(幼少期の事。山を出るまでの話)
(子供の頃の思い出は朧気だ。しかしそれが、12やら13までならどうだろう)
(普通なら、大人はともかく高校生だとかそのくらいならよく覚えているのではないか)
(自分は、そうでもない)
(山の奥深く。文明の灯が届かない程深く。そこで生きていたのだと思う。)
(何をしていたのかというと……■■をしていた。……農業をしていた。)
(生きるために。そこでは、人も自然の一部でしかなかったから)
(人間も、異種族も、獣も、そして怪異も。皆平等に自然の中に在った)
(規則正しく生きていたと思う。晴れの日も、雨の日も、雪の日も。同じ言葉を聞いてから働いていた)
(とはいえ子供に重労働は回ってこなかったのだと思う。具体的な農家の仕事を覚えてないから下働き程度だったんだろう)
(だから覚えているのは。■を■っていた事。…薪を割っていた。斧が壊れるまで)
(それ以外には…深い山の風景や獣道は記憶にあるので…散策とかで遊ばせてくれたんだろうか?)
(ある日。見た事のない長身の女性が迎えに来た。後に知るが祖母である)
(前後の事は全く覚えてないが、孫だからと迎えに来てくれたそうな)
(「よくもこんな■のない■■にしてくれたな」 …学のない阿呆?)
(「ついてきなさい…お前を■■にしてやるから」)
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