シスターズ家出身 ミサカ260003号 260003 †
ID: | 260003 |
名前: | ミサカ260003号 |
出身家: | シスターズ |
年齢: | 15 |
性別: | |
前職: | |
理由: | |
状態: | |
方針: | |
難易度: | |
信頼性: | |
その他: | ステータス/戦歴 |
ミサカ260003号のお話 †
状況は深刻だった。
既に腕にも足にも傷のないところはなく、運動機能も最初の時点の半分以下にまで低下している。
「ミサカはここまでなのかもしれません、とミサカは思考します」
同行者たちを逃がすことができただけ、よかったのかもしれない。
あの少年はがんばった自分のことをほめてくれるだろうか、と。そんな考えが脳裏に浮かぶが、彼なら怒るだろうと冷静に考えて、ミサカは首を振った。
「しかし、一体18万円で作れる備品よりも人の命は大切なものですので、やはりよかったのでしょう、とミサカは安堵のため息を吐きますが、囲まれている現状は変わりません」
自身の周囲を覆うように存在する蝙蝠の群れ。
自然には飛行することも困難なはずのサイズだ。おそらくはどこかの魔術師の使い魔が自立したか、魔法生物の類だろう。
無機的なその視線は、こちらの動きを伺うように向けられたままだ。
「路地裏で自分に囲まれたときの彼も、こんな気持ちだったのでしょうかと、ミサカは少し落ち込みます」
あの時の自分に敵意はなかったのだが。まぁ、得体の知れないものに変わりはなかったことだろう。
「なにはともあれ、ここまでくれば最後まで抵抗するほかに道はない、とミサカは覚悟を決めてモンスターへと久方ぶりに電撃を放ちます」
このあたりの魔術基盤では、魔導器を持っていないと魔法は発動しないと聞いて封じていた、超能力の使用を決断する。
振りかぶった手の中に、遺伝子マップ提供者である御坂譲りの電撃が
発生しない。
息を呑む。全身に何か薬品でもかかっていて絶縁されているわけでもない。
空気が絶縁されているような気配もない。
「これは一体どういうことでしょうか、とミサカは首を傾げます」
『ようやく気づいたのか。被検体260003号』
「―――――っ!」
どこからか聞こえた男の声に、ミサカは背筋を震わせる。
その隙を逃がさず飛び掛ってきたモンスターの攻撃をかろうじてかわすが、肩先を少し持っていかれた。
何とか立ち上がり、声の主を探すように周囲を見回した。だが、自分とモンスター以外の影は見えない。
「その声は私のいた研究所の研究員ですね。隠れていないで出てきなさい、とミサカは厳しい表情で告げます」
『残念だが私がいるのは君から何千キロも離れた距離だよ。ワイングラス片手に今の君の様を楽しんで見せてもらってる』
監視装置があるのか。しかし、こんな洞窟に。
『あぁ、周りを見回しても無駄だ。監視カメラも何もない。私が見ているのは君の視界だからね』
「な―――」
『遠見の魔術だよ。魔術はわかるかな?教育装置の知識の中に入れた覚えがあるのだけれど』
他者の目を借りる魔術。おそらくは使い魔的に自分自身とのパスを繋げて周囲の状況を把握して―――。
何故魔術師でないミサカがそんな知識を持っているのでしょうか。
『あぁ、それはネットワークから仕入れた知識ではないよ。そもそも君はミサカネットワークにはつながっていない』
「何を戯言をいっているのですか、とミサカは胡散臭げに反応を返します。私たちミサカは生まれたときから同一の固体情報を持つためにその能力を合わせた結果として必然的にネットワークの構築を」
『なら今この異常事態に、君はどうしてネットワークと連携をとらないのかな?』
ミサカは息を呑んだ。脳内で他の妹達へと連絡を図る。しかし。
「繋がらない―――っ!」
『君の脳は発生の時点で我々が手を入れてある。ネットワークには繋がれないよ。繋がられては困るんだ。今は、まだ』
「どういうことですか、とミサカは説明を要求します」
『数ヶ月前のことだ。全世界で一斉に、ある作戦が実行された。君の記憶にも残っているはずだ』
「…………」
確かにミサカの記憶にも残っていた。全世界で一斉に行われた、原石の保護作戦。
だが、それが一体なんだというのか。
『我々は原石を手に入れる前だったのでね。被害を受けることはなかったが、考えたのさ』
くつくつと意地悪く笑うその声が脳内に響く。
今更ミサカは気づいた。この声は鼓膜から入ってくるのではない。脳内で響いているのだと。
『あの兵士、つまり妹達と呼ばれる存在のクローンを作って、同様にこちらで用意してぶつけてやれば、原石を手に入れた後でも、奪われることはないのではないか、とね』
「な、にを――――」
何を言っているのか。一瞬理解ができなかった。そもそも自分達はクローンであり、いや、そんなことは今は関係がない。
『あの作戦の最中。我々は幸運にもミサカと呼ばれる個体のうちひとつの捕獲に成功した。電磁的に遮断された空間にそれを閉じ込め、そして実験に入った。ふむ、説明するのも面倒くさいな。”思い出せ”』
「っ!?」
パチン、と何かのスイッチが入ったように、記憶が流れ始める。
科学的な技術がないならば魔術的な技術を持って代用し、ミサカと呼ばれる兵士のクローンをホムンクルスの技術を代用して作り出し、発生段階で脳に手を入れることで超能力を失わせ、他の妹達との連絡を取れないように仕向け、都合のいい記憶のみを抽出し、すりこみ、一番強烈な記憶として残っていた彼の思い出を利用することで単体の戦闘力を計測する実験の開始とする――――!
