| 名前 | 阿地 桃李と書いてあじとうり |
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性別 | 女 |
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年齢 | 88 |
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出身地 | 東の果ての島国 |
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職業 | 良く言えば武芸者 |
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理由 | 人探し |
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企画 | ForAfter |
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声 | じゅうななさいII世 |
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曲 | 夜明けの歌 オトナノススメ |
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行動方針 |
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RP傾向 | 一人遊びと……あとなんか適当 |
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好み | 鍛錬、食事、かわいいもの、髪いじり |
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苦手 | ガラの悪いならず者、他人を視ること、毛虫 |
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| いる・いないのひみつ | |
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おさんぎょう †
- 元弟子を訪ねて世界を廻る半妖が
- 妙な奴らがやたら集まる街に
- 逗留して網を張る
おこめ †
新年度を迎えるにあたって衣替えでもするか。はいからさんとか
おろけーしょん †
+
| | 秒数に従う必要などない ないのだ
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秒数下一桁 | ロケーション表 | 0 | 昼の猫目亭 | 食事したりマスターや客と談笑したり。なにしろ長逗留なので顔なじみも多い | 1 | 市場 | 道行く人を抜け目なく観察しながらおいしいものを食べ歩く。初志は忘れないがそれはそれとして腹は減ります | 2 | 公園 | 稽古したり大道芸を披露したり人探しをしたり。たぶん昼間はだいたいここにいるね | 3 | 商店街 | 生活品を買い込んだり人探しをしたり。こういうところは競争やショバ代徴収が激しいので芸はやらない | 4 | 鉄火場 | 情報収集のためですよバクチはしませんよ。桃李さんは勝っても負けても大きく値動きはしない | 5 | 部屋 | マスターに「先生なら部屋にいらっしゃるんで上がってくだせえ」なんて言われたんでしょうね。勝手に和風な改装してるぞ | 6 | 夜の猫目亭 | 狭い店内にごった返す酒飲みのボンクラ共に混じって酒飲んでる | 7 | 夜の裏通り | こういうところで探してた人にばったり会うかもしれないのでたまに散策する。辻斬り?しねーよ! | 8 | 大通り | やくざ者同士の縄張り争いが激しいからこそ生まれる緩衝地帯。こういうところに大道芸人は集まる。当然桃李さんもいるぞ | 9 | 酒場 | 大道芸でうまく稼げないときは参加できそうな依頼がないか探す。ここにいるってことはカネに困ってるってこと、つまり頼み事チャンスだ! | ゾロ目 | 自由 | どーにでもなーあれ☆ |
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ログという名の古いコメ
桃李>FA/0004 &color(#465DAA){松永グンジョー};
おぐらふぃてぃ †
またしてもスッして描いてもらったちょい幼めの私
>私の絵は大体チンポ見せたときの反応の顔で描いてるよ
「……ふふっ、パンパンになったそいつをこの私にどうして欲しいのかな…?口に出して言ってもらわんとわからんのだがな♥」みたいな感じですねわかります
スッにいてもたってもいられず立ち上がったら頂いたデッドムーン・オン・ザ・レッドスカイな私 一番恥ずかしい髪型をチョイスされた……ッ!!
酒場でスッして頂いたミステリアス美人な私 それは秘密です♪とか教えてあげませんとか言いそう むしろ言う
スッ募マンがやってくれたカワイイヤッターな私 私かわいくない?アラナイじゃない?
