名簿/484498
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- 223年 12月
共和国首都ゾドの無血開城の知らせは全土の抵抗勢力から勢いを奪っていった。 戦線をさらに拡大するため、あるいは新たな領土の統治のために大爛帝国の軍はさらに 西の地へと広がっていく。 東ローディアの荒野をつめたい風が吹き抜けていくようになった頃。カタクァの軍も長く 布陣していた岩山を離れて、南部方面軍へと参加することが決まっていた。 「引越しする前に合流できてよかったわ、どう調査の方は?」 陣屋の中で那岐李と久々に会う飛爛、周りには他クラトをはじめ他数名の部下達も居た。 赤い毛織の絨毯の敷かれた上に置かれた卓上に大陸の地図を広げ、立ったまま覗き込んでいる。 -- 飛爛
- えぇ、東ローディアに点在していた遺跡を幾つか調査しましたが…興味深いことが分かりましたよ
(開戦の地となった古代遺跡群をはじめとして、彼は進軍の合間を縫って解放した地域の遺跡等を調べ上げていた) (調べていた遺跡の位置を幾つか指で指示して口を開く)あなた方カタクァが所持している文献や遺跡にはその歴史の長さを物語るものが幾つもありましたが…此処、東ローディアでその裏付けとなるものを幾つか見つけました 統一王朝以前の遺跡に、幾つか壁画が遺されていましてね。そこに描かれていたのですよ。カタクァと思わしき人々の姿が (その弁から何時になく高揚しているのが分かるだろう。さも嬉しそうに。ともすれば宝物を見つけた子供のような雰囲気) …やはりあなた方の歴史は他の民族の群を抜いて深いものがある。此処で発見した遺跡がカタクァの物なのか、それともカタクァを知る者達が遺したのか…それは分かりませんがね -- 那岐李
- へーほんとにあったんだ、その昔山を越えて西の海からやってきたって伝説は本当かもしれないわね
(毎度おなじみの白いワンピースとズボンに最近は冷えるのでマフラーを首元にぐるぐるまいてる飛爛) (足元の毛皮ブーツもなかなか温そうだ、ブーツのインナーである羊の毛がもこもこで、でかいために) (長靴を履いた猫状態、あるいは毛長のウサギみたいで小動物感アップである。あざとい。) (那岐李のもたらした様々な情報を、周りにいる部下達が地図に書き込んだり、手記に写したりしている。) (彼らは文官で、大爛帝国の文字の他に今では使う者の少なくなったカタクァの文字の読み書きも) (出来る希少な人材である。)
遺跡ってどの辺にあったの?おっきかった? (そして熱心に仕事をする部下以上に、興味津々なのが飛爛のようだった、机に身を乗り出して、) (というか机の上に両手で乗り上げていた、机が傾くので落ち着いてくださいと、部下に怒られた。) -- 飛爛
- (対して那岐李はいつもの恰好に一枚西国制の外套を羽織っただけの簡素な恰好である)
(カタクァの文官には資料の解読の際に非常に世話になった。何しろ今まで見たこともない文字体系だったので) (基礎の文法から手取り足取り教えてもらったのだから。そのおかげで何とか簡単な文章なら解読出来るようにはなったが、まだまだ彼等の力は必要だ)
…そうですね、地図で言うならこの辺りです。ほぼ砂に埋もれた状態でしたので確認出来たのは一部だけではありましたが… それでも6枚羽の鳥と、それを従えているように見える人々の図…カタクァの壁画は確認出来ました (言いながら、地図上を幾つか指さした。彼が見つけたカタクァの壁画は他にも幾つかあった) (その位置も周りの文官と飛爛に指示しつつ)…恐らく、あなた方が把握しているよりもずっとカタクァの歴史は長い 調べれば調べるだけ新しい発見がありますし…研究者としては嬉しい限りです (調べれば調べる程カタクァの歴史の深さを思い知る。これだけの歴史があるのであれば、彼らが未だに誇りを失っていないのにも何となく納得できる) (民族の誇りと言うものは独自の歴史の上に築かれるものだというのは分かっていた) (だからこそ、自分はカガチ人のルーツを明らかにし、同胞が忘れていた誇りを取り戻したいと願うのだ) -- 那岐李
- それは確実にまちがいないわね!しっかし、森の中に遺跡があるのは知ってたけどまさか砂漠にまで
