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    • 【語られなかった物語】

       長い歴史の連続からみれば西爛戦争もかつて数多あり、そしてその先も繰り返され続けた
      戦いの中の一つでしかない。
      だがその4年余りの間に物語は夜空の星の数ほど生み出された。歴史的な事実として史書に
      残された物、あるいは多くの人々の間で語り継がれる事になった物。
      そしてそれら燦然と煌く一等星のような物語の側を無数に取り巻く、儚く灯った語られざる
      物語が多くあった。
       存在の確かさを得ることも難しい光ではあるが、それは確かに闇ではない。

       (黄金暦227年10月、押し迫る連合軍の大部隊を前にアトル・イッツァは静けさに包まれていた。)
      (議論も脱出しようとする者たちの混乱もすでに終わっている。)
      (煉瓦と土壁の細長いビルのような建物が立ち並ぶアトルの街は、あちらこちらに居並ぶ兵士の)
      (姿がなければ平時のそれと変わらなかった。)
      • 結構人残ったなー、ぶっちゃけ半分以下になってもしょうがないかなって思ってたんだけど。
         (特別な鳥舎の設置されたビルの屋上から赤くなりはじめた陽射しに照らされる街を見下ろし)
        (ながらシャンタクァは言った。)
         (10月下旬だというのに、暑い日が続いていたが、夕暮れが来ると急激に気温は下がっていく。)
        -- シャンタクァ
      • (屋上に登りシャンタクァを見つける。ここだと思った、地上に足で立っている時でも彼女は高い所が好きだと言う事を知っていたから。)
        飛爛……
        (大勢の前でなければシャンタクァとは呼ばなかった。飛爛がシャンタクァとなってからはけじめと言うか、統率面で迷惑をかけないように呼びかけてはいたが、フェロミアにとっては飛爛は飛爛なのだ)
        そろそろ寒くなる、中に入るか……これ着て(上着を持って隣に歩み寄る。兵士の士気は高いがこの後起こると予想される戦いは厳しいものになるはずだし、飛爛もそれは分かっているだろう。それでも夕日に翳る町は綺麗だった) -- フェロミア
      • さんきゅーフェロミアー
         (上着を受け取って羽織る、少し強くなってきた埃交じりに持ち上がる黒髪を上着の襟で押える)
        (ようにして肩にかける。)
         (のそりと、屋上の縁に掴まって羽を畳んでいたココロアが二人の風上にたつように腰をおろ)
        (した。)
         (しばし無言のまま、離れたビルの屋上にある発着場へと舞い戻るシャツァル編隊の影を)
        (みつめている、千羽を越える数がいた鳥達もすでに見える影は往時の3分の1に満たない。)
         (彼女の憂いを孕んだような空色の瞳は多く散っていった者たちと、今また自らの名のもとに)
        (死地へと追い込んでいる者たちを思って悲しんでいるようでもあり…。)
         そういやフェロミア、私が名前変えたあともずっと飛って呼ぶよね。
        (全然別のことを考えていたようだ。) -- シャンタクァ
      • うん
        (上着を羽織るのを手伝うが特に何を語る事もない。風景の美しさなど言わなくても分かる事だ。そして戦況の厳しさも。)
        (それでも何を考えているのかも少しは伝わってくる気がした。悲しさだったり、心配だったりだろうと思う。ただ、不思議と不安そうには感じなかった……)
        (当然である、そんな事考えてなかったのだから)
        えっ
        (思い切り推測を外されてショックだったりびっくりしたりして少し口ごもるが、疑問には答える)
        シャンタクァは国の為の名前でしょ?私の為にいるのは飛爛で……飛爛の為にいるのが私だから
        (自分は個人に付き従っているのであって国の為戦っているのではない、と伝えた所で仕方のない事ではあるが、口に出す事で自分の立場をはっきりさせておきたかった。例え国としては負けても飛爛の望みの為に戦う、と言う事を) -- フェロミア
      • うむっフェロミアはいい子だなぁ!
         (いい笑顔で笑いながらシャンタクァ、いや飛爛はフェロミアの頭をなでくりまわす。)
        (相変わらずさらさらと軟らかくて手触りのいい髪の毛だった。)
        …本当に、あなたと出会えてそうしてここまで一緒にこれてよかったよ。
        -- 飛爛
      • またそれ……(少し照れの混じった不機嫌そうな表情。頭を撫でられる度にこんな顔になっては来たが、逃げた事や拒否したことは無かった。もしも理性で抑えられない尻尾があったならばたばたとちぎれんばかりに振り回していたのだろう)
        ……台詞取られた
        (ぽつりと呟く。自分としてはこちらが勝手についてきただけと言うつもりでいた。でも最近は一緒に来たんだと思えるようになっている。思い上がりだろうか?と思う事もあるが飛爛の笑顔はそんな不安を消し飛ばすには十分だった。だから一方的に宣言も出来る)
        ここまで来れたし……これからも、一緒に行くから -- フェロミア
      • うん…
         (フェロミアの言葉に頷くと、彼女は羽織っていた上着で二人を包むようにして寄り添った。)
        私は与えられた名前で多くの人を戦いに誘って、沢山死なせた。そのことを忘れる気はないけど
        それでも、私のことを誰でもない、ただの飛として 覚えていてくれる友人は数えられるほどしか居ないよ。
         (それが嬉しいんだと、彼女は言う。一方で聖女とも魔女とも呼ばれ、混沌を招いた根源であり)
        (形のない希望をその姿に見せる、カリスマとしての彼女とは違うただの見た目相応の小さな少女)
        (のような言葉だった。)

         (だがその言葉は決して気弱からでた言葉ではなかった。誰よりも自分を信じてくれる相手に)
        (だからこそ、誰よりも信じられるからこそ、彼女は希望を託そうと決意したのだ。)
        フェロミア…お願いがあるんだ、ここから脱出してスリュヘイムへ飛んで欲しい。 -- 飛爛
      • 私には、そんなのどうでもいい
        (飛爛の肩に頭を預けて呟く。こう言うときは普通の人間では無い事がありがたかった。尋常な価値観であれば「シャンタクァ」の所業はきっとわだかまりとなったのだろうから。)
        飛爛は私に心をくれた。友達をくれた。居場所をくれた。欲しいとも思わなかったものを欲しいと思わせて、全部くれた。
        名前や体は誰から貰ったか分からないけど……それ以外は殆ど、飛爛がくれたものだから
        (だから自分の命でそれに報いる覚悟はあった。聖少女騎士団の皆や飛爛の部下たちにも負う所はあったが、彼らに不義理を働いてでも、だ)
        うん、何でも……(何でも言って欲しい、と言おうとして絶句する。ここに来て戦場を、飛爛のそばを離れろと言うのだから)
        な、何で……私、役に立つから!(喜びつつもクールな笑顔から一転、捨てられて元飼い主が去る寸前の子犬のような半泣きの顔になる。場所の指定なんて聞こえてはいなかった) -- フェロミア
      • お願い聞いて…フェロミアにしかお願いできないことなんだ。
         (取り乱すフェロミアの手を握って、飛爛はやさしくあやすように微笑みかけた。)
        カマルとラフェニアをここから逃がしてほしい。
         (その名は去年の夏に、このアトルで生まれた少年と、彼の翼として対の兄妹と)
        (なったシャツァルの雛の名だった。)
         (もっと早くに安全な場所へ移すことも計画されていたが、雛の体が長旅に耐え)
        (られるようになるのを待っている間に状況は加速度的に逼迫していたのだ。)

        色んな理由はあるんだけど………あなたぐらいにしかもうわがまま言えないしさ
         (苦笑いだ。大事な事を言うときほど本当に彼女はいつも飄々としている。)
        今離脱させたら、あなたも私も危ない事になるのはわかってる………
        連合の司令官は一切の区別無く私達を焼き尽くすつもりなんだ。だから、
        もしも私が負けてしまっても、手の届かない場所に連れて行かないといけない。
         (生まれてきた雛はたしかにこの地に生まれた最初の雛であり、重要な存在だったが。)
        (雛もそして乗り手に選ばれた赤子も、もっとも適正が高かったという以外、理由や意義)
        (は存在していなかった。彼らはあくまで重要な実験結果の一つにすぎなかったのだ。)
         (状況が切迫した今、彼らを助けるためだけに避ける余裕は無いというのが現状だったのだ。)
         (いっそ、私かココロアが赤ちゃん産んでればよかったんだけどね、などと冗談ぽく飛爛は)
        (付け加えたが、その言葉の端にはつよく苦悩が滲んでいた。)
        -- 飛爛
      • 逃がすって、言ったって……
        (飛爛の言う事が分からない。今更子供と雛を助けた所でどうなる?それよりも飛爛の助けになりたい、ただそれだけで)
        私が危ないのはいいし、飛爛のお願いなら叶えたい……でも私には飛爛があの子達を助けたい理由が分からないし、飛爛の側にいたい。一緒に戦いたい。
        こう言う時、本当に友達なら、どうすればいいの?友達が危ないのを分かってて行けばいいの、それともお願いを断ってでも一緒にいればいいの……
        (これまででもあまり経験がないくらい感情が溢れてくる。それは言葉になって口から流れ出していった。せめて命令してくれればとも思ったが、飛爛はそんな事はしないだろう)
        (そう、いっそ飛爛の子供とだったら恐らく何処まででも逃げた。種の保存と言う生物の本能は理解しているから。だがまだ、憐憫や自己犠牲、または罪滅ぼしと言った機微は分かっていない)
        ……教えて。他の誰でも、国でもなくて、飛爛の為になるのはどっち?飛爛が自分の為にこうしろって言ってくれれば、私はその通りにするから(手をきゅっと握り返し、涙を溜めた目で飛爛の目を覗く。結局命令を求めているような気はするが、自分だけでは判断できなかった。どっちの選択肢を選ぶにせよ、何かを犠牲にしてしまう予感があった。彼女の役に立てるのは自分だけだと言う自負も。) -- フェロミア
      • (強く手を握り、涙目で見つめるフェロミアの手を引き寄せると、ぎゅっと抱きしめた。)
        あのね、フェロミア…私はあなたに死んで欲しくないんだ…だけど、私が今この国を…
        希望を信じた人達を見捨てるわけには行かない…ぜったいに見捨てちゃいけない…
        クルおじい様も、一緒にシャツァルの乗り方を教わったヤワルもユパンキも…那岐李も…
        みんな死んじゃった…。
         少しだけ…救いが欲しいんだ…ごめんね、ほんとにただのわがままで…。
         (危難の時にあって、けっして結束を緩めない人々が絶対的な希望として信じる王は)
        (ほんの少しだけ、自分のための希望が欲しいと涙ぐみながら呟いた。)
        戦いで死んで欲しくない命を…今はひとつでもいい、守って欲しいんだ…お願い。 -- 飛爛
      • (抱きしめられたその瞬間の姿勢のまま黙って飛爛の言葉を聞いていた。例えば自分が飛爛だったとしたら、こんな風に考えるだろうか?付き従われた事もない身には責任や後悔は想像もつかない)
        (それでも飛爛の声が、手に篭る力が、悲しみと願いを伝えてくる。飛爛が心底「救い」を求めていて、今は自分しかそれをもたらせないのなら。)
        ……分かった
        (繋いでいない片手をあげて飛爛を優しく抱きしめる。いつもは自分がされる側だが頭も撫でてやった。)
        スリュヘイムの、どこ?準備できたらすぐ飛んで……届けたら、またすぐ帰ってくる
        (少し体を離して飛爛の涙を指の甲でそっと拭う。指に光る涙を自然に唇に吸い取って、今まで一番の笑顔を浮かべた。これまで貰ってきた心の活力を返すなら、今をおいて他にない)
        それまで、待ってて -- フェロミア
      • フェロミア………ありがとう、そうだね少し弱音言い過ぎた。
         (飛爛は流れでた涙を今度は自分の指でぬぐい、慰めるような優しい手つ)
        (きに少し照れたように笑った。)
        私はきっと負けない…うん、ぜったい負けないから…。
         (今度こそしっかりと笑ってそう言うと、ココロアに合図を送って頭を下げさせた。)
        (その羽毛の中に埋もれるように付けられていた金の鎖で繋いだ蒼い雫型)
        (の宝石を外すmそしてそれと同じ形をした宝石をもう一つ、自分の髪飾り)
        (から外す。) スリュヘイムのエルネスト・レーヴェンフックっていう騎士の所に行って欲しいの
        彼はまだこっちの方に居るかもしれないけど、10日くらい前に砂漠で会ったから。
         (そういいながら二つ蒼い雫のついた髪飾りを二つ、ネックレスのようにフェロミア)
        (の首にかける。) -- 飛爛
      •  (これは?と聞かれるまえに飛爛は答えていた。)
        シャツァルと兄弟となった人は二つで揃いの物を色々作るんだ。私とココロアの場合は
        腕輪と…この髪飾り。
        (ネックレスとしては少々長いその髪飾りをフェロミアにかけた。海のように蒼い宝石)
        (の中にはどのような技で刻んだのか、飛爛の一族を示す複雑な象形文字が浮かんでいた。)
        翼を持つ姉妹がココロア
        翼を持たない姉妹が私
        鰭をもつ姉妹がフェロミア
        …これで、ずっと一緒だよ。
        (フェロミアの首にかけた二つの宝石は飛爛の小さな手の中で残光をうけて輝いていた。) -- 飛爛
      • (急いでいた。が、突然かけられた宝石にしばし気を取られる)
        (空と海の色をした宝石はなるほど自分達にふさわしい、そう思った。本当に貰ってもいいのかとか、ずっと一緒なのは嬉しいとか、自分の貧困なボキャブラリーを駆使して伝えたかった)
        ……うん!
        (だが今はそれをしている場合ではない。離れていても一緒だと言ってくれた友人の……姉妹の為に、飛ばないといけないのだから)
        (大きく頷いて準備に向かう。飛爛の事だから赤ん坊と雛の準備は整っているのだろう、鎧を着ながら場所と最短ルートの確認をしたら後は飛び立つだけだ)
        じゃあ、また後で
        (もう一度抱きついてから踵を返して走り去る。振り向いて手を振る時間すら今は惜しい、1秒でも早く無事に届け物をして、再び戻ってくる。それだけの為に、少女は走った) -- フェロミア
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  • てってす -- 飛爛
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  •  (那岐李達、新カタクァの地上部隊のほとんどが海上にて壮絶な最後を遂げた2日後のことだ。)
    (シャンタクァに率いられた生き残り…1000に満たない数の兵士達がアトル・イッツァの街へと目指)
    (して敗走していく。)

     (まだ飛ぶ力を残していたシャツァル達は力尽きてしまう前に、運べるだけの怪我人を乗せて)
    (先行していったが。)
     (傷ついた兵士や飛べなくなった鳥までを連れての行軍は、荒野を飛び越えるというわけにも)
    (いかず、統一連合の目を避けるように焦りながらも鈍行を強いられる。)

     (そしてその隊列の中にシャンタクァとココロアの姿もあった。本来ならば真っ先に逃がされて)
    (然るべきだったが。それでも彼女には生き残った兵士を、翼を引きずるようにして隊列に続く)
    (鳥達を何の助けもなしに荒野に置いて行くという選択肢は無かった。)

     (そんな中での出来事だった。疲れきった彼女達が砂漠の民が仲間内で密かに伝えあう秘密の)
    (井戸にたどり着き、やっと一息ついた時に彼らと出くわしたのだ。) -- 2012-09-13 (木) 01:17:25
    • (第704戦術試験部隊。スリュヘイム汚染公領の擁する、新兵器・戦術を実戦で運用評価するための遊撃部隊―)
      (統一連合・新カタクァ制圧本隊とは命令系統と思惑・勿論布陣も別にするが故の、偶然の邂逅である)

      (そして、偶然とは重なるもので)
      …シャンタクァ
      (巨鳥・ココロアの、見事な空色は、遠目にも見紛うはずもない。恐らくはこの騎士の、白く輝く竜鉄の鎧も―彼女には見えているはずだ)
      (状況は複雑である。公国が一枚噛んで成立を目論んだ新カタクァは 予想以上の西側の反発にあい、大規模な制圧軍が編成されるに至った)
      (公国はもちろん統一連合の構成国家のひとつである。こうなれば表はおろか裏からの支援も難しい…)

      (騎士の理想は揺るがない。空の女王の、持つ夢もまた揺るぎはしない)
      (しかし、戦場で。ひとつの戦闘単位として、出会った以上は―)
      やあやあ我こそは統一王朝が騎士!エルネスト・フォン・レーヴェンフック!! -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 01:38:42
      •  (敗残兵を抱えての逃走中、現れたのは見まがえようもなく、時代錯誤など微塵も意に介さず)
        (むしろ我こそが歴史であると言わんばかりにヒロイックな鎧姿の騎士であった。)

         (その姿に兵士達は一度は密約を取り交わしたスリュヘイムの彼らが、最早味方ではないとい)
        (う事実を突きつけられ、騒然とした。)
         (だが、兵士達の誰よりも早く、心を繋いだ蒼き翼に飛び乗ったシャンタクァはすぐに名乗りを)
        (返す。)
        先王シャグナ・カルパのひ孫、カルパ族長!レニ・カタクァ(新たなるカタクァ)の王シャンタクァ!
         (ココロアの翼が広げられた、砂塵がその羽から払い落とされ。俄かに砂煙に霞む荒野の太陽を)
        (受けて、蒼穹を移したようなその翼は一層蒼く輝いた。)

         (兵士達を手で制して一歩前へと進みでる。ココロアの鞍につけていた黄金の投槍を手に、)
        (その足に装飾を施された弧を描く虹のような黄金の刃を履いて、彼女は高らかに名乗った。)
         (潰走中の敵を取り囲み襲撃するのではなく、ただ一騎名乗りをあげた彼の騎士道精神に)
        (賭けたのだ。)

        私達はこれからアトルの街に戻らなければならない、そこを通して!
        -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 02:06:33
      • 貴殿らの境遇、察するに余りある
        (ここを抜ければ、アトル・イッツァは目前。先を急ぐ彼女らに、障害として立ち塞がる…それは、公国としての完全なる敵対を意味するが)
        新王シャンタクァ!統一王朝の騎士が御相手いたす…見事儂を打ち破り、道を掴んで見せよ!
        (同じく白銀色の騎馬が、背に乗せた騎士と、長槍を振り立て嘶く)

        (不死兵に、連絡官、術者ら…公国の利益を最善に行動する者らを後方に控えさせ、一騎打ちにて突破の如何を決する)
        (実に単純明快な、お伽噺じみた…状況が、現出する)

        ハイ・ヨー!暁號!
        (マスケット銃―長槍を、旋風のように振り回し。離陸を狙い、まっすぐ突撃) -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 02:23:45
      •  (翼の無い姉妹を背に乗せたココロアは、言わずとも心が通じ合っているかのように翼を羽ばた)
        (かせた。砂塵を巻き上げ、他のシャツァルのように長い滑走も必要とせず。銃槍の切っ先を掠め)
        (て舞い上がった。)
         (空を垂直に翼が昇った。まるで鉤爪で宙を掴んで駆け上がっていくように。)
        通らせてもらうよ!
         (そして騎士の頭上で巨大な翼が太陽と重なった瞬間、鋼の鎧をも引き裂いて来た鉤爪が一直線)
        (空から降り落とされる!)
        -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 02:37:08
      • 通らせはせんさ!(空振り。切り返して天を突いた時には、舞い上がる翼はもう高く)
        …相変わらず見事なものよ
        (悠長に眺めている暇は無い。天を掌握し、自在に飛び回るココロアとシャンタクアに対し、平地で騎馬が機動力に勝る道理はない)
        (よって狙いすました急降下を避けることは叶わず)
        よしんば、通った先に何が待つというのだ!(しかしまた。竜を鉄に封じた当代最強の鎧を、切り裂くことも叶わず)
        (左腕の手甲を掴まれ、締め上げられるままに問いかける 長槍の、射程内だ―) -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 03:04:04
      •  (ココロアの鉤爪が掴んだ騎士をそのまま空へ連れ去るかと思われた。)
        (だが騎士の竜鉄の鎧もその騎馬も規格外の超重量なのだ。如何にカタクァ最大の翼でも持ち上)
        (がるはずが無い。)
         (逆に地面に引かれて翼が揚力を失う前に鉤爪の拘束が緩んだ。再びココロアが上昇をはじめた)
        (瞬間、ココロアの背からシャンタクアが飛び降りた。)
        希望だ!まだ希望は潰えてはないんだ!
         (だから彼女は行かねばならない。それは今まさに包囲されようとしている同胞を彼女の言葉に)
        (従った者たちを待ち受ける末路を見過ごすことは出来ないというような、悲壮な声は含んでいな)
        (い。誰に責任を求めるでもなく、彼女は今もまっすぐに自身の見た理想の空を見据えていた。)

         (返す言葉を気合に代え、落下の途中で騎士とすれ違い様に黄金槍が長槍を持つ竜鉄騎士の手め)
        (がけて振るわれた。) -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 03:20:11
      • (交錯。黄金槍は、鎧を突き通さずとも…関節部に食い込んで、その駆動を止めていた またも、至近距離にて睨み合う形)

        希望は、彼等の希望こそは貴殿そのものであろう!
        (死地へと向かうこと。それ自体をよしとせず…彼女さえ生きていれば、それが希望となる)
        (そんな論調も、確かにある。シャンタクァが率いる民は、彼女を旗頭に団結している)

        公国へ亡命するのだ、シャンタクァ
        (レニ・カタクァ一派を国民自ら追い出した、とあれば…彼の地での、殲滅戦は避けられよう)
        (人質同然とはいえ、性急な決戦を避け 国外で西側諸国とパイプを築き、統治体制を固める―)
        (レニ・カタクァが国として揺るがせぬところまで大きくなれば。必ずや、彼女はまた国民に望まれるのだ) -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 03:40:10
      •  (その言葉は一つの正しい解答だった。シャンタクァも王を名乗るものだそのくらいの政治の機微は)
        (すぐに理解できた。)
        …それは、できない
         (しかし否定は迅速に行われ。騎士の間接に食い込んだ槍から手を離した彼女は宙を蹴るように)
        (飛び上がると、足に履いた二つの刃で騎馬と騎士の鎧を蹴り付けて斬り付けた。)
         (一瞬の間に行く筋も散った火花が互いの武具に反射して瞬く。)
        (暁號の頭の上に鳥のように着地した彼女の頭上を、ココロアがタイミングを計るように加速し)
        (円を描きながら滞空している。)
         互いを信じられなかった人々がやっと一つに集った新しい国は赤ん坊だよ。
        今母親に見捨てられたら、彼らはきっともう二度と何も信じられなくなる
         (吹けば消えてしまうような、希望の灯火。生まれたての雛のように脆弱なそれは、今一瞬でも)
        (独りにされることに耐えられはしないと、彼女は直感していたのだ。)
         (それは、けっして打算や駆け引きからでは生まれようも無い、無茶で無謀な反乱を世界に)
        (起こした張本人だからこそ、分かりえる事でもあった。) -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 04:02:44
      • くくっ…!
        (防戦一方である。重量と膂力では勝っているはずの騎士が、機動力―地上で、身一つといえど―に翻弄されているのだ)

        (熱と火花が残る足刀を載せても、暁號は微動だにせず その高さは、王に傅く騎士の光景にも似て)
        母は強いもので、あるのだな…
        (母の視点は、騎士には無いものだ…その一言に篭った意味を。固い意志を確認すれば)
        (王の槍と、騎士の銃槍。絡み止まったままの2本を腕とともに突き出す…銃口は、彼女の心臓を向いて)
        決着をつけようか、フロイライン -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 04:30:20
      • うん
         (迷いのない、強い微笑みで騎士の言葉に頷くと、彼女は黄金の槍を手に取った。)
        (槍の柄に刻まれている精緻な黄金の立体彫刻は、カタクァの神話と歴史をかたどったレリーフ。)
        (およそ戦場で振るうには似使わない、繊細な品物。だがけっして折れも欠けもしないその黄金の)
        (投槍は、今再び彼女の手の中で陽光を受けて真っ直ぐに煌いていた。)

         (合図はどちらからとも無く。)
        ココロアッ!!
         (騎馬の頭上から飛び上がり、否羽ばたき昇った彼女の声とともに、頭上で舞っていたココロアは)
        (一直線に稲妻のような速度で急降下をした。)
        やぁあああああああああああ!!!
         (降り落ちる蒼い稲妻と化した鳥の鉤爪を寸分の遅れも無く掴んだシャンタクァは突撃槍を突き)
        (わせる騎馬の突進を思わせる猛スピードで騎士めがけて飛んだ。)
         (高速にすれ違う刹那、弾丸のごとく加速した黄金槍が騎士めがけて投げ放たれる!) -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 05:15:34
      • (撃てば殺せたはずである。そして、突けばそこで終わったはずだ)
        (だが、両者ともにそうはしなかった…決闘の終わりには、相応しきかたちというものがある)

        …暁號ッ!
        (飛び上がる影を追い、地を蹴り騎馬もまた飛翔する)
        (人馬一体、質量弾さながらの軌道で一直線に)
        ぜぇぇえええええええええいッッッ!!!!
        (槍と槍が交錯し、騎士は天へ 王は地へ 斜めに違う、二者の道)

        (逆光が眩しい。その一瞬だけが、永遠に続くのであれば…この世は、お伽噺であり続けられるというのに)
        …見事(歴史は、止まってはくれない) -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 22:36:56
      •  (蒼い羽根が舞い散った。一枚一枚短剣ほどの大きさがあるそれは重さを感じさせずに両者が)
        (交差した後に熱気を孕んだ空気の上にゆらゆらと降る。)
         (地に降りる前に素早く上下を入れ替えたシャンタクァとココロア、再び蒼い巨鳥の背に乗った)
        (彼女は鉤爪に地面を蹴らせて着地する。)
         (まるで舞台の決闘シーンのような激突はそれでいて筋書きや手加減とは無縁なものだった。)
        (シャンタクァの武器が投槍でなかったら、騎士の一撃を回避するのに費やせる時間などなかった)
        (はずだ。そして互いに戦いを略奪のための手段としか思っていない者同士であったのなら、)
        (この一騎打ちはありえなかった。)
         (荒野の中を吹き抜ける風すら声を潜めて背景に徹しているかのような数瞬。)
        (白銀の竜鉄騎士と蒼き翼の王女の衝突を見守った者たちもただ張り詰めたような沈黙の中にある) -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 23:07:10
      • (降り立った先は、高い崖の端。二度に渡り正確に狙われた腕関節部…綻びを、突き通し)
        (長い槍は、鎧の下に潜り込み 動きを完全に殺していた。騎士の構造を知っていれば、あるいはそんな芸当も可能になるのかもしれないが)

        …ぐふっ(破裂音。鎧の隙間―右腕から、超高圧の瓦斯が噴出す その勢いは、馬上の騎士をよろめかすには十分な勢いで)
        …シャンタクァ!貴殿の勝ちだ
        (そう言い残し、逆光の向こうに崩れ落ちた 誰の目にも明らかな、民の元へ急ぐ女王の劇的な勝利) -- レーヴェンフック 2012-09-13 (木) 23:25:27
      •  (地に倒れる騎士の姿に、一瞬だけ彼女は後悔した。だがそれはすぐに振り払う。)
        (自分の理想を心底信じあえる者同士だからこそ、互いの誇り高さを感じとって分かり合うこともできた)
        (誇り高きがゆえに、決して必殺の一撃から手を抜くことなど選べはしなかったのだ。)
         (僅かに伏せた空色の瞳を強く開いて、しかと彼女は顔をあげた。)
        この勝利、我が誉れある栄光としていただいていく!
        統一王朝の騎士、エルネスト・フォン・レーヴェンフック、硬き鎧の勇者よ
        我らが一族の誇りとしてその名と勇姿を刻もう!
         (そう高らかに告げると、シャンタクァはココロアの翼を広げて再び高く空に舞い上がった。)
        (そして空の上を旋回しながら、後に続く者たちを導いて荒野の中へと去ってゆく。)
        -- シャンタクァ 2012-09-13 (木) 23:52:23
      • (大空に舞う王の姿、勝利に沸き、水に喉を潤した…僅かながらも、活気を取り戻した兵たちがゆく)

        (さて、ここからは余談ではあるが)
        (騎士の指揮能力喪失・もしくは行方不明時には、部隊指揮権が副官に移譲される…)
        (つまり、通例であれば 一騎打ちの終了とともに、即座に不死兵に追撃がかかるのである)
        (今回、そうは成らなかったのは何故か?答えは単純)

        儂に真っ向から立ち向かい、手傷を負わせたのは…シャンタクァ、お前だけであるよ
        (蒼穹の向こうへ消えた、幻のような女へ手向けの如く…ひとりごちる)
        (腕部安全弁により、瓦斯の放出は腕一本で収まった。後方の部隊へ「見逃せ」と打電し)
        (今はただ、愛馬とともに 遠くを見ていたかった―彼女の行く手に、武運を強く祈りながら) -- レーヴェンフック 2012-09-14 (金) 00:05:59
      • ―後世に残る、講談や戯曲…「騎士侯列伝」「西爛戦記」などに記された伝説のひとつ
        怪鳥王女と竜鉄の騎士が一騎打ちは
        兎角暗澹とした逸話の多い中にあって、明快な筋と綺羅びやかな決闘により永く人気を博す事になる…
        -- 2012-09-14 (金) 00:16:17
    • (辺境の地で繰り広げられる、翼持つ若き王と実体無き騎士の決闘の目撃者は少ない)
      (後世の歴史に於いても「そもそも本当にあったのか」とまで言われるこの小さな、しかしレニ・カタクァの存亡をかけた決闘を裏付ける唯一の目撃者が一人)
      (小高い丘の上。彼女は何時も戦場の全てを見渡していた。この長き戦争の全てを記録していた)

      ……逃亡してきたレニ・カタクァ軍とスリュヘイムの704戦術試験部隊が遭遇。即座に代表者による決闘が始まる…
      ……人鳥一体となったシャンタクァの軌道力に戦術試験部隊の代表者…統一王朝の時代の騎士、レーヴェンフックは翻弄される…
      …なれど……その鎧は頑強。これまで記した戦場でそうであったように、その鎧は如何なる攻撃をも通さない……決闘は長期戦へ…
      (空ろな目。何処を見ているのか分からないその瞳で、彼女は戦場をただ無感情に見つめて記録し続ける)
      (首も、視線も動かさずただペンだけが異様な速度で走る。書いてはめくり、書いてはめくり)
      (無感情に記されたその記録は、各国の書物には無い客観的な視点を持って綴られる)
      (彼女はただ、記録し続ける。ページを捲るてと、白いページを埋め尽くす走り書きの文字だけが彼女が辛うじて生きていることを示していた)

      ……決闘開始から数分。シャンタクァは愛鳥の背から降りて白兵戦へと移行……
      (互いの立場の違いから起きた不可避の決闘。互いの譲れぬもののために起きた誇り高き決闘を、ただ彼女は記録する)
      (互いの胸に秘めた想いも、誇りも。そんなものは余分だと言わんばかりにただ、今此処で起きていることだけを記録し続ける―) -- リコ 2012-09-13 (木) 03:28:46
  •  
  •  (統一連合軍のカタクァ討滅が始まって2ヶ月、その日また一つ荒野から街が消えた。)
    (戦線は徐々に押し下げられて行く、だがそんな状況でも離脱者がほとんど無かったの)
    (は幸いだったかもしれない。容赦の無い統一連合軍の破壊ぶりが逆に元来西側世界)
    (とは対立する関係にあった南部の諸族に、降伏して助かるという希望を抱かせなかった。)
     (状況はどちらかが力尽きるまで終わる事の無い泥沼の総力戦の様相を呈していた。)

     (旧東ローディア南部、中央付近の町。新たなるカタクァの部隊の駐留するその街に、)
    (灰蒼色をした巨鳥の群れが降り立った。)
    みんなご苦労様、あなた達はユパンキの班に入ってね。
     (戦線よりも奥地の街を守っていた彼らをシャンタクァが出迎える。彼女は補充兵として)
    (やって来た鳥とその乗り手を見て思った、皆若いと。)

     (シャツァルは十数年かけて成鳥になる、やってきた彼らの鳥はやっと大人の風切羽が)
    (生えそろったばかりで、乗り手の年もシャンタクァより一回りは下のようだった。)
    (いよいよ余裕はないのだ。本国の反乱も戦線は停滞していると伝え聞く。)
     (和平を引き出すにしても戦い続けるとしても、完全に疲弊しきる前に何か大きな戦果が)
    (必要とされていた。) -- 2012-09-10 (月) 23:12:31
    • (シャンタクァが増援のシャツァル部隊への指示をしている傍らで、那岐李も増員された歩兵部隊へと指示を飛ばしていた)
      (歩兵の損耗はシャツァルよりも激しい。開戦当初から残っている兵士もかなり消耗しており、このまま戦闘が続けば確実に壊滅してしまう有様であった)
      …兵達よ。此処まで生き延びた者には最早語る言葉は無い。己が誇りを剣に乗せ、それを振るうのみでいい
      …そして増員された兵達よ。お前達には覚悟はあるか。…この戦いはシャンタクァ様が掲げる理想に同調した者達が行っている戦いだ
      故に、シャンタクァ様の理想に賛同しかねる者は今のうちに去ったほうがいい。恐らく、我らが降伏することはない
      その命が尽きるか、シャンタクァ様の理想が現実のものとなるか。そのどちらか二つだ
      無理強いはしない。同調できぬ理想に命を捧げることほど愚かなことはないのだ。よく考えて欲しい
      (那岐李の言葉にも、兵士達は動かない。皆理想に燃え、新たな国を築くことを目的として、そのために剣を取った者達だ)
      (既に戦線が押し込まれたこの状況で此処まで馳せ参じた者に、この問いは無意味なものであった)
      ……分かった。ならば暫しお前達の命、私が預かる
      別命あるまで身体を休めておけ…直にまた戦場へと戻ることになる
      (そういい残し、那岐李はその場を後にしてシャンタクァの元へと駆け寄っていく)

      …シャンタクァ様。何か、お考えが…?
      (彼女が何かしらの策を講じていることは予想していた)
      (どちらにせよこのままでは戦力の総数で劣る此方がジリ貧になるだけなのだ)
      (彼女がそんな状況に甘んじている筈は無い。内心で何かしら考えているはず)
      (そう考えての問いかけだった)
      (そして同時に、もしこれで彼女が無謀な特攻や単機突撃などを考えていたのなら、それを諌めなければ、とも) -- 那岐李 2012-09-10 (月) 23:23:00
      • とりあえず、海へ
         (荒野の続く遥かな地平線を見ながら彼女は唐突にそんな事を言い出した。)
        (呆れられる前にその趣旨の説明が始まった。)

         (コレから先荒野の中を延々と行軍し続けることになる北部からの進軍は、この厳しい)
        (荒野そのものが彼らの敵、そして我らの味方になるだろう。)
         (すると、海を渡りアルメナより東進してくる一団が問題になる、彼らはより短い距離で)
        (荒野を渡りきることができ、そして背後にあるのは西爛戦争で疲弊しきった旧東ローディア)
        (の街ではなく、比較的戦火の少なかったアルメナなのだ。)

        海岸の端からアルメナの港町まで、シャツァルで一飛びに出来ない距離じゃない、ぎりぎり
        だけど…。彼らの出発地点を空爆で潰す。

        捨て身で突進してくる彼らは戻ることを考えてない、だから敵を迂回してその背後に残存
        戦力を結集、アルメナ本土爆撃を敢行する。

         (この作戦の利点は三つあった、敵の港湾を奪うことで西からの増援を遮断、そして)
        (殲滅戦のピストン輸送のために多数の艦艇を集めているところを襲えれば、内海における)
        (支配力は低下、配下にある内海海賊を用いてスリュヘイムとの連絡が可能だ。)
         (そして何より、足場に自由の利かない海上では圧倒的に翼を持つ者が有利だった。) -- シャンタクァ 2012-09-10 (月) 23:46:18
      • (シャンタクァの話を黙って聞き、幾許かの間の後、口を開く)
        ……確かに、理に適った作戦ではあります。しかし、海上とはいえ歩兵の随伴も無く単独での奇襲は危険も伴います
        万一落とされるようなことがあれば、確実に捕らえられるか…そうでなくとも海の藻屑となってしまう
        …貴方が直々に行うというリスクを犯すべきではないと私は思います…わが軍は貴方の強い求心力で纏まっています…万が一にでも貴方を失うわけにはいかない
        (先の戦闘では連合軍は完全にシャツァルへの対処法を確立していた。海上とはいえ、連合軍が何かしらの対策をしていないとは考えづらい)
        (万が一、億が一にでも彼女を失うようなことがあってはならないのだ。そのことを那岐李はシャンタクァに強く訴えた) -- 那岐李 2012-09-10 (月) 23:59:44
      •  (那岐李の言葉はたしかに真実だった。港のどこを潰せばその機能を奪えるのか。すでに)
        (優秀な海賊達の手よりその情報はもたらされていた。そしてその法にも国家にも属さない)
        (無頼の輩をも味方に取り込めてしまったのは。このカタクァの小さな女王がいたからこそで)
        (あった。)

         (爆装したまま海峡を飛び越え、作戦を行えるベテランのシャツァル兵はこの時すでに数を)
        (減らしていた。彼女とその愛鳥であるココロアが前線にでなければ、この作戦は成功もおぼ)
        (つかない。)

        落ちないよ
         (だが、不安など微塵も感じていないように彼女は言い放った。)
        私は絶対落ちない。いつか私も死ぬのだとしても、私が空へ帰る日は今じゃない。
        -- シャンタクァ 2012-09-11 (火) 00:16:26
      • しかし……!!……っ…(反論しようと思ったが、言葉が出ない)
        (彼女の瞳には一切の迷い等無く、まるでそうであることを本当に知っているかのようだった)
        (思えば、兵達もこの迷いの無い瞳と、未来を見透かしたかのような強い言葉に惹かれているのかもしれない)
        (この反乱も、彼女のこの強い意思によってはじめられたのだとすれば此処で彼女の言葉に賭けてみるのも悪くは無いのかもしれない)
        (事実、何かしらの手を打たなければこのままカタクァ軍が殲滅されてしまうのは火を見るより明らかだった)

        …分かり、ました。貴方を、貴方の腕を、貴方の愛鳥を信じます
        (苦々しい顔を隠そうとはしない。それでも、彼はシャンタクァに今一度賭けることにした)
        (成否よりも、無事に戻ってきてくれさえすればいい。それだけを願っての言葉)
        ……くれぐれも、お気をつけて。貴女無しに、我々は軍を維持出来ない……
        (それだけ言い残し、那岐李はその場を後にするのだった) -- 那岐李 2012-09-11 (火) 00:28:22
      • ありがとう、那岐李
         (立ち去る那岐李の背を見送る。思えば奇妙な縁であった。初めて彼と出会うことになった)
        (きっかけは偶発的な事故の産物。その後共に戦ううちに、彼が日と月が何千回と廻る遠き)
        (日に分かたれた同じ祖先と血をもった人なのだと分かる。)

         (そして復讐と憎しみにのみその刃を振るっていた彼が、今は誰よりも彼女の信じる未来と)
        (その希望のために尽力してくれていた。)
        (まるで万物はその頭上を覆う空の元に一つであり、すべての命は星海の彼方から落ちた)
        (星屑から始まった兄弟なのだという、カタクァの創生神話を信じさせるような出来事の連続)
        (だった。)
         (そして彼らは夜明けとともに出撃する。集められた鳥は1000を越す。そしてその何倍もの)
        (地上部隊を共に鳥の背にのせ、あるいは翼の下を駆けさせ。西爛最速の機動部隊は一路)
        (旧東ローディア西岸へと向けて馳せたのだった。) -- シャンタクァ 2012-09-11 (火) 00:40:11

      • 黄金暦227年 10月 アルメナ領内海東端
        (旧東ローディア西岸を望むこの内海を進む輸送船にて…待ちわびる)
        (2ヶ月、ほどよい時間を必要とした。その間にも着々と数を揃えていた故に。)
        (最初の制圧戦からのことであるがトレビュシェットを使った砲火、そろそろ意に介さぬほどにこなれてきたであろう)
        (初戦のあの時からそのさらに先を行くものを生み出す必要性は感じていた。故に。)
        (これら柱の女王や近衛、王や騎士、それに加えての彼らが積荷である)
        (戦線に投入すればかの飛行部隊を切り裂くことができ、これからもより優位に進められる。)
        (愚かなことに最近は海賊も見られた、誰が内海の統治者であることをごろつきに教えてやらねばならぬが)
        (ある程度の戦力でサボタージュは抑制できた。最もそれらがスリュヘイムの武装を輸送していたのは重ねて愚かしいあがきにも見える)
        (今月に入り輸送船団と地上部隊の増援はさらに派遣を大にされる…もってあと幾ばくの月かと思えば)
        (船団に警報の鐘が鳴り響く)


        (甲板に出れば複腕の船長が声を荒げていた。何事かと問えば)
        「閣下、前方から巨鳥の群れが接近、影からしてカタクァの空軍と報せが」

        (笑みが漏れた。何を、と思う船長もまた思い当たり…同時にその三つ眼を瞬かせ微笑んだ)

        積荷を開放。グリフォンライダー、ペイルライダーの両神聖騎士、レムナントを出せ
        「アイサー!副長、全艦に通達!グリフォンライダー、ペイルライダー、レムナント出陣、船団はこのまま直進せよと」
        (副長が答え全輸送船に新たな鐘の音色で通達がなされた)
        (輸送船の積荷の一部、あるいは輸送船事態の床が開き続々と黒いシルエットが轟音、暴風を巻き上げて飛び立った。)
        (早い。明らかに早い…その速度、今向かいつつある空軍よりも、速い)


        (二ヶ月前。既にめぼしはつけていた。カタクァの空の鳥らに対抗するためには何が必要か)
        (それは鳥、同じくして鳥である。故にあの制圧戦以降仕留めた巨鳥の死骸を徹底的に回収させた)
        (それらはある程度の処置をされてからアルメナに搬送。神聖魔術を用いて中枢神経から身体、脳を弄くり回し)
        (骨格からつま先等に仕込める楔は仕込み、肉体を作り変えて対巨鳥の戦力とし整えた。これがペイルライダー、死神であり)
        (他にも神聖騎士の者も使い肉体に施術を施した巨鳥と神経を接続させ高速にて空中格闘戦闘を行えるようにしたグリフォンライダー、空獣騎士も生み出した)
        (彼らカタクァの鳥らが地上を焼く炎ならば、その炎を切り裂く風となれと編み上げられたのが彼ら)
        (理論はいたって簡単。爆装し人を乗せ、さらに人を乗せた鳥よりも軽く、早く…鋭い爪にて弓にて剣にて槍にて切り裂く)
        (地対空ではなく空対空の概念という札を切った)
        (蘇生ではなく急増養殖したもの…骨格と薄い肉のハゲワシのような姿…レムナントもいる)
        (その数300程。うち100は船団護衛、残り200は巨鳥狩りへ…)
        (しかし、彼らを狩るには充分すぎる比率であると言っていい。)
        (輸送船団上空を竜巻の如く旋回し上昇した彼らは嵐となって狩りに出かける…死の旋風が解き放たれた) -- カイル 2012-09-11 (火) 01:22:47
      •  (旧東ローディアの海岸を発った地上部隊の船団の頭上の上が俄かに騒がしくなった。)
        (海鳥達がわめき散らしながら点でバラバラに陸地の方へと逃げていく。)
         (行く手の水平線の上に水柱と炎が吹き上がる。先行した飛行部隊に異変が起きていた。)

         (やがて間をおかずに、船団の頭上を羽を血に染めたシャツァルがマストの先を掠めて)
        (海上へと墜落していく。)

        <<爆薬は捨てろ!編隊を崩すな!昇れ!上がる力はこっちの方が上だ!頭上を取らせるな!!>>
         (通信石を通して聞こえてきたのは、シャンタクァの声だった。彼女の冴えるような蒼い翼が)
        (船団の上を突風となって通り過ぎて往く。その後ろにまるで亡霊のような歪な巨鳥の姿が続く)
         (急激に方向転換したシャンタクァとココロアが空を垂直に駆け上がった。そして追いすがる)
        (敵の頭上で頭を地面へと急反転した。大きな翼が広がる一瞬、音速を超えた風切羽の先端が)
        (破裂音を響かせ、鉤爪が騎乗者もろとも、歪な巨鳥を切り裂いた。)
         (そして彼女の側に寄り添う、空を泳ぐ魚の鎧が撃ちもらした敵を火槍の一掃で撃墜する。)

         (帆に風を受けたカタクァの船団の舳先には、無数の空を飛ぶ影をマストの上に従えた、)
        (アルメナの船団が出現していた。)
        -- シャンタクァ 2012-09-11 (火) 02:10:29
      • (上空で熾烈な空中戦が展開されている。正面には敵の船団が待ち構えている)
        (危惧していたことが現実となった。敵は此方の想像以上の「対空戦」の手段を持ち出してきたのだ)
        (絶対の支配権を得ていた空からの攻撃に、シャツァル部隊も、船団の地上部隊も一瞬の恐慌状態に陥った)
        (数少ない勝算であった制空権を脅かされたのだ。当然の反応と言えた)

        ―おのれ……っ!!
        (歯噛みする。カタクァの誇りの具現とでも言うべきシャツァルを無残な姿に変えただけでなく、それを持ってシャツァルを襲うなど許しがたいことだった)
        (血を同じくする民族の誇りを穢されて怒りに燃えぬ筈が無い。恐慌状態に陥る歩兵達に向き直り、口を開く)
        ―うろたえるなッ!!
        今汝らのするべきことは何だ!?怯えることでも、逃げ惑うことでもない筈だ!手にした刀に、心のうちに宿る誇りを忘れたか!
        彼奴らを打ち払い、国の守れるのは汝らの刀だということを忘れるな!我らが此処で引けば、シャンタクァ様も、国も、全てが灰燼に帰すのだぞ!
        気を引き締めろ!汝らに双肩にこの反乱の成否がかかっているのだ!…総員、抜刀!!

        (歩兵が刀を抜き放ち、弓兵が矢を番えて体制を立て直した)
        (弓兵達が空中を飛び回るおぞましい敵軌道兵器に向け、一斉に矢を放つ)
        (例え当たらなくとも、回避の際に生まれた隙をシャツァル部隊が活かすことだろう)
        (歩兵達は眼前に迫るアルメナの船団に対して突撃を敢行せんと声をあげる)
        シャツァルを此処で失うわけには行かぬ!私が血路を切り開く!総員、続けぇッ!!(言うが早いか、その身に宿した蛇神の力を解き放った)
        (那岐李の身体から噴出した幾つもの黒き蛇が、飛び回るペイルライダー達に一斉に襲い掛かる)
        (同時に、那岐李本人も黒き蛇の力を借りてその身を宙へと躍らせた)
        貴様らが陰なる外法によって生まれたのなら、更なる陰の力を持ってその身を食い破ってくれようぞ!
        我が身に宿すはカガチの力!太古より紡がれし黒き蛇神の力、今こそ貴様らに思い知らせてくれる―!

        (上空の敵兵達を、自身も一匹の黒き蛇と化したかの如き那岐李の刀が切り伏せていく) -- 那岐李 2012-09-11 (火) 02:29:59

      • (初の実践というのに中々やってくれる。これで数を減らし経験を積めばよりよく後の制圧戦でも役に立とう)
        (連中が爆装していた、という点も大きい。初手を制したにちかい。1つ2つ厄介なものがいるが…)
        (それらも隊伍の中でのこと。戦局でみれば大きく手綱を得た。)

        (そして前進し続ければ見える…また、輸送船。カタクァ軍のものか、ならば早い)
        (このまま前進し沈めるのみ。それだけのものがこの船にはある)
        (無数の黒い影が織り成す旋風を携え、進路を進める。死を運ぶ船が…)

        対船舶用に柱の騎士と楔、並びに鎖を準備させろ艦長、現行の装備でも充分遊べるぞ
        「了解、これで片付きますなぁ」

        (カタクァの軍は最早爆装しては生を望めない分、船舶の脅威は船舶のみ)
        (船舶が引き連れた防空用のグリフォンライダー、ペイルライダー…そして死怪鳥レムナントらが)
        (カタクァ地上部隊を輸送する船団に飛びすさぶ)
        (おってアルメナ船団、到着はすぐ近く)

        (その中で、地上部隊で特に突出した力を持つものがいた。見れば黒いものを纏っているが…)
        (はてさて地脈、龍脈とはまた違うものか。何にせよ中々に活躍している)
        (空獣騎士であるグリフォンライダーもその異様な術には対処を困らせ羽を、腕を差し込まれ噛まれて落ちていく)
        (その死骸を蹴り次々と怪鳥、死鳥、空獣騎士を落としていく姿はまさに翼を得た蛇、神の獣か竜か)
        (これだけの量が差し迫る戦場で、である。身軽に空中を駆ける姿…地上部隊の将であろうがカタクァの将たる様相と言えた)
        (地上だけではない、ことここに至るまでとなれば八面六臂の武を誇る将であろう)
        (しかし)

        そこまでだカタクァの将よ

        (アルメナ輸送船団が…カタクァ地上部隊に近接した)

        この局面に於いて尚、飛び荒ぶはカタクァの将兵故か見事である。
        が、これ以上やられては適わぬのでな。そろそろに退いてはくれんか。
        (戦場にあるまじき穏やかな声で…白と赤の鎧を纏った紅髪の男が、王が投げる)
        (その側で、他の輸送船団の積荷である柱の騎士らが起き上がり鎖や錨、楔を携え地上部隊の船へ投げる)
        (その言葉とは裏腹に海上戦闘による決戦、白兵戦が幕を開けた) -- カイル 2012-09-11 (火) 03:15:07
      • (ペイルライダーの翼を切り落とし、グリフォンライダーの首を狩り、レムナントを真っ二つに引き裂き、それらの死骸を足場にして飛び回る那岐李は今だ地に足をつけてはいなかった)
        (時に味方のシャツァルの背を借りながらも、蛇神の力を持って敵兵の数を減らし続けた)
        (その最中、眼下を見ればアルメナの船舶が今正に味方地上部隊の船舶へと白兵戦を仕掛けようとしているではないか)
        ―くっ、ここまでか……ッ!!
        (ギリ、と奥歯をかみ締めて眼下を睨み付けた。幾ら空中の敵を排除したとて味方の地上部隊を放置していては確実に殲滅される)
        (東ローディアの新生カタクァの地にたどり着かれて困るのは、200程度の空中戦力ではなく地上戦力だ)
        (怪鳥を初めとする敵の空中戦力には指揮官らしきものは居ない。この死兵がカタクァにたどり着いたとて、さしたる脅威ではない)
        (しかし、圧倒的な地上戦力が整然とした指揮体系を維持したままでカタクァに到達したとなれば瞬時に国は滅ぼされてしまうだろう)
        (本命はあくまで敵地上戦力なのだ。これ以上空中で死兵と斬り合っている場合ではないと。そう判断した)

        (近場に居たグリフォンライダーを足場にし最後の跳躍。シャンタクァが操る一際巨大なシャツァルの背にその身を躍らせた)
        ―シャンタクァ様!これ以上シャツァルを失うわけにはいかない!貴女は撤退を!
        此処は我らがその身を、命を持って食い止めます!
        (それだけを言い残し、返答も聞かずに遥か上空から眼下のアルメナ船舶に向かって飛び降りる)
        (蛇神の力を全身に纏い、すさまじい加速度で舞い降りるその姿は正に黒き弾丸であった)
        (無数の船団の中の一艘に狙いを定めると勢いを殺さぬまま、船舶の甲板を突き破る)
        (轟音が響き渡り、直撃した船のど真ん中に空いた風穴から黒い影が躍り出る)
        貴様ら外道如きが姫様の理想の前に立ちふさがること、断じて許さぬ!
        我が身を持って、我が命を持って!姫様が進む道を切り開いてみせようぞ!
        (戦場を船の上へと移し、再び黒き蛇が牙を剥く。血塗れの白兵戦の最中、那岐李は刀を振るう)
        (ようやく見つけた自身の進むべき道を守るために。道を指し示してくれた人の理想を守るために)
        (その身を、命を削り、那岐李の刀は黒き旋風と化して敵船舶を駆け抜ける) -- 那岐李 2012-09-11 (火) 03:38:36
      •  (黒く纏いつく死鳥達の血を鉤爪から撒き散らしながら、シャンタクァは怒りに我を忘れていた。)
        (鉤爪で切り裂く、火槍で撃墜する、宙を何度も空転し、何もない空を掴んで駆け上がるような)
        (機動を見せて、いくつも敵の翼を叩き落した。)
         (自らの半身である巨鳥シャツァルの命、そして彼女の語る未来に命をかけて戦ったその騎手、)
        (1人1人の名前すら忘れようもない同胞の命を誇りを外法に貶められて弄ばれた事実に)
        (シャンタクァはいや、飛爛は怒り狂った。)
         (こうなればもはや連携も何もあったものではない、カタクァで最大の大きさと速さと戦力を持つ)
        (ココロアの挙動について来れるものなど居はしなかった。敵もそして味方すらもでもある。)
        ……ッ!
         (そんな折に突然投げかけられた言葉に、彼女は我に返った。)
        那岐李!!
         (叫んだときには、すでに彼の背は遠く、絡み合い、乱戦を繰り広げる甲板の上へと黒き疾風と)
        (なって遠ざかっていたのだ。) -- シャンタクァ 2012-09-11 (火) 03:50:31
      • (黒蛇が飛び荒ぶ)
        (弾丸、砲弾のように飛んできたそれは見事に船舶を打ち抜き中から這い出てきた)
        (が、しかし。孤軍…そもそのはず、彼らは拠点制圧のために集められた)
        (海上戦闘をするために集められたのではない。ゆえに集められたのではない)
        (無論こちらもそうではあるが、手のうち用においては他にないものを持っている)
        (巨人が、柱の騎士が鎖と錨を投げ相手船舶のマスト、縁、船体を抉り取り…白兵戦が始まる)
        (そもそも相手の船舶自体心もとないのだ。内海を支配するアルメナである。海賊船籍だろうが拝金主義によりできた統制者であるアルメナの装備とは桁が違う)
        (火砲の数、護衛艦ですらその差はある。接近すればもう見えているようなものだ)

        …将として名乗るのこともせぬとは度し難い。
        面白い術を使うものだから相手をしてやろうと思ったが…よい
        (ため息をつき控えていた南方領第三軍ブラックゴートに下す)

        適度に弄び楽しめ、死骸はカタクァへの土産としよう
        「はーい!」「了解」「確かに」
        「楽しもうぜ蛇ちゃーん」「うぃひひひ」
        (皆、笑顔で向かう。金属とは異質の武器…竜骨を持つ者までいる)
        (将を迎えるは将、対殺人に特化した者らが那岐李を向かえ、他の黒山羊の将らが率いる軍団が船舶を襲う)
        (飢えた魔獣が命を喰らいに解き放たれた…)
        (王はその中でゆっくりと椅子に腰掛け将の戦いを眺めた) -- カイル 2012-09-11 (火) 04:13:06
      • …下衆が。我が名は貴様の冥土への手向けにしてくれようぞ(四方を飢えた獣染みた男達に取り囲まれ、それでも尚那岐李の戦意は消えなかった)
        此処が我の死地であると言うのならそれもよし。最早我に迷い等ない。あのお方の示してくれた未来を守るための死であるのならば、甘んじてそれを受け入れよう
        ……だが、ただでは死なぬ。姫様の理想を理解せぬ貴様らを、カタクァの誇りを踏み躙った貴様らをこの世に残して逝けるものか
        我が身に宿すは陰の蛇神!貴様ら外道を冥府へと引き摺り下ろすその役目、閻魔に変わって遂行してみせる!
        (咆哮と共にその身を走らせる。手にした刀を振るえば、切っ先から黒蛇が意志を持っているかの如く飛び出して次々と敵兵に襲い掛かる)
        (蛇神の力によって強化されたその身体は多少の傷など意に介さない。切りつけられれば、その傷を厭うこともせず、刀を、矢をその身に食い込ませたままで敵兵をなぎ倒す)
        シャアァァァァァァァァァァァァァッ!!!!
        (吼える。最早その瞳に理性の色など無く。ただ眼前の敵を打ち倒すために黒き蛇は牙を剥き続ける)
        (既に味方地上部隊が壊滅状態にあろうとも、那岐李はただ一人敵陣の最中で血の花を咲かせ続けた)
        (黒き蛇が足掻く。背には幾本もの矢が突き刺さり、全身に受けた刀傷からはおびただしい量の血が流れ出しても尚)
        (その瞳に敵将を捉えたまま、彼の者を切り伏せる。ただそれだけのために、千切れ飛びそうな手足を振り回して波の如く絶え間なく襲い繰る敵兵を斬り続ける)