自分で描いた見た目説明用のやつ
おらいれき †
国許の武術界隈では「卑怯剣法」「邪流」として知られる異端の流派・八ツ墓流を振るう女武道
八ツ墓流宗家代理として杖を取り、門下生に指導をする立場にあったが、後継者に代を譲ったのを契機に道場を離れ
かつて自分の制止を力づくで振り切り、国を飛び出してしまった男を探す旅に出る
以後数年間は当て所もなく放浪していたが、ある日「あらゆる種族、国籍、前歴の者が集う冒険者の街」のウワサを耳にし
加えて、最近またその街に人が集まりだしたと聞きつけるに及び、目的の人物に出会える可能性を信じて街にやって来た
おせってい †
- なんかめんどくさいなこいつ
- 身長166cm体重54kg 上から75・54・77
- 宿屋住まい
- 大通りから細い裏道をいくつか入った下町にある「猫目亭」という店の二階に住んでる
この街から離れたところにある、創業は黄金歴前期という老舗の食堂から数代前に暖簾分けした支店らしい。わりとどうでもいい
- 昼は喫茶・軽食、夜は酒場、副業で宿屋というなかなかマルチな店
シーフードピラフとタコスがおいしい
+
| | マスターについて(どうでもいい)
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エドゥアルト・ロマーノ8世 171cm59kgの27歳
CV前野智昭で時代劇の小物みたいな口調で話す、三角巾がトレードマークのお調子者 暴力と権力と女房に弱い
上昇志向の強い女房に王都進出を再三促されているが、地元が好きなのでここに関してだけは聞く耳持たない
得意料理はマカロニグラタンだが、桃李さん曰く「注文して出てくるまですごい長い」とのことであまり出ない
グラタンに限らず、こだわればこだわるほど際限がなくなるタイプなので
本当に好きに作らせると一品できるまでに半日とか余裕でかける
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- 半妖
- 「アジ」という妖怪の血が入っている
- 頭部が馬そのもので、人の心を読み、夫のある女房を手篭めにするのが大好きというとても迷惑な妖怪
- 桃李は馬ヅラではないが、馬に特有の月毛と呼ばれる毛色を持ち、尻には馬めいた尾が生えている
- 若作り
- 阿地家は半妖基準でも長命なほうの一族で、だいたい300年ほど生きる
- 100年も生きてない桃李は一族基準だとまだ若造の部類
常人で言うと20代くらい
- 年寄りくさい
- 二言目には「若いものには負ける」とか「年を取るとこういうのが」とか言う
- 口で言ってるだけで好みは小娘相当のものが多い
- ぬいぐるみとか好きでいつもだいて寝てたりもする 部屋にもいろんな動物やキャラクターのぬいぐるみがあるぞ
- 実際は女だてらに武術家として生きていく上で頑張って作ったキャラに過ぎない
- 年嵩だけ食ってて素はわりと小娘なので動揺した時なんかは素が出るぞ
- 倭国出身
- イメージとしてはそのまんま江戸時代の日本 各地方を「殿様」が統治し、彼らを統括する「ショーグン」が事実上の国家元首として差配する
エンペラーはいるけど桃李みたいな庶民にはあまり認知されてない感じ
- 現在鎖国中であり、海外への渡航は厳しく禁じられている
- 桃李さんは国抜けやらかしてるので倭国に戻れば即打ち首モノ
- 酒飲み
- 鯨飲馬食と言うが、馬の半妖のくせに食べるのはそんなでもない
- 飲む方は生まれてこの方飲み比べで負けたことのないザル
- 糸目
- ちゃんとものは見えている
- 視力はあまりよくないので本を読む時なんかは眼鏡着用。いとめがね。
- 視線をどこに定めているかわかりにくい
- カンのいい人なら「人の顔、特に目を見ようとしていない」ことがわかるかもしれない
- 髪型を変えるのが趣味
- 少しいじるだけで気分がガラッと変わるんだ、とは本人の弁
- たまに昨日までショートだったのが次の日にはロングになってたりする
理由を聞いても「気功の力だよ」としか言わない
- 手品も趣味
- 八ツ墓流の裏技は「相手の虚を突く」ことが妙であり、手品はそのいい鍛錬になるため
- 主な収入源は大道芸
- 鍛えに鍛えた八ツ墓の技を用いたショーをやってお金をもらう生活をしている
おやつはか †
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| | 長い上にどうでもいい!
