北西の魔導王国跡 †
遥けき時、栄華を誇った高度な魔法文明国ベルチア
しかし、黄昏歴に魔導師たちの姿は無い
黄金歴も終わる頃に大災厄*1に見舞われた結果、
国土の大部分が、あらゆる魔力や奇跡の存在しえない
虚無の地となり果てたため、
彼らは故郷を遺棄*2せざるを得なくなったのである
今日においてもこの領域に入り込めば
魔法構造物はただのガラクタと化し、魔法生物は生きられない
神霊も悪魔も、その存在を維持できなくなったり、
あるいは何の力も持たぬ、ただの人や獣と等しくなってしまうという
この国のシンボルでもあった向日葵は
灯の消えた地で ただ静かに、その花を咲かせている
王都ニューベルチア遺跡
フィーニヌイ地方 †
真祖(ヴァンパイアロード)を倒した「夜明けの騎士」伝説が残る北方辺境の地
太古の昔、この地にある古城では 吸血鬼を滅ぼすための
合成人間の研究が長きにわたって続けられていたという
もっとも、ここ数世紀の間に気温が下がり続けたため、
200年程前から住人の姿は確認できていない
そのため、体長10m以上にもなる雪の長虫や、
それを捕食する巨大熊の楽園と化しているので、迂闊に侵入しない方が賢明だろう
フィニーの古城を臨む
レオスタン †
分裂と統合を繰り返しつつも、茫漠たる砂漠を統べる連邦国家は健在である
この世界における汎人類生存圏が狭まりゆく中にあっても、
11,000年以上の歴史を刻み、豊富な鉱物・化石燃料資源を持つ機械文明は歩みを止めない
アル・タイル州、アル・ケミー州、ルウルワ州、ナジャ州など
いにしえから続く都市国家の他に、
1柱の機械天使の名を冠したアル・マロス州といった新興の州がいくつか確認されている
レオスタン連邦 アル・マロス州の工業都市
茸人街 †
酒場の街、冒険者たちの街、ほど近くに巨大遺跡のある街……などと呼ばれた都市から
南に数日行ったところの山間部に位置する
非常に難解で、発声の困難な「茸語」を操る茸人*3たちが築き上げた街
ひとくちに茸人といっても、多くの種族があり、姿形も性質もまちまちだが
茸語を発達させることで相互の意思疎通を可能にしてきた経緯がある
とはいえ、近年では大抵の茸人に「共通交易語」が通じるので、
茸語を扱えない者にとっても、言語の壁は薄いといって良い
林業や製薬業などが盛んで、異種族間医療学会が置かれている
また、人間をはじめ様々な種族との交易も行われており、
それほど大きな都市ではないものの、賑やかな処である
茸人街正門
霧深き森 †
悠久の時を生きるダークエルフたちの里エルフィンプライムが在る森林地帯
年中濃霧が覆い、方向感覚を狂わせる天然の要害
案内無しに里に到達するのは難しいものの、
迷い果てて命を落とす者がいた、という話は聞かない
里の住人たちは旅人や来訪者に対し 基本的には親切であり、
救いの手を差し伸べるのを厭わないためだ
かつては彼女たちダークエルフの持つ「暗黒に近い魂」を求める
危険な屍竜(ドラゴンゾンビ)が闊歩していたが、
駆除され尽くしたのか、その姿を見ることはなくなった
束の間の霧晴れ
灰鷲騎士団領跡 †
北東の辺境、屈強な騎士団鎮護の地であったが、
いつしか歴史からその姿を消してしまった
矛盾の魔王に呑まれたとも、疫病の流行によるものである ともいわれるが
原因はよく判っていない
いまや資源に乏しいこの地を治める者もおらず、
ただ朽ちてゆくのみ となってしまっている
……はずなのだが、無人の城郭に大量の灯を見た、という者もいるという
彷徨える霊でもいるのだろうか
バッドランド †
1000年ほど前、ここは磁場異常や信号・感覚の喪失を誘発する
飛空艇や鳥の飛べない荒野、といわれていた
現在ではその影響も薄れ、航行可能となっている
岩石と砂以外にも、灌木や河川、沼地などもあって蜥蜴人たちの集落が無数にあり、
黄金歴以前のものとおぼしき未解明の遺構なども見つかるという
ちなみに、ここにしか生息しない砂漠ガニは珍味であり、捕獲に来る者も多い
蜥蜴人との交易で手に入れることも可能だ
ただし、全長10m以上にもなる砂の長虫や
俊敏な巨大サソリ、獰猛な巨大トカゲなどには警戒を要する
地底湖「暗黒の鏡」に通じる転送門のひとつ
東亜 †
扶桑、豊芦原之水穂国、日ノ本、ヤマト、ジパング……etc.etc.
これらの名が同一の国・地域を指しているのかは定かではない
ただ、東にかなり行ったところにある東域に
サムライやニンジャといった特殊なクラスを擁する神秘の国があるという
住人は概ね人間であり、肌は桃色がかった白や黄味を帯びた白
髪は艶のある漆黒であることが多い
ヒヒイロカネという合金の精製加工技術を保有しており、多神教が根付き
魔術も科学も特異な進化を遂げている
また、鵺や超巨大骸骨など、この地方特有の魔物も数多く見受けられる
日出づる処にある京(ミヤコ)