「矛盾の魔王」 クローベル(バッカーノ)シィナノード(エリオルネッド) ID:402300 Edit

役割:マスター
年齢:20台?
性別:
edit/refer
理由:聖杯を手に入れるため
状態:設定書き中
シーズン2没:ステータス/戦歴
シーズン3より:ステータス/戦歴
テーマS:○聖杯戦争○エリオルネッド

データ Edit

マスター?
ありふれた別れと、決意と設定等

【外見】
『狐面をしている』
『黒髪短髪』
『着流しを着ていて、武器は柄の長いスレッジハンマー』
棒術のように柄で戦うことが多い。
『誰もいないときは洞窟の壁に凭れ掛かって寝ている』
全身図
セルマと
表情
現状
【保有スキル】
『痛みに異常に強い』
一時的なら痛みを忘却できる。
『戦闘力は普通の冒険者並』
鯖だと相手にならないが簡単にやられもしないレベル

【令呪】
1『三つの質問に応えるまでクローベルを殺せない』
2『セルマが常に思い通りに暴れられるよう万難を排す』
真名:クローベル=シィナノード
クラス:マスター
サーヴァント:セルマ
属性:混沌・中立

集計 シーズン3 基本脱落数 6 Edit

シーズン3初日二日目三日目四日目五日目六日目七日目合計
クローベル30020621000100034512206276812787
セルマ214643322600254751211900553524151
合計244663943600354785724106830336968

設定 Edit

  • 矛盾の魔王の眷属と化している。
    • 魔王の魔力によって生かされているという設定なので、魔王が落ちたときも何らかの影響がある。
      • 現在は『便利な利用先』程度にしか思っていない。
  • 常に冷静、というよりは病的にテンションが変わらない。
    • 思考をしているのかしていないのかすら分からないほど。
      • //意図的に感情に掛かる部分を遮断しているためである。
  • 楽しさが琴線に触れるほどになると、若干喋り方が感情的になる。
  • 着流しを着ている。
    • サイズが若干小さく、生前誰かが使っていたものを拝借しているようだ。
  • 食事を必要としない。
    • 水分補給すら必要としないが、食事をする器官は残っているらしい。
  • 体温がない。
    • 触れれば、人の体温とは思えないほど冷ややかな温度が帰ってくるだろう。
      • また、脈動がなく、心臓が鼓動しているようにも感じられない。

各モード Edit

  • モードを切り替えることによってさまざまな力を得られる。
    • 全て『矛盾』を素とした魔術的な因子に拠るものであるため、魔法が使えない空間などでは使用不能。

      モード名効果
      フィスト《【筋肉量増加】
      膂力の向上。また、指向性のある波動を飛ばせる。
      スカイウォーク《【空中浮遊】
      短期ではあるが重力の束縛から逃れられる。ただ、空中では支点がないため無防備。
      サヴァン《【未来視】
      短期的な予知能力。事実からの予測能力。
      シール《【無呼吸運動】
      水中で無呼吸での活動が出来る。
      S/E《【シリアル・エクスペリメンツ召還】
      セシリーの遺品である緑色の自動人形によって身体を守る。
      ある程度自律的に攻撃を防御してくれる。
      パネル《【防御パネル作成】
      指向性のある攻撃に強い盾を作り出す。同時に7枚まで展開できる。
      パラドクス《【矛盾の魔王の力】
      リトアード《【大戦斧】
      重さのない、光を反射しない闇でできた大戦斧を生み出す。
      サナダ《【漆黒刀】
      重さのない、光を反射しない闇でできた漆黒の刀を生み出す。
      ブラッド《【エリオルネッドの血統】
      魔の眷族を生み出すことができる。また、無生物に命を与えることができる。

交戦録 Edit

出会いにより得た破片master印象servant印象
機会クローベル得られた機会、無駄にはしないライダー手に入れた力は有効活用しようじゃないか。
理解プリス害はない、それだけだ。それ以上でも以下でもないアンサラー同盟とは……随分と安寧の中で暮らしているようだな
迂回シンシア無自覚であることは罪悪だと知るときが来る恐らくそのサーヴァントバランスを取るかのごとく、優秀なサーヴァントのようだが、最後まで『護りながら戦える』かな?
崩壊サリア(未遭遇)ランサーありがとう、礼を言う。おかげで完全に道を踏み外せた。
打開矛盾の魔王利用できるもの、全てが力だモンスター(創作)(未遭遇)
持戒ダークエルフの女いずれわかるさ、その力の素晴らしさがエイプリル?右目の借りは、必ず返す。