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初代宗家・金田一英輔が、国内の様々な武術を学び歩いて編み出した天銀流杖術を祖とする流派
当初は名前通り杖術のみ伝えていたが、九代目宗家・金田一日兆により暗器術が加えられ、この際に
「自分が真の天銀流の極みに至るまで、八人の尊い犠牲があった」として、彼らの功績を悼む為に流派の名を八ツ墓流に変えると宣言した
当然、他の天銀流の門人や金田一家の縁者は激怒して、日兆の思い上がりを正さんとしたが、誰ひとりとして彼に勝つことができず
結局、反対派が別に天銀流を興して分派するという形で決着することとなり、今に至っている
先に述べたように、杖術と暗器術を同時に扱う流派であり、門内ではこれらを「表技」「裏技」と呼び、どちらも等しいものとして扱う
公式の試合などに呼ばれた際は、表技のみのまっとうな杖術(卑怯剣法の通り名に反し、この表技の技術は至って正統派である)を振るうが
こと果し合いや仇討ち助太刀辻斬り出入りにおいては、その表技の間隙を縫うように悪辣な裏技を用いて臨むため
「命の取り合いになるとやたらと強い実戦的な流派」として、動乱の時代などにはテロリストまがいの志士達から大変に人気があった
政情が安定している現宗家・金田一十郎の時代においては
「時代物の芝居で悪役がよく使う卑怯くさい剣術」というネガティブなイメージがつきすぎたせいで市民からの印象は悪いが
当の「時代物の悪役」のファンが、実在の流派であったことを知り門を叩いてくるなど、現代でもそこそこの活気を保っている
余談になるが、宗家の金田一家は代々妖怪退治を流派運営の傍らで精力的に行っており
初代英輔をはじめ、そちらでの負傷がもとで死亡している当主や子弟も多い
杖術も暗器術も対人に特化した技術のため、彼らが如何にして巨大かつ強大な妖怪を制しているかは不明であり、関係者も一様に口を閉ざしている
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| | やつはかりゅうのひみつ
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表技と裏技を存分に修めた高弟にのみ伝授される「生気」という技法が存在する。「生気」と書いて「しょうき」と読む
文字通り生の気、つまり生命力を消費して魔力や気功のような「別のチカラ」に変える技術であり、理論上この変換には限界が存在しない
変換量によっては己より遥かに強大な存在をも打倒することも可能だが、生命力を消費する以上、尽きた瞬間に術者は死亡する
軽く消費した程度であれば飯食って寝ていれば回復するが、生気の放出量は調節が難しく
安易に使用すると一瞬で生命力を変換し尽して死亡する可能性もあるため
「修行を積み、己の心身について熟知し、無謀な戦い方をせず、命を粗末にしない」と師に見込まれたもののみが伝授を許される
八ツ墓流の者がこの技法を外部に漏らさないのは「うかつに扱うと死ぬ」という一点に尽きており、他人の前で披露することすら忌避する
また、生気は他人に分け与えることも可能であり、これも術者の変換量次第では理論上死者の蘇生すら可能である。当然術者は死ぬ
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| | 「き」ってなーにー?
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いわゆる気功術のこと。八ツ墓流とその分派である天銀流において、気には三種類(対外的には二種類)あるとされている
- 精気
- 「しょうき」と読む。人のみならず、天地万物に宿る精神の力。
他者の気を吸い取ったり、逆に分け与えたりといった、同調的な技能が多い。気の色は青
- 正気
- 「しょうき」と読む。術者個人の感情の力。
おそらく一般人が「気功」と聞いて想像するような、ビーム撃ったり傷を癒やしたりといった技能が多い。気の色は黄
- 気炎
- リリネにコツを習って会得した、正気に火の気質を加える技法 気功というより魔術に近い
そのまんま炎として発露させたり、ちょっと明るくあたたかい正気として発露させたり、火力はわりと応用が効く
- 生気
- 「しょうき」と読む。術者個人の命の力。秘匿される第三の気
上二つの技能を内包した万能の力だがさじ加減を少し間違えると死ぬ。気の色はドス黒い赤
