ヴェストラ家出身 レコ 372378 †
ハロー、ハロー、ハロー、気分は最低かい?
デカブツの次にグリフォンたァ、我ながらツイてねェ
大抵の連中は、鳥に啄ばまれる虫けら見てェに、どてっ腹をブチ抜かれてくたばったさ 俺はあわやと言う所で逃げ出した。敵前逃亡って奴だ 覚えている限りで、人生二度目 クソ気に入らねェ… 俺ァコボルドロード何ぞより、遥かに強くなった筈だってのに そんなこんなで、這々の体で街の傍まで辿り着いた時だ。あの野郎に出くわしたのは
最初、あの野郎は全く気付いている様子は無かった。だが、俺は気付いちまった。俺の故郷を襲撃し、俺の額に×字を刻ンだ野郎だって事に
大分歳は喰っちまってたが、見間違いじゃねェ。年寄りだろうが御構い無く、俺は棍を打ち込んだ 野郎は泡食った様だが、がっぷり受止めると、何者だと抜かしやがる。だから俺は額の傷を見せ、ご丁寧に自己紹介してやった。忘れたたァ言わせねェ、と ようやく気付いた野郎と俺は、その後幾度か打ち合った。仕事の後で疲れちゃいるが、爺に遅れをとる俺じゃねェ 得物を交えて幾度か目に、俺は棍で野郎を岩に釘付けにしてやった 岩に凭れて息を荒げる野郎に、俺は言ってやった。俺を認めるかってな こいつにお前は強ェって言わせる為だけに、俺は此処まで戦って来た。その為だけに、全部放り投げて… だが野郎は…認める所か、詰めが甘ェとまた俺を侮りやがった …まァ、その通りだったかも知れねェ。御蔭で、一瞬呆けた隙に、野郎が隠し持ってた小剣で、腹ァ抉られちまったからな 腹から入った剣が、内臓をブチ抜いて、背から突き出る感覚。そう味わえるモンじゃねェ 御礼とばかりに、俺は野郎の頭をスイカ見てェに砕いてやった 野郎の小剣を引き抜けば、足早にその場を離れ様とする 何しろ街道沿い、街も目と鼻の先と来た。何時衛兵に取り囲まれたっておかしかねェ だが、どうにも俺の体は言う事を聞いちゃくれ無かった。よたよたと数歩歩くのが精一杯。ザマァねェ…これが俺の求めた強さの到達点か? どたどたと足音高く、何者かが俺の周りを取り囲む。まァ、衛兵隊だったンだろうな だが、この時の俺の目は、もう碌に見えやしなかった。唯、何だか影見てェな黒い人形が、俺の周りをゆらゆら揺れていた あァ…アイツに見えてた幻覚は、こんな感じだったのか? 一人ごちて思い出す。俺が生涯、唯一度、本気で救いてェと思った…女 結局救う事も叶わずに、アイツは行方を晦ました せめて、もう一度…この手で抱き締めてやりたかった、何て思ったのは俺らしかねェかな? 碌に見えもしねェが、長年の経験と勘で、幻覚染みて見える衛兵共を薙ぎ倒す だが、深手を負った体がそう長い事持つ筈もねェ。俺は直ぐによたよたと膝を付いた 何て情けねェざまだ? これじゃ先にくたばったあの野郎に笑われちまう 脳裏に浮かんだあの野郎…傷顔のベリタス この街に来て初めての頃、最初に遣り合った、ある種のバケモン 何時かブッ倒してやろうと思ってたが、思い残す事も無さそうに、とっとと逝っちまいやがった 向こうに着いたら一発、ブン殴ってやらなきゃな あの野郎みたいな力があったなら…俺は何かを変える事ができたろうか? 膝を付いた俺を取り囲んだ衛兵共は、各々好き放題に俺をブン殴ってくれやがった だが、最初の深手の御蔭で、殆ど感覚を失っちまった俺には屁でもねェ 槍でも鉄砲でも持って来やがれ、とか思っていたら、衛兵に両脇をがっちりと固められ、真正面に長槍ぶら下げたうすらでかいのが現れやがった どうやらトドメをくれる気らしいが… 俺の目は、その長槍野郎の後ろ、騒ぎを聞き付け集まった観衆のも一つ後ろ…騒ぎは気にも留めず、ダチと笑い合いながら街へと歩いて行く奴を捉えていた 碌に見えもしない筈の俺の目に、はっきりと映ったその笑顔。アイツを思い出させて仕方無かった ミトリ。この街に越して来てから初めて会った獣人 俺なんぞとは大違いの、健気に、真っ直ぐ生きてる奴 正反対だってのに、俺様のダチだとよ? 勿体無いなんてモンじゃねェぜ? 俺もアイツ見たいに、健やかに真っ直ぐな生き方を選んでいたなら、何か違っていたろうか? だが、全ての思いは否定された
そう、拒絶さ 拒絶! 拒絶! 拒絶! 衛兵の槍が、一度穴を穿たれた俺の体をもう一度貫く
流石の俺も持ちゃしねェ。目の前は真っ暗、意識も泥沼に沈む見てェに失せて行く その後、街道沿いで、はぐれコボルドが人を襲って衛兵に処理されたってェ小せェニュースが街を賑わしたが、俺ァ知ったこっちゃねェ そのくだらねェニュースも俺も、直ぐに忘れられるさ BGM Nirvana - Smells Like Teen Spirit <もう聞えやしねェ †&color(#990000){ }; ルビふり: &ruby(此処にルビ){此処に文}; 強調 : '''' 小文字 : SIZE(文字サイズを数字で){此処に文}
生い立ちを詳しく †コボルド。ゴルロア地方では極有り触れた怪物の代名詞の一つ。 身体的特徴など †・殆どのコボルドがそうである様に、背が低い(150〜155前後) 強者の条件 †・「心が折れないことだ。最期までしぶとい野郎が…勝つ。」 - ベリタス 何処見てやがる! † |