名簿/493021

  • Session.4 灼熱Beach Side Bunny -- 2012-12-26 (水) 00:28:52
    • サマーシーズン到来。海も、川も、市民用プールも。およそ水場と呼べる場所が人の洪水で埋まる時期。
      それに相反するし市街の片隅、一部屋の中に構築された家庭用の泳用空間は、人……妖精一人のみを擁する穴場であった。
      透明な長方形の水槽の内側に砂で山を作り水を張れば、それだけでガラスケースはプライベートビーチに早変わりする。
      底までも浅く、溺れる心配もない。 -- 2012-12-26 (水) 00:38:04
      • ルアージュが夏なのだから外へ出ないのか、との進言が数日前。
        けして自分が行きたいわけではなく主人を気遣っているのだと弁解する小さな妖精にも、シグルドリーヴァは無慈悲だった。
        予定もないし連れて行きもしないと切って捨てたことがショックだったのか、それからは普段以上に口数が減った。
        面倒を起こされる前に機嫌を取ろうと、せめてもの譲歩として小さなリゾートを設営し提供したのだった。 -- 2012-12-26 (水) 00:44:06
      • (……とは言え、与えられたこの環境、存外悪いものではない。窓から差し込む日差しは直射日光とは行かないものの、雰囲気の演出としては及第点であろう)
        (もともと露出過多気味な装束のまま、不承不承という態度ながらも内心は十二分に楽しみつつ、プライベートビーチを堪能する)
        ……♪ ♪♪♪
        (鼻歌など歌いながら左手をくるくると動かしリズムを取っている様を見るに、やはり内面は子供らしいものと察することも出来よう) -- ルアージュ 2012-12-26 (水) 00:51:01
      • (ルアージュは普段着のまま水に漬かっている。もう少し平時に布分が多かったなら、現状が水着と言われても納得できる)
        (妖精の習慣や常識に突っ込むことも野暮なので、案外楽しんでいる15cmの小柄な体を、目を細めて視界に入れた)
        (箱庭空間の中で楽しんでいる様は、以前自分が子供用のビニールプールに文句を言いつつもすぐに迎合した過去を想起させ、少々気恥ずかしい)
        もう少し水槽が大きければ、小魚でも買ってきて放してやるんだが。その方が"らしい"からな。
        (ソーダのアイスバーを口に咥え、悪態をついて驚かす)
        (普段は季節感の薄い服装であるものの、今はトップ、ボトム共に丈の短いものを身につけており、格好だけは夏に合わせている) -- シグ 2012-12-26 (水) 01:08:46
      • (パシャパシャとささやかな水しぶきを上げ、波打ち際……のようなものを駆けまわる。言葉をかけられた拍子に砂に脚を取られ、水面にダイブしても表情は喜のもので)
        流石に、水の中では暮らせませんよシグ様
        (機械の羽根に着いた水滴をふるい落とし、口をとがらせる)
        でも本当に良いんですか、シグ様。シグ様も水遊びをなさったりはしないんでしょうか……? -- ルアージュ 2012-12-26 (水) 01:31:13
      • (常夏を模したジオラマと元々薄着なルアージュはよくマッチしている。海遊びに興じる年頃の少女と言って差し支えない)
        何が嬉しくてこの年で無邪気に遊ぶって話だよ。
        いいか人間界の常識を教えてやる。この時期は男女の"つがい"が大量に発生するんだ。
        夏の暑さに当てられたか手頃な安物件で我慢しようとするか、とにかく人間は周囲に合わせたがる生物でな。
        自分にだけ恋人がいないと思い込みから焦り、下らない手段に走ったりする。
        (嫌な思い出でもあるのか、うんざりしたように口を尖らせた)
        とにかく俺は家が好きなんだ。一時の気の迷いが命取りにならないよう、自衛しないとな。 -- シグ 2012-12-26 (水) 21:50:56
      • ……? そうなのですか?
        海の方に行った妖精からは、この時期はシグ様と同年代ぐらいの少年少女を多く見ると……br;(そこまで言った所で、シグの次いだ言葉に押し流されるように耳が傾く。少々深くなった部分に膝を抱えて座って)
        ……は、はぁ。私達は概念や現象から生まれるので、その辺りはよく分からないですけれど……
        ……まぁ、確かに水場は危険が沢山ありますからね。ちゃんとしていないと、歯車も錆びてしまいますし -- ルアージュ 2012-12-26 (水) 22:22:48
      • そうなんだよ。
        (強引に押し切る。後ろ暗い過去の話に飛び火しないよう、口を噤もうとしたところで)
        錆びるのか……。生命体にしては珍しい。
        (水槽の中の、両の羽に触り手入れするルアージュを上から覗き込む) そもそも気になってた。お前たち妖精はどこから来るんだ?
