SLV/0020

  • 「親父とドーン、まだかなー」
    腰掛けた椅子の足をキイキイと揺らし、フォスは窓越しの夜空を遠く眺める。
    「スラオシャの観測によれば次元の揺らぎは収束したので、無事に終わったのだと思いますが……」
    窓際に立つミスラが星空の下で広がる暗い海に、どこか不安げな視線を彷徨わせている。
    魚油に灯る火で薄らと照らされる寝室内では、赤ん坊の穏やかな寝息が断続的に聞こえてくる。
    「お二人とも。もう少し声を抑えて下さい。ルーが起きてしまいます」
    寝台に横たわる赤ん坊を柔らかい目で見守りながら、スラオシャが静かな声音でフォスとミスラを諫める。

    海洋暦XXX2年4月下旬。
    アスワドとドーンが、ミスラとスラオシャに対峙した翌日。
    ミスラとスラオシャにとっては何とも慌ただしい一日であった。
    流れのままに前日の夜から寝食を共にし、日が変わればルーの世話を頼まれ、あれよあれよという間に時は過ぎていった。
    アスワド・ファジュルはどのような考えで、我々の滞在を許しているのか?
    どころか我々が逗留することを後押しするような振舞いは、いかなる理由によるのか?
    ミスラが答えの出ない問いを反芻している内に、買取屋は早々に店仕舞いをし、いつもより早めの時間帯に夕餉の準備を整えていた。

    『友人との約束を果たしに行く』
    そう言ってアスワドとドーンは夕刻から夜に差し掛かる時刻に出かけて行った。
    -- 2021-01-11 (月) 21:32:59
    • 「俺もヴィイのおっちゃんを見送りに行きたかったのになー」
      フォスは唇を尖らせながら庭先の地面を爪先でトントンと打ち付けている。
      「……フォス・ファジュル。貴方は父君とドーン・ブレイカーが心配では無いのですか?」
      ルーをスラオシャに任せ、フォスと共に庭へ出たミスラは愁眉を曇らせながら訊ねる。
      ミスラが把握している限り、ヴィイという異世界人が元の世界へ戻る手段は、相当に危ういものである。
      いかにヌールの力を十全に発揮しようとも、不確定要素が大きく予断を許さぬ状況であると推察していた。

      「心配? 全然してないよ。親父とドーンなら何があったって大丈夫だし」
      それにヴィイのおっちゃんが噛んでるんなら猶更だ、と少年はなんてことの無い様に言ってのける。
      その気軽な物言いは決して事態を軽く見ているのではなく、揺らぐことの無い絶対の信頼を窺わせるものだった。

      「だからさ。ココの力を抜いとけって。疲れるだろ?」
      少年はちょいちょいと眉間を指で示して、口の端を大きく綻ばせる。
      「あと、フォス・ファジュルって呼びづらくねぇの? フォスでいいよ」
      ミスラは自身の眉根を指で擦りながら、むぅっと息を詰まらせる。
      まるで以前から顔見知りの様に気負わず接してくる少年の態度に、少女は若干の戸惑いを感じていた。

      ──私の事はドーン・ブレイカーから聞いているはずなのに……。
      アスワドは勿論、フォスにとっても、未だ自身は敵対する存在の筈である。
      状況的にはアルファルドから見限られた格好ではあるが、それでもなお。なのに彼らは……。
      -- 2021-01-11 (月) 21:33:19
      • 「……なぜ我々に赤ん坊の世話を命じたのですか? 昨日、その……あんなことがあったばかりだというのに」
        「ルーってさ。腹減った時や、おしめを変えたい時にもわんわん泣くけど、まーそれ以外でも良くぐずるんだ」
        腕組みをして困ったように眉をたゆませる少年に、ミスラは話の要領を掴めず怪訝そうな顔を浮かべる。
        「でも、ミスラとスラオシャが傍に居るとさ、大人しくニコニコ笑ってんだもん。現金だよなぁアイツ」
        「……」
        「それにルーをあやしてる時のミスラとスラオシャさ、すっげぇいい顔で笑ってるし。あの顔に嘘は無いなーって」
        「それは……赤子は次代の宝ですし、大切に扱うのは当たり前のことで……そ、それに……」
        「それに?」
        「赤ん坊は…………か、可愛いですから」

        口ごもりながら赤面している少女に、少年は破顔した。
        彼女がどんな組織に所属していたのだろうと関係はない。
        親父もドーンも、彼女たちのこんな様子を見てルーの世話を頼んだのだろうと、笑顔の内に思う。

        「な、何で笑ってるんですか……!」
        「いやぁ。ミスラって、ほんっとマジメで嘘がつけないんだな」
        「ば、馬鹿にして……私はフォスよりも年上なんですよ! 少しは敬う気持ちを」
        「やっと呼び捨てにしてくれた」
        あっけらかんと笑顔を見せる少年に、照れ隠しの混じった少女の剣幕も自然と薄らいでいく。
        それと同時に、少女の心の中で蹲っていた後ろめたさの様なわだかまりも解れていく。
        -- 2021-01-11 (月) 21:33:41
      • 「ふ〜〜〜ん。私とアスワドが超絶苦労していた間に、若い二人は随分と打ち解けたみたいですねぇー」
        夜闇に銀の髪を煌めかせて現れたドーンが、じっとりとした眼つきで少年と少女を見遣っている。
        「おーう。お帰りドーン。親父は? ヴィイのおっちゃんはちゃんと帰れたのか?」
        「アスワドなら真っ先にルー君の様子を見に行きましたよ。ヴィイ君のことなら勿論バッチリ」
        フォスを背後から抱きしめて、その肩に首をちょこんと乗せながら、ドーンはミスラへとジト目を向ける。

        「ミスラ。貴女に色々と聞きたいことがあります」
        「は、はい。な、なんでしょうか?」
        蛇に睨まれたカエルのような心地で、ミスラは何とも言えない表情を浮かべているドーンを見返す。
        「貴女はヴィイ君のことを元からご存じのようでしたが、『全知の書』のことも把握していましたか?」
        「……はい。あなた方の会話に上っていることであれば、大筋のことは」
        「ふぅん。つまりヴィイ君の事に限らず、秘匿した会話以外は全てご承知おきの事、ということですね?」
        「……目や耳は至る所にあります。アルファルドに限らず、ある程度の技術水準を持つ集団であれば」
        苦い顔をして考え込むドーンに、少年は軽くため息を吐く。
        「なぁドーン。あんまミスラをイジメんなよー?」
        「イジメてませんー。事情聴取ですー。フォスこそポッと出の女の肩を持つのを止めてくださいー」
        唇を尖らせるドーンに、先ほどまで不貞腐れていた少年の様子が重なり、少女は思わずふっと笑みを浮かべる。
        -- 2021-01-11 (月) 21:34:11
      • 「目と耳ですが……使用者に悟られぬよう、模造ヌールに遠隔地への情報同期を行う機能を仕込むことは可能ですか?」
        「可能です。事前に他のヌールとリンクさせ、プロテクト処理を施せば、非対称の情報同期を行うことが出来ます」
        「なるほど。それに加え、特定条件下で一定の動作を行う様に、動作プログラムの改鋳を行う事は可能ですか?」
        「可能ですが……具体的な行動指定をすることは難しいですね。指向性を持たせる程度であれば、暗号化プログラムで実現できます」

        更に表情を曇らせるドーンに、ミスラは徐々に表情を引き締めていく。
        質問内容からどのような事態が起きているのか、少女には薄々察しがついていた。

        「なぁドーン。藪から棒に質問攻めが続いてるけどよ。つまりどういうことだ?」
        「シェーシャとかいう破廉恥女が寄こしてきた模造ヌール。あれに悪趣味な仕掛けがされていました」

        ヴィイを元の世界に送り返す際、自ら意図せずに不自然な行動に及んだこと。
        その行動が結果的に異界の存在への更なる接触を齎したこと。
        状況的に推察するならば、『全知の書』や異界の存在についての情報を得るために企図されたものであること。
        その行動がシェーシャの寄こした模造ヌールの働きによって為され、かつその情報が全て筒抜けである可能性。
        そして『全知の書』がありとあらゆる叡智をに繋がるのだとすれば、それはシェーシャの目的を果たす鍵と成り得ること。

        それらの事を解説した後にドーンは結びの言葉を放つ。
        「ヴィイ君が残していったものを、あのファッキンクソビッチが利用するなんて我慢ならないですからねー!!!」
        -- 2021-01-11 (月) 21:34:41
      • 「んじゃその『全知の書』ってのを探すのが優先ってことか?」
        「確保する前に、模造ヌールの仕掛けを解除するのが先ですね。ミスラ、どれくらい掛かりそうですか?」
        「設備がありませんので、スラオシャの演算機能を用いるのであれば…………少なくとも一月以上は」
        「分かりました。なる早でお願いします」

        即断即決で飛び出してきたドーンの言葉に、ミスラは驚いた様子で目を瞠る。
        「あの……私に任せてもいいんですか?」
        「ベストな選択肢なんて早々無いんです。世の中はベターと妥協の積み重ね!」
        あたかも考えられる可能性の中で一番マシなものを選んだ、とでも言いたげなドーンに、フォスはやれやれと頭を掻く。
        「ミスラとスラオシャなら大丈夫だってさ」
        -- 2021-01-11 (月) 21:35:05
    • 海洋暦XXX2年6月下旬。
      ミスラとスラオシャによって模造ヌールの仕掛けが解除され、苦労の末に海中に投棄された「ラジエルの書」を発見した翌日。

      「全知の書は確保した。ならば相手の出方を待つべきだ」
      「まだそんなこと言ってるんですか! やられる前にやれの精神!」
      アスワドとドーンは険悪な雰囲気を纏わせて終わりのない堂々巡りに終始していた。
      ミスラが何も言えず右往左往する傍らでスラオシャは無言を貫き、フォスは呆れたように溜息を吐いている。

      「とりあえずさ。あのシェーシャって人が何をするつもりなのか確かめにいくのは?」
      「……確かめるだけでは終わらんだろ。行けば必ず仕掛けてくる」
      「それで都市中枢艦に居座ってれば、そうそう荒事は仕掛けてこない、という算段ですか? 甘いですよアスワド!」
      「お前はこの件に関して妙に感情的だな。頭を冷やせ、ドーン・ブレイカー」
      息子の出した折衷案にも取り付く島もなく、アスワドは頑なに静観を主張し続ける。

      「あの女が何がしかを企んでいるのは明確です! 早急に対処せねば取り返しのつかない事態になる可能性もあるんですよ!」
      「将来の禍の芽を摘む為に、争いに行くというのか? それでは奴らと何も変わらん。冷静になれ」
      「詭弁! アスワドは自分が行きたくないだけでしょう! あの女と相対して殺意を抑えられる自信が無いからでしょう!」
      「ドーン。言い過ぎだって」
      無言で怒気を滾らせる黒い瞳と、狂騒の中にも冷徹さを宿した蒼い瞳が交錯する中、フォスが静かな声音で口を挟む。
      -- 2021-01-11 (月) 21:35:47
      • 「親父。やっぱ俺は確かめに行くべきだと思う。止めたって俺は行く」
        「……フォス。元はといえばこれは俺の問題だ」
        「違うね。俺達の問題だよ」
        こちらを静かに見据えてくる息子の眼差しに、アスワドは長い長い沈黙の末、瞳を閉じる。
        いつからこんなに落ち着いた目をするようになったのか。
        再び開いた瞳の先には、揺るがぬ決意を湛えた青い瞳の輝きが映っていた。

        「……分かった。好きにしろ。ただこれだけは言っておく。他人を巻き込もうとするなよ」
        「親父はお袋に隠し事してたか?」
        「……なに?」
        唐突に切り出された妻の事に、アスワドは思わず眉を顰めて相対する視線を探るように見つめる。
        今までフォスが自分と妻の事について言及することは極めて少なかった。
        それがどのような意味を持つのか。計りかねるまま男は正直に答える。

        「イーリスに隠し事はしていない。俺の出自も全て話した。その上で結婚した」
        ぴゅーと口笛を吹くドーン。僅かに色めき立って息を呑むミスラ。ほぅと吐息を漏らすスラオシャ。
        そんな揶揄する空気へ鋭い眼差しを飛ばしてから、アスワドは再び息子に視線を戻す。
        「俺も愛する人には隠し事はしない。大事なことは全部話す」

        愛する人。
        まさかそんな言葉が飛び出してくるとは予想だにもしなかった。
        口にした当人以外は、言葉を詰まらせて目を瞠っている。

        「だからさ。シェラには全部話すよ。俺にはもう他人じゃないんだ」
        静かに力強く言い切るフォスの胸元には、鎖で繋がれた白銀の護符が眩いばかりに輝いていた。
        その輝きに負けぬ蒼い煌めきが、確信に満ちている。

        「フォス。一つだけ約束しろ」
        男は相対する瞳の輝きへと厳かに口を開く。

        「愛する人は必ず守れ。何があってもだ」
        鋭い視線の中に哀切を宿した黒い瞳へ、蒼く輝く瞳が静かに頷いた。
        -- 2021-01-11 (月) 21:36:29
  •   -- 2021-01-11 (月) 21:32:40
  •   -- 2021-01-11 (月) 21:32:36
  • レボルシオンでグラスギブネンが斃された直後。
    赤子を抱えて帰ってきた店主に、ざわめく一幕があったものの。
    すうすうと寝息を立てている赤ん坊を横目に、一息ついて椅子に腰かけながら口元に手を遣る。
    「……名前はどうするか」
    -- アスワド 2020-12-14 (月) 00:14:15
    • はいはーい……ママですよー……私があなたのママですよー……ドーンママですよー……。
      (寝息を立てている赤子に、催眠音声の如く囁き続けている) -- ドーン 2020-12-14 (月) 00:32:45
      • はー。こいつ男の子かぁ。義弟かー……義弟なー……(飽きもせずに寝ている赤ん坊を矯めつ眇めつ、様々な角度から眺めている) -- フォス 2020-12-14 (月) 00:32:58
      • 無言でドーンの口を塞ぎながら、アイアンクローで赤子から引き離し、また深い溜息を一つ。
        「ヴィイの懸念があるのならば、なるべく由来を持った力ある名にしておきたいところだが……」
        -- アスワド 2020-12-14 (月) 00:33:36
      • ふらふ・ぎふへんふぉはふぉーるのゆあいにふぇらせふぁ -- ドーン 2020-12-14 (月) 00:44:19
      • 半眼で何を言ってるか分からないドーンを見遣り、その口から手を放す。 -- 2020-12-14 (月) 00:44:35
      • あー。あー。ふふふ。いいでしょう。この溢れる叡智。エンサイクロペディア・ドーンちゃんがお知恵を授けましょう。
        だから頭からも手を外してくださいお願いします(アスワドの締め付ける手が頭から離れれば、咳払い一つ)
        まず前提として。この赤ちゃんはグラグラギブネンくんを倒した後に発見された、ということです。
        何でも? その現場ではグラグラギブヤンくんがバロールとかいう中間管理職を刺殺していたと? いうことでしたよね?
        ふふふ。模造ヌールの補助機関の影響でデータベースの再構築が行われた私、それらの単語に聞き覚えアリです。 -- ドーン 2020-12-14 (月) 00:44:53
      • 「もっと小声で言え。赤ん坊が起きるだろ」 -- アスワド 2020-12-14 (月) 01:03:50
      • (赤ん坊の頬をつんつんと指先でつつく。その柔らかさと張り、そして温かさに軽い感動を覚える) -- フォス 2020-12-14 (月) 01:04:17
      • アッハイ。エーンエーン。ワタシノ ミカタハ アカチャンシカ イナイヨ-。
        (心なしか声を潜めて、また咳払い一つ)
        えー。グラスギブネンくんは、バロールとの関連性を鑑みれば、恐らく「豊穣の牝牛グラス・ガヴナン」が元になっていると思われます。
        諸説ありますが、とある剣を作成するためにグラス・ガヴナンが鍛冶屋に必要だったようなのですが、バロールの企みでグラス・ガブナンが奪われてしまう、
        というエピソードがあり、それが遠因となってバロールの死因に繋がる、というお話があります。ここらへん諸説あってややこしいのですが。
        皮肉にもこの度はグラスギブネン君自身でバロールをSATUGAIしてしまったようですが、本来バロールにトドメを刺すのが、そう。
        「ルー」という名前の光神です。 -- ドーン 2020-12-14 (月) 01:05:32
      • 「……ルー、か」
        呟いては赤子に静かな視線を向ける。
        アスワドの声が聞こえているのか、いないのか。赤ん坊は安らかな顔をして眠りに付いている。
        -- アスワド 2020-12-14 (月) 01:19:29
      • ルー? ルー、か……おっと。はは(赤ん坊の近くを彷徨っていた小指が、きゅっと小さな手に捕まれる)
        (赤子は寝息を立てたまま、名前に呼応するように少年の指先を握っている) -- フォス 2020-12-14 (月) 01:19:50
      • どうやら、本人的にも不足は無いようですよ?(赤ん坊とフォスの様子に口元を綻ばせる) -- ドーン 2020-12-14 (月) 01:20:36
      • 「ルー」
        はっきりと、それでいて柔らかい声音で告げながら、男は眠り続ける赤ん坊をその胸に抱く。
        赤ん坊はワイシャツの裾を軽く握って、瞳を閉じている。
        その様子を見守る三者の瞳は、それぞれ僅かに違った色を帯びていても、口元に浮かべる笑みは変わらなかった。
        -- アスワド 2020-12-14 (月) 01:25:04
  •   -- 2020-12-14 (月) 00:13:54
  •   -- 2020-12-14 (月) 00:13:47
  •   -- 2020-12-14 (月) 00:13:42
  • 2月下旬。吹き付ける冷風の中、中天に座した柔らかな陽の光が海面を照らしている。
    店外の炊事場では焚火の傍でうっすらと甘い香りが漂い始めている。
    煮立つ前の水牛のミルクが沸いた小鍋に、湯煎してとろとろに温められたチョコレートが入っていく。
    香料を数滴垂らせば、花の広がる様な香気がふわりと漂い、甘く鼻腔を刺激する。
    小鍋から火を放して、カップに出来立てのホットチョコレートを注いでいると、遅めの昼食を食べ終えたフォスが目を輝かせてこちらを見ている。
    この光景は毎年変わらないな、とアスワドは口元を緩ませて、ホットチョコレートが艶を放っているカップを息子の前に静かに置く。
    「おお……! チョコだ……年一のチョコ……」
    「ミルクと香料は天然物だ。まだ熱いから口の中を火傷するなよ」
    甘い物は特別な時だけ、という亡き妻の訓に従って、家で出す手作りの甘味は限られた機会のみ。
    その数少ないひとつが、2月に作られるホットチョコレートだった。
    -- アスワド 2020-12-07 (月) 21:13:03
    • 自ら好んで甘い物を口にすることはない。ただしイーリスが毎年作ってくれたホットチョコレートは唯一の例外だった。
      ゆっくりとカップに口を付け、どろりと濃厚なチョコレートドリンクに舌鼓を打つ息子へと柔らかな視線を向け、男はタバコに火を点ける。
      「アスワド。私の分は無いんでしょうか?」
      「余ってる分があるだろ。勝手に飲め」
      指を咥えて物欲しそうな視線をフォスに送っているドーンに、男は投げやりな態度で言葉を返す。
      わーいチョコだー、と平たい声音でわざとらしく喜びの表情を形作るドーンは、カップに半分ほどホットチョコレートを注いでいる。
      焚火の前で、ちびちびと舐める様にホットチョコレートを愉しんでいる二人に、男は紫煙を燻らせながら茫洋とした視線を送っている。

      ──なぜ、チョコレートを?
      ──チョコレートはね。元々お薬として服用されてたみたいなの。これを飲んで元気に頑張って欲しいな〜って。
      ──そうか。なら有難く頂こう。
      ──それとね。二月には好きな人に甘い物を贈る習慣があったの。ふふふ。
      ──……大事に頂かせてもらう。

      今は遠く、しかし鮮明な記憶の一欠けらが脳裏を過り、男は口元を緩ませたままタバコの煙を揺らしていた。
      -- アスワド 2020-12-07 (月) 21:23:30
  • 年が明けて1月下旬。店外にある天幕の下では、焚火の傍で数人が日に当たりながらスープを啜っている。
    その横で火にかけた寸胴鍋から立ち上がるスープの湯気を横目に、店主は火の点いていないタバコを咥えて業界紙を広げている。

    ──12月上旬の平均換金量……金貨約2300枚。
    ──12月中旬の平均換金量……金貨約2042枚。
    ──12月下旬の平均換金量……金貨約1628枚。

    「12月全体の平均換金量、金貨約5970枚、か……」
    数字だけを見れば、以前の海域を大きく凌ぐ活況さだが、あくまでこれは平均値に過ぎない。
    極圏に入ってから全体の水揚げ量は3割以上減少している、というデータがある。
    サルベージを行う者も同様で、極圏の厳しい環境下を前にして、サルベージを休業、あるいは船団を離脱してグランドスターズに残った者も少なくない。
    -- アスワド 2020-12-04 (金) 23:44:30
    • 「ただいまウシオスープを無料提供しておりまーす。どうぞ遠慮なく火に当たりながら温まっていってくださーい」
      黒鉄の手をバシバシ打ち合わせて銀髪を揺らしながら、暢気な調子で呼び込みをしている女に溜息をつく。
      「誰彼構わず手を広げようとするのは止めろ、ドーン・ブレイカー」
      どうしてこうなってしまったのか。
      切欠は些細なことだった。

      人手が減少しても作業は減らない。しかし厳寒の海上では連続作業時間も限られる。
      外港ドッグにほど近い『タラッタ』の店外では、寒さに打ち震えながら身を粉にして働く船外作業員やサルベージャー達の往来がしばしば目に付いた。
      昼食用にたまたま多く仕込んでいた潮汁を、顔見知りの作業員に振舞ったところ、大袈裟なほど感謝された。
      その時の喜びようを見てしまっては、翌日も多めにスープを用意しないわけにはいかなかった。
      それからあれよあれよという間に提供する人は増え、暖を取るための焚火も設置され、日除けと雨避けの為の天幕は風よけの為に張り直して増設され、
      スープは大型の寸動鍋で用意されるようになり、いつの間にか『タラッタ』の店外は船外作業員とサルベージャーの簡易休憩所の様相を呈していた。
      -- アスワド 2020-12-04 (金) 23:45:04
      • ……なぜこんなことになってしまったのか?
        考えても詮無いことが頭を過りつつ、目は紙面を横滑りしていく。
        極圏で跋扈する超巨大生物。次々と見つかる過去の遺産に超常的な現象の数々。
        「……非日常も続けば日常か」
        伝説上の生き物と目されていた竜。複数の目撃例に眉根を寄せて静かに紙面を閉じる。

