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とある日、とある町のとある職人により1台の自立型の人形が作られました その人形は人の形や人の仕草をもそつなくこなすものの 言葉を喋ることと理解することに関してはあまり優れてはいませんでした そんな人形に製作者はまず町の掃除を命令しました 最初に教えられた言葉は「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」の3つ この3つの言葉を人が来るたびに、時間帯によって使い分けながら掃除をさせました その次の日、製作者はさらに3つの言葉を教えました 「初めまして、セルカと申します」「アルマースによって作られました」「今後ともよろしくお願いします」 これらを掃除している最中に話しかけられたら使うよう命じました こうして自己紹介を組み込んでいき、セルカは町の人へ存在をアピールしていきました 日々少しずつながら成長していくセルカという人形のアピールは一定の町の人の興味を引き 徐々に町の人に存在を覚えてもらうことに成功しました セルカが誕生してから数年後、言語も学習するように改良されセルカも立派に街の一員となっていました そんな中、製作者は急死してしまいました 葬送の時、セルカはただひたすら製作者を覗きながら困っていました 「セルカは困りました、お答えください」「大丈夫ですか、手助けが必要ですか」「起床の時間です」 セルカは今まで記憶していった「現在の状況に使うべきであろう言葉」を必死に発し続けた セルカには「悲しむときに使うべき言葉」というのは登録されていませんでした 正確には製作者が意図的にその言葉は記憶させないようにしていたのです もし自分がいなくなっても悲しまないように、とても不器用な手心でした セルカは考えました。「この時に最適な言葉は何か」と しかしどれだけ時間を費やしても考えは阻害され、月が三回満ち干きを繰り返しても答えは出てきませんでした セルカは言葉を考えるのをやめ、行動を起こすことにしました 人々に尊敬される存在、「英雄」になれば自ずと答えは出てくるのかもしれない そう考え、英雄を目指す為に歩き出したのです 「冒険者ギルドへようこそ、お前も冒険者になりたいっていう命知らずかい?」 「初めまして、私は英雄となる手段をあなたに要請します」 「……何言ってんだお前?」 今の言語能力ではもうちょっと足踏みしそうです