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- 総会決戦前日 - |
事実を歪ませるある種の数式の下に、世界の隙間に形作れられた、歪みの地 空間ならざる空間にして世界ならざる世界。 |
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- 黄金歴248年3月 --
- 『総会本部に君達が踏み込もう、という前日。キセノ宛に一本の電話がかかる。その相手は…』 --
- やぁキセノ君。僕だよ。お話できないかな。 -- 海空
- (私用の電話とは珍しい、誰だろう、この声は...) 総会長…いえ、海空先輩!?
(これから身柄確保に踏み込もうという矢先、その相手からの電話に驚きを隠しえない) -- キセノ
- あぁちゃんとルチア君は気づいてくれたみたいだね。それとも第七特別教室かな?どちらともかな。
ちなみに君にお電話したのは、君が年齢が上でね。支援部の中でもメンバーを支える子だからさ。 自分ひとりで先に、とか思っていないか心配してたんだよね。 あぁもちろん大丈夫だよ、総会は今卒業旅行に出したからね。残っているのは僕と二人だけ。 -- 海空
- どちらとも、です。(ことがことなので迂闊な判断は下さなかった。あらゆる方向から情報を集め、容疑を固めたのだ)
海空先輩はよく、本職の事をご存知で。 出来る事ならば本職一人で片付けたいと、思っていたところです。 心配は無用、かわいい後輩たちの手を煩わせるまでもありませんから。 (今相手の口から卒業旅行という愉快な単語が聞こえた気がする、それはそれで気になるが) 二人、嘘言居様と鈴蘭様ですね? ヒントを出したり、どうしてそのようにそちらに不利になるような事ばかりなさるのです? -- キセノ
- 何故、か。それはすごく難しい問題なんだよね。
君らはそれに足るものを持っているのに自分では理解できないだろうし。 だからこうしてお話しようかなと思ったんだ。あぁ電話じゃなくてね、どうせなら英雄通りとかどうかな。夜にね。 罠、と思われると残念だからね。君の問いにちゃんと答えておこう。いや、答えても理解できないだろうからそうだな、自ずと理解できるように促してみようかな。 ではキセノ・ロディア君。 ──問題です。 君の最初の願いはなんだい? ──君の父親が死んだ時 ──苦悩が苦悶に変わる時。願いが叫びに変わる時。 君は何を願ったんだい ──君は何を願ったんだい それじゃお話はおしまい。待ってるよキセノ君 -- 海空
- (なにを言っているの海空先輩。全然理解できません。
何故そこで父の話がでてくるの。なにがわかるのですか。 どうしてそれを知っているの。それを知っているならどうして。)
(恐怖と不安が入り混じったようなこの気持ち、昔を思い出す。 声に出して聞く前に一方的に切られる電話)
いかないと。 -- キセノ
──夜 英雄通り
やぁキセノ君。来てくれると思っていたよ。 君は型にはめた様な雰囲気だけど、実際は優しい子だからね。 臨海学校の時も見てて思ったよ。素直な子なんだよね本当は。 (いない。人がいない。卒業シーズンだからか?人気がない。人っ子一人いない。) (その場所には。男と女しか) -- 海空
- お褒めいただき、ありがとうございます。海空先輩。本職からも、礼を。
畑で採れた野菜は美味しかったです。 旅行先で握っていただいたお寿司も絶品でした。(と、笑顔で会釈をする) ですが、本日は通告に来ました。風紀警察異能犯罪対策支援部キセノ・ロディアとして。 (普段通り、冷たい厳しい言葉で告げる)
(周りを見ると人が居ない。違和感を感じつつも、何かあったときは好都合、と自分に言い聞かせる) 殺人、強盗、傷害、その他の罪で違反部活動総会長、羽左間 空海。貴方を逮捕します。 (どうか、大人しく一緒に来て下さいと、通告した) -- キセノ
- 強くありたい、と思うのも優しさだよね。まず自分が受けた今までに対して、と一区切りしたところで
自らを守る殻たるもので守る。脆弱でありながら人が覚えた心の守りというのかな。 そして誰かから与えられた殻から生まれし言葉で止めようとする。 いけないよ、キセノ君。僕の問いに君の言葉で答えてくれていないじゃないか。 君のその黄金瞳には見えているんだろう?理解できているんだろう? (そして) 君は、何を願ったのかな -- 海空
- 本職には難しい言葉は良くわかりません、総会長。
