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―完―

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  • 一つの伝説の終章(新たな伝説の序章) -- 2014-04-19 (土) 21:06:33
    • (――新たに得た友たちと別れて、勇者の男は平原を後にした。)
      (そして、訪れていた。はじまりの場所に。焼け落ち、色を失った世界。カグラと共に過ごした、森。)
      (力を使い果たした少女を抱いたまま、男はそこに足を踏み入れた。生命の光なき。滅んでしまった世界に、今一度現れた。)

      ……このはじまりの地を、一つの伝せつのおわりにしよう。
      そして……(自らの腕の中のカグラを静かに見る。 -- ケイタ 2014-04-19 (土) 21:11:32
      • (角が砕け、倒れ伏した少女は今、勇者の腕の中で安らかな寝息を立てていた)
        (ずっと張り詰め続けていた緊張と、成さねばならなかった事の重圧)
        (本来であればとても行使する事が出来ない儀式の連続で、小さな体に掛かった負荷)
        (縛られ続けてきた悪夢のような過去…その全てから解き放たれて)
        (安堵と、解放に、身を委ねて…眠りについていた)

        (少女を見る、勇者の視線。それがくすぐったいかのように、身を捩らせれば…ゆっくりと、目を見開いて)
        (そこにある顔へと手を伸ばす。自分のよく知る、絶望と憎悪に染められた悲しい表情ではなく)
        (赦しと希望に満ちた、その顔に触れれば。先ほどの出来事が夢では無かったのだと解って)
        ………おはよう、ケイタ。此処は………ニーナ・ミュウと、セイバーは………
        (周囲を見渡せばそこは…ラヴィータ・ポヴェリーノを埋葬した時にも見た、尽きた生命の世界)
        ………この、始まりの地で、終わりを告げようと言うのですね
        (全てを、理解した) -- カグラ 2014-04-19 (土) 21:21:53
      • (この小さな体にはあまりに重大な儀式。神を降し、神となり、勇者を転生させた神業。)
        (カグラへの負荷はかなり大きい。魔力を蓄えていた角も今はない。)
        (過去と定めから解き放たれて。そこにいたのは普通の少女。安らかな寝息を立てる小さな少女だった。)
        (……ケイタは少女に言われるまで気づいてはいなかったけれど、少女は既に救われていたのだ。そして、ケイタは少女によって救われた。)
        (それをねぎらうように、男は少女の頭を撫でた。)

        ……ああ、おはよう。カグラ。(少女の手が自らの顔に伸びる。バーサーカーと呼ばれた男の表情は、かつてのものではない。)
        (目に光が宿り、希望に満ちている。あの絶望と悲しみの男はもういない。)
        ここは、おれたちの森だ。君とおれがであった、はじまりのばしょだ。
        セイバーとマスターは別れをつげたよ。おれが彼らに紋章を与えて……そして、おれたちは友となったんだ。

        ……そうだ。
        (カグラの言葉に静かに頷く。
        このはじまりの地で、終わりを告げよう。おれたちの聖杯戦争に。
        戦いにまきこまれ、きえてしまったこの場所で。
        この場所を。

        ――再世の物語の、はじまりとしよう。

        (静かに目を閉じる。男のデクスの紋章が光を放ち始める。)

        もう、神にあやつられ、神の螺旋でおどらされるゆう者はいない。

        きみに、救われたから。

        (死した地を、幻想的な光が包む。)

        だから、見ていてくれ。みとどけてくれ。このはじまりを。きみによって誕生した、あらたなゆう者の物語の始まりを――

        (少女を地に降ろすと、ケイタは森の中央部天に向かって手を掲げる。) -- ケイタ 2014-04-19 (土) 21:43:09
      • あの二人と…友に…(嬉しい、言葉だった)
        (自分の我儘で、この終末を迎える為の戦いに巻き込み…そして、激しく消耗をさせた筈)
        (それを全て受け入れて、赦し、願いを叶えてくれた二人)
        (優しくて 強くて 想像を越えて魔王を討ち果たしてくれるもの。彼等は、正しく自分の希望を)
        (…希望以上を、私達にもたらしてくれた。言葉を交わす事が出来なかったのは、残念だけど)
        (…友達になれたのならば、きっとまた…出逢うことだって、出来る筈だ)
        (もう一組の友達になってくれた、メルセフォーネとキャスター達にもそれを願っているが…)
        (…彼等の行く末に、今の私を包んでくれているような、安寧と、幸福が訪れる事を願う)


        (令呪は既に無く、魔力の源であった角は砕けて。今もまだ、彼との間に繋がりは残っているけれど)
        (セイヴァーとなった彼を維持出来る程の魔力は自分にはもう、無い)
        (分かっていた事だ。残された時間は限り無く少ない。その時を如何にして過ごすのか…)
        …分かりました。既に私は、貴方に最後の願いを伝えています。
        貴方の、成したい事を。この目で、見届ける事とします。

        (光が、溢れていく)
        (暖かくて、優しい、幻想的な光)
        (勇者の傍らに寄り添いながら、彼の一挙一動を見逃すまいと)
        (…伝説の編纂者の一族、最後の生き残りとして。新たな伝説の始まりを、見届ける)
        (…彼に救われ、彼を救った者として。ケイタが成さんとする事を、見守る) -- カグラ 2014-04-19 (土) 21:55:29
      • (光の粒子が大地より溢れ出していく。)
        (まさに、神話のような、伝説のような、そんな奇跡が起ころうとしている。)
        いまこそ、きみの最後のねがいをはたそう。

        ――おれは、新たなる伝説をつむごう。おれの、ほんとうにしたいことを、しよう。

        (眩いばかりの光が、デクスの紋章から溢れだす。洪水のような光が、森だった場所を包み込んでいく。)

        (これは、一つの伝説の終わり。勇者だった男が魔王に堕ち、勇者に倒されたお話。)

        (これは、一つの伝説の始まり。魔王だった男が勇者に転生し、世界を救うお話。)

        ――これは、再世の物語――

        (ケイタが、決戦の後に手にしたカグラの角の破片。それが、ケイタの懐より、飛び出し、輝いていく。)

        さあ、君とおれの力で、物語をはじめよう。世界を、再生しよう。

        これは、おれだけの物語じゃない。きみの、すべての、物語――

        (刹那、デクスの紋章と同じ輝きを得た角から、森全体を包む光が溢れ出す。空は晴れ、光が世界に満ちる。)

        (そして――森が蘇っていく。死した世界が、破壊された物語が、蘇っていく。)

        (魔物の住む森などではない。そこは、遥か過去に、勇者とそれを救った少女が出会った場所、伝説の場所となるところ――)

        (木々は伸び、草花が萌え、緑が二人を覆っていく。)

        (森が、燃えたはずの森が、蘇っていた。)

        (ケイタとカグラの、再世の力によって。)

        ……世界は絶望にあふれてなんかいない。こんなにも、かがやいている。
        どんな存在だって、ふたたびあるきだすことができるんだ。ゆう者じゃなくても、神の如き力が無くても。
        あるいていける。すすんでいける。物語をつむげる。だれもが、主人公になれる。

        ――聖杯に願わなくても、夢は叶うんだ。絶対者の力なんて、なくても。


        おれたちは、輝いていける。おれは、それをみんなにつたえよう。おれのたたかいはまだまだつづく。だけど。


        おれは、すくわれたよ。きみに、カグラに。


        ありがとう -- ケイタ 2014-04-19 (土) 22:11:26
      • 私の…力?私にはもう、何かを成せるような、力なんて…
        (ケイタの懐から飛び出していったもの。自分であったものの、欠片)
        (今はもう無い、角のあった額に手を当てれば)
        (デクスの紋章と同じ光を放ち始めたそれを、唖然としたような表情で、眺める)

        貴方と…私の、力。これが…新たな、伝説の…物語の、始まり…

        (死した世界に、命が溢れていく。生命の光が、溢れて行く)

        (眩い輝きが、木々を、草花を、そこで死した動物達を、蘇らせて行く)

        (目を覆いたくなる程に、眩しい筈なのに。その光は、暖かくて、優しくて)

        (再生した植物達は以前よりももっと、生命の灯火を輝かせているように見えて)

        これが…再生の、勇者の力………私達の、力………

        (再生した森は、以前と同じようで…少しだけ、変化を見せていた)

        (此処にはある筈の無い、育つ筈の無い植物が、カグラの目に止まった)

        (それは、あの日…全てを失った日に、燃え尽きていった筈の、故郷の森に生えていたもの)

        (…其処に暮らしていた人達は、戻ってくる事は無かったけれど)

        (当然だ、彼等は自分の死を迎え入れて…その魂の帰り着く先、月で自分達を見守ってくれているのだから)

        (…声が、聞こえる。失った、人達の。ヴァルナ・ソーマの家族の、友の、一族の、声が)

        (もう一度聞きたかった、大好きだった、人達の声が)

        (ケイタにもそれが届いたのかは、分からない。自分だけに聞こえた、幻だったのかもしれない)

        (自分のした事を、禁忌を破った自分を、許す言葉)

        (辛く、悲しい運命に苦しめられた自分を労ってくれる言葉)

        (これからも、強く生きていって欲しいという、願いの言葉)

        (これから歩んでいく未来に、幸福と希望を願う、愛情の言葉)

        (雫がカグラの頬を伝っていく…あの日、全て出し尽くして、失ったと思っていた…涙が、溢れてくる)

        お父さん…お母さん…皆………ありがとう………っ………私、私も…皆が、大好き………
        ………今までも、これからも………だから、私は………皆の事、忘れないからっ………
        皆が、望んでくれたように………笑って、幸せになれるように…歩いて行くから………っ!


        (声が、聞こえる。願いを叶えてくれた、再生の勇者の声が)

        …うん……うんっ………私は……もう、絶望に…身を委ねたりなんて、しない……
        私が、貴方にそうであるよう願ったように…貴方が、私にそう願ってくれているように……

        …私の物語を。希望の物語を、紡いでいく……!

        (零れ落ちる涙はまだ止まってはくれない。だけど、それでいい)
        (これは悲しみの涙じゃなくて、喜びの涙だから)
        (だから、笑う。 泣きながら、笑う)
        (勇者の紋章から溢れた光と、同じくらいの輝きをたたえて)

        …私は、貴方に…また、苦難を背負わせる事になってしまったのかもしれません。
        だけど、今の貴方だったら…きっと、どんなに苦しい運命にでも、運命を弄ぶ神にも、負けることは無いって、信じています
        …例え、同じ空の下にはいなくても…どんなに遠く離れていても…私達の夢は、決して終わらない

        私は、救われたんです。貴方に、ケイタに。

        ありがとう…

        (再生の光が消え去っていったのと同じくして、新たな、光が立ち上ってくる)
        (月は落ちて、太陽が上る)
        (長い、長い夜は明けて。新たなる明日を運んでくる)

        (朝日に包まれながら、少女は勇者の胸元に駆け寄り。縋るように、勇者の背に腕を回す)
        私の心はいつも、貴方の中にいます。忘れないで下さい…私を。 -- カグラ 2014-04-19 (土) 22:45:17
      • 消えても、消えてはいない。

        きみの失ったものは、ここにあるんだから。

        (涙をあふれさせるカグラを見て言う。聞こえているのだ。失ったものたちの声が。)
        (家族の声が。)
        (幼い少女が、もう一度と求めていたものが。)

        (その願いは、決して間違ってなどいない。)
        (誰しもが、求めるものだから。)
        (涙をあふれさせながら少女は笑う。これまでにない、最高の笑顔で。)

        いいや、苦難なんかじゃないさ。
        それは、おれの力になる。
        きみの願いが、きみの思いこそが、ゆう者にとっては力なんだ。

        だから、もうぜつ望に潰えたりなんかはしない。たとえ、負けてもたちあがれる。

        そのためのたたかいに、おれはおもむく。

        (朝日が昇る。新しい世界の復活を照らす。)
        (夜が、ようやく明けた。絶望の満ちた夜は、もう、ない。)
        (明るい世界が蘇る。希望にあふれた世界が蘇る。)
        (嘲笑響かせる神の笑いなど、ここには届かない。神はここにはやってこれない。)
        (もう、世界は神の玩具箱ではなくなった。)

        ああ、どんなにはなれていても。どれだけ時がたとうとも。
        世界をこえて、時間をこえて、おれと君はいっしょだ。

        決して、おれたちの夢は終わらない。かならず、かなえよう。

        (少女が駆け寄ってくる。勇者にすがるように、その背に腕を回して。)
        (勇者は静かにそれに応え、少女を強く抱きしめる。)

        ……わすれなんかしないよ。ぜったいに。君とすごした日々は、わすれられない。

        その証を、きみに――

        (ケイタは背に回されたカグラの左手を優しく握る。光が溢れ――カグラの左手には、あの、蝶のような紋章が浮かび上がっていた。)
        (それは、神に運命を弄ばれるものの証ではない。)
        (勇者と少女の、かけがえのない、絆の証――)


        おれは世界をまもるゆう者だが、この時、この瞬間……いや。

        おれは世界をまもるゆう者だが、同時に、えいえんに……


        君だけの、勇者だ――


        (そう、笑顔で告げて。)
        (サーヴァントとして召喚されたときの言葉を少し変えて。)
        (再び、誓う。これは消えることのない誓い。いつまでもいつまでも消えない誓い。)
        (少女の幸せを願って。少女の行く先を願って。)
        (そして、いつまでも一緒だという証を残して。)

        ――ありがとう。いつか、時の果て。世界の果て。おれの戦いが、終わるとき。

        また、会おう――

        (固く、そう約束して。)

        (ケイタはカグラより離れていく。そして、勇者の剣を抜いて――)

        (それを掲げれば、空間が割れ、あの原罪の地への扉が開いた。闇と絶望のあふれる世界。)

        (そこへ、ケイタは戻っていく。踵を返し、剣を手にして。)

        (そこに待つのは無限に続く神との戦い。彼の世界を創造した神との戦い。)

        (過酷な戦いが再び始まろうとしている。だけど。)

        (その顔は晴れやかで、希望に満ちていた。)

        (カグラの角のかけらを。しっかりと胸に抱いて。)



        (――彼の世界へと、戦いの地へと。勇者として再び、彼の地へと赴いて。)



        (――この世界から、消えていった――) -- ケイタ 2014-04-19 (土) 23:11:21
    • 〜 -- 2014-04-19 (土) 23:16:49
      • (再生の勇者との別れて、幾許かの時が流れた)