――神様、もう一度だけ。

生まれて初めてそう思えるような、本当に取り返したい時間。
青年は暗闇の中から手を伸ばした

青年には二つの誤算が与えられる

一つは、その手を握り返す者がいたこと。


――もう一つは、
      願いを叶えてくれるのは神様だけではなかったこと。


本編【街中の一軒家】 Edit

仮名>聖杯/狐面
お名前:
  • ――黄金暦 ?年 ?月  とある廃村にて。 -- 2010-05-23 (日) 22:01:44
    • (空間を指先で切り裂き、降り立ったそこは、廃村だった。もう幾年も前に滅びたそこは人の気配はない)
      (ぐるりと睥睨すると、静かに狐の面を外す。それを左手に持ち、どこか寂しげにその情景を見る)
      ……着いたぞ。セルマ。(虚空に向かって言葉を投げる) -- 狐面 2010-05-23 (日) 22:02:16
      • (その場に実体化し、廃村を眺める)
        なんだ……ここは。(そこは足音がやけに大きく聞こえる程に空虚な、コミュニティの残骸) -- セルマ 2010-05-23 (日) 22:10:58
      • かつて、鉱山で栄えた町だった。だから、鉱物が取れなくなれば、こうなるのも早かったみたいだ。
        ……オレはこの町で育ち、過ごした。こうなった、って知ったのは、皮肉にも、オレが一度死んでからだったけどな。
        (振り返る。金色の髪を持つ青年が、セルマを見る)初めまして、かな。
        喜べよ。目の前にいるのが、お前の最後にして最大の敵だ。約束しただろう、戦いの日々と癒えない罅、鉄を呼吸し血を滾らせる戦場を。お前の望む、戦場は、ここだ。
        (その全身から、矛盾の瘴気とも呼べる黒いオーラが消えている。そこにいるのは、一人の冒険者でしかない)オレの本当の名前は、バッ ーノ=エリオルネッドだ。(言葉は、不自然に千切れる)
        一度壊れ、組み替えられた名前は、まだ完全には名乗れないが、覚えておくといい。
        これが――お前を倒す英雄の名前だ。 -- バッ ーノ 2010-05-23 (日) 22:21:39
      • (皮膚にぴったりと張り付くような空気、親指の腹で唇を撫でて自らの主の言葉を聞く)
        ――矛盾の魔王の力がかなり浸食しているらしいな。マスター…もう自らを成した名前すら朧か。
        くっくっくっくっく………(女の全身から魔力が放たれる。それは足元から凍てつかせるような、負の力)
        くっきかかかかかかかかかかかかッ!!(心から可笑しそうに笑い声を上げ、髪をかきあげる)
        ひっひひひひひひひひひひひゃっひゃひゃっはっははははーっははっはっはっはっはっはっはッ!!!
        英雄? ただの人間が私に戦場をくれるだなんて最高、カッコいいッ抱いて!! ひゃあっはっはっはっはははははははははは!!!
        でッきるワケねぇえええええええええええェェ!! 出来るわけねぇだろォォォォォォオオオォォォォ!?
        残った最後の令呪は? 矛盾の魔王を取り込んだ絶大な力は? 全部放り出して生身で戦うつもりかッ馬鹿がぁぁぁ!!
        (思う存分金髪の青年を嘲笑い、その後にふっと真顔に戻り)魔人を舐めるな。人間。 -- セルマ 2010-05-23 (日) 22:34:04
      • (哄笑するセルマを見据え)――笑えよ。英雄だってな、皆笑われてきたんだ。人間であることを辞めるために、皆幾千幾万の嘲笑の中を歩いてきたんだ。
        何一つ捨てられず、何一つ諦められなかった。今まで何度もあった選択で、両方を選び続けてきた。そしてそのたびに笑われてきた。
        (闇の衣を脱ぎ出すと、バッカーノとしての姿がある)安心しろ、最後の令呪は、今から使う。――『自由を』。(頬の令呪が消える。これで完全に生前と同じ――違うところは、髪が完全に金色と化した点のみ)
        舐めちゃいねーよ。なんせ、オレが作り出した魔人だからな。お前は。
        オレは、どっちでも良かった(・・・・・・・・・)んだよ。
        オレの目的はただ一つ、拾い集めた全ての欠片を持ったまま、先へ進むこと。語り継ぐこと。黄金の伝承となることだったんだ。
        だから、オレは本当は魔王であろうが、英雄であろうが、どっちでも良かったんだ。
        どちらだろうと、セルマ、お前やランサーのように、永遠の輪廻の中を生きられるなら、な。
        だからオレは。……あるときから、こう思い始めた。――魔を倒して、英雄となるのも、悪くないとな。
        そのときから、オレはお前と言う最高の魔人を作り出し、それを打ち滅ぼすことによって、英雄になろうと決めた。
        (ここにはいない英霊に向けて呟く)――これが、答えだ、ランサー。オレは、どれか一つを選ばず、全てを抱えて先へ進む。
        人間(バッカーノ)であり、魔王(クローベル)であり、英雄(エリオルネッド)であれば――何一つ捨てずに、未来(さき)へ進めるッ!!(モード【(バイル)】身体の筋繊維が増大する。手に持つスレッジハンマーをぎゅっと握った) -- バッ ーノ 2010-05-23 (日) 22:49:37
      • ああ――お前は自分が英雄たらんと思っているようだな。
        だがお前は今まで戦ってきた英霊を見てきただろう?(尚も喉の奥でくっくっくと笑い)
        アカシャを統べし勇者ブレイブアークを! 混沌をも玉鋼に打ち封ず終世の鍛冶師アンダーテイカーを!
        血と闘争に切り出された白銀、剣聖リオットを!! そして―――
        人としての力と一振りの剣で危難万魔を払うランサーという男を!!
        お前が及ぶと思っているのか? 本気で、一片の疑いもなく己の中の『英雄』を信じられると思っているのかよォ? キヒヒヒヒヒヒッ!!
        私を討ち、座にて英霊と成るか。(白と黒の入り混じる魔道兵装、その袖を破って右腕は異形のそれへと変わり)
        さっぱりがっかり愕然呆然ッ! 全ッ然駄目だぜぇ……are you serious?
        (異形の肉塊となった右腕が虚空からハルバードを掴み出し)【突撃槍の異形騎士】!!
        人間は殺す! 魔王は消す!!(女性の身に不釣合いな腕は不釣合いな超重武器を振り上げ)
        英雄はヒトッ欠片も残らねぇように黄金の伝承(ゴールデンロア)から消し去る!! お前の存在もなぁぁぁぁぁぁ!!!
        (その場から一歩も動かず、相手へ向けて凄まじいリーチの腕とハルバードを横一閃に薙ぎ払った) -- セルマ 2010-05-23 (日) 23:14:20
      • (モード【(アクア)】応用――無呼吸運動。呼吸なしに踏み込み、ギリギリのところで横一線のハルバードを避ける)
        (が、神速の領域の一撃に、本能が色濃く死を予言する。同時に、発動させる――モード【(セシリー)】)来いッ!!(セシリーより受け継いだ深緑の自動人形が、鎧となって身体を覆う)

