関係者:カーヒラニャガルバ

編集:とある孤児院の一室
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  •   -- 2011-09-10 (土) 19:17:08

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  •   -- 2011-09-10 (土) 19:17:08
  •   -- 2011-09-09 (金) 20:51:24
    • (紙飛行機の翼に腕を切り裂かれたと解った瞬間、意識は全て白に染まって、しばらくその中にうずまっていた)
      (肉が煮しめられて灰汁だらけになってしまった心の中が洗い流されて晴れていくようで心地が良い)
      (青空の上に雲と浮かぶ。足に地をつけたしがらみもない。ただただ、今までどうしてあんなに心を乱していたのだろうと疑問に思う)
      (ここは天国なのだろうか。それならここにワン兄さんも居るかな……)
      (曙光に包まれて眩しさが目を刺す。瞼を開けて身体を起こすと、ここがどこかの部屋の中だと気づく)俺はどうなったんだ……?
      -- ツー 2011-09-10 (土) 17:50:34
      • ……。(身体がやけに軽く、それに違和感を覚え、右腕が肩口からなくなっていることに気づいた)……腕が……。
        マジックアローで吹き飛ばされたのか……。
        -- ツー 2011-09-10 (土) 17:53:57
      • どこだ、ここは……?(ここは広い部屋ではなく、どこかの個室のようだった。病院らしくもないし、診療所というふうでもない)
        あいつらに運ばれたと見るのが正しいか……。(弟達にした仕打ちを思い返すと、それが自らに跳ね返ってきて痛めつけられるようだ)
        (それにも関わらず、自分の身体には手当ての跡すらある。申し訳ない気分が降り注いで止まない)
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:01:18
      • 身体が、ダルい……。(ベッドから半身を起こしたまま頭を押さえる。血の廻りが頗る悪く、身体中が上手く動かない)
        おかしいな……?(右腕に巻かれている包帯、つまりは手当ての跡に今一度意識を向ける。そこは不思議なことにまるで痛まない)
        (包帯を外してみると、そこから右腕が失われたことは確かだったものの、それによる傷は塞がって完治してしまっていた)
        フォウが治癒しやがったのか……?
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:11:23
      • (次に違和感を覚えたのは頭だ。髪が伸びている。それも少しだけではなく、腰に触れるほどに。以前はもっと短かったはずなのに) -- ツー 2011-09-10 (土) 18:13:26
      • 点滴……。(気になり始めるとおかしなことが沢山出てくる。左手に刺さっている管はどうやら点滴に繋がっていて、ぽつぽつ音を鳴らしている)
        なんだ……どうしたんだ……?
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:14:31
      • (疑問を打ち破る、ドアを開く豪快な音。部屋に飛び込んでくる)……兄さん、目が醒めたの……? -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 18:15:47
      • フォウ。(俺が一番非道いことをしたのは、こいつに対してだ。顔を見ると謝罪の言葉が雨露と溢れて、胸が苦しく、息もできなくなる)
        すまなかった……本当に……。
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:18:21
      • 別にいいよ、そんなの……それより、兄さんが目を醒ましてくれたのが嬉しいや、私は……。(目元に浮かんだ涙を擦った) -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 18:19:29
      • (開いたドアからずかずか入り込んでくる)ようやっと起きたか。 -- ザック 2011-09-10 (土) 18:21:18
      • (その顔は純粋な暖かさに満ちていて陽の光のようで、心が癒されていくのをありあり感じた)
        (絆されている心は、次に視界へ入った顔で現実へ戻される)……。アイザック、お前……俺が喰らったはずだろう。
        どうしてそんな、ピンピンして生きてる。
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:25:41
      • はあ……?(ほんの一瞬だけ「何のことやら解らない」と表情を変えたが、すぐさま思いついたようで)……ああ、アレか。
        アレは身体の表面に結界張ってからお前に喰われたから、なんとか生き延びられたんだよ。
        片足は失ったがね、ほれ。(ズボンを捲って義足をツーへ見せる)……で、長いこと眠って頭は醒めたかい……? -- ザック 2011-09-10 (土) 18:28:11
      • ……。(じっと、腕の無くなった肩口を見つめると、悪い憑き物が落ちたのだと確かに実感できる)
        ああ……。取り返しのつかないことをした……。これから、どうしたらいいのか解らないぐらいにな……。
        長いこと、と言うが……一体俺はどれだけ眠ってたんだ……?
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:31:38
      • ……3年。 -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 18:31:57
      • (・ω・)? -- ツー 2011-09-10 (土) 18:33:30
      • ええと、私が卒業したのが194年の4月で……その頃からだから。うん。(カレンダーを外して持ってくる)ほら、197年4月。ちょうど3年……。 -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 18:35:29
      • ……。じゃあ、俺の髪が伸びてるのも点滴打たれてるのも、筋肉が衰えてるのも、こうして話してて声帯が萎んでて痛いのも……3年のせい……? だとしたら辻褄が合う……な……。てことは3年ずっとここで世話に……?(目を白黒させて) -- ツー 2011-09-10 (土) 18:39:17
      • うん。……私達、もう目を覚まさないんじゃないかって思って……。
        (不安ばかりが募っていって、この部屋の時間が凍り付いてしまったみたいで、世話をするたびに手の震えた日々を思い出す)
        (溜まりに溜まった不安が解消された喜びは、涙になって目から零れる)うええ……。
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 18:41:41
      • わー、泣かしたー。うーし、俺は外で作業してるファイブとスリーにこのことを伝えてくる。お前達は改めた感動の再会を演出してな。(部屋を出て行く) -- ザック 2011-09-10 (土) 18:49:55
      • 重ね重ね、本当にすまないな……。(顔を上げられず、俯いたままになる)
        ……。(アイザックの背を見送るが、疑問が一つ出てくる)……そういえば、ここはどこなんだ……?
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:53:32
      • ここは孤児院だよ。……実を言うと、今改修中なの。それから、『孤児院』なんて呼ばないで、ちゃんとした名前をつけようって話になってるの。
        兄さんが起きたら、兄さんに名前をつけてもらおうって思ってね。(目をぐしぐし擦りながら)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 18:58:41
      • ああ、あの時お前達が居た……。アレが三年前か、気が遠くなるな……。
        (顔を上げる)……なんで俺が名前をつける必要があるんだ……?
        -- ツー 2011-09-10 (土) 18:59:53
      • 兄さんもここで働いてもらうから、っていうのが一つ。あと、ワン兄さんの次に兄さんだから、ツー兄さんに、って。 -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 19:00:48
      • ……目を醒ました後のことまで考えてたのか……。俺が働くだとか、その話は後で詳しくしよう。
        (居心地が良い。受け入れられていて、家族がここにあって、何もかもが至りつくせり……。生きているのが幸福だった)
        (この孤児院の名前は、きっと俺達の新たなる始まりを象徴するのだろう。気合を入れて考え……なくとも、一つ、思い当たる)
        ……名前は『テメノス孤児院』……で、頼む。
        -- ツー 2011-09-10 (土) 19:05:01
      • 私達が産まれた場所の名前……いいね、いいねえ。(泣き顔はどこかにいってしまって、にこにこ笑顔で頬を押さえる)
        兄さんとファイブが戻ってきたら、改めてよろしくしようか。私達の新しい始まりに乾杯しようってね。屋根の修理も終わったろうし。
        (歩いて、大きな窓を開く。清く冷たい風が、カーテンと一緒に部屋へ吹き込んだ)外、見た?
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-10 (土) 19:10:56
      • 見ていない……。(風で目が冴える。それから、外がどうしても気になってしまって、動かない身体をおして、窓へ近づいた) -- ツー 2011-09-10 (土) 19:11:49
      • 外は白銀に打ち染められて、眩しく輝いている。名残雪が四月に積もって、あたり一面を埋めたのだ。何もかも真っ白に……。
        死のう殺そう全てを終わらせてしまおうとばかり考えて、絶望と憎しみばかりだった心へ風が吹き込んだ。
        久々に見る世界は世界のようだった。何を見ても震えなかった心が、感動に打ち震えた。
        ここからきょうだいみんな、もう一度始まっていく。失ってしまったとばかり思っていた大切なものが、胸へもう一度収まった。
        -- 2011-09-10 (土) 19:17:03
  • 筋肉とも骨とも皮膚とも知れない腕が蠢き、内側から何かの形を浮かび上がらせていく。目に口に……それは、人の貌だった。 -- 2011-09-04 (日) 18:03:51
    • (肉の線は紫と赤の中間の色となり、人の顔を形作る。それは最早人面痕などというちゃちな枠には留まらず、まさしく生きた人の顔であった)
      (それは、比喩ではない。見知った目鼻立ちがそこにある、タレ気味の目に高い鼻に、無精ヒゲまでもが記憶のままに形となる)
      ……ザック師匠。(自分を記憶を失くして十余年、また、記憶が戻ってそれ以前の世話すら焼かれた恩人が、そこに居た)
      -- カー 2011-09-09 (金) 18:30:07
      • アイザック、さん。(ファイブの放心は最もだ。殺す殺されたの単純な話ではなく、取り込まれてそこに居るというのだから、意識は取り残されてしまって仕様がない)
        (私も随分と世話になった。私ら兄妹へ誰よりも尽力していただろう、それは罪滅ぼしのためか、どうか。ともかく、その報いがこれだ)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-09 (金) 18:34:28
      • ……どうよ。(血が乱雑に巡る。身体の中の異物を取り込むままにせず、表面へ浮かべたせいか、心身に不調が来る)
        お前達の恩人を喰らったんだよ、俺は……ただイラついたとか、恨んだとかの理由で……。俺を封じ込めやがったこいつを。
        どうだよ。俺のことをなにも知らない人たちの中で暮らすなら、黙ってたらどうにかなるかも解らない。仮面の下に醜悪な顔を隠してな。
        しかし、お前達はこんな俺の顔を知って一緒に居られるか……? 笑顔でのうのうと、笑い合って暮らしていけるか……?
        顔を突き合わすたびにちらついて仕方がなくなるんじゃないか、こいつの顔が……。(腕に浮かんだ顔を目で指し示す)
        だから、無理だって言ってるんだよ。無理してきょうだい一緒なんて言っても、涙を裏で流して歯車回しちゃ錆びて止まってしまう。
        (今更になって、人の心に火が入って、沸き立つように瞼へ涙が溢れていく)もう遅いんだよな……気がついたらこんなんだ。救えないだろう。
        俺は人生に手が届かないことだらけだった……最後も、こうだ……。なあ、お前達が俺を救えるって言うんなら。
        救ってみせろよ……!(腕に浮かび上がったアイザックは顔だけでなく上半身も形成される)
        (奇怪なヒトガタは、その周囲へ力場を放つ。強力な結界が出来上がり、ツーの身体を覆っていった)
        -- ツー 2011-09-09 (金) 18:45:31
      • ……悩むのも嘆くのも後にしてくれる、ファイブ。(手に確かな重さを感じていた。(勝利)の剣が結末を感じて、輝きを増していく)
        なら、救ってやろうじゃん。ファイブ、一気に叩き込むからサポートお願い。用意するのは……第九次魔方陣。(切っ先を真っ直ぐ兄へ向ける)
        正念場だよ……私がかけてきた努力も、養成校で過ごした時間も……。ほんの一瞬で全部叩き込む。息吸って、1、2、3。
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-09 (金) 18:57:35
      • (次々と言葉が思いついては消えていく。兄の発言には冬の雨のように哀しい重みがあり、反論を許さない)
        (何を言っても間違いな気がしてきて、打開の策も心積もりも見当たらなくなって、目が回ってくる)
        (だが、フォウの声が標になる。他を全て無駄と切り捨て、ただ目の前の兄のことだけを考えると、すんなり考えが纏まった)
        了解。……なら僕の中にあるカー・ファインも全て叩き込んでやろう。何をやるかは解らないけど、あわせるよ。4、5……。
        -- カー 2011-09-09 (金) 19:02:50
      • まだ諦めないなら、ちょっとぐらい期待してやってもいい……どうしよう、かな……。
        (空気を焼くバリアの音。内側はまるで海の中、外から隔絶されているようで、ほんの薄い境界一枚で繋がっている)
        (「どうしよう」もう疲れてしまったし、迷惑も掛けたくない。「どうしよう」俺が死ねば全ては収まるのだ)
        (死に姿は見せたくない。ワン兄さんの死に姿を見て狂おしく心が波打ったのを俺は覚えている)
        (おぼろげな決意が冷えた心に固まり始めていた。「こいつら二人の気を失わせて、どこかでひっそりと自害しよう」)

        (会合は一瞬。恐らくは息を吐く暇もなく終わる。フォウから出る剣気とも言えるものが、そう語りかけてきている)
        こっちも本気で……叩き潰してやる……!!(腕から9本の巨大な触手が生え、暁の空へ広がり首をもたげた)
        (その一つ一つが筋肉細胞の塊。力を入れれば全てが渾然一体となって、殴打を叩き付ける)
        おらァ!!!(バリアに身体を守られたまま、真っ直ぐそれが二人へ突き進み、衝撃を与えんとする)これで、絶しろ……!
        -- ツー 2011-09-09 (金) 19:19:58
      • 3次魔方陣ディレイ・3次魔方陣コラプスのダブルキャスト……グルーミーチャフ!!
        (向かう9本の触手の中心点へ紙飛行機が舞う。ほんの瞬きもしない間にそれはきらきら炸裂して、遅延の魔法効果を触手へ齎す)
        (空いた手で、9次魔方陣を紙へ速記し始めた)
        -- カー 2011-09-09 (金) 19:24:15
      • あぁぁぁぁ……!!(身体が魂を置きざりにしてしまう程早く動く。風を肌に感じて、肌へ纏うコインたちを手に摑み、迷い無き力を籠める)
        コイン……(迅速)(勇気)(神性)(天賦)(充足)……(勝利)の剣に宿れ……!!(足踏み、掌握!!)
        勇気によりて得た力を迅速に伝え天賦の技を神性によりて再現し全てを完全なる充足にて勝利の剣を打ち込む!!
        (剣閃が奔り、9本の触手が瞬く間に膾切りと化す。光景が変わる。空を埋めていた触手が崩れ落ちた)
        剣の、神技……!!(軋む身体などもう知らない。ポケットから数枚のコインを取り出して中空へ弾き、バリアを纏うツーへ向けて)
        ……ギャブルダノンさん謹製、コイン(怪獣)、青い熱線5本!!(放射熱線が目の奥を焼く明るさを放ち、叩き付けられる)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-09 (金) 19:34:09
      • (熱線はバリアを貫通してツーの身体を幾分焼いたが、バリアは解けていない)
        (アレは、ザック師匠の力を使って張ったものだ。結界のスペシャリストが張ったものを易々破れはしない)
        (あと一押しが必要になる。それを果たして、フォウは持っているのか?)
        (思考が回転して心臓がそれと同じスピードで脈打って、全てがスローモーに進んでいく)
        (右手の中に、9次魔方陣を描いた紙飛行機マジックアローが出来上がった)
        -- カー 2011-09-09 (金) 20:03:03
      • (目の前に焼かれた肉と鮮血が飛び散り、凄い攻撃を貰ったのだと伝えられ、手足とも言うべき触手は全て引き千切られ、)
        (痛みは点けたばかりの火種が回ってきたように身体中で暴れ出し、目の前にある山や木や弟や妹が混ざってゆがみ始めた)
        ……来、い……。
        -- ツー 2011-09-09 (金) 20:13:24
      • (思い返す。時間はさほどないから、ほんの少しの間だけ。ソーマさんの魔術無効化、ナナツさんの朧月を数度……私はそれを観ている)
        (コインを構えて、至近距離で兄さんと対峙する。私の手に合わさった(勝利)の剣を握り締めて、鮮やかにコインを弾いた)
        (機知)(勇気)(開放)(天賦)を(勝利)の剣に上乗せして、さらに銀のコイン一番目の魔方陣……(魔導)をはめ込む。
        機知は私の記憶の中から天賦の才を思い出させ勇気はそれを開放し勝利の剣へ載せられる。全ては魔導によりて織られる。
        コイン5枚にプラス1枚。これが私の全力……!(勝利の剣は虚構が飛び出してきたように燦然たる光輝を放つ)
        バリアブレイク……魔導、破魔の一戟、喰らえやぁああああああ!!!
        (地平線と平行に剣は通り、ツーの身体を覆う守護の結界を二分し、その役割はもう潰えたのだと三行半で叩き付けた)
        (脆く崩れたバリアの中でツーが立ち尽くす。内側にすらも、勝利の剣は波動を響かせたようで、あと一息の空気を感じさせてくれた)
        (合図はしなくとも良い。兄妹なのだから、全てのタイミングは伝わっている。挙動の一つ一つが知ったもので、自らの身体のように……)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-09 (金) 20:49:19
      • 紙飛行機マジックアロー、術式は9次魔方陣『マジックアロー』……シュウウウウト!!
        (純然の魔力が一つのいかづちになり、真っ直ぐ、ツーの右手を引き裂いて、夕陽の空へ消えていった)
        -- カー 2011-09-09 (金) 20:51:06
  • (脳髄まで痺れきった身体に力が戻ってきた。(治癒)のコインに力を注いで、身体へ廻らし恢復を行う)
    (朦朧して霞がかり、夢ごこちにあった意識が戻ってきた時に見たものは、殺気をむき出して打ち合う兄弟の姿だった)
    -- ヒラニャガルバ 2011-08-29 (月) 09:39:16
    • あ……? よう……また立ち上がったのか、フォウ。こいつと同じで、往生際の悪い……!!(腕へ押し潰す力を籠める)
      いい加減解っただろう、生まれるべきでなかった生命、暗い道のりしか用意されていない運命、そして死に滅されるべき宿命を。
      この腕を見りゃ一目瞭然だろうに、さっさと気づけよ……!!