        『私は、今。故郷の森に良く似た…再生した、あの森で暮らしている』
        『再び、この森が無くなってしまう事が無いよう、護る為に』
        『魔が棲むと呼ばれた森は、破壊され、再生した場所として話題を呼んで』
        『今は多くの人達が訪れるようになっている』
        『人々が訪れれば、当然多少森を汚されてしまうが…それを、綺麗に再生させるのが私の役目だと、そう思っている』

        『一人で暮らす森では、生活を続ける事が出来ないので…私は森からそう遠く離れてはいない農場で働き始める事にもなった』
        『森の暮らしとは違う、大地に根ざす生活は新鮮で楽しく過ごせている』
        『私を拾ってくれた農場のご夫妻は年齢を聞けば驚く程に若々しく、とても優しかった』
        『彼等の子供達も良く懐いてくれて、新たな家族を得たような気持ちにさせてくれる』
        『…ただ、ご夫妻の仲が睦まじすぎて、時折当てられてしまうのだけが難といえば難なのだが…』
        『両親が生きていた頃も、そんな風に仲の良い姿を良く見ていただけに、懐かしくもある』

        『何時か旅費が貯まれば、一度、故郷の森に帰って…皆を正式に弔いたいと思っている』
        『風の噂によれば、崩壊した国はとある商会の手が入り、緩やかにながら復興が始まっているらしい』
        『あの森も何時かは…遠い未来になるかもしれないが、元のような、自然に満ちた姿を取り戻そうという動きも、あるそうだ』
        『もう、一族はそこにはいないけれど…そうなれば、嬉しく思う』
        『その手助けをする事が出来るようになればいいな、とも…思う』
        『何時か、と言えば…聖杯戦争で出会う事が出来た友達の元にも、行ってみたい』
        『彼女達がどのような結末を迎えたのか…それを知る事は出来ないけれど』
        『私の様に、希望を…掴んでくれていると、信じている』
        『お互いに、幸福を抱きあって…お話をする事が出来ればいいなと、願っている』

        『全てが順風満帆、とは流石に言えないけれど』
        『希望には満ちている生活』
        『貴方が救ってくれた、カグラ・ソーマという少女の物語は。そんな風に続いています』

        …ケイタ、貴方の物語は…どうですか?
        (ペンを置いて、窓から映る夜空を見上げる。あの日のような、真円の月が輝いている)
        (勇者が残してくれた伝説をもう一度書き綴り、残していく事。それが今の、少女の夢の一つ)
        …問い掛けるまでも、ありませんか
        (微笑む。そう、勇者の再生の伝説の行く末は…もう、決まっているようなものなのだから)

        -- カグラ 2014-04-19 (土) 23:36:02
      • そして伝説へ



        ――聖杯戦争終結後からすぐなのか、それともはてしない時を経た後なのか。
        それは、わからない。
        だが、勇者は黄金の伝説の世界から去ったのちに、幾多の戦いを経て、たどり着いた。

        ――神の下へ。



        そこは原罪の地。ケイタの住んでいた世界のあった場所。
        ケイタが魔王となって、その世界全てを、隣接する世界全てを滅ぼした原罪の、始まりの場所。
        今はもう何もない。無の空間。そこに勇者が現れた。
        希望を纏い、光と共に、それは現れた。


        「――ようやくたどりついたぞ、神……全能なる父よ」


        ケイタの声が闇に響く。その声を嗤うように、世界が震える。闇から声が響く。


        ――素晴らしい!! ついにここまでたどり着いたのか!

        無限なる絶望を得てもなお! 立ち上がる姿、素晴らしい――あの世界で、君は再び勇者となったらしい。

        おめでとう、ケイタ。君に、心からの祝福を。私の玩具の中で、君は一番だ。


        邪悪な声が響く。この世界の創造神。ケイタをはじめとするデクスの一族にデクスの紋章を与え、運命の螺旋に巻き込んだ張本人。
        世界を何度も繰り返させ、ケイタに救わせ、滅ぼし、そしてケイタを狂わせた邪悪なる神。
        ――全能なる父
        この宇宙すべてを操り、ケイタに絶望を与え続けた存在。邪悪なる混沌。
        ケイタの世界に至るまでの、「神殺し」とよばれた世界、「KreuzTraum」と呼ばれた世界、「ソリマ」と呼ばれた世界。それらを弄び、壊してきた存在が、そこにいた。
        この闇の中で。

        だが、どうする? 君の力は私が与えたものだ。

        そのデクスの紋章も! その勇者としての力も、何もかも!

        私が与えたものだ! 私が全て、用意したものだ! だから、君は勝てない。私には、勝てない。

        この時を待っていた。君がついに最高潮に達するときを。そう、それを、それを絶望させてこそ! それをぶち壊してこそ!!

        ――この世界を、弄んだ甲斐があるというもの。


        笑う。笑う。嗤う。嗤う。嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う嗤う。
        神が、笑う。全能なる父と呼ばれた混沌が笑う。
        最高の時を迎えて。希望に満ちた勇者を滅ぼす時を迎えたと叫んで。


        だが――

        ――その嗤いも、消える。



        「そうだ。このデクスの紋章も、俺の勇者としても役割も、何もかもおまえにあたえられたものだ」

        「だが、もうちがう

        「おれは、もうお前のあやつり人形じゃない。おまえの、デクスの螺旋にとりこまれた勇者でもない」

        「おれはケイタ。ケイタ・デクス」

        「うん命をもてあそぶ、お前を倒すゆう者だ――!!」


        刹那、デクスの紋章が輝き――砕け散った!
        勇者としての誇りの証が、神の螺旋に取り込まれた勇者の力が、消え去った――!!


        ほぉら!! ほおら!! 無駄だと言ったじゃないか! 君の勇気も希望も愛も思いも何もかも何もかも何もかも何もかもッ!!


        無駄なんだよおおおっ!! ハハ、ハハハ、ハハハハハハハハハハ!!!!


        神の愉悦の笑いが響き渡る。最高だ、最高だ、最高に滑稽だと叫んで――

        だが――

        ケイタは、笑っていた。狂って、壊れた笑いなどではない。

        希望に満ちた笑みを、浮かべていた。


        「何をいってるんだ? なにがすべて無駄だと?」


        ――消えたはずのデクスの紋章が、ケイタの右手に宿っていた。

        ――ケイタの背後に、巨大なデクスの紋章が、闇に光り輝いていた。


        ……馬鹿な? どうなっている? 私はこんなことをしていないぞ。どうなっている、何をしたんだケイタ?

        ――お前は、何をしたんだっ!!


        初めて。この神と呼ばれた存在が、初めて恐怖の声を上げていた。
        全て操れるはずの存在が、操れない。
        こんな結果は、自分が考えた物語の中に、ない。


        「――いったはずだ。おれはもう、おまえにあやつられるゆう者じゃない」

        「おれは、ケイタ。もう、デクスの螺旋の勇者じゃない」

        「デクスの螺旋はもう、ほうかいした。おれが、くだいた」

        「――いや、おれたちが、くだいたんだ」


        御守として、首に下げていた、ある有角の少女の角を、ケイタは強く握る。


        すると、世界に光が満ちていく。闇の世界が消え去っていき――


        今までケイタと出会った数多くの人が、そこにいた。皆、手にデクスの紋章を以て。


        「クリセスちゃん、伯爵、ブルー、トーコさん、ワタル、ルージィ君、ジュン――俺と出会って友となったひとびと、そして」

        「……カグラ」

        「おれに、力を、貸してくれ――!!!」


        そこにいる人々は無論本人ではない。だが、ケイタへの思いが形となって現れたもの。

        それらがケイタのデクスの紋章に力を与えていく。

        神から与えられた偽なるデクスの紋章ではなく――

        ――真なるデクスの紋章に!!


        ――素晴らしい!! 素晴らしい! 素晴らしい!!!

        ついに君は私から独立したんだ! 私と同じ存在になったんだ!! 私と同じところへ来たんだ!! ――神となったんだ!

        大成功だ!! 君は、ついに私と同じ存在となった!!


        「――ちがう。おれは、神になんてならない」

        「おれを待っている人いるんだ。再会をやくそくしたひとがいるんだ」

        「だから、おれはおまえを倒して、あの世界に帰る――おれは、勇者だからだ」


        叫びと共に、デクスの紋章が強く輝き――世界が、再生していく。

        ケイタが滅ぼした世界が、蘇り始めていた。

        奇跡の力によって。思いによって。神に運命を弄ばれた世界が、その鎖から解き放たれたのだ。


        ――ならば、来たまえ。この混沌たる私に勝てるというのなら。

        ――来い、来い、勇者よ!! 私を倒して見せるがいい!!


        「言われるまでもない」


        勇者の剣を手に。全ての世界を背負って。闇の中から現れる異形の神の化身どもを前に。
        臆すことなく、恐れることなく、絶望することなく。

        ケイタと同じ姿を取り、闇の彼方で嗤う邪悪な神目がけて――

        飛び出した――!!


        世界を再生させながら――!!




        そして遥か後に、少年は伝説となった。神話となった。蘇った世界で語り継がれる、創世の神話となって――





        新・劇場版ケイタの伝説〜外伝〜
        -MOON CHILD-月の少女と蝶の羽ばたき



        ―完―
  • 伝説の終焉 そして -- 2014-04-18 (金) 01:33:56
    • 終わらない!! 終わらない!! 俺はまだ、まだ、戦える――!!
      (そう立ち上がったとき。あまりに痛々しい姿の、呪いのように突き動かされるバーサーカーの体が、かくん、と揺れ、倒れた。)
      ――な、に……? これ、は……。
      (地面に膝をつく。剣が手から落ちる。もうそれを握ることもできない。)
      (マスターからの魔力の供給が、断ち切られたのだ。)
      な、何故だ、何故だ! 我が主! 俺は、まだ、まだ戦えるッ……!
      マスターの魔力が尽きたなら、俺の、デクスの紋章の力を解放してもいい!
      だから、まだ、まだだ、俺はまだ負けられないッ! 頼む、マスター……! 俺は、君と、聖杯を、この、戦いの果てを、願いを――!!

      マス、タァッ……!! 俺は、赦されてはならないんだ。世界を滅ぼした俺は! 苦しみの果てに、世界を、救い、だか、らっ……!

      あ、ああ、なぜ、だ。なぜ……。

      (魔力の供給が立たれ、現界もまともにできなくなり、地面に倒れ、バーサーカーは懇願し続ける。まだ戦えるのだ、と。)
      (真円の月がバーサーカーを照らしている。)

      (ここで物語は、終わりなのか。それとも――) -- バーサーカー 2014-04-18 (金) 01:49:58

      • バーサーカー(魔王)は、セイバー(勇者)によって打ち倒された)
        (これが物語であるならば、その一文で締め括られる、予定調和の結末)
        (…少女が、ニーナとセイバーに望んだ通りの、理想的な終わりが、ここに迎えられた)

        (倒れ伏す自らのサーヴァントを見て…心が、鋭く痛むのを感じる)
        (彼を、そう仕向けたのは自分だ。彼が、そうなってしまった原因を作ったのは、自分だ)
        (この状況を作り出す為に、魔王を倒す事が出来ると信じた二人との戦いを仕組んだのは、自分だ)

        (魔力枯渇で鉛のように重い体に鞭を打って、ニーナの創りだした障壁から飛び出していく)

        (息を切らし駆け付ければ、倒れ伏せるバーサーカーと、セイバーの間に立つ)
        ごめんなさい…ごめんなさい、"D"………だけど、私は…私は、もう…貴方の、そんな姿を見たくは無い………!!
        (今にも泣き出してしまいそうな程に表情を歪めて、懇願を続けるバーサーカーに謝りの言葉を告げる)
        (もう、声を出す事すらも儘ならなくなっていくサーヴァントの姿を苦しげに見つめて…)
        (振り返る。魔王を討ち果たした勇者と、その主の姿をその目に映して)
        ………見ての通り、です。"D"への魔力供給を、絶ちました。
        …もう、戦う事は、出来ません…

        …貴方達をこんな場所へと呼び出して…戦いを仕向けて…許される事とは、思っていません
        …勝手な言い分である事は、承知していますが…一つ、お願いを聞いてもらえませんか。ニーナ・ミュウ、彼女に従う勇者
        …これから、私が行う事を…見過ごしては貰えませんか。もしも…貴方達に、危害が及ぶと…そう判断した時には
        …私ごと、"D"を切り捨てて貰っても、構いません。ですから……どうか……!
        (懇願。そう呼ぶに相応しい、必死の呼び掛け) -- カグラ 2014-04-18 (金) 02:11:45
      • (かくして、偽物であっても、勇者の剣が魔王を下す)
        (しかし。それでもとばかりに動いたDを見て、剣を構え直そうとするが…)
        (Dの動きが止まる。そこでようやく…固有結界から解放された事に気付いた)
        (走り寄る足跡は二つ。双方のマスターである少女達のもの)

        (偽典・勇者の剣(デクスソード)を構えたまま、油断はせずに少女の懇願を聞いた)
        (切り捨てても構わない。という少女に頷き、剣をゆっくり持ち上げる)
        (何も知らないものが見れば、これから少女とDが斬られるように見えただろう。だがそんな事は無く─)
        (偽典・勇者の剣(デクスソード)が、少女とDの前の地面に突き立った)
        確かに返却した。後は…二人とも心のままにするといい
        (無理なコピーで破却するはずの偽典・勇者の剣(デクスソード)が莫大な魔力のバックアップを失っても残っていた)
        (事の行く末を見届けるかのように) -- セイバー 2014-04-18 (金) 22:25:11
      • (予備のために持っていた魔晶練石(Etheric Sphere)が全て砕けてセイバーの糧となる)
        (それでも足りず 令呪を以ってしてもまだ足りず 貪欲に魔力が消費された)
        偽典・勇者の剣(デクスソード)の再現とは、それほどの負荷が掛かるものだった)
        (双剣が魔王に振り下ろされて物語は幕を…)

        (まだ続くのか)
        (まだ、魔王は)
        (悲しき魔王の嘆きはまだ………)

        (これ以上の魔力供給を支え続ける余裕など微塵もないのだが 諦めるという道もまたない)
        (歯を食いしばり、気を失うことだけはするものかと魔王を見据えた)

        (幕引きは意外な、否、正当者によって行われる)
        (魔王の強行は主であるカグラによって抑えられた)
        …うん、そうだね………… 止めてあげて、カグラちゃん。
        あなたにしかできないことが、あるはずだから………