        ――ッ。

        (視界は反転し、明滅し、自分が横薙ぎのセルマの一撃によって吹き飛ばされたとようやく気付く。地面を肘で抉りながら砂煙を上げて止まる)
        がふっ……!(鎧でも殺しきれなかった衝撃に、黒血を吐く。鎧がなければ、即死どころか、消滅していただろう)……はぁ、は。
        (モード【(アクア)】を再び発動させ、口元を拭い、立ち上がる)見たさ、特等席でな……。どいつもこいつもバカみてーに強くて、再び現世に戻ってくるくらいの譲れない願いを両手に持って……!
        だけどな、それならオレだって、譲れない物くらいはある!!それ以外の全てを一度捨て、もう一度拾い上げるくらいに、大事なものがッ!
        確かにオレはよえーよ。生きてるときは言うまでもなく、ここまで戦争を生き返るのだって、誰かの力を借りなければ、成し得なかった!
        (モード【(ニコール)】――高速飛翔。開いた距離を飛行能力で詰める。来るであろう宝具での一撃に備え、七重に重ねたパネルを盾に、突っ込んでいく――モード【(オーガニック)】)
        だからオレは、その弱さも纏めて持っていくことに決めたんだァッ!! (まるで玉砕覚悟の突進のような無謀な一撃に映るだろう) -- バッ ーノ 2010-05-23 (日) 23:34:08
      • (空気が焦げ、空間が裂け、次元が割れ、世界が悲鳴を上げるたった一振りの暴力)
        (吹き飛んだ青年を見遣ると異形には似合わない優雅さでハルバードを地面に下ろし、脈動する異形の右腕を小刻みに震わせた)
        そのまま特等席に居れば良かったんだろォ……? 私を前線に出し、矛盾の魔王の力で幻実の境目をたゆたえばよかったんだ。
        くっくくくくく!!(異形の肉塊からずるりと生身の右腕が抜け出て一本の刀をその手の中に投影する)
        弱さと夢を抱えたまま突撃して死ぬのがお前が考える英雄かァ? キヒッ――【終怨の亡霊武者】
        ガァーナダーンス?(切っ先をこちらへ突撃する青年、その楯の中心点に向け)
        死ッ(こちらから身を乗り出すよう白刃を突き出し)ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!! -- セルマ 2010-05-23 (日) 23:55:26
      • (――瞬きをする間も)
        (――息を呑む暇も)
        (――攻撃に備える間もない)
        (その圧倒的な暴力に対して、一点集中させたはずの盾は、まるでガラスのように爆ぜ割れた)