      -- ツー 2011-08-29 (月) 09:44:51
      • 速っ……く……! フォウ……今のうちに、その手の(勝利)の剣で切り裂いてくれ……!
        (重く、重くなってくる。防御魔法効果すら押し返して、だんだん爪が迫り、肌に突き刺さるほど近づいてきている)
        (しかしフォウが立ち上がって光明が見えた。なんなら、このまま僕ごとやってしまってもいい。死なない程度なら、勝ちをもぎ取ってやれば……)
        -- カー 2011-08-29 (月) 09:57:22
      • ……馬鹿ッ!!
        (二人の動きが止まった。あんまりに大きな声だったからだ。何度も何度も、山にぶつかって跳ね返ってきた)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 16:26:24
      • は……?(本当を言うと、躰も大分参っていたしフォウに斬り込まれれば倒れる自信が強くあった)
        (それが今更なんだと言うのだろう。駆け寄りもしない、剣を構えもしないで、ただ一つ大きく叫んで。何が変わるというのか。不可解だ)
        -- ツー 2011-09-04 (日) 16:28:19
      • ……!!?(勝負が決まる。ここで僕がもう少し粘れば、兄さんは倒れて、後はゆっくり話し合いをするだけ)
        (走りつかれて息も絶え絶え、しかしゴールの線が見えた、一つ踏ん張ってみせよう。という、場面のはずだったのに容易くそれは瓦解したのだ)
        (気が抜けて手に籠めた力をほどいてしまったが、押し込まれていたツー兄さんの腕は止まったままだった)
        -- カー 2011-09-04 (日) 16:31:05
      • ああ……もう!!(髪を掻き毟って地団駄を踏む。手をぎゅうぎゅうに握り締めて腕を振り乱す)
        (頭に血がくぅくぅ音を鳴らして昇っていき、沸騰して、止まらなくなる)
        (瞑っていた目をかっと開くと、収まらないどろどろした気持ちを吐き出し始める)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 16:33:10
      • なにやってんの! 兄さんはともかくにしても、ファイブ!(ぽかん、そういう効果音が似合うファイブを睨みつける)
        ファイブが理性を失ってどうすんの!? 何、止める側なのに真正面から殺意ぶつけ合ってるわけ?!!
        (憎しみあう・殺しあう姿が見たくない。兄さんを止めたいと思う心に、それも少しの色になって混ざりこんでいる)
        (それがなんでこうなんだろう。わからずやだ……!)頭に血を昇らせて理性失ってる場合じゃないのー!!
        私達は兄さんを止めに・説得しに来たわけでしょ!? もう忘れてんの、無駄な知識ばっか入ってるその頭は飾り!!?
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 16:44:16
      • (凄まじい剣幕だ。兄さんへかけられていた言葉より、よほど凄まじい。とすると、今の僕は兄さんよりも間違ったことをしているのだろうか)
        (息を整える。緊張はまだ途切れていなくて、がくがく身体中が揺れている。指先を伸ばした)
        ……フォウ。ツー兄さんは、フォウの気持ちを踏みにじったんだ。それも恐らく、解っていて踏みにじってる。
        見舞いにと顔を出したら罵声を浴びせられたみたいなもんだ。それならまだしも、見舞いの品を叩き潰すぐらいのことはしてる。
        十数年もの間研究所で孤独に過ごして、こうして決意して4年間も学校で経験を積み、心の底から苦労したはずの気持ちを。
        -- カー 2011-09-04 (日) 16:51:19
      • 踏みにじられたかどうかなんて私が決めることなんだよこの馬鹿!! 大馬鹿!!
        私がどうしたかなんて関係ない! まず同情して貰いたくてそんなことしてんじゃないって解ろうよ!!
        (偉そうな顔で能書きをたれる。頭が固い。心の奥底で繋がっていると思った絆の糸は、正確に声を伝えちゃくれないみたいだ)
        大事なのは私が何をしたいかだよ!! 悟れ!!
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 16:59:45
      • ……お前達が何をやったところで変わらん。そろそろ“無理”が出てきたんだよ。(煩く言い合う様はとても滑稽だった)
        解るだろう? 木に竹を接ぐって言葉があるように、実も根も葉も花も結びやしない望みだったんだよ。
        運命で、宿命なんだよこれは、もう。生まれるべきではなかった、という唯一つだ。俺がこう言うのも、解るだけのことをされてきただろ?
        諦めてしまえ。優しく潰してやるから。
        -- ツー 2011-09-04 (日) 17:06:07
      • (兄さんの発言はまるで軋んだ木々のごとくだ。渇いてしわがれてボロボロだ。そのせいで、涙が出てきた)
        私はさあ、運命とか生きる資格とかそういうのどうでもいいんだよ。産まれてこなかったほうが良かったかもしれないけど、現に私達は産まれてるじゃん。
        だからって全部無かったことにすることない、なんて正論言ってもどうしようもないし、それも関係ない。
        (涙が頬を伝って口に入ると、塩辛い味がじんじん伝わって火傷したみたいだ。袖で涙を拭って、泣くのをやめる)
        私はただ、またみんなで一緒に暮らしたいだけなのにっ……! ワン兄さんが居なくても、四人で、忘れないで……!!
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 17:19:27
      • ……。(泣き顔に乗った言葉は原色をしていて、砂へ水が染むように心へずんずん圧し掛かってきた)
        (シンプルなことだった。僕らには、余計なものが多すぎる。天使とか計画とかカドモンとか。ごてごてして、解り辛かったのだ)
        (その衣を剥いでいくと、フォウの言葉があるのだろう。僕の軽率さが沁みて痛んで、謝りたくなった)
        -- カー 2011-09-04 (日) 17:23:50
      • (純粋な言葉は澄んだ水となり流るる。俺の心の垢もそうして洗い流され、水と同じ色に変わっていく)
        (解っていた。俺だってそうしたい。ワン兄さんが大切で、居なくなったことがショックで、こんなことをしてしまったが)
        (きょうだい達みんなが大切で、出来ることなら幸せに、共にゆったりと平和に暮らしていきたいと思っているのだ)
        (だけれど、俺は卑屈になった。そんなことは無理なのだと決め付けてかかって、心をそれで固めてしまった)
        (そして、取り返しのつかないことをした)……。…………。俺が、今更、笑ってお前達と一緒に暮らせると思うか……?
        -- ツー 2011-09-04 (日) 17:30:02
      • この街なら楽勝だよ。もし出来なかったとしても、私達はずっと傍に居る。
        (音が聞こえる。すうっと空気の変わる音がしている。まるで、窓を開けた時みたいに風が吹き込んでくる)
        (光明が見えた。兄さんもやっぱり同じことを考えていたんだ。安心して、とても暖かい)
        -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 17:39:31
      • (空気が変わり、話の流れが変わり、表情すらも変わり始めている。状況が移り変わる。これが、きっと最後の場面になるだろう)
        (きっと、フォウが今までこんな茨道を歩いてこれたのは、我慢強かったからでも意地を張ったからでも人が出来ていたからでもなく)
        (ただただ、純粋に真っ直ぐ歩ける心を持っていたからなのだろう。言葉の端から滲み出る柔らかな感触に、そう思わされた)
        (ツーの言葉はいつだろう。唾を飲み込む)
        -- カー 2011-09-04 (日) 17:50:09
      • (記憶の底にしぶとくこびり付いた、自分の所業を思い出す。溜息が口から落ちていった)……無理だよ。 -- ツー 2011-09-04 (日) 17:55:09
      • 何で!! -- ヒラニャガルバ 2011-09-04 (日) 17:55:39
      • ……やってみなけりゃ、なんだって、わからないよ。 -- カー 2011-09-04 (日) 17:56:54
      • 今から……見せてやる。(異形の右腕が膨らんでいく。「俺は、何をしようとしているのだろう」「どうしてもらいたいのか解らない」) -- ツー 2011-09-04 (日) 17:59:42
  • 空に三つの影が躍る。その一つは、鳥と蝙蝠を掛け合わせたような翼を持って、飛んでいた。 -- 2011-08-18 (木) 01:23:06
    • (羽音。広がる翼に羽毛。それはまるで始祖鳥のごとく。力強く空を泳ぐ姿は、何にも喩えがたい)
      (羽ばたいてまた滑空しては、ファイブとフォウへ近づいていく。砕くように空を掻き舞うその姿は、さながら猛禽)
      ……はは、は! ……この姿を見ろよ、“天使の子供たち”と称された、俺達、俺には、おあつらえ向きだ!
      もとはこんなこと、できなかったんだぜ! でもな、躰切り裂かれて、突き刺されて、取り付けられたんだよ! 蝋でまがいものの翼を貰ったかのようだろう!
      もっとも、空を飛ぶことも許されず、ずっと籠に閉じ込められきりだったんだがな、俺は! あは、ははは!
      -- ツー 2011-08-18 (木) 01:35:56
      • (足元がおぼつかない。空に浮かんでいることって、こんなに不安だったろうか。逃げ場はどこにでもあるけれど、隠れる場所がどこにもない)
        (それはとても怖いことじゃないだろうか。だって、すこしでも速く上手に飛べなかったら捕まってしまうのだから)
        (私は速く上手に飛ぶ自信がない。そも、この術はただ空に浮かんで、軽く飛ぶぐらいしかできないから、どうしようもない)
        (指先が冷たくなるのを感じて、大きく叫ぶ)ファイブ、降ろすよ!
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-18 (木) 01:41:34
      • 降ろさないでくれ。(力強いが乱暴でない低めの声が響く。その奥底には硬い鋼の芯が垣間見える)
        (空飛ぶ兄の姿に、何かを重ね見ていた。それは何かの影で、どこかとても高いところから落とされたものらしい)
        (恐らく、それは空に居る母さんの影だ)……危ないと思ったら降ろしてくれ、でも、できるだけやらせてくれ。
        空の上までは届かなかったけれど、空は、僕のフィールドだ。(右腕の魔導手甲=カタパルトを構え、紙飛行機を設置する)
        -- カー 2011-08-18 (木) 01:50:41
      • 空から落ちてご臨終ってのはなかなか洒落が訊いていないか! なにせ、天使に産まれそのまま捨て置かれたのだもの!
        空で産まれて足場をなくせば行き着く先は地だ! 身の凍る、落ちる心地を感じつつ、俺らは頭からたたきつけられて死んでしまうわけだ!
        来るなら来いよ。神に近づけないからと、紙っぺらに思いを託した、お前の紛い物の翼でどこまでやれるかな、ファイブ!
        (右腕から背中にかけて、生えた翼は空を打つ。オールがボートを進ませて、足が地面を蹴るがごとく、空を御したと言わんばかりに駆けていく)
        -- ツー 2011-08-18 (木) 01:55:44
      • ただ卑屈になっているだけだよ、兄さんは! 母さんは僕らを最後まで抱きしめてくれていたろうに!
        (紙飛行機七機を準備し終えると、カタパルトを開いて前方へ向ける。ひらめき飛ぶツーの姿が、捉えに、捉え辛い)
        -- カー 2011-08-18 (木) 02:15:47
      • そりゃァ卑屈にもなろうよ! あんな運命を押し付けて、放り投げるのならいっそ、その腕で絞め殺してくれれば良かったのだ!
        陽射しの中へ放り捨てられた蚯蚓が、どんな道を辿るかなど、容易に想像できただろうに! ……だから、母さんに俺が代わってやるんだ!
        (鈎爪が手にあらわれる。次に来るものを全て躱しざま、それをすり抜けて一戟で刈り取ってやろう……)
        -- ツー 2011-08-18 (木) 02:18:58
      • それはただの言葉だよ! 俺はちゃんと、生きてさえいれば楽しいことがあるのだと体験させてもらった!
        (向かうツーへカタパルトを向ける。マジックアローが七機。全力をぶつけて、咬み合う一瞬を制す。殊にここでは克たねばならない)
        (ここは、空だから)放て! 七次魔方陣セパレイト、三次魔法陣ゲインウェイト、ダブルキャスト!!
        (放たれた紙飛行機は、ごうと吹く空の風にも負けることなくずんずん進む。それらは、ぬるりと分裂して、七が十四、二十八へと増えゆく)
        シャワー・オブ・アロー!!(マジックアローの雨が、横殴りに注ぐ!)
        -- カー 2011-08-18 (木) 02:28:01
      • ワン兄さんは救われることなく死んだ!!(空を飛ぶ飛行機を見て「たかが、七機か」と羽ばたきを強めた)
        (だが、それが増える。空へ幾多舞い、雨や羽毛とでも言いたげに、無数の矢となり飛んでくる)
        畜生が!!(爪を薙いで叩き落とすも、このゲインウェイトがかかった飛行機は重く、やるたびに身へ反動がぐいとかかる)
        (まさしく風に煽られている様になり、注ぐにつれて、だんだん、だんだん、高度を落とす。しかし、それでも羽ばたいてファイブへ近づく)
        (やりきれない怒りを、このまま落とされてたまるか、と、思ったのだ。多数の矢が注ごうと、一矢報いてやろうと)
        あ゛っぁあ!! 崩れろ!!!(ファイブのすぐ傍に取り付くと、鈎爪で容赦なく抉りつけた。だが、浅い)
        -- ツー 2011-08-18 (木) 03:28:18
      • う゛ぅううっ……!(咄嗟に、(飛揚)のコインを解いて、私もろともファイブを自由落下させ、爪の当たりを浅くした)
        わ、ぁわ、ワン兄さんが、死んだのは私だって知ってる。きっと、なにも知らないうちに死んだんだってことも知ってる。
        (高い高い、空から落ちる。心臓の中の血が冷えてぞっとする。ああ、これは、母さんがどこかへいってしまったときと同じ気持ちだ)
        (泣きそうになる。歯を噛み締めて、我慢する。今はまだ泣いてはならない)
        (涙は湧いてくる。両手で水をすくっても、指の間から流れ出る。力をこめて、それをせき止めている気分だ)
        (地面近くで、(飛揚)のコインを再発動させて、でも、勢いは止まらなくて、たたきつけられるように地面にぶつかった)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-18 (木) 03:40:19
      • うるさい、解ってるなら、さっさと死ね……!(躰がきしんでいるのが解る。ファイブの、シャワーオブアローのせいだ。たまらず、自分も地上へ降り立つ)
        さっきからうっとうしいんだよ、守ったり、逃げたり。挙句、正しそうなことばかり抜かしやがる。腹が立つ……!
        (羽が縮み、右腕がまたもおかしく姿を変えていく。角も爪もないが、なぜだか恐ろしく思える黒い肌色へ……)
        電気ウナギって知ってるだろ。細胞から電気を作り出すアレな。……雷から逃げるって難しいよな?
        (電光、奔る。腕へ衣のように巻かれる雷電は、距離感がまるでなく、幻想的ですらある)
        (様々、生き物を植え付けられ、キマイラと化した腕が起こす電撃は、半端なものではない)
        (なにせ、自然を捻じ曲げて自分の意思で、腕へ電気細胞を作り出せるのだから。その威力を倍へ倍へ高めるのも、容易くなる)
        (この腕だからこそできる、無敵の武器。爪よりも恐ろしい、絶対なる破壊の波!)これに天使の子供たち(おれら)を皮肉って名前をつけてやろう。
        神々の鉄槌(トゥール・ハンマー)”…………無機質に、死ねぇえッ!!
        (空気を裂く轟音。そして、眩い閃光。夕暮れの山が、真昼のように明るく照った)
        -- ツー 2011-08-18 (木) 04:02:07
      • (煙が立つ。雷撃の残滓が地面で音をぱちぱち立てている。その中、自らの雷撃に身を焼かれたツーが立っている)
        偉そうなことを言って死んだか。ええ? ……幸せだのなんだの言っても、崩れるときは一瞬だ。ほんのな。
        俺はお前等を踏みにじりなどしない。静かに終わりだ。……いつかは終わるのだから、せめて苦しまぬうちに、だ。
        (息が荒い。力を使いすぎて、膝が折れそうだ。だが、もう、やったのだ。中身のない達成感が、こうこう、渦巻いた)
        -- ツー 2011-08-18 (木) 04:26:01
      • はーっ……はーっ……!(煙があけると、姿が見えてくる。私はまだ、立っている。でも、ファイブまでは庇えなかった)
        (ただ私は(勝利)の剣を地面に刺して、避雷針にしただけだ。それから、(不朽)と(加護)のコインを身に纏った)
        (それだけやっても、躰が震えて、なにがなんだかわからなくて、目の先に火花が散って、死にかけているような気分だ)
        ……ま、だっ、だって……ば……! 兄さん、兄さん……!!