        発生の期限や繁殖の方法も多岐に渡ると聞いている。人間と交わって子を成す種族もいるとか。
        ただどうにも抽象的すぎるんだ。"発生"だとか、"発祥"だとか、命のある存在を現すには不適切な言葉も使われる。
        無知な俺のために、一つ夏期講習として教鞭を執ってくれないか。 -- シグ 2012-12-26 (水) 22:43:50
      • あ、錆びるのはえっと、一般的な歯車です。私はお手入れすれば錆びません!
        (えへんと胸を張って、次いだ疑問には首を傾げ)
        ……? 抽象的、ですか?
        ええと、……そもそも、私達妖精は生命と現象の中間というか……
        精霊よりは安定して物質界に根付いているのですけど、存在として弱いんです。
        雨や風は色々な働きがあって、自然に発生するものですよね? それと同じようなものでして……
        (うーんと首を捻りつつ、自らのイコンでもある歯車型の髪飾りを弄り)
        私の場合は、「歯車で動く機械」という比較的新しい存在総体を象徴する概念の表出した形の一つ、ということ……なんでしょうか?
        (何故か疑問形で結ぶ。自分自身もそう理解が深いという訳ではないようだ) -- ルアージュ 2012-12-26 (水) 23:12:45
      • (理解の外にある部分はあるも、断片的に吸収できる情報から一応納得はいった)
        (著名な学者である母親にでも捕捉してもらえば、もう少し噛み砕いた説明が受けられたかもしれない)
        (が、幼い頃母親に教えを乞おうとした際、子供相手にも容赦なく熱弁を奮い夜が明けたことを省みれば、そんな考えは脳の物置に追いやられた) 生命と現象、どちらの魂のステージが上にあるかとか、宗教分野も混在しそうだからさておき。
        精霊は妖精よりも更に現象に近い部類か。
        世界に動きがあり、概念が認識されるごとに妖精が産まれる、という解釈で構わないんだな。
        新しいということは、つまり未熟なわけだ。人間の手を借りないといけないほどに。 -- シグ 2012-12-26 (水) 23:36:23
      • み、未熟ですけど……色々事情があるんです。本当なら、一人前になってから物質界に来る事になるんですけど……
        (へうー、と変な声を出して、水面に背中を預ける)
        (細かい事情は説明するつもりはあまりない。聞かれれば答えるが、不手際で人間に手間を掛けさせているという事実が消えるものでもない)
        でも、大分安定はして来たんですよー……シグ様のお陰です。えへへ。 -- ルアージュ 2012-12-27 (木) 00:01:51
      • (嬉しそうな声を聞けば、一層表情を硬くした。彼女の素直さが眩しくもあり、時には羨ましくもなる)
        早く独り立ちできるようになれよ。いい加減、お前の顔も見飽きたからな。
        (指の腹で妖精の頭を小突いた。小さな体が水に沈みそうになると、すぐに抵抗して浮き上がる)
        (いつかは、あるいは近い未来に。別離の時が来る)
        (屈託なく笑うルアージュを、無言で促す。一人でも生きる強さを身につけて欲しいと) -- シグ 2012-12-27 (木) 20:59:13
  • Session.3 Private Eye -- 2012-12-20 (木) 23:49:33
    • 季節は冬から春に。
      木々が新緑に芽吹き始め、新たな色を迎えるようになってもなお、二人の関係は凍土のように冷え切ったまま。
      歩み寄ろうとするルアージュをシグルドリーヴァが一方的に拒絶するのだから、改善のしようがない。
      最近はルアージュも諦めたのか、必要以上にシグルドリーヴァに干渉する機会は減ってきた。 -- 2012-12-20 (木) 23:52:55
      • (一人になった自室、今日もルアージュは帰りが遅い)
        (朝に「出かけてきます」と言ったきり彼女は夜まで留守にする。そんな日が数日続いた)
        (件の探し物のために奔走しているなら、手を貸す必要がないと考える)