        (なのに)
        (二つに分断されることなく、まるで雪のように舞い散るパネル片の輝きの中)
        (――真っ直ぐに。セルマを見つめる影)

        (その手には。セルマと同じ白刃が握られている)
        (その形は歪で、まるで不出来な模造品(レプリカ)のようだが、大理石をも両断するはずのその一撃は、確かに受け止められていた)
        (身体が、受け切った衝撃で、軋みを上げた。口の端から、再び黒血があふれ出す)

        ――【終怨の亡霊武者】ッ。――モード【(セルマ) -- バッーノ 2010-05-24 (月) 00:09:53
      • (息が止まった―――いや、呼吸すら忘れた)
        (自分がそうなっているのが、驚きに因るものだと理解するのに思考のラグがあった)
        (目の前の男が持つ武器は形こそ歪だが確かに。紛うことなく。『自分が持っている刀と同じ紛い物』)
        うわああああああああぁぁぁぁぁ!!
        (自分の口から何故叫びが零れるかも分からず、力任せに刀を振り払いながら大きく後ろに下がった)
        あ、ああ……!!(言い知れぬ感情を振り払うためにダイゴの刀を持って青年に斬りかかる)
        (袈裟掛け、逆胴、そして再び確実に息の根を止めるための心臓を狙った平突き――がむしゃらにも見える三連斬) -- セルマ 2010-05-24 (月) 00:26:55
      • (纏った自動人形が、ギリギリでそれをいなす。一打ちごとに盛大に火花が散るが、紛い物であろうともかつての侍が手にした刀は削れもしない)
        (袈裟懸けをいなし、胸板を切断される。心臓には届かず。死なない)
        (逆胴によって避け損ねたわき腹――鎧の隙間を狙われた。――内臓が零れ出しそうになるのを鎧が封じる。死なない)
        (心臓を狙った平突き。――左肩をくれてやった。鋭い刀は左肩を貫き、そのまま身体を横に倒したので左肩の肉を抉っていった)
        (人間の赤い血が口腔から零れ、その中で凄絶に笑う。死なない。――死ねない)

        (後ろに大きく跳ぶ。その顔には、バッカーノとしての笑み)一度失ったものは取り戻せる。でも、一度壊れたものは直せない。だったら。
        (ビッ、とその手の剣を振り)オレは、拾い集めることにした。一つずつ、失った自分を、兄弟姉妹の手によって。
        (バイル)(アクア)(セシリー)(フローレンス)(ニコール)(オーガニック)
        オレは兄弟の力で、オレとして成り立っている。――家族の力で、オレはできている。
        これが、答えだ、セルマ(Celma)
        オレは、弱い。弱いから、誰かと共に。記憶と共に。……家族と共に、歩んでいくことにした。
        そして。
        これだけ長く歩いてきたんだ。――お前も、もうオレの家族ってことにした。(生前の笑顔で笑い)
        オレは弱いから。誰かに助けられねーと、オレとしていられねーからな。
        だから……(真っ直ぐ。今度は微塵の笑みもなく)お前も未来(さき)へ連れて行く。(セルマを、見た)
        (家族としての力。バッカーノとしての力によって具現化したセルマの『万象顕現す箴言の律動(トライアンフ・カレイドスコープ)』)
        ――英雄、バッカーノ=エリオルネッド。魔王、クローベル=シィナノード。どっちでも、好きな名前を抱いて眠れ。魔人、セルマ=レイネス。 -- バッカーノ 2010-05-24 (月) 00:41:05
      • (自動人形と白刃に弾かれ、散る火花に浮かび上がる相手の顔が恐ろしかった)
        (斬り付けた一刀が浅いと分かった時、自らを呪った)
        (致命の一刀を持ってしても鎧が相手の命を繋ぎとめた時、喉の奥から込み上げる悲鳴を必死に飲み込んだ)
        (深く相手の肩を刺し貫いても、この男は――バッカーノ・エリオルネッドは笑っている!!)
        あ……あああああぁぁぁ!?(相手の肩に刀を刺したまま手から力は抜け、そのまま武器を手放して後退りしてしまう)
        バイル……アクア…セシリー……(一歩、また一歩と後ろへ下がる)ニコール…フローレンス……オーガニック…
        (背後に急に何かが出現した。しかしそれは認識を違えただけ――何時の間にか廃墟の壁に背がつくほど追い詰められていて)
        エリオルネッド―――バッカーノ・エリオルネッド!!(自分が恐れる者がそこにいた――)