        (幾人の敵を切り伏せただろうか。幾度の致命傷を受けただろうか。身体を濡らす血が、敵兵の物と自分の物とどちらか到底判別出来なくなったその姿は)
        (既に彼が外道と罵り、忌み嫌った死兵と何ら代わりの無いものに成り果てていた) -- 那岐李 2012-09-11 (火) 04:40:52
      •  (黒き悪鬼となった那岐李の横に走り並ぶ者があった。彼らは火の付いた投槍を投げ、)
        (うねる波の上で揺れる狭い甲板も意に介さず、駆けつけた。)
        隊長!抜け駆けはひでぇよ!
         (それはカタクァの歩兵達だった、かつてバルトリアで柱の騎士と遭遇した折に共に戦った者)
        (あるいは、カタクァ反乱の際に那岐李とクラトによるクーデターの主力部隊として戦った者まで)
        (居た。皆一様に傷つき、血を流し。だがそれでも笑っていた。)
        やるんでしょう、姫様のために、あいつ等道ずれにしてやるつもりだ。
        横に付けた俺らの船、船倉の火薬の導火線はもう燃えてるんですよ。
         (最後まで供をする、そう無言のうちに語り、彼らは持てる全ての武器を体にくくりつけて、柱の騎士)
        (そして無数の異形、それらを統べる者の前に那岐李と供に立ちはだかった。) -- 2012-09-11 (火) 05:06:25
      •  (彼らが決死を覚悟したその直後、甲板上にいた柱の騎士の腕を切り飛ばし、鉤爪が降り落ちる)
        (座した王へと蒼い雷撃と化したシャンタクァとココロアが降り落ちた。)
         (だが、彼女の狙いは大将首ではない、甲板の木材を鉤爪で撒き散らしながら、羽を畳んだココロアが
        (一目散に那岐李達めがけて駆ける。)
         (たとえ一度翼に風を失ったとしてもここは海風の吹く海の上だ。速度さえ失わなければ離陸は容易い。)
        (すれ違い様、蒼い翼の上から彼女は手を伸ばした。それは、ただ一度切りのチャンス。) -- シャンタクァ 2012-09-11 (火) 05:06:35
      • ……お前、たち……(力に囚われていた那岐李の瞳に理性の色が戻る)
        (絆など築ける筈も無いと思っていた。カガチである自分に、仲間など出来る筈もないと思っていた)
        (それがどうだ。今此処に、己の命を捨ててまで自分に付き合うと言う愚か者がこんなにも居る)
        ―……死出の旅は、賑やかになりそうだな。…悪くない
        (感謝の言葉も、謝罪の言葉も出ては来なかった。ただ、短い言葉のみを残して再び敵兵に向き直ったその時だった)
        (上空から唸りを上げて降り来る大きな影。その背にある人影がすれ違いざまに手を伸ばす)
        (たった一度きりのチャンス。千載一遇。九死に一生を得る最初で最後の機会を彼は―)

        (掴み取ろうとはしなかった。頬を風と共にシャンタクァの手とココロアの羽が掠めていく)
        (後方へと飛び去るシャンタクァに、那岐李は振り返ることもせずただ声をあげる)
        ―シャンタクァ様!
        貴女は言った筈だ!此処は貴女が空へ帰るべき場所ではないと!
        此処は貴女の死地ではない!此処は…この場所は私の墓標とさせて頂く!!
        貴女が見据えた明日はまだ先にあるのだろう!!なればこそ!貴女はそこに向かうべきなのだ!!
        地を這う蛇は此処で命を散らせども!!空を舞う翼はどこまでも…どこまでも飛んでいくべきだ!!
        ―御武運を!!願わくば、我らの死が貴女の道を切り開く切っ先とならんことを!!!
        (この声が彼女に届いたかは分からない。しかし、確かめようと振り返る気も無かった)
        (明日に向かって飛び続ける彼女に自分たちが追いすがっては、きっと彼女も飛びづらかろうと。そう思ったから)

        ……さぁ外道共。此処が汝等と我らの死に場所だ!
        墓標は此処に!共に冥府へと落ちようぞ―!! -- 那岐李 2012-09-11 (火) 05:24:59
      • クククク…ハハハハハハ!
        君は些か勘違いをしているようだ、誇り、希望、未来。描く夢には結構。
        なんとも美しきことかな
        (ゆったりと笑いながら語る。吼え、雄たけび、血飛沫が舞う)
        (歴戦の部下も流石にてこずるとは思っていなかったが中々にしてしぶとい)
        (だが愉しむのであればこうでなくてはならない。制圧とは…そう、かのときと同じである)
        (執拗に、すり減らすように。ことこの相手には全力で、かつ全速で何度も弄ぶように)
        (猫がネズミを弄くり殺すが如く…時折猫が殺される、窮鼠のように)
        (最後の命と炎と共に投げ出すものらを嘲笑うかのように佇む)

        しかしな
        国引きにてそれを掲げるは全くもって愚かである。
        国作りにおいてそれらはさして重要ではない。それらを必要とするのは扇動者と盲目たる愚民のみ。
        汝らの頭は扇動者としては上場ではあったが…執政には向かなかったようだ。
        大人しく大爛にて爪を磨いていればよかったのだよ。
        鳥が飼われるが如く。この大空、世界を駆けるに鳥では余る。いずれ堕ちる。

        (飛来してきた雷撃かのような突撃、童女か…いや、これらの主であるか)
        (硬質で高音の金属音が響く…その落雷は白き鋼鉄の大蛇、オリハルコンの蛇腹剣にて防がれた)
        (王を中心として広がり感じるこの世界に溢れる魔力、そして死骸から湧き出た魔力を薄く広げれば)
        (雷鳴も砲撃も意のままに操る自在剣…竜鱗たる尾にて護るも攻めるも自在故に)
        (座を軋ませるまでもない、いわば結界たる物理障壁と化していた)


        そして堕ちるときが今なのだ。


        (雷撃意に介さず)
        (ボロボロの、満身創痍の那岐李の周囲を囲む兵と将ら…そして、上)
        (マストを駆けて少年兵ら…手には竜骨、鋼鉄の剣を携えた彼らが…周囲を囲むものらと共に)
        (一斉に駆け、各々らの武器を魂を震わせて叫ぶその肉体に突き刺した)

        冥府の王たる余が君に応えよう。
        国引きに必要なのは血肉と死骸、そして金貨である。
        覚えておくがよい。
        (それらはかつて…那岐李らカガチの民に敷かれた理の如く。今再びその闇が迎えた…) -- カイル 2012-09-11 (火) 05:32:05
      • (―彼女は、無事に逃げおおせただろうか)
        (この身体を貫く冷たい刃の感触よりも。今まさに幕を下ろさんとする己の人生よりも。それが気がかりだった)
        (あぁしかし。カガチとして忌み嫌われ、己の人生に意味など無いと全てを恨んでいた自分がよくも此処まで来れたものだ)
        (この命が全ての虐げられし者達の希望を繋ぐ糧となるのであれば、それで良い)
        (ごぷ、と濁った音を立てて肺腑からどす黒い血が逆流し零れ落ちる)
        ……貴様は、分かっていない……
        あの方が、行おうとしているのは…国引き、などでは……ない
        …あの方は…蒔いたのだ……種を。希望の種を……
        種が咲かすであろう花は……それを、夢想するだけで……我らの…全ての民の、希望となる…ものだった…
        貴様は…分かっていない……あの方が蒔いた種は……必ず、芽を出す……
        我らの…あの方の願いは…かな…ら、…ず……

        (視界が暗転する。漏れ出す血液と臓腑は死神の鎌が首元へと当てられていることへの証だろうか)
        (あぁ―)
        (世界に彼女が蒔いた花が満ちれば)
        (きっとそれは素晴らしい世界になるのだろう)
        (この死が花咲かすための肥となるのであれば それでいいのだ)

        (あぁ     闇に染まった視界に   何時か手にかけた老人の姿が見える)
        (あぁ   薄れ行く意識の中に  何時か憧れた少女の姿が見える)

            我は       
                        カガチの
                           …………誇りを……… -- 那岐李 2012-09-11 (火) 05:46:33
      •  (背後に上がった爆炎に尾羽を焦がされながら、シャンタクァは空へと舞い上がった。)
        (彼女が飛び立った船からだけでなく、その海上にあったカタクァの艦艇が次々に爆破の連鎖を)
        (上げ、海上に飛沫と炎を巻き上げた。)
         (決死の覚悟をしたのは、彼らだけではなかったのだ。)
        (アルメナの艦艇に肉薄した、あるいはその只中に囲まれ、船殻もマストも砲火にさらされた)
        (船も次々と自爆した。)

         (その炎の下で何が起こったのか、空を行く者たちはすべて理解した。そして炎に飲まれず)
        (なおも追いすがる黒い翼の影を蹴り落し、あるいは振り切って高く高く舞い上がっていく。)
         (太陽を中心に渦を巻くように生き残ったシャツァル達が一つの群れへと集まった。)
        (やがて6枚羽を広げた鳥の群れは、一際大きな蒼い翼を先頭に自らの巣へと飛び去っていく。)

        那岐李…
         (高い空の上から今だ黒い炎の立ち上る空を映したような蒼い海原を振り返り、その名を刻むように)
        (彼女は呟いた。)
         (希望は、紡がれたのだろうか。水底へと沈んでいくたくさんの命を代償として。)

        ……ッ!
         (泣き出しそうになるのを堪えて、傍らに付き添ったフェロミアと供に、彼女は翼を羽ばたかせた。) -- シャンタクァ 2012-09-11 (火) 06:36:10
      • 死骸は仰向けにしてやれ、空の民らしく空を仰いで死なせてやれ
        (他の道連れかと言わんばかりに我先にと来る兵らを悉く殺させて哂う)

        (穢れた大地…穢土でなんと美しい華であるか、美しすぎる蓮の華か)
        (東方の宗教であったか…なんとも美しい思想だ)
        (天へ天へと昇る華はいつか照らすことが命題であると信じた姿)

        (ゆえに、誰も触れられぬのだ)
        (この世界で生きようとする…この今まさに時は明日を生きるために奪い合う)
        (それが今である。今飢えて戦い明日の、今の寸時を嗚咽しながら生きようとするものに何が響こうか)
        (この時代が終わればこそであろうが…今、時は戦乱の世である。)
        (その中で沸いてでた種はなんとも美しく、甘美であり美味であろう。であるからして)

        あぁ…その希望の種はよい、喰らえば良い酒の肴になりそうだ。


        (無事なものはアルメナへ、再編するという無慈悲な声に紛れて笑い声が響く)
        (さてこの一手は未来へ続く希望の一手かそれとも…それはすぐにわかることとなろう)
        (こうして電撃的に内海で起きた海上戦闘は幕を閉じた)
        (次は幕間か…終幕か)
        (今はただ命と炎が天へ昇る煙の如く遥か空へ消え行く波間でしかない) -- カイル 2012-09-11 (火) 07:25:03
  • 【 227年7月 旧東ローディア領領 トラバ】 -- 2012-09-08 (土) 01:29:45
    • (先月行われた統一連合勝利宣言の式典に出席してからやはり風向きも変われば人も変わるものだと思う。)
      (時代の大きなうねりを感じつつ、このかつてあった東ローディアという国もまたその潮流に翻弄される哀れな国であり人もまた流れる藁の如く) -- 2012-09-08 (土) 01:32:31
      • (本来必要ないであろう最後通告たる書簡をいくつか書き…蝋で印を押した後はカタクァが開放した都市らに遣わせる)
        (最後の首都であろうあの都市には自ら赴くゆえによいと下がらせた)
        (そして統一連合軍南方平定軍として再編成された彼らは南方候を頭にトラバより大軍を率いて砂塵を巻き上げ南下していく)


        (風向きが変わったのは国や人だけではない。その政治においての切り舵もそうである)
        (王都決戦より復帰した兵ら、そしてゾド周囲を攻略しおえた連合は旧東ローディアの地を制圧しにかかる)
        (大爛の人間を1人残らず殲滅せよ、と。積もりに積もった怒りと怨嗟が歯車を回す)
        (旧東ローディアの商人どもは金で国家を売り渡したクズでありそのためバルトリアが起きた)
        (旧東ローディアの連中は今も尚大爛のお陰で飯が食えていると尻尾を振っている…等)
        (それらはまた節々の末端で起きていた…ついでとも言っていい彼らへの怒り)
        (そしてそれらは彼らが組み合い、大爛の人間を頭にすえるカタクァへも同じであった)
        (西爛戦争で命がけで大爛を追い出し戦っている最中に火事場泥棒の如く国を建国した)
        (裏切りものはやはり裏切りもの、場所はしかも大爛と繋がりがある山)
        (戦後も大爛の枝を残しておくための猿芝居だろう、魔女め と…うずたかく積みあがる憎悪と怒り、嗜虐)
        (それらはカタクァ配下諸都市への最後通告に現われていた)

        『統一連合は独立を認めない』
        『大爛の人間を全て差し出し都市を明け渡すか、死を選べ』

        (神国アルメナの神聖騎士団がゾド要塞から派遣され、柱の王や騎士らが内海を伝い輸送船で上陸した時)
        (絶望が諸都市を襲った) -- 2012-09-08 (土) 01:49:40
      •  (おそかれ早かれこうなることは分かっていた。たとえカタクァが大爛と根本を違える)
        (古の民族であったとしても、西側の彼らには同じ東の侵略者共なのだ。)
         (帝国をローディアの地より追い払った彼らは次の戦争をすでにはじめている。勢力図)
        (に空隙を空けた旧東ローディアの領土を誰が奪い、支配するのかという領土戦争。)

        ま、話し合いだけで済む分け無いとは最初から分かってたけどね。
         (突きつけられた最後通告を机の上に放りだすと、シャンタクァはつぶやいた。)
        (トラバから南東、大陸中央山脈から西に突き出した山嶺を背にしたオアシス都市。)
         (新カタクァの拠点の一つであるその都市は、ゾドとトラバを発した統一連合軍を迎え撃つ)
        (最前線になった。)

        他者を抑圧することで栄える帝国に未来を託すことは出来ない
        奪い合い終わりなき戦いをしてきたローディアにだってそれは同じだよ
         (彼女が立つタイル張りのテラスの上をシャツァルの飛行編隊が南方へ向けて出撃)
        (していく。反乱の最高潮に立つ新カタクァには自由の旗の下に集った南部諸族の軍)
        (が居る、そして彼らの象徴とも言うべき飛行部隊はこの時、ローディアの地だけで)
        (3千を越える数の鳥が居た。)
         (勝算はあった、数十羽で戦局を左右しうる最速の機動戦力で南部の荒野に点在する)
        (各拠点を足がかりに襲撃を行えば、たとえ全方位から地上戦力が押し寄せてこようと)
        (彼らが地を往く時だろうと眠る時であろうと、常に一方的な打撃が可能だ。)
         (そしてそれぞれの拠点には長く南部の厳しい荒野に生きて戦い抜いてきた砂漠の)
        (民とその兵士がいる。)
         (スリュヘイムより秘密裏に供与された弾薬と新技術は戦争の最中においてさらに)
        (装備の能力を向上させていた。決して無謀な戦いではなかったのだ。)

        長い戦いで疲れきった人々の怒りはきっと長くは続かない、冬まで持ちこたえれば
        交渉しだいで和平に持ち込めるはず…だから、今は勝たなきゃいけないんだ。
        私達の希望が、決して無力な幻想ではないと証明するため。 -- シャンタクァ 2012-09-08 (土) 02:36:14
      • (室内で歩兵部隊への今後の指示を出していた那岐李が、一区切りついたのかシャンタクァのほうへと歩み寄る)
        (心の渦巻く怨念を抱えたまま、それを未来の希望をつなぐための糧として生きることを決めた男は、)
        (以前にも増してカタクァのために尽力するようになっていた)
        …我らがこの窮地を乗り切り、真に建国の目的を周囲に知らしめることが出来れば賛同する国も出てくることでしょう
        …シャンタクァ様、ご命令を。この刀で降りかかる火の粉を払ってみせましょう。…全てはこの先に待つ未来のために
        (歩兵部隊の準備も既に出撃の準備は整っている。先ほど飛び立ったシャツァル部隊に続き、シャンタクァの命を待っている状態だ)
        (兵士たちの士気は高く、皆見据える未来は同じ。これが決して無駄な戦いではないことを知っているが故か) -- 那岐李 2012-09-08 (土) 02:57:08
      • うん、絶対負けられないんだ。
         (彼女自身もいつもの飛行服の上から、羽のように軽い鎧を身につけて支度をした。)
        (あとは全軍の前で出撃を宣言し、彼女の蒼い翼に乗って戦いへと赴くだけである。)
         (そんなとき、不意に彼女は足をとめた、そして那岐李の方へ振り向くと。)
        ねぇ、なぎりん -- シャンタクァ 2012-09-08 (土) 03:10:25
      • ―な、なぎ…?(唐突に妙な呼び方をされ一瞬狼狽するも、特に悪意があるわけでもなかろうと咳払い一つで気を取り直し)
        …どうか、なさいましたか? -- 那岐李 2012-09-08 (土) 03:18:34
  • 絶対死んじゃだめだよ私達は希望に殉じるんじゃない、希望を……作りに行くんだ。
    それに、帰ってきたらフェロミアも一緒にあなたも私と同じ一族になってもらうかんね
    あなた、クラトのところに置いといたらきっと性格悪くなっちゃうもの。
     (ほんわりと笑った彼女の笑顔は、コレから戦いに赴くとは思えないような自然体で、)
    (だが、階下で号令を待つ兵士達の元へと向かうその足取りに決して迷いはなかった。)
    -- シャンタクァ 2012-09-08 (土) 03:26:53
  • ―……えぇ、必ず。フフ、クラト様が聞いたら何といわれるか…
    (余りにも自然な一言に思わず小さく笑ってしまう。決戦前だというのにこんな言葉を投げかけてくるのは流石だな、とも思った)
    (それでいて、足取りに迷いなど無い。此れが彼女が人を惹きつけ、その理想の先を見てみたいと思わせる所以なのだろう、とも思った)
    ……必ず、戻ってきましょう。私はまだ、貴方に話さねばならないこともある
    (歩を進めるシャンタクァの背中を見て小さく一人呟く)
    (自分の一族に加える、という言葉を受け入れるには、己が犯した罪を全てさらけ出さなければならないようにも思えた)
    (でなければ、フェアじゃない。彼女はそれを知ってなんと言うだろうか)
    (それでも自分を受け入れてくれるのだろうか―?)
    (身勝手な話ではあるが。この愚かしいまでに純粋で、同時に崇高でもあるこの人ならば)
    (きっと許してくれるのではないかという思いを胸に、那岐李も階下で待つ兵達の下へと歩を進めるのだった) -- 那岐李 2012-09-08 (土) 03:36:38

  •  (ゾドは間もなく落ちる、227年5月も末の頃だった。)
    (新カタクァの軍は独立宣言以来、北上しゾドへと至る途上で次々と旧東ローディアの)
    (都市を解放していった。それが撤退する帝国軍の動きに合わせただけのモノだったと)
    (しても、破竹の勢いに見えただろう。)
     (事実この時期、クラトに率いられた大爛本国での反乱もローディアでの勝利に後押)
    (しされるように勢力を拡大していった。)
     (対シャツァルの戦術が確立し始め、飛行部隊の撃墜数も増えていたが、まだその)
    (圧倒的な戦術的優位は覆されていない。スリュヘイムとの秘密同盟も結ばれ、)
    (新カタクァの誰もが新世界の夢を信じるようになっていた時の事だ。)

     (夕暮れ、ゾド近郊の町に駐留する新カタクァ軍の陣地を見下ろせる岩山の上。)
    (初夏の空の下、荒野へ夕日が沈もうとしていた。遥か遠方に見える岩山肌が)
    (赤く燃える様に地平線の上で揺らいでいる。眼下にはシャツァルを離陸させる)
    (ための長い滑り台のようなスロープ台が整然と並び、隣接する街並の中に灯りが)
    (灯り始めていた。)

    おー、こんなとこに居たか那岐李ー
     (不意にシャンタクァの声がした。大きな羽ばたきが聞こえたと思ったときにはすでに)
    (音もなく高空から滑り降りてきたココロアが岩山のそばで羽を畳もうとしていた。)
    (どこから飛んできたのか気付かせる事もなく、この頃の彼女は本当に翼が生えて)
    (いるかのように、他のどの飛行兵よりも自在に空を飛んでいた。) -- 2012-09-07 (金) 02:58:58
    • (シャンタクァが語った新しい理想の国。その夢が現実のものとして捉えられるところまで来ていると)
      (カタクァの兵士たちは皆そう思っていた。士気高く、行く先々で多くの都市を開放し、東では帝国への反乱も成功していると聞き皆希望に満ち溢れた目をしていた)
      (そんな中、歩兵達を率いていたこの男だけは視界の中にシャンタクァが語った新世界を捉えられないでいた)
      ……シャンタクァ様。何か、御用ですか?
      (そう、端的に答える。近頃の那岐李は戦闘の時と、そうでないときで人が変わったかのようであった)
      (平時はこのように生気も無く、ただ淡々と受け答えするだけ)
      (しかし戦闘となると鬼気迫る勢いで刀を振るい、敵兵が全て死に絶えるまで猛然と戦い続けていた)
      …何か、今後の予定についての相談でも? -- 那岐李 2012-09-07 (金) 03:12:59
      • それもあるけどね、那岐李最近あんまり元気なさそうだから。
        (ひょいひょいっと身軽に岩山を駆け上る、シャンタクァ。なんだかその動きまで鳥に)
        (似てきてるようだ。)
        や、むしろ戦いでは元気すぎるくらいだったか…部隊置いてきぼりで一騎がけしすぎ
        るって、言われてるよ。 -- シャンタクァ 2012-09-07 (金) 03:27:53
      • …姫様こそ、最近は一時期に比べずいぶんと元気がよろしいようで
        (自分が進むべき道を、目指すべき場所を見つけたが故だろうか。近頃の彼女は何時にもましてイキイキとしているようにも見える)
        ……私は最早、戦いの中でしか生きられぬ身ですから
        いや、復讐の中でしか…と言い換えたほうがいいかもしれませんね(チャキ、と腰の刀を鳴らして自嘲気味に笑う) -- 那岐李 2012-09-07 (金) 03:31:40
      • うーん…ねぇ、きっと今更な事なんだろうけど、あなたの見てきたことを聞いてもいいかな
         (岩山の上に腰掛けながら聞いてみた。)
        (カガチという人々の話は、知識としては聞いたことはあった。那岐李の帝国に対する)
        (深い恨みの事も知ってはいる。ただ、今まではあえて深く踏み込まないようにしていた)
        (ところもある。)
        今あなたが将軍だからっていうだけじゃないんだけど、私はほんとうはもっと早く
        あなたの事をよく知っておくべきだったんじゃないかって思うんだ……
        -- シャンタクァ 2012-09-07 (金) 03:55:00
      • …私のこと、ですか。…聞いたところで決して楽しいものではないですよ
        (そう前置きしてから、那岐李はゆっくりと己の過去を語り始めた。カガチ人として生まれた時から迫害されてきたこと)
        (ある時見かけた橋の向こうの少女に心奪われ、彼女の笑顔を自分に向けて欲しいがために、自力で他の民族に負けない程の学を見につけたこと)
        (そうして自分を磨き、彼女にいざ話しかけようとしたところ彼女の護衛に殴り飛ばされ、自分の両親に無理やり地に頭をこすり付けられ「謝れ」とののしられたこと)
        (その時に彼女が自分に向けていた目は消して「人」を見る目ではなかったということ)
        (そして「なぜカガチ人はこんな扱いを受けねばならないのか」と思うに至ったこと)

        ……そして私は悟った。同胞の身体に染み付いた卑屈な精神と奴隷根性がある限り、カガチ人はこの扱いからは消して抜け出せないということを
        誰かが一度全てを無に帰さねばならぬ。誰かが一度滅ぼさねばならぬ。そう思った。…だから私は、同胞の命を全て奪った
        自らはカガチ人であると。だからこの扱いも当然なのだと。そんなくだらない「当たり前」をこの世から消す為に…私は私以外の同胞を全て手にかけた
        ……カガチ人の歴史と誇りを知った今、私に残っているのはそれを帝国に…世界に知らしめることのみ
        カガチ人の優位性を世に知らしめて初めて、私は手にかけた同胞に顔向けが出来ると思っています
        それを成す手段は…己が力を…カガチ人の力をもって帝国兵に思い知らせること。そしてルーツを同じくするカタクァが帝国を打ちのめし、奴らより優位に立つことでした
        …だが、貴方はそれを止めろという。ならば私は何をすればいい…?貴方が作る国でこれ以上の復讐は許されるはずもない
        …ならば、私は今此処で。この戦場で全てを成し遂げるしか道は残っていないのですよ

        (長い長い話が終わる。子供染みた自己顕示欲が長年の差別によって拗れに拗れた結果、彼は怨念の塊となった)
        (その怨念のままに復讐を遂げることは、シャンタクァが語る国では出来よう筈もない)
        (ならば自分は何処へ行けばいいのか。何処でなら己の内で渦巻くこの怨念の存在を許してもらえるのか)
        (何処にも居場所などない。ならば今此処で復讐を成し遂げ、命を捨てるしかないと)
        (彼はそう思い込んでいる) -- 那岐李 2012-09-07 (金) 04:17:22
      •  (語られる那岐李という男の話を黙したまま彼女は聞いていた。)
        (語られたのは1人の人間が背負うにはあまりに大きすぎる憎悪の物語。あまりに)
        (残酷すぎて救いを求めることすら愚かしい行為であるとさえ思えてしまう。)
         (弱い誰かを捌け口にすることで、より多くの心を救うという人の本性にこびり付いた)
        (どうしようもない悪意。それが幾重にも重なって長い年月を経て理屈では救えない)
        (魂を生み出した。)

         (条件が違えば、カタクァの民がそうなっていたかもしれないという事はシャンタクァ)
        (には痛いほど分かった。)
         (以前にこうして話したとき、那岐李の気持ちも分かるなんて言っておきながら、彼女)
        (は圧倒的に恵まれていたのだ。彼女の国は滅びたわけではない、他の皇族から見れば)
        (蛮族ではあっても、それでもやはり皇帝の血を引いた特別な存在なのだ。)
         (そして、カタクァの王でもある自分は、多くの人に傅かれ愛され認められる存在でも)
        (ある。生まれた時から誰にも愛されなかった者の気持ちなど、どうして分かりえようか。)

        ………
         (シャンタクァはその手を強く握りしめた。総ての人が分かり合える世界をと語りながら)
        (こんなにすぐ側に、願いを持つことすら出来ない者の居ることを見過ごしてきたのだ。)
        (自分の能天気さに腹がたったし、同時にとても悲しかった。)
         (復讐を遂げるまで、那岐李の魂が解放されることは無いのだろう、それは理屈では)
        (語れないことだった、復讐は成し遂げるまで未来へ進むことを許さない。)
         (そして彼の仇はあまりにも巨大すぎ、憎しみの連鎖を断ち切ろうとする言葉に賛同)
        (できないのも当然のことだった。)

        那岐李…
         (だけど、それでも。シャンタクァには見過ごすことも見捨てることもできなかった。)
        (ただその力を利用したいのであればいくらでも都合良い言葉はあっただろう。)
        (危険な人物として追放することもたやすい。しかしそんな考えは微塵も浮かんでこない)

        あなたのその憎しみは…捨てなくてもいい…だけど、もう1人で背負い込まないで
         (自らに流れる血の誇りのために、同族を葬ったという彼の言葉に、誇りをしめすため)
        (という意味以外のものを感じたとき、彼女はそう言っていた。)

        復讐だけが自分の全てなんて…言わないで。おおくの人に戦いを強いて、憎しみの種を
        ばら撒いてる私だって…仲間が殺された時に殺した相手を殺すことしか考えられずに
        ココロアの爪で何人も人を引き裂いてきた私も未来の事なんか語る資格のない人間なんだ

        それでも…諦めたくない。だから…あなたも諦めないで、一杯悪い事してきたわたしの隣
        なら、きっとあなただって居心地は悪くないでしょ?
        もしかしたら、死ぬより辛い人生を送ることを強制してるかもしれないけど…。
        それでも、私と一緒に来て欲しい。那岐李がどんな生き方をして来たとしても、私の大切な
        友達だから。那岐李が生きていける未来も私がちゃんと作るから。 -- シャンタクァ 2012-09-07 (金) 05:45:59
      • (彼女の言葉一つで、自分の怨念が晴れることはない。しかしその真摯な思いは痛いほどに伝わってくる)
        (彼女はここまで怨念のみで刀を振るい、最早他に行き場所など無くなった自分に「共に来て欲しい」と言う)
        (正気とは思えない。彼女が語る理想と、自分の中に渦巻くどす黒い感情は確実に相反するものの筈だ)
        (それを、捨てなくてもいいと彼女は言う)
        (抱えたままで、共に歩もうとまで言ってくれた。それは。その言葉は―)

        ……有り難き、お言葉です。私のような者でも…貴方の目指す新しい国に、生きていても良いと。そう仰るのですか
        なんと、いう……此れほどまでに怨念に染まり、最早手の施しようもない程血に濡れたこの身体を。貴方の国は、受け入れてくださる、と…?
        (それは幼き頃より渇望していた言葉。彼女は今、己の本質を知り、その上でまだ自分を見てくれている)
        (たったこれだけのことを、彼は延々と欲し続けていたのだ。怨念の根源たる乾きが今、静かに充たされるのを那岐李は確かに感じていた)
        (そして思う。目の前のこの方が抱えた理想は決して紛い物ではない。いや、紛い物にさせてはならないのだ)
        (この世界に根ざした負の連鎖を断ち切ることが彼女なら出来る筈だと。今、こうして自分にすら視線を向けてくれた彼女なら必ず出来る筈だと思った)
        (己の奥底の乾きはこれから充たされて行くことだろう。彼女が「居てもいい」と、そう言ってくれたから)

        (だが、だからと言って此処で刀を置くわけには行かない)
        (腰にかけた刀に手をやり、静かに抜き放ち天に掲げる)
        …此れよりこの刀は、貴方のために振るおう
        貴方の理想のために。貴方の理想の成就こそ、私と同じ境遇にある数多の被害者達の救済に他ならない
        なればこそ。我が力は今より真に貴方のために
        カタクァの反乱を建前に己の復讐心を隠すのはもう終わりにしましょう…
        (静かに、そして確かな言葉で那岐李は語る)
        (己の内に燃える復讐心は消えることはない)
        (己が手にかけた同胞の憎しみや恨みも消えることは無いだろう)
        (だがしかし、それでいいと彼女は言った)
        (ならば自分は、この恨みも、怨念も抱えたまま前に進めば良い)
        (この誇り高き女王と共に道を切り開いていけるのであれば。それは、誇りとなろう)
        (彼女が語る新しい世界を、この刀で、この力で現実のものと出来れば。苦しむ人々の希望の光となれるのであれば)
        (それは、誇りを無くした同胞たちへの何よりの救いだと。そう思った)
        (手にした力も、この刀も、全ては彼女の理想の実現のために)
        (今こそこの男は、真にカタクァの一員となったのだった) -- 那岐李 2012-09-07 (金) 18:20:49
  •  (新カタクァの建国が宣言されて以降、その西側世界の中で存在感は増していた。)
    (しょせん蛮族しか住まぬとされていた、旧東ローディア南部がカタクァという中核を得ることで)
    (一夜にして巨大な国家勢力になったような感すらある。)
     (しかし内実はかつて東ローディアやアルメナに対して反目を続けていた南部の都市国家郡)
    (と彼らに組する商人連合の寄せ集めにすぎない、長年に渡る根回しがあったとはいえ、非常)
    (に不安定なものだった。之までの戦争のように有力な諸侯の力を頼ることなく、その大部分を)
    (平民で構成された新カタクァには、掲げた理想を維持するためにもさらに足がかりが必要だった。)

    わざわざお運びいただき、感謝いたします。変わらぬご活躍、なによりです。
     (そういって出迎えた今はカタクァ王シャンタクァを名乗る飛爛は、羽毛で編んだようにしか見えない)
    (柔らかな金の冠をつけ、胸元に大きなリボンのついた黄色いローディア風のドレスを着ていた。)
    (以前に飛爛がスリュヘイムに忍び込んだ時に来ていたドレスだった。その傍らには、件の工房で)
     (オーバーホールされた空を飛ぶ鎧を身に纏った少女騎士フェロミアが従っていた。)

     (レーヴェンフックの一行が招かれたのは川に浮かべられた船の上で、4枚の三角帆が両舷から)
    (突き出すように斜めに張られたその船はまるで羽を広げた鳥のようでもある。)
     (その船室に設えられた幾何学模様に編まれた毛織敷物のしかれた会談場で、)
    (新カタクァとスリュヘイムの同盟案が提示された。要点としては、新カタクァは旧東ローディア南部を)
    (開拓できる力があり、かつ海運を通じてスリュヘイムともつながれるということ。)
    (そしてスリュヘイムが後ろ盾につけば、より強力な兵器の開発も可能になり、他の勢力と張り合える)
    (さらには、アルメナの力が弱まった今、内陸から内海へ通じる巨大河川の支配権を握ることも不可能)
    (ではないと、わざわざ貿易都市トラバを上流に臨む川の上に船を浮かべてみせていた。) -- シャンタクァ 2012-09-06 (木) 02:14:39
    • (今回統一王朝の騎士・エルネスト・フォン・レーヴェンフックに課せられた密命は)
      (この終末感漂う戦場に、先の独立宣言で表舞台に踊り出た新興国・カタクァとの…秘密同盟の締結)

      (公国議会の中でも、突如として現れ「国」を名乗る敵の裏切り者への取扱いは揉めに揉めていた。)
      (概ね「利用すべし」「討つべし」の2極に帰結する論調の中、また別の視点での重要な課題の存在が、騎士がこの場にいる理由である)
      (つまり、食糧輸入の問題。統一連合という建前の屋台骨を持つ以上、現在の食糧事情は決して悪くないが 戦後の混乱が予想される今後、カードを多く持って損はない)
      (勿論、同盟国の手前公然と盟を結ぶには時期尚早。しかし、カタクァを西側社会に「存在」させ、利を得るためには…座して待つのみでは足りぬと、判断した一派が相当数居たのだ)

      (使者には、どういうわけか国家元首と縁深い、と報告が上げられ、また調度良く現場近くに駐留していた宣伝相麾下―統一王朝の騎士が遣わされた)
      (「人材」不足の公国において、使えるものは藁でも使う精神が色濃く出た形と言えよう)
      お招きに預かり光栄であるぞ!シャンタクァ…殿下と呼んだほうがよろしいかな?
      (つい先日まで戦場の空で轡…轡?を並べた仲である。その感触は重すぎず)
      (しかしやたらと重すぎる鎧である。他の使者は704戦試の連絡官が一名とは言え、船がやや沈み込んだ気がしないでもない)

      (提示された条件に、大筋で合意する親書は既に用意されている…唯一つ、連絡官が年を押したのは)
      (「非公然同盟であること」 公的で全面的な協力には、やはりまだ早いということが強調された)

      (順調に進む会談。その間基本的に頷くばかりであった騎士が、ついに耐え切れなくなったのか言う)
      不躾な質問となり申し訳無いが…連合王国に、御姉妹など居られる?
      (機械仕掛けの騎士は、修理の際対面したわけではない。何だか魚っぽかったよ、という伝聞を聞いたのみである)
      (つまりはそう この期に及んで、騎士は彼女の正体にまだ気付いては居なかったのだ…!)
      -- レーヴェンフック 2012-09-06 (木) 02:51:56
    •  (秘密裏に行われる会談とはいえ、武官である騎士と連絡官1人というスリュヘイム側に、多くの)
      (南部族の首長や大臣が同席した新カタクァの側からは疑問の声があがらないでもなかったが。)
      (大丈夫、私の知ってる人だから、というシャンタクァの言葉に皆一応納得はしたようであった。)
       (会談は着々と進んだ、さてその最中に投げかけられた疑問に。一瞬あっけに取られたような顔を)
      (したシャンタクァだったが、とうとうたまらなくなったのか、思いっきり笑い出した。)
      (彼女の横に居て挨拶の時以外、ずっと何も語らなかったフェロミアでさえ、どうした?と首を傾げる)

      あはははっ!ご、ごめんちょっとツボに入っちゃって…!…っく…あはっあはは!
       (お腹を押えて足をバタつかせて彼女は笑う、ついさっきまで、一団の代表として相応に振舞って)
      (居た姿とはまるで似つかない、本当に見た目どおりの少女のような笑い転げっぷりだった。)
      ごめんなさい、あんまり真面目に聞かれるものだから…このドレス見覚えないかな?
      フェイリス・カーター…って私の事だよエルネスト殿?ふふっ…あの時はフェロミアの鎧を直して
      くれてありがとう。
       (笑いすぎて滲んだ涙を指先で拭うと、立ち上がって、スカートの裾をつまんでおじぎをしてみせた。)
      -- シャンタクァ 2012-09-06 (木) 03:13:44
      • (事務的な話の一切は、代表である騎士よりもむしろ連絡官が取り持っていた)
        (質問へ淀みなく答え、公国の立場を示し、カタクァへの利を切り出す。これも「人材」不足の公国ならではの光景と言える)

        (そんな連絡官もまた、さっぱり関係がないと思われる騎士の急な質問に頭痛を覚え 王女の反応に、目を見開くくらいの人間性は持ち合わせていた)
        いや…うむ…え?ヘラ殿がシャンタクァであり、フェイリス殿は別であろう?
        うむ…いや、ああ!(ドレスの模様に、ようやく合点が行った体で)
        しかし、王国の令嬢たる立ち居振る舞いに疑問の余地など無かったのであるが…本当に謀っておらぬ?
        (公国の技術は世界一であるからな!と礼に応えると、やっと自分を取り戻した連絡官が付け加える)
        「となれば明らかになるのは、既にして公国とカタクァの技術交流は行われているという事。早速、公国の兵器を提供しカタクァの航空戦力との連携の可能性を探りたい」
        (といった内容である)
        -- レーヴェンフック 2012-09-06 (木) 03:27:56
      • あの時は私が東側の人だってバレたらまずかったもの、だからこっそり行かせてもらったの、
        ごめんね?でもややこしくなると困るからみんなには内緒でお願い。
         (人懐っこい笑顔で謝るシャンタクァ。期せずして南部を根城にする内海海賊達の能力の高さと)
        (カタクァ王女の無鉄砲さが存分に示されることとなった。)
         (落ち着きを取り戻す場、しかしかなり緊張に包まれていたその場は、すっかり空気が柔らかく)
        (されていた。連絡官の言葉に彼女は笑顔でうなずくと。)
        願っても無いことです、生まれたばかりの赤ん坊のような国に希望を託した人たちはその助けに
        勇気付けられるでしょう。世界は変えられるという願い、今までつながれて居なかった手と手が
        結び合う喜びが私達総ての原動力ですから。
        -- シャンタクァ 2012-09-06 (木) 03:48:03
      • おう!王女の勇気ある姿、騎士の胸にのみ秘めるとしよう!
        (胸を叩く姿は頼もしいが…ヒートアップすると、その辺りの配慮が抜け落ちるタチであることを忘れてはならない)
        (重量に難があり、また双方に高度な訓練が必要となる不死兵のシャツァルへの騎乗は後に回された)
        (さしあたっては、マスケット銃の2000丁と十分な弾薬の供与が約束される。西爛戦争最速の機動力に関しては、やはり期待が大きいのだ)
        (また、飛行に向いた軽量かつ防御効果の高い装具―治金技術は、隔世の感がある―の開発と提供。治安維持に当たってのゴーレムの提供。公国法をモデルとした、各種インフラ整備への協力…)
        (カタクァを「国」として支援する体制が、纏まっていく)

        そう!その言葉である、シャンタクァ(理想を語る王女に、一層強く頷く騎士)
        独立宣言、その場で聞けず残念であったが…布告にこの統一王朝の騎士!いたく感銘を受けた…
        (純粋。悪く言えば夢見がちな、理想郷じみた統一王朝を信奉する心に、その言葉は実に響いたのだ)
        貴殿らは統一連合の民ではない。また、失われた統一王朝に連なる民でもない
        しかしその心、よりよく生きようとする心こそはかの王朝を成立させた原動力でもある
        覇を唱えよと言うわけではない。心のありように、懐かしき面影を見た…儂は、それが嬉しいのだ
        (覇者の素質は、確かに王女に備わっていた。その野心、あるいは彼女の側近であれば―持ち合わせたのかもしれないが)
        -- レーヴェンフック 2012-09-06 (木) 04:10:49
      • ありがとう、やっぱり貴方は素敵な騎士様ね。
         (この反乱、総てが順風だったわけではない、純粋な願いのみで起こされたわけでもなかった。)
        (抑圧された社会があり、飢え渇いた人々の欲望があった。)
         (だがそれでも、この軽い羽一枚のように小さな王女の語る言葉に、地に生きる多くの人がここ)
        (ではないどこか遠くのまるで夢物語のような世界へ飛び立てる翼を見たのもまた事実であった。)

        大地に芽吹いた新たな希望を私達が飛び去った後も、国の境を越え、流れる血の違いも超えて、
        エルネスト殿、あなたが守ってくれるならこんなに頼もしいことはないよ
         (それは統一王朝時代よりよみがえったという騎士の不死性に、戦乱の終結のみに終わらず)
        (もっと長い先の未来までを守護して欲しいという願いの言葉だったが。)
         (図らずもどこか終末を予感させるような言葉でもあった。)

         (この会談の後、公国よりの技術提供の一部は海運を経て速やかに送られる事になる。)
        (代わりに新カタクァより提供されたのは、かつてカタクァが大陸の東で巨大な国家であった時代の)
        (遺物の一部、数十tに及ぶ精緻な自然造形を模写した金塊。そして彼らを急成長せしめた様々な)
        (大爛由来とカタクァ伝統の農工業技術と人材。そして彼らが何より大切にしていた巨鳥の生態と)
        (その調教法に熟知した者たちが送られた。)
         (交流は長くは続かなかったが、この時たしかに高い山脈の壁も国境も越えて東西を結ぶ)
        (道は存在していたのだった。) -- シャンタクァ 2012-09-06 (木) 04:59:33

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  • 【カタクァ独立】

     そこはゾドのずっと南、東ローディア南部、砂漠の中にある都市国家の一つだった
    その街のすぐ側にある統一王朝以前の宮殿遺跡の広場に人々は集まっていた。
    武器を手にしたカタクァ歩兵、駱駝騎馬兵達はカタクァに同調した南部部族の者たちだ。
    兵士が広場に居並ぶ。だが、その場に居たのは兵士達だけでは無かった。故郷を追われ戦列に
    加わった兵士達の家族や、老いた者や子を連れた母も居た、親を失った子供達、怪我をして
    戦えなくなった男達も居た。
     これからついに西にも東にも居場所の無かった彼らが大規模な攻勢に出ようというときに
    なぜこれほど多くの戦えぬ者たちがこの場に呼ばれたのだろうか、誰もが疑問に思っていた。

     やがて砂塵を払っただけの遺跡の広場に集った人々の前、崩れかけた宮殿の柱の奥から
    飛爛、今はカタクァの王シャンタクァと名乗る彼女が姿をあらわす。
     彼女にとって軍人、非軍人を問わず戦いへ駆り立てる言葉を投げるのはこれで2度目、最初
    はカタクァ本国でおきた反帝国蜂起の時。その時は圧倒的な怒りと熱気に押され、ただ望まれる
    ままに帝国を討てと命じることしかできなかった。
     だから今この時、どうしても伝えなければならないと堅く決意して………。
    「戦いに出る前に聞いて欲しいことがあるんだ」
    特別な衣装ではない、かつて彼女が飛爛であった時と同じ、短い白のワンピースとズボンという
    本当にいつもどおりの格好で彼女は静かに語りかけるようにはじめる。その広場に小さな声で
    も総ての人々に聞こえるように仕掛けがしてなかったら届かないような声だ。

    「私達は奪われたものを取り返しに行くんだけど、それは街や家や財宝を奪い返すためじゃ
     ないんだ」
    「本当に取り返さなきゃいけないものは誰もがこの地に生まれ落ちたときから、王も貴族も
     富める人も貧しい人も虐げられ、迫害される人々にも与えられているはずの自由」
    およそ、これから出陣しようという時にする演説の型とは違っていた。広場の集った人々は
    静かに語りかけるシャンタクァの声を黙して聞いている。

    「たとえ姿が異なっていても、信じるものが違っていても。どんな人の上にも太陽がのぼり
     月と星の輝く空があるように、自由は誰もが与えられた大切なものだから」
    「だけど、今のこの地上はそんな当たり前の喜びすら得られない、悲しさで満ちているんだ」
    「誰もが争わずに、その手に人を殺す武器じゃなく、生を繋ぐための道具を持って生きる
     喜びを知っているのに、分かり合えない辛さも仲間を得ることのうれしさも知っているのに
     誰もが生きるために、欲望を満たすために奪い合いをして、とうとうそれはこの大陸全部に
     まで広がってしまったの」

    「でもそれでいいのかな、北の山脈はこの戦いで誰も住めない地になった。多くの人達が
     戦場で死に。ただ平和な暮らしを守りたかった人達が、喜ぶことも歌うこともできない憎しみ
     の塊になって屍となってなお戦うような大地の上が私達が生きるべき場所なの?」

    沈黙の中に一息、間をおいて彼女は言葉を続ける。
    「それは、違うよ。この戦争の事だけじゃない、私達はみんな知らないうちに、欲しければ誰か
     から奪えばいい、それが当然の競争なんだって思い込まされてる」
    「奪われた者はいずれ必ず奪い返しにやってくる、憎しみは消えない。私は誰かから奪いとった
     糧で子供達を育てる事が本当の幸せだとは思えない。」

    「誰かと殺し会うために私もあなた達も生まれて来たんじゃない。本当の平和を地上の上に育て
     るために生まれて、自由を手に幸せになるために生きてるんだ」

     宮殿遺跡の暗がりの中から、ゆっくりとココロアがシャンタクァの元へと歩み寄った。彼女が語る
    壇上は集った人々に程近い場所にあり、いっそうその巨大さを蒼さを印象付ける。
    「だから、私は奪わない。渇いた大地には水と耕せる土をつくる術を、今飢えて苦しむものには食を
     正しき怒りには翼と爪を。」
    「私は支配を与えない、私はカタクァの王だけど、ここをカタクァの地とする気はないの。」
    「流れる血も貧富の差も、強きも弱きも、誰もがただ空の下に己の信じる国と民族の誇りを持ち
     命育むことを許される、地に境を引かない新しい国を与える」

    「私の名前はシャンタクァ、カタクァの神話で世界の終わりに舞い降りる鳥の名前の王様。」
    「だから、私はこの憎しみと奪い合いに満ちた世界を終わりにする。だからみんなで、新しい
     新しい命と自由に満ちた世界を作って欲しい。」
    「それが、終末の名を冠した私がみんなに一番あげたいものだから」

     ココロアが大きく翼を広げた、その背に飛び乗ったシャンタクァを乗せて、ついに下された出陣
    の合図に鬨の声をあげる兵団の上を一陣の風となって舞い上がった。
     この日ついにカタクァは独立を宣言し、終の地となる戦場へと進軍していことになった。 -- 2012-09-05 (水) 01:13:00
    •  ローディア、大爛の山脈を隔てた二つの地で大規模な反乱が始まった。 彼らは「新たなるカタクァ」の名の下に帝国、そして大陸に支配を置いていた総ての
      勢力に対して解放の戦火を広げたのである。 -- 2012-09-05 (水) 01:29:00
    • (シャンタクァの演説が民衆を沸かせるその最中。那岐李はその熱狂の中には身を置くことは出来なかった)
      (この演説が、この決断が彼女の言っていた「未来のための戦い」なのだろう。それは、分かる)
      (彼女が己の理想の為に行動を起こしたその勇気も、その崇高さも十分に理解できる。それだけのカリスマが彼女にはあったし、それを理解するだけの時間、自分は彼女達と共に過ごしてきた)
      (だがしかし。やはり心の奥底を縛る茨がギシリ、と音を立てて胸を締め付ける想いだった)
      (彼女が語る未来は理想論とも思えるが、それでも彼女なら成し遂げてしまうのではないかと思わせる何かがあった)
      (だがしかし―)
      ……私には貴方のおっしゃる世界が見えない。私は…怨嗟の想いのみで此処までたどり着いたのだ
      その私が…綺麗事を並べて刀を振るうなど、出来る筈も無い。……そんな私に、貴方の作る国に居る資格などない
      …ならば、私はあくまで怨嗟のために刀を振るおう。それが結果的に貴方の道を切り開くのならばそれで良い…
      どのみち眼前の敵は全て切り払わねば理想は叶うことはないのだ…それで、いい……
      (シャンタクァの演説に同調し、鬨の声をあげ進軍する歩兵の先頭にあって、この男は尚も己を縛る鎖からは抜け出せないで居た)
      (彼女が語る理想は空を舞う翼があるからこそ得た答えだ)
      (地を這う愚かな蛇如きには理解の及ばぬものだと。そんなことさえ考える)
      (やはりカタクァとカガチは決定的に別の民族だったというのか。己を支えてきた芯が揺らぐのを押し殺しながら、次の戦場へと向かうのだった) -- 那岐李 2012-09-05 (水) 02:07:32

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  • 【城門前】 -- 2012-09-02 (日) 00:14:33
    • (流星は不死の兵団と統一王朝の騎士を齎し、やがて舞う風が砂埃を払う。やがて詳らかになるのは、城門を背に油断無くマスケットを構える兵と、六刀を手にした阿修羅と、重甲冑に身を包んだ騎士)
      (そうして、身体の至るところから血を吹き出しながらも、悠然と立つ仮面の将)

      仕切り直しだぜ、野郎ぉー共。
      (圧倒的不利。だがそんなものは、戦いを止める理由になどならぬ。片手を上げて、部下達に準備の指示を送り──)
      火砲用意!ブッ散らばれやぁ、西の兵ども!!

      (──進軍に追いついた火砲部隊が、火薬の詰まった砲弾と龍勢を、雨霰と城門の敵へ浴びせ始めた)

      っははははぁ!! いーぃ花火じゃねぇーかよぉ! あぁ!? -- 阮焔 2012-09-02 (日) 00:21:21
    • …急に賑やかになっちまったな、まさか戦場で知った顔がこうもいっぺんに出てくるたあ
      …!ここへ来て、まだそんだけ持ってんのかよ!!(駆け出しざま、城へ向け龍勢を放つ兵の一人を斬り倒す)
      っづ!だぁくそ、近づけねえ…!(雨の様に放たれる火砲と龍勢の炎の余波は、それだけで人を寄せ付けぬ熱気の壁となる)
      (着弾の度に人がゴミの様に吹き飛び、地面に叩きつけられた玩具の如く、バラバラになる)
      これじゃ近づく前にお陀仏だぞ…おい何とかならねえのか騎士様よ!?(怒声に近い叫び声で、レーヴェンフックに問いかける) -- 胡久美 2012-09-02 (日) 00:33:48
    • 見誤っては居らぬか?修羅よ
      (火の粉を浴びながら、最前線に立つ。決して「個体数」は多くない戦列歩兵―重装甲の、歩くことがやっとの不死兵らを引き連れて)
      横隊行進、公国の盾が硬さを思い知らせい!
      (横一列に並び、砲撃を受けながらも…確実に進み、マスケットを撃ちかける)
      (装甲は強固、なれど鈍重 防衛戦闘に最適とも言える公国の兵は、王城を前に本領を発揮した)
      (「吹き飛ばない」のである。行進は止まらない―じりじりと、距離を詰める 城壁が崩れるのが先か、横隊が砲兵の喉元に迫るのが先か ギリギリの勝負である) -- レーヴェンフック 2012-09-02 (日) 00:48:29
    • (鈍重な重装歩兵。しかし見よ、その城塞のごとくの盤石さを。彼らにとっては爆風も、砲弾も、戦場の恐怖ですら何ほどのものでもない)
      (横に広がった戦列は徐々に、帝国兵に接近する。この放火の中では、接近してその排除など望むべくも無い)
      (このような時頼りとなる空からの爆撃が可能なカタクァの兵は既に蜂起し、敵対勢力となって久しい)

      参ったねどぉーも……梃子でも動かんってかァ
      (顎髭を撫で付けつつ、思案する。そんな阮焔の傍ら、帝国兵としての装いの女副官が、何事かを耳打ちした)
      ……致し方ねえな。どぉーにも。

      (爆音の最中、その呟きはこの男にしては珍しく、苦渋を孕み……)
      (首肯の仕草をするなり、後方から破城槌──それもただの攻城兵器ではない。動物の内蔵に油を充填し、多量の火薬を満載した代物である──を複数構えた隊が、雄叫びを上げながら駆け抜ける)
      (お先に、と言う彼らの言葉に鷹揚に頷く指揮官。特攻兵達は鈍重故に隊列を変えづらいと判断し、重装不死兵へと一心不乱に突き進む)
      (マスケットから撃ち出される弾丸が少なくない数の兵を地に臥せるが、その速度は止まる事はない)
      (死を代価とした自爆特攻を目にして、仮面の将は唯、無言。) -- 阮焔 2012-09-02 (日) 01:11:32
    • (決死の思いで敵兵目がけ駆け抜ける兵士達、その心境たるや如何なるものか)
      (壁となる不死兵達が吹き飛ばされるなか、駆け抜ける兵士が一人、不意に倒れる…その体を、真っ二つに斬られ)
      キキキ!遊ぼうぜえお面野郎がよ!!(阿修羅が迫る、死を賭した想いを無惨に、無慈悲に踏みにじり、切り刻みながら)
      (手に携えるは6本の死神の鎌、それらは自在に振るわれ、爆破させる間もなく特攻兵の命をかりとり)
      ぉぉおおおお!!(青年は仮面の兵に迫るや、その六本の腕全てを振り抜き、阮焔を斬って捨てんとする!) -- 胡久美 2012-09-02 (日) 01:43:30
    • …む、あれは いかん、な
      (数本の大丸太、死出の装飾が施されたそれの足取りには迷いがない。効果のないモノに命を賭ける兵は中々居ないものだ)
      (騎馬は横隊の最前列を飛び越える。横目に、不死兵に辿り着けずに…阿修羅に斬られ、半ばに散った兵らの暴発した破城槌を見れば)
      (確信に変わる。目前に、残りの杭らが迫る!)
      統一王朝が騎士!エルネスト・フォン・レーヴェンフック!(先頭を、「掴む」 決死の突撃に、踵から火花を上げつつも止まり)
      鍛冶師アルメタル・アンヴィルが遺志の宿る、龍鉄の鎧を纏い!(「持ち上げる」 梃子でも手を離さぬと、荒縄にて身体を括り付けた兵ごと、地を軋ませながら)
      王朝が末子、その城を守るため…ただいま参上!(「投げ飛ばす」波状に押し寄せる、玉砕覚悟の直線軌道を描いた敵兵に)
      東夷の兵よ!我が力恐れぬならば、かかって来い!
      (全く長い、これまででも特に長い名乗りを言い切り。軍勢を引き連れた騎士が咆えた) -- レーヴェンフック 2012-09-02 (日) 01:57:56
    • ったく戦って奴ぁ本当によぉ……!!
      (これだけ部下を切り捨てて尚、笑う。戦闘という状況に魅入られ、最早抜け出す事など考えにも及ばぬのは羅刹そのものか)
      (両腕の牙が閃く。剣閃に合わせ振るわれる腕は最早神速。鋼鉄と獣牙がかち合い、啼くような響きが轟音渦巻く戦場に木霊する)
      (一合、二合、三合、四合、五合。)
      (致命傷は髪一重で避ける。致命傷でなくなった斬撃は五体を切り裂き血煙を吹き上げるが、しかし)

      (六合)

      (首の皮一枚を切り裂いて、一撃が逸れた)
      (同時に両腕に着けた手甲が、度重なる連戦によっての──そして胡久美の魔技を受けた事による負荷で、砕け散る。そして六合目を逸らした左腕は……深々と刃を縫い止めた)
      (迸る鮮血と、破片が舞う。その一瞬こそが勝機)
      ........aaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!
      (右肘が畳まれ、右手の五指が揃えられる。風鳴りすら残して、形作られた貫手が槍となり)
      (咆哮とともに、攻撃後の胡久美の喉元へと突き出された)



      (一方)
      (爆音。最悪の形での同士討ちを経験した死を賭した兵達は、しかし)

      「見事なり、統一王朝が騎士エルネスト・フォン・レーヴェンフック!!」
      「だが然し刮目せよ!! 我ら大爛の兵にして六稜軍宗爛閣下麾下小越奴兵隊、されど我らが王は天壌帝に非ず!!」
      「我ら大爛に在りて滅びし西句(タイカゥ)を想う者なり!! 然り、我ら既に死し者なり!!」
      「汝らが不死の兵であるのなら、我ら死して尚猛る獅子なり!!」

      「……我ら、河南(ハナム)王が子、最後の西句の主阮嗣暎(グエン・ジーブ・アイン)に仕えし死兵、小越(ティウ・ベト)なり!!!」
      「活目せよ統一王朝の騎士!! 我らが在り方、滅びし西句(タイカゥ)の兵の在り方を!!!!」


      (叫ぶ。そして突撃する)
      (最早目標は一人。残った三の破城槌は、統一王朝最後の騎士を最大の障壁と判断する)
      (横列に広がった重装兵の隊列よりも、誇り高き騎士こそが最大の障壁だと判断し)
      (故に、そうした。血を流し、最早笑い、主の敵を砕くため)
      (重装のレーヴェンフックへと、突撃する) -- 阮焔 2012-09-02 (日) 02:41:46
    • ひゃははは!!あんたやっぱいいわ!!くっそ、毒何かでへばってたのが勿体ねえ!!
      (羅刹に相対するは阿修羅、六本の腕は文字通り人外の速度と手数を以て、阮焔を仕留めるべく必殺の太刀を振るう)
      (だがしかし、その一撃は悉くいなされ、防がれ、あろうことか逆にこちらへ向かい必殺の一撃を放ち、仕留めんとすらしてくる)
      (これには愉悦を感じるなというのが、青年にとっては無理な話だ)
      (合間を狙い突き立てられんとする獣の牙を、己が武器で軌道を逸らし、弾く。回避不可能のものは少しでも戦闘に支障をきたさない場所で会えて受け、耐える。)
      (正直、手数がもう後に本足りなければ逆に押し込まれていたかもしれない、そう思わせる程の気迫が、技術が、力が…何より執念が、目の前の敵からは感じられた)
      …!(そして訪れたその時、受ける場所も限られてきた体は、甲冑は血で赤く染まり…だがそれでもなお、決定的な勝機を生み出す)

      (だが、その勝機を感じ剣を振るわんとした攻めっ気も、その後の一瞬で致命的な油断となる)
      …!!?(迫る、阮焔という男の、全てをかけた必死の一撃が、乾坤一擲というならばまさにこのような一撃を言うのだろう)
      (紙一重で避けた筈のその喉は、素手の一撃にも関わらず、まるで刃で切られたかのような深い切り傷を負わされる)
      ごほっ!…っは、はっ…(首元を左腕の一本で抑えながら、溜まらず距離をとる)
      (流れる血は止まらない、意識が急に揺らいできたのは、下手をすれば軌道も傷つけられたか)
      (よくよく、自分は獣と縁があるものだと、不意にそんな呑気な事が頭に浮かんだ) -- 胡久美 2012-09-02 (日) 03:03:19
    • (一騎打ちが始まっている。兵と兵が、砲と砲が潰し合うこの戦場の中心は、皮肉にも人と人の格闘戦なのだ)
      (その中で、攻城兵器と―騎士が。釣り合わぬはずの戦力が、激突している光景は奇妙ですらあったが)
      (両者に共通するのは、誇りと、意地である)

      西句の兵よ!亡国の死兵らよ!敵の走狗となりて果てる身の不幸痛み入る!
      (破城槌、2本は同時に騎士の懐へ至り しかし、その両腋に抱え込まれる)
      (一体何十人分の推進力を、受け止めているのか…その膂力は計り知れない)
      貴君らの誇り、統一王朝の騎士が…この儂が!伝説と共に伝えよう
      (そして最後の一本は…白い、淡く虹色に輝く胸甲に突き刺さる 瞬時に発火し、爆裂する破城槌)

      儂が、貴様らが、人々が…死してもなお、物語は残るのだ 供養にはなろう
      (「熱」は騎士の力を増幅する重要なファクターである。爆破に寄る衝撃を殺すことさえ可能であれば…龍を鋳込んだ、当代最強の装甲であれば)
      (煤けた重鎧は、サーコートだけが焼け爛れて。僅かに残る杭の残骸を地に突き立てる)
      グエン・ジーブ・アイン!西句の王よ!
      貴様の兵ら、このエルネスト・フォン・レーヴェンフックが前に敗れ去ったり!