        (障壁を解き、セイバーの傍へ)
        (彼が偽典・勇者の剣(デクスソード)を振り上げるのを止めることもなく)
        (その刃が二人に向けられることがないと分かっているゆえに静観した)
        (これからのことを、決して手を出さず見守るという意思表示でもあった) -- ニーナ 2014-04-18 (金) 22:41:42
      • (静かに、許しを与えてくれた二人へ黙礼を返せば)
        バーサーカー(魔王)の元へと歩み寄る。あれほど迄に力強かった事が嘘のように、その存在が、消失しかけている)
        …ごめんなさい、"D"…私の為に…
        …貴方は、私を救ってくれた。絶望の淵にいた私を、救い上げてくれた。…だから、今度は私の番。
        貴方は…絶望に飲み込まれてしまった。だから…今度は、私が…貴方を救ってみせる

        (眼を閉じれば、髪を結い上げていた紐を解く。平原に吹く風が、腰元にまで届く長い髪を棚引かせる)
        (星一つ見当たらない夜空には、満ちた真円の月が輝く)

        千夜一夜の儀式(MOON FALL)

        …月よ。我等月角種の祖たる存在よ
        今こそ千の夜を越えて、その恩恵をこの身へとお注ぎ下さい
        …私に、力を…与えて下さい…

        (両手を組み合わせ、指を絡めて、大地に膝を付き、月へと祈りを捧げる)
        (闇の中、仄かに輝く月角種たるその証。輝きは徐々に、その光を増していく)

        (カグラの生まれたソーマの一族は、月角種という種族の中でも、特別な意味を持つ一族である)
        (遥か神代、月より降り立った神が種の原点と言われる、その末裔。直系たる一族であると言われる彼等には一つの役目があった)
        (月を尊び、奉る、即ち神事。それを執り行うのが彼らの役目である。そしてその一族で唯一人、神の台座として、神の代理人として取り仕切る役割を持つ存在がいた)
        (カグラは、次代にその御役目を担う事となっており…そして、結果的には最期の、役目を果たす者となった)


        (…魔力が満ちていく。神秘たる月の輝きを秘めた魔力が、カグラの中へと注がれていく)
        (…変化が現れたのは、夜闇のような漆黒色をした少女の髪。魔力が満ちる度、漆黒が削げ落とされて行く)
        (暫しの時が過ぎれば…少女の髪は、夜空に輝く月と同じ…淡い、金色へと染まっていた)

        (立ち上がり、ゆっくりと後ろへと振り返る。その表情は、清く、穏やかで)
        …ありがとうございます、ニーナ・ミュウ。誤りのセイバー。貴方達がいなければ、私は、此処に至る事が出来ませんでした
        …月角種の巫女、『月姫』。ヴァルナ・ソーマとして、感謝を捧げます。
        (彼等との戦いで、魔王は打ち倒された。同時に、カグラ…真の名をヴァルナと言う、少女の魔力は枯渇寸前にまで使い果たした)
        (限界まで酷使された魔力の器は、よりその力を増そうと大きくなり…その結果、本来、儀式を執り行える程ではなかった、器に)
        (月の魔力、その全てを満たす事が出来た。二人に、深く頭を垂れる)
        …そして、出来る事ならば、今少しの間…私達を、見守っていて下さい。貴方達に害意を向ける事は、絶対に有りませんから。
        …聖杯では叶える事の出来ない、私の願いの行く末を…見届けて下さい
        (月光と同じ輝きを今、その身に湛える少女は儚げに二人へと微笑んで。視線を移す)
        (自身の願いが向かう、その先へと) -- カグラ 2014-04-18 (金) 23:02:12

      • (衣装の懐から取り出したのは、黒塗りの盃と…今はない、深き森の奥に湧き出ていた、清水の入った小瓶)
        (盃に小瓶の中身を注ぎ、満たしていけば…そこに浮かび上がるのは、水面の月)
        (天辺と、手元、それぞれに浮かぶ二つの月)
        (盃を、天に捧げるように頭上高くへ持ち上げ、暫し祈りと、一族への懺悔の言葉を呟く)
        …申し訳ありません、父様、母様、一族の皆様。私は今一つ、禁忌とされていた事を、破ります。
        …許して貰えるとは思いません。皆様と同じ、月へ帰る事も出来なくなるかもしれません、ですが…
        …私は。もう、過去に囚われて、今を足踏みし続けたくは無い…
        …その先に、幸福が待っているとは限らずとも…私は、未来が…明日が欲しい。
        …また、前に進む為に…一歩を踏み出す為には…どうしても、こうする事が必要なのです…
        …ごめんなさい。

        (頭上に掲げていた盃を、胸元に戻せば目を閉じて。盃を口元へと運ぶ)
        (盃に映る、一族の…種の、神を。清水ごと嚥下していく)
        (その瞬間であった、月光に照らされていた周囲に変化が起こり始めたのは)
        (月から届く光が、徐々に弱まっていく)
        (満ちていた筈の月が、欠けていく)

        (その儀式の名は、月食み)

        月を食らいて、月と成る
        我が身に、我等が神よ、宿り給へ
        我を身を神へと、転じさせ給へ


        (その日、多くの天文学者の頭を悩ませる一つの出来事が起こる)
        (観測的には有り得る筈の無い、皆既月食)
        (その原因を知る事が出来たのは、その場所にいた者達だけ…)

        (月の光が消え、暗闇に閉ざされた平原で。ただ一つ、輝きを放つもの)
        (その周囲を薄く照らしながら、神性を得た『月姫』は、その存在を維持する魔力すらも消えかかる"D"へと、歩み寄り)
        (左手を、翳す)

        ────『月姫』ヴァルナ・ソーマが令呪を以って命ずる
            魔王(バーサーカー)よ、我が繭でもって、眠りに…眠りへつきなさい────
                  ────伝承の、伝説の編纂者、ソーマ一族最期の生き残り、ヴァルナ・ソーマが命じる
                        貴方の永劫と見紛う絶望の伝説に…終焉を綴りなさい────


                        ひらり
                                     ひらり


        (ヴァルナの左手に刻まれた蝶のような令呪から、二画。一対の羽が、舞い上がる)

                                                 ひらり
           ひらり


        (舞い遊ぶように宙を彷徨った蝶はやがての右手。その存在と共に消えかかる、Dの紋章へと宿り)
        (彼の体を、月光の繭で以って包み込む)



        …眠りなさい、混沌と破壊を生む、絶望に堕ちし魔王…
        …おやすみなさい、私のサーヴァント…バーサーカー… -- ヴァルナ 2014-04-18 (金) 23:03:05


      • (…最早、人であったのかも分からぬ存在へ成り果てた男)
        (その波乱に満ちた人生…長すぎる歴史…伝説は、幕を下ろした)
        (繭へ包まれてゆく青年の顔は…酷く、穏やかだった、漸く訪れた安寧に…終わりを、安らかに享受するように)

        (それが、彼の、救いなのだろうか?)
        (…いいや、違う)

        (金色の髪の少女は、魔王を包む繭を中心として、舞う)
        (それは、彼を神台とした神楽舞であるかのように見えた)

        (月の神を宿した少女は、舞い、そして…謳う。異世界の勇者の伝説を)
        (それは、神と渡り合う存在となった彼への、祝詞のようであった) -- 2014-04-18 (金) 23:03:52
      • (――神の依巫(よりまし)となった少女が歌う。)
        (神そのものとして少女はここに居た。月そのものとなった神がいた。)
        (神の座となった少女が歌う。舞う。庭火のもとで舞われる御神楽のごとく。)
        (神楽笛や篳篥、和琴の音さえ聞こえてきそうな、まさしく本物の神遊び。)
        (そこで、語られる。物語が語られる。伝説が謳われる。ユーカラの如く。)

        (かつて語られた物語。そして今なお語られていた物語。)
        (――Kの伝説。)

        (一人の少年がいた。蝶のような紋章を手に持つ少年がいた。)
        (遥か昔に滅亡した王国の末裔。神に力を与えられた者たちの末裔。)

        (――それが、Kという少年だった。)

        (ある日旅立ち、仲間を増やし、そして復活した魔王を倒すために、勇者となることを決意した。)
        (そして、旅に果てに、彼は魔王を倒し、勇者となった。)

        (だが、その運命は、全て仕組まれたものだった。“神”と呼ばれる世界の創造者、全能なる父によって仕組まれた運命の勇者。)
        (神から与えられた力は、魔王にもなりうる破壊の力。それは呪いの力。)

        (魔王を倒した後に現れた、デクスの使者を名乗る男によって、それは告げられた。)

        (だが、勇者の少年はその運命にも立ち向かうと誓った。魔王には堕ちぬと、仲間たちに誓い――消えた。)

        (勇者となった少年は、無数の世界を旅することとなった。並行する世界を、救う旅に出た。)
        (蘇った魔王と戦い、世界を巡り――そして、この黄金の伝説の世界にたどり着いた。)
        (友を得て、愛する人を得て、彼らと語らい、魔王を必ず滅ぼすと誓った。)
        (――そして、友や愛する人を、この世界で失った。)
        (それでも、それでも、勇者を名乗る少年はくじけなかった。彼らとの誓いがあるために。魔王を倒して世界に光明を齎さなければならないと、過酷な運命へと足を踏み入れた。)

        (神の呪いの螺旋を受けた戦いが、幕を開けたのだった。)

        (勇者は世界を救い続けた。最早人の身を超越したその体で、あらゆる世界を移動し、魔王と戦い続けた。)
        (そして、絶望が訪れた。)
        (勇者は神の螺旋に囚われた。)

        (魔王はかつての勇者であった。Kと同じ紋章を手にした勇者だった。)
        (魔王を倒した勇者が再び魔王となる。それが、この紋章にかけられた呪い。)
        (Kはそれを知った。だが、それでもなお魔王にはならぬと誓った。そして、それは神を喜ばせた。)

        (勇者はついに、完全に魔王を滅ぼした。その勇者の剣で。友との絆を受けて。魔王を運命の螺旋から解き放ったのだ。)
        (……それで、全ては終わるはずだった。だが、終わらなかった。)
        (魔王を倒したはずなのに、世界が音を立てて崩れ始めた。宇宙の彼方から、何かの哄笑が世界を包み、勇者が作った世界を滅ぼしていった。)
        (世界は神によって弄ばれていた。この勇者も同じく。世界を救った勇者の絶望を見たいがための、デクス・エクス・マキナの降臨であった。)

        (世界が終わった後――気づけば、勇者は始まりの地にいた。最初に自分がいた世界に。)
        (全ては繰り返していた。再び、最初に戻ってしまったのだ。そして、勇者は何度も何度も、何度も何度も、戦いを繰り返すこととなった。)
        (果てに魔王を倒しても、世界が滅ぼされる。神によって弄ばれ、壊されていく。)
        (それでも諦めずに。どこか神に一矢報いるすべがあると信じて、勇者は戦い続けた。)
        (何度も、何度も、億の破滅と再生を繰り返して。)

        (――その果てに、壊れてしまった。)

        (世界を何度も滅ぼされる絶望、世界を守れない勇者という役割を与えられ続けて。)
        (勇者は、狂った。絶望の果てに、魔王となった。)
        (神に狂わされ、神に踊らされ、悲劇しか生まない世界を憎み、そして――)

        (――自らの住んでいた世界を、隣接する世界を、滅ぼしたのだった。)

        (これが、勇者/魔王が犯した大罪。自らの世界を自らの手で滅ぼしてしまった。)

        (……だが、伝説は終わらなかった。Kもまた、諦めなかった。)

        (罪を購うために。失った世界を取り戻すために。魔王と堕しても勇者であり続け、世界を救うために。)
        (――同じく、全てを奪われた少女の呼びかけに応え、この聖杯を巡る戦いに身を投じた。)

        (自分は『勇者』である。それこそが、彼の力の全て。自らを狂わせてしまうほどの絶望を背負いながら、『勇者』として、この戦いに身を投じた。その正義は既に歪んでしまっていたが。)
        (それでもなお、勇者だった。少女を守り、救うために、かつて語り合った友とさえ、刃を交えた。)

        (運命に負けないために。神を殺すために。世界全てを救うために。)

        (世界全てを救う。とても実現不可能な夢を抱いた少年は、その聖杯戦争の果てに――)
        (勇者という己自身を捨ててしまったのだった。その果てに、遂に、真に狂い。絶望の叫びを上げながら――)

        (――白き、勇者に敗れたのであった。)

        (長い長い旅の果て。はてしない物語の終焉。それがここだと、誰かが告げる。かつての勇者だった魔王が勇者に敗れる物語――)

        (それが、Kの伝説だと。)



        ――違う。違う、違う。そんなのは、違う。

        俺は、まだ負けていない! まだ勝っていない! 俺は、負けてはならないんだ!!

        運命に勝たなければ。俺は立ち止まってはいけないんだ、戦い続けなければいけないんだ!

        だから、ここで終わるなんてできない! できるわけがない! 絶望にくじけてはならないんだ!!

        ――世界を滅ぼした俺は、こんなところで、安らかに眠ることなんて、赦されないんだ!!