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
叫びを上げるミサカに、一瞬怯むモンスター。
しかし一拍を置いた後、飛び掛ってくる。避けることもできず、ミサカは押し倒された。
そうなってなお、ミサカは混乱から立ち直れずにいた。
愉快そうに含み笑いをもらしながら、研究員は別れの言葉を告げる。
『思い出したかな。それではさようならだ、偽者のミサカ―――何、貴様は、その白い髪、なぜ、ここが、ひ、ぐああああああああああっ!』
唐突に聞こえた断末魔。それが彼の別れの言葉となった。
それを聞いて、わずかに取り戻した自分を頼りに、のしかかってきたモンスターを押しのけてミサカは立ち上がった。
「う、うぁ、ああああ、あぁぁぁぁ」
口から流れ出すその声は、今できた傷の痛みによるものか、それとも、自分自身が信じていたもの全てが虚構だったという真実によるものか。
目から溢れるこの液体は、たしかに自分が妹達ではないのだと自覚するようだが、何度拭ってもとまることはない。
自分は妹達ではなく。
彼との思い出も自分のものではなく。
彼を救う手段も存在しない。
ならば、生きている意味があるというのか。
動きを止めた。焦点が定まらない。周りを囲うモンスターたちがその包囲の輪を狭め始めるが、ミサカの視界にはもう何も写ってはいなかった
「それ以上そいつに触るんじゃねえ」
飛び掛るモンスターの、その一体が、彼に触れられた瞬間に、元からそこには何もなかったかのように消滅する。
本能的な動きで、すぐにでも葬れそうなミサカから離れ、やってきたその相手へと警戒を向けるモンスターたち。
現れたのは、何の変哲もない少年だった。
学生服のYシャツの下、見える赤いシャツはせめてものおしゃれのつもりなのかもしれないが、あまり似合ってはいない。
ツンツンの髪は一応ワックスがついているらしいが、そんなに格好いいといえるような顔でもなければ、結果としても人並み程度。
しかし、その声も、その顔も、その姿も全てが。
呆然としていたミサカへと理性を取り戻させ、その目から溢れる涙を留め、再び流させるのには十分なものだった。
「帰るぞ、御坂妹。迎えに来た」
「ど、どうして来たのですか、とミサカは問いかけます。ミサカは偽者で、妹達の一員でもなくて、あなたとは何の関係も」
「お前は俺のためにここまできたんだろ? 土御門から聞いた。その記憶がニセモノだとか、そんなことはどうでもいいんだ」
そう。彼にとっては存在が偽物だろうと、記憶が偽物だろうと、関係ない。他ならぬ自分自身がそうなのだから。
「俺のためにこんなになるまで頑張ってくれたお前を、俺は絶対に連れて帰る」
「ミサカは、ミサカは―――」
「サンキューな、御坂妹。でも、あんまり危険なことはしないでくれ。お前が傷ついて幸せになるなんて、俺はいやだ」
「ミサカは、偽物で、そんな、そんなことをいわれる資格なんて――」
「もしも偽物が救われちゃいけないなんてルールがあるのなら」
ここが知らぬ国の知らぬ場所であろうとも、上条当麻は何時も通りにその拳を握り締めて。
周囲のモンスターに、そして見えない神へと挑むように。
「そんなふざけた幻想は、俺のこの手でぶち壊す」
頂き物です †
肖像 †
◆:猫が大好きだと申告したところご親切な方にいただきました、とミサカは思い返しながら絵に関する説明をしてみます。
RPGにしたらこんな設定がつくだろうなと思う事を判定 †
260003 とあるのミサカ △
中衛タイプ、新人でステもスキルも現在は貧弱、ただ初期でも男性の好感度は悪くない
特殊スキルの版権がどう働くかによって、評価が全く違ってきそうだ