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-18 (木) 04:33:15
      • (フォウ、よくぞそこまで耐えたものだ。よくぞ、そうして話す言葉が残っているものだ。感動すら覚える)
        (だが、それ以上に、信じられないのは、後ろに居るファイブのほうだ)なんだ、それは。
        -- ツー 2011-08-18 (木) 05:00:20
      • カタパルト。もとい、ザック師匠の作ってくれた、“I”という名前の装甲だ。
        (泡のように丸く躰を覆うバリアーのような、恐らくは防御魔法効果らしいもの。それがカタパルトから、発生している)
        (この時のため、役目を終えたと言わんばかり、バリアーの泡が弾けると同時に、カタパルトも土くれのようにぼろりと崩れ去った)
        ……まだ負けないよ、俺らは……。(爪で裂かれた腹を押さえて立つ。フォウは、まだ倒れてはいないようだ)
        -- カー 2011-08-18 (木) 05:16:09
      • そうかい。あいつはいつでも忌々しいな。(右腕の指にあたる部分をぎゅっと握った。痛みと、疲れがある)
        (トゥールハンマーをもう一度放つには、時間がかかりそうだ。戦闘の策の中から除外して、傷ついた二人をさっさと斃してしまおうと決める)
        しかし、ファイブはともかくとして、フォウ、なぜお前は立ち上がれる? ……もう、楽になってもいい頃だぞ、お前。
        -- ツー 2011-08-18 (木) 05:22:38
      • そりゃあさ、私は一人で立っているんじゃないからね……。支えが私の背中に、一杯つっかえてるの。
        そしたら、俄然倒れない。((勝利)の剣へ手を伸ばすと、とても熱い。雷撃で熱をもってしまったようだ。まだ、触れない)
        (意識が朦朧としてくる。ぷつん、ぷつん、目の前の景色が切れたり点いたりして、壊れたモニタのようだ)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-18 (木) 05:27:35
      • つまらない答えだな。(もう、満足しただろうな。ふうと、息の一つで消えてしまいそうな命の灯がそこにある)
        だけどお前は頑張った。……十何年も、辛いところに置かれて、なお、今になってそうやって、頑張れるんだからな。
        お前の心はとても強い。……俺ら、皆、一様におかしなヒトガタのはずなのに、お前は強いな。
        (腕に細い管のようなものが沢山生えてくる。その全てが、フォウへ向き、銃口を思わせるふうに構えられた)
        幕切れはなにも解らないぐらい、綺麗に終わらせてやる。(攻撃に移ろうとすると、ふと、視線に気づく)
        -- ツー 2011-08-18 (木) 06:00:01
      • (兄を睨む目がそこにある。少しでも動こうものならば、膾切りにされてしまいそうな鋭気に満ちている)
        強い人間なんて、居ないよ。……弱いから何かを求めて立ち上がってるんだ。
        (腕は折れていない。なら、まだ闘える。戦力は十分だ、ほんの少しだけ、独りで闘える)
        そうやって立ち上がり、狂おしいほど、ありえないほど、求められているのが自分だって、なんで気づかない。なんでつまらないなんて言う。
        (フォウのために闘おう。漠然としていた闘う理由が形になる。他ならぬ、姉が死ぬ気で求めたことを、手伝おう)
        (あの時、自らを置き去りにさせて俺を助けた姉のために、そのお返しをしよう。この後悔を、燃え上がらせる時が来たのだ)
        ほんとうに、ごめんだけれど……僕は、兄さんを助けたくなんかない。最初は助けようなんて思ってたけど、あんまりにも、あんまりすぎる。殺してやりたいよ。
        いい加減に理解をしてやれ。釘を打たれる糠でもないし、腕を押されるのれんでもないんじゃないか、そうでもないのに、そんなのって、ない。
        (右手と左手に紙飛行機を握って、真正面からツーと対峙する)
        -- カー 2011-08-18 (木) 06:17:48
      • 俺を憎むのか……! お前!! 俺を憎むのか。殺してやりたいと思うのか。……俺のように、慈悲にて終わりを、もとい、ワン兄さんのために全てを終わらせてやろうという俺に対して、お前は、そうやって、むかつくからと牙を剥いて睨みつけるのか!! 最悪だな、ファイブ!
        第一、求めたからなんだって言うんだ! 求めるって言うのなら、ありのままの、今の、俺を受け入れて見せろよ!
        -- ツー 2011-08-18 (木) 06:40:50
      • ああ、憎いよ。踏みにじったりしない、と、さっき言ってたな。そこが切れ目だ。
        兄さんはフォウの気持ちを踏みにじった。……いや! 今だって、そうし続けてるのに気づいてないだけ。
        フォウは、兄さんを受け入れることなんか望んでいるんじゃないんだ! ……兄さんに受け入れてもらおうと、こうして頑張ってるんだろうが!
        -- カー 2011-08-18 (木) 06:46:40
      • 十分受け入れてるよ。……その上で、お前たちのことを思って殺してやろうとしてるんじゃないか! -- ツー 2011-08-18 (木) 06:47:47
      • 一も二もなく、気持ちすら知らないで、殺そうとすることのどこが受け入れてるって言うんだ、この人でなし! -- カー 2011-08-18 (木) 06:48:36
      • それは遠まわしな自虐かよ、ファイブ! ……殺したいなら殺しに来いよ!(右腕に生えた管が一斉に、ファイブへ向いた) -- ツー 2011-08-18 (木) 06:50:41
      • 言われなくてもそうさせてもらう! だが、殺しはしない、フォウに謝れ!!(紙飛行機を振りかぶり、真っ直ぐツーの腕へ向かって放り投げる)
        (腹部の怪我など、最早、気にするまでもなくなっている。それ以上に、とても怒っていた)
        -- カー 2011-08-18 (木) 06:54:18
      • 俺は悪くない!!(ぴゅん、目にも止まらない速さの弾丸が、飛び来る紙飛行機を撃ち抜いた)
        (右腕にある、管から射出された針が、その弾丸の正体)イモガイって知ってるか。こうやって、管から銛を出して、狩る。
        ついでに言うと、神経毒入りだ。……一発でキマるぜ。お前は掠めただけで死が待ってる矢を避けながら闘うんだ。
        これでもまだ偉そうなことを言えるなら言ってみろ。
        -- ツー 2011-08-18 (木) 07:04:15
      • さっきまでの余裕はどうした、脅すみたいな真似をして! ……意地になってて、引っ込みつかないだけなんだろう!
        (一つでも手を間違えば死ぬ。そう思った瞬間、足元の土がいっそうぬかるんで思えて、強く踏み込めない)
        (眉にぎゅっと力を入れて、気合を入れる。ひきもきらず与えられるプレッシャーに打ち克って、耐えなければ)
        (この程度、フォウが経験した十数年の苦労に比べれば、辛いことなど微塵もない)
        せぇえ、あぁああ!!(紙飛行機を折っては飛ばし、折っては飛ばす。手さばきは流麗で、つかえを知らない)
        (投げられた4機ほどの飛行機の行方を追うと、上空へ飛び立ったのが見える)
        -- カー 2011-08-18 (木) 07:18:38
      • (幾度とも知れず攻撃を加えてもまだ立つ。闘ううちに、心の奥に溜まった怒りと憎しみが煮えて空へ散っていくのを感じていた)
        (だが、まだ止まらない)二度とその口を利けなくしてやる。
        小ざかしく、弱弱しいな。まさしく“子供騙し”だ。ブチ抜け……。(右腕の管が狙いを定める)
        (槍状の針が乱れ飛んで雨霰と吹き散らす。視界パノラマ全域に中るスピード・コース・量。その全てが致命の一撃)
        そら……かわせねェだろ!! これがお前達への終わりの雨だ! 流した血ともども、洗い流してやるよ!
        -- ツー 2011-08-29 (月) 08:38:34
      • (右手にミラージュダートを携える。言うだけのことはある。森に立つ木々のごとく密度を持ち、圧倒する)
        (トゥール・ハンマーといい、恐ろしい物を沢山兄は持っている。だが、僕もフォウも死んではいない)
        (その理由がなにかは知れないが付け入る隙がある。二人とも倒れて手遅れになる前にどうにか勝ってやろう)
        ……。(左手でマジックアローを折り、針が来る直前を見て地面へそれを投げ込む)コラプス。
        (炸裂する音が木々の間を駆け抜けて、空を揺らす。地面へ出来た穴へ潜り、針を避けた)
        -- カー 2011-08-29 (月) 08:51:34
      • チッ……だが袋の鼠だ。狙いやすくなった……。(夕陽が突如遮られ、塗りこめた影が自分へ落ちる)
        さっきの、“アレ”か!
        -- ツー 2011-08-29 (月) 08:53:29
      • (四機の紙飛行機は思うとおりに空を泳いでたどり着く。これは「機会」だ。手に汗を握った)
        (先ず、四機のうちの三機が先んじて飛び往く。夕陽に影となり、速度をぐんぐん上げて進む)
        ……五次魔法陣ファイアボール、八次魔法陣クイック。ラピッド・ファイアァ!!!
        (その三つは雷撃の速度をもって、炎の閃びきと化し、ツーを撃ち抜く)
        -- カー 2011-08-29 (月) 09:01:42
      • なめんじゃ……。(ぎょろりと見開かれた眼が、三つを捉えて離さない。真っ直ぐ来る。ならば点を全て躱せばいい)
        (足が土を蹴り砕いて、転がるように回避を行う。成否は問うまでもない。今の問題は、最後の一機)
        先に……潰すぅう!!(右腕を鞭に変じさせて、蠅を叩き落とす様を思わせる、容赦もない一撃を最後の紙飛行機へと下す)
        -- ツー 2011-08-29 (月) 09:05:14
      • (穴から這い出て目にしたものは、四機目の紙飛行機へツーの腕が伸びる場面。それは、成功を意味していた)
        (口の端で笑う。それは安堵か、出し抜けた気持ちの良い成果の喜びか。ともあれ、口を開いて言い放つ)
        3次魔法陣……ディレイ。(ツーの腕の動きが、水の中にでも居るように、ゆるりとなる)
        (右手に、持っていたミラージュ・ダートを、思い切り振りかぶった)……五次魔法陣スクラッチ・ディストーション……切り裂け切り裂け斬り砕け……!!
        頭を冷やせ馬鹿兄貴……!! エンド・スラッシャー!!!(切り裂く波が歪みの波動を伴って矢となり、ツーを呑み込む)
        -- カー 2011-08-29 (月) 09:11:11
      • え?(「おかしい」「無敵の腕が動かない」「体勢が悪い、足も動かない」「避けられない」「?」「???」)
        う、う゛ぁわぁあぁあああーーッ!!!(疑問へ渦巻く頭へ、次に飛び込んできたのは頗るつきの痛覚。身を裂かれ砕かれ捻じ曲げられる痛みが襲う)
        (5機目の飛行機が、引き裂いて、持っていった)がぁああ……ぁあ
        -- ツー 2011-08-29 (月) 09:15:10
      • あぁ……ぁ……?(だんだん、腹が立ってきた。どうして俺がいいようにされなければいけないのだ、こんなにもぼろくずみたいにされて)
        (理由は当然解っている。俺の仕業が原因だ。和をかき乱し受け入れる手を突っぱねたのが俺なのだ)
        (それが解っているだけに、苛立ちは向けるところをなくして、心をどんどん膨らませる)がぁああ……!!
        (まだ身体は死んではいない。大きな傷だが闘える。足に、力が戻った。気がつくとファイブのもとへ駆け出していた)
        (そうして無言で右腕に爪を作って叩き下ろした)
        -- ツー 2011-08-29 (月) 09:21:10
      • (気を抜いた。動きが止まったのだから、ここからは口だけ使えば良い。僕がやってやったのだ、と、思ったのが浅はかだった)
        (気がついたときにはツーの爪が目の前にあった。ぎらぎら黒曜に輝き散らすその爪は美しいもので、それを見定められるほどに僕は惚けていた)
        ぐっ、あ……!(一歩身を引いたが、左腕を深く抉られた。しとどに血が溢れ出る)
        -- カー 2011-08-29 (月) 09:25:30
      • (それまでの思考は既にかき捨てて、次に移っている。まだだ、もう一発。横薙ぎに破壊の爪を振るう)がぁああ!! -- ツー 2011-08-29 (月) 09:26:38
      • (痛みが身体を突き動かす。左手が懐の紙を刹那に抜き取り掲げた)プロテクション……!!(爪が弾かれて引き戻される) -- カー 2011-08-29 (月) 09:27:42
      • まだァ!!(痛い、痛い。身体が勝手に暴れ出す。一撃がもう一つ下る) -- ツー 2011-08-29 (月) 09:28:36
      • (もう一枚。紙飛行機の形を疾風に折る。ニンブルダガー。指先へそれを構えて剣のようにぴしりと伸ばし)
        ブレイドマニューバ……プロテクションッ……!!(爪へと切りかかり鍔迫り合い、ツーの動きを止める。「もう保たないかな……」腕が震えてきた)
        -- カー 2011-08-29 (月) 09:31:48
  • ツーのかいなが、叫び声を上げた。自らすらも張り裂けそうなほどに、強く高く。山肌に木霊して、幾重にも響いた。 -- 2011-08-13 (土) 00:05:53
    • ファイブ。(狂乱する兄の姿。壊れてしまった心へ風が吹き込み、ひゅうひゅう音を立てるがごとく、叫びを上げている)
      (短く弟の名前を呼ぶ。ただただ数字の一文字だけれど、この世に生れ落ちたときから、ずっと抱えてきた誇らしい、私達の名前)
      兄さん止めるよ。……言いたいことがあるの。(手元にコインを構えて、気を強く強く張って言う。身が引き締まり、視線が兄にぴんと向く)
      -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 01:01:52
      • ……。(兄から打ち据えられた言葉に暫し呆然としていたが、姉の強い言葉に正気を取り戻した)
        (昔から、ナキムシな姉だと思っていたのに、その瞳がずっと強く見える)
        (出来る限りのことをしようと、この瞬間に決意する。このまま殺されてしまおうかとも、本当を言うと、少しだけ思っていた)
        (兄のために出来ることはそれしかないのではないか、と、思っていたから)
        (「言いたいことがある」その台詞だけで、認識ががらっと入れ替わった。戦い、止める。それが兄のためにも姉のためにもなるのだと解ったから)
        了解。……合わせるよ、フォウ。…………色は違えど、僕らの力は大本が同じ。きっと、上手く闘えるはずだ。
        -- カー 2011-08-15 (月) 01:07:13
      • もう言葉なんて必要ない。……ぶち殺す。さもなくば、ぶち殺せ。…………おさまらねえ、髪の一本まで煮えたぎる気持ちだ。
        兄さんに与えられた、俺に与えられた、俺らに与えられた底抜けの絶望を。……忘れるな、俺達の痛みを。
        (腕を下ろして、フォウとファイブを見ると、その目に力が宿っているのがよく解る。青い目と、赤い目)
        (「そういえば、元々こいつらは双子のようなものだったか」母の言葉を思い出して、嗤う)
        (なぜだろうか、不思議に、面白い。出口をなくした電撃のような怒りに、頭と身体を支配されながら思う)
        いいコンビだよ、フォウ、ファイブ。
        -- ツー 2011-08-15 (月) 01:17:54
      • 殺さないよ。それから、忘れてもいない。……私達は強くなった。心が強くなれば、力も強くなる。
        (コインをぎゅっと握る。鉄の硬い、熱いような感触。思い出が湧いてくる。あの四年間は、私の中で強い輝きを放っている)
        (その光は、私の持つコイン全てを輝かせる。金銀諸々。私の魔術の高まりを感じる)……いくよ、ファイブ。構えて。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 01:22:50
      • 僕らがどれだけ“生きたか”を兄さんに叩き付ける。……思い出すのは辛いコトだけではないよ、僕には解る。
        思い出すのは一番最初の記憶。幸せに、兄さんや姉さんや母さんと暮らしていた記憶だ。……胸の奥で、この思い出がとても熱い。
        (紙飛行機用の紙を取り出す。正方形の、よくある、折り紙程度の大きさの紙。ちなみに、素材は高級品だ)
        (指で摘むと、懐かしきかな、この街へ来たときの記憶が霞のように立ち上ぼる)
        (幼馴染たちと、泥だらけになって走った日。そして、そこからの成長譚。皆、皆、伸びていった)
        (昔からの友らに恥じないだけの強さを、僕はどれだけ身につけられただろうか。ここで負けて潰えるのは、申し訳のないことだ)
        (「証明して見せなければ」)……解ったよ、フォウ。
        -- カー 2011-08-15 (月) 01:28:30
      • (きゅっと握って、感覚を思い出す)
        (模擬戦を何度もしていた。カナさんやソーマさんから銃撃を受けたり、モルトさんからけったぐられたり焼かれたり)
        (ちょっとばっかし痛い思い出が多いけれど、それすらなんでか楽しかった。それからナナツさんに協力などもした)
        (彼は、やれたのだろうか。渡したコインが、手元にないのに、胸を燻らせる。きっと、やれたのだろう)
        (御守りにと貰ったコインから、そう伝わるような気がする。ならば、私がここで死んだらだいなしだ。「がんばらないと、ね」)
        (コインに、祈りを籠める)
        指が風を切り、瞳は広がる景色を視る。伝わるものの感触が、私に勝利を告げてくる。
        夢から醒めて、それを思い出す時のように、頭の奥へぼんやりと気持ちの良い波が伝わる。
        負けることはない。負けることはない。確かな力が手に宿る。そこから、噴き出て身体中に伝わっていく!

