名簿/498187

  • ――断章。 -- 2015-04-11 (土) 22:36:14
    • 名もなき日の夜更け。名もなき場所の仮住まいにて。 -- 2015-04-11 (土) 22:36:23
      • (ハウスメイドの仕事着を脱ぎ、レーチェルのベッドを気にしながら部屋着に着替える。皺になってしまったところを伸ばす気力も湧かなかった)
        (荒れた指先をこすり、重たい瞼を瞬いてランプの光を灯す。午前中の講義ノートを引っぱりだして、欠伸を噛み殺しながら復習をはじめる)
        記録を残さなかった男の…歴史。ある木靴職人の世界。1798年から1876年まで。……資料なんかどうやって探せってんだ? ふゎ…ぁふ、図書館いってみっかなぁ…。
        (ぽりぽりと髪を掻いて途方に暮れる。気持ちが乱されたままで集中がつづかない。レポートを仕上げたって書き記す名前さえないのだ。徒労感に押し潰されそうになる) -- マリー=セレスト 2015-04-11 (土) 22:38:51
      • ……ん。
        (名もないものが住む名もない場所にて僕は目覚めた。どうやら彼女が返ってきたらしい。)
        帰ってきたの、マリー……。
        (僕はむくりと起き上がりながら聞く。僕がマリーに世話になりはじめてどのくらいだっただろうか。僕は彼女に導かれるままにここで暮らしている。)
        (最初は、あまりに大きな喪失感が僕の中を覆っていたから、何もする気が起きなくて、ただただ無気力な状態だった。)
        (でも最近は、それもマシになってきたように思う。ここの生活も、何とかなれてきたようだ。)
        (僕が記憶を失う前に、どういう人間だったのか、未だに思い出せない。ただ、きっと個々の住人ではなかったのだろうとは思う。)
        (近々、僕も働きに出ないといけないだろう。所謂二級学生は、正規の学生のようには暮らしていけない。)
        (たまに外に出て、道端に落ちているタブロイド紙に目を向ければ、《透明人間》だとか、《行動的探偵》という文字が踊り、紙面を賑わしているようだ。それを見ると、胸が痛み、疼く。焦燥感に駆られる。どうにかしなければと。)
        (だけど、どうしてそうしないといけないのかわからない。僕はただの、名もなき違反学生だったというのに。)
        ……僕も、そろそろ、講義に出に、いくべきだね……。 -- レーチェル 2015-04-12 (日) 20:50:54
      • げ、起こしちまったか…構うこたぁねえ、寝てたっていいんだぜ。こいつは俺が勝手にやってることだ。お前がつきあう義理はねーんだ。
        ……はぁ。まただ。またクビになっちまった。まあ、おれさまの方から出てってやったんだけどな!(インクがでなくなったペンを回して、頬杖をつく)
        もうあいつのところには近づけねえ。っつーか、こっちに近づかせねえ方が大事だ。新しいご主人サマさがさねーとなぁ…。めんどくせーったらありゃしねー。
        講義に行くたってさ、学籍番号がねえやつは教室にさえ入れねーだろ? お前、前は出れてたのか? 俺なんかモグラだぜ、モグラ。
        一度入っちまえばこっちのもんさ。一番前で聞いてたって誰も気にもとめねえんだ。……まあ、センセんとこ行って質問とかできねーのが玉に瑕だけどな。
        あとナントカ学習…とかいう機械にもぐって自動でなんか叩き込まれるってやつ! 知ってるか? あれ、頭ん中いじくられちまうって噂だぜ。気味が悪りーったらねえよなぁ。

        (背もたれのないボロボロの丸椅子に座ったまま向き直って)レーチェル、お前講義行きたいのか? 連れてってやってもいいぜ。
        俺がいるあいだだけだけどな。午後はどっかのお坊ちゃんとこに行っちまってるから、基本、午前の講義だけだ。夜の講義はマニアックすぎるしなぁ…。
        とにかくさ、俺がいれば守衛も風紀もザルだぜザル。ほかの学生にくっついて入っちまえば機械なんかもパスできらぁ。すげーだろ! へっへっへー。 -- マリー=セレスト 2015-04-12 (日) 21:12:10
      • ううん、大丈夫。もう少し、起きてるから。
        そう、クビになっちゃったんだ……でも、そうやって自分の意志で動いてる方が、やっぱり君らしいと……思うよ。

        ……うん。出れてたんだと、思う。モグラじゃなかったよ、きっと。
        (自然と講義に行く、という言葉が僕の口から滑り出た。記憶の残滓がある証拠だろうか。僕は多分、講義に行くことは普通だったし、都市の設備も普通に使える身分だったんだろう。)
        へえ……案外、適当なんだね。それに、先生に質問に、行きたいんだ?
        以外と、勉強好き? 勉強、嫌いなのかと、思ってた……。
        (考えて見えれば失礼な言葉だったけれど、僕は小さく笑いながらそう言った。)

        なんとか、学習……知ってる気がする。僕も、それは嫌いだったような……受けてなかったような、気がするよ。

        ほんと? マリーはすごいね。じゃあ、連れてって、ほしい。
        もう、戻れないと思ってたけど……戻れるかも、しれないんだ。
        ……すごいね、マリーは。(僕はぱちぱちと手を叩く。)
        僕は、今外がどうなってるか、知りたいから……。 -- レーチェル 2015-04-12 (日) 21:32:55
      • オレサマと寝たら今の三倍くれてやるってさ、抜かしやがったんだ。嬉しいだろ?って顔してた。笑えるよな。
        あいつら、俺たちにまともな働き口がねえと思って足元見やがんだ…バカにしやがって。だからマッパに剥いて転がして、すげえ写真とってやったんだ。
        (レーチェルのベッドにフィルムを投げる)くくく、真っ青になってガタガタ震えて傑作だったぜ! ま、これで後腐れはねーはずだ。現像したら見せてやるよ。
        んー……てことは学籍番号、持ってんのか? 偽造をやってるクラッカーがいるって話もあるが眉唾だ。そもそも手帳がねーだろ? あんとき風紀に取り上げられちまったって線もなくはねーけどさぁ…。
        ふん、悪かったなっ! まるっきりバカのまんまじゃ外の世界に出たとき困っちまうだろ。それに学がなけりゃ『ストランド・マガジン』も読めねーじゃねーか。
        …そーいやまだ見せてなかったよな?(枕の下から真新しいのを一冊抜いて渡す)最新号…じゃねーけど『ライゲートの謎』のつづきが載ってる。
        へへっ、だろー? じゃあ、明日冷やかしに行ってみようぜ。ここにいたってヒマだろ? たださぁ、あんまり離れたらバレちまうから注意な。ドジ踏むなよレーチェル。
        外。外のことな。知りたいことだらけだよな。ここにいるやつら全員、どいつもこいつもほんとはもっとマシな暮らしがあったんじゃないか?って思ってる。
        俺もだよ。親に捨てられちまったのがたぶん間違いのもとで…そいつがなかったら今ごろどうしてたとかさ、そういうのを考えちまうんだ。
        お前、本当の家族のことは思いだせないのか? こー見えてどっかの貴族サマだったりしてな。王党派のさ!…こんなこと、何の意味もねーってわかっててもやめられねーんだ。

        …レーチェルな、前までそこに別の仲間が寝てたんだ。ある日突然いなくなっちまった。左の目玉だけ金ぴかに変わっちまって、それからすぐのことだった。
        様子がおかしかった。頭の中におかしな声がする!とかどうとか言って、毎晩すっげえうなされてたよ。俺には何もできなかった。そいつは今も行方知れずのまま、なしのつぶてだ。 -- マリー=セレスト 2015-04-12 (日) 22:15:08
      • なるほど……それは、笑えるね。それでも、そこまでやる君はとんでもないけど。
        (小さく笑いながら、フィルムを見る。現像が少し楽しみだ。)
        ……学籍番号……ううん、今は、ない。覚えて、ないんだ。手帳も、うん。ないし。

        これは……探偵小説だね。コナン・ドイルだ。
        僕も好きだよ。探偵小説はとても好きなんだ。
        (『ストライド・マガジン』の最新号を見ながら僕は言う)
        ……読んでたころのことは覚えてないけど。
        (そう肩を竦める。探偵小説と聞くと、とても好きだったような気はする。コナン・ドイルも知っている。)
        マリーについてると見つからないっていうのは不思議だけど……うん、行こう。明日、楽しみにしてるから。

        ……うん、みんな、こんなところに居ていいはずじゃないんだ。
        僕は、そう……それを、何とかしようと考えて……駄目だ、思い出せない。
        (何かを思い出しかけたような気がしたけれど、僕は頭を押さえる。)
        うん、思い出せない。自分のことも、家族のことも、何一つ。
        それは、まるでおとぎ話の主人公みたいな話だね。でも、マリーは見た目は綺麗なんだし、もしかしたらほんとに貴族の家だったりしてね。
        (そう冗談のように言って笑う。ここにきて、ようやく自然と笑えるようになってきた気がする。)

        ……別の仲間が?
        (不意にやってくる翳りのある話。)
        そんなことが……頭に、おかしな声が? それに、金の瞳……。
        まるで、君の瞳と同じだ……その瞳、僕は、知ってる気がする……ううん、気のせいだね。
        君は、うなされたりしないの? ……どこへ、消えたんだろう。その子。 -- レーチェル 2015-04-12 (日) 23:43:24
      • あっはっは、お前も何かやらかした口かよ! 言われてみりゃ、そーだよな。風紀にとっ捕まってたんだもんな。ヘマこいちまったんだろ?
        風紀の中にもいるって噂だぜ。《異能》使いども。《自警学生》と二束のわらじで動いてやがるんだとさ。油断も隙もねーよな。
        気休めかもしれねーどさ、何かされて忘れちまっただけなら希望はあるんじゃねーかな。元から知らねーやつらは思い出せる可能性ゼロだ!
        レーチェル、お前にひとつありがてえアドバイスだ。なんか引っかかってんだったらさ、諦めるなよ。諦めるってのは流されるってことだ。
        ここじゃ生きてくだけでも精一杯だからな。先のことを考える暇がなくなる。あっという間に流されて、いつかほんとに忘れちまうぜ?
        (冗談めかして笑いつつ、ふと真剣な目をして)だから、しっかりしな。戻るところがあるんだったら帰っちまえよ。それが一番いいに決まってる。
        へっへー、おれさま灰かぶりだのラプンツェルだのって柄じゃ…ってガワだけかよっ!? お前なー中身もなーミスコン狙えちまうレベルだぜー?

        んっとな、そいつの名前…サラってんだ。芝居を見るのが好きで、役者になりたがってた。いつか世界で一番の大女優になるって言ってた。
        それが書置きも残さずに消えちまった。風紀も役に立たなかった。手がかりなし、目撃証言もなしであっという間に迷宮入りになっちまった。
        あいつらにとっちゃ、いないはずの人間が消えただけだからな。最後には……事件ですらなくなって、ほんとうにいなかったことにされちまったよ。
        俺の夢?…ああ、この眼か。たまーに化物が出てくるな。でも、その夢を見るときはいつもあいつがそばにいる。問答無用で化物をブッ飛ばしちまうんだ。スカッとするぜ。 -- マリー=セレスト 2015-04-13 (月) 02:10:26
      • おそらくはね。だけど、僕が何をしようとしていたのか、よく覚えていない。
        いや……ほんとは覚えているんだ。僕は、僕を自分じゃない誰かと思い込んでいたらしい。そんな風に、僕を捕まえた人間はいってたよ。
        ……奇妙な話だけどね。

        (話を続けていて、不意にマリーの目が真剣なそれにかわる。)
        ……ああ、諦めはしないよ。僕は、諦めることは嫌いだったと思う。
        いつか、本当の自分に戻ることも諦めてはいない。
        ……だけど、僕だけなのは嫌だな。どうせなら、みんなで、だ。
        それまでは、君と一緒にいるここが、僕の帰る場所だよ。
        (僕もそういって真剣なまなざしで答える。)
        ハハ、中身もそうなら男子生徒のあんな写真なんて撮ったりしないよ。

        ……サラ、女優。いないはずの生徒、か……。
        気に入らないな、誰しもが輝ける場所が、ここだと思っていたのに。現実は闇ばかりだ。
        人一人が消えるなんていうことは、それこそ大事件だ。なのに、顧みさえされないのか。……。
        いや、これは本当に事件だ。そのままにしておいていい話じゃない……。
        (僕は顎に手を当てながらそう考える。いや、こんなことをしても仕方がない。僕は、探偵ではないはずなのに。)
        ……化物が。君は、それで大丈夫……あいつ?
        (その言葉に首をかしげる。) それは……誰? -- レーチェル 2015-04-13 (月) 19:15:42
      • 思い込んでた…って、なんだよそれ。わかるよーなわかんねーよーな…それで、言われて納得しちまったのか? わけわかんねーな…。
        みんな一緒に、か。ちょっと《革命学生》っぽかったぜレーチェル。今じゃ見る影もねーけどさ、でもまだ生き残ってる。

        ……うぐ。す、好きでやったわけじゃねーよ!? そいつは武器だ。どんな《異能》よりも鉄砲よりもおっかねーやつだ。
        ろくでもねーこと考えながら嘘とタテマエで塗り固めた腹黒連中。よくいるだろ? 聖人づらした小悪党ども。ずるいやつらがさ。
        立ち向かうには武器がいる。最ッ低にカッコ悪いとこを暴いてやるんだ! だれが見たって一目瞭然、一発で幻滅しちまうようなやつがいい。
        (丸椅子を机の下に押し込んでベッドに腰かける)バレちまったら身の破滅だ。カネ積んでどーにかしようって考えるやつもいる。
        笑えるだろ? あいつら、カネ目当てだと思ってやがんだぜ。こっちに手出しできなくなっちまえば、それで十分だってのに。

        ん。(レーチェルの腹の上に馬乗りになってほっぺたを引っぱる)男じゃねーよ? 王子サマとかでもねーし女子だぜふつーに。
        そいつも「レーチェル」ってんだ。レーチェル・ダイオジェネス。《行動的探偵部》のさ、よく新聞とかにでっかく名前が出てるだろ?
        ちみっこくてクソ真面目ないい子ちゃんで、正義感とか無駄に丸出しで熱血っぽいおかしなやつだ。コスプレもやってる。あいつはおれさまの何かを知ってた。
        まっすぐなやつだった。犬っころみてーにさ、なりふり構わずおっかけてきやがるんだ。必死すぎるぜクソ探偵。…でもあいつ、最近人が変わっちまったみてーでさ。
        ついこないだも《透明人間》をとっ捕まえたって話、あっただろ? あれ、仕込みだ。ニセモノだって知っててやってる。サイテーすぎんぜ。……どうなってやがんだよ、ちくしょう…。 -- マリー=セレスト 2015-04-13 (月) 23:42:10
      • ……ああ、考えてみればわけがわからない。だけど僕は、それを何故かそうだと思ってしまったんだ。
        現に、僕は僕が誰か思い出せないままだからね。
        《革命学生》……そんなのじゃなないよ。でもそうか、まだ生き残っているんだ。
        ……うん、自分以外の事は、結構覚えているみたい。

        なるほど、情報が武器……たしかに、そうだ。
        一度広まったものを収拾するのはきっと、難しい。だからみんな、それを知られないようにする。
        ……君は賢いね。きっとそれができれば、《異能》が無くてもこの街を生きていけるのかもしれない。

        おふっ……むぐ。
        (僕の腹の上にマリーは馬乗りになって頬を引っ張る。いたい)
        「レーチェル」……レーチェル・ダイオジェネス。僕と、同じ名前。僕の名前の元になった、人。
        (その名を聞くと、ひどく懐かしく、そしてその行動を聞けば何故か、ひどい怒りが込み上げてくるような気がした。)
        ……違う。
        (僕はそう呟く。)
        その「レーチェル」は……違う。探偵は、そんなことはしないよ。
        (自然と言葉が出ていた。強い確信もあった。……何故かはわからない。)

        僕を捕まえたのも「レーチェル」だった。
        僕も、彼女に会ってもう一度聞きたいことがあるんだ。だから、どうなっているか知りにいこう。
        ……会いに行こうよ、マリー。「レーチェル」に。 -- レーチェル 2015-04-14 (火) 00:11:04
      • へえ。世の中狭いもんだなぁ…そのレーチェルなんだけどな、どっか遠くの国に留学するって噂も流れてる。捕まえるんなら早い方がいいぜ。
        知ってる。わかってるって。違えよな。あいつは嘘つきなんかじゃなかった。俺みたいなやつのこと、必死にわかろうとしてたんだ。
        (胸の奥にとめどなく痛みが広がっていく その意味がわからないほど子供ではなかった 感情を持て余しながら、何気なく明るく笑ってみせて)
        けっこう嬉しかったんだぜ? そんなお人よしのバカみたいなやつ、なかなかいねーからさ。どういうつもりだか問い詰めねーと腹の虫が収まらねーよ。
        俺の知りたいことも、お前の秘密もあいつが知ってる。だったら答えは決まりだな。カチコミかけてやろうぜ!
        おれさまのとっておきがあれば、どんなお偉方のそばにだって連れていってやれる。こっちが正真正銘モノホンだからな!…んっと、《透明人間》の方な。
        へっへっへー、すげえだろ? あいつとやりあったんだって一度や二度じゃすまねー数だ。ちょろいぜ。へーきへーき! まぁ任しときなって。
        とにかく、俺はあいつに会いに行く。探偵には宿命のライバルってやつがつきものだからな、何度でもあいつの前に立ちふさがってやる。んでもって、どーにかして本当のことを聞きだすんだ。いいなっ!
        よっしゃ、そうと決まれば作戦会議だ!(逡巡の時は終わりを告げて、歯車はまた静かに回転を始める 新たな近似解を紡ぐために、それぞれの未来を綴るために) -- マリー=セレスト 2015-04-14 (火) 01:23:36
  • ――第四の反復。 -- 2015-03-21 (土) 07:11:27
    • 祝祭の夜。芝居小屋のひしめく舞台芸術エリア《解放区(カルチェ・ラタン)》に設けられた出張アトリエにて。 -- 2015-03-21 (土) 07:11:37

      • 「グリューネヴァルトの絵を見たことは?」

        夜半の来客。行動的探偵部の長。レーチェル・ダイオジェネス。もうひとりのラシェルにぬるいコーヒーを勧めて問いかける。
        小道具の部品やスケッチが無数に散らばった作業机のひとつ、発注書の山を崩さないように避けて腰かけた。

        「イーゼンハイムの祭壇画。名前くらいは聞いたことがあるんじゃないかな」
        「彼の絵は劇的であざやかだ。あまりにも生々しく等身大の人間を描くものだから、見るものに強い印象を与えるんだ」
        「演劇の文脈にも通じるものがある。あの絵が描かれたのはちょうど聖史劇が隆盛を極めていた頃だから、当然の事かもしれないけれど」
        「人は聖なるものを演じたがる。もっと言えば、自分とは違う誰かになってみたいと考える。願望をもっているのさ」
        「まあ、そういうことをあれこれ考えてみるにはいい機会だ。おかげさまで、商業的にも成功しているわけだしね」
        「そっちはそっちで忙しくしてるんだろう? 聞いたよ、このあいだの事件。新聞もよく読めてないけど、お手柄だったそうじゃないか」 -- リゼット 2015-03-21 (土) 07:12:27

      • 「ありがとう。忙しいだろうにすまない」

        今日も祝祭は続いている。僕は今、芝居小屋の森の中にいた。
        目の前にはもう一人のレーチェルがいる。《現代装飾美術部》の部長のリゼットだ。
        小道具やスケッチ、そのほか様々なものの置かれた作業机の傍に僕は腰かけて、勧められたコーヒーを口にした。

        「いや。というよりよくわからない。僕は美術についてあまり知識が……」
        「……ああ、それなら知っている」

        イーゼンハイムの祭壇画と聞いて僕はようやく思い当たる。
        描いた人物についてよくは知らないけれど、確かメシアの磔刑図が有名だったはずだ。

        「なるほど、聖なるものを演じたがる……自分とは違う誰かへの転換の願望か」
        「普通にはそれは叶わない。演劇の世界ならばそれも可能だ。違う誰かになりきることができる」
        「変装は探偵としては必要な能力だけれど、僕はあまり得意じゃないな。ここの舞台の役者のようにはなれそうもない」

        僕は小さく苦笑してコーヒーをまた口にする。
        ポケットの中に入れた手で、ジルベールから渡された二つの金属球を弄びながら。

        「この様子だと君も相当忙しそうじゃないか。この発注書の山……仕事漬けというわけか」
        「……何、大したことはしていないよ。話題はいつも大げさに伝わるものだよ」
        「それに、僕もまだ気になることがある。僕はまだ事件を解決だと思っていない」

        「……少し君に尋ねたいことがあって、今日はここに来たわけなんだ。もちろん、友人に会いたかったというのもある」 -- レーチェル 2015-03-23 (月) 23:34:43

      • 「いや、こちらこそ。散らかっていて片付ける暇もない。どうぞくつろいで、とは言いづらい状態でね」

        糖蜜漬けの林檎にチョコレートを絡めた菓子を客人にすすめる。誰かが置いていった差し入れの品だ。

        「自分とは違うものになる、というのはスリルに満ちた冒険だ。あえて言うなら危機でもある」
        「自己認識。自己同一性。かけがえのない連続性を一時手放して、誰かになりきるのさ。そして役者は忘我の境地へと至る」
        「想像するだに甘美だろう? その快楽たるやいかばかりかと思わずにはいられない」

        「知ってた、と言ったら驚くかな。直接聞いたわけではないけど、知らされていたんだ」
        「私に聞きたいことがあって、きっと訪ねてくるはずだとね」
        「君はお目にかかれたんだろう、彼に。あるいは彼女に。私たちにとっては共通の顧客でもある、謎のパトロンに」
        「どんな人だった? ああ、もちろん…話せないなら無理強いはしないさ。探偵のルールは心得ているつもりだからね」
        「ただ、私の場合も内々の依頼というのがたまにある。今度の一件も、どちらかといえばそういう類の話だった」
        「口止めこそされていないけれど、話す相手は選ぶべきだ。暗黙の了解というやつさ」

        「あの夜、《透明人間》とやりあったんだろう? 何のために? それも依頼の一部だったのか?」 -- リゼット 2015-03-23 (月) 23:58:34

      • 僕はリゼットから勧められた菓子を口にする。甘い味が舌の上に広がっていった。
        そして、リゼットの言葉を聞いて、顎に手を当てる。

        「……ふむ、知らされていた、と」
        「共通の顧客、か。なるほど、すると君もまた依頼を受けたということかな」

        「いいさ、君に隠すことではないから。全てを己の内に秘めておいていては解けないものもある」
        「僕に依頼をしてきたのはジルベールと名乗る燃えるような金髪の男だった。そして、彼の依頼は《透明人間》を止めてほしいというものだった」
        「……《透明人間》はこの学園都市の闇をとにかく公然と知らしめようとしていた」
        「その善悪についての議論はやめておこう。とにかく僕はそれを止めるために動いていた。闇は晴らされるべきだけれど、それはとても危険で、簡単なことじゃない」
        「僕は彼女と出会った。《透明人間》の正体だ。僕と同じくらいの身長の少女だった。……名づけるならば学園都市の落し子とでもいおうか」
        「つまり、公式にはいるはずのないとされている子供達……であるらしかった。僕は彼女をマリー=セレストと呼んでいる。僕の依頼者はそう言っていたからね」
        「ただ、彼女はそう呼ばれたことを不審がっていた。どういう理由があるかはわからないが、僕は今回の依頼人を信用しているわけじゃない。何か裏がありそうだ」

        「少し話が逸れた……あの夜、僕は《透明人間》を追った。彼女の行為を止めるために」
        「依頼でもあるけれど……僕の意志でもある。彼女と僕の根本的な目的は似ているようだったからね」
        「そして、彼女を追った果てに、僕はあり得ざるものを見て、再び依頼者の彼にであったわけだけれど」

        僕はそこで一旦話を切って、ポケットからあの金属球、《黄金の瞳》を取り出して、リゼットに見せる。とある学生が作ったとされる贋作だ。

        「これは君が作ったものじゃないか? そしてそうならば教えてほしい。これは……金髪の男に依頼されたものか?」 -- レーチェル 2015-03-24 (火) 01:06:46

      • 鉄薔薇に覆われていないほうの目を見開く。レーチェルの話にはそうするだけの値打ちがあったのだ。

        「驚いたな。《透明人間》は単独犯。しかも小柄な女子生徒だった」
        「なるほど、目に見えない存在。そういうことか…落とし子たちのことは前に調べたことがある。全容はとても掴めなかったけれど」
        「義憤に燃えてあんな無茶を? たった一人の人間にはとてもできない様な芸当ばかりだ。随分危ない橋を渡ってきたんだな」
        「正直、それだけでも大ニュースだ。報道部が目の色を変えて飛びつくような話じゃないか」

        「ジルベール。金髪の男か。知らない名前だけど、イメージどおりだ。肉付きがよくて身体つきも壮健そのもの。瞳は深い青か緑か…」
        「あり得ざるもの? 君の口からそういう言葉を聞くこと自体が矛盾に思えるけれど、そんなに変なものに出会ってしまったのか」
        「それも《透明人間》の仕業だったか、さもなければ例の《卵》に仕掛けでもあったのか…君にはわかっているんだろう、レーチェル?」

        《ファベルジェの卵》の失われた中枢が目の前にあった。まばゆい輝きに目を細める。

        え? そう…だな、あぁ…どうしてこれを?…そうか、《卵》は失われていなかったんだ。君が取り返してくれたのか」
        本物(・・)かどうかたしかめたい。この《卵》には隠された仕掛けがあるんだ。よく見せてもらえないかな」
        「それから、よかったらおかわりをどうぞ。もう冷めちゃってるけど、豆は結構いいものだからさ」

        銀のコーヒーポットから滴る漆黒の雫。レーチェルのカップを満たし、交換を持ちかけるように手のひらを向ける。 -- リゼット 2015-03-24 (火) 01:36:17

      • 「いや、既にこの世に存在しているのだからそれはあり得ざるものではない。それはそのとおりだ」
        「だが、そう思わしめるほどに奇怪なものに僕は遭遇したわけだ。いや、それはこの学園都市自体がそうと言えるかもしれないけれど……」
        「かつて修学旅行で遭遇した邪悪なる神の眷属を見た時と同じような気持ちになったわけだよ」

        「……貰ったのさ、ジルベールからね」

        どこか歯切れの悪い答えをいうリゼット。僕は目を細める。
        僕の質問に彼女は答えてくれていない。

        「これを仕掛けを、知っているのか?」

        贋作を作るには真作がそばになければできるはずがない。
        リゼットは真作をまさにその目で見て、確かめて、これを作ったはずだ。
        ――それならば、あの怪物を呼び出した機構も知っているというのか?
        あのような、危険なものを。
        本物とは、どちらの意味だ? 僕はまだ、贋作しか彼女に見せてはいない。
        「ああ、わかった――」

        僕はそういうと、《黄金の瞳》をリゼットの掌に置き、コーヒーを受け取る。
        カップにはまだ口を付けない。
        僕が置いたのは、リゼットが作ったはずの、贋作だ。 -- レーチェル 2015-03-24 (火) 02:27:54

      • 「いかにも。この学園は奇奇怪怪なる黄昏の島だ。寄る辺のない魑魅魍魎たちの集う場所だ」
        「怪物のまぼろしを見せる異能だって過去に例がないわけじゃない」
        「貰った? 取り返した、の間違いではなく? ジルベールは《透明人間》の共犯者だったのか?」
        「思っていたのとだいぶ違うな。面白い。時間が許すかぎり根掘り葉掘り聞いてみたいところだけど…」

        手の中で黄金の真球を転がす。重みを量りながら、冷ややかに視線を落として首を振った。

        「知っているといえば知っている。使い方も、ある程度までは」
        「だからわかるのさ。触れてわかった。これは空虚だ。見かけを似せただけの小道具(プロップ)に過ぎない」
        「これじゃ役目を果たせないんだよ、レーチェル。本物はどこにある? 君は知っているはずだ」
        「《透明人間》は真なる《黄金の瞳》を奪って逃げた。君は彼女を追いかけた。それで、取り戻したものだとばかり」

        「違うのか? 君は真実を語るべきだ。レーチェル・ダイオジェネス。なぜなら君は探偵だからだ」
        「嘘偽りを口にした途端、君は探偵ではいられなくなる。真実を語らない探偵なんてペテン師もいいところじゃないか」
        「愚にもつかない贋物を渡されたことをどう解釈するべきだろう?…そうか、まさかとは思うけれど」
        「君は、私を、欺いたのか?」

        リゼット=ラシェル・ピュイフォルカを《鉄の女》と呼ぶ者もいる。峻厳にして苛烈なる貌をして問いかける。

        「…まあいいさ。それより、おかわりをどうぞ。ご覧、カップの中。足りなかっただろう?」

        レーチェルの持つカップにコーヒーを注ぎつづける。溢れだしても止まらない。袖を濡らしても。靴が冠水してしまっても。
        とめどなく注がれる冷たい黒がカップの中を還流して無限に湧き出していく。どす黒い濁流がすぐに膝より高くなる。
        私の声は今や二重にも三重にも聞こえるはずだ。五感のすべて、あらゆる刺激が強烈な快楽へと変換されて脳髄を麻痺させる。
        理性は無限遠の彼方へと追いやられ、この姿しか見えなくなる。見えてはいても注意が向かなくなるんだから、同じことだ。
        動けない。動かない。君の自由意志は認められない。この貌さえも黒に染まって見えているかもしれない。
        千の異なる貌を持つもの。暗黒のファラオ。大いなる使者。月に吠ゆるもののように。炯々と燃える眼を見開いて。
        さて、もう一度。質問の時間だ。

        「手短に済ませよう。《黄金の瞳》を返してほしい。本物はどこにある?」 -- リゼット? 2015-03-25 (水) 23:02:39
      • 「……今、君に渡した《黄金の瞳》はまさしくジルベールからもらったものだ」
        「彼女と彼の関係は僕にもわからないが、何かしらの関係はあるはずだ」
        「こんな依頼をしてきたわけだからね」

        リゼットの冷ややかな瞳が僕を射る。
        彼女はこれが贋作だとわかっている。当然だ、僕の推理ではこれは彼女が作ったものなのだから。
        しかし、目の前のリゼットはそうういう様子ではない。「触れて分かった」……まるで、贋作があったことを知らないかのようだ。
        ジルベールが嘘を言っていたのか? それとも僕の推理が外れて? それならば、彼女が《黄金の瞳》の働きまで知っているはずはない。

        ――どうなっている?