        (飯と宿を提供する以上の温情を掛ければ、むしろルアージュを助長してしまうことになるからだ)
        しかし、随分嫌われたな。
        (悪いのはこちらの態度だと勘づいてはいるも、仲良しこよしに、という気分には程遠かった)
        あいつは俺のこと、どう思っているんだか。 -- シグ 2012-12-21 (金) 00:02:20
      • (「今日も見つからなかった……」と、そう胸の内で独りごちる。目の前には、此所の仮宿として住まわせて貰っているシグルドリーヴァの自室の窓)
        (恩を受けたのだからそれ以上を要求するなど以ての外という認識ではあったが……家主は随分と気難しい人物のようで、顔を合わせるのも気が重い)
        (こちらの友好的に声をかけたとしてもすげなく袖にされるということが続けば、どうにも気分は沈むという物だった)
        ……でもまぁ、仕方ないですよね。私は迷惑で、お荷物で、勝手に住み着いた闖入者なんですからー……
        (はぁ、と溜息をつき、窓ガラスを軽くノックする。最低限の帰宅の合図として、なんと無しに取り決められた所作であった) -- ルアージュ 2012-12-21 (金) 00:34:29
      • (今更仲を取り繕ったところで、ルアージュが簡単に心を開くとは考え辛い。自分の嘘偽らざる心を表に出し過ぎた弊害だ)
        (柄でもない、と雑念を振り払おうとするも、やはり思考はよからぬ方向へ捻子曲がってしまうのだった)

        (曇った窓ガラスを揺さぶる小さな反響は、すぐに室内に伝達される)
        (いくら小さな体躯でも、勝手口から現れれば家族に見つかってしまうことは必至)
        (妥協案として窓からの出入りを許可したのだった)
        (鍵は開いている。が、質量に見合った腕力のルアージュでは、窓を持ち上げることすら叶わない)
        (軽く窓を開け、中に招き入れてやる)
        ……オカエリ。 -- シグ 2012-12-21 (金) 00:44:09
      • た、ただいま戻りましたぁ……
        (招き入れられ、ぺこりとお辞儀をするがどうにも萎縮してしまうのは如何ともし難い)
        (定位置と化した机の片隅にひらりと滑空し、着地。音もなく光翼を消失させ、機械の翼を畳んでその場に腰を下ろす)
        (こんな事で一人前の妖精になれるのだろうか、と自問自答しつつも、ちらちらとシグの様子を伺う) -- ルアージュ 2012-12-21 (金) 00:56:40
      • (返事をしてくれているならば、まだ可能性はある)
        (会話はコミュニケーションの基礎だ。残念なことに、自分はその基礎を蔑にしてしまったために、深みに嵌まり込んでいる)
        (妖精というファンタジーな存在にしては電子的なプロセスで小ぢんまりと纏まったルアージュに対し、沈黙の後漸く口火を切った)
        毎日毎日精が出るな。一体、何をしているんだ? -- シグ 2012-12-21 (金) 01:01:45
      • (そう言えば、この少年はいつもすげなく自分をあしらう割に、本気で自分を追い出そうとしたことは無かった。迷惑だと思っているのは本心にせよ、それ程悪い人では無いようだが……)
        (一番最初に出会った人間がシグなので、何を考えているかという事に思いを巡らせた所でサンプルが少なすぎ、推測出来ないのだった)
        (と、話しかけられて思わず立ち上がり、直立不動となって)
        ……っは、はいっ。その……シグ様に拾って頂いた時に作った時計が、何処を探しても見当たらないので……
        (勢いのままに口にした言葉は次第に失速していく。失意がそのまま滲む声色で、ため息混じりに)
        ……実は、力を使って何かを作ったのは初めてなので、大事にしてあげようと思っていたのですが……無くしてしまって、あの子に悪い事をしてしまったなぁ、と思って毎日探していたのです -- ルアージュ 2012-12-21 (金) 01:17:45
      • 様はよせよ。
        (渋い顔でそう言っても根気強くルアージュは続けている。家主に対する敬意の表現であっても、ここまでくれば半ば意地にも思える) 時計? あの時の?
