名簿/498214
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名簿
ID:
498214
名前:
猫男爵
年齢:
不詳
性別:
男
所属:
洋上学園都市魔術研究科
近影:
その他:
ステータス
/
戦歴
/
名簿
猫男爵は猫である。
猫男爵は紳士である。
猫男爵は猫であり紳士であるが故に猫男爵と呼ばれている。
猫男爵の本名や年齢は不詳である。
猫男爵が洋上学園に何時からいるのか誰も分からない。
猫男爵はその謎の多さから学園七不思議の一つに数えられることがある。
猫男爵は洋上学園魔術研究科に所属している。
猫男爵は将来的には教職に就きたいと考えている。
猫男爵は将来的ににゃんこ先生と呼ばれることやぶさかでない。
猫男爵はステッキ・カラテが得意だ。
猫男爵は時折驚くべき身体能力を発揮する。
猫男爵はたまに猫と語らっているところを目撃される。
猫男爵はあらためて言うが猫である。
猫男爵は猫であるが特にまたたびを好まない。
猫男爵は別段もふもふとはしていない。
猫男爵は表情が変わらないことに定評がある。
猫男爵の何処とはいえない猫の部分は取ることができない。
猫男爵は出不精であり気が向いた夜にだけ外出する。
猫男爵は学園都市の外に出ること叶わない。
猫男爵の魔術的分身が冒険に出向いている。
猫男爵が飲食をしているところを誰も見たことがない。
・
・
・
お名前:
(月夜である。月光が廃駅を照らす。そこは打ち棄てられた歩廊)
(満月を脇に屋根の上、正装をした猫面の影。此処は彼の出立の場所)
(彼は学園都市の狂人)
(彼は学園都市の七不思議の一つ)
(彼は学園都市の《奪われた者》の一人)
(彼は高貴なる者の義務を捨てし者)
(彼は友との約束を果たさんとする者)
(彼はその猫面と正装故に《猫男爵》と呼ばれている)
今宵の月齢は十四。満月。旅立ちに時は満ちて、私が向かうは何方!
(ステッキを掲げて高らかに、今宵、彼は閉幕を告げる)
―――皆様、今宵もお集まり頂けまして何よりで御座います。
(自由意志による思い思いの間隔を空け寝転がる猫達に向けて彼が帽子を取って優雅に一礼すれば)
(それに応える無数の猫目が月光を映し緑に煌めく)
さて。第七幕の結びはこのようになっておりました。
彼は親友により救い出され不死者となり、
不死者となった彼は彼を救った親友を喪う。
そして約束をしたのです。
いつか必ず、打たれた楔を打ち払い、
彼を銀河の果てへと連れて行くと。
死が二人を別っても。今宵はその後日談でございます。
それでは、皆様、お楽しみ頂けますよう。
(夜の帳の銀幕に、
複合映写機
(
シネマトグラフ
)
は回らない)
(凪いだ夜。満月が中天に昇るまでの僅かな暇。猫の貴族の声だけが響く) --
猫男爵
2013-06-07 (金) 01:16:07
友を亡くしてからの私は。
私に与えられた遙かな時間を、ただ彼との約束を果たすために使いました。
つまり。不可逆の異能を可逆ならしめるために。
(その声には、寂寥と感慨とが入り交じる)
それには永い永い時が必要でした。実に50年の時が。
私の魔道をもってしても。それだけ永く大掛かりな儀式が必要だったのです。
ひとつの贄も用いずに、極めて穏便に事を運ぶには。
(過去を想って、現在を想って、猫は語る)
魔法の
複合映写機
(
シネマトグラフ
)
による、過去の追体験。
これを月相の流転に合わせて繰り返すこと幾百か。
ついに儀式は終わりを迎えたのです。 --
猫男爵
2013-06-07 (金) 01:21:09
(猫としての最後の時間を使い、述懐する。この都市で過ごした夜を)
儀式の合間に、私は夜を渡り歩きました。
猫男爵なる怪異として、学園都市の夜を。
若者達のいのちの輝きを見つめながら。
(重ねるように空を仰ぐ。果てなき時間を掛けて生まれては消える星々の瞬く夜空を)
時には消えてしまうものもありましたが、みずから手を伸ばすことはしませんでした。
それは私の役目ではなかったから。
私の両手は、既に友のために塞がれていたからです。
その意味で私は、高貴なる者の義務を捨ててしまっていたのです。
ですから、私は男爵と呼ばれる資格はない。些細なことでしょう。
私はそも猫ですらない哀れな人間、都市に囚われた虜囚にすぎないのですから。
(両の拳を握り、また開く)
ですが、両の手が塞がれていたとしても。
彼らと語らうことは出来ました。
私はそういうものとして。後輩達にせめてもできることとして。
それを望む者には。時には私から望んで。
言葉を交わすことにしたのです。
都市に生きる彼ら、輝きと。 --
猫男爵
2013-06-07 (金) 01:23:55
(ひとつひとつ、回想する。輝ける者たちとの出会いを)
輝く銀の腕を以て悪意を打ち払う青年。
機械の巨人を操り、都市の平穏のため奔走する少女。
死せる父の無念のために研鑽を続ける女教師。
来訪者にして異邦猫たる彷徨う黒猫。
真実を探求し、都市を救わんとする探偵。
第七教室の、儚く哀しく、されど強かな囚われ人たち。
幸福を運び与える、青い鳥にならんとするやさしき狩人。
人を信ずることに迷い、されど手を伸ばしたいと願う白薔薇。
その誰しもとの出会いが、私は楽しく眩しかった。
かつて人を導くことを望んだ私には。
―――ですが、最早お別れの時です。
運行時刻は正確に。
現在時刻は既にその時。
友との約束を果たす時が来たのです。
(満月はついに中天に座し、彼の姿を逆光に黒く染めあげる) --
猫男爵
2013-06-07 (金) 01:27:00
それでは皆様、ごきげんよう。
(優雅に帽子を取って一礼すれば、そこには既に耳はない)
(猫の面は消え去って、折り目正しい正装に、猫目石のブローチがその胸に輝く)
(かつて生まれたばかりの学園都市に生き、運命を駆けた青年は)
(燃える赤毛と黄金色の双眸を持つ、眉目秀麗な青年は)
(かつてのままの姿で、もっとも輝かしかった頃の姿で、その身に秘められた異能を顕現する)
―――我が異能、我が力 カール・クルックシャンクは出立する!