        「今は探偵観について議論するつもりはないよ、もう一人のレーチェル」
        「君も探偵の流儀に付き合ってくれるのならば、君も言うべきだろう、真実を」
        「君は僕の質問に答えてくれていない。君はなぜ《黄金の瞳》を欲しているのか、僕に明かしてくれていない」
        「真実の友でない者に、こんな重要な真実を話すことはできないのだから――」

        リゼットの峻厳な表情にも負けないように、僕は彼女を見据えて言う。
        リゼットは僕の持つカップにコーヒーを注ぐ。滾々と溢れ出る泉のようにそれは僕のカップを満たし続けていく。
        黒、黒、黒い液体、黒い何かが僕の靴を、袖を、濡らしていく。黒い何かが、僕の膝まで浸していく。

        「――か、くぅ、はっ!? あ、ぁ、ぁっ……!!」

        これは、何だ。これは、何だ。
        カップから決壊したように溢れだす黒は、明らかに異常なもの。混沌、そう形容すべきもの。
        僕は動けない。体の自由が効かない。あらゆる方向から、幾重にもリゼット――いや、何かの声が響いてくる。
        僕の五感全てをまさぐるような強烈な刺激、快楽が体を駆け巡り、達したかのような感覚に襲われる。
        脳髄が犯されていく。麻痺していく。そんな感覚だ。既に、目の前の存在の貌を正しく認識できているかどうかわからない。
        それは無貌。かつて、オカルト関係の事件を負っていた時に見たことのある、とある魔術書に描かれたようなもの。
        無貌の神。暗黒のファラオ。千の異形。這いよる混沌。――知らないはずなのに、僕はこれを知っている気がしていた。遭遇したことがあるように思えていた。
        ああ、この燃える三眼こそは、宇宙の果てで踊り狂う白痴の王の使者――

        「く、ひ、ぃっ! あ、く、ぅっ……! 渡す、わけにはいかない、な」
        「やるならば、もっとスマートにやったらどうだ。そんな姿をしているのに、台無しじゃないか」
        「誰だ、君は――いや、そんなことはどうでもいい。君に、《黄金の瞳》を渡す訳にはいかない」

        視界がぼやけながらも、目の前の存在から目を離せない。耳に滑りこんでくる声すらも、僕の脳髄は快楽として認識してしまう。
        足腰がまともに立たない。体が常に震えてしまっている。僕の黄金の瞳が煌々と輝いている。目の前の存在は、あのリゼットなんかじゃない。
        歯を食いしばり、震える手を何とかこらえようとする。すぐにでも右手はポケットの中に手を突っ込んで、本物の《黄金の瞳》を差し出そうとする。
        僕はそれを抑えこむ。渡してはならない。絶対に。

        「教える、ものかッ……ここで返してしまうようならば、僕は探偵でも、なんでもないっ」
        「――あ、ぁ、ああっ……こ、来い。来て、くれ。かがや、き……!」

        頬を紅潮させ、麻薬中毒患者の見るような幻覚を見ながら、僕は右手を前にのばそうとしていく。
        目の前の存在がなにかはわからない。もうまともに思考などできない。
        だけれど、右手を、前に……。 -- レーチェル 2015-03-27 (金) 00:44:10

      • 「どんな姿をしているって? あいにく知りようがなくてね。君は一体何を見ている?」
        「あれはコーデリアだと言われればその身振りに真心を見た気になるし、悪党のオズワルドだと言われれば険しい目をせずにはいられなくなる」
        「君ら聴衆は無力な私たちを見るに見かねて、演出家の役を自ら買って出てくれているのさ」
        「それは私たちが与えたのではない。君らが自分の胸のうちから見つけ出して、勝手に間に合わせてくれたものだ」
        「老醜の王の絶望も、聖者の首を欲したファム・ファタールの激情もまた然り」
        「君の瞳に映るもの。それは君の中に巣食ったものだ。君自身が怪物を産み落としたのだ。怪物は君自身だ」

        真実の擁護者たる探偵少女が誰よりも長く慣れ親しんできた声。
        少年のような清冽さと、瑞々しくも凛とした緊張感に満ちた声音で語りかける。

        「君の愚直なまでの忍耐強さに免じて、真実をひとつだけ教えようと思う」

        茫洋と幾重にも重なりあった輪郭がたったひとつの像に収斂される。
        濡れたような淡い輝きをまとう黒髪。身の丈にあったインヴァネスを颯爽と着こなして、胸元には情熱的なカルディナルが翻る。
        闇に挑む勇気を秘めた瞳は黄金色に輝いて、固く引き結ばれた口もとに人は鋼の意志を見たことだろう。

        「僕は《行動的探偵部》部長、レーチェル・ダイオジェネス。《輝き》を守る者だ」

        救いを求めるように突き出された右手。最後に残った思考の欠片ごと、宥めるように包んでゆっくりと下ろしていく。

        「残念だけど、ここにいるのは君と僕だけだ。名も知れぬ君。君に応えてくれるものはいない」
        「……そうだな。いま少しの時間が必要だというのなら、頭が冷えるまで僕は待とう。たしかに、君は探偵でもなんでもない」
        「気の毒に、錯乱をしていたんだ。君は自分が探偵だと思いこんでいた。僕のすがたに自分を重ねて、そういう存在だと思いこんでいたのさ」
        「今は何も思い出せないかもしれないけれど、心配には及ばないとも。心配するようなことは何もない。大丈夫、僕が来たからにはもう安心だ」
        「誰にも危害は加えさせない。信じてほしい。君の《輝き》は僕が守るから」

        手をひいて大きな姿見の前へと連れて行く。混沌の気配は失せて、夜更けの工房にはぽつんと二つの人影があるばかりだ。
        そこに映りこんだのは、没個性で薄汚れた、身元不詳の違反学生を気遣う探偵の姿――。 -- 「レーチェル」 2015-03-27 (金) 23:37:50

      • 「まるで、君を見て僕が勝手に想像しているようなことをいうな……!」
        「僕が生み出しただと? 僕が怪物だと……そんなことはありえな――な、ぁっ!?」

        目の前のそれは、まるで僕の中から闇を取り出して、それを見せているのだといっているかのようだった。
        これが僕自身の生み出したものだって? そんなことはありえない。
        しかし、次の瞬間には、僕は声を失っていった。
        混沌が一つに集まり、一つの形を作っていく。
        それは、それは……まぎれもなく、僕だった。

        黒髪。黄金の瞳。小柄で男装の少女。インバネスコートを羽織っている。
        この声。
        これは……僕だ。

        「……莫迦なッ!? 君は僕じゃない。僕こそが《行動的探偵部》の部長、レーチェル・ダイオジェネスだ!」

        落ち着け。乗せられてはいけない。先ほどのあの悪寒。脳髄を犯された感覚。
        幻覚を見せられたっておかしくはない。そう考えるのが妥当だ。当たり前だ、僕は僕しかいない。
        しかし、しかし。その時の僕は、そう思ってはいても、考えることはできなかった。振り払うことはできなかった。
        “彼”を呼び出そうとした右手も、目の前の「レーチェル」に包まれて、降ろされていく。

        「……違う。僕は、僕は探偵だ」
        「真実を探求し、明らかにする探偵だ! 思い込んでいただって? そんなはずはない!」
        「ち、違う。違う違うッ……《輝き》を守るために戦っていたのは僕だ。その過去を、奪われたりするものか……!」

        僕は「レーチェル」の手を振り払おうとするも、できない。
        まるで鏡を見ているようだ。本物の僕にしか見えない。混沌の気配すら消えて。
        そして、僕は「レーチェル」によって姿見の前に連れて行かれる。

        そこに映っていたのは、「レーチェル」と、薄汚れた名もなき違反学生だった――

        それを見て、僕は涙を流した。違う、違う。
        これは現実ではない。そう思っても、思考はまとまらない。

        ああ――

        ――僕は、誰だ -- 名もなき違反学生 2015-03-31 (火) 19:24:40

      • 「探偵は無力だ。こんな時、苦しんでいる君にかける言葉もみつからないんだから」
        「せめて行動をもって示そう。それが僕のやり方だからね」

        着慣れたインヴァネスを脱ぎ、今にも崩れ落ちそうに慟哭する少女の肩にかける。
        軽く抱きしめた刹那、右ポケットに何か小さなカタチを感じて「それ」を探り当てた。

        「……ああ、こんなところに」
        「よく見てみるといい。これが僕の求めていた真実だ」
        「こんなものに関わらなければ、君が酷い目に遭うこともなかったんだ。こんなちっぽけなものの為に!」
        「でも、もう大丈夫。真実は明かされつつある。災いの芽は僕が摘み取ったから」

        「誰か! 誰か来てくれ!!」

        「―――こっちだ!――――僕はレーチェル・ダイオジェネス――――《行動的探偵部》の――――」
        「―――――――――身元不明の生徒だ――名前。名前は?――手帳も持っていない――――」
        「――瞳孔が開ききって―――異常な興奮状態――治療が必要かもしれない。薬物を投与された形跡が――――」

        「――――――――――」
        「――――」

        「――」
        「」

        正規の学籍をもたない学生。それどころか、名前すらない存在。生まれながらの不穏分子。学園都市の恥部そのもの。
        何をしても許される存在。そんな不審人物が風紀の手に落ちた。もとい、「保護」されて連れてかれていく。
        取調べは過酷を極めるだろう。理由なんてない。いじめていいやつが連れてこられた。ただそれだけの事だから。
        飽きられて落第街のゴミだめに捨てられるまで三日。一週間。それとも一ヶ月かかるだろうか。
        今の僕、「レーチェル・ダイオジェネス」には知る由もないことだ。名探偵は忙しいのだ。 -- 「レーチェル」 2015-04-01 (水) 01:02:02

      • 僕が《風紀警察》に連行されてからの事はあまり覚えていない。
        というより、頭が思い出させないようにしているのかもしれない。
        僕は彼らの尋問室に連れていかれて、色々な事を取り調べられた。
        酷く蔑んだようなことも言われたし、何を言っても信じてもらえはしなかった。
        僕は「レーチェル・ダイオジェネスだ」といっても鼻で笑われるだけだった。
        僕もそのうち自分がそんなことを言っていたことなんて忘れてしまったし、今は自分がどこの誰かもよくわからない。
        随分と酷いことをされたように思う。繰り返される暴力、そして女として生まれたことを後悔させられるようなことが続いた。
        最初はかなりの憤りを覚えていたけれど、それもそのうち消えた。《探偵》だと思い込んでいた時の名残なんだろうか。この妙な正義感は。
        これが本当に風紀なのか、とか。これほどの闇があったのか、とか。そんなことを考えていた気がするけど、今となってはどうしてそんなことを考えていたのかわからない。 この僕という一人称も直らない。僕は女なのに。
        僕は、探偵なんかじゃないのに。

        「……う、ぁっ……」

        僕は気づいたらゴミ捨て場のような、劣悪な場所に転がされていた。たぶん、落第街だろう。
        ぼやける視界の隅で去っていく風紀警察が見えたから、僕は彼らに捨てられたのだろう。
        どのくらいの間、捕まっていたのかもよくわからない。体中が痛む。
        すると、いつの間にか僕の視界の中に、金色の光がちらついていた。
        金の瞳の女の子だ。僕と同じぐらいの背丈に見える。こんな輝きの瞳をどこかで見た気がするけれど、思い出せない。
        《探偵》だった時の幻覚を思い出しているだけかもしれない。

        「……わから、ない……」

        痛みや、色々な事を思い出してこみ上げる吐き気を堪えながら僕は言う。
        名前なんて思い出せない。果たして、名前なんてあったんだろうか?
        立ち上がれそうにないのを、彼女は肩を貸してくれた。ああ、どこかで会った気がするけど、思い出せない。
        だから、そう答えるしかなかった。

        「……きみ、は……?」 -- 名もなき違反学生 2015-04-02 (木) 22:20:25
    • 祝祭の喧騒からもっとも遠く離れた場所。落第街深層の悪所にて。 -- 2015-04-01 (水) 01:02:45

      • 護送の風紀どもが見えなくなるまで、どいつもこいつも遠巻きに見守ってやがった。阿呆面並べて眺めてるだけだ。
        連中の八つ当たりでボロ雑巾みてーにされちまった名無しの権兵衛。月に一人か二人、こんなやつらが捨てられていくんだ。
        冷てえよな。親の顔も知らねえ同士、兄弟みたいなもんだってのに。いらねえんだったら俺様が貰っちまうぜ。

        「よぉ新入り。うぇっ……言っちゃ何だがすげえ臭いだぜ。そうかよ、理由はこれかよ…畜生っ」
        「おい、立てるか?…無理だよな。こりゃ無理だ。肩貸してやるよ。恩に着ろよな…ったく。具合はどうだ? どこか痛むか?」
        「ここいらは初めてだろ。見ねえ顔だもんな。飯も水場もあるにはあるんだぜ。ぜいたく言わなきゃ寝床はいくらでもある」

        あの夜から金ピカになっちまった目を向ける。ゴールデンすぎるぜ俺の目ん玉。気味悪がられないかって心配も少しある。

        「へへへ、おれさまの子分にしてやるよ。服、貸してやってもいいぜ。…くっせーのどーにかしてからな! はぁ……お前、名前は?」 -- マリー=セレスト 2015-04-01 (水) 01:03:22

      • 「ここいるやつら、全員そうだぜ。ほんとの名前なんざぁ誰にもわからねえ」
        「そんなもん、はじめっから無かったんだって信じてるやつもいる。名前付けといて捨てるかふつー?ってさ、言いたいことはわかるけどよ」
        「だからって訳じゃねえけど、俺たちは好きな名前を名乗ってる。いいか、もう一度聞くぜ。お前、名前は? 何て呼ばれてたんだ?」
        「それも忘れちまったってんなら仕方ねえ。おれさまが考えてやってもいいぜ」

        荒みきって虚ろな目を覗きこむ。魂が半分抜けちまってる顔だ。どんな目に遭わされたんだか。

        「んーーーーっとなぁ…お前、レーチェルな。顔はぜんぜん似てねーけどさ、チビなとこなんかそっくりだぜ」

        でも、背丈はそんなに変わらない。同じぐらいだ。だったらてめえもチビだろって? ああそうだよ。悪かったな。
        この島が世の中ってやつの縮図なら、こっちはろくでなしどもを集めてぐつぐつ煮詰めた闇鍋ってとこだ。
        《カタコンブ・ドゥ・パリ》。《万魔殿(パンディモニアム)》。面白半分につけられた名前だ。いくらでもあるぜ。

        「おれさまはマリー=セレスト! あいつがそう呼んでたからな、同じでいい」

        ボロっちい安食堂に入りこみ、立ちこめる熱気のなかを通りの裏へと抜けていく。
        俺たち二人を気にするやつはいない。みんな自分のことで精一杯だ。他人を気にする暇人なんざ……いた、いやがったよ一人だけ。
        珍獣でも見たような顔しやがって。メシがマズすぎておかしくなっちまったのか? 今にも「新しい友達かな」とか言ってきそうだ。言うだろうな。絶対言う。
        ジルベール・デュ・モティエ。たぶん偽名かなんかだけど、悪いやつじゃねえってのはわかってる。俺の目、ぶっ壊れちまったのを治してくれたしな。
        でも、今はダメだ。小さく舌を出してレーチェル2号をぐいぐい引っ張っていく。まずは風呂。それから着がえの用意もいるな。全部済んだら腹ごしらえだ! -- マリー=セレスト 2015-04-03 (金) 00:06:36

      • 「レーチェル……?」

        その名を聞くと何か胸騒ぎがする。僕はそう呼ばれていたような。
        いや、でもそれは幻覚だったんだ。あの時にそう思い知らされた。

        「わかった……なら、私は……僕は……それでいい」

        僕はそう呟いた。名が元々ないのだから、何と名付けられようと同じことだから。
        周りをみれば、彼女が言っているような場所だというのがよくわかる。
        僕が最後に見た学園都市の地区とは大きく違う。猥雑で、未整備な感じがする。

        「マリー……セレスト。なら、マリーって呼ぶよ」

        僕は力のない声でそう言った。思えば、このマリーも風変わりな少女だ。
        ここの人間は皆、人の面倒を見るような余裕なんてなさそうだ。なのに、彼女は僕を助け出した。
        奇妙な少女だ。

        「レーチェルが、そう呼んでいた……」

        ふしぎな気分だ。彼女に言っているレーチェルは僕の事ではない。だけど、懐かしい感じがする。 そうして、僕たちが入ったのは食堂だった。別に僕たちに気を留めるものはいない。
        いや、一人だけ違ったらしい。燃えるような金髪の男だ。……この男も見たことがあるような気がする。
        僕がその男に気を引かれていると、マリーはそんな僕を引っ張ってしまう。僕は引っ張られるままに彼女についていく。
        学園都市の闇。そんな言葉が頭の中で反響する。僕はこの街の中に入って、この街の事をよく知ろうとしていた気がする。
        でもきっと気のせいだ。知ってどうなるというんだ。僕が何者なのかもよくわからないのに。

        「これから、どこに……?」 -- 名もなき違反学生 2015-04-03 (金) 00:33:56

      • 「いいところさ」と君は呟く。黄金の瞳がもたらす疼きと痛みを君は甘受しなければなければらない。
        それは警鐘であり、惜別の痛みでもある。真実が無意識のうちに見落とされてゆくことに耐えられず泣いているのだ。
        君は新入りをささやかな棲家へと案内する。身支度をととのえさせ、仲間のもとへと連れていく。

        そしてオーファン。名もなき君。かつては別の何かだった君。君は影の世界を導かれて、新たなる出会いを得る。
        在りし日には《落第街》に真の自由をもたらした革命学生たち。地下に潜り、今日まで永らえてきた細胞組織のひとつ。
        当事者たちさえ全貌を知らない、学園都市の薄明に広がる地下帝国の一端を君は垣間見ることだろう。

        「急ぎたまえ。真実は覆い隠され、嘘や欺瞞が疫病のごとく広がりつつある」
        「《黄金の瞳》事件以来、《透明人間》は学園都市の脅威となった。罪なき学生諸君にまで牙を剥きはじめたのだ」
        「今やその名声は失墜しつつある。というより、すっかり《怪学生》扱いだ。言うまでもなく、マリー=セレストの仕業じゃない」
        「その暴走を華麗に食い止めてゆく宿敵、《行動的探偵》レーチェル・ダイオジェネスの令名は増すばかりだ」

        「これは私が想起する未来。今度のは、私が決めたことじゃない。君たちが望み、選び取ったがために確定された未来だ」 -- ジルベール 2015-04-04 (土) 19:06:44
  • ――第三の反復。 -- 2015-03-08 (日) 05:10:26
    • 祝祭のさなか。宝飾研究会のパビリオン。開場前のざわめきの中で。 -- 2015-03-08 (日) 05:10:35

      • 「《ファベルジェの卵》と言われて、ピンと来る人はあまりいなかったと思う。ついこの間まではそうだった」
        「卓越した宝石技師としても知られる碩学ファベルジェが皇帝家のために造った機械仕掛けのイースターエッグのことだ」
        「美術的価値の方に目が行きがちだけど、いわゆる《碩学機械》だ。この世の驚異といわれた品々のひとつが学園都市に運びこまれた」
        「言ってみれば、洋上祭という晴れの日に宝飾研究会が仕掛けた一世一代のキャンペーンだ。ファベルジェ本人も乗り気だったらしい」
        「寛容なるファベルジェにしてみれば、かわいい後輩たちの頼みに答えてやるのも悪い気はしなかったんだろうね」
        「相応以上の対価が支払われる当てもあった。筋のいいパトロンが別にいたということさ」 -- ジルベール 2015-03-08 (日) 05:11:28

      • 「ピーター・カール・ファベルジェの最新作《黄金の瞳》」
        「学園都市の新たなる至宝。あまりに豪華絢爛で、間近に拝んだら目が黄金色に染まってしまうなんて噂も立った」
        「そんなしょうもない与太話を大真面目に追いかけようだなんて、実にあの子らしいとは思わないかい?」

        「これは私が想起する未来。私が望み、選び取ったがために確定された未来だ」 -- ジルベール 2015-03-08 (日) 05:11:28


      • 「《卵》の謎をぶちまけてやる」

        つきつめれば、内容はそれだけだ。日付は明日の午前0時。っても、あと10分もねーんだけどな。
        時間が遅いだぁ? バカ言え、予告状といえば午前0時だろ。怪盗はみんなそうしてる。朝のメシ時だの、午後の授業中だのじゃ締りがねえよ。 -- マリー=セレスト 2015-03-08 (日) 05:13:03

      • おれさまの目の前には「こうなるよな」って感じの景色が広がってる。宝飾研究会のパビリオンには、真夜中だってのに人がぎっしりだ。
        ブン屋だの見物人だの、ふつうの学生は全員外に締め出されてる。ここにいるのは風紀と公安。それから一握りの「捜査関係者」ってやつらもだ。
        ああ、そうだよ。クソ探偵もいるかもしれない。やめろっつーのに邪魔しやがるからなあいつは。いい性格してやがるぜまったく。
        全員が全員、《卵》の入ったガラスケースをチラチラ眺めてやがる。気になるんだろ。わかるぜ。何たって《透明人間》サマが相手だもんな! -- マリー=セレスト 2015-03-08 (日) 05:13:03

      • 物々しい警戒態勢が敷かれた宝石箱の中に僕はいた。
        ピーター・カール・ファベルジェ――有名な碩学だ。宝石技師としてその名を馳せている。
        北国の皇帝家のために作ったイースターエッグ、驚異、奇跡、そんな風に呼ばれる、復活祭の碩学機械、《ファベルジェの卵》……そのために彼は一躍有名な存在となったといわれる。
        あまり僕は詳しくは知らない。碩学機械に興味はあるけれど、宝飾などにはさして興味がなかったからだ。
        そんな碩学の作った碩学機械の一つ。この宝飾研究会のパビリオンの中でも一番の注目の品だ。

        ――《黄金の瞳》、それがこの碩学機械の名前だった。
        なんとも奇妙なことだろうか。僕は思わず右目の《黄金瞳》を抑えた。
        どういう仕掛けなのか。奇妙な噂は当然学園都市に広まっていく。

        そして、彼女はその噂を暴きにやってくるという。

        風紀警察の女子制服に身を包んだ僕は、懐中時計を手に取って時刻を確かめる。
        《透明人間》が予告した0時まであと10分もない。
        内部には捜査関係者、外には見物客たちがいる。
        彼女の目的からすれば、最高のステージと言えるだろう。衆人環視の中で、彼の卵の謎を明らかにしようというのだから。

        僕はガラスケースをじっと見つめる。僕は彼女の異能をこの目で確認した。彼女はまさに透明になれる。ならば、どこからやってきてもおかしくはない。既にこのパビリオンの中にいる可能性も当然ある。ガラスケースの前に立っている可能性すらも。

        僕は彼女を止める。行動的探偵は行動する。
        この学園都市で見捨てられた存在についての調査は進んでいるとは言い難い。だが、その調査を彼女は待つはずもない。
        ならば僕は止めるだけだ。どのような理由があれ、宝飾研究会の学生がこの日を待ち望んだことは間違いない。

        それを壊すことは止めなければならない。今は彼女との議論の時間ではない。
        僕と彼女の勝負の時だ。僕は右手を伸ばさず、右目の黄金瞳にも意識を集中させない。
        ただ、その時を待ち構える。風紀警察の中に紛れ込んで。 -- レーチェル 2015-03-09 (月) 00:24:28

      • 午前0時まで、あと30秒。
        じりじりと痺れるような空気が成金趣味の見本市を支配していく。
        懐中時計を開けたり閉じたりしてるやつ。ゴテゴテした金ピカのでっけえ柱時計を見つめるやつ。
        煙草の代わりに飴玉を転がしてるやつ。真夜中の月を見上げるやつもいれば、まばたきもせず《卵》を凝視してるやつもいる。

        お互いの顔をうかがって、視線がカチ合っちまったら気まずそうにそっぽを向いたりもする。
        疑心暗鬼だ。《透明人間》はもう紛れ込んでるかもしれない。そいつは自分以外の誰かだ。容疑者は全員ってとこだな。
        まあ、外れちゃいねえよ。風紀の制服を手に入れるんだってすっげー大変だったんだぜ。

        水が漏れだす隙間もないほどの完全警護。おかしな動きをするやつがいたら即刻叩きのめされる。
        当然、ここまでは予想できてる。思惑通りってやつ。そのための予告状だもんな。お利口なおれさまはそいつを利用しちまうんだ。

        午前0時。悪趣味を絵に描いたような金持ちサロンのすべての明かりが消え失せる。
        さいしんえーの電気式照明ってやつ、すげえんだぜ。スイッチひとつでつけたり消したり自由自在だ。
        こいつの細工には落第街の仲間の手を借りた。時間にして5秒くらいか。それだけあれば十分だ。

        ――我が異能、我が力。《透明人間》は《乖離》する。

        どよめきが広がる。すぐには慌てないあたり、さすがに訓練されてるよな。思ってたより手強いかもしれない。
        冷静に押し殺した指示が飛び、風紀の制服警官どもが《卵》の周囲を固めにいく。手に手に携帯式の小型探照灯をつけて。
        数えきれない量の光線がガラスケースを照らしだす。

        ない。《卵》は消えた。消えちまったのさ。認めようぜ。どこにもない。
        俺自身も含めて、誰ひとり指一本触れないまま《黄金の瞳》は消え失せた。
        《卵》があったはずの場所にはぽっかりと虚ろな空間があるばかり。あんたらの負けだよ。残念だったな! -- マリー=セレスト 2015-03-09 (月) 01:12:58

      • 時刻まで後30秒ほど。
        風紀警察の面々に緊張が走っていく。
        当然だといえるだろう。何せ相手は透明人間だ。
        奇々怪々。まるで理不尽な犯人だ。それは見ることができない。知ることができない。
        既にそこにいるかもしれない。誰も本当の姿を知らないのだから、誰もが容疑者でありうる。

        ただ、この中で透明人間の真の姿を知るのは僕のみだ。おそらくは。

        ――そして、時は来た。

        瞬時にパビリオン全体の証明が落とされた。世界が闇に包まれる。
        どよめきが起き、指示が飛ぶ。僕はすぐさまガラスケースの近くへと駆け寄る。
        風紀警察の警官たちが小型照明を手にガラスケースを四方八方から照らす。

        そこには何もなかった。あるはずの《卵》は闇に消えた。
        この世界から消え失せた。人知の及ばぬ闇の世界に呑まれたかのごとく。
        どこにもない。どこにもない。《透明人間》はそれを奪い去った――

        ――本当に?

        《透明人間》の《異能》は果たして自分を消すのみなのか?
        自分以外のものも見えなくするように出来るのではないか?
        僕は仮説を立て、それを立証する為に行動を開始する。これはただの推測だ。大外れの可能性だってある。

        女子警官の制服を身にまとった僕は叫ぶ。

        「まだ奪われたとは限らない! ケースの中を確認するんだ!」

        そう叫びながら僕は周囲を見渡す。あの少女はいないか。
        マリー=セレストはいないか。
        ガラスケースは壊されてはいない。そんな細工がされた様子もない。照明が消えた後、すぐに風紀は行動した。
        奪える隙はない。
        だが、奪われたという錯覚だと考えればどうか――

        相手に空間に干渉する系統の異能持ちが居れば僕の推理はただの勘違いになる。
        それならば本当に瞬時に奪うこともできるはずだから。 -- レーチェル 2015-03-09 (月) 01:56:33

      • 「へえ」

        そうだよ。大当たりだ。やるじゃねーか。見直したぜレーチェル。クソ探偵は今日かぎりでやめにしてやる。
        つかのまの虚をついて、凛として響きわたった少女の声。誰もが顔を見合わせて、一気にあわただしくなった。
        風紀の捜査員どもが右に左に動きだす。右往左往してるともいうけどな。
        現場をあずかってる捜査官のボスが、冷や汗だらだら流して携帯式通信機にまくし立てる。上のやつらにお伺いを立ててるんだ。
        勝手にしやがれってんだ。どんなやり取りがあったかは重要じゃない。俺の仕事にとっては目の前の結果がすべてだ。
        碩学機械式の保安装置が解除され、炭酸が抜けるような音がしてどこかに隠された錠前が回る。

        目に見えるものが全てじゃない。金ピカに見えるからって、そいつは黄金だとは限らないんだぜ。
        まずは《黄金の瞳》の所在をたしかめろ、ってことなんだろうな。鉄壁のガードがあっさり開いちまった。

        そして、《卵》はふたたび現れる。
        消える。
        現れる。消える。風に吹かれて弱々しくチラつく蝋燭の明かりみたいだ。
        そんなに見てると目に悪いぜ。チカチカしちまうよ。
        言うまでもない。おれさまの異能《百年の孤独》の効力範囲を伸ばしたり引っ込めたりしているだけだ。

        見た感じは超ホラーな怪奇現象。正真正銘本物の手品だ。なかなか見れないぜ。よく拝んどけよな。第七芸術部も真似できやしねー。
        俺だって仕掛けを知らなきゃビビッちまってたさ。じゃあ、知らないやつはどうなったかって?
        阿鼻叫喚の地獄絵図。パニックの始まりだよ。
        「確保しろ」って誰かが叫んだ。近くにいた制服が《黄金の瞳》をもぎ取った。で、そいつごとフッと消えちまった。

        「出た!」「出たぞ!」「《透明人間》だ!」「まんまとやられた!!」「いや! まだだ、やつはそこにいる!!」
        序列も指示もくそもなく、消えた制服警官のいた場所に風紀が一斉にとびかかる。ビンゴ。大当たりだ。感触はあった。姿は見えないけどな。

        俺だけが見ている光景。
        最初の風紀は踏まれて蹴られてもみくちゃにされて、それでも《卵》を後生大事に抱えてやがる。立派なもんだよ。
        でも、《卵》は奪われちまった。五、六人ものしかかられて、ぶっ壊されると思ったのかも。で、もぎとった次の風紀も消えちまった。

        仮説。憶測。「《透明人間》には仲間がいる」「風紀の内部に?」「やつらは複数犯だった?」
        愕然としてやがる。ねえよ。それはねーだろ。俺だってそう思うけど、状況は明らかにひとつの答えを示してる。
        《透明人間》が次から次へと生まれていく。もう半分超えちまったんじゃねーかな。手錠かけられたやつが2ダースくらい。
        恐れをなして逃げてったやつもいる。
        笑えるぜ。

        展示品が押し倒されて、砕けたガラスがぐっちゃぐちゃになって散乱した床に転がる《黄金の瞳》。
        誰の目にも映らない宝物を拾い、パビリオンの裏口の方へと抜けていく。
        いた。レーチェル。制服に着られてる感じですぐわかる。あいつはチビだからな。俺は逃げるけど、いいぜ。お前が鬼だ。嘲笑って、闇の奥へと。 -- マリー=セレスト 2015-03-09 (月) 02:17:39

      • 推理は当たっていた。
        僕の声で慌ただしく風紀の上官が通信機に何かまくし立てはじめた。
        そうしてすぐに保安装置は解除され、錠前が外れる音が鳴る。

        かくして、《卵》は再び現れた。
        実際は消えたわけではなかった。見えなかっただけだった。
        僕の推理は的中した。
        だが、すぐに卵は再び消え、再び現れ、それを繰り返し始める。
        捜査員たちはパニックに陥る。当然と言えば当然だ。理解不能な事象だからだ。
        誰かの指示とともに一人の捜査員が《黄金の瞳》をもぎ取った。そしてその警官ごと消える。

        《透明人間》が現れたと捜査員は色めきだつ。消えた警官のところに捜査員がとびかかっていく。

        大事に守っていた卵も、捜査員は離してしまう。それを受け取った警官もまた消える。
        消える。消えていく。仮説や憶測が飛び交っていく。透明人間には仲間が? 複数人いる?

        ――違う。僕にはわかった。《透明人間》は一人だ。そしてその異能は、おそらくはその効果の範囲をある程度変化させられる。

        自分自身も消しながら他のものも消すことができるのかどうかわからない。
        しかし僕は見た。誤認逮捕が続くが、それはすぐに風紀内部で誤解だとわかるはずだ。僕が関わり合う事じゃない。
        この混乱によって真実が消えようとしている。透明人間に翻弄されて。
        僕は追わなければならない。彼女を。

        「いた……!」

        この混乱によって、パビリオン内は滅茶苦茶忍なっていく。
        その混沌の中、何かを拾う仕草をして闇にまぎれて裏口へと向かっていく制服警官がいた。
        間違いない。彼女だ。

        僕は混乱のさなかにある警官たちの中をすり抜け、裏口へと向かう彼女を追う。
        推理は当たっていた。そして、彼女は自分から異能の力も見せてくれた。
        ならばあとは、追いつめるだけだ。
        少し大きめの制服だから動きづらいけれど、僕は駆けだした。
        卵は、奪われたのだ。 -- レーチェル 2015-03-09 (月) 22:06:49

      • 《システム・ウォレス》って知ってるか?