        鉄のコイン……魔法陣(勝利)。(赤い光が輝く)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 01:40:53
      • (夢心地だ。戦いとはつまり、生きるためのスキル。冒険者なんかは最たるもので、モンスターを倒して報酬を得る)
        (それはまるで、パン屋がパンを焼くみたいに。そうすれば生きていけるし、困ることはナイ。そういうものだ)
        (でも、今は違う。闘わなければならない。逃げることも許されない。「みうちゃんや、レオン君、どうしてるだろうかね」)
        (レオン君は闘いがあると言っていた。それについて深く知らない。でも、彼ならちゃんとやるだろう)
        (みうちゃんは、魔法少女の活動はまだ続いているみたいで、いまだ戦いを傍に見据えているようだった)
        (二人とも何かのために戦っている。……「僕の番が来たのか」きっと、そういう運命があるのだ)
        (たたかいが目の前に待っている。傾いた陽射しが目の奥に入って、じんと響いた。「覚悟をしなければ」)
        (僕には帰る場所がある。……失くした記憶が戻ってきてもなお、あそこをそうだと思う。寧ろ、もっと強くそう思った)
        (竦んでいた足に力が入る。指先の震えが止まる)
        (魔方陣が描かれた紙を、ぱたん、ぱたんと折っていく。慣れ親しんだ紙飛行機、マジックアローだ)
        (この飛行機には思い出が詰まっている。一つ、一つ丁寧に折っていく。ぴしりと尖ったフォルムが完成すると、それをぐっと構えた)
        五次魔方陣、ファイアーボール。(術式に光が走る)
        -- カー 2011-08-15 (月) 01:50:18

      • この術式の名は、ソロモンの大いなる鍵。通称──。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 01:57:41
        この術式の名は、アグリッパの魔方陣。通称──。
        -- カー 2011-08-15 (月) 01:57:41
        魔法人のきょうだい
      • (ファイブと背中を合わせる。二人とも、手に術式を構えている。闘うための心の力、魔術。)
        (こんなことになるだなんて、昔の私は思いもしなかった)
        (きっと将来も、きょうだい皆で力を合わせて、青い空の下、草木のようにのんびり生きていくのだと思っていたから)
        (現実は違って、私達は波に揉まれた。運命がそうして、私達を離れ離れにして、心も離れ離れにさせてしまった)
        (でも、私達は再び出会うことになって、今ここにいる)
        (……。息を少し止めて、今までの人生を噛み締めた。頑張ろう、この先に待っているのは、幸せだから)
        惑星の魔『』陣!!

        惑星の魔『』陣!!
        (フォウと声をそろえて叫ぶ。合図もしていないのに、綺麗に一緒になって響いた)
        (僕は冒険者として経験を積んで、色々な人と闘技場で戦った)
        (ただ強くなるのが嬉しかった。術を洗練していくのが、純粋に楽しかった)
        (空を飛ぶ力をつけるため、経験を。そう思って続けてきたが、結局空に届くことはなかった)
        (しかし、それは全て泡のように無駄な努力となったわけではない)
        (確かにそれが今、必要とされている)
        (この時のため、そう、母さんに近づこうとして身につけた力が、兄を救おうとしている)
        (手に輝く炎の熱さが、じいんと、深く伝わってくるようだった)
        -- 2011-08-15 (月) 02:50:38
      • (コインが形を変えて、手元へ美しい鉄の刃が作り出される。柄の部分に大きな円い孔がそれに空いていた)
        ……私の名は、ヒラニャガルバ=K4・テメノス。この誇らしくも忌まわしい、そして、この街で愛着を得た名前を背に。
        兄さん、あなたを倒します。今から全てをやり直すために。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 02:56:07
      • 僕の名はアートマン=K5・テメノス。もとい、カー・ファイン。双つの名前、一つは家族に、一つは友に。
        友のために生きて戻る、負けぬことを誓う。家族のためにあなたを倒す、勝つことを誓う。……もう、僕は、今までの僕じゃナイ。
        (ずっと、心の奥で認めたくない気持ちがあった。「僕はもう、カー・ファインではない」)
        (記憶が戻ったせいで、目の前にある世界が違って見える。そう、それは欠けていた色を取り戻したように。灰色が、虹色に)
        (それが怖かった、だけれど、もう違う。記憶が戻り、こうして生きることを誇らしく思う。きっと、胸を張って皆に会える)
        行くぞ!!(右手にある、熱い炎を纏った紙飛行機をツーへ向けて飛ばす。滑空する姿は火の鳥のよう)
        (本当の戦いが、今、はじまりを告げた。これは、重い戦いではないが、大事な戦い、主張が食い違ってしまったゆえの、きょうだいげんかだ)
        -- カー 2011-08-15 (月) 03:02:56
      • うるっさいんだよお前等……勝手に盛り上がってるんじゃない。耳障りだ。
        それに、意味ねえってさっき証明してやったろうが! 解らないのか!(紙飛行機は真っ直ぐに飛ぶ。叩き落してくれといわんばかり)
        (無敵の異形、怖くて強い怪物の右腕。自分についているそれを薙いで、炎の球をぶんとかき消した)
        -- ツー 2011-08-15 (月) 03:11:53
      • (迅速)のコイン。音楽がかかる前に足が動き始めた。もう、止まらない。早く早く早く!
        (手に金色のコインが輝いて、気がついたときにはもう、私は素早く走っている)
        (私の小さな躰はやすやすと、兄さんの腕の下にもぐりこんで、それをしたたかに斬りつけた。腕に力がこもって、剣の重さがぶんと鳴る)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 03:18:19
      • (気がつくとそこに居る。フォウの凛々しい表情。殺意ではない、ただ、真っ直ぐに自分を思った一閃が走る)痛、だっ……!
        の、野郎っ!!(腕を振り下ろして、剛打を見舞う)
        -- ツー 2011-08-15 (月) 03:24:55
      • (腕が振り下ろされる前に、指をくん、と動かす。それに反応して、地面に仕掛けておいた“発射台”が用意される)
        マジックアロー中隊、ゲインウェイト!(鉄球のごとく重さを持った紙飛行機が、数十の編隊でツーを囲んで飛んで行く)
        (「仕掛けておいた残りは、あと一セット……」手に汗が滲む。目が乾く。はやる心を落ち着ける)
        -- カー 2011-08-15 (月) 03:29:23
      • (ファイブの声に応じる)……(脱出)のコイン。ああ、どうか、空の神様。眩しいそこから見つめているなら、私をどこかへ渡しておくれ。
        (その場から姿が掻き消えて、躰がファイブのそばに転移した。息が合う。「姉弟だから、かな」)
        (なんだか気持ちがいい。力を合わせることが、とても気持ちいい。人の繋がりというものは、本当に不思議だ)
        (次の手を練るために、コインを指で取った)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 03:32:36
      • (追撃が空へ浮かぶのを視て、思惑の埒外を突かれた気分になった。「フォウごとやる気か?」)
        ……っ!(そして、目の前からフォウが掻き消える)てめえら……!!
        (苛立ちながら、右腕を硬化させて防御する。衝撃は来るが、かすり傷程度もつきはしない)
        -- ツー 2011-08-15 (月) 03:40:55
      • 切り込む。(一言だけ告げると、手に持っている勝利の剣にコインをはめ込む。(白熱)のコイン。淡いオレンジの金属光沢が輝く) -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 03:48:53
      • わかった。(紙飛行機を取り出して、右腕のカタパルトへ装着し、ゴムを引き絞る) -- カー 2011-08-15 (月) 03:50:24
      • (考えた。なぜ、俺は押されているのだろう。結論は、自分に戦闘経験があまりないから、というものだった)
        (殆どの時間を封印されて過ごし、また、その他も研究所に居たきりで、本気で闘ったことなどない)
        (ただただ、圧倒的な右腕の力を振り回すだけ。キマイラとも称されるこの腕は、それだけで並ぶ生き物はいない)
        (ただ歩くだけで虫など踏み潰せる。そういう力がこの腕には宿っている)……もういい。
        俺も本気を出す。(右腕が形を変えていく。皮膚を突き破るように新しい腕が右腕から、幾多も生える)
        (それぞれが鋭い爪を生やす。シルエットは、悪夢に生う樹のように禍々しい。それが伸び、二人へ真っ直ぐ向かう)
        -- ツー 2011-08-15 (月) 03:55:40
      • (来る。普段闘っているゴブリンだとか、ムカデだとか、そういうのとは比べ物にならないくらい強い力が向かってくる)
        (私らは地面に向かって剣を振り、傷つけているようなものなのではないか。「本当に勝てるの?」)
        ……(勇気)のコイン。それは天より来る力。真っ直ぐ空へ伸びる雷がごとく。もうなにも考えない。真っ直ぐ、突き当たる。
        (飛び来る腕へ向かい駆け出す。勝つ、負けるではない。ただ、ただ、兄さんを。兄さんのために剣を振るおう)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 04:13:16
      • 紙飛行機ミラージュダート、三次魔方陣ディレイ。シュート!!(フォウへ当たるコースの腕へ、カタパルトで飛行機を飛ばす)
        (紙飛行機が当たれば、その腕のスピードは、風が絡みついたように速度を落とす)
        (自分へ向かう腕は、カタパルトを盾にして弾いた。腕へ痛みが響く。が、カタパルトは壊れない)
        (ザック師匠謹製の、絶対防御の盾。彼から直接、守られているような気がする)
        -- カー 2011-08-15 (月) 04:16:09
      • (ファイブのディレイで、伸びる腕をなんとか躱すと、身をぐるんと捩って剣を振りかぶる)
        (勝利)と(白熱)の剣。ヒートソード!(伸びきった腕へ、紅く輝く剣を思いっきり振り下ろして、焼き斬る)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 04:21:45
      • (腕が切り裂かれる。痛くはない、もう、とっくにこの腕からは痛覚などというものは消えている)
        (本気で攻撃したはずなのに、あしらわれたそれが何より、痛手だった。心の中にある歪んだ自信が揺らいでいく)
        が、ぁああ!(ぎゅんと腕を振り上げる。「“奥の手”は使わない。このまま、潰す」右腕が肥大し、空を覆うほど巨大に、膨らんでいった)
        ジャイアントグロウス……ッ!! 形すら留めず砕けろ!!
        -- ツー 2011-08-15 (月) 04:26:57
      • ファイブ、こっち来て!(ちゃり、ちゃり、手へコインへ何枚も握る) -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 04:28:16
      • (山のようだ。それが降って来る。手立てが見当たらない。思考が真っ黒に塗りつぶされて、なにも考えられなくなる)
        (声にはっとして、縺れそうになる足を必死で動かして、そちらへ向かった。なぜだか、小さな背がとても頼れる存在に見える)
        -- カー 2011-08-15 (月) 04:33:21
      • あのとき“斬られた”のは、(勝利)の剣だけじゃ、ないッ! ……絶対防御術式テトラキス、改良バージョン。
        三角を二つ重ねたダビデスタア。ソロモンの封印、描け……!((防御)のコインを六芒星の形に浮かべ、二人の頭の上に盾を作り出す)
        (赤い輝きが増していき、落ちる巨腕を受け止める)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 04:35:39
      • うるせえよ、このまま押し潰してやる……!!(落とした腕が止まる。だが、それをさらに広げて、全ての包囲から二人を圧殺していく) -- ツー 2011-08-15 (月) 04:36:26
      • フォウ、続けて本気で斬りこめ!!(腕の肉がぐちゅりと音を立て、暗い中へ迫ってくる。手探りで懐から紙飛行機を取り出す)
        (怖い。が、隣に血のぬくもりを感じて、腕が動く)
        -- カー 2011-08-15 (月) 04:40:54
      • Komplenis!!(コンプレーニス)(了解!)(剣から(白熱)のコインを外し、付け替える。信頼して、ファイブに任す) -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 04:43:40
      • 五次魔方陣ディストーション、シュート!!(硬質化した腕の皮膚が迫っている。その1点を見据え、紙飛行機を飛ばす)
        (空間の歪みが、そこへ生まれる。ぐしゃりと、硬さを失うように、紙でも握り潰すかのように、そこが曲がりくねった)
        -- カー 2011-08-15 (月) 04:46:19
      • 鉛のコイン魔方陣(排斥)、を、セット!(剣の孔へ嵌めこむ。ぱちんと音がして、噴き出るように、黒色の魔力が渦巻いた)
        (勝利)と(排斥)の剣。ジェノサイドソード! しゃぁあああ!!(歪んだそこへ、体当たるように斬りかかる。溺れて泳ぐように、掻いて、掻いて、抜け出す)
        (二人して、弾けるように、巨大な腕から抜け出した)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 05:01:20
      • (腕を元に戻す。確かな手応えはあったのに、仕留めそこなった。思い通りにいかない、益々苛立ちが募る)
        (地面を蹴って、抜け出し、息も上がった二人へ近づく)しぶっといんだよ!
        (巨大な爪を生やした右腕を薙ぎ、二人まとめて切り裂こうと、振り抜く)
        -- ツー 2011-08-15 (月) 05:05:49
      • (近づく姿を見た瞬間に気づく。もう逃げられない。疾駆する姿は人じみていなく、肉食の獣のよう。あまりに、力強い)
        ファイブ、腕!(左手をファイブに差し出して、手を握る)(飛揚)のコイン。
        足が引きずられるこの感じ。あまりにも、鬱陶しい。いっそのこと、飛び上がってしまおうか。きっと、それは楽なことだろう。
        (ぎゅっと手を握り締めて、空へ飛び上がる)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 05:17:17
      • (迫る兄の手への対処をあれこれ考えていたころ、手を伸ばされ、はっとそれを掴むと、引かれて空へ飛び上がった)
        (「飛んでる」ほんの少しだけ感動して、小さく繊細な手を強く一度握り、離した)そりゃあ、しぶといさ。
        (感動もそこそこに、紙飛行機を取り出す。特別製、表と裏の両面に、魔方陣を描いたマジック・アロー)
        ……四次魔方陣ギガンティック、五次魔方陣スチールコート、ダブルキャスト!!(紙飛行機がぐんぐん巨大化していく)
        (先ほどツーのやったことを真似るように、巨大な紙飛行機ができた。それが鉄と化していく。巨大な鉄塊が完成し、それが空から落ちるように飛ぶ)
        アイアンミーティアー、シュート!
        -- カー 2011-08-15 (月) 05:27:13
      • (いっぽう、私のほうは飛揚の維持に意識を向ける。これを維持してる限り、私らは浮いたまま)
        (空まで伸びる腕はあるものの、こちらは投射系の魔導武器持ちが二人。優位は、歴然)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-15 (月) 08:30:47
      • (巨大な鉄の塊が落ちてくれば、当然相応の威力をもって、降りかかる。術式:アイアンミーティアーは地面を抉って、突き刺さった)
        (しかしそこへ注意してもツーの姿はない。場面は代わって空に、影が躍る)
        -- ツー 2011-08-15 (月) 08:33:45
  • (山の中、中腹、開けた場所。春の若葉が樹に宿っている。そんな樹に囲まれた若草の広場) -- 2011-08-12 (金) 04:25:19
    • (ファイブの紙飛行機を地面へ設置している。安っぽい木で出来たギミックに乗せた、これまた安っぽい紙飛行機)
      (私は、魔術を設置したりするのが苦手だ。だから、短い時間をファイブの手伝いへ充てることにした)
      ……こっちは、いけたよ。
      -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 04:27:19
      • (手元が狂う。打たれた鉄のように手が震える。震えは恐怖。指先まで満ち足りて、心を蝕む)
        (それでもなんとか、焦らずに、魔術、術式を乗せた紙飛行機を幾つも、幾つも“設置”する)
        こっちも……なんとか。完璧とは言えないから、もう少し……。
        -- カー 2011-08-12 (金) 04:29:27
      • もう少し、はないよ。刀折れ矢尽きぬよう、調整して、戦ってね。……ほら、近づいている。
        (感じる。それは殺気など、そういう、煤けたものではない。ただ、ほんの少し温かい人肌のぬくもり)
        (家族の匂い。家族の温かさ。私達を殺しに来る者へ何を、とは、思わない。大切な人が、やってくる)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 04:34:16
      • (ざく、ざく、山を踏みしめる音。近づいてきて、姿が目に入る。彼の顔は、血に濡れていた)
        さあ、次はお前達だ。……死に場所は、そこでいいのか? あの孤児院のほうが、思いいれのある場所じゃなかったのか?