        (死んでからも怨嗟と汚染の真っ只中である聖杯、その座に囚われた)
        (自分は自分が今までしてきたことが解っている。こうならなくても、間違いなく地獄へ落ちただろう。)
        (暗くて寂しい、死と苦痛の世界にいられるならそれで良いと思ったはずなのに。)
        (こいつは。この男は。私を未来へ連れて行こうとしている――)
        (それは魔人と呼ばれた存在にとって何よりも恐ろしいもの。人が『救い』と呼ぶものだった。)

        う、あ……(嘲る言葉が出ない。代わりに自分の目に涙が滲んでいることが信じられなかった。) -- セルマ 2010-05-24 (月) 01:04:10
      • (腕をヘアゴムで縛る。出血はこれで食い止める)真ん中は、お前のために空けておいた、っつーわけだ。
        再び、現世に出てきて、願いが全ての人類に苦しみを、ってお前は言ってたな。
        オレは、あれだけは信用ならねえ。そんなに何年も続く気持ちが、愛情以外にあってたまるかよ。
        ――来いよ。セルマ。好きなようにぶつけて来い。
        怒りも、悲しみも、苦しみも、衝動も、狂気も、慟哭も、怨嗟も、悉皆全部受け止めてやるからよッ!! -- バッカーノ 2010-05-24 (月) 01:14:30
      • (血と惨劇だけを世に溢れさせた女のエメラルドの瞳から、涙がヒトシズク)
        (殺意も魔力もない、英霊セルマ・レイネスの剥き出しの魂がそこにあった)

        (しばしの沈黙、青年へ顔を挙げ)私は奪われてきた……
        子供だった私は無力だった。理不尽と、屈辱と、不満と、無気力感と、暴力になすすべなく生きてきた。
        (その手にスレインの剣が投影され、緩やかな壊れた幻想(ブロークンファンタズム)によりただの魔力への分解された)
        生まれると同時に捨てられ、体が女として完成する前に犯され、ちっぽけな尊厳さえ余さず踏み躙られた。
        (アトリアの短剣が、アールヴァンの大剣が、セルマの投影した英霊たちの歪められた幻想が崩れていく)
        怖かった……ここが。どんなに背伸びをしても見渡せない広大な世界。
        どこからか不意に私を傷つけ、私が傷つけたものは私の知らない何かを抱えているこの大世界が……
        (虚ろな表情。女の独白の間にも天地を別つ乖離剣が淡雪のように虚空に消え去り) -- セルマ 2010-05-24 (月) 01:35:49
      • (独白を、無言で聞く。その顔に、表情を隠す仮面はない。ただ、女の涙を直視できるほどの残酷さもその胸にはなかった)
        (……違う、と。心の中で思う)
        (目の前の少女は、与えられてすらいない。最初から、人間なら当たり前に与えられているものを、与えられていないのだ)
        (理解、できなかった。その世界を。少しずつ奪われていく人生と、最初から与えられない人生。どちらの方が不幸かなどと、考える意味すらなかった)
        (失っていく。破壊のために歪められた殺傷本能そのものを)
        (その姿は――どこか、美しく。二つとない芸術のように、その目に映っていた)
        ……セルマ=レイネス。 -- バッカーノ 2010-05-24 (月) 02:05:06
      • (天を仰ぐ。誰の許しも願いも聞きはしない絶対の空へただ、顔を向ける)
        アンダーテイカーにも言った。これは、これらは私の力ではない。全て借り物だ。
        魔王も英雄も人間も全て世界を際限なく広げていくものだった。
        英霊の投影も私に知らない記憶を見せ、覚えのない技を手に刻んだだけ。
        (その手に漆黒の大鎌が投影される)……不要なんだ。
        (それは矛盾の魔王が持つ闇そのものである宝具、矛盾と背理を内包せし漆黒の大鎌(ネガ・ゼピュロス)
        (その大鎌がゆっくりと分解されると、セルマの手によって分解され無色となって周囲に満ちていた莫大な魔力を漆黒に染め上げていく)
        要らない。
        (矛盾の魔力は逆巻き、意思がある流動体であるかのように蠢いてセルマの足元から這い上がってくる)
        私の大世界(ダスカ)はこの目から見える160度、800メートルだけで十分だ。
        救いも、未来も、家族も、お前も。要るものか――――(明確な拒絶の言葉、セルマの心臓に矛盾の魔力は満ちていく)