        (案外素直な返答に戸惑いつつも、想いを巡らせる)
        (半年ほど前。初めてルアージュと出会った日のこと。彼女が廃品の中から組み上げた時計は、ゴミ捨て場に残されたままだった)
        (少なくとも、あの日は。不慣れな街を小さな体で。時には人に頼り。時には挫けそうになり。時には折れそうになる心を、無理やりに奮い立たせて)
        (既に業者に回収されたかもしれない。物好きに拾われたかもしれない)
        (一縷の希望を託し、想い出の欠片を、必死に求めていたのか)
        (とんだ回り道をして、こんなにも―近くに隠れていたモノを)
        ほら。
        (机の中に収めていた時計を取り出し、乱暴に机の上に鎮座させる。自分にとっては単なる時計でも、小さな妖精にとっては、宝物にも等しい)
        (大切に扱ってやるべきでも、そこまで塩を送ることは癪だった)
        拾ったんだよ。妖精が細工した時計だなんて、好事家が買い上げるかと期待したからな。
        お前に返したおかげで、儲けてやろうという企んがパアだ。
        (鼻を慣らしわざとらしく、自慢げに自嘲する。それでいて不快感を伴わない、爽やかな笑みだった) -- シグ 2012-12-21 (金) 01:41:48
      • (どん、と。小さな妖精には重く大きく響く音。きょとんとした顔で、置かれたものとシグの顔を見比べ)
        ……えっ、あ、え……っ! ひ、拾って下さって、いたの、ですか……
        (回り道をした、などとは思わなかった。ただ、思ってもみなかったというだけで)
        (わざとらしい笑みからかいま見える優しい心根。それだけで、今の自分には充分だった)
        あ、ありがとうございますっ、シグ様!
        (失われたのでは、と思っていたものが、今此処にある。それはルアージュにとって、あの日のシグの優しさを象徴するイコンでもあったと言っても良いのかも知れなかった)
        (目尻に涙を浮かべ、はにかんだ笑みを浮かべて。小さな妖精は、深々と身を折り礼をするのだった) -- ルアージュ 2012-12-21 (金) 01:50:01
  • Session.2 Castle on the Moon -- 2012-12-18 (火) 23:16:30
    • 家族の目をどうにか盗んで自宅の自室に連れ込んだ少年。
      衰弱した少女をとりあえずベッドに横たわらせて一日、次の日には、少女の姿はベッドから消えていた。
      勝手に出て行ったのだろうと胸を撫で下ろすと同時に、礼の一つも言わない不躾さに腹を立て。
      少女がまだ自室内の、しかもベッドの上を占拠していたことに気づく。
      少女は、これぞ妖精というサイズにまで縮んでいたのだ。センチに直せば、15cm。 -- 2012-12-18 (火) 23:20:35
      • ゴミ箱に捨てるわけにもいかず、かといって声を掛けることも憚られた。
        とりあえずベッドを今後奪われることを避けるため、机の上に専用のスペースを用意して、そこに移した。
        眠る少女を運ぶ最中に自分は何をしているんだという空虚な感覚に襲われるも、弱い感情を押し殺し、目的を全うする。

        少女が眠り続けて、今日は三日目の夜。
        少年が統べる居城の窓から、曇雲が途切れて月光が差し込んだ頃。 -- 2012-12-18 (火) 23:26:51
      • (ガラスが通す月光が薄青い陰影を作り出す。外気の冷たさとは無縁の室内と分かり、急速に浮上する意識と反比例するかのように緩慢に、周りの状況を把握していく)
        (現状が一体如何なる状況なのか? という原初にして単純な疑問が首をもたげ、横たえていた身体を起こし目をこすりながら周りを見渡す)
        ……ここは……?
        (口をついて出たのは月並みな台詞。きょろきょろと首を巡らせ、そうしてやっと自分が小さな体躯となっているのに気付く)
        えーと。力が尽きたんでしょうか…… -- ルアージュ 2012-12-18 (火) 23:31:55
      • 俺の家だ。
        (椅子に腰掛けた少年が投げやりに返事する)
        (部屋の内装は一般的な男子学生としての佇まい、本棚や衣類のクローゼットのほか、一通りの辞書や参考書、図鑑なども取り揃えてある)
        (教育が当たり前に受けられる、少年が人間界の基準に照らせば比較的裕福な環境にいる人間だと伺えるはずだ)
        やっぱり無理やりにでも閉め出すべきだった。何が嬉しくて、ちんちんくりんの虫モドキを毎日観察しないといけないんだ。
        (渋い顔で悪態ばかりが続く。少女を忌避するかのような発言は、少年の本心からのものであるのだろうか) -- シグ 2012-12-18 (火) 23:57:25
      • ちんちくりんの虫もどきじゃないです、妖精ですよ!ちゃんとルアージュって名前があります!