そして貴方が望む解答も答えることはできません。 取調室でゆっくりと答える事にしましょう。 今はまだ、自分でも混乱しているのですから。 本職の願いは唯一つ、犯罪の撲滅です。 さあ、総会長。一緒に来て下さい。 -- キセノ
そうか。 ハハハ、かわいそうな子だ。 君はまだ、そう君はまだこの2年学園都市にいても、目覚めていなかったか… その黄金瞳を開けばすぐにでも理解できるというのに。 自分で目を瞑らせてしまっては仕方ない。目覚めていれば、僕が何者か理解できたのにね。 それじゃ、目覚めようか。 僕もね。フォス君達が来る前に試しておきたかったんだ。 数式領域展開 -- 海空
声に応じて 周囲が 歪む── 数式領域展開 数式領域構築 数式領域顕現 事実を歪ませるある種の数式の下に、世界の隙間に形作れられた、歪みの地。 空間ならざる空間にして世界ならざる世界。 世界が変わる。 --
- これでどうかな?キセノ・ロディア君。 -- 海空
- なっ!?(この人がなにを言っているのか、なにを企んでいるのか)
(やはり素直に捕まるような総会長では…と考えたところで、歪む)
なんですか、これは…? (以前何処かで、なにかをしたときに見た事のあるような......) 学園は、これはなんなのです!? -- キセノ
- フフフ…ハハハ、目覚めつつあるね。キセノ君。学園と結びついたのはいい反応だ。
これはね、事実を歪ませて世界を…いけないいけないヒント出してしまった。 ──眠りでない何かを誘って ──聞く者の意識と無意識を働きかける、音 ──世界の果てで響く音。誰かがどこかで嗤う音 ──鐘の音が、響く さて、舞台は整ったし君も目覚めつつある。 僕も真の姿を見せないとね、本気にならないとつまらないだろう? 顔のない男が語る。いや顔はある、顔はあるがそれは幾何学模様で描かれた何か 人ではない、何かが君に微笑む -- 海空
- (鐘の音が聞こえる)
この鐘は…異能の…? (この鐘の音が切欠だった。ふと、そんな事を思い出した)
真の姿?(視線の先、総会長の姿が揺らぐ) (と、そこには異形の人型がいた)
何者ですか、貴方…? (心をCOOLに、落ち着いて、出来る事を。) 威力行使、させていただきます。 (愛用の獲物を抜き、先手必勝といわんばかりに走り、その肩口目掛け刃を突き出した) -- キセノ
- 少なくとも総会長であって、羽佐間海空ではないね。ハハハ、さて何者だろうね。
(穏やかな笑い。狂った、笑い) 残念、キセノ君。見えていない君にはちょっと辛いかもね。 さてさて、ではちょっとじゃれ合おうよ。女の子と遊ぶのは悪くないね。 (構え、徒手空拳。黒い拳、漆黒の拳が形作られる) 総会長の異能は、重力操作にしたんだよね。 (拳撃が走る。早い。重力加速を加えた俊速の拳。肩口に迫る刃を打ち、その手を基軸にした垂直重力にて空を舞う) キセノ君はどこまで耐えられるかな? 君のお父さんみたく死なないといいね、死なせないけどさ、死んでも生き返らせてあげるし (着地、無音。その手には重力を可視化、実体化させた槍が一本) 僕ね、忍者でもあるから。強いよ? -- 総会長
- (刃が弾かれる。かすり傷すら負わせられないとは、恐ろしい)
重力操作、に「した」?(言葉通りなら、この怪人は…)
(何故ここでまた父の話が出てくるの。父のなにを知っているのか。) (心に炎が灯る) 忍者は空想の生き物だって聞きました。 (身体を調整、刃を握る手に力が篭る) 本職が死ぬ前に貴方を倒してここから出るので、なにも問題ありません! (炎を纏った回し蹴り、と続いて炎を纏った刃での回転二連撃) -- キセノ
- (追撃の、戯れのような蹴りを繰り出す。しかし、キセノの連撃がその足を裂く)
(斥力と重力による軽度の誘導では些かキセノが勝る) いやぁ参ったな。君の異能は調整だったね。 事象干渉に関わる者は中々に厄介なんだよなぁ。 君は心まで調整できるらしいけど、どうだろうなぁ。 人に内在する心を人は調整する、というのも可笑しい話ではないかな そうして強くあろうとしているのかな?支えにしようとしているのかな? 異能という空想とも現実ともつかない力でさ そうしなければいけなかったのかな?それが願いなのかな君の (切り裂いた先には、泥のような黒と金属の光沢のような何か。人間でいう肉と骨だろうか) 心の調整とはよく言ったものだが、負担をかけてはいけないよ。それはあるべきものではないからね。 自分で御しきれていると思っていても、いつか崩れてしまうものさ (拳を振り上げて、下ろせば虚空から漆黒の鎚。重力の具現化、そのままキセノへ向かって振りかぶられる) 大なり小なりで崩れてしまうよ?心が -- 総会長
- 化け物め…!