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| | すてきなかくしぶき
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- 寸鉄
- 暗器と言えばこれ、というくらいメジャーな暗器。メリケンのように握り込んで握力を増強させたり、尖った端の部分で突いたりする
- たしなみとして持ってはいるが女の細腕ではあまり威力も出ないので使わない
- 鉄扇
- これも暗器界のビッグメジャー。扇面も鉄製で刃がつけてあり、投げるとスリケン代わりにもなる
- 仕込みキセル
- 見た目を大きめのキセルに模した、火皿に火薬を、吸口を取り外した銃口に鉛を詰めて撃つホイールロック式の短筒
- いちおう煙草を吸うこともできるが桃李は喫煙習慣がないので吸わない
- エビナにあげたのでもう持ってない
- クナイ・ダート
- 言わずと知れた投擲武器。袖の内側に常に数本仕込んである
- 八ツ墓流内の使用率はスリケン派が8割でクナイ派は2割ほど 桃李はクナイ派
- 爆竹
- 火薬を詰めた竹筒。キセルに詰める用だが発破としても使える 黒色火薬なので威力は低くやたらうるさくて煙い
- 手槍
- 見た目は直刃の刀だが、引き抜くと刃は短く、鞘に柄を差し込んで槍が完成するという変わり種
- 発想が面白かったので買ったけど使い道がないし重いので宿に置きっぱ
- 鉄鎖
- 先端に留め金のついた細めの鎖。袖にしまうには重いので懐や袴の裏に仕込む
留め金に分銅やクナイ・ダートを装着して投げたり、制圧した敵を縛り上げたりするのに使う
- 子燕丸
- 「しえんまる」と読もう。愛用の杖に仕込まれた少し小ぶりの直刀。
神鉄製の逸品で、桃李は滅多なことではこれを抜かない
- 神鉄とは、神に操を捧げた童貞の神官が
金山彦から授かった鉄鉱石を、火之迦具土から授かった炎で溶かし、水波能売から授かった水で冷やし固めることで産まれる、名前も役割もない一柱の神であり、
加工して名前を与えることで役割を持った八百万の神の一となる、文字通り「神」である「鉄」。
当然生半に作れるものではないが、なんか桃李さんは持ってる
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おはなしとうりさん †
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| | はじまり
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やあ、また君か。倭国の取材だか知らんが、まぁよくも飽きもせず毎日通ってくるものだ。
私?私はここの二階に部屋を借りているからな、夕食を摂ろうと思えば下に降りてくるのは当然だろう。
私も故郷を離れ、色々な店で食事をしたが、宿の食事としては上位に入るね。酒に力入ってないのは残念だが……
まぁマスターへのべんちゃらはこんなものにしておこう、どうせ調理に忙しくて聞いとらんだろうし。
それで、今日は倭国の何について聞きたい?しょせん役人でも武家でもない一般市民の知り得る範囲でしかないが、私にわかることならなんでも……
なに、私のこと?何だそれは、口説き文句か?
……頬を染めるな、頬を。すると何か、取材云々も口実だったというわけか?
だから頬を染めるなと言うのだ可愛い奴め
まぁ聞きたいと言うなら話してやるが……私はこう見えてけっこう長生きでなぁ。一晩二晩ではとても語り尽くせん。
今日のところは日を改めて……そうだな、何日かかるかわからんが、君が最終日まで聞き終えたら想いに応えてやるとしよう。
私は酒の相手をしてもらえる、君は本懐を遂げられる、ついでにマスターは客が増えて儲かる。うぃんうぃんというやつだな。
それでいいか?…………よし、決まりだな。じゃあまた明日な、明日
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| | しょにち
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まず、私の話をする前に、私の家について話しておくとしよう。阿地家縁起とでも言っておくかね。
えー……昔々、倭国のあるところに、アジという名の妖怪がおりました。
いきなり妖怪が出てきて悪いか、我が家に代々伝わるれっきとした家名の起こりだぞ?失礼な奴め
まぁいい。それでだな、このアジというやつは体は人間、頭部は馬。人の心を能く読み、