        ウォレスってのはたぶん、作ったやつの名前かなんかだ。そいつはこの学園都市にも持ち込まれてて、今この瞬間にも動いてる。
        水道管とか、《大機関(メガエンジン)》の動力管みたいに、《システム》は情報を運んでるらしい。らしい…。
        「情報を運ぶ」って言われたってよくわかんねーんだよな。だって、情報だぜ?
        まあいいけどよ。とにかく、そいつは網なんだ。水道みたいなもんでさ、ちょっと地下に潜ればすぐにみつかる。
        だれにも見られず寝床に帰りたい、なんて時にはもってこいってわけだ!
        あいつはどうせ追って来れない。言いきってもいい。ここは目に見えない場所だ。背景みたいなもんだからな。

        本土のほうには迷路みたいな地下の墓場があって、そこには誰のかもわからねえガイコツがゴロゴロしてやがるんだそうだ。
        この場所は湿気っぽくて、寒くて、埃だらけで。生き物の気配がしない。ほんとに墓場に迷いこんじまったみたいだ。
        おまけに狭いったらありゃしねー。レーチェルとか俺くらいの背丈しかなくても頭をぶつけそうになるって、よっぽどだぜ。
        ほんとに必要最低限って感じの隙間しかねえ。でも選り好みはしてらんないんだよな。

        舞いあがった埃を蹴散らして、何度も行ったり来たりしながら鍵のかかっていない通路を駆け抜けていく。
        何枚目か何十枚目かの扉の向こう。あと少しだ。出口はこの先にある。肩を当てて押し開ける。

        ダメだ、と気づいた時には跳ね返されてた。しりもちついちまって、ぶつけたケツがじんじん痛む。
        乾いた音を立てて《黄金の瞳》が転がっていく。

        「ちっくしょ…どうなってやがんだーー!! 戻るか? どこまで戻る!? くそっ、予定がくるっちまったぜ…」

        鉄の扉は重たくて、拳をぶつけたってびくともしやがらねえ。ダメだ。向こうから鍵がかかってる。
        落ちつけ。深呼吸だ。ぜいぜい言ってる場合じゃねえんだって。落し物。拾ってやらねーと。

        くらやみの向こう。《卵》をさがした。ちいさな明かりをむけて。
        おれは。そいつを。見ちまった。金の卵。が、閉じこめてた。《中身》。《黄金の瞳》、を――。

        「ひ、ぁ………ぅ……ぁ…ああ゛ァあぁあ゛ぁぁぁぁぁあぁぁああああああぁぁッッッ!!!!」 -- マリー=セレスト 2015-03-11 (水) 22:18:23
      • 最早この変装も意味はない。僕はこの大きめの制服を引っ掴むと、それを思い切り脱ぎ捨てた。
        僕の姿はいつもの探偵の姿へと変わる。映画や小説、舞台でよく見られるような探偵の格好だ。
        これで身軽になった。僕は速度を上げて彼女を追う。

        そして僕は闇の中へと潜る。闇の世界に足を踏み入れる。
        「ここは……なんだ?」
        僕は彼女を追ってその闇の中までやって来た。学園都市の地下世界とでもいうのか。
        こんな場所が広がっているとは知らなかった。まるでオペラ座のファントムが作ったというオペラ座の地下のようにも思える。
        酷く狭い通路を僕は駆けぬけていく。墓場のように薄暗く、生き物の気配がない。

        「……なるほど、これを利用するわけか」

        おそらくこう言った物の存在を知っている者が、神出鬼没に学園都市のあらゆる場所に現れたりするんだろう。
        だがこの通路に僕は不案内だ。彼女もほとんど見失いかけていた。

        そのときだった。

        「何だ……!?」

        突如、少女の声が響いた。あの声は……マリー・セレストのものだ。
        絶叫。恐怖の色か? とにかく何かが起こったことは違いない。
        僕は声がした方へと急いだ。何があったのか。何を見たのか。
        声の様子からして彼女にしても不測の事態だったのだろう。

        「マリー・セレスト……!」 -- レーチェル 2015-03-11 (水) 22:43:01

      • 金の卵からは何が生まれる?
        金のガチョウならまだいい方だ。俺がみたそいつは金ピカなんかじゃ断じてなかった。
        《システム・ウォレス》の通信網がどす黒い闇に呑まれ、一面の闇に塗りつぶされて距離感が狂いはじめる。

        ちっぽけな《卵》からあふれ出たモノには目玉があった。満月みたいに明るい《黄金の瞳》だ。ひとつやふたつどころじゃない。
        作りものみたいに白い歯があった。よだれの滴る舌が、真っ赤に裂けた口からまろびでていた。
        それ以外は、形をもたない何か。不定形の存在。生き物と呼ぶのもおぞましい何かだった。
        最低に最低をぶち込んで煮詰めたような、悪夢に出てくるやつだ。貌のない悪意。恐怖の化身。底なしの闇を俺は見ていた。

        古めかしいランタンが黒に呑まれて光を失っていく。これが。こんなヤツが噂の正体だって? 冗談きついぜ。
        死ぬなって、気づいているのに。光、消える前に止めないといけないのに。
        動けない。ココロが冷たく凍てついていく。喉がかすれてひゅうひゅうと間抜けな音を出す。不思議と涙は出てこなかった。

        「……かッ、は―――――あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛っっっ!!!!!!

        目の奥から激痛が走る。目玉が燃えてる。まぶたが焼け焦げちまう。見えてるものの全てが黄金に塗り潰されていく。
        普通の頭痛なんか比べ物にならない。いっそ抉り出してくれよ。この苦痛から逃れられるなら殺してくれたっていい。
        嗤った。嗤われた気がした。目玉の奥で黄金の星々が生まれては消えていく。怪物の口のひとつが歪んで。舌、視界いっぱいに迫って。
        眼球がドロドロとしたモノに触れられる。不気味に細長い舌先がまぶたの内側へとさし込まれる。
        少しずつ、飴玉でも転がすみたいに。削られていく。――瞳、弄ばれて。 -- マリー=セレスト 2015-03-11 (水) 23:38:12
      • 「クッ……!!」

        不意に、僕の右目の黄金の瞳に痛みが走った。
        思わず右目を抑えると、不意に自分の前方が金色の輝きに照らされ始めた。
        僕の黄金の瞳が輝き始めた。右目を抑える指の隙間から光が溢れている。
        そう、危険を示している。黄金の瞳は危険を僕に知らせているようであった。

        「マリー=セレスト!!」

        異様な気配があった。異常な気配があった。
        人知の外の気配。普通の人間の世界にはないあり得ざるモノ、名状し難いモノ。
        それは、《卵》の中から現れていた。

        いくつもの黄金瞳を備えた、名状できない何か。それを見た瞬間、心が恐怖に支配されそうになった。
        彼女の叫びが響く中、僕は歯を食いしばる。《黄金瞳》が強く輝く。
        宇宙的な恐怖を扱った怪奇小説に出てくるようなものがそこにいた。
        それは彼女へと迫る。彼女は苦悶の声を上げ、その場から逃げることができないらしい。
        怪物……今は怪物としか呼ぶことのできないそれは、口を広げ、彼女の瞳に舌を伸ばしていた。
        何をするつもりだ。

        「待て、やめろ!! 逃げるんだ、マリー=セレスト!!」

        僕は強く地面を踏んで駆け出した。
        あの化物が何かをしようとしている。それは僕に言い知れない不安を与えていた。
        止めなければならない。あの瞳を!

        僕は左手で彼女の襟をつかんで引き寄せようとしながら怪物に向かって右手を伸ばす。

        僕の手には既に《機械籠手》が装着されていた。その籠手から雷鳴のように迸る炎の輝きが噴射した。
        果たしてこの化物にこれが通用するのかどうかわからないけれど、今はこの化物から彼女を引きはがす方が優先だ。 -- レーチェル 2015-03-12 (木) 00:08:58

      • レーチェル。あいつの声が聞こえた。追いつかれたんだ。このクソ忙しいときに。
        でも、おかげで正気の側に思いっきり引き戻された。ココロに熱が戻る。感情がせきを切って溢れそうになる。
        目がくらんだままでよく見えねーけど、動いた。やっとかよ。人差し指の先からじわじわとコントロールを取りもどしていく。
        どんなになさけねー顔してたってあいつの前でベソはかけねえんだ。ふんっ。これだから《自警学生》サマはつらいぜ。

        「…ったく、おどかしやがって。バカにしてやがるぜ」

        思いっきり顔をそむけて全力で頭突きをかます。手応えはまずまずだ。化物の前歯が折れて砕けた。
        弱っちいガキのくせに、って思っただろ? 演技だよ演技。見かけに騙されやがって。
        血のめぐりが良くなったぶん、痛みはこれ以上ないってぐらい酷くなっちまった。ほんとに頭が割れそうだ。
        両目は熱を持ったまま。奥歯を噛みしめても静まらない。だんだん捨て鉢な気分になってきやがった。
        銀の刃、手の中に滑り込ませて。見る。視えた。《黄金の瞳》。視界が急速になじんでいく、直感が研ぎ澄まされていく。

        冷たい刃金の切先を、俺を嘲笑った化物の数ある目玉のド真ん中へ。突き立てる。抉る。穿つ。もう一度。もう一度っ!

        「俺を嗤った。嗤いやがったよな。ちくしょう、ちくしょうっ!!」
        「今度は何だよ? なに奪おうとした? 言えよ。なぁ!!!…このっ、言ってみやがれっっ!!」

        傷ついた眼球から噴き出た生ぬるい粘液でナイフが滑り、狙いが外れて叩き落とされる。
        化物は血を流してた。見たこともない色の血だ。声にならない声、みたいなものを叫んでた気がする。力任せに吹っ飛ばされた。

        「……っ…!! すげえ…だろ、レーチェル。謎だ。《卵》の。へへ…へ、おれさまが先にみつけたんだぜ」
        「………なぁ。なんか…あいつにぶっ殺されちまいそうだ。助けてくれ。しにたくない」

        逃げようにも身体が言うことを聞いてくれない。間もなく闇が落ちる。あのチビ、やれっかな。正直かなり心配だ。頼むぜ、名探偵。 -- マリー=セレスト 2015-03-12 (木) 02:05:06

      • 僕の声に正気に戻ったのか、彼女は黄金の瞳の怪物に頭突きを行った。
        怪物の歯が砕けていく。
        なるほど、十二分に活動的な少女らしい。だが、危険な状態だ。

        彼女はナイフを化物の瞳に突き立て、抉り、穿つ。
        見たこともないような、この世の存在と思えないような血が噴き出していた。
        何だこれは。と僕は思わず呟いた。こんなものがあの《卵》の仕掛けだというのか。
        これを開発した碩学は一体何をしようとしていたのか。

        彼女の体は吹き飛ばされた。僕は彼女の傍へと駆け寄る。
        嗤っていた怪物はこの世ならざる叫び声をあげている。

        「……ああ、謎だ。《卵》の謎だ。しかもこれは、途方もないものだ」
        「これで、集まった大勢に何かをする気だったというわけか」
        「……ああ、もちろんだ。君も僕も、こんな場所で死ぬわけにはいかない。僕も君も、まだ真実を知ってなどいないから!」

        僕はマリー=セレストの前に立ち、怪物と相対する。
        黄金の瞳、黄金瞳。僕と同じ黄金の瞳。
        この碩学機械で何をしようとしていたのか。一つ、想像が湧きあがってくる。
        先程の怪物の行動を見れば――

        「まさか、《黄金瞳》を量産するつもりなのか――!」

        先程彼女に行っていた行為。そして黄金の瞳。
        おそらくは間違いない。

        「……学園都市の闇か。異能に黄金瞳、やはりこの学園都市は……!」

        僕は怪物を見据える。右目の《黄金瞳》は逃げろと言っている。だが、逃げるわけにはいかない。
        僕は探偵だ。行動的探偵だ。
        こんな闇に、負けてはいられない。

        「死なせるものか。君も、僕も!」

        右手を、伸ばす――

        僕の背後に“彼”が現れる。そして、僕の《機械籠手》と“彼”の右手が連動する。
        僕の《機械籠手》に蝶のような紋章が浮かび上がる。

        「さあ、行こう。このような存在を放っておくわけにはいかない」
        「そしてまた一つ、追うべき謎が増えた――!!」

        一時休戦だ。やり方は認められないが、彼女とはきっと、同じなのかもしれない。
        謎を追うという、その点に置いては。

        「――名も知らぬ君よ。僕と一緒に戦ってくれるのなら。僕の願いに答えてくれ。彼の化物を――壊す!」

        背後の“彼”の手が光り、伸びる。あらゆる物理法則を超えた光の刃が怪物へと飛ぶ。
        それと同時に僕は怪物へと駆け出す。右目の黄金の瞳が化物の解析を始める。
        だが、奴は弱点を露呈しているも同じだ。

        「天雷――!」

        《機械帯》に機関カードをセットする。機関が駆動を始める。
        すると、僕の両手に雷電が纏われる。そしてそれらは一気に怪物へと走る。
        的確に、怪物の黄金の瞳を狙って! -- レーチェル 2015-03-12 (木) 03:45:01

      • 「元気だなおい…キャンキャン吠えやがって! ぐぐぐぐ…てめえがわめくと耳がキンキンしやがんだっ」
        「レーチェル。前にマリーなんとかって言ってたよな。いいぜ。それでいい。いつまでも名無しのまんまじゃ締まらねえだろ?」

        一人じゃない。俺を見ていてくれるやつがいた。バカだよな。おれさまなんか追っかけたって何の得もねーのにさ。
        探偵ってのはどいつもこいつもこんななのか? 俺にはさっぱりわからねえ。レーチェル。わかんねえやつだ。

        体調は相変わらずの絶不調。背中だの手足だの、ぶちのめされた場所がひっきりなしに痛みやがって息を吸うのもやめたくなる。
        頭のてっぺんからつま先まで全身苦痛のかたまりだ。痛い、って言葉の意味さえ忘れて考えこんじまったくらいだ。
        でも、舐められたらおしまいなんだよな。ぶっ殺されちまうんだろ。こんなやつに。だから立ち向かうしかなかった。
        バールのようなもの。赤と青に塗られた鉄の棒。目に入ったそいつを掴んでレーチェルの死角から迫る触手をぶん殴ってやった。

        刹那、男みたいなカッコした肩越しに白い光が溢れてくる。あっという間に目がくらんだ。暗闇に慣れちまった目じゃ何も見えねえ。
        ……いや? 視えてるのかこれは。レーチェルの身体の向こう。光の白刃が怪物の身体じゅうにブッ刺さってやがる。
        のたくり、呻いて。大げさなぐらい震えてやがる。後ずさりをはじめる仕草が俺の目には視えていた。なんだよこれ。どうなってやがんだ!?

        置いてけぼりを食ってるあいだに、ひときわでっけえ目玉にダメ押しの一撃が決まった。
        うげっ。最低すぎんぜ。目玉おばけのやつ、どす黒いタールみたいな液体撒き散らして爆発しやがった!
        生ぬるくって重たい感じのドロドロが狭い通路の天上までへばいついてぼたぼたと降りそそぐ。

        ぬめった感触に足をすくわれ、足首までそいつに浸かってることに気づく。壁に張りめぐらされてた管が全部埋まっちまってる。
        どこを向いても黒一色。星のない夜の空に放り投げられちまったみたいな気分だ。上下左右の感覚が消えちまって、頭がクラクラしてきやがる。

        「ぎゃあ、きったねぇっ!! な、なぁレーチェル。こいつはやべえ気がするぜ…? ひゃあああっ!?」

        バールのようなものがもぎ取られて、ブーツの隙間から冷たい感触が染みとおってくる。あっという間にふとももから下の感覚がなくなっちまった。
        いくつ潰されたって新しい《瞳》が次から次へと浮かんできやがる。こんなやつを後生大事に警備してたやつらの気が知れないぜ。
        何が《黄金の瞳》だよ! いい気なもんだよな。どいつもこいつも。精一杯の強がりで睨み返してやる。悔しくて、たまらなくって。視界がぐにゃりと歪んでいく。 -- マリー=セレスト 2015-03-12 (木) 22:30:17
      • 「ああ、わかったよ、マリー=セレスト。君のことはこれからも呼ばせてもらおう」

        僕はそう言いながら手を伸ばす。背後の“彼”の刃が怪物に突き刺さる。
        あまり異能に関して具体的なことは人に見せたくはなかったけれど、そうも言ってはいられない。
        “彼”の刃は怪物の瞳を貫く。ヘドロめいた気味の悪い体液が溢れていく。
        それが僕の手から放たれる雷電によって照らされていく。

        「これは……!」

        化物の巨大な瞳に刃が突き刺さった。すると、その瞳は体液をばらまきながら爆散した。
        見れば、僕とマリーの足が既にその体液に浸かっていた。
        天上からコールタールのようなものが垂れてきている。
        このままではよくない。いずれこの小さな通路も埋め尽くされるだろう。

        「ああ、わかっている! このままでは――なら!」

        潰しても潰しても新しい黄金の瞳が現れる。
        今は調査どころじゃない。この状況を打開しなければ。
        僕はこみあげてくる吐き気を押し殺しながらも両手を前に突き出す。

        「……一つ一つつぶしていくのでは駄目だ。この化物の殲滅の方法は――」

        「全ての瞳の一斉消去だ!」

        僕はそう叫び、両手を突きだしたまま“彼”に呼びかける。

        「名も知らぬ君よ、僕ともに戦うなら、僕に答えてくれ――!」
        「朝日の如く、照らせ!!」

        僕がそう叫ぶと、強烈な光が“彼”より一気に放たれた。
        それは超高熱の炎。眩い輝き。それらが全ての《黄金瞳》に向かって走っていく。
        一気にこのすべてを焼き払う。それが僕の狙いだった。 -- レーチェル 2015-03-14 (土) 02:10:59

      • 《黄金の瞳》が増えたり減ったり、閉じたり開いたりしてる。ぶくぶくと泡のように浮かんでは消える。
        どんな生き物だよこいつは。ただでさえ正気を揺さぶられる光景だってのに。

        「そりゃ、一気にぶっ潰せんならそれがいいに決まってるがよ……おいコラてめえっ! 何ぶっ放しやがる気だ!!?」
        「探偵ってのはアレだよな?? もっとこう、頭脳プレーすんじゃねーのかよ!! くそぁっ!」

        巻き込まれたらたまらない。こっちは生身なんだぜ。お守りの子分みてえなやつはいねぇんだ。おれさまと化物が識別できてるって保証もない。
        焦るぜ。インクをぶちまけちまった様に黒一色に染まった通路を振り返る。どこまでが化物の残骸で、どこから先がほんとうの闇なのかさえわからない。
        曲がり角はずっと先だ。今から突っ走ったって間にあわねえよな。詰んだのか? 嘘だろ? ああっちくしょう!!

        「無茶しやがって、レーチェル! こんなんでくたばっちまったらっ…化けて出てやるからなーー!!」

        勇ましく立ち向かうチビッ子の背中に体当たりして、もろともに真っ黒な水溜りにヘッドスライディングを決める。
        水。炎。雷。風。あとは葉っぱとか花とかもだ。自然操作系の異能を使う連中、けっこういるんだぜ。あちこち見て回って調べたことだ。
        あいつら、生身の人間が耐えられないくらいの破壊力でぶっ放したって自分自身は傷ひとつ負わねえ様にできてやがる。ずりーよな。
        …とにかく、こいつと一緒にいるかぎりは安全だ。言い切ってもいいぜ。だって、そうだろ。信じて賭けるしかねえんだから。

        底なしの闇を祓い、まばゆい光が満ちていく。光が強すぎて目がイカれちまいそうだ。お天道さまをじかに拝んだってこうはならねえ。
        まぶたを固くつむって、レーチェルの背中に頭突きをかますくらいの勢いで顔を伏せる。ダメだ。頭が。脳みそが揺さぶられちまう。
        かすかに感じられたのは、熱だ。何かが焼けるようなひっでー匂いも。肌を焦がして、肺を焼かれちまうような熱風が吹きぬけてくのを身体じゅうで感じてた。
        それから、吹っ飛ばされていく衝撃も。勘弁してくれよ。二回目だせ。あとは真っ白だった。頭の中も。外も。何もかも。《輝き》が、とめどなく溢れかえって――――。 -- マリー=セレスト 2015-03-14 (土) 23:05:17

      • 「これは、個人的な見解にすぎないのだけれども」

        「事件を解明することは探偵の役目ではない。そんなことは誰も期待しちゃあいないのさ」
        「探偵は事件を解決するものだ」
        「あえて言えば、真実は重要ではない。そもそも謎を解く必要すらないと考えている。なぜなら、これは現実だからだ」
        「勧善懲悪の物語。他愛のない知的遊戯。日陰者のひそかな趣味。奇を衒った余興。即興の茶番。紳士のスポーツ」
        「二十手先まで読みあうような神経戦。ある種の科学実験。果て無き神学論争。ささやかな悪漢小説(ピカレスク・ロマン)
        「どれも違う」
        「《事件》だ。他の呼び名はふさわしくない。私たちは取り返しのつかない出来事をそう呼んでいる」
        「過去を変える術などない。失われたものは還らない。だとしても、事件は解決されるべきだ」
        「もしも折りよく、《事件》に幕を引ける者が現れて、誰もがうなずく《真実の物語(カバーストーリー)》を示せたならば」
        「その誰かを《探偵(ディテクティヴ)》と呼び、称えることを拒める者はいるだろうか」
        「むしろ、大いに評判を呼んでしまうのではないかな。記録者が現れて、その名を永遠にとどめようとする可能性すらある」
        「探偵は自然科学の体現者だ。碩学たちが自説を戦わせるようなものさ。彼らは自然そのものを語るのではない。おのれの知りえたことだけを語っているのだ」

        「さて、レーチェル。いにしえの隠者の名を称する君。悪意の芽は摘まれつつある。解決のときだ」

        破壊の痕跡も生々しい整備通路に響く靴音。閉鎖されていたはずの扉が開け放たれ、獅子のように豊かな黄金の髪を撫でつける男がそこにいた。
        悪夢のような怪物がたった一つ残した置き土産。黄金の外郭から転げ落ちた小さな金属球を拾いあげ、もうひとつそっくり同じ品物を反対の手に示す。
        異教の神殿に刻まれた壮大なレリーフを思わせる幾何学模様。無数に走った継ぎ目が内部に不可思議な構造物を孕んでいることを仄めかしていた。

        「右が本物。左は贋物だ。よくできているだろう?」
        「この学園でも一番腕のいい細工師…になるかもしれない生徒。君もよく知る人物の仕事だ」
        「誰にも見分けがつかないばかりか、これは人に害を及ぼさない。ただ美しく在るだけだ」
        「本物とは違ってね。未来永劫、よこしまな者たちの役には立たない代物だ。君がこれを持ち帰ったなら、事件はここでおしまいだ。次の災いは未然に防がれる」
        「いずれにせよ、君はどちらか一方を取り返してくる。戻ってきた方が元どおりに展示されるのだ。多くの人目にも触れるだろう」
        「選びたまえ、探偵」
        「レーチェル・ダイオジェネス。君は謎を解き明かすものか? それとも、事件を解決に導くものか?」 -- ジルベール 2015-03-14 (土) 23:06:32

      • 「――ッ」

        世界は一瞬にして白く染まり、衝撃が僕たちを襲った。
        そして全てが白く消え去った後、僕は前を見据えた。
        通路の色々な物は破壊され、焼け焦げたような跡すらもあったが、あの化物たちは既に消え失せていた。
        コールタールのような黒い液体も既にない。
        “彼”の力によって、全ては照らされた。

        「……君は」

        コツンコツンと靴音が通路の奥より響いてくる。閉ざされていた扉が開け放たれ、そこには燃えるような金の髪の男がいた。
        化物の遺物。小さな金属の球。男はそれを拾い上げ、もう一つ同じものを反対の手に示した。
        人知の及ばぬような異形の幾何学模様がその球にはあった。継ぎ目からして、本来は別の姿であることを暗示している。

        「一番腕のいい細工師……まさか」

        僕はもう一つの金属球を凝視した。思い当たる人間は一人しかいない。
        リゼットだ。

        「……用意していたのか? ならば、君はあの黄金の瞳がなんであったか知っていたことになる」
        「いや、それはいい。君が答えたとしても、それが真実かどうか自分で確認しなければ同じことだ」
        「……二者択一か。だけど、それを決めるのは君じゃない」
        「二者択一にするかどうか、それを決めるの僕だ。僕自身だ」
        「僕は探偵だ。行動的探偵だ。事件を解決する存在だ」
        「僕がその贋作を持ちかえれば、確かにこの事件はそれで終わる。それでここは収まるだろう」
        「だが、真実は明らかにならない。それはただ、その場で都合のいい現実を持ち出してきて、すり替えただけにすぎない」
        「僕も、そしてこのマリー=セレストも同じだ。やり方には賛同できないが……真実を明らかにすべきだと思っている」
        「学園都市には闇がある。いや、この世界全て、そうだ」
        「この事件を解決したところで、また新たな事件が起こる。その繰り返しになるだけだ」
        「だから、僕は二者択一などとは言わない」

        「僕は、謎を解き明かし、事件を解決に導く探偵だ!」

        「選んでいて、この学園都市の闇を祓えるわけがない――!」 -- レーチェル 2015-03-16 (月) 21:53:13

      • 「選択を拒む。相手のルールに乗らない。いい判断だ。探偵を名乗るだけはある」

        状況に惑わされない強さを持っている、この小さな探偵に賛辞を並べてしまった。
        ひかえめに言って拍手喝采を送りたい。

        『二度と思い出さないであろうヴェルレーヌの一行があり』
        『わたしの足には禁じられている近くの通りがあり』
        『最後にわたしの姿を覗いた鏡があり』
        『この世の終わりまでと思いつつ閉めた扉がある』
        『瞼に浮かぶが』
        『私の書庫の本の中には』
        『決して開くことがないと思われるものがある』

        「選ぶということは、捨てることの裏返しだ。選ばれなかった方は捨て去られ、君の世界から静かに消える」
        「その痛みは知覚できるものではない。失ったことさえ気付かぬままに失くすのだ」
        「私は痛みを受け入れている」
        「かつて多くの可能性があったことを知っている。でも、選んだ道はひとつだけだ」
        「その陰で、何が失われたのかを知っている。知らされている。かけがえのないものたちが私に選ばれずに失われてきた」
        「―――そうとも。私は非道に手を染めた。いつか気取られることになる。今でなくとも、いつかは必ず」
        「ふふ、昔から勘のいい子だったんだよ。嘘を見破るのがとても上手だった!」
        「恐ろしいことだ」

        「さて、恐れ知らずの君。お手柄だったじゃないか。神出鬼没の怪盗と渡りあうにふさわしい探偵ぶりだった」
        「ゆえに警告しよう、レーチェル・ダイオジェネス。真実は劇物だ。その味を知る前に毒が回る」
        「今日のあの子を見ただろう? 真実がいつも君の手に負えるものだとは限らない。次の危険はすぐそこにある」
        「心したまえ、名探偵」

        レーチェル・ダイオジェネスの手に壮麗なる黄金のイースターエッグと真贋一対の碩学機械を託した。
        ここから先は君に任せる、ということにしておこう。私は昏倒したマリー=セレストを抱き上げて闇の奥へと立ち去っていく。
        これは私が想起する未来。私が望み、選び取ったがために確定された未来だ。 -- ジルベール 2015-03-17 (火) 01:56:09

      • 僕は彼の語りを聞く。依頼人の言葉を黙って聞く。
        彼の言葉には色々な経験があったことが暗示されている。しかし、僕はそれを知らない。
        今はそれを受け取るしかできない。

        「……リゼットのことか?」

        僕は一人呟いた。金属細工の技師で僕が知っている生徒と言えばリゼットしかいない。
        彼は彼女と何か関係があるのか?
        そして、彼の言葉はどこか不穏だった。「非道」に手を染めたのだという。
        やはりこの男は、素直に信用するわけにはいかないようだ。

        「選べるはずだった未来を考えても仕方がない。僕は、僕の未来に向かってすすむだけだ」

        「……君のその超然とした態度は、僕はあまり好きではないね」
        「真実が僕にとっていかなるものか、それを決めるのは僕だ」
        「真実が劇物であったとしても、僕はそれを手に入れる。それが僕の目指す探偵だ」
        「そして、その真実故に闇に閉ざされる者があるのならば、僕はその悲劇を終わらせるデウス・エクス・マキナになろう」
        「君に言われるまでもない。僕は行動的探偵なのだから――」

        僕は二つの黄金のイースターエッグを彼から受け取った。
        好きにしろ、ということなのだろう。言われずとも僕はそうする。
        マリー=セレストが彼に抱きかかえられて、消えていく。
        僕は二つの卵を強く握り締めた後、それを懐へとしまった。

        「……これは終わりじゃない。始まりだ」

        僕はそう呟いて、踵を返した。 -- レーチェル 2015-03-18 (水) 00:58:48
  • ――第二の反復。 -- 2015-02-23 (月) 00:44:16
    • 祝祭のさなか。第七芸術部の映画小屋。テント後部の立見席にて。 -- 2015-02-23 (月) 00:44:31

      • 『善の終わりは悪であり、悪の終わりは善である』

        薄いパンフレットに金ピカのイタリック体で記された言葉。
        学園都市のそとの世界で、何とかいうおエラい思想家さまがのたまったんだそうだ。

        悪の終わりが悪ってことは、悪いやつらの悪行をぶち壊して回る人間は善いやつの中の善いやつだよな。すげー善いやつってことになる。
        悪はほろびて、善が生まれる。悪党だったやつらは少なくとも、すっかり懲りたような顔をして善いやつの側に近づいているふりをする。
        でも、その中の大部分はまたやらかしちまうに違いないんだ。 -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 00:44:52

      • 太陽と月のように、昼と夜の十二時間みたく。移り気な風見鶏みたいに。はてしなく廻りめぐって繰り返されていく。
        それなら、人間はもともとどっち側だとか、善いの悪いのと言いあったって、これっぽっちも意味がない。はずなんだ。

        でもさあ。言われちまうのもいるんだよな。
        生まれながらの善。生まれながらの悪ってやつがさ。許されざるもの。ここにいちゃいけないやつらが。 -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 00:45:21

      • 『あの男は、むかしのグリフィンとは人が変わってしまった。ケダモノになって、気が狂っているのです!』

        芝居はいよいよ佳境に入った。
        銀幕に映った男子生徒の名はグリフィン博士。…いや、そいつの名前じゃねえんだ。役の名前だ。
        もとになった話をこっちの《透明人間》とまぜこぜにしたシロモノだって、誰かが言ってた。
        あと一歩のところで碩学の大先生になれたはずの怪物。居場所をなくして駆り立てられ、狂気におちていく悲劇の主人公。
        あんたも同じド畜生だって? 冗談きついぜ。まったく。

        いつからだろう。髪の黒いチビがこっちを眺めてた。見てないふりをして。一瞬だけ目があったんだ
        この人ごみの中で? 偶然にしちゃヤな感じがすんだよな。邪魔をされるのはご免だ。こっちにも商売ってもんがあるんだ。 -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 00:45:40

      • 銀幕に映る映像を僕は眺めていた。第七芸術部が作成した映画を見ていた。
        《透明人間》がモチーフの映画だそうだ。僕は原作となった話は読んでいないけれど、どうやら今学園都市で話題のそれを混ぜて作り上げたものらしい。
        あと一歩で碩学位まで到達するはずだった男、しかし狂気に落ちていくという悲劇。

        悲劇。悲劇。この世界は数多の悲劇で満ちている。かつて、誰かにそんなことを言われた気がするけど思い出せない。
        だけど、僕はそんな悲劇を終わらせるために探偵をやっている。

        この洋上祭にて、僕は調査を続けていた。《マリー・セレスト》を止めろという依頼のために。
        それは偶然であったのだろうか。今回の事件にまつわる《透明人間》という言葉、それをモチーフにした映画。どうしても気になってそれを見に来た。
        すると、そこにそれは“いた”――僕が探し求めていた相手だ。
        テントの後部で銀幕を見ながら、ちらと僕はそれを目で追いかける。
        金色に変化した僕の瞳がそれを捉える。一度捉えたのならば、もう逃がしてはならない。

        僕はそのまま銀幕を見ながら、いつでも動けるようにしておく。まずは動きを追う。この人ごみの中だ。下手に騒ぎになると見失うことになる可能性は高い。 -- レーチェル 2015-02-23 (月) 01:45:41

      • 即席のテントは隙間だらけだ。映画館の建物なんかと違って、分厚くて重たい布で光をさえぎってるだけなんだから当然だ。
        その辺、素人仕事なんだよな。サーカスのテントなんかの方がよっぽどしっかりしてる。
        一度中に入った観客が出ていくぶんには止める人間もいない。ヘンなやつに目をつけられちまった。長居しすぎたせいだ。

        ぽかんと大口あけてスクリーンを見上げてるカップルどもの間を抜けて、ずっしりと垂れ下がった無数のひだのひとつをくぐる。
        あいつはすぐに追ってくる。俺にはわかる。でも、無駄だ。《透明人間》を止められるやつなんて、どこにもいないんだから。

        『奴は必ずきますよ。もう、そのへんをうろついてるかも知れません』

        猟犬の台詞が聞こえる。世の中の外側にはじき出されたアウトサイダーを駆り立てるやつらの声が。
        「我が異能、我が力。名前なんかねーんだよな。マリアンヌ? いや、おれさまはジェーン・ドゥでいい。――は《乖離》する!!」
        緑の炎みたいなやつがぶわっと噴き出て準備完了だ。《百年の孤独》は俺を一人にしてくれる。さあ急げ、仕事の時間だ! -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 02:13:43

      • 間違いない。僕が今捉えている人物こそ、《透明人間》だ。
        探偵の勘だろうか。僕がそれがそうだと正しく理解できた。
        僅かな動きも見逃してはならない。何故なら、それは《透明人間》などと言われているのだから。

        ――動いた!

        《透明人間》が動き出した。即席のテントの中を動きだす。
        垂れさがったひだの一つをくぐろうとしている。皆映画に夢中で気にするものなどいない。
        だが僕は違う。それに気づけばすぐさま動き出した。銀幕を眺める観客をかき分けて、僕は《透明人間》を追う。

        さあ、行こう。もう一度、始まりの時だ。
        《透明人間》の仕事を完遂させてはならない。新たな悲劇を生まない為にも。
        僕は懐から一つの機関を取り出す。それのレバーを引けば、その機関からベルトが伸びて《機械帯》となる。
        かちゃり。僕はそれを腰へと巻きつけると、勢いよくひだの中へと突っ込んだ。

        黄金の瞳が告げている。この感覚は、異能だ――!
        右手を伸ばしながら僕は《透明人間》を追う。たとえその言葉の通り透明になれたとしても、この世から消えるわけではないはずだ。
        ならば、必ず見つけ出せる! -- レーチェル 2015-02-23 (月) 02:36:03

      • まあ、さがしてるやつは目の前にいるんだけどな。

        きったねぇ仕事着のすそをつまんでお上品にお辞儀してやる。きづかねえ。
        俺とおんなじくらいのチビが目ん玉むいてキョロキョロしてやがんだ。おかしいったらありゃしねー!

