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数年ほど前、一人の老人が死んだ。 老人は死に際し二つのものを遺した。 ひとつはずっと彼の書斎に侍っていた歳の取らない少女 そしてもうひとつは彼女に向けた短な手紙だった 親愛なるトリーへ 君をあの酒場で見つけてからとても長い歳月が経った 私の耳はもう君の歌声を昔のようには聞くことができないが 君の歌声が支えられ、私も妻もとても充実した日々を過ごすことができた ありがとう 最後のリクエストを一つだけ聞いて欲しい どうか私の死んだ後は君が君自身の主人となり、幸せを掴み いつか、終ぞ歌えなかった恋や愛の歌を眠る私に聞かせて欲しい 何十年先でもいい、気長に待っているよ そう締めくくられた手紙を老人の妻から受け取ると、少女は屋敷を出た。 自身を主人とし、知らないものを知るために