        -- ツー 2011-08-12 (金) 04:36:25
      • スリー兄さんはどうした。(心胆寒からしめられた。その血は、冒険者の依頼でよく見る血と同じもののはず、だが、全く、色が違って見える)
        (おぞましく、赤だというのに、逆に心がずうっと寒くなる鮮血の色。手が震える)
        -- カー 2011-08-12 (金) 04:38:12
      • あいつは、俺と同じく肉体に改造を受けていたのだろうな。どれだけやっても、死んでくれなかった。
        顔がぐちゃぐちゃになって、血の泡をぽこぽこ出しながら息をするのを見ていたら、どうにも、心が冷えて。
        だから、お前達をやってから、あいつにとどめを刺しにいこうと思った。
        (目を細めて、涙が浮かんで、口元が悲痛にゆがめられている。悲しみが痛いぐらい、顔へあらわれていた)
        終わらせるんだ、すべて。だから、お前達も……無駄にじたばたしないでやられてくれ。
        -- ツー 2011-08-12 (金) 04:51:00
      • どうしてこんなことをするの。(私は色々、説得の言葉を考えていたはずなのだけれど、欠片も出てこない)
        (散らかった部屋で物を探しても見つからないのと同じで、考えることが多すぎて、気になることが多すぎて)
        (優しい言葉も、正しい言葉も出てこない。ただ、ただ、心が必死になっていく)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 04:53:47
      • そうだな……知ってくれれば、きっと、お前達もわかってくれるはずだからな。
        (立ち止まって空を見上げる。夕焼けの時間は終わりかけて、薄闇があたりを覆っていた。涙が一筋零れた)
        ……これを、見ろ。(右半身が顕わになって、マントがどこかへ飛んでいった)
        (その下の腕は、筋肉が、群生する茸のように膨らんで、血管が浮き、ぐちゃぐちゃとそれ自体が生き物のように蠢いて)
        (鋭い爪が生えているところもあれば、小さな翼のようなものが生えているところもある。動物を放り込んでかき混ぜたような腕だった)
        -- ツー 2011-08-12 (金) 04:57:29
      • あいつらに、おもちゃにされた痕だ。……人間に、おもちゃにされた痕だよ。キメラのようだろう。
        (伸び、縮み、膨らみ、凋み。生き物を寄せ集めたような右腕は、そうして化け物じみた鼓動を鳴らす)
        解るだろう、言いたいことが。スリーのこともそうだし……ワン兄さんのことだって、そうだ。
        -- ツー 2011-08-12 (金) 04:59:44
      • 何度、メスを入れられたか知れない。玩ばれて、俺の身体が俺じゃなくなっていった。……怖かった。
        ……どうして、俺らがこんなめにあうんだろう。一度は、研究所の研究員たちを恨んだ。一度は、俺らを産み落とした母さんを恨んだ。
        それから、俺は悟ったんだ。創られた命である俺ら、それはこの世界にとって、木へ竹を接いだようなものだと。
        生きていてはいけないものだと。……だから、これから、世界に押し潰されてお前達がもっとつらいめにあわないように。
        救済しに来たんだ。お前達を殺して……俺も死んで、全てを元通り、終わらせる。
        (異形の腕を持ち上げ、空へ掲げた。肉で出来た樹が、山の中腹へ聳え、夕陽を浴びる)
        -- ツー 2011-08-12 (金) 05:05:13
      • ……おかしいだろ、そんなの。ただ逃げ出したいだけじゃないのか、それは。
        現に僕達は、ここで幸せを掴んだよ。……生きていて、楽しいって思うよ。
        (兄さんの目が語っている。辛い、溺れるような人生がそこから覗けるのだ)
        (苦しいと叫ぶ心が身へ染み出たのがその腕と言っても、そうだと思える負の感情が伝わってくる)
        (山の冷たい空気を、鉄線のように響かせて、金切る音を伝えてくる)
        -- カー 2011-08-12 (金) 05:12:13
      • 右に同じ。……駄々こねてるようにしか見えないよ、ツー兄さん。
        (救済と言ったが、それが必要なのは、他ならぬ兄さん自身なんじゃないだろうか)
        (見ていられない。殺すことが救いになるというのなら、そうしてしまいそうになるほど、悲しい)
        (一体、どんな気持ちで私達を殺すなどと思い至ったのだろう。想像もできない)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 05:14:52
      • 答えは変わらない。せめて、苦しまずに死んでくれ。…………母さんと同じところへ、俺らは行くんだ。
        (土が巻き上がり、怒涛のように噴き上がった。右腕を叩き付けた、ただそれだけの動作が、二人を呑み込む)
        -- ツー 2011-08-12 (金) 05:17:25
      • (土の水柱が立ち、影を高く伸ばす。それに包まれ、諦めにも似た感情が満ちる。されど、手を動かす)
        (上着の裏側から紙片を取り出し、開く。紙飛行機マジックアローが姿を現し、手に収まった)
        ……コラプス!
        -- カー 2011-08-12 (金) 05:24:48
      • (ファイブの紙飛行機が爆発して、土の勢いを押し返す。「どこまで、やれるだろうか」)
        鉄のコイン、魔法陣(厄災)……恐怖、怒涛の恐怖が風となり、嵐となり、巻き起こる!
        (コインを取り出して、弾く。竜巻が勢いを失った土を巻き込み、兄さんへと唸りを上げて向かう)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 05:29:31
      • (土の嵐が止む。その中に人影が一つあった。異形の右腕は変形し、大きな鱗に覆われている。それを盾にして、じっとしていた)
        ……どうして解らないんだよ.
        -- ツー 2011-08-12 (金) 05:35:15
      • どうして解らない。そんなことをしても無駄だ。……今、見たろう。抵抗したって、通らないんだよ。何はなくとも、簡単に弾ける。
        ……解れよ!! これまでだって、お前等は自分の無力さを噛み締めてきたはずだ!
        (右腕がさらに異形を成す。巨大な爪のような、破壊的なフォルムを削り出す)
        ワン兄さんは……俺らが“気がついたら死んでた”んだぞ。ほら、なんにもできなかったろう。
        だから、俺が来たんだ……お前達を救うために。ひどい姿で殺される前に殺してやる……!!
        -- ツー 2011-08-12 (金) 05:39:29
      • 矛盾だらけだね、兄さんの発言は! そんなんで解るわけなんてないでしょうが!
        (ツーがフォウへ向かって走る。地を割き、波を斬るように激しく向かう。右手には破壊の爪。噛み砕かんと、張り上げる)
        ……防護魔術……一度破られたから、絶対なんて言えないんだけど……。
        (手元へ10枚、コインを浮かべる。全て(防禦)のコイン。それは三角形へ並んで、赤く光り輝いた)
        必防術式、テトラキス!!(ツー兄さんの歩みが目の前で止まる。歯をむき出して、目を見開いて。とても、苦しそうだ)
        (どうして、こんな兄さんへ攻撃など加えられようか。悲しみを助長するだけではないのか。私たちは、一体、何と戦っているんだろう)
        ……ファイブ!! 今!(それでも、この兄さんは止めなきゃいけない。絶対に。こんな終わり方は嫌だ)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 06:02:55
      • (躊躇う。今あそこに居るのは、変わり果ててはいるが、僕らの兄その人のはず。傷つけて、いいのだろうか)……い、っけぇえ!!
        (仕掛けが作動して、草叢から紙飛行機が数十機飛び上がる。暁の空を、鳥の群れのように埋めた)
        ……五次魔法陣、ファイアーボールゥ!!!(炎の雨が二人へ突き刺さる)
        -- カー 2011-08-12 (金) 06:05:27
      • がぁああああ!(腕がばらりと解けるように、幾多の触手へ姿を変える)
        小賢しいんだよ……!(腕がうねり、飛ぶ紙飛行機をぐしゃり、ぐしゃりと叩き落していく。ツーの身体へ、一機も届かない)
        矛盾!? 俺たちの存在が矛盾そのものだろうが……!! どこにも受け入れられず消えていく、歪なヒトガタ!!
        俺は、ここに来るまで……馬車に乗ったし、街道だって歩いたよ! その誰もが、この腕を見て顔を顰めた。
        何よりの証拠じゃないか。千の言葉を並べて、俺らをまともというよりも! ずっと! 論より証拠、そうだろう!? お前らは、ただ人の形をしているから解り辛いだけだ。理解しろ……!!
        絶望が俺らの本質だ。……原初の人間などと謳われても、真実はそんなものだったんだ。ただの人を真似た半端物。
        神の姿を似せて、神は人を創ったっていわれるよなあ! じゃあ、人が人の姿に似せて創った俺たちはなんなんだろうなあ!
        考えてみろ、無駄なことをしていないで……!!
        -- ツー 2011-08-12 (金) 06:13:05
      • (私たちの声は、届いているみたいだ。攻撃を止めて、喋っている。本当に、私たちを救おうとして、殺そうとしているんだ)
        (気づくと、心が締め付けられる。「じゃあ、どうすればいいんだ」私には難しい問題すぎて、糸口も見出せない)
        (だけれど、一つだけ、言いたいことはある)……私の行ってた学校ではさあ、身長10mある女の子がまったくもって普通に友達だったよ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 06:17:39
      • (攻撃が止む。「今がチャンスだ」長い冒険暦は、そんな言葉を紡ぐ。でも、僕は兄さんを殺したいわけじゃない)
        (フォウの言葉につられて、こちらも)……僕の幼馴染に、小さい先生が居てさ。
        小さい先生っていうのも、なんなんだけれど、とにかく小さい先生なんだ。その人、突然大きくなったのに……みんな何もいわず、ただ、受け入れてたよ。
        -- カー 2011-08-12 (金) 06:20:35
      • それがどうした。……それでなにか訴えたつもりか!! 涙でも誘おうというのか、そんな幻想で! -- ツー 2011-08-12 (金) 06:24:12
      • あとねえ、とびきりの人が居て……クラスメイトにね、怪獣が居たの。こう、がおーって、でかくて……。
        (両手を振り上げて、広げる。卒業したのは少し前の話なのに、今じゃ、遠い昔の話に思える)
        宝石みたいなのが一杯ついてて、肌が緑色で。破壊光線を放ちます! ……でもねえ、話してみると常識持ってて、すごい、いい人なんだよ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 06:26:27
      • ああそうだ……僕もね、幼馴染巨きな赤鬼が居てねえ……。見かけはとても怖いんだけど、凄く優しいんだ……。
        野菜を作るのが上手な人でね、みんなの前でよく笑っていたよ。
        -- カー 2011-08-12 (金) 06:27:38
      • 耳障りなんだよ……さっきから。そうやって、ハンディ抱えてる奴等が馴染んでるんだから、俺も頑張れっていうのか!?
        馬鹿じゃないのか、お前等……!
        -- ツー 2011-08-12 (金) 06:28:35
      • 反吐が出る。吐き気がする……! イライラして、頭が凍ってしまいそうだ!
        (左手で髪をかきむしる。爪が肌を傷つけ、じりじり痛みが湧いてきた。気がおさまらない。理解できない、イライラする)
        そう、やって、馬鹿みたいに、信じて、本当に、馬鹿みたいに、お前等はっ……! 救いようがないんじゃないか……!?
        -- ツー 2011-08-12 (金) 06:33:22
      • ……どん底の悲しみを背負って、何もままならないまま、全てを否定され続けて。
        幸せな頃だってあったさ、お前達や、母さんと過ごした日々がそれだ……。でも、それはもう二度と戻ってきやしない。
        母さんは空に。兄さんは死んでしまった……。取り戻すことなんてできない。欠けたパズルは完成しないってわかるだろうが。
        今更、そんなものを見て救われた気にでもなってるのか。……なにも知らないから、そうやってのうのうとしていられるんだ。
        -- ツー 2011-08-12 (金) 06:59:48
      • 僕らの言いたいことはそんなんじゃナイ。 -- カー 2011-08-12 (金) 23:04:48
      • ただ一つ言えるのはね、この街のみんなが私や、ファイブをそんなふうに受け入れてくれたってことだよ。 -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 23:06:02
      • (指先に力が入らなくなって、だらんと手を下げる。反論の言葉が直ぐに出てこず、数秒だけ黙って、口を開いた)
        ……じゃあ、聞くが……お前等は本当に、自分たちが受け入れられてるとでも思ってたのか?
        自らの奥底にある、皆とは違う何かに気づかれて虐げられてしまう、そんな、不安を抱えていやしなかったか?
        -- ツー 2011-08-12 (金) 23:10:13
      • (緊張が手に汗を浮かべる。確かに、地面があってそこに立ってはいるが、不安感で、ふわふわした気分だ)そりゃあ不安もあったけどね。
        そんなこと考えるのが阿呆らしいくらいに受け入れてくれたし、何より……あそこが故郷だと思えるんだ。
        -- カー 2011-08-12 (金) 23:15:01
      • ……幸せだっていうのか? -- ツー 2011-08-12 (金) 23:16:04
      • うん。(突然、あんなにも猛り狂っていた空気が静かになった。台風の目にでも入ったように)
        (正直に言おう。ツー兄さんがわからない。なにか、世界に対する恨みでも抱いているのかと思えばそうでもないし、僕らへの妬みを抱えているでもない)
        -- カー 2011-08-12 (金) 23:19:14
      • 私も幸せだったよ。だった、は余計か。今も幸せだね、皆と離れても、なぜだか繋がっている気がする。
        (言葉を投げ合って、私たちはほんの少しなにかを掴み始めている)
        (30年近くも、私たちきょうだいの会話は無かった。それで、どうして理解なんてできるだろう)
        (しだいに、恐怖はなくなっていって、煙が空へ散らばるように、薄れていった。ようやっと、目の前の人が兄さんだって気づけてきた)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 23:28:01
      • ……。(「俺はなんのためにここに来たんだ?」自問する。「弟たちを不幸から解放して、せめて苦痛のない最後を与えてやるため」自答する)
        (違う。……これは多分、言い訳だ。俺自身が終わらせたかったのだ、全てを。もう疲れてしまったから、なにもかも終わらせたかったのだ)
        (理由はそれだけではない。後ろめたさがある。俺は幸せになってはいけないのだという、後ろめたさがある)
        (それは何か。大きな罅のようなものだ。心の器にそれがある限り、そこへ幸せを注げども、溢れ出て空虚なものとなる)
        ……ワン兄さんが、あんなふうにして死んでしまったのに、お前達は、お前達はそれを忘れて、幸せだって言うのか?
        (きっと、これが俺の本心なのだ。泣き出したくなる気持ちと一緒に、胸がすうっとした。これは、正論だ)
        (今まで俺が心の中にずっと抱えてきた、大事な兄さんへの思い。ころされてしまった兄さんへの思い)
        -- ツー 2011-08-12 (金) 23:34:34
      • (風がざあっと、波が砕けるような音を鳴らして吹き抜けた。それは心を冷やしていくようだ) -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 23:39:56
      • (ああ、先ほど記憶が戻って、先ほどようやっとワン兄さんたちのことを思い出した僕には、つらい質問だ)
        (なにも知らず、のうのうと暮らしていた。それが心に、曖昧なもやとなって留まっていたのだが、それが形をもって焼きついたようだ)
        (兄たちのことを忘れて、僕は幸せだったのだ)……そんなつもりじゃ……。
        -- カー 2011-08-12 (金) 23:41:46
      • だったらどんなつもりだよぉ!! ……クソッ、う、うわぁああ……ぁああ!!(頭の中で、何かがはじけた)
        (感情が溢れる。せき止められていて、なにも感じないふうに、ただ殺そうとだけ思っていた心に血が通う)
        (ひからびた心が動き始めて、それが余計に、身体中に、毒のような気持ち悪さを送ってくる)
        もうなんでもいい……俺は、ワン兄さんが目の前に居て救えなかった……。兄さんは、幾つもの肉の塊になって……!
        (フォウと、ファイブは、幸せだという。なぜだか、それが、許せない)兄さんを差し置いてへらへら、幸せになりやがって!! 反吐が出る!
        無様な奴等め!! そんなことで……そんなことでは、豚以下だ、なんの感動も生まれんわ……!! ……殺す。
        -- ツー 2011-08-13 (土) 00:02:37
  • (話して一時間もしない頃に、乾いたノックが孤児院に響く) -- 2011-08-12 (金) 03:26:11
    • ……ああ、もう5時を過ぎるか……子供たちが帰ってきたみたいだな。(短い会話。でも、中身は肩こりがするぐらい重い会話)
      (得たものは多いし、貴重な時間だった。こんなに、何かにのめりこむのは久々のことで、立つと背骨が音を立てた) -- スリー 2011-08-12 (金) 03:29:14
      • 結局、問題点を挙げるにしても、情報が少なすぎるな……。ミルクパズルっての、昔やったんだけど。あれだ、あれに似てる……。
        (ふと、クセが出て、空を見上げた。ステンドグラスから差し込む西の陽が、つんざくように目に入る)
        …………。なんだ。
        -- カー 2011-08-12 (金) 03:31:39
      • ファイブ。……ファイブ、スリー。もしかしたら、もしかしたら、だけど……。
        (体温がぐっと下がった。恐怖が、足の指先に、じりじり青い火になって焼きつく)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 03:33:37
      • (三人がフォウの言葉で、弾かれたように身構えると、すうと音も鳴らず扉が開いて、その裏を覗かせた) -- 2011-08-12 (金) 03:34:53
      • (半身をマントで覆った姿は、影が身体にかぶさるよう。長い髪がだらりと下がって、金色の目をらんらんと光らす)
        (ハリシヨン=K2・テメノス。ツー兄さん。猟奇に染まった笑顔を覗かせて、ぎらぎら、笑う)
        あ、は、は! ……三人とも、一緒に居たのか。ああ、運命的だな、なあ、スリー、フォウ、ファイブ。久しぶり。
        -- ツー 2011-08-12 (金) 03:39:26
      • (拍子抜けだった。その姿こそ、おかしなふうはあるが、ちゃんと話はできている。「望みは、ありそうだ」)
        (説得というのも難しいが、土俵には立てる。後は頑張り次第。どれだけ三人の思いが、きょうだいの思いが届いてくれるかによる)
        ツー兄さん……ああ、久しぶり。……本当に久しぶりだよ。20……何年ぶり、かな?