        (繭に包まれながら。死んだように眠る男の叫び。)

        (自らの世界の神とは違う、月の神に命じられ、眠る男が叫ぶ。独白するように。勇者は負けてはいけない。常勝しなければならない。そうしなければ何も守れない。何も救えない。)

        (そういうかのように。) -- バーサーカー 2014-04-18 (金) 23:56:06
      • (それが、どういった経緯でこの地へと流れ着いたのかは、誰にも分からない)
        (しかし、『Kの伝説』を月角種は知っていた、そしてその伝説の一部を書き記していた)
        (少女は、『K』を知っていた)
        (夜毎に語られる御伽噺の代わりに、少女は世界の、時には異世界のあらゆる伝説を寝物語として伝え聞いていた)
        (その中の一つ。少女の心に特に強く残った物語が、彼の伝説だった)

        (少女はその物語を聞き終えた時、涙を流していた)
        (何故、世界を救う為に、大好きな友達の為に戦い続けた勇者様が、こんなにも悲しい終わりを迎えてしまうのか)
        (勇者様は何も悪い事なんてしていなかったのに、なんで、神様は勇者様を弄び続けるのか)
        (泣きながら喚く娘に困った、その父親は少女に優しく、こう語りかけた)
        (自分達が知り得た限りでは、この伝説はここで終わってしまったけれど、自分はそうは思っていないと)
        (Kと呼ばれる勇者の伝説はまだ終わっておらず…彼は戦い続けていると)
        (きっと、彼は何時か希望を見つける事が出来る筈だと)
        (それを聞いた少女は、漸く少しだけ安心して…その夜は眠りへと、落ちていった)

        (時は経ち、やがて少女は…何時か聞いた伝説の勇者と、巡り合う事となる)
        (そして彼と共に、伝説の続きを紡いでいく事となる)
        (そして今…伝説は、終わりを告げようとしている)



        (声が、聞こえる)
        (令呪を以ってしても、その伝説の終わりを頑なに拒む勇者の叫びが聞こえる)
        (それは、呪いだ)
        (人を捨て、勇者という存在へと変わってしまった者の、呪い)
        (彼は勝ち続けてきた、運命を弄ぶ神にその台座を何度ひっくり返されたとしても)
        (彼は戦い続けてきた、幾多の絶望に身を、心を挫かれそうになっても)


        ───それは、違います。貴方は、間違っていますよ、"D"

        …いえ、ケイタ・デクス。運命に縛られし勇者よ

        貴方は勝つ事に縛られて、見えなくなってしまっているものがあります

        必ずしも、勝利する事が全ての救いとなるとは限りません

        敗者とならなければ、見えないものも、ある

        私には、この聖杯戦争で…彼女達との戦いに、負ける事を望んで、気がついた事があります
        …本当はそれを知っていたのに、気が付いていなかった事。負ける事を望んで、初めて気が付かされたもの
        …私達月角種は、自然の理の中で生きて行く事を望むもの。例え、それが不意…悪意によって訪れたものであったとしても…
        消えてしまった、命の灯火を。その理に叛らって再び灯す事を…皆が、望んでいる筈が無いという事を
        …皆の命を、取り戻す事。それを理由としなければ…私は、生きて行く事が出来なかったから
        見えないふりをして、気づかないふりをして、此処まで歩いて来ました…
        …ですが、それに気付いてしまった以上…私は、もう過去を振り返らない
        今という時に足踏みせずに…未来へと、進んで行きたい
        過去に、絶望に囚われてしまった…貴方を救う事で、その第一歩を…踏み出したい

        …だから、貴方も、もう自分を赦してあげて下さい

        自分で、自分を縛り付けることを…止めてあげて下さい

        例え、絶望に打ち拉がれて、負けてしまったとしても

        希望を、諦めずに。また立ち上がればいいだけなのですから。


        (それは、心と心が交わした会話)
        (月姫はまだ、謳い続けている)
        (自らの世界を、自らの手で滅ぼしてしまった、魔王の伝説。その続きを)
        (…幼かったあの日、誰よりも早く目を覚まして…誰にも見つからぬよう書き記した、伝説の続きを)


        (世界を破壊した魔王が、やがて。世界を再生し、全てを救う勇者へと戻る物語を)


        (左手に残る令呪、最後の一画が宙へと、浮かび上がる。それは剣の姿をしていた。)
        (それと同じくして、セイバーが行使し、地面へと突き刺さったままの二振りの偽典・勇者の剣(デクスソード)が同調するように浮かび上がる)
        (三本の剣が輝きを放ちながら、融け合うように一つになって)
        (真なる勇者が持つべき剣へと、生まれ変わる)


        ────貴方に救われ、護られし者。カグラ・ソーマが令呪を以って命ずる
                         新たなる伝説を紡ぎなさい
                                 貴方の、本当の願いを成しなさい────


        (勇者の剣が、煌めいて)
        (彼を包み込む、月の繭を斬り裂いた)

        …目覚めよ、再生と希望をもたらす者。セイヴァー(救世主)よ…

        …おはよう、私の勇者様… -- カグラ 2014-04-19 (土) 00:54:47
      • (少女は歌う。神は歌う。終わるはずだった物語の続きを。伝説の続きを。)
        (幼きころに聞いた伝説の物語。それは、魔王が勇者に負けて終わってしまうもの。)
        (あらゆる運命を背負って戦ったのに、最後には潰えて消えてしまう悲劇の物語。)
        (だけど。)
        (ヴァルナは、カグラは、歌う。勇者という呪いによって突き動かされる男に向けて。)(負けてはならない。絶対に折れてはいけない。それが勇者だと信じる少年に向けて。)


        ――負けたと、しても……

        諦めずに、また、立ち上がれば、いい……?


        (少女は言う。間違っていると。運命に勝つことに縛られて、人の希望であるために、負けてはならぬと呪いを受けた男の叫びを、否定する。)
        (勝利することが全ての救いになるとは限らない。)
        (敗者にならなければ、見えないものも、救えないものも、ある。)
        (過去に、絶望に囚われていた少女は、前を向いた。)
        (今、一歩を踏み出そうとしている。)
        (どれほど過酷な運命を受けても、少女は立ち上がろうとしている。)
        (――かつての男が、そうであったように。)

        (負けてもいい。くじけてもいい。だけど、諦めてはいけない。希望を手に、立ち上がれるものこそ。)

        (勇者に、救世主に、なれるのだ。)

        (今、物語が始まる。Kの伝説は、終わってなどいなかった。)

        (今、男は赦された。自らを、赦した。自分で自分を縛り付け、苦しめ続ける螺旋から。)

        (あの老キャスターのような赦しではない。もう二度と、勇者を手放すことはない。手放さない。)

        (その誇りがあるからこそ、人を、世界を、救うことができる。化物はいま、消え去った。)

        (幼き少女の、幼き頃の願いが。幼き頃に、書き記した物語のつづきが)

        (成就する――)

        (世界を破壊した魔王が、やがて。世界を再生し、全てを救う勇者へと戻る物語の幕開け――!!)


        ――ケイタの伝説(無限の希望を以て全てを救う勇者の物語)――



        exp028570.jpg


        ――ああ、おれは今こそ新たなる伝せつをつむごう。ゆう者として、救世主として。

        君のこえを、聞いたから――カグラ!



        (繭と蝶は死と復活の象徴である。)
        (魔王は繭の中で永遠の眠りにつき――勇者が目覚めた。)
        (最早偽典ではなく、真実の勇者の剣、デクスソードとなった剣によって。)
        (剣の形をした、最後の令呪とともに、月の繭を、裂いて。)

        (それは、現界する。眩い光とともに――)

        ――クラスチェンジ、魔王(バーサーカー)から救世主(セイヴァ―)へ!――



        (過去、現在、未来を通じ邪悪と戦い続け、世界を救う誇りと尊き意志を掲げ――)



        (今、希望に満ちた勇者は高らかに、失われた自らの奇跡の真名を謳う――)



        (そう、その名こそ――)



        おれの名は――ケイタ・デクス(再生と希望をもたらす勇者)!!



        ――ただいま、カグラ -- ケイタ
      • (願いは、成った)
        (幼き頃に願った、伝説の続きは。新たなる伝説が…今、始まった)
        (月の輝きを宿す自分よりも、暖かく、眩く、輝く勇者の姿は、まるで太陽のようで)
        (夜闇に包まれていた平原を、世界を、光で満たしてゆく)
        (その姿こそが待ち望んだ、願望機には叶える事の出来ない願い)

        …おかえりなさい、ケイタ。私の声に…応えてくれて、ありがとう

        (少女は、静かに微笑んで。勇者の帰還を祝福する)
        (夜空では月が、ゆっくりと、その姿を取り戻していく)
        (月の魔力で満たされていた世界が、ゆっくりと本来の姿へと還っていく)

        (転生した勇者の他は何事も無かったかのように、世界は平常を取り戻して)
        (真円の月が再び世界を照らし出す)
        (金色に輝いていた少女の髪もまた、元の黒色へと戻っていた)
        (勇者の元へ、近づこうと足を踏み出した、その瞬間だった)

        ……………っっっっっっ………………!!!!!
        (突如として、頭を抱えれば、苦しげな呻き声を響かせて)
        (…それは人の身には余る力を行使した、その代償)
        (禁忌とされた儀式を行った、罰)

        っっっっっっっあァァァァッッッッッッッ!!!!!

        (月角種の証が…額で、仄かな輝きを放っていた角が…砕け散る)
        (同時に。空を仰ぐようにして、倒れ伏していく。月の欠片のような破片と共に) -- カグラ 2014-04-19 (土) 03:16:06
      • もちろんだ。おれは君のこえにこたえる。

        ――おれは、ゆう者だからな。

        (この聖杯戦争中見せたことのないような笑みを浮かべた。その目は、あの絶望満ちた昏い瞳ではなくなっていた。)
        (輝ける、希望に満ちた、勇者の瞳だった。)

        (神の依代となった巫女は、今、かつての少女へと戻った。)
        〈月は天に戻り、世界は神界から、元の世界へと戻る。)
        (魔王を勇者へと転生させるための儀式は今、終わったのだ。)

        ――カグラッ!?

        (少女がこちらへと歩き出そうとしたときだった。カグラは突如頭を押さえ、蹲った。)
        (魔力を大量に封じた、ルナコーンたる証の角。魔力の輝き宿すそれが――)
        (禁忌の儀式を行ったための反動が――)

        (訪れた)


        (ルナコーンの証たる角が砕け散った。月の欠片のように、破片が飛び散っていく。)
        (少女の絶叫と共に。)
        (ケイタはそれにすぐに駆け寄り、倒れていくカグラを受け止める。)

        ……すまない。おれのために。君のつのは、砕けてしまった……。
        ありがとう……なにもかも、きみのおかげだ。だから……。

        (少女を抱きかかえつつ、角の破片を手に取り、握りしめる。輝く角の破片を。)

        おれもそれに応えるために、なすべきことを、成そう。

        (少女を抱きかかえたまま静かに立ち上がると、セイバーとニーナの下へとケイタは歩き出す。)
        (おとぎ話の中の勇者が姫を抱きかかえるようにして。) -- ケイタ 2014-04-19 (土) 03:40:08
      • (月の魔力が満ち満ちた空間)
        (幻想的で 御伽噺の数ページのような 夢と錯覚しかけない出来事が繰り広げられている)
        (たゆたう魔力を肌で感じながら…)
        (息を潜め、身動きせず)
        (今はただ傍観者であればいい 二人の物語、二人の伝承を見届ける者でありたい)
        (大事に大事に頁を捲る様に見守っていた)



        (やがて悲嘆の魔王は眠りにつき)
                        (再生の勇者が目覚め)
        (新しい物語が紡がれ始める――――)



        (カグラを抱えたケイタがこちらへと歩み寄る)
        (それを畏怖でも恐怖でもない 新たな勇者の目覚めを、柔らかな笑顔で歓迎した)
        (おはようもおかえりもカグラとケイタの二人が成す言葉)
        (だからただただ笑顔で) -- ニーナ 2014-04-19 (土) 08:46:49
      • (月が欠け、魔王が眠り、救世主が生まれる伝説)
        (その一部始終を見届ける)
        (自分達は引鉄こそ引いたが、残るやることはただ見守る事だと弁えていた)

        (マスターの隣で彼の到達を待った)
        (笑顔でただ歓迎するマスターの代わりに、こちらにきた二人へ言葉をなげかけた)
        君は…君達は、これからどこへ向かう?
        (新しい始まりを迎えた二人に、端的に問いかけた) -- セイバー 2014-04-19 (土) 09:28:55
      • ――明日(希望)へ。

        (セイバーの問いに、笑顔でそう答える。瞳には光があり、あの異様な重圧も、絶望も、ケイタには最早なかった。)

        おれはもう、英れいじゃない。サーヴァントでもない。だから、もう聖杯をおいもとめることはしない。
        もう、聖杯戦争でのおれの願いはかなえられた。ま王はたおされた。
        ――君達によって。

        きみたちの勝ちだ。この世界のゆう者と姫君よ。

        デクスのま王をたおし、おれという存在をとりもどしてくれたのは――きみたちだ。

        ありがとう。

        (目を伏せ、礼を言う。)

        この先、きみたちがどういう道をえらぶのかはわからない。この聖杯戦争の果てがどうなるかも。
        だけど、希望をもち、むげんの勇気をもつきみたちならば、かならず、道はひらけるはずだ。

        (宝具《伝説の書》(ケイタの伝説)がセイバーとニーナの前に出現し、自動的にページが繰られる。)
        (それはケイタの伝説という、未だ書き記され続けている伝説の一部。)
        (そこには、白のセイバーとニーナの名前が記されていた。この世界の勇者と姫君。魔王を倒し、勇者の再臨を招いた伝説の者として。)

        (周囲に光が満ちていく。Dの空間……デクスの空間が広がっていく。)
        (魔王の時に否定された黒き歴史は今や勇者の物語として肯定された。)
        (デクスソードがひとりでにケイタの鞘へと収まっていく。)

        きみがよびだしたデクスソードは、もはや偽典ではない。これは、ほんとうのデクスソード。ゆう者の剣。おれがこの世界にのこしたものだ。
        ――たしかに、返された。ま王はこの剣によって、ほろぼされたんだ。
        だから、おれもきみたちにおかえしをしよう。君達にはそのしかくがある。

        ――どんな存在でも、どんな過去を持っていても、奇蹟は起こせるんだ。

        (カグラを抱いたまま、右手をセイバーとニーナの前に掲げる。デクスの紋章が光り輝きはじめ、二人に光を放つ。)
        (宙に何かの紋章が浮かび上がり、消える。)
        (二人の掌にその紋章が浮かび上がり、消える。)

        これは、ま王をたおしたゆう気あるものの証。
        そして、おれの友という証だ。
        まだ、うん命は定まっていない。どれだけ絶望しても、負けても、たちあがればいい。
        きみたちは、そしてカグラは、それをおしえてくれた。

        その紋章はきみたちをしょうちょうするものだ。きっと、奇跡をおこしてくれるだろう。
        いや、ちがうな。奇跡をおこすのはきみたち自身だ。その紋章はてだすけをするだけだ。
        おもいのままに、ねがいのままに、あらゆる絶望にたちむかうゆう者の証――おれからの、おんがえしだ。どうかうけとってくれ。


        ――おれは、いかなければならない。おれの戦いはおわっていない。むしろ、これからだ。
        デクスの神をたおし、うん命をもてあそぶことをやめさせる。そして、おれは世界をすくおう。
        おれの罪をあがなうために。そして、友たちとの誓いをはたすために。