        「べ〜〜〜ろ〜〜べ〜〜〜ろ〜〜〜〜〜ばぁ!!……っぷ、くくくく」
        「あーーーーーーーーっはっはっはっはっはっはっは!!」
        げらげら腹かかえて笑ってたって気付きやしねーんだぜこいつら。
        笑えるよな。ほんとにさ。ははっ、乾いた笑いってやつ? こんなやつらばっかだもんな。いつもいつも!
        追っかけんのはてめーの勝手だけどさ、こちとら張り合いってもんがねーんだ。白けちまうぜ。

        俺はここだ。ここにいる。見ろよ、こっち見ろよな。…っつっても聞こえねーし見えねえんだよな。
        いいさ。いつものことだ。それより、とっとと片付けちまおう。
        あんたはどうする? どうしようもねーよな。いいぜ。見逃してやる。てめーとはこれっきりだ。
        これが最初で最後なら、行きがけの駄賃くらいは貰ってってもいいだろ?

        「ばーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーか!!!!」

        はーすっきりした!! うん。おうともさ。お前ら全員バカばっかだよ。お高くとまりやがって。
        おかしな帽子をもぎとって指先でくるりと回し、こっちの頭にのせて帳の奥へと突き進む。
        スクリーンの《透明人間》はそろそろくたばっちまう頃かな。もう三回は見たから頭に入ってる。
        その前にやらなきゃならないことがあるんだ。幻燈の舞台の上。危なっかしく組まれた足場の上へ上へと。駆けあがっていく。 -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 22:37:29

      • 「――消えた?」

        たしかにその少女はそこにいたはずだ。写真の少女が僕の目の前にいた。
        そして今はいない。忽然と消えてしまった。

        「透明人間……!」

        いたはずのものがいなくなる。見えもしなければ聞こえもしない。
        この映画の《透明人間》は薬品によってその姿を消した。
        だが今回はそうではない。僕は推理する。いや、それは明白だ。

        「異能か……!」

        おそらくは姿を消す異能か。もしくはさらに複雑な能力かもしれない。
        わざわざこんな示唆的な題名の映画の小屋に訪れているんだ。自分からそれを公開しているようなものだ。
        僕の帽子が不意に奪われる。目に見えない何かに奪われる。それは上に抜き取られて行った。
        なら透明人間が行く場所は想像がつく。

        「……そんな異能を持っていながらわざわざ痕跡を残すとはね」

        「完全な透明を目指すべきだったな、君は!」

        出しぬかれたとはいえ追う術はある。&br 僕は右手を伸ばす。《機械籠手》と《機械帯》の計器が動き始める。

        「――さあ、往こう。何をするつもりか知らないが、全て君の思うとおりにいくとはおもわないことだ!」

        《奇械》――僕が右手を伸ばせば、背後の“彼”が姿を現す。
        僕は君の名前を知らないし、君の正体もわからない。僕の異能なのかどうかも。
        だけど、僕にはわかる。君が僕に力を貸してくれるということが。
        背後の“彼”は右手の《機械帯》に宿る。“彼”の物理法則を超える力を僕は制御できる。
        ――変身。僕の姿は変わる。既に僕の体は、“彼”の力を得ている。
        強く足を踏み出せば、僕は高く跳躍する。この少女の体であっても、成せないはずのことが成せる。
        僕は足場の上を蹴り、彼女を追う。はっきりとは見えないし聞こえない。だが、それで追うのをやめる僕ではない。
        探偵は諦めない。失敗したとしても、必ず追いつめて見せる。 -- レーチェル 2015-02-23 (月) 23:05:36

      • 息せき切って駆け上がる俺。追っかけてくるそいつは濃い闇の中、人間の上半身をいびつに模していて。

        「ひ…っ! なんだよ…なんだよなんだよなんだってんだっ!!」

        おかしな機械。人形? よくわかんねーもん出しやがって。この俺様を脅かそうったってそうはいかねー。
        ここは第七芸術部。子供だましのこけおどしがごまんと転がってるびっくり箱だ。ビビッちまうわけねーだろ。そんな、それっぽっちの…。

        「バカにしてやがる…バカにして!! バカにしてぇっ!!!

        泣きたくなる様な目には数えきれないほど遭ってきた俺だけど、今度のはちょっと豪華版だ。認めてやってもいい。
        野生の勘ってやつがあいつはヤバいと悲鳴をあげてる。我慢してくれよな。俺だって泣きたい気分なんだぜ。ちくしょう。ちくしょうっ!!

        客席をぐるりと眼下に見下ろせる場所。アドバンテージを守りきってスクリーンの真上に躍り出る。急ごしらえのテントでもちょっとした高さだ。
        《透明人間》は傷つき追いつめられていた。なのに博士は舞い戻っちまったんだ。友の裏切りに報いるために。怒りの声をあげるために。
        そして。そして、怪物は――。

        「……ほんと、バカばっかだよ」

        あいつに居場所を気取られる前に、ボロボロのスクールバッグに手をかける。
        惨めな断末魔を聞きながらばっさばっさと逆さにふれば、とっておきのスクープ写真が乱れ飛んでいく。
        ここの売れっ子脚本家さまと穀物委員会理事のお忍びの密会。「協賛金」が手渡しだ! そのカネでこいつら《透明人間》をキレた化物にしちまった。
        いい迷惑なんだよな。こっちは売り出し中の《自警学生》さまなんだぜ。動きづらくなるのはまっぴらご免だ。ちっとも懲りてねえよあいつら。
        第三報道部に売りつければいいカネになっただろうけどさ。…あ、こらてめー踏んづけんなよ!! なにげにすっげぇ高けーんだぜそれ。 -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 23:52:22

      • 暗闇の中を僕は駆ける。右手に宿った背後の彼の力は、物理法則を超越する。
        《機械帯》と《機械籠手》が背後の“彼”と連動する。
        僕はその体で飛び、駆ける。彼女を止めるために。

        彼女は見えない。だが《黄金瞳》ならあるいは。猫男爵はこの瞳の事を妖精眼であるとか、全てを見渡す瞳だといっていた。
        “彼”の右目と僕の右目は連動している。集中を要するから今の状況だとまだ使えないが、“視”てしまえば――

        映画は佳境を迎えているようだった。断末魔の声が聞こえる。《透明人間》の敗北だ。
        僕はスクリーンの真上近くに飛び上がる。その時だった。

        「――写真が!」

        写真が乱れ飛んでいく。すぐにその写真へと意識を集中する。“彼”の瞳は僕の瞳だ。視野が拡大され、写真が脳裏に映し出される。
        ここの脚本家と穀物委員会理事の密会。スキャンダルだ。なるほどこの金がそうだったのか。
        《透明人間》に先んじられた。写真は既に宙を舞っている。全ての回収はおそらく不可能だ。
        だが――

        「――雷鳴の如く、雷電の如く、切り裂け」

        僕は背後の“彼”に命じる。右手を伸ばす。右手を前へ。
        僕の右目と“彼”の右目が連動する。宙に舞う写真を分析。そのために必要な行動を算出する。 右手の《機械帯》が光を放ち、背後の“彼”が再び現実に現れる。
        もう無駄だろうが、まだ空中に残っている分は焼き切れる。
        背後の“彼”の手が伸びる。すると、紫電が巻き起こり、剣のように鋭く伸びて、宙を舞う写真を切り裂いていく。

        「どうしてこんなことをする。不正を暴きたいのなら、《風紀警察》や報道部にもっていけばいい。正しい手段で成すべきだ」

        「君のやっていることは悪戯に混乱を起こしているだけにすぎない。学園都市も一つの社会だ。その混乱に巻き込まれる学生もいる」

        「それとも君は《自警学生》と自惚れて、正義を執行しているつもりか?」

        自分の放った言葉に僕の胸が痛む。僕とて、正義を執行しているつもりの人間だ。
        輝きを守るために、探偵として活動している人間だ。体制側の人間じゃない。
        自分にも跳ね駆って来そうな言葉だ。
        だけど、今は敢えてそう言ってのける。彼女を挑発するような、愚弄するようなことを言う。
        どういう人間なのか、まだわからない。だが、僕の帽子をわざわざ奪ってくるような人間だ。自信はあるのだろうし、気の強さがうかがえる。
        これは賭けだった。全く実を結ばない可能性だってある。もう既に《透明人間》はこの場にいないかもしれないからだ。
        だが、僕は言い放つ。何らかの反応を引き出すために。

        「僕は《行動的探偵部》部長、レーチェル・ダイオジェネス。《透明人間》、僕は君を止める者だ」

        「闇に光を照らそうとするのならば、真正面から行くべきだ。闇から闇を産むようなことは、僕が止める!」 -- レーチェル 2015-02-24 (火) 00:36:07

      • 「こんな演出あったか?」とか何とかささやきあう声がする。俺だって面食らってる一人だよ。
        そうだ。こいつがいやがったんだった。この男女みたいなよくわかんねーやつが。

        「……んなああーーー!!? やめろって、おいやめろ!! なにしやがんだこのスットコドッコイ!」
        …あぁああぁああぁああぁぁ……

        思わず姿をさらしちまった。下界ではすでに混乱の渦が広がり始めてる。こいつ以外に聞かれた心配はないけれども。
        さんざん苦労して揃えた写真の束が目の前で燃えカスに変わっていく。あれだけ現像するカネがあれば半年は遊んで暮らせるってのに。
        脱力感で目がくらみそうになりながらどうにかこうにか踏みとどまれた。変ちくりんな帽子を目深に押し下げ、武器も持たずに対決する。

        「何が十万学生の学園都市だよ。…ほんとはさあ、もっとうじゃうじゃいるんだぜ?」
        「《統治会》。《大手部活》。《自警学生》も《怪学生》もお笑いぐさだ。どいつもこいつもしょーもねえおままごとに必死こいてやがる」
        「『探偵』ってあれだよな、善いやつだ! 悪党をふんじばってブタ箱にぶちこんじまう。すげえよな。かっけーよな。あこがれだよな」

        「だからやりたくなっちまった。そうだろ? それがあんたの選んだ遊びだ。役目(ロール)だった」
        「見ろよ、ほら。見ものだぜ」

        パニックのさなか、気鋭の演出家とかヨイショされてた男子生徒が半狂乱になって写真をかき集めていた。
        踏まれながら。蹴られながら。喚きながら。髪を振り乱して。観客の手から写真をもぎとっては、ばらばらに千切って撒き散らす。

        「悲しいよなあ! せっかくうまく行ってたってのに。ごっこ遊びが終わっちまった」
        「レーチェル。てめーみたいなガキがポリ公やってんだぜ。お役所も。食い物屋も工場もみんなそうだ」
        「そりゃあ、ズルしちまうよな。ガキなんだから無理もねえ。しかもだ。いけねーことをダメだっていうやつがどこにもいねえ」
        「どうかしてる」
        「一つの社会だって? おもしれー冗談だな! 笑えるぜ」

        笑える。笑えるよな。悲しくなってくるぐらい滑稽で、薄っぺらいんだよ。本当に笑えて涙まででてきやがった。

        「おれは…名無しのオーファンだ。ほんとの名前を知ってるやつがどこにもいねーんだ。なあクソ探偵。名前をくれよ。おれさまにさあ!」 -- #4*8*** 2015-02-24 (火) 01:23:46
      • 「……確かに、最初はそうだった」
        「僕は憧れていた。探偵に憧れていた。僕はなりたかった。事件を解決する探偵に」
        「僕も、探偵に救われた一人だったから」

        しかし、その記憶は偽りであった。白い男などこの学園都市にはいなかった。
        僕が追う邪悪な存在によって与えられた記憶。偽り。幻想。
        だが、それでも僕は探偵をやっている。今の僕の気持ちは偽りではない。
        偽りの記憶であったとしても、今の僕は探偵だ。
        「僕も君が言うとおり、この学園都市はどうかしていると思っている。それを変えるために僕は探偵になった。君も僕も本質的には違いはないのかもしれない」
        「だけど、遊びじゃない。僕も君も、この学園都市で生きている。生活が営まれている。それは遊びでもままごとでもない」

        姿を現した少女を僕は見る。《マリー・セレスト》を僕は見る。

        「どんなに滑稽であろうが子供じみていようが、ここはひとつの都市だ。多くの人間がいきているんだ」
        「そしてその社会に闇があるなら光を当てて晴らす。それが探偵の仕事だ。どの社会も同じだ。大人の世界にも不正はある。そしてそれは正さなければならない」
        「僕は、そう言った闇を払うためにいる。声を上げて行動している。僕が行動的探偵だからだ」
        「――君のやり方だと解決などしない。混迷を産むだけだ。そして、危うい」
        「君一人で立ち向かえるほど、この学園都市は簡単な存在じゃない。風紀警察も公安も動くだろう。強引なやり方で世界を変えても歪が生まれるだけだ」

        「この世は演劇じゃない。皆生きている。役割なんて変えられるはずだ。世界すらも。そうだろう、マリー・セレスト」
        「善も悪も相対的なものだ。だからこそ、僕は自分を信じて探偵をやっている。君のやり方はきっと君をも傷つける。それは僕の望むところではない」

        「……この十万、いやそれ以上の輝きを、僕は光で照らす。諦めはしない。君もまた、その輝きの一つだ」

        僕の言葉、きっといわゆる二級学生と呼ばれる、本来は存在しないはずの学生達が聞けばどう思うだろうか。
        薄っぺらいというだろう。欺瞞だというだろう。できるわけがないというだろう。何も知らない癖にと言うのだろう。
        だが、何も知らないなら知ればいい。そして行動すればいい。その果てにこそ、世界は変革の時を迎える。

        「名無しのオーファン、孤児……そうか、そういうことか。いないはずのものとは……」
        ジルベールの言葉を思い出し、推理する。僕は見ているのに観察していないもの。
        いるはずのないもの。闇へと追いやられた存在。

        「……学園都市の落し子」

        可能性としては存在するものだ。二級学生など、学園都市にはいないとされているものの子供。その境遇は想像するに易い。

        「闇に縛られる必要なんてない。僕も君も、自分でここに立っている。自分で決めてしまえばいい。忘れられた存在なら、僕が光を当てて見せる」
        「それが僕……行動的探偵だ。これはごっこ遊びなんかじゃない。僕の生き方だ」
        「僕は君の事を、この学園都市に残る闇を知らない。だから声に出して言ってくれ。知らなければ、誰も見はしない。こんな方法を取ったって、また追われるだけだ」

        「それでも君が精いっぱい生きる学生たちの生活を混迷に導くというのなら――僕が、止める!」

        右手を、前へ。 -- レーチェル 2015-02-24 (火) 02:29:05

      • 「…っぜえなあ。そういうの流行ってんのかい?」

        絶望的に噛みあわない。見えてるもんがちげーってんだから仕方のねえ話ではある。それはわかるけどさ。

        「探偵は好きだ。気に入ってる。『ストランド・マガジン』っての知ってるか? 探偵の話が載ってんだ。読めるんだぜ。すげえだろ」
        「でもあいつらはさ、トロくせーからいっっっつも間に合わねえんだよ。くたばっちまったやつはどうなる?」
        「どうにもならねえよな。いけねえよ。押っ取り刀でかけつけたってもう手遅れだ」
        「じゃあ何のためにいんだよ、あんたらは。お祈りでもしてくださるってか。おれさまにはこれっぽっちもわからねえ」
        「…ほんと、肝心なときにいやがらねえんだ。そんなやつらの綺麗ごとなんざ誰が信じられるかよ」

        「ああ。そうだよなァ。おれたち全員いねーことになってんだ。見ろよこのバッグ。こいつ、おれさまのゆりかごだったんだぜ」
        「これっぽっちの鞄にぶち込まれたまま死にかけてた。ほかの連中も似たり寄ったりだ。そんなやつらをどうやって探せる?」
        「見て見ぬふりが許される。そりゃそうだよな。どいつもこいつもきたねえもんは見たがらねえ」

        くらくらと眩暈がしてデコを押さえる。呆れてものが言えねー!って言い回しがあるよな。そんな気分だよ。

        「……あのな、ヘボ探偵。そんなんやってみたに決まってんだろーが。ブン屋も公安も風紀もみーーーーーんなとぼけやがったんだぜ」
        「とっくに手ェ回されてんだよ。カストリのクソ新聞(タブロイド)だって尻尾巻いて逃げやがった」
        「腑抜けてやがる。同じくらいおっかねえやつにケツひっぱたかれるまで動けねーんだ。育ちのいいやつらはこれだからな」

        「てなわけでだ、おれさまが代わりにバラしてやることにした!」
        「感謝しろたぁ言わねーけどさ、てめーの「お楽しみ」につきあってられるほど暇じゃねーんだよな」
        「あんた、向いてねえんじゃねえかな。探偵なんかやめちまえよ。お花畑のレーチェルちゃんにはこいつがお似合いだぜ!」

        《諮問探偵》のコスプレみたいな帽子を投げつけて、スクリーンの下へと身を踊らせる。
        我が異能、我が力。名もなき…マリー=セレスト? あいつが言ってた。なんだそれ…は《乖離》する――!

        「あばよーとっつぁーん!――やれるもんならやってみなぁ(Catch me, if you can)!」 -- マリー=セレスト 2015-02-25 (水) 23:50:42

      • 探偵の宿命。探偵は事件が起こってから現れるものだ。
        事件を未然に防ぐというのは探偵の仕事であろうか。探偵は起こってしまった事件を解決する存在だ。
        僕は彼女の言葉に歯噛みする。その通りだ。事件で死んだ者は探偵に感謝するだろうか。
        きっと、事件が起こる以前にそれを止めてくれと言ったことだろう。

        言葉が返せない。どう返していいかわからない。いや、僕は言うべき立場にいない。
        あの鞄が目の前の彼女のゆりかごであったという。その中に入れられて捨てられた存在。
        誰も彼もがそう。学園都市にいながらも、いないとされる存在たち。
        僕は知らない。その現実をまだ見ていない。その闇の深さも、想像しただけに過ぎない。
        僕はまだ行動していない。
        「手は、尽くしたという事か」

        予想はしていた。目の前の彼女の性格だ。行動したのだろう。
        だが、報道部も風紀警察も公安委員会も動かなかったという。
        それほどに根が深く、闇が深く、見ない振りをされている。
        既に手が回されている。関与がなされている。――それは誰だ。
        学園都市を統治するものに他ならないだろう。
        だからこそ、彼女は脅迫するのか……自分たちを生み出した存在を。
        その真実を突き付けて、揺るがそうとするのか。彼らを脅かす恐怖を伴って。
        僕の知らなかった真実の断片が彼女の言葉によって、僕の脳裏に刻まれる。

        怒り。そのときの彼女の心境を思いやる。僕が想像できるようなものではないかもしれないけれど、その怒りは深いのだろう。
        最早、僕が何を言っても意味がない。それは空虚に響くだけだ。
        忘れていた。僕がすべきは推理とか、変に言葉をかける事じゃない。行動することだ。
        それで、示すしかない。

        「ッ……! 待て……!」

        投げつけられた帽子を掴み、すぐさま駆け出す。
        しかし、僕が駆け寄ったのは、彼女はスクリーン下に飛び出した後だった。

        「消えた……!」

        《透明人間》の異能が発動したらしい。彼女の姿は消えてしまった。
        心を揺さぶられてしまった僕は、冷静さを欠いていた。黄金瞳も反応しないし、解析しようにも、既に彼女は消えている。

        「……逃げられたか」
        「確かに……僕の言葉は、実に空虚に響いたかもしれない。なるほど、お花畑だ。なにせ僕はまだ何も知らない」
        「だが、諦めない。知らないなら知るまでだ。どんなに秘匿されていようとも、僕は明らかにする」
        「行動的探偵、それが僕だ。行動で、示すだけだ」
        「君のやり方は認められない。新たな恐怖を、混迷を産むだけだ」

        「僕は、光で照らして見せる。君とは違うやり方で」
        「僕は、諦めない――」

        学園都市の誰もが味方にならないとはこういうことか。
        例え僕が学園都市の敵とされたとしても、闇を抱えた学園都市を必ず僕が照らして見せる。
        遊びの探偵だと、言わせないためにも。

        僕はスクリーンの上から、帽子を深くかぶり直して人に見られないうちに足場を下りて外へと出る。
        いくつかの情報は彼女自身の口から手に入った。ならば手はある。
        向かう必要があるだろう。この学園都市の闇の集まる場所に。
        落第街へ。

        この事件は彼女を止めるだけでは解決とはおそらく言えない。彼女を止め、さらに学園の改革まで導かなければならない。
        時間の猶予はない。だが、成さなければならないことだ。

        僕は唇を噛みながら、一人テントを後にした。 -- レーチェル 2015-02-26 (木) 00:35:31

      • 「つかぬ事を聞くようだけど、「かまいたち」というのを知っているだろうか。極東は大君(タイクーン)の島々に住まう妖精の名だ」
        「彼ら。あるいは彼女らは三人一組で行動する。一人目が人間を押し倒し、二人目が肌を切り裂き、二人目が万能薬を塗る。これが通説だ」
        「何のためにって、そういうことはラフカディオ・ハーン君にでも聞いてやってほしい。彼ならきっと喜んで話してくれるだろうから」
        「ここは我が友に敬意を表して新説を唱えてみようと思う。「かまいたち」というのはつまり、《透明人間》の異名であると」

        「私は逃げ延びていく彼女のために道を譲る。行く手をさえぎるものは誰もいない。彼女は驚きに目を見張って私を見上げる」
        「けれど、立ち止まっている暇はない。背後には意気軒昂なる探偵が迫っているのだから」
        「まずは一枚目の写真。闇の帳を背に負って対決する光と影の少女たち。実によく撮れている。彼女に頼んで正解だった」
        「これは私が想起する未来。私が望み、選び取ったがために確定された未来だ」

        「今は彼女らをねぎらい、拍手を送ろうと思う。それ以上のことをする必要はない。なぜって、それが大人の役目だからだよ」 -- ジルベール 2015-02-26 (木) 00:53:56
  • 出会い
    • 過去の話。そして真実について。かつてこの世界で戦ったものとの出会い

      • 白い男。
        レーチェル・ダイオジェネスが憧れた男。
        その実在如何は明らかにすることができない。彼がこの世の存在なのか、それとも別の世界の存在なのか。
        確かに実在はすれども、レーチェルはそれを観測しなかった。

        何故ならばそれは、虚像であったため。
        機械仕掛けの神が、レーチェルの悲劇のために用意した幻影にすぎなかったため。
        レーチェルはかつて白い男に救われた。
        彼のようになりたいと強く願った。輝きを守るものになりたいと強く思った。

        ――しかし、それは虚構であった。悲劇の布石に過ぎなかった。

        白い男など存在しない。全ては黒い男が用意したもの。
        《黄金瞳》を持つレーチェルに悲劇を齎す異能を与え。
        数多の悲劇を集める装置として用い、最後にレーチェル自身の悲劇を用いて。
        異界の《神》を召喚するために、全て仕組まれたもの。
        数多の悲劇を生贄に、《神》の欠片たる黄金の瞳を生贄に。

        「あらゆるものは、意味をもたない」

        天上の存在が囁く。絶望を導くために。
        悲劇を、悲劇を、学園都市の群像劇、それらすべてを悲劇として。
        黒い男は呼び出すのだ。遥か異空の存在を。
        彼の主たる神を、この世に。

        白い男の記憶は、偽りのもの。
        レーチェルは彼に会ってはいない。異能も、そしてレーチェルの背後に現れる輝ける彼も、全ては偽りにすぎない。

        「君は、何一つ成してはいない。全ては私の掌の上で行われていたことなのだから」

        天上で何かが嗤う。千の異形が嗤う。機械仕掛けの神が時計を鳴らす。
        レーチェルは憧れた探偵にもなれず、並ぶことなき雷電にもなれず。
        自らが原因となって悲劇を導き、そしてその終幕は、世界の終りで以て告げる――

        絶望の未来は変わらない。神の運命は変わらない。
        人とは、そういうものなのだから。

        ――だが、本当にそうであろうか。

        ――レーチェルは本当に、白い男に会わなかったのか。否、そうではない。

        ――本当にただただ、躍らされていただけなのか。レーチェルは悲劇を生み出す存在でしかなく、運命には抗えないのか。

        違う。
        そうではない。
        どれほどの絶望を与えられても。どれほどに罪を背負ったとしても。
        諦めなかったものがいる。
        立ちあがったものがいる。
        この世界に、それは存在した。
        神の定めた運命にも抗い、道を切り開いた者がいる。
        レーチェルは、その存在に出会っていた。
        かつて、時計の男がレーチェルに悲劇の力を与えたときに。
        彼は、勇気を与えた。白い男のように、レーチェルも輝きを守るものになれると。

        「……貴方は、誰ですか?」

        「……名前などなんでもいいさ。ただ、全てを守りたいだけの男だよ」

        「全てを、守る?」

        「そう、全てを。どれほどの絶望を与えられても、人は立ちあがることができる。人の人生は悲劇なんかじゃない。未来だって、変えられる」

        「待ってください、教えて! 貴方の名前は――」

        「俺は――」

        時を超えて。
        世界を超えて。
        混沌の神の干渉を何とか切り抜けて、それはレーチェルの前に姿を現した。
        酷くおぼろげではあった。完全なる姿でもなかった。
        しかし、それはレーチェルの記憶の奥底に確かに存在している。

        「君にはそんな悲劇を覆せる力があるはずだから」

        永劫の戦いに身を投じたある戦士の物語。
        その断片が一つ、レーチェルに刻まれた。
        そして、レーチェルは機械仕掛けの神から与えられた異能ではない力を得た。
        己の輝ける力を。
        運命を切り開く存在に、少女は近づいた。ただ、躍らされているのではない。

        それから、レーチェルは輝きの力を手にした。
        背後に現れる“彼”――その名前をレーチェルは知らない。
        それが何であるのかも知らない。
        ただ――

        彼の右手には、光り輝く蝶のような紋章が、燦然と輝いていた。
  • ――第一の反復。 -- 2015-02-12 (木) 23:56:54
    • 祝祭の気配が近づきつつある白い朝。《行動的探偵部》の部室にて。 -- 2015-02-12 (木) 23:57:07

      • 「やあ、時間通りのご到着だ。探偵くん。先に待たせてもらっていたよ」

        面談用のテーブルセットに客がいた。この部屋の主よりもふた回りちかく年上の、生徒の父兄にも教員にも見えない男が。
        真新しい糊の香り。身なりは潔癖なまでに洒脱そのもの。波打つ髪と黄金の双眸はどこか獅子のようでもある。
        声は明るく物腰は柔らかく、自信家らしい軟派な笑みはレーチェルと同年代の少年たちにも似ていた。 -- 2015-02-13 (金) 00:00:55

      • 「お茶はいらない。結構だ。役者が揃ったんだから、さっそく仕事の話をしよう」
        「こんなことは言いたくないけれど、のんびりもしていられないんだよ。急いているんだ。誰も彼もが。今日からは、君も含めて」
        「過ぎてしまった時を取りかえす術はない。喪われたものは還らない。そうだろう? 一般論としてはさ」
        「われわれはそれを経験として知っている。だから、先回りをしないといけない。探偵が必要だ。君の手を借りたい」
        「さ、かけて。今はまだ楽にしていてくれていい。まずは依頼人の話を聞いてみてほしい」 -- 2015-02-13 (金) 00:01:15

      • 「そうだ。その前に。最初の質問に答えよう」
        「私はジルベール・デュ・モティエ。君より早くここを出た人間だ。よろしく、名探偵」 -- ジルベール 2015-02-13 (金) 00:01:32

      • 「……」

        「なるほど。ならば僕も君に名乗ろう」
        「僕はレーチェル・ダイオジェネス。《行動的探偵部》の部長だ。自分で名探偵と言うほどうぬぼれてはいないつもりだけど」

        唐突な訪問だった。
        その男はレーチェルが探偵事務所に来るよりも前に、既に来客用の椅子に腰かけていた。
        レーチェルよりも年上のようであり、自身家らしい笑みを浮かべていた。
        しかもよく口が回る。レーチェルの「君は誰か」という問いの答えが返ってきたのは会話が始まってしばらく後であった。

        部屋の主が客に着席を促されるなどというひどく奇妙な光景が繰り広げる中、レーチェルは腰を下ろす。
        「よろしく、ジルベール、すると君は先輩と言うわけかな」
        「覆水盆に返らずというわけだ。だからこそ、事件が起きる前にそれをとどめなければならない。……では、話を聞こう」 -- レーチェル 2015-02-13 (金) 00:17:44

      • 「しかし、君は探偵だ。樽のディオゲネスくん。そのことをよく心得てもらいたいものだ」
        「ところで、《透明人間》というのを知っているだろうか。ブランブルハーストの怪人。不可視の怪物。包帯まみれのア・バオ・ア・クー…」
        「もとはウェルズの発案だ。科学小説の。《透明人間》は人の知覚をすり抜けてしまう。そりゃあ、透明だからね。見えていたって気付かないのさ」
        「あらゆる警備や監視をものともせず、誰にも気取られないままどこへでも行ける。悪党にとっては夢みたいな話だ」
        「この人工島にもそういう存在がいるかもしれない。いや、いるに違いない。気の早い連中が早くも噂を流しはじめた」

        逆さに開かれた手帳から新聞の切り抜きが吐き出される。時系列もばらばらに散乱したそれらは、どれもこれも醜聞ばかりを伝えるものだ。
        大手部活《ビッグテン》重役たちの腐敗。顕官の汚職は数知れず、銀幕の大スターの薬物疑惑から落第街の人身売買までこれでもかと積み上げられていく。

        「社会実験の是非については、またの機会に論じよう。ともかく、近ごろは内部告発がブームになっているらしい」
        「このちっぽけな人工島を揺るがすようなスクープが連日連夜の目白押しときてる。異常事態だ。そして、噂は都市伝説に昇華されつつある」
        「どんな秘密も白日の下にぶちまけられる。まるで不可視の怪物だ。《透明人間》の追及からは誰も逃れられない、というわけさ」 -- ジルベール 2015-02-13 (金) 01:21:52
      • 「《透明人間》? まあ、何となくはわかるけれど」
        突如飛び出した言葉に怪訝な顔をする。
        不可視の怪物。見えない存在。まるでゴーストだ。勝利の塔を上ればそれは姿を現すのだろうか。

        「探偵小説なら読むんだけどね。しかしそんなものが犯人ならば、読者も到底推理できないな」
        「まさに完全の犯罪と言うわけだ……成程、この学園都市にそれがいるかもしれないというんだね。異能なら、ありえなくもないが……」

        ジルベールの手帳から机に舞っていく新聞の切りぬき。レーチェルはそれを一つ一つ眺めていく。
        その顔は少し苦痛にゆがむ。まだまだこの学園都市には闇が多い。自分が払うべきそれが、溢れている。
        「……こんなに、だと」
        しかし、その量の多さにレーチェルは驚きの声を上げた。確かにこの学園都市に闇があることは明らかだ。それが表に出ることもある。
        だが、これは数が多すぎた。《統治会》とて、ここまで学園を乱すような醜聞の連続を好むはずがない。

        「そうか、それで《透明人間》か。人から見えない故に秘密を暴くことができる。それから逃れることはできない」
        「……ともすれば、これだけでは終わらない。学園そのものを大きく揺るがされる秘密が明らかにされるかもしれない」
        「透明人間の実在の都市伝説がまさに真実なのかそうでないか……そのどちらにせよ、君が先手を打たねばならないというのは、起こるべき《透明人間》による事件を防ぐためかな?」

        新聞記事の切り抜きから目を離してジルベールを見る。探偵は真実を明らかにする。だが、このような暴露は平穏を齎すとは限らない。
        祝祭を前に、学園都市は内外にも開放される。何が起こるかわからないのだ。 だが、他にもレーチェルは気になることがあった。

        「……少し、気になることがある。君のことだ。僕は学園都市に輝くものを守りたい。それがどのような相手であれ、立ち向かうつもりだ」
        「それに異論はない。……だが、君は何者だ? かつてここに“いた”と言ったね。その君が何故ここまで調べ上げ、そして僕に依頼をしてくるのか」 -- レーチェル 2015-02-13 (金) 02:04:36

      • 「個人的には《メアリ=セレスト》の方が気に入ってるのだけどね。だって、そうだろう。いるはずのものがいないんだから」
        「いるはずのものがいない。いるはずのないものがいる。どちらも謎だ。大問題だ。探偵が求めてやまない事件そのものじゃないか」
        「さて、本題だ。話はまだ終わらない。正義の自警学生(ヴィジランテ)と持てはやされた凄腕が新しいビジネスを始める気になった」