あったなんて、ふぅむ・・・遺跡の近くの町に宗か喬が居ればいいのになぁ、むぅーでも発掘したいから 手伝えとかいったら、この忙しいときに何してんですかとか怒られるか・・・むむむ・・・。 (腕組みしてふむぅと柳眉のシワを寄せる飛爛、相変わらずちょこまかとよく動く。) (唸っていたとおもったら、すぐにまた楽しそうな表情で顔をあげた。) 那岐李すごいよね、よくこんなに短期間でいっぱい調べられるよね。ぶっちゃけ私、学者ってのは建前で ほんとは何か、怖い仕事してる人なんじゃないかって思ってたけど・・・ (悪戯っぽく笑う飛爛。彼に東ローディアを行き来するさいの便宜と同時に、各地の様子を探るようにと) (密偵紛いの仕事も押し付けたのはむしろ自分自身だというのに。よく言うものである。) -- 飛爛
- 恐らくではありますが…遺跡が作られた当時はまだここは緑の大地だったんでしょう。それだけの変化が起こってもおかしくないだけの年月ではありますし、ね
確かに…本格的な発掘まで出来れば新しい発見もあるでしょうが…今の帝国に、歴史の重要性を理解する方は少ないですしね (宝物を粗方奪い尽くされた東ローディアの遺跡ともなれば尚更です、と付け加え) ……いえいえ、私はあくまで学者ですよ。国の庇護を受けられぬ私設の研究組織ですので…荒事への対処の方法は色々と身に着けてはいますがね (飛爛の言葉に応えるその顔は少し困ったような表情でもあった。彼の言葉は半分事実であり、半分嘘でもあった) (彼が力を身に着けたのは、自分に宿った異能がカガチ人の固有の物であると信じているからだ) (他の誰にも出来はしない自分の異能こそ、彼が今現在持つカガチ人の誇りであると信じられる最後の一欠けらだ) (だからこそそれを振えるだけの力を身に着けておきたかった。この異能に恥じぬだけの確かな実力を)&br(何時からか、それを使って他者をいたぶる事でカガチ人の優位性を示そうとしていることには気づいていたが、見て見ぬふりをしてきていた) ……しかし、突然どうしたのです。何か、調査以外に頼みたいことでも? (心中に渦巻く複雑な想いを隠しながら問いかける。自分に各地の調査を命じた以上、自分の能力を彼女は最初から利用するつもりだったのだろう) (それを今更このような言い方をするのには、何か理由があるはずだ) -- 那岐李
- ん?別になんもないよ、ただ、えらいなーって思っただけ。
(さらっと雰囲気台無しである。) 爛の人ってさー、なんていうのかなぁ・・・即物主義?儲かるかなんか得がないと、動かないじゃない でもね、私はこういう古い歴史を調べて伝えたり、学問をする人を大事にするのって重要だと思うのよね だから那岐李がほんとにちゃんと仕事してくれて嬉しいなぁって思って。 (飛爛が戦場に出るようになって、だいぶ経つ、だが相変わらずその笑顔は子供っぽく裏も表もなかった。)
(姫様、彼に課した別任務も大変重要なことなので、お忘れなく・・・そう、背景と一体化していた) (クラトに釘をさされる飛爛、大丈夫かこの姫様。) ・・・大丈夫、覚えてるから、ほんとに (横からせっつくクラトを手で制止しつつ、頷く。) (飛爛が那岐李に頼んだのは変動を余儀なくされる東ローディア各都市を行き交う交易品、) (貴重な宝石や輝石といった魔術用具、そして食料に、とりわけ貴重な軍事的資源である鉄が) (どこから来てどう流れていくか、その詳細なルートと取り扱い業者の明細を作ることだった。) (そして同時に、それらの資源を扱い加工する職人達がどこに多くいるのか、材料の仕入れから) (仕事の請負まで、およそ産業に関する情報の現状を調べさせていた。) -- 飛爛
- …良くも悪くも帝国民は今を、前だけを見て生きていますからね
過去を調べ、歴史を知ったところで今現在役に立つわけでもないですから… 私の場合は単に目的があって調べているだけですよ。それがたまたま、貴方がたカタクァの歴史を調べることと同義だった…というだけです (飛爛の言葉に薄く笑いながら返す。この少女の裏表のない言葉に、時折どう返答したものか困ることがあった) (余りにも真っ直ぐな言葉と瞳に、自分が塗り重ねた虚栄を見透かされているのではないかと思うことがある程だ) (だからだろうか、最近は少しずつ本当のことも話すようにはなっていた。だからといって、彼の全てが推し量れる程の言葉ではないが)