        焚火の前で入れ替わり立ち代わり忙しない人の流れを見遣りつつ、合成された珈琲生豆を手網に放り込んでいく。
        サルベージの引揚量も落ち着いて、買取を行う機会も減ってきた。
        特に午前中は客が来ることも滅多にない。その逆に船外作業員達は昼頃までがコアタイムとなる。
        必然的に午前中は店外で火の番やスープの提供をする傍ら、時間を潰すことが多くなった。
        火の点けたタバコをゆっくりと燻らせながら、珈琲の生豆が収まった手網を直火に当てて焙煎していく。
        手網を上げ下げして日の当たり具合を調整している内に、生豆の弾けるような音と共に芳しい香りが漂ってくる。
        「ただいま挽き立て珈琲を提供するためー、合成豆を焙煎しておりますー。しばしお待ちくださーい」
        「提供するわけないだろ。炊き出しの品目を増やそうとするの止めろ」
        -- アスワド 2020-12-04 (金) 23:45:31
  • 12月初旬。吹き荒ぶ夜風が群雲を散らしていく。
    月下の寒空、光り輝くような銀の髪を靡かせた女が薄暗い明りの店内へと入っていく。
    「アスワド」
    店のカウンターに居る店主に向け、呼びかけと共に鞘に収まった刀を放り投げる。 -- ドーン 2020-11-28 (土) 02:24:55
    • 無言で刀を受け取った男は、鯉口を切って妖しく刃文に煌めく光を見ると、刀身を鞘に納める。
      「何だこの業物は」
      男はドーンへと鋭い視線を向け、苛立たし気に眉根を寄せる。
      「それにまたお前はフォスを放って勝手に」
      -- アスワド 2020-11-28 (土) 02:25:15
      • 「アスワド」
        男の言葉を制するように手を翳して、女は微笑みながら視線を返す。
        「貴方もフォスも、いずれ私を必要としなくなります」
        寂しいことにフォスは遠からず。私も貴方も必要としなくなる。
        女は微笑んだまま言葉を続けて、苦々しく視線を細める男へと近づいていく。 -- ドーン 2020-11-28 (土) 02:25:35
      • 「だとしても」
        シガーケースから取り出した煙草の吸い口を噛み潰すように咥え、男はオイルマッチを火打に擦る。
        「今のフォスにはお前が必要だ」
        苛立ちと共にゆっくりと紫煙を燻らせる。薄く立ち上る煙の先で、女はうっすらと笑みを浮かべたままだ。
        -- アスワド 2020-11-28 (土) 02:26:02
      • 「その刀。先日レボルシオンで手に入れましたが、故あってキングより御下賜を賜りました」
        故も何もあったものではない。自身からねだって譲って貰った品を、さも厚意であるかのようにしれっと告げる。
        「銘は『月虹』。月と虹ですって」
        それではフォスのところに戻ります、と女は音もなく銀糸の髪を揺らして店を後にしていく。 -- ドーン 2020-11-28 (土) 02:26:27
      • 「全く本当に勝手なことばかりしでかしてくれる」
        じりじりと煙草の先が音を立て、長い灰が床にほろりと崩れ落ちていく。
        月虹。男は胸の内で刀の銘を繰り返すと、刀を鞘から抜き放つ。
        安物の魚油に灯る明りの中、刀身は水面に映える虹の如く、妖しくも美しい輝きを放っている。
        「虹、か」
        感慨を含んだ呟きが宵闇へと溶けていく。
        朧げな月の光が照らす窓の外、さざなみの音が揺れる水平線の彼方へ視線は移り、夜はゆっくりと過ぎていく。
        -- アスワド 2020-11-28 (土) 02:27:08
  •  
  •  
  •  
  • (あらゆる方向に送風口が付いた球体型の個性的な扇風機、邪な壊れたタブレット(修復済み、大量の盗撮写真入)、男の子ちっくなシールが無数に貼られた猛々しいファミコン)
    (そして卑猥なバイブに電気を入れると虹色に光るド派手な壊れたコンピュータ)
    (それらが客足の少なくなった頃合いを見計らって男に持ち込まれた、どうやら今回は機械類を纏めて持ち込みに来た様だ)
    (壊れた物も含め機械類は製造が困難な現状船団自身の修理に有益だ、それを見越しての持ち込みなのだろう)
    …宜しく(男は言葉少なに目配せをする、一応卑猥なブツは布で包んであるが他の客の視界に入れたくないようだ) -- ヴィイ 2020-11-25 (水) 00:01:36
    • 「ああ」
      突然奇矯振舞いに及ぶ男だとは思っていたが、今日は別方向でおかしいな。
      口には出さず無表情で持ち込まれた品物を検分していく。
      扇風機は状態もいいしそれなりの値が付く。ファミコンも完動品なのでそこそこの値。シールが張られている分、若干査定マイナス。
      虹色に光るド派手な壊れたコンピューターはガラクタだが、光る原理次第で少しは値が付くか、と検分を進めていく。
      そして布に包まれた物品。中を見れば、ノータイムで取引テーブルに並べていく。
      バイブの作動を確かめた後、タブレットを操作していて画像データを二〜三枚見たところで手を止めて、ヴィイに訊ねる。
      「このタブレットは手元に残しておかなくていいのか?」
      -- アスワド 2020-11-25 (水) 01:28:42
      • (珍しく物静かにアスワドの査定を腕を組み眺めていたがバイブが普通に査定されるとおごごー!と呻いて自分の体を抱きしめる)
        何故だろうかなー!こうした形状の神体なんて幾らでも扱ってきたのに現行の物を売りに出すと恥ずかしいのわぁー!
        だが仕方なし、本来の用途であれ中のモーターとピストンの流用であれ…(ため息がてら、捨て置けるものではない、と言いたいのだろう)
        (タブレットの事を聞かれれば問題無いねと手を振り)三つの意味でね、貴重な過去の資料だが内容は把握したし私は映像より現物派
        それに探索のガジェットとしても少々持久力に欠ける、出先で容易に充電出来る船もそう多くはない事だし
        最後に結構古いおじさんなんだよ私、出来れば紙に留めてそれっぽく演出したいのさ!格好良いからね!(ワハハ!と笑って)
        ああそうだ機械と言えば…これらと一緒の扱いは怒るだろうが彼女には非常にお世話になった。ドーン君のお陰で私の問題は最高に進展したよ! -- ヴィイ 2020-11-25 (水) 01:53:51
      • 「購入するでもなし、不要物を売りに来ただけなのにな」
        身悶えしているヴィイに肩をすくめる。
        こうした反応は若い手合いに多いのだが、妙なところで羞恥心を発揮する男だ。
        「現物派と充電の件は同意できる」
        タブレットのことは堂々と詳らかにする様に、先ほどの初心な様子はなんだったんだと再度肩をすくめる。
        「扇風機は500。ファミコンは800。虹色に光る機械は200。モーターとピストンを用いた振動機械は300。タブレットは500」
        しめて金貨2300枚、と取引代に金貨袋を置く。
        「あれも機械だ。ずいぶんとお節介な。だが、それが役に立ったのなら……まあ、良かったな。結果的に」
        ヴィイが記憶を取り戻したという件についてはドーンから凡その話を聞いていた。
        危うげなことを自信満々に語るドーンに若干の殺意が芽生えたが、結果オーライかと渋々拳を収めていた。
        -- アスワド 2020-11-25 (水) 02:17:43
      • (その辺りもやはり海と陸の違い…正確にはサルベージとエクスプローラーの違いなのだろう)
        (男は土の中に眠る過去とばかり付き合ってきた分海に関しては若い手合と同じ反応となってしまうのだ)
        電気式の船に乗っているか相応の環境を持つ者が上手く運用してくれるさ、在るべき物は在るべき者の元にってね
        (慮った表現をしてくれたアスワドに無言で深くお礼のうなずきを示しつつ金貨を受け取りつつ)
        君からすれば地雷を踏んだかと思うかも知れないが…まあ、その点に関しては私が踏ませたので褒めるだけで済ませてあげてくれ
        段階を幾つか飛ばす結果となったが幸い記憶の欠落もまだ見られないからね、あっても年齢上の問題で片付く量だろう
        何より彼女の思慮深さといったら素晴らしい限りだ!彼女等を善き隣人としなかった創造者達には無念を覚えるね!
        (男はドーンブレイカーを非常に高く評価しているようだ、単純に美女に弱く彼女が女性体を取っている理由に見事に引っ掛かっている可能性も極めて高いが)
        実際危険と判断した単語は不用意には語らなかった、…その事も聞いているかな?(男は目を細める…そこに危険があると告げるように)
        //そして文通スイッチをば!遅くに来て申し訳ない! -- ヴィイ 2020-11-25 (水) 02:48:04
      • 取引が終われば、紙巻きタバコに火を点けて、男二人しか居ない店内に煙息を漂わせる。
        「お前さんの方に迷惑を掛けていなければ問題は無い。何だかんだと俺やフォスの決定的に不利益になることはしないヤツだ」
        地雷は進んで踏みに行っただろうであろうことは想像に難くないし、思慮深さには疑念の余地しか生まれないが、残念な創造主という点は心底同意する。
        「ああ。奴は俺に話す際もわざわざ暈していた。ババァの神秘のシミターだとか、ラジエーターの書だとか、ふざけ半分でな」
        そしてもう一つ。『メモリーに不可解な欠落が発生している』とドーンブレイカーは口にしていた。過去の記憶ならいざ知らず、ごく最近の記憶に不備が生じるなどかつてないことだった。
        「その二つ以外にも不可解なことがある。『自身が知りうるあらゆる言語体系に照らしても、発音不可能な文字列があった。その文字列があった、という記憶だけが存在しており。前後のメモリーにエラーが生じている』……ドーンブレイカーから、こうした報告を受けるのは初めてのことだ」
        眉間の皺を深く刻んで、ゆっくりと紫煙を燻らせる。
        「俺が今まで経験した危険とは全くの別種。かつ想像もつかんほど危うい事象のようだな」
        -- アスワド 2020-11-25 (水) 03:27:17
      • 不利益なんてとてもとても、言っておくが私は美女に弱い!彼女の意図が分かっていても、だ!つまりWin-Win-Winだよ!
        (ドーンの評価を高く取っているのもあるが…ジョークを交える事で情報の価値を落とし理解させながらも興味を失わせる手法)
        (凡そ人類種の知性では及ばない演算速度によりアスワド達に降りかかる危険性を察したのだろうと男は受け取った)
        (だが不可解な欠落や文字列について聞かされれば男も僅かに険しい表情となる、少し考え込む様子を見せて)
        すまない事をした…もしかしたら私の日記から得られた知識によって強い過負荷が発生したのかも知れないな
        その老婆の剣も冷却装置解体新書も使いようによっては彼女の能力と近い事を…
        一方で彼女もまた二つのアーティファクトと近い存在だ、結果可能性からその先にある多くの物を演算してしまったのかも知れない
        人やそれに類する知性体にはあの世界の狂気はかなりの毒となってしまうんだ
        (そう男は語る…夢の国、人類の普遍的無意識は狂気に満ちた部分も多く耐えるには才能か耐性が必要だと)
        (だが何かが食い違っている、男はあくまでただの日記として語っているが…女は確かに紙という二次元の媒体からこちらを覗き見る何かを見たのだ)
        ただそれでも帰らなければね(男はアスワドを見る、何故かその表情は羨む意図が含まれていた) -- ヴィイ 2020-11-25 (水) 21:03:17
      • 「謝ることは無い。あいつが勝手にしでかしたことだ」
        人の思考が汚染されるならいざ知らず、人工知能にまで異常を来すような狂気とは如何ばかりのものか。
        ドーンは知性体とも呼べるほど高度な演算機能を有しているが(ただしほとんど無駄に使っている)、その根幹技術はほぼ未解明といってもいい。
        解明されていない部分に、魔術といった曖昧模糊で形而上の概念が大きく関わる「ゆらぎ」が含まれているのならば。
        それに類する、或いはそれを内包するような超越的な存在からの影響については、向後も計り知れぬところである。
        「もう起きてしまったことはどうすることもできん。問題はこれからどうするかだ」
        男はさして気にした風もなく、ヴィイに静かな視線を返して、煙をふぅーっとため息交じりに吐き出す。
        「もし仮にアイツが何がしかの損害を被ったのなら、お前さんが目的を果たしてくれなきゃ間尺に合わん」
        それで釣り合いを取ってくれ、と肩をすくめる。
        「俺もあいつも協力できる範囲内なら手を貸す」
        -- アスワド 2020-11-25 (水) 22:06:51
      • (眼前の男から寡黙な分言葉一つ一つから気前の良さと優しさを感じれば済まなそうに、だが苦笑と共に親指を立てて)
        実の所ドーン君の能力は別れた後に物凄くピンと来た物がある!なのでその言葉は実に有り難い!
        方法に関しては恐らく行けるであろう、というものはあるんだけど安定性に関して問題があってね
        (男は人差し指を立てる…そして少し上に軽く動かして、それは空を示しているのだろう)
        星空を由来とする儀式を行うんだが私の知る空とこの世界の空には差異がある為まず出力安定性共に問題が出そうなんだ
        なので頼めるのなら君達の力を貸して欲しい…過程で先程言ったモノを見る事になるかもだが -- ヴィイ 2020-11-25 (水) 22:32:14
      • 視線はヴィイが指し示す動きを追い、天井に溜まった煙を見上げながら、また新しい煙息を吹き上げる。
        「星か」
        だとすればやはりドーンの力が助けとなるか。リスクについては甘く見積もることの出来ないレベルである……が。
        「リスクについては織り込み済みだ。問題はない。ドーンの方がお前さんのお役に立てそうだ。好きに使ってくれ」
        ドーンは大抵息子のフォスと行動を共にしている。フォスが良く出入りしている場所のことを伝えた後、ふと気になる事をヴィイに訊ねる。
        「ドーンの能力についてピンと来るものがある、と言ったな。それはどういったものだ?」
        -- アスワド 2020-11-25 (水) 23:07:04
      • 助かるよ(申し訳無さそうにしつつも協力を得られれば感謝の言葉を重ねて)
        (店主の息子の居場所を記憶しつつ金貨の入った袋に一瞬視線を向ける、流石に礼には下品か、と視線を戻して)
        次元切除機関…恐らくは私が行おうとしている儀式をも内包する魔術の粋、時と空間をこの手にという知識欲の行き着く先さ
        幸いにしてこの世界では彼女達という莫大な演算能力を間に挟む事で安定させているがネ
        (どうやら男は安定しなかった結果も知っているらしい、考古学者としてそういった遺物…遺跡を目にした事があるのかも知れない)
        ただ作り出した門に飛び込むだけなら不安定でも良いんだが、その後彼女にはその名の通りの機能を果たして欲しいのさ
        …多分それがこの世界の為でもあるからね(そこまで言えばではね、と男は帰っていった) -- ヴィイ 2020-11-25 (水) 23:37:08
      • 金貨袋に一瞬移った視線からその意図を察するが、眼前の男が無粋な真似をする筈もなく、ふっと咥えたタバコが微かに揺れる。
        「なるほど。時空間に干渉する力、か」
        あらためて、とんでもなく厄介な拾い物を使ったものだ、と『夜明けの剣』達の製作者に呆れた溜息を吐く。
        たとえ安定していても、その力が齎した結果は創造主たちを狂わせて自滅の途へと導いた。
        「さて。その後の果てなぞ神のみぞ知るところだ。お前さんは元の世界に帰ることに注力してくれ」
        果たすべき責務など、今は存在しないのだ。かつて企図された人類の夜明けという夢想は、遠い日に霧散した。
        去っていく男を静かに見送り、ひとり残された男は瞑目して煙草を燻らせていた。
        -- アスワド 2020-11-26 (木) 00:12:28
  • おぉ寒い寒い…最近とんと冷え込んできただけじゃなくて、随分と航路を北にとってるらしいけどね
    商工会なんかの寄り合いでそういう話はされないのかいアスワドさん
    (外よりかは温かい室内で。肌寒い空気で少し動きの硬くなった義手を温める様に動かしながら) -- フローレス 2020-11-24 (火) 22:19:47
    • 暫く姿を見かけていなかった女を目にすれば、紙巻きタバコに火を点けてゆっくりと紫煙を燻らせる。
      「船の航路に関しては、いつも通り中枢艦の気まぐれだ。北を目指しているのは間違いないし、寄り合い連中では寒冷地対策に大忙しの様子だったな」
      棚からフローレスの為に保管していた酒を取り出す。取引テーブルに置かれた酒瓶の中では、琥珀色のヘビーラムが揺れている。
      「犬と花はしっかり育てているか?」
      -- アスワド 2020-11-24 (火) 22:34:15
      • (何度か動かしているとそのうちにギシギシと音を立てていた部分が馴染み始め、それを確認してから腰を下ろすと)
        ふぅん…まぁ別にアタシゃもうどこでも楽しんでついて回る気…ではあるんだけどね、なんで北なのかって話くらいは出回ってそうって思ったのさ
        あまり行き過ぎると人だけじゃない、船や海そのものにも異常が出てくる…船団はその辺どう考えてるのかねぇ
        (おぉやだやだ、と一人ごちてから出された酒を見て、少しだけ笑うと)
        何だかアタシが来ると場の雰囲気が隠れ家みたいな酒場みたいになっちまって悪いね……あぁ、それなりに仲良くやってるよ…アンタのお陰さ -- フローレス 2020-11-24 (火) 22:46:12
      • 「北を目指す理由については可能性の話ばかりで確かなものは何一つない。考えるのは現実的な対処法ばかりだ。一時的に船団を離脱する、或いはグランドスターズに籍を移す、とかな」
        拠点とするにゴールデンロア号以外にも選択肢はいくつかある。ふらふらとあてどなく彷徨う中枢艦以外にも、供給機能の生きた海洋都市国家は健在している。
        「今は他に客もいない。気にするな」
        子育ても順調で何よりだ、と冗談交じりにタバコをの煙を吹かす。
        酒瓶を前にして薄い笑みを見せるフローレスを横目に、ふっと以前耳にしたことが頭を過る。
        「フローレス。お前さん以前『帰る家がある』と言っていたな」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 23:18:31
      • ああ、そういうやそうか…今から東に向かいまーすなんて言いだす可能性もあるんだね
        やぁ‥言われると思いなおすねぇ、そういやアタシたちって流れ者が寄せ集まってできてる船団なんだって…おや、そうなると今度は船の中枢ってのは…一体どこのどいつになるんだろうね、これは中々面白そうな話になりそうだ
        (ま、深く考えるつもりはないさ、と置かれた酒を少しだけ口に含んで喉を焼くと幸せそうに吐息を溢れさえ)
        くはぁぁぁー…気にゃしないけど流石に悪いとも思ってんのさ、…ん?そうだね、あったよこの辺に -- フローレス 2020-11-24 (火) 23:24:16
      • 「船の中枢に近い者は、都市中枢艦の建造や運用に関わりのあったシャウエルテ家のような者、或いは先んじて権利や力を示した者の血族や氏族、になるか」
        が、中枢そのものとなればまた話は違う。もし仮に都市中枢艦に意思を持つような心臓部があるのであれば。
        ……いい加減な人工知能なんだろうな、と身近な遺物のことが頭を過っていく。
        栓無い事だと気を取り直すように煙草の先をジリジリさせ、幸せそうに酒を呷るフローレスへ視線を戻す。
        「この辺にあった? もうその場所に行ったのか?」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 23:51:00
      • その辺は要するに声がデカくて人をけん引してきた連中だろう、アタシが気になったのは船団の最初の一隻さ。それが何を考えているのか……だよ
        (酒瓶を揺らして、じぃっ。と窺っている。という事を隠す気もない視線を向ける)
        (ジリジリと燃えていく煙草の先が多い。このタイミングで吸い込んだ。そんな事を眺めながら)
        何か考えたのかい、面白い話なら…話のタネにしたいんだ、ぜひ聞かせておくれ。
        (カマを掛けるという事さえしない直球的な目線と挑戦的な笑顔を向けながら)
        おうともさ…死に損なったよ。20年か30年か。知らないけどね…最後に思いっきり楽しい話をこの子に伝えたくなっちまった…借り物をもっと貸しておいてくれって、女々しいだろ?
        (左の胸を叩いて、それから先日引き上げられた髪留めのリボンを触って自慢気に) -- フローレス 2020-11-25 (水) 00:04:27
      • 圧のある視線を受ければ、長い灰ごと煙草を灰皿に押し付けて、苦笑を返す。
        「与太話の一つだ。かつて都市中枢艦とは別軸で、とある計画があった。残された僅かな陸地と数多の洋上艦を接岸し、疑似的な陸地を形成する。中枢艦の供給設備に相当する機能を持たせて、な」
        シガーケースから新しい紙巻きタバコを取り出して火を点ける。酒瓶の水面を静かに見つめ、言葉を続ける。
        「安定して居住可能である人工的な陸地を形成し、徐々に自然部分を増やしていく。長い長い時間を掛けて陸地を『造って』いく。気の遠くなるほど悠長な話だ」
        聞けば聞くほど与太話だな、とゆっくり紙巻きタバコの煙を吹き上げる。
        「この計画は複数建造されていた都市中枢艦の腹案だったという。ある程度、互いの目的に重なる部分があると考えるならば……」
        ここから先は完全な推測だが、と前置きをして咥えたタバコを上下に揺らす。
        「中枢艦にわざわざ自動航行機能なんてものをつけたということは、無人での運用も想定されていたということだ。有人では困難な地域への侵入、調査、探索……何か有意な発見をすれば位置情報を通信して後は人を派遣すればいい」
        俺も一杯もらおう、と棚からグラスを取り出して酒瓶からワンショット分だけ注いでいく。
        「加工を見据えた陸地探し。そのまま使えるようならば万々歳。あるかどうかも分からん陸地を求めて、何百年も同じことを繰り返す。陸地を探せという命令を忠実に守り続けて」
        機械はおかしなところで融通が利かない、と肩を竦めて琥珀色の甘ったるい酒を呷る。
        グラス越しにフローレスの付けた髪留めのリボンに目を止めて、微かに口元を緩ませる。
        「女々しくていいさ。どこか捨て鉢だった誰かさんより、ずっといい」
        -- 2020-11-25 (水) 01:19:19
      • (語り始められた与太話の一つ、それは何とも興味を引く内容で。それが真実であれ、本当に与太話であれ、なるほど…信じたいモノとして聞くには十分すぎる程で)
        …面白いねぇ、じゃあアタシたちは昔の亡霊に従う道具と一緒に海を彷徨ってるわけかい…これは、何ていうか
        ((同じ酒を呷るアスワドに少しだけ目線を細めると、彼のグラスにもう一杯注ぎ)
        アスワドさんは酒の飲み方がなってないねぇ…ふふ、酒飲みの流儀ってのはこうさ?
        (そう言って自分の酒瓶を持ち、グラスに触れ合わせる様に軽く傾けながら)
        んじゃ、そういう亡霊の命令に従って動く船に従うアタシたちは、言っちゃえば迷子みたいなもんかね
        …せっかく迷子を止めたと思ったらまた迷子だったなんてなんて笑い話だよ、まったく
        (ぶっきらぼうな優しい言葉に、らしいねぇ、と肩を揺らして)さしあたって与太話のついでに…いつかの土産話になるような出来事って何かないかい、アンタ顔広いだろう? -- フローレス 2020-11-25 (水) 22:15:18
      • かっと臓腑が熱くなる感触に目を細め、掲げられた酒瓶に新しい酒が満ちたグラスを軽く打ち合わせる。
        「都市中枢艦も道具に過ぎん。道具に使われるもんじゃない。こちらが使ってやってるんだ」
        二杯目のグラスの淵に唇をつけ、染み込ませるようにゆっくりと酒が舌を滑っていく。
        「人はどれだけ迷っても帰る場所をつくことができる。お前さんも新しい帰る場所をつくれ」
        土産話か、と酒に痺れた舌で反芻するように。グラスから煙草へと唇を移して思考を巡らせる。
        「直近の話で言えば、シェラ。またぞろ何か新しい発見をしたらしい。サルベージの人手を必要とするかもしれんな」
        あとは、と漂う紫煙を見据えながら、ある男の事が頭を過る。
        「ヴィイという記憶喪失だった奇矯な男。最近記憶を取り戻したという話だ。なんぞ面白い話が聞けるかもしれん」
        -- 2020-11-25 (水) 22:55:06
      • (ガラス同士のぶつかる澄んだ音を楽しむように目を細めた後、眼前の彼から出てくる言葉に軽く肩を竦めると)
        帰る場所を探して船団についていたアタシのように、かい
        (それは元よりそのつもりである、という自信に満ちた不敵な顔で声色で)
        こいつぁ奇遇だ、その二人ならアタシでも知ってる顔だねぇ。ちょいと顔でも出してみるかね
        (あんがとさん、と酒瓶を抱えていない義手を軽く掲げて手を振って感謝を示すと)
        ふぅん、アタシはこの船団が好きだからね…帰ってこようと思って帰ってきた…ってのはアスワドさんは知ってるだろう、それ以外に帰る場所を作れってのは中々…深い事を言うね
        (にぃーっ、と歯を剥くようにしてしかし楽しそうに笑うと、まだ半分以上残ってる酒瓶を置いて)
        さ、んじゃアタシは行くよ…本当の所はね、アンタに言われた言葉が嬉しかったのさ。だから色々帰ってきたって言いたくて出したのさ、ありがと、それとただいまアスワドさん、また何か拾ったら持ってくるから買い取っておくれ
        (そういって帰っていった) -- フローレス 2020-11-25 (水) 23:13:38
      • グラスの中で揺れる琥珀色の水面を見据えながら、男は思う。
        帰る場所。それは産まれた場所でもなく、育った場所でもない。
        濁った水面の中に、ある女の幻影が浮かび、次いで一人の少年の姿を見出す。
        己の、失ったもの、定まるべき場所のことだ。
        「自分で帰る場所を決められるのが一端の大人だ」
        酒瓶を棚に戻しながら、背中でフローレスの言葉を聞いている。
        振り返れば煙草の先の長い灰が、崩れる様に床へと落ちていった。
        「ああ。また来い」
        女の去っていく背を見送り、その姿が消えてから、新たな紙巻きタバコに火を点けてゆっくりと喫う。
        店内に漂う紫煙に視線を定めながら、男はぽつりと呟いた。
        「おかえり。フローレス」
        -- アスワド 2020-11-25 (水) 23:48:30
  • 旦那!旦那!コレってもしかして、もしかするでやすかーっ!(興奮ぎみに店に駆け込んでくる猫、その手にはふろしき包みされたスイカくらいの大きさの物体…)
    ウワサに聞く悪魔の実ってコレじゃねえでやすかね!(見てくれとばかりにふろしきをオープンすると『大きな悪魔の実』がお目見えである) -- コジロー 2020-11-24 (火) 20:37:47
    • 風呂敷の中身を見れば、眉根を寄せて少し考える仕草。
      「以前似たような形状の七色をした実を買い取ったが、その後の研究結果も含め、金貨2000の値が付いた」
      『悪魔の実』を手に取って、しげしげと眺める。
      「まずは金貨500枚。研究に回して報奨金が出れば、その金を追加で支払う」
      -- アスワド 2020-11-24 (火) 20:53:48
      • にゃんと!(2000!けっこうな額!期待が高まるが…)とほほ…(そう上手くはいかない。条件付きのお値段にぐにゃりと首を垂れると…)
        …それと、シュクダイの件でやすが…(と、ここからが本題。きちんと白銀のピースメイカーを扱えるようになったかの確認を行ってほしいという。)
        (整備も、実践も…この前の自信なさげな顔とはうってかわってうさんくさい自信をのぞかせる笑み) -- コジロー 2020-11-24 (火) 21:27:39
      • 「研究結果次第では金貨2000枚以上になる可能性もある。が、あまり期待はできんな」
        取引テーブルに金貨500枚の詰まった袋を乗せ、銃のことに話が及べば目をすうっと細める。
        「ほう。ひと月ほどで随分自信を付けたようだな。ではその成果を見せてもらおうか」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 21:41:01
      • (店のテーブルをお借りして、まずは分解からの清掃、油を差し、銃口を磨き…といった一連の動作を実演開始、道具も用意したようだ。)
        (まだ時間はかかっているものの、『構造を理解させる』指導が功を奏したか力任せでなくきちんと丁寧に分解から組み立てていく…)
        ヨシ!完成でやす!(最後の「ヨシ!」が不安を煽るが無事に仕上がった模様。)
        ドウゾ…(そして、チェックをしてもらうべく組み立てたピースメイカーをそちらにうやうやしく差し出す…) -- コジロー 2020-11-24 (火) 21:56:17
      • コジローが銃を分解していく様子を、火の点いていない紙巻きタバコを咥えて静かに見守る。
        元々具えていた器用さと要領の賜物か、或いは努力の成果か。短期間で驚くほど確実な整備が出来ている様に内心で感嘆する。
        組み立てが終わり、コジローの差し出す銃を受け取ろうとした時、いつの間にか店内に居たが横合いからピースメイカーを掻っ攫う。
        無言でアスワドが睨みつける中、涼しい顔で銀糸の髪を靡かせた女は、懐から取り出した白銀の銃弾をピースメイカーの回転式弾倉に一発ずつ装填していく。
        「はいどうぞ。よければ射撃の腕前も見せてくださいますか?」
        手元でクルリと銃を反転させた女は、にっこり笑ってピースメイカーのグリップをコジローの方に差し出し、店外に視線を向ける。
        アスワドはやや憮然とした面持ちで、一連の流れを見ながら、コジローに向けて肩を竦める。
        「そいつは弾の提供元だ」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 22:21:02
      • アリーッ?!(裏返る声、横から掻っ攫われるピースメイカー!なんてこったいと頭を抱えて大混乱!…)
        …へ、へえ。どうも…(ピースメイカーを返してもらえばキツネにつままれたような顔。ぱちくりする猫目。)
        あー…そうでやしたか、あっし船乗り猫のコジローと申しやして…お世話になりまさぁ(さきほど銃弾を込めて見せたのはそういうことか!と納得したようす)
        (ウデマエを見せてくれと言われれば待ってましたと店の外、裏のほうにて流れ弾に留意してマトを用意…何の変哲もない空きカン。を射程距離ギリギリのところに設置。)
        エー…それでは…センエツながら…(と、口上を述べつつ…といった次の瞬間!空きカンが吹っ飛ぶ。)……とまあ、こんなことをしてみやしょうかと…
        (ぶかぶかの上着を隠れ蓑に、すばやくピースメイカーを抜き一発!上着を肩にかけておいて腕をフリーにし早撃ち…という不意打ちの練習をしてきたのだという。まあ…タツジン級の相手には何をしようというのかバレバレなわざとらしさとうさんくささがあるのは否めない。)
        (猫の体力と体格的に長時間の銃撃戦は不可能であるし、遭遇した相手に銃が効くという保証もないサルベージャーとして『護身と逃走のために銃を使う』という意識の表れか。)
        (相手をよく観察し、距離を見極め、正確に構え狙い撃つ。という一連の動作を一瞬で行うことを身体に叩き込まれた指導の賜物である。) -- コジロー 2020-11-24 (火) 22:47:02
      • 「どうも。銃弾作りの名人、ドーンブレイカーと申します。以後は親しみを込めてドーンちゃんとお呼びください」
        にこにこ笑顔の女と、呆れた様子のアスワド。店の裏手でコジローが準備している即席の射的場へと足を運ぶ。
        「おお。お見事ですねー。ぱちぱち」
        コジローの早撃ちで吹っ飛ぶ空き缶を横目に、女は平たい調子で快哉を送り、アスワドは驚いたように目を瞠っている。
        あの体格でよく45口径を素早く正確に取り回せるものだ、とアスワドは感心しているが、ある懸念点に眉根を寄せる。
        そんな男の内心を察したように、銀糸の髪を靡かせる女は、先ほどまで的を設置していた場所まで移動する。
        「じゃあ次は私に当ててみてください。『3発以内』で。あ。私頑丈なので大丈夫ですよー。好きなところにブチ当てちゃってください」
        とんでもない無茶振りを笑顔でさらりと言いのける女は、コジローから5メートルほどの位置で両手をパタパタ振っている。
        その様子を見て溜息をついたアスワドは、冷静に補足する。
        「あいつを撃っても問題ない。防護魔法のようなものが作動するので傷はつかん。気兼ねなくブチ当てろ」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 23:36:37
      • なにゃ?!…ほ、ホンキでやすか…?(ぱちくりどころではない、目を見開いて叫ぶ猫。クレイジィ…銃弾作りの匠。ドーンちゃんの旦那…)
        (順序としてはわかる、『手入れ』に『止まったマト』とくれば『動くマト』に行くことは…)
        (『三発以内』というのは動くことの意思表示とも取れるが…)
        見かけに、よらないってことでやすね…(銃が効くか効かないか…何も怪物のような見た目の相手だけとは限らない、むしろそういう情報はなるべく隠しておくものだ。)
        (となれば遠慮はいらない、「ブチ当てろ」というタラッタの旦那の言葉が聞こえるか否かというタイミングでドーンの足を狙ってまずは一発!)
        (逃げるにしても戦うにしても、相手のスピードを削ぐことは定石であると考えがあるのか、ただ思わず自分から距離を取ってしまう、相手が近い場合ポンと蹴られてニャンと鳴くなんてことになりかねないことを身体で覚えているのか。)
        (その間も相手から眼を離さず、どこを狙うのか考えて、よく観察しなければ…ムダ弾をなるべく減らすように…) -- コジロー 2020-11-25 (水) 00:13:30
      • コジローの読みは概ね正しい。近距離での動体に関する射撃センス、そして人型のものを躊躇わず撃てるかどうかの確認。
        不愛想な男の意図を読み取る様に、女は条件付きのゲームを提案していた。
        「お見事。アスワド。この子は『いい』ですね」
        意識の隙間を狙うようなコジローの不意の一発。その射撃音が響くのとほぼ同時に、女は掌から何かを射出していた。
        女の手首から先は黒い武骨な金属製。そこから打ち出した圧縮空気により、女は半身をくるりと回転させ、足を狙った銃弾は虚空を掠めていく。
        「うふふふふ。離れちゃダメですよー。あと2発ですよー」
        コジローが距離を取ろうとしたのを察すれば、女は地を蹴って駆けだす。
        その速さは常人離れしているものの、人の域に収まる速度。決して捉えられぬ速さではない。
        直線と横の機動を織り交ぜて、じわじわと、しかし素早くコジローとの間合いを詰めてくる。
        -- ドーン 2020-11-25 (水) 00:39:28
      • いいっ!?(『いい』と言われた事にひっかけてってわけではないが素っ頓狂な声、フイ打ちに全てを賭けているところのある猫にとってそれを外されてしまうと動揺は隠せない。)
        (『意外すぎる動き』で意表を突かれたのはこっちではないか、むしろヒト型だからといってニンゲンに準ずる生物だと誰が決めた?ロックの旦那ではないがドーンは『ニンゲンではない』ということをカンで察せなくては状況に付いていけない。)
        (考えてみれば猫の知る中でも良識派であるタラッタの旦那が、こんな狂気の沙汰を許す時点で万が一にも『事故死』がない、『生物でもない』のだと推理するのに充分…ニンゲンのようだが作られた身体で…?)
        ヘタな考えって、こういうことでやすね…!(いけない、今考えてもしょうがない余計な情報を相手に与えることも揺さぶりと時間のロスを誘えるのだと首を振り。)
        (必死こいた受験生に制限時間を告げるような意地の悪い速度で間合いを詰めてくるドーン、タラッタの旦那が渋い顔をするわけだ…と取っ組みにくさに苦笑いをするも…その幻惑するような動きにきちんと視線を合わせる動体視力は持ち合わせている。)
        (距離を詰めてくる相手の勢いを削ぐには…目だ、『ウインクをするとき開かれている目』が利き目だという話を聞いていたのかドーンの右目を狙って二発目を発射)
        (胸を借りているという意識があるにせよ、生身のヒューマノイド相手に練習できるはずもない事をこの際試してみようという図々しさと図太さがまだ残ってるあたりマイペースなのか。) -- コジロー 2020-11-25 (水) 20:56:23
      • 躊躇いなく足を狙うコジローの銃撃。機能を用いて回避するドーン。すぐさま間合いを動かす展開。
        ──この短時間でずいぶんと高い評価を下したものだ。
        一連の流れからドーンが本気でコジローを試していることを察すると、アスワドは感慨深げに紙巻きタバコを咥える。
        「考えるのは大事大事。ただし反射と結びつかねば命取り」
        疾走しながら暢気な調子で言葉を綴る銀髪の女。
        緩急を付けたステップは、相手の射撃タイミングを狂わせるように、不規則に刻まれる。
        緩やかに狭まる二人の間合い。さらに間を詰めようと女が地を蹴って前進しようとした刹那。
        炸薬の弾ける音と共に、銃口の先が目を捉えているのを察した瞬間。
        「なんとぉー」
        地を駆ける前傾姿勢から大きく上体を反らして、銃弾が女の眼前を飛来していく。
        すんでのところで銃撃を躱した女の体勢は大きく崩れ、スライディングとブリッジの中間のような無防備を晒している。
        -- 2020-11-25 (水) 21:40:06
      • よs…(音楽でもあればリズムに乗った優雅な舞いにも見えたドーンのステップが中断し、態勢が崩れ、『どうぞ』というように見える無防備な状態…思わずヨシ!などと口走りそうになったが。)
        (だが、考えるのは大事、しかして即行動に結びつかねば…まともに考えればここで足を止めダメ押しのもう一発を叩き込むべきだが…?)
        ……引かば…押せでやすねっ!(反射的に何をしたかといえば、今度は逆に自分からドーンのほうへ駆け出し距離を詰めていく。)
        (不意打ちでもだめ、相手が距離を詰めてきている状態でもだめ、常識的な反応速度ではまず反応しきれないそれをドーンは二度も躱してみせた。)
        (全然足りない。距離も、速度も、だったら…足りるまで足すしかない。)
        でぇぇーーいっ!(態勢を崩したドーンに飛びつき、どこでもいいから銃口を押し付けて引き金を引く…とまあそんな事を考えているのだろう、窮鼠は猫を噛むというが猫もまた追いつめられればこう動くようだ。) -- コジロー 2020-11-25 (水) 22:12:34
      • 「お見事。無事に3発以内で命中させましたね」
        仰向けで尻もちをつくような体勢の中。女は飛びついてきたコジローを右手で抱きかかえる様にして、にやりと笑う。
        押し付けられた銃口は、女の黒い左の掌の直前で止まっている。
        放たれた銃弾は銃口のすぐ先、女の掌との間で不可視のフィールドに阻まれて制止していた。
        「よーくできましたねー。よーしよし。よしよし」
        ポトリと落ちた銃弾は女の左掌へ収まり、女はコジローを抱きしめながら空いた方の右手でくしゃくしゃと頭を撫でつける。
        アスワドはその様子を眺めながら、微笑を浮かべて咥えたタバコに火を点ける。
        「当たる距離まで近づく。その間合いを見極めるのが射撃センスだ」
        ゆっくりと紫煙を燻らせて、男は転がっている空き缶を横目で見る。
        「射的は間合いの可能性を広げるためのものだ。そちらも磨いておけ」
        -- 2020-11-25 (水) 22:30:30
      • きょ…キョウシュクでやす…(よくできました。ということは正解がこれだとドーンには解っていたし…もしかして捕まったのはこっち…?)
        (まるで写真でも撮ったようにぴったり停止した弾丸を見ると、ひきつった苦笑い…生きた心地がしない!と脱力してナデナデされる…ぐったりキャッツ!)
        へぇ、…まさかここまで近づかないといけねえとは…(もっと上手くなれば…『殺気を消して狙いを読まれないようにする』とかできれば、当てられるのかな…?と)
        これに慣れるまではしばらくかかりそうでやす…(相手が何者で、どれくらいの距離が必要で、いざというときの判断力も試されていたのかも?
        (なるべく荒事を避けてはいるものの、今回のドーンのようにいきなり力量差のある相手に出会わないとも限らないのだ。タラッタの旦那の言う通り腕を磨いておくに越したことはない…)
        練習する弾代稼ぎのためにも、オシゴトがんばらないとでやすねぇ…(ただ、なんでもタダというほど世の中甘くはない、何をするにも代金はついてまわる…)
        こういうの、ニワトリタマゴ?っていうんでやしょうか?(オシゴトの最中邪魔されないために必要な自衛手段に必要なオカネを稼ぐのにオシゴトをする…因果なことに唸ってみたり。)
        …オット!考えてばかりでもしかたないでやすね…ご指導ありがとうごぜえやした。(ぺこりとふたりに頭を下げ、ともかく生活費をゲットするためにまたオシゴトに戻るのだ!…悪魔の実も高値がつくといいなあ…なんてさっそく邪念が出つつ、金貨500枚を受け取るのだ…) -- コジロー 2020-11-25 (水) 23:04:01
      • 「一番は君子危うきに近寄らず、ですが、貴方は逃げの判断について問題なさそーですからね」
        よっこいしょーと立ち上がった女は、乱れた髪を整えながら、金貨袋の遣り取りを見守っている。
        「退くに退けない時ということもある。その時に備えておけ」
        「人の営みはぐるぐると螺旋を描く繰り返しです。正しく回れば、より高みへと至るのです」
        咥えタバコで不愛想に、少しだけ口の端を綻ばせながらコジローに目礼を送る男。
        ふふんと自信満々に腕組みをして、愛弟子を見るような眼差しを去り行く背に送る女。
        女はその表情のまま、ぽつりと呟く。
        「ふっ。銃弾を渡し忘れていました」
        -- 2020-11-25 (水) 23:21:09
  • ファジュルさーん。いらっしゃいますかー? 支倉ですー。回覧板持ってきましたよー。
    (船団の会合で顔を合わせたりする程度しか付き合いのない女子が、
     基本的にあまり大したことが書かれていない上にたまにしか回されない回覧板を持ってきた。) -- 支倉りせ 2020-11-23 (月) 20:59:17
    • 「ああ。支倉嬢か」
      ありがとう、と簡素に礼を述べながら回覧板を受け取って、ふとあることが気に掛る。
      なぜわざわざ彼女が回覧板を届けに来たのか。こうした雑事であれば従業員に任せるのが常ではなかったか。そしてもう一点決定的なこと。
      「髪を切ったのか」
      -- アスワド 2020-11-23 (月) 23:12:27
      • (『次の人、移転で順番入れ替わったそうなので、一つ飛ばしでお願いしますね……』と、事務的な用件をぽつぽつ伝えた折。)
        ……あ、はい。もう、切る時期だったので。……な、なにか……変なとこ、あります? -- 支倉りせ 2020-11-23 (月) 23:31:12
      • 「いや。綺麗な髪だったが、今の髪型も良く似合っている」
        無表情で思うがままの感想を口にすると、ついでとばかりに疑問を述べていく。
        「会合以外で顔を合わせることも早々無いが、外回りをしている君を見たのは初めてだ。何か用向きがあって回覧板を?」
        -- アスワド 2020-11-23 (月) 23:47:04
      • あ……と、その、お店で配置変更があって、その一環、ですよ。
        ……ありがとうございます。(このありがとうは、ファジュル氏の感想が率直過ぎて、タイムラグが生まれた様子。)
        でも そうですね ファジュルさんって、ご結婚なさっているんですよね?
        えー…… ……(言葉を選んでいるような様子。) フォス・ファジュルくんが生まれる前って、どんな感じでした? -- 支倉りせ 2020-11-23 (月) 23:58:12
      • それはつまり子供が生まれる前の夫婦関係ということか?
        妙に回りくどい質問だと心の内で僅かに訝しむが、表情には出さず訥々と語り出す。
        「幸せだったさ。女房とは出会ってから半年で結婚し、それから2年半後にフォスが産まれた」
        ふっと目の前の少女から視線を外して、店外の水平線の向こうを遠い目で見遣る。
        「フォスが産まれてから、ますます幸せになった……が、聞きたいのはそういう事か?」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 00:33:04
      • え……と。恋愛結婚なんですよね? ……すいません、変なことを聞いちゃって。
        ただ、何か知りたくなっちゃって。普通の家庭がどんな感じなのか……。
        ……普通のご家庭ですよね? 再婚とか……あ いえ 失礼なことを幾つも、ごめんなさい。 -- 支倉りせ 2020-11-24 (火) 01:04:57
      • 普通か、と小さく呟いてシガーケースから紙巻きタバコを取り出し、その先端で店の入り口を指し示す。
        「18年前。どこぞから漂流してきた男がそこの店先にぶっ倒れていた。当時この店の店主だったイーリスという女が、その間抜けな漂流者を介抱した」
        指先に有ったタバコを唇に咥えて上下させ、言葉を紡いでいく。
        「女は見ず知らずの男を2日間寝ずに付きっきりで看病した。快復した男はその恩返しのつもりでサルベージや用心棒で稼いだ金を女に渡すようになった」
        咥えたタバコは火を点けないまま、上下に揺れを繰り返している。
        「女は男から受け取った金に一切手を付けず全て保管していた。それに気づいた男が理由を尋ねた。これはいつか貴方が旅立つ時の為に使うのだ、と女は答えた」
        上下の揺れがピタリと収まり、タバコは唇から指先へと戻る。
        「俺は決して旅立つことはない、と男は答えていた。なぜそう答えたのか、男は分からないまま口にしていた。女は花咲くような笑顔をしていた」
        指の間にあるタバコの先を見ながら、男はふっと微笑んだ。
        「女は冗談めかして言った。じゃあそのお金は私たちの結婚資金にしましょう、と。男は静かに頷いて答えた」
        タバコは再び唇の間に収まって、静かに揺れを繰り返す。
        「それが『俺たち』の普通だ。普通の家庭というものはどこにも存在しない。あるのは『その二人の間』の普通だけだ」
        タバコを咥えたまま頭を掻いて、男は苦笑を浮かべる。
        「それと再婚はないな」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 01:40:30
      • (悪い人ではないことは知っているものの無愛想でそこはかとなく圧を感じる男性から、
         ロマンティックな馴れ初め話がスイと飛び出した挙げ句、生涯の伴侶は唯一人と苦笑交じりに宣言してみせる様子を見たときの表情わかりますか。)
        (具体的には、初めのおずおずとした様子はどこへやら、
         いつの間にか、目をキラキラさせつつ、ちょっと頬を赤らめて、ぽー……っと、食い入るようにしていた。)
        ……、……あっ。あ、はい! わかりました! さんこうになりまし!!(やがて心が戻ってきて、恥ずかしそうにあたふたする。)
        ……なんか あの ありがとうございます。はい。
        とっても、素敵なお話でした。……じゃなくて とても私には―― じゃなくて……。(延々と、もじもじと、挙動不審で)
        し、失礼しましたー!(最終的に、支倉りせは深い深いお辞儀を選んだ。思考プロセスは省かれる。)
        〜〜あの、私、色々あって、家庭に入るかも知れなくて、だから……あの……。(※概ね、耳聡い商人らなら知っている程度の情報。企業経営者の子女同士の婚姻。)
        う、うう……。このこと、フォスくんには言わないでくださいね……!? -- 支倉りせ 2020-11-24 (火) 02:05:03
      • いくら女の機微に疎い男でも、りせの置かれた境遇や不審な挙動でおおよその状況を察する。
        察した上で、すっとぼけることにした男は、「話の補足だが」と前置きをして言葉を続ける。
        「俺がイーリスを愛していると自覚し、生涯彼女の傍にいると誓った時、心に迷いは一切無かった」
        りせの目をしっかりと見据えて、あくまで自分の話を続けるように言葉を紡ぐ。
        「恋愛で迷うようならロクな結果は待っていない。俺が愛したのはイーリスただ一人だけだったが」
        年寄りの惚気話に付き合わせて済まないな、と静かに目を伏せる。
        と、そこでまた新たな疑問が生まれる。本当に分からないといった様子で、頭の中にいくつも疑問符が浮かぶ。
        「? なぜフォスには秘密なんだ?」
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 02:35:48
      • (含蓄ある言葉に、少したじろいだ様子を見せて、)
        (その後に投げかけられた問いで、とてもたじろいだ様子を見せる。)
        ――そ、それは……。
        (不安から、家と関係のない大人の話を聞こうとした。)
        (思ったより聞き入ってしまって、はしたないところを見せた。)
        (自分の婚約の話……は、こと投機の兆候を逃すまいとする商人らが共有してしまっているだろう。)
        (総合するに――)
        ……なんか。
        はずかしいから。
        (なんか恥ずかしいらしかった。)
        ……。(それ以上語る言葉が見つからず、沈黙。それが尚の事、恥ずかしみを高める。)
        ……え、えっと、(ようやっと口を開くと、)
        それじゃ。回覧板、忘れずにお願いしますねぇ……?
        (しかして支倉りせ、話を初期化し離脱を試みた。) -- 支倉りせ 2020-11-24 (火) 02:44:10
      • 「そうか」
        年頃の女の子ならそういうもんなんだろうなくらいの温度感で受け止める。
        特に沈黙が苦にならない男は、静かに黙って煙草を口に咥えるのみ。
        「ああ。回覧板は忘れずに、一つ飛ばしで届けておく」
        帰りは気を付けてな、とお見送りの体勢。
        りせが見え無くなれば咥えていたタバコに火を点けてゆるり一服する算段であった。
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 02:53:55
  • おじさん…!!(店にやってきてすぐに泣き始めるロック君)おじさん…!!!ドーンちゃんがあんなに可愛いなんてなんで教えてくれなかったんですか…!?!?(だーっと滝のように涙を流しつつ)
    めちゃくちゃ美人で!!くうう…!!フォスが、フォスが羨ましい…!!!(搾る様な声、からけろりと戻して)…それはそれとして。こないだの試合でフォスにちっと怪我させちまったのは、その。すみませんでした(頭を下げる) -- ロック 2020-11-23 (月) 10:54:46
    • 船団都市に温泉レジャー艦が寄港していた10月初旬。その前後で勝手に人型ユニットを組成していた『夜明けの剣』の姿を思い起こす。
      『アレ』が可愛い? 美人?
      「見解の相違というやつだ」
      フォスも初めて見る人型ユニットの『夜明けの剣』には、特段の関心を示していなかったことを思い起こす。
      「鎖骨にヒビが入った件か。あれくらい怪我の内には入らん。気にするな」
      -- アスワド 2020-11-23 (月) 14:37:08
      • おじさんが…おじさんが枯れすぎてて俺は辛い!耐えられない!!(ドーンちゃん今からでも俺をマスターにしてくれていいのよーっ!!とどこかに叫ぶ。煩悩に忠実だ)
        (落ち着いて。下げた頭を上げて)でもやっぱり、不可抗力とはいえダチをケガさせたのはちょっと色々考えてしまうもので…。けじめというか。その、今後も大怪我まではさせない様に気を付けますんで(へへーっ)
        (そして、謝罪を終えた後に、今日の本題 それはハロウィンではなく)…今日はまた、ちょっと査定してもらいたいものがありまして。これなんですけどね(異次元バッグから取り出したそれは…暁光の剣だ)
        先日シェラが俺とかフォスとか連れてでかいサルベージしたのはご存じです?それで見つけた代物なんですが…どんくらいの技術力で、どんなもんになるかと思って。市場に出すつもりはないんですけどね…(信頼できる大人に見てもらいたい。そんな思いで) -- ロック 2020-11-23 (月) 15:52:55
      • 異次元バッグから取り出された品物を見れば、片眉を跳ねさせる。
        手慣れた様子で円筒の形状をした持ち手を握り、稼働スイッチを押せば光り輝く刃が発生する。
        「理力の剣。黎明剣。呼び名は幾つかあるが、数打ちの量産品だ」
        そのまま虚空に向けて剣を振る。振りの速度から僅かに遅れて理力の刃が弧を描く。
        「もっとも今では、現存する品もごく僅か。最低でも金貨5万。半永久式の稼働タイプなら金貨20万枚以上の値は付く代物だ」
        大事に扱え、と光の刃を収めた『暁光の剣』を取引テーブルへ静かに載せる。
        -- アスワド 2020-11-23 (月) 23:06:53
      • (アスワドの査定を聞いて耳を疑う)…量産型!?これが!?…え、ワンオフのすげー品だと思ってた。いや、そんくらいすごいって意味で…
        …こんなもんが量産されてた時代かー。怖いすね、ちょっと(ドーンみたいな存在もいたんかなー、と呟きつつ、暁光の剣を返してもらう)
        大事に扱う…ように俺も思ってたんですけどね(ちょっと愚痴みたいなのを零す)実は俺の指輪が、この武器を使うのに嫉妬してましてぇ…(訳の分からない話が始まる)
        指輪…ジェイドって名前つけたんすけど…こいつが最近なんか意志を持ち始めて。別の武器使おうとすると機嫌が悪くなるんですよね。嫉妬されてて(はははと笑いながら)
        なんで寂しい話なんですけど、俺別の武器使えないんですよねー。なんで…これは、シェラに渡すつもりです。アイツの希望でやったサルベージで上がった品ですからね。
        (でも貴重なもんだとは伝えておきます、と)いつも査定有難うございます、おじさん。また今度サルベージした品色々持ってきますのでそん時はよろしく!(そう言って店を去っていった) -- ロック 2020-11-23 (月) 23:13:16
      • 「古女房の嫉妬に耐えかねて新しい女を捨てるのか」
        冗談めかした口調で肩を竦める。気を利かせたつもりだが極めて下手くそな冗句である。
        「相棒をあまり泣かせるな。後が怖いぞ」
        妙な実感を込めて警句を告げる。甲斐性が有り過ぎるのも困りものだ、と頭を掻く。
        またな、と去り行く少年の背を静かに見送り、仕事に戻っていった。
        -- アスワド 2020-11-24 (火) 01:10:18
  • 親父! 牛乳! 牛乳ゲットした! (小型のポリタンクに収まった2リットルほどの牛乳を掲げる) -- フォス 2020-11-20 (金) 21:57:19
    • ポリタンクの蓋を開けて匂いを嗅ぐ。鮮度は悪くない、と利用法について思考を巡らす。
      「魚介のクリーム煮か、ホワイトシチューにでもするか」
      -- アスワド 2020-11-20 (金) 21:57:44
      • いやいやいやいやいやいや!? 違うだろ親父!? パンケーキ! パンケーキ一択だよ! -- フォス 2020-11-20 (金) 21:58:01
      • 必死な息子の表情を見て思案を重ねる。この量の牛乳全てをパンケーキに回すとなると……何枚喰う気なんだ。
        「余ったら残りをパンケーキに使う。卵と砂糖は代用で済ますか」
        いやったぜ、と指を鳴らして大喜びしているフォスを横目に口元を綻ばせ、男は夕餉の支度をはじめる。
        -- アスワド 2020-11-20 (金) 21:58:37
  • 旦那…旦那ぁ…(いつもよりもヒトの目を気にしているのか、いつもより猫背で何かを隠しながら店を訪れる…カラクサモヨウのふろしきに包まれた物体ははたして…) -- コジロー 2020-11-19 (木) 23:07:18
    • シュガーと入れ違いのタイミングで入ってきたコジローの様子を、やや訝し気に見ている。
      「どうした。いつにもまして猫らしさに磨きをかけて」
      -- アスワド 2020-11-19 (木) 23:23:28
      • へぇ…買い取ってほしいモノもあるんでやすが……(ふろしき包みの中には『高級なファミコン』、猫の手持ちでもいま一番高く売れそうなものを持って来たわけだが…)
        ここって…(チラチラとあたりを見回してから、こっそり旦那に耳打ちするように…)銃につかえる、弾丸の取り扱いは…?(弾丸が欲しいなどと物騒なことを言いだす猫) -- コジロー 2020-11-19 (木) 23:29:16
      • 風呂敷から取り出された『高級なファミコン』を見れば、感嘆したように片眉を跳ねさせる。
        「ほう。ツインファミコンか。珍しいモノを持ってきたな。状態も悪くない」
        完動品であれば結構な値が付く、と内部の電子機構に腐食や損傷がないか確かめているところで、耳打ちを受ける。
        その内容を聞けば、口元に手を当てて何かを考え込む様な仕草をする。
        「買取直後でも無ければ在庫は無い。発射だけ出来る雑な代物なら鉄加工店でも手に入る。が、なぜそんな質問をする?」
        -- アスワド 2020-11-19 (木) 23:43:22
      • 正直あっしファミコンってやつはみんな同じに見えるでやすよ…(電子ゲームの類をやったことがない猫にとって、高く売れる電子機器の塊でしかないのかもしれない)
        そ、そうでやしたか…(ほっとしたような、残念なような、半々の…その理由とは)
        へえ、ココだけの話なんでやすがね…(サルベージで釣り上げた金庫の中から『白銀のピースメイカー』を手に入れたので、これから北方に向かいより危険が増すなか自衛のために弾丸を調達したい、フトコロから実物を見せる)
        イザって時サビてたりなんだりで使い物にならねえと命取りだって聞きやして、なるべく信用できるとこで買おうと…(文字通りの奥の手、最後の手段として使おうとしているので慎重に慎重を重ねたい…そしていちばん信用できる店のアテはここしかないということらしい。) -- コジロー 2020-11-20 (金) 00:06:38
      • なぜかコンピューターゲームの類は良く引揚される。稼働できる状態の品は限られるし、愛好家もそれなりに存在するため、完動品は結構な値が付く。
        「俺もお前さんと同じ感想だが、好事家の目は違うらしい。このファミコンは金貨2500枚で引き取れる」
        金貨袋を取引代に置きながら、コジローの取り出した『白銀のピースメイカー』をまじまじと見る。
        一目で分かる。既存技術で模倣された粗雑な銃とは比べ物にならないほど、各部の部品精度も状態も素晴らしい。
        「一つ聞いておきたい。お前さんは銃を扱ったことがあるか?」
        -- アスワド 2020-11-20 (金) 00:17:47
      • ウヒョホー!(きんかがにしぇんごひゃく…声が裏返って奇声が飛び出すプライスにしばし有頂天…)
        へぇ…キラキラしてるだけじゃなかったんでやすねえ…(猫には白銀というだけあってギラギラ光ってる銃。くらいのことしか分かって無かったらしく…旦那の眼がいつもより鋭い!のときは鑑定額が上がる時だというヤツで価値をなんとなく察し…)
        え、えへへ…タメシウチを少々…?(金庫の中に何発か弾丸も保管されていたのだが、あろうことかその価値も知らずタメシウチしてしまい残りが3発程度しかないという…)
        それ以外は、全然でやす…(そして、そのお粗末なタメシウチ以外に経験はゼロと…猫に小判どころの騒ぎではない) -- コジロー 2020-11-20 (金) 00:25:05
      • 銃弾の調達先には幾つか心当たりがある。が、既存技術で造られた弾丸では、この銃の消耗が早まるだけでそれは惜しい、と考える。
        信用に応える、という点も加味するならば、『夜明けの剣』の組成機能で精度の高い弾丸を作り上げるのも吝かではない。
        「銃弾については調達できる。お得意さん相手であるし、代金も安く提供しよう。だが」
        どう見ても銃の取り扱いが素人同然の様子のコジローに、思案顔で指をこめかみに打ち付け。
        「今のお前さんに売っても弾は無駄になる。まずは自身で簡単な整備点検くらいは出来るようにし、可能ならば実戦での心得も備えておきたい」
        銃の取り扱いが出来る人物に記憶を巡らせて、いくつかの名前を上げていく。
        ヴィイランバート。この二人なら実戦経験も豊富で面倒見も良い。まずはそいつらに教えを乞え。後はシェラ……は、多少の問題はあるが、お前さんと年は近い。気軽な相談相手くらいにはなるだろう」
        -- アスワド 2020-11-20 (金) 00:45:12
      • ほんとでやすか!…へぇ…(信用できる弾丸が、それもお安く手に入るってんなら願ってもない話、身を乗り出すが…『だが』である、すとんと身体を引っ込め)
        ごもっともでやす…(明後日の方向に飛んでいった弾、誰かに当たらなかっただけ上等なそれを思えば反論の余地などない、自然と正座に…)
        ヴィイの旦那なら銃のつくりにも詳しいでやすし…安心でやす!(銃の整備はバッチリという話だし、頼らない手はない!)
        らんばーとの旦那…(まだ会ったことがないはず…実戦経験ホウフという話をきくと何やらキケンな男の気配がしていまからキンチョウの面持ち…)
        オオー!シェラの旦那もジュウ使いでやしたか…(銃のことはもちろん大事だが、ロックの旦那とのシンテンも聞いてみたい…などとウワついて緩んだ顔になってしまったので)
        こ、コホン…(小さく咳払いをして)やっぱり頼って正解でやした…旦那!ありがとうごぜえやす…(高級なファミコンを買い取ってもらったぶんの金貨、2500の半分1250枚を銃の扱いを覚えるアテの情報料、弾丸の調達をしてもらうための準備代として残すつもりの猫)
        あっしがイチニンマエならもっと払えるでやすが…必ずモノにしてみせやす!(さすがに全部お支払いに回すというカッコつけはできないが、育った分の出世払いをしたいと謙虚なのかずうずうしいのか解らん提案をしつつ、今日の所はお店を後にすることにした…) -- コジロー 2020-11-20 (金) 01:04:25
      • 「なに、お安い御用だ。優秀なサルベージャーの商売継続になるなら、こちらとしても利に繋がる」
        残る金貨袋は遠慮なく受け取る。若いのに道理を弁えた粋な計らいをする、と僅かに口元を緩ませる。
        「ああ。期待させてもらうさ」
        コジローが去っていったあと、紙巻きタバコに火を点けてゆっくりと燻らせる。
        弾丸を『夜明けの剣』に組成させるのならば、多少の時間と鉄くず程度で済むはずだ。
        「あとは小言と皮肉に耳を傾けるくらい……安いもんだな」
        金貨1250枚もあれば半年分は銃弾を提供してもお釣りがくるだろう、と目算して金貨袋を仕舞いこんだ。
        -- アスワド 2020-11-20 (金) 01:26:10
  • アスワド!!ガラクタを引き取って頂戴!!(魔女がタラッタに来訪!) -- シュガー 2020-11-19 (木) 10:24:55
    • 「ああ。…………あ?」
      え。今、ガラクタって言った? 臆面もなくガラクタを引き取れって言ったのこの女? という顔。
      -- アスワド 2020-11-19 (木) 19:51:50
      • ごほん!ごほんごほん!!げほっげほっ!んっ、んーっ!「サルベージ品」よ、アスワド。何よその顔、もっと嬉しそうにしなさい?(店内に入れば早速もってきた品物を広げる)
        まずはこの…虹色と小さな銅貨!一つは真珠層に覆われているかもしれないわ。次に…この大きなCDに、ド派手な壊れたタブレットでしょ…
        良い匂いのする髪飾りに、祝福された掃除機。いまならこのつやつやした斧もつけちゃうわ!! -- シュガー 2020-11-19 (木) 21:46:31
      • 「タブレット。まごう事なきガラクタ。金貨5枚。小さな銅貨。そこそこのガラクタ。金貨10枚。虹色の銅貨。生体色素の沈着はそれなりに産出される。どちらかといえばガラクタ。金貨20枚」
        持ち込まれた品物を手早く次々と査定していく。冗談めかした口調ながら相も変わらず無表情で。
        「CDは……損傷も少ないし読み取れるだろうがレコードほど蒐集家がいない。金貨50枚。髪飾りは匂い以外特筆すべき点無し。金貨30枚。つやつや斧。腐食も錆も無いな。これは金貨200枚。掃除機は……完動品か。部品取りも出来る。金貨300枚」
        査定額を頭の中で計算し、金貨袋を取引代に置く。
        「しめて金貨615枚だ。どうする? 全部買い取るか?」
        -- アスワド 2020-11-19 (木) 22:04:59
      • はい売ったぁー!(金貨袋即ゲットする魔女)
        いや、ゴミで私の根城が溢れる所だったのよ!お前の様な者が居て助かるわ♪ -- シュガー 2020-11-19 (木) 22:17:20
      • 「ゴミ屋敷になる前に早く売れ。とはいえグランド・スターズとの取引の影響で、直近は買取金額も下落傾向にある。難しいところか」
        金貨袋と引き換えの買取品を仕舞いながら肩を竦める。
        この海域に入ってから各商店や加工所の在庫変動は大きく、値動きを待って所持品を秘蔵しておくのも一つのやり方だ。
        -- アスワド 2020-11-19 (木) 22:44:03
      • 遺物みたいなのはある程度確保してあるわよ?あとは使えそうな物とか…そうそう、この前戦闘機の残骸を引き上げたわ。お前、知ってる?戦闘機よ
        大空を高速で自在に飛びまわる事ができる、戦う船…と言った物だった筈だわ。
        あとは…ハロウと物々交換したのだけど、4つ集めると伝説の宝島に導いてくれるとかいう石版も手に入れたの! -- シュガー 2020-11-19 (木) 22:54:23
      • 「話に聞いた程度では。残骸なら何度か。ものによってはそれなりの金になる」
        かつてデータベースで見た戦闘機の記録映像が脳裏を過りつつ、紙巻きタバコを口に咥える。
        「あの石板か…………お前さん、その石板が『5つ』見つかっているという話は聞いているか?」
        稀少な代物であるがどうにも胡散臭い、と唇で火の点いていないタバコを上下させている。
        -- アスワド 2020-11-19 (木) 23:03:43
      • 直せばお前の船になるわよ?そんな船があれば、この海と空の覇者になれるわ!
        えっ…嘘でしょ?!なんか良い感じの古代のアンティークと交換したのよ!?わっかんないじゃない…4つのうちの一つが割れて半分になっただけかもしれないじゃないのっ!
        あら、来客。コジローだわ。ふふっ…お前を独占したら立ち行かなくなりそうだから今日はこれで引き上げるわね。また頼むわ、アスワド。(コジローの姿を確認すれば、金貨袋を片手に店を後にする) -- シュガー 2020-11-19 (木) 23:16:13
      • 覇者となったところでどうするのか。男は感慨も無くタバコに火を点ける。
        「御推察通り、元の石板が更に分かたれた可能性もある」
        それを考慮しても眉唾物の話だ、と肩を竦めて紫煙を燻らす。
        「気遣い痛み入る。が、あまり気を回し過ぎるな……またな」
        新らな来客が来れば、吸いかけのタバコを灰皿に押し込み、去り行く魔女の背を静かに見送った。
        -- アスワド 2020-11-19 (木) 23:29:05
  • 9月初旬。
    降り注ぐ日差しがようやく翳りを見せ始める。
    未だに気温の高い日が続いているが、吹き付ける海風に時折り涼し気な色が混じり始めていた。
    夜明けを告げる柔らかな陽光と、爽やかな風を頬に受け、男は業界紙へと視線を走らせる。
    -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:52:38
    • ──8月上旬の平均換金量……金貨約1326枚。
      ──8月中旬の平均換金量……金貨約1764枚。
      ──8月下旬の平均換金量……金貨約1296枚。