        「脅迫だ」

        「被害者は、かの空洞の針(エギュイーユ・クルーズ)のふもとに暮らす後輩諸君だ。洋上学園都市の最高権威。10万学生の長たるものが脅されているのだ」
        「おかしいだろう? いずれここにも真実の欠片が持ち込まれる。それとなく、仄めかすように。要領を得ない話をうんざりするほど聞かされるだろう。今から覚悟しておくといい」
        「肝心の要求の方はまだ出ていない。いつもの手口で、写真がいくらか送りつけられただけだ」
        「《メアリ=セレスト》は怖いもの知らずだ。神になった様な気でいるのかもしれない。無理もないさ。望めば何もかもが手に入るのだから」

        「レーチェル・ダイオジェネス。ジルベール・デュ・モティエは希望する」
        「彼女を止めろ。写真を取り返せ。盗み出された秘密の全てを。あの子が好奇心に殺される前に」
        「風紀警察も今度ばかりは味方にならない。敵は学園都市のあらゆる場所にいる。誰よりも早く、事件を解決してほしい」

        「私のことはいい。しいて言うなれば、彼女と同じだ。いるはずのないものだ」

        依頼人であるところの青年は自分の発した台詞に笑い、話を打ち切ってまっすぐ右手を差し出した。選択のときを告げたのだ。 -- ジルベール 2015-02-13 (金) 02:38:36
      • 「いるはずのないもの、いるはずのもの。それらはあり得ざるものだ。矛盾の存在」
        「確かに、僕向けの事件だ。普通の探偵じゃ、論理の通らない事件は解決できはしない」

        脅迫という言葉ににわかに目を大きく開く。
        「学園都市の頂上に立つものを脅迫するとは我が《メアリ=セレスト》はまさしくこの世の理から外れた者になっているようにみえるね」
        「要求はまだ出てない……この学園の長を脅迫することに何の意味がある。学園都市を思うままに操り、沈めたいとでも」

        「だが、それほど世界も簡単ではない。この学園都市もそれで手玉にとれてしまうような場所でもない」
        「であるならば、僕は既に探偵業を廃業して女学生として暮らしているだろう」
        「しかし、そうはなってはいない。学園都市は一筋縄ではいかない――そう、火遊びでは済まないだろう」

        「……どうせ答えられないことを聞くことはよしておくとしよう。君と《メアリ=セレスト》の関係も、いるずのないものならば、この世にとって幻のようなものだ。
        その謎は僕自身が解くことにしよう」
        「学園都市を揺るがすことで起こりうる事件、悲劇、僕はそれを止めなければならない。そして、彼女自身も止めねばならない」
        「ならばこれは、まさに先回りのこと。起こるはずでないことを起こさないための行為」

        「……好奇心と言う点では僕が言えた話ではないけど」
        と片目を瞑る。
        「いいだろう。いるはずのないジルベール。全てが明るみになるまえに写真を取り戻し、《透明人間》殿を止めよう」
        「……僕は《学園都市の敵》になるのかな? だが、それでもいい。そうしなければ、起こるべき悲劇を覆すことなどできないのだから」
        そう自分で呟き、「起こるべき悲劇」とはなんだと考えたものの、それはわかることはない。

        「誰よりも早く、事件を解決する。その依頼――受けようじゃないか、ジルベール・デュ・モティエ。
        秘密を奪還することで、その秘密を僕も知ることができるというわけさ」
        悪戯っぽく笑うと、ジルべールの差し出した手を握る。
        これは、後の祭りの物語。本来、ありえなかった時間――否、既にこうして現実として記録された出来事。
        レーチェルは決断したのだ。選択したのだ。未来を。
        未来の自分のために。 -- レーチェル 2015-02-13 (金) 03:40:48

      • 「答えられない問いなどないさ。君を満足させる言葉が聞きたいのなら、そうしてあげてもいい」
        「でも、探偵には必要のないものだ。与えられた答えに価値などない。害あるものだ。考える気を失せさせる。ノイズでしかない」
        「どうあっても自力でたどり着かないといけない。なぜなら君は探偵だからだ」
        「わかってるじゃないか、レーチェル・ダイオジェネス。さすが、好き好んで探偵を名乗るだけはある」

        探偵少女の小さな手を握り潰さんばかりの力が押し包む。男同士の握手もかくやという具合である。
        「君は観察していない。それでも見てはいる。私が指摘したいのはその点だ」
        「例えば、君は玄関からこの部屋に続く階段を頻繁に見ているはずだ」
        「いいかい。私は階段が17段あることを知っている。なぜなら私は見て、観察しているからだ」

        新聞の切れ端が払いのけられ、一枚の写真が現れる。おそらくは隠し撮りをされたものだ。
        写真の中の人物は撮影者の方を見ていない。しかし、だれかの視線に気付きかけている。刹那の動きが切りとられていた。

        「見過ごされてきたものがいる。名を奪われて、薄暗闇の世界へと逐われたものたちが君のすぐそばにいる」
        「オーファンを探せ。すぐに見つかるさ。私ができたんだから、君にできないはずがない」
        「頼んだよ、名探偵」

        探偵少女の物語は再び想起され、新たな活力を得て歯車が回転を始める。
        風紀警察が重い腰をあげる気になったのは、奇矯な依頼人が立ち去ってから間もなくのことだった。 -- ジルベール 2015-02-13 (金) 22:48:03
      • 「ッ……!」
        強い力で握手が行われる。レーチェルの小さな手は強く握られた。
        少しレーチェルは眉を動かすも、逆に自身も強い力で握り返すのだった。
        「観察はしていないが見てはいる、だと?」
        男は奇妙な事を言った。レーチェルはこの部屋に至るまでの階段を知っている。
        だが、男の言うような段数までは知らない。それは、レーチェルが観察していないから。
        見てはいても、それに気づいていないのだ。

        机の上に残された一枚の写真を探偵は見る。それは少女と思しき人物だった。
        「これが、マリー・セレスト……」
        レーチェルはそう呟く。
        この男は写真まで持ち合わせている。おそらくは、この人物についても知っているのだろう。
        だが、彼の言うことだけを信じて、真実に近づけるだろうか。彼の言うとおり、与えられた答えに意味はあるのか。
        君は何だ。
        お前は何だ。
        レーチェル・ダイオジェネス。
        探偵ならば、《行動的探偵部》の部長ならば。
        最早、言われるまでもなく、レーチェルはすべきことを心得ていた。

        「オーファン……孤児か。ならば、そうしよう。そう、僕は探偵だから」
        「見過ごされ、名を奪われ、闇の世界へと放逐されたものがいるのなら、それは僕の仕事だ」
        「見つけ出す――輝けるものは、皆平等だ。学園都市の闇に呑まれていたとしても」

        「言われるまでもないさ。この学園都市の闇は、僕が晴らすと決めたのだから」

        再び、物語は始まった。閉ざされ、止まっていた物語は動き出した。
        未来へ向かって。輝ける明日へと向かって。
        それは記録。たとえ過去に存在していなかったものだとしても、今刻まれる今の記録。
        そしてそれは、やがて現実となるものだ。未来に繋がっていくものだ。
        さあ、今度は立ち止まるなと、天上で誰かが嗤った――

        風紀警察はようやく動き出した。ジルベールと名乗った依頼人の去った後に。
        再び、学園都市に波乱が巻き起ころうとしていたのだった。 -- レーチェル 2015-02-14 (土) 00:50:29
  • ならば今は待とう。
    • ならば、今は待とう。
      • これは後の祭り。しかして、過去にあったもの。
      • 学園都市に悲劇が満ちるより前。
      • 学園都市に邪悪の時計が突き立つ前。
      • 学園都市に《機械仕掛けの神(チクタクマン)》が降臨する前。
      • レーチェル・ダイオジェネスと言う少女が、絶望するよりも前の話。
      • おとぎ話でもなく。
      • 例題でもなく。
      • そこに、確かにあった物語である。
      • 真に、輝ける存在となって、起こるべき悲劇を超えるための物語。
      • What a Shining Explorers――
  • 黄金歴――いつかの日

    • これは例題ではない。

      それは、右目に黄金瞳を戴く《行動的探偵部》の少女が、己の異能の真実に気づく前。
      それは、黄金瞳の少女が螺旋階段を上り、時計の男と相対する前。
      それは、レーチェル・ダイオジェネスが――

      ――いや、このようなことはいいだろう。
      いまがいつであって、いまがいつであったかなどということはここでは意味を持たない
      これは、事象記録機関(モーダス)が見る夢であろうか。学園都市全てを夢見る機関の。
      ……それもまた、意味のないことだ。重要なのは、いまがいまであるということだけ。
      事象記録機関(モーダス)に記録されているのならば、それは確かに起こった出来事なのだから――

      「おはよう、夢は覚めたかい? ならば、再び目覚める時だ」

      「物語はいつでも君を待っているのだから。それが、どのようなものであっても。――レーチェル・ダイオジェネス」

      • 「……先輩? どうしました?」

        「――ッ!」

        《行動的探偵部》部室――レーチェル自身は探偵事務所と呼ぶ――にて、黄金の瞳を片目に頂く少女は、はっと目を見開いた。
        チク・タクと時計の秒針が時を刻む音が、事務所に響く。レーチェルの目の前には、依頼人である後輩の少女が来客用の椅子に腰かけていた。

        「……あ、ああ。すまない。少し、疲れがでたようだ。白昼夢を見たよ」

        「? すみません……そんなに疲れているのに依頼なんて」

        「いや、いいんだ。大したことじゃないよ。それで――何の依頼だったかな」

        目覚めの為に、自分でいれたコーヒーを一口。探偵の少女は頭を振って後輩の少女と相対し直す。

      • 「いえ、依頼というほとではないんですけど……」

        後輩の少女はどこか会話にかみ合わなさを感じたように首を傾げつつも、話を続ける。
        この後輩の少女は異能の持ち主だった。
        その能力は《未来予知》――言葉の上では、学園によって監視対象にされそうなものであるが、明確に未来がわかるというわけではない。
        酷く曖昧な、例えば少し先の未来不安であるとか楽しそうであるとか、そう言ったものがわかる異能だと自称していた。
        要は天気予報のようなもので、ひどく曖昧な未来予知ということである。そのために大した監視もなされていないのだろうか――と、レーチェルは後輩の言葉に耳を傾けながら考える。

        「……それで、なんですけど。先輩は学園祭……「洋上祭」には行かれますか?」

        突如、後輩から飛び出した言葉にレーチェルは不思議そうな顔をする。

        「ああ、そういえば……近々、行われるんだったかな……? いつ振りかはわからないけど」

      • ――洋上祭。
        つまるところ、学園祭である。
        学園都市の至る場所で行われるのだから、その規模はとてつもないものであり、また学園都市自体も解放され、外部の人間もやってくるらしい。
        らしいというのは、レーチェルも経験したことがないからである。
        その規模故なのか、理由は定かではないものの毎年行われるものではないのだ。
        この学園都市はトラブルに事欠かない。不可思議な異能という力の発現もその一つだ。そして、数多に存在する部活動。
        どれもこれも、何かしらの大きな出来事のきっかけを孕んでいるようなものだった。
        今頃公安委員会やら風紀警察は準備に余念がないころだろう……と、レーチェルはそんなことを思う。
        何が起こってもおかしくない。ピリピリするのも無理はなかった。
        しかし、目の前の少女は何かしら委員会や部活に入っているわけではないらしい。レーチェルも見かけるのは初めてだ。
        不意にかけられた質問。レーチェルがこの学園祭に行くかどうかがこの少女に関係するのだろうかと、レーチェルは首を傾げる。

        「それで……学園祭に行くことがどうかしたのかい。僕は、そういう催しは苦手だから、特には――」

        「行ってください」

        「……え?」

        後輩の少女はレーチェルに向けて強い口調でそう言い放った。

        「洋上祭に行ってください。先輩がこの洋上学園都市の輝きを守るというのなら」

      • 「待ってくれ……どういうことなんだ」

        「後悔したくないんでしょ? なら行ってください。そうしないといけないと、私の《異能》が告げていますから」

        「君の異能が? なら学園祭で何か、事件が起こるという事か?」

        「先輩自身のためですよ。先輩は自分自身、輝きの一つでありたいと思っている」

        目の前の少女の様子がどこか変だ、とレーチェルは思った。先ほどまでのような普通の少女という感じではない。
        命令のような、強い口調。そう変化している。

        「もう少しはっきり言ってくれないか。君がそういうのなら、何か起こるというのなら僕も――」

        「ああ、理屈っぽいんですよ。いいんですよ、そんなのは。君は行かなきゃならない。行け。うらやむままでいいのか?」

        「な、何を……」

        後輩の口調がさらに変化する。どこか男性的にすらなってきていた。

        「輝きを守るのは、自分も輝きたいからだ。しかし、お前は多くのこの学園の輝きを見て、それを羨んでいた。完全に輝けなかった自分自身を悔やんでいた、そうだろう?」

        「……」

        レーチェルは押し黙る。それは事実であったために。この学園都市で輝ける者たちを眩しく思っていたことに。

        「ならば行け。お前はそうしなければならない。私はお前に可能性を見た。あの未来のままで面白みがない。お前に輝ける力を与えた意味がない」

        続けて後輩の少女は言葉を放つ。

        「――待て、しかして希望せよ」

        「私は待ち、希望する。再び輝いて、今度こそ螺旋階段の果てを行き、私のところにたどり着いてみせろ」

        「お前の物語に、お前自身の未来を与えるがいい。行動する探偵。レーチェル・ダイオジェネス」

        「輝きを羨むままで、行動しないのがお前ではないはずだ――行け。再び輝くがいい。その場は今、与えられたのだ」

        「――それでは、良い後の祭りを」

      • 一瞬、時が止まったような静寂があった。
        にやり、と後輩の少女が笑ったかと思うと、眩い白の光――そして、混沌たる闇の光がレーチェルの視界を染め、消えた。
        そこにはもう、誰もいなかった。
        探偵事務所を訪れたはずの少女は、消えた。初めから、この時のためだけに用意されたと言わんばかりに。
        探偵事務所には、レーチェル一人が残された。

        「……良いだろう。ならば、受けよう。その依頼を」

        白昼夢であったかもしれない出来事に対して、レーチェルはそう言った。
        そうしなければならないという、強い自覚があった。黄金の瞳が輝き、そう告げていた。
        悲劇に終わる未来など、覆してしまえばいい。
        機械仕掛けの神(チクタクマン)》の降臨する未来を、突き抜けてしまえばいい。
        いまこそ、輝きは満たされるのだから。
        再び、この学園都市に。

        レーチェルの行動は神の与えたシナリオではなく――自分自身の《行動》だったのだと、示すときが来たのだ。

        ――良い後の祭りを。

        ――そして、滑稽なる悲劇を終わらせる開幕を。

        「……さて、洋上祭の事を、調べておかないとな」

        どこか、晴れやかな笑顔で。探偵の少女は扉を開けた――
  • <冒険を始めたい人も冒険を続けてる人も出会いは冒険者ギルド!冒険者たちよ、集え!>
    (……というチラシが届いている) -- チラシ 2013-08-08 (木) 00:04:20
  • -- 2013-06-24 (月) 22:05:45
  • -- 2013-06-24 (月) 22:05:41
  • -- 2013-06-24 (月) 22:05:36
  • (夜がそこにいた。夜のような男がそこにいた)
    (黒髪のウェーブを流した赤黒い目の大男)
    (それはただそこで笑っていた)
    ほう……『読み』そびれていたのだが、まさか此処に着て関わりに来るとは思わなかったな -- 『翻訳鬼』 2013-06-16 (日) 22:13:05
    • (探偵めいた格好の少女は、一人の男と対峙していた。夜がいまそこに現れたような大男と対峙していた。)
      ……!(その男と遭遇するな否や、レーチェルは構えた。黄金色の右目が男を睨む)
      ……君は……そうか、君が公安の。
      初めまして、だね。僕はレーチェル・ダイオジェネス。学園都市を守る一人だ。
      最近随分と活発なようだったけど……ついにお会いできたね。公安委員会執行部長殿。 -- レーチェル 2013-06-16 (日) 22:21:06
      • 自己紹介の手間が省けて嬉しい限りだ(そういってまた笑う。口元に見える牙が妖しく光る)
        安心しろ、お前の事は『読んで』いる。大体の事は知っている心算だ奇械使い
        生憎と俺は忙しくてな。お前の素性意外はロクに『読めて』いない
        なので、手っ取り早い手段に出ようと思ってなぁ(ニヤニヤと生理的嫌悪感を与える笑みを浮かべる) -- 『翻訳鬼』 2013-06-16 (日) 22:34:50
      • ハハ、それは残念なことだ。君は僕のことを知っているけれど、知らないということか。
        ……僕は、別に君に『読まれ』たいなどと、思ってはいないけれど。
        (黄金瞳、すべてを見通すといわれる瞳が男を見る。男の生理的嫌悪を催すような笑みを見る。)
        確かに手っ取り早い話だ。僕も君のことは少しくらいは知っているけれど、中々に詳しいところまでは調べ切れていなかった。
        ……丁度いい、ということだね。君はバリツを知っているかな。彼のホームズ氏の武術だ。
        僕はバリツもある。黄金瞳も。君の言うとおり、《奇械》もある。思うように行くとは思わないことだね。(構える。バリツの構えを) -- レーチェル 2013-06-16 (日) 22:51:30
      • 今まで統治会の玩具だったお前にはそれほど興味がなかったんでな
        ここにきてそれを脱しようとしているのが面白くて、つい『読み』にきたが……ほう(黄金瞳を見て笑みを……失笑を漏らす)
        まだそんなものに頼っているのか。『読み』通りではあるが……まぁいい
        馬術でもパーリィトゥードでも誤訳でもなんでもかまわん
        かかってくると言うなら遊んでやろう(そういって、両手を広げてごきりと骨を鳴らす) -- 『翻訳鬼』 2013-06-16 (日) 22:59:44
      • 僕はもうチクタクマンの手のひらでただ踊るものじゃあない。
        ……なんとでもいうがいいさ。君にはわかるはずもない。
        僕の黄金瞳は真にうつくしいものを僕に見せてくれる。僕には、それだけでいいんだ。

        ――君について、僕も、知ろう。

        変身ッ!!
        (レーチェルの声が高く響く。機械帯(マシンベルト)がレーチェルの腰に装備された。機関が駆動する。)
        (レーチェルの姿が、変わる――)

        機械帯(マシンベルト)の計器が回り、蒸気が噴き出す。レーチェルの両手には機械籠手(マシンアーム)が出現した。右手は学園都市の輝きを。左手には憧憬たる雷電を秘めたものが)
        (レーチェルの体を、《輝き》が包み込む)
        いつまでも、僕たちを高い所から見下ろせると思わないことだ。――行くぞ!
        (レーチェルの左手から雷電がほとばしる。相手の能力についてはほとんど断片的にしか知らないと言っていい。)
        (知らなければならない。)
        バリツ式《天津雷》!!
        (《奇械》、《現象数式》によって、レーチェルが走るという現象に介入が起こる。本来ならあり得ない速度で、翻訳鬼に迫る)
        (そしてそのまま、彼に雷電を叩きこもうとする) -- レーチェル 2013-06-16 (日) 23:21:11
      • (しかし、その攻撃をする直前)
        悪いがそれは『読めて』いる
        (レーチェルが攻撃動作にうつり、奇械と現象数式によって現象に介入する直前……コンマ数秒の、まさに刹那のタイミングを狙い済ましたように拳を振るい、胸倉を引っつかんで壁に叩きつける)
        (消えた。本当に消えた。一瞬で目前に現れ、体を叩きつけた)
        なんだ、俺の異能については殆ど知らないのか
        今から知ろうってことは……まさか俺とやりあって生きて帰るつもりなのか?
        おいおい、随分と余裕じゃねぇか、ははははは!
        (高らかに笑う)
        (吸血鬼としての……生命体としての上位種としての哄笑)
        (見下ろしているのではない。もとから種族としてのステージが違うのだ) -- 『翻訳鬼』 2013-06-16 (日) 23:37:21
      • か、はぁっ!!
        (レーチェルの体が壁へと叩きつけられる。レーチェルの体が跳ねる)
        ……成程、《読む》ということか。読んで字の如くか。
        (一筋の血が流れる口元を拭う)
        実際に受けてみればよくわかるというものだよ、君。《読む》という情報だけでは僕も推理はできない。
        ……というより、推理は苦手なんだ。僕は行動している方が性に合っている。
        だから、そうだとも。当然生きて帰るつもりさ。
        僕は輝きを……光を、その身に受けたんだから。学園都市を守る。君達の、好きなようにさせてなるものか。
        何もかも《読む》とは結構なことだ。だが、そういうものは大抵破滅に終わる。
        君は、輝くものを、見る事はできない。(《黄金瞳》が視る。目の前の男の葉人間ではない。吸血鬼の類だ。)
        君に嘲笑う権利などない。――君が読む事象を、塗り替えればいいだけだ!
        (――レーチェルの右手に――

        ――鋼の右手が重なって――)

        レーチェルの背後に、白き鋼が顕現していた。
        (輝く機械の体。鋼の体。伸ばす右手に来緒するようにそれは動く。)
        (《奇械》――学園都市に現れたおとぎ話、奇蹟が姿を現した。)
        (その右手は光り輝いている。触れた何もかもを光へと変える右手が。)

        死ぬつもりはない。バカげた未来を壊すまでは! -- レーチェル 2013-06-16 (日) 23:54:04
      • ほう、書き換えるというのか
        できるならやって見せろ。かつてそれが出来た奴は1人もいなかった、お前ができると言うならそれは喜ばしいことだ(已然余裕の色を崩さない、笑みが消えることはない)
        (にやにやと実験動物を観察するようにレーチェルを見続ける)
        なら行動して理解し、粉砕し、変えて見せろ
        できるというのならな
        出来たなら、お前は『読む』に値する逸材だ
        (そういって踵を踏み鳴らせば、一瞬でレーチェルの周囲の重力が倍化され、地面に押し付けられる)
        光すら万有引力の束縛からは逃れられない
        どうする? -- 『翻訳鬼』 2013-06-17 (月) 00:15:52
      • 書き換えて見せるさ。
        君が未来人で、これまでのことを見てきたというわけでもあるまい。
        ならば、その見たものが、本当に実現されるものであるかなんて保証はどこにもない。
        書き換えて見せる――君を、嗤えなくさせてやろうじゃないか!
        くっ――!!
        (瞬時、レーチェルの周囲の重力が倍になる。レーチェルの体は地面へと押し付けられる)
        ……重力ならば、あの《総会長》と戦った時に受けたものだ。く、ぅぅ、初めてじゃない。
        確かに……く、ぅっ……人は万有引力に対して、何もできないだろう。
        光りでさえ、重力の穴から逃れることはできない。この宇宙に存在するものは。
        ク、ぅ、ぁア……!!(何とか立ち上がろうとし、膝立ちに起き上がりながら)
        だけど、どうやら《輝き》たる彼は、この世界の中にいるものではない。
        ……諦めなければ、人は何だってできる。世界に介入する力を、君に、見せてあげよう!
        (レーチェルの背後に立つ《奇械》は重力下にあってもなお、変わらず立ち続けていた。)
        ――万有引力の法則を、僕の周囲において、書き換える。この世界に対して、クラッキングをかける!
        我が《奇械》カグツチ、僕は君にこう言おう。

        「創世記の如く、光を、解き放て」

        (まるで、「光あれ」と言わんばかりにして、この世の外側の光が、重力下に広がっていく。)
        (それは曲がらず折れず、広がっていく。なぜならば、それは奇蹟の力だからである。)
        く、う、ぅぅぅ……!!(レーチェルの脳に激しい痛みが生ずる。レーチェルは今、この世界の、自分の周りの物理法則を書き換えたのだ。)
        (現象数式によって書き換える。「万有引力の法則」、現象そのものを、書き換えようと言うのだ。)
        (《黄金瞳》でそれに要する膨大な計算をレーチェルは頭の中で行っていく。酷い苦しみが襲う。だけども、レーチェルは諦めなかった。)
        (そして、《奇械》が輝きを放つ。レーチェルが軽く宙に浮き始める。)
        (《奇械》が、レーチェルが輝きを放つ。重力の法則から逃れ、世界の外側に立つために)
        ――これも、《読んで》いたことかな? -- レーチェル 2013-06-17 (月) 01:07:47
      • 残念ながらな、今『読んだ』ことだ
        (既に、拳が目前にあった)
        (レーチェルの顔面を奇械ごと叩き潰し、光の中にあって尚吸血鬼は笑う。哂う。嗤う)
        諦めなければ? そうだな、その通りだな
        だが、諦めないことが人の特権だとでも? 変わらず手を伸ばすことが人だけに出来ることだとでも?

        『人』程度でできる事がどうして我々に出来ないと思った?

        (改変された世界の中でも、変わらず動き続ける化け物は嗤う)
        なるほど、俺がクリッターならそれでやられるところだろう
        俺が黄金瞳と現象数式を知らなければそれで倒されることだろう
        だがな、レーチェル。そんなものは全て書かれていることだ
        懇切丁寧にお前の名簿に全部書かれていることだ、俺はそれを『読む』だけでいい
        お前の能力も、奇械も、バリツも、黄金瞳も、そして現象数式も……既にネタが割れていることだ
        どれもこれも既述されたものをちょいとググッて(調べて)『読んで』みれば意図も容易く対処法は思いつく
        まぁ、言ってもこの次元軸に縛られるお前達には分からないことなんだろうがな、はははははは!
        (ただ純粋な腕力。それが今とおるかどうかすら妖しい。だがその世界法則すら易々と書き換えて男は嗤う)
        わかっているのなら、書き換えられたことを『読んで』書き換えなおせばいい
        答えがそこにあるのなら、それを『読んで』対処すれば全て済む

        いいか人間、覚えておけ

        お前達の出来る事は全てお前達より上の種族には意図も容易くできることなのだ。歩くよりも容易にな
        (そういって、まるで歩くかの如く空間を歪め、レーチェルの背後に現れればその背を思い切りふみつけ、地面に押し付けようとする) -- 『翻訳鬼』 2013-06-17 (月) 01:24:09
      • ――恐ろしい、力だ。
        (レーチェルの顔が殴られる。本来、この世界にあるものならば、全て光に変えてしまう奇械もろとも、殴られる)
        ……『人』だからこそだ。
        諦めずに、輝いていられるんだ。君達のように、嗤うものは、真に輝くことなどできはしない。

        ……名簿……? ググる……?
        (まるきり何を言っているのかわからないことを彼は言う。名簿というのはおそらく学生の名簿などではないはずだ。レーチェルの現象数式などについて書いてあるはずもない。)
        (目の前の男は不可解なことを言う。まるで、自分が、何もかもを読んでいるかのように)
        (書かれた物を読む――この次元より、さらに上の世界のものでさえ)
        (それは、そういう異能だったのだ。)
        (本来ならあり得ないことだ。レーチェルが死力を尽くして計算し、この界隈の物理法則は全て書き換えられた。世界の外側となったはずだ。だが、それすらも――)

        くあ、あぁっ!!(レーチェルの背後に男が現れ、レーチェルの背を踏みつけ、地面に押し付けられる。地面に抑えられながら、レーチェルは男の方を向く)
        上だの下だの……随分と、そんなくだらない価値観念にこだわるものだね、君は。
        君が吸血鬼だろがなんだろうが、僕には関係がない。君のその異能……それが、『読む』ことであってもだ。
        僕は、ただ、諦めない……! 諦めない、絶対に!
        ……君達とて、この世界に存在する者だ。ならば――
        僕たちにだって、同じことはできるはずだ。君を《読む》ことさえ。
        だから僕は諦めない。そうして嗤っていたまえ……!!
        読めなければ、君とて読めるはずも、ないっ!

        僕は既に人ではないのだから。
        (そんな記述はどこにもない。名簿にも描かれていないことだ。それは現実には文章にされてないもの。)
        (未来起こることへの構想。レーチェルもまた知らないこと。レーチェルが世界の外側のものとなり、《世界の敵》となるということ。レーチェルの行動を叙述するものが、未だ書いていないもの!)
        (《奇械》とひとつになったレーチェルは、男に向かって光の刃を振るう。そしてそのまま、機械帯を臨界まで稼働させる。)
        (レーチェルの体が光の粒子となって消え、少し離れたところで再構成される。)
        ……これが、《読まれ》ていたとしても、僕は、諦めない……!
        (そう男に言い放つのだった。これも読まれていたならば、今は戦略的撤退を行うほかなかった。だが、相手の異能については知ることは、できた) -- レーチェル 2013-06-17 (月) 02:12:17
      • //寝ます故文通とかでお願いしたい! -- レーチェル 2013-06-17 (月) 02:17:31
      • !?(男の顔が一瞬驚愕に歪み……すぐさまそれが笑みに変わる)
        くくく……ふははははは! 面白い!
        (笑ったのだ。嗤ったのではなく、笑ったのだ)
        (振るわれた光の刃もまたしても『読んで』易々と空間を歪めて跳躍してかわし、遠くに再構築されたレーチェルを興味深そうに観察する)
        なるほど、確かに今まで書かれていないことだな
        書かれていない事実は確かに『読めない』、御察しの通りだ。まずは見事な推理といっておこう、探偵よ
        俺の中でお前の評価が一段階あがったぞ、ははははは!
        (心底愉快といった様子で拍手を送る)
        俺に出来る事はお前にもできるはずか、道理だとは言っておこう
        さて、しかし、もう帰ってしまうのか? それは少しばかり残念ではあるが……ここまで推理した御褒美だ、逃げるというなら見逃してやるぞ(くつくつとその意図を『読んで』笑う) -- 『翻訳鬼』 2013-06-17 (月) 07:39:18
      • ……お褒めに預かり、光栄だよ。
        (レーチェルは離れた場所で構えたまま言う。自分の読みは正解だったのだ。「書かれていなければ、読むことはできない」)
        (だが、今のレーチェルの行動も、既に記述された事柄となっただろう。次は『読まれ』て終わりだ)
        (しかし、可能性は見えた。彼も、万能ではない。限界がある存在なのだ。)
        そう、僕も君も、この世界に在る。ならば、できないことなど、ない。君が出来るのならば、僕にもできよう。
        (今自分が思考していることも叙述されたらば読まれてしまうのだ。成程、何とも、卑怯な異能だ。)
        (レーチェルは構えたまま思考する。相手への対抗手段は生まれたが、これも完全ではない。もう一つ手を打ってこないとも限らない。)
        (今は、戦略的撤退。栄えある撤退を選び――)
        (――いや、レーチェルはここで思考を止めた。『読まれ』てしまうのを防ぐために。この男の前では、少なくとも。)