        おれが、その戦いの果てにいたったとき。

        ――また会おう。白のサーヴァント、そしてそのマスター。 -- ケイタ 2014-04-19 (土) 18:38:04
      • うん。 それが、相応しい…目覚めた勇者の歩む道は、そうじゃなきゃ!
        (諸手をあげて喜んだ 自分たちのことのように)

        (傍観者として…終わる、そのつもりだったのに)
        (現れた書物に名前が記されていく)
        (御伽噺のヒーローとヒロインとして…二人の名が)
        ………(それは照れくさくもあり誇らしくもあり)

        (目覚めた勇者が放つ言葉は希望に溢れていて 彼らの先に広がる道、光に包まれて続いていくと確信できる)
        躓いても大丈夫
        諦めなければ道は必ず続いているの……… ふふ、もう言わなくても、大丈夫だよね
        (宙に浮かび上がった紋章はやがて手のひらに)
        これは…… ありがとう!
        いつか挫けたとき…きっとあなたたちのことを思い出すの

        いってらっしゃい、目覚めた勇者
        私たちの道がまたいつか交差することを祈っているの
        またね!! -- ニーナ 2014-04-19 (土) 20:07:52
      • (希望へ。そう答えた姿が、ただ眩しい)
        (きっと彼は物語をめでたしめでたしで終えてくれるだろう)
        (巫女…カグラの容態は心配だが、それも勇者に抱き抱えられた姿を見てひとまず納めておく)
        …そうか。やはり、コピーに成功したのはマスターの助力もあったが…
        (この世界に眠っていた、彼の剣が応えてくれたのもあるのだろう。まさに勇者の剣だな、と独りでに鞘に納まるそれを見送る)

        どんな存在でも…か。それは、ああ。それは覚えておこう、勇者…いや、友と呼ばせてもらおう
        (思えば、聖杯戦争から始まった戦いで友と呼べるものなどいるわけもなく…望外にあったそれを得た事になる)

        確かに受け取った。いつかきっと、この紋章があるから戦えたという日が来るといいな

        (最後に顔を引き締めて)
        …ほんの僅かだが、あの「神」の声は俺も聞いた。あれは、恐ろしいな…君が一度は負けたのも頷ける
        (だが。それでも。今なら信じられる)
        (勇者ケイタの作るであろう未来が、見える)
        それでも、今の君なら勝てると信じている。また会おう、勇者ケイタ…我が最初の友よ
        (ニーナ共々、これから往く勇者を祝福し、見送る。その旅路が過酷であろうと、乗り越えられると信じて) -- セイバー 2014-04-19 (土) 20:12:36
  • 星の無い夜に -- 2014-04-15 (火) 12:24:13
    • (森での邂逅から幾許、聖杯を巡る戦いも終盤へと近づいて来たある日の事である)
      (聖堂跡の工房、その扉には、あの森で見たものと同じ、木を削り作られた矢に文が巻かれ突き刺さっていた)
      (広げてみれば、そこに記されていたのは、謂わば貴方達を戦場へと誘う招待状)
      (日時と場所、そして極めてシンプルな脅迫が、その文言にそぐわない丁寧な文字で書かれていた)

      (そして)

      (日中は雲一つ見当たらない晴天、夜の帳が降りれば真円の月が輝く、星の見えない空の下)
      (指定されたのは、焼け落ちた森とそう離れていない平原。目印となるようなものは何も無かった)
      (しかし、近づくにつれて大きくなっていく圧倒的な重圧は、標が無くともその場所へと導いていく)
      (辿り着いたその先。月明かりだけが照らす闇の中で、溶け込むような黒い衣装を纏った二人が、貴方達を待ち構えていた) -- 2014-04-15 (火) 13:00:49
      • …招待を受けて頂けたようですね、まずは…ありがとうございますと、言っておきましょうか
        (あの時と同じように、黒き勇者(魔王)を従えた少女が頭を下げ、その後夜空を見上げる)
        …時刻は少し遅刻と言ったところでしょうか。こうして来てもらえたのですから、構う事ではありませんが…
        時間にルーズな方は嫌われると言いますよ、気をつけた方が良いと思います
        (以前の邂逅に比べ、随分と饒舌に。まるで用意していた台本を読み上げているかのように、少女は語る)
        (役者であれば三流もいいところだろう、その表情は固く、一向に変わる様子が無い)
        ここまで来て頂いた理由は、言わずとも分かって貰えるでしょう
        で、あるならば。語らう言葉は必要ありません

        (ちら、と。傍らに控えるサーヴァントを垣間見る)
        (…彼女達と出会った時とは違う、堕ちた勇者の姿。一瞬、苦しげに表情を歪めて)
        ………"D"
        貴方の、望むままに。 その力を振るいなさい。 -- カグラ 2014-04-15 (火) 13:01:09
      • (真円の月が空に穴を開けたかの如く煌々と輝いている。その光故に星は覆い隠され見えることはない。)
        (特に何か目立つものがあるわけでもない平原に、黒衣の二人組がいた。)
        (ここに訪れるべき二人組を待ち構えて。)
        (かつて出会ったときからすれば、二人の印象は大いに変わったと言えるだろう。)
        (特に、黒衣のバーサーカーは大きく変わっていた。かつてあった気高さはなく。誇りはなく。溢れ出す殺気と世界に対する憎悪を、現れた白きサーヴァントとそのマスターに向けた。)
        (剣を抜き、すべてを壊してしまおうと言わんばかりに、狂った波動が、重圧が、平原に広がっていく。)

        ――了解した。我が主。

        (主の命令に従順に頷く。)
        (だが、その堕ちた勇者には最早主の言葉は届かず、主の姿が見えることもない。)
        (彼女の決して上手ではない演技めいた態度にも。自らに命令を下した時の苦しげな表情も。)
        (その悲しげな表情にも、何一つ気づくことはない。)

        (かつての彼ならば、敏感に反応したであろうことも、最早気づかない。勇者としての誇りを捨て、魔王となり、世界を救うために何もかもを壊す。手段も何も択ばない。)
        (化物となった彼には、もうカグラの言葉は届かない。ただ、暴力の塊となり、主の願いを叶えるために、自らの行動は肯定されるとする盲信を抱く男には。)

        ――この力、我が主の為に、世界の為に。何もかもを壊すために。

        取り戻すんだ。何もかもを! もう運命になど俺は負けない。負けてはならない。

        来い、来い、来い、来い。何もかもを壊してやる。このような悲劇しか生まぬ世界など! 邪悪な神に操られる運命など! この聖杯戦争に、勝利して……!

        最早正義も悪も関係はない。俺は勇者などでなくてもいい。そんなものは必要ない。
        殺し、壊し、すべてを救う。そうだ、俺にはそれが出来る。それをしなければならない。
        だから……消えてもらうぞ。白きサーヴァント!

        我らの願いの為に!!


        exp028505.png


        (世界の憎悪と絶望のために赤い血の涙を流しながら。バーサーカーが吼える。吼える。願いを叶えるために、何もかもを成すために、ただ力を振るうだけの装置となったおとこが、長い長い闇の剣を手に取って。)
        (それを一たび振るえば、地面がえぐれ、大地が震動する。)
        (勇者の伝説の剣で、世界を破壊するのだ――その剣は、どこか泣いているようでもあった。)

        オオオオオオオオオ!!!

        (絶叫を上げながら。溢れる闘争への願いを抑えることができなくなりながら。)
        (非情な破壊力を纏った剣を構え、一気にセイバー・エラーの下へと飛び出した。彼を一刀両断する為に。) -- バーサーカー 2014-04-16 (水) 11:57:18
      • (遠間からでも、その猛威は容易く知れた)
        (ああ、確かに。この勇者(化物)を野放しにしては世界が壊れる危険はある。十分に)
        (そして、饒舌なマスターの少女も痛ましい。なんとかしてやりたいが…それはマスターに任さざるを得ない様だ)
        (『すまないがマスター。そちらに気を裂いている余裕があるかどうか…余波に巻き込まれないように注意してくれ』)

        どんな存在に唆されたのか知らないが…なんという有様だ
        (平原で対峙する『D』という化け物を見て呻いた)
        (一度の邂逅ではあったが、その時に感じた物が消し飛んでいる)

        なぜ、取り戻すために壊すんだ?

        なぜ、運命を憎んだのか覚えているのか?

        本当に、この世界には悲劇しかなかったのか?

        (絶望に対するように問い返す。何故だ。と問いかけ続ける)
        (理不尽に諦めるのではなく。問い続け解法を探す事こそが希望だという様に)
        いいだろう。かつて、何かを救い抜いた人間を元に作られた俺が。マスターと共にお前を迎え撃つ
        来い、黒のサーヴァント。お前が全てを取り戻したいと願い、その為に全てを破壊するというなら

        まずは、お前の全てを取り戻す…!

        (絶叫を上げ突き進むサーヴァントに、そう声を張り上げて)
        (ただ、無言で宝具を召喚する。硝子の双剣が、手の内に硝子の砕ける音と共に生み出された)
        (硝子の双剣が、セイバーの両手に生み出される。周囲の光を通すそれは無垢に敵の到達を待っている)
        (─解析開始) -- セイバー 2014-04-16 (水) 21:21:43
      • (燐光纏う長大な剣を手に、黒のサーヴァントは疾走する。)
        (溢れだす力は岩を砕き、空を闇が染めていく。)
        (恐るべき破壊の力。恐るべき魔の力。魔王の城を両断したと伝説に記された剣を手に、セイバーへと迫る。)

        お前にはわかるまい! この世界に満ちる悲劇が

        お前にはわかるまい! 幾度救おうとも零れ落ちていく世界の絶望が!

        黙れ! 問うな! そのような問いなど意味はない――俺は既に結論を出した!
        結果が全てだ。故に俺は全てを救う。この神に呪縛された世界を壊して!

        救えなければ! 何も成せなければ! 力を持ったとて、無意味だ。故に、俺は力を使う。
        世界を救う勇者、邪悪な世界を破壊する魔王、そのような肩書など、意味はない……俺は、それでも、全てを救えなかった。

        だからこそ、俺は今こそ全てを成す! 救い、破壊する。その矛盾を今、同時に成す!

        滅べ! 滅べ! 滅べ! 我が前に立ちふさがるもの全てが敵だ! それが、どのような存在であっても!!

        何かを救いぬいた人間……だと。(バーサーカーは大きく跳躍する。それと同時に世界が震える。憎悪によって。)
        俺の前で……何もかもを救い、何もかもを救えなかった俺の前で! 救いぬいただと!!

        出来るものか!! 全てを奪われたことのない存在に、それの全てが取り戻せるものかああああっ!!


        「発動、Dの紋章」

        (眩い勇者としての光が右手から満ちていく。だがしかし、しかし、最早黒のサーヴァントは、勇者ではない、故に。)
        (紋章から、闇が噴出していく。神への憎悪が、絶望が、悲しみが、全てが。)
        (噴き出して、世界を震わせ、周囲に闇を招く。

        exp028552.png


                    ――反転――


        exp028553.png


        (――魔王が降臨した。世界を全て壊す魔王が降臨した。)
        (その身を漆黒の闇に染めて。その絶望を恐るべき力に変えて。)

        オオオオオオオオオオ!!!

        (すべてを破壊する剣で、セイバーの硝子の剣を切り裂かんと振り下ろす――!) -- バーサーカー 2014-04-16 (水) 23:02:26
      • (激昂するDを見て。ああやはりと思う)
        (恐らく自分の元になった人物も、こうなる可能性があった)
        (志は似ていたはずなのに。決定的に分岐してしまった)
        (そこに善悪はないはずだ。優劣もない。だからこそ辛い)
        (だからこそ。それでもと。まだなんだと語るのは、成功を経ている者の義務だ)
        (一人では何も救えはしない。自分だけでも。彼だけでも。世界は、多くの手を求めているはずだから)
        言葉ではもう分かるまい…分かるなら止まれたはずだ。俺ではなく、お前のマスターの言葉で…!
        (それを言うのは、戦いを見守るDのマスターにも辛かろう。だからこそ、自分が戦って、彼女の言葉が届くようにしてやらねばならない)

        …ッ!?
        (紋章が反転する。異様なプレッシャー。自分にすら呼び起こされる恐怖心)
        (それを押し殺しながら。畏れるように叫ぶ。ああ、自分は初めて相対する。これが、これが)
        魔王!
        (己を。否、世界を砕かんと振り下ろされたDの剣をクロスして受け止める)
        っぉおおおおおおおおおお!!
        (硝子の剣が、砕け。しかし瞬時に再生する。その繰り返し。気功の技能を持ってしていなせない超威力!)
        (このままでは、死ぬ。何かで返さねば…宝具で!)
        (だが、あのDの剣は恐らくEXランク。易々と転写はさせてくれまい)
        (何かバックアップでもあれば別だが…そう考えている間に。ともかく。この剣をいなさねば死ぬ!)
        迅雷の魔閃(イグナストライク)…二刀
        (双剣が白い稲妻を纏った。それ一つではDの剣に対抗すべくもないが…)
        瞬雷の双刃!!(ライトニングジェミニ!!)

        (双剣、双方による雷剣二閃。それを持ってして、Dの剣を受け流してのけた)
        容易く俺を切れると思うなよ…!
        (長大なDの剣の脇を駆け抜けるようにして、白のサーヴァントが黒のサーヴァントの間合いに踊りこんだ) -- セイバー 2014-04-17 (木) 00:45:34
      • (声にならない叫びが続く。)

        (幾度も、幾度も。幾度も幾度も幾度も幾度も幾度も。)
        (黒衣のサーヴァントは戦い続けてきた。無限なる戦いを。果て無き戦いを。)
        (問い続けた。問い続けた。何故終わらないのか、何故世界を救っても、全ては台無しになってしまうのか。この物語の終わりはどこなのか。)
        (幾万度と与えられた絶望にも負けなかった。勇者として立ち上がり続けた。神に弄ばれ続けても。)
        (何度も、何度も。何度も何度も何度も何度も何度も。)
        (たとえ、全てを失っても。再び立ち上がった。主の切なる願いに応え、現れた。)
        (絶望の果てに、その狂った正義を掲げても。)
        (“勇者”であり続けようとした。)
        (それこそがDの勇者の力の源。それこそが世界を救い続けた男の存在そのもの。)

        (だが。)

        (今ここにいるのは化物と化した絶望に狂った男。老キャスターによって赦され、ただのDとなった男。己の目的の為に、欲望の為に、全てを壊して救う者。)
        (勇者としての矜持はない。誇りはない。全ては捨てたために。それらを捨てでも、力をして、全てを破壊して、聖杯に至ることを望んだのだ。)

        (主の切なる願いを叶えるために――しかし、その意味すらも、今は狂ってしまった。)
        (《かつて勇者だった者》が、そこに在った。)

        (慄然たる威圧とともに硝子の剣に、魔王の剣が打ち付けられる。硝子が砕け、散っていく。だがそれは瞬時に再生し、Dの剣を防ぐ。)
        (世界をも両断するほどの感情の奔流が込められた剣が受け流される! するり、と、伝説の剣の、長大な赤く光る刀身がセイバーを避け、伸び続けていく。地面にぶつかり、地面をえぐり続けていく。)

        馬鹿な……! 何故受け流せる!? 全てを、全てを両断した剣だぞ――!!