      「8月全体の平均換金量、金貨約4387枚、と」
      ざっと各期間の数値を見て、男は眉根を寄せる。
      全体としては活況な取引だが、中旬のみ取引量が突出している。
      上旬、下旬とも決して低い数値とは言えないが、波が激しいのは間違いない。
      -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:52:58
      • サルベージはまさしく水物であり、安定した引揚量を保持することは難しい。
        が、要因はそれのみとは限らない。

        「グランド・スターズとの取引も関係している、か」
        この業界紙はあくまでゴールデンロア号で水揚げされた資源が集計の対象となる。
        グランド・スターズ側で荷揚げした物資は、当然カウントされない。
        グランド・スターズから流入する資源もあれば、逆も然り。
        であれば、全体として高い水準を維持しつつ、時期毎により大きな偏りが生じるのも自然な話だ。
        -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:53:19
      • ──ダイナー船『ウェルカム・オーイエス号』! 肉料理の王様! 豪快なステーキに食らいつけ!
        ──ダイナー船『マキマキ・カリフォーニア号』! 新世代のSUSHI! NIGIRIの時代は終わった!
        ──ダイナー船『シューシー・ダイナマイツ号』! 文化の集合、グローバル料理をご賞味あれ。

        「これも立派な外貨獲得手段か」
        明らかにグランド・スターズの文化圏である、ダイナー船の広告が紙面を飾っている。
        サルベージャー以外でも、目新しいダイナー船へ食事をしに船を出す者も少なくない。

        ──移動カジノ船『ベガス・ドリーム号』……ラグジュアリーな空間で黄金の夢に酔い痴れる。

        新手のカジノ船の広告に、男は苦笑して紫煙を燻らせる。
        -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:53:41
      • 次いで特筆すべき発見の記事へと目を滑らせる。

        ──『小さな砂地』2か所発見される。
        発見されたのはごく小規模なプライベートビーチ。
        遠からず一部の者達の保養所として使い倒される未来が頭を掠め、片眉を跳ねさせる。

        ──『深海色の海図』発見される。未知の海域への手がかりか?
        その発見者の名前を見れば、顰めていた眉が柔らかいカーブを描く。
        息子の得意気な笑顔が目の前に浮かぶようで、男は穏やかに口元を緩ませ、タバコの煙を吹き上げる。
        -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:54:16
      • ──水上歩行する謎の集団。『シーウォーカー』の怪。
        ふと怪談じみた記述に目を奪われる。
        幻や見間違いの類ではない。
        遭遇例もいくつかあり、意思疎通を試みても上手くはいかなかった、と紙面には綴られている。
        水上歩行という観点ならば、既存技術でも再現可能だが、魔術なり遺失技術を用いればそう難しいことではない。
        しかし、そもそも彼らは人間なのか?
        幾つかの可能性が浮かんでは消え、胡散臭い情報を生真面目に検討している愚かさに気づけば、肩を竦める。
        -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:54:41
      • ──『ハンドレッド・シープス号』からの大切なお知らせです。
        ──当ホテル艦をご利用いただいているお客様が、宿泊されるお部屋を取り違いされる事例が頻発しております。
        ──宿泊の際はご自分のお部屋番号をよくお確かめになって、ご利用いただくよう切にお願い申し上げます。

        なんと平和な注意喚起か。いや、空き巣の線もある話か。それともはたまた……。
        「……まぁフォスには縁遠い話だろうが」
        覗きや夜這いなど万に一つも無いであろうが、それはそれで心配になる話だ。
        埒外な思考は脇に置いて、紙面に目を通し終えた男は静かに仕事へと戻っていった。
        -- アスワド 2020-11-18 (水) 02:55:02
  • 8月中旬。
    レボルシオンでの探索を終えた男は、ユイカの船に接舷していた小型艇に乗り込んでエンジンを始動させる。
    晴れ渡る夏の空は落日で紅く染まりつつある。借り物の船の舵へと手を掛けて、波風にタバコの煙を溶かしていく。
    『アスワド。なぜ出力を音声指示していたのですか?』
    「フォスはまだ口頭でしか指示をしていないのだろう。自律起動の反応速度を見ておきたかった」

    本来ならば『夜明けの剣』の出力制御は、マスター権限を持つ人物の血中に残留するナノマシンを介した方が、演算速度は遥かに向上し、出力結果もそれに比例する。
    出力源となる対消滅反応炉の安定起動、そして絶対物理防壁の発生装置である『ア・ローカの鍵』の励起、いずれも『夜明けの剣』単体の自律起動では十全な力を発揮することは出来ない。
    遠き神代の時代。この世界の産物であるかどうかも不明な術式。空間魔術を応用した次元切除機関の展開には、魔術回路の組込みが必須であった。
    体内に残留するナノマシンを通じて魔術回路の入力制御は完全なものとなり、太古の秘術は純然たる機械技術の出力へと昇華される。
    人の意思を以て、テクノロジーが解放される。それが夜明けをもたらす剣の在り方であった。

    『フォスの体内でのナノマシン形成は既に完了しています。ナノマテリアル無しでの組成は随分と時間が掛かりました』
    「お前、使い方を一切教えてないだろ」
    『なるべく使わないに越したことは無い。そういったのは誰でしたっけ?』
    減らず口ばかり叩きやがる。
    鼻を鳴らして紫煙を燻らせる男は、水平線へと沈みゆく西日を腹立たし気に睨みつける。
    -- アスワド 2020-11-17 (火) 23:23:32
    • 『6月下旬から店外に仕掛けられた盗聴器はどうします?』
      「当初の指示通りだ。放っておけ。気づいていない間抜けと思われていた方が都合が良い」
      エクスが『タラッタ』で働き始めてから1ヵ月ほど経過したある日。
      室内の会話を傍受できるように設置されていた盗聴器を、『夜明けの剣』はすぐさま検知していた。
      密かに報告を受けていたアスワドは、幾つかの可能性を思い浮かべ、しばらく様子を見ると結論付けていた。

      「ドーンブレイカーが狙いなら、フォスとお前だけの時に何かしらの接触があるはずだが、その向きは無い。となればやはり狙いは……」
      『彼女はずいぶんとおモテになりますね。再婚の機会を失うのでは?』
      「黙れ。へし折るぞ」
      度を超えた軽口に怒気を滲ませて、男はタバコの吸い口を噛み潰す。
      主の剣幕もどこ吹く風で、平たい調子の中性的な声音が剣から紡がれる。
      『アスワド。彼女をどうなさるおつもりですか?』
      「俺がどうするか、ではない。彼女がどうしたいか。それを円滑に運ぶために何をしてやれるか、だ」
      『どうしようもない男』
      「クソAI」
      無表情で罵っては、吸い切ったタバコを灰皿代わりの小瓶の中へと押し込む。

