それは冒険者に身を窶している者にとってごく当たり前に
そしていつその身に降りかかってもおかしくは無い出来事
その順番が今エルフの少女に回って来た、それだけの事だった

主がいなくなった妖精宿の一室 Edit

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  •   -- 2013-01-26 (土) 17:31:14
    • 誤報であって欲しかった・・・。さようならミューレット、ありがとうございました。あなたの作ってくれたシチューを、わたしは絶対に忘れません。 -- テストカ? 2013-01-26 (土) 21:08:11
    • 色々残念なの……でも一緒に暮らしてて楽しかったの、ずっと忘れないのー -- サリナ 2013-01-26 (土) 21:25:27
    • にゃー、にゃあー……ミューレットはエルフにゅよね?エルフは長生きなんじゃなかったにゅか?まだキノコマスターになってないにゅよ……?
      ……にゃう……にゃおーん。にゃおおーぅぅ。にゃあおーーうぅ……(ミューレットのいなくなった部屋の前で、猫がしばらくのあいだ、鳴き続けていました) -- ナラト 2013-01-26 (土) 22:33:18
    • ごめんね……ごめんね……(なぜだかは自分でも分からないが、泣いて謝り続けていたという)。 -- ケルカリア 2013-01-26 (土) 22:44:39
    • …先に、還ったんだね ( 中空に手を伸ばし、「フィス」と呼んでみる。返事が無いのを確認して )
      一緒に居ると思えば、安心だよ ( 静かに。寂しげに微笑んで… 去って行った ) -- ジョーヌ 2013-01-26 (土) 23:05:30
    • ……(何も言わず黙祷すらせず、ただ空き部屋である事を確認しただけで帰った) -- ティノ 2013-01-26 (土) 23:10:56
    • ウソですよね…夢であって欲しい…いつか元の世界に帰ってもずっと覚えていますね… -- Aoi! 2013-01-26 (土) 23:33:56
    • (もしかしたら…と言う淡い期待もむなしく) ………ごめんなさい。 -- モミ 2013-01-27 (日) 01:42:33
    • …(いつでも鍋を作りに行けるよう覚悟を決めて敬礼をした) -- フォルテシア 2013-01-31 (木) 23:54:53
    • はあー…(やっと現実と向き合えるようになった頃、ふらりと訪れて)
      ファンタジーなー…いきものーなんだからー…帰ってーこいーよなー…。 お菓子もーご飯もーお茶もー…もっとーもっとー……(一緒に食べたかった、一緒に話したかった 言葉を飲み込むと花と菓子を供えさせてもらって帰った) -- ソラ 2013-02-12 (火) 08:47:34
    • 遅くなっちゃったわね…お菓子、ありがと(お供えを置くと、少しの間手を合わせ、やがて出て行った) -- 沙耶子 2013-03-27 (水) 22:19:47
  •  
    • 宿の管理人になってからもう数十年経っただろうか、それでも一向に慣れないし、またこの先慣れる事も無いであろう
      掃除のために入ったその部屋の主、快活で料理が好きだったエルフの少女、その顔が鮮やかに思い起こされる
      だがその彼女は恐らくもう戻って来ない、冒険者ギルドから正式な死亡報告がついさっき届いたためだ

      しかし慣れないからと言っていつまでも落ち込んでいる訳にも行かず……妖精宿の管理人としてやらなくてはならない事があるのだから

      ゆっくりと顔を上げ、深呼吸をして、改めてその部屋を見回す
      ここ十年彼女が生活の場としていたその場所は未だ生活観に溢れている、目を閉じるとトントンと小気味良い包丁の音が聞こえてくるかのよう
      机には料理の本、きちんと手入れの行き届いたキッチン、そして冒険に出たその日のままのベッドやクローゼットに目が止まった
      こみ上げてくる感情を押し留めこれから先やらなくてはならない事を頭で反芻する、この部屋の掃除、それが仕事だった

      しかしながらこの場合の掃除とは「荷物を片付ける」の意ではなく、その場で生活する人が平素からやる普通の掃除そのものの事だ
      この妖精宿を先代の管理人から引き継いだその時に、いくつか言われていたことがある
      「部屋を片付け空ける場合は、そこに住んでいた住人が、もう部屋は必要ないと明言した場合に限る」というのがその一つ
      ごく当たり前の事に聞こえるが、もし仮に、その住人が死んでしまった場合はどうなるのか
      「いつの日か戻って来て、もう必要ない、と言われるその時まできちんと管理するのさ」先代はそう笑って口にしていた

      つまりは、その住人がいつ戻ってきてもいいように部屋をそのままの状態にしておく、というのである

      この宿が他の宿と比べ割高なのは、なにも妖精や精霊を相手にしているからと言う理由だけではないのだ
      ……いや、ある意味その理由での繋がりがあるのかもしれない、と自分の頭の上で寝ている妖精の温もりを感じながらそう思う
      妖精という存在は誰かに必要とされる事でこの世界で形を得ることが出来る、それを実感として知っているし、その後何度と無く体験してきたのだから

      でも……、何度目か分からない溜息が漏れた
      妖精や精霊は基本実体を持たないからこそ、人の意思を拠り所としてこの世界に顕現できる、ではエルフはどうか
      答えは多分否だろう、妖精と呼ばれるがその体は人間に近く、いかに望んだとして損なわれた体そして命が戻ることなとあり得ない
      だからこそ気が重いのだ

      それでも……床を掃き机を拭き、シーツを新しいものに変える、いつの日かひょっこり戻ってきてくれる事を期待しながら -- ??? 2013-01-26 (土) 23:56:33
      • その日は珍しく朝から来客があった、宿泊客の知り合いが訪れることもあるがこんな早朝からは珍しい
        最も、それはあらかじめ予期していた訪問であり、その二人に対しては事前に用意していた通りの挨拶を返す事が出来た
        困ったのはもう一人の予期せぬ来客である、女性の腕に抱かれた小さな命、エルフの赤ん坊だった

        そのエルフの子と夫婦が誰の親族であるか、そして送った手紙がどのような内容であったのか、少なからず事情を知っているものはすぐに察したであろう
        -- 2013-01-28 (月) 16:36:21
      • 無邪気な声を背中に受けながら二人を部屋へと案内する、ともすれば沈みがちな雰囲気を撃ち消してくれるその声はありがたくもあり、逆に心にほんの少しの痛みを呼びさます物でもあり……
        ドアノブに手を掛けそれを回す動作、それが躊躇いがちなのもきっと同じ様な事を感じているからに違いない

        かつて彼女が暮らしていたその部屋は今でもそのままの状態でその場所に在った
        日当たりのよい角部屋、窓から差し込む朝日がベッドの上へと延び心地良い風がカーテンを揺らす、間の抜けた寝起きの声が今にも聞こえて来そうな錯覚すら覚える光景
        しかしそのベッドに人影はなく、またその温もりも存在しない

        それを確かめるように母親はシーツを優しく撫で、それを真似しようととする赤ん坊の手を取ってあやしている
        机の上のレシピ本や料理の本、手帳をそっと開き、その中を1ページ1ページ確かめているのはミューレットの父親だ

        今出来るのは時折投げかけられる質問に答える事だけ、彼女の死に直接関わっている訳ではないと分かっていても気持ちが沈むのは無理からぬことだ
        そんな様子を察してか頭の上の妖精が髪の毛をわちゃわちゃとかき回してくる、駄目だな、小さく息を吐きそう自責するとそっと妖精の頭を撫でその気持ちに応えるのだった -- ??? 2013-01-30 (水) 17:04:34

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Last-modified: 2013-02-12 Tue 08:57:55 JST (4062d)