…別件の任務のことですかね。それでしたら― (クラトの言葉が耳に入った。ふぅ、と小さく息を吐いてからそちらの調査結果を話し始める) (脇に抱えていた書類から件の物を幾つか机の上に広げ、交易ルートや各物品の流れ、職人たちのリストと各々の出来ることなど) (頼まれていたことをほぼ網羅したものを次々と説明していく) ―…と、こんな所ですね。あとは直接依頼したり、交易ルートへ介入してみないことには… -- 那岐李
- おわっ細かッ!うむぅ、これだけしっかり調べてあれば計画立てるのは困らないかな。
(提出された資料の細かさと漏れのない完璧さに驚く飛爛、どっちかというとそれらの資料を) (ふむふむと、よく読みこんでいるのはクラトの方だ。) 私たちがこれから向かう南部で、必要な物と人を滞りなく運ぶには、他の誰よりもうまく東ローディアの 商人達に協力してもらわないといけない・・・うん、直接交渉したりするときもよろしくね。 (反攻への準備はちゃくちゃくとすすんでいた。激動のうちに始まったこの年も終わろうとしていて、) (彼らが後戻りができなくなる日も近かった。) -- 飛爛
- えぇ。直接あなた方が交渉に赴けば本国に動きを気取られることもあるでしょうしね
…西方にはもとから付きあいのある商人も居ます。その方面を当ってみますよ (いよいよ西側との本格的な戦闘が迫ってきている。このまま両国が泥沼にはまっていく中で) (彼女たちは如何にしてその身を泥沼の中から羽ばたかせるのか) (それを見届けるために、そして自分自身の目的のため) (今しばらく彼等の力になったままでいようと思う那岐李であった―) -- 那岐李
- (223年。ゾルドヴァの戦いでの敗戦が決定的となり、帝国軍の物量を前にして神聖騎士団の一部の部隊も撤退を余儀なくされていた)
はぁはぁ……くそ、蛮族共めぇ……しかし、熱いなほんと (枢機卿からもらった兵を無駄遣いするわけにもいかず、早々に撤退を始めるカルロ達。絶賛敗走中である) -- カルロ
- (敗走するカルロ達の進路を遮るように数人の男達が、地面に埋もれた遺跡のを何やら調べている様子)
(戦場に不釣り合いな軽装ではあるが、その服装からして帝国の者であることは間違いないようだ) ……ん? (その中の一人が此方に向かってくるカルロ達に気が付いた) …ほう、敗残兵か。…手土産としては良いかもしれんな(何だか物騒なことを呟いてにやり、と口元を歪めて腰に差した曲刀に手を掛ける) (遺跡を調査していたことや、帝国の装備を身にまとっていないことから学者や研究者の類であることは容易に想像がつくだろう) -- 那岐李
- 神殿騎士A「た、隊長! 帝国兵です!」
見ればわかるわ!! ええい、やり過ごせそうにないな……突破するしかないか…… 神殿騎士B「しかし、連中正規兵じゃないっぽいッスよ。上手いこと賄賂でもわたせば見逃してくれるかも……?」 バカいえ! 帝国の連中にそういうのが通じないのはもう散々わかってることだろう!
ええい、帝国の雑兵共! かかってくるならかかってこい! だが、かかってくるなら覚悟しろ! 我等は神国の誉れ高き神聖騎士団! ただでは殺されんぞ! -- カルロ
- 神国…アルメナの、それも神聖騎士団と来たか。…ふむ、面白い
(名乗りを上げた男の顔を見て曲刀から手を放す) そこのあなた!神国の神聖騎士団、と仰いましたね?我々は帝国の古代文明研究機関、間史廼把の者です! あなた方があの神聖騎士団だというのなら、一つ…お話を聞いて頂きたい! (諸手を挙げ、相手を刺激しないように下手に出ながら声をかけてみる。この男が本当に神聖騎士団の一員なら) (ここで生かしておけば今後の布石になるかもしれない―) -- 那岐李
- 神殿騎士A「……? 隊長、なんか話きいてくれとかいってますよ? どうします?」
は!? 罠にきまってるだろう、皆殺しにして…… 神殿騎士B「そんなことしたら今度こそ死にますよ隊長!(カルロの口を塞ぎつつ)」 神殿騎士C「あー、帝国の学者殿よ! 我等も無用な殺戮は望まない! 話し合いで事が片付くというのなら、神の名の元に応じよう!」 な?! お前何を勝手に……!? 神殿騎士C「いいじゃないっすか、なんか腹に一物あるようなら近寄ってからざっくりやっちまえば」 はっ!? ……うむ、それもそうか (ニヤニヤ笑いつつ) -- カルロ
- (かかった。向こうは完全に此方を下に見ている。戦力は自分達に及ばない物だと思っている)