      当初はエクスに何らかの意図がある疑念を抱いていたが、今はその疑いも薄れている。
      そうなった要因はいくつかあれど、決定的なものが一つ。
      彼女が自身の家族と呼べる存在に言及する時の様子。常とは異なる表情や口ぶり。
      ただそれだけのことでも、この男にとっては相手を信頼する材料の一つ足り得るものだった。
      -- アスワド 2020-11-17 (火) 23:24:25
      • 『ばーかばーか。朴念仁』
        「自壊させるぞポンコツ」
        幼稚な煽り合いに辟易しながら、男はポケットに入った小さな袋を見る。

        小さな種子鞘の中に収まっている数十粒の種。バニラの種子である。
        『今回も空振りでしたね』
        「……ああ」

        ──イーリス。その目録に書いてあるのは何だ?
        ──これはね。アイリスの花。私と同じ名前のお花なの。

        朧げな記憶が、しかし鮮明に思い出せる女の笑みが、アスワドの脳裏を過っていく。

        ──いつか本物を見てみたいな。

        「……バニラの種子。育ててみるか」
        『来るべき時に備えて予行演習ですか? 土は高くつきますよ』
        男は不敵に笑って、バニラの種子をぴんと指で弾く。
        「安いもんさ」

        『高いですよ』
        「お前ちょっと黙れ」
        -- アスワド 2020-11-17 (火) 23:25:07
  • (日差しが照り付ける中、タラッタ店内に足を踏み入れる初見の男)
    ……。(邪魔する等の言葉もなく、不審者に見えなくもないその男は真っ直ぐカウンターへとやって来る、そして)
    買取を、頼む(とだけ口にし親指で店の外を差した、引き揚げ品は自らのサルベージ船に積んであるのだろう) -- 髭の男 2020-11-16 (月) 21:05:17
    • 店内に入ってきた男を静かに見る。髭の男と負けず劣らず、愛想の欠片もない店主は、無言のままに相手の言葉を待つ。
      「ああ。では、見させてもらおう」
      ドッグに寄港した船上で査定を行うのも良くあることだ。
      その類であろうと読み取った店主は、言葉少なに店の外へと出ていく。
      -- アスワド 2020-11-16 (月) 21:43:38
      • (最寄りの泊地まで案内する髭の男、そこに係留されているサルベージ船「ソルモナージュ」相当な年季が入った船体の上に査定品がある)
        (シートを取れば、一人で運ぶのは無理であろうモノ、質の良いエンジンが鎮座している)……これと(熱を帯びた銃を取り出し)
        銃もだ、金は……すぐ現ナマで貰える分で、言い値で構わない(そして自由に見てくれ、とばかりに道を譲る、それ以外何も語り事はなく) -- 髭の男 2020-11-16 (月) 21:58:51
      • 係留されている船に見覚え無く、グランド・スターズの船である可能性が頭を過るも、客であることに変わりなしと査定品に視線を移す。
        「ほう。状態がいいな」
        エンジンを見て感嘆するように息を吐く。目立った外傷や錆、腐食も無い。電気系統もある程度生きており、補修の手間も最低限で済む。
        「銃、か」
        取り出された銃を手に取って、眉間に皺を寄せる。銃自体は引揚品として、決して珍しいものではない。
        だが、微かに熱を帯びる銃身や銃床を持つとなれば話は別だ。
        「この銃はいつ頃引き揚げたものだ?」
        -- アスワド 2020-11-16 (月) 22:58:59
      • (店の主人の見立てに僅かに頷く髭の男、アスワドの品を見る目は確かである事を確認したのであろう)
        つい3日前、シレーマ海で引き揚げたモノだ(簡潔に要点だけ答える、そして)俺には扱えない、二束三文でもかまわない
        (と、銃には興味なさそうにいい放つ、ぶっきらぼうな性質から偽物を掴ませようだの嘘を言っている風には見えない)
        ……査定に時間が必要なら、また後で来るが…… -- 髭の男 2020-11-16 (月) 23:18:51
      • 引き揚げは3日前。それに男が扱えない、とくれば、直近で発砲した可能性も低い。
        陽に晒された潜熱とも異なる、銃の熱。未知の合金か、あるいは魔道具に相当する品か。
        「エンジンは金貨1500枚で買い取れる。で、銃だが……こいつは相当に珍しい品だ。実用性については疑問があるが」
        後日の来訪を提案する男の言葉の裏で、アスワドは何かを決したように眉間に皺を寄せて、買取値を告げる。
        「銃は金貨3000枚で買い取れる。どうする?」
        -- アスワド 2020-11-16 (月) 23:53:08
      • (3000と聞いて髭の男が纏っていた空気が揺れる)……ほう、そんなに珍しいものか(僅かに喜色を帯びる声、予想外のお宝を拾い上げたサルベージャーのそれだ)
        ああ……交渉成立だ、その値段で構わない(けどそれも一瞬、帽子を被り直し告げる言葉にはもうその色はない)
        エンジンの搬出はこちらでやろう、場所を指示してくれ、金貨はその時に受け取ろう(滞りなく船の動力に火を入れそう告げた) -- 髭の男 2020-11-17 (火) 00:06:08
      • 交渉が成立すれば従業員であるエクスが金貨3000枚と1500枚が詰まった2つの袋を持ってくる。
        店から結構な距離があるのにどうして? と疑問を浮かべながらも、銃はエクスに渡して、受け取った金貨袋を船に積む。
        男に請われるままに船に乗り込み、馴染みである造船業者のドッグへの場所を指示していく傍ら、ふと浮かんだ疑問を口にする。
        「お前さんサルベージはいつからはじめた? ……もしやグランド・スターズを根城にしている者か?」
        -- アスワド 2020-11-17 (火) 00:40:48
      • (操舵を握る中で問われた事に髭の男はしばし考える、そして)いや、俺は流れのサルベージ屋だ
        グランド・スターズを根城にしてた頃もあったが一ヶ所には止まれない性質でな、波の行くまま風の向くままさ
        つい最近クリムゾン号と共にここに辿り着いた、だから今の根城はここだが……それもいつまでやら(ふっと笑い、ドック内へエンジンを降ろしていく)
        買取助かった、これからも来る時があるかもしれん、その時はよろしく頼む……ああそうそう、サルベージを始めたのだったな
        50年か100年か、正直覚えてもいない昔の事だ(そしてそう言い残し船を出すのだった) -- 髭の男 2020-11-17 (火) 01:01:58
      • 生活の安定を求めて海洋都市国家を拠点とするサルベージャーは多いが、一つ所に囚われず、海を転々としていく者達もいる。
        大抵が偏屈者か頑固者であるが、この髭の男の言にはそれなりの信をおける、と数少ない言葉の遣り取りでアスワドは直感を覚えた。
        髭の男が訥々と語る内容を黙って耳にしながら、ゆっくりと静かにタバコを吹かす。男が浮かべた微かな笑いに同調するように、紫煙が空へと吹き上がる。
        「ああ。これからもどうぞ御贔屓に」
        サルベージを始めた時期を聞けば、そうか、と短く応えるに留め、遠くなっていく船影を見送る。
        ──まぁユイカとか雪月とかエクスとかいるしな。
        長命の者達が頭を過り、髭の男の発言にも疑う向きも無く、どこか遠い目で水平線の彼方を見遣っていた。
        -- アスワド 2020-11-17 (火) 01:24:08
  • 「エクス。暫し外出してくる。日没までには戻る」
    それまで店を頼む、と従業員に言い置いて、店外に出ていく。 店の外では照りつくような日差しが中天から降り注いでいた。
    天幕の下の炊事スペースでは、船外作業を終えた息子のフォスが昼食をとっている。
    「フォス。ドーンブレイカーを借りていくぞ。俺が戻るまでは店で待っていろ」
    -- アスワド 2020-11-16 (月) 20:23:18
    • おーけーおーけー(固い黒パンを魚介類のスープに浸して食べながら、指でOKのサインを作って軽い調子で応じる)
      大人しく店番しとくからさ、お土産頼むぜ?(現金な笑みを浮かべて、『夜明けの剣』を吊り下げている革紐を緩める) -- フォス 2020-11-16 (月) 20:23:37
      • 「期待はするな」
        フォスの傍らに在った『夜明けの剣』が、ふわりと浮いて、アスワドの傍へとやってくる。
        『夜明けの剣』の柄をしっかりと握って刀身を肩に乗せ、タバコを吹かしながら男は何処かへと歩き去っていく。
        -- アスワド 2020-11-16 (月) 20:24:01
  • (ごとごととアンドロイドの残骸を置くキング)
    (聖なるモノと標準的なモノ合わせて二つ)
    どうじゃろう? こういうモノを予備パーツとして押さえておくというのは? -- キング 2020-11-15 (日) 22:14:50
    • キングが持ってきた残骸を見れば、パッと思いつくのはエクスとドルチェの二人。
      「……果たしてあの二人は修復にパーツを要するのか? そもそも規格が合うものなのか?」
      そう独り言ちてからキングに向き直る。
      「予備パーツに使えるかは分からん。他の用途に転用できそうなパーツ取りや、素材を再利用する方向になると思うが……」
      -- アスワド 2020-11-15 (日) 22:23:16
      • アレは極めて精巧じゃからのう
        使えて数%やもしれぬが
        なに キングたる余の純然たる威光である 気を置くでないぞ
        ・・・
        あれもしややんわりと断られる方向性かの? (ぷるぷる) -- キング 2020-11-15 (日) 22:32:01
      • 「いや、そういうことではない。待て。ちょっと待て」
        ぷるぷるしているキングに珍しく若干動揺した様子で、あらためて持ち込まれた残骸を見る。
        実際の所、明確にアンドロイドの残骸であると断定された品が引揚げられることは珍しい。
        直近の例を見ても数件程しか引揚されていない。だからこそ値付けをするには相応に思考を巡らせる必要がある。
        「素材は樹脂に合金、電子回路らしきものも各所にある。魔術回路の伝達部品も仕込まれているか……」
        これならば再利用の目でそれなりの値は付く。聖なる残骸の方が、使われているパーツの質や素材も値が張るものか、と推定し。
        「聖なる残骸の方は金貨1000枚。標準的な残骸の方は金貨500枚。どうする? 買取するか?」
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 22:47:30
      • わかった (ぷる停止)
        いや違う そちらこそ待て 仕事(買取)の話ではないのじゃ
        査定をするでない (わたわたと止めに入るキング)
        純然たる 余の 威光 である
        わかるな? -- キング 2020-11-15 (日) 22:56:01
      • なんだこれは。いったいどういうことなのだ。
        わかるな? というキングの問いかけに、男は微かに困惑を滲ませて、頭にクエスチョンマークを浮かべている。
        眉根に刻まれた皺が頂点を迎えたところで幾つかの可能性が思い浮かび、その中でも自身の筋を通す方向に舵を切る。
        「……誉れ高きキングの御威光。その偉力に与かりし臣民の一人として、献上させて頂きたい品がある」
        無表情で金貨1500枚の入った袋を、恭しくキングに差し出す。
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 23:14:07
      • 端的に言うとプレゼントなのじゃが!
        (疑問符しか浮かんでないアスワドの顔を眺めて)
        残念なワーカーホリックじゃのう…
        まぁ 面白い顔なので許すが
        (献上されては致し方ないと金貨を渋々受けとるキング) -- キング 2020-11-15 (日) 23:22:14
      • 「御下賜の思し召しを賜り、光栄の至りと存じます」
        理由もなくタダで貰う訳にはいかんだろ。そう内心で独り言ちつつ、アンドロイドの残骸を拝領する。
        「それでだ。一応聞いておきたいが、なぜこれを俺に? 予備パーツというのは誰の予備を想定してのことだ?」
        奇妙な交換劇が終われば、いつも通りの口調に戻って、紙巻きタバコを口に咥える。
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 23:34:21
      • (にぱりと笑って) わかれば良いっ (うむりとえっへん)

        もちろんヌシの保護下に居る者用じゃが?
        下のモノの面倒を見るのも上のモノの義務ぞ -- キング 2020-11-15 (日) 23:42:26
      • 無邪気な笑顔を見れば、タバコを持つ手の下の口元を微かに緩ませ。続くキングの言葉で、それは苦笑へと転じる。
        「ご忠告痛み入る。全く耳に痛いお言葉だ」
        つまりこれは傍目にも上手くいっていないのだ、と男は解釈した。
        もとから人付き合いに不器用な質であるが、どうにもエクスのことになるとその不器用さに磨きがかかる。
        振り払うように咥えていたタバコへ火を点け、ゆっくりと煙を吐いてからキングに再度問いかける。
        「キング。もう一つ質問がある。お前さん、好きな食べ物はあるか?」
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 23:57:58
      • (煙草の煙をそれとなく避けながら)
        カカ このキングに好き嫌いなど無い むしろ須らく好きなくらいじゃ
        これ一つとは絞り込めぬのが最近の悩みであるが
        そうじゃのそうじゃの もし献上するのなら季節モノかご当地モノを希望しておくぞ!
        (気を使うなと言いつつちゃっかり返礼を希望してそのまま帰って行ったキング) -- キング 2020-11-16 (月) 00:17:08
      • 「分かった。頭に留めておこう」
        存外に気の回る優しい御仁だ。とキングの評価を改めて、彼女の去る背を見送る。
        「……そういえば」
        あいつの好きな食べ物は何だ?
        そんなことすら知らなかったことに今更気づいて、男は眉根を寄せて紫煙を燻らせていた。
        -- アスワド 2020-11-16 (月) 00:25:31
  • (今日は頑丈なラジオを売りに来た…サルベージされた直後から、起動させることができるラジオだった。もっとも拾える電波はなかったのだが)
    (それを査定してもらっている間に)そういえばさ、おじさん。(ふと思い出したように)…最近ビデオデッキとかが買取されたとかって噂、聞かない?(…何気なく言えたわ。偉いわ俺。という自己評価を下す)
    (目的はもちろん、先日ゲットしたエロビデオ…それの再生方法だ。大丈夫だ。バレてないはず…!とポーカーフェイスを維持しつつ) -- ロック 2020-11-15 (日) 20:25:58
    • 「鉱石ラジオか」
      折よく、『ゴールデンロア号』と『グランド・スターズ号』の間で試験通信を行っていた複数の電波のうち一つを捉える。
      音声は雑音交じりで微弱にしか聞こえないが、少し手を入れれば十分使い物になる代物だった。
      とはいえ鉱石ラジオならば、既存技術でも再現可能な代物であり、引揚品という付加価値で多少色が付く程度の値段になる。
      「ラジオは金貨200枚で買い取れる。で、ビデオデッキだが……」
      ロックの思惑には全く思い至らず、記憶の内を探る様に口元に手を当てている。
      完動品であればラジオの数倍の値が付く代物である。引揚量もそう多くはなく、稀少品の部類に入る代物であった。
      「少なくとも俺のところでは取引されていない。4月から数点引揚された情報は耳にしたが、それが作動するかどうか、どこぞに買取されたか、全く分らん」
      -- アスワド 2020-11-15 (日) 20:56:54
      • こーせきラジオ…?(心当たりがないといった様子で首を傾げる少年。サルベージや操船に関しての知識はあるが、それ以外は中卒の少年である故。)……お?拾えるんすねここなら?
        200っすかー。まぁそんなもんですよね(そもそも使い道があんまりないしな、と。頷いて、金額は了解して 続くビデオデッキの話に耳を傾ける。めちゃくちゃ傾ける)
        …4月から数点の情報はあり…!物が物だけに使う人も少なければ出力する映像機器もないと駄目だからまだ市場にある可能性はある…!(興味あることに対しては頭の周りが早い)
        なるほど…(市場をしらみつぶしにすればまた情報出るな…とあたりをつけて)いえ、ありがとうございました。十分っす。また別の所でも探してみます。(にこー。ポーカーフェイスは崩さないぞ)
        (重ねて雑談)そういえば…最近フォスの顔見てないな、豊漁祭以来か?元気してますか、あいつは。今度会ったら訓練に付き合ってほしいなー、なんて思ってたんですけどねー -- ロック 2020-11-15 (日) 21:03:26
      • 金貨200枚の詰まった袋をロックに手渡すと、また記憶の内を探る様に眉根を寄せながらタバコを咥える。
        「市場から探す手もあるが、個人所有の映像機器を探した方が早いかもしれんな。ある程度、財力や設備を備える……海洋寺博士のご令嬢、支倉のご令嬢、シャウエルテ家のご令嬢、あたりか」
        ロックの思惑はいざ知らず、女性の名ばかりを上げて、紙巻きタバコをに火を点ける。
        「フォスなら変わらず元気さ。4月以降多忙でな。お前さんと碌に遊べないと嘆いていたぞ」
        息子のことに話が及べば口元緩ませて、ゆるゆると紫煙を燻らす。
        「訓練の件は伝えておこう。それくらいの時間なら作れるはずだ」
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 21:16:49
      • (受け取った金貨袋を、最近手に入れた異次元バッグに収納する。収納スペースが外見と釣り合わないほど広い、魔導具。これまたダンジョンからゲットしたものだ)
        あー…(その手もある…というか考えたけど。見たいのがエロビデオだからな…)……(並ぶ名前にめちゃくちゃ冷や汗。多分その3人とも、下手にお願いしたら死ぬ奴だ)か、考えておきます…ね?
        (ポーカーフェイスが若干崩れつつも)おー、元気そうなら何よりっすわ。あいつもなー、一緒にこないだダンジョンに潜った時、なんか剣の腕?っつーんすか?ドーンちゃんを使わないときのそれ気にしてる雰囲気もあったんで。気のせいかもしれないっすけど。
        で、俺もちょうど最近、魔術やらで剣で戦うことも増えたんで、いい組手ができそうだなーって思ってたところなんですよ。(伝えてもらえると聞けば)有難うございますっ!俺がサルベージでてない時ならいつでもって伝えてください!終わったら飯にでも誘お。(最近懐も温かいしなー) -- ロック 2020-11-15 (日) 21:21:28
      • ロックの反応からビデオデッキに拘る理由を何となく察するが、見て見ぬ振りをする。それくらいの気回しがこの朴念仁にも存在していた。
        「なるほど。お前は本当に人を良く見ているな」
        ドーンブレイカーの性能に頼るな。機能の使用は極力抑えろ。そうフォスに言い含めているのは、外ならぬアスワド自身である。
        ならば、と続けて口を開こうとしたところで。聞き慣れた足跡が店外から響いてくるのに、ふっと口元を緩める。
        「噂をすれば影、だな」
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 21:54:40
      • 親父ー! ただいまー! ってロックじゃん(中枢艦の船外作業を終えて店内に元気よく駆け込んで来れば、友人の姿に目を丸くする)
        買取にでも来てたのかー? お前色々引き揚げてるもんなぁ。その調子なら船のローンもあっという間に完済しちまうんじゃねーか?
        (久々に顔を合わせた友人に陽気な笑顔を浮かべつつ、父親には何か食うもんねーの?と強請っている) -- フォス 2020-11-15 (日) 21:54:55
      • んー、そすかね?(フォスの様子について聞かれれば頭を掻いて)どーも…積極的にドーンちゃんを使いこなそうともしてなかったし、何となくっすけどね(勘、もあるのだろう。ロックは鋭い)
        (ん、とこちらも入り口を見て)…お!フォスじゃねーか!よっす!(元気に挨拶を返して)そーそー、おじさんが一番買取信頼できるしな(色々引き揚げてると言われれば)えっちな出会いが無さ過ぎるけどな…!!(さめざめと泣く)
        (ローンについて、は)…あー、ローンならこないだ完済したぜ?だからサルベージクレーンもちょっといい物にしたりして。実は羽振りがいいのだ今の俺は(わっはっは。胸を張り)…ああそうだ、フォス!後で組手しねぇか組手。俺も戦えるようになってきたからな!(ふんす!) -- ロック 2020-11-15 (日) 21:59:59
      • なぁ、親父。えっちな出会いってどうすりゃ(続けようとしたところで、用意されていたオニギリを寄こされ、夢中で齧りつく)
        ムグムグ……って、もうローン完済したのかよ!? あれ10年ローンだったろ!? (すげぇーな!と素直に賞賛の視線と言葉を送り)
        え? 組手? おーけーおーけー。よーっし、やろうじゃねーか! 素手か? 武器アリか? やるか? 今、ここで。
        (シュッシュと握り拳が空を切る。『後で』というワードが全く頭に入っていない) -- フォス 2020-11-15 (日) 22:12:30
      • 人魚とか…!!温泉とか…!!!ホテルとか…!!!!美人なねーちゃんの下着とか…!!!色々あるだろうが…!!!(血涙を流す。こんなやり取りはいつもの事だ)
        ふふーん。(完済については一度胸を張った後)…ま、ちょっとした支援もあってな(じいさんの事は…フォスにも話してはいない。アスワドは知っているかも、だが。あまり人に話すことでもない)
        後でっつってんだろーが!(やる気あり過ぎだろコイツ。って顔。特にロック君もウォーモンガーではない)店の前でドンパチしてもあれだし食事の後は食休みしろー!おじさんも呆れてんぞ?(まったくもぅ、と)
        今日は俺も買取してもらいに来ただけだから、後で時間を合わせてだ。そん時は武器在り、刃引きしてお互い本気でやろーぜ。(二カっと笑い。そして、アスワドとフォスに挨拶をして去っていった) -- ロック 2020-11-15 (日) 22:17:27
      • ふーん。そーいうのがえっちな出会いか(性的なことや色恋沙汰にはとんと疎い少年は、要領を得ない調子で首を傾げている)
        (支援のことに話が及べば、俺も支援されて船買いたいなーとチラチラ父親の方を見ては、すげなく目線だけで却下される)
        そうか。店の中じゃマズイよな。じゃあ、今どっかで(場所の問題ではない)
        ちぇー。んじゃ、そん時は本気でな! へっへっへ、楽しみだな〜。武器在りでロックと喧嘩するの初めてだもんな〜♪ -- フォス 2020-11-15 (日) 22:33:06
      • 「またなロック。訓練はお手柔らかに頼む」
        去っていくロック。元気よくブンブンと手を振って見送るフォス。
        両者の様子に目を細めて、紙巻きタバコに火を点けた。
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 22:33:50
  • 8月初旬。外港ドックを吹き抜ける風が、僅かに湿り気を増したように感じる。
    それを示すように火の点いたタバコの先はジリジリと音を立て、吹き上げる煙も重い。
    4月からサルベージを行っていたアーニック海を抜け、船団都市は今、シレーマ海の洋上を航海している。
    温暖な海域を抜けても未だに日差しは厳しく、吹く風の温かさも暫く暑さの続く予感を滲ませていた。
    微妙に色合いの異なる空の下、男は薄い業界紙を広げて視線を滑らせていく。
    -- アスワド 2020-11-15 (日) 20:15:51
    • ──7月上旬の平均換金量……金貨約1248枚。
      ──7月中旬の平均換金量……金貨約1515枚。
      ──7月下旬の平均換金量……金貨約1670枚。
      「7月全体の平均換金量、金貨約4434枚、と」

      アーニック海域で最後の水揚げとなった7月下旬の取引量は、集計単位で最高の数値を示していた。
      相次ぐ陸地の発見や希少資源の引揚で活況となった勢いのままに、有終の美を飾った形となる。
      -- アスワド 2020-11-15 (日) 20:16:24
      • ──『黄金色のメスシリンダー』、2本発見される!
        ──美食の極み、小料理船『ケンノッブ・ムチャブリ号』……その未知なる料理法に迫る!

        アーニック海域での総括が掲載されている紙面では、幾つかの新情報が記載されているものの、そのスペースはさしたるものでも無い。
        既に市況の話題の種は、新海域のシレーマ海へと移り変わっているからだ。
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 20:16:51
      • 「グランド・スターズ……か」
        海洋都市船舶『グランド・スターズ号』を中心とした船団国家。
        こちらの都市中枢艦とほぼ同系統の機能を有する船の名前を取って、グランド・スターズがそのまま国家名として呼称されている。
        この海域の盟主として君臨している船団国家であり、必然的に領海内を航行する艦船はその影響を無視することは出来ない。
        ゴールデンロア号を中枢としたこの船団都市も例外ではなく、既に両者の上層部では国家間に相当する取り決めが行われている。
        両国家の公的な資源の融通や商取引は言うに及ばず、個人間での流通や交流は盛んに行われるだろう。

