災異『嘶骨』 †
災異とは、一部の退魔師による通称であり、災害と呼ぶべき強力な怪異のことをいう。
『嘶骨(せいこつ)』とは、嘶(いなな)く死体の意味で、死んだ牛馬が嘶くというあり得ないことの喩えである。
転じて凶兆を意味し、数々の怪異災害の前触れとして出現しその引き金を引いたとされる怪異の呼び名となった。
五十年から二百年ほどのまちまちな周期をもって各地に気まぐれに出現しては、
封じられた古の怪異や神格を徒に目覚めさせ、その荒ぶる様を愉しむ。
直近のものでいうと、江戸期に10万人以上の命を奪った大火や、天保の大飢饉(100万人規模の人口減少を引き起こした)の原因となった大凶作は、この嘶骨が起こしたものとも。
十年前水白に出現した際には、氷室の一族が命を犠牲にして退けた、と記録されている。
予期されていた怪異災害が二人の退魔師の(勇気ある、とはメディアによって付けられた修飾だ)犠牲によって未然に防がれたことは、
事件当時はそれなりに大きなニュースになった。
そのことは今となっては、多くの水白市民にとっては『言われれば思い出す』程度の古い記憶だ。
真朱流退魔術 †
火炎の術式と格闘術を掛け合わせた、退魔術の一流派。
流派というが、真朱の我流に等しい。
静は氷室が本来得意とする氷雪系の術式には不思議と全く適正が無く、
結果、この真朱流を叩き込まれることとなった。
静は身体強化、霊力障壁、火球投射、炎属性付与、火炎放出、などを織り交ぜて戦う。
基本的に全て無詠唱。
そのほか、封印術や結界術なども身に着けている。
きちんと準備をすれば非常に高度な術式も扱うことが出来る。
火炎系の術式に関しては天賦の才があるといえる。
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