        僕は探偵だ。ただただ突っ走る兵士じゃない。
        僕は、戦略的撤退を選ぼう。オリエントの兵法書にもあることだ。
        ……そう、今は逃げよう。君が僕を逃がすと言う、その、自分が優位に立っている意識の下の判断。
        ――後悔させてあげよう、必ず。
        (それだけを言い残すと、レーチェルの体は光の粒子となり、消えていった――) -- レーチェル 2013-06-18 (火) 00:24:51
  • (招待状が届いた)
    (黄金暦250年12月(6月15日)21時よりフォス・ファルスとルチア・ファイリスの結婚式が執り行われます)
    (ご都合よろしければご友人もお誘いのうえお気軽にご参加ください)
    (会場の場所?が併記されている) -- 名簿/498160名簿/498189 2013-06-09 (日) 19:38:10
    • ――ついに結婚か。(届けられた招待状を見て微笑む)
      おめでとう、フォス君、ルチア君。
      この陽はおそらく遅くなるんだけど……間に合うように頑張ろうと思うよ。 -- レーチェル 2013-06-09 (日) 19:53:56
  • 黄 -- 2013-05-30 (木) 23:06:28
  • 金 -- 2013-05-30 (木) 23:06:20
  • 瞳 -- 2013-05-30 (木) 23:06:13
  • 探偵事務所ねえ、随分といいとこに住んでるもんだ。ああさて要件を伝えないとなァ。
    レーチェルちゃんはいるかい? ちっとばかし話があってな。 -- ヴィジランテ 2013-05-30 (木) 02:25:16
    • いかにもここは行動的探偵部の部室棟であり、僕が部長のレーチェル・ダイオジェネスだ。
      (探偵事務所の中から、小柄な少女が出迎えた。)
      きっと初めましてだったと思うが……依頼かな? 聞こうじゃないか。 -- レーチェル 2013-05-30 (木) 15:01:56
      • おう初めまして。名乗るほどのものでもねえ、ってワケじゃあねえが事情がある。今は無礼を許してくんな。
        んで、依頼…いや依頼とは少し違うか。いわゆるリーク(タレコミ)ってやつさ、対異能の探偵にはうってつけだろ? -- ヴィジランテ 2013-05-30 (木) 15:10:53
      • ……君は情報屋か? まあ、いい。僕とて情報は欲しているからね。
        ……では、聞こうじゃないか。君は僕に何を教えてくれるのかな。 -- レーチェル 2013-05-30 (木) 15:20:53
      • 情報屋ね…いやさ売り買いはしねえ、今回だけのサービスだよ(ヘルメットの下、くぐもってはいるが笑っているようだ)
        ちっと前の話だが工業地帯、廃工場に違法改造された旧式の警備ロボットが大量に配備されててな。
        街に被害が出る前に潰しておいたんだが、その残骸からこいつが見つかったわけよ。
        携帯秘書装置(ポケットセクレタリ)を起動する。ややあってエアモニタに表示されたのは、大型人型兵器開発の進捗度を示すバーと兵装の大雑把な内容)
        どこの部活か革命生徒か知らねえが、こんなもんを作ってる奴がいるらしいのさ。 -- ヴィジランテ 2013-05-30 (木) 15:57:34
      • ほう、警備ロボット……風紀から流れたか。そうか、君が片づけてくれたのか。学園都市の住民として例をいおう。&br……こいつ?(気昌モニターを覗き込む。そこに映っていたのは大型人型兵器。その開発の進歩状況と兵装であった。)
        これは……人型兵器か! しかもこんな巨大なものだと……!
        この巨大さと兵装ならば、学園都市にかなりの被害を与えらえるな……
        君は僕にこれを止めろというんだね? -- レーチェル 2013-05-30 (木) 16:35:52
      • ははは…いーや、礼を言われるようなこっちゃねえよ。
        まあこんなもんが大暴れしたら、間違いなくライフラインが寸断されるだろうよ。だからこそ、完成前に叩いておきてぇんだが…尻尾を掴み損ねちまった。だからさ。
        そう、止めてくれ。もしこいつが出そうな兆候があったら連絡するかんよ。 -- ヴィジランテ 2013-05-30 (木) 18:13:31
      • わかった……止めよう。これは学園都市の平和を乱すものだ。僕は行動的探偵として、これを止めよう。
        また調査も行うとしよう。何かわかったら僕に教えてほしい。
        ……それで、僕と君は同じ目的を持つ仲間となるわけだけれど。(ヘルメットの男を見て)
        君が何者なのかは、教えてはもらえないのかな。 -- レーチェル 2013-05-30 (木) 18:33:33
      • ああ、そうこなくっちゃな。ヒーローはそうじゃないといけねえ(呵呵と笑った)
        正体? ああうん…ま、んなもんは知らなくたっていいだろ。
        今ここにいる俺は自警団員(ヴィジランテ)。それ以上でもそれ以下でもねえ。
        学園都市を守るのにちっとばかし立場が邪魔なだけ、それだけさ。ほんじゃま、よろしくな。
        (マスクの下でまた笑ったような気がした。彼は来た時と同じように部室を去っていった、その背中をも追わせぬほどに颯爽と) -- ヴィジランテ 2013-05-30 (木) 19:56:41
      • ……自警学生(ヴィジランテ)か……
        (去っていく彼を見送りながらレーチェルは呟く。)
        本物を見るのは初めてだ。実在していたとはな……怪学生(ヴィラン)と戦うものたち。
        彼らにマスクは必須か。立場が邪魔ということは……まあ。いい。詮索は無意味だ。
        では、僕も準備を始めよう。もしもあの大型兵器の起動が始まってしまったならば、戦わなければならない。
        ……こちらもにも巨大な人型機械があればいいが…… -- レーチェル 2013-05-30 (木) 20:20:14
  • 待たせたねレーチェル君、完成したよ。
    (四月。新年度のイベントも華やかに行われる中。君にアタッシュケースを届けに来た男が一人)
    (君にそのアタッシュケースを差出し、開けるように促す。そう…その中身は…) -- ロジャー 2013-05-26 (日) 21:19:29
    • ――仕事が早い。もう完成したとは。
      (ロジャーの訪問。それをレーチェルは驚きの表情で迎える。)
      (促されると、静かに頷いて、アタッシュケースを開ける。)
      ……これが、これが、そうか。
      (アタッシュケースの中から現れたのは鋼鉄、鋼である。機械帯(マシンベルト)と両手に装備する機械の籠手であった。)
      (科学と魔術と錬金術の複合体。異能無きものであっても、人ならざるものと対峙できるもの。)
      (レーチェルのバリツとも対応し、マシンベルトを起動させることにより、レーチェルは“変身”するがごとき力を得ることができるのだ。その機関の帯の力により。機関カードをスロットに入れることにより、様々な機能を有するのだ。)
      (右手の籠手は学園都市で得た輝きの力を制御する。《異能》の力と連動するものだ。輝きの右手である。《黄金瞳》により、それに必要となる膨大な演算を代行させるのだ。故に、まだこの右手の真の力は使えない、今はまだ。)
      (左手はまさしく機械の手である。ベルトと連動し、ただの人であっても、人を超えたものと戦う力を持てるものだ。様々な機械の機能がついている。光線なども打てるとか。)
      (レーチェルの力が完全に戻った時こそ、この機械帯の力は、最大になるのだ!)
      ……これがマシンベルト……僕のもう一つの力となるものか(ベルトと籠手をアタッシュケースから取り出しつつ) -- レーチェル 2013-05-26 (日) 21:59:04
      • そう。あの時計人間と戦うには、些か心もとないかもしれない。
        だが今の君なら、そのベルトと意志さえあれば十分だ。君の異能がまだ戻っていない今、最終的な調整はできていない。
        再び発現できるようになったときは、その都度アップデート、フィッティングしていこう。
        以前とは別の形だろうが…それでも君は再び、立ち上がった。行動的探偵として。
        応援しているよレーチェル・ダイオジェネス君。そして君に惜しみなく我々は協力しよう。 -- ロジャー 2013-05-26 (日) 22:19:18
      • ああ、僕にはベルトと意志があれば十分なはずだ。異能が戻るまでは、この力で戦うんだ。
        異能と黄金瞳が戻れば最大の力を引き出せるということだね? …‥今はまだもどっていない。だが、必ず取り戻してみせよう。
        異能の発現も、黄金瞳の発現も、チクタクマンの介入によるのだとしても、僕の選んだ道だ。僕の意志だ。
        ありがとうロジャー君。その時は調整を頼むよ。
        ……ああ、僕も君達を応援しよう。君達の協力に感謝する。これでひとまずは―― -- レーチェル 2013-05-26 (日) 22:33:44
      • 戦い、進むことができる。
        かの者との戦いや、それ以外でも力になろう。
        ベルトのメンテナンスについては、君でも十分できるしね。それではまた、行動的探偵。共に戦う者が増えて僕らはうれしいよ、複雑でもあるがね。 -- ロジャー 2013-05-26 (日) 22:56:44
  • 階 -- 2013-05-25 (土) 23:24:48
  • 差 -- 2013-05-25 (土) 23:24:41
  • 機 -- 2013-05-25 (土) 23:24:36
  • 関 -- 2013-05-25 (土) 23:24:30
  • れーちぇるせんぱ、へぶぁっ(すっころんで滑り込みながらもなんとかチョコを差し出したって話だ) -- 名簿/498189 2013-05-25 (土) 14:33:13
    • お、おい大丈夫かいルチア君……ありがとう、チョコレート、いただいたよ。 -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:41:35
  • こんにちは。最近はなかなか同行できないね、レーチェル。
    ……ところで、何かあった? 何か浮かない顔してるけど。私で良ければ話して欲しいな。 -- 雨宮千尋 2013-05-24 (金) 22:18:13
    • ……いいや、大したことではないよ、千尋君。
      (明らかに落ち込んでいる様子である。しかしそれを見せまいとしているのだ。)
      ……僕は、ただ物語の中の王子に憧れてたということに、気づかされただけだよ。
      (輝きであるとか、皆を守るといっていたレーチェルの姿はそこにはない。) -- レーチェル 2013-05-24 (金) 22:28:04
      • (なかなかどうして、人の心の機微というものは難しい。しかし触れられたくない部分に踏み込むのもまた、友情かと一度頷く)
        ……ねぇ、レーチェル。私は今でもあなたと同じ気持ちを共有してると思ってるよ。
        それとも憧れっていうのはダメなエネルギーかな? 学園の輝きを守るっていうのには不純な動機? -- 雨宮千尋 2013-05-24 (金) 22:34:53
      • ……わからない。君に、正義だの輝きを守るだの言っておきながら、この体たらくだ。
        元は何の力もなかったんだ。でも、異能や黄金瞳を手に入れた……悪と戦うことができるようになった。だけど。
        輝きを守ると言うのも、正義を成すと言うのも、受け売りだ。僕の言葉じゃない。僕は……ただ、僕を助けてくれた白い彼に近づきたくて。
        そのために、戦っていたのかもしれない。言われたんだ、自己満足のために、変身願望のために、人を依り代にするなってね‥…
        僕はフォス君たちのように、巨悪と戦ったわけじゃない。守ろうとしても、零れ落ちていく……それは、僕がこんなだからじゃないかと、思ったんだ。
        もう、自分の正しさとか、正義とか、わからないんだ…… -- レーチェル 2013-05-24 (金) 23:16:35
      • 自分の正しさがわからなくなったら、自分に聞けばいいんだよ。
        自分が何を求めていて、何をしたいのか。ちゃんと自分に聞いてあげないと。
        よく、自分探しとか言うけどそういうのじゃないよね。だって自分はそこにいるんだから。
        自己満足でも変身願望でも、良いことを良いと言ってやってくしかないよ。私たち人間にはいつだってそれしかない。
        (穏やかに微笑んで)見たよ。モール・グリードが呼び出した隕石を破壊した光。あれ、きっとレーチェルだよね? -- 雨宮千尋 2013-05-24 (金) 23:34:25
      • ……いいのか、それで。僕は、僕は、ただの偽善者かもしれないのに? そんな資格など、あるものか。
        ……ああ、そうだとも。あれは、僕だよ。あの隕石を破壊したのは……。
        守らなければいけなかった。あんな理不尽な出来事で、全てが滅ぶなんて、あってはいけないんだ。だから、そうしたまでだよ。
        僕は、そう信じてきた。異能であるとか、怪異であるとか、そんなものに、輝き……みんなが幸せである権利が奪われていいはずがないんだ。
        だけど……僕は、実際には、正義正義だと、陳腐なことを言って、自分で自分を正義の味方だと思いたかったのかもしれない。
        ……僕が、僕がしたいのは――僕は、きっとあの時、死ぬはずだった。あの違反学生に殺されて、死ぬはずだったんだ。
        だけど、白い彼は、それを破壊した。来たるべき未来を‥‥‥だから、僕は、彼のように、そんな理不尽を壊す存在になりたい。でもそれも、自分が正義の味方なんだと陶酔するためのものだとしたら、やはり、信じることはできない。
        ……千尋は、僕をどう思うかな。正義だの、皆を守るとかいっていながら、自分のために戦っていた、僕を。 -- レーチェル 2013-05-25 (土) 00:09:50
      • 偽善を嫌って何も行動しなかったら、レーチェルが持つ善を好む心とそれを成せる力の両方を腐らせることになるよ?
        (どう思うかなと聞かれれば、困ったような表情を見せて)
        そうだね……少なくとも、あの時私はモール・グリードを倒したけれど。
        その時に怒りとか、殺意とか、負の感情が一切なかったわけじゃないよ。私も正義の味方失格かな。
        それでも、少なくとも私はこの街を守るための戦いを止めないよ。力を持つ人間には、その力に応じた責任が伴うから。
        ……レーチェル、あなたは終末を退ける者(エンドブレイカー)になりたいんだね。
        どうだろう、その憧れを憧れのままに戦ってみたら。正義って肩肘張らないと付き合っていけないほど几帳面なモノじゃないよ。
        答えを聞く前にレーチェルに救われたこの街の、一人の住民として。代表してお礼を言っておくよ。(満面の笑顔で)ありがとう、レーチェル。 -- 雨宮千尋 2013-05-25 (土) 00:28:51
      • ……きっと、僕は正義の味方ではないんだろう。絶対的な正義を、僕は行使できなかった。自分を信じきれなかった。
        ……だけど、君は言う。君は、この街のために戦い続けると。なら……。
        僕も、そうだ。僕は正義の味方ではないのかもしれない。あの、僕を救ってくれた輝きたる彼のように、正義の味方には、なれないのかもしれない。
        だけど、そうだ。僕が行動しなければ、僕はなんだ。ただの炭素の塊じゃないか。行動的探偵ならば……。
        力を持つものとなったからには、僕は、戦わなければならない。この学園都市の、闇と。……そう、だね。きっと、僕は自分で自分を規制していたんだ。
        そうしないといけないと、思い込んでいたんだ。でも君の言うように、違うのかもしれない。
        僕、は……僕は……。(ありがとう、そう言われると、涙がこみ上げてくる。止めることができない。)
        違うよ、僕は、礼を言われるために戦ったんじゃない。ただ、君達を守る……いや……僕の学園都市を、失いたくなかっただけなんだ。君達との日々を。
        ……わかった、よ。僕は、僕の信じる道を、行くだけなんだ。それが、過つものならば――君が、君達が、僕を、止めてくれ。
        ……僕はその、ありがとうの言葉だけで、十分だ。
        (ぼろぼろと泣きながら、そう言うのだった。) -- レーチェル 2013-05-25 (土) 00:48:30
      • //ちょっと明日が早いので寝ます、すみません!! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 00:49:18
      • (涙を流す彼女に、ハンカチを差し出す)
        この街が流す涙を拭うハンカチになるのも、探偵の仕事だよ。
        それとレーチェル、あなたは泣き止んだらもっと自分に優しくしてあげなさい。甘やかすんじゃなくて、優しくね。
        あなたが振るった力は間違いなく善だよ。そのことをどうか、忘れないであげてね……?
        (それからは二人で他愛もないことを話した)
        (一つ一つを噛み締めるように。卒業してしまっても、後悔のないように)
        (また、春が近づいてくる。これからの話を友達とできる時間は、きっと尊いものだろう)
        //というわけで適当に〆ておきました おやすみなさーい!! -- 雨宮千尋 2013-05-25 (土) 01:53:23
  • 浮かない顔だ 野犬にでも噛まれたかな、名探偵 私の目に狂いがなければ…ひどく弱って見えるのだけれど -- リゼット 2013-05-24 (金) 00:42:18
    • (レーチェルの顔にはいつもの覇気はない。頑なともいえるほどの、《輝き》なるものへの想いも、また。)
      ラシェル……。(リゼットに気づくと、小さくつぶやいて、そちらの方を向く。)
      ……いいや、そんなことはないよ、ラシェル。探偵がおちこんでいたりしたら、事件の解決も何も、できはしないじゃないか。
      (無理に笑みを作って笑おうとする)
      ……冬だから、物寂しい気分になってるだけだよ。 -- レーチェル 2013-05-24 (金) 00:50:12
      • 少なくとも、人の役には立てないだろうな 探偵は無力だ 探偵であるがゆえに無力を思い知らされる
        けれど、君のそれは少し違っている様だ そんな腑抜けた顔を晒されたんじゃ依頼人の方から逃げ出してしまうに違いない -- リゼット 2013-05-24 (金) 00:58:03
      • く、ぅっ……腑抜けてなんか、いないっ……いない、とも……
        僕は、輝きを守る、探偵で、正義の……(段々と声は小さくなっていく。明らかに落ち込んでいるようであった。)
        ……そう、駄目だ。こんな弱っているところを見られてしまうようでは。正義にも、ホームズ氏のようにも、なることなんてできない…‥ -- レーチェル 2013-05-24 (金) 01:11:24
      • 失礼、聞こえなかったかな それなら何でも言ってやろう、腑抜け 君なんかに慕われたんじゃ《諮問探偵》殿もいい迷惑だ
        軽々しく正義だなどと(口にするな、と苦りきった目をして)以前から思っていたんだよ 君には粗忽の気があると
        探偵にしておくにはもったいない逸材じゃないか 思うに君は、遍歴の騎士にこそふさわしい 物語に毒され狂った騎士だ
        理想に溺れる君のために、鉄の兜を鍛えてやろう その黄金瞳にしても、君には無用の長物だ でなければ欠陥品に違いない
        君のその目に消えゆく輝きが映るものか 声なき声が届くものか いい加減気付いたらどうだろう? ラシェル、いかにも君は滑稽だ 乾いた笑いすら出てこないほどにね -- リゼット 2013-05-24 (金) 01:37:41
      • く、ぅ、ぅっ……! 僕は、僕は、ドンキホーテなんかじゃ、ないぞ……!
        僕が、軽々しい、だって……違う、僕は、《輝き》を守るんだ。危険にだって身を晒している、だから……
        (彼女の言うことは全て、レーチェルが今思い悩んでいることだった。その一つ一つが突き刺さる。)
        僕のこの力も黄金の瞳も、僕には過ぎたものだと……? 違う、これは、僕が人を守るための力なんだ! これが、これが、なければ……
        僕は、ただの、ひと、じゃないか……そうだよ、僕は滑稽だ。わかってるんだ……! 僕が盲聾なりはてていると笑いに来たのかい。
        (感情が発露していく。やや興奮気味に、リゼットを睨むようにしながら言う。)
        ……憧れちゃ、いけないっていうのか。僕を助けてくれたものに。そして、僕は力を得た。もう無力じゃないんだ。
        それで、皆を守ろうとしたんだ……それが、それが悪い事なのか。それが、薄っぺらい正義だっていうのか、ラシェル……! 僕にはもう、何も、わからないよ……!
        今まで自分の正義だけを信じて、探偵を行っていたのに! それがただの憧れで、自分本位なものだというのなら……僕はまるきり道化だ! そう、だからだよ。だから、今僕はこんな顔を、しているんだ……! -- レーチェル 2013-05-24 (金) 02:14:05
      • //今日は寝るスイッチをオンにするのだ。明日はちょっと帰りが遅いけど、明日にまた続きできればと思います。変な返しですまない! -- レーチェル 2013-05-24 (金) 02:45:00
      • 父も母も、二人の兄たちに小さな弟までも 正義の刃に首を打たれた 祖父は正義に苛まれ、責めぬかれて死んでいった
        君に正義があるものか 君が酔いしれ謳うそれは風車を巨人と見誤らせる類の妄執だ 遊び半分で弄んでいい代物なんかじゃ断じてない
        …ああ、いけないとも それは君にとって害あるモノだ 君のアマディース・デ・ガウラは一体何をしてくれた?
        がんじがらめに君を縛っただけじゃないか 口を開けばどこかで聞いたような台詞ばかり、猿轡まで咬まされてしまったのか?
        そうとも、君はかの名高き遍歴騎士でさえない 夢物語をぶつぶつと、呟いては悦に入る哀れな老いぼれ郷士さまだ
        あれは狂気に染まっていようと自分だけの夢を見ていた 我が身の無力を嘆くことすらしなかった ところだどうだ、その有様は!
        ――そも、正義とは? 君の信じる正義とは一体なんだ、レーチェル・ダイオジェネス 身の程知らずの莫迦な小娘め -- リゼット 2013-05-24 (金) 23:37:01
      • ――正義の刃に打たれた……苛まれた……どういう、ことだ……?
        (彼女の過去をレーチェルは知らない。それはきっと、過去に関わることなのだ。)
        ……僕は、遊び半分なんか、じゃ……! っ、く、ぅぅ……!(拳を握りしめ、奥歯を噛みしめ震える。)
        (そうだ。どれも当たっている。当たってしまっているのだ。今や正義というものは、レーチェルを縛っている。愚かなまでに、固執して、何かに操られるがごとく、正義の名のもとに、化け物であろうがなんであろうが、立ち向かっていった。)

        (Q.そも、正義とは?)
        ……そうだ、僕は、自分の正義すら貫きとおせなかった。夢見るただの子どもに過ぎなかったんだろう……。
        身の程知らずに、正義を騙る、滑稽なものであったんだろう。なまじ、力を得ていたから、ごまかせていただけだ。
        ――僕の、正義は……。
        (答えられない、正義とはなんだ。《輝き》を守ることなのか。だがそもそも、《輝き》とはなんなのか。)
        ……正義かどうかなんて、それは、後から決められるものだ。怖かったんだ。自分は護れているのか。自分は正しいのか……それに答えを与えるために、自分を正義としておきたかった。
        ……だが、それももう壊れた。理想語る愚者であったことに気づいてしまった。だけど……。
        それでも僕は、手を差し伸べるしかない。学園都市を襲う悪意に立ち向かうしかない。こんな力を得たならば、せめて、それに責任を持つことしか僕にはできない。
        それが偽善と言われようが、滑稽と言われようが構わない。僕は……僕の正しいと思うことをやるだけだ。正義かどうかなんて、もう、わからない、だけど……もう、二度と、君に、「探偵は無力」だなんて、言わせるものか! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 00:39:21
      • //明日早いので寝ます、長くなりすみません…!! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 00:48:58
      • そうだろうとも、言えるわけがない 口に出して語った瞬間、君の正義は独善に堕する その恐れがあるだけで十分だ
        君の正義にそぐわぬ者と…善き敵と巡りあって、刃を交えることもあるだろう そしていつからか、君は世界の敵になる
        責任を持つと、君は言ったな 聞き間違えであるはずがない だったら最後の最後まで、付きあってやるほかないんじゃないか?
        君が選んだのは茨の道だ だから莫迦だと言ったんだよ私は 損な役回りだ 私ならご免こうむるとも なにしろ探偵は不運だ
        優れた探偵であればあるほど、行く先々に悲劇が付きまとうのだから 死神の汚名を着せられることもある 死と血潮と惨劇と
        そしてささやかな希望と、救いをもたらして歩く仕事だ 誰が好き好んでやるものか 探偵なんて、君みたいな莫迦にしか務まらないに決まってる
        …けれど、独善に陥って何がいけない? 誰に向かって言い訳してるんだか 信じるモノがあるなら恥じるな 折れるな 腐るな 胸を張れ
        君は莫迦だが愛すべき莫迦だ 大好きだよ私は まっすぐで向こう見ずで、何だかおかしな信念を持ってる君が好きで好きでたまらないんだ
        まだまだ君の活躍を見ていたいのに、肝心の君が弱気になったんじゃお手上げじゃないか 世界の敵でも大いに結構、私だけは君を見ている
        たとえこの世の全てが君に背いたとしても、君の名を忘れたりなんかしない…まあ、自分の名前でもあるのだしね、レーチェル…ラシェル、もう一人の私 -- リゼット 2013-05-25 (土) 01:08:16
      • 《世界の敵》? ……そうだ、そういうこともあるだろう。善き敵と戦うことも。僕の進む道が、世界とたもとを分かつこともあるかもしれない。
        ……探偵ゆえに、その行く先々に事件がある。探偵であるがゆえに、事件を解決する。だが、それは事件が発生してしまうということだ。
        君の言うとおり、損な役回りだ。行く先々に事件が現れるのだから。死神だ。探偵小説だ。そして、事件を解決するものだ。
        ……君の言うとおり。普通の人間はやりたがらないだろう。損な役回りだ。常に感謝されるというものでもない。
        ……僕みたいな莫迦でなければ、務まらないよ。(リゼットに静かな笑みを向ける。)
        ……そうだな、僕は弱気になっていた。突き進むべき道があるのに、それからそれようとしていた。人と意見を違えることもままあることだ。探偵ならば。
        だからこそ、真実を求めるには、折れてはいけない。立ち止まってはいけない。恥じてはならない。君の言うとおり。
        ……その言葉だけで、十分だよ、ラシェル。もう一人の僕。
        世界のすべてが敵になっても、君が、君だけが、僕を見てくれているのなら。忘れずにいてくれるなら。
        ――僕は、戦える。僕は、前に歩める。
        ……僕は、世界に挑むほど、身の程知らずで、莫迦だからね。 -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:38:38
      • 莫迦げた仕事だ 狂気じみた仕事だ けれども誇り高い仕事だ 誰かの真似ではなしに、君はあるがまま君自身を体現すべきだ
        風車に突っ込んで吹き飛ばされても、罵声や嘲りを浴びようとも、私だけは喝采を送ろう だから安心して莫迦をやるといい
        さて、物寂しい気分だと言ってたっけ あの助手たちに囲まれながらよくもぬけぬけと いや、黙っておくよ私は、口が堅い人間なんだ
        (貸し一だな、と肩をたたいて立ち去っていった) -- リゼット 2013-05-25 (土) 23:06:58
  • (満月の夜空の中、激しく光と光がぶつかり合う。今夜も偶々出くわしたレーチェルと学生街を舞台に剣を、いや、ピンを、一戦交えていた)

    ははは、どうしたのかなぁ。今夜の君には技のキレも覇気も足りない、何より色気が足りないんだけれどね。初めてあった時よりどれもこれも足りてない。詰まらないよ。
    (今回、余裕の笑みを以って、レーチェルを制している。そしてハッキリという。以前より弱いと。) -- ウソイ 2013-05-23 (木) 20:37:33
    • (満月の夜。学生街にて光が、火花が散る。閃光が待っていた。二つの影、レーチェルとウソイだ。)

      く、うぅぅっ!! だ、だま、れぇっ!(レーチェルが押されていた。僅差ではなく、あちら側は余裕の様子である。レーチェルも応戦するが、明らかにその力は弱い。以前のようなただひたすらまっすぐな力ではない。)
      ――バリツ式「建葉槌」!(弱いと言われ、レーチェルは叫びながら攻撃しようとするも、攻撃は虚しく空を切り、どんどんウソイに押される形となっていた。)
      く、そ、ぉっ……! -- レーチェル 2013-05-23 (木) 22:50:52
      • やめてくれ、やめてくれないか、そういうのは。僕が悪役足りえるには君たちのような存在が必要なんだよ。僕は欲しているというのに。(ピンを思いっきり横薙ぎに振るい、レーチェルを廃材の山に叩き落とす)
        それなのに、なんだい、このザマは。以前僕に向けてくれたあの輝くような、真っ直ぐな瞳はどこへ消えた?
        僕がこの世界の悪役と成るため日々奮闘しているというのに、君は一体何をしているんだ。呆れてモノも言えないよ。残念だなぁ。
        (喋りながら、語りながら。ピンを創りだしては、避けるレーチェルを追い詰めるよう、敢えて外すよう、ギリギリのところを狙い投げつけていく) -- ウソイ 2013-05-23 (木) 22:59:33
      • ふざ、けるなっ! 何を、言っているんだ、君はっ! 何が、欲している、だ! くぅ、あ、あああああっ!!
        (ピンが思い切り振るわれる。レーチェルの体はいとも簡単に吹き飛ばされ、廃材の山に激突する。レーチェルの叫びが響く。)
        あ、ぐ、ぅ、あああっ……消えて、などいないっ! 僕は、君達のような悪を、許さないっ。僕は、僕はッ……!
        (以前なら正義の味方だの輝きを守るだの言っていたことだろう。しかし、その次の言葉は告げられなかった。)
        (義光の言葉が頭の中で繰り返される。自分は正義の味方の真似事をしているだけなのか。ただの自己満足なのか。目の前の悪と戦いうる存在なのか。)
        く、ぅ、うぅっ!!(廃材の山を、半ば転げるようにして、ウソイの攻撃を避けていく。ギリギリのところでそれは外れ、レーチェルはますます追いつめられていく。すんでのところで避け、体がよろける。いや、外されているのだ。)
        僕は、君が悪になるために、戦っているんじゃ、ないんだっ!(右手を伸ばす。レーチェルの異能の化身たる光を纏った《奇械》が現れる。しかし、その輝きは、いつものように眩いものではなかった。)
        うああああっ!(追いつめられ、進退窮まる。レーチェルは光の彼を纏ったまま、ウソイとの戦いを一気に決めようと飛びかかる) -- レーチェル 2013-05-23 (木) 23:14:35
      • 『光の化身、その拳、我が眼前に、届くすべ無し』……なんてね。
        (障壁にでも覆われたかのように、その奇械の拳は、嘘言居には届かない、眼前まで肉薄しながらも、後一歩が届かない。以前なら、この程度の嘘言など見破っていたはずなのに)
        ──じゃあ聞こう。君はなんの為に闘う。

        ────僕は。 僕は、この街の悪のために闘う。悪のない所、正義無し。光と影、なんて言うけれどね。僕らがそれを一手に引き受けてあげようっていうんだ。
        正義の味方が正義の味方でいられるのは僕らのおかげといっても良い。思う存分、その自慢の力が振るえるだろ?悪を打ち倒せる自分はカッコイイって思ってるんだろ?いいじゃないか、それで。
        半端なのが一番困るんだよ。半端な正義なんてのは、自分勝手な暴力と変わらない。つまりは──

        ──それは、悪だ。 -- ウソイ 2013-05-23 (木) 23:55:10
      • ――何故だ、どうして、届かない! う、うぅぅぅうぅ!!
        (ウソイの嘘言により、あと一歩で拳が届くというところで、拳は止まってしまう。ウソイに届くことはない。以前ならば、この程度の嘘ならば見破れたはずである。しかし、見破れない。翻弄される。)

        なんだと……まるで、まるで、正義があるのは自分たちのおかげと言っているようなものじゃないか。わざわざ悪をやってあげている、だと。
        ふざけるな! ふざけるな!! そんなもので、人の幸せを破壊しているというのか……!!

        悪、だと……僕が? 君達と、同じ、だと……!?
        (表情が固まる。絶句する。体が震える。違う、違うと、心が、体が、叫んでいる)
        ――違う! 僕は、僕は、悪なんかじゃない!! そんなことなんて、思ってない!! 僕は、僕はそんな勝手な理由で、戦って何か、いないんだっ!
        (届かぬ拳を何度も何度も打ち付ける。)
        ――僕が、戦うのは
        (正義の味方になりたいから?)
        ――お前たちのような、悪を
        (正義としての力を振るいたいから?)
        ――滅ぼすためだ! そして
        ――僕はいつだって、疑ったことなんてなかったのに! どうして、どうしてっ……!
        ――いいや、そうだ。僕は、僕は護る。皆を、お前たちから!
        ――僕はみんなのために戦うんだ! 自分の勝手なんかじゃない!!
        ――だから、黙れえぇえええええぇぇx!!!
        (悲鳴にもにたレーチェルの叫びが響く。涙すら浮かべながら。光る右手を。揺らぐ正義をなんとか、奮い立たせようとしながら。殴る。殴る。殴る) -- レーチェル 2013-05-24 (金) 00:31:32
      • ふぅん、それが理由かぁ。誰に頼まれたわけでもないのに、偉いね。君は。
        (攻撃を受け止める、じゃれ付く猫をあやすように次第に距離を詰めて、腕の中へ引きこむように)

        えらいえらい。褒めて欲しかったんでしょう?それじゃあ、僕が褒めてあげよう、偉いね。(抱きすくめるようにして行動を阻害し、後ろから髪に触れ、頭を撫でた)
        でもねえ、正義の味方が戦いの最中、涙を流しちゃだめだよ。女の子っぽくて可愛らしいけれど。
        (指でそっと涙を拭ってあげて。その指で唇を軽く押さえ、撫でる)そもそも、おかしいよね。君が真実が見えるというのなら、こんな事で悩む必要もないはずなんだ。僕と同じ、黄金の瞳を宿しているのなら。

        今の君は、果たして、ちゃんとその目に光が、輝きが宿っているのかなぁ? 鏡を覗いて見てご覧よ。(後方を見るように促す。後ろの建物には、窓がある、それならば自分の表情くらいは見ることが出来るが……) -- ウソイ 2013-05-25 (土) 21:35:39
      • ――なぁっ!?
        (攻撃が受け止められた。それまではまだいい。しかしあろうことか、ウソイはレーチェルを、猫をあやすがごとく近づき、腕の中へと引きこんだのだ。)
        な、何を、何を言っているんだ君は……!? 僕たちは敵対しているんだぞ!?
        ち、ちがう、僕は、僕はそんなの望んでいない! 褒められたいなんて……!!
        (抱きすくめるようにされて動きが上手く取れなくなる。じたばたと彼の腕の中で暴れる。その表情は困惑と驚愕であった。)
        (頭を撫でられ、子供のような扱いに頬を染めながら、喚く。)
        かわいら……っ!? うる、さい、僕は、泣いてなんか……! んぅっ!?
        (涙が指で拭われる。その指で唇が撫でられる。唐突の優しさにレーチェルは混乱していた。)
        黄金瞳……!? 君が……!? ……黄金瞳は全てを見抜く。ならば、僕の眼が曇っていると……?