(例え相手が襲い掛かって来たとしても、逃げおおせるだけの自信はあった) (ならば話は早い。生まれてから今まで散々虐げられて生きてきたのだ。その中で自分の要求を満たす交渉の術など体に染みついている) いやぁ、流石は誉れ高き神聖騎士団の方々ですね。異国の、しかも我々のようなただの研究者の話を聞いて頂けるとは有難いことです して、話というのはですね…。先ほどから申し上げておりますように、私は研究者。様々な国に残る統一王朝の歴史遺産や、それ以前の古代文明の遺産の調査を使命としておりまして… 深い歴史と、教養と崇高な文化を兼ね備えた神国の歴史は、我々からすれば非常に興味深いのです (ただ只管に、にこやかな笑顔で相手を持ち上げて下手に出つつ、匂わせる程度に此方の要求をチラつかせる) -- 那岐李
- ふむ……なるほど。つまりは穏便に我等の所有する統一王朝時代の遺産の見学をしたいのでその許可が欲しい……ということか
(一応、悩む振りなどをしつつも、結局は最初から飲むつもりなのでにっこりと微笑み) いいでしょう。なら、我々の脱出を支援していただけますかな? 神国側の国境付近まで送っていただきたいのです そこまで送っていただけるのなら、その付近にある遺跡群の調査については見てみぬふりをしましょう 短い期間になりますが、それでも2週間は調査できるはずです。それでよろしいですか? (あの辺りの遺跡は今でこそ神国のものだが、元を正せば東ローディアの所有していたものだ。異国の文化財がどうなろうと知った事ではない。というハラである) -- カルロ
- えぇ、それはもう。十分過ぎる程ですよ。これほど貴重な機会に恵まれるとは…僥倖です
我々は研究者とはいえ、帝国軍への同行も許可されております。彼等の進軍ルートや野営地等は全て頭に入っていますので、安全は保障致しますよ (交渉は成立。互いに穏やかな表情のまま、連れ立ってその場を後にした) (その心の内には、互いに相手への侮蔑が渦巻いているとはいえ、表面上はひどく紳士的で、知的なものであった) &私は那岐李。貴方とは…今後とも付き合いを続けて行きたいものですね (国境沿いまで見送った後、去り際に短くそれだけ伝えた) (数週間後、遺跡周辺の村々が荒された上、密約を交わした場所以外の遺跡も幾つか荒されたという報告が神国に入るが) (戦時故、それがカルロまで届いたかは定かではない) (しかし、それがこの那岐李という男の仕業だというのなら。難攻不落を誇り、今までこの戦争に於いて無傷であったアルメナ領土に於いて) (那岐李が現時点で唯一蛮行を働いた男になる、という事実はカルロ達以外は誰も知らない) -- 那岐李
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- ……成果は無し、だな
(調査を終え、帰路の途中で一人ごちる) 何が誇りだ。…あのような屑が誇り等と…忌まわしい 我は何時かたどり着いて見せよう。歴史の中に消えた我等が祖の根源を そうして初めて…我は忌まわしき血の呪いから解放されるのだからな -- 那岐李
- (今でも夢に見る)
(あの時見た少女と、不当な扱いをされて尚、只管に頭を下げ続ける父親の姿を) (今でも夢に見る) (全てを諦めた同胞の瞳と、ただ日々を生きているだけの抜け殻のような同胞たちの姿を) (誰かがこの負の連鎖を断ち切らねばならないと) (そう思ったから。自分は必死だった) (だからこそ、今の自分がある―) -- 那岐李
- 六稜での調査活動はとてもスムーズに進んだ
目的とする遺跡に3日をかけてたどり着き 現地の遺跡の守り人達と交渉を行った --
- ……ですから、何度も申し上げている通り我々は学術調査の為に遺跡への立ち入りを求めているだけです
貴方方が心配するように、遺跡を傷つけたり墓を荒らしたりするようなことは致しません (守り人達は此方の主張を一切受け入れようとはしなかった) (何度説明してもそれは聞き入れられないの一点張りだ) -- 那岐李
- 「そのようなことが信じられるか!此処は我等が先祖より受け継いだ神聖なる場所!
外部の人間は何人たりとも入ることはまかりならん!我等一族の誇りにかけても!」 --
- …強情ですね。我々はこの地を管理する宗爛殿下の認可を頂いているのですよ?