      (どこまでも届くように、彼等の死に様を伝える。動揺を誘うためか、伝説に色を添えるためか?)
      (否、これは戦場に彼等の死を記録するためである―とは、本人にしか分からぬことなのではあるが) -- レーヴェンフック 2012-09-02 (日) 03:25:11
    • (仮面の羅刹は、阿修羅に一矢を叩き込んだ姿勢のままで視線を上げる。最早満身創痍と言っても過言ではない)
      (流れ落ちる血は、砲撃でめくれ上がった城門前の石畳を染め上げ、肉を持って刃を縫い止めた左腕はだらりと下げられている)
      (騎士の高らかな言葉に、引き結ばれた唇が僅かに動く。なんと呟いたのかは、推移を見ていた副官にすら分からなかった)

      (だが、此処が分水嶺であった。勝利をもぎ取る為には、奴兵は此処で止まる訳には行かなかった)
      (睥睨する。最早弄せる策は無い。だがしかし、打倒するために、己の敵を睥睨する)

      (獣のような唸りが喉から発せられた。全身の筋肉を再び緊張させ、未だ倒れぬ敵を倒す為……)

      (だが。男はふと、空を見た)

      (爆煙で煙る、戦場の空だ。そこに、駆ける者は) -- 阮焔 2012-09-03 (月) 01:10:43
    •  (大海原に聳える島のようなローレンシアの城を飛び越えて巨鳥の編隊が乱戦の真上に飛来した。)
      (地上を舐める黒煙を羽ばたきがふきとばし、優に10mを超える翼の群れが頭上の光を遮った。)
       (崩れた城壁を掠めるように、数十羽が急降下をはじめた。城門前で乱戦を繰り広げる兵士達が)
      (吹き抜けた突風に振り返る前に、蒼穹が染みこんだような蒼い翼の鳥を先頭にした編隊は遥か)
      (上空に高度を取っていた。)
       (爆薬が水滴のように落ちていき空中で一度目の破裂音。爆薬が小片に弾け飛び、それは落ちた)
      (水滴が王冠型の小雫を周囲に撒く姿にも似ていた。)
       (そして宙に小片がばら撒かれたのを見た者たちの視界を炎が覆いつくす。)
      (城門前で接戦を繰り広げる阮焔達の背後を一瞬巨大な炎の壁が遮り、爆風と共に戦場を焼いた。) -- シャンタクァ 2012-09-03 (月) 01:43:49
    • かは、ひ、ひひ…!!まだだぁ、まだまだ、遊び足りねえよなあ…なあ羅刹よぉ!!
      (裂かれた喉を押さえ、口から血を吐きながらも血走った目で阮焔を睨みつける、ぶつかり合う視線は、次が恐らく最後の一合である事を、互いに感じさせる…)

      (だが、直後にまたも戦場は大きく様相を変える)

      (空から雨の如く降り注ぐ爆弾破、瞬く間に戦場を焦熱地獄へと変えていく)
      ん、だぁこりゃあ…!(見上げた先には、あの帝国の巨鳥を駆りし者達の姿)
      くっそ、いいとこで邪魔しやがってぇ…!(勝負を邪魔され、殺意の満ちた目で遥か上をゆく巨鳥と、その兵達をする)
      おらぁ、出てこいや羅刹、逃がしやしねえぞ…(構わず炎に突っ込もうとする胡久美を、寸での所で傭兵達が引きとめる)
      …がぁああ!くそ、今日のとこはお流れだ…次こそは勝負決めっからな(血を流し、吐きながら何とも締まらない捨て台詞を残し、なだめられながら去っていく) -- 胡久美 2012-09-03 (月) 02:03:19
    • (一般的に、不死兵は炎に弱い。よって、隊列の行進は止まる…それよりも、威力のある爆撃に晒されれば追撃の必要もあるまいが)
      (レーヴェンフックは違う。熱は、このミクロの騎士―バクテリア―を駆動させる重要なファクターだ)
      (進む、炎に照らされた地獄を)
      シャンタクァ!彼の者らに祈りを!
      (この被害ではひとたまりもなかろう、と 勝利の凱歌をあげた) -- レーヴェンフック 2012-09-03 (月) 02:32:01
    • (これまでの爆発を遥かに凌駕する紅蓮の炎。降り注ぐのは滅びの火焔か、大爛の傲慢すらも焼き尽くす天意か)
      (今の少越奴兵隊に、その爆撃はひとたまりもなかった。悲鳴と怒声は阮焔の後ろより多重に響き、すぐに小さくなる)
      ……阿修羅に、騎士さまよぉ、どぉーにも此処は、俺らの負けらしい
      (紅蓮の炎をバックに、肩を竦めて。)
      (決死の思いで馬を飛ばした伝令兵から副官に伝えられた言葉は……)
      (天壌帝の崩御。大爛という怪物を地に縫い止めていた楔が抜けた事を示す報告)

      (失った部下は、そしてこの戦いの趨勢は……巡らせた思いに頭を振る。引きずられていく胡久美を見やりながら、振り返り部下に指示を出そうとして)
      ……っはは、参ったな。
      (生きて、なんとか爆撃を逃れた部下は全体の二割程である事に、苦笑いを浮かべる)

      ……後退だ。六稜軍の残存部隊との合流を最優先に。
      宗爛大将連れて、ゾドまで撤退だ手前ら!

      (流石に、声には苦い響きが混ざる。撃ち掛けられるマスケットの射線から逃れつつ、黒煙たなびく空をバックにした王城を見上げて)

      これだから戦ってのはよぉ……

      (そう呟いて、撤退を開始した部隊の殿を務めるべく脚を動かす)



      (後の歴史書には、城門前にて傭兵隊とスリュヘイムの精鋭が大爛の奴兵隊と交戦、これを撃退という一行にしか残らぬ戦いであったが)
      (しかし生き残った者が居るならば、両軍の雄の立ち働きを記憶する者が居るならば)
      (語り継がれる事があるのかも知れない) -- 阮焔 2012-09-03 (月) 02:31:38

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  •  王都決戦の最中、南から王都ローレンシアへと向かう一団がある。
    焼け落ちた城砦を飛び越え、屋根が落ち灯の消えた村の上を羽ばたきが吹き抜けていく。大平原を西へ
    沈み行く夕日をめがけて巨大な翼の群れが飛翔している。カギの字に編隊が茜色の空に鱗のような線を
    その巨大な影で描いていた。
     千羽にも達するかという一糸乱れぬ空の隊列は巨鳥シャツァルに乗ったカタクァ飛行兵達、青く染めた
    旗に翼と太陽を描いた新たなるカタクァの旗を掲げて。爛の名を捨てカタクァ王シャンタクァとなった少女
    を先頭に一直線にローレンシアへと羽ばたいた。 -- 2012-08-30 (木) 23:57:15
    • そして彼らは夜を越え、夜明けの中に翼を広げた。眼下を埋め尽くす帝国軍の包囲をさらに大きく
      取り囲み、千の翼と、南方の駱駝騎馬隊の蹄が空と大地の両方を震わせて、戦場へと突き進んだ。
    • 轟音。果たして戦場にて巨鳥の群れを出迎えるのは、火砲の類であったか?
      いや、違う。遠く、遠く戦線の端から放たれた砲弾は、先に音だけを届け―
      次に、豪放な声を届けた
      「ガハハハハハ!おう、ヘラ殿ではないかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
      邂逅はほんの一瞬。王城前へ続けて撃ち込まれる砲弾…というには余りにも大きなシェルたちを、引き連れて
      何処かで見たことのある騎士らしき鉄塊が、文字通り空を飛んで前線へ急行する現場に、居合わせた -- 有人徹甲弾 2012-08-31 (金) 00:11:56
    •  突然飛び込んできた砲弾に編隊の一部が水を撒いたようにさっと飛び散る。
      「その声・・・」
      あれは敵ではない、と味方へ通信石を通して指示を飛ばすと。周りのシャツァルよりも二周り大きな
      蒼い翼が空をカッ飛んでいく砲弾を軌道を合わせた。
       他の編隊の巨鳥達はその速度についていけずみるみるうちに後方へ離れていく。
      「エルネスト!あっはは!久しぶりね!」
       カタクァ飛行兵で最速を誇る飛爛とココロアでもさすがにその砲弾の速度についていけずに、並走
      したのも一瞬、距離はどんどん離れていく。
      「飛爛はもう止めたよー!私の名前は・・・シャンタクァ!あなたにも空を行く者の守りがあらんことを!」
       強風の吹きつける上空にも関わらずシャンタクァは飛行帽を取ると、大きく頭上で振った。 -- シャンタクァ 2012-08-31 (金) 00:34:51
    • 束の間の顔合わせに、超高速の空で親指を立て 了解の合図だ
      「シャンタクァ!君の翼に良き風が吹かんことを!」

      声だけが、小さく残り。狂気の砲弾は地面への衝突を―
      否、その一瞬前に外殻を爆破、衝撃を殺し転がるように着地
      質量をそのまま乗せた鋼板は必殺の威力を持って弾着付近を踏み荒らし、次々と不死歩兵を乗せた後続弾が続く
      グスタフ空挺作戦―後に、公国の電撃戦術として確立されるモノの端緒が、この王都決戦にあったことはあまり知られていない
      そして、その場に「カタクァ」の反乱王女が居たこと―冗談のような、本当の話 -- レーヴェンフック 2012-08-31 (金) 00:47:17

    •  砲弾の軌跡の上にに再び鳥達編隊を組む。飛行帽を被りなおしたシャンタクァは強く手綱を握った。
      <<第二第三編隊左右展開!第一は私に続き直進!>>
       広大な草原が途切れ、眼下に人馬の群れが海原のごとく広がる。ついに翼の群れは戦場の際を
      風切羽の下に捕らえた。
       南部で反乱を起こし、攻め上ってきたカタクァ軍にとって、初めて遭遇する帝国の大部隊との交戦が
      今まさに始まろうとしていた。
       だが、シャンタクァとなった飛爛の心の中は不思議なほど落ち着いている。思わぬ訪問者の影響も
      あっただろうか。ただ、彼女は率る総ての空と地上の兵士達が抱いた怒りも渇望も、蹂躙された地に
      残された爪も翼も持たない人々の恐れも、そして飽くなき生きることへの激情をその翼に乗せて、今
      この空を飛んでいる気持ちになった。
       幾たびも己を内から引き裂こうとしてきた、暴風のような感情の奔流がまさにこの瞬間凪いだのを
      感じたのだ。それは、初めて彼女が空を舞う巨鳥の背の上で、叩きつける大気の圧力が消え去り、
      あまねく生命の生きる地上を包む空の中に浮かんでいるのを感じたときと同じ気持ちだった。
       だから今ためらいなく号令を下す、渇き、奪いあう戦いに終止符を打つ決意とともに。
      <<解放の戦火を放て!散開!!>> -- シャンタクァ 2012-08-31 (金) 01:19:25
    • 同胞よ!幾多の犠牲を踏み越え、我らはついにこの時を迎える!
      愚かにも地を這いずる帝国兵の死を持って、我らの誇りを天地に示せ!
      我らには翼がある!奴等には無い絶対的な利があるのだ!負けよう筈もない!
      胸に抱いた誇りを剣に乗せ、行く手を遮る物すべてを切り伏せよ!突撃ィィィィッ!!!
      (開戦の狼煙となるシャツァルからの爆撃を確認するや否や、後方から歩兵部隊が戦場へと雪崩れ込む)
      (勇ましき雄たけびを上げながら帝国兵へと突撃するその姿は西方諸国にどのように映ったのだろうか)
      (それを確かめる術はないが、今はただようやく訪れた報復の時を、帝国兵の鮮血をもって彩るのみだ) -- 那岐李 2012-08-31 (金) 01:58:08
    •  (平原の彼方に山のように聳えるローレンシアの影を仰ぎ見る帝国軍の頭上をシャツァルの翼が起こした) 
      (風が吹きぬけたとき。彼らは真の意味で空を翔る者が持つ圧倒的な戦術的優位を思い知ることになった。)
      (戦いの趨勢をきめるのは地上を行く騎馬であると頑なに信じたツケを払うことになったのである。)
       (空を埋め尽くすシャツァルの鉤爪が落とした爆薬は帝国兵の頭上で爆発した。一拍の間が空いて、)
      (地上を包み込むように無数の爆発が巻き起こる!)
      (投下された爆薬はもはやただの火薬の塊ではなかった、敵の頭上で無数の小型爆薬となって四散し)
      (降り注ぐクラスター爆弾とも呼べるものにまで進化していたのだ。)
       (それは爆撃を避けて駆け出した騎馬の脚よりも早く、空から飛来する敵を待ち受けていた陣後方の)
      (弓兵達にまで容赦なく鉄と火薬の散弾を浴びせた。)
       (200羽近いシャツァルから放たれた弾薬が数kmに渡って爆破の帯を地上へ叩きつけた後、
      (無数の騎馬が全身を血まみれにしながら倒れのたうち、鎧を突き抜けた鉄片の全身に食い込んだ兵士)
      (は激痛のあまりに地に倒れ臥した。)
       (翼の下に従った那岐李達、地上部隊の進撃を阻めるだけの冷静さを保っていたものは皆無であった。) -- 2012-08-31 (金) 02:26:20
    • (爆撃の後に残った僅かな残存兵力を、圧倒的な戦力でなぎ倒す。最早これは戦闘ではなく一方的な蹂躙でもあった)
      (空からの一方的な爆撃というアドバンテージがある、という安心感によりカタクァの兵達もまた強気に攻めこむことが出来た)
      (多少の傷など気にも留めず、勇猛果敢に突き進むその姿は正しく遥か昔から伝えられる誇り高き部族そのものであった)
      (その中にあって那岐李もまた、己の、部族の誇りを取り戻さんと刀を振るう)
      ハハハハハハハッ!!!これが、このような矮小な雑魚が我らを長年苦しめ続けた帝国か!?
      最早帝国など取るに足らん!やはりカタクァは、カガチは貴様ら如きに支配されるような民族ではなかったのだ!
      我が名は那岐李!貴様らにかつて虐げられたカガチ人の末裔なり!これが貴様らが虐げてきた民族の持つ本当の力だ!
      思い知れ…!血を持ってその罪を贖え!恐怖と絶望の中で己が行いを悔やみ、地獄の底で己が行いに相応しき罰を受け続けろ!!
      (叫びながら振るわれる刀が怯える帝国兵達を次々と切り刻んでいく)
      (その身に宿した蛇神の力が、己の存在を誇示するかのように周囲を蹂躙する)
      (鮮血と嘆きに満ちた戦場に於いて、那岐李はただ笑いながら命を奪い続けた) -- 那岐李 2012-08-31 (金) 02:55:57

    •  吼えるな!薄汚い裏切り者に非人共が!!
       (空からではない、地上で砲哮が上がった。)
      (無力化された先陣蹂躙する、駱駝騎兵と、空より降ろされたカタクァ歩兵達の行く手に砲撃により)
      (舞い上げられた黒土の雨が降る。)
       (壊滅した先陣の後方に控えていた部隊の中から、後詰の兵を率いた帝国武将が水銀の矛を)
      (振りかざし、砲撃の中を数十騎引き連れて突撃してくる。) -- 2012-08-31 (金) 03:23:05
    • この圧倒的な力の差を前にして尚気勢を削がぬのは評価しよう…だが(突撃してくる部隊に目をやり、歪に口元を吊り上げる)
      最早この戦場で貴様らが我らに勝る場所など何処にもないのだ。天は我らがシャツァルの翼が…
      そして地は、この蛇神の力によって支配されている。ただの人間に過ぎぬ貴様らには到底贖えぬ力の差を知るがいい!
      (迫りくる矛の群れに相対して尚その顔は笑みを浮かべたまま。手にした刀を地に突き刺すと、中空に印を結ぶ)
      太古の昔より恐れられてきた竜の力の片鱗…蛇神の力を受け継ぎし我らカガチの真の力、見せてくれようぞ!!
      (瞬間、大地に突き刺さった刀から騎馬隊に向けて亀裂が走った。まるで生きているかのように、大地の裂け目は幾重にも枝分かれし、的確に騎馬へと突き進む)
      (敵兵の足元に網目状に走った亀裂から黒い霧が牙を成してその足元へと食らいついた)
      (噴出した黒い蛇は騎馬の足を骨ごと食いちぎり、落馬した兵もまた別の蛇の牙の餌食となっていく) -- 那岐李 2012-08-31 (金) 21:25:34
    •  (黒い小波となって大地を覆い尽くした蛇が敵部隊を飲み込む、流された血一滴、その黒い畝の中から)
      (出る事は適わず、末期の悲鳴すら覆い隠されていった。)
       (幸運にも爆撃を生き延びた帝国兵の前に畳み掛けるように、再び恐怖が繰り広げられ、突き進む)
      (カタクァの軍はいよいよ勇んで槍を弓を放ち追い立てる。)
       (そして左右から再び轟く爆轟が地を揺らす。完全な連携で分離と融合を繰り返す一つの生き物の)
      (ようになって空を行くシャツァルの編隊が時間差でもって、敵の左右の陣を焼き払ったのだ。)
      (大地を埋め尽くす帝国軍の陣の一部がほんの僅かの間を持って完全にひき潰されていた。) -- 2012-08-31 (金) 23:04:51
    • ックククク……ハハハハハハ!!!(天と地、双方からの攻撃で肉塊と化していく帝国軍を見てさも楽しそうに声を上げる)
      さぁ誇り高きカタクァの戦士たちよ!我らには天を舞う翼がある!地を絡め取る牙がある!何を恐れることがあろうか!
      進め!今こそ愚かな帝国兵達に我々が如何に優れているかをその身をもって知らしめる時ぞ!
      先王も、かのクル・クワンカ老もこの槍と共に戦場にある!汝らの行く道を切り開き、その身を守ってくれようぞ!
      (天高く掲げた槍はカタクァを案じた老人の遺品。それにこめられた意思を捻じ曲げ、扇動の道具として振るう)
      (あぁしかし、高揚した兵達は那岐李が発する言葉を疑わない。先王と老兵が守ってきた誇りを捻じ曲げて兵達は突き進む)
      (そして先王と老兵の思いを捻じ曲げた張本人は、ようやく訪れた悲願の成就に狂喜して敵兵を切り刻み続けるのだった) -- 那岐李 2012-08-31 (金) 23:27:04
  •  
    •  (戦局は大きく変わろうとしていた、早馬の数倍の速さをもつ巨鳥の伝達によって皇帝崩御の知らせは)
      (帝国軍よりも早く飛爛達カタクァ軍の元に届けられた。)
      明日か…遅くてもあさってには帝国軍に知れ渡るわね…
      ふぅーむ………そっか、死んじゃったかぁ結局最後まで顔を拝むことはなかったなぁ
       (天幕の中でかがり火に照らされた飛爛は驚くでもなくその知らせを聞いた。)
      (地面に敷かれたカタクァ独特の毛織敷物も今は大分使い古された感じになってしまっていた。)
      (4年の長きに渡り続いた西爛戦争に今大きな節目がもたらされようとしている。) -- 飛爛 2012-09-02 (日) 00:36:25
      • (天幕の中、知らせを聞いて言葉を漏らす飛爛の傍に控えていた那岐李が声を上げる)
        シャンタクァ様、これは絶好の好機です!皇帝崩御の知らせが帝国軍に知れ渡れば奴らは一目散に本土に逃げ帰るに違いない
        この知らせを奴らより先に得られたのは僥倖と言う外無い。逃げ帰る帝国に先回りし、殲滅するのです!
        我らの力を示すにはこれは絶好の機会…!ご決断を。天は我らに彼奴らを討てと言っている……!!
        (語気荒く、詰め寄るようにして飛爛に進言する。瞳に映るかがり火が、彼の燃え上がる復讐心を示しているかのようだった) -- 那岐李 2012-09-02 (日) 00:43:22
      •  (居並ぶターバンを巻いた南方都市国家の将達も那岐李の言葉にうなずいた。彼らにしてみれば)
        (帝国軍の退路を達、連合の反攻に加勢して恩を売っておくことは、これからの自分達の身の)
        (振り方を考えても当然のことであった。)
        殲滅ね…まぁ、どっちみち最初からこうなった場合はそうする予定だったし。
        みんなを叩き起こして、夜明けまえに陣地をもっと東へ移動させるから、準備させて。
         (それだけ言うと飛爛は天幕を後にした。ただ移動を命じただけである。) -- シャンタクァ 2012-09-02 (日) 00:56:18
      • (飛爛の指示に歯噛みする。今命ぜられたのはただ「移動せよ」というだけだ。帝国への対処は何一つ命ぜられていない)
        (違う。これでは手ぬるい。今、此処で帝国を討てと命じなければ王としての力を示す意味でも、民の心は掴めまい)
        (都市国家の将達は特に疑問に思っていないようだが―)……っ!シャンタクァ様!お待ちください!
        (立ち上がり、飛爛に続いて天幕を後にして)
        …シャンタクァ様。どういうおつもりですか。なぜあの場で「帝国を討て」と命じなかったのです…!
        これが奴らを壊滅させる千載一遇のチャンスだということは貴方も分かっているはずだ! -- 那岐李 2012-09-02 (日) 01:09:04
      • 分かってる
         (追いかけてきた那岐李に振り向かずに答えるシャンタクァ。爛の名を捨てた今、彼女は)
        (名実共に帝国に敵する者だ。帝国軍を討たねばならないことは十分にわかっていた。)
         (天幕から離れて陣地の中を抜けていく。向かっているのはココロアが羽を畳んでいる)
        (シャツァルの獣舎の方だ。)
         (那岐李だけがついて着ているのを確認すると、彼女は静かに言葉を続けた。)

        私が戦わなきゃいけないのは分かってるんだ。でもね、やっぱりその前にあなたとは
        ちゃんと話して置かないといけないなって思ったんだ。
        今のあなたはカタクァの中でとても大きな存在になってるから。 -- シャンタクァ 2012-09-02 (日) 01:28:40
      • ―話?何を今更…私のことは反乱前にお話したとおりだ。私は誇りを守るために戦うのみ…
        他に、何か話しておくことが…?今話すべきことなど何も無い筈だ!私と貴方の目標は…理想は同じ筈!
        帝国を討ち、カタクァの誇りを世に知らしめること!それ以外に何が必要だというのです!?
        (飛爛の言うことが理解出来ない。この状況で何を改めて話すことがあるというのか)
        (すでに反乱は起きた。賽は投げられているのだ。あとは敵を討つ。敵の血を持って誇りを示す)
        (それ以外に何があるというのか―) -- 那岐李 2012-09-02 (日) 01:43:00
      •  (不意に彼女は足を止めた。夜風が長い黒髪を揺らして月光がその先端に反射した。)
        うん…私ずっと考えてたんだ。私は新しい戦いをはじめさせてしまった。
        だから、必ず終わらせなくちゃいけない。みんながたどり着く場所を決めなきゃいけないんだ。
        …それが私の言葉で人を戦場に駆り立てた私の王としての責任だから。
         (振り返りる、姿形は幾たびも戦場を潜り抜けてもやはり、少女然としたままだが。シャンタクァと)
        (なった彼女に以前のような幼い雰囲気は無い。)
        だけど那岐李…あなたは未来の事を見ていない気がするの、誇りを示すこと、帝国を討つこと…
        その戦いはどこに終わりがあるとあなたは考えてるの? -- シャンタクァ 2012-09-02 (日) 02:30:16
      • (言葉に詰まる。考えたことが無かった。否、考えないようにしていたことの答えを唐突に求められる)
        (今の自分を動かしているのは帝国への復讐心のみ。その復讐心が消えるには?どうすればいい?積もり積もった民族の恨みを晴らすには―)
        …私、は……。私はカガチの誇りを取り戻したい。カタクァの誇りを守りたい
        そのためには帝国に力を示さねばならないのです。我らは消して帝国の下に甘んじているような民族ではないと。帝国に思い知らせなければならない……
        二度と我らを蔑み、誇りを踏みにじることが出来ないようにしなければ…我らの誇りはまた、失われる危険がある…!!その危険の芽を摘むために私は―!
        (違う。今の自分にとってそんな崇高な目的は建前に過ぎない―)
        (本心はもっともっと幼稚な物でしかない。要するに自分を認めて欲しいだけなのだ
        (あの時、自分を受け入れてくれなかったあの少女に。あの時、自分に石を投げた者たちを見返してやりたいと)
        (そんな幼稚な願いが歪な形となり、怨念となって今の彼を支配している。それを見抜かれたくは無かった。だから、またも彼は本心を語らない―) -- 那岐李 2012-09-02 (日) 02:43:12
      •  (言葉をとぎれさせた那岐李を真っ直ぐに見つめながら彼女は言葉を続けた。)
        きっとそれは敵を作って倒すことを繰り返してたら終わらないよね…ほんとうにどっちかが死に絶える
        まで憎んだり恨んだりして、戦うために別の戦いを起こして巻き込まれてく人が増えてくだけだ…
         (そういって少しバツが悪そうな顔をして笑った。)
        たぶん那岐李の経験したのよりずっと優しい事なんだろうけど…私もさ宮廷にいた頃は蛮族の子供
        だって、散々他の兄弟やその側近達にバカにされたり疎まれたりして嫌な目にあったんだよね。
        だからカタクァがもっと強くて立派な国だったら良かったのに、なんて恨みすらしたし…。
        …帝国が嫌いで、弱い自分が許せないって気持ちは分かる気がするんだ。
         (反乱が始まって以来、めっきり笑うことの少なくなった彼女だったが、今は笑っている。)
        痛いくらい分かるから、止めるのが正しいのか気が済むまでやらせるのがいいのか、迷ったんだ。
        迷ったけど、やっぱり誇りは示すものじゃない。自分の内に持つものだと思う。

         (はっきりと言い切るシャンタクァの空色の瞳に迷いはなかった。)
        恐れや打算なんかじゃない、ここまで一緒に戦い続けてくれた那岐李が立派な人なのは私達が
        誰より知ってる。だからこそ、帝国の人間を憎むんじゃなくて、未来のために戦って欲しいの。

        西も東も今この空の下は人として当たり前に生きることができない苦しみで満ちてるから…。
        ただ、飢えているからとか、貧しいからって問題じゃない。那岐李や昔の私を苦しめたような
        他人を同じ人に見えなくさせて、知らない内に殺し合いに駆り立てる見えない怪物が私達の本当
        の敵なんだ。
        そいつらから、私はみんなを解放したい。………もちろん、あなたも -- シャンタクァ 2012-09-02 (日) 03:54:28
      • (言葉が出ない。彼女が語る理想に何も確たるものなどないと分かっている)
        (そんなあやふやな物を敵として、そんなものをどうやって打ち倒せというのか。仮にそんなふざけた目標を達成できたとしても―)
        (その後自分はどうすればいい。未来のために、と彼女は言った。しかし自分には未来など見えない。どこに居ればいいのかも、どこなら居てもいいのかも分からない)
        (今の自分が築いたカタクァの地位も所詮は反乱のための戦力としてでしかない。その反乱を彼女が終わらせるというのなら自分は―)
        ………っ、私には。貴方の理想に心から賛同することは出来ません
        未来を見て欲しいと貴方は言うが…私には、見るべき未来など無い。すべては、我らが誇りのために…そのために、剣を振るう生き方しか私は知らない
        …ですから、どうか。…どうか、このまま反乱を中途半端に終わらせるということだけはしないで頂きたい
        (心中に渦巻く複雑な感情を押し殺し、取り繕った言葉だけを残し那岐李はその場を後にする)
        (刀を振るい、力を行使して敵兵の血にこの身を染めればきっとこの不快な感情も消えるのだとそう信じて―) -- 那岐李 2012-09-02 (日) 23:49:48
      •  賛成できないかぁ…あはっまぁそりゃそうだよねぇ
         (那岐李の去ったあと、シャンタクァは1人眠るシャツァル達の間を抜けていく。)
        (自分でも正直めちゃくちゃ言ってるなぁとは思った。皆が幸せになれる世界があればいいと)
         (わかって居ながらどうしようもできなかった結果がこの戦争だ。)
        (飢え抱き、奪わねば生きていけない人々を沢山みてきた、それは行く先々の地に満ちていた。)
        (強く欲望を持たねば生きる資格をもてない人々も知っている、弟もその犠牲者の1人だったんだろう。)
        (人であることすら認められず虐げられる人々が居た、自分も含めてそうした人々は息をひそめながら)
        (ただそのルールを強いた者達に怒りを募らせる。)

         (そんな持たざる者たちを今救うための回答が奪い合うことしかないことは明白だ。)
        (総ての人たちを幸福に満たすにはこの地上は狭すぎる。)
         (だけど同時に思わずには居られないのだ、自らの誇りのために命を投げ出すことができる者たちが)
        (同胞を救うために命を差し出せる者たちが、何故敵を作らねば戦えないのかと)
        勝ち得なければ幸福は訪れない…そう、それは当たり前。だけど少しだけ違うんだ。
         (奪い合うだけで満たされるモノはない、奪われた者はいずれ奪い返しにくる。)
        (それを止めなければいけない、それも力でもって正義を示すやり方以外で。)

        ココロア…
         (月光の下にも蒼い巨鳥の前で足を止めた彼女が呼ぶと、声にこたえて鳥は首を持ち上げた。)
        私はやっと、あなたの翼が飛ぶべき空を見つけた
         (かつてカタクァの民が手にしたその翼は、長い歴史の中で鉤爪を持ち、蹄を持つ者よりも早く遠く)
        (翔けることができながら、戦に使われることはなかった。)
         (その命は奪い合うために生まれてきたのではない、地に落ちた星屑の末裔たちに、ふたたび天空)
        (を行く自由を与えるためのものだから。)
        世界は変えられる、力無き人々に、理想を夢見ることすら許されない人々総てに、私はその希望を
        与えたい。
         (巨大な鳥は立ち上がった。そしてその翼を地面に下ろし唯一心を繋いだ羽を持たぬ姉妹を背に)
        (昇らせる。)

         (やがて地上にたまった夜気を吹き飛ばし、月の夜空に風切羽を煌かせて、空を抱く翼はどこまでも)
        (高く高く上り、やがて暗がりに瞬く星の中に小さく溶けていった。) -- シャンタクァ 2012-09-03 (月) 00:57:16
    •  時間はすこしさかのぼる、包囲戦が行われていたゾドからカタクァ軍は突然撤退した。
      というより再三に渡る出撃命令を無視し続け、とうとう勝手に軍をアトル・イッツァの街まで下げたのだ。
      カタクァの反乱はこの時すでに始まっていた。

       夏の朝日が昇る少し前、皆が眠りにつくなかで、アトルの街にあるカタクァの館の一室にだけ灯りが
      ついていた。高層な建物が立ち並ぶアトルの街の中でも頭一つ高いビル屋上のテナントハウス。
      それはシャツァル専用に作られた獣舎だった。
       真夏だというのに暖炉が焚かれ、中はかなり暑い。その暖炉の程近くで巨鳥の羽と藁がうずたかく
      積み上げられていた。

       飛爛とフェロミア、そして数名の飼育員達がその暑い小屋の中でじっとその羽と藁の山を見守っている。 -- 2012-09-02 (日) 01:03:18
      • ………(暑い小屋の中、汗を拭いつつじーっと山を見つめている。今から始まるのは恐らく自分にはなかったであろう生命の営みだ)
        (戦争中だと言うのに兵器を自称する少女が戦場へ行こうといわない理由がこれである。非常に興味深い。こんなに暑くまでして何をしようというのか)
        ……まだ?(視線を動かさず声を出す。誰の方を見ている訳でもないが、周囲の誰もが知っている。少女の言葉は大体飛爛に向けて発せられていると言う事を) -- フェロミア 2012-09-02 (日) 01:07:21
      • もうちょっとだよ、静かにしててね
         (そういいながら、飛爛は暖炉で暖めた手を羽と藁の山の中に突っ込んだ。もう何時間も)
        (ずっとその行動を繰り返していた。彼女の額に巻かれた鉢巻も汗にぐっしょり濡れている。)
         (今夜まさにシャツァルの雛が卵から返ろうとしていたのだ、今まで何度もこの地で孵化が)
        (試みられていたがまだ成功例はなかった。)
        ………あっ!
         (夜半に開始され、沈黙のまま続いてきた作業の静寂が不意に破られる。) 動いたっ殻を叩いてる!
         (その声を合図に一斉に藁がどけられ、光沢を持った巨大な卵の姿があらわになった。) -- 飛爛 2012-09-02 (日) 01:19:13
      • (言われたとおり即静かにする。無言でこくこくと頷いて飛爛の行動を見守る)
        (普段なら苦しそうな事をしていれば自分が代わると言うのだが今回は違う。何せ全く知識がないのだ、自分が全部台無しにする訳には……見守るしかない。一応タオルとかは持っているが差し入れるタイミングすらつかめていなかった)

        ……えっ?(期待に満ちた声を上げる。そろそろ完成か)う、動いた?(身を乗り出して覗き込む。膝や手が汚れるのもお構い無しに地面にはいつくばって卵を観察する) -- フェロミア 2012-09-02 (日) 01:29:31
      • 雛が殻を破ろうとしてるの
         (そう言いつつ、飛爛は骨製のノミを卵にあてると慎重にヒビを入れた。本来は親鳥がする)
        (孵化の手助けを人の手で行うのだ、力加減を間違えないように少しずつヒビが入れられ…。)
         (薄い色のくちばしが見えた。巨大な殻の中から懸命に殻を叩いて外へ出ようとしている。)
        (そしてその動きに合わせるように最後のノミが入れられたとき、ついに雛は分厚い巨鳥の卵殻)
        (に通り抜けられるだけの穴を開けて、外界へと這い出した。)
         (目も開いていない、ピンク色の肌と黒い毛に覆われた子犬ほどの大きさの巨鳥の雛は)
        (皆が固唾を呑んで見守る中、キィキィと小さく鳴いた。)
        -- 飛爛 2012-09-02 (日) 01:54:34
      • (ハラハラしながら見守る。人型兵器にも生まれたばかりの生き物が脆いものだと言う事くらいは分かっているからだ)
        (何故か自分がノミで叩かれているかのように一叩きごとにびくびくしながら覗き込む。そして待望の瞬間へ)
        (生まれてきた雛鳥。小さくてまさか人を乗せて飛ぶようになるなんて思えない。自分も「フェロミア」になる前、まだ生き物だった頃、こんな風に生まれて小さな体で泣いたのだろうか?)
        (お疲れ飛爛とか、可愛いとか、何か言えばいいのだろうかとも思う。でもやっぱり、今の感情は言葉に表せないのだった) -- フェロミア 2012-09-02 (日) 02:00:27
      • 〜〜〜〜やったぁ!あははっ生まれたぁ!生まれたよフェロミア!!
         (巨大な鳥のあまりにも小さな雛が、それでも鳴き声をあげ、しっかりと息をしているのを見て、)
        (うれしさの余りに、横に居たフェロミアに抱きついて歓声をあげた。)
         (その直後、すぐに姫様お静かに!と飼育員に怒られて、むぐっと口を閉じた。)
        (だがその場に居たすべての人は一様に安堵と喜びの表情をしている。親鳥の羽でつくられた寝床の)
        (中で元気よく鳴く雛は、これ以上は無いというくらいに丈夫で健康な身体だということが一目で分かった)
        (からだ。) -- 飛爛 2012-09-02 (日) 06:05:24
      • うん!うん!生まれた!(その重要性や神秘性は分かっていなくても、目の前で生命が誕生する瞬間に感動するくらいにはなっていた。飛びついてきた飛爛にぎゅっとしがみつく)
        (確かに8割がた飛爛が嬉しそうだから自分も喜んだのではあるが)
        ……(直後、飛爛と同じ様に口をつぐむ。自分は直接怒られてはいないがそのくらいは空気を読める。何より飛爛がその言葉に従っていたから)
        (少し緊張感の和らいだ空気の中、再び雛に目を落とす。例えばこの雛を殺せと命じられたなら。それが例え誰の言葉であってもきっとためらうだろうなと思った。ほんの少し、女性型ゆえの母性本能が目覚めた瞬間だった) -- フェロミア 2012-09-02 (日) 22:20:34
      •  (その後羽毛の寝床に包まれた雛の状態が落ち着いたのは夜明け間近のころだった。)
        (東の地平線がすでに明るいが、まだ飛爛達はその獣舎の中にいる、台地の頂上という)
        (寒い地域で子育てするシャツァルは母鳥は孵化後2週間はずっと雛を抱き続けて寒さから)
        (守るため、その代わりとなって温度を管理する仕事はこれから暫く昼夜問わず続く。)
         (だが、安堵と喜びの方が大きいらしい、飛爛は疲れた表情はしていない。)
        ね、フェロミア雛抱いてみる?
         (長いすに腰掛けて休憩している最中にふと、そんな事を言い出す。) -- 飛爛 2012-09-02 (日) 23:34:45
      • (結局一睡もせず雛を見つめていた)
        (飛爛が寝てるとか寝てないとか、その辺りは今回は関係ない。ただ興奮して寝付けなかっただけである)
        (今まで自分の前にいた生命とは違う部類の存在な気すらしていた。種族を限らず赤ん坊なんて物ははじめて見たのだから)
        (よく分からないなりに飛爛の手伝いをして、休憩していたその時、抱いてみないかと言う提案があった)
        え……(戸惑う。自分が触れていいのだろうか。壊してしまいそう、と思っている訳ではない。兵器の血に濡れた手が無垢さを汚さないか)
        (そこまで具体的に言葉になっていないが、漠然とそんな不安を感じているのだ)
        いいの……?(でも、飛爛がいいと言うのなら。私が触れても汚れないと保証してくれるのなら。この手で触れて、感じてみたかった) -- フェロミア 2012-09-02 (日) 23:42:08
      • もっちろん!
         (遠い異郷で自分達の象徴とも言うべき巨鳥の雛を初めて孵すことに成功したという喜びを分かち)
        (合いたいというのが半分、あとの半分は初めて雛を触ったらどんな顔するだろうと、おもしろがった)
        (のが半分。)
         (眠っている雛を両手でシャボン玉を壊さずにすくい上げるようにしてそっと持ち上げる。)
        両手のうえにそっとのっけてね
         (そうして身体に青い羽を乗せたまま眠る雛がほんとうにゆっくりと手渡される。)
        -- 飛爛 2012-09-02 (日) 23:58:39
  • じゃ、じゃあ……ちょっとだけ(言われたとおり、以上にそっと、恐る恐ると言ってもいいくらい慎重に雛を支える)
    (機械の脳のの一部が様々な可能性を弾き出していった。静かに支えなければ、と思うほど落としてしまう未来のシミュレーションに手が震えて)
    (傍から見ていたらそれはもう面白かった事だろう。実際の所ちょっと震えたくらいで手から落ちるほどに不安定ではないのだから) -- フェロミア 2012-09-03 (月) 21:26:23
  • 大丈夫、私も支えてるから
     (おっかなびっくり両手に雛を乗せるフェロミアの手を外側から支えるように飛爛も手を添えた。)
    (柔らかな産毛はまだ少し湿っていて、伝わってくる体温はとても暖かい。)
    この子がこの西の地で生まれた最初の子だよ、そして対になる人の兄弟と一緒になって
    沢山増えていく、その最初の一羽なんだ。 -- 飛爛 2012-09-03 (月) 22:06:52
  • う、うん(少しは緊張も和らいだがやはり固い。雛の暖かさもこれをほぐすのには時間がかかりそうだ)
    そっか……そうなんだよね、これから一杯……(その最初の一羽の誕生に立ち会えた事はとても幸運に思えた。空を飛ぶと言う点では自分の仲間。それがこれから沢山増えていく)
    皆、ちゃんと飛べるかな?(少し心配そうに言う。心配は自分の方が上手いと言う自信の表れ。上手く飛べない子とは一緒に飛んでやらなきゃな、なんて思って少しにやけてしまった) -- フェロミア 2012-09-03 (月) 22:15:37
  • フェロミアもうれしそうだね
     (そういう飛爛もうれしそうに笑っていた。)
    飛べるようになるには3回くらい冬を越さないといけないけど、その頃には戦いも終わってると
    いいな…そうしたらこの子と一緒にフェロミアも空を飛べるよね。 -- 飛爛 2012-09-03 (月) 22:30:59
  • 3回かぁ……すぐだな(飛爛と出会ってからの事を考えるとそんな風に感じた。3年なんて戦ってればすぐだ)
    戦いが終わるのは……うん、それでもいいかも(戦争がなくなれば自分は無用の長物。鞘に納められて然るべき存在。それでも飛爛は、飛爛ならきっと眠らせずに側においてくれると思う)
    (ただ一緒に空を飛んで、海を泳いで、鳥たちと歌って眠る毎日。そんな昔なら無意味と切り捨てた生活に憧れを抱き始めていた。戦争の非情さも、世の中の理不尽も忘れて) -- フェロミア 2012-09-03 (月) 22:36:12
  • 戦いが終わっても、あなたの居場所はなくなったりなんかしない。
     (であった頃は戦うことに何の疑問も持たなかった彼女が今は、飛爛の守ろうとしているものに)
    (共感を抱いてくれている。その事がうれしい、そして今までの世界を何か変えられそうな、そんな)
    (希望ももたらしてくれる。だから自然とそう言っていた。)
    野生のシャツァルは人を襲うこともあるくらい強くて怖い生き物だけど、
    こうして人の間に生まれて、私達の側に寄り添っていてくれることもできるんだ。
    だからフェロミアもきっとフェロミアのままで私達と一緒に生きていける、
    生きるために何かを失う世界より、この子達には矛盾したものを一杯抱えながらでも
    大きく包み込んでくれるような、そんな世界を上げたいんだ・・・。
     (笑った、本当にうれしそうに。)
    それに私、フェロミアが戦ってるところかっこいいから好きだしね。 -- 飛爛 2012-09-03 (月) 23:33:49
  • うん……(嬉しい。人間として扱ってもらえるのがただただ嬉しい。思えば鳥たちもただの戦争の道具ではなかった。彼らにとっては仲間である)
    (だから飛爛の言う事を信じられた。自分は鳥たちと違って兵器として生まれて来たけれど、それでも彼女達の側で戦って、笑って、生きていく事が出来る)
    (飛爛は手の中の雛に、そして自分に、そんな世界をあげたいと言う。だが、自分はくれるのを口を開けて待っているほど雛じゃない)
    (そう、戦う姿が格好いい戦闘兵器フェロミアなのだ。持ち主を助ける為に時には剣、時には盾、そしてまたある時には弓となる)
    (だからこう答える。戦わなくていいと飛爛は言ったけど、雛じゃない自分を知らしめる為に。)任せて。私が、飛爛を勝たせる。
    (約束。決意。確信。色々な要素が混じった言葉。何だかとても、誇らしかった。) -- フェロミア 2012-09-03 (月) 23:55:52
  •  
  • (対立派閥を一層する大規模なクーデターが起きてから数週間)
    (カタクァの世論は、民衆の熱は反乱に向けて熱狂ともいえる盛り上がりを見せていた)
    (皆一様に、自分たちが未来を勝ち取るには反乱しかないと信じ、施政者である飛爛の号令を待ち焦がれていた)
    (彼女が一声発すれば即座に侵攻が始まるという臨戦態勢の最中。ついに民衆が待ち焦がれた飛爛の帰還の日がやってきた)

    (王宮へと降り立った飛爛と愛鳥を迎えたのは那岐李を初めとする反乱へ積極的な派閥であった)
    (道を作るように両サイドにずらりと並んだ兵達が、彼女が巨鳥の背から地に下りると同時に一斉に傅いた)
    お帰りなさいませ、我等が王よ!
    (顔を上げることなく、兵達が一斉に声を上げる)
    ―ご帰還をお待ちしておりました。飛爛様
    (ワンテンポ遅れて、那岐李が飛爛の前へと歩み出る) -- 那岐李 2012-08-29 (水) 00:43:01
    •  (本国での急変を知らされて飛爛がカタクァへと舞い戻った。黄金暦225年10月の事だった。)
      (街の中央にあるマクン・バシルの広場はすでに、兵士達に埋め尽くされていた。)
      ・・・クラトは・・・・・・・・・居ないんだね
       (フェロミアを従えて出迎えを受ける飛爛の表情は、怒りでも戸惑いでもなく、ただ厳しく、)
      (居並ぶ兵士達の列の真ん中を通って、王宮へと進む。その後を立った今中央山脈を飛び)
      (越えたばかりのココロアが羽を畳んで歩き従った。)
       (那岐李の横を通りすぎる飛爛の背が無言のうちに、ついてこいと言っているようだった。) -- 飛爛 2012-08-29 (水) 01:27:26
      • (王宮への道となる兵士たちの列は、かつてのカタクァでは見られないものであった)
        (これを那岐李が指揮したのか、それとも反乱への気運が高まったことで、王である飛爛への忠誠…いや、崇拝にも似た感情もまた高まったが故のものか)
        (そのどちらかははっきりとはしないが、帰還した飛爛に本国の変化を突きつけるには十分なものだったといえるだろう)

        …クラト様は飛爛様不在の間、諸々の政を引き受けておられました。今も雑事に追われているのでしょう
        (飛爛の後に続き、静かに那岐李も歩を進めながら答える) -- 那岐李 2012-08-29 (水) 01:48:45
      • なるほど、自分でこれない代わりにこの出迎えね
         (この出迎えをクラトが指示したのかは分からないが、形式ばったことの嫌いな飛爛にあわせて)
        (今までは王宮での行事も祭礼を除き、極力シンプルに為されていた。それがここに来て突然の)
        (仰々しさである。あきらかに今までとは空気が違っていた。)
         (言葉数も少なく、古代遺跡を思わせるカタクァの王宮の門をくぐる。)
         (飛爛はすぐに那岐李以外に人払いをさせると、自室へと向かいながら話を続けた。高くて)
        (狭い、回廊に二人分の足音が響く。)
        ・・・大体のとこは分かってるんだけど、一体何がどうなっちゃったの? -- 飛爛 2012-08-29 (水) 02:22:14
      • …端的に申し上げます。クル・クワンカ老が難民等による過激派グループに襲撃されて命を落としたのはご存知ですね?
        犯人達はその場で処断しましたが事件により国内の世論が反乱へと傾いているのです…
        カタクァ以外に拠り所の無い難民にとって、我等が反乱を成功させることのみが安寧を得る手段なのでしょう
        …さらに、それに呼応してカタクァの民達も反乱への気運を高めています。…すでに、一触即発と言えるかと
        (王宮へ向かう回廊を歩きながら淡々と語る。すべては己とクラトが作り上げた状況なのだが)
        (如何にも「不本意である」と言いたげな口調だった) -- 那岐李 2012-08-30 (木) 00:04:23
      • そうならないように、クラトとあなたを本国に戻したのに・・・・・・・・・
         (後ろの那岐李を振り向かないまま飛爛は不意に立ち止まった。細長い石造りの窓縁を掴んだ)
        (指が僅かに震えていた。)
         (飛爛の曽祖父である先王に長年仕えた老臣は飛爛にとっても重要な家臣であり、飛爛が帝都)
        (より戻ってすぐの頃、シャツァルの扱いと武芸を教わる近しい存在でもあった。) -- 飛爛 2012-08-30 (木) 00:30:16
      • …力及ばず、申し訳ありません(そんな飛爛の様子を見て那岐李もまた、苦々しげに口を結ぶ)
        (しかし、内心今すぐにでも笑い出したい気分であった。こうまで上手く策がハマれば笑いたくもなるというものだ)
        (彼の悲願が成される時はもうそこまで迫ってきている。あとは彼女が心を決めるだけ―)
        ……飛爛様やシャツァル部隊が戦場で活躍すればする程、カタクァの民は反乱への希望を強めています
        これだけの戦果をあげられるのであれば、きっと帝国にも打ち勝てる―
        皆、そう思っているようです。…皮肉な、ものですね
        ……飛爛様。退くにしろ、進むにしろ、国民には貴方の言葉が必要です。……ご決断を
        (必要な最後のピースを嵌めるために、飛爛の心を揺さぶりにかかる)
        (進退の決断を任せるような言葉ではあるものの、国内の情勢を省みるなら答えは一つしかない。それを分かった上で、決断を彼女にゆだねる)
        (幾ら進退窮まった状況を作り出そうと、あくまで反乱の狼煙は王自らが上げなければならないのだ) -- 那岐李 2012-08-30 (木) 00:46:33
      • そんなに簡単に言わないでよ!!
         (声が石造りの回廊に反響する。振り向いた飛爛はその空色の瞳を涙に滲ませていた。)
        ・・・・・・・・・那岐李あなたはなんだかまるで、今の状況がうれしいみたいに見えるの
        そりゃ、最初に出会ったときから私達が、帝国をよく思ってないことを知ってて付いてきたんだから
        当然かもしれないけど・・・
         (まるで戦場を駆け抜け続けたとは思えない、小さな手が那岐李の腕に伸びる)
        今新しい戦いを始めれば、あなたもあなたの下に居る部下達も、さらに激しい戦いをさせることになる
        んだよ。戦争だから仕方ないとかそんなことじゃ無い・・・ねぇあなたはこの戦いに何を見ているの? -- 飛爛 2012-08-30 (木) 01:22:26
      • (突然の問いに暫しの無言。返答に困ったからではない。彼女からこんな問いをされることが意外だったのだ)
        (が、そんな驚きもすぐに掻き消える。口を開いて出てきたのは―)
        私は…このカタクァを大切に思っている。数千年の時を越えてようやく邂逅を果たした同胞とも言える人々です
        そんな彼らを死地へと赴かせることに抵抗が無いわけがない。皆が生きて帰れる戦争などある筈もない
        (飛爛の瞳を見据えて言葉を紡ぐ。カタクァのことを想う気持ちは本心からのもの)
        ―しかし。私はこの身体に流れるカガチの血を、誇りを穢されるのは我慢がならない
        同様に、祖を同じくとするカタクァの誇りを無碍にされるのもまた堪え難い屈辱なのです
        …この反乱の先に、カタクァの歴史と血脈を正しく誇ることが出来る未来があるのなら
        …そして、カタクァの人々が何者にも侵されず、自らの歴史と文化を守り抜く安寧があるのなら
        …私は、この反乱は無駄ではないと想っています
        (語られる言葉は偽りのものではない。こう想う気持ちはまさしく本心であった)
        (しかし、それは表層の物。その心の奥深くに滾る帝国への復讐心と歪な自己顕示欲は表には出さなかった) -- 那岐李 2012-08-30 (木) 01:50:59
      •  (戦うに足る理由、その身の飢えと満たされぬ心の渇きに根ざすその言葉を飛爛は帝国でもローディア)
        (でも聞いた。そして否定する言葉を持たなかった。仕方が無いとあきらめたわけではない、それが世)
        (の摂理だと割り切ったわけでもない。)
         (それがどうしようもなく人が生きるのに必要なものだと、この戦いで身を持って思い知らされたから。)
         (だが、それでも彼女は思わずには居られなかった。)
        ・・・・・・・・・それは、他の誰かから奪って成し遂げられるものじゃないよ
         (同時に、命も生に付随した誇りも何者にも奪われてはならないと、痛いほど理解している。)
        (そして心の渇きを理由に人が戦うとき、心はどこまでも歪な形にひしげて悲鳴を上げているということも。)

