黄金暦177年 6月
とある街の住人が一晩で消えた。
住人消失は怪奇な事件として騒がれた。消えた住人がどうなったのか、様々な憶測が語られたが、表向きは理由不明の未解決事件として扱われた。
あまた生まれた噂、怪談、推測の中にひとつ、裏世界で「消失事件の真相」としてまことしやかに流れた話があった。
誰かが人々の命を使って、膨大な魔力を集めているらしい。消えた住人はその生贄にされたらしい
それ自体は、多くの噂と変わりない、徒に恐怖を煽るため生まれた与太話に聞こえた。
しかし裏で囁かれる噂には続きがあった。
集められた魔力は実在する。何故なら、それを横取りしようと暗躍している奴らがいるからだ。 誰が何のために魔力を集めてるのかは分からないが、そいつを横取り出来れば、 石を金に変えるよりすごいことが出来るらしい。
証拠だって?この一カ月、各地からあらゆる宗教、異端信仰、悪魔の信奉者が続々集まってきて、 膨大な魔力を横取りして自分たちの本尊をこの世に召喚しようとしてるそうだ。 そんな奴らが急に増えてることが、噂が本当だって証拠だろ。
実際、お前の周りにも増えてるだろ、怪しい奴らがさ……
|