        「やれやれだ」
        数少ない海洋都市国家同士とはいえ、その利害を同じくするとは限らない。
        人とモノが外部に流出し、また流入してくるのならば、そこには必ず負の側面も存在する。
        「厄介事が起きないのを祈るのみだ」
        -- アスワド 2020-11-15 (日) 20:17:38
  •   -- 2020-11-15 (日) 20:15:22
  •   -- 2020-11-15 (日) 20:15:18
  • アスワドさんアスワドさん!!鑑定および買取おねがいしまーす!!!(とそこそこ顔なじみの蒼髪の少女が紅く紅く煌めく何かしらの石のようなものを掲げてやたら通る声でやってくる)
    海底火山で見つけた炎の結晶!!あたしには何がどう結晶なのかさっぱりだけどただの石よりきっとお宝たぶんお宝!(などと言いつつ、元気よく炎の結晶を差し出すのだ) -- シェラ 2020-11-14 (土) 21:03:13
    • 「変わらず元気そうで何よりだ」
      姿を見ずとも誰かは分かる。明るく弾むような声音に目を向ければ、少女の手にある紅石に片眉を跳ねさせる。
      作業台の引き出しから短手袋を取り出して身に着けると、シェラの差し出した「炎の結晶」を慎重な手つきで受け取る。
      「シェラ。これを海底火山で見つけたのか?」
      己の経験に照らせば、海底火山周辺で掘り出されるのは、彩りに欠ける武骨な火砕岩ばかりである。
      このように煌めく輝石が掘り出された例を耳にしたことが無く、壊れ物を扱うような手つきで「炎の結晶」を光に透かして見ている。 -- アスワド 2020-11-14 (土) 21:35:33
      • そそ、ちょっと前にさ、なんかやたら暑い海域があったから潜ってみたら火山だったの(こーんな、と手を使って/^o^\みたいなポーズして楽しそうに言う)
        そんなの珍しいから火口まで行ってみたかったけど流石にアルクスの温度調整機能がおーばーひーとしそうだったから手前までで我慢したんだけど、そしたらそれを見つけてね!
        (そうして、炎の結晶を見分する彼を見る。石そのものよりは、その姿を。視線に浮かんでいるのは信頼の色だ。彼ならば自身では分からぬ価値を見つけてくれるだろうと)
        綺麗でしょ?宝石としてもいい線行くんじゃないかなーとは思うんだけど…どうかな?(その声には、好奇心が滲んでいる) -- シェラ 2020-11-14 (土) 21:55:38
      • 「しかも生きた海底火山か。今回は何事も無かった様だが、水蒸気爆発が起きる可能性もある。次見かけたら、より気を払え」
        平たい口調で警句を延べながら、彼女の無邪気な様子に眼差しが一瞬だけ緩む。
        掌に収まる大きさの紅石を異なる角度から検分をしてから、棚に置いてある古ぼけた目録を取り出す。
        羊皮紙に綴られた図解入りの宝石の特徴を参照しながら、手元の紅石と慎重に見比べている。
        「トルマリンの一種であるルベライト。透明度も高く、赤色も濃い。ピジョンブラッドに相当する可能性が高い」
        引き出しから厚手で清潔な布を取り出して広げ、ゆっくりと「炎の結晶」をその上に載せる。
        「加工が難点だが原石でも充分値が付く。この大きさなら……少なくとも金貨5000枚」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 22:19:09
      • はーい!気をつけます!(と片手を上げて宣誓。どうにも気楽な様子ではあるが、本来であれば買取屋としての領分を若干越えたその警告にはそれ自体に価値がある)
        (気の利かぬ買取屋であれば警告などしない、余計な仕事など小指の爪の先だってしてやるものか、という後ろ向きな姿勢を隠さない者だって居るのだ。…だからこそ、彼は信頼できる)
        びじょんぶらっど(棒読み。初耳の呼び名だが…)なんかカッコいい!!!(喜色を隠さぬ表情を見せて言う)ぶらっどっていうことは何かの血ってこと?あ、それみたいってことか!うふふー血塗られし宝石ー!
        (などときゃいきゃい言っていれば、鑑定価格を聞いて、ぐっとガッツポーズ)売ったぁ!!(息もつかせぬ即答であった)
        加工とかよくわかんないしそれならアスワドさんに売った方が結果的にいい宝石になってくれそうだしね!即金!?即金出るよね!?(やったーお高いー、なんて呟いて、ふと)
        …そいや、アスワドさんとこって即金どのくらいのものなら出せるの?ロックくんが持ち込んだ無限お水水差しが買取拒否になったのは聞いたけどさ(はて、なんて首捻り) -- シェラ 2020-11-14 (土) 22:42:18
      • 客相手に間繋ぎの雑談すら省いて用向きだけに注力する男が、警句を口にする相手はごく限られている。それが向けられるのは商売上の利に拠らない。
        一言でいえば個人的に気のかかる相手にのみ、この男の口は滑り出す。息子の友人とあれば尚更だった。
        「ピジョン・ブラッド。鳩の血のことだ。由来は諸説あるが、産出地で供物として捧げられた鳩の血が宝石を想起させる、というものがある」
        威勢の良い取引成立の言葉を聞けば、取引テーブルに金貨5000枚の詰まった袋を乗せる。
        「この店で出せる即金はせいぜい金貨3万枚程度だ。それ以上の金額とあれば、約束手形……この金額の範囲内なら交換しますよ、という約束を取り交わして、都度換金できるようにする仕組みを使う」
        いつも以上の慎重さで、買取した「炎の結晶」を梱包し終えると、肩を竦めてタバコを口に咥える。
        「そうした仕組みを利用しても、ロックの水差しを買い取れる店など、この船団都市にはどこにも存在しないだろうな」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 23:18:54
      • 鳩の血かー…そこでなんか凄い生き物とか綺麗な生き物の血じゃないあたり、なんか含むトコありそーだよね(なんて無駄に想像力の高い少女は楽しそうに言う)
        平和の象徴らしー鳩の血だからこそ、その平和を汚すだけの価値があるのだーーー!…なんてっ!(と、めいっぱい低い声を出して手を彼に伸ばしておばけみたいなポーズ取る)
        (この冷静沈着泰然自若端然悠揚を捏ねて固めてろくろで回して低温で焼いてカウンターに設置したような男にはそんなもの赤子の産毛ほどにも通じないのは分かっているが)
        わーーい!まいどーー!!(なんてことをやってる間にどさっと出てきた金貨袋を目にすれば、笑みを見せてよいしょっと受け取る)
        まーあの水差しだけでデカい商売できそーだもんねぇ。今は温かいとこだから真水も安いけど、北に行けば値上がりもするだろし(雨減るだろーしね、なんて言って)
        でもそっか三万枚くらいかー、手形?なんて殆ど聞いたことないけどそーなっちゃうとめんどくさそうだねぇ(ちょっとげんなりした顔で言う)
        ちなみに参考までに聞くと、この店でいままで手形で換金したお宝ってどんなのがあるの?もしそーゆーの手に入れたらそうなるかもって覚悟しとく!!(なんて、何かの罰ゲームか何かみたいに聞く) -- シェラ 2020-11-14 (土) 23:49:05
      • シェラのおどろおどろしいポーズと低音ながら可愛らしさを滲ませる声音の対比。
        少女が企図したものでは無いだろうが、それを見た男は珍しく口の端に笑みを浮かべる。
        「……遠い遠い昔話にな。まだ陸地のあった世界で大洪水に見舞われた人々が、陸地を探すために鳩を放った、という一節がある」
        その説話を引き合いに出せば、鳩はこの世界で特別な意味合いを持つ。ピジョン・ブラッドという名称にもまた皮肉めいた意が浮かんでくる。
        「今じゃ鳩の血よりも真水の方が貴重なご時世だ。手形も昔は履いて捨てるほどあった植物性の紙を使うのが一般的だった」
        どこぞの商会も手形は金属片を用いたり、ところによっては貝殻で代用している取引者達もいる。
        この店でも紙を用いた手形を扱う事は極めて稀であった。
        「俺が扱った中で最も高額だったのは、遺失技術品の光学兵器。引金を引くだけで光の弾丸を発射し、弾も必要ない代物だ。金貨10万枚の値が付いた」 -- アスワド 2020-11-15 (日) 00:21:23
      • (あ、笑った。なんて殆ど見ないそれを見て内心思い、にんまりと少女が笑う。どうやら産毛には通用しなかったらしいが、そよ風くらいは起こせたらしいと)
        (そうして彼の語った昔話。かつての世界の話を聞けば、少女の目が一気に輝き出す。陸無き地で一縷の望みを託されて放たれただろう鳩。その光景がありありと浮かぶ)
        なんかその宝石がすっごく貴重な風に聞こえてきたんだけど!そしたら昔の人にとっては希望と引き換えの価値があるじゃん!そーじゃなくて絶望の値段かもだけどそれはそれですっごい!
        (とても楽しそうに瞳に煌きを浮かべてそんなことを言う。全く、だから彼は信用できるのだ。暗い海の底から引き揚げた物に対して即物的な価値だけではなく…夢の値段まで上乗せしてくれる)
        (そうして金貨十万枚なりの見たこともないような金額が飛び出せば、目を丸くして驚き、その表情はころころと変わる)
        弾が要らないってめちゃくちゃ便利じゃない!!魔法の道具とかなのかな!それにしたって魔力だけで銃を撃てるなんてすごい便利だし!魔法関係なしならなおさらすごい!
        (ほわー、と自分がそんな飛び抜けたお宝を手にした時の事を夢想する。そんな銃があるならば、戦いの時に環境音を聞き取って戦う際に邪魔になることもある発砲音の問題が解決する)
        (それ以前に弾丸自体を持ち歩く手間と重量がなくなるし、そもそも弾そのものを買う必要さえなくなる、なんてうきうきと胸を高鳴らせている様は、傍から見ていれば丸わかりだろう)
        ……こうしちゃいられない!!そんなお宝、あたしもゲットしなくちゃ!うおー!待っててね光の銃ーーーー!!!(なんて叫んで金貨袋を掴んだままタラッタを飛び出していった) -- シェラ 2020-11-15 (日) 00:48:35
      • 「無茶はするなよ。くれぐれも安全には留意しろ」
        勢いよく店の外へ飛び出していく少女の背に、真面目腐った表情で忠告を送る。耳に届いているかは微妙なところだ。
        少女の姿が見えなくなってから、紙巻きタバコに火を点けてゆっくりと喫う。
        「まったく、元気なお嬢さんだ」
        千変万化するその表情を思い浮かべながら、眩しそうに目を細めてタバコの煙を吹き上げる。
        天真爛漫を絵に描いたような快活さは、同年代のロックや息子のフォスを悠々と超えていくほどに、きらきらと光り輝いている。
        望めば星にすら手を伸ばし、掴み取ることも果たしてしまいそうな、狂騒的な勢いに、男は知れず口の端を緩めて紫煙を燻らせていた。 -- アスワド 2020-11-15 (日) 01:16:46
  • アスワド、居るかしら?それにしてもあっついわね… -- シュガー 2020-11-14 (土) 17:19:45
    • 7月下旬。航路は北に向かっているとはいえ、照りつける日差しや吹き抜ける風の温さに大きな変化はない。
      開け放った窓の桟に身を預けてタバコを吹かしていた男は、訪れたシュガーに静かな視線を向ける。
      「ああ。今日はどうした?」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 19:34:24
      • どうしたじゃないわよ、ほら言ったでしょう?資材持ってくるって!…場所はちゃんと空けてある?(どうみても手ぶらに見えるが、そう言ってアスワドを見て)
        何お前、芥子?人間は刹那的ねぇ -- シュガー 2020-11-14 (土) 19:55:20
      • 「ああ、あの話か」
        それなら外に置いてくれ、と紫煙を燻らせながら店外にある空きスペースを指差す。
        外港ドックにも近く、伝手を辿れば大量の資材でも即日で然るべきところに納入することが出来る。
        「芥子を嗜むほど懐に余裕は無いさ」
        肩を竦めて、窓越しの青空へとまた一つ煙を吹き上げる。
        ケシや麻は、薬効を始めとして利用価値は極めて高く、「嗜好品」として愉しむには入手手段が限られている。
        とはいえ、合成原料の混ぜ物込みで造られたタバコもそれなりに値の張る代物である。 -- アスワド 2020-11-14 (土) 21:06:03
      • 外ね、はいはい…(一度店外に出れば…なにやら凄い音が響いたと共に、資材の山が積み上げられて)
        アスワドー!置いたわ!ちゃんと確認しなさいよ?金貨5000枚分の資材なのだから!!
        (そして店内に戻ってくれば)おほほ、それはお前が欲を張らないからでしょう?商売人が無欲でどうするってのよ。さて今日は他に…これをもってきたわ。(そう言って取り出すのは…)
        帰路示す短剣と呼ばれる物である)どうかしら!中々良い物でしょう?-- シュガー 2020-11-14 (土) 21:16:10
      • 店外に出ていったシュガーから視線を外し、曇りのない晴天に煙息を吐き出していたところで、突如として響いた音に目を向ける。
        先ほどまで何も存在していなかった空間へ、瞬時に大量の資材が積み上げられた光景を目にすれば、眉根を寄せて口元に手を当てる。
        『魔女』と名乗るのも伊達ではないか、と空間魔術を操る知己のことが頭を過りつつ、約束していた額の金貨袋を取引テーブルに準備する。
        「……資材は金貨4500枚で買い取る話だったな。で、それ以外の物もあると」
        取り出された短剣を見れば、目を瞠る。刀身と柄の間に仕込まれた楕円形の物体。その特徴的なフォルムは噂程度で耳にしていた。
        「その短剣。少し見させてもらっても良いか?」
        取引テーブルの傍らから、耐魔性能を備える手袋を取り出して身に付けながら、シュガーに問いかける。 -- アスワド 2020-11-14 (土) 21:52:47
      • ええ良いわよ?この世界からすると中々珍しい物ではなくて?私の見立てだとターゲットにした物や場所の魔力を感じ取り、その方角を示す魔導具の一種だと思うわ。今は私の方を指していると思うのだけど?(短剣が指す光の指針は確かに魔女の方を向いている様で)
        なかなか便利な物じゃない。こんな地図も宛にならない海の上じゃ、尚の事ね。 -- シュガー 2020-11-14 (土) 22:02:07
      • 「ああ。お前さんの見立て通りのものだ」
        魔力振を計測する片眼鏡も身に着けて、受け取った短剣の位置を微妙に変えてみる。
        短剣の中央に嵌められた紋様はその位置ごとに光を変えて、シュガーの方へと指針を向けている。
        「Centralis cor」
        男が短剣に向けて静かに呟けば、光の指針が僅かに方向を変えて、都市中枢艦の中心部を指し示すようになる。
        「音声認識も生きているな……シュガー。これは極めて貴重な代物になるが、売り払うつもりか?」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 22:32:14
      • おーっほっほ。アスワド。魔導具と言う物はね、魔術の心得が無い人間が使う物よ?…でも、金貨で売り払うと言うのは確かに趣が無いわね?
        物々交換でどうかしら。アスワド?そこで一つ相談なのだけど…私に似合いそうな水着なんかもってないかしら? -- シュガー 2020-11-14 (土) 22:43:05
      • 効果が保証される距離や耐久寿命にも左右されるが、換金すれば金貨1万枚以上は確実な代物である。
        そうした品物であれば実用性は度外視して、秘蔵しておく者も少なくない中、特段執着を示さぬ女に感心とも呆れとも付かぬ印象を覚える。
        「俺が? 女ものの水着を? お前さんに似合いそうな?」
        本気で言っているのかと、この男には珍しく呆然とした表情を浮かべる。
        当然のことだが女ものの水着は所持していない、と前置きしたうえで、心に浮かんだ疑問を並べ立てる様に口を開く。
        「なぁシュガー。相談相手を間違えていないか? 俺が女に似合うような服だの装飾品だのを見立てられるような男に見えるか?」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 23:40:56
      • (アスワドの顔を見れば意地悪に笑って)お前、買い取り屋なのよね?そこで腕を見せるのがお前の仕事…ではないかしら?
        人間達が有用に使えばこれは金貨1万は越えるお宝よ?お前の努力と働き次第で、それがお前の物になるのよ?(クククーと笑い、どうやら魔女はこの男が女物の水着を用立てる姿が見たいと言う事だろう)
        それとも…「買い取り屋」と言うのは、サルベージャーがもってくる品物を買い取るだけの商売なのかしらぁ? -- シュガー 2020-11-14 (土) 23:52:03
      • 「……………………………………一つだけ心当たりがある」
        沈思黙考の末、長く深い溜息の後に男は口を開く。
        「支倉紡績という衣料品を用立てる店がある。俺にはシュガーに似合うような水着はとんと思い当たらないが、そこなら既製品やオーダーメイドでお前さんに相応しい水着が見つかるだろう」
        これだけでシュガーは納得しないだろうと、男は苦々しい表情と共に、なるべく避けたい提案を口に出す。
        「金は俺が出す……………同行して値段交渉は俺がする」 -- アスワド 2020-11-15 (日) 00:37:03
      • 支倉ぁ?ああ…この布を買った商船の事ね。あそこは随分…お前と違って欲を張ってそうだったわよ?(しかしそんな様子のアスワドを見れば何故だがどえらい上機嫌になって)
        ふっ…ふふっ、アハハ♪お前は真面目で、からかうと面白い顔するわ。想像通りの反応よ?お前のそういう苦い顔が見たかったのよ(そしてしれっとそんな事を言えば)
        良いわアスワド。これはお前にくれてやるわ。元々私が持っていても手に余るものだったの。お前が普段から誠実に働いていそうだから、その褒美としておきなさい?…お前なら、使いこなせるでしょう?(クククと上機嫌に笑えば、資材分の金貨を片爪で持ち)
        それじゃ、アスワド、またよろしくするわね。ごきげんよう♪(アスワドに渡した短剣にはこれっぽっちの興味も無いのだろう。遺物を気にもかけず、タラッタを後にするのだった) -- シュガー 2020-11-15 (日) 00:52:16
      • ややもすれば見た子供が泣き出しそうな、苦虫を噛み潰した顔で、シュガーから受け取った短剣を掲げる。
        「そいつはどうも。有難く拝領させていただく…………ああ。今後ともどうぞ御贔屓に」
        機嫌良さそうに資材分の代価を受け取っていったシュガーを見送ると、短剣を片手にまた一つ大きな溜息を吐く。
        「水着の件は有耶無耶になったな…………なったよな?」
        眉間に大きな皺を寄せて、短剣の中央に嵌められた光点に視線を向けながら、頭の中で自問自答を繰り返す。
        ──取り合えずこの短剣は保管しておくか。
        どう転がってもいいように、結論を先送りにした男は、疲れた様子で新たな紙巻きタバコに火を点けた。 -- アスワド 2020-11-15 (日) 01:28:02
  • 時は少し遡り、7月の初旬。
    船団が目指す北からの向かい風が、朝焼けに染まる海面を撫でる。
    早朝から慌ただしく人の往来が続いている外港ドッグの片隅で、査定予定のサルベージ船の帰港を待つ傍ら、男は業界紙を広げている。

    ──6月上旬の平均換金量……金貨約1542枚。
    ──6月中旬の平均換金量……金貨約1488枚。
    ──6月下旬の平均換金量……金貨約1651枚。

    「6月全体の平均換金量、金貨約4683枚。活況だな」
    先月から大きく盛り返した数字を横目に、水平線の向こうで行き交う船影が視界の端に映る。 -- アスワド 2020-11-14 (土) 00:04:11
    • 好況にはいくつかの理由が考えられる。その中でも一番大きな要因はこれだ。
      ──無人島の発見相次ぐ! 天然の植物資源が存在する3つの小島!
      ──発見者……『フローレス・フーリー』……『虎落宮 枢』……『ピュセーテール・カルレン』……

      顔見知りの名が眼に入れば、男はふっと咥えていたタバコの煙を吹き上げる。
      小規模とはいえ陸地。それも天然の植物資源が採取できる環境とあれば、俄かに市況が沸き立つほどの重大事だ。

      「カルレン島、枢島、フローレス島……か」
      既にサルベージャーの間では都市中枢艦の公式発表を待たず、発見された島に個人名を付けて呼称している向きもある。
      海図にそう記載される日も遠くはないか、と男は眦を緩めて紫煙を燻らす。 -- アスワド 2020-11-14 (土) 00:04:28
      • そして好況の原因について幾つかの事項が紙面に並んでいる。
        海底火山。巨石文明の遺跡。原始文明の遺跡。

        先の無人島と併せて、これらの発見はアーニック海域の北部に、かつて陸地が存在していたという説の補強となるものだ。
        海流の流れでたまたま網に掛かる引揚品とは異なり、陸地の残滓から直接サルベージを狙う者や、まだ見ぬ陸地を求めて奔走する者達。

        その熱量も相まって、稀少な引揚品が続々と水揚げされている。

        ──『帰路示す短剣』、立て続けに三本発見される。
        ──『嵐除けのお守り』、発見される。 -- アスワド 2020-11-14 (土) 00:04:45
      • また、発見された陸地には別の効用も齎していた。
        陸地周辺の海流で、常とは異なる微生物や寒暖差が生じ、当該水域では生態系にも微妙な変化が表れていた。
        「サバ豊漁……か」
        足が早いのが難点だが、と他にも水揚げ量が上昇した海産物の記事が並ぶ中、見慣れぬ記述が目に留まる。

        ──安さ爆発! 小料理船『マイド・アザッス号』……突発宴会大歓迎。予約不要でオールもいけます。
        ──鮮度爆発! 小料理船『ラッシャイ・イタマエ号』……旬の魚を最高の料理法で。極上のおもてなしをあなたに。