         (今まで怒りに震えているようだった飛爛は、今はどこか悲しげだった。同情でも哀れみでもない)
        (澄み渡ってはいても、何も無いからっぽの空のようなうつろな目だった。)
        少し・・・1人で考えてくる -- 飛爛 2012-08-30 (木) 02:39:49
      • ……分かりました。ただ、時間の猶予があまりないことは覚えておいて頂きたい
        クラト様や私の言葉だけで抑えるにも限界があります。民衆は貴方の言葉を求めているのだから
        (去り行く背中にそう告げて、飛爛を見送る)
        (回廊に一人残された後、歯噛みする)……では、我等がカガチの誇りは如何にして取り戻せばよいのだ
        幾年にも渡り蔑まれ、踏みにじられてきた我らの誇りを取り戻す術が他にあるというのなら…今すぐにでも示してみせろ
        それが出来ぬというのなら、流血も、死も、我は恐れはしない。帝国兵の死によってのみ、我らの誇りは再び示されるのだから…!
        (積もり積もった差別によって生まれた憎しみの種は、最早那岐李の体を、心を幾重にも締め付ける蔦となって彼を縛っている)
        (飛爛の心がどうあれ、彼には最早反乱の先にある未来しか見えてはいないのだった―) -- 那岐李 2012-08-30 (木) 23:56:54
  •  (那岐李とクラトがカタクァ首都、マクン・バシルについたのはまだ、早春の夕刻のことだった。)
     (冬の中央山脈を飛び越えたクラトの騎鳥グナンがその主人と那岐李を乗せて、マクン・)
    (バシルの上空を飛ぶ。右手の方向にうっすらとオレンジの光を残して沈む夕日が南部)
    (密林地帯の深緑の中へ消えようとしていた。)
     (地上からはすでに夕日は沈み夜が見えているのだろう、低く垂れた冬の雲に近い場所)
    (を飛ぶシャツァルの背の上からだけ、夜の藍と夕日の紅をコントラストにした空が見える。)
     (薄暗がりの中に輪郭線を失ってぼんやりとする地上に、まばゆい光の群れがあった。)
    (空から見下ろすと、暗く色を失っていく地上の中に満点の星空が閉じ込められているようだ。)
    (高度が下がるにつれて、何百mも離れているにも関わらず、それが馴染みの深い)
    (人々の営みの灯り―――家の明かりや通りに点された街頭の火、あるいは道を行くラバに)
    (引かせた馬車のランタンだと言うことが手に取るように分かった。)
     (高く切り立った断崖の上に築かれた都市と言えば、小規模な村落のようなものを想像)
    (するかもしれないが。首都のあるテーブルマウンテンの大きさは小国一つくらい収まるほど)
    (巨大で、その上にある首都には30万人近い人々が暮す大都市で。)
     (辺境の地にあるが故か、今だ戦乱の空気を感じさせず穏やかな日常の中にその街の灯は)
    (灯っているようであった。) -- 2012-08-22 (水) 02:22:25
    • (密林に沈む夕日、夕焼けと宵闇の狭間が作りだすコントラスト、遥か下に見えるカタクァ人々の灯り)
      (羽の上からしか見ることの出来ない、絶景と言うべき美しい景色を見て那岐李は自然と笑みを溢した)
      ……美しいものですね。この風景は空の支配者であるカタクァの民のみに許されたものと言えますよ
      (そして彼等だけに許された風景というのは同時に彼等の誇りの体現であるようにも思えた)
      (この美しい光景を作り出すカタクァの人々の暮らしも、そしてその光景を眺めることが出来る特権も、彼等の血と歴史が紡ぎ出したもの)
      …やはり、カタクァはただ帝国の一部として支配されるべきではない
      (改めて思う。そのための第一歩を今から自らの手で作り出すのだと思うと、那岐李の笑みは先程とはまた違った色を見せ始める)
      カタクァの新しい歴史を紡ぎ始める大業をこの手で行えるとは…虐げられてきたカガチが新しい歴史を作る担い手の一人となると同義。ク、クク…
      (美しい光景に心を打たれた素直な笑顔とは違う。己の血と誇りを誇示したいという歪んだ欲望に支配された笑顔であった) -- 那岐李 2012-08-22 (水) 02:47:46
      • ははぁっ!あなたのその貪欲さには感心するばかりですよ
         (光の粒をばら撒いたような地上を遥か下に見下ろしながら翼で風を切るグナンの手綱を)
        (握りながら、クラトは笑った。) -- クラト 2012-08-22 (水) 03:25:35
      •  (憧憬を誘う夕暮れの景色も、乾ききった戦場のローディアと違い、やさしく森の湿り気を)
        (帯びた大陸東側の空気も、心和ませはしないものであったらしい。)
         (やがて供の者を乗せた巨鳥数羽を引き連れたクラト達の一向は、煌く夜景を点す首都)
        (のほぼ中央に屹立する、巨石を積み上げた高さ40mに達する塔の灯りに誘われるように近づき)
        (その中に着陸した。)

         (G.A.225年3月の頃、二人の男が降り立ったこのとき、様々な火種を抱えたままではあった)
        (がカタクァの街はまだ平穏の灯りの中にあった。)
         (そしてその年は街が静かな春を迎える最後の年となった。) -- 2012-08-22 (水) 03:25:51

      • (危険な冬の山越えを敢行してまで本国へと急いだ甲斐あって、カタクァの第二王位継承者で)
        (あるクラトを介して、反逆のための反乱を為すべき人脈は急速に固められた。)
         (今までの年収の3分の1以下の稼ぎが2年連続で続いた商工ギルドの組合員達、)
        (飛爛の指示の元保護はされたが、飢え死にしないというだけの生活を強いられる帝国難民、)
        (そして反乱を疑問視する穏健派部族内で位階は低いが血気盛んな若い子弟達など。)
         (あらゆる野望や渇望、負の欲望の渦巻く者達へあるときは利を説き、あるいは演説で炊きつけ)
        (不満を抱える総ての人間へ帝国憎しの芽を植えつけて行った。)
         (特に帝国難民には那岐李の存在は大きく影響した。かつて帝国民の立場から不可触民として)
        (蔑んだカガチ人の末裔が、帝国に街も財産も奪われた後に唯一の寄る辺となったカタクァの王族)
        (と肩を並べて自分達を見下ろしていたのだ。)
         (その屈辱と不安はいかばかりだったか。)
         (そしてそのカガチの男が、温和に我々は供に帝国の暴虐に晒された被害者だと訴えれば)
        (その安心と共感はどれほどのものだっただろうか。)
         (那岐李の心情とまったく関係なくその帝国の暴虐を非難し、出自の一切を問わず、ただ平和と)
        (平穏を未来に願うものに寛大であると飛爛を褒め称えさせたのはクラトの指示だったが。)
         (実際その煽動はうまく行った。弁が立つというだけでなく、西の最新兵器である柱の騎士との戦い)
        (で、那岐李の持つ力が目覚しい活躍をしたという事実もいっそう無力に打ちひしがれていた難民達)
        (を纏め上げるのに一役買った。)

         (実際は一役買ったというより、二役も三役も売りつけられたという方がただしいかもしれない。)
        (かつて帝国に国と同胞の多くを滅ぼされたカタクァの民にとって、遥か1000年以上もの時を越えて)
        (現代に再開した同じ祖先を持つ民族の末裔というのは実にヒロイックな存在だった。)
         (盛大に英雄として宣伝されたのである、ことに西側の最新兵器である柱の騎士に対して、他の帝国)
        (軍が苦戦を強いる中で、1人で何体も切り伏せた那岐李の戦果は多いに受けた。)
         (特に、シャツァルに乗る事のできない貧しい家の出身が多かった歩兵達を中心に絶大に受けた。)
         (そして英雄として名を広める那岐李の側に常にクラトはいた。)
         (事態が急激に動いたのは第二次バルトリア会戦の終了直後の225年6月初夏の頃、)
        (野心を抱いた二人組みが竜害の戦場を跡にし、再びカタクァの空へと飛んだ頃だ。) -- 2012-08-22 (水) 04:34:00
      •  (那岐李に対し、クラトから直接暗殺の命令が下された。)
        (いや、命令というよりは依頼だったかもしれない、ターゲットは穏健派部族の代表格である)
        (クル・カワンカであった。)

         (カタクァ人には珍しく長身で並の男より頭二つ高く、長い白髪に白ヒゲを蓄えた筋骨た)
        (くましい、先王のおしめを変えたこともあると噂の老臣は、今だに政局の中で強い影響力を)
        (持っていた。そして、飛爛の不在中、クラトよりもずっと議会への影響力の強いこの老臣は)
        (連日に続く会議においてずっとクラトと反対の立場を取っていた。)
         (中央山脈を越えることが難しくなる秋が来る前にシャツァル部隊を最大限、東ローディアへ)
        (送り込むべきだというクラトの意見を老臣は拒み続けていたのだ。)
         (シャツァル部隊の総てを西側へ送ると言うことはすなわち、西爛戦争の最中で帝国の兵力を)
        (不意打ち的に急襲し大いにその力を削ぐことを可能にするということであった。)

        こちらが奴の屋敷の図面です、おそらくあなたならどんな壁でも問題にならないでしょうがね・・・
        では、最後に手はずを確認しておきましょうか、あなたはすでにカワンカ邸に忍び込んでいる
        密偵の手引きにしたがって、目標が襲撃に最適なポジションに来た瞬間に、シャツァルから投下
        そして殺害の後、3つ用意した回収ルートのうち一つを適宜選択して撤収。
        <<その際はこの通信石による連絡が便りですから、くれぐれも覆面は無くさないように>>
         (目の前にいるクラトが飛行帽子に口を近づけてしゃべると、那岐李の持った同様の装備の耳あて)
        (部分からクラトの声が聞こえる。) -- クラト 2012-08-22 (水) 05:06:07
      • <<了解です。死体の処置などに指定は無いのでしょう?お任せを>>
        (クラトの言葉に、同じように通信石を用いて返す。詳細な手順の打ち合わせをつつがなく終え、決行の時を待つこととなった)
        (己の刃が革命の狼煙となる。歴史に名を刻むこととなるその栄誉を想ってか、那岐李は言葉少なに愛刀を磨くのだった)

        (決行の夜。手筈通りに密偵と連絡を取り合い、館上空を旋回するシャツァルの背中にて待機していた)
        (月光に照らされたその顔は覆面によって覆い隠されて表情はうかがい知れない)
        (が、間違いなく笑顔であることはクラトには容易に推察出来るだろう) -- 那岐李 2012-08-22 (水) 23:56:30
      •  (翼の下にある町並みは市街の中心地だというのに、灯りもまばらで暗い。那岐李が春先に)
        (この街へと入った時よりも明らかに街の灯の数が減っていた。高まる反帝国の熱気と逆に)
        (ここの所の政情と治安は不安定化の一途をたどっている。)
        (確実にしとめさえすればそれでいい・・・)
         (クラトが那岐李へ渡した条件はそれだけだった。)
         (2階建ての回廊と、回廊に四角く囲まれた中庭に灯る少ない松明以外灯りのない館に)
        (不意に緑の灯が灯る。新月の晩だ、暗い地上でその輝きはよく目立った。)
        (数秒間だけ灯った緑色の光が合図で、羽ばたきの音をさせることなく、巨鳥は滑るように)
        (館の屋根に舞い降り那岐李を降ろす。) -- クラト 2012-08-24 (金) 02:21:46
      • (館の屋根に舞い降りたシャツァルの背から音もなく屋根へと降りると、指定のポイント周辺へと目をやった)
        (密偵の指示のタイミングは正に完璧であった。何も知らずにターゲットが指定のポイントへと向かってくるではないか)
        (獲物を見つけた那岐李は愛刀に手を掛けた。ただ何も知らぬ相手の命を奪うだけの任務など造作もないこと)
        (屋根の縁へと静かに歩を進め、ターゲットが真下を通るのを息を殺して待つ―)
        (クル・クワンカが僅かでも警戒をしていたのなら、那岐李から発せられる怖気の走るような殺気に気づいたかもしれない)
        (しかしマトモに戦闘態勢を取る暇は無いだろう。クル・クワンカが那岐李の真下を通ったその瞬間)
        (那岐李は愛刀を抜き放ち、その身をクル・クワンカの背後へと滑らせたのだ)
        ―クル・クワンカだな?その命、我らが理想の為に散らしてもらう
        (手にした刀をクル・クワンカの喉元へと背後から突きつけ、覆面越しに囁く) -- 那岐李 2012-08-24 (金) 03:03:23
      • そういう君は誰かね・・・いや、言わんでよろしい心当たりなら腐るほどある、最近はすっかり嫌われ者じゃからな
         (齢70を越える老人とは思えない力強い声が石積みの回廊に染みた。言いながら、手にした杖の先端を)
        (いつの間にか背後に立つ那岐李の腹へ向けていた。杖だと思われたのは仕込みの投槍。その黄金の穂先)
        (が暗闇の中に光っていた。) -- 2012-08-24 (金) 03:32:06
      • ―成程。その歳にして今尚議会に影響力を持つというのも、過去の栄光に縋っているだけというわけではなさそうだな
        (突きつけられた仕込み杖の先端と、老人の落ち着き払った態度に覆面の下の口元を歪める)
        (互いに動けば即座に致命傷を負うという均衡状態の中、那岐李は尚も余裕の態度であった)
        だが…やはりあなたは時代遅れだ。今やこの国に必要のない存在なのですよ
        我が力を知っていたのなら、このようなチンケな仕込み杖での脅しなど意味をなさないことにも気づけたであろうものを
        (言い切らぬ内に、那岐李の身体からぞぶり、と黒い霧が溢れだす)
        (銃弾をも弾く魔性の霧が仕込み杖と那岐李の身体を分かつ絶対的な壁となって吹き出したのだ)
        これからは貴方に変わり、我等がこの国を…カタクァの民の誇りを守り続けよう
        地獄の底で悔やむと良い。…帝国の影におびえた矮小な自分の言動をな
        (黒い霧を身にまとったまま、クル・クワンカの喉元に突きつけた刀を素早く引く) -- 那岐李 2012-08-24 (金) 04:02:10
      •  (あごひげを散らせた刃が老人の太い首を断ち切らんと奔った瞬間、石畳の上をクル・カワンカの手にした)
        (投槍が滑り火花が散った。暗闇に一瞬火花に照らされ精緻な刻印を刻んだ黄金槍の穂先が三角錐の)
        (影を壁に投げかけた。)
        馬鹿者がっ大層に言いおるくせに、君の誇りとは人目を忍んで行うものかね!
         (一体あの状況から、どう抜け出したのか、並の人間ではその動きを目で追うことすら難しい那岐李の刃を、)
        (至近距離で突きつけられながら、この老人は抜け出して杖から抜き放たれた黄金の投槍を構えていた。)
         (回廊の松明の明かりが、彼の長身の影を石畳の上でゆらす。)
        悪くない腕だな、だがワシの若い頃はな、命がけで決闘はしても闇討ちなんぞはせんものだったぞ
         (しかしすぐに槍の切っ先は下がった。石突が地面を叩き、老人は槍を杖に膝を突き、その足元に胸を)
        (大きく切り裂かれた血が滴り落ちた。その切っ先は肺腑まで達していたのだろう、彼は喀血した。)
        がはっ・・・!はっ!そうか、その黒い刃、お前クラトの坊主んとこの剣士だな?かっ・・・!
        まったく、あの倅めも親父そっくりに卑屈に育ちおってからに・・・どいつもこいつも、何に怯えて自分で
        自分の首を絞めおるか・・・・・・・・・
         (ぶつくさ愚痴った後に一際大きく血を吐いて老人は顔を上げ那岐李を睨み上げる。)
        おい小僧、お前カタクァの誇りを守ると抜かしたな?まったく気に食わんが・・・っ!
        ならばワシと戦い見事討ち取ったこと、隠さず誇るがよい、お前が薄汚い夜盗とは違うと言うならな!
         (再び長身の老人は立ち上がった、杖にしていた黄金の槍が投げられて、那岐李の側の床に突き刺さった。)
        持って行け、先王様とともに戦場を駆けたワシの槍じゃ、お前が皆の前で堂々とそいつを自慢できる時まで
        地獄で笑いながら見ていてくれよう
         (それは皮肉であり諧謔でもあった。暗殺と言う手に訴えたお前達がそれでもなお自分達の行いを隠さずに)
        (誇れるのか?という問いかけであった。) -- 2012-08-24 (金) 04:56:21
      • (老人が並の人物ではないことは想像がついていた。実力如何によっては一の刃を躱されるであろうこともだ)
        (だが那岐李には確実な称賛があったのだ。この老人は今まで一度も自分が操る黒い霧の力を目撃していない)
        (如何な達人であろうと、切っ先から自在に方向を変えて敵を穿つ蛇の咢を初見で見切ることは難しい)
        (そしてその読みは見事的中した。常人離れした動きで一の刃を躱した老人は、直後に放たれた黒き蛇の牙にその胸を切り裂かれ、地に膝をついている)
        ……クッ、ハハハハ…!喜んで頂戴しよう、無力な老人よ
        我が身体に流れる血が、誇りが、貴方の矮小な…現状を守ることに甘んじた愚かな誇りを上回った証として!
        民衆は示された都合の良い言葉だけを信じたがるもの…先王とともに戦場を駆けたカタクァの誇りの結晶とも言えるこの槍は、
        反乱の旗印として多いに役に立つことでしょう。その様を見て尚笑えるというのであれば―
        (床に刺さった槍を引き抜き、改めてクル・クワンカの喉元へと突きつけて)
        ―その時は、貴方の勝ちだ。クル・クワンカ老
        (愉悦に歪んだ表情のまま、その喉元へと深々と槍を突き刺したのだった) -- 那岐李 2012-08-25 (土) 00:46:38
      •  (暗い街に赤々と火柱があがった。最初の手はずどおりに闇夜の中を音も無く滑空していたシャツァルから投下)
        (された焼夷弾が屋敷を炎で包み込み半世紀以上に渡ってカタクァに仕えた老臣は火の中に消えた。)
         (その火が積み上げられた薪に投げ入れられた。クラトの言ったとおり、民衆の不満という燃料は、真実よりも)
        (ただはけ口を求めて暴発したのだ。経済も人口も大規模に成長を続けていた途上で災害と戦争によって、繁栄)
        (から一転困窮に追い落とされた民衆に忍耐を許容させていたのは、他の誰でもない、カタクァの繁栄を支えた)
        (クル・カワンカという老臣の存在があればこそだった。)
         (同時に強力なリーダーを失った穏健派の部族達は混乱のうちに分裂し、急速に支持を失っていく。)
        (必然的に、飛爛に近い位置にいるクラト達反乱派が祭上げられていくことになった。)
         (皮肉な事にこの時すでに、これ以上戦いを広げることに疑問を感じていた飛爛が戦場で活躍すれば)
        (するほど、本国で民衆の熱気は高まり。釣られる形でもはやカタクァ以外に行き場の無い、粛清を生き延びた)
        (元帝国武人達も否応無しに結束を強いられる。)
         (総てが反乱へと傾いていった。) -- 2012-08-27 (月) 01:27:11
  •  (二人を降ろしたのち綿雲はどこへともなく飛び去っていった。飛び去り際、金貨を釣り上げて)
    (いたようだが、おそらく飛爛の財布から抜かれたのだろう。)
     (ずいぶん長く上へと上ったような気がしたが、降ろされたのはスリュヘイムの海の玄関口)
    (である海港の高台だった。あの謎の坑道がよほど地下深いところにあったのだろう、あるい)
    (は同じ道をたどってもたどり着けない類の不思議スポットなのかもしれない。)
     おー!めっちゃ港が見えるなー船がいっぱいだー、あっちから上陸できたらすぐだったのに
    ね、まぁ面白かったからいいけど!
     (眼下に見下ろす港街は、汚染領の名前からは想像もつかないくらいに爽やかな活気に)
    (満ちていた。煉瓦作りの大きな建物が立ち並び、倉庫街では沢山の人の黒だかりが船から)
    (荷物を釣降ろす木製クレーンの足元にひしめきあって働いているのが遠目にもよくわかる。)
     (そのさらに向こう側には、飛爛達の乗ってきた船の何倍もあろうかという大型帆船や、ガレー)
    (船、艀船に小型のヨットまで、大小様々に青い波間に浮かんでいた。) -- 飛爛 2012-08-21 (火) 23:19:41
    • (あ、お金もってかれた……と自分のでもないのに悔しそうなのは、今の所生活の殆どを飛爛に面倒見てもらっているからである。普通の食べ物もそこそこ食べれるようになってきた)
      (ともかく、あそこが何処だったのかは置いといて何とか戻って来れた。芳しき潮の香り、慣れてはいないが何だか懐かしい気がする)
      あー、うん……面白かったね……(内容とは正反対に疲れた声で言葉を吐き出す。一緒にいられて楽しかったと言う事も出来るがそれ以上に心配事が多すぎた)
      それにしても……(と地面に転がっていた上体を起こして)結構きれーだな、もっとこう……どんよりかと思ってた
      直せるかな、鎧 -- フェロミア 2012-08-21 (火) 23:25:51
      • 公国の科学力は世界一らしいよそれに、なんとか元に戻せそうな所まではアトルの街でやったしさ。
         (といっても装甲の一番外側の部分や簡単な部品の交換で済む駆動部分をすこし)
        (直した程度であり、内部の複雑な機構にはお手上げ状態であった。)
        大丈夫!絶対直すから!また一緒に空飛びたいし
         (そういって笑いながらフェロミアの頭を自然と撫でてる飛爛) -- 飛爛 2012-08-21 (火) 23:50:50
      • でも、今のままじゃ……(別に今のままでも何とか戦えなくは無い。動くくらいなら出来るし火槍だって撃てるだろう。)
        (でも飛べない。自分のアイデンティティの喪失の危機でもあるし、戦場で飛爛の近くにいられない。由々しき事態である)
        むー……(内心では言葉と頭撫でにそれはもう喜んではいるのだが、恥かしいのでそんな事は顔に出さない。子供扱いするなと言いたそうな目で見上げるのみである。ちょっとだけ撫でやすいように頭を傾けたりはしているが) -- フェロミア 2012-08-21 (火) 23:55:42
      •  (若干ムスッとした顔されても飛爛はなでるのをやめなかった。もちろん、相手がまんざらでも)
        (なさそうだということを見抜いた上である。あと本人が知ってるかどうか分からないが、)
        (意外とさわり心地がいいのであった。)
         とりあえず、みんなと合流しないとねぇ。滞在先に先回りしておけばなんとかなると思うの
        というわけで・・・・・・・・・まずは怪しまれない格好を調達しにいかなきゃね!
        ほらあっち!あの辺絶対市場だよ!間違いないわ!
         (猛禽並みの目をもって高台から飛爛が見つけたのはいちばである、ショッピングする気)
        (であり遊ぶ気まんまんである。)
         (むしろ、遊びたくてわざと一向からはぐれたのでは?と思えるほどにこの姫様、心の翼)
        (を全開であった。) -- 飛爛 2012-08-22 (水) 00:06:54

  • (あらすじ:飛爛とフェロミアはスリュヘイムで迷子になった。) -- 2012-08-18 (土) 00:17:45
    • ……どこここ(ぐるぐる回るコンパスの針) -- フェロミア 2012-08-18 (土) 00:33:38
      • いやぁ…ほんとどこだろうねぇ -- 飛爛 2012-08-18 (土) 00:43:59
      •  (経緯を説明すると、内海交通は元々アルメナが牛耳っていた、海路で東ローディアから)
        (スリュヘイムへ行くにはアルメナの交易船に乗るしかない。)
        (しかし東ローディアがほぼ大爛帝国に支配された今では当然、渡航禁止である。)
         (そこで飛爛達は密貿易をしていた東ローディアの海賊を船ごと買い上げるという荒業を)
        (敢行、海路スリュヘイムへと向かったが、当然正面から入港できるわけもなく。切り立った)
        (断崖を片手に暗礁を避けながらソロソロと秘密の入り江へと投錨した。)
         (そして、スリュヘイム名物、積層都市構造体の下層から、廃坑や遺跡伝いの危険な道を)
        (進んでいく予定だったのだが…。) -- 2012-08-18 (土) 00:44:05
      • まさかあの矢印を踏むとが坂の上めがけて爆走していくなんて私には思いもしなかったのだ!
         (あさっての方向を向いてドヤ顔してるのは、短い白ワンピの下に白いズボンとブーツな)
        (いつもの動きやすい格好をした飛爛だった。)
         (積み上げられたピザのような断面を見せる深い竪穴にかけられた、今にも崩れそうな)
        (桟橋の上に黄色い『>』型の矢印を見つけた飛爛がこれなに?と言いながら踏んだ瞬間)
        (猛スピードで一向から離脱したのであった。ちなみに『|』印を踏んだらジャンプした。) -- 飛爛 2012-08-18 (土) 00:44:22
      • これとこれが並んでたらとんでもない事になってたな、多分……(指で宙に>と|を描きながら)
        それはともかくどうしよう、とりあえず街に出ないと命が危ういな……(ふと何かを見つけて)いいか、あれは踏むなよ?絶対だよ?(大きく?と描かれた床、見るからに怪しい) -- フェロミア 2012-08-18 (土) 00:50:19
      •  (非常口に向かって走る緑の人。まさにそんなポーズだった、当然飛爛もフェロミアの二人供)
        (正式名称『通路誘導灯』さんの事など知る由もないが。この時、飛爛がしていたいのはまさに)
        (そんなポーズだった。)
         (大きく?と描かれた床をしっかりと右足で踏みしめながら。あっやっちゃったみたいな、)
        (困り眉でにんまりと笑っていた。) -- 飛爛 2012-08-18 (土) 01:00:54
      • ……………(黙って飛爛の隣に行ってワンピの腰の辺りの布を掴む。母親から離れまいとする子供のような所業)
        (実際、何かが起こってもはぐれたりしないようにとの配慮から来る行動だった。死なばもろともとも言う)
        そのわざとで私だけどーにかなったりしたら呪うぞ(もっとも運命とかその辺をである) -- フェロミア 2012-08-18 (土) 01:04:34
      • 大丈夫だって、さっきの矢印とかもさきっと昔坑道の中を素早く移動するための魔法陣とか
        だったんだよ、だからコレもそんな悪いことにはならないって。
         (一応、頭を使ってはいたようだ。不安げに服の裾を掴むフェロミアの手握る飛爛。)
        (ほんわりとやさしく笑う様子から、悪気は一切感じていないようではあるが。)
         (不意にフェロミアの手を握る力がキュゥッと強まった。笑顔が引きつった。)
        な・・・なにあれ!?
         (飛爛の視線の先にいたのは、巨大建造物マニア好みの放水路にも似て、巨大な柱が)
        (パズル迷路のように組み合った、古代の巨大坑道跡の闇に浮かぶ緑のクラゲ。)
         (透明なゼリーの体に緑色の臓物がうごめき、燃えるように赤い三つの球がその中に)
        (浮かぶ・・・、下部から突き出した4つの牙のような爪があきらかに捕食口めいて、友好的)
        (とは到底思いがたい何ががゆらゆらと浮かんでいた。) -- 飛爛 2012-08-18 (土) 02:02:29
      • いやでも思い切り?って書いてるし、何が起こるか全く分かんないし……(手を握られたら仕方ない、ちょっと不安は口を突くが文句とかは言えなくなってしまうのだ)
        ……っていたっ、ど、どうしたの……(飛爛の視線を追って同じ方向を見る。元々笑顔でもない表情が引きつった)
        知らないけど……逃走を提案する(たった二人、碌に武器もなく自分の技は体力を削る。一体や二体ならともかくいくついるかも分からない未知の怪物相手に戦おうなんて思わなかった)
        し、刺激しないように、そーっと…… -- フェロミア 2012-08-18 (土) 02:11:14
      • 私空を飛ぶクラゲってはじめてみたわ・・・
        (フェロミアが飛爛の方に視線を戻すと、今度は飛爛の背後に緑のクラゲがプカプカゆらゆらと・・・)
        (数えるのがいやんなるくらい群れていた。飛爛は泣きそうだった。) -- 飛爛 2012-08-18 (土) 02:20:09
      • 私だって初めてだし喜べないよ……(何かもう囲まれてた。これ逃げるのも無理なんじゃないかな……)
        やっぱ呪う……(運命を。運勢を。) -- フェロミア 2012-08-18 (土) 02:24:20
      • ココロアが居れば楽勝なのにー!
         (逃げよう、逃げた。あのまま突っ立ってたら頭かからかじられそうな気がするんだ。)
        (戦場には散々行ったくせに、そうとう怖いのかフェロミアと手を繋いだまま走りだす。) -- 飛爛 2012-08-19 (日) 00:07:19
      • あの矢印踏むから!(飛ぶくらげに襲われてるのもココロアとはぐれたのもそのせいだろ!と言う心からの主張である)
        あ、あっち!(包囲が手薄な所を見つけては飛爛と手を繋いだまま互いに誘導しあっていく。恐がってはいても戦場や高地で駆け回っていただけの事はある、手を繋ぐという場合によっては不安定な体勢でも何とか逃げ回っていた) -- フェロミア 2012-08-19 (日) 00:17:00
      • ひーっ次こっちぃ!?・・・・・・・・・あっ!
         (行く手の床に見知った矢印模様。しかも今度は>が3列並んでいる。一つで加速)
        (二つで超加速、三つそろうと・・・牙をむくかもしれない。)
        私にいい考えがあるわ!
         (走りながらフェロミアにイイ笑顔をする飛爛、大概ロクでもないことだということは確かだった。) -- 飛爛 2012-08-19 (日) 00:36:55
      • えっ?……あっ!(これはまずい、これを踏んだらどう考えても真っ直ぐに吹っ飛んでまたどっか訳の分からないところに行っちゃうに違いない)
        うん……(ひしひしと悪い予感がする。けれども半分諦めたかのような笑顔を浮かべる。いい結果になると信じている訳ではないが、考えがあるならそれに付き合ってあげたいと思いつつこう答えてしまうのだ)絶対、手ぇ離さないでね……? -- フェロミア 2012-08-19 (日) 00:43:52
      • 大丈夫!絶対離さないから!・・・・・・・・・ひゃぁっ!?
         (飛爛の髪先をクラゲの牙がガチンッと掠めた。もたもたしてるとまずい、乾坤一擲、運を)
        (天に任せて床に並んだ『>>>』の列に足を踏み出す!)
         (飛んだ。生身の二人が地の底まで続くかと思われる坑道の深い竪穴の上を舞っていた。)
        (いざ行かん無限の彼方へ!これはかっこつけながら落ちるときに言うセリフである。) -- 飛爛 2012-08-19 (日) 00:56:56
      • ほんとだよ?ほんとだかんね!(一応確認だけはしておいた。かの有名な「押すなよ!絶対押すなよ!」めいたフリでないことだけは声の真剣さで伝わったと思われる)
        ええい、ままよ!(古めの覚悟を決めるときの台詞を吐いて飛爛に続く。)
        (飛んだ。ちょっとすごいダッシュするだけかと思ったら飛んだ。普段から飛んでるので慣れてるだろ、とお思いかもしれないが推進力がないので却って不安が煽られるのだ)
        ひゃあー!?あー!(行き先に持ち主の子供が乗ってる車がある訳でもない、落ちたら間違いなくゲームオーバーな深い深い穴の上を飛ぶ。と言うか高速で前進しながら落ちている) -- フェロミア 2012-08-19 (日) 01:03:11
      •  (浮遊する緑の大群を引き離し、竪穴を飛び越えて向こう側へ着地!)
         (・・・・・・・・・したと思ったら、さすがは古代遺跡めいた巨大坑道型構造物である。)
        (二人が着地した衝撃で足元が崩れ落ちて、奈落の底へまっさかさま!もはや終わりかと)
        (思われたその瞬間である、二人は吊り上げられていた。釈迦がたらした蜘蛛の糸のごとく)
        (何者かの釣り糸に引っ掛けられ二人は上へ上へとあがっていく。)
         (誰が引っ張り上げているのか、上を見上げても綿飴みたいな白い雲があるばかりで)
        (まったく分からなかった。)
         (二人はエルギネルペトンとかリオプレウロドンとかの化石に混じって巨大ロボのようなもの)
        (まで埋まっている謎の地層を横目に地上へとひっぱりあげられていった。) -- 2012-08-19 (日) 01:49:31
      • (もうここまで来たら何が何だか分からない。優秀な兵器たる自分ですら疑問と突っ込みに疲れ果てている事が実感できた。)
        (首吊り死体の如くぐったり脱力して口から半分魂めいたものを吐きながら吊り上げられていく)
        (もう何処に行くとかここの歴史は一体なんなんだとか、そんな事はどうでも良かった。疲弊した脳が思うのはもう早くこのぶら下げられ地獄から解放されないかな……くらいのものである) -- フェロミア 2012-08-19 (日) 23:10:51
  •  ローディアで第二次バルトリア会戦が起こった少し後のことだった。黒光りする掌ほどの石が隙間
    無く敷き詰められた広場を群集が埋め尽くしていた。台地の上にあって、冷涼なカタクァの首都だが
    このときは集った人々の熱気で酷暑が生まれていた。汗が陽光にぎらつく、それ以上に集った彼ら
    の目がぎらつく。
     その手には投槍があり、使い古された剣があり、包丁を箒の柄に縛り付けただけの粗末な槍もあ
    った。彼らの多くは数年続いた凶作と反乱により生まれた帝国難民で、それに混じりカタクァ軍の
    正規部隊の姿もある。だがシャツァルの姿はない、飛行兵ではなく歩兵部隊がそのほとんどだった。
     郊外の草原からでもその姿をはっきりと見て取れる巨石を積み上げた塔の前に彼らは集った。
    その目的は一つ、反帝国の反乱を邪魔する貴族や王族たちを捕らえるためである。
     225年夏、カタクァ首都マクン・バシルにおいてクーデターが始まろうとしていた。 -- 2012-08-15 (水) 01:38:40

    • 「コレだけの数の民衆が動いた以上、姫様とて引き返すわけにはいかなくなるな、
       止めようとすれば必ず内輪で殺し合いになる、あいつは愚かしいまでにやさしい王様だからな」
       石造りの塔の入り口の裏に背をつけて、群集をのぞき見るのはクラトだ。いつもの飄々とした軽い
      様子はなく、金装飾と宝石で飾られた王族の正装に身を固めて、蒼い瞳を鋭くさせていた。
      「ははっ那岐李、事がなればお前は1歩兵部隊長から将軍だ、大出世だな」
       不意に、横にいる那岐李に向けてクラトが笑いけた。 -- クラト 2012-08-15 (水) 01:38:51
      • (クラトの傍らに立つ那岐李の口元が歪に吊り上る。愉悦の表情を露わにしながらくっく、と小さく笑う)
        将軍ともなれば…我等カガチの誇りを世に知らしめることにもなりましょう。願っても無いことです
        しかしかく言う貴方は大出世どころの話ではないでしょう…?名実共にカタクァの支配権を握ることも夢ではなくなる
        それにしても…悪いお人だ。飛爛様が不在の間に此処まで大胆に事を起こすとは、ね
        (クラトからクーデターの話を持ちかけられたのは何も最近のことではなかった)
        (前々から帝国への反乱の下準備と称して様々な黒い仕事を任されていた那岐李である。クラトの中に燃える自身と同じ黒い怨念を察知するのに時間はかからなかった)
        (民族の誇りを取り戻した那岐李の心に燃える復讐の炎が、クラトの中で静かに燃えていた種火を燃え上がらせた形になったのだろうか) -- 那岐李 2012-08-15 (水) 01:53:13
      • あいつはいつも感情に任せて突っ走るだけで、決断を下すのは苦手だから、すこし手伝ったまでさ
         (人前では姫様と呼び傅く飛爛のことをあいつと呼ぶのは、クラトの方が年上の親戚筋にあたり、)
        (なおかつ同位のカタクァ王位継承者だという自負からだろうか。あるいは那岐李が見抜いたよう)
        (に、突然現れて王の座をかっさらっていった飛爛に対する暗い思いもあったかもしれない。)

         (時間はさかのぼる、目を血走らせた群集が首都の太陽広場を埋め尽くすより半年近く前、)
        (カタクァの軍勢が南進の末、荒野から冬の風が吹きつけるアトル・イッツァの街に入った頃だ。)
        (『隊長、クラト様がなんか呼んでますよ』と、士官用の部屋を宛がわれた 那岐李を部下が呼びに来た。)
        (この頃戦功を認められ那岐李はカタクァ軍に食客ではなく、歩兵部隊の中隊長並びに特務官)
        (という肩書きでカタクァ軍に迎えられている。)

         (そして那岐李が呼び出しに応じれば、用件は簡潔で『私と一緒に本国へ戻らないか?』)
        (という話しであった。) -- 2012-08-15 (水) 02:41:11
      • ―本国へ?
        (余りにも唐突な言葉に那岐李は思わず眉をひそめた。ようやく拠点となる場所を見つけてそこに入ったばかりだというのに)
        (何故このタイミングで本国へ戻るという選択肢が出てくるのか、すぐには理解しかねた)
        (しかし、普段飛爛の側近として彼女に付き従うクラトが単独で本国に戻るとなればそれなりの要件の筈である)
        (ふむ、と暫しの間をおいて)…何故か、とお聞きしても? -- 那岐李 2012-08-15 (水) 02:47:38
      • 何、この街では特別面倒を見なければいけないことが少ないのですよ、ずっと前から仲間が色々
        とやってくれてましたからね。
         (机の上に山積みにされた書類や資料を手早くまとめながらクラトはにこやかに答えた。)
        それに・・・・・・・・・あのフェロミアという少女騎士が戻ってきて幾分マシにはなりましたけど、
        姫様の心のバランスは今も危ういです、兄君や弟君の事でも悩んでおられる様子・・・。
        元々感情の起伏が激しい方ですから、休めるときには休んでおいてもらいたい、と
         (分厚い書類の束に判子を押して脇に置くと、あらためて視線を那岐李に向けた。)
        そしてその間に、本国で計画を邪魔立てする者達をどうにかしておきたいとも思いましてね。 -- クラト 2012-08-15 (水) 03:09:52
      • …成程。姫様の手を煩わせることなく、ことをスムーズに運ぶため…ですか
        飛欄様はお疲れのご様子ですしね。我等が先んじて彼女の進む道を切り開いておくというのも必要でしょう
        (穏やかなクラトの言葉の裏に垣間見える本心に内心ほくそ笑んだ)
        (表面上はあくまで姫様を気遣っての行動ではある。しかし、「反乱に反対する派閥を飛爛の居ぬ間にどうにかしてしまう」というのは)
        (要するに彼女が本国に戻った時に最早後に引けぬ状況を此方で作り出しておくということに他ならない)
        …分かりました、お供致しましょう
        (そう答える表情は笑顔。クラトが浮かべる穏やかな物とは違い、本心を隠そうともせぬ歪なものであった) -- 那岐李 2012-08-15 (水) 03:22:59
      •  (那岐李の野心をむき出しにした笑み、クラトはこの男を出会った日に殺してしまわずに本当に)
        (よかったと思った。)
         中央山脈を越える旅になりますからね、防寒対策は怠らないように。すでに姫様には話しを
        つけてありますから、ナギリの準備が整いしだい出発としましょうか。
        詳細は道すがら話しますよ。 -- クラト 2012-08-15 (水) 03:39:05
      • えぇ、ではまた準備が整い次第伺いますよ。長い旅路になりそうですからね
        (そう言って再度ほくそ笑む。長くなるのは何も旅路だけではない。この男との付き合いはもっともっと長い物になるとこの時那岐李は既に確信していた)
        (長い歴史を誇るカタクァと、ルーツを同じくするカガチ。二つの民族の優位性を示すのが今の自分の生きる目的でもあった)
        (なれば、飛爛よりずっと反乱に積極的なこの男に協力しない道理は無いのだから)

        (それから数日の後。二人は予定通り中央山脈を越える道の途中にあった)
        (身を切るような寒さを堪えつつの行軍。その最中のこと―)
        しかし…カタクァの方々が一枚岩でないというのは最初は少々驚きでしたよ
        こうして行動を共にする前は、飛爛様というトップのカリスマによって統治された誇り高き民族…というイメージでしたからね
        (反乱に消極的な派閥や積極的な派閥が水面下で牽制しあっていたのは意外であったし、)
        (こうして独自の思惑を持ってクラトが行動するということも意外であった)
        (確かに飛爛という存在はカタクァが一つの民族として纏まる上では重要なのかもしれないが―) -- 那岐李 2012-08-15 (水) 03:48:19
      • 偉大な先王シャグナ・カルパ様が諸部族を一つにまとめる前はみなバラバラでしたからね。
         (シャツァルに乗せた背嚢からクラトは藁に包まれた石炭を取り出して地面に置く。)
        (手ごろな石を並べて簡単な囲炉裏にすると、腰に下げた短銃の引き金を何度か引)
        (いた、普通の火打石よりも強い火花が散り藁が燃えて、やがて石炭も燃え始める。)
         (下界がようやく寒さの峠を越えたこの時期、雲を突き抜ける山脈の上は極寒の世)
        (界だった。山を飛び越えることのできるシャツァルを用いても、ひとっとびとはいかず)
        (高い山と山の間、雪の無い地点を選びつつ、飛び移るようにして山を抜けていく。)
         (クラトと那岐李以下、同行するのは10名程の人間と数羽の巨鳥達だけだ。)
        (冬の中央山脈を越える旅は非常に過酷なものだった。荒涼とした酸素の薄い高山)
        (には岩と石と雪以外存在している物質はほぼ皆無であった。)
         (岩陰に立てかけるようにして風除けを張った簡素なテントから見えるのは、はるか)
        (遠方まで続き、霞んでみえる切り立った山壁と。足元の小石が一度転げたらどこまでも転)
        (がり落ちていく、惑星が口をあけたような大渓谷だけ。)
         (渓谷のはるか下にまだらに降り積もった白い雪が、夕焼けに染まる空より一足先)
        (に夜を迎えた谷底の中で、ぼんやりと光って浮かんでいるように見える。)

        カタクァ中興の祖である先王を皆今でも慕っていて、姫様はその直系のひ孫だ、だれも
        逆らおうという気はしないし・・・何よりあの性格だ、誰彼となく無条件に好かれるのです
        よ姫様は。・・・たとえ祖父と父が帝国皇帝であろうとね。
         (赤々と燃え出した石炭を見つめて、クラトは毛皮のフードを下ろしながら、寒さに)
        (ちょっとひきつったような笑いを浮かべた。) -- クラト 2012-08-16 (木) 03:32:16
      • 成程ね…彼女の存在が様々な派閥を取りまとめていることは事実ではある…
        しかしながら、彼女自身が彼女の意志で、彼女の力で取りまとめているわけではないということですか
        (こうして言葉に出してみて成程、と一人うなずく。確かにクラトの言うように彼女は誰からも好かれるような人間だ)
        (事実、自分のような人間でさえも彼女のことは悪くは思っていないのだ。祖のルーツが同じだ、という縁を抜きにしても、である)
        (だが、だからといって彼女が皆を率い、一つに纏めているわけではない。「皆が自発的に」彼女を尊重し、従っている状況―)
        つまり…水面下では色々と…?
        (パチ、と火の粉が弾ける。含みを持たせた言い方でクラトの真意を探りにかかった)
        (「この後も、反対派閥を抑えただけでは終わらないのだろう?」 暗にそう問うているのだ) -- 那岐李 2012-08-17 (金) 01:59:30
      • 一つのカタクァでいることは有利だということは、誰もが認めていますが、それでもやはり
        血は水よりも濃いということでしょう。
         (まるで獲物を狙うヘビのように抜け目無い男だ、とクラトはふっと笑う。)
        帝国領内で、南方を押さえていた都市を排除でき、アトル・イッツァに進軍できたことでもう
        十分に目的は果たせたという穏健派が6族、急進派が私を含めた2族…残り1つはずっと昔
        に滅びた諸族の寄せ集めで、王宮の議場に席はありますが族長などは居ません。
         (手ごろな枯れ枝なども無いので、クラトは地面に銃口をつかって図を描き始めた。)
        (銃砲は貴重品なはずなのにライターにしたり、筆記道具になったり、ぞんざいな扱いである。)

        これらの9部族で要職を担い、実質的に平民の登用枠である9族目を除き、部族長から
        順次高い位についていきます・・・が、血脈というのは当然河のように枝分かれするものです。
         (地面に描いた大きな円の中に書かれた9つの小円、そのうち6つの円の中を銃口がさらに)
        (細かく円に区切っていく。)
        決して一つにはなりようもないが・・・うまく噛み合わせる方法はいくらでもありますからね。
        幸い、私達には強力なシンボルが後ろについている。
         (もちろんそれは飛爛の事だ。) -- クラト 2012-08-18 (土) 01:44:06
      • (やはり、幾多の派閥があろうとも彼等が体面上は一つにまとまっているのは飛爛の存在に依る所が大きいようだ)
        (であるならば、国全体を反乱へと導いていくためには飛爛の号令がかかることが望ましい)
        (単にクーデターで無理やりに国を動かすのではない。彼女の口から、彼女の意志で反乱への号令をかけてもらう必要がありそうだ)
        ……となると、今回の目的。敵対派閥の始末ですが…どのような理由で行うおつもりで?
        単に武力で始末しただけでは世論も、姫様も味方には付きますまい。何かしら理由が必要になりそうですね
        (帝国との内通の疑いでも吹っかけてしまうのが手っ取り早いか、などと考えつつ)
        …しかし、9つの派閥のうち6族を抑え込むとなると…大分、席に空きが出来そうですね
        上手く回るでしょうか…?(穏健派が6族も居るのであれば、その全てをどうにかしなくとも、幾つかを抑え込むとなるとパワーバランスに亀裂が生じるだろう)
        (9つの一族による合議制が敷かれていたのであれば、その席に確実に空は生じる筈―) -- 那岐李 2012-08-18 (土) 23:03:33
      • 確かに、王宮内は穏健派が大多数だ。しかし・・・一歩街を出れば、帝国への不満の種は
        いくらでも渦巻いています。
         (災害による経済・食料基盤の崩壊は四半世紀にわたりカタクァの発展を支えていた経済)
        (活動に大きな打撃を与えた。つまり他の都市と交易を行っていた商人の仕事が減り、彼ら)
        (の生み出す富の恩恵に浴していた、職人や農民達もとたんに暮らし向きは苦しくなる。)
         (さらに帝国の救済策は血統によるひいきを隠そうともしない、カタクァの民はひしひしと)
        (感じているだろう、自分達が帝国にとって、まつろわぬ蛮族扱いだということを。)
         (そこに帝国中から、わずかばかり水銀や粛清の害を免れたカタクァめがけて)
        (土地を追われ、あるいは帝国と戦い敗れた者達が流れこんだのだ。結果は火をみるより明
        (らかだった・・・。)

        邪魔者を排除する手立て、クーデター後の安定、どちらも民衆のたかぶった熱量を
        もって焼き固める・・・。
        穏健派の代表格であるクル・カワンカという老大臣は先王様の時代からの重臣で姫様の
        信頼も厚く、有能な人ですが・・・。
        有能すぎるが故に、帝国への反乱という大博打を打つことができない。それゆえ彼の慎重
        さを歯がゆく思っている人間は少なくない。特に先年の凶作からこちら、民の生活は
        苦しくなる一方だ。
         (そとは日が暮れて気温が下がる一方だったが、クラトの語る言葉は熱くなっていく。)
        今にも爆発しそうになっている者達に王の意思という大義名分を姫様と同じく先王様の血を分けられた私が与え。
        暴発を恐れるあまり、その熱意を押さえつけ、内乱を引き起こしかねない老人達にはご退場願う。
        この計画の総根幹を担うのは、貴族や王族ではない、抑圧された民草だよ。
        ・・・声なき者の声を拾うことこそ、王の真なる務め・・・でしょう?
         (クラトは笑った。いつしか二人きりの粗末なテントの中は汗がにじむほどに暑い。)
         (王に意見できるだけの人物を失えば、反対派は力づくでも反乱を阻止することなどは)
        (できず。支配民達の圧力が彼らにも趣旨換えを迫るだろう。)
         (そして蜂起する民衆の正当性を保障するのは、飛爛についで王座に近い自分だという)
        (のだ。つまりかれは、封建社会のこの世界において、貴族の力を頼まず政治には関係で)
        (きないはずの民衆の力を束ねることで支配階級の足元からひっくり返してしまおうと画策)
        (しているのだ。) -- クラト 2012-08-19 (日) 01:21:49
      • それではまるで―(次ぐ言葉を言うことに幾許かの躊躇いを覚えた。民衆の力で支配を覆す―それではまるで)
        革命、ではないですか…!(クラトが抱いていた計画の全貌は自身が想像するよりもはるかに大規模であった)
        (せいぜい自分が闇討ちでもして、その後にそれらしい理由を付けて世論をゆっくり扇動するものだと思っていた)
        (自身の立場をも利用し、民衆を直に扇動して無理やりに方向転換を図るとは)
        随分と…大それた計画を立てたものですね。…いえ、帝国に反旗を翻そうというのです。このぐらいはやらなければ、ということか
        (クックック、と肩を揺らして笑う。やはりこの男が胸に秘めた野心は並大抵の物ではない)
        (飛爛とは比べものにならない程、この帝国への反乱への想いがある。その想いは一体どこから―)
        (そんなことを考えながらの行軍となったのだった) -- 那岐李 2012-08-19 (日) 02:16:34
  •  (あらすじ:飛ちゃんはG.A.225年1月某日、スリュヘイムで迷子になりました。)
    (フェロミアの鎧を修理するための技師や材料を確保する途中、注意力散漫、知らない人にはついていく、知らない犬猫にもついていく)
    (衝動重点、後先無考の悪い癖が出て、彼女は仲間からはぐれ路地をもぐりかってに人んちのドアをくぐり)
    (マスクを脱いだ笑顔一発で、誰にもとがめられることなく、自主的に社会科見学をなさっておられた。) -- 飛爛 2012-08-15 (水) 03:15:49
    • おうフロイライン!此方は公国立魔導錬金研究所付…重鎧工房であるぞ!
      (鉄床の一つにもたれかかっていた、まさか人が入っているとは思い難い鎧―どこかで、見覚えがある―がフレンドリーに話しかける)
      学習熱心なのは良いが、一人歩きは関心せん…うむ、杖を取ってくれるかな?
      (見たところ、左足の外装が無く…その下の衣服?に力が入る様子もない。脚を悪くしているのだろうか)
      -- レーヴェンフック 2012-08-15 (水) 03:32:00
      • ぴゃぅッ!?
         (飛爛は変な悲鳴を上げた、金髪に染めた長い髪までゾワッと浮き上がる程驚いたのだ。)
        (その奇妙な鎧には見覚えがあった、忘れようとて容易に忘れられぬ奇怪きわまるスチ)
        (ームパンク的なひし形兜と、分厚い鉄板感あふれる装甲である。)
        ・・・わたしは別に1人でも危ないことないもん
         (これ、ぜったいゼナンで見たアイツだよなぁ・・・と思いながら、肘のところから漏斗型)
        (に広がったドレスの裾から出た小さな手で、傍らに置かれていた杖を取って差し出した。) -- 飛爛 2012-08-15 (水) 03:47:12
      • そうは言うがな(杖を受け取ると、立ち上がる 彼女の身長は腰ほどまでしか無い)
        どろどろに煮え滾った鋼、その身に受けんとも限るまい?
        (出来るだけおどろおどろしく、怖がらせるような口調で)
        であれば、護衛の騎士の一人も付けて然るべき。儂はそう思うのだよ
        (特に公国の未来を担う、知的好奇心に満ちた子には、と付け加え)
        -- レーヴェンフック 2012-08-15 (水) 03:55:44
      •  (デカイッ!?と飛爛は再び驚いた、前回見た時はココロアの背の上かあるいは空の上から)
        (だったので、見上げるとその威圧感を改めて感じる。)
         (『こぉれ、私が大爛の皇女だってバレたら死ねるわね…』と思った。その心配はこの街)
        (入るときにするべきだったことであり、事ここに居たってようやく気付く飛爛は相当考えな)
        (しであった。)
        私はフェイリス・カーターと申します、では騎士様、私をお守りいただけますか?
         (慣れた様子でローディア式におじぎして笑いながら騎士を見上げる飛爛。)
         (戦場で会った解きは飛行帽とゴーグルで顔は隠れていたし、幸い正体ばれてないようだ)
        (なんだか話しの通じない感じでもないし、これでうまくいくといいなぁとか飛爛は思った。) -- 飛爛 2012-08-15 (水) 04:12:22
      • フロイライン・フェイリス!この統一王朝が騎士エルネスト・フォン・レーヴェンフックが誇りにかけて、貴方を御守りしましょうぞ!
        (片杖の騎士は勇ましく名乗りを上げると、一礼し…全く驚くべきことに、彼女の正体について記憶を探りもしなかった)

        公国の重甲冑に興味があるとは、中々女子には珍しい趣味であるが
        (出征する兄君殿に良いモノでも見繕いに来たのかね?と聞きながら、鋳型の作成工程を見まわる一人と一騎)
        -- レーヴェンフック 2012-08-15 (水) 04:24:44
      • え、と…うん、そうなの!お兄様のじゃないけど、壊れた鎧を直すために色々探してて
         (嘘は言っていない、実際ここならフェロミアの鎧を完璧に直せそうな感じがしたので興味を)
        (もってもぐりこんだのだ。)
        ここは他の工房より設備が立派だし、みんな親切に通してくれたから
         (嘘は言ってない、ごまかしが聞かなさそうだったスタッフはアクロバティックにスルーした)
        (だけなので。)
        うわぁ、おっきな炉!作業場も色んな器械でいっぱい・・・
        (溶鉄の光に照らされたその工房の中は、飛爛が知る風車と歯車で動くカタクァの工房とは)
        (まったく異なる情景だった。ここなら、空を泳ぐフェロミアの鎧も完璧に直せるかもしれない・・・)
         (どうにかして彼らに自分達の正体をばらさないまま仕事を引き受けさせる方法はないものか)
        (考える・・・考える・・・答えがでないので、それより横の騎士の事が気になった。集中力が足りない)
        ね、その足怪我してるの? -- 飛爛 2012-08-15 (水) 04:41:05
      • まあそんなところであるが…重くはないさ、心配せずとも直るケガである
        (なおる、のニュアンスが微妙に違ったのが伝わったかどうかは定かではないが、引きずった脚に悲壮感はあまりない)
        公国の製鉄技術は世界一!信頼の置ける技術者に設備、全ては人の努力の結晶なのだ
        (技術と言えば。先日戦場で助けられた航空部隊に推進爆弾などの新兵器群、部隊伝手で問い合わせても…それらしき運用試験部隊は見つからなかった)
        (勿論704戦試に許可された機密クリアランス以上に秘匿された兵器であるならば当然の結果ではあるのだが…)
        (こちらも少し、集中を乱されたか。火花散る鍛造工程は秘伝を守る職人の眼が光り、あまり長居は出来なかったので彫金工程に移る)
        -- レーヴェンフック 2012-08-15 (水) 04:52:31
      • お医者さんも腕のいい人がそろってるみたいだしね
         (騎士の鎧からはみ出した皮のブーツ?を穿いた左足は風船のように芯の無い便り無さ)
        (と違和感を飛爛に与えていたため、そんな異常な足を問題ないと言いきれる公国の医療)
        (技術の高さに素直に感心した。)

         (そして飛爛の無邪気な笑みも通じない強面職人達の鋭いまなざしに苦笑いしつつ騎士の)
        (あとをいそいそとついていく) -- 飛爛 2012-08-15 (水) 05:23:34
      • 魔術汚染による影響で症状が多岐にわたるゆえ、常に医師は不足しておるのが悩みの種ではあるのだ…
        (なので、外出時のガスマスクは欠かさぬように、とおしゃれマスクを指差して言った)
        ここは彫金工程である。華やかな文様であろう?
        (壁一面の模様見本板。そして、種々さまざまな小刀にヘラ、低融点金属の鍋…顔料棚は、色に溢れてすらいる)
        鎧の装飾は戦において重要な因子である、主に敵味方の識別、将の位の判別、士気の高揚…
        遠回りな効果じゃない?という顔をしておるな だが、こういうモノもある
        (見せられたのは、平らな平面で構成された脚甲と…これでもかと彫金による装飾が施され、表面には波型のうねりすらある脚甲。)
        (果たして、二者は重量からして違った。同一の板を使用しているのだ、体積は…曲げた方が、大きくなる)
        (更に表面装飾が補強リブの効果を果たし、強靭さは比べるべくも無い。ハンマーで叩いた程度で、そこまで伝わったかは定かではないが)
        -- レーヴェンフック 2012-08-15 (水) 21:34:25
  •  (マスクのことを指摘され、背負うようにして首にかけていたおかめ型のガスマスクを肩越)
    (しに弄る。飛爛用の子供サイズのそのマスクは、ドレスと揃いの黄色いリボンや、)
    (キラデコシールで飾られていた。彼女の手製である。)
    え、これ元は一緒なの?ほんとに??あはっすごい!
     (そして次の工程場で見せられたのは見た目にも分かりやすいビフォアー、アフター。)
    (再び感心する今はフェイリスな飛爛。)
    うむぅ・・・ここの職人さん2〜3人連れて帰れないかしら・・・
     (わりとマジで考え込む、元々今回スリュヘイムまで出向いたのだって、飛爛達の下にいた)
    (昔スリュヘイムで治金を学んだという職人の提言を受けてのことだ。)
     (曰く公国の科学技術は世界一ィィィィ!!このセリフさっきも聞いたような気がする。) -- 飛爛 2012-08-16 (木) 01:22:48
  • 国策としてこの地に留まって貰っておる都合上、動くことは難しいが…領内への、工房ごとの出張ならば 案件の重要度によっては可能かもしれぬ
    (と、ふと気になって 連れ帰りたい、のニュアンスに違和感を覚えたからだ)
    フェイリス嬢、住まいはどちらかね?場所によっては、お送りしようではないか
    (壊れた鎧の修理と言っていた。それほど大掛かりな修理工が必要ならば、それは機密度の高い―公国に、大小無数に存在すると言われる秘密兵器―モノであるかもしれない)
    (そんな意識が、少女の社会見学に対する緊張感を少し強めた)
    -- レーヴェンフック 2012-08-18 (土) 00:59:22
  • (何か気配というか空気のようなものを敏感に感じ取ったのか、あっヤベ、と思った飛爛は)
    (しかし表情には出さす、ほんわりと微笑むと。)
    ローレンシアですわ、お送りいただくには少し遠すぎますね。実はここへは普段から我家と
    懇意にさせていただいている騎士様のために最高の職人を探しに参りまして・・・・・・・・・
    その、私、恥ずかしながらその騎士様の大ファンですの!ですので無理矢理旅に同行
    させていただいちゃいましたぁ〜
     (しれっと言ってのけた。しかも両手で頬まで押えて、身をくねらせる。お忍びの旅とはいえ)
    (よくやるものである、フェイリスこと飛爛、この年すでにアラウンドサーティー・・・) -- 飛爛 2012-08-18 (土) 02:16:02
  • 騎士がため、想う心を支援に変えて…何とけなげな!
    (受けた。クリーンヒットである…騎士物語にありがちなその設定は!)
    騎士殿とて婦人のガードとあらば苦になりますまい!むしろ羨ましい限りですぞ
    (先ほど「連れて帰りたい」などと言っていたことはあっという間に不問とされた。それ程の気に入り具合)
    同行…お近くに居られるのであれば話が早い。公国立魔導錬金研究所付属第228重鎧工房の総力を結集し、明日と言わず今日と言わず!
    (そう、そのインパクトは全面的な協力を取り付けるほどに…!)
    -- レーヴェンフック 2012-08-18 (土) 02:38:17
  • えっホント!ヤッター!
     (思わず両手を挙げて跳ね喜ぶ飛爛、胸元の黄色いおおきなリボンがウサギのしっぽの)
    (ごとくはねた。)
    さすがは公国一と歌われた騎士様です!
     (全力で自分達の身分等を調べられたら、海賊船で密入国でおまけに大爛の皇女で、)
    (連れてる騎士は脱走兵と役満倍満どこの話しではないが。この時、修理が出来る!と)
    (いう事実がところてん式に不安材料を飛爛の頭から押し出してしまっていた。) -- 飛爛 2012-08-19 (日) 00:27:36
  • そうであろうそうであろう!ガハハ、フロイラインの命とあらばこの統一王朝の騎士!いくらでも頼って構わぬ
    (トントン拍子に話は進んだ。公国有数の工業力を持つ重鎧工房に搬入されたからくり武者らしきモノは、数日の後)
    (多少厳つい外観になったものの、機能を回復するまでに修繕されることになる)
    (話を取り付けた当の騎士はと言えば、その姿を見ること無く工房を飛び出し、またもや戦場に向かったとか。)
    (なお、手続き上の不備は「現物修理優先」として完璧にスルーされ、後々納入先すらダミーの海運会社であったことが発覚するのだが…これはまた別の話)
    -- レーヴェンフック 2012-08-19 (日) 00:43:02
  •  