        (ひねた言様につい言い返し、そうして何があったかを思い出す)
        (同時に、自分が気を失っていた間に何があったかも少年の言葉から察せられて)
        あ、あぅ。いえ、その節は本当にお世話になりましたけど。ご迷惑おかけしてごめんなさい……
        (すぐに眉をハの字にしてぺこりと大仰に、と言っても妖精サイズなので、シグルドリーヴァからすればちまりとした所作に見えるがお辞儀をする)
        本当にありがとうございました……とりあえず動けるぐらいには力は回復したと思います
        (背の機械の二翼を動かし、身体の様子を確かめるようにしながらそう続けた) -- ルアージュ 2012-12-19 (水) 00:04:10
      • 今時の妖精は人間等身大の大きさになれるのか?
        (机に頬杖を附く。珍しいものが多い街だが実際に妖精を目の当たりにしたのは始めてだ)
        (妖精は警戒心が強く、一部を除いて人間と共存しようと心を開く種族は稀だと聞く)
        その……ルアージュが、人間の世界に現れたワケか。人間の力を借りる、とか言ったな。
        (おぼろげな記憶を繋ぎ合わせ、数日前を反芻する)
        俺はここ数日、お前のおかげで無意味に神経を尖らせて生活したんだからな。
        恩を感じているなら、礼も言ったことだし早々と消えてくれ。妖精を好む人間なんて、すぐに見つかるさ。
        (多少委縮した様子のルアージュにも構わず、言葉を続けた) -- シグ 2012-12-19 (水) 00:15:07
      • (突然倒れて担ぎ込まれ、数日面倒を見てもらっていたのだ。迷惑に思われて当然と言えよう)
        (背の羽根は心情を表すように垂れ下がり、今にも泣き出しそうな表情で悪罵の言葉を聞く。しかしそれも詮無いことだと自分を納得させて、身を起こしたままだった姿勢を立たせる)
        ……本当に、ごめんなさい。
        (再度深く頭を下げ、くるりと踵を返す。以前少年が見た紫の光翼を音も無く発生させ、ふわり、と宙に踊り出、振り向く)
        お世話になりました、名も知らない優しいお方。ご恩返しにもなりませんが、立派な妖精になります
        (無理をして浮かべた笑顔で、そう言った) -- ルアージュ 2012-12-19 (水) 00:43:16
      • (俯いて、世界の終わりが来たかのように唇を噛むルアージュ)
        (罪悪感がゼロだと言えば嘘になる。しかしこれでいい。これで明日から平穏な毎日が―)
        (自分の中に自虐と鬱屈を沈殿させる苦痛に満ちた日常が戻ってくる)

        (かつて父は言った)
        (助けを求めている人間が目の前にいたとして、力及ばず『何もできない』ことは弱さではない。真の弱さは無関心を装い『何もしない』ことであると)
        (父が医者になった理由に起因するらしいが、既に反抗期と中二病を発症していた自分は気にも留めず、聞き流したものだった)

        (ここでルアージュの手を払いのけてしまえば、自分も弱い人間になってしまうのか)
        (もし自分に立ち上がる機会と可能性が許されているのならば、今がその時だ)

        待てよ。
        (半分開いた窓から身を乗り出したルアージュの小さな背中に届くよう、わざと声色を張り上げる)
        そんなありきたりな謝辞じゃ足りないな。せめてあと二日……そう二日分だ。
        (月光は依然変わらず、二人を捉える。立ち上がった少年の影は室内に広がり、ルアージュの影と対峙した)
        (ありふれた映画のワンシーンのように)
        俺に恩返しをしてから、出て行ってもらう。 -- シグ 2012-12-19 (水) 01:06:13
      • (かけられた言葉に反射的に飛行を止める。果たしてどのような原理か、浮かんだままその場にとどまり、恐る恐るという風情で振り向いて)
        (果たしてこの人間が何を考えているのか、今のルアージュに推し量る事は不可能である。が、しかし)
        (月光が二人の間に差す。幻想的な風景の中、え、と小さな疑問の呟きが)
        あ、……は、はい! よろしく、お願いします……!