        (刹那、白のサーヴァントが黒のサーヴァントの間合いに突入してきた。)

        ――曲がれェッ!!

        (黒のサーヴァントの叫びと共に地面をえぐっていた剣が大きく弧を描き、“曲がる”)(天を突くほどの長さとなったそれはセイバーへと向かう。)
        (だが、間合いに入った彼は止められない。剣は長大故に、高速の戦闘には向かない!) -- バーサーカー 2014-04-17 (木) 02:20:31
      • (─解析中)
        (受け流したDの…魔王の剣は予想以上に凄絶だ。ほぼ無傷で切り抜けたのが不思議なくらいだ)
        (最も、無傷が死ぬかの二択であればそうをならざるを得まい)
        (あれが勇者の剣ならば、斬られていただろう)
        (あれが世界に向けて真に振り下ろされたなら、世界は断絶されただろう)
        (だが、そうなってはいない)
        はぁぁぁ…ッ!
        (その理由を問いはしない。その答えは、問うものではなく。これから導く物だから)

        全てを両断してきたとしても、今斬れてはいまい…それが全てだ!
        (二重の意味を篭めて。気付いてくれと祈って。白が駆け抜ける)
        (そしてついに、間合いに捉えた黒を白の双剣が二重に薙いだ)
        瞬雷の双刃!(ライトニングジェミニ!)
        (宝具の連打。容赦なく主から魔力を吸い上げていくが、今はそれしか手が無い)
        (白の雷剣が魔王とすれ違い様に、閃光もかくやという速度で振りぬかれ…)

        あの規模で更に刀身が伸びて曲がるというのか…!? 星くらいは切り抜きそうだな!
        (駆け抜け離脱しても間に合いはしない)
        (軽功の力で飛び跳ねながら、直撃を避けるも…)
        (余波だけで裂傷を食らう。胴が千切れていないだけマシというダメージを受けながらも、着地して魔王と対面する位置に降りたった) -- セイバー 2014-04-17 (木) 20:48:31
      • (――二人が着地した後、バーサーカーの胸部が十字に切り裂かれ、赤黒い血が流れる。)
        (セイバーの宝具を受けた。軽いダメージではない。胸を左手で掴み、魔力を無理やり流し込んで血を押しとどめる。)
        (闇という属性を得て魔王となった男の昏い瞳が、セイバーを捉える。)
        ……まだ、俺の中に甘さが残っているということか。単なる力になりきれていないということか。
        一刀のもとに、お前を切り裂くことができなかった――

        俺は、もう戻れない。戻らない。そうすれば、全てが無駄になってしまう。俺は、負けるわけにはいかない。
        お前にも、世界にも、運命にも――神にも。

        勇者では救えなかった。魔王となっても神は殺せなかった。
        ならば、今一度、今一度、全てを俺は捨てよう。
        勇者としての、魔王としての過去を捨て、ただ一つの力となる。
        そして、遍く世界を救う。

        ――それが、俺に出来るただ一つの、贖罪だ。


        (星くらいは切り抜きそうだという言う言葉に、バーサーカーは目を閉じる。)


        そうだ。

        俺は、俺の住む星を、世界を、この剣で切り裂いた。

        ――滅ぼしたんだ。


        それを、今、見せてやろう。お前に勝つためには、運命に勝つためには、全てを切り裂き、救うためには!

        俺の過去全てを、罪全てを、黒き歴史として力に変える。そして俺の全てを否定する。

        俺の、絶望も、かつての栄光も、全て――

        (剣を高く天に向けて掲げる。すると、異様な気配が満ちていく。世界そのものが振動しているかのような。)
        (途轍もないことが起きるというような雰囲気が満ち満ちていく。)

        俺の絶望の全てを知れ。それでもなお俺を討つことができるならば、貴様が勇者であるならば。

        そこが、俺の物語の終焉だ。だが、それはない。あり得ない。俺は世界を救わなければならない。己の意志のままに。主も、お前も! 何もかも!

        だからここで、潰えるがいい――白の男よ。我が最後の宝具を受けて。

        ――守るべき世界を守れなかったとき、君は、どんな顔をする?


        ――Kの伝説(終わらない絶望の物語)――

        exp028565.jpg

        (赤い剣が天を貫いて伸びる。空間自体を切り裂いて、その空間から闇が溢れ出す。平原一帯を包み込み始める。)
        (それは固有結界。Dの勇者/魔王の最後の宝具。)
        (次々と、大空に走馬灯のように、「Kの伝説」と呼ばれたある勇者と魔王の物語の映像が流れていく。)
        勇者として目覚め、旅立ち、魔王と戦い、仲間とともに駆け抜けた日々。
        Dの紋章の真実に気づいてもなお、運命に立ち向かい、抗い続けた男の物語。
        (この黄金の伝説の残る世界にやってきて、勇者として、魔王に堕ちず、世界を救うと友たちに語った日々。友に戦った日々。)

        そして――神から与えられた絶望故に、狂い。世界を、自ら滅ぼしてしまった絶望の物語。その真実が今、ここに明らかになった。

        (神に運命を弄ばれ続けた男。勇者として世界を救い続けても、最後には神が現れて、全てを滅ぼしてしまう。そして、それが永遠に繰り返される。)
        (Dの勇者は、それでもなお運命を乗り越えるために戦い続け――そして、遂に神によって狂わされ、魔王となった。)
        (絶望の果てに――世界を滅ぼしたのだ。その手で。何もかもを。)
        (男の大罪とは、自ら世界を滅ぼした事。)
        (そして、男が成そうとしていることは、その贖罪。この世界と同じようにすべてを滅ぼして、神の呪縛から世界を解き放つ。)
        (――そのすべてが、今此処に示されたのだった。)

        ――ここが、俺の原罪の地だ。

        (あたりは闇に満ちていた。そう、宝具により空間が裂かれ、この地に、Dが破壊した世界が呼び出されたのだ。)
        (だが、そこには何もない。何もなくなるほどに、無に還してしまうほどに、破壊してしまった世界。)
        (あらゆる絶望、気が狂ってしまいそうなほどの絶望とプレッシャーが、セイバーに襲い掛かる。)
        (そしてそれはバーサーカーの力となる。これは一つの賭けだった。再び、自分が世界を破壊する姿を目にすることによって、その覚悟を思い起こし、力とする。)
        (この空間で、この罪の世界で、この絶望を力に変えることができれば、自らが狂わずにいられれば。)
        (――勝てる、と信じて。)

        これで最後だ。この世界で、俺は決着をつける。来るがいい。俺の全てを取り戻せるというのならば!

        (赤い剣が伸びる。世界を滅ぼした剣が伸びる。)

        (だが、どれほど力を得ようとも、超越した能力を持とうとも。)
        (心は耐えられない。バーサーカーの体が揺れ、赤い涙が頬を伝い続ける。)
        (全てを忘れるために、運命に打ち克つために行ったはずの行為が、自らの存在を、心を削っていく。)
        (――そして、もう耐えられなかった。

        うあ、ああ、あああああああ!!!!

        (嘆きの声を上げる。すると、何かの哄笑が空より響いていく。それは、この男を嘲笑う神の声であった。バーサーカーを嘲笑う。自らが世界を滅ぼしていく様が、映像として何度も再現されていく。)
        (そんな世界の中で、バーサーカーは狂いながら、白きセイバーへと天を突く剣を以て、切りかかった。)
        (魔王となった男。全てを捨てた男。だが、ほんとうは勇者になりたいのだ。世界を滅ぼしたくはないのだ。)
        (それ故に、目の前の男は眩しすぎる。かつての自分だ。それを忘れ去るために、その絶望の剣で斬りかかる――!)

        (魔王は勇者に勝てぬと、知り得ながらも。) -- バーサーカー 2014-04-17 (木) 22:05:04
      • (魔力さえあれば、今のセイバーにとって消滅に至らない傷は。直す隙さえあれば致命傷とはなりえなかった)
        (即座に修復していく。万全でなければ相対できる相手ではないのだ)
        …何がそこまでお前を追い詰めた。何がお前をそこに追いやった
        (それを知らない。知らなくてはいけない)
        神を殺せない…そして、世界を滅ぼした。切ったと言うのか
        (そこに、どんな絶望があったのだろうか)
        (それでも)
        戻れない…か。それは…それだけは、お前が決める事ではない
        それは、勇者が決められる事でもない。魔王でも、神ですら決めるものではないはずだ
        俺も。ニーナも。お前も。お前のマスターも。お前が今まで関わってきた全て。それだけが決めることだ

        (そしてその問いが放たれ。その力が見えた)

        (――守るべき世界を守れなかったとき、君は、どんな顔をする?)

        (俺はその世界を知らない。聖杯戦争の始まりに生まれ、今まで歩いてきたちっぽけな時間しか過ごしていない)
        (元となった人物ならともかく。この白のサーヴァントは世界を救った経験なんてないのだから)
        (でも。理解できる事はある。その日々が長さに関係なく。全て大事な物であったこと)
        (生まれてきた意味が分からなくても、進むべき道があった事)

        (そして。その伝説を見た)
        (その物語が語られる)
        (それが彼の絶望の一端。ただ、勇者と魔王という枠に踊らされる絶望)
        (その重みが理解できない。理解できたとはいえない。誰が言えるものか)
        (輝く過去があるからこその苦悩。大罪の重み。全てが重く圧し掛かってくる)
        ……これが……滅びた世界だというのか……!
        (今まであった決意が綻びていく。目の前の男の絶望の一端に潰されて、見えなくなっていく)
        …あ…!(膝が勝手に折れる。心の前に、身体が萎縮したように)
        ぅぁ……!(こんなのは無理だ。と心が叫ぶ。体は怖いから動きたくないと震えて止まない)
        げぇぅ…!!(ついに。その二つがセイバーの体をも蝕んで、ダメージを与える。剣を受けるまでもなく、内部から崩壊していく──)

        (でも。その涙を見てしまった)
        (狂いきった、Dの流す涙)
        (勝ちたいという気持ちではなく。それがあるのが我慢できないという。理屈ではないただそれだけの理由で)
        (前を見た)

        (血を吐きながら腕を動かす)

        (歯をくいしばって足を動かす)



        (血を吐きながら準備オッケー)
        (双剣を構えて。嘆きと共に上がる剣を見据えて。戦いを再開しよう)
        (解析中断。読み取り不可能。対象の構成ランクはEX)
        (諦めない。それが必要だ。手を伸ばす。自身を壊そうとも)
        (だが、それだけでは足りない)
        (力を。誰かの力を。力をいつもくれた彼女を呼べば…!)
        マスター…ニーナ。聞こえているかニーナ
        俺に…力を!
        彼を…この世界を諦めない。彼を諦めさせない。君のいる世界を壊させない

        ニーナ、俺に力をくれ───!! -- セイバー 2014-04-17 (木) 23:33:37
      • (極大の魔力を使用。EXランク宝具の転写を開始します。詠唱開始)

        It's raining in the still of the night
        at first light to be a memories
        but don't lose grip on the dream of special
        so long as I live, never say goodbye
        I'll return in your heart

        硝子の万華鏡よ、全てを写しとれ──!

        (双剣が姿を変える。魔王化したDの剣を元にコピーして、しかしそこに生まれたのは魔王化した状態のDの剣ではない)
        (偽典・勇者の剣(デクスソード))
        (かつてデクスソードと呼ばれたものを、この世界に眠る記憶から強引に召喚。模倣したのだ)
        (本物ではない。偽者だ。それを二本掲げて、魔王の振り下ろされる剣に抗い、走り出す)
        (即座に潰されそうになった。その時に、声が……)

        何かが甘く囁いた。剣を真似られるなら紋章もコピーしてしまえと。そうすれば越えられる。
        魔王を倒す、世界を救う勇者になれると──

        (その誘惑を。人であるなら抗いがたい。苦痛も敗北も容易く除けられるであろう誘惑を)
        否。断じて否だ!!
        (跳ね除けた。ちっぽけな意地だけで)
        俺は勇者じゃない…勇者になりたいわけでもない!
        ふざけるな。勇者でなければ救えないと誰が決めた! 神に愛されなければ何かを救う配役が回ってこないと誰が決めた!
        (天を突く剣を受けるたびに。両手に持った剣が軋む。本来の持ち手でもなければ、完全なコピーでもないのだから当然だ)
        (剣を凌いで走る間に何度も。砕ける。そして、コピーし直す)
        (そうして。ついに。ボロボロになって、血塗れでない場所などなくなって。彼の前にたどり着いた)

        覚えていますか? 過ぎしあの頃 今もいつまでも 忘れえぬ 日々

        (歌うように。もう一度君は立つべきだと想いを投げて、二本の偽典・勇者の剣(デクスソード)を振り上げ…振り下ろす!)

        運命に、抗おう…! -- セイバー 2014-04-17 (木) 23:34:53
      • (対比。)
        (重すぎる運命を背負わされて、何回も、何百回も、何万回も、何億回も、世界を救い、そして壊されていった男。その果てに、自らの根源である勇者さえも捨て去った男。)
        (聖杯によって構築された無名の英霊、『魔剣使い』。色のない白きサーヴァント。まだ、動き始めたばかりの男。)
        (あまりに違う存在。対局ともいえる存在。まだ始まったばかりの物語と、もう永遠に繰り返され続けてきた物語がぶつかり合う。)
        (始まったばかりの物語が、その重みに耐えきれるはずはない。絶望の物語に押しつぶされてしまうはずだ。)
        (恐れ、絶望、かつての栄光、世界を救った記憶、そして、全てを奪われる記憶。救っても手から零れ落ちてしまう砂のような世界。それらがなだれ込み、セイバーを押しつぶそうとする。)
        (その膝は折れ、内部を浸食し、壊していく。)

        (だが。)

        (だがそれでも、目の前の男は立ちあがった。前を向いた。傷つきながらも、腕を、脚を、動かしていく。)
        (たとえ勇者を名乗らなくても、たとえ世界を救ったことがなくても、真白な存在でも。)
        (輝いている。眩く、輝いている。)
        (それは、かつてのバーサーカーの姿。運命に負けない。どのような窮地に立たされても、諦めない姿。)
        (最後の最後に、自分が失ってしまった姿が、そこにあった――)

        ――馬鹿な……!