    •  (ゼナンでの戦いの後、帝国軍本隊から離れた飛爛達は南方の荒野を行軍し続け、そして
      アトル・イッツァの街に入ったのは224年がもうじき終わる頃であった。)
       (通り道にあった都市国家群もほぼその配下に加えることに成功して、この街に到着した
      時点で飛爛達が命じられた南進は一応目的を果たしたことになる、だが彼女はすぐに本
      隊に戻ることはせずに、率いた部隊とともにしばらくその地にとどまっていた。) -- 2012-08-13 (月) 22:19:14

      •  (薄い蒼色の下に低く綿雲が羊の群れように流れ、多少波はうねっている、陸に囲まれ
        た内海とはいえ冬はそこそこ波も高いものだった。)
         (しかし、太陽は雲の間によく輝いていて、盛夏の頃を連想できなくもない。)
         (肌寒いが爽やかなものだった。)
         (その海をしぶきを上げて、2本マストの帆船が進んでいく。メインマストから斜めに張り出し
        た2枚の三角帆と、細長い船体はどこか羽を広げた鳥のようにも見える、甲板の上には小麦色の
        肌をした水夫達にまじって、飛爛の兵達も乗り込んでいた。) -- 2012-08-13 (月) 22:19:20
      • うはーめっちゃ揺れるー!あははははっ、何あの鳥初めてみた
         (金髪に染めた髪を海風になびかせながら、マストの上を飛ぶカモメを見上げて)
        (飛爛は楽しそうに笑っている。) -- 飛爛 2012-08-13 (月) 22:19:41
      • ……あ(対照的に海をじーっと覗き込んでいる少女が一人。別に吐きそうなのではなく魚を見ているのだ)
        (ある意味自分のルーツでもあるのでとても興味深いのだろう) -- フェロミア 2012-08-13 (月) 22:24:48
      • 泳ぐの?
         (黄色いドレスのスカートとその下の白いレースまではためかせて、海面を覗き込むフェロミアの)
        (横にぴょこりと飛爛が跳ねてきた。デッキの手すりにかけた両手の間で胸元の大きな)
        (リボンが風に揺れてふわふわとうごいていた。)
         (見た目が子供っぽいからといって、子供服が本当に似合いすぎなアラサーであった。) -- 飛爛 2012-08-13 (月) 22:33:44
      • 泳いだ事、ない(ようやく顔を上げて答える。こちらの服装はと言えばノースリーブで丈の長めな上着のみと言った風情、以前盗んできた服と似たような形なのを見るにあれが気に入ったらしい)
        ただ、魚って飛ばないんだなって……(暫くゆれるリボンの動きを目で追った後再び水面に目を落とす。ちょっと寂しそうにも見えた) -- フェロミア 2012-08-13 (月) 22:46:14
      •  (うつむくフェロミアの肩に飛爛の手が乗った、むき出しの肩を袖口のレースがくすぐる。)
        うーん・・・こっちには居るかなぁ?
         (きゅっ肩に置いた手に軽く力がこもる、ふわりっと飛爛は手すりの上に飛び乗って)
        (額に手をかざして遠くを探すように海原を見始めた。) -- 飛爛 2012-08-13 (月) 22:55:25
      • (急に肩に乗った手にびくっとする。さらに軽くとは言え掴んでくるのだから、何か悪い事でも言っただろうかと不安になるのも仕方なかった。ドキドキして変な汗が出る)
        な、何がいるって……って言うか危ない、危ないって(手すりの上で立つ飛爛の姿に今度は別の方向のドキドキ、と言うかハラハラを感じながらわたわたする。もう魚どころじゃない) -- フェロミア 2012-08-13 (月) 23:00:21
      •  へーき平気、だって下全部水じゃん落ちても痛くないって
         (帆走してる船から落ちたらまったく平気ではないが、断崖育ち高いところは大体遊び場)
        (というこの姫様には危機管理能力が欠乏しているのかもしれない。)
        あっ…っとっおわっ!………よっとと…ああーッ
         (案の定船が波を大きく超えた揺れでバランスを崩して、手すりから甲板に落ちた。) -- 飛爛 2012-08-13 (月) 23:15:11
      • 痛くなくても置き去りになるって……(声色が心配半分呆れ半分になる。人が心配してるのに暢気な!と言う苛立ちも少し含まれていたかもしれない)
        って、あっ、あーっ……(よろめく飛爛を助けようと掴みにかかるが落ちた方向は想定とは全く逆。勢いあまって転んだまではまだ良かったが、思い切り下敷きになった) -- フェロミア 2012-08-13 (月) 23:21:44
      • もーこの服動きづらいから嫌いよ、ってあああごめんっ大丈夫!?
         (慌てて、潰れたフェロミアの上から飛びのく飛爛。)
        (飛爛は小柄とはいえ、下敷きになったフェロミアはさらに小さいのだ。)
         (うっかり犬の足を踏んだ時のように、様子を伺う) -- 飛爛 2012-08-13 (月) 23:36:44
      • うぅ……(生身とは言え義手義足、胴体も強化されているので特に怪我はない。ないがやっぱり痛いは痛い)
        頭打った(上体を起こしながらぼやく。涙目なのは決して泣いている訳ではなく、刺激に対する反射みたいなものだ) -- フェロミア 2012-08-13 (月) 23:42:01
      •  いやぁ…ははっ気をつけないとね
         (涙目になるフェロミアの頭を飛爛の手が撫でる。飛爛は海の危険を一つ学んだ。)
         (そうこうしていると、船の喫水線の当たりで何かがバシャリッと跳ねた。しぶきを立てて)
        (進む船の舳先目指して、海面を何かが沢山群れて跳ねている。) -- 飛爛 2012-08-13 (月) 23:49:56
      • (撫でられると「子供扱いするな」と言う視線が飛ぶが、眉はどちらかと言うと気持ち良さそうに弛緩している。複雑な心境なのだろう)
        ……ん?(そうこうしている内に何か異変を感じ取る。あの音は一体……目を向ける) -- フェロミア 2012-08-13 (月) 23:55:44
      •  (海面から一際高く飛び出した一匹がついに甲板の高さまで越えた。座り込んだ二人の)
        (視線の先を銀色の大きな羽を広げて、飛魚が水平線の上に弧を描いて飛んでいる。)
         (さっきから水面をバシャバシャと叩いていのたは飛魚の群れだったのだ。勢いをつけ)
        (風に乗った細長い魚が船と併走しながら波の合間から無数に飛び出して滑空していた。)
         (沢山の魚の銀の腹が鏡のように陽光を乱反射して銀の紙ふぶきが舞っているようだ。) -- 2012-08-14 (火) 00:03:18
      • (声は出さないが、その光景を見て「おー……」とでも言う様に口を開けて目を輝かせる。自分とはフォルムが全く違うが、それらも飛んでいた)
        飛んでる……飛爛見て、飛んでる(魚が空を舞っている。どう見たって滑空しているだけなのは自分でも分かるが、海を飛び出して空を行くと言う、その事が重要なのだ)
        (作られた存在である自分。不自然である自分。そんな自分と自然にある世界の共通点を見つけて行く事はとても嬉しかった。ここにいてもいいんだ、と思えるから) -- フェロミア 2012-08-14 (火) 00:08:31
      • 飛魚居たねぇ、私も本物見るのは初めてだよ!探してたらちょうど出てきてくれるとかラッキー!
         (空を飛ぶことのできる魚も居ると、教えてあげたらよろこぶだろうかと、何となく思った)
        (のは正解だったようだ。)
         (端から見れば分かりづらいフェロミアの感動だったが、飛爛はそれがよく分かって)
        (フェロミアと並んで楽しそうに笑った。)

         ちなみに味も結構いいらしいよ!
         (そういって横を向いた飛爛の視線の先では、長い竿の網を持って船乗りが飛魚を取っていた。)
        (実に手馴れたもので、ほいほいとまるで飛魚が自ら飛び込むように大きなすくい網の中に)
        (飛び込んでいった。職人技である。) -- 飛爛 2012-08-14 (火) 00:25:21
      • うん……ラッキー(本当に幸運だと思う。この魚に出会えたことは嬉しかったし、何より飛爛が嬉しそうだったから。感情を持たなかった少女はついに感情を分かち合うと言う事を覚えて)

        えっ(飛爛の言葉と船員の動きを見て思わず思考停止する。挙句の果てに魚達が料理されてる光景を見た日にゃ)
        えー!?(先程までの感動も何処へやら、「ガーン」と音が聞こえそうな表情で絶望の声を上げるのだった) -- フェロミア 2012-08-14 (火) 00:31:34
  •  (そして夕餉に出された飛魚料理をフェロミアが悲しげな顔をする横で飛爛はおいしく)
    (いただいたのだった。) -- 2012-08-14 (火) 00:40:08
  •  
  •  

Edit

  • 《 第 二 次 バ ル ト リ ア 会 戦 》 -- 2012-08-10 (金) 23:36:28
    • (私は、連合国の澱である)
      (底に沈殿し、撹拌せねば表面に浮いてもこない、そういう役割を十年以上前に一人の王と一人の皇によって与えられた)
      (方や象徴として、方や供物として、そこに自己の意思を介在する余地など微塵もなかったが、私はそれですら何方でも良かった)
      (主張すべき自己の意思すらも、私は所持していなかったからだ)
      (だが、そんな空虚な澱ですら、この戦場に足並みを揃えて槍を並べる一つとならねばならぬほど、戦況は逼迫していた)
      (何しろ帝国兵の数が多い。単純にして明確な差として存在するその優位性を、帝国は余すことなく酷使し続けている) -- フリストフォン 2012-08-10 (金) 23:48:26

      • (侵略戦というものは、フィールドという点で大きく侵略側が不利であるにも関わらず、歴史の上で何度も攻城が成る理由は)
        (何をも得られない戦いというものが兵士の志気を大きく削り続けるからである)
        (今回の戦も例外ではなく、兵士の志気はその圧倒的な数を前に削られ続けていた)
        (故に、西側の軍党指揮を採れる者全てが駆りだされ、総力戦を余儀なくされていた)
        (それは恐らく……現王ですら、例外でいられるのは僅かな時間だろうと、実際の戦場に立って思う)
        (等しく、ここは誰もが死を感じざるを得ない地獄だ)
        (鼓舞による志気向上も限界に達しようという、与えられた兵の顔色を馬上で睥睨しつつ、戦場の遥か先、帝国の方を見据えた) -- フリストフォン 2012-08-10 (金) 23:48:37
      • (平原を吹きぬける風。その風が不自然に……東から西へと吹き込みはじめる)
        (同時に……)
        (黒煙が戦塵と共にフリストフォンの軍勢へと踊り掛かって来る) -- 2012-08-11 (土) 00:14:24

  • (見据える先。誇示するかのごとく掲げられた軍の旗を見て、指揮官は呟く)
    ……来たか。シュウ。
    いいだろう。それが……お前の出した結論であるなら、それを正してやらねばなるまい。
    戦場で得られる物など、何もないのだと。何もないことを愉しいと思える私のような性質がない限り、居るべき場所ではないと。
    (伝令に陣形を整えるように告げる。陣は横陣。横一列に並ぶ、シンプルにして最古の陣形)
    さあ、来い。……兄の首級は此処ぞ。 -- フリストフォン 2012-08-11 (土) 00:41:38
  • (わかる……あそこにいる。ここにいる。まるで、互いにその吐息が聞こえるかのようだ)
    (遙か後方にいるにも拘らず、その声が聞こえる。吐息が漏れるように、六稜の旗が囁く)

    わかっているさ。戦場は俺の居場所じゃないことくらい、最初からわかっているよ
    でも、関係ないんだ。関係ないからいいんだ。だって兄様がいるもの。兄様がそこにいるんだもの
    だったらそれ以上なんて何も要らない。何1つ必要ない
    アナタのいる場所が俺のいる場所だ
    俺はそう強いられて生きてきた。アンタがいなくなったばかりになぁああ!!!

    (まるで怒気がそのまま形になったかのように……黒煙がフリストフォンの横陣へと撒きついてくる)
    (そうそれは……戦塵、砂煙に偽装した毒)
    (風も風読みによって操作したものだ。既に戦争は始まっている) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 00:56:33
  • ;(黒煙が地を這い、意思を持っているかのごとく隊列の一部を苦悶に歪ませる)
    (……成る程。毒か。……考えている)
    (そして、お前らしいな、自らの手を汚すことで、味方の被害を最小限にする、敵のみを傷つける戦法だ)
    (横陣を組まず、例えば一列にて中央突破を狙っていれば、一箇所に集中した毒によって一網打尽にされていたかもしれない。良く、学んでいる)

    (だが。それでは王足りえないのだよ、シュウ。それは利と理を良しとする、私の考えだろう)陣形。偃月
    ――二つに裂けろ、本陣。(元より、横陣の形を取っていれば、数として上回っている相手であるなら、中央突破をして然るべきだと読んでいた)
    (少数精鋭の定石であるところの中央を厚く構える魚鱗ではなく、横陣の構えを取ったのは、あえてそれを誘っていた手管なのだが)
    (招き入れたのが毒であるなら、その策を別の形で使わせてもらおう)
    構えろ。(信号弾による号令で、味方が一斉に横陣の中央に向けて盾を構える

    (瞬間、爆風が地をなぎ払い、閃光が眩く六稜軍の瞳を焼く。心象に深く刻み込まれるまでに)
    (それを以って毒煙を晴らし、土煙の中から中央にて馬で歩み出る)

    戦力や立場とは保持し、守るものではない。有効に使い、消費してこその意味だ。
    どちらでもいいという私の生き方を踏襲しての、どちらもいらないというその無欲に似た強欲が。
    お前が私足りえない最大の理由だ、シュウ。
    (アルメナの技術。死葬兵を、借りての……自爆という手段
    (死葬兵は数こそ少ないが、味方と同じ武装をさせている。誰が爆発するか分からない軍勢となった西ローディア軍が、毒の風下を避けた二手に別れ、斜めに進軍をしてくる) -- フリストフォン 2012-08-11 (土) 01:16:41
  • (信号弾の爆風により毒は薙ぎ払われるが、帝国軍は丘を取った有為を捨てる心算はないらしく、全軍疎らに布陣したまま矢を放ってくる)
    (無論唯の弓ではなく、水銀弓である。しかも、風読みによって風にのって飛んでくるそれはより鋭く、より遠くから届く。西の弓の飛距離から鑑みれば最早冗談としか思えないような遠距離からだ。疎らに布陣された弓兵達は二手に分かれた西ローディアの軍勢に対してもムラなく応射撃、御丁寧に兵士よりも馬を優先して狙っている。レンジ外から続けられるそれは、明らかに機動性を殺ぐために行われている)

    (そして同時に……声が響いてくる。風にのり、威圧のあるその声。否、声ならぬ咆哮)

    跪け

    (動物感応の応用。騎馬に対する威圧) -- 六稜兵 2012-08-11 (土) 01:55:25
  • (高台からの矢による一斉射撃に、堅牢に固めた鎧の隙間を穿たれ、全面に立った者達がその毒と痛みに喘ぐ)
    (結果、苦しまぬ兵が死葬兵のそれと分かる形となり、陣形が徐々に乱れ始める)
    (馬上で剣を振り、状況の不利を以って小さく嗤った)
    (定石に勝る奇策なしと。そう判断して定石に定石を重ねて来ている)
    (数の有利に驕ることなく、感情を理由にすることなく)
    (ただ妄執にも似た自身の性質を飼い慣らした上で、全てを理と利で御している)

    (先んじて戦線の先端に触れた死葬兵もまた、陣を崩すには至らず、自爆という手段を有効に使えないまま、爆散し果てていく)
    (自身の指揮する機動力も、攻撃範囲を面としている高台からの射撃には圧倒的に不利は否めない)

    そうか。
    これは。
    (小さく、呟く)
    ……成る程、これが。執着か、ヴァイド。
    (口内で弄ぶように呟いた瞬間、動物感応によって騎馬が一斉に足を鈍らせる)
    (機動力を削がれた騎馬隊を狙ったように矢が居抜き、ただでさえ少ない戦力は、十全に隊という形が成り立たないまでに削られ始めている)
    ……この不利は。この攻の焦りは。
    私の執着が生み出した結果というわけか。
    成る程な。
    (男は、生まれて初めて、嗤った)
    ……シュウ。いつの間にかお前は……私の敵となっていたのだな。 -- フリストフォン 2012-08-11 (土) 02:20:55
  • (機先を挫かれ、突撃に失敗した西ローディアの兵達に止めをさすかのように)
    総員!! 全軍突撃!!
    (号令を共に、高台から重装騎兵と魔獣……そして蟲が逆落としを仕掛けてくる)
    (機動性と、勢いと、そしてなにより物量を減じた西ローディア軍に対して再び定石を重ねる)
    (しかし、今回はただの定石ではない。確実に討ち取るための策。陣形戦術を基礎とする西には恐らくない、秘策)

    (まばらな集団が固まった集団が崩れた際に使う戦術……浸透戦術)
    (戦線にムラができ、機動性を失った西ローディア軍の前線を蹴散らし、時には素通りし、陣形と陣形の隙間に浸透するかの如く帝国軍がなだれ込んでくる)
    (無論、前方からだけではない)
    (左翼、右翼、そして中央3方同時。物量と、まばらな布陣を生かした突撃)
    (そして、その先頭にて陣頭指揮を執る旗頭は……)

    (六つ目の異形面をつけた……六道鬼と呼ばれた帝国将軍)

    迎え(利用し)にきましたよ……フォン兄様 -- 宗爛 2012-08-11 (土) 02:46:40
  • (もはや、戦線は瓦解したと言っていい)
    (間隙を縫うようにして攻め入ってくる帝国軍は、急造の軍隊の戦列など容易く蹴散らし邁進してくる)
    (認めざるを得ない。何らかの感情が自分の中に芽生えつつあり、それが足枷として作用したと)
    (これは――皇の定石に王が奇策を以って挑んだ結果の敗戦であると)

    ……よもや。
    此れほどまでに、盤上で正着を指すに至っているとはな。
    シュウ。

    (単騎ではないが孤軍。しかも三方を遮られ、恐らく退路も断たれているだろう)
    (眼前に立つ、六つ眼の瞳を持つ鬼は、帝国の傀儡ではなく。自らの妄執を利用せしめる魍魎であった)

    ……一つだけ、勘違いを正そう。
    私は……お前を……そしてお前の母を捨てたわけではない。
    それは……シュウ、お前の勘違いだ。
    (命乞いにも取れる言葉を放ち、小さく顔を伏せる) -- フリストフォン 2012-08-11 (土) 03:12:00
  • (巨大な黒山羊にのった鬼は、フリストフォンの目前にまで踏み込み、水銀槍の穂先をぴたりと突きつけ……止まる)

    ……フォン兄様が悪いんですよ
    フォン兄様がいなかったから、僕は「フォン兄様になるしかなかった」
    周りがそう強いた。母がそう強いた
    そうしなければ生き残れなかった

    (周囲から近衛兵や生き残った護衛などが鬼へと切りかかるが)
    (鬼の周囲に控えた異形……骨面の異形達と、蜘蛛糸を編んでつくった覆面の重装騎兵達が槍を振るい、弓を射れば途端に大人しくなる)
    (それでも、決死の思い出突破を果たした一人の剣士が宗爛へ肉薄し……黒咲に噛み殺される)

    (返り血が、お互いの頬を染める。互い違いの頬。右頬と左頬にそれぞれ左右対称の紅化粧)
    (小さく顔を伏せるフリストフォンの言葉をきけば、小さく溜息)

    関係ありませんよ。フォン兄様。何も関係ないんですそんなこと
    アナタが『帝国』を裏切ったか裏切らなかったかなんて、どうでもいいことなんですよ

    大事なことはたった一つ。たった一つだけなんです。フォン兄様

    アナタが僕の前からきえて、『僕の』気持ちを裏切ったことが問題なんです

    突然アナタが目の前に現れたときは、殺さなければ気がすまなかった
    アナタがいなくなったせいで母は死んだ。僕もこんな人生を歩むハメになった
    僕はね、フォン兄様。アナタがいてくれればそれでよかったんです
    アナタが皇帝になって、アナタの隣で補佐をして、みんなで笑って帝国を食いつぶせればそれでよかったんです

    でもアナタは消えた。アナタがいなくなったせいで……
    (わなわなと震える。狂気が膨れ上がる。捻じ曲がった感情が歪に腐爛して)

    俺は……アンタの代わりにされた!!!

    (張り裂ける)

    フォン兄様。一度だけ、一度だけ言います
    一緒に帝国に戻りましょう。一緒に、昔みたいに、飛姉と、僕と、三人で笑って暮らしましょう
    僕と飛姉の為に一生嘘を吐き続けて生きてくださいよ

    (仮面越しに、口角がつりあがる。瞳孔が開ききり、涙が自然と流れていく)
    (そう、俺はそうだ。俺は卑怯者だ。俺は卑屈なガキだ。知っている)

    昔みたいに。カラッポなままのフォン兄様として、戻ってきてくださいよ

    (でも、それでいい。コイツさえいれば、この人さえいてくれれば、この大好きで愛してて凄くて完璧で完全で無欠で無血な偶像さえあれば)
    (彼以外の全てはずっと幸せでいられるのだから)
    (エゴ丸出しの兄弟愛。汚物のような愛憎の感情)
    (いくら汚れていようと構わない。いくら歪と罵られても構わない。それでも変わりなんてないんだ)

    (僕は未だに……彼を愛しているのだから)
    (愛という言葉が、その人のことを必要としているという意味でなら、誰よりも強く。誰よりも深く。誰よりも……重く) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 03:40:11

  • (それは宗爛という男の慟哭であった)
    (長年、真っ直ぐに突きつけられてきた愛は、その矛先が存在を消したことで、ベクトルとして歪んでいった)
    (虚無に対して押し付けられた直線が根本を同じくしてその頭身を撓ませるように、深く、歪に)
    (それは静謐なる狂気。虚無なる正常の対局に位置する、真っ直ぐな曲線)

    (世の中の全ては自分という力に寄り添うだけで、他愛なくへし折れて来た)
    (相対してくる物はもちろんのこと、寄り添おうとした物、付き従おうとした物ですら、その影響からは逃れられなかった)
    (万物に触れることが出来ない性質は、触感を持たぬ人間が自意識を育成出来ないのと同じように、大いなる虚無を齎してきた)
    (だが)
    (今ここで)
    (その力によって折れ曲がった存在が、その愛を歪な直線で向けてきている)

    (そうか)
    (これが、ヴァイドの言う。私が興味を持つに値する、宗爛という男の、弟の価値か)

    ……そうか。
    お前は、私を……。
    それほどまでに、必要としていたのだな。

    すまない。
    シュウ。
    ……すまない。
    (それは、悲しみと後悔、そして絶望に彩られた声色であった)

    ……本当に、すまない。
    ……何一つ、理解してやれなくて

    (瞳に、手を触れると、そこには灼熱の瞳の色が存在している)

    シュウ、『俺』はな。
    お前を裏切ったわけでも、お前を捨てたわけでもないんだ。
    (両手を広げると、男の顔の上で鮮烈な笑顔の華が咲く)

    今の今まで。
    お前は、『俺』の世界の中にすらいなかったのだから

    (絶対虚無の暴虐が、目覚める)
    (それは、予備動作も、呪文詠唱も、待機時間も、瞬間予兆すらない)
    (完璧な構成を持った緻密さと、人の捉えられない速度で編みこまれた咒式)

    (かつて、誰もが問い、やがて問わなくなった問いがある)
    本爛よ。お前にあれは出来るか?と

    (その問いの意味を行動という答えで示してきた男が、今、生まれて初めてその言葉に二つの重なった意味を持つ言葉を以って返す)
    ――何故……それを出来ないのかだけは、『俺』に理解できない唯一だよ。

    (地面が鳴動し)
    (その場に散らばる沢山の死体を原料として、膨大なる呪術の儀式を冷酷で無尽蔵な魔力にて強引にねじ伏せ)
    (その魔術は、成る)

    柱の騎士が、男の呼応によって、再びバルトリアの大地を揺るがした
    (その肩で。『本爛』という存在が。宗爛を敵と認めた零指向の悪が。灼熱の瞳で嗤っている)
    その、願いは叶えてやれない。
    私はそれすらも……どちらでもいいのだから。-- 本爛 2012-08-11 (土) 04:15:38
  • (突如出現した柱の騎士の一団。しかし、既に帝国軍は柱の騎士に対する対処法を学んでおり……尚且つ、宗爛の率いる六稜軍は殊更詳しく柱の騎士について調べていたためにそれにより潰走することはなかった)
    (しかし、前線で……フリストフォンたった一人のデタラメな神業によって生み出されたその様を見た者達は……例外である)

    「な?! な、なんだ死体が……突然……!?」
    「バカな、何の予備動作もなく……!」
    「こ、こんなに簡単につくれるなんて聞いてないぞ!!」

    (白兵戦において最大の優位とか如何であるか?)
    (単純で明確な答がそこにあった。即ち)
    (圧倒的質量による蹂躙)
    (柱の騎士が一度腕を振るうたびに、血飛沫があがる)
    (柱の騎士が一度脚を踏みしめるたびに、大地が悲鳴を上げる)
    (前線は混乱し、敵味方入り混じった混戦の様相を呈する)

    は、ははは……

    (昔から、コイツは何も変わっていなかった。本当に何も変わっていなかった)
    (出来ないことなんて何もない。誰かが出来るなら出来るのだ)
    (否)

    はははは……

    (数字の上で出来るのならば)

    ははははははははははははは!!

    (即ち全てがこの男は出来るのだ)

    そうだ!! アンタはいつだってそうだった! アンタの瞳には俺も!! 母も!! 皇帝すらも映っていなかった!!
    深紅はただの血の色で、その奥の『病み』には誰も近づけなかった!
    近付こうとした俺がこの有様だ……近付こうと思ったのに、近づけると思ったのに……

    結局全部勘違いだったわけだ!! ひぃひひひ!! はーっはっははっは! やっぱりフォン兄様は凄いや!! はははは、はははははははは!!
    (近くに近衛もいなければ、近隣の部隊すら敵味方構わず逃げ出しているこの状況)
    (あと数分もすれば冷静さを取り戻した部隊がそれぞれ柱の騎士を各個撃破するだろうが、それまでは戦場は一種の麻痺状態になる)
    (この男は、そんな状況をたった一人で、ただの一瞬で作り出した)

    確信したよフォン兄様。やはり僕はアナタを愛している
    なんでもできるアナタを愛している。そんなアナタが大好きだ
    今だってすぐにでも手元に起きたい。今すぐにでも……利用してやりたい

    どうせアンタは何をしたって不幸なんだ
    なんでもできるんだから何をしたって満たされやしない。何をしたってどうでもいい。アナタは神なんだ。人の身をした神だ
    どうせなにをしてもどうでもよくて、どうせ何をしても不幸なら

    アナタはもっと、他人の為に不幸になるべきだ

    導いてやるよ。本爛
    俺が皇として……アンタの王たる姿を正しく利用してやる

    それが叶わないから
    手元にこないのなら

    必ず……殺してやる

    殺して、利用して……歴史の中で永遠にしてあげるよ

    大事な大事な、僕の王様

    (自分でなんでも出来てしまった男と、自分では何も出来なかった男)
    (何も出来ない男が何かを成すためには、成せる何かを使うしかない)
    (目前の男ですら、考えてみればそういうものなのだ)

    (この男が好きな理由なんて突き詰めればひとつしかない)

    (この完全な、神の如き兄が一人いるだけで)

    (この兄以外の全ては幸福にすることができるのだから)

    さて、頃合か……

    (柱の騎士の拳を紙一重で避けつつ、黒咲を駆り、後退する)
    (同時に、帝国軍の反撃が始まる。対柱の騎士装備。爆撃。酸撃。炎撃……呪毒によるディスエンチャントから、地教術を利用した足場の操作まで)
    (既に完全に研究し尽くしているといわんがばかりに帝国軍は柔軟に対応した)

    フォン兄様。忘れないでください
    アナタは絶対に幸せになれません。詩あわせの意味を理解できないアナタは一生幸せになれない……だから……

    アナタは僕の幸せのダシになるべきなんだ

    また会いましょう……フォン兄様。アナタこそ、皇帝に相応しい唯一のお方です

    (感情が暴走しても、利は追い続ける)
    (目前の男にそうされたその男は……意外なほどにあっさりとその場から引き下がった) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 05:07:22
  • (宗爛という男が準備を重ね、正着手を重ねて陣取った高さよりなお、遥かなる高みより男は嗤う)
    (暗く、昏く、儚い、空虚な笑みを以って、世界を嘲笑った)

    最初から、何もこの手にはなく。全てがこの手の中にあった。
    そして今でも、何も手の中にないから、何であろうが掴むことが出来たのだ。

    触れることが出来ないのだから、壊れていく何かに手を伸ばし救おうとすることも、
    救われようとする何かを毀すこともできない。
    ただ、在るだけの悪。そんな私という形をした何かが、私の本質なのやもしれんな。

    (眼下に広がる惨状も)
    (戦況ですら、男には興味の埒外にある)

    (ただ一つ、或いは生まれて初めて知る、その感触は)
    (好奇心と呼ばれる物であるのだとしたら……男は、柱の騎士の上で顔を抑えて、嗤う)

    導こうじゃないか。宗爛。
    私が、王として。お前の皇たる有り様を、私のために歪めよう。

    私は生まれて初めて、自分の意思で何かを選ぼうと思う。
    今まで与えられた全てに反応を返すだけだった私が、生まれて初めてだ。
    宗爛。
    お前は私が戯れとして……壊そうとしてやろう。

    壊れてくれるなよ……大切な私の弟。 -- 本爛 2012-08-11 (土) 05:20:59
  • 六稜軍 本陣 -- 2012-08-11 (土) 00:14:52
    • (小高い丘に布陣を済ませた宗爛。此処までは帝国でとる戦術の定石である)
      (これだけで本爛を……いや、フリストフォンの軍勢を挫く事は難しいだろう。奴がこの程度の策とも呼べぬ策でうろたえるとも思えない)
      (しかし、それでいい。そこまではお互いに予想の範疇)
      ……既に戦線は拡大しきっている。援軍もすぐには到着しない
      せいぜい来たとしても余所の諸侯が手勢を連れて現れる程度。その程度なら……我が六稜軍7000余の前では問題にもならない
      さぁ、帰ろうフォン兄様。かえって姉さんと僕と…3人で帝国を喰らい潰そう
      蟲の子は蟲らしくするべきだ……なぁ、姉さんもそう思うだろ?
      (背後に振り向き、そう呟く)
      (六つ目の仮面をつけて相貌のその奥。そこまでは伺えない) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 00:19:50
    •  本当に、本兄を連れ帰るんだよね・・・?
       (爆薬を装填された皮鎧を着込んだココロアの足元に立って飛爛は問い返した。)
      (その仮面の下で弟がどんな顔をしてるのか想像したら、また泣きだしそうな気がしてしまった。)
       (手紙で、本爛を打つために手伝ってほしいと言われたあと。飛爛は散々迷って結局手を貸す)
      (ことにした。すでに六稜軍の後方の空には矢尻形編隊を連ねた巨鳥の群れが飛んでいる。) -- 飛爛 2012-08-11 (土) 00:34:09
    • ああ、勿論さ。『冷静』に考えて調べてみれば、今のフォン兄様は幸いにも西方諸侯の一人であらせられる
      それなら、骨の髄まで利用するなら生け捕りにしたほうが帝国としても都合が良い筈。裏切り者だろうと問題なく連れ帰ることができるさ
      そしたら名前を変えてもらって、次に顔を変えてもらえばいい。そしてフォン兄様ではないフォン兄様にすればいいのさ
      ……まぁ、返答次第ではあるけれどね
      飛姉。早速仕事を頼みたい。まずは西方の道を爆撃して潰してきてくれ
      退路と連絡線を絶ちたい。そうなれば邪魔は入りにくくなるはずだ -- 宗爛 2012-08-11 (土) 00:44:45
    • (周囲の兵士に邪魔にされようと、露骨に嫌な顔をされようと、一回り大きくなった金属の塊を纏った少女は飛爛の側から離れない)
      (彼女が何処に行くにも無言で着いていくのだった。飛爛から話しかけられれば口を開くが、そうでなければ大体黙って突っ立っているだけである。今も作戦内容を聞いて飛爛がどう答えるかだけを気にしている) -- フェロミア 2012-08-11 (土) 00:46:17
    • くくく……はじまったか
      (眼下に広がるフリストフォンの軍勢。その横隊陣形をみながら笑う)
      (密集しなかったことはまずは流石である。重装騎兵の打撃力は西のほうが上である以上、一点突破をねらったところで陣形を整えられてしまえばそれで終わりだ)
      (ならばまずは挫く必要がある。相手の流れを。動きを。気勢を)
      (さすれば自然と陣は崩れる)
      (だが、しかし……)
      フォン兄様がこの程度の手を読めないわけもない……同じ帝国にいたのだ。むしろ定石として当たり前のように認識しているだろう
      返し手はいくらでもある……さぁ、どう返してくる……ふふふ -- 宗爛 2012-08-11 (土) 01:02:04
    •  (ためらいのない言葉、確かに今はそうするのが正しいと理解はできる。)
      (冷静でいられるはずがないな・・・と飛爛は思った。ただ、宗爛は必死になって今も)
      (自分に課せられた運命と戦おうとしてるんだと、思えば。今は迷っていられない。)
      ・・・わかった、編隊の爆装は済んでるから、私が上がればすぐに取り掛かれる。
      フェロミアは私の直援にまわってね。
      (短く答えて、飛爛はココロアの蒼い背中に飛び乗った。飛爛をのせるためにしゃがんだ鳥が)
      (再び立ち上がると、地上に居ながらもうすでに誰の手にも届かない高さだった。)
      あ、そうだ・・・ね、宗 -- 飛爛 2012-08-11 (土) 01:03:39
    • ……? どうしたんだい飛姉?
      何か質問でも?
      (普段よりも勤めて柔らかくたずねる)
      (いっそ不自然なほどに、柔らかく) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 01:08:31
    •  (周囲の兵士の頭上を大樹の枝のように覆い隠す巨大な翼は、すでに戦場の風を受けて膨らみ)
      (はじめていた。あとは一気に駆け下りて飛びたてばいい。その背にのって飛爛は笑っていた。)
      (これから戦いだというのに、無邪気そうな顔で。)
      私はいつだって、宗の味方だよ、絶対にね!
       (いまさら当たり前な言葉だったが、それは最後に二人きりで会った、あの日の続きの言葉だった。)
      (あの時は言いそびれたけれど、悲しそうな顔をして笑う弟に一番言うべきだった言葉だと思う。)
       (風を押しのけてココロアが翼をしならせると、高い澄んだ不思議な鳴き声を飛爛に呼応するようにあげた。) -- 飛爛 2012-08-11 (土) 01:18:45
    • (姉と弟の交わす感動的な会話すら聞こえていないかのように、飛爛に向かってうんと頷く)
      (今の自分の存在意義は自らの性能の証明と持ち主に勝利をもたらす事にある。他は瑣末な事。)
      (そのはずが、胸の奥が不快な熱さで炙られていた。最近、飛爛が自分以外の存在と触れ合っていると時々こうなる。今はこの感覚がなんなのか分からないが)
      (とにかく、早く空に上がりたかった。そうして存分に戦おう。静かにココロアの横に並ぶ) -- フェロミア 2012-08-11 (土) 01:27:45
    • え……ふぇ、飛姉……
      (姉のその言葉をうけて……放心して姉を見送ったあと)

      (仮面の下で笑う)
      ……ああ、僕もそうだよ飛姉。だから -- 宗爛 2012-08-11 (土) 02:01:16
    • 裏切らないでね。フォン兄様みたいに

      (誰にもきこえないその囁きは、蒼穹に溶けて消えた)

      ……さて、裏切り者のフォン兄様はどう動くかな -- 宗爛 2012-08-11 (土) 02:02:10
    • 二手にわけたか……一つの軍隊を柔軟に機動させうるその采配は見事といえるが……
      あいにくと同じ土俵で戦うつもりはないのですよ、フォン兄様
      (射程で勝る以上、この有為を捨てる理由も、心算も、意味も、一切ない)
      (定石ではあるが、定石であるからこそ破られにくい。定石であるからこそ磐石)
      (奇策とは少勢が行うもの。数で勝るなら普通に戦い、普通に殺し、普通に勝てば良い)
      (戦争に、華など必要ない) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 02:08:29
    • (高台から、睥睨する。崩れ落ちていく西の軍勢を。意味も成せずに爆散していく自爆兵達を)
      さて……そろそろ頃合か
      ……狗面。本陣は任せる。応答は必要ない。これは命令だ
      (そう尤も信頼し、尤も疑っている側近に命令を下し、自信は黒咲と共に前線へと降りていく) -- 宗爛 2012-08-11 (土) 02:35:51

  •  (翼に風を孕ませて、蒼い巨鳥は戦場の空へと舞い上がった。その背に乗る飛爛の視界も上がっていく。)
    (どこまでも遠くに続く地平線が見えた。連合国軍の砦や陣地が小島のように点在し、その周りに)
    (無数の帝国軍が群れ、攻め立てている。)
     (火線を引いて無数の龍勢が飛び出し、横一列に並んだ柱の騎士に当たって爆ぜた。)
    (風切羽の遥か下を燃えながらゆっくりと倒れる巨体が前から後へ流れていくのを横目に、)
     (矢尻形編隊を組んだシャツァルの群れを従えて、飛爛達飛行兵は戦場の空を飛んでいる。)
    (5羽で一つの<を作り、それをさらに7つ連ねて一つの編隊だ。それが3つ。100羽以上の大編隊)
    (本国からの増援も得てシャツァル飛行兵の編隊はますますその数を増している。)
     (その一番先頭で、斜め右後の飛行形態フェロミアと並んで飛ぶのが飛爛とココロアだ。)

    <<第一はこのまま私と一緒に直進、第二第三は散開!敵拠点を各個爆撃>>
    <<了解しました姫様。>>
    <<了解ッ姫様御武運を!>>
     (飛行帽に仕込んだ小道具の調子はいいようだ、耳あてから第二編隊を率いるクラトと第三編隊長の)
    (声がはっきりと聞こえた。)
     (この通信機はフェロミアの鎧の修理を通じて得た、魔石を動力にした機械仕掛けの技術を解析して)
    (作られたものだ、100mも離れると使えないが、それでも手信号よりずっと便利だった。)
     (巨鳥の群れが3つに分かれて飛んでいく、先頭を飛んでいた飛爛達の編隊は真っ直ぐに)
    (敵の頭上を跳び越して、遥か後方、戦場の西側にある橋梁や街道沿いの拠点を爆撃に向かう。)
    <<フェロミア、あれ私の弟なんだ>>
     (その途上で、ふいに傍らを飛ぶフェロミアへ通信石を通して飛爛が語りかけた。)
  • (蒼い鳥に付き従う青い魚。巨鳥の編隊の中では異質で非常に目立つ物が空を泳ぐ。)
    (それは以前より巨大化し、ココロアの巨体にも見劣りしない。周囲の状況を観察しつつ飛ぶ。普段通りクールに仕事をしているように見えて、胸に潜むもやもやに苦しんでいる)
    (要するにイラついているのだ。その原因は一つではないが、先ほどの自分は蚊帳の外な会話はその内に数えていいだろう。いきなり無条件に、兵器としての性能以外の部分で褒められ、愛されたと感じていたから。)
    (要するに嫉妬である)
    (とは言え誰に八つ当たりするでもなく黙々と指示に従う。多分、褒めてもらいたいのだろう)
    (部隊が分散してややあって、飛爛から声がかかる。興味なさそうに「そう」と短く答えを返した。あの男の事なんか気にもしていない、と伝えようとしているのだが、声色がスネているのが丸分かりだ) -- フェロミア 2012-08-11 (土) 10:06:57
  •  (飛爛はちょっとにやついてしまった。矢の届かない高さとはいえ、真下は戦場の真っ只中だというのに。)
    <<あはっ拗ねないでよ、紹介し忘れたのは悪かったってば>>
     (だがおかげで宗爛と顔を合わせた時から、もやもやしたもので胸焼けした気持ちが少しスッとした。)
    (飛爛は物心ついたときから、今乗っているココロア以外の動物を特別可愛がったりした経験はないが)
    (ペットを飼う人の気持ちもなんだかわかるなぁと、嫉妬心全開な返事を聞いて思った。)
     (思っただけで絶対言わない、これ以上気を悪くさせてもかわいそうだ。)
    <<でも、お願い・・・あいつを助けるのを手伝って欲しい>>
    <<命令して手伝わせるだけじゃ、あんまりに大変すぎて私がもたないかもしれないから>>
    <<だから、お願い>> -- 飛爛 2012-08-11 (土) 11:33:02
  • <<別に>>
    (拗ねてなんていない、と拗ねた声で答える。飛爛でもこんな受け答えをされるのは初めてだろう、これまでは不満でもあればストレートにぶつけてきていた)
    (今回は違う。血の繋がりと言う人間ならではの関係性を見せ付けられたり、付き合いの長さや有用性についての自信のなさを突かれたりして心が揺れている。元々素直に友好や愛を求める事の出来ない性格でもあった)
    (だからちょっと拗ねて見せたり、自分が役に立つところを見せようとする。愛して欲しいと請うて得た愛にはそれほど価値を見出せない。だから)
    <<分かった、手伝う。手伝うけど、あいつの為じゃないからな>>
    (だから、願われれば引き受けてしまう。わざとらしい注釈までつけてしまう所は、この少女の初期の感情機能を思えば成長といえるのかも知れなかった)
    <<要するに、戦えばいいんだろ?慣れてる>> -- フェロミア 2012-08-11 (土) 23:34:06
  • <<ありがとうフェロミア>>
     (フェロミアの拗ねたような声聞くと飛爛が他のシャツァルを構っていると、ココロアが嘴で背中を)
    (ついばんでくるのを思い出してしまった。)
     (しかも、飛爛となかよくしてた宗がよほど気に食わなかったのか、『あいつのためじゃない』なんて)
    (言われると、ストレートにあなたのため、と言われてるようでツンとした態度とあいまって、)
    (飛爛はますます頬が緩んでしまう。ここは一つ気合を入れなおさなければならない。)

    <<私には戦う力が必要何だってことが、やっと覚悟できたから・・・あなたが居てくれて、幸運だよ>>
     (立ち上っていた煙を一つ突き抜けた。まもなく作戦地点が近い。) -- 飛爛 2012-08-12 (日) 00:44:56
  • <<うん……>>
    (礼に対する答えもそっけない。鎧の中に隠れた表情は見えない。だが声色は大分変わった。いつもの無表情の口元が少し緩んだ、時折見せる顔を想像させるほどに)
    <<私は優秀だからな>>
    (得意げに言葉を返す。大口を叩く程度には回復した自信を胸に、近付いてきた目的地を観察しつつ独り言)
    <<幸運……私のも、続けばいいけど>> -- フェロミア 2012-08-12 (日) 00:55:20
  •  (フェロミアの独り言に、飛爛は小さくうなずいた。)
     (やがて地上に敵の姿が見え始めた、街道を両脇から挟んで進む部隊の列。並んだ柱の騎士を動く)
    (城壁のように配置してその後ろに歩兵が続いている。上空から見れば四角い歩兵の列が、間隔を開けて)
    (地上にチェック柄を描いて、街道を戦場へと進んでいく。)
     (胸中をよぎる不安を振り払うように、飛爛は強く全員へ声を飛ばした。)
    <<急降下爆撃用意!ユパンキ班、セルパ班は敵最前列へ!リョサ班、ヤワル班は中央!>>
    <<残りは私に続け!>>
     (了解!という返事とともに矢尻編隊を組んでいた巨鳥達が後方から順々に、頭を地面に向けて)
    (まっさかさまに落ちていく。その鉤爪には対柱の騎士専用に調合された新たな爆薬を掴んでいた。)
    <<行くよフェロミアッ今度は迷子になっちゃダメだかんね!>>
    (進む速度を速めながら飛爛達の編隊もぐんぐんと敵へと迫っていく。) -- 飛爛 2012-08-12 (日) 01:45:07
  • (その言葉を待っていた、とばかりに軽くブーストをふかす。以前はココロアのスピードについていけなかったが、今は自らの鎧を巨大化してなおいい勝負をしていた。ココロアが大量の爆薬を積んでいるからか、そばにいたいという心が武具結晶に力を与えたのか)
    (ともかくスピードを上げつつ着いて行く。敵の大群も、以前苦渋を舐めさせられた巨大な騎士も何故だか脅威に感じない。共に戦えればそれでいい。)
    <<もう、離れない>>
    (口にはしないが、それは約束のつもりだった。これまでは困難な要望には努力するとか、最善を尽くすとか、そんな言葉で誤魔化して来た。今回は違う) -- フェロミア 2012-08-12 (日) 19:59:02
  •  (放たれる矢を避けて波打つように鳥の群れは兵士めがけて下降していく。)
    (柱の騎士が頭上に振り上げる巨大な腕の間合いも飛行兵達は見切っていた。)
     (次々と鉤爪に抱えられていた爆薬が投下されて、巨大な火球が横一列に吹き)
    (上がった。巨人の釜戸と名づけられたその爆薬は聳え立つ柱の騎士を一瞬で)
    (炎の中に飲み込み、炎は時間差をおいて一列また一列と巨人を飲み込んでいった。)
     (爆弾を投下した巨鳥達は吹き上がる炎に押し上げられて、再び地上の兵士が手の)
    (届かない空の上へと舞い上がっていく。) -- 2012-08-12 (日) 20:32:36
  • (中々の威力だ、と思う。ただただ爆撃するだけなんて、と馬鹿にしていないでもなかったがこれだけの火力があれば問題あるまい)
    (こうなったら負けていられない。折角火槍をマウントできる場所を増やしたのだから使わない手はあるまい)
    (空からの攻撃の有利な点の一つは、重要な部分を探せてそこを直接攻撃出来ることである。もちろん迎撃は激しいだろうがそのリスクに見合う戦果を得られよう)
    (弓兵部隊の指揮官と思しき者を探し、彼らに火槍を放つ。人には大げさすぎるが外れても怪我をさせることは出来るだろう。指揮系統を乱すべく攻撃をかける)
    (今の所柱の騎士に対しては他の飛兵任せではあるが、様子は伺っている。臨機応変・効率重視の戦術は変わらない) -- フェロミア 2012-08-12 (日) 21:12:50
  •  (壁を失い、指揮官を失った兵士の大半がばらばらと街道から離れて散っていく。)
    (これで敵から、この街道を押さえる力は大きく削がれた。)
     (巨鳥達は上空で円を描き、再び一つの群れへと戻る)
    <<念のためもういっかい爆装を…って、何あれ!?>>
     (上空から遥かに後方を睨む飛爛、その空色の瞳に映ったのは、遠めにもはっきりと分かるほどに)
    (柱の騎士の群れが次々に立ち上がっていた、まるで火山が地の底から黒煙を吹き上げるようで、)
    (先のバルトリア会戦で、突然巨人が生まれたときと同じような威圧感を伴っていた。)
     (あれは周りにいる統率された柱の騎士達とはあきらかに異なる・・・。あれはただ憎悪が懲り方って)
    (死者の肉を纏っただけの存在ではない・・・。)
    <<8時方向に回頭、六稜軍の援護に向かう!>>
     (酷く嫌な予感がして飛爛はココロアの体を大きく傾けて急旋回を切った。) -- 飛爛 2012-08-12 (日) 22:20:22
  • (ここらで補給するのもいいだろう、自分はかなり弾薬を渋っていたのでもう少し行けそうではあるが他の兵士は分からない)
    (突撃であろうと補給であろうと、どの道飛爛に従って飛ぶつもりだったのだから問題は無い。そう、予想していなかった増援が来たとしても)
    (確かに新たに現れた柱の騎士たちはどこか違う。感情を抑え、機械的に物を見ている自分でさえ根源的な恐怖や嫌悪感を覚えるほどである。本当ならあまり戦いたくない相手ではあった)
    <<了解>>
    (でも、それに挑むというのなら。剣は相手を選ばない、選ぶのは使い手だ。自分もまた同じ)
    <<でも、弾は持っておけよ>>
    (ただの剣とは違う所は少しは戦況を判断出来る所だ。残弾を一部の兵士に集めて戦わせ、他の兵士は一旦補給に戻るのはどうかと提案をする) -- フェロミア 2012-08-12 (日) 22:30:37
  •  (急旋回する飛爛とココロアの動きについてこれたのはフェロミアだけだった。)
    (これでも相当抑えていたつもりだったが、また悪いくせが出たらしい、部下を置いてきぼりにする)
    (ところだった。)
    <<忘れるとこだったよ、サンキューフェロミア>>
    <<弾薬を抱えてる者は私についてきて!他は陣地へ!>>
     (速度を緩めた飛爛の元にすぐ互いがぶつかり合うほどスレスレに場所を入れ替えて編隊は)
    (組みなおされた。)
    <<大丈夫前みたいな無茶はしないから・・・>>
     (自分に言い聞かせるように飛爛はつぶやいた。) -- 飛爛 2012-08-12 (日) 22:57:46
  • <<うん>>
    (素っ気無く、嬉しそうな返事を返して自らは飛爛の後に続く。空では自分しかついていけないと言う事実は優越感や占有感を喚起して士気も上がる)
    (だが状況は刻々と変わる。ただ守る為ならくっついていればいいが勝利をもたらすためには時には離れねばならない事もある。背後よりも側面の敵が恐ろしい時だってあるのだから。)
    <<しなきゃダメなら、無茶していいよ>>(その時は喜んで別働隊となろう。盾ともなろう)<<私が……助けるから>> -- フェロミア 2012-08-12 (日) 23:29:50

Edit

  •  (そいつはまたも、いきなりやって来た。突風を引き連れて師団となった六稜軍の拠点の上空に)
    (飛来したのは巨大な鳥だ。その巨鳥、シャツァルを駆る華桌の軍勢は山脈沿いに遥か)
    (遥か南方へ下っているというのに。)
    大至急宗をお願いします!大事なことなのでッ!
     (その総大将たる飛爛が単身、あきれ返るほどの身軽さでもってとんできたのだった。) -- 飛爛 2012-08-09 (木) 02:03:30
    • (執務室に篭り、書類の整理をしていた宗爛だったが、飛欄が来たと伝えられれば仮面もつけずに部屋を飛び出し、空に一番近い場所……飛爛のおりたった城の屋上にまでやってくる)
      ……姉上。お久しぶりです
      その様子ですと、文は確かに届いたようですな -- 宗爛 2012-08-09 (木) 02:25:51
      • 一昨日ついたよ、そっから飛び出して2日でここだから、最速記録かもしんない。
         (飛爛を降ろすとココロアは屋上の縁で翼を広げて、近くの水辺に向かって飛んでいく。)
        (そうとう喉が渇いていたらしい。)
        手紙の返事を直接持ってきたよ・・・と、そのまえに伝えとかないとね。
         (人払いをさせるよう宗爛に頼んだあと。屋上にとどまって、話はじめる。)
        あのね、私本兄に会ったよ -- 飛爛 2012-08-09 (木) 02:37:19
      • ……でしょうな(驚きもせずに、冷めた口調でそういう)
        俺も、先日会いました。恐らく、飛姉より先に
        そして今……フリストフォンという名で西ローディアで爵位を持っていることも知りました
        俺の前に姿を現したということは、飛姉の前にも出てくるだろうなと思っていましたよ
        アレのことだから俺が生きているとしれば、飛姉を利用しようと接近してくるだろうと思っていました
        だから、ただアレを殺すとだけ手紙にも書いたのです
        (冬の湖のような口調で、雪山の吹雪よりも冷たい瞳で)
        (そう、淡々と語った) -- 宗爛 2012-08-09 (木) 02:43:30
      • 本兄は私たちと戦いたくないって、傷つけあうのを見るには嫌だって言ってたよ
         (自分に本爛から手紙が来て、たった一人で本爛が会いに来たときの話をした。)
        (本爛が国を出て西に渡ることになった理由や、あくまでも戦いを続けようとするなら)
        (もっと辛いことになると、悲しそうに語っていた事。)
        (直接伝えることは出来なかったから、飛爛から宗へつたえて欲しいと頼まれた事、そして・・・)
        私がきめて、やろうとしてることを、本兄は応援してくれるとも言ってた・・・
        ・・・あ、別に前に宗にバレちゃったような事は本兄にはいってないからね! -- 飛爛 2012-08-09 (木) 03:06:26
      • なるほど……そうですか(背を向ければ空を仰いで小さく笑う)
        あの男らしい言葉ですな。一緒にいたころも……三人でいたあの頃も同じようなことをいっていた
        それが嬉しかったし、暖かかったし……俺は……僕は、兄様の威厳ある言葉と、姉さんの優しい言葉さえあればそれでよかった……
        (懐かしむように、やわらかく、暖かく、そう呟いたあと)

        しかし、あの男は俺の前から消えた。俺と母さんを置いていなくなった。その事実には何の違いも、変わりもない

        (蒼穹すら曇るほどの憎悪と、冷気すら吹き飛ぶほどの憤怒によって……言葉が吐き出される)
        飛姉。アナタのいう事を確かにアレは応援するでしょう。言葉通りにこなして、恐らく、下手をすればそれを成してしまうでしょう。昔と同じように。何も変わりなく。何の感動もなく。何の感慨もなく

        だが、それだけだ。アレがくれるのは結果だけだ
        実の伴わないカラッポの結果だけ
        アナタに与える結果も、きっとそういう類のものですよ -- 宗爛 2012-08-09 (木) 03:27:44
      • ごめん・・・宗の元を離れたのは私も一緒だよね・・・
         (いつもの無尽蔵な笑顔もなりを潜めて、飛爛は俯いていた。仮面をつけない素顔の弟が怒りを)
        (あらわにするのを見て、今更お互いの知らない10年余りの時間を理解したのだ。)
        私はカタクァに戻った後、結構幸せだったから・・・みんな、きっと同じだろうって勝手に思ってた。
        でも違うんだよね・・・ごめん、私全然気付いてなかったんだ。こっちで再開したときも
        昔のまんまの宗だと思ってた。
         (現実は違っていた、ほんとうに何もかも・・・・・・・・・)