これは皇帝陛下の認を得たに等しい。言わば、我等は皇帝陛下の意の元に調査活動を行おうとしているのです (先程から同じことの繰り返しだ。宗爛の名を出しても、皇帝の名を出しても彼等は聞き入れようとはしない) (それほどまでにこの遺跡は彼らにとって大事な場所なのだろうと思える。そしてだからこそ、自身の目的も果たせるかもしれない) ……いいですか。此処からはお願いではありません。最後通告です 我々は皇帝陛下の名の元にこの地の調査の権限を得ております。そして…それを妨害する者の処断も、我等の一存次第 (言葉を紡ぐごとに。彼の顔から冷静な組織の長としての顔が消えていく) (守り人達と交渉にあたっていた男は消え。其処には血を求める冷徹な一匹の獣が残るのみであった) -- 那岐李
- 「くどい!帝国の支配下にあってもこの地は我等の物である!
我等が祖先より与えられた血と、誇りと、歴史にかけて!この地へは何人たりとも通すわけにはいかぬのだ! (守り人は、獣を前にしても答えを変えることはなかった。脅しにも屈するよりも、自身に流れる一族の血と誇りを守ることを選んだのだろう) (素晴らしい。自身の命にかえても祖先から伝えられたものを守り抜く覚悟を持っている) (守り人とはこうあるべきという見本のような答えだった)」 --
- (だからだろうか)
(否) (だからこそ) (無性に癇に障った) --
- ……そう、ですか。残念ですよ では、さようなら
(口元が歪につりあがり、笑みを作る。笑顔と呼ぶには余りにも不気味なその表情。言葉とは裏腹に、これから起こることを心底楽しんでいる顔) (守り人がその顔にたじろいだ瞬間、鮮血が迸った。脇腹から肩口に向けて鮮やかな紅の噴水が湧きあがる) (何時の間に刀を抜いたのか。血濡れの愛刀を構えて男は吠える) 汝等は愚かにも皇帝陛下の意でもある我等の調査活動を妨害せんとした! 度重なる我等の忠告にも耳を貸さず!皇帝陛下の御名を前にして尚、その邪な意志を曲げることはしなかった! これは大罪である!よって!皇帝陛下の名の下に…これより汝等を処断する! (「そんな」「待ってくれ」ざわめき、狼狽える守り人達を意に介せず、那岐李は再び刀を振るう) (剣閃から迸った禍々しい黒い渦が、守り人達の一人に絡みつく) …これは偉大なる皇帝陛下の名を恐れぬ逆賊への忠罰だ。甘んじてその身、地に伏せよ!! (絡みついた漆黒の渦が守り人の首を締め上げる) (言葉も無く、じたばたと抵抗する守り人に那岐李は笑みを浮かべる) …抵抗は無意味だ。……死ね(那岐李が掌を握り締めれば、ベキリと嫌な音が周囲に響く) (守り人は小さく息を漏らし、それっきり動かなくなった) -- 那岐李
- (一拍、静寂が辺りを包む。誰しもが目の前の光景を受け入れられず、ただ困惑するのみだ)
(一人、また一人と悲鳴をあげながら方々へと逃げはじめる。それを眺めて那岐李は尚も笑みを浮かべる) ほぉ、蛮族狩りの余興か。…よかろう、汝等が用意したこの宴、存分に楽しませてもらうとしよう! ハハハハハハハハッ!!誇りはどうした!?先祖から受け継いだ誇りはどうした!!死にもの狂いで足掻いて、聖域を守ってみせろ! (那岐李が駆け出せば後ろに控えていた間史廼把の面々も各々の武器を手に追跡を始める) (密林の中、方々で血しぶきが舞う) --
- ―――― --
- (数刻の後。かつて集落と呼ばれていた場所は焼け野原となり)
(かつて聖域と呼ばれた場所は、内部に収められていた様々な財宝を奪い尽くされ) (そこにはただ、返り血で赤く染まった男が一人高らかに笑う姿があるのみだった) --
- 六稜での調査活動はとてもスムーズに進んだ
目的とする遺跡に3日をかけてたどり着き 現地の遺跡の守り人達と交渉を行った 交渉は決裂。逆賊を速やかに切り捨て調査は決行された 遺跡に残された宝物を粗方運びだし、学術的な調査を一通り終えた 地図から一つの集落が姿を消し 調査活動は何時ものように終了した --
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- さて…準備はこの程度か。後は事が起こるのを待つのみ… -- ナギリ
- 準備万端ックス! --
- 私に欲情か?愚かなものだな…だが、面白い
欲をむき出しにしたその姿こそ人の本来の姿。そして我等の祖に足りなかったものでもある -- ナギリ
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