第三宇宙速度を突破して、無限遠の彼方まで!
(出現するのは、白煙上げる鉄の塊。一両の黒い蒸気機関車)
(それこそが彼の異能。かつて特一級災害に認定され、封印された彼の力)
(物理法則の書き換えにより最高速度は光速を越え、一条の流星と化して果てなき
宇宙
(
そら
)
を駆ける『
夜汽車銀河行
(
ノクト・トラャノ
)
』) --
猫男爵
2013-06-07 (金) 01:30:10
では行こう、友よ。
南十字座から北十字へ、二つの石炭袋を抜ける旅へ。
銀河を駆ける遙かな旅へ。
(鉄塊が汽笛をあげる。旅客車の座席に黒い影)
(乗り込んだ青年が、彼の向かいに座す)
(二人の影法師は、互いに笑いあったように見えた)
(猫たちの碧の目が見送る中、『
夜汽車銀河行
(
ノクト・トラャノ
)
』が駆けてゆく)
(夜に染まった海が満天の星空を映す中)
(名残を惜しむように、天と地の星々の間を抜けて)
(やがて空を染める乳脂の粒を目掛けて昇り、消える)
(一条の白い蒸気を残して、遙か遠くへ)
(恐らくは彼が言い残した通り、無限遠の彼方へ) --
猫男爵
2013-06-07 (金) 01:36:05
(その後、学園都市に語られる七不思議、その《猫男爵》の項には、以下の文が付け加えられることとなった)
「彼の男爵、猫の貴族たる男爵は、彼の友との約束のために、黒き夜汽車に乗って銀河の果てへ旅立った」
「ゆえに、この都市において誰もその姿を見ることはなくなったのだ」
(彼がいなくなった後も、学園都市は歴史を刻む。様々な人の想いをのせて)
(遙かなときの流れの中で、やがて彼のことを語る者もまた、消えてゆくのだろう)
(その最初のひとりは、ここに)
(対岸の街、夜空を遡る流星を遠くに見送って、年老いた女は寝台の中で息を引き取る)
(金と碧の目を閉じて、眠るように安らかに)
(輝かしかったあの頃を想いながら)
―――Fin.
--
2013-06-07 (金) 01:38:42
最新の3件を表示しています。
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+
scenario pieces
Scenario pieces
『第一魔術技工部』
かつての大手部活の一つ。
二人の天才の手によって生み出される高度なマジックアイテムを販売していた。
ある時を境に急速に勢力を落とし、現在では廃部となっている。
『三分間飛行石』
第一魔術技工部の人気製品。
「どんな方にでも三分間の空の体験を」
「着地も安心。パラシュート機能付き」
落第街の『夜の王』
黎明期の落第街に最低限の秩序を与えたとされる存在。
ある時を境に行方不明となっている。
『猫男爵の猫面』
人を馬鹿にしたようなデザインのラバーマスク。
見る者によっては、これが極めて強力な異能阻害の効果を持ついわゆるリミッターの類であると分かる。
『装用者に永久的に異能を使用させない』ことだけを考えて作られたかのように、
異能的、魔術的、物理的干渉を受け付けず、外せず壊せない。
一方で、このようなリミッターが製造されたという記録はどこにも残っていない。
このようなものが必要となるような異能の記録も。
『悪進化(イボルヴ)』
かつての公安委員会副執行部長、イザベラ・オブリゲートが持っていた災害級異能。
あらゆる物体に対し、恣意的に方向付けした『進化』の概念を付与する。
生命体の機能強化(あるいは弱化)から、その対象は無機物や異能自体にまでも及ぶ。
その危険性から、カールらとの戦闘時には幾重にもリミッターがかけられ、使用には接触が必要だった。
完全に暴走した場合、生命・物質を問わず、周囲の世界が彼女の悪意によって捻じ曲げられてしまう。
//『新世界より』の業魔のイメージ。
『夜汽車銀河行(ノクト・トラャノ)』
猫男爵ことカール・クルックシャンクが保有する特一級災害指定異能。
蒸気機関車のヴィジョンをもって『星間航行』を為す異能であり、物理法則を書き換え光速を突破することが可能。
物理法則を書き換えるといっても、その運動エネルギーは光速を上限として周囲に影響を与える。
その上、『誰だろうと何だろうと旅路を阻むことが出来ない』という概念で守られており、
一度発動すれば、その航行を阻害するあらゆる異能、魔術、あるいは物理的干渉を排除する。
そのため、その最高速度を以て地球に衝突すれば、観測されるより先に消滅させてしまう、というトンデモ現象を引き起こす。
当時の執行部はこんな異能を取っておいてどうする気だったのか、その真意は不明である。
猫男爵の秘密
†
Last-modified: 2013-06-07 Fri 01:45:27 JST (3977d)