        趣の異なる宣伝文句を見比べて、タバコを咥えた口の端を微かに歪める。
        「海の上でも競業とは苦労が偲ばれるな……」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 00:05:07
  • だ、旦那ァ…いらっしゃいやすかねえ…?(店を訪ねる猫、どこから調達してきたのか手押し台車でけっこうな重さのものを運搬してきたようで…)
    (台車の上には買い取り希望らしきものがもったいぶって風呂敷をかぶせて置いてある) -- コジロー 2020-11-12 (木) 23:13:04
    • 「ああ、コジローか。どうした、その大荷物は。今回も買取か?」
      コジローが引いてきた台車へと静かに視線を送る。
      先日、すっとんきょうなゴーレムがカラカラに干からびた死骸を運んできたことが頭を過り、ほんの微かに眉根を寄せる。 -- アスワド 2020-11-12 (木) 23:43:42
      • へぇ、そうなんでやすが…ひっ!(なんだか不機嫌そうな旦那にびびるもこほんと咳払い)
        今回は…コイツでやす!(ふろしきを取り払うとそこにはスゴイツヤ光りしているつやつやした鎧が!)
        釣り上げたはいいんでやすが、大きいし重いしで持て余してたんでやす…(おでこの汗をぬぐうようなしぐさをしつつ、持って来た経緯を説明。サルベージ品だという) -- 2020-11-12 (木) 23:54:07
      • 「お前さんの細腕で、よくこれを吊り上げたな」
        感心したような口ぶりで風呂敷の下から出てきた鎧へと視線を流す。恐ろしく状態が良いことは一目で分かった。
        鎧の接合部や間接部位を見て、細かい箇所の損耗具合を確かめながらコジローに訊ねる。
        「おい。これはいつ頃、引き揚げたモノだ?」 -- アスワド 2020-11-13 (金) 00:26:17
      • あ…あっしにもよくわからないんでやす。ツリザオの神にそそのかされるとこう…ヒャアーッって…(いっぽんづりリョウは何か神秘的な、魔法的なパワーで行っていると言いたい猫である。)
        鑑定額が上がりそうなワード!期待大でやす!(細目が金貨になる古典的な表現でばんざいのポーズ、余ったソデが揺れる。)
        えーとお…ついこのあいだ、ひと月も経ってないでやすねえ(7月の上旬ごろに引き上げたという。つい最近だ) -- コジロー 2020-11-13 (金) 00:40:10
      • 得体の知れない力を得体の知れないままに使っている。恐ろしいことにサルベージでは良くあることだ。
        「凡そ10日、か……前のレコードといい、お前さんよくよくその神に気に入られていると見える」
        新品を吊り上げた、という線は薄い。これだけの状態に加工された鉄資源を落す間抜けはそうそう居ない。
        査定を終えた男は金貨1500枚の入った袋を取引代に置いて、コジローに問いかける。
        「錆や腐食が全く見当たらん。強度は通常の鉄鋼と変わらんようだが、特殊な加工や合金の可能性が高い。金貨1500で買い取るがどうする?」 -- アスワド 2020-11-13 (金) 00:55:46
      • あっしみてえなのがくいっぱぐれないのはコイツのおかげといえば、そうでやすねえ(ツリザオはソデの中、パッと見オモチャにしか見えない粗末な出来だ)
        ええっ!?こ、このまえのレコード?のほうがたかく売れるんでやすねえ…?(猫としては重さのぶん絶対高く売れるぞ!なんて思ってたので意外そう、鑑定眼はまだまだのよう)
        でも買い取ってもらえるなら文句ありやせん!ぜひそのお値段でぇ…(ともあれ、無事に買い取ってもらえるとなれば小躍りして喜ぶ。食べられない鉄の塊が上等なお夕飯のための軍資金になるのだから)
        まったく旦那には足を向けて眠れやせん…(サルベージをしたところでその日の稼ぎに換金できなければ生活ができない、買い取り業者あってのサルベージャーなのだと拝むポーズ) -- コジロー 2020-11-13 (金) 01:09:47
      • 「この鎧の腐食耐性や防錆性が既存技術で再現可能なものであれば、10倍以上の値が付いていたが……」
        まぁ中枢艦に匹敵するレベルの技術水準でなければ無理だろうな、と冷静に付け加えて、煙草を咥える。
        「まいど。なに、お前さん方が苦労して水底から引っ張り上げた物がなけりゃ、船団都市全てが立ち行かん。お互い様さ」
        お互い様と言うが、都市中枢艦が出張れば仕事の消える買取業者と違い、サルベージャーの方が本質的に立場も貢献度も上なのだ。
        それを自覚している男は、年若くも一端のサルベージャーであるコジローに心の内で敬意を覚え、火を付けたタバコをゆっくりと吸って目を細める。 -- アスワド 2020-11-13 (金) 01:31:09
      • じゅうばい…!?!?!?(じゅうばいって、きんかが…いっぱい!と背景が宇宙になるような金額を聞いてしばしなうろーでぃんぐ中の猫)
        へっへっへ…船乗り猫としちゃあ船に乗ってる人にご利益があるほうがハクがつくでやすからねえ…
        (空賊だの、他人のものをヨコドリするようなヤツだの、ヤクザな商売をする連中と同じにされることも多いサルベージャー…真っ当にやって真っ当に認めてもらうことは猫の流儀で誇らしいのかふんすと鼻息)
        おっと、長話は野暮でやした…あっしはこれで!(金貨を受け取り、今日は何を食べようかとよだれをたらしながら有頂天。押してきた台車をスケボー代わりにして来た道を滑っていく…) -- コジロー 2020-11-13 (金) 01:47:43
      • 単一で金貨1万枚の買取価格を超える代物とくれば、サルベージャーとして一流の証となり、同業者であれば知らぬ者はいないレベルだ。
        「これからも真っ当な仕事ぶりを続けてくれれば助かる。ついでに当店も御贔屓に」
        最後の商売文句は努めて事務的に述べて、紫煙を燻らせる。
        ──ああ。そうだよな。持ってきた台車は自分で持ち帰るのが当たり前だよな。
        極めて常識的な振舞いをしていくコジローに謎の感慨を覚えながら、男は果てしない目で水平線の先を見遣って煙を吹かしていた。 -- アスワド 2020-11-13 (金) 02:12:46
  • どうぞ。(両手を広げ包容の構え。詳しくはEXE.PAJAのロックくんとのコメント参照。)
    (ロックが遊びにき、包容をしますといって逃げられたあと、休息室から出てきたEXE.PAJAがアスワドに向かって突然そういった。)
    (包容するだなんだと個室でうるさくしていて、ロックが逃げ出したあと、突然そんな事を言われても普通の大人は困るものです。) -- :EXE.PAJA 2020-11-12 (木) 22:45:04
    • ロックが逃げる様に店を出ていった際、眉根を寄せて鋭い眼つきをしていたのは、もう一方の存在に拠るところが大きい。
      「……お前さん。ロックが困っているのを分かってやっていたな? じゃれ合いは構わんが、相手の良心を揺さぶる様な遣り口は控えろ」
      咎めるような口調と視線で、両手を広げるエクスに向ける。筒抜けだった話から、流れは把握しているものの、その意図は掴みかねる。
      「面白味もない説教をしている男に、今もそうして両手を広げているのはどういった考えあってのことだ?」 -- アスワド 2020-11-12 (木) 23:03:56
      • いえ。私は交流において。彼が望むべき行動をしようとしました。しかし彼は言葉と心情に酷く乖離があると。現在は把握しています。
        (困らせるつもりはなかったとでも言うように。首を傾げます。)
        はい。ロック の場合は言葉と心情に乖離がありました。アスワド・ファジュルに置いても言動と行動に乖離がある可能性があります。
        貴方は否定的。拒否的な反応をする反面。実際は私を求めている可能性も。微量に存在します。
        私には第一人類の心情の裏を読むことが酷く難しく。実戦してみるしかありません。どうぞ。(どうぞ。) -- :EXE.PAJA 2020-11-12 (木) 23:12:16
      • 「大切なものは言葉の内に無い。音に聞こえ、目に見えるものだけが、重要なわけでもない」
        エクスが認識している現状は、実に真っ当である。しかし、その推論を働かせる知恵がありながら、なぜ心の機微に疎いのか。
        「なるほど。実践か」
        男は無表情でエクスの右手を取り、間近に引き寄せる。
        互いに触れる箇所は右の掌のみ。何ら色の感じ取れない男の視線が、エクスの透き通った瞳をヴェール越しに間近で射すくめる。
        「こうなった場合、お前さんは目の前の男の心情の裏が読めるか?」 -- アスワド 2020-11-12 (木) 23:39:39
      • 人の心と記憶は移ろいやすく。前日。Aと申していた言葉が。翌日。Bとなっています。難しいものですね。
        (そして手を握られ、引き寄せられる。思ったより軽いのか一歩前にでるように。)
        肌が触れた状態ですと。アスワド・ファジュル。貴方の心拍を把握します。貴方の精神的力の流れを理解します。貴方が嘘をついていれば。私はわかります。
        (嘘はわかる。魔力の流れもわかる。だけど心がわかるか。と問われれば……)
        「私」には貴方の心情は読めません。(射竦められた状態で。いつものような笑顔を作ってそう答えた。) -- :EXE.PAJA 2020-11-12 (木) 23:48:52
      • 触れた先から読み取れることは次の通りだ。心拍数は平静である。魔力の流れにも乱れはない。
        「ではエクス。どうすれば読めるようになると思う?」
        もとよりこの男は敢えて口にせぬことはあれど、偽りを述べるようなことはまず無い。
        「お前は状況を正確に把握する力がある。そして得た情報を精査する力もある。だがそうした存在は往々にして、諦めが早い」
        華奢な掌を握る手に少し力がこもる。繊細で今にも壊れそうなガラス細工の如き瞳を見る視線が少しだけ和らぐ。
        「それがどんなに細い糸のようなものだとしても、自分の可能性を諦めるな」 -- アスワド 2020-11-13 (金) 00:21:02
      • 自分の可能性。………了解しました。私には難解だと理解しました。しかし努力はします。
        (よく観察し。些細な変化や言動の起伏に注視せよ。そうやって学んで己が変化して行け。と言われていると判断する)
        そういえば。昔。別の方も。最後まで諦めるな。人は諦めねば敗北はない。とおっしゃった方がいました。
        彼は元気にしているでしょうか。(視線を外し、何かを思い出し懐かしそうな少し人らしい表情を珍しく見せる) -- :EXE.PAJA 2020-11-13 (金) 22:03:21
      • 「……ああ。出来るか、出来ないかは、あまり気にするな」
        最終的に相手の心の内を理解出来なくても良い。分かり合おうと歩み寄り、違いを埋める努力こそが大事なことだ。
        そう口に出そうとしたところで、彼女の手を握ったままだったことに気づき、無言の内にその手を離す。
        「人は諦めねば敗北はない、か……それを口にしたのは如何様な人物だった?」
        初めて目にした彼女の表情に、意外そうに片眉を跳ねさせて、懐から取り出した紙巻きタバコを口に咥える。 -- アスワド 2020-11-13 (金) 22:55:23
      • (どのような人物だった。と聞かれれば少し微笑んで。)稀有な人でした。無謀を勇気でねじ伏せ。知識を探求し。困難に打ち勝つ。
        そのような方でしたから私はその方と子を成しました。(どこか懐かしそうな表情をしたあと。いつもの表情に戻り。)
        生命活動を停止予定だった私に生きろ。と申してくれました。きっと彼もまだ今もこの世界の何処かで生きていることでしょう。
        (そういうと扉に向かってあるき始める。まるでその人物を探しに行くかのように…扉を出る前に一度振り返る。)今日の労働時間は終わりましたので外出してまいります。(一応報告するようなここ数週間で常識は学んだようでした。) -- :EXE.PAJA 2020-11-14 (土) 00:13:09
      • 「惚れた贔屓目を差し引いても、傑物だなその人物は」
        どのような事情があれ、子を為した相手と離れる点はいただけないが、と内心で付け足してタバコに火を点ける。
        「お疲れ様。騒ぎは起こすなよ」
        店を出ていく彼女の姿を見遣り、ゆっくりと煙を灰に吸い込んでいく。
        彼女の姿が見えなくなってから、長く長く煙息を吐き出して、何とはなしに呟く。
        「……あんな顔も出来たんだな」 -- アスワド 2020-11-14 (土) 00:30:37
  • そういやぁアスワドさん、アンタんとこの従業員に会ってみたよ
    なにがあった、ってわけじゃないけどアンタが雇うだけある面白い子ってやつじゃないか
    (虹に光る建材などの変わったアイテムを持ち込み、その査定の最中)
    (火のついてない煙草を口に咥え、義手の指関節を一つ一つ丁寧に曲げて確かめながら、そんな風に切り出して) -- フローレス 2020-11-11 (水) 23:19:11
    • 「素面で会えば、違った面が見えたか?」
      虹に光る建材──生体色素の沈着した堆積岩を検分しつつ、やや皮肉気な口ぶりで応じる。
      堆積岩は光を当てる角度により、微妙に色彩を変じていく。今この瞬間もアスワドとフローレスでは、異なる色に見えているであろう。
      「……その従業員。改めて見て、お前さんはどう思った?」 -- アスワド 2020-11-12 (木) 20:15:54
      • ま、ちょっと変わった子だねぇって印象はそのままって感じだよ
        (色合いこそ美しく貴重に見える品でも珍しくもないという事も多々ある海でのサルベージ)
        (拾い上げたものの価値の判別など殆ど諦めているといわんばかりに彼の鑑定を待ちながら)
        少しばかり難儀な感じがするが信頼しても良いんじゃないかい、アスワドさんの所なら危険も少ないし置いといて問題はないと思う…って事が聞きたいってわけじゃないんだろう? -- フローレス 2020-11-12 (木) 21:54:03
      • 「ちょっと変わった子、か」
        軟体物の外套膜から分泌される生体色素で着色された堆積岩は、さして珍しいものでもない。
        だが、少量で耐久性に難があるとはいえ、加工の用意な石材がここまで多様な彩りを持つとあれば少し話は変わってくる。
        「ああ。お前さんの正直な所感が知りたい。とりとめのない話でも構わない」
        金貨300枚の詰まった袋を取引テーブルに置くと、シガーケースから取り出した紙巻きタバコに火を付ける。
        「俺はEXE.PAJAに対して、極めて偏った見方をしている。先日、そう気づかされたばかりだ」
        息子のフォスが語る彼女についての話は、事務的な会話に終始していた自分にとって初めて耳にすることばかりだった。
        過剰な警戒心と予断は、目と耳を曇らせる。が、時にはそれが自身と周囲の身の安全の扶けともなる。
        悩ましいな、と肩を竦めて紫煙をゆっくりと燻らせる。 -- アスワド 2020-11-12 (木) 22:42:44
      • (予想していたより中身の入った袋に目を丸くしながらも、それはそれでありがたいことである、と受け取り)
        (義手で頬杖を突きながら唇を尖らせるようにして唸る声をあげ)
        所感を言うにしてもアタシだってアンタんとこの子供とは差があるからねぇ…間の世代からの目になるけど、優しい子だとは思うよ
        それと何だか人に飢えているような感じがする…まぁ、アタシの目何て曇りまくってるからあてにならないよ?
        (そう言って眼鏡を指さし見てのとおり自虐気味に笑い飛ばし) -- フローレス 2020-11-12 (木) 23:00:16
      • 面白い子。変わった子。それは見方によっては分からなくもない。
        「優しい子、か……どこでそう感じた?」
        横目で問いながら、棚に仕舞っていた酒瓶を取り出す。温暖な気候で原産されるヘビーラム、その香りと味を再現した合成アルコールの液体が瓶の中で揺れている。
        「フローレス。お前は自身を見る時だけ、瞳が曇りだす。少なくとも俺にはそう見える」
        取引テーブルにそっと酒瓶を置いて、眼鏡越しのフローレスの瞳を静かに見つめる。 -- アスワド 2020-11-12 (木) 23:25:53
      • そうだねぇ…あの子は常に人を観ているだろう。そうして人の性質ってのが見えてくると、普通の人間なら値踏みするような色が混ざり始めるとアタシは思ってる
        でも祭りと合わせて会ってもそういうのを見せる感じはなかったしね…例えばホラ
        (取り出された酒瓶を見ると顔を綻ばせて、くつくつっと喉の奥で鳴くように小さな笑い声を漏らし)
        今この瞬間、アンタは本当に気が利くいい男だねぇ、そりゃ亡くなった奥さんもほっとかなかったわけだ、って自分に与えられた利からアスワドさんの事を更に評価しているわけさ?
        自分を見る時ねぇ……きっとアタシがまだ帰る場所を見つけてないから、アタシ自身の価値が低いと思ってるのさ、きっとね! -- フローレス 2020-11-12 (木) 23:38:44
      • 「そうか。そういう見方もある、か……」
        現に自分もフローレスへと手土産と称して煙草を渡し、迷惑代とでも言わんばかりに酒まで渡そうとしている。
        身も蓋もない言い方をすれば、人間関係は打算で回っていく。
        その打算がエクスの慮外の内なのか、はたまた擬態をしているのかは神のみぞ知るところだ。
        「共同体を維持していくのに、最も健全で信頼のおける手段は利益で結びつくことだ。それは決して悪い事ではない」
        例外的にそれを上回る手段も存在するが、と今は亡き妻を心の片隅に思い浮かべる。
        「……フローレス。帰る場所、というのは見つけるものか?」 -- アスワド 2020-11-13 (金) 00:04:46
      • そういうもんさね、だからこそ打算無く他人を受け入れ知ろうとみるあの子は優しくて純粋、だから面白いと思ったのさ
        (差し出された酒の瓶を一口煽り、酒精の強いそれで喉を焼く)
        (ヒリつく感覚にクハァー!と熱い吐息をついて)
        ただ利益だけじゃ感情は納得がいかないのが人さ、どうせ利益を与えあうのなら好ましい人間の方が良いってね、おせっかい焼きで言葉数が少ないけど面倒見が良いいい歳した男とカなら最高だろう?
        ・・・・うん、アタシにとっちゃ探す場所だよ、少なくともアタシの為にね?それに別に抽象的な意味じゃないのさ、アタシの帰る場所はアタシの身体が覚えてるからね
        (とん、と傷痕のその端が少しだけ見える胸を叩いて笑い飛ばし) -- フローレス 2020-11-13 (金) 00:17:31
      • それ故に危うい。心の内だけで、フローレスの評に私見を付け加える。
        豪快に酒を飲む彼女の様子を見遣りながら、タバコの先をジリジリと鳴らす。
        「酒と煙草でお前さんの評点も甘くなっているが、その評に見合うよう努力させていただこう」
        吐き出したタバコの煙で自嘲気味な笑いを包み隠し、彼女の傷痕の端が視線に映れば、やや躊躇いがちに口を開く。
        「差し支えなければ、どういう事情があるのか聞かせてもらえるか?」 -- アスワド 2020-11-13 (金) 00:39:38
      • (目の前の男が何を考えているのか、慎重で疑い深くその癖に情が深い彼が考えている事、を考えながら酒瓶を揺らすように傾け酒を楽しみ)
        あッはッはッ、別に努力する必要なないだろうさ!他人の為にする努力ってのは大変だしねぇ…だからアスワドさんがそのままでいてアタシがそれを勝手に評価する
        人間関係何てそれで充分さ?
        (そんなもんだろう、と胸を張ったあとでそのままの勢いで左側の胸元をわずかにはだけさせ)
        隠すようなもんでもないけど少し恥ずかしいね…うん、アタシのこれは貰いもんなのさ。この子の為にも家に帰る。そうしたらきっとアスワドさんの言う曇りが取れてアタシが始まるんじゃないか、と思ってるのさ -- フローレス 2020-11-13 (金) 00:52:16
      • 「勝手に期待に応えようと勝手に背伸びをする。男が見栄を張るのは自分の為だ」
        真面目くさった表情のまま、冗談とも本気とも取れぬことをのたまって、吸い切ったタバコの残骸を灰皿に押し込む。
        以前も目にした彼女の手術痕。そして義手をはじめとした、彼女の身体的ハンディキャップ。
        それらと今の彼女の言葉を照らし合わせれば、自ずと一つの推論が頭を過っていく。
        「臓器移植、か」 -- アスワド 2020-11-13 (金) 01:08:23
      • 流石、男も父親も経験した奴はいう事が違うね、でもまぁアタシも思うよ
        男のそう言う所は良いねぇって…可愛いとも思うけど、アスワドさんは言うとアレだね、アンタそんなに熱い男だったんだね、って開いた口がふさがらないって気分さ!
        (ふぅーっ、と長い長い吐息を肺から取り出して、酒を休めるための呼吸なのかそれ以外の何かなのか、ごまかすように)
        馬鹿みたいに高い代用の心臓でも数日持てばいい方らしいってんだから笑っちゃう話だよねぇ
        (中身がちびりと減った酒瓶を机に置くと、代わりに渡された金貨の袋を肩に担ぐようにして)
        いやぁ、自分の事を喋るなんて柄でもないね、穴があったら入りたいってのはこういう事を言うんだね!
        (忘れておくれ!と手を払い頭を振り、酒瓶と店主を交互に見る、それから少しだけ目を細めて)
        残りの酒はボトルキープって事でね、また持ってくるものがあったら顔を出すからその時にでも飲ませておくれ、それじゃあたしは行くよ!
        お子さんと店員さんにもよろしくいっておいておくれ! -- フローレス 2020-11-13 (金) 01:27:14
      • 「俺もしゃべり過ぎた。忘れてくれ」
        お互い様という口ぶりながら、その実忘れるつもりはさらさら無い。
        分かった忘れようとでも馬鹿正直に口にしない限り、大事なことは胸に仕舞いこんでおくのがアスワドという男だった、
        「酢になる前に飲み切れよ……ああ、エクスにも酒の事は伝えておこう」
        フォスとは海で会ったらよろしく頼む、と去り行くフローレスを目礼して見送る。
        彼女の姿が見えなくなってから、店外に出て沈みゆく日を見つめながら、また新しい煙草に火を付ける。
        フローレス、ヴィイ、そしてエクス。みな一様に何かを探し求める者達だ。
        「…………」
        失って久しい胸の内の甘い疼き。そこから目を逸らすように、男は水平線の向こうへ紫煙を燻らせるのみだった。 -- アスワド 2020-11-13 (金) 01:59:54
  • 発情の呪いが掛けられたスクロール!(腹の底からの良く通る声と共にスクロールをテーブルに置く)
    買取をお願いしよう、転用には魔術師の助けが要るだろうが君ならツテもあるんじゃないかい?
    (転用…つまりは畜産や農業区画など真面目な方向での売り込みについて言っているようだ、一方で男はこの巻物の鑑定を済ませているらしい) -- ヴィイ 2020-11-10 (火) 22:54:42
    • 威勢の良いヴィイの声には特に動揺を示さず、取引テーブルに置かれたスクロールを静かな瞳で見つめる。
      「ヴィイ。俺はそれほど魔術に明るくはない。さて……お前さんだったら、このスクロール。どう利用する?」
      どうにか高額の値付けを得ようと声高に物品の価値を喧伝する手合いに、良く投げかけられる質問である。
      ヴィイがそうした手合いではない。と、アスワドは見立てているが、それでも敢えて問いを投げかける。
      この男には珍しく、ふっと沸いた興味心がゆえに。 -- アスワド 2020-11-10 (火) 23:12:24
      • ハッハッハ!おじさんに聞くとは分かって聞いているなぁ君ぃ!(祭りの時とは異なり無駄にテンションが高い、酒が入ると逆に落ち着くタイプなのかも知れない)
        歴史を紐解くのならば無論富裕層こそが求めるものだろうね、下卑た欲望持つ貴族…若い愛人にその場を奪われそうになる妻…野心持つ若き令嬢…
        愛を齎すと言えば聞こえは良いが度々歴史の中で大火傷を生み出してきたものだ、そして人は過ちというのは繰り返すものだヨ
        (まずは最も高く売れるであろう存在を提示する、皮肉めいて口にしているのはあまりオススメはしない、とでも言っているようだが)
        (ただ真っ先に提示する辺りに現実を見てもいるようだ)長期的に見るなら農業試験場とか加工して漁師にお守りとして売るとかあるけど
        それとも私個人で運用するとしたらかな?であれば私は自信を持っているのさ(愉快げに人差し指を立てて男は語る) -- ヴィイ 2020-11-10 (火) 23:26:25
      • ヴィイの高説が店内に響く傍らで、引き出しから仕事道具を取り出す。耐魔兵装の一つである短手袋と、魔力計付きのモノクル。
        それらを身に着けてスクロールを手に取り、片眼鏡越しに鑑定物を見遣れば、ほんの微かに皮肉気な笑みを浮かべる。
        「そうした売り方の出来る暢気な時代であれば、な」
        鑑定の結果はヴィイが最初に語った効果と相違ない。魔力振から効果はそう長く続くものでは無いだろう、とあたりを付ける。
        「希少種の交配実験か、魔術基礎研究の肥やしになるか」
        スクロールを取引テーブルに戻すと、金貨1000枚の詰まった袋をそこに並べる。
        「どうする伊達男。自信を喪失した時のお守りにするか、それとも新品の櫛でも買って男ぶりを上げるか」 -- アスワド 2020-11-10 (火) 23:43:54
      • (暢気な時代と言われれば確かにとでも言うように笑みのまま手をひらひらとさせる…言葉にしなかったのは齟齬があるからか)
        (やはりと言うべきか海に生き続けてきた者達と自分では発想を成す根幹が違う、アスワドの言葉で雪月の言葉を思い返したのだ)
        これ以上男ぶりを上げては港の男達の嫉妬を買う恐れがあるのでね、別の物を買おうかなーと
        北方の冷水対策に防水のタイツや脂にでもするさ(ウィンクしつつ男はその金貨の入った袋を手にする)
        しかし北か…この船は一体何を目的にして向かうんだろうねぇ、雪景色は美しいが苦労もそれ以上に多いのに -- ヴィイ 2020-11-10 (火) 23:57:08
      • 情欲と嫉妬を駒に遊戯へ興じるだけの豊かさが存在する世界が、かつてどこかに在った。
        そして今もどこかで影を潜めているのだと、断片的な知識からアスワドは察していた。
        「好きにしろ」
        ウインクには肩を竦め、買い取ったスクロールを丁寧に梱包し終えると、紙巻きタバコを咥えて火を付ける。
        「中枢艦は人類の生存だけを目的としていない。常に新たな可能性を模索している」
        ただの勘でしかないがな、と付け加えて、紫煙をゆっくりと燻らせる。
        「同じことを繰り返しながら違う結果を望むこと、それは狂気でしかない」 -- アスワド 2020-11-11 (水) 00:14:08
      • 可能性が限りなく低ければ無いものとして扱う…多くの事柄に通じる判断ではあるね
        ただ時に可能性がゼロにならないようその狂気を選ばなければならない時もあるのかも知れないが
        (そう口にした男が僅かに顔を顰める)どうにも今欠けた記憶を撫でたらしい、直近と思しき記憶だとこうなりやすいんだよな
        ともあれこれより如何なる可能性が待っているのか、出来る限り引き上げるとしよう!
        (再び愉快げにすればそれではと男は去っていく、アスワドとそう歳は変わらなさそうなのに無駄に活力の塊な様だ…ロマンを隠さないとも言える) -- ヴィイ 2020-11-11 (水) 00:26:13
      • 「往々にして、可能性は知覚した時点で、既に選択肢が限られている」
        気付いた時にはもう手遅れ。取れる手段といえば対処療法ばかり。男はそんな光景ばかり目にしてきた。
        「ああ。願わくば望外の成果を」
        言葉少なに、去り行く男の幸運を願い、ゆっくりとタバコの煙を吹き上げる。
        まったく可笑しな男だ。こちらもつられて口数が増すのは彼の稚気ゆえにか。
        不思議な感慨を抱きながら吸い殻を灰皿に押し付けて、男は仕事へと戻っていく。
        その口元には珍しくうっすらと笑みが浮かんでいた。 -- アスワド 2020-11-11 (水) 21:57:39
  • (今日も成果物を買取してもらいにやってきた。今日まずお願いしたのは「えげつない香辛料」「頑丈な石材」「族長のコテカ」「ありふれたブロンズ像」)
    (コテカを出す時だけ、すんませんこれは廃品回収で金払ってもいいっす、などと言いながら……査定額には文句の一切もつけず。収入をえて、そうしてその後)
    …で、おじさん。実はこっちのほうが今日の本命でさ。ちょっと査定だけしてほしいものがあるんだ。査定次第じゃ買取もお願いするかもだけど……(とリュックからそっと取り出す、水差しのようなそれ)
    (傍目にはただの水差しに見える。が、既に中に液体が入っていて…査定を依頼するのに?)…これ、ダンジョンで見つけてきた。真水が無限に出る水差し。…いくらくらいになると思う?個人的にはかなり行くと思うんだけど。 -- ロック 2020-11-10 (火) 19:41:06
    • 石材とブロンズ像には安価な値を付け、香辛料はその刺激臭からおよそ食品や香料として使い道が無いため大した値にならないと判断する。
      コテカについては、植物性の素材が使われている事と顔料で染色された装飾で意外なほどの値が付いた。4品合わせて金貨400枚で買取を終える。
      「……ダンジョンで、か」
      ロックの説明を聞いて眉根に深い皺を寄せる。険しい表情は、その入手先というよりは、水差しの効能ゆえにである。
      「俺は魔術に明るくない。その水差しについて何らかの魔術的な要素が関連しているか、ユイカは言及していたか?」 -- アスワド 2020-11-10 (火) 20:35:46
      • (それぞれ、大して貴重な品でもない。今の時代でも作ったりできるものだし、香辛料はヤバいし、コテカはギャググッズだし。むしろ喜んで買取を終えて)
        そそ。こないだはドルチェと、あとシェラと一緒に潜ったんだ。ユイカさんも一緒に。シェラの危ない所を助けた俺は後日1日デートの約束を取り付けることに成功した…!!
        (ぐふふ、ぐふふ、とロックらしい表情を零しながら、ダンジョン捜索の経過も伝えつつ。そして、水差しの事になれば)ユイカさんは、特に何も。その場で機能までは確認したけど…
        けど、俺も最近魔術を齧りだしたから分かるんだけど。これ、誰かが魔力を通したりする必要が一切ないんだよ。俺のこの護りの指輪とも違って(左手の指輪をひらひらさせながら、これもダンジョン産出であることも伝えつつ)
        多分、誰でもいいから注げば真水が出てくる。ドルチェにも試させたし間違いない。……で、注いでも注いでも、何か減ってる感じもしないんだ。これは俺の勘だけどね…(少年の勘。それは、人によっては一定の信憑性があるだろう) -- ロック 2020-11-10 (火) 20:41:42
      • 「危険なことは、ほどほどにな。デートの方は存分に楽しんで来い」
        大抵の事ならば上手く事を収めてしまう少年にとって、前者は大して益にもならない諫言だろうが、つい反射的に口を衝いて出た。
        次いでロックが語る水差しについての補足事項を聞くにつれて、険しさを増す眉間の皺が限界を迎えると、男は深々とため息を吐いた。
        「結論から言おう。ロック。その水差しはウチでは買い取れない」
        厄介なことになった、とシガーケースから紙巻きタバコを取り出すと、吸い口を強く噛んで言葉を絞り出していく。
        「もし仮に、その機能が半永久的に稼働するのであれば。最新鋭艦を100隻買ってもお釣りがくるレベルの値になる」
        ウチにはそんな金など無い、と付け加えて吸い口の潰れたタバコに火を付ける。
        「存在が露見すれば、他の移動船団都市と戦争の口実にすらなり得る代物だ」 -- アスワド 2020-11-10 (火) 20:57:39
      • はい、それはほどほどに!(わかってますよー、と。…まぁこれくらいの年頃の少年少女とはそういうものだろう。余り聞いていない様子で)デートはめちゃくちゃ頑張ってきます(真顔だ)
        …………んー。あー。やっぱりです??(だよなぁ……とこちらも少しげんなりとした様子。そんな答えが返ってくるのも予想していたのだろう)
        っすよねー。たとえ他に真水を作る方法はあるとしても。…何の機械も手間もいらずに無限の真水、っすもんねぇ。
        (その後に続く言葉を聞けば)……なんか最近の俺、そういうのばっかりぃ!!!(おんぎゃー!!と涙をこぼし始める)やっぱりお払いに行くべきかなぁ!?
        うわーうわーうわー。おじさんに言われて改めてヤバいもんだって認識できましたわー。…うぅん……じゃあ、とりあえずはウチだけで使うようにして…シェラとユイカさんとドルチェにも緘口令お願いしておきます…(へにょ…となりつつ) -- ロック 2020-11-10 (火) 21:05:00
      • 「ドルチェのことといい、お前は余程の星回りをしているな」
        緘口令を敷く相手も、緘口令が必要な存在とは皮肉なものだ。
        運が良いのか悪いのか、尋常ではない引きを持つ少年に嘆息した視線を向けながら、タバコに火を付ける。
        「ユイカのダンジョンに戻すのが最も穏当な手だと思うが……」
        当の本人も、ダンジョンの主も、おそらくそれは望まないだろうと、その先は口を噤んで紫煙を燻らす。 -- アスワド 2020-11-10 (火) 21:19:27
      • むにゅー。なんかね、いい思いをしてるって自覚もあるんだけど…それにしても違うな?って感じもし始めて。この運が女っ気に向けばいいのにそっちはすんともしねーしちくしょー!(号泣を止められず)
        (そんな様子にロックのフードから猫が出てきてご主人の頭を撫でる。……この猫だってサルベージされた謎の猫だ…アスワドには以前紹介した…本当に、周囲が面白い状況になっている)
        戻すー…うーん、戻すっつってもあのダンジョン、繋ぐたびに違う場所に繋がるらしいんで元の所には戻せなさそうなんですよ。ポイっと捨ててくるのも不法投棄になるやろなー。
        …まぁ最悪やばそうだったら、厳重に封印して海に投げ捨てる…?ああでもそうするとサルベージに引っかかるか…?まぁ……とりあえずなんとかします!(なんとかなるだろ!と前向きに)
        (水差しを回収して)でも相談に乗ってもらっていつもありがとうおじさん!やっぱりおじさんの冷静な判断で言われると安心するところありますね。ほんとに。(頼らせてもらってますー、と頭を下げて) -- ロック 2020-11-10 (火) 21:29:20
      • シェラ嬢との逢引きがあるだろ。
        とは口に出さず、猫にあやされているロックの様子を柔らかい視線で眺めては、また一つタバコの煙を吹き上げる。
        「いざという時はユイカに一時的に預かってもらえ。あいつにはそうする義務がある」
        割と容赦のない口調で言い切って、買取した4品を店内の保管スペースへと仕舞いこんでいく。
        「大人は子供に頼られるのが仕事だ。根本的な解決策を提示できずに、すまんな」
        お安い御用とばかりに肩を竦め、何でもないことのように無表情で紫煙を燻らせていた。 -- アスワド 2020-11-10 (火) 21:45:25
  • ぎらつく陽光が中天に差し掛かる頃。朝方から忙しなく行きかっていた人の流れがようやく落ち着き始める。
    早い者では夜が明ける前の夜半過ぎから。朝日と共に賑やかさが増し、午前中には作業がひと段落してしまう。
    買取屋の男も例外ではなく、午前中は水揚げされた大量のサルベージ品の出張鑑定に奔走していた。
    「さて……」
    陽の傾きからすると時間は午後の2時。『タラッタ』の店外にある天幕の下、炊事場では火にかけられた鍋がコトコトと音を立てている。
    間もなく船外作業を終えたフォスが来る頃合いだ。
    最近はサルベージと中枢艦の船外作業に駆けずり回り、会う時間もめっきり減ったが、帰って来れば腹を空かせて飯をねだってくる点に変わりは無い。 -- アスワド 2020-11-09 (月) 23:45:44
    • 親父ー! ただいまー! くぅ〜〜〜、腹減った〜……ってやった! オニギリだ!
      (帰ってくるなり店外の炊事場で父親を発見すると、調理中の姿を見て喝采を上げる) -- フォス 2020-11-09 (月) 23:46:21
      • 「おかえり。手を洗って待ってろ」
        合成穀物を数種類炊いた雑穀米を、具と共に握り固めていきながら、手を洗いに駆けだす息子の姿に口元を綻ばせる。
        焼いた魚のほぐし身、おかか、昆布といった比較的安価に手に入る食材を具として、五合炊いた雑穀米を次々とオニギリの形に整えていく。
        10歳で中枢艦の仕事を手伝い始めた時から、とみに食欲を増していたが、4月からサルベージの仕事も始まってから更にフォスの食欲は加速している。
        3合程度の雑穀ならペロリと食べきってしまうが、体力勝負の港湾作業員としては当然の部類に収まる。
        食事は大事。必ず一日二食は食べる。栄養バランスにも気を遣う。甘い物は特別な時だけ。食費はケチらない。
        妻の存命時から口を酸っぱく言われてきたことを、今でも男は忠実に繰り返す。 -- アスワド 2020-11-09 (月) 23:46:41
      • 〜♪ 〜〜〜♪ 〜〜♪ (天幕の下にある簡素なイスに腰掛けて、次々と出来上がっていくオニギリに目輝かせながら機嫌よく鼻歌を鳴らす)
        ……なぁ親父。そういえば何であのねーちゃん雇ったんだ? 今まで店員雇ったことなかったろ?
        (他意はなく、ただ疑問に思ったことをそのまま口に出す。父親の思惑などは全く考えに無い) -- フォス 2020-11-09 (月) 23:54:42
      • 「…………………………なんでだろうな」
        果てしない目で水平線の先を遠く見遣る。息子の前では油断して、暫し現実逃避に浸っていたが、火にかけていた鍋の音で引き戻される。
        ぐつぐつと沸き立つ直前の鍋からは、魚のアラや乾燥した海藻の出汁がうっすらと香る。
        塩に魚醤、少しばかりの合成アルコールを足して味を調えながら、先ほどの問いを頭に反芻させる。
        「……昔はな。留学生という概念があってな。外から来た人間に文化を学ばせるため、下宿させるというシステムは珍しいものでは無かった」 -- アスワド 2020-11-10 (火) 00:08:05
      • 『その回答は論理的な飛躍と欠落が見られます。彼女を留学生という概念に当てはめて労働に従事させる因果関係や、あなたの情動的理由を明示してください』 -- 『夜明けの剣』 2020-11-10 (火) 00:08:47
      • 「黙れドーンブレイカー。フォス、出来たぞ。良く噛んで食べろ」
        フォスが帯びる『夜明けの剣』を雑にあしらい、魚のあら汁と山盛りのオニギリをフォスの目の前のテーブルに置く。 -- アスワド 2020-11-10 (火) 00:12:36
      • (いただきます! と目を輝かせながら手を合わせて一礼。魚のあら汁をずずーっと啜って、オニギリを次々と咀嚼していく)
        (オニギリを6個ほど食べ終えてから、制御不能な食欲に身を任せて、すっかり忘れていた先の疑問を思い出す)
        ……んー。何かワケ有りっぽいけど、親父が雇ったんだから悪い人じゃないんだろ。そのねーちゃん。 -- フォス 2020-11-10 (火) 00:33:07
      • 「どの観点から見るかによる。良い・悪いという2つだけで判断することは出来ない」
        ──親父から見て悪い人なのか。
        なんのてらいも無く疑問をポンポン浴びせてくる息子の瞳を、男は一瞬まぶしそうに見遣る。
        「……………フォス。俺にとっては悪い人でも、お前にとっては良い人である場合もある。その逆も然りだ」
        本心から言えば『悪い人だからなるべく近づくな』と忠告しておきたいところだが、子供扱いが過ぎるのも考え物か、と逡巡の末に切り出す。
        「人の評価は風聞をあてにするな。自分の目で確かめろ」 -- アスワド 2020-11-10 (火) 00:33:24
  • こちらで引き揚げた品の査定・買取をやっておられると伺いました(ばたーん。遠慮のないドアの開け方だ!)
    生物も買い取っていただけますか?少々大物になるのですが(なるほど表にやたらでかいリヤカーがスイと出た。一人で引いてきたの?) -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 18:09:43
    • ──ロックの同居人。豊漁祭で堂々と出自まで宣言していた者か。と、脳裏に浮かぶが、それらは一切顔にも口にも出さず。
      「ああ。外で見させてもらう」
      稀にトンチキな客が店の入り口をぶち壊して引揚品を持ち込もうとすることも無くはない。
      大型や大量の引揚品については、出張査定や店外にて検分を行うことにしている。
      「生物か。何を持ってきた?」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 18:25:07
      • はい。時間が経ってますので鮮度には欠けますが些細な問題でしょう、干しましたし(どうぞどうぞ、とドアを支えて退出を促し)
        こちらです(リヤカーの布を剥がすと……おお、見よ!グランドタツノオトシゴの死骸だ!カラカラに乾いている!)
        先日サルベージ業の際に襲われたものを仕留めたのですが…おいしくなかったので放っておいたらカラカラになってしまいました。ドルチェが少し齧りましたが売り物になりますか?(なるほど腹のあたりが削れている。食べたのだ!) -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 18:36:48
      • リヤカーに積まれた物体を目にすれば、無言のまま煙草に火を付けて紫煙を燻らす。
        ──どうにも、最近はこうした手合いと縁があるな……。
        ドルチェの説明を聞きながら、果てしない目で外港ドックの先に伸びた水平線を見遣る。吹き上げたタバコの煙が青空にゆっくりと溶けていく。
        「そうだな。お前さんが金貨10枚を支払えばコレはウチで引き取ろう」
        努めて冷静に廃棄費用を告げる。 -- アスワド 2020-11-08 (日) 18:45:02
      • (たっぷり時間をかけて査定している…これか高値が期待できますね)……Pardon(なんて)?支払う?ドルチェが金貨を……支払うのですか?ナンデ?
        おかしいですね、タツノオトシゴはクスリの材料として珍重されているはず……確かにドルチェが齧りはしましたがこれだけの大物、きっとクスリも作り放題ですのに……(ぶつぶつ)
        やはりかじったから?かじったから価値が下がりましたか?(あきらめが悪い!) -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 18:56:02
      • 「この海域では大型の物も含め、海馬は良く水揚げされる。稀少価値が無いことがまず1点」
        これはロックも苦労しているな、と彼の苦労を想像しながらまた一つ煙を空に吹き上げる。
        「また薬用として用いる場合は、丁寧に内臓を取り除いて天日干しをし、然る後に暗所に保管する必要がある」
        改めてカラカラに乾燥したグランドタツノオトシゴの死骸を見て、眉根を寄せる。
        「……残念だが状態が宜しくない。食用にも薬用にも使えん。金貨10枚が惜しければ海に捨てろ。それが一番有益だ」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 19:18:02
      • 確かに其処此処でグランドオトシゴに襲われたという話を耳にします。ごくありふれた素材ということですね(納得できる)
        死にっぱなしのオトシゴをほっといて乾かしたものは状態が良くない……まぁ保存というか放置でしたからね。これも納得できます(できた)
        つまり……えぇ、えぇ。ドルチェにも理解できました。この死骸は巨大な生ゴミであると(なんて冷静で的確な査定だ…!)
        マスターに倣い拾得物で利益を得ようとしてみましたがうまくいかないものですね…それではついでに(リヤカーの端に積んでた、男性器を模した「卑猥な電気温水器」と「綺麗な鉄くず」をどどん)
        これらの処理も同時にお願いします、あってもジャマですし使いたくないですし。オトシゴと合わせて代金はお支払いしますので(DGのロゴ入り財布を取り出す。おいくらですか) -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 19:29:08
      • 「……ああ。明らかに生命活動を停止したものは『生物』と呼称しない、ということと合わせて記憶しておいてくれ」
        ロック。お前、もう少し何とかしろ。と諦観混じりの希望を胸中に仕舞いこみ、続いて取り出された物品を検分する。
        「これは……温水器か水差しか? ……電子部品はイカれてる。状態はあまり宜しくない、か」
        電気温水器の形状については眉一つ動かさず完全にスルーし、綺麗な鉄くずに視線を移す。
        「ほう。錆も腐食も少ない。量はそれほど無いが……いい拾い物をしたな」
        一度店内に入っていき、戻ってきた男の手には金貨袋が握られている。
        「死骸の引き取り金額、金貨10枚。温水器の買取金額金貨10枚。鉄くずの買取金額金貨300枚。差し引き金貨300枚で買い取ろう」
        どうする? と財布を取り出すドルチェに視線で問いかける。 -- アスワド 2020-11-08 (日) 19:53:34
      • 「かつて生物であった物体」をわかりやすく呼称しようとした結果だったのですが…認識の齟齬ですね、修正の必要アリです(うむうむ。以後気をつけます)
        わかりません、知りません。給水器でも水差しでも最低のセンスということだけですねわかるのは……へっ?(いい拾い物?鉄くずだよ?)
        ……え、あ、はい……はい?(狼狽してる。感情のないドルチェにしては珍しいシーンだぞ!)……いいんですか?ドルチェは良いも悪いもないですが……え?買い取ってくださるのです?
        えーと……はい。両方もともと捨てるつもりでしたし……ありがたく……(金貨袋を困惑顔で受け取る。ほんとにいいの?だいじょうぶ?) -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 20:29:11
      • 「ああ。引揚品でこれだけ状態の良いものなら特殊な合金か加工を施されている可能性がある」
        その可能性がどれほどの財に繋がるかは疑問の余地が残るが、少なくともドルチェ側が損をしないラインでの値付けをしたつもりだ。
        金貨袋を手渡すと、吸い切った煙草を灰皿に押し付けて、何か考え込む素振りをし。
        「ドルチェ。俺はお前さんのマスターであるロックとは昔から面識がある。その上で一つ質問がある」
        答えづらい事であれば回答しなくていい、と前置きしてから、また静かに口を開く。
        「ロックと共にサルベージ業をし、共同生活を営む以外に、お前さんは何か目標や目的はあるのか?」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 20:52:09
      • なるほど。綺麗であることに価値があり、そこから生まれる利益を期待した査定額ということですね。そういうことでしたら(かつがれてるわけではないならするりと受け取る。もうけたぜ)
        はい、ドルチェもマスターからこのお店のことを伺いましたので(面識あって当然だなと思ってる)ドルチェに秘密はありませんよ?覚えていないことは多いですが……
        ……あぁ(質問ってそういうことか)ドルチェを含むBGFのゴーレムは「人々に愛されること」を目的に作られております。ドルチェには愛という感情はわかりませんが、愛という概念は記録されてます。
        ドルチェは…プログラムされた概念を素に、ドルチェ自身の考えを以て行動しています。人々に受け入れられ、愛されるために。
        ……(んー)……愛してくださる方に危害を加えることはないですし、愛される努力も怠りません。
        結論しますと、ドルチェは己を人類にとって危険なゴーレムたり得ぬよう定義しております。このような回答はいかがでしょうか? -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 21:09:24
      • (//しごと……しごとのじかんが……へんなもの押し付けた上に文通スイッチ入れていくことになり大変申し訳なく……) -- ドルチェ 2020-11-08 (日) 21:11:14
      • 「ふっ。やはりロックは肝心なところで間違いを犯すことは無いな」
        ドルチェの答えを聞くと、ほんの微かに口元を綻ばせる。横目に空を見る眼差しは少しだけ柔らかさを帯びている。
        彼女の言葉が真であるという保証は一切ない。が、ごく短いやり取りの内の振舞いと、彼女を取り巻く状況を鑑みて、危ぶむものは無いと直感が告げていた。
        「不躾な質問に答えてくれてありがとう。そういうことなら大いに今のマスターを参考にするといい。それと……」
        もう少し常識を、と口にしようとしたところで口を噤む。直近の経験から『常識』という単語を口にすることに、強い危機感を覚える。
        「……………………ロックと仲良くな」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 21:38:03
      • (//大丈夫だ。問題ない。お仕事頑張ってね。) -- アスワド 2020-11-08 (日) 21:39:26
      • お気になさらず。この時代の方にとってドルチェが胡乱な存在なのは確かですから(スン…とした顔だけど気にした様子はない。ないんです)
        まあ普段は息をするように間違えてるといいますか……あのスケベ根性と妄想癖さえなければ、あれほど参考になる方も中々いないのですがね(肩を竦めてみせてー)
        …あ、マスターにはドルチェがこんなこと言ってたのは秘密ですよ。調子に乗りますので(ぴっ、と人差し指を立てる。内緒!)
        ……?(いま何か言いかけた?)…えぇ、もちろん。いろんな意味で得難いマスターだと思っております(まぁいいや!)
        さて、それではドルチェは失礼します。またお願いすることもあるかと思いますが、マスター共々よろしくお願いしますね(ぺこりとオジギしてー……リヤカーごと置いて帰った。死骸を丸ごと置いて帰るのもなんだしね!) -- ドルチェ 2020-11-09 (月) 08:26:41
      • 「ああ、こちらこそ。今後ともどうぞ御贔屓に」
        愛想もへったくれもない表情でドルチェを見送ると、残されていったリヤカーと中身に嘆息する。
        ──ドルチェの美徳と欠点。差し引きすれば今回の買取と似たようなものか。
        そのような印象が頭を過りつつ、新たな紙巻きタバコに火を付けてゆっくりと青空に吹き上げる。
        「……取り合えず鉄鋼屋を呼んで、死骸もついでに回収していってもらうか」 -- アスワド 2020-11-09 (月) 21:40:12
  • 6月初旬。朝焼けの光が海を照らす外港ドッグでは南国の温い風が波を揺らしている。
    習慣染みた動きで業界新聞に目を通す。今日は5月全体の引揚結果が掲載される予定であった。 -- アスワド 2020-11-09 (月) 01:53:26
    • ──5月上旬の平均換金量……金貨約1464枚。
      ──5月中旬の平均換金量……金貨約1244枚。
      ──5月下旬の平均換金量……金貨約1175枚。

      「5月全体の平均換金量、金貨約3883枚……か。先月より物価は厳しくなるな」
      4月全体の換金量よりも落ち込みを見せる数値の横では、鉄鋼価格の上昇や食料品の値上げの記事が並んでいる。 -- アスワド 2020-11-09 (月) 01:53:47
      • 「四つ集めると伝説の宝島へ導くという石板、発見さる……ん?」
        特筆すべき引揚品の記事で見覚えのある文字列が目に留まる。
        たしかこれは4月時点で3つ発見されたものだ。しかし続く記事にはこうある。
        「……5月下旬に石板が2つ発見される」
        つまり見つかった石板の総数は『5つ』ということになる。
        ──信憑性に疑いあり、それぞれが異なる石板である可能性、石板が破損して複数に分かたれていた。
        記事にはいくつかの推測が並べ立てられていたが、どれも裏取りのされていない不確かな情報ばかりである。