        ――デクスソードだと!?

        (硝子の剣が万象を再現する。かつてこの世界にあったもの。かつてバーサーカーが手にしていたもの。)
        (父から受け継いだ、今は亡きデクス王家に伝わる伝説の剣。二振りの剣。)
        (この剣でかつて、この黄金の伝説の地を駆け、戦った。その剣はこの世界の何処かで眠っている。今はこのバーサーカーの手にもない。)
        (だが、セイバーは持っていた。伝説の剣を! 魔王を倒す剣を!)
        (不完全であっても、それはまさしく「デクスソード」だ。それを手に出来るのは、勇気あるものだけ。絶望に立ち向かえるものだけ。)
        (――今のバーサーカーでは、握ることができないものを、彼は持っていた!)

        (デクスの「神」の甘言を一蹴し、それは迫る。)
        (天を突く、世界を破壊したDの剣を受けて、何度もボロボロになって、血まみれになって。)
        (それでもなお、こちらに迫ってくる。――これが、恐怖なのか。これが、魔王が勇者に抱く恐怖なのか。)
        (どんなに戦力差があっても、どんなに絶望を受けても、なお立ち上がり、何かを救おうとするもの。)
        (――魔王を倒すと誓ったあの日、少年が本当になりたかったものが、そこにいた。)

        ――あれは、俺だ。

        (アルヴィンを見た時と同じ言葉を、呟いた。絶望に打ちひしがれた勇者の末路のような男を見たときの言葉を。)
        (そして、かつての自分のように輝き、運命に立ち向かう男の姿を見て、呟いた。)

        俺は、俺は、俺はああああああああっ!!!

        (溢れ出す。溢れ出す。捨てたはずの記憶。もう、黒歴史として葬り去ったはずの過去。)
        (勇者として、運命に立ち向かった、日々が――)

        (二本の勇者の剣によって、招かれた――)



        ―――――あ、ああ。

        (からん、と手に持っていた剣が地に落ちた。原罪の地が崩壊していき、空に真円の月が戻る。)
        (固有結界は消えた。闇の歴史の世界をセイバーは脱出したのだ。)
        (バーサーカーは地に膝をつく。最早戦う力はない。魔力は限界だ。戦うことなどできない。)
        (――敗北したのだ。世界を壊す魔王は。)
        (勇者は名乗らない。だが、勇者たるべきものによって。)
        (魔王は勇気ある者に倒される。それは、道理のことだ。)

        (セイバーはそれに気づかせてくれた。彼は、それを、思い出させて――)

        ――素晴らしい! なんと悲劇的で愚かなことだろう! 君は魔王として勇者に倒される!

        そうだ、そうだとも。これが結末、これが全て! これが君の旅の終わり! これが君の物語の終わり!

        彼こそ真の勇者だ。何も救えなかった君とは違って。――結局、君は何も成せない。

        さあ、絶望に泣きたまえ、絶望に震え給え。まだ、まだ戦えるだろう? 願いを叶えるのだろう? デクスの螺旋から脱出するんだろう?

        まだ終わりたくないのなら戦え。そうしなければ君は永久に魔王だ。運命に屈した勇者だ! だから――

        殺せ、滅ぼせ、何もかも。その男を。そうすれば、君は、勇者に戻れる。勇者は常勝だ。勝たなければ、君はただの――私の玩具だ。

        ハハハ、ハハハ、ハハハハハハハ!!

        (デクスの「神」の声が響く。それが、セイバーの言葉を受けてかつての心をとりもどしそうになったバーサーカーの心を乱す。)
        (邪悪な神の哄笑が、再びバーサーカーを、Dの螺旋へと落そうとする。永遠に終わらない物語の、主人公になれない男へと、落そうとする――)

        これが、結末なのか……? 俺は、魔王として滅ぼされる……?
        違う、違う、違うッ!!! そんなのは、違う! 俺は、俺は――世界を救うんだ!
        そうしないと誰にも償えない! 俺が滅ぼしてしまった者たち全てに、償えない!!
        こんなところで俺の物語は終わるのか! 神の操りに人形のままで! 嫌だ、嫌だ、嫌だッ!!
        俺は、もう世界を壊したくない! ――魔王になんて、なりたくないんだ!!
        だから、負けない、負けてはならない。絶対に俺は負けられない!
        立ち上がれ立ち上がれ立ち上がれ……俺は、俺は、俺は、神の世界を壊す。壊す。壊す。
        ここで負けたら、俺は、何の為に戦ってきたんだ。これまで、何の為に――!!
        止まれない、止まれないッ!! 負けられない! ああ、ああ、あああああああああっ!!!
        運命に負けては、いけないんだあああああっ!!

        (魔力は尽きている。最早消える寸前なのに。神の言葉に突き動かされ、バーサーカーは動き出す。剣を携え、立ち上がり、目の前のものを滅ぼそうとする。)
        (再び、神の操り人形へと、堕さんとしていた。)
        (魔王になど、そんなものにはなりたくなかった男の、悲痛な叫びが響き続ける。神によって運命を歪められた男が。このままでは、どのみち消えて、終わりだ。)

        (これが――物語の終焉なのだろうか。) -- バーサーカー 2014-04-18 (金) 01:06:10
    • (指定された場所へと足を踏み入れる)
      (そこを取り巻く重圧は…かつてのカグラのサーヴァントとのものだとは分かるものの、雰囲気が違う)
      (何かあったのだろうか この聖杯戦争で自分たちが様々な変化を経たように カグラとそのサーヴァントもまた変わったのだろうか)

      カグラ、ちゃん。(硬い表情のまま紡がれる言葉、それは薄っぺらくて…)
      …!!(現れたサーヴァントはがらりと様変わりしていた)
      (壊す。 ただそれだけの化身へと成り果てていた)
      (しかし秘めていたポテンシャルを躊躇うことなく解放した彼は…間違いなく、強い)
      (『セイバー…。』)
      (わざわざ念話で確かめなくても、彼もわかってることだろう)
      (きっと。 変容してしまったサーヴァントの正気を、取り戻してくれる そう信じて魔力を送る)


      (そして。 自分たちには、やるべきこと。 話すべきことがある)
      (けれど彼らから離れすぎるわけにもいかない 見届けなければならないのだ、己のサーヴァントたちの行く末を)
      (故にこの戦いにおいては気休めでしかないだろうが…防御障壁を最大出力で張った)
      (自分と、カグラを中心に。) -- ニーナ 2014-04-16 (水) 22:36:22
      • (命令を下した、その言葉に頷くサーヴァントの声は、表情は…ただそれに反応をしただけで、そこには心を感じ取る事が出来ない)
        (待ち望んだ、破壊する為の戦いに、ただ世界への憎悪と、殺気を放つばかり)
        (そこには…自分の知る勇者の姿は、欠片も伺う事は出来なかった)
        (願いの為にと、叫ぶ魔王の声は空虚にしか、聞こえなかった)
        (…そして、自身の言葉を引き金として戦いは始まった。…考えてみれば、こうして自らが率い…戦いを起こしたのは、初めてだったかもしれない)
        (襲撃を受け、それを迎撃する…それ以外の戦いにおいて、"D"は自分を帯同させようとはしなかった)
        (足手纏になる、という事もあっただろうが…それ以上に、私の心を気遣っての事だったのだろう)
        (間近で見る、彼の闘気は…森で見てきた、それ以上に熾烈と思えた。それは狂気に満たされていた以前でも、そうだったのだろう)
        (…彼は、私にそれを見られたく無かったのだろうか…それとも…)

        (死闘を演じ合う、漆黒と純白のサーヴァント)
        (それにもっとも近い場所で、その行く末を見届ける、二人の少女)
        …やはり、貴方達を選んで良かった。…これを使ってください、ニーナ・ミュウ
        (二人を包む障壁を見て、力無く、微笑む。…近くで見れば、有角の少女は以前と比べて随分と憔悴しているように見える)
        (手渡そうとしているのは小瓶に入った、深い緑色をした液体)
        …貴方の口には合わないかもしれませんが、魔力の消耗を抑える効果を持つ、薬です。
        以前に会った時と比べて、随分と…力を無くしたようですが。貴方の魔力が尽きて…彼が戦えなくなってしまうのは、避けたい
        (小瓶を開いて先持って口を付けて見せる、毒は入っていないと、示して) -- 2014-04-17 (木) 20:18:40
      • (眺めていた)
        (ずっと、目を見開いて、二人で)
        (繰り広げられる戦闘のほとんどは目に捉えられず、理解も及ばない域のものだった)
        (ただ着実に消費されていく魔力が、戦闘の激しさを物語る)

        (このペースで消費されては身がもたない、けれどそんなことは言っていられない この戦闘は、そんな理由で終わってはいけない)
        (自然と表情も険しいものになる…が、掛けられた声の主に振り向く頃には寄っていた眉はいつも通りに)
        (改めてカグラの姿を見る 久しぶりにみた彼女の様子は変わっていた 外見が変化した自分が言えたことではないのだが…)
        (どこか、憔悴して、そして…諦めたような雰囲気が感じられる)
        (そう考えている間薬を受け取ろうとしなかったので疑っているように思われてしまったのだろうか…と思いかけてすぐに否定する)
        (彼女は彼女なりの誠意を見せてくれただけで他意は他にあるまい)
        ありがとう、正直…余裕はなかったの(すぐに受け取って飲み干した)
        (如何にも薬、味を楽しむものではない深緑の液体の効果はすぐに感じられた)
        (吸い上げられるように消費されていた魔力の激流がやや抑えられたのだ)
        (しかし倒すべき敵である自分に。 …もとよりあれほど強力なサーヴァントであれば、不意打ちの一つでかなり追い詰めることが出来るはずだ)
        カグラちゃん…、教えてもらっても、(いいかな。 そう切り出そうとした正にその時)

        ――――――――聞こえる
        (固有結界に包まれながらも確かに聞こえた)
        (それは力を求める声)
        (破壊ではない、取り戻すための力)

        (ああ、カグラはこのために 自分たちを呼んだのだろうか)
        (苦しみに、悲しみに、絶望に、神に、囚われてしまったサーヴァントを取り戻すために)
        (カグラに視線を向けた 一度頷くと視線を再び戦場へ向けて)

        大丈夫…………誰に嘲笑われようとも 世界に否定されようとも 諦めなければ………取り返せる!!!!!!!!
        (ありったけの魔力と、令呪を開放する)
        blan.png セイバーに令呪を捧げるの!
        blan.png どうか…絶望に染まった魔王を救って!!!! -- ニーナ 2014-04-17 (木) 23:34:16
      • (如何なる達人でもっても、英雄と呼ばれるような存在であったとしても、その戦いを理解する事は、叶わなかっただろう)
        (それこそが、英霊と呼ばれる者達の、その存在をかけた戦い)
        (読み解いて来た幾多の伝承で謳われていた、伝説となった勇者と魔王の闘争。そのどれよりも熾烈で、過酷であるように思えた)
        (背けたくなる目を…しかし、外すこと無く、見届ける)
        (もう逃げないと、決めたから。その戦いは、見届けなければならない)

        (小瓶を受け取ったニーナと、多分、その味はやはり口に合わなかったであろう、少し歪んだ表情に、儚く微笑む)
        サーヴァントよりも先に、貴方に倒れられてしまっては、困ります。
        貴方達には…………(立っている事が出来なくなる程の、魔力の吸引。同時に)
        絶望が
        絶望が。憤怒が。絶望が。悲哀が。絶望が。嘆きが。絶望が。絶望が絶望が絶望が絶望絶望絶望絶望絶望ゼツボウぜつぼう────────────)


        (────────────………絶望が。濁流のように流れ込んで来る)

        (それが、自身のサーヴァントが抱えてきた、堕ちてしまう程の、絶望)
        (いっそ、気が狂ってしまえればどれ程楽だろうという、深く昏い彼の想いが、伝わってくる)
        (こんなものを抱えて…何故、彼は狂わずにいられたのだろうか)
        (混濁する意識の中で、ただ、自身のサーヴァントを、魔王を、想う)
        (もしも問い掛ける事が出来たのならば、彼はきっと、こう言っただろう)
        (『俺は、勇者だからだ』)
        (ただ、それだけの想いで。彼はずっと、ずっと、永劫にも等しい時間を戦い続けてきたのだ)
        (矛盾と絶望を抱えながら、たった一人で)
        (そしてその果てで、彼は。その想いを捨て去ってしまった)
        (彼を戦い続けさせてきた、信念を。自らという、存在そのものを)


        ――――――――聞こえる
        (最早声にもならない、悲しみに満ちた嘆きが)
        (本当は魔王になんてなりたくなかった、少年の絶叫が)


        …もう、いい。いいんですよ、バーサーカー………
        貴方は…もう、十分に…苦しみ抜いた。そして…貴方の中にあった魔王は、今…討たれた…
        ………だからッ………だから、もう…………解き放たれても、いいんです……っ……
        (自身の魔力も底を付き欠けている、意識が途切れそうになるその寸前に)
        (未だ戦う意思を見せる………いや、違う、戦いを、辞める事の出来ないバーサーカー(魔王)への)
        (魔力供給を、絶つ)

        (未だ、令呪を使う事は出来ない以上)
        (彼を、止める方法は…それしか無かった)


        (ペンを置くには、まだ早い)
        (物語の続きが──紡がれていく──) -- カグラ 2014-04-18 (金) 01:18:29

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サーヴァント 《かつて勇者だった者》(そして勇者であり続ける者)−Dの勇者− Edit


――守るべき世界を守れなかったとき
――君はどんな顔をする?