        (全てを覆うように広がり、周囲を黒く塗り潰す『何か』)

        (霧が晴れるように黒が薄れると、そこに立っていた女の姿は一変していた)
        (埋葬された者の召し物のように朽ちかけた衣服、両手にあって何本かが欠けた指、精気の感じられない肌)
        (ただ瞳だけが狂気を湛えてバッカーノを見据えている)
        (乾いた唇が、言葉を思い出すかのようにかすかに動く)彼女の大世界(ダスカ)
        (それは英霊ではなく、何万という人間を意思なく殺したセルマ・レイネスの姿そのもの――饐えた血の匂いが廃村に満ちた) -- セルマ・レイネス 2010-05-24 (月) 02:27:40
      • (突き刺すようなその痛みが、寒気だと分かったとき、咄嗟に身体をかばっていた。――不要。セルマは、そう言った)
        (宝具ですら不要と断ずる、セルマの相貌には、何も映っていない。ぶつけていた灼熱の殺意も、絶対零度の害意も、何一つない)
        (無色透明の、温度のない拒絶だけが、世界を包んでいく)
        ……ようやく、会えたな、お互い。(頬を、冷や汗が落ちる。台詞とは裏腹に、心の中まで埋め尽くしそうな無に侵食されそうだった)
        (何人がこの英霊と手を合わせただろう。その中の、何人が気づいただろうか。本当に仮面をつけていたのは――セルマのほうだったことに

        (血の匂いに、その姿に、余りにも暗いこの大世界に――心が折れないように、自問だけが心の中で渦巻く)
        (救えるのか。本当に、これを――救えるのかッ!?) -- バッカーノ 2010-05-24 (月) 02:40:20
      • (女は一歩足を踏み出した。そこには足音がない。)
        (女はバッカーノへ向き直った。そこには意思がない。)
        (女は無造作に左手を前へ向けた。その手には人差し指と小指がない。)
        (歪な手、虚ろを映す瞳。薬指には魔導器としての体裁だけを簡素に取り繕われたような粗悪品の指輪。)
        (瞬間、放射状に業火が放たれた。ただ炎の魔導器に魔力を通しただけ、たったそれだけの術が青年に迫る――) -- セルマ・レイネス 2010-05-24 (月) 02:59:12
      • (まるで、救いを求めるかのような左手に、一瞬だけ判断が遅れた)
        (そこに、感情や意思など存在しない。それは、何よりも純粋で、透明な、排斥行為(リジェクション)
        ――【絶対氷壁の魔女】ッ!!
        【宝具・内在せし氷点下の蒼空(ネガ・コキュートス)】ッ!(投影が充分に行われていない状態の宝具は、歪な氷の障壁と、余波の凍結をを生み出す)
        (咄嗟に身をかがめていなければ、比喩でなく、蒸発していただろう。生み出した純度の低い障壁は、一瞬で気化していた)
        (宝具、ですらない。道具ですらないかもしれない。単純な素養だけで――魔力を、あの粗悪な変換装置に注いだだけで、骨すら溶かす業火にしてしまう)
        ……これが、セルマ……。
        英霊セルマ・レイネスじゃねえ……魔術師・セルマ・レイネスか……! -- バッカーノ 2010-05-24 (月) 03:18:14
      • (絶対氷壁の魔女のネガ・コキュートスが溶解、蒸発し周囲に水蒸気が広がる)
        (乾いた唇が湿るのが心地いいのか、口元だけを動かして笑うと左手に残った三本の指を天上へ向けた)
        バッカーノ……エリオルネッド…(掠れた声、それにチリチリと枯れ草が捩れるような音が混じる)
        (セルマは周囲を無差別に爆破、炎上させようと魔力を集中させ始めていた)
        (女の足元を中心に廃村の地面は煌々と黄金色に輝きだす。その幻想的な光景は、あと数秒で地獄に変わるはずだった) -- セルマ・レイネス 2010-05-24 (月) 03:37:25
      • (名前を、呼ばれたのは、それが無意識の産物でも、救いだった。いくらなんでも、物体には言葉は通じない)ああ……オレは、お前の世界の中でも、ここにいるッ……!
        (魔力の質により、行使しようとしている魔術の規模が理解できて、総毛立つ。なにより恐ろしいのは、その展開速度と範囲)
        (瞬く間に術式がくみ上げられ、余波による黄金色の発光に、目すら眩む)
        ぐッ――!(出血と、連続投影により、視界が歪む。無様に黒と赤の混ざった血を撒き散らしながら、叫ぶ)
        (死んでも投影したくなかったはずのそれを――死なないために)――【一振りの鉄の剣】ッ!!
        (右手に生じたハルバード。かつてどれだけ逃げても刺し貫き穿ち、手元に戻ってくるその攻撃を受けた苦しみが、顕現を可能にした)――ウォァアッ!!(全力で、風斬り音のするほどの速度で、セルマに向かってハルバードを投擲する。狙うは、掲げられた左手――!) -- バッカーノ 2010-05-24 (月) 04:21:25
      • (目の前に投影されたもの、それはかつてアイゼンと呼ばれた男の振るう剣の顕現)
        (手を引く。身を引く。間に合わない、女の左腕が半ばから血を吹き出す)
        アアアアアアアアアアアァァァァァァァアッァァァァッ!!
        (女が大仰に痛がると黄金の魔力は夕日が宵闇に暮れてしまうかのように消え果て)
        (一向に塞がらない傷と止め処なく流れる血、それは――)
        我が名はセルマ・レイネス……(痛みに震え、初めて会った時の言葉を紡ぎながら敵意に染まった眼を向ける女)