        あはぁっごめんね、私本当に頭あんまりよくないんだ。今だって、宗と本兄と私と、また昔
        みたいに仲良くできたらいいなって思って、そう言おうと思って・・・飛んできたのに・・・・・・・・・
        もう、なんて言えばいいのかわかんないや・・・。
        ううん、それだけじゃない・・・私が帝国なんて無くなったほうがきっとみんな幸せなれるって
        言ったとき、宗は本当に困っちゃったんだよね。だって・・・今の宗にはきっと、変わりたくても
        どうしようもない理由がいっぱいありすぎるんだから。 -- 飛爛 2012-08-09 (木) 03:51:23
      • ……姉上。いや、飛姉。いいんですよ
        (振り返る。そこにあったものは笑顔。昔と全く違わない、宗爛らしい幼いはにかみ笑顔)
        だって、飛姉は戻ってきてくれたじゃないですか
        (そういって、つかつかと歩みよれば)
        (ためらいなく抱き締める。周りに人目などない。見ているのはココロアと、広い蒼穹だけ)

        飛姉はアイツとは違う
        飛姉は戻ってきてくれた
        飛姉は今も此処にいてくれる
        それが嬉しい。だから其れ以上なんて望まない
        僕だって本当はみんな一緒がいい。みんな一緒に楽しくやれればそれでいい
        でも、フォン兄様はきっとそう思ってない
        あの男はだって……昔と何も変わってなかった
        昔と同じ、僕が憧れたころと同じ、冷徹な王であり続けてくれた
        なら、彼の台詞の意味だって何もかわらない。昔と同じなら、今の彼の言葉だって王の言葉さ
        そして、敵として、敵の「王」がそう語ったのならば……

        あの男の言葉はもう信用できない

        僕には兄なんていない。姉が一人、飛姉だけいればいい
        だから……どこにもいかないで、飛姉……お願いだよ……

        (柔らかい微笑みのまま、顔を合わせる。そこにあった顔は……)

        飛姉まで僕の前から去ってしまうと言うのなら……きっと殺してしまうから

        (昔と全く同じ笑顔のまま、昔と全く違う狂気を孕んでいた)

        (その皇子は何もかわっていなかった)
        (昔と同じ、泣き虫の皇子だった)
        (そんな泣き虫が今までこの狐の巣で、蟲毒の壷の底でどうやって生きてきたのか)
        (その地獄の片鱗が……宗爛の紅い瞳の向こうから垣間見える) -- 宗爛 2012-08-09 (木) 04:05:22
      • あ・・・ッ
         (抵抗する間もなく、武人にしては細身なその腕の中に飛爛は抱え込まれてしまっていた。)
        (水のみ場から音も無く舞い戻っていたココロアは二人を見下ろすばかりで何もしない。)
        (飛爛が嫌がれば、その巨大な嘴が鉤爪が即座に凶器と化すのだろうが、彼女の半身とも)
        (言うべき蒼い巨鳥は羽ばたき一つしなかった。)
         (飛爛は自分の体が弟である宗よりもずっと華奢で小さなものになっていたのをまた今更実感し、)
        (彼女の空色とは正反対の紅い瞳に写った不自然なまでにやさしい微笑に暗い狂気を感じた。)
         (だけどふしぎと恐れる気は起きなかった。抱きしめられたまま、飛爛はその腕の中で顔を伏せ、)
        (そして右腕をぐっと上にかかげるようにして相手の頭を撫でていた。)
        そんな、悲しそうな顔で笑うなバカ・・・
         (なぜならその笑顔は、爛京の高く壮麗な牢獄のような宮殿の壁に囲われた庭の中で、)
        (本当は今にも泣き出しそうなのに、無理に笑っていた少年の顔に被ってみえてしまったから。) -- 飛爛 2012-08-09 (木) 04:38:35

Edit

  • (宗爛より届いた文は、個人的な要件の書かれたものだった)
    (飛爛にあてて書かれたその手紙は普通の手紙に紛れておくれてきており、読み方も少々特殊なものだった。小さな頃に2人でとりきめた、些細な暗号によって読み解けるようになっている)
    (子供らしい暗号だ。しかし、一件稚拙な文の方が実際はあっさりと届いてしまうものだ。物々しい暗号文よりよほど伝わりやすく、届きやすい)

    (内容は、こうだった)

    (次に会戦で、西ローディアへ打ってでる。その際に)
    (本爛の首を取る)
    (出来る事なら、現地では手伝って欲しい。これはただの個人的な要望であって、それ以上でもそれ以下でもない)
    (追伸:飛姉。無茶はしないでくれ。飛姉が死ぬのは、嫌だ) -- 宗爛 2012-08-08 (水) 23:15:46

Edit

  • (カタクァの軍勢が元東ローディアのとある拠点で休息を取っている折、暫く別行動を取っていた那岐李が彼等の陣を訪ねてきた)
    (軍勢に出会うや否や、「飛欄様は何処におられるか。是非、是非報告差し上げたいことがあるのだ…!」とまくしたてた)
    (普段の冷静で本心を覗かせない彼の姿からは想像もつかない程取乱していた。いや、高揚していたというべきだろうか―)
    (ともかく、彼はカタクァの陣を駆け抜け飛欄が休んでいる陣幕の中へと飛び込んできたのだ)
    ―飛爛様!急ぎ、ご報告したいことが…!! -- 那岐李 2012-08-10 (金) 00:00:02
    • な、何事!?
       (赤い毛織絨毯の敷かれた陣幕の中で、外から体半分だけ突っ込んでいたココロアの)
      (羽を毛づくろいしていた飛爛は突然飛び込んできた那岐李にびっくりした。)
      (驚きが伝播したのか、横でココロアまで大きく嘴を開けて真っ赤な口の中を覗かせていた。)
       (何事だ?おおっ誰かとおもったらナギリじゃねぇか、等とテントの入り口からカタクァ兵達も)
      (覗き込んでいた。) -- 飛爛 2012-08-10 (金) 00:19:37
      • ―っ……失礼、しました(飛欄やココロア、他のカタクァの兵の驚く様子を見てようやく冷静さを取り戻す)
        (ごほん、と小さく咳払いしてその場に傅いた)…カタクァのルーツと思われる民族の遺跡を発見致しました
        同時に―……(言いよどむ。これを告げることは、自身の出自を明かすことに他ならない)
        (彼等とて、己がカガチ人だと知れば侮蔑の目を向けるのでは―?)
        (とうに捨て去った筈の弱い心が、彼の言葉を阻害する) -- 那岐李 2012-08-10 (金) 00:34:19
      • ルーツ・・・ああ!前に言ってたご先祖はもしかしたらローディアから山を越えて来たのかも
        知れないって話ね!うん、いいよいいよ顔あげて、めっちゃ待ってたよあの続き!
         (無邪気に絨毯の上に腰を下ろす飛爛、外で覗き込んでいた人だかりがさらに増える)
        (街と街の間もまばらで外界から隔絶された荒野を1ヶ月以上も進んでいた退屈も手伝って)
        (外から戻ってきた那岐李の話はみな興味津々らしい。)
        文官たちは一足さきに目的地に入らせてるから、とりあえず今は先に話しだけでも
        聞かせてほしいな
         (那岐李の内心の葛藤も知らずわくわくしてる飛爛、気楽なものである。) -- 飛爛 2012-08-10 (金) 00:59:24
      • ……分かりました。以前話したカタクァのルーツに関する推測は当っていましたよ
        …遥か昔、それこそ統一王朝が存在するより前に僻地に暮らしていた竜信仰を特徴とする一民族…それがカタクァのルーツかと思われます
        それだけではない。彼等は現存する幾つかの民族の共通のルーツとも思われます
        (そこまで行って、言葉を区切る。この先を、言うべきか否か―)
        (一度、息をのんで顔を上げる。この事実を知った時から、心の奥に湧き上がるこの衝動を止めてはいけない。そんな気がしたから)
        ―……時に飛欄様。…カガチ人、という民族について…ご存じですか? -- 那岐李 2012-08-10 (金) 01:11:25
      • おー実は結構親戚多かったんだ、私達がカタクァの最後の生き残りだって、長老達に教えられてた。
         (ふむふむとうなずく飛爛、戦いの話しをしてるときよりよほど楽しそうだ。他の者達も首を縮めて)
        (目を細めているココロア以外、その歴史の話しを知っているものも知らないものもじっと聞いて)
        (いる。)
        カガチの?えーと・・・・・・・・・ああ、何年か前にすごい噂が流れてたよね、呪いだか病だかで
        国一つ滅ぼしたとか。
         (彼女の本国であるカタクァは帝国でもかなり僻地の方にある、伝言ゲームの末に聞いた)
        (所はそういう話だったのだろう。) -- 飛爛 2012-08-10 (金) 01:38:41
      • …でしょうね。現存している、とは言いましたが枝分かれした民族はそのルーツを皆忘れ去っているでしょう…統一王朝前のことですし、当然ですが
        (飛爛の答えに小さく息をつく。いわれなき差別を知らぬのであれば、まだ話易い―)
        いえ、彼らは何もしてやいませんよ。ただ、黙って差別を、滅びを受け入れ死んでいった…それだけの民族です
        そして…私はそのカガチ人の末裔なのですよ、飛爛様
        (飛爛の瞳に僅かでも侮蔑の色が浮かべば、この場で彼等の元を離れようと思った)
        (だがしかし。もしも。もしも飛爛が那岐李の想像する以上に純粋であるとすれば―話は変わってくる) -- 那岐李 2012-08-10 (金) 01:52:42
      •  (カガチ人の話しとカタクァの歴史の話しがどうつながるのか、ちょっと飛爛は頭をひねった。)
        (なにやら予想していた話しと違うので、謎かけでもされているのような。)
         (彼女は元々思考が子供じみて直球な所があって、難しい話しが苦手なのだ、大体そういう)
        (難しい話しは側近であり、遠い兄に当たるクラトの担当だった。だから、正解を見つけるのは)
        (そうそうにやめてしまい、ただ今まで聞いても答えようとしなかった自らのルーツを)
        (那岐李がいつにもまして不景気そうな顔で話そうとしていたので・・・)
        元々敵の騎士で、たまに本とに人間なの?って思うことあるようなフェロミアだって
        今はみんなと仲良しなんだよ、那岐李を今更仲間はずれにするわけないじゃん
         (そもそもがカタクァの民自体帝国から見れば異邦人なのだ、帝国の中の常識など)
        (真に受けてたまるかというような、反発心も少なからずあっただろう。)
        (『んだなぁ、ナギリの術は強いしなぁ』『姫様のお使いがなきゃ、ずっと一緒に戦ってもらい)
        (たいくらいだ俺達も楽できる!』等と調子のいい若い兵士達の言葉が続いた。) -- 飛爛 2012-08-10 (金) 02:41:52
      • ―(言葉を失う。これほどまでにカガチ人がすんなりと受け入れられるとは)
        (飛爛の、カタクァの寛容さを試す意味での言葉でもあった。そして帰って来たのは「仲間」という言葉)
        ……もし、神がこの世に居るというのなら。私は今初めてその存在を信じよう
        (胸に手を当て、強く握りしめた。数奇な運命もあったものだと、口元が緩む)
        ……我々カガチ人も、あなた方カタクァとルーツを同じくするものだと、今回の調査で判明しました
        これより先、私はただ食客としてでなく―
        根源を同じくし、同じ血をこの身に宿す者としてあなた方と運命を共にしよう
        遥か昔…天と地とで分かたれた二つの民族がこうして今一つに戻る。……我が悲願は、此処に果されました
        (再度頭を垂れて語る。飛爛が、カタクァの民がカガチ人を受け入れてくれたのなら)
        (わが身は彼等と共に。共に帝国の支配から脱却すべく、全身全霊を持って駆け抜ける覚悟を決めたのだった) -- 那岐李 2012-08-10 (金) 02:48:39
      •  (口がλの字みたくなって、飛爛は一瞬びっくりした小動物のような顔をした。)
        (突然礼をとる那岐李に、あつまっていた兵士達も驚いたようだった。)
        (だが、すぐに飛爛は微笑んだ。)
        よかった、仲間が増えてくれて
         (本当に安堵したような笑みだった。那岐李はもう長いことカタクァにとどまっていて)
        (実質的にはほとんど他の部下達と同じような関係ではあったが。)
        (そうするように、仕向けたわけでもなく、ただ素直に自分の心に従って出た言葉で)
        (相手が自分達の元へ来てくれたということが本当にうれしかった。) -- 飛爛 2012-08-10 (金) 03:38:21
      • 私は…ずっとカガチ人のルーツを探っていました。ただ嬲られ、石を投げられるだけの存在であるはずがないと
        わが身に宿る異能のように、カガチ人には必ず誇り高き力と歴史があるはずだと、そう信じていた
        私は、間違ってはいなかった…!カガチ人はやはり、誇り無き民族などではなかったのだ…!
        (飛爛の顔を見つめるその瞳にはいつしか暗い炎が灯っていた)
        (彼の悲願は達成された。だがしかし、それは最初の一歩でしかないのだ)
        さぁ、我が身を剣として存分に振うといいでしょう。この大陸で最も誇り高く、歴史深き民族が何であるのか帝国の民に思い知らせる必要がある…!
        カタクァが得た翼と、カガチが得た咢、この二つがそろって打ち崩せぬ城などあろうはずもないのですから!
        (大げさな台詞を大げさな仕草で口にする。しかしそれは演技でもなんでもない)
        (祖の根源に至った男が目指すのは、虐げて来た者達への復讐ただ一つであるのだから―) -- 那岐李 2012-08-10 (金) 03:59:35
      • 『おお!ナギリはいい事を言う!その通りだ!俺達には無敵のシャツァルがついている!』
        『そうだとも!俺達は絶対に負けない!』
         (那岐李の持つ力をバルトリアの会戦で目の当たりにしていた兵士達は、力強い言葉に賛同し喜んだ。)
        (戦場に現れた巨人を倒すのに他国の軍は自分達よりも大きな犠牲を払ったという話しを、戦いの)
        (後に聞いていたせいもあっただろう。)
         (この時カタクァの兵士達は自分達の戦力を最強と信じて疑わず、反帝国という言葉をただの)
        (夢物語だとは思っていなかった。)
         (ただ、飛爛が一瞬だけ泣きそうな横顔をしていたのに気付いたものはほとんど居なかった。)
        (閉じていたまぶたを開けて、水晶球よりも大きな黄色い目玉でココロアだけが飛爛を見つめていた。) -- 2012-08-10 (金) 04:55:32

Edit

  • 音がする。何か重い物を引きずる不規則な足音。
    冷気と闇に支配された世界の中で、場違いなその音は確実に近付いてきていた。
    足が地の上を滑る音や、慌ててたたらを踏むような音を織り交ぜながら、ゆっくりと、着実に -- 2012-08-07 (火) 22:53:11
    •  他の砂漠の例に漏れず凄まじく冷え込む夜、月明かりに照らされる荒涼とした大地が
      余計に寒々しさを増していた。
       掲げられた『爛』の軍旗が垂れ下がっている、兵士達は穴も汚れもそのままにされた
      円形のテントの中で毛布を被って眠っているのだろう、見張りの兵も焚き火の側に
      立ちすくんで砂漠の夜をやり過ごしている。
       兵士達のよりも少しばかり上等で大きなテントの中ではうずくまったシャツァル達が
      古代遺跡の列石のように整列して自分の羽の中に頭を突っ込んでいた。

       長期に及ぶ強行軍と昼間の戦いの疲れから、誰もが泥のように眠っていた。
      その時起きていたのは、半分眠っている歩哨の他は飛爛だけで。
      どこにも上る場所のない平坦な荒野に立って、ぼんやりとしていた彼女は不意に聞こえてきた
      妙な音の方へふと顔を上げると、灯りも持たずに歩み始めた。 -- 飛爛 2012-08-07 (火) 23:11:24
      • 暗闇の中、近付いてきていたのは人間だった。小柄な少女、場所に似つかわしくないという点では飛爛といい勝負だ
        時折手首で顔をこすったりしつつ、紐で繋いだ何かを引きずっている。時折地面と予期せぬ引っ掛かりを生じ、その度に運搬車は転びそうになったり転んだりしていたようだ
        どれだけの道のりをこうして歩いてきたのかは分からないほど剥き出しの手足は汚れてはいたが、不思議にも出血の痕跡が見られない。
        疲労のせいか、どこか目指す所があるのか。長い髪を側頭部で二つに縛った少女は飛爛の接近に気付く事もなく歩み続けている -- フェロミア 2012-08-07 (火) 23:18:24
      •  毛編みのマフラー越しに白い息を吐きながら、暗い月明かりの下でようやく視認できる距離に
        来た時、飛爛は気付いた。
        「あ・・・・・・・・・フェロミア!?」
         聞こえていたのはなにか大きなモノを乗せた荷車が引かれて立てる音で、引っ張っている
        少女の特徴的なシルエットを見て、ぼんやりとしていた飛爛は驚いたような声をあげた。 -- 飛爛 2012-08-07 (火) 23:40:00
      • 深呼吸のようなため息のような、立ち止まってそんな呼吸をしていると突然かかる声。
        別に驚いてはいない。色々と話を聞きながら彼女を追ってきたのだ、いつか出会える可能性は決して低くはないはずだったのだから
        でも何故かとっさに声は出ない。声以上に心情を語る物が零れ落ちる。慌てて目の下をぐしぐしと拭ってから、やっと答えられた
                 「……うん」 -- フェロミア 2012-08-07 (火) 23:44:51
      •  驚いたまま息を吐くのも忘れて固まってしまった飛爛だったが、涙ぐんだその声を聞いて、ふぅっと
        大きく白い息を吐く。そうして本当に自然に笑って居た。なんだか久々に笑えたような気がした。
        「よかった・・・」
         ここは最前線で、よく見ればもどって来たフェロミア自身、無事な感じでなかったが、口をついて
        でたのはそんな言葉だった。戦場で別れたあと、考えれば考えるほどに自分には
        彼女が戻ってくるような理由を持ち合わせているとは思えなかったせいもあって、何故かこの
        再開に飛爛はひどく安堵したのだ。
        「ほんとうに・・・・・・・・・」
         安心したら今度は泣けてきたらしい、半笑いで半泣きだ。自分にかけていたマフラーを
        取ると、寒そうな格好をした彼女の肩にかけた。 -- 飛爛 2012-08-08 (水) 00:09:19
      • 「うん」
        自分で言うのもおかしいとは思う。だけど、自分も良かったと思ったのは確かだ。安堵や安心よりももっと強い物。強いて言うなら、救われた気分。
        目の前の少女は本来敵で、自分を待っている訳がない。理性ではそう思いつつも何故か彼女を探し、彷徨い、再会した。
        今まで信じていなかった幸運と言う言葉を、今回ばかりは信じずにはいられない。こうして再び出会えて、受け入れてくれているのだから。
        「外したら、寒いだろ……あ、ぅ……」
        自分は寒さには強いが、飛爛は違う。マフラーは彼女がつけておくべきだと思った。でも、肩にかけられたそれに残る仄かな暖かさに、飛爛の目が反射する月明かりに、つき返す力さえ奪われて。
        生まれて初めて声を上げて泣いた。空を見上げて、子供の様に泣きじゃくった。兵器としての自覚も誇りもどこかに置き忘れた、と言った風情でわぁわぁと泣き叫び、しゃくりあげた。
        何だかそれが……小さなぬくもりの中で泣き叫ぶ事が、とても気持ち良かった。 -- フェロミア 2012-08-08 (水) 00:21:27

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  •  

    •  224年も暮れに近づいた頃だった。飛爛の率いるカタクァの軍勢はゼナンで足止めを食った
      帝国南方方面軍の後方を固めるため、大陸中央山脈沿いに南下していく。
       西を広くアルメナと国境を接し、東と北を中央山脈に囲まれたこの地域は
      東ローディア健在の頃から中央政府に反抗的な都市国家や民族が多く、
      元々都市ごとに独立した国家群といってもいいほどまとまりの無かったために
      帝国侵攻以来、多数派の親帝国派と親ローディア派に別れ、さらには部族間の権利
      争いまで持ち上がって、内乱状態となっていた。
       飛爛達に任されたのは内乱を静め、主要な都市国家を帝国側につける任務だった。
      戦線が膠着した今、早急に足場を固めたい帝国側としては、騎馬の3倍の速度で侵攻
      できるシャツァル飛行部隊はまさにうってつけだったであろう。
       そしてローディア南部に地道に築き上げてきた自分達のための足場へ合流したい
      飛爛にとってもこの南行きは願っていた事であった。 -- 2012-08-07 (火) 03:51:33
      •  その進軍は協力的な都市国家と連携して、その他の都市を威圧、あるいは説得していく
        もので、攻城戦においてどんな城壁も備えも無効化するシャツァルによる空からの
        攻撃もあり、頑固な首長の治める都市も爆弾の2〜3発と他の都市群からの説得で
        3日とかからず爛の軍旗に下っていく、北方の街が東ローディア統治下よりも栄えている
        という風聞も良い方向に働いて、大きな戦闘もなく順調なものであった。 -- 2012-08-07 (火) 04:45:56
      •  だが、飛爛達が南進の道途中にあった都市でそれは起きた。今となっては何故その時の
        交渉が長引いたのか、そこにどんな人たちが居たのはうかがい知る資料は極端に少ない。
        ただ、分かっているのは半月に及ぶ篭城戦と抵抗の末にやっとその街の首長を会談の
        席に着かせた時に、話あい半ばで突然飛爛が席を蹴って刃を履き相手に襲いかかったのだ。
         顎から額まで、下から真っ二つに割られた男が仰向けに倒れた。陣幕の中に敷かれた
        赤い毛長絨毯の複雑な幾何模様を血が塗りつぶしていく。
         それまで言葉を尽くして相手を説得しようとしていた飛爛が豹変するのは一瞬だった
        誰もそれを止めることはできず、カタクァ特有の足につける刃を彼女が履いた次の瞬間、
        飛爛はシャツァルが爪で獲物を引き裂くように、都市の首長を蹴り殺していた。
        「殺せ、全員だ」
         半月に及ぶ会談の結果にその場に居合わせた全員が唖然となり、
        側にいたカタクァ兵が動き出す前に、彼女は首長の護衛まで含めた全員を瞬く間に蹴り殺していた。
         飛爛側近として最初の交渉から同行していたクラトにも一体何がどうなってしまったのか理解できず
        何故?と問うことすら忘れて、突然の凶行に隣のカタクァ兵同様、呆けたように固まってしまった。
        「もういいや・・・こいつらはいいよ・・・全員鳥の餌にしちゃおう」
         静かな声でそれだけ言い残すと、飛爛は陣幕を蹴り割いて腕でおしあげた。-- 2012-08-07 (火) 05:12:02
      • 「・・・・・・・・・ッ!何してんだこのっバカ!!」
         呪縛を振り切るように駆け出したクラトの手に肩をつかまれて飛爛は陣幕の中に
        引き戻される。
        「あ・・・ああぁ・・・・・・・・・やっちゃた・・・」
         クラトは無表情に呟く飛爛の瞳が、自分と同じその空色の瞳が何か恐ろしいもののように
        見えて表情をこわばらせた。
         いつかこんな事もあるんじゃないかと、クラトは薄々感じていた。飛爛は戦いの場において
        後先を忘れて激情のままに飛び出してしまうことが少なくなかった、そして戦いが長引く
        程にその頻度は高くなっている。
         見た目通りに成長を止めてしまったように飛爛の心にはどこか幼稚なところがあり、
        民や臣下にはそれが心に翼を持つように自由で好ましいものに見えただろう。
        だが彼女がカタクァの長として戻るより以前から、そして今までもずっと政治向きの事を支え
        続けてきたクラトには、それは酷く不安定なものとして見えていた。
         事件は飛爛が心を乱すような味方に被害の及ぶ戦いもなく、強行軍ではあったが淡々と
        仕事が進むこの南進の間は不安定な彼女の心も大丈夫だとクラトが油断した矢先に起きたのだ。

         クラトが振り返れば背後には悲鳴を上げる間もなく、蹴り殺された死体が転がる。
        「・・・お前達、姫様をすぐに連れ戻せ。・・・後の指揮は私が取ります、よろしいですね姫様」
        兵達に指示を出し、腕の中で飛爛がぼんやりとうなずくのを見ると、切り裂かれた陣幕を破って
        クラトは外へ飛び出した。
        「シャツァルを上げろ!奴らは卑劣にも交渉の場において、姫様の命を狙った!
         もはや話し合いの余地はない!」
         自分達はこの南方の地で、西の連中とも他の帝国軍とも違うということを示さねばならない、
        自由と平和という旗の下に反攻の勢力を作り上げねばならないのだ。
        汚名を着るのはカタクァではあってはならない、飛爛の名に傷をつけるわけにはいかなかった。 -- 2012-08-08 (水) 00:47:34
      •  後は一方的な蹂躙だった、かつて東ローディアの城砦を数時間で壊滅させた
        シャツァル飛行部隊は日暮れまでに街一つを荒野から消しさってしまった。
        連携する地上部隊がおらず、ほぼ総て爆撃で片をつけたために、残された廃墟は以前の戦いよりさらに
        凄惨を極めた。崩れていない建物はない、燃えるものは総て黒こげになった。
        かろうじて逃げ出した住人は一切の区別なく女も子供も殺されて、荒野に点々と散らばる
        むくろに群がった巨鳥がその嘴を血で濡らした。

         戦場には出ずに、地上から戦いを見守った飛爛はもどってきたクラトの報告を
        無言で聞くと、その後はずっと黙ってしまった。会談の場に居合わせた兵士達は厳重な監視と
        口止めがされ、飛爛が何故あの場で凶行に及んだのか
        誰も知るものはいない。 -- 2012-08-08 (水) 01:12:32

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  • 黄金暦224年 10月 ゼナン要塞南東 丘陵地帯 -- 2012-08-06 (月) 00:11:21
    • (大乱戦である。またもや前線に取り残される形となった統一王朝の騎士は、ゼナンを奪還…いや、蹂躪に進軍してきたアルメナ・神殿騎士団に追われていた)
      ええい!何の因果か!(裏拳一発、鎖の音が絡みつく。狂乱状態にある神殿騎士達は、見境というものを失っていたらしい…目に付くもの、すべてが敵という勢いだ ことに、無駄に強力な鎧騎士とあっては) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 00:17:52
      •  (視界を奪う濃霧が地上にある一切の命を撫で殺した後、気の早い者達が戦利品を漁る。)
        (彼らの踏む石畳は道端に転がる死体の吐いた血と吐瀉物で汚れ、手をついた壁には今だ)
        (べったりと付着した毒の残留物で汚れていた。)
         (そんな汚れきった神国の街を無数の足音が揺らす、燃え盛る浄化の炎を背負って)
        (血まみれの鈍器を振るって、あたるものなら帝国兵もゼナンの城壁も区別無く打ち砕く。)
        (鋼鉄に鎧われた異形の狂気が足並みをそろえて行進していた。)
         (奴らは切られてもとまらない、突き通されても止まらない、死してなお死することすらなく。)
        (恐怖を武器としてばら撒き続けた帝国軍もこの時ばかりは恐れおののき、)
        (逃げることを忘れて手にした武器を振りかざすしかなかった。)
         (その結果が大乱戦、バルトリアの再来のような凄まじい大混乱だった。数を頼んで敵を押し)
        (つぶそうとした帝国軍のせいで、混乱に拍車がかかり、自体はすでに収集不能の様相を呈する。)
         (爆薬が炸裂して誤爆された兵士がバラバラに地面に降り注ぐ横でメイスをぶち当てられた)
        (騎馬小隊はその騎馬の肉と混ざって見分けがつかなくなった。)
        (毒にまかれて死に絶えたゼナンとその前に広がる平野は今、黒煙と血煙に覆われていた。) -- 2012-08-06 (月) 00:46:55

      •  (立ち上る黒い煙を吹き飛ばして、頭上を突風が過ぎ去った。)
        (ゆうに10m以上はあろうかという翼を広げた数十羽の巨鳥が矢尻の編隊を組んで急降下)
        (そして神殿騎士をなぐりつけるようにその鉤爪に掴ませた爆薬を叩きつけて首を上向きに)
        (急上昇していく。)
         (間をおいて凄まじい大爆発が巻き起こる、他の帝国軍が使う爆薬の比ではない衝撃と爆炎)
        (が周囲を焼き、揺さぶった。) -- 2012-08-06 (月) 00:47:04
      • ぬおお?!(投下された爆裂弾に巻き込まれ。暴風に晒され、しかし熱量により活力を取り戻す)
        あれは…何ぞ?公国の増援…か?(この乱戦である。敵味方の区別は、神殿騎士にあらずとも最早容易には付き難い)
        (であれば、本国でも開発中との噂を聞く航空戦力…あるいは、長距離炸薬砲のそれと考えるのもまた仕方のない事である)

        (神殿騎士らは、統一王朝の騎士よりかは冷静であったらしい)
        (実棍が、石礫が。常識外の膂力で射出され、再びの爆撃を期して下降する巨鳥の編隊に突き刺さる) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 00:58:01
      • 散開ッ!
         (ただでさえ黒く煙視界が悪いなか、誰よりも早く地上の敵の動きを察知して飛爛は手信号を)
        (かざしながら叫んだ。)
         (巨鳥の群れが畳よりも大きな翼を羽ばたかせてさっと左右に割れ地面すれすれを飛んでいく、)

         (ハリネズミのような防御を誇ったゼナンに真正面から突っ込まずにすんでほっとしたのも束の間)
        (今度は東国の巨大生物もかくやという化け物の軍勢だった。)
         (何もしないままでいるのが許されるはずもなく、飛爛の率いるカタクァの軍に爆撃支援)
        (命令が下った。敵陣に爆弾を落すのと違って、こうも混戦ではわざわざ急降下して確実に)
        (敵頭上に投下せざるを得ない。ここでもまた、仲間が落とされはしないかと飛爛の不安が募った。)

         (打ち出された礫を避けて巨鳥の群れが再び高度を取り始めた。地面を転がった爆薬が再び)
        (戦場を大きく振るわせた。)
         (爆弾は全部落とした、ひとまずはまた陣地まで戻って爆装のしなおしだ。)
        (なるべくゆっくり戻ろうか、そうすればどうせまた今回も帝国の勝ちで終わるだろうこのやり辛い)
        (戦いも決着がついてくれるかもしれない・・・。)
         (そう思考をめぐらせながら飛爛が騒乱から上空へ逃れようとした瞬間だ、凄まじい叫び声が響いた)
        (ガラス編で黒板をおもいきり轢き掻いたような絶叫。それが自分達の乗る巨鳥シャツァルの声だと)
        (飛爛にはすぐに分かって、その尋常ではない叫び声に振り返ったとき、見たのは神殿騎士の)
        (異形の腕に肢をつかまれて地面に叩き落とされた仲間の姿だった。)
         (鈍い蒼色の羽が撒き散らされる、乗っていた人と鞍ごと鳥の背骨がメイスに砕かれて鮮血が吹き上げた。)

         (蒼く煌く鳥が空中で前転し、その頭を縦にめぐらせた。余りに急激な方向転換のせいで)
        (翻った巨大な翼が再び開いたときに、パンッと風切羽の先端が音の壁を裂く。)
        (飛爛とその騎鳥であるココロアを誰も止める暇は無く、付き従っていた編隊が向きを変えたときには)
        (すでにその後姿は天空からまっさかさま、鳥の亡骸の側に立つ神殿騎士めがけて落ちていた。)
        殺せッ!!あいつの頭を潰せぇッッ!!
         (飛爛が叫び、怪物染みた咆哮でココロアも吼えた。鉤爪がローブを纏った頭に深々と突き刺さる)
        (だが、恐るべき耐久力で頭から血を撒き散らしながらもまだ神殿騎士は生きていた。)
        叩き折れッ!
        (落下の勢いそのままに上昇したココロアがその鉤爪に獲物を掴んだまま、波を打つように急降下しはじめる。)
        (行く先に平原に突き出した巨大な岩。頭を砕かれたまま振り回されて、抵抗することが出来ない)
        (神殿騎士の体が岩にたたきつけられて真っ二つにへし折られた。砕けた鎖の破片が岩に)
        (めり込むほど激しく打ち付けられ、水風船のように肉が散る。) -- 飛爛 2012-08-06 (月) 01:40:10
      • (大空を舞う翼は地に墜ち、蜘蛛の如き腕に絡め取られ…断末魔の叫びを上げた)
        (少なくとも、窮地を救われたのは確かである。それが、意図したものかどうかは…五分五分であったが)
        (何より、部下の死に激昂し。単騎引き返してくる情、これまで見た帝国兵のどれにも見られない装束)
        (であれば、彼の者は西の将である…そんな期待が、先行した)
        我こそは統一王朝が騎士!エルネスト・フォン・レーヴェンフック!
        (名乗りを上げ、今正に地上へ降り敵を潰した大鳥に押しかからんとする神殿騎士らとの間に割って入る一騎!)
        クレイエ(カラス)の騎士よ!此奴らは正気を失っておる、脚を止めては捕まるぞ!(囲む一体に打ちかかりつつも、背中越しに声をかけ) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 01:56:08
      • はぁ・・・はっ・・・!
         (怒りのままに敵を地面にたたきつけた結果、速度が保てず、地面に降り立ってしまった。)
        (まだ破裂した怒りは収まらない・・・が、不意に後からかけられた時代がかったセリフに)
        (思わず振り返った。獲物を狙う猛禽ような空色の瞳が見たのは、背後からくる巨体を)
        (切り伏せる、全身隙間無く甲冑姿の騎士の姿。)
         (一瞬、怒りの表情のまま、理解が追いつかなくて飛爛は固まった。)
        (が、すぐに気を取り直し、手綱を繰ってココロアをかけさせた、巨大な鉤爪が跳躍とともに)
        (真正面の神殿騎士を前蹴りで吹っ飛ばす。)
        こんなに突出してあなた何やってるの!?戻らないとあぶないよ!?
         (きっと捕虜になった西方の武将か何かが奴兵に混じって戦っているのだろうと思う。)
        (普通の奴兵とはまったく見た目が違うが、飛爛は捕らえた相手をそのままの状態にしておいた)
        (こともあったので、たぶん似たような変わり者が他にもいたのだろうと納得した。) -- 飛爛 2012-08-06 (月) 02:19:19
      • (あれだけの体躯、一度地上に降り立てば囲まれた状況で…飛び立つ事は困難か!であれば、目の端で追うだけであったその操者の姿も実像を伴って…)
        レディ?!(戦場には不釣り合いな。小柄で、吹けば飛ぶような…言っては何だが、淑女と言うよりも少女であった。)
        …ッ!此方の台詞であるぞ!
        (戻るところで捕まってしまってな!と言葉を続けつつも、長槍…マスケット銃、据付のウォーピックでメイスの一撃を捌き、西側特有の絡み突きで5つある目玉の尽くを潰し無力化する。傷病手当の上退役は間違いない損傷…であるといいが)
        彼の者は勇敢に戦った!不意の終わりであろうとも、眠りにレディの付き添いを望む戦士ではあるまい!
        (騎馬と大鳥、地上にて並び立つ。図らずも東西の機動戦力が共闘の形をとった) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 02:35:13
      • 今は女だって戦えるなら戦士よ!
         (そこはかとなくバカにされた気がしたのでムキになって叫び返す飛爛。)
        (滑走するだけの隙も距離も、敵味方引っ掻き回されたサラダボウルのような状態では望めない)
        (だが、その羽を使い巨鳥は跳躍を繰り返しながら、地上でも軽快に立ち回っている。)
         (化け物染みた腕力を持った敵ばかりとはいえ、相手が基本的に歩兵なのが幸いした。)
        うりゃっ!!
         (鞍にすえつけられた取っ手を引く、巨鳥の腹を覆う皮鎧に弾帯のごとく連ねられたロケット弾)
        (が点火、白煙を引いて飛び出し、先端の鏃が神殿騎士の鎧にがっちりと食い込んだ。)
        (炸裂音、10連装の火槍が一斉に爆裂して鎧ごと神殿騎士を吹っ飛ばした。) -- 飛爛 2012-08-06 (月) 02:50:03
      • (新兵器!目が醒めるような威力、公国の技術力を実感する…その実、てんで的外れではあるのだが)
        (正気を失った神殿騎士の膂力は、この人類を遠く越えた地平にある甲冑騎士に迫るほどのものだ)
        (だが、機動力では比べ物にならない。騎馬と、それに準ずる巨鳥シャツァルが駆け、包囲を打開するため火砲が煌めく)
        (数の不利を覆すには理由がある。近づけば騎士が投げ飛ばし、支援に飛爛が火箭を飛ばす)
        やるではないか!だが…(レディ、と言いかけたところで)君の名は!(戦士に対する礼として、名を聞くことにした) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 03:07:38
      • フェイランッ!
         (攻撃を避けるために神殿騎士を踏んづけて舞い上がったり、頭よりも高い位置から落ちたり)
        (するせいで飛爛の言葉はぶつ切りになりがちだった、長々としゃべってたら舌を噛む上下動のせいだ。)
         (メイスの一撃を飛び上がって避け、着地ざまに、腰から抜いた馬上筒とおぼしき短銃で狙撃する。)
        (ローブの下の顔にぶら下げられた鎖が弾け飛んで、神殿騎士の体が仰向けにのけぞった。)
        (だが、元々地上戦力である騎士とは違って、シャツァル兵は地上での継戦能力も突撃力も騎馬)
        (には遥かに劣っていた。飛爛が地上に降りてからの僅かの間ですでに武器は底を付き掛け、)
        (空を翔る翼は地上では重たく枷となる。)
         (正直、1人だったらもっと大ピンチだっただろう・・・はっとそこで思いついた。)
        エルネストって言ったわね!突撃はできるんでしょ、でっかい馬乗ってるんだから!
         (でかさで言えば飛爛の乗るシャツァルとて全長7mを越そうかという恐竜に羽が生えた)
        (ような奴だが、このさい問題なのはその突撃力である。)
        50・・・40mでいいから!ココロアを上げて! -- 飛爛 2012-08-06 (月) 03:34:24
      • ヘラ殿か!(西方と東方の発音の違いである。加えて戦場での短いやり取り、公国風の名前にて理解するのに時間は要さなかった)
        (槍の一振りは神殿騎士の過剰な重量を数体纏めて投げ飛ばし、山を築かん勢いだが。連携に陰りが見え始める)
        (いずれ圧殺も見えていたはずだ、この戦場に騎士一人では。ならば、この少女の存在は天佑と言う他はない。)
        …!たとえ不可能とて、覆してみせよう!翔べい、コ・クレイエ!
        (些か大きすぎる守護鳥は、戦場に在れば抜群に目立つ。象徴的な…民の、望んだ力として彼女はまさに煌めくばかりである。ここで地に這うべきではない)
        Feuer!!!(馬上で、マスケット銃が火を噴く。ほぼ同時に騎馬突撃が、長い長い坂道の街道に陣取る神殿騎士の一党を軒並み吹き飛ばし駆ける!) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 03:55:19
      • ああ・・・変な兜被ってるからよく聞こえなかったんだね・・・
         (などと呟いている余裕は無い。豪砲一喝一気に黒く焼けた大地を駆け下る蹄の後を鉤爪が追った。)
        (重厚な鎧の金鳴りも激しく、トレーラーで軽自動車を跳ね飛ばす派手なカーチェイスよろしく)
        (一直線上に滑走路を切り開く騎士の後を飛爛はココロアに乗って駆けた。)
         (追いかける神殿騎士のローブから垂れ下がった鎖が激しく音を立てた、疾走する獣の速度に)
        (人間の足で追いつくなどありえないことだが、化け物染みた彼らの脚力はそれすらも可能に)
        (するらしい。だが大地を蹴る鉤爪の力がついには勝った。)
         (十分にその体が速度に乗ったとき、その太い首と、胴の翼が、風切羽の1本まで大きく広がり)
        (風を捕らえ始めた。)
        (早鐘のように打っていた鉤爪の足音がドッドッと感覚を広げていく)
        上がれぇーッ!!
         (走る巨体が跳躍した瞬間、翼が地面へ風を打ちつける。蒼く煌くその体は再び舞い上がっていた。)
        (疾走する騎士の頭上を追い越して風に乗った巨体が地面を6枚羽の影で覆いながら加速する。)
        (空へあがった飛爛の元へ、先ほど彼女に置いて行かれたシャツァルの編隊が)
        (戦場の黒煙を割いて駆けつけ、ぐるぐると螺旋を描きながら一つの群れへと上空で合流した。)

        火槍用意ッ!あの騎士の前に居る敵に弾幕を集中ッ!!
         (数十羽から成る編隊がくの字を連ねるように矢尻形編隊の列を作り、飛爛を先頭に陣形を整えなおす) -- 飛爛 2012-08-06 (月) 04:24:48
      • …美しい(大空を舞う鳥たち。その中央に今加わったのは、先ほど飛び上がった…一際大きな、蒼色の翼だ)
        (地上より見上げる騎士と騎馬は、朝焼けの中に未だ囲まれたままで。しかし、そう呟かずには居られなかった)

        (一瞬後、目前の敵を航空支援により排除せしめた束の間の共同軍は挨拶もそこそこに解散することとなる)
        (理由は単純、自陣に―飛爛の認識では、帝国軍―戻るはずの騎馬が、槍を掲げる略式の礼をした後てんで見当違いの方向へ駆け出したからで)
        (本陣以外の野営地でも確保してあるのだろうか?ともかく、敵勢から逃げる向きなのは間違いない。)
        (すぐに森へと入り、見えなくなった騎士が、彼女の率いる軍…その付近に陣取る方面軍に、帰って来なかったことだけは確かであった) -- レーヴェンフック 2012-08-06 (月) 04:37:07

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  • 【GA224/8】 -- 2012-08-03 (金) 23:39:21
    • (アルメナと東ローディアの国境沿い。人里離れたと言っても過言ではない、丘陵地帯)
      (前線からは遠く、未だに戦火の煙すら見えないこの地域に、従者も付けず一人佇む)
      (遥か東にカタクァから北西へと続く山脈を望み、眩い陽射しに天を仰いだ)
      (私の待ち人は、空から来る)
      (来る可能性は五分といった所だ。賭けるに分の悪い勝負ではない)
      (先日、使者に持たせた伝書が巡り巡って飛爛の手に渡っていれば、そしてそこに記された本爛の名が、飛爛という妹に効力を残していれば、の話だが。こちらを踏まえると確率は二割程度)
      (幸運が味方してくれることだけを願いながら、静かに天を仰いだまま待った) -- フリストフォン 2012-08-03 (金) 23:41:14
      •  (太陽の中を影がよぎった。普通の鳥のシルエットとは明らかに異なる6枚羽、間近に見るのは)
        (西爛開戦以来見るのは2度目、首とドラゴンじみた鉤爪付きの後肢にも翼を生やした鳥、)
        (間違いなくそれはカタクァにのみ生息する巨鳥シャツァルの姿で、そして空を音も無く滑る)
        (羽の色はその背景にある空と同じ輝きだった。)
         (鳥は丘の上に立つフリストフォンの周囲をうかがうようにゆっくりと旋回していた。)
        (やがて本当に一人だと分かると、羽を畳んで急降下、地面すれすれで羽ばたいて)
        (地面を蹴るように再び急上昇したとき、突風が丘の上を吹きぬけていった。)
        ・・・・・・・・・ぶはっ!
         (風が吹きすぎたあと、背の高い夏草の茂みから、草まみれになりながら顔をあげる少女が居た。)
        (微妙に着地失敗した飛爛本人であった。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 00:14:47
      • (それは過去に何度も見たような郷愁を胸に抱かせる。そんな感傷がまだ自分の中に残っていたのかと、そう思えるくらいには)
        (或いは飛爛の姿が、当時の面影を残していたことも大きく起因しているのかもしれない)
        (ただ、幸運なことに、一目見てその相手が待ち人であると分かる程度には、妹の姿は記憶の中のそれと相違なかった)
        (近場の岩に腰を下ろす)……大丈夫かい、あるいは……久しぶり、と言う資格は、まだ私に残っているかな。フェイ。
        (幼少時、良く呼んでいた名前で呼ぶ。この華桌の皇女とはシュウと共に懇意にしていた)
        (最も、それは自身の字に刻まれた「爛」の字に、誰もが無自覚であった無邪気な頃の記憶でしかないが)
        君が、私の名を、書簡を信じて此処に来てくれたこと……私は嬉しいよ。
        (例えそれが、本意を探り探りの行動だったとしても、少なくとも最初に鼻を付きあわせなければ、何も始めることができないから)
        (静かに目を伏せ、感謝の意を述べた) -- 本爛 2012-08-04 (土) 00:31:52
      •  (しばらく、静かに語る姿を、髪の毛に葉っぱをくっつけたまま、じっと空色の瞳が見つめていた。)
        (飛爛の相棒であるココロアも天空に輪を描いて滑りながら地上を睨んでいるようだった。)
        久しぶり、本兄
         (本爛の記憶の中にある飛爛の姿はおそらく笑っている姿だろう、変り者で友人も少ない)
        (彼女だったが、その数少ない友人達の前では笑顔だけで喜怒哀楽全部表せるのでは、)
        (というほど、彼女はいつも笑っていた。その時と同じ笑顔があった。)
         (だけど彼女の風貌も笑顔も確かに、遠い日にみた飛爛と同一と思わせるに十分だったが)
        (今ここにこうしているいるということは、幼き日から長い時を経て、幾多の戦いを抜けてきた)
        (証拠でもあった、それは彼も彼女も同じであっただろう。)

        まさかこんな所にいるなんて思わなかったよ。
         (巨鳥はずっと頭上を旋回している、地面に下りてこないのは、何かあればすぐにこの場から)
        (飛び去るためだろうか、あるいは、あの凶暴な鉤爪が即座に振り落ちてくるのかもしれない。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 01:03:10
      • 驚かせた、かな。
        済まない。不躾であるとは承知していたが、どうしても早急に話しておかねばと思ってね。
        それに、何しろこのような時勢だ。正式な申し出にて場を設けて会う、ということは中々出来なかろうしな。
        それが……西方と東方の人間であるなら、もはや絶望的にな。(言いながら、唯一の武装である剣を目の前の地面に刺す。柄には西方候の龍を象った文様が描かれている)
        (自分に敵意がないことと、自分が今まで何処にいたかを、言外に相手に伝える)
        ……重ねて驚かせて、済まない。
        私は、今西ローディアにいるのだ。フリストフォンと、名を変えてね。
        多数の策謀に巻き込まれた結果、今此処にいるのは帝国が皇子の一人、本爛であり、また西ローディア西方候フリストフォン・ラヴェル・フォランであるんだ。
        ……自分でも、よくもまあこの位置と場所に……流れ着いた物だと思うがね。
        (自分ではその大きな流れに抗いようがもなかった、という憂いを、溜息に載せて告げた) -- 本爛 2012-08-04 (土) 01:15:56
      • 私なら、どこへでもすぐに飛んでいけるもんね
         (今までと現在、簡単ではあったが説明を聞いて、何故自分が呼び出されたのか)
        (納得が行った様に飛爛は頷いた。)
         (本欄が腰掛ける岩の側へ飛爛が歩み寄る、座っている本欄と立っている飛爛の)
        (目線が大体同じであった。)
        でも、西の総督が本兄だったなんてほんとにびっくりすることばかりだね
        戦場で怖い思いさせてたらごめんね?
         (兄と妹といっても二人の年はかなり近いせいもあって、普通に友に接するような調子だ)
        (ズボンの膝についた土を払い、長い黒髪と、白いワンピースのような上着にひっついた)
        (とりながら飛爛は笑う、笑いながら急にがくっとうなだれた。)
        ごめん、自分で言ってて自分で笑えなかったよ・・・下手したら気付かないで、殺してた
        かもしれないんだよね・・・はぁぁ・・・・・・・・・ -- 飛爛 2012-08-04 (土) 01:41:44
      • (憂いの表情を浮かべる妹の顔を見て、同じように表情を沈ませて見せた)
        むしろ……予めその可能性が予見できていた私の方が、やはり先んじて手を打つべきであったのだ。
        フェイや、シュウ(宗爛)がこの戦に参加していない、などという幻想は、開戦した当初から抱いていなかったのだからな。
        (小さくため息を吐く)……シュウに会ったよ。皮肉なことに、戦場でね。
        だが、互いに立場が立場だ。抜いた剣を己が意志だけで収めることは難しかったのだろうな。
        私は……恨むよ。自分の運命を。……帝が私を西へと送り出したことは、ある意味では和平の証であったと思っていた。
        結果はどうだ。結局、より大きな力と切迫した理由で戦争は始まってしまい、私たち兄妹ですら互いに剣を向け合うことになった。

        (顔を、悲痛に押さえる)
        聞けば、帝国の西進の理由は、水銀汚染の悪化による国域の拡大にあるというじゃないか……。
        私が、本爛であった頃と……帝国は、何一つ変わっちゃいない。
        そのようなことを理由に争いを肯定してしまえば、一つの戦争が終わっても……いくらでも理由が補充されてしまう。
        かつてカタクァが侵されていた頃と同じように……より利用できる土地を求めて、今度はそのカタクァの者が駆り出される始末だ。
        私は……心底、帝国の在り様を軽蔑したよ……。
        フェイ。ここに呼び出した理由は、一つだ。……せめて君くらいは……この戦争から、手を引いてくれ。
        君が帝国にいる限り、君は……君の守りたい物は永遠に戦から逃れられない
        私は同じ事を……シュウにも伝えたかったのだが……この私の願いは、馬鹿げていると思うか……? -- 本爛 2012-08-04 (土) 01:59:04
      • 私も昔人質だったことあるし、本兄の言ってること間違ってないと思う。
         (心の底から悲しそうに語る言葉に、素直に切りそろえた黒い前髪を揺らして頷く。)
        (飛爛は兄が嘘を言ってるとは思わなかった。)
         (一緒にいたときは、まだ飛べない雛鳥だったココロアの背中にのってヨタヨタ駆け回る)
        (だけだった自分が今こうして、何十km離れていても一飛びに出来るようになると)
        (本当によく覚えていなければ思いつきもしないのであろうから。)
        (だから、他でもない自分に文を託したことだけで、本爛が本当に仲の良かった兄弟達の事を)
        (案じているのだろうと思えた。)

         (同時に、この乱世を嘆く兄の姿に直感的に違和感を感じた。)
        (『こいつこんなキャラだっけ?』身も蓋もない言い方するとそういう感じである。)
        (だから、飛爛はすぐに返答を返すでもなく、兄の願いをかなえられない理由を連ねるでも)
        (なく、空をぐるぐると回るココロアを見上げながら、つぶやいた。)
        ねぇ、本兄と逢ったとき、宗は悲しそうな顔してた? -- 飛爛 2012-08-04 (土) 02:28:51
      • (昔から、掴みどころの無い妹であるとは思っていた)
        (多分それは他の人間が地に足をつけて生きている事との違いより、もっと深い)
        (飛爛の名に相応しく、彼女の心は何かに縛られることなく自由にあり続ける)
        ……ああ。残念ながらね。
        恐らく、彼にとって私は……国を、祖国を捨てた裏切り者でしかない。
        何も告げられないことを理由として、何も告げずに国を出たことを……シュウはずっと恨み続けているのかもしれない。
        そんな私の声は……今の互いの関係では、正確に伝えることは出来なかった。
        ……だからこそ、フェイ、君に伝えようと思ったんだ。
        シュウは未熟だ、まだ戦場に出るべきではない。戦争を甘く見すぎている……。敵軍に捕まるような愚を、進んで犯すような者に、戦の非情さはまだ早すぎる。
        それは、王としての行いではなく、個としての行いだ。そして帝国は、個としての駒を求めてなどいない……!
        捕虜として捕まった彼を助けたのは、君の部隊なんだろう、フェイ。
        (アリシアより報告を受けていた、宗爛を助けた飛来した何者かの見当を、半ば推測という形で投げてみる)
        だからこそ、君を呼んだというのもあるんだ……私では伝えられないことを、君なら聞き、そして或いは伝えられるかもしれない。
        私はシュウにもフェイにも。……こんな無益な戦争で、何かを失って欲しくはないんだ。
        (苦渋に満ちた顔で言葉を漏らす)……今直ぐに、剣を置けなどと言うつもりはない。それが無理であることは重々承知した上で……私は告げたかったんだ。
        帝国の在り様は、いつか個を個と見做さなくなる。帝国の求める戦争とは、そういう物だ。略奪を主とする、最も原始的な闘争……。そこには何の義も理念も、民を慮る気持ちも個の意志も介在しない。
        私は、西方諸国の全てを肯定するつもりはない。だが、私はあるいは帝国にいた頃より、爛という王族の名ではなく、本(フォン)という個人がどう思い、どうしたいかという気持ちを尊重するようになった。
        だから、この王として来たとしたら自らの身すら顧みない、果てしない愚行に見えるかもしれない独行も……王の一人として来たのではなく……本爛として。
        個の意志を全う出来る国に居る、一人の男として。自分が生命を賭けるものや時期は、自分で決められる世界があるのだと……その個の意見を伝えたかったんだ。 -- 本爛 2012-08-04 (土) 02:51:16
      • 恨みかぁ・・・そっか、本兄には宗のあの顔がそう見えたんだね・・・
         (前に言葉を交わしたのは10年以上前だというのに、まるでつい昨日まで側にいた)
        (かのように飛爛は自然に呼吸していた。)
        ふふっ実はね、捕まった宗を助けにいったのは私だよ、敵に捕まったって聞いたら
        居ても立っても居られなくなっちゃってさ。
        (つまり十二分に彼女も指導者としてはどーなんだという未熟さであった。)
         (飛爛はにんまり笑いながら、空を見上げていた視線を本爛へむける、)
        (ずっと見上げていた空の色が移ったような瞳の色だった。)

        本兄の考えてること、やっぱり私と似てるとおもう。私もね、血を分けた者同士で
        戦いあわせる大爛のやり方は好きじゃないんだ。
        騙したり、傷つけたり、殺しあったり・・・王様達がそうだから、国中の人たちも
        いつでも自分が優位になろうと必死なんだ。違うのはやり方だけ、みんな自分が大事で・・・
        こないだの災害の時だって、みんな奪い合ってた、本当は助け合う事だって出来たのに、
        大爛っていう国が、皇帝が、それを許さないから・・・。
         (飛爛の頭に浮かぶのは、皇の血を引いたという理由だけで、泣くことすら許されない)
        (一人ぼっちの少年であり、戦いを強いられる数多の人々であり・・・)

        だから、そんな国ぶっ壊しちゃってもっといいところにしようぜ!って宗に言ったら
        めっちゃ怒られちゃった、そんな無茶なことはやめろってさ。
         (悪戯っぽく笑うその顔は、さらりと、帝国への忠誠など微塵もないことを暴露した。)

        たぶんその時、宗は本兄と戦場であったのと同じ顔してたと思うよ。
        すごく怒ってたけど、私には今にも泣き出しそうに見えたな。
         (それは暗に、見ている世界が少しだけ違うんだと、言っているようでもあった。)
        (1つ2つ、大きな羽ばたきが聞こえる、太陽の周りをまだ蒼い巨鳥はめぐっていた。)
        宗は生真面目な子だからね・・・きっと私が言っても剣を置けないよ、だから私も
        今すぐにも、後ででも戦いをやめることはできない。 -- 飛爛 2012-08-04 (土) 03:42:58
      • そうか……。こんな時、私はどの立場の顔をしていいのか、こちらに来てすぐは分からなかったよ。
        西の王として、捕虜を奪われた苦渋を表せばいいのか、東の宗の兄として、無事に保護してくれた礼を言えばいいのか。
        ……でもね(瞳に触れ、瞳の色を偽る色幕を取る。本爛の真紅の瞳がそこにある)今なら分かる。……済まない。飛爛のその稚気に、私は感謝する。

        ……中にいては、分からないことも多い。そこには、異常が普通として転がっている物だからな。
        フェイ、君は俯瞰の視点を持っている。私たちが地面を這う視線しか持てないのに比べて、遥か空から見下ろすことが出来た。
        だから、シュウが未だ辿りつけず、私が国外に出て初めて至ることが出来た理(ことわり)に、国の中にいながら到達できたのかもしれない。

        私も、この位置と地位に来て初めて自分の剣を、自分の為に使う意味を知った。
        ……それは、本来ならば誰もが持ち合わせているはずの、当たり前のことなんだ。
        自身で、何を成す為に、何をすればいいかを……今は考えて欲しい。
        (戦いを辞めることはできないというフェイの言葉に目を伏せ)……結論を出すことは、何も今すぐでなくていい。
        ただ、何かを決めることに間に合わない悲劇だけは避けると、それだけ約束してくれれば。
        私は、自分がフェイやシュウにどうあって欲しいか、それだけは伝えることが出来たと、そう思っているから。
        フェイが決め、フェイが行うと決めたことに、協力することが出来るなら……それが本爛としてでも西の王としてでも……できる限り力になりたいと思っている。
        (言葉にはしない。飛爛の言うように、帝国を毀すという行動を自分の立場で箴言してしまえば、それこそが飛爛を縛る鎖となってしまう)
        (あくまで、飛爛は……その名にもあるように。自由で、思うように飛べてこそ、自分にとっての彼女なのだから)

        (立ち上がり、東の方向を見る。そこには、華桌を隠すようにして、山脈が連なっている)
        戦火が遠い地にいることを、本来は西の王として恥じねばならぬだろうに。
        ……それでも、私の目には、この美しい華桌の山々を望むのは……静謐の中にありたいと。そう、フェイの隣に居るときは……思ってしまう。
        (小さく笑い)済まない、飛爛。君の立場を以って、この時間を裂くには容易ではなかったろうに。
        ……また、何処かで会えればと、そして同じ方向を見れればと、そう思わずにはいられない。
        もし君もそうであるなら……兄としてはこの上なく嬉しいよ。(小さく、肩を竦めた) -- 本爛 2012-08-04 (土) 04:14:42
      •  (本爛の視線の先にある、青く霞む山脈をみた、それは遥かに遠くあったが間違いなく)
        (その麓にカタクァを抱く大陸中央山脈の背であった。いや実際は違ったとしても)
        (地平線から青く聳え立ち、頂が雲の中へ消えるその山々の姿は、飛爛にも故郷を)
        (思わせるのに十分で、なんでこんな場所を会談の場所に選んだのか、分かった気がした。)
         (昔から、大人よりも賢く、どこか何を考え感じているのか分からない兄だったが)
        (その抜け目なさはいよいよ磨きがかかっているらしいと、飛爛は思った。)
        (そんな風に冷静に思いながら、元来感情の起伏が激しい彼女は同時に抑え切れない)
        (心の鷹揚も感じていた。)
         (兄は自分が帝国に叛意を持っていることを伝えても、寝返れとは言わない、最初に)
        (手を引いて欲しいといわれたときは、暗に寝返りを要求されたのかとおもったが。)

         (そもそも、密書を受け取ったときから少なからず期待はしていたのだ、もしも、)
        (この本爛兄が自分達の味方になってくれるなら・・・どれだけ心強いことだろうと。)
        (だけど彼女は瞳を閉じた。打算や計算ではない、今完全に大爛と決別してしまえば)
        (きっともう、宗とは会えなくなるのだろうとおもったから。)

        私は・・・辛い顔を仮面で隠してでも生きなきゃいけない世界が、もう少しだけ優しく
        なればいいなって、そう思ってるだけだよ。
         (長く続く戦で、不安定になっていた彼女の心では、今だ先が見通せない現状で)
        (何かを決断することはできなかった。)
         (ただ、昔の事を覚えていて自分達を心配してくれる兄の存在はうれしかった、たとえ)
        (その背後に何か得体の知れないものを感じたとしても・・・。だから彼女はもう一度笑って、)
        なんかおかしいと思ってたけどそうだった、本兄は宗と同じ眼の色だったね
        うん、そっちのがいいよ。 -- 飛爛 2012-08-04 (土) 05:14:57
      • (どれくらい、本心と懐内が伝わったか、それが捉えられぬ相手は厄介ではあるな、と自省する)
        (掴み所がないという利点は、その動きを手繰ろうとしている者にとっては厄介な性質となる)
        (ただ、今はその進行方向にそっと石を置くだけでいい)
        (空を飛ぶ者には、道を歩く者よりも些細な関心しか引くことが出来ないであろうが)
        (逆を言えば躓いた経験のない者の印象に、その躓きは、深く根付く)

        西ローディア西方には珍しい灼熱色の瞳の色は、今は隠しておくべきだという、私の前の西方候の判断なのだ。
        だが、私も、フェイと同じように。
        ……いずれは、この仮面を取り、堂々と自分の名と生まれを明かす日がくればいいと。
        そう思いながら、仮初の瞳の色を通して……今を見ている。
        帝国ではなく、あるいはこの灼熱の瞳も、蒼空の瞳すら受け入れられるかもしれない、私の統治するローディアの……懐の深さを期待して、な。
        (言いながら剣を地面から抜き、腰に挿した。西ローディアの王の一人として) -- フリストフォン 2012-08-04 (土) 05:27:35
      •  (飛爛とて、皇女として総督して、あるいはカタクァの王として立場というものを意識しないという)
        (事は無かったが、骨の鬼面で素顔を隠す弟宗爛や、10年以上にわたって自身の素性を)
        (隠し続けてきた兄本爛の心の内に秘めた思いはどれほどだろうと飛爛は思う、)
         (だから、自然とそう言っていた。)
        できるよ、心を偽らないまま、誰もが幸せになれる方法はきっとある、そんな国は絶対に作れるから
        本兄も宗ももっと素直になればいいと思うな、あはぁっ私はそのためにちょっとがんばって
        きちゃおうかな!