(深く抉り裂いた感触はあった、しかし痛みをまるで感じていないようなこの嗤い)
本当はわかって言っているのではありませんか? (――――支えてくれる心が欲しかった) (まさにその通り、と) 学園と学生を守る為なら、私は私自身の犠牲さえ厭わないから。 私は私の信じる限り私で居られる!
(私の調整に出来ない事は、ない) 我が異能、我が力。 (自身の脚力を強化調整、重力の槌をかわし) キセノ・ロディアは (続いて周囲の重力を、今見たその通りに) ≪調整≫する! (拳を振り上げ、重力を圧縮調整、何十倍に圧縮された重力の拳を打ち降ろす) -- キセノ
- うん、知ってる。
だから君は僕に勝てない。 一人でどうにかできると思った君では 自分さえ犠牲になれば、と思った君では (キセノが調整した重力塊がぶつかる) (作用。鉄球がが砕けちったような轟音と、奇怪な音が響く。砕け散る体、ひしゃげ圧壊する) 君がその瞳を自ら瞑っているのと同じくして その心もまた自ら閉じている。君の支えになる人はいたのにね。 それに気づけなかった、かわいそうなキセノ・ロディア それが故人でも、今いる周囲の人間であっても、ね 自分が一人であると思い続ける限り君は一人なんだよ だから君は今、一人なんだ
残 念 で し た (男はまた、そこにいた。別の場所に。機械の柱の上に。君を見下ろして。圧壊したはずの男がそこにいた。) -- 総会長
- はぁ、はぁ...(頭に響く金属音と、慣れない使い方をした異能に顔を歪ませ)
一人だって、一人であっても私は…… (黄金瞳が鈍く光る) 守るべきものがあれば一人だって構わない。 今までだってそうだった。これからもそうできる―――
(しかし、今一瞬頭に浮かんだのは?)
(周囲が急速に冷えていく、黄金瞳が輝きを増した)
≪調整≫―絶対零度―
(キセノの周囲から全てが凍り付いてゆく) (異世界を形作る地が、歯車が、空気が、柱が、総会長だったモノごと凍漬けにしてゆく) -- キセノ
──全てが凍りついた この空間ならざる空間にして 世界ならざる世界が キセノの異能によって凍結した キセノの願いによって閉ざされた されど、鐘は鳴る あざ笑うように 愛するように 閉ざしたね?自分を。自分の心を。 かわいそうに かわいそうに キセノ・ロディア そうすることでしか悲しみを拒絶できない 憐れな少女よ 守るべきものがあるとし、閉ざし、己の脆弱な心を守る少女よ 寂しい少女よ 孤独を自ら選んだ少女よ 汝の耳も目も心も盲せるのは己の願い 願うのであれば、そのまま心を閉じるか。これからも──未来も 声が響く 鐘が響く ありもあしない声が、鐘が響く --
- 鐘が、声が…?
(心を、閉じる。このまま?)
(氷が音を立てる)
私は間違ってしまった――?
(もしかしたら、皆の力を借りれば)
(氷がひび割れる)
そもそも私はどうして一人でここに――?
(それは電話を受けたから)
(氷が破砕する)
あの電話は、誘導暗示―――
(ガシャリ、と背後で自分の刃が落ちる音がした) -- キセノ
我が異能は調整。汝の心の調べを整えよう。 優しくも憐れな少女、多感な時期であるからこそ無防備 誘導暗示を受け入れる隙を自ずから作ってしまった少女。 今はただ、閉ざせ。キセノ・ロディアの目と耳と心を──意識を閉ざす。
おやすみキセノ君。次に目覚めるときはみんなと一緒だよ。 --
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Last-modified: 2013-05-11 Sat 03:07:33 JST (4027d)