こえた ゆっくりと起き上がり、声が聞こえた方向を向く 長身の夏なのにロングコートを着た男がそこにいた 「気分は?」 ロングコートの男が尋ねてくる 手は大丈夫、足も特には 心臓は…動いてる じゃあ首は……? 「冷たっ」 氷?首の周りに!? 「応急処置をしたところだ、触っては解けるぞ」 「と、言うことは命の恩人かしら?」 「命の恩人…とまでは行かなかったな、出来れば助けたかったのだが」 「じゃあここは?天国?やっぱり私はいいことばっかりしてたから当然…」 ロングコートの男にチョップされた、冗談の通じない人だ とりあえず今の状況を把握しなきゃならない。まずは何を聞くべきだろうか、現在地だろうか 「時間がないから聞いてくれ」 「ん?」 ロングコートの男が険しい表情で言ってくる、相当真面目な話なんだろうねぇ デートのお誘いだったらどうしようかしら、そんなに安い女じゃないわ 「私と君はあと10分足らずで死ぬ」 「はぁ!?」 衝撃的な事言われて10分立つ前にショック死するかと思った クローネンベルクのマイスタージンガー †「10分じゃゆっくりティータイムにもできないね」 落ち着いて言ったつもりだが声が震えてる、動揺しているのが自分でも手に取るようにわかる 「だが、君にはこの10分足らずの間に出来ることがあるはずだ」 ロングコートの男は落ち着いている、それはそうだろう私は死ぬけど彼は死なないもの 10分足らずで何が出来る?誰かに伝える?何が?わからない。何がなんだかわからない 何も考えられない、あと何分?何分で死ぬの? 「わからない!10分もないのに何が出来るの!?もうダメだ、ダメなのよ!」 もう泣くしかなかった、何を求められているのか、何をすればいいのかわからなくて 「落ち着きなさい」 聞き覚えがある声だ、急にいなくなったあの人の声 「アカギ…さん…?」 数年前と変わらない姿で彼女はサックスを持ちにこやかに笑った 「さあ、歌いましょ?涙は似合わないわ、クローネンベルクのマイスタージンガーさん?」 そうだ、倒れるならば最後まで笑って、陽気に行こう。涙なんて流す暇はない! 「ふふ…曲、覚えてるんですか?」 「寝言は寝て言うものよ?」 「最後ぐらい…陽気で面白おかしい変な曲にしましょうよ」 「言うと思ったわ、あなたの思うことなんてお見通しよ。さ、行くわよ」 今すぐ 会いたいな 君にだけ 見せたいな でもね ママが帰るまで 落とさなきゃ ありゃ・・・拭いても〜落ちない!?!! たすけて お願い〜〜!!! さあ、今レッツゴー&ゴー どこまでも行こう はりきって!! 失敗は成功の素って先生言ってたよ ワカリマスカ? そ〜れ!! ホップ・ステップ・ジャンプ&ジャンプ 君と手繋いで 大好き! でもね5時のチャイムにはちゃんと帰るから アッチッチ 1緒がいいね いつも 2っと笑って それだけで 嬉しくて 運命に 神様3キュー 永遠に 4の5の言わず 私だけの 君でいて おっとっと 6っとしちゃうぞ かならず 7かよしだよ ケンカとか しちゃうけど キラリ ホットな8―ト おなか 9っと鳴いた 花よりも団子がいい パパが見つけたママ ママが見つけたパパ いつまでも お幸せに 私見つけた君 君が見つけた私 探したい お幸せを ペガサスのマイスタージンガー †「はは…10分しか時間ないのに1から9までの数え歌だなんて…アカギさん趣味わるいー…ふふ…」 「丁度いいじゃない…ふふふ……」 その場に三人は倒れこんだ。おそらく消耗が激しいのだろう 死期はすぐそこまで来ていると言うことを三人に実感させた 「私の力も…そろそろ限界か…」 「お父さんもだらしないなぁ……もうちょっと頑張ってよ」 「はは……気づかれたか。そうだ、私がアイスエレメンタル…世間ではアイスマンで通っている……」 アイスマン。エーファの本当の父親は生き絶え絶えながら話を続けた 「アカギが生きているのも、エーファが生きているのも、全ては私の生命の源であり私の魔力を使い動く氷の心臓があるからだ しかし私が動かせるのはせいぜい2つ…アカギと私、そしてエーファのを動かすにはいささか力不足だったようだ」 アイスマンが最後の力を振り絞り、立ち上がった 「しかし、まだ最後の手段が…ある。私の魔力、アカギの肉体を使い…エーファ、お前はペガサスにする… そして大空を飛び、お前の母親…マクダレーネと…人とペガサスとの……」 アカギも最後の力で立ち上がり、言った 「エーファ、行きなさい。私の分までも、アイスマンの分も、そしてあなたを支えてくれたみんなの分も」 エーファは無言で頷き、目を閉じた その日、各所で空を飛ぶ馬を目撃したという人々が大勢現れた エーファは飛び立った。アカギの力で肉体をよみがえらせ、母と同じ歌の力を身につけ、アイスマンの力で翼を生やして 「おや、メデューサの子って実在したんだ……是非ともお友達になりたいなぁ……そうだなぁ、一つやってみようか」 ゴールデンロアの舞台となる国とはまた別の異国の地 マスカレードは空を飛ぶ馬を見て一つ何かを思いついたようだが……またそれは別の話である 最新の10件を表示しています。 コメントページを参照
ペガサスのマイスタージンガー †とある村に不思議な少女がいた クローネンベルクの捨て子 †鉱山で栄える街、エーファはそこで働いていた がーお † |