        (後方を見るように促される)な、に……?(そして、思わず彼の言うとおりに後ろを見る。背後には窓のある建物があった。レーチェルの顔が映る。泣いた顔が映るが……) -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:19:05
      • ほぉーら。見える?金色の綺麗な瞳?夜だから一層輝いて、とても分かりやすいよね。
        (一緒になって覗く。彼のその右目には金色の光。一方、腕の中、子猫のように振るえる彼女の顔は。)

        ────おや、まるで普通の女の子だ。どうしちゃったんだろうね、見放されちゃった?あぁー、これは異常事態だねえ。
        (怯える表情が、月夜に照り返された涙を浮かべる だけの 何の変哲もない。普通の瞳の女の子が、窓には映っていた)

        あぁーあ。これはいけないなぁ。果たしてこの苦難を僕のライバルであるレーチェル・ダイオジェネス君は打ち破ることが出来るのだろうか──
        はぁい、次回へ続くー。(ぱ、と彼女を腕の中から開放して) これ以上は戦っても仕方なさそうだし。今日は帰るとしよう。

        あぁ、でも。

        僕は信じてるよ、乗り越えてまた、立ち向かってきてくれると。それじゃ、がんばってね正義の味方。
        (彼女を、窓を眺める普通の女の子をその場に残し、闇世の中へとふわりと消えていった) -- ウソイ 2013-05-25 (土) 22:35:33
      • (窓を覗く。ウソイも一緒になって覗く。彼の右目は黄金だ。そして、レーチェルの瞳は――)
        ……!? 《黄金瞳》が……!?
        (鏡に映ったその瞳は、普通の少女のものだった。緑の瞳。黄金の瞳が消えうせている!)

        馬鹿な……どうして!?
        (ウソイの腕から解放される。レーチェルは身を乗り出して、よく瞳を見る。しかし、それは普通の瞳にしか見えない。)

        く、ぅぅっ!? まてっ!! 君は、一体なにを、したんだっ!
        待て――!
        (しかし手は届かず、ウソイは闇夜に消える。レーチェルはただ愕然として、その場に立ち尽くしていた。) -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:51:11
  • おや、レーチェルさん?(部員向けのクリスマス料理を買って帰る道すがら、レーチェルを見かけた)
    …クリスマスなのに浮かない顔してますね?(なんとなく思った疑問を投げかける) -- フォス 2013-05-22 (水) 22:20:44
    • ……。(いつになく沈んだ様子であった。今までに見たことがないくらいのものだ。)
      (元々普段は飄々としているので、いかにも落ち込んでいますというような表情ではないが、知り合いがみれば、違いはすぐに判る。)
      僕は……ん、ああ、フォス君じゃないか。(しばらくは、フォスに話しかけられたことも気づいていなかった。)
      メリークリスマスだよ、フォス君。(笑みを作って)
      ……はは、そんなことないさ。別に落ち込んでなど、いないさ…… -- レーチェル 2013-05-22 (水) 22:28:31
      • (一目見て分かる、何か根本が揺らいでいるとでもいうのか)
        (芯が通って、背筋を伸ばして平和を護るといっていた姿から遠く見えて)
        …これは重症ですね(苦笑いをして、ちょっと待っててくださいといいおくと暖かいコーヒーを二つ調達してきた)
        忙しいでしょうけど、これを飲む間だけでも少し、何があったか話してくれませんか(一つ手渡し。レーチェルを心配して事情を尋ねようと) -- フォス 2013-05-22 (水) 22:33:30
      • ……(いつものような破棄はない。調査にもあまり身が入っていない様子である。)
        ありがとう。(珈琲を受け取る。儚げな笑みを浮かべて)
        ……いや、いや。心配には、及ばないとも。君が、心配するようなことは、なにも。
        (フォスのことを、眩しそうに見ると、顔を背ける。)
        ……フォス君。正義とは、なんだろうか。君が正義を成す理由。それは、なんだろう。 -- レーチェル 2013-05-22 (水) 22:46:09
      • 隠しても駄目ですよ、今のレーチェルさんは一目見ただけで様子が違いすぎます
        部員や助ける人の前では気を張っていなければいけないかもしれませんが、今はいいでしょう
        …理由ですか(正義。そういわれれば苦笑して)
        理論だった理由はなにもないです。輝きという言葉だってレーチェルさんから聞いて知ったくらいですし
        俺はただ、理不尽に傷ついて泣く人がいなくなって欲しい。助けたい、そう思って行動しているだけです
        (真面目に答えた。きっと、今彼女が探しているのは正義の在り処だと思った。コーヒーを一口飲んで)
        …自分の、レーチェルさんの「正義」を疑う様なことがありましたか? -- フォス 2013-05-22 (水) 22:53:58
      • そんな、ことは…‥。
        (何とも見透かされていた。黄金瞳でなきものでも、見抜くことはできるのだ。レーチェルはとにかく、自分の弱いところを人に見せたくなかった。)
        ……そう、そうだ。僕も、そうだったはずだ。《輝き》を守りたかった。それだけのはず――
        ……だけど、そうでないのかもしれない。僕は、悪は許せない。悪など怖くはない、だけど……
        果たして、本当に、人のために、戦っていたのかと、思ってね。
        ……いや、気にすることはない。君は、十二分に輝いている。正義だよ。あの《総会長》だって打ち倒した。
        ……僕は、大丈夫だから。気にしないでくれ。
        (今の自分には、目の前の青年は、眩しすぎるのだ。) -- レーチェル 2013-05-22 (水) 23:07:25
      • (彼女の隠し事は、恥ずかしさというよりは別のものに思えて、その内面全て見渡せるものではない、が)
        迷ってるんですね、なんというか…今までのレーチェルさんは揺らぎなく前に進んでいたけど。今は迷って立ち止まっている
        …悪い事じゃないです。勘違いしそうだからおせっかいで言いますけど…今までは前しか見てない感じでしたから
        俺が正義かはまぁ置いておいて…前に言ってましたね。白い男に助けられたって。思い出してみてください、最初の事を
        (初心に帰る、という事。大丈夫だと強がるレーチェルの言葉を無視して続ける)
        助けられて願ったのは、その人と同じになる事なのか。それとも別の何かなのか
        後は…レーチェルさんの迷いを晴らすのはレーチェルさん自身ではないと思います…いろんな人に相談して下さい
        俺達はきっと、一人じゃ何も守れません
        (一人きりで全てを守ろうとするなんて。それこそ世界の敵か、無限の正義を行なうと誓いでもしなければありえない)
        (今の自分に言えるのはここまでかな。と、空になったコーヒーを見て頷き、静かにその場を去っていく) -- フォス 2013-05-22 (水) 23:20:03
      • ――彼に、助けられたときのことを?
        (眩い閃光、輝きとともに、現れた“彼”。自分は、そう、なりたかった。彼のように。彼のように、輝きを守れるものに。無力で無く、己の力で立ち、輝くような――)
        ……僕、自信じゃない、だって? じゃあ、じゃあいったい、僕は……そう、だん……。
        (相談というのは考えたことがなかった。おのれが力を得たその時から。ただ前に前に進んでいた。自分を絶対と信じて)
        ……そうだな、フォス君。きっと、独りでは護れまい。
        僕は、僕は……
        (考えてみれば。思上がりだったのだろう。今この学園都市にいるものたち。目の間にいる青年。果たして。――自分が護らなければならぬほど、弱い存在であったのだろうか。)
        ……でも、フォス君。白い彼は、僕の傍にはいない。寄り添うものは。
        彼を目指すことだけが、僕を僕たらしめていた。それが打ち崩されたなら……僕はもう、どうしていいか、わからないよ。
        ……僕は、ただの、子供で。憧れのために、人を救うような……
        真に、正義であるものではない……。
        (フォスがその場を去ったのち、ぼそりぼそりと呟き、雑踏の中へと消えていった。) -- レーチェル 2013-05-23 (木) 00:04:58
  • の敵だ
  • おっ、よう。お前が行動的探偵部の…部長でいいんだっけ?他は見て回ったからあってると思うけど。
    (冬の前。秋の寒空で紙巻を咥えた男が探し物を見つけたかのように声をかける街角) -- 義光 2013-05-21 (火) 21:54:36
    • (レーチェルは調査がてら、街を歩いていた。小柄な少女である。右目に黄金瞳を持った。)
      うん?(そうすると、レーチェルは声をかけられた。秋の寒空の下、葉巻をくわえた一人の男に。)
      ああ、そうだとも。僕は《行動的探偵部》部長のレーチェル・ダイオジェネスだよ。何か御用かな。
      君は……(あまり見たことのない顔だった。転入生であろうか。) -- レーチェル 2013-05-21 (火) 21:58:10
      • アーやっぱ当たりだ、その右目と…女だよな、うn。特徴通り。
        俺は思弁実践的探偵部の部長、羽佐間…じゃねぇ、阿上 義光。今年度研究課程に転入
        時間開いてるん?探し物の最中ってわけじゃないだろ(そこの茶店でいいだろ入るなら、と親指でくいっくいっ) -- 義光 2013-05-21 (火) 22:01:39
      • ……(何やら向こうはこちらの事を知っているようだ。訝しげな眼でレーチェルは男を見る。)
        ああ……《思弁実践的探偵部》の部長か。初めましてだね。(そういえば最近そのような部活が出来たと聞いていた。)
        (かつての旧連邦列強国大使館を部室として堂々と使用許可を得たと少し話題になっていたのだ。そして、同じ《探偵部》としての興味もあった。)
        羽佐間……?(それはかつての総会長の名であった。ぴくりと反応するも、すぐに収める。初対面で色々と疑ってかかるのはよくない。……ずいぶんと、あの彼に似た容姿であったが。)
        よろしくだ、義光君。……ああ、今は時間は問題ない。何か話があるならば、聞くとも。
        (そういうと、行こう、と言って指さされた喫茶店の方へと向かう) -- レーチェル 2013-05-21 (火) 22:08:00
      • 『そして喫茶店の席に向かい合って座り、注文を済ませると単刀直入に義光は聞いた』
         
        で、ディフの塔(シャトー・ディフ)に昇ろうとしてるのはお前さんなの?
        (学園都市のシンボル、統治会が管理するオベリスクの建造物にして大鐘楼と呼ばれるそれの名前を出した) -- 義光 2013-05-21 (火) 22:12:27
      • (喫茶店に入ると、対面して座る。飲み物は英国風に紅茶だ。)

        ……いきなり唐突は話だね。君も、あの塔の謎を追って?(帽子を外し、自らの膝の上に置く)
        まあ、そう言うことになるかな。ほかにもあの大鐘楼に興味を持ってる者はいるけれど。
        僕はこの学園都市の謎を追っている。《統治会》についても。あのディフの塔、統治会が管理しているあの塔。当然、あの中で何が行われているのか、気にもなるさ。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 22:20:58
      • (カレーを頼む男)
         
        いんや(キッパリと否定して答える。それは真実にして断定)
        リゼット=ラシェル・ピュイフォルカが訪ねてきてな、「昇りたいと言ってるヤツがいるから入り方探すの手伝ってくれ」つったんだわ。
        つっても入りたいっつー本人がいねぇから断ったけど。んでどんなヤツがと思って交友関係から調べてそれっぽいの探してたらまぁ黄金瞳いたんでジャストかと思ったら
        まさか他にもバカがいるとはな…まったくなんで若い連中ってのは暇つぶし感覚興味本位で色々やんのかね(溜息ついて水を飲む) -- 義光 2013-05-21 (火) 22:28:58
      • ラシェルが……。ふむ、なるほど、そういうことか。それで僕に当たったということか。
        多分それは龍樹君のことだと思うよ。彼は、登りたいと言っていたからね。彼は本当に興味本位という感じだったけれど。
        ……――違う。(男の言葉を否定する。)
        違うとも、義光君。僕は、ただ暇つぶしや興味本位であの《大鐘楼》を調べているんじゃない。
        《輝き》を守るためだ。あの《大鐘楼》には何かある。《統治会》もそうだ。この学園都市に感じられる強烈な違和感……その原因は、あそこに在るはずだ。
        ……君は、何を知っているんだ? 《黄金瞳》についても知っているようだし。だがそれはいい……いきなり失礼じゃないか。
        僕は行動的探偵として、学園都市の輝きを守るために調査しているんだ。勘違いはしないでもらいたい。
        (冷静な口調ではあったが。いきなりバカだのなんだと言われたので、語気も少し強くなる。)
        (《白い男》に救われ、憧れ、彼のように人を守ると誓ったレーチェルにとっては。それを嗤われるのは、認められないことだった。)
        …ありがとう。(紅茶が席に運ばれてきたので、それを口にして) -- レーチェル 2013-05-21 (火) 22:43:47
      • 勘違い、ね。(じゃねぇだろうなという言葉を出すよりも先に耳についた言葉がある)
         
        んじゃ、≪輝き≫とはなんだ?(端的に、だが直球で切り込む。彼女がまだ見ぬ彼の相棒ロジャーと違う点…それは直感力)
        (義光はレーチェルの言葉にある詩的表現、その言い回しが引っかかった)
        (故に。運ばれたカレーを前に。スプーンを手にレーチェルへ向ける形で問うた)
        (統治会や、大鐘楼に何があるか、何かあるかについては言及せず) -- 義光 2013-05-21 (火) 22:51:18
      • ……《輝き》
        (それは、白い彼が守るもの。レーチェルの運命が尽きようとしたときに、《輝き》である彼が、レーチェルを救ったのだ。)
        ――《輝き》は、《輝き》だ。光り輝くものだ。
        この学園都市の《輝き》だ。この学園都市に存在する遍く学生たち……その、《輝き》だよ。彼らの輝いているこの一瞬一瞬。
        僕は守るんだ。この右手が届く限り。行動的探偵として。白い彼が、守ったように。
        ……僕は、それを守りたい。いや、守るために……その輝きを消させないために。謎を追っているんだ。
        (《黄金瞳》で義光を見る。すべてを見抜くと言う瞳で、すべての想いを受け止めるといわれる瞳で) -- レーチェル 2013-05-21 (火) 23:00:48

      •  
        (──溜息。深い溜め息)
        (なまじ黄金瞳があったからだろう。こうなってしまったのは。この夢見る子供ができたのは…)
        (その黄金瞳も、瞳もまた視点がそっぽ向いていれば見抜くことなどできまい)
         
         
        ──お前はあの男になれない。
         
        憧れで誰かを守ろうとするのはやめろ。
        それはお前の憧れと変身願望という自己満足を満たす行為。
        誰かをその依り代にするんじゃない。
        (自己の投影。詩的表現の単語の多用…それはまさしく、寝物語の騎士に憧れた少年の如く)
        (絵本の中の姫君に憧れる少女の如く)
        (誰かの受け売りをそのまま使い、喜ぶ子供であると) -- 義光 2013-05-21 (火) 23:09:48
      • ――なっ!!

        (男の言葉に絶句する。)
        何を、何を言うんだ……!!
        (ぐるぐると、頭のなかを、男の言葉が駆け巡る)
        自己、満足だって……!! ち、違う、違うッ!!
        僕は、僕は守りたいんだ、《輝き》を……! だから、今まで、戦ったんだ! もう、もう助けられるだけの、無力な存在じゃないんだ!
        (《異能》を手に入れた。学園都市の祝福。果たして、レーチェルの力が真に《異能》であるのかどうかはわからない。だが、邪悪と戦うだけの力を得たのだ。)
        (故に、これまで《正義の味方》をやってこれたのだ。力を、手に入れたから。憧れる彼に近づけるような。)
        僕は、僕は……! 違う、そんな、そんなはずはないっ……ち、が……。
        (レーチェルの体が震える。目の前の男を睨み付けている。瞳が揺れる。それはきっと、真実であったから。)
        彼のようになりたかったのは、そうだ……だけど、だけど、僕は、そんな、子供じゃない。
        彼みたいになるんだ、《正義の味方》に……! 憧れ、だけ、じゃ……
        (声は小さくなっていく。身を乗り出していたが、だんだんとそれも小さくなっていく。)
        (動揺していた。目の前の男が“彼”を知っているということにも、気を払えなかった) -- レーチェル 2013-05-21 (火) 23:33:14

      •  
        (その中でも黙々とカレーを食べ始めた)
        (目の前の少女が、そう返すだろうというのがわかっていたから)
        (だろうなと思っていたが故に、些事であった。)
         
        その≪輝き≫という言葉も、意味も受け売りだ。お前の言葉じゃない。お前が見つけたものじゃない。
        あれもそれも≪正義の味方≫じゃない。≪世界の敵≫だ。世界の外にあって、中にいる…それが世界の敵だ。
        華々しい活躍も、輝かしい栄光もない。それが真実だ。
        その一面を見て、憧れて、模倣して喜ぶのは構わないがな。その先でつっかって、出てきたもんにお前はどうこうできないし、そいつはお前以外にもトゲをまき散らすもんだ。
        自分の意志で…自分で見つけたもので立たないお前じゃ、受け止めることも、守ることもできない。
         
        ──んじゃ正義とはなんだ?正義の味方とはなんだ。
         
        残り4、5か月の付き合いだろこの学園も(空になった皿にスプーンを置いて彼女の分も纏めた会計を置く)
        統治会とか鐘楼とか突っついて、どうしようもねぇことになる前に考え直せ。
        ヒーローは、英雄は劇場の中で見るもんだ。
        (気を落とし、委縮するレーチェルを一瞥し…男は喫茶店を後にした。警告のように、いや諭すように言葉を残し…) -- 義光 2013-05-21 (火) 23:54:59

      • な、にを……! 僕は、僕は、本当に、皆の、ためにっ……!!
        (まともに言い返すことも最早できない。)
        《世界の敵》……?(レーチェルにはわからない。今はまだ、その意味は。)
        受け売り、なんか、じゃ……君は、君は一体、なんなんだ……僕は、僕は……模倣なんかじゃない! 正義の味方になるんだ、……自分の、意志、で……。
        (レーチェルを支えているのは白い彼であった。彼への憧れであった。彼を目指すということだった。)
        (輝きを守るのも、闇と戦うのも。白い彼が行っていたから。彼に近づきたいから。彼のように世界を守りたいから。)
        (――自分の正義では、ないのだ。彼の、真似事であった。)

        ――正義、はっ……!

        (答えられなかった。彼の問いに。)
        (英雄は、劇場の中で見るものだと、彼は残して。釘を刺すように言うのだった。統治会や世界の闇に触れて、終わってしまわぬ前に。)

        う、あ、うあ、あ、あああっ……!
        (男が去った後。レーチェルは耐えられなくなり、机に突っ伏して――泣いた。)
        (あの日以来、《白い男》に助けられたとき以来、泣かぬと決めていたのに――) -- レーチェル 2013-05-22 (水) 00:48:06
  • もふきゅーん、です http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst083637.png レーチェル先輩。(レーチェルっぽいフェルト人形手渡し)  -- 名簿/498189 2013-05-21 (火) 19:21:22
    • お、おおお! こ、これは僕か……!? いやあよくできている。僕よりすごくかわいいよ。
      ありがとうルチア君。とてもうれしいよ。君も幸せにやっているようでなによりだ。
      (フェルト人形を受け取りつつ) -- レーチェル 2013-05-21 (火) 19:43:48
      • ふふー、レーチェル先輩、が、かわいい、ので。 人形、モ、かわいく、できました。(もふーん)
        ………そ、そんなに、わかり、やすい…です? -- ルチア 2013-05-21 (火) 19:46:52
      • ハハハ、世辞はいいよルチア君。僕は男子とも間違えられるんだからね。君が可愛く作ってくれたのさ。
        わかるとも……(黄金瞳でルチアを見て笑みを浮かべる。)僕は探偵だから――というわけではないけれど。
        普段の様子を見ればわかってしまうものさ。何、隠すことでもないだろうしね。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 19:51:35
      • む、むう。 そんな、こと、ない…です。 間違える、ひと、が、悪い…と、私、は、おもいます。
        探偵さん、恐るべし…です、よ。 うう。
        隠したい、わけ、では…ない、のです、が。 なぜか、大勢の、ひとから、言われて…しまう、ので。 -- ルチア 2013-05-21 (火) 19:54:55
      • 君の普段の様子、そして彼と一緒にいるところ、学園都市で見かける君たちのこと……
        まあ、つまり、なんだろうね。
        ――わかりやすいのさ。
        だが、それでいいんだよルチア君。それでこそ、青春の《輝き》だ。存分に青春を謳歌すると言い。
        僕は、それを守ろう。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 20:00:15
      • そん、なに。(まーよく一緒に行動しているのは紛れもない事実なのでバレバレである)
        これも、輝き…です、か。 そう、ですね。 きらきら、です、ね。(にこっと笑って)
        ありがとうございます、レーチェル先輩。 それでは。 -- ルチア 2013-05-21 (火) 20:05:33
      • そうさ、推理するまでもない。
        きらきら、だ。僕はその輝きを守るんだ。――白い彼のように。
        ああ、ルチア君、また会おう。フォス君によろしく言っておいてくれたまえ。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 20:46:43
  • レーチェル…今月は、おつかれさま… 無事に終わって、何よりだったね…
    レーチェルは、敵のリーダーも倒してたし… -- ルフィール 2013-05-20 (月) 22:50:03
    • ああ、お疲れ様だ、ルフィール君。無事に終わってよかった。
      いやいや、あれは君達のサポートがあったおかげさ。だから、僕もバリツで敵を倒せたというわけだ。 -- レーチェル 2013-05-20 (月) 22:53:00
      • ゾンビだったから…動きも遅くて、後ろから見ると狙いやすかった…(こくこく)
        でも、肝心のバリツは…どういう仕組みなのか、よく分からなかった… やっぱり、伝説の格闘技だけあるね…(気づいたらゾンビが投げ飛ばされたりしていた) -- ルフィール 2013-05-20 (月) 23:01:40
      • ふふ、極東のブジュツとはそういうものなのさ。忍術、武術の複合の格闘技だと聞いている。
        (おそらくレーチェルが学んだバリツはホームズが使ったそれと比べるとかなり違ったものであるようだ。本人は気づいていないようだが。合気道も混ざっているようだ。)
        たとえ筋力がなくても、敵を吹き飛ばすことの出来るのがバリツさ。 -- レーチェル 2013-05-20 (月) 23:08:55
      • おぉ…忍術…ニンジャ…! さすが東洋の神秘…!(カッコいいものを見る目。違いについては気づくはずも無かったが)
        筋力だけじゃなくて、気の力とかも使うのかな…すごい…… 私も負けないように、頑張らないと。(ぐっ、と拳を固めて頷く)
        そういえば…カミルも、バリツ使えるの…? -- ルフィール 2013-05-20 (月) 23:14:21
      • 忍術も組み込んでいるから、バリツ式歩行で、音を消して歩くことも可能だ。
        そう、東洋でいう「気」なるものを操る。僕はまだよくわからないんだけどね。相手の重心なども計算して攻撃すれば、相手を吹き飛ばすことは容易なのさ。
        ああ、カミル君かい? 彼はまだバリツは使えないよ。だがね、先日僕が講義をすると言ったら受けますといってくれてね。(渋々と言った様子であったが)
        しばらくすれば、彼もバリツ使いになっているかもしれないよ? -- レーチェル 2013-05-20 (月) 23:22:30
      • そのうち…一瞬で姿を消したり…凧で空飛んだり…するのかな…(わくわく)
        カミルも…特訓受けてるんだ? レーチェルが先生なら…カミルもきっと、逞しくなれるね…多分。
        …来月は、また別々になるみたいだけど…また同行できる可能性は、高いと思うから…今度一緒になったら、よろしくね。 それじゃ、また… -- ルフィール 2013-05-20 (月) 23:31:51
      • 水の上を歩いたり、壁を歩いたりできるようになるかもしれない。忍者の如く、姿を消すことも、いつかはきっと。楽しみにしていてくれたまえ。
        うむ、彼を鍛え上げるのも僕の使命の一つさ。バリツは使えてそんはない。
        ああ、そのときはまたよろしくだ。君も頑張ってくれたまえ。ではな。 -- レーチェル 2013-05-20 (月) 23:36:45
  • 万 -- 2013-05-20 (月) 01:26:40
  • 能 -- 2013-05-20 (月) 01:26:34
  • 王 -- 2013-05-20 (月) 01:26:28
  • ちゃーす。(軽い声の挨拶と共に、レーチェルしかいない探偵事務所に顔を出して)
    こないだはお疲れ。リゼットも戻って万々歳だ。で、ここからは次の話。
    (ソファーに腰掛けると、普通の生徒ならば口にすることが憚られるような、そんな話題を切り出した)
    『統治会』についてだ。お前の知ってることを全て教えてくれ。 -- 龍樹 2013-05-19 (日) 22:36:23
    • やあ、龍樹君。僕たちの奮闘の甲斐あって、リゼットは戻った。悲劇は起こらなかった。良いことだよ。
      (静かに微笑みながら、彼に言う。座るように促しつつ、紅茶をすすめる)
      ――《統治会》について、かい?
      (空気が一変した。レーチェルの黄金瞳が、彼を探るように見る。)
      ……ひとつ、聞かせてほしい。何故《統治会》について知りたいんだ? -- レーチェル 2013-05-19 (日) 22:43:12
      • (黄金色の瞳。偶発的にはまず発生しえないとされる、それは奇跡の象徴である)
        (探偵の輝きが龍銃を射抜くも、素知らぬ顔で紅茶に手を出して)
        大鐘楼に登りたい。あそこは統治会の管理下にある聞いた。
        だから統治会についての情報を得ることが、大鐘楼への近道だと思ってな。
        (本当はもっと直接的な手段に出ようとしたが、リゼットに入れ知恵をされ、まずレーチェルを訪れるに至った) -- 龍樹 2013-05-19 (日) 22:48:39
      • 《大鐘楼》に登りたいだって……?
        (予想だにしていない答えであったためか、驚きの表情を浮かべて。)
        そうだ、あの《大鐘楼》は《統治会》が管理している。一般学生では中に入ることすらできない。彼の鐘楼の頂上を見る事も叶わないだろう。
        ――そもそも、あそこには入り口がないのだがね。大鐘楼とはいうが、その鐘を見たものはいないということだ。
        願いを叶える《鐘》、学園都市を祝福するもの……そんなふうに言われている。
        ……龍樹君、君は、中々危険なことを言っている。それはわかるだろうか。《統治会》はただの統治組織じゃない。多くの謎を孕んでいる。……下手をすれば、君は公安にマークされるかもしれない。
        ……といっても、君は聞くのだろう。(やれやれ、とため息をつく。)

        ――では、わかった。僕の知りうる限りの《統治会》についてのことを話そう。
        (まずは、この養生学園都市の人間ならだれでも知っていることを話していった。)
        ――ここまでは、君も知っていることだろう。今からもっと昔は、《統治会》は今のようなものではなかったといわれる。
        今のようにほとんど姿を現さないというわけではなく、一般学生にとっては遠い存在だったが、それでも公式な場には姿を現していたようだ。
        さらに、今よりもかなり直接的に、学園都市を統治していたらしい。統治会メンバーは男女に分かれ、それぞれ三人ずつ……最高の六人、シニスターシックスなどと呼ばれていたらしいが……。
        ある時期を境に大きく変わった。それと同時に、学園都市は開放された。今のようにね。そして、《統治会》は表から姿を消したというわけだ。
        彼らが今どうなっているのか、僕も直接見たわけじゃないから、確実には言えないが……未だ、影響力を保っている。……これは、僕の良そうに過ぎないが……この学園都市の怪異や異能について、何か重要なことを握っていると思われる。
        《大鐘楼》もそうだ。わざわざ統治会が管理しているというのだから……何かあるのは間違いない。これまで、一般学生であの頂上に上ったものはいないと伝えられている。いや、過去に二人のみとも……
        あの《大鐘楼》が何か重要な秘密を抱えているのは、明らかだ。
        〈ほかにも、統治会について調べたファイルを見せる。アンヘリカからの情報だが、統治会のメンバーである一人が、何か行動を起こしたということについても。) -- レーチェル 2013-05-19 (日) 23:05:57
      • ふんふん。大鐘楼については概ね俺の認識の通りで合致してるな。
        (勿体ぶった話し方をするレーチェル。しかしそれを咎めない)
        (生徒たちにとって統治会とは、そういう一種絶対的な存在なのだ)
        (けして自分たちの学園生活と交わることはなく、しかし確かにすぐ傍にある)
        (ともすれば触れてしまいそうな、不可視のワイヤートラップのように)
        公安? ああ……。(風紀警察に捕まり、犯罪者として扱われる生徒が裁かれる場所だ)
        (刑が確定した生徒は、強制労働を強いられたり、公安委員会の監視下に置かれたり)
        (噂では、どんな罪を犯したのか死刑となった生徒も存在するという)
        今更だな、どうせ俺は風紀警察からも良い顔されてない。敵が一つ増えるだけさ。