クラスバーサーカー→セイヴァ―exp028108.png
マスターカグラ・ソーマ
真名???
公式ステータス/戦歴
宝具Dの剣(ソードオブブレイバー)
宝具《伝説の書》(Legend of K)
キーワード勇者
"紋章
クラス特性狂化(魔王化)
固有スキル紋章:EX
属性絶対善/絶対正義
聖遺物Dの剣/Kの伝説
イメージソングYthm
アイコン1 筋力パラメーター1パラメーター2パラメーター2パラメーター2パラメーター5- B+  アイコン2アイコン1 魔力パラメーター1パラメーター2パラメーター4パラメーター4パラメーター5- D+++ アイコン2
アイコン1 耐久パラメーター1パラメーター2パラメーター2パラメーター4パラメーター5- C   アイコン2アイコン1 幸運パラメーター1パラメーター4パラメーター4パラメーター4パラメーター5- E+++ アイコン2
アイコン1 敏捷パラメーター1パラメーター2パラメーター2パラメーター2パラメーター3- A   アイコン2アイコン1 宝具パラメーター1パラメーター2パラメーター2パラメーター2パラメーター3- A++  アイコン2


――無限の世界に囚われて、お前は正気でいられるというのか?

――永遠の時の囚人となっても、お前は正気でいられる覚悟があるというのか?

勇者“D” Edit

  • 世界を守れなかった勇者
  • 絶望の果てに、狂ってしまった魔王
  • そして、未来永劫に、勇者であり続けようとする男

書き記されたもの Edit

Edit

外見 Edit

スキル・宝具 Edit

クラススキル Edit

  • 狂化/魔王化
    • バーサーカーのクラス特性。理性などを失う代わりに絶大な力を発揮することができる。発動の際はその身が漆黒の闇に覆われ、禍々しい波動を放つ。
      固有スキルである、《紋章》の力により本来のバーサーカーの狂化とはやや異なるスキルとなっている。
      Dの勇者の狂化は《魔王化》とも呼ぶことができる。何故「魔王」化と呼ばれるのは不明だが、このスキルが発動した際、Dの勇者の意識は世界への憎悪に満ち溢れ、
      世界を滅ぼす魔の王と化すからではないかと推測される。その際には、勇者としての矜持や誇りなどは消えうせる。
      固有スキルの《紋章》とは表裏一体の力。魔王化した際にはDの紋章が闇色に輝く。
      感情は高ぶるものの、会話ができないというわけではない。このスキルは自分で思うように操作することはできない。
      クラス:セイヴァ―とクラスチェンジしたためこのスキルは失われた。

固有スキル Edit

  • 紋章:EX
    • Dの勇者が右手に持つ紋章。蝶のような形をしている。Dの紋章と呼ばれる。
      Dの勇者がもつ勇者としての証。とある古代王家の紋章ともいわれる。かつての伝説に記される勇者が持つ神の如き力の一端。
      発動すると紋章が金の光に包まれ、Dの勇者の全身を金の光が包む。能力値が大幅に上昇し、普段使えないような魔術、技を行使することができるようになる。
      Dの勇者に関係する固有の魔術を行使する場合は、詠唱を必要としない。
      紋章発動時にしか使えないスキルが存在する。ステーラス欄の+表記は、紋章発動時のステータスのイメージ。
      このスキルを有する者は、必然的にスキル《Dの螺旋》を得ることになる
  • 勇者:E勇者:EX
    • 勇気ある者。魔王を倒す者。世界を救う者。英雄。それを示すスキル。
      物語の主人公となることのできる力。正義を成し、人々を救い、悪を倒す運命を背負う力。
      このスキルが真に発動した時、あらゆる悪は勇気ある者に敗北する。所持者は真に勇者となる。
      Dの勇者のこのスキルは現在ほとんど力を失っている。
      真に勇者となったために、ランクはEXとなった。
  • プレッシャー:A
    • 【Dの紋章発動時】 Dの紋章が発動し光った際に、相手へと強いプレッシャーを与える。
      Dの勇者の闇の歴史、勇者としての力が成せる技であるが、相手の精神力如何によって効果には大きな幅が生まれる。
  • 神性:A
    • Dの紋章を持ち、Dの螺旋に取り込まれているがゆえに、半ば神話的な存在と化している。
  • 精神耐性:A
    • Dの紋章の力により精神攻撃への耐性がある。洗脳や精神汚染を無効化する。
      精神を守るものであり、心を守るものではない。相手からの挑発などの行為による影響を無効化するものではない。
  • 対魔力:C
    • 魔術・魔力を用いた攻撃に対する抵抗力。魔術攻撃などにある程度の耐性がある。
      【Dの紋章発動時】 このスキルのランクがCからAへと変化する。Dの紋章により特殊な障壁が出現し、魔術などを防ぐようになる。
  • 単独行動:B
    • マスターからの魔力の供給が途絶えてもある程度は活動ができる。
      しかし能力などは大幅に低下する。
  • 伝説の力:EX
    • 【Dの紋章発動時】 《Kの伝説》の中に登場するKという勇者が使った技、さらにその仲間や敵が使った技を使うことの出来るスキル。
      Dの勇者風にアレンジされてはいるが、技の種類は多い。
  • 絶対善:EX
    • 勇者であるための呪い。バーサーカーたる狂気のひとつ。常時発動している。
      自分は勇者であり、それに立ち向かうものは「悪」であると信じるようになる。
      Dの勇者が勇者であるためには対する悪が存在しなければならない。それ故に自分を善だと信じる狂気に陥っている。
  • 絶望:EX
    • 《Dの螺旋》に取り込まれているため、苦しみを繰り返す世界に絶望し、憎悪を抱いている。
      世界を壊し、救うという行動理念の元でもある。繰り返すループの中で何度も絶望を与えられたため、多少の絶望には堪えなくなっている。
  • 守るべきもの:EX
    • 勇者ゆえの特性。勇者ゆえに守るべきものを必要とする。守るべきものが存在する場合、ステータスが強化される。
      守るべき対象とはマスターのことであり、マスターを何があっても守るというのもDの勇者の目的の一つとなっている。
  • 紋章(反転):EX
    • 【狂化/魔王化発動時】 狂化の際、Dの紋章が闇色に反転する。Dの勇者が闇色に包まれ、その攻撃全てに深い絶望と闇の属性が付与される。
      Dの紋章発動時よりもさらに強烈なプレッシャーが発せられるようになる。
      勇者の状態では基本的に闇の属性のものは使えないが、この状態の際は使えるようになる。
  • 大罪:EX
    • 魔王として自らの世界、そして自らが旅した並行世界を自らの手で「破壊」したという過去
  • Dの螺旋:EX
    • Dの勇者がバーサーカーとして召喚された原因。Dの勇者が狂った元凶。
      これによりDの勇者は真の勇者としての力を現在失ってしまっている。神に永遠に弄ばれる運命のことを言うが、詳しくは不明。

宝具 Edit

Dの剣(ソードオブブレイバー) Edit

  • Dの紋章が彫りこまれた剣。ランクはEX級。
    • Dの勇者の意志のままに動き、たとえ投擲したとしても、自ずからDの勇者の手に戻る。
      複数本の出現も可能。
      Kの伝説の中にも登場し、様々な伝承が残されている。曰く、その刃は成層圏まで到達した。曰く、魔王の城を両断した。曰く、世界を――
      世界を破壊した剣である。

      【Dの紋章発動時、または魔王化時】
      対城宝具、対界宝具と化す。マスターの消耗が非常に激しいため、連続して使用するのは危険である。バーサーカー自体もしばらくは動けない。

      対城宝具、対界宝具、対星宝具、対神宝具となることがKの伝説の中で確認されている。

《伝説の書》(Legend of K) Edit

  • かつての勇者の伝説が記されているという一冊の古めかしい書物
    • Kという勇者について記された古めかしい書物。勇者Kにまつわる軌跡、伝説が全て記されているという。
      実際にはこの書物が宝具というよりは、Kの伝説という「伝説そのもの」が宝具であると言える。そして、その伝説は現在も記され続けている。
      独自の空間、結界を呼び出すことが出来る。
      • 固有結界とはバーサーカーが破壊した自らの世界そのものを召喚すること。その絶望を再び目にすることにより、バーサーカーは狂気と絶望の力を得て恐るべき破壊の力を得る。

勇者の伝説 Edit

その伝説を記録した古文書が、電子情報として復刻されたものが残されている。

+  Dの勇者の伝説


てんぷれ Edit

活動時間:3月中は夕方から夜にかけていると思います。深夜もいける。
4月(まで勝ち残れるとしたら)夜はいると思います。
イベント戦闘スイッチ:ON
目的:世界を救う/世界を壊す/誰かを守る
相方へのお願い:世界を守れなかった勇者です。
狂信的な、マスターを守るという思いがあると思います。
マスターのためにとか、守るとか、やりたい。
勇者であろうとしているので、自分は正義であると考えている。
勇者であることに呪われている。そういう点で狂っている。
そういうやつ。

聖杯戦争には中の人が初めて参加します!
注意点:黒歴史キャアです
とある紋章が発動するとひらがな言葉になるかも。

おぼえがき Edit


そうだん Edit

お名前:
  • 聖杯戦争改めまして新劇場版ケイタの伝説、完!(BGM) -- カグラ 2014-04-20 (日) 00:05:06
    • 絡んでくれた全ての皆様と、相方であるケイタに感謝感謝の仕切りです
      ありがとうございました!ケイタの伝説のヒロインを努めさせて頂きましたカグラ・ソーマです! -- カグラ 2014-04-20 (日) 00:06:18
      • いやあ! お疲れ様でしたカグラさん! ついにこの劇場版の公開までこぎつけましたね! -- ケイタ 2014-04-20 (日) 00:06:31
      • 構想を持ち掛けてここまで辿り着くまで時間的には一ヶ月程度ですけどようやくここまでこれましたね…!
        改めまして、ありがとうございました!本当に楽しかったです。全力全開をここまで注ぎ込んだの初めてかもしれないってくらい -- カグラ 2014-04-20 (日) 00:13:06
      • 僕は聖杯戦争初めてでしたが、とても、とてもよいものが出来たと思います!!
        絡んでくれた皆さん、そしてなによりカグラのおかげです!! ほんとうにありがとう!! 最高です!! -- ケイタ 2014-04-20 (日) 00:21:09
    • ◆キャラクター名
      カグラ・ソーマ

      ◆あらすじ(物語)
      本名はヴァルナという、月角種(ルナコーン)と呼ばれる有角種最後の生き残り
      北方の小国にて保護区と指定された森で穏やかな暮らしをしていたが国が崩壊
      それに伴い絶大な魔力を宿すと言われる角を狙う無法者により一族は全滅した
      一族の復活を願い、伝承に伝わる勇者をバーサーカーとして召喚し聖杯を望む
      聖杯を巡る戦いの中での様々な邂逅を経て、その志は少しずつ変化していく
      眉雪のキャスターの宝具により堕ちた"D"の姿を見てその想いを確信すれば
      ニーナ&セイバーを担い手として『勇者が魔王を倒す』予定調和の終焉へ導く
      その後、巫女『月姫』として儀式を行い"D"を救世主として転生させた
      願い、救い出した勇者ケイタ・デクスの新たな伝説の序章を見届けて
      勇者に救われた少女の、新たな物語を。希望の中で紡ぎ始めた
      -- カグラ 2014-05-02 (金) 12:55:26
      • 帰宅したら僕も投下します! -- バーサーカー? 2014-05-02 (金) 13:08:58
      • あらすじ

        カグラによってバーサーカーとして召喚されたサーヴァント。通称D。
        かつて勇者として世界を救い、神が与えた絶望により魔王となり世界を滅ぼし、
        そしてなお勇者であろうとし続ける者。カグラを守り願いを叶えるために絶大な力を
        振るい勇者として戦ったが、アルヴィンとの邂逅、眉雪のキャスターの宝具により
        狂い、世界を壊す魔王となる。
        そのために決意したカグラの、ニーナとセイバーを担い手とした計画により
        魔王として敗北する。そしてカグラによって行われた千夜一夜の儀式において
        救世主(セイヴァ―)として転生し、勇者ケイタ・デクスとしての心を取り戻した。
        敗退後、焼失したかつての拠点の森を復活させ、カグラに見送られながら
        再世の勇者として神との戦いに赴き、遥かなる時の果てに、ケイタは伝説となった。- -- バーサーカー 2014-05-02 (金) 20:55:08

      • 宝具1
        【Dの剣(ソードオブブレイバー)】
        Dの紋章が彫りこまれた剣。ランクはEX級。Dの勇者の意志のままに動き、
        たとえ投擲したとしても、自ずからDの勇者の手に戻る。複数本の出現も可能。
        Kの伝説の中にも登場し、様々な伝承が残されている。曰く、その刃は成層圏
        まで到達した。曰く、魔王の城を両断した。そして世界を破壊した剣である。
        【Dの紋章発動時、または魔王化時】対城宝具、対界宝具と化す。マスターの
        消耗が非常に激しいため、連続して使用するのは危険である。バーサーカー自
        体もしばらくは動けない。対城宝具、対界宝具、対星宝具、対神宝具となるこ
        とがKの伝説の中で確認されている。光と闇を纏い、万象切り裂く伝説の剣で
        ある。

        種別:対城宝具 ランク;EX レンジ1〜99 最大捕捉1人〜全世界 -- バーサーカー 2014-05-02 (金) 21:18:33
      • 宝具2
        【伝説の書(Kの伝説)】
        かつての勇者の伝説が記されているという一冊の古めかしい書物。勇者Kにま
        つわる軌跡、伝説が全て記されているという。実際にはこの書物が宝具という
        よりは、Kの伝説という「伝説そのもの」が宝具であると言える。かたちとし
        ての書物である。そして、その伝説は現在も記され続けている。独自の空間、
        結界を呼び出すことが出来る。固有結界とはバーサーカーが破壊した自らの世
        界そのもの。その絶望を再び目にすることにより、バーサーカーは狂気と絶望
        で自らを苦しめつつ、無限の力を、恐るべき破壊の力を得る。
        魔王としては絶望の世界として呼び出し、セイヴァ―と転生
        した際には、希望にあふれた世界として固有結界を呼び出した。

        ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1〜? -- バーサーカー 2014-05-02 (金) 21:33:39
      • まとめ版、無事に完成しました。
        念のためチェックはしていますが、表記データに誤りがある場合も考えられます。その際はお気軽に声をかけてください。
        ありがとうございました -- データ募集 2014-05-07 (水) 23:17:54

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Last-modified: 2014-05-02 Fri 21:10:44 JST (3647d)