        (本爛が評したように、ほんとうに彼女は子供のようだった、年は本爛と大差ないはずなのに)
        (彼女とて、戦場というむごい現実のむき出しになる場所を幾多も過ぎてきただろうに。)
         (彼女がやってきたときと同じように、風が強く吹く。音も無く蒼色の翼をした巨体は飛爛の)
        (後に降り立っていた。)
         (それじゃあ、またね、と言い残して重さを感じさせない猫のような身軽さで馬よりも高い)
        (巨鳥の背に乗る。翼を広げた巨鳥は丘の斜面を駆け下って空へと舞い上がっていった。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 06:07:55

      • (妹を、ぎこちない笑みで送り出し、静かに目を伏せる)
        (遥か遠く、雄々しき翼を広げて飛び去るその姿は、矮躯である妹との対比で、酷く痛ましくあった)
        (そして、思惑どおり事が運べば――あるいはその心だけを縛りつけて、羽を自由に空を舞う……一つの駒となり得るかもしれない)

        (ポケットの中、弄ぶようにしていた騎士の駒を少しだけ撫で)
        ……心を偽らないまま、誰もが幸せになれる方法、か。
        本当にお前は……昔のままだな。
        その理論では。

        最初から心を持たぬ者は、救われぬではないか。
        (小さく嗤い、その場を後にした) -- 本爛 2012-08-05 (日) 00:33:57

Edit

  • 戦場を見渡せる断崖の上から見ると、そこは大河の水が一滴残らず干上がって出来た谷のように見えた。
    その川底から帝国軍と連合国軍がどろどろと足音を響かせて連日合戦を繰り広げている。
    対岸にあたる遥か向こう側の崖に霞んで見えるのが神国アルメナの巨大要塞ゼナンだ、城壁は
    黒々として巨大、重厚にして壮麗、城壁の遥か下でたむろする軍馬がアリンコのように見えてしまった。 -- 2012-08-03 (金) 22:06:44
    • 「はー・・・さすがにカタクァにもあんなにでっかい石造建築はないわねぇ・・・あ、また大砲撃った、うはっ射程すごい。」
       望遠鏡で敵の要塞を眺める飛爛、巨大な城壁に白煙が上がった瞬間、遥か下方で爆発が巻き起こる。
      要塞都市の名前は半端ではなく、相手の壁は分厚いだけでなく、ハリネズミも丸まって可愛くなるほどに
      全方位に死角なく火砲、バリスタ等で武装されていた。 -- 飛爛 2012-08-03 (金) 22:07:06
      • 「まともに相手をさせられなくて良かったですね姫様」
         飛爛の横で岩い足をかけ手を額にかざして遠くを見るクラト、彼は裸眼でもよく見えるらしい。 -- 2012-08-03 (金) 22:07:42


      •  こんな時こそ真っ先に活躍するはずのシャツァル達は大きな翼を畳み、岩山の乏しい芝生
        に藁を敷いてもらい、そこにうずくまって目を細めていた。
        他のカタクァ兵達も流れ弾も飛んでこない、馬も蟲も上ってこれない断崖の上から高みの見物である。
         彼らの持つ投下爆薬を使えばあの分厚い城壁とても無事ではすまないだろう、まさに活躍のチャンス
        だというのに、彼らは座して待っていた。

        ・・・・・・・・・ゼナン攻略戦の前に遡る、シャツァルと新兵器を用いた空爆で、攻城戦において目覚しい戦果を
        上げその力を見せ付けたあと。
        『爆弾は特殊な装置で制御するんで残段数が少ないでーす』
        『あんまり長旅で鳥が疲れちゃいましたー最近うまく飛べませーん』
        『別に逆らうわけじゃないですけど、私らいなくなったらこの後が大変じゃないのかなぁー?』
        ・・・等々、たとえ代表が皇女でも断頭台送りになりそうなワガママを飛爛はためらいもなく連ねた。
         それと同時に、ますます荒れる大爛本国の自領の事が気になる位階の高い皇族へ、災害を免れ
        たくわえも十分であったカタクァより金や物資を送らせる約束を餌に自分達の後ろ盾としたのだ。
         結果、大戦の真っ最中ではあっても、互いを喰らい合う事を忘れない皇族達のハングリー精神を利用し
        『華桌の軍は貴重な決戦兵力であるゆえ、ここぞというときで使う』
        という、命令を受けることに成功したのである。

         飛爛に話を持ちかけられた皇子の一人は、強力なおもちゃを手に入れ、他のライバルに差を
        付けられるとホクホク顔で、見事に利用されているとも気付かずにいい気なものであった。 -- 2012-08-03 (金) 22:08:00
      • 「この間は肝を冷やしましたが、形成は以前大爛有利、将軍方は手柄の奪い合いにご熱心であられる
         我々もうまくその隙に入れましたね、あれでは帝国も連合も消耗は避けられますまい。」

         自らの書いた計略がうまく行ったことがうれしいのか、戦場を眺め渡しながらクラトは上機嫌そうだ。

        「うん・・・・・・・・・ぬぅあああ〜〜ッ!」
        「ど、どうしました姫様!?腹痛ですか!?」

         クラトの言葉にうなずいたあと、へなへなっと頭を抱えてうずくまる飛爛。抑えてるのは頭だ。

        「すっごい自然に両方殺しあって弱ればいいなーって思った自分に自己嫌悪・・・」
        「・・・いい加減、覚悟きめて慣れてくださいよ姫様、いざってとき失敗しますよ」
        「・・・うん」

         戦に出てから1年余り、元来感情の起伏が激しかった飛爛は日増しに不安定になっているようで。
        戦場で怒り任せの八つ当たりのように敵兵を鉤爪で切り刻むこともあった。
        笑っていたとか思えば、突然、泣き出すこともしばしばあった。
        (戦う技は日ごとに成長しておられるが、姫様の心が追いつかないのかもしれぬ・・・・・・・・・)
        そう思ったクラトの心配そうな顔に気付いたのか、飛爛は小さな体をバネ仕掛けのようにシャキッと伸ばした。

        「両方の力が削げるのは私達には有利だけど、いつまでも高見の見物とはいかないわね、
         今は曲りなりにも友軍よ、偵察を飛ばして、弾幕の薄い箇所を探って空爆をしかけるわ!
         言い訳が立つ程度には、仕事しとかなきゃね」
        「承知いたしました」

         執事のように恭しく頭をさげ、飛爛の元から下がるクラト。小高い岩のうえに立って地上を見下ろす
        飛爛の横顔と空色の瞳は鋭かった。吹き上がってくる戦場の匂い交じりの風に広がる黒髪が翼を広げる
        猛禽のようだった。
         その凛々しく気高い姿を一体いつまで保っていられるのか、クラトは岩場の下から見上げながらそう思った。 -- 2012-08-03 (金) 22:53:21

Edit

  • 224年5月ごろ
     (うっすらと東の空に明るみが差し始めた頃、暗い平原の上を這うように飛ぶ鳥の群れがあった。)
    (木の上を巨大な影が奔りぬけると、嵐にでもあったかのように大きく枝を揺らし葉を散らした。)
    (馬ですら軽々と、その鉤爪で天高く連れ去りそうな巨鳥が6枚の翼を広げて飛んでいく。)
     (彼らの向かう先にあるのは今は西だけが残ったローディアとスリュヘイム、アルメナの)
    (3国が国境を接するウルトウルド山脈の黒い山陰だった。)

     (日が頭上に高く上った頃、バルトリア会戦の余韻も冷め切らず、何かとあわただしい騎士団に)
    (妙な二人組みが現れた、少女と歳の若い男、金髪碧眼の二人組みでローランシアで流行の)
    (服に身を包んでいる。門番に金でも渡したのかしれっと中に入り込み誰彼問わず何事か聞いて)
    (回っているようだ、あきらかに不審者だがあまりに堂々としてるもんで、皆追い出すのを忘れている。)

    この人を探してるんだけど
     (そういって少女が掲げ上げるように突き出すのは、少女騎士の姿の描かれた版画・・・)
    (いわゆるブロマイド的なあれで、聖少女騎士団のメンバーを探しているのであった。) -- 2012-08-05 (日) 01:51:11
    • (誰も彼もが慌しかった、会戦で開いた穴を埋めるためという理由は無論だが、もう一つ)
      (仕事に忙殺されていれば、会戦でのあの光景を思い出す暇もないであろうから)
      (それゆえに見慣れぬ二人組みに対する対応はぞんざいだった、写真を見ても知らない知らないと手を振り走り去って行くだけ)

      (そんな中ではあるが、不審に不思議に思った騎士の一人が、しかるべき責任者へと報告したのだろう)
      (二人のほうへまっすぐ歩み寄ってくる人影が在る)
      (目が覚めるような鮮やかなオレンジ色の髪、尻尾、そして耳、ローディアの騎士とは思えぬ風体ではあるが……)

      こちらに何か御用ですか?人を探しているとは聞きましたけれど……

      (ローランシアの服装をしているのが功を奏したのだろう、必要以上に警戒する事も無くそう話しかける)
      -- アリシア 2012-08-05 (日) 02:05:15
      • この人を探してます!
         (間髪居れずに、ずびしっと紙面を突き出しなさる少女。小さい、こんな子供がなんでここへ?)
        (という雰囲気がまんまんである、サイズが微妙に合わずにだぶつき気味の衣装がなおのこと)
        (小柄さを強調していた。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 02:37:12
      • えー、お忙しいところ申し訳ございません。こちらのフェイリスお嬢様はローランシアの呉服商の
        娘でございまして・・・先の戦の折に行方知れずとなられました聖少女騎士団のフェロミア様を
        お探しなのでございます。お嬢様はかの騎士嬢と個人的に親密になされておられました故・・・
         (横の男が代わりに説明した。身長はアリシアとそう変わらない細身のこの男は従者だろうか。)
        (フロフレック侯爵領は武具結晶が発掘されたスリュヘイム国境に近い、確かに探しにくる)
        (理由としては見当はずれでもない。)

        何か手がかりだけでも無いかと方々訪ねているしだいでありまして・・・ -- クラト 2012-08-05 (日) 02:37:29
      • (そんな飛爛の幼さが残る直球的な行動を見れば自然と頬が緩んでしまう)
        (こほん、任務中と小さな咳払いと共に気持ちを引き締め、紙面を見れば、どこかしら引っかかる所があった)
        この人、この人……
        (確かにどこかで見た覚えがある、そしてその記憶の扉を開いたのは自分ではなくクラトの言葉だった)
        ああ!そうだ、確かに聖少女騎士団に所属していた騎士です、名前までは聞いておりませんでしたが、確かにこの人ですね
        (いいんです気にしないでください、と礼儀正しく頭を下げるクラトを手で制しつつそう口にするアリシア)
        (確か戦闘において行方不明になったと聞いていた、と言う事はこの人たちは近い方なのだろうか……)
        ですが、私も貴方がた以上の事は聞いておりません、もし尋ねて来たのであれば少なくとも私の耳には入ってるはずですので……
        (申し訳なさそうにそう答えるアリシア、少なくとも嘘を言っているようには見えないだろう)
        -- アリシア 2012-08-05 (日) 02:54:17
      • そうかぁー・・・
        (ふぅっと切りそろえられた金色の前髪を息で吹き上げる飛爛、もとい今はフェイリス。)
        隊長さんが知らないんじゃここにも手がかりは無しね
         (他の団員達と明らかに雰囲気が異なるアリシアを風体をみて、そう判断したのか)
        (飛爛はそうつぶやきながら頷いた。)
        それに耳はとてもよさそうだし、聞き逃がすことはないでしょう
         (にっこり会釈しながら毛並みもふわふわの思わず手でつまみたくなるようなアリシアの)
        (耳を見る少女。横からクラトに、だめですよ、いきなり飛びついたりしたら、等と言われていた。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 03:10:48
      • 期待に答えられず申し訳ないでありますねフェイリス殿
        (あと隊長ではないでありますが、と口にしかけて、お世辞かな?そう思い直し唇を結ぶ)
        連絡先を教えていただけるのであれば、もしフェロミア殿を見つけましたら連絡しますけれど
        それとも、フェイリス殿が探していた、とお伝えしたほうが良いでありますかね?
        (いかにも天真爛漫な飛爛をみれば、ついつい親切に世話を焼きたくなる、悪い人ではないらしい)
        (ついでに触りたければ触っても良いでありますよ、と耳パタするアリシアであった)
        ああそうそう、私はアリシア・フロフレックと申しますので、もし何かありましたなら
        -- アリシア 2012-08-05 (日) 03:17:47
      • フェイリス・カーターと申します、お忙しい所もうしわけございませんでした。
         (改めて自己紹介して礼をする金髪の少女。パタパタする耳に手を伸ばそうとしてまた止められていた。)
        ありがとうアリシアさん、でもあまり邪魔をしても悪いし・・・もしフェロミアに会えたならコレを
        渡してくれるとうれしいな。
         (そういってレース付きの白い絹手袋に握ったのは蒼い鳥の羽だった。サイズは大きなカラス)
        (の風切羽くらいだろうか。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 03:42:18
      • いえいえ、良いのでありますよフェイリス・カーター殿
        (と、差し出された物を手に取れば)
        綺麗な羽根でありますね……わかりました、フェロミア殿に会う機会がありましたら必ず!
        (手持ちのハンカチに乗せて大事そうに懐にしまいつつ)
        フェイリス殿はこれから別の場所へと向かわれるのですよね?このような時勢でありますし、旅路も安全とは言えませぬから、どうかお気をつけて
        -- アリシア 2012-08-05 (日) 03:48:55
      • うん、この地を平穏を守る騎士様たちにもどうか幸運のありますように
         (そういってフェイリスと名乗った飛爛は来たときと同じく、堂々と庁舎を後にした。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 04:23:03

      •  (時刻は夕方、山腹に築かれた町並みから見下ろす大平原に赤い陽が近づいていく、)
        (紅茶のグラスを透かして見たような晴れた夕暮れで、眼下にはウルトウルド山脈の向こうに)
        (内海の水平線まで見えそうな気がする広々とした景観が広がっていた。)
         (飛爛は1人、崖の際に作られた石垣の上に立って町並みと平原を眺める、)
        (故郷から何千キロも離れた異国の地であるのに、なぜか懐かしいような気持ちがこみ上げた)
        (家々の窓に明かりが灯り始める夕暮れ時だからだろうか、それとも今だ帝国の手の及ばない)
        (往時の静けさが残っていたからだろうか。)
      • (時の頃は5月と言え、夜の帳が降りようとしている山間に吹く風は決して優しいものではなく、吹きさらしの階段を上るのは少々肌寒い)
        (とは言え夕焼けに染まるこの景色は好きだった、日々の激務や戦争の事を考えささくれ立った心を癒してくれる気がするか)
        (階段を上り開けた場所に出る、いつもと同じ景色、しかしその中に一つだけ違うところがある)
        また、お会いましたね
        (こちらを気に止める風も無く、眼下を、その先を見る飛爛の後ろ姿を認め、そう声をかけるアリシア)
        (飛爛が立つ石垣へ歩を進め、夕餉の準備と思われる煙が立ち始めた街並みを眺める)
        -- アリシア 2012-08-05 (日) 19:21:40
      • あはっこんばんわ
         (長い髪とドレスの裾を夕山風に弄ばれながら、飛爛はふわりと石垣の上に腰掛ける、)
        (羽毛がふんわりと落ちるような重さを感じさせない動きだった。)
         (胸の高さほどの石垣の前に立つアリシアの横で、石垣に座る飛爛。)
        (微笑んで挨拶したあと、その瞳はまた暮れて行く夕景をみている。夕焼けの下でみると)
        (周りが茜色に染まっているせいか、青いというより空色をした瞳がよく目立った。)

        アリシアはこの街の人なの?
        (しばらく黙って夕景を見つめた後、彼女は不意にそんな事を聞いた。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 22:07:07
      • こんばんは、フェイリス殿、でしたか
        (ぴっと手を上げて挨拶に答えるアリシア、暫くは夕日に照らされ風に吹かれるまま二人で夕闇に染まる街を眺める)
        (やがて夕焼けの色がアリシアの髪にのみ残る頃に飛爛の声を聞いた)
        ええ、生まれも育ちもこの街で、ずっと小さい頃からこの景色を見て、それで育ったといっても過言はないでありますね
        (石垣に頬杖を突いて尻尾を振る、口にせずともこの風景が好きだと言う事が滲み出ているようだった)
        フェイリス殿はやけに熱心に見ていましたが、似たような風景に何かご執心でもあったでありますかね……?
        -- アリシア 2012-08-05 (日) 22:47:04
      • 似てる場所は知らない、でもざわざわしてる場所も1日中人の少ない場所も
        日暮れはみんなどこかほっとしてる感じがどの街でも一緒だなって。
        えへへっ・・・この街が大好きなんだね、私もいいところだと思うよ、フェロミアを探しにきたのに
        途中から町中あちこち回るのに夢中になっちゃってたし。
         (ゆったり揺れる尻尾を見て楽しそうに笑う飛爛、上品に会釈したりするかと思えば)
        (まるで童女が転がって笑うような顔もする、年齢がいったりきたり10歳くらいは上下してるようだった。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 23:07:04
      • ああーなるほど、国や場所が変わっても朝は来るし日は暮れるし見てる空は同じ、と師匠も言ってたでありましたっけ
        何となく安心するような気分を感じるのはきっとどこでも同じなのでありましょうね……
        (この街が好きと言われればにっこり笑って返す、それだけにこの戦争による害は与えたくないと心にする)
        (特に関係はないと考えている故に飛爛にはその様な顔は見せないが)
        んー、なんと言いますか、フェイリス殿は不思議な感じがするですね
        風に舞う羽のようにあっちにこっちにと予測が付かないでありますよ
        (昼に見たお付の人はさぞ苦労してるだろうな、と笑ってみせる、公務での顔もそうだがこちらの顔もまた紛れもない一面であろう)
        (茜色に焼けた最後の雲がその色を変えようと言う頃、頬杖を付いていた手を伸ばし、よしと小さく気合を入れる、おそらくまだ公務があるのだろう)
        -- アリシア 2012-08-05 (日) 23:33:11
      •  (それは褒められてるのかな?そうだといいけど、そういって今度はアリシアにつられるようにして)
        (また笑った、本当によく笑う奴であった。)
        私もそろそろ行くね
         (また石垣の上で立ち上がった飛爛は伸びをするアリシアに言う。挨拶を待たずにすっかり)
        (藍色になった空と明るい星を背に小さな少女の髪とドレスが無重力に浮かんでふわりとひるがった。)
        (石畳を革靴で跳ねるような軽い音が何度か響く、崖の際の石垣から崖の方へと飛び降りた)
        (飛爛はその下の道路から手を振って。)
        それじゃあねー!ここがずっと平和でいられますように
        (大きな声で別れをいいながらアリシアに笑いかけていた。) -- 飛爛 2012-08-05 (日) 23:58:08
      • (えっ?と思った、その笑い顔とお別れの挨拶がそれとはまるでかけ離れてるが故に)
        (慌てて駆け出して、石垣の下を見ざるを得ないアリシア)
        はぁ、びっくりさせないで欲しいでありますよ……ん、ありがとう!フェイリスも元気で!フェロミア殿が見つかると良いでありますね!
        (身を乗り出すようにそう答え、宵闇の中にその姿が消えるまでその場に居たのだった)
        ……それにしても身軽な人でありましたね、さて、公務公務っと
        -- アリシア 2012-08-06 (月) 00:04:52

Edit

  • 【224年 バルトリア平原】 
    (地上を埋め尽くすのは黒い人だかり、剣戟が火花を散らし槍が腹を割く。大混戦だった。)
    (ほんの少し前まで、圧倒的に帝国軍が優位であったのに、今は敵も味方も入り乱れてしまっている。)
    (別の巣穴の蟻同士が総出で戦っているようだった。統率された陣はなく、切り結びあう歩兵を)
    (敵味方の区別も付かないままに騎馬、騎獣、蟲が蹴散らして回る。)
     (混乱に支配された地上を眼下に見ながら飛爛は飛んだ。)
    (ほんの少し前に、快進撃を続ける帝国軍前線部隊の背後に伏兵が現れた、本当に突然に、しかもそいつらは)
    (岩のように巨大で、怪物じみて強く、あっという間に戦線をめちゃくちゃにしてしまった。)
     (さらに最悪だったのが奴らの現れた場所だ。そこは常に帝国軍の後方に陣取り)
    (続けてきたカタクァの陣地だったのだ。奴らの名は後にこう記されることになる『柱の騎士』と。)

    投下弾は全部捨てて!火槍も半分だけでいい、身を軽くして全力で戻って!!
     (後方でおこった緊急事態に際して、飛爛は飛行部隊を総て後方へと転進させた。)
    (巣へと舞い戻ったシャツァルの飛行部隊を待っていたのは、上空から見下ろしてもなお巨大にそびえる)
    (異形の怪物に取り囲まれたカタクァの陣地の姿だった。) -- 2012-07-30 (月) 23:47:19
    • これは……(これはなんだ。竜といいこいつらといい、自分の兵器としての質を疑ってしまう。生まれつき強いなんて卑怯だ。だが今はそれを嘆いている時ではない)
      ……囲まれたか(見れば分かるが再確認せずにはいられなかった。出来れば1体ずつ出てきて研究の時間を与えて欲しいと思った。突如現れて戦を乱した新たな勢力、どのくらいの威力で叩けば倒せるのか見当もつかない。それでも、自分は)
      ……様子でも、見てこようか?(自分は兵器だから、暫定的とはいえ所有者の力にならなければならない。攻撃を仕掛けてみれば硬さくらいは分かるかもしれない) -- フェロミア 2012-07-30 (月) 23:56:05
      • 全力で撤退だよ!フェロミアも手伝ってー!
         (急降下したあと、頭の上を撫でるように旋回する飛爛とココロアの前に)
        (ゴミ山が人型を成したような怪物が振り上げた拳の影が落ちる!)
        (飛爛が鞍のよこにある取っ手を引く、点火装置が火花を散らして、ココロアの胴体に取り付けられた)
        (弾帯から10本、火花の尾を引lきロケット花火の勢いで火槍が飛び出した。)
         (ほぼ90度に急上昇して怪物の拳から逃れる飛爛達。ココロアの青い尾羽を掴もうと怪物がさらに)
        (腕を伸ばした瞬間、特大の爆竹が一斉に炸裂した。腋の下と胸にかけて、火槍を突き刺されて)
        (居た怪物は上半身を大きくえぐられ、大きな振動を起こしながら片腕を地面に落とした。)
        (だがまだ奴は生きていた。いやそもそも生き物なのか不明だから、奴は動いていた。)

         そいつらだけじゃない!連合の兵士がだんだん集まって押し返して来てる!
        地上部隊と一緒に後ろへ下がって!こいつら私がなんとかするから!
         (空を行けるシャツァル兵と違って、混戦の中では脆い歩兵部隊の保護をフェロミアに頼みたい)
        (というのも本音ではあったが、とにかく安全な場所へさがるように飛爛は指示を出す。) -- 飛爛 2012-07-31 (火) 00:58:39
      • シャツァルを空へ上げろ!一羽たりとも死なせるんじゃないぞ!荷物は全部捨てて行け!
        爆薬は支柱を外して化け物供の方に転がしてから火矢を放て!あいつら足は遅いぞ!いそげいそげ!
         (飛爛の家臣であるクラトも怪物たちの間を縫うように低空で飛びながら、地上へと指示を出す。)
        (地上で待機していたシャツァル達が羽を広げて、次々に滑走をはじめる。その背に飛び乗ったり)
        (あるいは地面から飛び上がって足に捕まって運んでもらう地上部隊の兵士達。)
         (しかし3000人以上も居るとなると、圧倒的に鳥が足りない。ほかの大部分の兵士達は)
        (一塊になって、頭上を舞う飛爛達の飛行部隊が退路を開いてくれるのを待つよりなかった。) -- クラト 2012-07-31 (火) 00:58:50
      • ―これ、は……(目の前で圧倒的な力を持って歩兵を蹂躙する巨人を目にして思わず動きが止まる)
        これは、ゴーレム……?いや違う。ゴーレムがこのような―っ!?
        (思索を巡らせる暇も無い。ぼやぼやしていると足元ごと巨大な手で抉られてミンチになってしまいそうだった)
        (事実、逃げ遅れた者達は既にあちこちで鮮血の花を咲かせている)今はとにかく、撤退することが先決か…!
        (連合軍も息を吹き返して今が好機と反撃に転じてきている) -- 那岐李 2012-07-31 (火) 01:16:54
      • // -- 飛爛 2012-07-31 (火) 06:01:45
      • 撤退か……(無表情に柱の騎士を見上げて呟く)仕方ないな、こりゃ(彼我の戦力差は圧倒的にも程がある。生きてるのかどうか知らないが、先ほどの火槍の一撃を見ても今の戦力では殺しきれないであろう事は明らかだ。)
        殿は一番辛いんだけどな、と(だがそれゆえにやりきったときはさぞいい評価が下されるだろう。地上部隊の後ろに一人降り立ち、鎧から突き出す杭で体を地面に固定する)
        (柱の騎士たち全てを射程に捕らえ、動きを待つ。一人で敵を引付けようと言う飛爛の方も援護しなければ、どうしても動きの鈍る地上部隊を守る任務など果たせまいと判断した結果の行動である) -- フェロミア 2012-07-31 (火) 23:34:06
      • ちょっ、フェロミアー!?
         (その場に踏みとどまるフェロミアに飛爛が驚いた声をあげると同時にココロアは羽を畳み、)
        (ダーツの矢のようになって歪な巨人…柱の騎士の頭上をすり抜ける、尾羽を巨大な斧が掠めていった。) -- 飛爛 2012-08-01 (水) 00:00:36

      •  (爆薬のあげた煤煙の向こうに一体、また一体と巨大なシルエットが湧き上がる。)
        (状況はいよいよ逼迫してきた、早く巨人の垣根の間に抜け穴を穿たなければ、全員ぺしゃんこに)
        (されてしまいそうな威圧感だ。高速道路で4方向をトラックに囲まれた時の圧迫感にそっくりだった。)
        (この時代に車はないが。)
         (それに立ち上がった柱の騎士達の木の幹のごとく太い腕に、城壁の柱のごとく堅牢な脚に)
        (いいや、動くたびにうめきにも悲鳴にもにたその鎧と死体をかき集めて出来上がったからだ総てに・・・)
        (ありとあらゆる武器が生えだした。人型の針刺しのようだった。)
         (唸りにも恨み言にも似た音を全身から垂れ流して、フェロミアへむけて巨人は包囲をせばめていく)) -- 2012-08-01 (水) 00:00:43
      • (呼びかけには応えずバイザーを下ろす。どいつを狙うのが今、一番効率的なのか……まずは手負いの騎士に狙いを定め、鎧のサイドを翼のように広げた)
        (未だ弾の生産が叶わず封印されていた武装、推進式爆筒装填管。そこにオーバーテクノロジーの産物の代わりに鳥からでさえ発射できる火槍を詰め込んでいた。逃げる兵士が捨てた物を回収し適当に放り込んだだけではあるが)
        ……行け(声とともに、武具結晶の力で着火された火槍が真っ直ぐに飛ぶ。飛ぶ事を考えず詰め込んだ結果飛爛の使った数の倍以上を一度に発射する事になった。固定された体がほんの少し後方に下がる)
        (狙ったのは飛爛を追う柱の騎士の柱の部分、人の体で言うなら足。他の連中が包囲を狭めてきているのは分かっているが、足止めくらいは今の武装で出来ると言う事の証明が欲しかった。「武装」し近付いてくる敵の威圧感をひしひしと肌に感じる。だがこれでいい、殿を務めるとはこう言うことだ。)
        逃げてろよ(後方を確認して地上部隊の撤退の様子を確認しておく。戦いにだけ集中できないのが辛いところだ) -- フェロミア 2012-08-01 (水) 00:17:24
      • あのヒレあんなことできたんだ!?ありがとーフェロミアー!
         (火槍を作った自分達よりもずっと効果的に使いこなすフェロミアの姿が、
        (強烈に飛爛の脳裏に焼きついた。かけた声はいつもと同じく軽かったけれど)
        (獲物を狙う猛禽類のような空色の瞳で見ほれていたかもしれない。)

         (ココロアが地面スレスレを掠めて飛ぶ、湿った土すら風圧に跳ね飛ばされて泥の雨となった。)
        (槍ふすまになった腕を巨人が振り落とす、だが、青い羽にはかすりもしない。)
        (羽ばたきがさらに泥を舞い上げて、飛爛と鳥が巨人の頭上に舞い上がった。鉤爪に二つ)
        (見事に爆弾を抱え上げていた。投下、落下をはじめた瞬間、爆弾の支持架にある点火装置に)
        (火が付いて、支持架が弾け飛んだ。そのまま爆弾は地面に落ちて転がる・・・不発かと思われた)
        (その瞬間、2〜3体の巨人を巻き込んで爆炎を吹き上げた。) -- 飛爛 2012-08-01 (水) 00:39:26
      • (展開した鎧を畳み、杭を引き抜く。どうやらそれなりに効果はあったようだ、と一安心。こう言う道具を使えば自分の継戦能力もカバーできるか)
        (飛爛の方にちらりと視線を投げかけた。得意げではあったが誇っているというよりは褒められるのを期待しているような目。見事投げられたボールをキャッチした犬のような)
        (そんな目付きは一瞬で消え、飛爛の戦い振りを鋭い視線で観察し始めた。あの爆弾も使えるな、と思いつつ次の行動に向けて準備を始める)
        (爆薬。誤れば我が身を焼く程に強力な武器。使用後に漂う何故だか懐かしい香り。)
        (次に取り出だしたるは大きく長い筒。武具結晶の魔力を凝らして作った礫を撃ちだす為の道具。出来れば奴らの中心部がいい、先ほどの飛爛の爆弾投下によって出来たであろう亀裂に向かって一発。)
        (命中から一呼吸置いて魔術的な爆発が起こった。火薬に比べればとても小さく可愛い物だが、亀裂深くに潜り込んでいる事がその威力を高めるであろう。殺せるかどうかは分からないが) -- フェロミア 2012-08-01 (水) 23:24:47

      • (泥人形の巨人がメキメキと枯れ木の折れるような音を立てながら、泥人形さながらに)
        (形を失っていく。崩壊の中心は巨体に開いた大穴だった。)
         (飛爛が散々、戦に用いるのをためらってきたのがまったくバカの所業のように、)
        (フェロミアはその機能を存分に発揮して、歩兵部隊を襲う巨人達の包囲を着々と切り崩していく。)
         (総大将である飛爛直属のシャツァル兵達も精鋭の名に負けじと、飛爛、フェロミアに続き)
        (各々の騎鳥を操って、奇岩谷間のように不気味な巨人が林立する地上めがけて羽ばたいた。)
        (急降下しざまに爪で巨人の頭を蹴りつけ、地面に転がった爆薬を拾い上げて爆撃していく。)

         (空からの助けを得て散り散りになりかけた歩兵達もようやく開き始めた活路へめがけて)
        (駆け出す、この死の谷間から抜け出せるのも後少しだ・・・その矢先。)
         (矢が飛んだ、撤退するカタクァ軍の後方から、大混戦を抜けて、連合国軍が連携を取り戻しながら)
        (迫ってきたのだ。巨人達の足元をすり抜けて、鉄鎧の兵士があふれだす。) -- 2012-08-02 (木) 04:18:49

      • 高度を取れッ!!散開ーッ!!
         (飛爛が叫ぶ、巨人の相手をするために低空を旋回し続けていたシャツァルの飛行部隊は)
        (このままでは格好の的になってしまう。)
        (再び無数の矢が放たれる。数十m後方から山なり黒い豪雨が飛爛達めがけて降り注ぐ!)
         (数十羽の鳥の群れはサッと旋回、急上昇し、矢ふすまの隙間を縫って難なくかわしていく)
        (飛爛自身も他の鳥よりも大きなココロアを巧みに操り、かすりもせずに、空へ舞い上がる。)
        (すでに幾たびの戦いを潜り抜けてきたシャツァル兵達だ、この程度の弾幕は軽いものだった。)
         (だが・・・敵の矢とて決して無為なものではないのだ。)
        (飛爛の横を飛んでいたシャツァル兵の一人が首を射抜かれ、命綱で鞍に縛り付けられたまま)
        (空へと血を撒き散らした。搭乗者の異変に巨鳥がしきりに背後を気にして、ヨタヨタと)
        (低空でふらつき始め、それを狙って連合軍の兵士の弓矢が再びギリッと引き絞られた。)

         (火薬が弾け飛んだような音が鳴り響く、それは飛爛の乗るココロアの羽が激しく大気を打った)
        (音だった。ムチの先端が音速を超えて破裂音を発するのと同じ原理で、巨大な翼が一瞬で180度)
        (翻った一瞬に蒼く輝く風切り羽の先端が音の壁を越えたのだ。)
         (編隊を組むだれよりも早く、空中を足で蹴るように急転回した飛爛とココロアは)
        (上空より斜めに一直線、連合軍の弓隊の真っ只中に突っ込む。)
        (弓兵が上空から突進するその影に狙いをつけなおした時にはもう遅く、巨大な鉤爪は一度に)
        (5人の兵士の頭を握りつぶしていた。)
         (上あごから脳天を鉤爪に貫通された体が、後続の兵士達を押し倒しながら宙へ持ち上がる。)
        (途中で首の骨が折れてちぎれた体が地面に落ちて、その遥か後方へ首が投げ落とされた。) -- 2012-08-02 (木) 04:19:14
      • (持ち主が認識に至るかどうかはともかく、バイザーは周辺の状況を捉えている。固体識別は出来ないまでも、飛爛とココロアの所在は動きで大体把握できた)
        (射落とされる鳥達を見ても分かる、彼ら飛兵は機動力はあれど防御力は生身に過ぎない。持ち場を離れてでも助けに行くべきか、彼女らを信じて地上部隊を逃がすべきか。逡巡しつつもその銃口は柱の騎士の足止めに徹した。)
        (いくら強くとも1対多数ではいつか疲労し隙が生まれ、そこを突かれる事になろう。それはこちらも同じではあるが……弓兵の陣に切り込む飛爛と地上部隊を援護し殿を務めるフェロミア。両者の距離は刻々と広がっていく一方であった) -- フェロミア 2012-08-02 (木) 23:15:14
      •  (襲撃された兵士達が飛び去った鳥の背を撃とうと振り返った時にはもうすでに鉤爪が迫っていた。)
        (飛爛と鳥が振り子のように速度を落さないまま何度も兵士達の頭上を往復するたびに血しぶきがあがる、)
        (ほんの僅かの間に何人蹴り殺されただろうか。ココロアの鉤爪と青い腹の羽毛が真っ赤にそまっていた。)
         (取り残された編隊が遅れて飛爛の元に舞い戻る。ようやく気が済んだかのように飛爛はココロアを)
        (羽ばたかせて敗走する自軍の方へと騎首をまわしながら編隊へ戻った。)
        (もし仲間が来なければ皆殺しにするまで続ける気だったのかもしれない。)

         (大きく突出してしまった飛爛を含む数羽が陣形を立て直そうと高度を上げ始めた。)
        (突然それを遮るように地面から何かが突き上げる!それは新たな柱の騎士、まるで地の底から沸き上がる)
        (ドス黒いヘドロの噴水、空へと突き出したその異形の拳を突き破って、巨大なバリスタの矢が飛んだ!)
        「うわっあ!!」
         (目の前に突き出した杭に驚いて、飛爛の横を飛んでいたシャツァル兵が思わず急制動をかけた。)
        (失速する、巨体を飛ばすだけの速度を失った鳥が急速に巨人の上へと落ちていく。)
        「羽ばたかせて!!」
         (速度を失った鳥が墜落する寸前、ココロアがその後ろを押した。他の鳥よりも二回りはデカイ体が)
        (仲間が落ちるのを防いだ・・・しかし。)
        「・・・あ、やばッ・・・ 」
         (飛爛の目の前に、無貌の顔を覗かせる異形の巨体・・・、衝突をとっさに回避したときには遅かった。)
        (翼はあっという間に揚力を失って、落ちる勢いそのままにココロアは地面を走るはめになる。)
        (着地の衝撃で、小さな飛爛の体はゴムまりのように鞍の上を跳ね飛んだ。)
         (地に引きずり落とされた獲物を狙って、背後には連合軍の兵士が、そして前には柱の騎士がその)
        (威容を林立させていた・・・。) -- 2012-08-03 (金) 00:21:51
      • (油断していた訳ではないし、柱の騎士の事を忘れていた訳でもない。唯一つ、人間とは他人を助けて自分が無防備になる事もあるものだ、と言う事を忘れていた)
        (以前ならこう言う時……そう、例えば少女が巨人の攻撃を受けて地面に叩き付けられた様な時。助けに行っても助かる見込みはないとか、危険を冒す程の価値はないとか、そういう判断をしただろう)
        (今回は違う。まだ答えを得ていない。暫く一緒に過ごした者と戦うリスクを背負ってまで飛爛についた目的はまだ果たされていなかった。もしかしたら、そんな事がなくてもこうしたかも知れない)
        退がれよ、走れ!(地上部隊に発破をかけ、自分は飛爛の方へ走る。きっかり12歩走って今度は跳ぶ。走っている時に既に位置を変え始めていた鎧がフェロミアを包み、戦場の空気を裂く様に鎧が象った金属の鰭が空を翔る)
        (低空飛行からほぼ直角に急上昇。我と目標の間を阻む巨人の注意を引き、人が羽虫を追い払うように振られた巨大な腕をすり抜け、その頭上を越える)
        (それと同時に地面に向かって急降下をかけた。地上を見下ろして飛爛を発見すると、効果角度を微調整した後に鎧を戻し、先ほど一体の柱の騎士をしとめた筒を構える)
        (今回の相手は亀裂はない。この一撃で倒せる訳もない。だが怯ませられればそれでいい。何処で物を見ているのか、見ているのかどうかすら分からないが、振り向いた巨人の顔面と思しき位置に向けて一発の爆裂弾を飛ばす。恐らくそこで何かを感じ取っている可能性が高いだろう。数少ない条件から引き出した計算の上では、このまま自由落下すれば飛爛の近辺に落ちるはず……大きく腕を広げて目を閉じた。不慮の風などを感じ取って早く対処するために。)
        (神頼みはしない。だが、背中から落ちていく少女の姿は地上に大きな十字架の影を落とした) -- フェロミア 2012-08-03 (金) 00:52:11
      •  (飛爛の頭上でぐらりっと巨大な影が傾いだ。頭をから煙を吐き出しながら巨人が仰向けに倒れていく。)
        (そのさらに上にシャツァルとは違うシルエットが浮かんでいた。鋭角なウロコを連ねたその装甲は)
        (ともすれば無機質で刺々しい印象を与えるが、その時飛爛の目には風に舞う綿毛のように見えた。)
        フェロミア!どうしてこんなところまで・・・危ないよ!戻って!
        (地上ではほとんど役に立たない翼でバランスをとりながら、鍵爪がステップを踏んだ。)
        (飛爛は空から舞い降りてきたフェロミアに並ぶよう向き直る。) -- 飛爛 2012-08-03 (金) 20:31:30
      • (地面が近付くと一旦空中でホバリングし、落下速度を殺して着地する。大きく広がっていた鎧が閉じて、綿毛から元の鉄の塊に戻る)
        それは私より危なくない時に言え(バイザーをあげ、いつもの無表情で向き合う。無表情なりに安心はしている様であるがあまり深くは読み取れない)
        (短い会話を勝手に打ち切ると周囲の状況を伺う。あちらの敵は多い。そしてこちらのは大きい。逃げるにしろ戦うにしろ、こちらに有利な点があるとすれば……)まだ、飛べる?(飛爛とココロア、双方に投げかけられた言葉。再び空中戦に洒落込もうと言う提案らしい) -- フェロミア 2012-08-03 (金) 21:58:01
      •  (フェロミアは無表情でぶっきらぼうないつもの物言いだったが、無事でよかったと言われているような気がして、)
        (飛爛は感情に任せて飛び出したことを一瞬だけ後悔した。)
        (バイザーをあげるフェロミアにあわせるように、飛行帽のゴーグルを上げた。)
        大丈夫、翼も足も無事だけど・・・
         (思わず言いよどむ飛爛、再び迫りつつある敵勢をにらみながら、あせりが顔に浮かぶ。) 
        (体が並の鳥の比ではないシャツァルは一度地面に下りてしまうと、再び離陸するのは難儀だった。) -- 飛爛 2012-08-03 (金) 22:19:02
      • ……助走がいるのか(高い所から滑空するという手もあるのだろうが、時間のない時にこれは痛い。だがこの鳥を置いていく事など飛爛は許さないだろうし、今後の戦況にも影響するだろう)
        (そうなると手段は一つ、あまりにもそのまますぎて作戦とすら呼べないが)なるべく早く飛ぶ準備をして。時間は私が何とかする
        (何とかするとは言ったもののどうすればいいのか。弓兵の方が相手をしやすい、と言うか矢を何とかしないといけない気はする。) -- フェロミア 2012-08-03 (金) 23:20:24
      • なんとかって・・・!
         (しかし、言い争ってる時間がないのだけは明白で。)
        ・・・・・・・・・わかった、すぐに上がるから!
        (あたりの空気を押しのけるように蒼く輝く翼が広げられた。フェロミアに背を向けると首を低く構えて)
        (巨鳥は一目散に怒号と爆音の鳴り響く戦場の真っ只中を駆け出した。)
         (流れ矢が飛爛の頭上を掠めていく、放棄された投石器の残骸、そして巨人達が平原を路地へと変えていた)
        (その狭い道の中を翼をはためかせながら真っ青な鳥が全力疾走した。) -- 飛爛 2012-08-03 (金) 23:33:48
      • 何とかは、何とか……(具体的な行動は考えていない、とにかく最大限に周りに反応して動く事は決めた)
        (駆け出すココロアの後を追って自分も走る。その内追いつけなくなるのだろうが飛び立つまで何とかなればいい、矢やら石やら、飛んでくるもので飛爛に当たりそうなものは片っ端から撃ち落した)
        (正確な射撃、飛来物の攻撃力を失わせる威力、両立させるには相当のエネルギーが要る。息が切れ、肌も普段より白くなっていく。武具結晶の力で戦闘と生命活動を同時に賄っているのだから、戦闘での消耗が激しければ当然の事ではあった)
        早く……(珍しく焦りの呟きをもらす。自分以外に聞こえるほど大きな声ではない。それでも唇の動きが苦しそうなのが見て取れるほどであった) -- フェロミア 2012-08-03 (金) 23:43:09
      •  (鉤爪が地面を蹴る感覚が長くなり始めた、広げられた翼が大きく弓なりに膨らみ再び風を捉え始める。)
        (その時だ、飛爛達が駆け抜ける地面が突然、ぐずぐずとヘドロのように沸き立ち、新たな巨人がその汚泥の)
        (中から立ち上がろうとしていた。)
        ココロアッあがって!!
         (今上がらなければ、背中を任せたフェロミアまでやれてしまう・・・飛爛が叫んだ瞬間。)
        (鉤爪が地面を蹴り上げた、跳躍、重力の束縛がその体から次々に抜け落ちる、さらに跳躍、)
        (羽ばたきながら、立ち上がろうとする巨人頭を踏みつけて、翼が再び空へと舞った!)
        やった・・・!あがったー!このまま一気に振り切る・・・! -- 飛爛 2012-08-03 (金) 23:57:31
      •  (喜んだのもつかの間、飛爛とフェロミアのすぐ真下に赤い光点が灯った瞬間。)
        (いくつ者汚泥の噴流が立ち上がった。それは周囲の死体を飲み込み、周囲の残骸を飲み込み・・・)
        (急速に膨れ上がって、新たな巨人として、二人の行く手を遮る。) -- 2012-08-03 (金) 23:57:38
      • よし、そのまま……(そのまま上がれ、と言いかけた時。足元に起こる違和感が言葉を遮った)
        (嫌な予感、正確には何かが起きるという確信に従って射撃を中断し、飛びのけば)反則だろ……(足元からの「増援」。奇襲も甚だしい所だ。だが飛爛は飛び立った、このまま行けば逃げるチャンスもあるだろう)
        行けー!(叫んで自分は逆方向へ向かう。付き従っていたくてもそれを押し通してどちらかが危険になっては意味がない。ここは二手に別れるべき、と脳の冷静な部分が決定したのだった) -- フェロミア 2012-08-04 (土) 00:05:47
      • フェロミア!
         (地面から突き上げる巨大な拳が起こした風圧に煽られるように前のめりになるココロア、)
        (飛爛が後を振り返れば、一人敵の方へと進むフェロミアの鎧姿があった。)
        ・・・ッ!
        (すぐさま、ココロアを回頭させようとしするが、左右を別のシャツァル兵達に挟まれた) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 01:07:23

      • 姫様!危険です!もう弾薬も武器もありません、すぐに引いてください!
        (なおもフェロミアの後を追おうとする飛爛の前を遮るように別のシャツァル兵も飛んだ。)
        ここで姫様に死なれるわけにはいけないのです!どうしてもというなら私達が代わりに
        行きます!! -- 2012-08-04 (土) 01:07:31
      • (これ以上自分がここに踏みとどまれば、ふたたび犠牲が増える、従えたシャツァル兵達と)
        (フェロミアの両方を無事に助ける手はなかった。)
         (ぎりっと歯噛みした、飛爛はココロアを羽ばたかせて弓兵の矢から逃れ高度を取る。)
        南よ!私達は南にいくから!!
         (遠ざかるココロアの背の上から飛爛は叫ぶ、フェロミアの姿はすぐに巨人の背に)
        (隠れてみえなくなってしまった。)
         (戦場を後に残して羽ばたきは飛爛を運んでいく。待っているとは言えなかった。)
        (彼女は元々西側の人間だ、むしろあっち側へ行けば、混戦をぬけて原隊へ復帰する)
        (ことも出来るだろう。)
         (だけど飛爛は何故かあの時、そう考えるよりも先に、フェロミアが自分を守るために)
        (残ったと思ったのだ。あるいはそう思いたかったのかもしれない。)
         (再び風に乗ったシャツァルはすぐに、敗走する自軍へと追いついた。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 01:18:19
    •  (飛爛達が戦っていたのと同時に、三千の兵士達を逃がすため。飛爛の隊から別れたクラトは)
      (散り散りになっていく仲間達の頭上を飛んだ。)
      散らばるなァッ!円陣を組め!
      (飛びながら潰走しようとする味方の兵へ指示を飛ばす。)
       (巨人の出現からものの十分と立たずに、安全だったはずの後方陣地は阿鼻叫喚の地獄と化した。)
      (ひき潰された者がいた、引きちぎられた者がいた。巨大な滑り台のような木組みの滑走路はなぎ倒され)
      (散乱して、引火した爆薬があちこちで火災を引き起こす。もはや収集のつけようのない混乱状態であった。)
      •  (クラトの駆る灰蒼色の巨鳥、グナンが地面に転がっていた皮袋を飛び去り様、爪で高く放り投げた。)
        (放物線を描いて皮袋は巨人の歪な頭部に当たった。頭に引っかかった皮袋を巨木の枝のような)
        (指が摘み上げる、パンッと軽い発砲音、球状の弾丸が皮袋を打ち抜き、爆炎が巨人の上半身を飲み込んだ!)
        (上半身を吹っ飛ばされた怪物の足がボロボロと崩れてなくなっていく。)
         (銃身を切り詰めたライフルのような銃を真ん中から折り、火薬袋とセットになった弾丸を装填するクラト。)
        (低空を高速で旋回する鳥の背中からよく当てられたものだ。飛爛一の家臣だけあって、実力も)
        (彼は申し分ないらしかった。)

         (だが、誰もが同じ事をできるとは限らない。現に巨大な怪物と対等以上に渡りあえているのは)
        (飛爛やクラトの他数えるほどのシャツァル乗りしかいない。)
         (飛行部隊の強みはとりもなおさずその装備した爆薬の強さだった、だが今鳥に爆薬を抱えさせる)
        (余裕がない、そもそも飛び立つときに滑走しなければならないシャツァルは一度飛び立ってから)
        (かなりの速度で掻っ攫うようにハンドバック型に作られた爆弾の柄を掴まないといけないのだ。)
         (重量物である爆薬を空に持ち上げる事、それ自体熟練と準備が必要なもので、とてもじゃないが)
        (敵巨人に包囲された中で出来ることではなかった。)
         (装備した爆薬、火槍を使い切ってしまえば、後の武器は搭乗者の弓矢や槍、そしてシャツァル自身)
        (が持つ鉤爪しかない。戦況は芳しくなかった、これまで連戦連勝を続けてきたカタクァの兵士達にとって)
        (初めて経験する苦難だった。しかも・・・)

         (皮鎧に身を包み、投槍と手投げの爆薬で応戦していた歩兵部隊の中隊長が、巨人の手の平で)
        (押しつぶされた。ゆっくりとあがっていく掌の下にぼたぼだと、吐き気を催す赤い滴り・・・。)
        っち・・・!なんて間の悪い・・・・・・・・・那岐李ッ!!指揮を引き継げ!姫様と私が包囲を切り崩すまで
        持ちこたえさせろッ!!
         (再び高く高度をとりながらクラトが叫んだ。) -- 2012-07-31 (火) 03:43:59
      • ―っ 中々無茶を、仰る…!
        (クラトの指示に苦笑いを浮かべる。恐慌状態の歩兵たちを取りまとめて体勢を立て直し、時間を稼げだと?)
        (だがそうでもしなければここで部隊は壊滅だ。自分一人脱出するだけならどうとでもなるだろう)
        (しかし、此処でカタクァに滅びて貰っては困る。ならば―)

        (逃げ惑う歩兵に向けてその拳を振り下ろす巨人に向けて距離を詰め、巨人と歩兵の間に割って入る)
        (抜き放った刀に纏わせた黒い霧の力を解放し、その身体能力を瞬間的に増幅させる)
        …っぐ、ぅ……っ!!言葉も知らぬ木偶如きに…!我が身に宿りし蛇神を打ち砕けると、思うな…っっ!!
        (刀の腹で拳をじりじりと押し返し、弾き飛ばす。体勢を崩された巨人が後方へと地響きを立てながら転倒した)
        誇り高きカタクァの民よ!!汝等の誇りはこのような木偶如きに蹂躙されるようなものではないはずだ!
        幾千年もの間培われた歴史を此処で費やすつもりか!?体勢を立て直せ!汝等の首長が血路を切り開くまで持ちこたえてみせよ!
        (刀を掲げ、声を張り上げる。萎縮してしまった兵を奮い立たせるために)
        (まだ彼等の歴史には調べていないことが山ほどあるのだ)
        (此処で終わらせてなるものか―) -- 那岐李 2012-07-31 (火) 23:48:23

      • 「そ、そうだ・・・俺達が残ってるから姫様が逃げられないんだ!!」
        「手投げ弾を持ってる奴は前へ出ろ!足を狙え!爆薬は効くぞ!」
        「あそこに落ちてる鞍を拾って来い!火槍が装填されたままだ!急げ!!」
        (浮き足立ち、ばらばらに逃げ出す寸前だった歩兵達が、懸命に生き延びるために駆け出し始めた。)
        (巨人の攻撃を防いだ那岐李に勇気付けられ、辺りに散乱した使えそうな武器をかき集めながら)
        (退却のための陣形に集まっていく。) -- 2012-08-01 (水) 00:12:22
      •  やっぱりね、こういうの得意そうだと思ったんですよ、さぁグナンこっちもがんばりますよ
        (ガラスをすり合わせたような強烈な咆哮が巨人供を身震いさせた。その一瞬の隙をついて)
        (地面をこするような急降下そして急上昇をみせ、また一つ爆薬を拾い上げる。)
        (投下そして狙撃、炎が薄暗く煙る戦場を真っ赤に照らした。右半身と左半身、それぞれ半分)
        (づつを失った巨人2体が崩れ落ちて形をうしなっていく。 -- クラト 2012-08-01 (水) 00:19:05
      • (戦意を取り戻した歩兵たちは、先ほどまでとは見違える動きを見せ始めた)
        (クラトが切り開いた道に陣形を保ったまま突入し、進路をふさぐ巨人たちに恐れることなく立ち向かっていく)
        (火槍が、手投げ弾が巨人を穿つ)
        (那岐李はその先頭集団に於いて歩兵の戦意を損なわせぬように、巨人たちに向けて刀を振るい続けていた)
        朧気ではあるが…見えて来たぞ、貴様ら木偶の正体が…!
        (巨人を切る度に、身に宿した黒い霧が力を増していく)貴様らは、陰の世界に属するものだ!
        恐れ・恨み・悲しみ・悔恨…それら負の思念渦巻く貴様ら木偶が、我が宿した蛇神に勝てる道理は無い―
        (那岐李が刀を振るえば切っ先から伸びた蛇の牙がいとも容易く巨人の腕を、足を穿つ)
        (那岐李が宿した異能は即ち陰の神である蛇神の力)
        (それを振う那岐李の刀が、たかだか人の陰の感情の集合体を切れぬ道理はない)
        (しかし、あくまで那岐李の力は少数を相手にするためのもの。集団を同時に相手にするには些か分が悪い)
        ―まだ、か…っ!?
        (更に歩兵を守りながらとなると思うように戦える筈も無い。力の代償として蓄積される疲労が、徐々に那岐李の刀を鈍らせ始める―) -- 那岐李 2012-08-01 (水) 00:54:44
      • 「ナギリッ!前へ出過ぎるとあぶない!」
         (投槍を構えた歩兵の小隊が那岐李の援護に回るように駆け出してきた。だが兵士達は手持ちの)
        (弾薬が尽き、普通の武器では突いても切っても巨人、柱の騎士にはなかなかダメージが通らない。)
        (正直まともな戦力といえるのは術を操る 那岐李だけだった。)
        (巨大な腕が振り上げられて、煙った頭上を大きな影が覆う。相手は絶望的なまでに巨大で、そして)
        (それに倍する殺意を立ち上らせていた。いや、その姿は無念と殺意そのものだったかもしれない。)