        -- カー 2011-08-12 (金) 03:44:03
      • (ファイブの警戒が解けている。だめだ「浚われる」喉を引き裂くぐらい、声を張る)ファイブ、右手の手甲前に構えて!! -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 03:45:33
      • お前達の魂に救済を与えに来たんだ。……ようこそ、希望なき世界を、よくよく噛み締めてから死んでくれ。adiaŭ(アディーアゥ)、ファイブ。さようなら。
        (“何か”がごうと音を立てて真っ直ぐカーへ向けて飛んだ)
        -- ツー 2011-08-12 (金) 03:49:36
      • ……!?(咄嗟に構えた、手甲カタパルトがごんと押され、腕ごと僕へぶつかってきた。胸が潰れて、悲鳴が上がる)
        ぐ、がぁあっ!(孤児院のざらついた床へ肩を擦る。何が起きたか解らない。目を白黒させて立ち上がる)
        -- カー 2011-08-12 (金) 03:52:41
      • (ファイブへ攻撃が向かった瞬間、ツーへ向けて走る。テメノス研究所によって付加された過激な力が、獣のようにわが身を疾駆させる)
        ……おォッ!(ツーの身体に飛びついて、四肢へ摑みかかった。地面に押し倒し、押さえつける) -- スリー 2011-08-12 (金) 04:00:38
      • ファイブ!! 何してんの、こっち、早く! 裏口!(呆然としたアホ面をしているファイブの手を引く。ところで、私は力が弱い)
        (基本的にはか弱い女の子。魔術があって、やっと人並みの戦士。ゆえ、今引っ張っても、ファイブはびくともしなかった)
        ……はーやーくっ!!
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 04:05:24
      • (「もしも、何も準備が整っていないうちにツー兄さんが来たら、スリー兄さんが囮になる」)
        (ツー兄さんの狙いは、僕らの命。それだけははっきりしている。だから、一度、僕ら二人は逃げる)
        (身体能力が高く、怪我をしても活動でき、逃げ足も速いスリーが囮になれば時間を稼げる)
        (理論では解っていて、ほんのさっき話した、まだ記憶に新しい計画だけれども、足が動かない)
        見えなかった。……ツー兄さんの、あの、マントの下の何かは、僕らが想像するより怖ろしい何かだ。
        スリー兄さんを一人にしたら、危ない……!
        -- カー 2011-08-12 (金) 04:10:37
      • (ばん、銃声みたいな音がする。なんのことはない、私のビンタだ)……怖ろしいから、ここで闘っても勝ち目ないって言ってるの!!
        忘れた? 私らは……魔術師なんだよ。10分だけでも時間があれば、どれだけ有利に闘えるか解ってるよね?
        スリー兄さんを信じて。頼れる私達のお兄さんでしょうが。……行くよ!!
        (足が震えてる。目がしょぼしょぼする。怖い。怖い。あのままほうっておいたら、スリーが死んでしまう)
        (私達はまたきょうだいを失う。怖い。怖い。消えてしまうのだ。死んだら、何も残らない。それがとても怖い)
        (目の前が真っ暗になって、なにも見えなくなって、何もかもが、遠くなる)
        (私だってこれぐらい怖い。でも、走らなきゃいけないのだ、今は。どうしても!)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 04:14:37
      • わ、かってるよ!!(余計な議論をしている暇なんてない。それはスリー兄さんへの冒涜で、僕らきょうだいへの冒涜だ)
        (ならば、走るしかない。誇らしい、僕らのきょうだいたちのために。悩んでいる暇もない)
        (二人で共に、駆け出した)
        -- カー 2011-08-12 (金) 04:16:11
      • よお、兄弟……。なんだよ、もう、面倒臭いことしてくれるな……。駄々をこねちゃあ、いけないよ。
        (押さえつけられた右腕がじゅるり、拘束を抜け出す。まさしく、人外じみた振る舞い)
        おい、そんな顔をするなよ。……最後に見るのがそんな顔じゃ、悲しいからな……。すっきり死ねたら、それがいい。
        -- ツー 2011-08-12 (金) 04:18:16
      • ツー兄さん……っ!(両手、両足を離す。足が恐怖に竦んで、後ろへ勝手に飛び退いた。自然と距離が開いて、ツーと向かい合う)
        どうして、こんなことを……! -- スリー 2011-08-12 (金) 04:20:04
      • 救済だ……泥から産まれ、泥を塗りたくられ、崩され……そんな俺らを、ゼロへ戻す。
        そのために、来たんだ。兄弟……。(立ち上がる姿は、ゆらりと、幽鬼のごとく。不安定さをこれでもかと感じるのに、突き崩しようがなく見えた)
        (それはまるで闇がひとかたを得て動くようだった)
        -- ツー 2011-08-12 (金) 04:24:09
  • !!(目を覚ます。フォウに、コインを頭に押し付けられている。オレンジ色の光が瞼を覆っている)
    (フォウの手が離れる。眩暈が、続けて襲ってきた。たまらず、椅子へ倒れるようにもたれかかった)
    -- カー 2011-08-05 (金) 05:14:24
    • (どう、なっただろう。一度失敗しているから、不安でならない。それでも、自信はある)……ファイブ……? -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 05:49:58
      • (沈黙が圧し掛かる。記憶が戻って、カーは、一体どう思うだろうか。固唾を飲んで、見守る) -- スリー 2011-08-05 (金) 05:55:38
      • …………。そうかい。(頭がとても痛い。頭の奥のほうに火が点いて、燃え盛る。意識が揺らいで、まともに動かない)
        そういうことだったわけね……。……スリー、兄さん。ああ、なんで忘れていたんだろうな。こんな近くで、ずっと見ていて……あははは、は。
        -- カー 2011-08-12 (金) 00:07:35
      • 他ならぬ私が、お前の記憶を封じようと思ったんだよ、カー……。
        (カー・ファインの雰囲気が一変し、アートマン=K5・テメノスの、自分の遠い記憶にある彼の意識が混ざる)
        (記憶の消えた弟、カー・ファインに慣れ親しみ、もう、それで良いのだと思い続けてきた)
        (でも、実際に呼ばれてみると、とても懐かしくて、心の奥にある冷えた部分へ、夏の風が吹き込んだように、温かくなる) -- スリー 2011-08-12 (金) 00:14:37
      • 責めてるわけじゃないよ。むしろ……よく解った、感謝してる。……こんなに遠回りした俺が馬鹿らしく思えるけどな……。
        (頭蓋へ水を注がれたようだ。揺らすたび、かき混ざり、冷えて、重くて……心が、安定しない)
        (「今の僕は誰なのだろう」不思議な気分だ。不快ではない。海に揺られるようだ。身を任せていたくなる、揺らぎがある)
        あと……フォウ、ごめんな……。
        -- カー 2011-08-12 (金) 00:19:31
      • (終わってしまうと、あっけないもの。静かだ。砂場へバケツで、残った砂をざあと撒く。すると、ぺたんと纏まって、一つになる)
        (似たような感じだ。ようやく、一つの区切り。なんとも清々しい、徹夜を明けた朝焼けを見る気分がする)
        いいよ。……ちゃんと、こうして戻ってくれるって解っていたからね。
        ほら、グラウンドでさ……拒絶、っていうか。ああされたときは、悲しかったけど。……でも、お姉ちゃんなんだしね。そんぐらい楽勝で受け流すって!
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 00:23:57
      • あはは……いや、本当、強くなったんだな、フォウ……。(記憶にある彼女の姿は、最後以外、いつも弱弱しい)
        (手を引いてやらなければ、転んでしまうような、危うさがあった。……あの時、研究所からザック師匠から連れ出された時)
        (守ることができなかった。……“カー”が、人の世話を焼きたがったのは、それを後悔していたからだったのだろうか)
        (エディプス・コンプレックス、ってやつだ。人を助けることで、代替行為とする)……うぅ。
        少し、横になりながら聞いていいか……?(長椅子へ横たわり、天井を見上げて息を吐いた)
        -- カー 2011-08-12 (金) 00:28:59
      • いやー……しかし、一時はどうなることかと思ったよ。ああ、やっと……なんか、やっと、ちょっと、安心しちゃった。
        いままで、けっこう大変だったもんなあ。(いけない、涙が溢れそうになった。嬉しくて、安心して、へたんとなってしまいそう)
        (こころの中に光が満ちて、目の奥に眩しさを感じて。幸せ。幸せ……でも、まだそれを噛み締めている場合じゃない)
        解ってるよ、ツー兄さんのことでしょ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 00:58:32
      • ああ……そこらの説明、私にも詳しく頼みたい。……あれから、ツー兄さんがどうなったのか知らないんだ。
        アイザックから何度かちらほら手紙で聞いてはいたんだが、いかんせん、聞ききれていないところも多くてな……。 -- スリー 2011-08-12 (金) 00:59:57
      • 以心伝心、なんて冗談っぽく喜べたらよかったんだけどな。……今は、それを考えなくちゃあいけないんだろう。
        だから、俺の記憶を戻したんだ……。少し、まだついていけてないけど、僕は大丈夫。話してくれ……。
        -- カー 2011-08-12 (金) 01:01:38
      • でもファイブ、無理しちゃだめだよ……? ちゃんと、休んで……頭の中、整理してからじゃないと。
        (顔色が悪いし、横になったまま、随分調子が悪そうだ。正直、心配になる。記憶が戻るって、どんな感じなんだろう)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:03:35
      • 緊急事態なんだろうが……殺しに来るってのが、なんなのか、未だに解らないんだ。
        (整理しても、整理しても、そこに繋がらない。不安すぎてどうにかなってしまいそうだ。兄に殺す、だなんて言われたら、肝が冷えてどうしようもない)
        -- カー 2011-08-12 (金) 01:06:46
      • ……ああー、うん。そだよね。私も、直接言われなかったら信じなかったろうし……。(頬をかく)
        (記憶の中にある光景は、まさに悪夢。私が「嫌だなあ」と思うことを敷き詰めたような感じ。足の踏み場もなかった)
        ……うん、じゃ、話す。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:08:30
      • (この二人より、自分は人生経験が長い。孤児院じみたところを切り盛りして、幸せであろう生活を送れた。それは幾分、自信になっている)
        (そのせいだろうか知らないが「イザとなれば、私がなんとかしなければ」と、責任感めいた感情が燻っている)
        (椅子の一つに腰掛けながら、真剣な目をフォウへ向けた) -- スリー 2011-08-12 (金) 01:13:39
      • 私説明下手だからなぁ……なんて言ったらいいんだろう……ええと……。
        どうなったんだっけ。最初は、わかってるんだけど、ええっと……。(自分の髪の毛をくしゃくしゃしながら考える)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:15:10
      • フォウ。……カーとアイザックが研究所から出たあと、どうしていたかまず話してくれないか? -- スリー 2011-08-12 (金) 01:19:10
      • (助け舟を出された。ありがたいけれど、なんか恥ずかしい)あ、うん、うん……そうだね。わかった。そこから話す……。
        ……ファイブがザックさんに研究所から連れ出された後、私は研究所に取り残されたわけなんだけど。
        最後のサンプルって扱いになっちゃって、それはもう、取り調べられるわ実験台になるわで……。
        (ぼんやりと浮かんでくる。腕に注射を刺されたり、電極をくっつけられたりだとか、麻酔で眠らされたりだとか)
        (ぼんやり、「ひどいことされたなあ」と思い出せるものの、記憶にはあんまり残っていなくて、正確には出てこない)
        そんな感じで、9年過ごしました、はい。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:29:08
      • 言い方軽いなー……。(詳しい内容が伝わってこない分、ショックは少ない。気を使ってくれたのだろうか)
        (大事の前の小事。そうして、自分が受けた仕打ちというのを、軽く流してしまって、本当に大切なことに取り組もうというのだろうか)
        (だとしたら、フォウは本当に強くなった。姉として慕う心が、沸々湧いてくる)
        -- カー 2011-08-12 (金) 01:32:13
      • いやー……それがねえ、ファイブ居なくなったのがショックでさあ。殆ど抜け殻状態だったのね。
        辛かったなーって思うんだけど、正直全然覚えてなくってー……てへっ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:33:24
      • (深く頷いて、続きを促す)辛いことなんて、忘れていたほうがいい……。それより、その後は? -- スリー 2011-08-12 (金) 01:36:28
      • そうそう、そこからまた実験の一環で……学校行ったんだよ、魔術学校。ちゃあんと、行儀良く人に馴染めるか、って実験。
        ファイブは知ってるっしょ? その頃の私。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:38:19
      • ああ……あんまり唐突に研究所がどうとか、記憶をなくす前のきょうだいがどうとか言うから、電波なストーカーと勘違いしてたあれか……。
        (絵本から一人、登場人物が飛び出してきたとする。知らない人にとっては、彼の吐く言葉は全部電波。わけがわからない)
        (同じことで、あの時はわけがわからなかった。ただ、今はその物語の登場人物に復帰したというだけのこと)
        (思い返すと、あれも、それも、僕を思っての発言だ。つれなくしたのが悔やまれる)
        -- カー 2011-08-12 (金) 01:43:25
      • ひ、ひっどお! そんなふうに思ってたわけ……!? た、確かに、こう、かわいそーなものを見る目だった気がしたけど……. -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:44:26
      • フォウ、続きを。 -- スリー 2011-08-12 (金) 01:44:53
      • なんかさっきからスリー兄さん私に対して冷たくない? ……あの、私ばかじゃないよ、ちょっとAHOなだけで……。うん、続ける。
        (咳払いを一つ挟んで、気を取り直す)あの時はほんと、嬉しかったさー。まさか!? と思ったら本当にファイブなんだもの。
        喜んで、舞い上がって、浮ついた発言になっちゃったのもそのせい。……で、まあ、学生生活を謳歌しましたよ。
        ……その最中。ザックさんに会ったの。突然、変なぼさぼさ頭のいかにも変人でーすって人が近づいてきてね?
        よく見たらアイザック研究員なわけですよ。私はもうびっくりしたよ。ファイブに会ったのもそうだけど、二度びっくり。
        あの時は、久々に人間らしい情動、自分の中に感じたなあ……。(遠い目)
        (ずうっと、管理されて、それを苦痛とも思わなくなった頃の話だから、なおさら。生き返った気分だった)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:50:15
      • ザック師匠、その頃既にフォウへコンタクトとってたのか……知らなかった。
        (考えると、辻褄が合う)……つまり、師匠に言われて僕へ接触しに来たわけなんだな?
        -- カー 2011-08-12 (金) 01:53:50
      • いや、全然。ただいつか、穏便に連れ出してくれるって話しただけ。第一、それじゃ計算合わないでしょ……あれから15年たってるんだよ? 今。
        (相変わらず肝心なところが抜けている。しっかりしてるところは、本当にしっかりしてて、見ててとても安心なんだけどな)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 01:55:11
      • その頃の話は……アイザックに手紙で聞いた。確か、フォウを見つけたという話と、近々連れ出して、孤児院に住ませるかもしれないという話。
        そして、それが無理になった、という話だな。(吉報だ、と一時は思ったのだが、そう上手くはいかなかったというわけだ) -- スリー 2011-08-12 (金) 01:58:17
      • そうそう、無理になったの。……いやねえ、ツー兄さんが居たのよ。カプセルの中で封印魔術かけられて、眠ったまんまだったんだけどね。
        で、ツー兄さんも助け出してくれなきゃヤダって私がごねてさー……。あ、勿論、まだ理由あんだけどね?