        (バッカーノの言葉通り既に女は英霊ではない。か弱きそれは膨大な魔力により仮初の受肉を果たした人の身…) -- セルマ・レイネス 2010-05-26 (水) 00:11:23
      • (それは、聞く者の心胆を凍らせるような悲痛な叫びだった。思わず耳を塞ぎそうになる自分を押し留めたのは、何よりその叫びを上げさせたのが自分だという事実だった)
        ……ああ、そして、オレごときが、お前のマスターだ。
        自分の欲望に負け、苦しみを重ねさせるためだけに、お前を蘇らせた、お前のマスターだ。
        (視界が揺らぐ。あまりの出血に、目が霞んできた)……お前がオレの家族で、オレの罪の形なら……。
        オレが、永遠に背負っていくよ。……お前を倒せば、オレは英雄だ。だったら、次も、その次も、その次の次も。英霊となって、聖杯戦争でお前を倒し、永遠に苦しんでやるよ。
        全ての人間の苦しみがお前の望みなら、オレは、全ての人間の分、ちゃんと苦しんでやるから。
        だから――(金色の髪に、黒のメッシュが入る)――矛盾の英雄(エリオルネッド・オブ・エリオルネッド)。その苦しみを、オレに、寄こせ(金色と黒の魔力が練り合わさり、異形の剣を作る) -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 00:32:47
      • マスター……罪……永遠…家族………
        (初めて見る姿であるはずなのに、女はブレイブアークと戦った時のことを思い出していた)
        (その時もこの男は見える位置にいて、そして目の前にいた(ブレイブアーク)は―――こうしたはずだから)
        踏み躙られし者の綺剣(ルールオブライラック)(歪な両の手が黄金の炎を掴み、剣として形作る)
        バッカーノ………(右に大きく灼剣を振り被り)…や、   (走り出す、最後の一撃のために) -- セルマ・レイネス 2010-05-26 (水) 00:54:29
      • (それは、時間にして刹那、瞬間にして須臾。一呼吸の間にも満たない時間だったが、永遠のように感じられた)
        (身体を傾け、セルマを迎え撃つ姿勢を取る。吐く息には血が混ざる。もう動かない左手のことは忘れた)
        (永遠に近いその時間の中で、今まで歩んできた道が振り返られた。まるで走馬灯だと笑う気にもならない、かけがえのない日々)
        (何度も間違った。何度も悔やんだ。それでもまだ間違って、間違った末にここに来た)

        (だけど、自分はこの人生を愛そう。何度繰り返しても、またここに来よう)
        (どこかで選び直せば、誰かに会えないのなら……オレは間違ったまま、先に進もう)

        セルマ。

        ――ありがとう。

        (真っ直ぐ、フェイントも一切混ぜず、ただ単純に真っ直ぐ、交錯と同時―― 一拍だけ、セルマより遅れて――剣が振られた) -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 01:18:00
      • (自分はなぜここにいるんだろう)
        (自分はなにをするつもりだったんだろう)
        (それでも今は、今だけは――前を見なくちゃ)
        (奪われたから奪って、傷つけられたから傷つけて、呪ったから呪われてしまったけれど)
        (前に出なきゃ……辿り着かなくちゃ…)

        (全く同じタイミングで振り抜かれた剣。一拍遅れた同時に二人の聖杯戦争は終わった。)