力は弱いがその読心術で捕方からまんまと逃げおおせ、夫のある女房がいる家に夜な夜な入り込んでは夜這いをかけるという――
――ええい、いちいち話の腰を折る奴だな。私に文句言われても知らんよ。そう伝わっているんだから仕方ないだろう
で、その君が言うところのゲス野郎な私のご先祖様は、ある日いつものように人妻の住む家へと侵入したんだ。
ところがどうも様子がおかしい。アジは旦那が寝ているそばで女房を犯すのが大好きなのに、この家には女房一人っきりだ。
行灯の火皿にはホコリが積もっているし、洗濯物も土間に山積み。
これはちょっと夜這いの前に説教してやろうと、女房の布団をひっぺがしてやると、なんと女房は蹲って泣いていたんだ。
自分がそんなに恐ろしかったか?と自問するアジだったが……まあ夜間の闖入者、しかも馬頭の妖怪が何をか言わんやという感じだが
女房は違う、と。あなたが怖くて泣いていたのではない、
この世に生きるのが辛くて、もう死んでしまいたくて、でも死ぬのが恐ろしくて、
何もできずただ布団の中で泣いていたと言い出した。
聞けばこの女房、生まれたときから両親の顔も知らず、引き取られた先で邪険にされて育ち、
幼馴染だった夫は兵士にとられたまま帰って来ず、
彼との間にできた一人息子の笑顔と成長だけを心の頼みに夫の帰りを待っていたが、去年流行病で亡くしてしまった。
それでも夫だけはと思い待ち続けていたが、先日お城から遺髪と見舞金が届いた。
私にはもはや生きる甲斐も何もない、と。そこまで語り終えてまた泣き出す。
さあここでアジの心は燃え上がった。怒り?義憤?同情?案外欲情かも知れんな。
まぁ燃料が何だったかは知らんがね、とにかく奮い立った。
よしわかった、と。俺っちがお前さんに丈夫な赤ん坊をくれてやる、だからどうか死ぬとは言わず、その子を励みに生きてくんな!
大見得切ってしかめっ面で、ニラミを利かせてキメにキメた!ばばーん!!
……多少のアレンジは入れたが、まぁそんな感じのことを言ったんだろう。女房がこんな化け物の告白をまともに受け入れたかどうかは知らんがね。
とにかくアジはこの女房が孕むまで足繁く夜這いを続け、
女房も妖怪相手とは言え他人との交流を重ねて生活にハリが出たんだろうな、徐々に元気になり、昼は働きにも出られるようになった。
そんな生活続くうち、にわかに女房産気立ち、馬は産婆を呼びに行く。
うんうん唸って力んでゆるめて、難産続けたその先に、しっぽのある子がおぎゃーおぎゃー。
アジもにっこり微笑んで……馬の笑顔ってなんだ?まぁいいか。
とにかくアジも、おれっちの役目は終わったみてぇだな、また別の新しい女房に夜這いをかけに行くかね!なんて言って、
子供を抱いて喜ぶ女房にたてがみ引かれつつ家をあとにし、二度と現れなかったそうな。
……うん、この子供が成長して、我が阿地家の初代、阿地之源となるんだ。
之源は幼い頃から野山に親しみ、草花に興味を持ち、長じてのち腕の良い薬師になったという。
その腕を見込まれて御典医になった際、顔も知らぬ妖怪の父の名から名字をつけた、と。そんな話が伝わっているな。
さ、ずいぶん長くなってしまったが今日はこのあたりにしておくか。また明日おいで。
……なに、私の話なのに私が一切出てこなかった?だから「私の話をする前に」と言ったろう。
私の出てくる話は明日な、明日
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| | ふつかめ
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やあ、性懲りもなくまた来たね。私もちょうど降りてきたところだ……あっマスター、梅サワーとタコス。ワカモレのやつな
ここのタコスは絶品だぞ?注文受けてから下地のなんとかいうやつを焼いていてな、焼き立ての生地でつつむ新鮮な野菜と濃厚なソースがそれはもう……
……え?あぁ、私の話な。タコス来てからでいいか?
んー♪毎日食べてるが一向に飽きぬな!そして追って飲む梅サワーがまたたまらん!まさにこの瞬間のために生きていると言っていい!
おぅ、そう睨むんじゃあない。ちょっと舌の滑りを良くしておきたかったのだ……マスター、梅サワーおかわり。
えーと……昨日は阿地家の起こりを話したんだったな。では次は私の両親の一代記だ!
……いや嘘だって、ちゃんと私が生まれたところから話すって。そう恨みがましい目で睨むんじゃないよいじましい奴だな
うちの初代、昨日話した阿地之源は、殿様…こっちで言うと地方領主になるのかな?
