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大怪我して逃げてきた先がここだったから 冒険者をやりながら 道場でも開く
10歩先も見えないほどの、酷い雷雨の夜。 追っ手をどうにか始末して、血塗れの身体を引きずり、俺は雨の中を往く。 「何を……間違った……」 赤い道を街道に敷き直しながら、ただただ、自問する。 自答などない。ただただ、自問する。 「何処で……間違った……」 分からない。答えられない。 自問をやめ、思い返す。全てを。 そして思う……俺は何も、間違っていなかったはずだ。 認められたかった。 権威も、地位も、俺は要らなかった。 目的を達する為の手段として欲する振りこそしたが、そんなことはどうでもよかった。 俺は……優れていたかっただけだ。 その証明が欲しかっただけだ。 自分の誇りと自信を裏付ける何かが、欲しかった。 誰にだってある欲望じゃないか。どうして俺だけこうなった。 俺は上手くやっていた。俺は何も間違ってなんてなかった。 アイツがいたせいだ。 あいつさえ……あいつさえいなければ…… 遠くで人の足音が聞こえる。追っ手だろうか。まだ後続がいたのか。だとしたら俺もつくづく運がない。 「だがその不運すら……負け犬の俺にはお似合いだ」 自嘲気味に口元を歪めて、足音の主も確認せずに、俺は意識を手放した。
言い直す
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道場代わりに使っているスペース 木陰になっており、雨が降っていなければ何の問題もなく鍛錬できる
コメントはありません。 町外れの小さな青空教室?