        私の管理が凄まじく徹底しちゃってたのよ。なんせ、最後のサンプルだから、血眼になってつかまれてたワケ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:01:18
      • それからも、何度か手紙が来たな……研究所の隙というか、そういうのを突いて二人とも連れ出してしまおうと思ったのだが、無理だ、とか。
        (なにもできない自分が歯がゆく思いつつだったが、ザックへ期待を寄せていた。一喜一憂。)
        (いつかはどうにかなるだろうと、希望的に見ては、がっくり。そうして、今に至る) -- スリー 2011-08-12 (金) 02:03:31
      • 私にもちょくちょく、小さな手紙を渡したりしてくれてねー。あの頃頼るものがなーんもなかったから、嬉しかったなぁ……。
        (やっと、人間らしい私へ戻れた心地だった。日々に元気が宿って、溌溂とし始め、なんでも耐えられる気分になった)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:05:05
      • 改めて……僕、びっくりするほど蚊帳の外だったんだな……。(気が滅入ってきた) -- カー 2011-08-12 (金) 02:05:54
      • ……言っておくけど、ファイブも研究所から狙われてたんだよ? 生きてるって線が太かったから、ちょくちょく捜索されてた。
        そのステーンドグラッシーズあるじゃん? それさ、私達の目から出る特有の波動みたいなんをシャットアウトしてくれるんだって。
        だから身を隠せてたワケ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:09:42
      • 初耳だよ……。(ザックは一体どこまで考えて動いていたのだろう。のうのう暮らしていた間に、どれだけ鎬を削ってきたのだろうか)
        (なんだか、申し訳ない。あの時からずっと、頼りっぱなしだったのだ、僕は)
        -- カー 2011-08-12 (金) 02:13:50
      • 続けるね。で、十何年間ず〜っと隙ナシ。その間私は抗老化措置を施されたりー、あとは検査されたりとか、だね。
        (ここからが本番の話になる。じっくり、思い出してかみ分けて、頭を捻っておく)Xデイは四年前。
        ツー兄さんが内側から封印を破って出てきちゃったの。……原因はなんだったかな。
        確か、いつまでもサンプルを眠らせておくのは勿体ないから、調べてみようと、ちょっと設定を緩めたらドカーン、だったかな。よく知らないんだけど。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:18:11
      • フォウの言い方のせいで、ギャグ調の場面しか目に浮かばない……。
        (身構えて聞いているのだが、どうも調子を崩されてかなわない。あんまり硬くなって、灰色に重い話にしたくないのだろうか)
        -- カー 2011-08-12 (金) 02:21:02
      • あはは、ごめんごめん。……これからの話が、やってられないから、ちょっとやさぐれてみたの。
        ……ツー兄さんはね? 暴れたんだよ、すごく。封印されてたのってね、制御しきれなかったから、なんだって。
        酷く、過激な施術をされたみたいで……嵐がざあって建物をさらうみたいに、研究所全体が、ぐちゃぐちゃになっていって……。
        (歪んでいた。全てが歪んでいった。今まで、産まれてからずっと歪んできた私達の人生が悲鳴を上げて、叫ぶように)
        (目の前の風景が全部壊れていった。私は、すごく怖かったけれど、ほんの少しだけ、すっとしてしまった)
        で、ザックさんが私を連れ出してくれたのね、騒ぎに乗じて。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:28:02
      • ……話が見えてきたな。 -- カー 2011-08-12 (金) 02:29:04
      • で、追ってくるんだよ、ツー兄さんは。……そんで、ザックさんが無理矢理結界に封じ込めたんだよね。
        (現実味のない一時だった。何もかも壊れて、ただ、外を走り回って……夜の空気が頬をざらり、なでてきた)
        ツー兄さんの目的は、私たちを殺すことだった。……理由はよくわかんない。
        ……私は四年の猶予を貰った。「兄さんに勝てるぐらいの力をどうにかして身につける」ため、にね。
        で、こっち来たの。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:32:45
      • 私たち、ってことは俺やスリー兄さんもその対象……きょうだい全員を狙うわけか。
        僕の記憶が戻されたのは……。(「ツー兄さんへの戦力?」そんな、単純な話ではない)
        (血は水より濃い。僕らは、作られた命であるがゆえに、その身に色濃く同じような血を流している)
        (ツー兄さんが僕らを殺そうとしているのが、どういうことなのか。それを知って欲しかったのだ)
        (何も知らないまま相対するではなく、きょうだいとして……)そうか。
        -- カー 2011-08-12 (金) 02:37:00
      • (黙って聞いていた。運命のうねりがすぐそこまで来て、我等を飲み込もうとしている。逆らえるか、そのまま、混ざり、消えゆくか)
        ……? おかしいな。……どうして、私のところに連絡がいかなかったんだ……? -- スリー 2011-08-12 (金) 02:39:07
      • そうだ、思い出した。大事なことがまだあったんだ。……どうして、ザック師匠と連絡がつかないんだ!? -- カー 2011-08-12 (金) 02:39:39
      • ……ああ、嫌な予感を感じているよね。そりゃあ、そうだよねえ、天気予報でここらになんとか前線ありまーすって言ったら。
        雨が来るんじゃないかって思うよねえ。(私のところにも連絡は来ていない。でも、それが何よりの答えになってしまっている)
        アイザック・シャヴィアルチェリカ、もといアイザック・シャヴィエル=ルチルクォーツ氏、もとい、“結界のアイザック”その人は……
        四年間、ずうっと結界魔術を展開し続けて、我等が兄さん、ツーを封じ込めてくれています。……無論、手紙なんか出せやしない、極限状態。
        なんでも、魔術で身体の生理現象をコントロールしてなんとかぶっ続け、眠りもとらず4年間ずうっと。そう、し続けてくれてます。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:49:24
      • (寝転がっていた身体を起こして、目を見開いて、フォウを見つめた)……マジかよ。……本当だったら、相当の馬鹿だぞ、あの人…・・・。 -- カー 2011-08-12 (金) 02:53:21
      • まぢです。大マジです。……約束では、クリスマスまでのはずだったんだけどね、ちょっとネバってくれてるみたい。すごいね、“結界のアイザック”!
        (笑顔で拍手。空気に上滑りする音が、孤児院へしんと響いた)……でも、もう保たない。きっと、ツー兄さんはこっちに向かってるよ。
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 02:56:22
      • ……。なら、話している暇はないんだろうな。私達で、どうにかツー兄さんを、止める策を練らないと……。
        (ステンドグラスから、紫がかった陽が差し込んでいる。もう、日暮れが近いのだ。じきに孤児院の子供たちも帰ってくる) -- スリー 2011-08-12 (金) 03:00:25
      • 何も考えずにあたったら、炎へ向かってえいやあと剣を振るみたいに、全く意味なく焼け死んでしまうからね。
        そのぐらい、出鱈目だよ。……さて、どうしよっか? ……言っておくけど、ただ闘うだけじゃ駄目!
        (話が終わったので、肩から力を抜いて、ぽんにゃりと緩めて、腰に手を当てる。「きょうだい一緒だ……」)
        ちゃんと説得しなきゃ駄目なわけ! ……一回こっきり、ミスったらデッドエンド! ザックさんが作ってくれた、一回こっきりのチャンス!
        それで、兄さんをこう、ぶっちめて、分かり合う!(ぐっ)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 03:08:26
      • (そろそろ、頭の中身も落ち着いてきた。なんとか血をめぐらせて、考えを組み始める)
        作戦と言ってもな……説得は、ツー兄さんがなぜ僕らを殺そうとしてるかどうかが解らないと、どうしようもn
        -- カー 2011-08-12 (金) 03:11:02
      • きょうだいなんだから!! これがキーワード!(元気良くガッツポーズ)
        (本当にこれでなんとかなると思っている。論理的にああだこうだ言うより、ずっと効果があるはずだ、と、思う)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-12 (金) 03:13:40
      • 説得は一度置いておこうか。……きっと、フォウのやり方も間違ってはいないし、ちゃんと話し合えるだろう。ツー兄さんは頭の良い人だったから。
        (ばらばらに、積み木が目の前に散らばっている。一度纏めて、きちんと組みなおさなければ、形は見えてこない)
        (そしてその形は一つではない。自分の前に居るふたりのきょうだいと、組み合わせていかなければいけない)
        (皺の刻まれた口元が、笑いを作る。「楽しい」子供に戻ってしまったように、心が浮つく)
        (きょうだい三人、頭を捻って、一人の兄さんのために頑張る。……なんと楽しいことだろうか) -- スリー 2011-08-12 (金) 03:18:27
      • 頑張って、考えようか。(今日、色々なことがありすぎた。長い一日だ。まだ、追いつけていない)
        (だからって、のんびり歩いている暇はないから、考える。ついて行く。ここが、僕の正念場らしいから、全力を出さなければ……)
        (搾り出して、振り絞って。からからになるまで、強く。ザック師匠に、報いよう)
        -- カー 2011-08-12 (金) 03:24:04
  • (ヒラニャガルバを引きつれ、自らが育った孤児院へやって来る。見るからに古びた、老樹のような建物だ。懐かしい匂いがする)
    (そのまま無言で、ずかずかと孤児院の扉を開けて歩いていく)
    -- カー 2011-08-04 (木) 23:28:56
    • ねー、ファイブ? 私、こうしている時間、ないんだけどね? こうしてる間にも、ツー兄さんが……。ファイブ!
      (「覚悟は決まった」と、目の前を歩く弟の口から聞いた。それで、私はどういう風の吹き回しか知らないけど喜んだ)
      (しかし、なんの説明もなく「ついてこい」なのだから、私は困惑するより他ない。理解不能だ)
      -- ヒラニャガルバ 2011-08-04 (木) 23:30:42
      • (自称:姉の言葉を無視しつつ、孤児院のエントランス。元が教会であったので、ここは礼拝堂であった場所だ。ステンドグラスが眩しい)
        院長!!(僕の探していた背中はそこにあった。静かに、そこへ祈っている。言葉をつぐでもなく、黙って祈っている)
        -- カー 2011-08-04 (木) 23:32:34
      • ファイブ。私は……私はさ。記憶を戻すなんて、ちゃちゃっとやれると思うんだよ。あの時は失敗したけどね?
        やり方が……ねえ、聞いてるの? ……?(声が響く。人影がある。人影が、ファイブの声で振り向いた。その顔に、確かな見覚えがあった)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-04 (木) 23:34:30
      • カー、どうしたんだ、そんなに慌てて。生憎だが、子供たちはみんな遊びに出払ってるんだ……春が近づいて、暖かくなってきたからな。
        子供らと遊びに来たんなら、広場のほうへ……。(穏やかに、孤児院の院長として言葉を継ぐ。口調は陽だまりの土のように、暖かい)
        (皺が深く刻まれた顔は、カーの後ろに居る少女を見て表情を一変させる。通り雨でも、食らったかのように、じいんと歪んだ)
        (信じられないものを見た。そういう顔だ) -- スリー 2011-08-04 (木) 23:38:37
      • ……スリー……? わ、私。私……フォウ。……ああ、あのとき、確か私は、小さな子供だったから。覚えてないかもだけど。
        スリーだよね? ……あのとき、あのとき……あんなことがあって。もう二度と会えないと思ってた。生きてたんだ。
        (口が上手く動かない。頭が、躰が震える。ぼうとする。沸騰した水みたいに落ち着かずに、心が暴れまわっている)
        (“その”顔を見たのは、少ない時間。一日か二日ほどしかない。それでも、記憶に焼きついて、今、それがそのまま再現されて、目の前にある)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-04 (木) 23:46:36
      • ヒラニャガルバ=K4・テメノス……そうだ。私は、アメール=K3・テメノスだよ。あなたが、ここへ直接訪ねてくるなんて思わなかった。
        (のんびりと、穏やかに祈っていた姿からはかけ離れた、焦りを顕わにした表情をして言う)
        (カーのほうへ、視線をぐいと引っ張るように向けた)“こうなった”、ということは……。カー、記憶が戻ったのか? ……思い出したのか、全て……。 -- スリー 2011-08-04 (木) 23:58:09
      • やっぱり、ビンゴだったみたいだな。……記憶は戻ってませんよ、スリー院長。……まだ、“封印”とやらがかかったままです。
        ……この場で事情を知らないのは、僕だけですよ。(思えば、この町に来てはや、20余年。ずっと、この院長を信じて傍に居た)
        (院長は、僕がどこの生まれであるか、ルーツはなんであるか、そういうのを強く知りたがっていたというのを、知っている)
        (一度聞いてみたが、はぐらかされ、何か知っているのではないか、と思ったが……何か、どころか、全て知っているようだ)
        (今まで僕は何をやってきたんだろうか。そういう、怒りに似たものが沸々湧いてくる。そんなことをしてもどうしようもないのに、心が収まらない)
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:08:23
      • (ファイブと比べて、私の顔はひどく晴れやかだ。思わぬ収穫。ファイブと、私。そして、いつか私達を殺しに来るツー兄さん)
        (もう一人、既にもう、この世からはいなくなってしまった、ワン兄さん。……スリー兄さんの居場所がわからなかった。それが、とても不安だった)
        (昔にひどいトラブルがあって、飛び出したきり。すすぼけた身体で飛び出して、そのまま寒さに凍えて死んでいるのではないか、ずっと、そう思っていた)
        (でも、ファイブは納得がいっていないみたいだ。……記憶が、戻ってないせいだと思うんだけれど。ちゃんと、私が解除してあげれば、丸くおさまるのに)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:15:25
      • そうか。……カー、納得がいかないのは解るよ。…………でもな、私は、お前が記憶を失くしたままであるほうが幸せだと思っていたんだ。
        そも、お前がなにも知らず、ただ人として幸せに生きるため……きっぱりと、それから断絶するために、記憶を閉じ込めたんだ。 -- スリー 2011-08-05 (金) 00:16:56
      • どういうことですか。……封印は、まさか、スリー院長が施したとでも? ……確かに幸せでしたよ。暖かい、暖かい、友達たちの居る空間。あそこに居るのが、なにより嬉しい。
        陽に当たる芽草のようだった。背を伸ばして、強く光を受けて。……あの幼馴染っていう連中が本当に好きで。幸せでしたよ。
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:18:41
      • (歯を食いしばる。眉がぎゅっと、目のほうへ引き絞られる。顔が固まったみたいで、そして、熱い)
        ……でも! 僕は、僕が何者なのか……ずっとわからなくて、不安だった。皆に後ろめたさをずっと感じてたんだ。
        スリー院長が「母さんは空に居る」なんて言っていたのも……知っての発言だったと思うと、なんだか、やるせない気持ちになる。
        僕はそれを信じて、紙飛行機なんか飛ばして、ずっと、追い続けてたんだ。……から回りじゃないか、そんなの全部。
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:20:55
      • ……あ、あのっ。……空回ってても、私は、いいと思うんだけどな。あはは……。
        (空気が、すごく重い。これが、きょうだい三人が一同に期した姿なんだろうか。もっと、感動的になっても、いいんじゃないだろうか)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:22:51
      • 知ったような口を利くな!! ……馬鹿だったさ。太陽目指して、空目指して飛ぶなんていって、少しも近づけないままで!!
        蝋の翼すら得られなかったんだ。20年もして。……僕は、馬鹿だったんだ……。(だんだん、声が小さくなっていく)
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:24:38
      • (びくんと身体が震えた。怖い。怒鳴られてしまった。……あんまり悲しくはないけど、悪いことをした気分になって、心の底に、凝りみたいなのが渦巻いた) -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:25:33
      • (フォウ、ヒラニャガルバが怯えた顔をしている。それを見ると、心が静まる。一体、僕はなにをやっているんだと、否応なしに、思えてくる)
        (冷静になりきれていないのだ、今の僕は。荒れた海でがむしゃらにオールをぶんまわしているみたいなものだ。進もうとしても、進むに進めない)
        ……から回りして、悪いことばかりでは、確かになかったけれど、ね。……いや、そんなことは、どうでもいいんだ。
        スリー院長。……あと、フォウ。キミらは、なんなんだ? 僕は一体なんなんだ? 僕の名前は『K.FINE』じゃないのか? だったら、この名前はなんなんだ? 本当の名前は? ……教えてくれ。なにも見えないんだ。全く、全くもってね。暗闇。暗中模索。手をぶつけてるだけで、成果もなにもない。……照らしてくれ。本当に。……わからないままってのは、辛いんだ。
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:33:25
      • (私にわざわざフォローを入れるあたり、本当に不器用だなと思う。優しいんだか、なんなんだか。間抜にすら見えた)
        ……それは、記憶が戻れば解るよ。そうだよね、スリー?
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:34:35
      • 確かに、記憶が戻れば解る。(カーの話しを、複雑な顔をして聞いていた。責められているのがありありと伝わって、胸が締め付けられる)
        ……浅はかだった。浅はかだったんだ。私も、アイザックも……キミを幸せにしたいがため、そうしていたんだよ。
        ……言っておこう。キミに封印を施したのは、キミがザック師匠と呼んでる人だ。キミを留学させ、その眼鏡をかけさせた人だよ。 -- スリー 2011-08-05 (金) 00:40:07
      • 予想はついてたけど、ザック師匠も“ぐる”か……。はぁ。……本当に、僕は、今まで何を……。僕だけ、なにも知らないで。
        (つたない怒りが収まったあと、その矛先は自分へ向かう。だんだん、情けなくなってきた)
        ……記憶を戻す、とかより前に、一つ、聞きたいことがあったんだ。
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:45:04
      • ああ、そういや、ザックさんは色々ファイブの周りで動いてたって聞いたね。……うん、ぐるだよ。ぐるぐる。(にこにこ)
        (私はなんて暢気なんだろう。でも、嬉しいのだ。ここに居る三人はみんなきょうだい。非常に、歪な状態だけど、嬉しいものは嬉しい)
        なぁに?
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:47:05
      • なんで、今になってキミが来たんだ? ……ヒラニャガルバ、キミのことだよ。僕はキミが理解できないんだ。
        向こうの国の学校で、会ったのもそうだ。……多分、あれは、偶然だったんだろうと思うけれど。キミが理解できない。
        今になって、どうしてこっちに来たのかが殊更理解できない。まるで理屈が通らないじゃないか。突然湧いて出た、みたいにしか思えないよ、僕には。なんで、10何年も間を空けてこっちに来たんだい? ……そして、なんで僕の記憶を戻す必要があるんだい?
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:50:42
      • 非常に、事の顛末が説明し辛いんだよね、そこらへん。暗号文みたいに入り組んじゃってるから。
        ……一つ言えることがあるとすると、私らのお兄さんが、私ら、ここに居る三人だね。ここに居る三人を皆殺しにしようとしているからかな?
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:53:44
      • (頭に激痛が走る。別に、なんてことはない。あまりに理解できなかったから、拒否反応を起こしたのだ)
        ……フォウ、もとい、ヒラニャガルバ……キミの言うことはいつも、唐突すぎる。……伝えたいことがあると、真っ向からどーんと伝えるしかないのか!? もうちょっとクッションを置いてくれないカナ……。
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:55:05
      • しっつれーだよ、ファイブ、もといカー・ファイン先生? いやまあ、今の唐突だったって認めるよ。でも、そう伝えるより他ないんだもん!
        ……それに、ほんとしっつれーだよ! 私だって、成長してね、本当に大事なことはおもっきしぼかして伝えることだってできるようになったんだから!(胸を張る)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 00:57:33
      • 知らないよ僕はそんなの!! ……ああ、もうイイだろ。記憶を戻してくれ。……ずうっとずうっと止まってた歯車を、回したい。お願いする。
        (ヒラニャガルバのほうへ歩み寄る。足が少しだけ竦んでいた。なんだか、池の中へ足を踏み出している気分で、もう、戻ってこれないような気がした)
        -- カー 2011-08-05 (金) 00:59:20
      • (「変わったな……」やかましく喋るフォウ、など、記憶にない。もう少し大人しくて、人形じみた子だったはずだ。「変わった、わけか」) -- スリー 2011-08-05 (金) 01:04:18
      • いいよ。……私はそのためにファイブのところへ来たんだ。……今から全てをやり直す。後戻りナシだよ、いい? -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 01:05:18
      • いいよ。……怖いけど、やってくれ。ここで引いたら僕はあまりにもみじめだろうが。 -- カー 2011-08-05 (金) 01:11:46
      • じゃあ、いくよ。(身につけているコインから一枚はがして、掌に乗せる。そして、手をカーの額へぐっと摑むように寄せた)
        汞のコイン、魔法陣(開放)……。
        内なるもの全て、殻をを突き破り、新しい空気に触れる。門よ、こうべを上げよ。とこしえの戸よ、あがれ!!