        (それが、本当のはじまり) -- ルアージュ 2012-12-19 (水) 01:29:59
  • Session.1 Dragontail Butterfly -- 2012-12-16 (日) 23:28:14
    • 10月。夏に近くもあり、冬に近くもある、正に秋といった風情のある季節。
      そんな日、次第に冷たさを増しつつある街に吹く風は、少年の荒涼とした胸中を象徴しているかのようだった。
      密かに憧れていた近所のお姉さんの婚約の報告を聞いたとか。
      賭博に負けて一月分の小遣いを吹き飛ばしたとか。
      自分より五歳も下の妹の研究結果が認められて遠方の国からオファーが来たとか。
      兎に角全てが面白くなかった。
      元々自分の人生を儚むことは多いが、この日は特に。 -- 2012-12-16 (日) 23:28:43
      • 一つ、溜息を吐く。学校が終わり、これから自宅に戻るからだ。
        特に家族が嫌いなわけではない。単に自分が勝手に壁を作って遠ざけているだけだ。
        子供から見ても出来すぎている両親を持ち、その庇護に甘んじている自分という存在が、酷く矮小で愚かに感じられる。
        16歳の少年にとって、卑屈になるのは十分な理由だった。 -- 2012-12-16 (日) 23:34:32
      • 無為に時間を潰し、既に周囲は薄闇が広がっている。
        流石にこれ以上帰りが遅れると父にドヤされることは想像に難くない。
        面倒を引きこむ前に、適当に見切りをつけ、また一つ溜息を漏らした。 -- 2012-12-16 (日) 23:37:34
      • そんな中、見慣れたはずの風景に違和感を覚える。
        大型の粗大ゴミ(主に電化製品を指す)を纏めておくため道路脇に設営された空間に、明らかに異質な存在が紛れている。
        人間にしては過剰に華奢な四肢。
        背中から生える、無機質で機械的な二枚の羽。
        造り物めいたほど整った眉と、開くことを拒むかのようにきつく結ばれた瞳。
        しかしながら。女の子の形をした"それ"は、無造作に置かれた機械たちとの調和を乱すことなく。
        反対に並ぶ機械が彼女の従属物であるかのように、頭を垂れているように、捉えられた。 -- 2012-12-16 (日) 23:52:11
      • (一人前になれと送り出されて人間界に来たは良いが、何をどうしたものかは見当もつかないまま数日が過ぎていた)
        (機械の権能を持つと言っても一人前には程遠い、生まれてすぐの妖精である。世間知らずのままに彷徨い、気付けば光翼も出せぬ程に疲れ果てている)
        (せめてもの休息として、打ち捨てたれた機械の山に身を横たえている内に、我知らず寝入っていたらしい)
        (何か、運命めいた見えぬものに導かれるように、妖精はその両の眼を開いた) -- ルアージュ 2012-12-17 (月) 00:36:07
      • 起きていたのか。
        (ばつが悪そうに少女を眼下にした少年が呟く)
        (少年の年の頃はそう少女と変わりはなく見えた。少女が普通の人間であるならば、だが)
        じゃあな。忠告するとそこはゴミ捨て場だ。気持ちよく寝るなら宿でも取るんだな。
        (我関せずと背中を向ける。はっきりとした拒絶の意思があった) -- シグ 2012-12-17 (月) 00:51:32
      • (こちらに来て初めて出会った人間からかけられた言葉は、ひどく冷淡なものであった)
        (遠ざかる背中に目をパチクリさせ、次いで周りの機械を見回す。確かに、言われた通りゴミはゴミなのだが)
        ちょ、ちょっと待って下さい! 今はこの子達はお役に立てない物ですけれど……でも、全部が全部ゴミだなんて、そんな事無いです!
        (なけなしの力を振り絞って、機械の翼を持ち上げる。り、と清涼な音の響きで、薄く紫色に輝く大小二対の光翼が広がる)
        (機械達に仕込まれた歯車が周り始め、差し出されるように、中空で部品同士が組み合って行く) -- ルアージュ 2012-12-17 (月) 01:06:07
      • (大方、見捨てることへの罵詈雑言が投げ掛けられるものだと思っていた)
        (それで済むなら簡単なこと。八方塞がりにある自分には他人に気を回す余裕はないのだから)
        (だが、次の言葉は自分を糾弾することより、周囲の不要廃棄物をゴミとして扱ったことへの不満が含まれていた)
        (予想から外れた振る舞いは他にもある。同時に行われるパズルを組み上げるかのような所作は、気を引き足止めさせるには十分なもので)
        今お前は何をやった? 魔法とは違う、人間なのか?
