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街の門をくぐり、彼は腰を何度か叩いた 「くそったれ、背中の荷物と今までの生活のせいが憎らしいわ」 街路に幾つかつけてあるベンチに自然と目がむくが目的の場所までもうすぐだ 腰を下ろす場所も欲しいが喉を潤す酒も欲しい…息をあげ、そんなことをぼんやりと頭に浮かべ そして何度目となるか、以前の暮らしに想いを馳せた 思うが侭にに高級なものをあしらった豪奢な邸宅、幾人もいた選りすぐった美女の給使、 柔らかな"ふやけ鳥"の羽毛を詰めた揺れ椅子、金のゴブレットに注がれるとびきりのウイスキー… 頭を必死に振るう、いまやそれは過去のことで、いまの立場では望むべくもないものなのだ だから彼はここへ来た、もう一度その栄華を味わうために …しかし、それよりもいまは酒と腰を落ち着ける場所がなによりも必要だ 角を曲がるとやっと風に揺れる看板が現れた、安堵の息を吐き、彼は冒険者の酒場のドアを見上げた…
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