        ──とうとうジャックポット! あなたも一攫千金の機会に続け! 移動カジノ船『フォーチュンクッキー号』
        また派手さを増した宣伝広告に苦笑を浮かべる。
        「どちらもロマンであることに変わりなし、か」 -- アスワド 2020-11-09 (月) 01:54:09
  •  
  • ごめんくだせぇ旦那ァ…旦那いらっしゃいやすかねえ…(買取屋に訪れる猫、その手にはわざとらしいくらいの唐草模様のふろしきに包まれた品があった) -- コジロー 2020-11-08 (日) 22:02:58
    • 「ああ。どうした。買取希望か?」
      コジローが手にする風呂敷に視線を飛ばす。
      どう見ても買取に訪れた様子ではあるが、用件をハッキリとさせておくのはこの男の習性染みたものだ。 -- アスワド 2020-11-08 (日) 22:16:07
      • さすが旦那お話が早ぇでやす!あっしムズカシイ話が続くと眠くなって…(などと言いつつふろしきをすすすと差し出し、中から品を取り出すかまえ)
        (取り出されたのは『高性能なレコード』なる鑑定名が付きそうなサルベージ品で、保存状態もそれほど悪くなさそうである。)
        あっしの明日のパンツがかかってるんでやすよ…どうでやすか?買い取っていただけやすかねえ?(ナムナムと拝むようなポーズで旦那を見る) -- コジロー 2020-11-08 (日) 22:26:01
      • どういう事情だ。下着がかかっているというくだりは思うだけに留め、レコード盤を水平に持ち上げて目を細める。
        「劣化は少ないが……」
        稀少な樹脂製であり、かつ好事家が一定数存在する代物だ。問題は再生可能であるか、だが。
        レコード盤の上面を注意深く見て、溝の摩耗が少ない箇所を発見する。
        作業台から取り出した針を溝に充て、レコード盤を慎重な手つきでゆっくりと回転させる。
        一瞬だけ艶のある旋律が針を落した箇所から漏れ聞こえれば、男は感心した様子で眉を跳ねさせる
        「ほう。音質も悪くないな。金貨2000枚で買い取ろう」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 22:38:27
      • (ゴクリと生唾を飲むようにして鑑定の様子を目で追う、注目の鑑定結果は…)
        にゃっ?!(くるりと回されたサルベージ品から興味を引く音が出てぴくりと動く耳、どういった品物か知らなかった様子)
        こ、こいつは驚きやした…こうやって使うモノだったんでやすね…(くるりと回して音を出すものだと解ってじっとレコードを見つめていたが…)
        にしぇん!…こほん、二千枚でやすか…へへへ…ありがとうごぜえやす!(裏返った声、意外な高値で驚きつづけなせいか手で毛並みを整えるようなしぐさ)
        これだけあればいい下着も買えそうでやすね…へっへっへ…今後ともどうぞよろしくでやすよ…(レコードの買い取り額金貨2000枚を軍資金にさっそく下着を買おうと意気込む猫だった…) -- コジロー 2020-11-08 (日) 22:56:05
      • 取引同意の意思を読み取れば、金貨千枚入りの袋二つをコジローに引き渡し、買い取ったレコードは丁寧に梱包していく。
        「ああ。今回のように良い品はいつでも歓迎する。そうでないものでも……取り合えず持って来い」
        今回の様な良品がスムーズに買取出来ることは稀だ。
        大抵はもっと吹っ掛けてくるサルベージャーが大半の中、コジローの素直さはやや心配になるレベルだ。下着がどうこうという事情も含め、ではあったが。 -- アスワド 2020-11-08 (日) 23:03:28
  • 此方で。サルベージ品を買取して頂けると聴きました。間違いないでしょうか。
    (店に入ってきたのは、幽霊と間違えられそうな、真っ黒で青白い。顔をケープで隠した、胸の膨らみと、腰つきで辛うじて女性と判断できる、起伏に乏しいが耳に残る声色の人物である。) -- :EXE.PAJA 2020-11-07 (土) 23:34:07
    • その特徴的な風貌と喋り方。豊漁祭でも見かけたので間違いない。
      管理部門に伝手のある男は、目の前の存在が都市中枢艦で監視対象になっているのだと知っていた。
      「そうだ。用件は買取か?」
      が、そうしたことは言葉にも態度にも表出させず、お決まりの文言を口に出すのみ。 -- アスワド 2020-11-07 (土) 23:43:13
      • はい。金銭が必要になり所持品を手放します。(ゴトリと音を立てて置かれるサルベージ品「卑猥なチェーンソー」)
        (今も監視されているのだろう、豊漁祭の酒場で17杯も飲み。金銭が足らず。酒屋の店員と、監視員の両方に)
        金貨50枚以上になるなら。買い取ってください。(最低限払う必要のある金額、それ以上に興味はないようだ。) -- :EXE.PAJA 2020-11-07 (土) 23:48:22
      • 取引代に置かれたチェーンソーを検分する。何とも言えない形状は置いておくとして、稼働状況や各部の劣化度合いを検める。
        「駆動系はイカれている。刃の状態は悪くない。本体部位の損傷も少ない」
        手早く目利きを済ませると、金貨袋を取引代に乗せる。
        「金貨400枚で引き取ろう。どうする?」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 23:57:52
      • そうですね。(駆動部が壊れているのは知っていた。というか手に入れた時は動いたが、動かしていたら壊れたのである)
        お願いします。(何も問題ないとばかりに金貨を受け取ると…店に酒場の店員が突然入ってきて、EXE.PAJAから金貨を48枚ほど受け取りアスワドにすいやせんね…へへっと笑い去っていく。)
        助かりました。不必要に飲酒をすると、あれほどに金銭が嵩むものなのですね。 -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 00:04:07
      • 気にするな、と顔見知り程度の酒場の店員へ僅かに頷いただけで応じ、紙巻きタバコを口に咥える。
        「お前さん酒を飲んだのは初めてか?」
        口に出した以外にも少しばかりの疑問が湧くが、まずは一つだけ質問を投げかける。 -- アスワド 2020-11-08 (日) 00:11:40
      • いいえ。ただ前回飲んだ時は、一緒に飲んだ方々が金銭を払ってくれました。彼等は良い人でした。今はもう居ません。
        (5月中旬頃に、一緒にサルベージに出た漁師達は空賊に襲われ亡くなったという報告が中枢艦には届いているので、知っているかもしれない。)
        次からは、アルコール類だけでなく、他の効率の良い物も併用し。エネルギー にします。(つまみも食べず、酒だけ飲んでいれば金銭は嵩む、当たり前の事である。) -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 00:18:58
      • 小さくため息をついて、咥えていた煙草を火を付けずに、取引代へトントンと軽く打ち付ける。
        「そういう問題ではない。お前さんは今までに、帰属する社会での振舞いを学ばせる保護者は付いていなかったのか?」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 00:26:56
      • 人社会での振る舞いを学んだのは0b10 months ago(2ヶ月前)。現在に至るまでの短い期間です。
        同族の常識なら、教導する上位者は過去に存在しました。今は存在しません。
        過去。行動を共にした人は。人社会に置いて、常識外の思考パターンを持つ人でした。
        彼らから学んだことは。一般常識。という枠内では効果的ではなかったようです。(質問すれば何でも答える。ただし求める答えかはわからない。) -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 00:37:19
      • 答えを聞いて胸中で嘆息する。つまり彼女は子供も同然なのだ。彼女の言と振舞いが真であれば、だが。
        「ところ変われば常識も変わる。お前さんに今必要なのは、この移動船団都市の常識を教える保護者だ」
        普段ならばこのようなお節介は口にしない。ただ相手が子供同然であるならば話は別だ。
        「救護院でも住み込みで働くでもどこでもいい。なるべく公的で信頼の出来る庇護者を探せ。また厄介事を起こすぞ」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 00:48:52
      • 交流により、常識を学んでいます。今、この会話からも学んでいます。
        (ベール越しに、ガラス王のような目が貴方を見つめます。)
        現在、出会った人の中で、稀有な良識。常識を持つ方と私は判断します。
        労働せよ。提案を受け入れます。ここでは働けますか?貴方が提案しました。
        他者への行動を指し示す発言には、責任を伴う。というのが既に学んでいる人の常識です。これは間違っていますでしょうか。(常識的な人と判断したので合っているかを逆に問う。) -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 00:59:27
      • さてこうなれば信頼に足る人物を紹介せねばならない。
        フローレス辺りが適任か? いやあいつはあいつで危なっかしいところが……と考えていたところで、続く彼女の言葉に思考が止まる。
        「…………なに?」
        エクスの瞳の中で写る男の表情は明らかに動揺を示していた。露骨なほどに眉根を顰め、指先が紙巻きタバコをくしゃりと握りつぶしている。
        この女は危険だ。こうもあからさまに臆面もなく言質を取って相手を縛る遣り口。悪女と呼ばれる類のものだ。
        「……分かった。お前を雇う。だが何らかの事情でお前を置いておけなくなれば、信頼できる人物にお前を紹介する」
        10秒程度の沈黙の後、苦々しい顔と口調でエクスに告げる。
        自身の損害と、厄介事を他人に押し付ける天秤は前者に傾いた。
        「アスワド・ファジュルだ。一応、お前さんの名前を聞いておこう」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 01:13:52
      • (首を傾け、ベールが自然と傾き、表情が見えるように、ニコリと微笑んだ。とても とても嬉しそうな笑顔を作って)
        ありがとうございます。フローレス とは出会いましたが、私は彼女が何をしている人か知りません。腕部が代替部品へと交換されていたことが特徴的ではありましたが。

        アスワド ファジュル   ... 記憶部にエントリー。此れから。よろしくおねがいします(笑顔の表情のまま、首をまた元の位置に戻せば、ベールで表情がわかりづらくなる。)
        別の労働場所も歓迎します。私は貴方に敵意。害意はなく。貴方の不利益を望みません。必要でなくれれば。お伝えください。(起伏に乏しいが蠱惑的な声色で、使い捨ててくださいと言わんばかりに。)
        私は個体名をEXE.PAJA(エクスパージャ)と申します。人とは違う生命体です。 -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 01:19:55
      • ベールの内から垣間見える彼女の笑顔を見た瞬間、一つの決意が胸に宿る。
        ──この女とフォスが同居するようなことは絶対に避けなければいけない。
        「ではエクス。仕事はおいおい覚えてもらうとして、だ。住み込み場所はこの店の奥に簡易ベッドがある。当面はそこを使ってくれ」
        店とは別に都市中枢艦の一角に存在する住居には、フォスが居る間は立ち入らせまいと脳がフル回転をはじめる。
        「それともう一つ」
        新たな紙巻きタバコをシガーケースから取り出して火を付ける。
        「望ましいことはな。俺がお前を不必要だと追い出すのではなく、お前が俺を不必要だと判断して出ていくことだ」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 01:38:00
      • // -- アスワド 2020-11-08 (日) 01:38:46
      • はい。ありがとうございます。しかし私は、睡眠を必要としないため。行動不能なほど著しい機能障害。または外出の必要性がない完全に無い時。だけ滞在させて頂きたいと思います。
        (遠回しに、夜、貴方が眠っている時、私は自由に動きます。とでも言ってるかのように。)
        私は。人と違い。インプットは瞬間的であり。半永久的です。貴方の期待に応えたいと思います(仕事を教えれば気味が悪いほど完璧に覚えてくれることだろう。)
        (そしてアスワドの言葉を聞けば、ベールの口元でだけ笑顔を作り)
        承諾しました。私が常識を身につけ、貴方を必要としない時がくる事が。双方にとって望ましいと。
        ですが。人は長き時と共にすると。愛着が湧くといいます。お互いを知り。理解しあい。良き隣人として、共にあれると。素晴らしいですね。
        ところで。………私も一つ気になっていることがあります。質問よろしいですか?(一度後ろを向いて店を出ようとした無機物が振り向いて) -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 01:59:11
      • なるほど。形こそ違えど、その在り方は生物というより自立行動する『夜明けの剣』に近いか、と心の内で思うに留め。
        「……そうだな。俺とお前さんの認識が同じものであれば、それは素晴らしいことだ」
        彼女の言葉を字面通りに受け取るのは極めて危ういと、短時間の遣り取りで身に沁みついていた。
        ゆっくりと煙草を吸ってから紫煙を燻らせ、振り向いた彼女に静かな視線を向ける。
        「気になることがあれば何でも聞け。これからお前さんに常識を教え込まなくちゃいけない身だ」 -- アスワド 2020-11-08 (日) 02:08:36
      • はい………。(暫く考えるように。停止して。首を傾けたあと。指をすっとエプロンに指差す)
        子は。可愛いですか?(言葉を選んだように。一言だけ。そう訪ねた) -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 02:11:12
      • 暫しの静寂の間、店内ではアスワドが煙を吹き上げる音と紫煙が漂うのみ。
        次いで控えめに破られた静かな時に、男は応える。
        「ああ」
        たった二文字の言葉と、ほんの微かに浮かんだ笑み。それが男の答えだった。 -- アスワド 2020-11-08 (日) 02:18:01
      • (返事を聞くと、振り返り)では、明日から労働を開始します。
        (酒場の店員払い減った350枚程度の金貨だけを握り店を後にする。明日営業時間になったら、既に仮眠室で待機しているだろう。)
        (貴方の判断が正しかったか。間違っていたか。それはまだ誰も知る由はありません。) -- :EXE.PAJA 2020-11-08 (日) 02:20:55
  • 5月上旬の引揚結果の速報に目を通す。

    ──5月上旬の平均換金量……金貨1464枚。
    ──失われた王家の髪飾り、引揚される。

    「……岩礁の発見相次ぐ……上旬だけで発見数5、と」

    ──死の翼・デスゲイズ、またも目撃例アリ。

    「禍福はあざなえる縄の如し、か」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 02:07:19
  • 此処が買い取り屋という所かしら?(荷物を背負った魔女がタラッタに訪れた) -- シュガー 2020-11-07 (土) 02:04:18
    • 訪れた女に静かな視線を向ける。初めて見かける客だ。その異形の風貌には特段目を止めず、無表情で口を開く。
      「そうだ。買取を希望か?」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 02:13:19
      • お前が店主?意外と若いのね。ちゃんと目利きは利くのかしら?…まあ良いわ、ええ、その通りよ。
        最近このあたりでサルベージ船団に参加させて貰ってるわ。シュガーよ、以後お見知りおきをして頂きたいわ。(言いながら荷物を広げれば)
        これ、値がつく?(サルベージ品だ。「虹色の悪魔の実」「正体不明の万年筆」「良い匂いのする壊れたタブレット」の3点だ) -- シュガー 2020-11-07 (土) 02:21:20
      • 「アスワドだ。10年程度の経験に見合う目利きは保証する」
        言葉少なに最低限の応答。それはある程度の付き合いがある者でも変わることはない。
        愛想もへったくれもない顔つきのまま、シュガーが取り出した物品に視線を走らせる。
        「電子部品はイカれてるがプラスチックが取れる。タブレットは金貨100だ。万年筆は……まだ使えるな。状態も悪くない。これは金貨300」
        そして傍目からでは判断が付きかねる「虹色の実」を手に取った。値を付けるには情報が足りない、と眉間に皺を寄せる。
        「シュガー。これはどこから入手したものだ?」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 02:40:46
      • 10年!ふぅん、これらの物が100年物かもしれないのに、10年の目利きが価値を保障すると言うのは傲慢ね?とはいえ…海の底の物の価値を決めるのも、今を生きるお前達と言う訳か(苦笑して)
        えっ!?やっすぅ…ぼったくりじゃあ、ないでしょうね!?お前…アスワドっ!…あらそれは、話に寄れば海に嫌われる…万の値がつくと言うデーモンフルーツ。アーニック海域の…海底よ。素潜りでとってきたのよ?間違いないわ。
        …ねえ?アスワド。お前愛想が無いわね?笑いなさいよ。それは「値打ち物」なのよね?(媚を売るようにアスワドを見上げるぞ) -- シュガー 2020-11-07 (土) 02:49:10
      • 「正確に言えば10年程度の経験で見に付く知見、だな。人間という種の能力は先人たちの遺骸の上で形成されるものだ」
        シュガーの挑発的な物言いには眉一つ顰めることも無く、平たい調子で返して検分を続ける。
        「ぼったくりと感じたならば他の店でも値付けをしろ。比較検討して信頼できる店を探せ…………素潜りでコレを?」
        デーモンフルーツのくだりは考慮に入れず、海底から引き揚げたという点に思考は引き寄せられる。
        彼女の言葉を真とするなら、耐圧性が有り、腐食もせず、原形を保った7色の果実、ということになる。
        「この場で出せるのは金貨1000。だが研究材料として価値を認められるか、食用に適し栽培につながる果実であれば、後日更なる報酬が出る。ことによってはお前さんの名が付いた果実として後世に残る」
        生憎と愛想はこの店で取り扱っていない、と見上げてくるシュガーに肩を竦めて、目利きの結果を伝える。 -- アスワド 2020-11-07 (土) 03:08:38
      • 愛想と愛嬌の無い男は商売人には向いてないわよ?お前、もっと欲を出した方が良いわね(まあ、サルベージ品の中でもどうみてもガラクタばかりを持って来たのだ。この店の信頼性を確かめる為でもあったが、店主の裁量次第ではもっと安値を言い渡すものだろう。特に値段をつけ難い虹色の悪魔の実だ)
        良いわ、それで。追加報酬はいらないし、私の名前もつけなくて良いわよ?金貨1000と400枚、それで宜しくしましょう。(魔女の目に適う男であった。アスワドの値段設定に、言いがかりをつけるものでも無いと大人しく身を引いて) -- シュガー 2020-11-07 (土) 03:20:19
      • 「ご忠告痛み入る。肝に銘じておこう」
        無欲なのはむしろ君の方だ、と苦笑を浮かべる。こと値段交渉において悪辣な者は山ほど存在する。
        口八丁で出鱈目を並べ立てる者や恫喝紛いの脅しに掛る者達も珍しくない中、シュガーの言い分は実に真っ当で常識的な部類に当てはまる。
        「金貨1400。確かにここにある。が、前述の通り付随する価値が判明すれば、追加報酬はお渡しさせてもらう」
        取引テーブルに金貨の詰まった袋を乗せて、どうするかと視線の内に問いかける。
        普段ならばこのような申し出はしないだろうが、どこか彼女の言動に感じ入ったものがあったのか、問う眼差しは微かに柔らかい。 -- アスワド 2020-11-07 (土) 03:50:56
      • あら心外。魔女相手に無欲だなんて、物を見る目があっても人を見る目は無いのね、アスワド?(にぃっとからかう様な視線を向けて、取引テーブルに置かれた金貨を爪で掴めば)
        良いわ。生憎旅人の身よ。何時まで此処で仕事をするかもわからないし、身元の保証も無い物だもの。今その日暮らし出来るだけの換金が出来れば、十分なのよ。(そう言ってヒラヒラと爪を振れば)
        アスワド、また宜しくしましょう。次はもっと良い物を持ってくるわ!おーっほっほ(そう言って高笑いし、魔女はタラッタを後にするのであった) -- シュガー 2020-11-07 (土) 04:08:30
      • 客を見る目はあったつもりだが、女の機微となればお手上げだ。
        まったく敵わないな、と向けられる視線から逃れる様に、紙巻き煙草を口に咥える。
        「では、また。今後もどうぞ御贔屓に」
        笑い声を残して去っていく彼女を見送ると、咥えていた煙草に火を付けてゆっくりと喫う。

        ──後日、シュガーから買い取った虹色の悪魔の実は、栽培不可の代物であるものの一定の研究材料として価値を認められ、追加の報奨金が支払われることとなる。 -- アスワド 2020-11-07 (土) 15:02:19
  • (タラッタに入店してくる少年。見知った顔だ…息子の友人で、もちろん何度も顔を合わせている相手だ)
    あ、おじさんこんちわ!今日はフォスじゃなくて、買取のほうで来ました!見てもらってもいいですか?(リュックを背負って店の中に。サルベージ業を始めてから、こうしてこの店を使うことが多い) -- ロック 2020-11-06 (金) 23:41:02
    • 見慣れた少年の姿を認めると、吹かしていた煙草を灰皿に押し付けて、取引テーブルの前に立つ。
      「大怪我をしたと聞いていたが元気そうだなロック。今日は何を持ってきた」
      愛想の欠片も無い表情だが、息子の友人に向ける声音は微かに相手を気遣うような柔らさを帯びている。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 23:50:43
      • ええ!プレナさんに見舞いに来てもらったんで治りました!(とんでもないことを豪語する少年である。だが嘘ではなく、そしてそういうやつだとアスワドも知っているだろう)いやータコはしばらくこりごりですね!
        (もちろん、アスワドの愛想のない表情も慣れた物。むしろ父がいないロックにとっては、この表情が「父親」というものと認識している)えーと、今日はですね。タコに襲われる前に手に入れた…
        (リュックから取り出したのは、カラフルな洗剤。15kg分ほどあるだろうか?)…これなんス。正直普通の洗剤と何が違うのかわからないし、洗剤に困ってないしで。どうでしょ? -- ロック 2020-11-06 (金) 23:56:34
      • 「海洋寺博士のご息女か。お前には何よりの薬だろうな」
        無表情で思い浮かんだ光景はそこそこに、取り出された洗剤の容器を眺めれば、目が鋭く細められる。
        幾つかの容器に分けられている液体洗剤は、それぞれに緑や黄や青といったカラフルな彩り。軽く匂いを嗅いでみれば、それぞれ異なる香りをしていた。
        「ふむ」
        傍らに置いてあったペットボトルの容器に、緑色と青色の液体洗剤を混ぜてみると、互いの色は混じり合わず、上層が青色で下層は青色とコントラストがハッキリと別れたままになっている。
        「珍しいな。化学プラントの連中なら成分分析のサンプルとして歓迎されるシロモノだ」
        顔には驚きの色を示さず、少し考える素振り。過去の取引物から推察して妥当な価値を沈黙の内に弾き出す。
        「全量なら金貨1000枚で引き取る。どうする?」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 00:14:53
      • プレナさんは天使です…!優しくていつも癒しをくれる…!!(涙ながらに力説。多分与えているのは精神的な癒しだろうけど肉体にまで作用するのがロック君だよ)
        ……どうですかね?容器は素材がよさそうなんでありだなと思ったんすけど中身は試してもいないしで……(観察する様子を一緒に眺める。混ざり合わず綺麗に分かれた洗剤にへぇー、と感心を覚えたり)
        …あ、ホントすか?マジで、やった!十分です、それでお願いします!…いやぁ、治療費とか、あと最近できた同居人の食費とかで金欠で…!(苦笑を零す) -- ロック 2020-11-07 (土) 00:23:11
      • 「まいど」
        言葉少なに、キリの良い単位ごとに纏めている金貨袋の内から、金貨1000枚入りの袋を取引代の上にどさりと乗せる。
        「同居人……………………どういう人物だ?」
        普段なら客のプライベートに関わることは流していただろうが、知らぬ相手ではない。
        逡巡の後に一種の親心ともいえるような心境が、立ち入った質問を口に出させていた。 -- アスワド 2020-11-07 (土) 00:31:57
      • どもっす!(金貨袋を笑顔で受け取り、リュックに仕舞う。支倉紡績に売った布も合わせて、相当の儲けになった)
        ん、同居人すか?そっすねー…説明するとちと長くなるんですけど(そうして、話し始める。友人から裸の女が入ったカプセルを貰ったことから)
        (かくかくしかじかで)…で、今は俺がマスターってことになって、一緒に住んでます。可愛くて体もいいのに何もさせてくれないんですけどね…!!(ぶわわっ、と涙を流す少年 いつもの光景ではあるが)
        …そういや。これイシュナからも忠告されたんすけど、あんまり大っぴらにそのことを知られるとまずいだろうからって、一応はドルチェは孤児院の妹分、ってことで周りには通してるんすよ。……具体的にその、ヤバいと思います?ドルチェの事。
        (大人に相談は、そういえばしていなかった。大人の中でも一番に頼りになる人だ……話を聞いておこうと思った) -- ロック 2020-11-07 (土) 00:36:47
      • ロックの同居人に関する経緯を聞いてすぐに思いつくことがあった。
        ──4月にアーニック海域で引き揚げられた『裸の女が眠る謎のカプセル』
        そこから導き出される厄介な事項と対処法はいくつか考えつくものの、まずは前提となることを確認するため質問を一つ。
        「サルベージを手伝っているという孤児院の妹分、とはそのドルチェという女のことか?」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 00:52:59
      • あー、そうっす。一先ずは現代…海洋歴の状況を知りたいとか、生活環境に慣れたいってことで。じゃあ仕事手伝ってくれ、ってお願いして。
        本人もそれなりに楽しそうにやってますけどね。俺もまぁ、マスターだって話なんで、世話は焼いてやろうと思ってるんですけど(特に年下や庇護対象への面倒見がいい少年。それはフォスしかり、孤児院しかり。)
        (そういう少年の魅力があるからこそ…まぁ、普段のセクハラまがいの言動もお目こぼしを受けているのだろう。悪い奴ではない)んー…今の所変なことは起きてないんですけどねー…(この相談も、純粋にドルチェを心配してのものだ) -- ロック 2020-11-07 (土) 00:56:47
      • 「まず一つ。この都市船団で生活を続ける限り、その女が海中から引き揚げられたということは必ず露見する。既に船団の管理部では動向を注視されている可能性もある」
        警句めいた厳かな口調で少年に告げる。ただ自身の経験に照らし合わせれば、そこまで悲観的になることはないだろうと、表情は穏やかに。
        「その女がこの都市船団で居住を続け、一定の貢献を示し続ける限り、都市船団の管理部もお前達に害意を以て接することはまず無い」
        ただし……と続ける言葉には僅かな懸念を滲ませる。
        「むしろ気を払うべきは、この都市船団の外部の利益を優先させる者達だ。海域の賊共に連なる奴ら、非合法な取引に手を染める者。そうした輩に目を付けられるような真似は控えろ」
        テーブルの傍らに置いてある紙巻きタバコに火を付け、紫煙を燻らせながら少し考える素振りをし、また口を開く。
        「もし、万が一。都市船団の管理部から理不尽な要求を受けたとしたら俺に言え。何とかする」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 01:23:06
      • …うげ、マジすか。(予想はしていた答えに、ぐ、と言葉を詰まらせる)やっぱり…まぁ、俺程度の耳にも入ってきましたからね、カプセルの噂は。気づいてないだけで見られてるんかな…?
        (色々な形にならない不安が頭をよぎるが、続く言葉に)…あ、そうか、そういう考えも…!(と、喜びかけた。が冷や水がかかる)…あー…!そっか、海賊とかは気を付けないと!!あれ、前に襲ってきたやつらはもしかして…!?
        (そう言えば大したものも乗っていないこの船に襲ってきた海賊を思い出す。あん時は品が一つ奪われただけで済んだが…)…はい。海賊相手には気を付けます、マジで。(頷く。アスワドの言葉に疑惑を挟む余地はない。何よりドルチェのために)
        (身が引き締まる思いだったが…でも、最後の言葉は。温かかった。温かく感じた)…はい、すんません。ありがとうございます…!万が一なんかあったら相談させてもらいますね(本当に、世話になっている。この人には)
        (自分に何かしら返せるものはないかと思い…今の、今日の様なそれしかない、と思い直して。ならば無事に、健康にこの仕事を続けるのが一番だと思った)…相談乗ってくれてありがとうございました、おじさん!
        (大きく頭を下げて御礼。リュックを背負い直して今日はお暇する)そんじゃまた!フォスにもこないだは世話になってありがとって伝えといてください!(元気に店を去っていった) -- ロック 2020-11-07 (土) 01:32:47
      • 「またな」
        言葉少なに少年を見送ると、そのまま店外に出て夕暮れの空へと煙を吹かす。
        ──世話になっているのはどちらの方か。
        ふっと口元に微笑を湛えて、外港ドックの水平線の先へ沈みゆく夕日に目を細める。
        ロックならばそうそう間違いを起こすことはない。多少のトラブルは引き起こすものの全て問題なく丸く収まる範囲だ。
        むしろ何かあるとすればその引き揚げられた女。当人の意思とは関係なく、その素性如何によっては、どのような火種になるか見当もつかない。
        「……やれやれだ」 -- アスワド 2020-11-07 (土) 01:47:49
  • 5月初旬。朝焼けの光が海を照らす外港ドッグ。男は木箱に腰掛けて紫煙を燻らす。
    曙光に目を細めて、また一つ煙を空に噴き上げると、手近にあった新聞を広げて記事に視線を移す。
    週刊で発行される業界新聞は、外洋でのサルベージに関する情報で埋め尽くされている。
    都市中枢艦に収められる引揚品が生産に直結する為、サルベージの動向を掴むことは都市船団の経済を把握するに等しい。
    安価な皮紙で綴られた記事に目を通すのは、サルベージに携わるものだけではなく、商いを営む者にとっても日常的な行為だった。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:30:36
    • 「今月は取引量が多いな」
      比較的安全な海域ということもあってか、4月の引揚品総量は常に比べて活況であった。
      引揚品の総量は多少の例外有れど、換金された金貨の枚数と比例している。
      4月上旬の平均換金量……金貨約1400枚。
      4月中旬の平均換金量……金貨約1300枚。
      4月下旬の平均換金量……金貨約1500枚。

      「4月全体の平均換金量、金貨約4200枚……か」
      引揚品の総量が増せば、それだけ都市船団の生活は安定する。
      喜ばしいことだ、と男は煙草の煙を朝焼けの空に漂わせる。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:31:03
      • 次いでサルベージ海域における特筆すべき発見の記事へと目を滑らせる。
        ごく小さな岩礁が4か所発見される……これは数少ない陸地へと繋がるピースであり、学術的な価値も高い。
        発見者の一覧に自身の息子の名前を見つけ、男はごく僅かに口元を綻ばせる。

        「四つ集めると伝説の宝島へ導くという石板?」
        既に3つが発見されたという石板は、字面で見れば胡散臭い事この上ない。
        しかし都市船団の検閲が入った記事に掲載されるということは、一定の確度を持つシロモノなのであろう。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:31:28
      • 「……裸の女が眠る謎のカプセル?」
        煽情的な見出しだが、その詳細は判然としない。
        その女の出自も、カプセルの技術的学術的価値も一切触れられておらず、ただ女は目覚めたらしいということだけは伺えた。
        漂流者。それは他の都市船団をはじめとしたヒトの棲息領域に関する重大な情報源となる。
        「管理部のお歴々が見逃すとは思えんが……」
        無用な予断は思考の外へと追い出して、次の記事へと意識を向ける。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:31:53
      • 一攫千金の機会は船上にあり。移動カジノ船『フォーチュンクッキー号』
        大海原で癒しのひと時を……大型銭湯艦『ビバノンノン号』
        「新聞屋に幾ら握らせたんだ?」
        友好的な艦船情報として上記の二艦が特集されている。
        今までの記事とは異なり、ひどく主観的な修飾語に塗れた文面は、臆面もなく商業宣伝を打ち出している。
        とはいえ、荒んだ外洋航海で彼らが果たす役割は大きい。船員達の利益に寄与するのは間違いない。
        無論、懐具合に余裕があればの話ではあるが。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:32:10
      • 空賊『ネコマンマ団』
        海賊船『マッドガス号』
        幽霊船
        海域の敵対勢力として名を連ねるのは、既に都市船団において衆目が知るところであった。
        彼らの被害に遭ったのは両手の指で数え切れぬほどであり、時勢が許せば討伐も検討されるレベルであった。
        特に空賊が遺失技術の飛行艇を有しているのであれば、都市船団からすれば鹵獲も目算の内であろう。
        「やれやれだ」
        資源の限られた集団同士の争いは結局のところ全体の疲弊を誘発させるだけに過ぎない。
        引きずり下ろすつもりが共に海の底へ沈んでいくだけだと何故気づかない?
        苛立ちとも諦観とも付かぬ感情の内で、視線は一つの記事に吸い寄せられる。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:32:30
      • 白鯨との遭遇例。
        大海を征く雄大な白い巨体。その神秘的な姿の再現イラストに一時目を奪われる。
        「2つも目撃例、か」
        自然美の極致にして、荒れ狂う海原の象徴。それはまさしく海を体現する存在だった。
        かつては自身もその直中に居た。その頃に今は亡い妻も健在だった。
        胸中に燻る感情を紫煙と共に吐き出して、男は青く澄んだ地平線の先へと目を向けた。