        (少年は自らの水色の髪ごと頭をガリガリ掻く。状況に、頭が追い付いていない) -- シグ 2012-12-17 (月) 01:17:58
      • (果たして、少年の見る前でがらくたは寄り集まり、噛み合って、次第にその形を明確な物にしていく……やがて出来上がったのは、甲鈑むき出しの外装ではあるが、それと解る程度に整った形の置き時計がひとつ)
        (辺りの粗大ごみは、役目を終えたとばかりにばらばらとその形を崩れさせて行く。その真中で、満足げに笑う少女)
        人間じゃないです、妖精です。歯車の妖精です!
        一人前の妖精になる為に、人間の方に手助けをしてもらう為に人間界にやって来ました!
        ……んですけど、行き倒れて居た所、でして……
        (そこまで言って、思い出したかのように足元をふらつかせる。べちゃ、と内股で地面に座り込み、少年を見上げて困り顔を向けた)
        ……ちょっと、力を使いすぎちゃったみたいです -- ルアージュ 2012-12-17 (月) 02:08:33
      • (歯車の音色を響かせ、駆動が完了する)
        (少女の導きにより構成された置き時計は、既成の新品扱いするには武骨で、素人の習作と呼ぶには卒がなさすぎた)
        (人間が操るには過ぎた奇跡の業を成した少女は、妖精であると語る)
        (一人前の妖精? 人間に手助け? 行き倒れ?)
        (言葉を聞いても理解するにはまだ遠くも、辛うじて少女の願いは飲み込める)
        (この少女は、助けを求めているのだ)

        (頬に冷たい何かが触れた。曇った夜空は遂に堪え切れず、大粒の雨を零し始めたのだった)
        (当然雨の滴は少女へも容赦なく襲い掛かる)
        (少女の頬を伝う濡れた粒は、涙のようにも見えてしまい)
        (少年の判断力にノイズを挟み込んだ)

        ……くそっ、俺は面倒が嫌いなんだ! 寄り道せず帰ればよかったぜ!
        (濡れ細った少女の肩を抱き、強引に抱える。幸いにも自宅までの道はもう数分もない)
        (家族には内緒で自室で匿い、明日にでも叩き出してやろう。妖精にも世の中の厳しさを知ってもらおう)
        何も喋るな。これ以上厄介事を俺に持ち込むな。今日は黙って寝床に入れ、以上だ!
        (確かな体温を感じながら、少年はひとまず、帰路へと着く)

        (この先に待ち受ける、妖精との奇妙な同居生活など、知る由もなく) -- シグ 2012-12-17 (月) 02:31:53
  •     
  • 霊圧できたら点呼! 当方はコメント欄を設置しません! -- シグ 2012-12-15 (土) 16:51:54
    • まだ意識が起き切ってませんがー……ってまじですかー!? -- ルアージュ 2012-12-15 (土) 22:23:52
      • 何故なら妖精さんと遊ぶだけで割と完結しそうだからです!
        外部交流する場合は、多分こちらのコメント欄でウィザウチュナイすれば足りるし…
        あ、でも相談用のコメント欄は設置しようかな -- シグ 2012-12-15 (土) 22:27:47
      • あぁ、確かに……あんまり個別コメント欄って使いませんもんね
        ではこちらをRP用共通コメ欄として、相談コメの設置はお願いしてもよろしいでしょうかー? -- ルアージュ 2012-12-15 (土) 22:30:05
      • はいどうぞ 明日は一日選挙で拘束されるので夜9時頃まで霊圧はありませんと先にお伝えします
        そして明日は朝6時に起きるので大分今日も早くに退散しそうです -- シグ 2012-12-15 (土) 22:37:13
      • あぁ……オゥ……お疲れ様です。
        では今日はRPとかはそこそこに設定詰めとかその辺をダラダラしましょうか。とりあえず相談コメに移動しますー -- ルアージュ 2012-12-15 (土) 22:41:19

Last-modified: 2012-12-27 Thu 20:59:13 JST (4138d)