まぁその殿様の侍医として100年ほど務めたのだが……え?桁?間違ってないぞ、本当に100年間、4代に渡って殿の健康管理をしたと藩史にもある
妖怪の血が入ったことで長寿になったんだろうな。之源は知行を返上したあとも薬師を続け、334まで生きたそうな。
で、その之源から4代ほど下った子孫が私の両親。いわゆるいとこ婚という奴でな。
なにしろ長命だから互いに最初の連れ合いと死に別れ、残る余生を独り寝で過ごすのは辛い……そうだ同族なら!といった塩梅なわけだ。
二人ともそれなりに年を経てから授かった子だからか、小さい頃はやたらと甘やかされてなあ。
両方共、先の配偶者との間にできた連れ子がいて、私とは50近く離れていたんだが…「自分達の時はこんなに優しくなかったのにずるい」なんて、よく言われたものだよ。
だが、習い事や行儀見習については厳しかったな。ヘタに家格があるせいで、そういったことをきちんと修めていないと将来恥をかくと思われたのだろう。
まぁ結局はこうして下町の飲み屋でくだを巻くような女に育ってしまったわけだがなハハハ!ままならんものだ!
あっマスター。ポテトフライと麦サワー。大ジョッキでな。
……さて、阿地の家に生まれた者は、10と少しまでは普通の人間と同じように成長して、まぁなんだ、子供を仕込める体になると……こらニヤニヤするな
とにかく、そのくらいの年頃から成長がゆっくりになる。私もこう見えてもうすぐ90だ。アラナイだ
あれは私が20と少し……そろそろ元服して嫁の貰い手を探そうかというくらいのことだったかな。
当時の私は、毎週城下町の少し外れたところへ三味線を習いに行っていてな。
このお師匠さんが話し好きの寂しがりでなあ。稽古が終わると必ず「うちで夕食を食べていけ」と言うのだ。
最初のうちは断っていたのだが、稽古が進めばお互い気安くなるし、断るたびお師匠が寂しそうな顔をするのが忍びなくてな。
ついついおよばれするようになり、食休みもするうちとろとろと眠気が襲い、今日は泊まっていけ……そんなパターンができていた。
屋敷から離れるわけだから当然護衛もいたのだが、この護衛のために酒まで用意してくれるような、まぁ良いお人だった……
で、いつものように師匠の家で夕食を頂き、床を並べて眠りにつく。しばらくすると何やら、どすんばたんがっきんがきんと凄まじい物音がした。
「先生!お嬢様!お逃げくだされ!」なんて声もする。これはどうもただ事ではないなと幼心に感づいて、隣で寝ている師匠を起こそうとした。
……すると、師匠に触れたその手が、なにか生暖かくてねとねとした液体に濡れる。匂いを嗅ぐと鉄臭い。
なにがなにやら、あわてて飛び起きようとしたところを、今度は太くてがっしりした何かに羽交い締めにされる。
もう何が起こってるかさっぱりわからず目を回している私を抱えたまま、その何かはガンガンギギンとやかましくしている隣の部屋に向かった。
すたーんと襖を開けた何かがそこで一言「刀を下ろせ、お嬢様が死ぬぜ」
アレだな、護衛の相手をしていた奴らは囮だったわけだ。
この護衛は私が見た限りでも4人の賊を相手取った上で、私を抱えた賊が割って入るまで持ちこたえていた。しかも晩酌で酒の入った状態で、だ。
まぁ腕のいい武芸者だったのだろうが、一瞬でも私に釘付けになってしまったからもういけない。
刀を下ろすまでもなく、あっという間に四方から刀を刺されて、ハリネズミのようになって死んでしまった。
そして目の前で親しい人が二人も殺され、失禁しながら震える私を縛り上げた賊どもは、闇夜に紛れて奴らのねぐらへと駆けるのであった……
はい、今日はここまでだ。囚われの私の運命やいかに!?いやあハラハラドキドキの展開だな!楽しみだな!楽しみだろう!?
……まぁなんだ。わりとイヤな話にはなるんだが……私にとってはどうせ旅の空の昔話だ。よかったらまた聞きに来てくれ。
あぁ、また明日な、おやすみ。
あっマスター、麦ジュースおかわり。大ジョッキでな。
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おこめあう †