        『死の翼・デスゲイズ。アーニック海域にて目撃例アリ』
        男の視線から外れた新聞記事では不吉の象徴といわれる怪物の目撃例が綴られている。
        潮風に揺れる新聞記事は、まるで死の翼のようにはためいていた。 -- アスワド 2020-11-06 (金) 19:33:02
  •   -- 2020-12-18 (金) 00:06:15
  •   -- 2020-12-18 (金) 00:06:19
  •   -- 2020-12-18 (金) 00:06:26
  • 海洋暦XXX2年4月某日。
    ゴールデンロア号の外港ドックに接舷された貨物船の甲板は、雲間から差し込む夕暮れの光で紅く染まっていた。
    海鳥の鳴き声が響き渡る空の下、黒衣の少女と銀の髪を靡かせる女が傍らの乳母車を覗き込んでいる。
    黒衣の少女は乳母車の赤ん坊に目線を合わせ、しゃがみこんだ態勢のまま身振り手振りを交えて赤子に話しかけている。
    その光景を見守る様に傍らに立つ女は、静かに銀の長い髪を海風に揺らしている。
    左目に眼帯を付け、手にした銀槍の石突を甲板に立てているその風貌は、城門を守護する衛兵を思わせる立ち姿であった。
    貨物船の甲板上には他に人影もなく、緩やかな波音が辺りに漂っている。
    そこに規則的な足音を立てて新たにやってきた長身の影を見遣ると、黒衣の少女は慌てた素振りで立ち上がる。

    「お初にお目にかかります。私はミスラ・トロンと申します」
    取り繕うように咳払い一つして長身の男を見据える黒衣の少女。
    夕暮れの光が照り返す中、ミスラと名乗る少女は頬に含羞の色を浮かべて、茜色に影を落としている。
    落ち着いた雰囲気の黒い装束を纏う姿に、異質な点が一つ。
    彼女の肩回りをぐるりと取り囲むように、鎧の肩当のような金属が白銀の光を放っている。

    aru03.png

    「アスワド・ファジュル。急にお呼び立てして申し訳ございません」
    「お呼び立て、だと? 笑わせるな。ルーを返してもらおう」
    アスワドが手に持った封書を、指先だけでミスラに向かって投げ渡す。
    上質な紙にはアルファルドを示す蛇の紋様が刻印された封蝋が押されている。
    ひらりと風に舞う手紙には、この貨物船の所在地と赤ん坊を預かった旨が簡潔に記されていた。
    ミスラの傍らに立つ眼帯をした女が、風に乗って流れてくる封書をその手に引っ掴む。
    対面に居るアスワドとその手にある『夜明けの剣』に静かな視線を据えながら、女はミスラに封書を手渡す。
    -- 2020-12-18 (金) 00:06:52
    • 「ご安心ください。赤ん坊には指一本触れておりません。その……乳母車に乗せる時や、あやす時には触れておりますが」
      白銀の長剣を片手に鋭い視線を送ってくる男へ、黒衣の少女は見咎められた子供の様に言葉を絞り出していく。
      初めて少女の姿を視界に収めた時から今に至るまでの様子に、ある種の厄介さを嗅ぎ取ったアスワドは深く長い溜息を吐き出す。
      アルファルドはこういう手合いを差し向ける様になってきたのか。
      溜息をついて眉根を寄せる男へと、黒衣の少女は伺いを立てる様に小首を傾げる。
      「少し……お話をしませんか?」
      「話だと? 赤子を攫い、専用兵装完備で待ち構えておいてか?」
      「担当者が変わっても遣り口が変わらないですねアナタたち。今日はヌールを複数体ご用意頂き、誠にご苦労さまです」
      アスワドと『夜明けの剣』が揃って非難の声を浴びせる中、黒衣の少女は動じることなく微笑みを浮かべる。

      「我々にとって脅威は貴方がただけとは限らないということです。ご子息とドーン・ブレイカーに接触してきた女が居たでしょう?」
      船団が極圏に滞在していた2月。フォスとドーンに接触し、高密度ナノマテリアルと模造ヌールを渡してきた黒髪の女。
      その女が口にした情報についても、アスワドは全てを聞いた上で、手出し不要だと判断していた。
      「あの女……シェーシャはかつてアルファルドに在籍していた者です。独断専行と研究の私的専有により、10年前に放逐されています」
      -- 2020-12-18 (金) 00:07:37
      • 「くだらん私怨に巻き込まれるところだった、という事か」
        「……そのご様子では、シェーシャの言動に疑義を抱かれていたようですね」
        「その様子だと、極圏を抜けても動きの無い俺達の意向を質しにきた、というところか?」
        頷いて肯定してみせるミスラへと、アスワドは皮肉気に唇を歪める。
        「例えお前さんとあの女がどちら側であろうと信じられることなど何一つ無い。くだらん組織同士のいざこざなど勝手にやっていればいい」
        「……いいえ。貴方にも関係のあることです」
        くだらない、という男の言葉に、ミスラはむっとした表情で眦を決する。

        「我々が所有している遺伝子貯蔵庫は現存する海洋生物だけではなく、海の底に沈んだ陸生の動植物のサンプルや遺伝情報も網羅しています」
        黒衣の少女の蒼い瞳の輝きを、アスワドは静かに受け止めて言葉の先を促す。
        「ヌールの演算能力と物質変換能力。並列処理を行えば限定的な陸地の再生まで可能であると、研究は進んで来ているのです」
        「その為の模造ヌールなのだろう?」
        「オリジナルのヌールに比すれば、出力や演算、高度な判断能力が圧倒的に不足しています。一つでも多くのオリジナルがあれば、それだけ時計の針は早く進みます」
        「その時計の針が進んだ先は何だ? 陸地の再生など耳心地の良い言葉を並べておいて、貴様らがその技術を如何とするか。碌な果てなどありはしない」
        「……アスワド・ファジュル。我々には貴方とドーン・ブレイカーが必要なのです。どうしたら信じて頂けるのでしょうか?」
        -- 2020-12-18 (金) 00:07:55
      • この18年間、言葉面を変えて何度も繰り返されてきた遣り取りがアスワドの脳裏を掠めていく。
        今目の前に居る少女は、アルファルドが研究している技術が人類の復興に帰するのだろうと半ば本気で信じている様に見える。
        これまではどんなに言葉で繕ってきたところで、その行動の端々から、他者を軽視し嘲るような向きが滲み出ているのがアルファルドの者達だった。
        蒼い瞳で真っすぐに此方を見てくる黒衣の少女から、つと視線を外し、乳母車に乗せられた赤子へと目を遣る。
        赤ん坊はすぐ傍に立っている眼帯をした女へ、手を差し出しながら無邪気に笑っている。
        眼帯をした女──おそらくはミスラが所持するヌールであろう存在──は、手に持った銀槍の穂先を揺らしながら、柔らかい視線を赤ん坊に向けている。

        「ミスラ。ルーを連れ出したのはお前さんの判断か?」
        「……いえ。違います」
        唇を噛んで答える黒衣の少女に、アスワドはまた長く深い溜息を吐いた。
        「アルファルドだろうがファジュルだろうが。俺はヌールに関わる組織を一切信用していない。それはこれからも変わらん」
        「……残念です。シェーシャはアルファルドを放逐されてから数多の組織と接触しています。その幾つか、あるいは全てが、貴方を利用しようと動くのならば」
        黒衣の少女が纏う空気が剣呑な色を帯び始める。
        彼女の装いの中でひときわ異質な趣を示している白銀の肩当が、機械的な音を立てて装甲の展開を始める。

        「力づくでも他には渡さない、という腹積もりか」
        「はい。腕や足の1、2本はへし折ってでもご同行頂きます」
        結局誰が相手であろうとこういう展開になるのだ。
        ミスラの展開した白銀の装甲。その両肩から顔を出す高機能鋼鉄材で組成された黒い蛇が2匹。
        うんざりするようにアスワドは内心で溜息をついて、無言の内に『夜明けの剣』を構えた。
        -- 2020-12-18 (金) 00:09:26
    • 落日の下で銀光が奔る。
      アスワドが構えを取った瞬間、眼帯を付けた女が手にした銀槍と共に一条の光と化した。
      ミスラとアスワドを引き剝がすように、凄まじい速度で割り入ってきた銀槍が『夜明けの剣』とぶつかり合う。
      一合、二合と槍の穂先と剣先が息つく暇もなく衝突を繰り返し、打ち合った空間が一瞬だけ歪にひしゃげる。
      100%で展開された互いの絶対物理防壁が干渉し、空間を裂いては防壁が中和され、防壁が消えれば空間は元に戻るのを、両者の得物が打ち合う度に繰り返している。

      「アスワド。防壁の出力は100%を維持してください」
      「どうなっている。この女もヌールだろう」
      人を超える身体能力で、速さに任せた突きを繰り出してくる眼帯の女の連撃を捌きながら、アスワドはじりじりと後退を余儀なくされる。
      ヌールが人の手を離れて稼働する場合、自身の制御に出力を割かれ、絶対物理防壁を完全に展開することは不可能な筈である。
      「補助兵装で出力を補っています。完全自律型ですが出力はこちらと同等以上かと」
      「対人用の防壁延長装備か」
      眼帯の女が振るう銀槍が、展開される防壁と共に音を切り裂き、残照の紅き陽に白い軌跡を描いていく。
      対するアスワドは、女の後ろに控えるミスラやルーの様子に視線と気を配りながら、眼前に迫る槍をギリギリのところで捌いていく。
      -- 2020-12-19 (土) 00:40:40
      • 「敵の狙いは消耗戦です。シールド残量が尽きる前に早く何とかしてください」
        くそったれ。無駄に気を散らせるな。
        軽口を叩く『夜明けの剣』の切っ先を、アスワドはゆらりと揺らめかせる。
        揺らいだ剣先の間を縫うように、槍の穂先が打ち込まれると、待ち構えていたように刀身の横薙ぎの一撃が放たれる。
        弾かれた槍の先。常人離れした膂力と速さで以て、再び精確無比な刺突が、剣の払いで生じた隙に捻じ込まれる。
        しかして横薙ぎに払われた剣の先は、くるりと弧を描く様に変化して、下から掬い上げるような切り上げの一閃が銀槍を打ち払った。

        「……っ!?」
        立ち昇る陽炎のように、空間を揺らめかせた銀閃が奔り、歪んだ音が響き渡る中。
        予想もしていなかった下段からの切り上げによって銀槍を打ち払われ、大きく体勢を崩した眼帯の女は初めて動揺の色を顔に浮かべる。
        生じた隙を逃すまいと、アスワドは左の逆手を腰に佩いていた妖刀『月虹』に添え、その刃を抜き放とうとした刹那。
        アスワドの行く手を阻むように、黒鉄の蛇がその身を撓らせて甲板に振り下ろされる。
        -- 2020-12-19 (土) 00:41:06
      • 「スラオシャ! 下がりなさい!」
        ミスラの声に従うように、スラオシャと呼ばれた眼帯の女は大きく跳び退って、乳母車の近くへと着地する。
        黒衣の少女が身に着ける、白銀の肩当から伸びた黒鉄の蛇が、甲板に大きく穴を穿ってアスワドへと頭を向ける。
        もう一つの蛇頭は、その口を大きく開けると、内部から収束した白光を解き放つ。
        アスワド目掛けて放たれた光は、『夜明けの剣』が発生させた防壁によって、西日の空へと逸らされ散っていく。

        「アスワド。この光弾はヌールのコントロールです。回避は不可能なので防壁でしか防げません」
        二つの黒い蛇頭がアスワドに狙いを定めながら、伸縮自在の蛇腹をくねらせて、剣の間合いから離れていく。
        迂闊に間を詰めることも出来ないまま、アスワドは舌打ちをして、ミスラとスラオシャへ交互に視線を送る。
        「スラオシャはオリジナルヌールの一体です。補助兵装の槍と合わせれば、こちらの出力とエネルギーゲインを上回ります」
        「ミスラの方は?」
        「両肩の兵装はそれぞれ独立した出力を備えたユニットです。一つ一つの出力はこちらの半分ほどしかない模造ヌールと推定できますが」
        「御推察通りです、ドーン・ブレイカー。加えて言うならば、私のザッハークは模造ヌールを連結したユニットですので、合計出力は貴女にも引けを取りませんよ」

        黒衣の少女は、10メートルほどの間を置いて相対する男へ射抜くような視線を送りながら、静かに言葉を紡いでいく。
        「ザッハーク」
        ミスラの言葉に呼応するように、機械仕掛けの黒蛇が、ほんの僅かに頭を反らして再び光弾を発射する。
        瞬き一つする間に、アスワドの足元を白光が掠めていった。
        「アスワド・ファジュル。そちらに勝ち目はありません。ドーン・ブレイカーを手放して投降してください」
        -- 2020-12-19 (土) 00:41:41
      • 「白旗でも上げますか?」
        射出された光弾を前にして、身じろぎもせずにいた主に対し、『夜明けの剣』は極めて軽い調子で告げる。
        「ぬかせ。出力比とエネルギープールで勝負が決まるか」
        「まだこちらは奥の手を控えています」
        「なんだ? とうとうルーを人質として使う腹か?」
        「……アルファルドは徒に命を奪うことはありません。無論、それは私も同じです」

        ふざけるな。無関係な赤ん坊を拐かしておいて、どの口が言うのか。
        視線に怒気を滲ませて、アスワドは長剣を握る手に力を籠める。
        男の鋭い視線に一瞬だけ怯むように愁眉を曇らせ、黒衣の少女は己の憂いを打ち払うように右手を振るう。
        「スラオシャ。手筈通りにヴィディヤーを起動させなさい」
        頷きを返すスラオシャは、身に着けていた黒い眼帯を取り外す。
        覆いが取り払われた左目は、奇妙な虹彩を持つ翡翠色の輝きが煌めいていた。
        その翠眼がアスワドの方へと向けられた途端、男の手にある白銀の剣にずしりとした重みが加わる。
        「アスワド。次元切除機関が励起できません。反応炉も停止しました」
        -- 2020-12-19 (土) 00:42:42
      • 『夜明けの剣』自身によって為されていた重力制御が解けたことで、本来の質量がアスワドの腕に重くのしかかる。
        エネルギー残量の問題ではない。最低限の稼働に回せるエネルギーならば、対消滅反応炉による大気成分の変換で賄うことが出来る。
        次元切除機関の励起が出来ないという事は。何らかの手段により魔術回路を遮断されたか、或いは……。
        眼帯を取り外したスラオシャを見据え、幾つかの可能性が頭の中を行き過ぎていくアスワドの視界の端に、異形の影が2つ躍る。
        黒い蛇身をくねらせて、鞭のように撓る2匹の蛇が、長剣を構える男へと一斉に襲い掛かる。

        「防壁出せません。何とか凌いでください」
        「出せるのは憎まれ口だけか」
        人の胴回りほどある巨大な蛇腹が迫る中、アスワドは『夜明けの剣』の刀身を斜めに寝かせる様にして、身を低く構えながら切っ先を地面へと傾ける。
        横薙ぎに払われた蛇頭が叩きつけられる瞬間。刀身の側面で下から掬い上げるように、蛇身の影へと長剣が差し込まれる。
        そのまま剣ごと男の体を圧し潰そうとする蛇身へと、寝かせた刀身の内側から押し当てた右半身が呼気と共に跳ね上がる。
        僅かに上方へと流される黒い蛇身の下で、白銀の刀身がくるりと翻り、身を跳ね上げた勢いを乗せて回転の切り上げが放たれる。
        黒い蛇頭がアスワドを払いのける様に剣へと触れてから、切り上げが放たれるまで。
        瞬刻の内に行われた動作は自然と力の方向を受け流し、水を打つような手ごたえを残して蛇身が浮き上がる。

        「逸らされた!? ……ザッハーク! 戻りなさい!」
        「遅い!」
        機械仕掛けの黒蛇の硬度と質量に任せて相手を叩き潰す筈が、防壁も無しに剣一本で受け流される。
        想定外の事態で生じたミスラの判断の遅れを見逃さず、アスワドは『夜明けの剣』の柄を手放すと、右手を腰に佩いた刀へと伸ばす。
        後退していく2つの蛇頭目掛け、抜き放たれた妖刀の煌めきが、残紅の空を鮮やかに切り裂いていく。
        ──無走剣。鞘走りで加速した神速の抜き打ち。生み出された衝撃波で遠間の対象を両断する居合の秘奥。
        虹色の光が走り、黒い蛇頭に追い付こうとした刹那。
        展開された絶対物理防壁によって剣速の衝撃波が散らされる。
        -- 2020-12-20 (日) 20:33:29
      • 「無駄です! 防壁を無効化できないそちらに勝ち目はありません!」
        「それはどうかな?」
        アスワドは抜き放った刀を再び鞘に納め、手放していた『夜明けの剣』を拾い上げる。
        居合の技を防壁に阻まれたことはさして気にした風もなく、どこか余裕を感じさせる面持ちで静かにミスラとスラオシャへ視線を送る。
        眼帯を取り去り、銀槍を手にしたまま不動の構えで此方をじっと見据えているスラオシャ。
        ミスラは自身が口にした絶対的優位とは裏腹に、顔には焦りを滲ませて、灰色の髪を海風に揺らしている。

        「アスワド・ファジュル。これ以上抵抗をするのであれば、こちらも加減は効きません。大人しく投降してください」
        なぜ黒蛇を下がらせたのか?
        防壁を展開させるのならば、剣で受け流された瞬間にその場で展開させれば済む話だというのに。

        「私たちは協力し合える筈です。シェーシャの件も……貴方やご子息とは無関係ではありませんし……」
        なぜスラオシャはフォローに入らないのか?
        『夜明けの剣』を手放した瞬間、こちらへ打ち込む気配すら見せなかったのは何故か?
        防壁が展開できない此方からすると、彼女に押し切られれば為す術も無いというのに。

        「……あの! 聞いていますか? ちゃんと返事をしてください!」
        先ほどから呼びかけを無視し、対手の不可解な動きを沈思黙考しているアスワドに、ミスラは両拳を握りしめて抗議の意を示す。

        「此方側の苦しい事情を斟酌いただき、慙愧に堪えない次第だ」
        「……どういたしまして! 皮肉以外のご返答を頂ければ幸いです!」
        ムッとして柳眉を逆立てる黒衣の少女へ、ほんの微かに口の端を緩ませる黒髪の男。
        殺さぬように手加減をされている。それだけがこの不自然な状況の理由では無い。
        -- 2020-12-20 (日) 20:35:55
      • 「そうだな。次の一手が通用しなければ大人しく投降しよう」
        そう言い放つとアスワドは『夜明けの剣』の切っ先を甲板に立て、左の逆手で腰に佩いた『月虹』を抜き放つ。
        遠間から怪訝な目で様子を見守るミスラを前に、『月虹』はアスワドの右の手の甲を浅く切り裂く。
        流れる血の一筋が手から『夜明けの剣』の柄や刀身を伝い、赤い軌跡を残していく。

        「……な、何を?」
        黒衣の少女が不可解な動きに目を瞠る中、妖刀を鞘に納めた男は『夜明けの剣』を握りなおして強く念じる。
        絶対物理防壁を最大出力で展開しろ。発動できるタイミングでいい。
        「了解しました」
        手短に応答する『夜明けの剣』へ不敵に笑い、ありったけの力を漲らせて逆手に持った剣を大きく振りかざす。
        剣の振り方ではない。まるで投げ槍を投擲するような体勢。

        「……スラオシャ! ヴィディヤーを解除して!」
        黒衣の少女が男の意図に気づいて叫んだ時には既に。
        10メートルほどの距離から投擲された『夜明けの剣』が凄まじい勢いで迫ってくるのが見えていた。

        「ザッハーク!」
        ミスラの叫びと同時に、二頭の黒蛇が発生させた絶対物理防壁が、投擲された『夜明けの剣』の勢いを殺していく。
        そのまま防壁が『夜明けの剣』を飲み込んでいくかと思われた直後、鮮血の伝う白銀の刀身が淡く輝く。
        再度励起を開始した『夜明けの剣』の次元切除機関が、主の血中に残ったナノマシンと思念を通じて出力が100%まで押し上げられ、防壁が展開される。
        ザッハークと『夜明けの剣』が互いの絶対物理防壁を無効化させた瞬間、ミスラの眼前まで間を詰めていたアスワドが佩刀の鯉口を切っていた。
        -- 2020-12-20 (日) 20:37:07
      • 「やはり対象指定型では無かったか」
        黒衣の少女の目に、きらきらと虹色の光が二度走った。
        地を駆けるように飛翔する燕が空へ舞い上がるが如く。
        速く鋭い抜き打ちの切り上げが、二頭の黒蛇に放たれる。
        黄昏時に春を告げる対の燕が、虹の軌跡を描いて、偽りの蛇に終わりをもたらす。
        高機能鋼鉄材で組成された機械の蛇は、敢え無く妖刀に両断され、少女の灰髪がはらりと揺れた。
        居合の剣速は、少女の髪を飾る髪留めの青い薔薇を散らしていく。

        つと男が視線を横に流せば、舞い散る青い花びらの奥で、眼帯を付け直した女が鋭い殺気を滲ませている。
        「左眼の視界範囲でヌールの機能を無効化する、といったところか?」
        「……スラオシャ! 駄目! 退きなさい!」
        右目に燃え立つような炎を宿し銀槍を手に向かってくる女へと目掛け、『夜明けの剣』は再度防壁を展開して飛翔する。
        白銀の光がぶつかり合い、互いの防壁が消失した瞬間、またもや茜色の空に虹の光が煌めいた。
        「……!」
        甲板の上に銀槍が転がり、少し遅れて切り飛ばされた黒い手首が、ガシャリと地に音を響かせる。
        無言のままに右手首を切り落とされて片膝をつくスラオシャへ、ミスラは慌てて駆け寄っていく。
        -- 2020-12-20 (日) 20:38:46
      • 躊躇なく相対する敵を無力化していく刃を引っ提げて、黒髪の男はゆっくりと歩を進めていく。
        コツコツと甲板に響いていく硬質な音。玄妙な輝きを湛える刀の波紋。揺るぎない透徹とした眼差し。
        ゆっくりと着実に近づいてくる結びの予兆に、黒衣の少女は毅然と顔を上げてアスワドの黒い瞳を見据える。
        「……どうかスラオシャだけはお目溢しを。オリジナルのヌールが失われるのは人類の損失に他なりません」
        「知ったことか」

        七色の輝きがくるりと宙に弧を描く。
        黒鞘に刃を収めて静かに行き過ぎていく男の背を、少女は呆けたように見つめる。
        乳母車ですやすやと穏やかな寝息を立てている赤子を抱き上げて、男は苦笑交じりに呟いた。
        「こんな状況でも夢の中か。大物になるよお前は」
        抱いた赤子へ柔らかい眼差しを向ける男を見て、黒衣の少女は全身の力が抜けたようにその場でへたり込む。
        -- 2020-12-20 (日) 20:40:10
    • 「一つ気になることがあります。質問宜しいですか?」
      ふわりと空中に浮いている『夜明けの剣』が、ミスラの眼前に文字列を投写する。
      「シェーシャという破廉恥女から提供されたこの座標。アルファルドの遺伝子貯蔵庫がある地点で間違いありませんか?」
      「は、はい。相違ありません。今は私が施設の管理者を務めています」
      破廉恥女……? と疑問を顔に浮かべながら、ミスラは問いに素直に答えていく。
      「貴女が管理者。となると。もし貴女方が出向く前に、私とフォス、もしくはアスワドが訪れていた場合。どのように対処していましたか?」
      「それは……今回と変わりません。ご助力頂けるようお願いし、叶わぬのならば……」
      「では、我々が遺伝子貯蔵庫の情報を提供された時点で、貴女方と潰し合うことは予測できたわけですね」
      『夜明けの剣』が指摘した点に、はっと目を瞠って黒衣の少女は口元に手を当てる。

      赤ん坊をしっかりと抱きとめて、近くまで歩み寄ってきたアスワドが、冷静な口調でミスラに訊ねる。
      「その遺伝子貯蔵庫に配備された戦力は?」
      「……私のザッハークとスラオシャを除けば、自律稼働の模造ヌールが1体のみです」
      状況が見えてきたアスワドは鼻を鳴らして、北の空へと忌々し気な視線を送る。

      思えば最初から不自然な話だった。
      ファジュルを装いながらも簡単に露見する方法で此方と接触をし、アルファルドとの対立を煽る遣り口。
      現にアルファルド側へは、シェーシャから提供された情報も物品も全て筒抜けの状態だった。
      その状況も誰かがお膳立てしたものであろうことはすぐに推察できた。

      「体よくデコイにされたな。俺達は」
      「得をするのはシェーシャというウルトラクソビッチだけということですね」
      -- 2020-12-20 (日) 20:41:15
      • 「シェーシャはかつて遺伝子貯蔵庫の主任研究員でした……確かに内情には通じています……しかし」
        「アルファルドも一枚岩ではないだろう。お前さんを見れば良く分かる」
        「あり得ません……! あのような振舞いを行う外道を……復権させようとする者など……!」
        憤りに唇を強く噛むミスラを心配するように見遣って、傍に侍っていたスラオシャが黒衣の少女の肩を抱く。

        果たしてこの少女の言は信ずるに値するのか?
        冷静に見定めようとする『夜明けの剣』は、その判断を主に預けて、更なる疑問を口にする。

        「シェーシャという女。独断専行と研究の私的専有でアルファルドを10年前に放逐されている、ということでしたね?」
        「……はい」
        「その件かどうかは分かりませんが、あの女の行いに、アスワドとフォスが関係しているような口振りでしたね」
        「それは……」
        言葉を濁すミスラに、『夜明けの剣』の懸念は強まる。
        10年前。それが強い引っ掛かりを感じさせる。

        「……アスワド・ファジュルとその関係者への危害は最小限に留める。それが18年前の過ちから我々が課したルールでした」
        18年前。己とドーン・ブレイカーが極圏の海底シェルターから脱出を余儀なくされた件か。
        アレを過ちの一言で済ますのか、と内心に嘆息を留めて、アスワドと『夜明けの剣』はミスラの言葉を待つ。

        「かつてアスワド・ファジュルにご助力を願うにあたり、いくつかの懸念事項がありました。その一つ……近しい者が心理的な枷になっているのだろう、と」
        苦々しげに眉根を寄せて、絞り出すように黒衣の少女は言葉を続けていく。

        「10年前、シェーシャは独断で遺伝子改良技術とヌールの生体同化技術を用い、傀儡化させた巨大な海魔を生み出しました」
        口にすべきか、すまいか。その迷いで瞳を揺らし、赤子を抱く男を見上げ、また視線を落とす。
        黒衣の少女に傍らの女がそっと身を寄せる。

        暫しの沈黙の後、迷えるままにミスラは再び口を開いた。
        「……その巨大海魔に都市中枢船『ゴールデンロア号』を襲撃させ……数多の人命を奪った咎により、シェーシャはアルファルドを放逐されました」
        「もういい」
        -- 2020-12-20 (日) 20:42:29
      • 海鳥の声に混じって、赤ん坊の泣き声が周囲に響き渡る。
        総身から怒気を滲ませて、胸元で赤子を抱く手を戦慄かせ、アスワドは烈火のごとく瞳を燃え立たせている。
        「この事をお前さんが語り出すのまで、その女の織り込み済みかと思うと、腸が煮えくり返る」
        「おー。よしよし、ルーくん。ドーンママと遊びましょーねー。はーい。たかいたかーい」
        『夜明けの剣』は泣き出した赤ん坊を素早く刀身の側面へと乗せて、ふわふわと浮き上がる。

        その光景を濡れた瞳に映し、項垂れる黒衣の少女。
        彼女を支える様に肩を抱いている眼帯の女が、主の意を酌んだように初めて口を開く。
        「我々は一時協力し、シェーシャを討つのが最良と判断します」
        「私怨の混じった刃でその女を殺したところで、イーリスは帰ってこない。喜びもしない」
        「義で討つのです」

        義など、どこに存在するのか。
        感情の色が見えない平坦なスラオシャの言葉に、またぞろ胸の内に怒りの火が灯っていく。
        隻眼の青い瞳と、鋭く突き刺すような黒い瞳がぶつかり合う中、黒衣の少女が面を上げる。

        「……シェーシャがアルファルドを放逐されたのは、危険な思想と研究が結実することを危惧されてのことだという話があります」
        極めて疑わしい話ですが、と継いで、ミスラは言葉を絞り出していく。
        「ヌールを用いた陸地再生には、現人類の生存に用いる資源全てを、ヌールの新規製造や稼働のリソースに転換することが必要で」
        「その為に、現在生存している人類の頭数を減らさざるを得ない、と? 本末転倒な話ですね」
        先ほどまでの泣き声はどこへやら、きゃっきゃとはしゃいでいる赤ん坊を乗せた『夜明けの剣』が、呆れた様な声音で合いの手を入れる。

        「陸地を再生させた後にまた人類を増やせばいいのだ、と。そうした論調であったと記録されていました」
        「確かに思想は危険ですが、水に書いた絵ですね。遺伝子改良技術や生体改良技術の研究で、実現可能性があるとは思えませんが」
        「生物の改良は彼女の研究にとって主たるものではありませんでした。主任研究員時代、彼女が最も注力していたのは藍藻をはじめとした藻類の研究です」
        「藻類、だと?」
        -- 2020-12-20 (日) 20:44:04
      • 直接的な脅威を想像していたアスワドと『夜明けの剣』は、予想外の答えに面食らう。
        「藻類ってバイオマスの主原料じゃないですか。人類の口減らしよりも、益のある研究に結びつくように思えますが」
        「はい。ですので、極めて疑わしい話だと……しかし彼女が公益性の高い研究を優先するとは、到底思えないのです」

        「……マスター」
        静かに経緯を見守っていたスラオシャが、答えの出ない議論をぶった切る様に口を挟む。
        「どうしましたスラオシャ?」
        「遺伝子貯蔵庫に残存していた模造ヌールの反応が消失しました。通信も途絶しています」
        「あらら。ウルトラビッチの絵図通りというわけですか」
        冷静に事実を伝える従者の言葉に、ミスラは顔色を失くして地に頽れる。

        アスワド・ファジュルの協力は得られず、模造ヌールのザッハークを失い、遺伝子貯蔵庫はシェーシャの手に落ちた可能性が高い。
        見通しの甘い少女が考えうる限り、事態は最悪の方に転がっていた。
        このような失態を犯した自分に、今までの地位と身分はおろか、命が残るかさえ危うい。
        -- 2020-12-20 (日) 20:47:43
      • 「不味いことになったな……」
        水平線の彼方に沈んでいく斜陽を目にしながら、アスワドは眉間に皺を寄せて呟く。
        その深刻そうな声音に引かれる様に、黒衣の少女は視線を上げて男を見遣る。
        「夕食の準備に間に合うか……? ルーを20時までに寝かしつけなければならんというのに」
        「早く帰りましょう。フォスもお腹を空かせて待っていますよ」
        「……え? え? あの?」
        さっと踵を返していくアスワドと『夜明けの剣』に、呆気にとられた顔をしているミスラ。

        呼び止める様に黒衣の少女が伸ばした手は、宙を弱々しく彷徨っている。
        「お前達の都合に合わせていられるか。話をしたいなら付いて来ればいい」
        「……え? その? わっ、スラオシャ!?」
        甲板にへたり込んでいる主を迷いなく小脇に抱え、スラオシャは銀槍を手に男たちの後を付いていく。

        夜の帳が降り始める甲板を振り返り、アスワドは眼帯の女に抱えられた黒衣の少女に視線を合わせる。
        「ミスラ」
        「……は、はい。なんでしょうか?」
        「嫌いな食べ物やアレルギーはあるか?」
        「……あ、ありません」
        未だに混乱の中にある少女の顔に、ふっと微かに口の端を綻ばせ、男は落日に背を向ける。

        愉快そうにきゃっきゃと笑っている赤子を乗せて、『夜明けの剣』は呆れたように呟いた。
        「はーやれやれ。ほんと面倒くさい男」
        -- 2020-12-20 (日) 20:49:03

Last-modified: 2021-01-11 Mon 21:36:29 JST (1203d)