        (最後まで話を聞き入れ、ファイルに軽く目を通すと、困ったように頭を掻く)
        参ったな。俺は本当に大鐘楼に登りたいだけだ。統治会だのそいつらが孕んでるいざこざなんざ、どうでもいい。
        しかし間違いなく、俺の目的を達成するためには、統治会が障害となる可能性が非常に高いことは分かった。
        そもそも普通に統治会に入会できれば、こんな苦労しなくても済むんだゾ。
        リゼットは真面目に勉強してれば入れるんじゃないかとか、至極真っ当そうな意見を出してたな。
        (大きく伸びをする。レーチェルの警告も、まるで聞いていないかのように) -- 龍樹 2013-05-19 (日) 23:22:59
      • ……君は困った子だ。これほどまでに重要な話をしているというのに。(半ばあきれたようにため息をつく)
        そうだね、君が《大鐘楼》に上りたいというのならば、《統治会》は目の上のたんこぶだ。間違いなく障害となるだろう。
        おそらく、《大鐘楼》の入り口も、彼らが管理しているに違いない。彼らをどうにかしないことには、登ことはできないだろう。
        あの塔の中には黄金の螺旋階段があるとも言われている。それを駆け昇るのは、君なのかもしれないな。
        ……普通に入れてしまえば、統治機構としての意味がないよ。(ため息)
        成績優秀者の中から選ばれるという話だからね、あながち間違ってはいない。本当に、そうであるならばの話だけれどね。 -- レーチェル 2013-05-19 (日) 23:32:01
      • 大鐘楼、普通に入るための入口がないらしいな。どうせ統治会が隠してるんだ、そうに決まってる。
        (紅茶を飲み終えると、勢い良くティーカップを置く)
        まあお前の話の内容は分かってるよ。統治会に関わるからには覚悟しろってことだ。
        覚悟ならあるさ。十分にできてる。
        (自分を偽らないこと。あるがままの、裸の心で生きること)
        いいぜ、挑戦してやるよ。この学園都市を、自分たちの箱庭、フラスコの実験室であるとだと思い違えた、稀代の狂人たちに。
        -- 龍樹 2013-05-19 (日) 23:46:10
      • ……そう言うことだ、龍樹君。――覚悟は、したまえ。
        公安も、統治会も、学園都市を統治するものが、敵になるのかもしれないのだから。覚悟は必要だ。
        ……では、僕は君と同志だ。僕も、彼らに挑戦しようと思っている。
        この学園都市が一つの《実験場》であるというのならば、そんなことは許してはならない。《輝き》を守るのが僕だ。
        皆を、実験対象になど、させるものか。 -- レーチェル 2013-05-19 (日) 23:52:20
      • 探偵が力になってくれるなら心強い。俺も身体を使うのは得意でも、おつむの方は油が足りないんでね。
        (実験場は実験のための施設。ならば実際に『実験』が引き起こされるはずだ)
        (あるいはもう、ずっと昔から始まっていたのかもしれない。今この瞬間も)
        『Mundus non est motus de loco illo.(対訳:我々の知り得ない所で世界は動かされ)
         Absque cogitatione versari mundum vos(君達の想いとは別に世界は動いてゆく)』
        (口から出た言葉、その言葉が何故出たのか、そもそも発したことすら気付かない様子で、龍樹は席を立つ)
        俺は俺で探りを入れる。何か新しいネタが入ったら、頼むぜ。 -- 龍樹 2013-05-20 (月) 00:16:23
      • 僕もそう頭が良い方じゃない。僕は行動的探偵だから。だが、君がそれを期待するならば、応えよう。
        …‥? 君、その言葉は……?
        (彼の言い放つ奇妙な言語に首をかしげる。当人は何も気にしていないようだが)
        ……わかった、そのときは、伝えよう。僕たちは、同じ仲間だからね。 -- レーチェル 2013-05-20 (月) 00:35:56
  • 知っているのかレーチェル! -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:02:50
    • あとレーチェルこの名簿横に長い! -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:03:06
      • 僕の蒸気演算機械(パソコン)の気晶モニターは横に長いからあまり気にしていなかったんだけど、
        どうも見づらいようだね、変えるとしよう。 -- レーチェル 2013-05-19 (日) 10:06:25
      • コメント欄がこうね、→にずれて少々辛い。うむ。
        ってことで何か暇してそうなんで部室に来たよ!なーレーチェル、行動的探偵部は順調か? -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:07:47
      • みやすくなった! -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:11:22
      • 朝はまだ事件も起こることがすくないのでね、少々暇なんだ。(名簿を直しながら)
        (探偵事務所の機関式蓄音機からは、ビゼーのメヌエットが流れている。パッカーに紅茶を勧める)
        ああ、それなりにね。人数も増えた。ほとんどが女子だが……。
        だが、まだまだ学園都市の闇すべてを払うには遠いよ、パッカー君。
        君も、最近は達者かな? -- レーチェル 2013-05-19 (日) 10:13:34
      • ほほう!女子が増えたとは素晴らしい!(すすめられた紅茶に礼を言い、飲みつつ)美人がいたら教えてくれ、顔は見る。
        俺の方は達者も達者、知ってると思うが両手に花で毎日楽しく過ごしてるよ。
        …で、闇を振り払ってるところ悪いが、もう一つ闇を追加していいか?ちと探してほしいもんがあるんだ…レーチェルも知ってる事件だとは思うが。 -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:15:52
      • ハハハ、皆かわいい子ばかりさ。カミル君は唯一の男子だがかわいらしいと僕は思うね。
        聞いているとも。うらやましい限りだよ。二人も、とは。(冗談めかして言う)
        探してほしいものかい? ――聞こう。 -- レーチェル 2013-05-19 (日) 10:22:41
      • カミルもとうとうハーレム形成するまでに至ったか…ようしたカミル、100万年無税
        茶化すな茶化すなー、でも真剣に愛してはいるからな。結婚式には呼ぶぜ。…うし、じゃあ本腰入れて喋るか。2月ごろか、クルガロアの家のあるあたりで――巨大怪物騒動があったんだけど。
        あの怪物を倒したのは実は俺なんだが、まぁそんなことはどうでもよく。…あの後、クルが帰ってこねえ。さらに、俺の持ってる情報だけで言えば、異能が「奪われる」事件が発生してる、と思う…。
        一緒に化け物対峙したダチの斬馬、あとクルの家跡地にいた、イーフィ・ルル…この2人が少なくとも、異能が発現できなくなったらしい。しかも無くなる前に、お互い共通点のある現象を受けててな。
        …まぁ何を頼むかって言うと。クルがどこに行ったか見つけてほしいかなーと。片手間でいいけどな? -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:27:02
      • ああ、そういう巨大怪物騒動は聞いている。あれきりどうなったのかわからないところだったが‥…。
        ――《異能》が「奪われる」? 奇妙な事件だ。異能が無理玻璃発動される事件もあったが、「奪われる」とは。
        ……ある現象? それはいったい、何かな。
        ……あの狼の人か。わかった。探そう。僕としてもその事件には気になることがある。 -- レーチェル 2013-05-19 (日) 10:37:21
      • 奪われてるかどうかは、俺の主観的な感想だ。…クルとは仲良くていろいろ聞いててな、俺の中で、わずかに引っかかることがあって…
        本当はただ無くなってるだけかもしれねぇ。でももしかすると、誰かが奪ってるのかも。そんな懸念を持ちつつ…ああ、現象については、みんな夢の中で白い猫みたいなものを見て、そいつに何か食われるのを見たんだと
        公安の資料探れば見つかるかもしれんが…まぁ、なんだ。身の危険が及ばない程度でいいぜ?俺も深入りするつもりはないしな…
        そんじゃ、なんかわかったら教えてくれや。またな、レーチェル(探偵事務所を後にした) -- パッカー 2013-05-19 (日) 10:43:26
      • 白い猫、か。夢の中――新たな異能犯罪か、それとも――
        僕は輝きを守る。それならば危険も辞さない……何、大丈夫さ、僕にはバリツがある。
        ああ、わかったら連絡するよ、パッカー君。
        (彼を見送った) -- レーチェル 2013-05-19 (日) 11:02:23
  • 雷 -- 2013-05-19 (日) 03:27:27
  • 電 -- 2013-05-19 (日) 03:27:23
  • 王 -- 2013-05-19 (日) 03:27:17
  • 浴衣をご用意したので、よろしかったら肝試しにはこちらで行けたらと思います! -- エル? 2013-05-18 (土) 20:30:50
    • おお、これは良い…極東のユカタだ! ありがとうエル君。これで雰囲気はばっちりだ。これでいくとしようじゃないか。
      輝きの前には魑魅魍魎も無力だ! -- レーチェル@浴衣 2013-05-18 (土) 20:45:19
      • (肝試しの説明を読み込み中)はい、それじゃあ行きましょう!いきましょう! -- エル? 2013-05-18 (土) 21:10:45
      • (二人は会場へと向かった…名状しがたき恐怖、慄然たる怪異が待つかの地へと――) -- レーチェル@浴衣 2013-05-18 (土) 21:11:56
      • (会話順は交互(部長から先)、行き先は旧校舎から……で部長がダイスというお任せ式で!) -- エル? 2013-05-18 (土) 21:30:01
      • (上手くできるかどうかわからんががんばるぞー!) -- レーチェル 2013-05-18 (土) 21:31:58
      • (ぐだぐだでもいいんですよ!と保険をして置く私です) -- エル?@浴衣 2013-05-18 (土) 21:33:44
  • 来月は同行だね、レーチェル。ちょっと不安要素もあるけど私たちが力を合わせれば大丈夫……だよね? -- 雨宮千尋 2013-05-17 (金) 23:07:29
    • ついに僕も知り合いと同行だよ、雨宮君。(探偵事務所にてダーツをしている最中であった探偵)
      当然さ。僕にはバリツがある。君にも力がある。負ける要素がどこにあるのかな?
      例え何かあっても僕が護ってみせるよ、君をね。
      まあ紅茶でも飲みたまえ。(紅茶を差し出す) -- レーチェル 2013-05-17 (金) 23:17:21
      • ……ダーツ、趣味なの? ふふふ、私も大怪我してからの復帰戦だから不安があったけど。
        レーチェルの力強い言葉に元気をもらった感じ。(ソファに座って紅茶を手に取り)
        というより……若干男らしいよねレーチェル。女の子同士なのにちょっとドキッとしたんだけど。 -- 雨宮千尋 2013-05-17 (金) 23:20:06
      • 趣味というか、紳士のたしなみとしてやっているのさ。(ダーツと紳士と探偵の関係は不明である。)
        ハハハ、そうかな? これが僕の自然体さ。僕は輝きを守りたい。君もまた輝きの一つ。だからこそだ。
        僕の事を男子だと思っていた者もいたようだからね。女子らしさがないのは僕も承知のことだ。
        となると、女の子を口説けるのかな? 僕は。(冗談めかして言う)
        そういえば怪我の方はもういいのかな? -- レーチェル 2013-05-17 (金) 23:30:58
      • た、確かに紳士っぽい! それはビリヤード、ダーツ、チェスの三本柱……!
        私も輝きの一つ、か。(目を細めて)…結構濁っちゃうことあるけど、それでも?
        あはは、レーチェルなら男にも女にもモテモテになりそうだからやめてよー。
        うん、丈夫だけが取り得だからね。というか……簡単に死ねる体してないってカンジ。 -- 雨宮千尋 2013-05-17 (金) 23:42:38
      • フフ、僕はそのどれをも修めているよ、千尋君。(紳士的ポーズで)
        ……それでこそ、人間だよ。濁ることがあれども、君は、輝きだ。
        (黄金の瞳で千尋を見つめて言う)
        いやいや、世辞は良い。僕はそんなモテモテになんてなれないさ。特に男は無理だろうさ。
        どうであれ、それならば安心だ。輝きが消えるところを僕は見たくないからね。
        常に輝いていられるのは聖人くらいだよ。人はいつも、何かしらに悩んでいる。だけど、その本質は「輝き」だ。僕はそう信じている。 -- レーチェル 2013-05-17 (金) 23:55:31
      • し、紳士だー!? レーチェル女の子なのにすごい級ジェントルだよ!!
        ……そう。(くすり、と笑って黄金色の輝きを秘めた瞳を見つめ返す)
        あらそう? 前に水着着てた時、可愛かったのになー。男子って見る目ない。
        輝き……か…(しばらく思索に耽り)…ねぇ、この学園都市の輝きを奪う人間がいたとしたら。
        あなたは、レーチェル・ダイオジェネスはどうする……?(それは正義を試す言葉) -- 雨宮千尋 2013-05-18 (土) 00:00:44
      • 僕は英国紳士を目指しているからね。彼のシャーロック・ホームズ氏のような。
        ……あ、あの話はやめにしよう。あれはひと時の過ちだったんだ。(恥ずかしそうにしながら)
        輝きを奪う者――
        ……それは、今更な質問かもしれないね。僕は、行動的探偵となったその日から、そうなんだ。
        輝きを奪う者がいるならば――僕は、許さない。それを、打ち倒そう。輝きを奪うものを、許してはおけない。
        そのために僕は「行動」しているのだから。 -- レーチェル 2013-05-18 (土) 00:08:41
      • シャーロック・ホームズかぁ、本でしか読んだことなかったなぁ。憧れは原動力だからね…
        (やだ、なんだろうこの可愛い生き物。紳士的な態度の探偵と目の前の少女が同じ人物とはとても思えないが、とにかく可愛かった)
        ……そっか。(頬を掻いて)ごめんね、試すようなこと言って。私も同じ気持ちだよ。
        輝きを吹き消す者がいるなら、それを倒したいと思う。この街に生きる人間として、恥ずかしくない行動をしたいといつも思ってる。
        それじゃまた来月、実習でねレーチェル。(会話の途中で飲み終えたカップを置き)紅茶、ご馳走様。 -- 雨宮千尋 2013-05-18 (土) 00:17:23
      • そう、であるならば、僕たちは同志だ。同胞だ。この学園都市の輝きを守るという理念のね。
        いいんだ。僕の想いも示せたことだろう。……僕は、正義の味方になりたい。
        ああ、また、実習で会おう。お互いに何事もなきように、だ。
        良い紅茶だろう? 茶葉を遥か東から入手してね。後ね、僕の助手が淹れる珈琲もまた格別なんだ。
        また来たときは、是非飲んで行ってくれたまえ――…… -- レーチェル 2013-05-18 (土) 00:32:54
  • おい、レーチェル。レーチェル・ダイオジェネス。行動的探偵には少々食い足りないかも知れねーが謎を持ってきてやったぞ -- グリゼア 2013-05-17 (金) 22:55:41
    • やあグリゼア君。グリゼア・クロムドロス君。フルネームで呼ぶのが流行っているのかい?
      (紅茶を淹れつつ、英国の優雅なレコードを聞いている最中であった。グリゼアに紅茶を勧める)
      おや、謎かい? 謎ならいつでも大歓迎さ -- レーチェル 2013-05-17 (金) 23:02:54
      • ちげーよなんとなく真面目な話題だからだよ。お前無闇に優雅だな(紅茶を頂きますして一口、舌を湿らせ)
        あぁ、異能に関して色々と調べてるみてーだからな
        ──例えば。一人の人間が組織のバックアップ無しに、一人の人間とそっくりそのまま、立場や書類上すらも入れ替わる。
        そんな事が、異能であれば可能だと、思うか?
        (琥珀色の瞳が、左右で色の違うレーチェルのソレを真っ直ぐ見据える) -- グリゼア 2013-05-17 (金) 23:06:38
      • 僕は英国紳士を目指しているからね。(少し胸を張って)
        真面目な話か。聞こう。
        ……(黄金色の瞳がグリゼアを見返す。右目のそれは猫のものにもにた黄金だ。すべてを見抜く瞳であるとか、すべての想いをうけとめる瞳などと言われる。)
        ――可能だろう。異能であるならば、おそらくは可能だ。
        僕が調べた異能だと、言ってしまえば神の如き力を持つものもある。人一人が、一つの巨大組織に匹敵する力を持っていることも当然考えられる。
        何もかもを欺いて、自分が人と入れ替わることだって可能だろう。それが、因果律というものを操作するものなのか、それともすべてを欺くものなのか、わからないがね。 -- レーチェル 2013-05-17 (金) 23:24:01
      • えっ うま味紳士。(傾く)
        (そう言えばコイツも黄金瞳。世界の外を観る為の演算装置か、と内心での得心し)
        そうか、可能か。では重ねて問おう。
        ──例えば。入れ替わった人間が死んだと言う物証が残された血痕のみとなり、他の記録は全て改竄されている。
        それが神にも等しい全能の異能によって齎された結果だとするならば、物証すらも残らないんじゃないかと俺は思う。
        ではこの場合、その異能に課された制限はなんだろうな? -- グリゼア 2013-05-17 (金) 23:30:45
      • 何を言っているのかわからないけど絶対に許さないよ。(傾く)
        ふむ、物証が血痕のみか。随分と半端な話ではあるね。
        そう、神にも等しい力ならば、物証すら残らないだろう。事件があった事すら、消せる可能性もある。
        制限、か……それは神には未だ届かぬ力。完全に、事象を消し去ることはできないということだろう。ほかの記録を改ざんできても、人が死んだという事実までは、変えることが出来なかったということだ。 -- レーチェル 2013-05-17 (金) 23:45:31
      • ──では最後に問おう、行動的探偵。
        手元に在るのは改竄された現実としての書類。そして入れ替わった人間の語る内容と書類との齟齬。
        消えた身元不明者(ジェーン・ドゥ)が誰なのかすら分からず、時間が経った殺害現場は定期的に掃除され、花が活けられている。
        虫食いだらけだ。だが……この手掛かりを元に、探偵であればどう捜査する? -- グリゼア 2013-05-17 (金) 23:49:55
      • ……書類と、その入れ替わったものの語る内容の祖語。なるほど。
        で、あるならば、だ。そんな隙を、違和感を、残しているならば。
        やりようはある。それは相手の落ち度だ。全てを消せなかったならば、既に、解決の糸口は見えているのも同じだ。
        行動だ。行動して操作する。その齟齬を限界まで突き詰めるんだ。聞き込みでもいい、資料を徹底的に調べるのもいい。明らかな違和感、その始まりの点を探すんだ。
        異能、不思議な力、恐ろしい力だ。だが、全能ではない。なんでもできるわけじゃない。ならば、事件は解決できる。 -- レーチェル 2013-05-18 (土) 00:05:22
      • (静かに、探偵の言葉を聞く。常の男を知る者であれば、眉を顰める程の不自然な程の真剣さであったのだが)
        ……成程。行動を。
        つぶさに見た時に現れた違和感を掴み取り、行動せよ──、か。
        (長い吐息。ティーカップを手に取り、一口啜って)サンキュな、レーチェル。
        流石探偵。良い指針になった……っと、まぁさっきのは『ただの例題』なんだけどな。 -- グリゼア 2013-05-18 (土) 00:11:04
      • ……そう。行動を。
        いいや、構わないよ。僕の答えが君の輝きに繋がるのならば。(静かに微笑む)
        ほう、『例題』か。つまり、実際にそういう事件が起こったというわけではないということかな。
        しかしグリゼア君……今日は随分と真面目に、どうしたんだい。……何か、あったのか?
        (良い指針になったなどと言われれば、彼を覗き込むようにして言う。) -- レーチェル 2013-05-18 (土) 00:25:07
      • 輝き、ね……
        んや。こんなのは『ただの例題』だ。『推理小説で行き詰まって、現役の探偵に助けを求めた』とか、そんな所だ
        (巻き込む訳には行かないのだ。何しろ、巻き込めば本人のみならず見ず知らずの人間の生命が消える)
        (胸の内でその事を再確認。飲み下すようにティーカップを干して)
        何もねぇさ。『何もなかった事になってる』んだから。だからこんな真面目な俺は此処でお仕舞い。
        ──で、今年の水着はどうするんですかレーチェルくん!!1!11!!
        (仕舞いにした) -- グリゼア 2013-05-18 (土) 00:29:05
  • (彼の《蒸気王》チャールズ・バベッジが開発した、《大階差機関》、《大解析機関》についての本を読んでいる。かなり真剣に読んでいるようだ。)
    (机の上には機関物理学や機関工学などの機関学についての本が積まれていた。)
    異能の科学的制御が出来るか否か……そして、異能を変化させうるか。
    あの総会長との戦いの時のようなことを起こさないためにも……必要なんだ。異能を、真に輝きをもたらす力にするために。
    (カードを取りながら、熱心に研究を続けている。) -- レーチェル 2013-05-15 (水) 23:40:02
    • (かつては碩学を目指した身である。あの《機関の女王》のように。そんな夢は遠い昔に諦めてしまっていたが――)
      (昔魅せられていた機関に、再びレーチェルは触れていた。行動的探偵として、異能を利用し、そして異能を使わずとも使える探偵道具を作るために。)
      光り輝く……雷電であった彼のようになるために…… -- レーチェル 2013-05-16 (木) 00:00:36
  • 巌窟王はちゃんと読んでみたいね -- レーチェル 2013-05-14 (火) 21:31:10
    • …観るのもいいですよっ! -- ピア? 2013-05-14 (火) 22:31:08
      • 確か2話までは見た記憶がある… -- レーチェル 2013-05-15 (水) 01:42:11
      • (あるんだ!?という驚き顔になるが、BOXをよろしく…とCMを挟む抜かりなさ) -- ピア? 2013-05-15 (水) 08:44:06
  • -- 2013-05-14 (火) 21:31:15
    • 万能葱。ふふふ前から出したかった異星からの猫描いたよ もう描きたくない -- わんこ 2013-05-20 (月) 01:32:42
      • この異常な色彩!!! すごい!! 土星からの猫だ!!!
        いいねえ、名状し難いぞ。ウィルバー・ウエイトリィみたいな色彩だ。 -- レーチェル 2013-05-20 (月) 01:34:19
      • ありがとう。クトゥルフモンスター図鑑ドリームランド編だったかの絵とかすごいよね。
        あんなのよう描けんからフィルターだの乗算だのに逃げたよ私。
        ドリームランドいいよね -- わんこ 2013-05-20 (月) 01:36:57
      • そ、そんなのあるのか……それはぜひ手に入れないといけないな。ムーンビーストとかは見たことあるんだけどね。
        いや、これはすばらしい。異界という感じが出ている。ものすごく邪悪そうだ。
        ドリームランドいい…‥未知なるカダスにいるニャルラトテップもいい…ウルタールも、セレファイスも、ランドルフ・カーターも…… -- レーチェル 2013-05-20 (月) 01:47:31
      • もう廃刊になってるのかなぁ 画像検索してでてくるカラフルな絵が収録されてたんですけどね。
        ちなみに奈良に奈良ドリームランドってところが有ったらしいよ -- わんこ 2013-05-20 (月) 01:51:04
      • 古本屋とか探してみるかな。最近クトゥルフ神話関連の本が再版したりとか色々また出てきてるので、復刊とかすればいいな。
        ああ、それは聞いたことがある。つぶれたそうだが…… -- レーチェル 2013-05-20 (月) 02:00:48
      • うん、復刊とかはありそう
        ここ数年TRPGの書籍とか増えた気がするわ -- わんこ 2013-05-20 (月) 02:03:01
      • 朝松健とか菊地秀行のクトゥルフ小説が再版しはじめてるからね。クトゥルフ関係の本もこれからいくつかでるようだ。
        そして僕は今日は寝ます。おやすみなさいわんわん。星の猫はほんと良い…インガノックのクリッターっぽい外見してるので是非絡んでみたいですね。 -- レーチェル 2013-05-20 (月) 02:10:05
      • はいおやすみー よかったらペロペロしに来るよ
        異能食べちゃうけど -- わんこ 2013-05-20 (月) 02:16:40
  •   -- 2013-05-20 (月) 22:20:42
  • おう黄金瞳、ふらついとるようじゃの -- 義光 2013-05-20 (月) 23:50:16
    • 出たな…思弁実践的探偵部… -- レーチェル 2013-05-20 (月) 23:51:30
      • 妖怪みたいに言うなよ!?来月ごろどうだ、黄金瞳の坊主 -- 義光 2013-05-21 (火) 00:07:26
      • 残念ながら僕は男じゃないんだ。女子さ。
        わかった。来月なら僕も大丈夫だ。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 00:10:43
      • ? うn、来月頼むぞ。何を頼むのかはさっぱりだが。 -- 義光 2013-05-21 (火) 00:12:27
      • 何を不思議そうな顔をしているんだい…?
        ああ、こちらからもよろしくだよ、探偵君。君との邂逅だ。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 00:15:04
      • そろそろぶっ叩かないといけない時期じゃないかなとも思う。 したらな。 -- 義光 2013-05-21 (火) 00:22:36
      • ――さて、どうなることかな。
        それでは、また。来月に。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 00:42:24
  • -- 2013-05-21 (火) 18:02:37
  • まぁね、なんというかアレなんですよ。ぶったたくとか言いましたが要はあれです。君のやりたいことを進めないか、ということなんですよ… -- 義光 2013-05-21 (火) 20:48:49
    • スーパー曇らせ展開になるのかとおもったよフフフ。
      いや、協力してくれるならば実にありがたい話なのだ……! 僕もやりたいことをすすめたい -- レーチェル 2013-05-21 (火) 20:55:51
      • 曇らせるだけどか誰かの好みではないしね。
        遅れましたが、端から見ててもこう、やりたいこと全くできていないように見えたもので。おせっかいでなければ、協力したく思います。
        黄金瞳であることも、異能も、あらゆるやりたいこととして書き込んだことが何一つ活かされていないのは、なんかこう…このままでいいのか!?よくないだろ!?と思いまして、思いました! -- 義光 2013-05-21 (火) 21:22:41
      • 是非協力していただければと思います…! ありがとう魔導探偵…!
        自分が色々動かなかったせいではあるのですが、やっぱりスチパンできるいい機会です。ほんとはすごくやりたい。
        お願いします…!! -- レーチェル 2013-05-21 (火) 21:40:35
      • 1人でやることもできるが、趣旨を理解できて手伝える人がいればよりスムーズだし、あとその、2週だし…14日だよね…
        ではよろしく遊ぼう。あとあれだ、やる事をある程度くみ取ろうとはするけどエスパーじゃないんでもしこっちがいい、とかこうしたいとかあればバンバン言ってくれよな!
        ではいこういこう -- 義光 2013-05-21 (火) 21:45:38
      • 了解でーす。あんまり相談しながらとかやったことないけど、随時相談しますね!
        よろしくお願いします。 -- レーチェル 2013-05-21 (火) 21:49:46
      • なるべくこう、組んで逐一相談しなくてもいいぐらいには臨むつもりだけど、それでも祖語が生じることはあるからね…だばだば -- 義光 2013-05-21 (火) 21:51:37
      • このままだとなんか危うそうなので、心的に狙ってみました。まずはスタート地点というか、なんかそれ。 -- 義光 2013-05-22 (水) 00:04:35
      • いいねえ……こういう一回落とされるというのはやりたかった。やはり憧れではダメなのだ…ヒーローに憧れる少年なのだ‥
        まずはスタート地点! -- レーチェル 2013-05-22 (水) 00:10:20
      • ここから土台作って発展させていこう!城を建てるがごとく!それじゃ今回はここで、おやすみー -- 義光 2013-05-22 (水) 00:14:55
      • ありがとうございました!! おやすみなさい! -- レーチェル 2013-05-22 (水) 00:15:23
  • -- 2013-05-22 (水) 00:54:22
  • (色々ネタが結び付けそうなので相談のために待機) -- 義光 2013-05-23 (木) 21:00:53
    • 遅くなりました。帰宅しました。 -- レーチェル 2013-05-23 (木) 22:51:24
      • というわけで、というかなんですけど、チクタクマンとの結び付けるには…とか色々考えてたんですが
        そちらの一人遊びというか、回想みてて思ったんですけどこれのそもそも信憑性はどこに、とか
        考えてたらそもそもチクタクマンと出会っていて、なぜ今も存在しているのにレーチェルはそこへ向かわず統治会等に向かおうとしているのか、とか疑問がわいてきましてね。
        そこから考えたらそもそも世界介入も行われておらず…全ては彼の掌の上、とか思いついたんですが
        どうでしょうねこの先の話としては -- 義光 2013-05-23 (木) 23:15:14
      • 自分で一人遊びしているなかでは特に想定していなかった展開ですが、面白いと思います。
        レーチェルが何らかの恐怖麻痺的なものを掛けられていて、それが逆にレーチェルの恐怖を消して、戦いに赴かせていたとかは考えておりました。
        それがさらに発展した感じですね。
        チクタクマンによるレーチェルを統治会に向かわせるための自作自演という感じになりますね。白い男を騙った誘導暗示ですね。
        黄金瞳はその偽を見抜いているけれど、レーチェルはまったく気づけていないという。それに何かが起こってて気づくという感じになりますか。
        白い男との別れみたいな。 -- レーチェル 2013-05-23 (木) 23:29:55
      • 折角黄金瞳があるのにサプレスの影響で…チクタクマンの存在とも絡めて、そこらへんを回想させて引き出せるかなとか云々
        他の人とのお話もありましょうし、レーチェル君の、心の準備ができたらこちらまで来ていただければ云々みたいな、な。 -- 義光 2013-05-23 (木) 23:33:26
      • 了解いたした、折角の設定が使えるというのはありがたい。
        準備出来たらそっちに行きますね。 -- レーチェル 2013-05-23 (木) 23:35:11
  • -- 2013-05-24 (金) 22:08:01
  • し、しんだ。きっとウソイ君との戦いでぼこぼこになったんだろう -- レーチェル 2013-05-24 (金) 22:30:13
    • ソ、ソンナコトナイヨー……僕は発破を掛けに来ただけなんだけど、なんかすごい泣かしちゃった。仕方ないから優しくしてあげるね -- ウソイ 2013-05-25 (土) 21:01:50
      • 突然の優しさに驚きを禁じ得ない……! 疑ってしまう! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:19:43
      • ここからの大逆転を、僕はまっているよ。大丈夫君なら出来る(棒読み -- ウソイ 2013-05-25 (土) 22:36:48
      • 黄金瞳がーっ!! おまえーっ!!
        直前までの優しさはーっ! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:40:36
      • 勿論、全部 嘘だよ -- ウソイ 2013-05-25 (土) 22:44:34
      • おまえー!! こ、この現象は嘘なのか……? この嘘を見破れるのかレーチェル……!! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 22:54:19
      • 既に黄金瞳っていう答えは持っているんだ、いけるいける -- ウソイ 2013-05-25 (土) 23:07:17
      • 開眼せよ……! 開眼せよ……! -- レーチェル 2013-05-25 (土) 23:10:54
  • -- 2013-05-26 (日) 00:36:11
  • さてさて、ベルトはどうするかね。細かい仕様等は君に任せたほうがよさそうではと思っているが -- ロジャー 2013-05-26 (日) 20:44:21
    • 作ってもらえる! という流れになりましたし、こちらで細かい仕様は決めようと考えておりますー。
      どう登場させるかですね -- レーチェル 2013-05-26 (日) 21:08:43
      • 完成したよ、としてレーチェル君が注釈というか解説をいれるのはどうだろうかな。 -- ロジャー 2013-05-26 (日) 21:09:32
      • 性格には完成したので届けに来て…みたいなだろうか -- 義光 2013-05-26 (日) 21:16:38
      • ああ、それがいいかもです。それならばこちらで説明すればいいですし -- レーチェル 2013-05-26 (日) 21:16:48
      • ではいこういこう -- ロジャー 2013-05-26 (日) 21:17:12
      • 話の展開上色々変わるかもしれませんが今はこれで! -- レーチェル 2013-05-26 (日) 21:59:22
      • つまりアップデートということですね -- ロジャー 2013-05-26 (日) 22:19:34
      • 良い案だ。そう、アップデートだ! -- レーチェル 2013-05-26 (日) 22:24:42
      • では、このように。カチコミ欠けるときとか、次のイベントはどうするかな。来週の中ごろに…? -- ロジャー 2013-05-26 (日) 22:57:25
      • そうですね、中ごろが良いかと思います! 次ぐらいで何かしら動きを出したほうがいいですね。 -- レーチェル 2013-05-26 (日) 22:59:25
      • 始めてしまえば、レーチェルくんでなんとかできるだろうしね。水〜木あたりにいきましょうか、時計人間のところに。 -- ロジャー 2013-05-26 (日) 23:07:34
      • そうしましょう。展開も考えておこう…! -- レーチェル 2013-05-26 (日) 23:08:58
  • -- 2013-05-27 (月) 22:07:53
  • ドーモ、ドーモ。ところで今後の予定の進行状況はどんなものでしょう。 -- 義光 2013-05-30 (木) 21:57:23
    • ドーモ、義光=サン。マシンベルトは手に入れたので、チクタクのところいって戦ってっていう感じですかね。
      その戦いで真に黒幕が現れてという感じでしょうか。最終的には大鐘楼の上で決戦とかできればなと。
      黄金瞳とか異能が戻るのはウソイ君のところいって、戦った時にできればなと思います。
      残り日数も少なくなってきたので考えていかないとですね。 -- レーチェル 2013-05-30 (木) 22:09:31
      • ドーモ、レーチェル=サン。サポートが必要なら、と考えているんですがどうでしょうね。
        チクタクのところは私が動かすわけにも、ですしウソイ君とかのほうはそちらで云々ですし
        というわけで以後僕が出る?お手伝いするときはチクタクのところに行く時円滑になるように、ぐらいでしょうか…? -- 義光 2013-05-30 (木) 22:52:57
      • サポートあればありがたいです!! ウソイ君のところはこちらで行きますので特に問題はないです!
        チクタクはこちらで一人二役やるので大丈夫でしょう。
        ちょうど解説訳とかもいることですしサポートしていただけるとありがたく思います! そうですね、そういう感じになるかもです。 -- レーチェル 2013-05-30 (木) 22:57:05
      • 了解しました。それでは、解説とか何かこう、円滑に進められるようなあれでそれで。ではチクタクにカチコミかけるときにまたお会いしましょう…それ以外でもまた、はい。 -- 義光 2013-05-30 (木) 23:00:22
      • ええ、よろしくお願いします! それいがいでもまた!! -- レーチェル 2013-05-30 (木) 23:05:54
  • -- 2013-05-31 (金) 19:18:12
  • はじめての冒険でキツネが同行していたことをお知らせ…っておちてるしー! -- キツネ 2013-06-02 (日) 20:51:47
    • 大丈夫だ、《世界介入》して復活したよ -- レーチェル 2013-06-02 (日) 20:52:50
      • ではキツネが一声コーンと鳴いた -- キツネ 2013-06-02 (日) 21:01:22
      • むっ。これは……あの時実習で一緒になったキツネか。
        いや、獣人ではなく本当にキツネが冒険をしているとはびっくりだったよ。 -- レーチェル 2013-06-02 (日) 21:27:45
  • -- 2013-06-03 (月) 02:01:56
  • 何故か男性と書きたかったところを女と書いてて今直したjけど見なかったことにしてくれよな! -- レーチェル 2015-02-13 (金) 00:49:30
    • 異能の仕業ですな。レーチェルも気付いているとおりマリー=セレストは潜在的なライバルでもある。てごわいぞ! -- ジルベール 2015-02-13 (金) 02:56:08
      • 見た目はお嬢! 頭脳は三下! その名は! -- #4*8*** 2015-02-23 (月) 22:42:06
      • 思った以上に口が悪い!! レーチェルの卑怯な《奇械》の力と機械帯で変身しました。さてこの場はどうなるか! -- レーチェル 2015-02-23 (月) 23:06:48
      • 世が世ならこれでも深窓のご令嬢やってたんだぜ。落第街でこの歳まで生存競争繰り広げてたらこうもなろうなのだ…。 -- #4*8*** 2015-02-24 (火) 01:36:01
      • 歪み……おのれ学園都市の歪みめ!
        レーチェルもだいぶ青いのでなんかあれかもしれない。うまくいえない!! -- レーチェル 2015-02-24 (火) 02:30:16
      • こんなチビっこステゴロならイチコロなんだぜ。来いよレーチェル! 異能なんか捨ててかかってきやがれ! -- マリー=セレスト 2015-02-26 (木) 00:33:01
      • アッ、なんかそのまま逃げたことにしてしまった!! そのまま追ったほうがよかったかな…! -- レーチェル 2015-02-26 (木) 00:37:08
      • べつに? ただまあ、もうちょっとだけ続くんじゃよ。 -- マリー=セレスト 2015-02-26 (木) 00:39:59
      • キャットファイトはまた次回だ。最後のはモノローグ的なアレだからあのままでいい。おつかれさま、名探偵。 -- ジルベール 2015-02-26 (木) 01:00:41
      • ジルベール!! 探偵は事件が起こった後にしか動けないというのはレーチェルの悩むところなのであります。そしてまだ学園都市の落し子の現状も知れていない。
        次が楽しみだ! こう、上手く乗せられた感じがあるね! -- レーチェル 2015-02-26 (木) 01:05:01
  •   -- 2015-04-12 (日) 21:11:27

Last-modified: 2015-04-14 Tue 01:23:36 JST (3301d)