        (“じか”に触れたコインから、オレンジ色の光が迸る。その“目”にかけられた術が解けていくのを、掌で直接感じた)
        (ようやく、ようやくだ。ようやく……会える。元通りのため、一歩が今、踏み出された。私は、はらはらしている)
        -- ヒラニャガルバ 2011-08-05 (金) 01:34:02
      • (ヒラニャガルバの手が近づいてきて、頭の中が真っ白になって、それから、そこが塗りつぶされるみたいで)
        (目ん球がぐるぐる回って、上も下もないようで、雲に沈んでしまったかのような、おかしな、気分が続いた)
        (なにかが、見えてくる)
        -- カー 2011-08-05 (金) 01:42:00
      • 「おはよう。はじめまして、ファイブ」
         僕の最初の記憶は、この言葉から始まる。真っ白い光が目に入って、とても眩しかったのを覚えている。これが、世に生を享けるということなのかと。
        「おはよう、ござい、マス。かあさん」
         確か、そう返した。必死で、喉を動かして。……生まれたときから、僕は言葉を理解していたのか? なぜ? ……僕の産声はどこだ? -- 2011-08-05 (金) 01:56:36
      •  それを聞くと“かあさん”は笑顔になった。細く柔らかそうな髪が揺れて、優しそうな顔が、くっ、と、いたずらっぽく笑ったのだ。生まれたそのときから、刷り込みのように、かあさんが大好きになった。……一つ、わかるのは、僕がかあさんのお腹から生まれてはいない、ということだ。どうしたことだろう、これは……。僕は、どこから産まれたんだ? -- 2011-08-05 (金) 01:59:52
      •  やっと僕が、自分の体を意識し始めた。ああ、どうやら、僕はどこかに寝かされているようだ。躰が小さい。5歳程度だろうか。上半身を起こしてみると、これまた、真っ白い部屋が目に飛び込んできた。ここはどこだろう、病院だろうか。
         僕の寝かされていたところは、カプセルみたいなものだと、ぼやけた視界から推測できた。なんだこれは。わけがわからない……。……足音が聞こえる。ばたばたと、せわしない。朝方に小鳥が羽ばたき散らすのと同じく、まるで、落ち着かない音だ。 -- 2011-08-05 (金) 02:08:09
      • 「ファイブ! おはよう!」 -- 2011-08-05 (金) 02:08:24
      •  フォウだ。小さいけれど、一目で解った。そのまま僕が寝ているところまで寄ってくる。 -- 2011-08-05 (金) 02:09:07
      • 「あたしは、フォウ。……ファイブのおねえさんだよ。これかあ、よろしくね」 -- 2011-08-05 (金) 02:10:24
      •  記憶が溶け込んでくる。映像をぼうと見据えるような視点が崩れ始めた。そうだ、思い出した。僕は、ファイブ。アートマン=K5・テメノス。 -- 2011-08-05 (金) 02:12:56
      •  映像は続く。溶け込みながらも形を保っている。紅茶にぽつんと落とした角砂糖のように、さらさら崩れながら、僕にそれを見せる。フォウのあとに、ワン、ツー、スリー。僕の兄さん三人がやってきた。……それぞれ、こげ茶の髪をして、よく似ていた。僕のきょうだいだ。でも、なにか、なにか、まだかみ合わない。 -- 2011-08-05 (金) 02:15:11
      •  その疑問に応えるように。そのあと、僕の産まれた場所についての記憶が流れ込んできた。 -- 2011-08-05 (金) 02:16:37
      •  ここは、テメノス研究所。 -- 2011-08-05 (金) 02:20:20
      •  K5のKは、KADMON。なんでも、原初の人間なんだとか。……この研究所は、それを、人の手で、作り出そうというものらしい。様々な、過激な方法を使いながら……。 -- 2011-08-05 (金) 02:24:33
      •  “かあさん”が、研究の発端らしい。彼女の名前はディオ・クロン。この国で最高の知識を持つ種族であり、長い長い寿命を持つ種族、天使。その天使が知識を提供し、研究に研究を重ね、“僕ら”が創られた。 -- 2011-08-05 (金) 02:31:38
      •  僕がある程度成長した状態で産まれたのは、人ではないから。人の手で創られた、人の形をした生き物、人工生命、人造人間だったのだ。 -- 2011-08-05 (金) 02:32:40
      •  ここまではまだいいんだ。問題はない。いくら歪んでたって、今蘇っている僕の記憶は、楽しいものばかり。フォウや、他の兄さんたちと遊んでいる姿が見える。楽しそうで、なにより、熱いくらいに暖かい。ぽっ、と、火が灯ってそれを囲んで、あかりに照る顔を見合うようで。仲の良いきょうだい。幸せな生活だ。 -- 2011-08-05 (金) 02:34:40
      •   -- 2011-08-05 (金) 02:35:34
      •  どうやら、歯車が狂ったのは、その次から。僕が産まれてから一年もしない頃に、僕らきょうだいが集まっているところへ、泣き顔のかあさんが入ってきた。フォウはよく泣く子だったから、お姉さんにも関わらず僕が何度もなぐさめていた。でも、かあさんが泣いているのを見るのは初めてだった。戸惑って、戸惑って、いつもフォウにしているような慰めの言葉も出ない。
         あの優しくて、僕らを包んでくれるかあさんが、泣いているのだ。かあさんが傍に居れば安心で、何が起こっても大丈夫で、僕らは何もおそれずに、はしゃぎまわって、じゃれまわっていた。それなのに、今、かあさんが泣いている。 -- 2011-08-05 (金) 02:38:38
      • 「ごめんね、ごめんね」
         母さんは謝るばかり。僕は、もう、何もできなくて、一緒に泣いてしまった。ぐずぐず、鼻の奥のほうから涙が湧いて、零れてきた。 -- 2011-08-05 (金) 02:41:55
      •  そうして母さんは、最後まで謝り続けたまま、生気のない顔を涙に濡らしていた。そんなときも母さんは美しく、朝露に濡れるばらのようであった。
         僕が母さんを見たのは、それが最後になった。 -- 2011-08-05 (金) 02:43:22
      •  聞くところによると、偉い人が遠い遠いどこかへ連れて行ってしまったらしい。過干渉、だそうだ。僕らを創るという行為は、許されることではなかったらしい。母さんは天界へ連れていかれたんだ。僕が、母さんは空に居るといって、紙飛行機を飛ばす、その目的の場所は天界だったのだ。たどり着ける、はずもない。 -- 2011-08-05 (金) 02:45:25
      •  そこで、研究は凍結されて、僕らはなんらかの形で処理されることに、なりかけたのだが。
         テメノス研究所の研究員たちは、壊れたそのプロジェクトを無理矢理に動かして、非合法ながら、研究を続けることを選択したのだそうだ。これが、狂いのはじまり。僕らを引き裂いて、ごちゃごちゃにした原因。 -- 2011-08-05 (金) 02:46:57
      •  思い出してくる。怒涛に、記憶が戻ってくる。今まで失われていた記憶のツケが、がらがらと。そうだ、ここで、僕らには最初に、新しい、コードネームのような名前が与えられたんだ。 -- 2011-08-05 (金) 02:49:01
      •  アスク=K1・テメノス、ハリション=K2・テメノス、アメール=K3・テメノス、ヒラニャガルバ=K4・テメノス、そして、アートマン=K5・テメノス。 -- 2011-08-05 (金) 03:17:45
      •  鮮烈な、飾りのような、ハデさが必要だったのだろう。その頭につけられた名前はみんな大仰で、僕らきょうだいは、最初に、かあさんに名づけられた番号で、呼び合っていた。ただの番号だけれど、それがとても尊くて、嬉しくて、僕らの繋がりを示すようで、母さんのいなくなってしまった隙間を埋めるように、僕らはそうして、番号で名前を呼び続けた。 -- 2011-08-05 (金) 03:20:33

      •  次に待っていたのは、高度な知識を持つ母さんが全て取り仕切っていたため、母さんが居なくなってかなりのブラックボックスができてしまった、僕らの身体の調査だった。 -- 2011-08-05 (金) 03:22:45
      •  知能や、身体の動き、それから脈拍だとか、こまごましたデータ。ありとあらゆるものを、僕らから引き出そうとしていた。どうやら、成果はそんなに出なかったらしい。 -- 2011-08-05 (金) 03:23:41
      •  ある日、ワン兄さんが居なくなった。 -- 2011-08-05 (金) 03:23:56
      •  どうしたの、と、周りの大人に聞いてもなにもわからない。何か、悪いことをして、それを指摘されたような、焦燥した顔をするだけで、なにも言わない。 -- 2011-08-05 (金) 03:24:40
      •  僕らは不安だった。一番上のお兄さんである、ワン兄さんが居なくなって、とても、不安になってしまった。母さんが居なくなったときを思い出して、ぞぅっと、した。 -- 2011-08-05 (金) 03:25:30
      •  ある日、ワン兄さんと一番仲のよかった、ツー兄さんが、テメノス研究所の奥のほうへ、こっそりと押し入った。 -- 2011-08-05 (金) 03:26:08
      •  ツー兄さんは、研究員の人に連れられて、戻ってきた。酷く……酷く、凄惨な、もう、見たことがないくらい、泥を塗りつけたように、ひどい、顔をしていた。泣くことすらできないようだった。 -- 2011-08-05 (金) 03:28:26
      •  ツー兄さんは一人、別の部屋に閉じ込められた。……でも、その、ツー兄さんの悲しい表情が気になった僕ら、スリー、フォウ、ファイブの三人は、夜に部屋を抜け出し、ツー兄さんへ会いに行った。 -- 2011-08-05 (金) 03:29:30
      •  壁ごしに聞かされた。ワン兄さんが、ばらばらになって、死んでしまった、と。
         その時は何もわからず、ただただ恐怖におびえ、つかみどころのない悲しみが暴れまわったが、今、こうして、記憶を思い出している僕には解る。ワン兄さんは、解剖されてしまったのだ。 -- 2011-08-05 (金) 03:34:53
      •  部屋を抜け出していたことを、僕らは咎められ、ツー兄さんは閉じ込められ続けて、会えない日が続いた。もう、僕らは笑うこともずっとずっと少なくなっていて、乾いた空気が満ちているようだった。 -- 2011-08-05 (金) 03:36:12
      •  研究所も、なんだか、寂れていくようだった。成果が出せないせいで、困窮していたのだろう。殆ど非合法で、援助もないまま、ただ、研究を続ける。成果が出なければどうしようもなく、自分等が世間に認められることもない。だんだん、ぴりぴりしていった。 -- 2011-08-05 (金) 03:38:59
      •  ツー兄さんに会えなくなってから、しばらく時が過ぎて、僕らはツー兄さんに会いたいと訴えた。眠っている姿なら見せてやる、という答えが返ってきた。それでもよかった。顔を見られるだけで、この寂しさはいくらか薄れると思ったからだ。
         ツー兄さんは、僕が産まれたときに入っていたカプセルの中で眠っていた。 -- 2011-08-05 (金) 03:42:44
      •  姿もおかしかった。以前のツー兄さんにあった、溌溂とした雰囲気も消えていた。まるで、氷に固められてしまったかのようで、ぞっと、ぞっと、言葉にできない感情が吹き付けた。それは、スリーとフォウも同じようで、ワン兄さんの件も含めて、僕らの心は、擦り切れるばかり。 -- 2011-08-05 (金) 03:46:06
      •  僕ら三人は必死で寄り添った。泣きべそをかくフォウをなぐさめるのは僕の役目。僕とフォウが一緒に泣いてしまったときは、スリーが慰めてくれた。
         産まれる時に泣き声を上げずに産まれてきた。創られた命である僕らは、それを今になって払うように、わんわん泣いていた。 -- 2011-08-05 (金) 03:50:38
      •  怖くなって、憎しみすら湧いて、悲しくなって、寂しくなって。それでも、すぐ傍にある血の繋がりが愛おしくて。どうしようもなく、ぎしぎし、台風に吹かれるあばら家のように、支えられて、ぎしぎし、泣き声を漏らす。 -- 2011-08-05 (金) 03:52:22
      •  僕らに、いつもと違う声がかかった。スリー兄さんが、呼ばれた。もう、僕らはそれだけで、風船を針でつついたかのよう、わっと、弾けるように泣いた。 -- 2011-08-05 (金) 03:53:23
      •  フォウと一緒に泣き喚いたあと、もう、我慢ならなくなって、部屋を飛び出して、実験室とやらに、二人で殴りこんだ。 -- 2011-08-05 (金) 03:55:08
      •  僕とフォウは、お爺さんみたく歳をとって皺ができて白髪がばさりと頭を覆った、スリー兄さんの姿を見た。 -- 2011-08-05 (金) 03:56:02
      •  スリー兄さんはその場で暴れた。研究員の人をいとも簡単に投げ飛ばして、物も壊して、殴る、蹴る。最後には、壁を突き破って、どこかへ逃げてしまった。……そうして、二度と戻ってこなかった。 -- 2011-08-05 (金) 04:00:49
      •  残された僕らは、泣くか、寝るか、黙るか。そんな生き方をした。 -- 2011-08-05 (金) 04:03:23

      •  サイレンが鳴り響いた。テメノス研究所が揺れている。なにがなんだかわからなかったが、何か、大変なことが起こったらしい。 -- 2011-08-05 (金) 04:05:22
      •  僕らの前に現れたのは、若き日のザック師匠だった。彼はアイザックと名乗った。ザック師匠は、ここの研究員だったらしく、僕ら、5人の子供たちへの扱いがあんまりだと、僕ら二人を助け出すため行動を起こしたのだと、手短に伝えてくれた。
        「ここから連れ出してやる。……後で、もう一人、俺の仲間が来る。先に、お前等のうちから一人、連れていく」
        ザック師匠は「どうする?」と僕とフォウに視線を投げかけた。僕は、フォウを先に連れて行って、と、言うつもりだったが……
        「ファイブ、この子を先に、お願いします」
        フォウが僕より早くそう言った。ザック師匠は、僕の手を引く。何か言おうとしたが、出てこなかった。なぜなら、フォウは、本当に、久しぶりに、笑顔を無理矢理に作って、僕を見送ってくれたのだ。 -- 2011-08-05 (金) 04:12:26
      •  僕はその後フォウに会えなかった。どうやら、ザック師匠の仲間というのが死んだか、捕まったか、とにかく、失敗してしまったらしいのだ。ザック師匠は、しきりに「すまない」と何度も何度も、口にしていた。 -- 2011-08-05 (金) 04:15:56
      •  僕は一人ぼっちになった。生きる気力をなくして、やつれていくのが、自分でもよくわかった。ザック師匠は傍に居たが、きょうだいが傍に居ないのが、産まれて初めてで、すごく、すごく寂しくて、切なかったのだ。 -- 2011-08-05 (金) 04:21:00
      •  その時の僕は、産まれて2年もたたない頃。もう、精神は限界を迎えて、今にもばらばらになりそうで、「ころしてくれ」と、口をついて出た自分に驚いた。物も食べず、眠ることもできなくなっていった。生きることを放棄して、どこかへいってしまった兄や姉を思っては、泣いていた。 -- 2011-08-05 (金) 04:27:27
      •  ザック師匠は僕のためいろいろと心を砕いて、いろいろなことを調べているようだった。僕はといえば、相変わらず、植物のように、ふつりと意識を途切れさせて眠っては、ザック師匠が口へわざわざ運んでくれる食べ物を半ば受動的に飲み込んでいた。この頃、僕はきっと生きていなかった。 -- 2011-08-05 (金) 04:31:15

      •  僕はザック師匠に、どこかへ連れていかれる。記憶の中にある町並みは、そう、この町だ。僕が住んでいるこの町。初めてみるのに、懐かしい町。 -- 2011-08-05 (金) 04:34:27
      •  連れられた先に、スリー兄さんが居た。ザック師匠は、スリー兄さんの行く先をどうにかしてつきとめたらしいのだ。……でも、もう、その頃には僕の心はすっかり凍り付いていて、視線を宙に浮かせるのみ。僕を見たスリー兄さんの悲しそうな顔が、今になって、効いて来る。記憶の中の僕は、ただの見覚えがある景色ぐらいにしか、思っていなかったというのに。 -- 2011-08-05 (金) 04:39:09
      •  スリー兄さんは研究所から逃げ出したあのあと、この町の近くの森までたどり着いて、そこで、子供の冒険者を一人、助けたらしい。それから、成り行きで、孤児院を始めることになってしまって、そこに至ったのだという。
         スリー兄さんは、どうにかならないのか、と、ザック師匠へ言っていた。僕の薄い記憶の中に、二人が大層悩んだ様子が写しこまれている。 -- 2011-08-05 (金) 04:42:35
      • 「お前の記憶を、封じ込める。……新しい名前も、くれてやる。生きてくれ……」
         ザック師匠の手が伸びてきて。……ああ、繋がった。僕がこの孤児院に来たその瞬間と。がちんと音がして、今繋がった。記憶が、蘇る……。 -- 2011-08-05 (金) 04:54:26

Last-modified: 2011-09-10 Sat 19:17:08 JST (4626d)