        や、くそく……(二つの影が交差したその先――――女が纏った服に赤い染みが広がっていく) -- セルマ 2010-05-26 (水) 01:42:45
      • (左腕が、根元から消失している。溢れ出す鮮血に、意識が飛びかけるが―― 一歩のたたらで持ち直す)
        (倒れるわけにはいかない。自分は、勝者なんだから)
        (膝の一つもつけない。背負ったものの重さに潰れるなんて、許されない)
        (全て拾い上げて、先に進むと決めたんだから)
        ああ。やくそくだ。(ぼろり、と、涙が溢れた――背後で倒れているセルマを振り返ることは許されない)
        オレは、お前を、幸せにする(ころしつづける)
        すげぇ、苦しいわ。正直。……すげぇ、苦しい。

        セルマ・レイネス。オレが、永遠に、お前を覚えていてやるよ。英雄でも、魔人でもない、オレだけが見た―― 一人の、少女を。 -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 02:03:01
      • (相手に表情を見せないままセルマ・レイネスはその場で膝を折り、倒れた)
        (赤い染みは地面にも広がっていく……それは人を殺し続けた魔人が英雄に討たれた、それだけの話)

        人の地に降り立った魔人は死に、英雄譚ではごくありふれた結末と約束だけがそこに残った。
        人はその二つを呪いとも希望とも言い表すだろう―― -- セルマ 2010-05-26 (水) 02:16:48

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仮名>聖杯/狐面
お名前:
  • そろそろ終わらせに行くかー。上のコメント欄、最新60件に仕込むタイプの罠かってくらい重いな。
    これが最後だからいいんだろうが…… -- セルマ 2010-05-25 (火) 21:09:36
    • (昨日寝る前に考え付いた展開を忘れていて頭を抱える) -- セルマ 2010-05-25 (火) 22:31:10
      • OK心残りはない、来いよベネット! -- バッカーノ 2010-05-25 (火) 23:35:49
      • うおしゃー! -- セルマ 2010-05-25 (火) 23:50:59
      • ここからがほんとうの地獄だ……!(答え合わせを全部済ませた上にネタ案が空っぽという意味で) -- セルマ 2010-05-26 (水) 00:17:21
      • ちなみにオレは今考えている・・・! -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 00:33:17
      • 偉い人が昔、言ってた。競うスピードより重要なのは着地って……
        私に関して言えばノープランすぎて着地できるか不安だッ!! -- セルマ 2010-05-26 (水) 01:03:55
      • お前くちばしにチェリー突っ込むぞ。
        何この思い描いていた最終戦。 -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 01:18:45
      • 私にくちばしに該当する器官はない。
        良かった。不安が吹っ飛んだ。終われた! 感無量って良い三字熟語だな。 -- セルマ 2010-05-26 (水) 01:48:45
      • 悲しすぎる。奪われることでしか生きていることを実感できない相手に、永遠に奪い続けることを約束してしまった。
        いつかその殺意が幾千幾万の輪廻の果てに薄れてきたら、またもう一度会おうセルマ。
        そのときが、お互いの三度目の初めましてだな。 -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 02:08:34
      • 殺した分、殺され続けることになるな。
        罪と殺意が消えるようなことがあったら、そうだな。どこかでまた会うことがある。
        その時には「私の名前はセルマ・レイネス」「お前なんかが隣の席かよォ」って偉そうなことを言うのかもな。
        ともあれ、お疲れ様でした。 -- セルマ 2010-05-26 (水) 02:19:10
      • ああ、お疲れ。楽しかった。ただそれだけだわ。ありがとう。 -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 02:22:07
      • うん。楽しかった! 謝るのもお礼を言うのも終わってからって決めていたけど。
        実際に終わるとビックリするほど何も思いつかないな……
        ありがとう。色々とごめん。それとさようなら、かな。私の聖杯企画はこれで終了! -- セルマ 2010-05-26 (水) 02:25:52
      • オレはあと一箇所、行って終えるわ。借りたものは返さないとな。
        ああ、じゃあな、またどっかで、別の形で遊べることを願うよ。 -- バッカーノ 2010-05-26 (水) 02:28:16
      • ああ……そうだったな。そちらも頑張ってくれ。
        聖杯こそ手に入らなかったけれど私も同じことを願っておこう。それじゃあ。 -- セルマ 2010-05-26 (水) 02:31:43

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聖杯なうが黙っちゃいませんね…>qst060981.png Edit

お名前:
  •   -- 2011-03-07 (月) 22:39:32

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//我々の業界ではご褒美です!!qst061143.jpg Edit

http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst061639.png


Last-modified: 2010-05-23 Sun 23:40:45 JST (5058d)