         (振り上げられた巨人の腕に燃えさかる投槍が突き刺さった。)
        (台風で枝葉を振り回す大樹の勢いで巨人が腕を振っても炎は容易に消えない。)
        「うぉおおい!火だ!火ぃつかえ!」
         (横から全員半裸の一団が那岐李達のいる部隊へとかけて来た。)
         (別にテンションがあがってしまったわけではない、彼らは何の防御も望めない)
        (皮鎧をそうそうに捨てると上着を裂いて投槍に巻き付け火投槍にしたのだ。)
        (燃料は引っ張ってきたシャツァル用投下焼夷弾の中身、油だった。投槍で皮袋をついて)
        (たっぷり染み込ませ、松明から火をつける。)
        (そして生き残りカタクァ歩兵達が次々に燃え盛る投槍を巨人めがけて投げつけた。)
         (正式装備に投槍が採用されているだけに、その威力や精度はかなりのものだ。) -- 2012-08-01 (水) 01:28:40
      • あと一息だ!そのまま真っ直ぐ突っ切れ!!
         (半裸の一団はクラトが誘導してきたものらしい、灰蒼色の巨鳥が頭上を飛び去りついでに)
        (思い切り巨人の顔面と思しき部分を蹴り飛ばして行った。)
         (生き残りがバラバラにならないよう空から誘導しつつ、とかく使えるものを引っ張り出してきたようだ。)
        (混戦とはいえ、鳥瞰できるというのはなかなかに有利であるらしかった。) -- クラト 2012-08-01 (水) 01:29:05
      • 貴様ら…フン、カタクァの誇り、というわけか
        (図らずも彼等に窮地を救われる形となり、カタクァの民の結束の高さとそのポテンシャルを改めて確認した)
        (やはり、脈々と受け継がれてきた誇り高き血の繋がりというものはここぞという時に抜群の力を発揮するものだ)
        (クラトが操る巨鳥の一撃で崩れ落ちる巨人の姿に大地を揺るがす歓声が響き渡る)
        (此処に居る者に、死の恐怖に怯えている者はいない)
        (自らに流れる血の誇りに掛けて、目的を完遂せんと団結する戦士たちの姿に歯噛みすると同時に、心底妬ましくもあった)
        (彼等と自分達の違いは一体なんだ。歴史の深さというだけでは語り切れぬ何か―)
        (絶望的なまでの隔たりがあるような気がした)

        道は開けた!汝等の進むべき道は此処に!汝等は生き、自らの誇りと血の尊さを示さねばならない!
        此処で死ぬことは許されぬ!クラトが開いた道を突き進めぇ!
        (再び刀を掲げ、切り開かれた道を歩兵隊と共に突き進む)
        (威勢の良い言葉を吐くその心の内、暗い、嫉妬にも似た醜い感情が渦巻くのをひた隠しにしながら那岐李は走る)
        (今はまだ死ぬわけにはいかない。彼等に死んでもらうわけにも行かない)
        (何時の日か、カガチ人もまた、誇り高きカタクァに並ぶべき存在であると)
        (彼等に知らしめるその時まで―) -- 那岐李 2012-08-01 (水) 01:55:22
  • (224年1月某日、ローランシア首脳会議が行われ、西側の諸国が統一連合の旗の元に集い)
    (第一次バルトリア会戦へ向けて準備が進められていたときのことだ)
     (神殿騎士であり、アルメナの司教でもあるカルロの下を訪ねた一段があった。)
    (彼らは先日、帝国の手に落ちた東ローディアの、まだ帝国の手が及ばぬ南部都市国家郡の)
    (代表使節であるという。)
     (彼らがやってきた理由はこれから、使節の代表とやらが述べるのだろう。)
    (東ローディア風の白いローブを纏い、深く被ったフードから長い金髪が垂れていた、)
    (背格好からしてそのローブの下は少女のように思える。)
     (そして彼らがすんなりここまで入れた理由が、カルロの前に燦然と輝いていた。)
    (それは枝葉にたわわな実をつけた高さ1m程の観葉の果樹。葉には葉脈が見て取れる)
    (実った果実にはりんごの表面のような模様があり、枝は樹皮の質感もここちよく生き生きと)
    (天へむかってひろがっている。だがその木は生きては居ない。それら総ては純金の黄金細工。)
     (他にも、川からしぶきをあげて跳ねる大魚、木の枝に羽を広げる鷹、総て果樹と同じくらい精巧に)
    (作られた黄金細工が並び、指輪に首飾り、果ては靴まで、西ローディアの宮殿にも同じものは)
    (無いのではという程の、気でも狂ったように精緻な純金工芸品が並んでいた。) -- 2012-07-30 (月) 04:36:03
    • んー、なるほど……これほどまでの布施を当教会にしていただけるとは驚きだ
      (筆舌に尽くしがたい豪華絢爛な黄金装飾を前にすれば、傷ついて未だに聖骸布の巻かれている額に手を置き、考えるような仕草をする)
      (そして直ぐににっこりと微笑んで顔をあげる)
      これだけの篤信を積んだとあれば、神も貴女方を手厚く遇してくれることでしょう
      さ、どのようなお話なのか聞かせてください -- カルロ 2012-07-30 (月) 04:43:27
      • はい
         (使節の代表と名乗った少女が、ひざまづいて伏せていた顔をあげた。)
        我々は今、異民族の不当な侵略により、危難の淵に立たされています。
        今までは共和国と反目しあうことも少なくなかったとはいえ・・・東の飢えた野獣にとってみれば
        私たちは狩り残した西の羊でございましょう。
         ゾドが敵の手に落ちてしまった今、我々には頼るものが必要です。
         (それは侵略してきた大爛ではなく、今までが決して良好な関係ではなかったとしても)
        (同じローディアに根付くアルメナのほかに無いという。)
        (献上品は敵意の無いことを示した上で、自分達にかけられた異教徒として「教化」対象の)
        (指定を取り消して欲しいと願うためのものであった。)
         (大爛の西侵以降、それ以前に行われていた教化救済戦争のことなど当然うやむやのうちに)
        (霧散霧消しているというのに律儀なことである、あるいは南の蛮族らしく政治の機微には疎いのだろうか。) -- 飛爛 2012-07-30 (月) 05:09:41
      • (なんだその程度のことか。教化救済で結局大して懐が潤わなくて難儀していたのだが……思わぬところで臨時収入じゃあないか。ぐふふふ)
        (と、まぁ、そんな思惑はおくびにも見せず、にこりと柔らかく微笑み)
        それは……東の馬賊に故郷を脅かされ、さぞかし辛い想いをしたでしょう
        しかし、ご安心ください。たとえ東ローディアが滅び、その貴族達が民を守る役目を果たせなくなろうと……神は決して貴女達を見捨てたりはしません
        (さっと、手をとり、それなりに整った真摯な顔つきで応える)
        同じ西の民として、共に戦い、そして共に歩んでいきましょう
        我等が神は必ず貴女方にも祝福の光をお与えになることでしょう……おい、お前たち。彼女に礼の証書を -- カルロ 2012-07-30 (月) 05:25:35

      •  (カルロに見えるのは、フードのしたの、思いのほか口調よりもずっと幼く見える女の顔。)
        (白い肌そして金髪碧眼、どれも西側の人間の特徴だが・・・その目は、碧というより、空色に似て)
        (ともすれば、凍りついた海のような色にも見えたかもしれない。)
        苦境の底に落とされた時こそ、人そして物事の本質は見えます。
        あなた方が尊敬すべき隣人であったように、我らもまたそうならんと努めましょう。
         (その瞳を伏せて、女は恭しく頭を下げた。) -- 飛爛 2012-07-30 (月) 05:42:00
      • (フードの下の顔……そこに映る瞳の色の深さに、つい怖気が奔る)
        ……は、はは、何をおっしゃいますか。我々神国は人のあるべき道を示し、そして共に歩んでいるだけです……
        さて、名残惜しいですが、私は公務がありますのでこれで……
        (書類をさっさと渡し、ひっこんでいく)

        (……なんなんだ、あの瞳の色は……まるで、真冬の湖の底のような……)
        (ええい、とにかく、金さえもらえばあとは用済みだ……適当に往なして返してしまえ) -- カルロ 2012-07-30 (月) 06:06:42
  •   献上された宝を召使に運ばせ、奥へともどっていくカルロの背中を空色の瞳の主はひざまづいたまま
    じっと見送った。フードと金髪の下にある視線の鋭さは天空から獲物を探す猛禽にも似ていた。

     公式にも有効と証された書状を手に使節の一団はカルロのもとを辞する、その帰り道。
    「はー・・・この書類1枚手に入れるのに、カタクァの秘宝が6点も・・・ナギリが聞いたら絶対
     もったいないって怒るよねぇ。」
     宗教的装飾も華麗に、神国アルメナの重要書類の書式に乗っ取ってしたためられた書類を片手に
    つまんで眺める金髪の少女。それは髪を染めた飛爛だった。
    「返せば伝来の家宝6つだけで国が手に入ったということですよ姫様」
    並んで歩くともすれば少年のようにも見える男は飛爛の臣下であるクラト。彼も黒髪を金色に染めていた。 
    「んー・・・悪くない買い物だった?かな、うん」
     飛爛の手に入れた証書の内容、それは神国アルメナが元東ローディア南部のまつろわぬ部族に
    対して特別の許しを出すというもの、いうなれば免罪符のすごいやつである。
     亡国の危難に際し、蛮勇奮う侵略者の甘言を退け、我らへ恭順を示すのはまさしくアルメナが諭す
    所の真実の愛情であり、尊き行為であり、神は悪人の改心する事こそを大いに喜ばれ、
    また彼の者は身の財を惜しげもなく削り証を立てたことにより、最大限の寛容の心でもって
    神に代わりこれまでの彼らの悪すべてに許しを与え、その魂を祝福しその権利を認め、うんぬんかんぬん・・・・・・・・・。
    「その証書があるかぎり、あの街が帝国へ寝返らない限りは『対等に』彼らと付き合えるという
     証ですからね。それにしても姫様」
     クラトは飛爛の手から、証書を受け取ると油紙に包み、皮袋へいれ、箱にしまって封をする。
    「なにー?」
    「交渉の席に現れた司教殿、あれは姫様がガルガの門で蹴っ飛ばした御仁にございますよ。」
     引見の最中、それに気付いたクラトは実際笑いを堪えるのに必死であった。
    「え、マジで?うわっ全然きづかんかった!」
     そして飛爛はまったく彼のことを覚えておらず、とうとう飛爛の後ろでクラトは爆笑してしまった。-- 2012-07-30 (月) 06:49:12

Edit

  • 223年 12月
     共和国首都ゾドの無血開城の知らせは全土の抵抗勢力から勢いを奪っていった。
    戦線をさらに拡大するため、あるいは新たな領土の統治のために大爛帝国の軍はさらに
    西の地へと広がっていく。
    東ローディアの荒野をつめたい風が吹き抜けていくようになった頃。カタクァの軍も長く
    布陣していた岩山を離れて、南部方面軍へと参加することが決まっていた。
    「引越しする前に合流できてよかったわ、どう調査の方は?」
     陣屋の中で那岐李と久々に会う飛爛、周りには他クラトをはじめ他数名の部下達も居た。
    赤い毛織の絨毯の敷かれた上に置かれた卓上に大陸の地図を広げ、立ったまま覗き込んでいる。 -- 飛爛 2012-07-27 (金) 00:37:53
    • えぇ、東ローディアに点在していた遺跡を幾つか調査しましたが…興味深いことが分かりましたよ
      (開戦の地となった古代遺跡群をはじめとして、彼は進軍の合間を縫って解放した地域の遺跡等を調べ上げていた)
      (調べていた遺跡の位置を幾つか指で指示して口を開く)あなた方カタクァが所持している文献や遺跡にはその歴史の長さを物語るものが幾つもありましたが…此処、東ローディアでその裏付けとなるものを幾つか見つけました
      統一王朝以前の遺跡に、幾つか壁画が遺されていましてね。そこに描かれていたのですよ。カタクァと思わしき人々の姿が
      (その弁から何時になく高揚しているのが分かるだろう。さも嬉しそうに。ともすれば宝物を見つけた子供のような雰囲気)
      …やはりあなた方の歴史は他の民族の群を抜いて深いものがある。此処で発見した遺跡がカタクァの物なのか、それともカタクァを知る者達が遺したのか…それは分かりませんがね -- 那岐李 2012-07-27 (金) 00:46:29
      • へーほんとにあったんだ、その昔山を越えて西の海からやってきたって伝説は本当かもしれないわね
         (毎度おなじみの白いワンピースとズボンに最近は冷えるのでマフラーを首元にぐるぐるまいてる飛爛)
        (足元の毛皮ブーツもなかなか温そうだ、ブーツのインナーである羊の毛がもこもこで、でかいために)
        (長靴を履いた猫状態、あるいは毛長のウサギみたいで小動物感アップである。あざとい。)
         (那岐李のもたらした様々な情報を、周りにいる部下達が地図に書き込んだり、手記に写したりしている。)
        (彼らは文官で、大爛帝国の文字の他に今では使う者の少なくなったカタクァの文字の読み書きも)
        (出来る希少な人材である。)

        遺跡ってどの辺にあったの?おっきかった?
         (そして熱心に仕事をする部下以上に、興味津々なのが飛爛のようだった、机に身を乗り出して、)
        (というか机の上に両手で乗り上げていた、机が傾くので落ち着いてくださいと、部下に怒られた。) -- 飛爛 2012-07-27 (金) 01:15:29
      • (対して那岐李はいつもの恰好に一枚西国制の外套を羽織っただけの簡素な恰好である)
        (カタクァの文官には資料の解読の際に非常に世話になった。何しろ今まで見たこともない文字体系だったので)
        (基礎の文法から手取り足取り教えてもらったのだから。そのおかげで何とか簡単な文章なら解読出来るようにはなったが、まだまだ彼等の力は必要だ)

        …そうですね、地図で言うならこの辺りです。ほぼ砂に埋もれた状態でしたので確認出来たのは一部だけではありましたが…
        それでも6枚羽の鳥と、それを従えているように見える人々の図…カタクァの壁画は確認出来ました
        (言いながら、地図上を幾つか指さした。彼が見つけたカタクァの壁画は他にも幾つかあった)
        (その位置も周りの文官と飛爛に指示しつつ)…恐らく、あなた方が把握しているよりもずっとカタクァの歴史は長い
        調べれば調べるだけ新しい発見がありますし…研究者としては嬉しい限りです
        (調べれば調べる程カタクァの歴史の深さを思い知る。これだけの歴史があるのであれば、彼らが未だに誇りを失っていないのにも何となく納得できる)
        (民族の誇りと言うものは独自の歴史の上に築かれるものだというのは分かっていた)
        (だからこそ、自分はカガチ人のルーツを明らかにし、同胞が忘れていた誇りを取り戻したいと願うのだ) -- 那岐李 2012-07-27 (金) 01:41:45
      • それは確実にまちがいないわね!しっかし、森の中に遺跡があるのは知ってたけどまさか砂漠にまで
        あったなんて、ふぅむ・・・遺跡の近くの町に宗か喬が居ればいいのになぁ、むぅーでも発掘したいから
        手伝えとかいったら、この忙しいときに何してんですかとか怒られるか・・・むむむ・・・。
         (腕組みしてふむぅと柳眉のシワを寄せる飛爛、相変わらずちょこまかとよく動く。)
        (唸っていたとおもったら、すぐにまた楽しそうな表情で顔をあげた。)
        那岐李すごいよね、よくこんなに短期間でいっぱい調べられるよね。ぶっちゃけ私、学者ってのは建前で
        ほんとは何か、怖い仕事してる人なんじゃないかって思ってたけど・・・
        (悪戯っぽく笑う飛爛。彼に東ローディアを行き来するさいの便宜と同時に、各地の様子を探るようにと)
        (密偵紛いの仕事も押し付けたのはむしろ自分自身だというのに。よく言うものである。) -- 飛爛 2012-07-27 (金) 02:33:44
      • 恐らくではありますが…遺跡が作られた当時はまだここは緑の大地だったんでしょう。それだけの変化が起こってもおかしくないだけの年月ではありますし、ね
        確かに…本格的な発掘まで出来れば新しい発見もあるでしょうが…今の帝国に、歴史の重要性を理解する方は少ないですしね
        (宝物を粗方奪い尽くされた東ローディアの遺跡ともなれば尚更です、と付け加え)
        ……いえいえ、私はあくまで学者ですよ。国の庇護を受けられぬ私設の研究組織ですので…荒事への対処の方法は色々と身に着けてはいますがね
        (飛爛の言葉に応えるその顔は少し困ったような表情でもあった。彼の言葉は半分事実であり、半分嘘でもあった)
        (彼が力を身に着けたのは、自分に宿った異能がカガチ人の固有の物であると信じているからだ)
        (他の誰にも出来はしない自分の異能こそ、彼が今現在持つカガチ人の誇りであると信じられる最後の一欠けらだ)
        (だからこそそれを振えるだけの力を身に着けておきたかった。この異能に恥じぬだけの確かな実力を)&br(何時からか、それを使って他者をいたぶる事でカガチ人の優位性を示そうとしていることには気づいていたが、見て見ぬふりをしてきていた)
        ……しかし、突然どうしたのです。何か、調査以外に頼みたいことでも?
        (心中に渦巻く複雑な想いを隠しながら問いかける。自分に各地の調査を命じた以上、自分の能力を彼女は最初から利用するつもりだったのだろう)
        (それを今更このような言い方をするのには、何か理由があるはずだ) -- 那岐李 2012-07-27 (金) 02:42:46
      • ん?別になんもないよ、ただ、えらいなーって思っただけ。
        (さらっと雰囲気台無しである。)
        爛の人ってさー、なんていうのかなぁ・・・即物主義?儲かるかなんか得がないと、動かないじゃない
        でもね、私はこういう古い歴史を調べて伝えたり、学問をする人を大事にするのって重要だと思うのよね
        だから那岐李がほんとにちゃんと仕事してくれて嬉しいなぁって思って。
        (飛爛が戦場に出るようになって、だいぶ経つ、だが相変わらずその笑顔は子供っぽく裏も表もなかった。)

         (姫様、彼に課した別任務も大変重要なことなので、お忘れなく・・・そう、背景と一体化していた)
        (クラトに釘をさされる飛爛、大丈夫かこの姫様。)
        ・・・大丈夫、覚えてるから、ほんとに
         (横からせっつくクラトを手で制止しつつ、頷く。)
        (飛爛が那岐李に頼んだのは変動を余儀なくされる東ローディア各都市を行き交う交易品、)
        (貴重な宝石や輝石といった魔術用具、そして食料に、とりわけ貴重な軍事的資源である鉄が)
        (どこから来てどう流れていくか、その詳細なルートと取り扱い業者の明細を作ることだった。)
         (そして同時に、それらの資源を扱い加工する職人達がどこに多くいるのか、材料の仕入れから)
        (仕事の請負まで、およそ産業に関する情報の現状を調べさせていた。) -- 飛爛 2012-07-27 (金) 03:11:43
      • …良くも悪くも帝国民は今を、前だけを見て生きていますからね
        過去を調べ、歴史を知ったところで今現在役に立つわけでもないですから…
        私の場合は単に目的があって調べているだけですよ。それがたまたま、貴方がたカタクァの歴史を調べることと同義だった…というだけです
        (飛爛の言葉に薄く笑いながら返す。この少女の裏表のない言葉に、時折どう返答したものか困ることがあった)
        (余りにも真っ直ぐな言葉と瞳に、自分が塗り重ねた虚栄を見透かされているのではないかと思うことがある程だ)
        (だからだろうか、最近は少しずつ本当のことも話すようにはなっていた。だからといって、彼の全てが推し量れる程の言葉ではないが)

        …別件の任務のことですかね。それでしたら―
        (クラトの言葉が耳に入った。ふぅ、と小さく息を吐いてからそちらの調査結果を話し始める)
        (脇に抱えていた書類から件の物を幾つか机の上に広げ、交易ルートや各物品の流れ、職人たちのリストと各々の出来ることなど)
        (頼まれていたことをほぼ網羅したものを次々と説明していく)
        ―…と、こんな所ですね。あとは直接依頼したり、交易ルートへ介入してみないことには… -- 那岐李 2012-07-27 (金) 22:13:45
      • おわっ細かッ!うむぅ、これだけしっかり調べてあれば計画立てるのは困らないかな。
         (提出された資料の細かさと漏れのない完璧さに驚く飛爛、どっちかというとそれらの資料を)
        (ふむふむと、よく読みこんでいるのはクラトの方だ。)
        私たちがこれから向かう南部で、必要な物と人を滞りなく運ぶには、他の誰よりもうまく東ローディアの
        商人達に協力してもらわないといけない・・・うん、直接交渉したりするときもよろしくね。
         (反攻への準備はちゃくちゃくとすすんでいた。激動のうちに始まったこの年も終わろうとしていて、)
        (彼らが後戻りができなくなる日も近かった。) -- 飛爛 2012-07-28 (土) 00:07:39
      • えぇ。直接あなた方が交渉に赴けば本国に動きを気取られることもあるでしょうしね
        …西方にはもとから付きあいのある商人も居ます。その方面を当ってみますよ
        (いよいよ西側との本格的な戦闘が迫ってきている。このまま両国が泥沼にはまっていく中で)
        (彼女たちは如何にしてその身を泥沼の中から羽ばたかせるのか)
        (それを見届けるために、そして自分自身の目的のため)
        (今しばらく彼等の力になったままでいようと思う那岐李であった―) -- 那岐李 2012-07-29 (日) 20:39:36

Edit

  • 【223年 秋 共和国首都首都ゾドからそう遠くない荒野】 -- 2012-07-30 (月) 00:42:28
    •  (フェロミアが飛爛の元に来てからしばらくが過ぎた。まだ残暑が続いていたが、日に日に空は高さを)
      (増しているような気がする、秋がちかづいていた。)
       (この時帝国軍は共和国首都ゾド攻略のために周辺の都市や城砦を次々と攻め落としていた。)
      (カタクァ軍もその動きに応じて徐々に西へと拠点を移動させていく。もうこの移動も何度目だろうか、)
      (新しい拠点は街を見下ろす崖の上だった、これまで、他の帝国軍の近くには拠点を作ろうとしなかった)
      (カタクァの軍隊だったが、このときは他にほどよい高低差のある場所がなかったようだ。)
       (移動もすでになれたもので、ちゃくちゃくと、大きな宿泊テント、それよりもでかい巨大な鳥小屋に)
      (鳥の発着場などもどんどん作られていき、昼過ぎに始まった作業は日暮れ前にはすでに終わりそうだ。)

      うーむ、やっぱり街が目の前にあるとあっちに泊まりたくなるわねぇ・・・
       (飛爛は断崖の上から白い町並みを見下ろしていた、東ローディア特有の白煉瓦の町並みは)
      (高いところから一望するとまるで整然と並んだ石切り場のようにも見えた。)
      (あちらこちらから立ち上って見える、白い煙は夕餉の支度だろうか。)
       (フェロミアを捕虜とした後、飛爛は他の帝国軍とは違い奴兵として最前線に立たせたり情報を得る)
      (ための尋問なども行わなかった。ぼんやりしてろ状態である、戦いを望むフェロミアにしては)
      (大いに不満ではあろうが。) -- 飛爛 2012-07-30 (月) 00:42:38
      • (設営作業を、それに加わるでもなく眺めている。もう何度も見ている光景、そろそろ見飽きてくる頃だった)
        (とはいえ他にやる事もない、飛爛と話したりする以外はまるで一般人のような扱いを受けていた。戦闘行為に関わる事もなければ労働力として何かさせられるわけでもない。期待していた事でもないが、尋問や拷問なんてものとも全くの無縁である)
        (平和。もしも自分が人間として生まれ、望まぬ戦闘で捕虜になったのであればこの上なく幸運なのであろうが)
        br;あんたの軍隊じゃ無理かもな、地上の物は大体全部ぶっ壊しちゃうんだから
        (戦う事に抵抗はない。例え相手がこれまで仕えていた国でもだ。寧ろ武具結晶を三つ持つ国に勝てれば自分の優位性を示す事にも繋がるとさえ感じている)
        (なのに戦闘に参加できない、小さな焦りと苛立ちが言葉の端から漏れてきているようだった。)私なら、街の一角くらいはほぼ無傷で確保できるのに(なのに、なぜ自分を使わない?) -- フェロミア 2012-07-30 (月) 01:02:01
      • シャツァルで白兵戦できる子はまだ半分くらい、安全にいくには上から爆弾落すしかないからねぇ
         (むふぅーと深い息で、黒い前髪を吹き上げる。フェロミアの言い分はもっともだった。)
        (実際、飛欄の部下達からも逃げ出そうとすることもなく、十分な戦力を持っている彼女を戦列に)
        (加えるべきだという声もあった、むしろ飛べるのだからシャツァル部隊の小隊長でもいいまで)
        (言われていた。ちなみにその言葉の後には別にちっさかわいいから、という訳ではないと)
        (付け足されていた。どうやらロリコンが多いようである。)
         (それらの言葉を適当に流しつつ、なんだかんだで一月以上保留し続けてきた飛爛だったが・・・)
        んー・・・むしろ聞きたいんだけどね、フェロミア私たちと一緒に戦うってことはさ、今まで味方だった
        人とばったり出くわすかもしれないんだよ。
         (刻一刻と変わり続けていく戦況が彼女にそうさせたのか、めずらしく真面目に話す気のようだった。) -- 飛爛 2012-07-30 (月) 01:20:46
      • 爆弾じゃなくて矢とか射掛けたら、まだ被害もマシかも(ただ当たるかどうかは分からないし、殲滅するつもりなら効率も良くないだろうとは思う)
        ……なるほど、それはその通りだ(騎士団の仲間を思い出す。普通の戦場で死ぬようなタマでもあるまい、とまだ戦死していない事は確信していた。だが)私は別に構わない、あの子たちには勝たないといけないんだ、私は
        それに……ずっと鞘に収まってる方が辛い。自分の意味を見失う(兵器としての自覚は生身の脳にも刷り込まれてしまっていた。今更生き方は変えられない。行く末は戦い続けるか、戦場で朽ちるか、またはより良い兵器に成り代られて捨てられるかだ) -- フェロミア 2012-07-30 (月) 01:29:40
      • あはぁーそういうと思った、フェロミアはそういう性格だよね
        (うんうん、とうなずく。)
        初めて出会ったときも、ボロボロだったけどすごく生き生きしてたしね、あの姿はかっこいいなぁって
        思ったのも事実なんだよね。うーん、なんだろうだからかな私も乗せられちゃったっていうか・・・
        ああ、わたしも対抗してやろみたいなね?
        あのときはやっぱり私も・・・沸き立ってたいうのかな、必死になるのとも、楽しいとも違うんだけど・・・。
        ・・・だからってやっぱり、すごく危ないことをしてたのは代わりないし、命がかかってることだし。
        フェロミアと一騎打ちしてたあの時だけ特別ってんじゃなくて、あれもやっぱり、殺し合いだったわけで・・・。

         (考えがまとまらないのか、考えてることを口に出してしまってるのか、腕組みをしながら)
        (あーでもないこーでもない、と長い黒髪を揺らしながらぶつくさなにかいってる。が、不意にうなずき。)
        ・・・・・・・・・うんっわかった!私はやっぱりね、あの日空を泳いでいるあなたの姿がとても綺麗だと思ったの。
        (いったいどんな結論に達したのか皆目検討がつかない。) -- 飛爛 2012-07-30 (月) 01:50:32
      • そういう性格なんだよ(大体分かられているのか、それとも分かってるつもりなのか、それは分からないが今のは当たっていた。性格と呼ぶべきかどうかは悩むところではある)
        ……は?(言っている事は理解できる。言葉だって通じた。が、どうも今までの話とは違う事を話しているような気になってくる。かっこいいとかなんとか、褒められて悪い反応はしないが)
        正直に言うと、私は殺す気だった。そこまでは行かなくても、あんたがおっこちて私を追ってこられなくなればいいと思って飛んだ。何の因果か二人とも生きてて、話なんてしてるけど……そっちは、殺す気じゃなかったんだな(生きている事が何よりの証拠。ただ沸き立って……興奮で追いかけてきた相手に殺す気で挑んで負けたのか。はっきりしてしまったのに逆にしょうがないなと言う気になってくるのが不思議だ)
        ……そっか、それじゃ仕方ないな(分かった、と言う言葉についに結論が聞けるのかと期待したが完全に外された。この少女と話を始めて何度目だろう?いつもならイラつくはずが、何故だかそれはそれで立派な答えになっているような気が、最近はしてきたのだった)初めてだよ、そんな風に言われたのはさ -- フェロミア 2012-07-30 (月) 02:03:38
      • お世辞じゃないわ、ほんとよ。小っちゃい時に初めてシャツァルが飛ぶのを見た時と同じくらい
        いいなぁって思ったんだから。
         (無邪気に前髪を揺らして笑う飛爛。)
        だから、戦うことが一番っていうのが、すこし寂しいかな・・・私ね本当はココロアを・・・シャツァル達の
        事を戦争には使いたくなかったんだ・・・。
        (それは寂しそうな笑顔だった。) -- 飛爛 2012-07-30 (月) 02:37:05
      • いや、そうじゃなくて(お世辞とかそうでないとかではなくどこからそんな話になったのか、と言う事が気になっているのだが)
        あれだけ使いこなしといて良く言うよ(事実見事なものだと思う、飼いならして戦地に赴かせ、爆音に驚いて暴れるような個体もいない。兵器として十分に活用しているようにしか過ぎない)でも、私はあの鳥とは違う。戦うために作られたんだ、戦いに行くのに遠慮も哀れみも、要らない -- フェロミア 2012-07-30 (月) 20:07:32
      •  (痛いところを突かれたなぁ、と飛爛は苦笑いした。彼女は矛盾を抱えていた。)
        (武器として使いたくはなかったといいながら、巨鳥を駆り先陣を切るのはいつも彼女だ。)
        (戦うこと自体が好きになれないといいながら、誰に強いられるでもなく彼女は進んで兵士を導いた。)
         (兵器という自身のあり方をまったく信じて疑わないフェロミアと比べたら、むしろ不安定で)
        (まったくおかしな生き方をしてるのは、自分の方なんじゃないかと思えてきた。)
         (だから、ずっと迷い続けてる自分の心に不安を感じて。彼女も自分と同じ心の迷路へ)
        (道連れにしたいと思ってるのかと、飛爛はちょっと自分で自分が笑えて来た。)
        (なんて肝の小さい奴なんだろう、ものすごく大それたことをしようとしているのに。)

        (しかし、言い訳になるかもしれないが、迷うことも悪くはないんじゃないかとも思えたから)
         (いや、正確にはまだ迷っていられるという今が悪くはないと思えたから。)
        ・・・・・・・・・違わないよ、私は彼らともあなたとも、こうして言葉を交わすことができるもん
        私はこうして話してるとき、ただ言葉が通じてるだけなんて思ってないよ。
        だから私は命令はしない、戦うことがフェロミアの一番っていうなら、それでもいい・・・
        だけど他の人に止められたって、絶対に譲らないっていう理由を自分で見つけて欲しいと思ってる。 -- 飛爛 2012-07-30 (月) 21:19:28
      • 理由……(理由、それはそう生まれついたから。その為に作られたから。それだけ)
        (それだけだが、そこを疑ってみたらどうなのだろう?本当にそれだけを望まれて作られたのか?それなら意思なんて持たさなくても、人の形をしていなくても良かったのではないか?今までは考えないようにしてきた。自分一人では何をすればいいのか分からなかったから)
        (意識に刷り込まれた戦って自分の性能を示すと言う目的に従うのが一番楽で、安心だったから。じゃあその後は?後進にデータを渡して自分は廃棄されるのか?それは嫌だ)
        (使い捨てが目的なら、自己の破壊を避ける様にプログラムされているのは何故?壊されるとしたら持ち主にさえ反抗できるのは何故?)
        (思考の谷間で迷う。自分の意思と言うものを疑っただけでこんな風になるとは、自分でも予想外だった)
        理由は……やっぱり、そう作られたからだけど……(今は機械らしからぬ曖昧な答えしか思いつかなかった)だけど、その先が分からない。戦って、強さを示して、それから私はどうすればいい?もしかしたら、私は……それを知りたくて、まだここにいるのかも(環境を変え、視点を変え、立場をも変え。自分はそうする事で何かが見えると期待したのだろうか?確かに一つ、違うものが見えてきた。それは新たな疑問への入り口だった) -- フェロミア 2012-07-30 (月) 21:43:49
      • 私もよくわかんないんだよねぇ、どうして私はこんな事してるんだろう、全部終わったらどうなるんだろう・・・。
        やらなきゃいけないことも、理由もあるし、納得してるけど、それとは別にずっと、何故?って言い続けてる
        私もいる・・・。答えを知りたいのは私も一緒だよ。
         (両手を背中に回して小さな胸に空気を送り込む。ふぅっと息を吐くと長い黒髪の先が跳ねた。)
        すっごい、もやもやするけどねー。でも答えは簡単にきめられないし、きめないほうがいいのかもしれない。
        正しい答えが一つきりだなんて保障もないわけだし・・・ふふふっ私と一緒に目いっぱい
        もやもやしような!
         (意地悪が成功してフェロミアまで同じ思考の迷路へみごと引きづりこむことに成功した。)
        (飛爛はこの上なくいい笑顔でにんまりと笑う。夏の残り香を含んだ風はまだ当分やみそうにはなかった。) -- 飛爛 2012-07-31 (火) 04:22:48

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  • 黄金暦223年8月神聖ローディア共和国ゾルドヴァ古代遺跡群より十数km離れたカタクァ陣地 -- 2012-07-26 (木) 00:44:21
    •  (陣地といってもそこは帝国軍に占領された東ローディアの街だ。)
      (荒野の中をかろうじてそこが道だと分かる街道がそのまま、背の低い建物の並ぶ街の中央通りに)
      (つながっていた。砂漠の中の街だ、まっさらな青い空に白い煉瓦壁がまぶしい。)
       (街に翻るのは赤い『爛』の旗、他の都市がそうなったように、ここもまた占領された後そのまま)
      (大爛帝国の街となっていた。)
       (その街を麓に見下ろす岩山の上に、風車が回っている。元からそこにあったものではない。)
      (風車の近くにある、陣屋の中で巨大な灰蒼色の巨鳥が敷き藁の上に並んで座っていた。)
      (飛んでいる時は生物というよりまんま航空機か何かのようにすら見えるのに、羽を畳んで)
      (いると間違いなく鳥だ、というかシルエットがすごく鳩に近い。)
       (ここは岩山の上に築かれたカタクァの陣地だ。飛爛が率いるカタクァ軍は街ではなくその郊外に)
      (駐屯していた。ゾルドヴァの戦場で捕まったフェロミアが連れてこられたのもここだった。)
      (囚われの身といっても、縄を打たれるでも閉じ込められるでもなく、陣の中なら自由に)
      (歩くことはできた。ただしその外に出れば周りは身を隠す茂みもない荒野だ。)
      (どこへ行ってもすぐに鳥が飛んでいくのだろう。) -- 2012-07-26 (木) 00:44:29
      • (逃げられないな、と思う。拘束していないのはそれを見越してだろうか、それとももはや逃げる気力も失っているのを見抜かれているからだろうか)
        (陣地内を何をするでもなく歩いて回るが、何も頭に入ってこない。武具結晶も持たぬ鳥と人間に負けたショックはあまりに大きい、いっそ自爆でもすべきだったかと思わないでもなかった)
        (だが一つ、心残りがある。自分を捕まえた鳥に乗っていた女のあの笑顔。なぜあの局面であんな風に笑えるのか?今まで出会った人間も、データとして知っている人間も、あの状況であそこまで楽しそうには笑うまい)
        (そうだ。それを知ろう。何をするにしろ、自分より強いものの情報を得てからでも遅くない……歩く。あの女を捜して) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 00:54:10
      •  (フェロミアを見つめる好奇心満天な視線、若い者も居れば壮年の者のいて、女も居れば子供にしか見えない)
        (者達もいた。なんだか軍隊の陣地というより、朴訥とした小さな田舎村にでもいるような雰囲気であった。)
         (不意にフェロミアの頭上に大きな影を落しながら、風が吹きぬける。見上げれば、それは一際)
        (大きな体と、鮮やかな青い羽を持っていて、そいつは岩山に張り出して作られたやぐらの上に降りていく。)
        (断崖に張り出した櫓上で翼を広げて夕日を体いっぱいに受けると、いっそうその青い羽が輝く。)
        (巨鳥の背の上で、青い羽が巻き起こした風に長い黒髪を遊ばせる少女がいた。)
         (足音も軽く、少女が巨鳥の高い背の上から飛び降りると。誰からともなく姫様!と周りに)
        (いた者達があつまってきた。少女の姿は駆け寄ってくる誰よりも小さかった。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 01:14:53
      • (目標を決めると何だか冷静になれた気がした。そんな気分で周りを見てみると、何かここが普通の戦場では無い様に思えてくる。戦火が届いていないのか、老若男女自然に戦争に参加しているのか)
        ……いた(探していた相手を見つけた。あの蒼を見ると言い様も無い感覚に囚われる。今すぐここからいなくなりたいような……それが恐怖に近いものだと知るにはまだ少し、経験が足りない)
        (姫様、と呼ばれている少女。紛れもなくあの女だ。あの時感じた凄みは今は感じられない、本当にただの少女の様で……今襲い掛かれば倒せるんじゃ?そんな風にさえ感じつつ、少し遠巻きに「姫様」とその周りに集まる人々を眺めていた) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 01:22:10
      •  (出迎えに来た人たちに笑顔で答えながら・・・というか、なでられたり回りに集られたり、もみくちゃにされ)
        (ながら帰還を喜ばれる姫様と呼ばれた少女。本当に姫なのだろうか、ペットじゃなかろうか小動物系の。)
        あはははっただいまー・・・ちょっ髪がみだれるっみーだーれーるーあははっ!
        (本人もまんざらではない様子である。その愛馬ならぬ愛鳥である、蒼い巨鳥もさわられまくってた。)

        (少女、飛爛の視線が遠巻きに、様子を伺っていたフェロミアを見つけた。)
        あっ居た!ちょっと通してね、あ、ココロアのお世話お願い!
        (人垣が割れるよりも早く、飛爛の小さな体が飛び出してくる。)
        あなたも無事だったようね、よかった!私は飛爛よ今はここの総司令ね
        (ついでに周りの人の言うことには彼らの女王でもあるらしい。姫でもなければペットでもなかった。)
        それにしてもあなた・・・
        (握手を求めるように手を差し伸べながらじっと飛爛の空色の瞳がフェロミアを見つめている。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 01:44:06
      • (見た感じでは完全に愛玩されている。もしかしてあれか?アイドル部隊か何かか?自分もそんな様な部隊の一員だったためすぐに思い当たった。だとしたらそんな奴に負けた自分って一体、とも思う。)
        (物思いにふけっていると興味の対象が目前に転がり出てきた。小さな体、跳ねる様な挙動……印象はやはり小動物だ。だが知っている。彼女が命がけの戦闘中に楽しそうな笑顔を見せる女である事に。)
        よ、良かったって……(敵だぞ私は。捕虜にしたって生きてさえいればいいはずだろう。何だか本気で心配されているような感じがして、ちょっと戸惑う。あの扱いにこのなりで、総司令で女王だって事も含めて)
        (少しためらった後に握手を交わす。)私が、何?どうするの?(瞳の中の空に吸い込まれそうになって少しくらりとする。女の精神構造も気になるが自らの処遇も気にはなった。握手ついでに質問する) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 01:55:38
      • 私よりも小さい人、戦場で初めてだわ!
         (握った手を振りながら。それはそれは、とてもうれしそうな笑顔であった。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 02:00:16
      • ……そこ!?(思わず気が抜けてがくっと軽くずっこける。緊張感台無しじゃないか)
        (結局自分はどうされるのか聞けてないし……まぁ、この分なら殺されそうにはないかな?ちょっと甘い考えをする余裕も出てきた) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 02:04:29

      •  (その後、飛爛は人払いをさせた。といっても尋問という雰囲気ではない、ただ単に周りに見知らぬ)
        (人ばかりではフェロミアが話しづらかろうと思ったらしかった。)
        (切り立った岩山の上にへばりつくように設営されたカタクァの陣地の中を抜けていく。岩に器用に固定)
        (された皮のテントの中では夕餉の支度がなされているようで、豆を煮る湯気が立ち込めていた。)
         (さらに二人は岩山打ち付けられたほとんど梯子みたいな階段を登っていく。陣地内で一番高い)
        (場所にあるそこにも、例の巨鳥達が羽を畳んで休んでいた。)
        (普通に考えれば不便な岩山の上に陣を敷いている理由がこれだ、彼らはこの切り立った断崖から)
        (飛びたつのだ。)
        (夏の長い陽も赤く傾いて、目に見えない大気までも陽の色に染まっているようだった。)
        (眼下に赤い荒野が広がる。)
        うむー今日もよく晴れてる、こりゃ明日も暑いわねぇ・・・ね、フェロミアはどこの国から来たの?
        (供の者も連れず、ほんの数時間前まで本気で殺しあってた相手を前に飛爛は武器すら持っていない。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 02:22:58
      • (自分が言うのもなんだが、兵士・軍人の類とは思えない相手を前に捕虜とは思えない扱いを受けている事に違和感を覚える)
        (この陣地自体、戦争している感じが微塵もしない。ただ岩山を登るのは骨が折れた、肉体派じゃないのに……と愚痴を言いながらも何とか登っていく)
        おー……(眼下に広がる赤い光の海に思わず声を漏らした。飛んでいても中々この高さに到達する必要がある事はないだろう。自分の小ささとともに、人間程度の個人差の大した事のなさを感じられるので大地の雄大さは好きだ)
        ……ローディア連合。暑いのは、嫌いじゃない(少し話をしてみようと思う。無防備に見えるのがどういう意味を持っているのかも知りたい。素手でも自分の身を守る自信があるのか、こう見えて周りに射手でも潜ませているのか、それともただそこまで考えが及んでいないだけなのか……底が知れない) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 17:54:39
      • そっか、やっぱり共和国の人とも、なんか違うなって思ってた。
         (断崖の縁に腰掛けて足をプラプラさせてる飛爛、まったく高さを恐れていないようだ。)
        特にあの鎧?かなすごいよね!あの魚を使う人は他にもいっぱい居るの?
        あとどこまで飛べるのかもすごく気になるっ!シャツァル以外で空を飛ぶ人を見たのも
        あんなに高く空を上ったのも初めてだし。 -- 飛爛 2012-07-26 (木) 20:47:26
      • 正確には、ローディアの人間とも違うけど……(自分の体の詳細は知らない。目覚める前の記憶はないのだ、生まれた理由以外は)
        あれは……(言ってもいいものか、少し迷うが知られた所で何が変わる訳でもないと思い直す)あれは、私だけの物……今の世界じゃ作れない、多分(実際の所は分からないがそう答えておく。自分も断崖の淵に足を進め、ただ座らずに立っている)
        どこまで、か……それはもう、知ってるだろ(そう、あのチキンレースの時に)私だって鳥に乗る人間は初めて……あんな状態で、楽しそうにしてた奴もな(脳にまで埋め込まれた機械で抑えていた感情が顔を出し始めている。以前の戦場では怒り。この前の戦いでは恐怖。そして今回は、興味。) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 22:00:11
      •  (ふぅむそうなのかぁやっぱ魔法か何かなのかなぁ・・・と考えていたようだが、すぐにやめたようである。)
        (きっと考えるより感じるタイプなのだろう。すぐに飛爛の興味はフェロミア自身へと移ったようで、)
        (ともすれば無機質で不機嫌そうにも見える、フェロミアを見上げながら楽しそうに笑っていた。)
        うん、楽しかったよあれは。
        (思い出すように目をとじて、吹き抜けていく風に黒髪を遊ばせる飛爛。)
        最初は必死だったけど・・・なんだか途中から、もしかしてうまく飛べればそれで
        勝負付けられるかなって思ったら、ものすごく嬉しくなってきちゃって。
        あとはもう夢中だったよ。確かに戦ってはいたけど、戦争なんだって事は忘れてた気がする。
        ・・・んーまぁ、攻め込んできといて勝手なこといいやがってーって思われるかもしれないけどさ
        (苦笑い、ただ自嘲や誤魔化しではない、すこし寂しそうな。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 22:44:27
      • (魔法でもあり科学でもあり、武具結晶などと言う妙な物の恩恵さえ受けて飛ぶ鎧、鳥のほうがよほど信頼できそうな気がしてきた)
        いや……死ぬかもとか、思わなかった?あんな所まで行ってさ、苦しかったり寒かったり……鳥が嫌がったり、しなかった?(楽しみにしてもデメリットやリスクが多すぎるだろう、と思う。そもそも楽しむという事の重要性を分かっていない機械的な効率重視の思考回路の持ち主である)
        そっちは、別に。(戦場以外では自分は鞘にでも納まっておくべき存在とされている。だが刃だって鞘の中で錆付きたい訳ではない、そういう点では感謝している。戦争に、そして敵に。)
        まだ、戦争……続けるの?(しゃがみこんで敵の有力者と思しき少女に問う。自分はいつまでその存在意義を認められていられるのか、と) -- フェロミア 2012-07-26 (木) 23:13:38
      • 戦いはまだまだ続くと思う、終わらせられない理由がありすぎて・・・私にも、私以外の兄弟達にも・・・。
         (そして、もしかして目の前のフェロミアもそうなのかと、思った。)
        ・・・・・・・・・雲の上はやばかったなー息してるのに全然、息できなくてなんども意識ぶっ飛びかけたし。
        (不意に明るい声をだして話をぐいっと急旋回させる飛爛。)
        シャツァルはどんな高い山だって越えられるけど、さすがのココロアもかなりビビッてたわねあの時は。
         (飛爛は戦いが好きではない、それよりもただ自由に空を飛べることの方が嬉しい。)
        (そして、自分達以外で初めて空を翔ける相手と出会ったのだ、それがたとえ敵であったとしても。)
        (近しい気持ちを持つのは無理からぬことであった、ましてや話の通じない相手でもないのだ。) &br
        うむ、冷静に考えるとほんと私何やってんだろうって思うことは、よくあるんだけど・・・
        こればっかりはしょうがないわね、だって空を飛ぶことが生きることと同じなんだから!
         (だから飛爛はつい今日出会ったばかりの相手にも、自分が飛ぶ空に見えるものを教えたいと思った。)
        (自分とは違う空を飛んできた相手にだからこそ、そうおもったのだ。)
        じっとしていれば、地面にいるしかない私たちがそれでも、上を目指したのはそういうことだよ、
        何かのために飛ぶんじゃない、飛ぶ事はすごく自由だから、それがすごく楽しい。
        ・・・・・・・・・楽しすぎてたまにやりすぎる、ふひひ -- 飛爛 2012-07-27 (金) 00:13:36
      • そっか(個人的には喜ばしい事であるが、どうやら殆どの人間にとっては戦争が続く事は好ましい事ではないらしい。それでも戦わなければならない理由があると言う。聞いて見たくはあるが、今の所詮索はしない事にする)
        苦しいよな、あそこまで行くと……(内心ほっとする。空気が薄くても苦しくないとか、苦しいのが好きだとか言われたらまた一つ疑問が生じるところだった)
        つまり……(飛ぶ事は生きる事。自分は空を飛べてもそんな風に考えた事はなかった。いや、何の為に生きているのかと言う事を認識はしていても、生きる事がなんなのかなんて事は考えた事もなかった。だから問う)つまり、生きる事は自由でいる事……って事?(自分には自由に生きるなんて選択肢はないと考えていた。飛ぶのも戦う為、与えられた目標を完遂する為の手段に過ぎない。目の前の少女にとってはそうではないらしい、飛ぶこと自体が目的で、人生。そう言っている様に感じる)
        (だが一つだけ確かな事がある。自由だろうと姫様だろうと覆せない事。楽しいからといって引き際を見失えば、いつかは)……やりすぎて無茶したら、あの世までとんでっちゃうぞ(言うなれば、これは心配。敵に情が移ってしまったのか、戦いで脳に損傷を受けたのか、なんなのか。この気持ちの理由はまだ自分でも分からない) -- フェロミア 2012-07-27 (金) 07:09:49
      • ぶふっ・・・ッ!真顔で冗談いうのは反則だわ・・・!あははっでも、まだもうちょっとだけ、あの世はこまるなー
         (ツボったらしかった。肩をはずませながら笑っていた。)
        ねぇフェロミア、よかったらもうちょっとここにいなよ、あなたと話してると何だか今まで気にならなかった
        事がすごく不思議ですごいことみたいに思えて面白い。
         (同時に、大爛の快進撃が続く今、彼女を帰してしまえばふたたび出会うときは敵味方に分かれてしまう)
        (という思いもあった。)
        いろいろ語ってみたけど、実は私もよくわかんないこと多いのよね、生きることとか、自由だってこととか
        あとなんで飛ぶのってことも。
        でも、ちゃんと分かってなきゃいけないことらしいから、そういうの。
         (飛爛の言葉で多くの人間の生死や幸不幸を分けることになるから、それは重要なことに思えたし。)
        (敵として出会って、今こうして並んでいる、この奇妙な友人から見ている世界を知るのは面白そうだと)
        (飛爛はおもった。) -- 飛爛 2012-07-27 (金) 23:22:14
      • むっ(憮然とする。そりゃまぁ多少は洒落を入れたが真剣に言っているのに。どうせ死ぬのなら手柄になって欲しい、と敵を心配している自分と折り合いをつける)
        良かったら、と言われても……(飛爛の隣に陣取って断崖に座る。あぐらをかく様に地べたで足を組むその姿からは軽い諦めが見て取れた)ここからじゃ帰りようないじゃん、あんたが許しても他の兵士が追って来そうだしさ
        それに……(率直な思いを言葉に乗せる。今までもそうしてきたように。)面白いのは私も。こんな機会は滅多にないし、もう少し……知りたい
        私の知りたい事は、あんたのと違って知ってなきゃいけない事じゃないけどさ(感情なんて判断を鈍らせるだけの無駄な機能だと思ってきた。でも、それを持っている人間たちはこんなにも強く生きている。ローディアの騎士団でも、帝国の陣地でも。だから)あんたと話したりして、色々と知るのも……いいかも知れない -- フェロミア 2012-07-27 (金) 23:37:00
      • 飛爛だよ、飛でもいい。
         (逃げることなど不可能な状態ながらも、とどまることを決めてくれた相手に、飛爛はにんまりと笑った。)
        (本当によく笑う奴であった。)
        あとで、みんなも紹介するね!・・・ふふーんっ・・・よかったあなたとは、もっかい飛んでみたいと思ったから。
         (暑く乾いた荒野の大気の尾を引っ張るように、風が地平の向こうへ夕暮れを連れて行こうとしている。)
        (頭上にはすでに藍色の帳がおりてこようとしていて、無数の星達がもまたたきはじめていた。)

        //ぬあーごめん!れすあったの見逃してた! -- 飛爛 2012-07-28 (土) 00:36:35
      • 飛ぶのは良いけど、もうあれは御免だぞ(あれとはもちろん、命さえ賭けた上空へのチキンレース。飛爛ならまたやりたいと言い出すかもしれないので釘を刺しておく、流石に危険度が高すぎるのだ)
        皆に紹介ね……(どんな紹介のされ方をするか分からないが、この辺での敵国人の扱いはどうなのだろう?彼女に比較的友好的に接してるのはそんな不安からくる打算も確かにあった。姫様と仲良くしていれば悪い扱いは受けないだろう、と言う……だがそれよりも、さっきまで敵だった相手を隣においてまるで友人であるかの様に話す彼女のメンタリティが気になっている事の方が大きかった。彼女を理解するために自らも歩み寄る)
        ……強い明かりがあれば、夜飛ぶのも悪くないよ?(一つの提案をしてみる。独り占めしていた好きな事を共有してみるのも、分かり合うのにいいかも知れない。そんな風に思ったのだった)
        //いいんだ -- フェロミア 2012-07-28 (土) 07:15:44
      •  じゃあこれから行ってみますかー!・・・大丈夫雲の上まではいかないし。
         (飛爛は立ち上がって背をぐっと伸ばしながら、空を仰いだ。頭上はもうすっかり夜の色だ。)
        (本当に飽きないものである。戦いのためではなく、ただ飛べるというのがよほどうれしいのか。)
        (もしかしたらこいつは何も考えてなどいないのかもしれなかった。)
         (ただ、その誰もだませそうにない横顔は無邪気な少女そのもので、フェロミアが不思議に思った)
        (ものの総てが、何一つ無理やり押さえ込まれることなく、その内にあった。)
        //もどりやした!下のコメアウにおねがいします・・・ -- 飛爛 2012-07-28 (土) 22:06:33

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  • 黄金暦223年 10月 神聖ローディア共和国 荒野
     (赤と黒の2色になった雲が360度遮るものの無い夕焼けの空の下を流れていく。)
    (俄かに強くなった風が荒野に黒々と長い影を落す城壁を吹き抜けていった。そこでほんの数時間前まで)
    (戦闘が行われていたとは思えないほど静かで、不意に風の音に緩慢な羽ばたきの音が割り込む。)
     (無人となった城壁の上に降り立った巨大な鳥が居た。あまりに巨大すぎて、そいつが止まっている城壁)
    (の壁が小枝か何かにみえてスケール感が狂う。)
     (鳥はその大きな羽が落した影の下で死んだ兵士の肉を啄ばんでいた。蟹の殻を割るように鎧を爪と嘴で)
    (器用に剥き、服を剥ぎ柔らかい腹を噛み裂いては、肉をちぎりながら飲み込んでいった。)
    (まだいたるところで煙をあげているその城の中、同じ事があちこちで行われていた。)

     (時間を巻き戻して、その城が落城する数時間前、鳥の餌になる兵士達が自分の腹に昼飯を)
    (掻きこんでいたくらいの時。)
     (ゾルドヴァ周辺を完全に押さえた大爛帝国軍は東ローディア首都、ゾド包囲網を完成させるべく)
    (周辺の都市、城砦を次々と攻略にかかっていた。)
    (荒野に山のようにそびえたった2重の城壁を持った城塞都市もそのひとつ。)
     (規模こそ中堅クラスだが、小高い丘に建てられた城を中心に高い物見塔と無数の銃眼を備えた城壁が)
    (二重に張られ、城壁と城壁の間には町と畑、さらに外の城壁の周りに広がる町を囲って延々と空堀が)
    (掘られていた。水源は地下水脈からの井戸だと斥候が告げ、ますますもって手の出しにくい城であった。)
     (しかもその城を前にしているのは大部隊ではない、本隊から数十kmも先に突出した2000人足らずの)
    (軍勢で、巨人の家を前にたたずむ小人の群れといった風情が漂う・・・。そんな彼らが掲げるのは『爛』)
    (の文字を染め抜いた軍旗と、青地に真っ赤な太陽を象形した刺繍の入った小さな識別旗。)
    (飛爛の率いるカタクァの軍隊だった。) -- 2012-07-25 (水) 02:03:45
    • (さらに、合流する3千の兵)
      (蟲と騎兵を中心とした、六稜の兵士達)
      (それを率いる将軍、宗爛)
      (先日の飛爛の発言を気にして、監視の名目でこの地にきている)
      (最前線。戦場を見晴らせる岩山の上で、飛爛と並ぶ)
      ……地下水路があるのなら、毒は使わずに奪取したいところですな
      姉上。攻めるにあたり、何かお考えなどはあるのですか? -- 宗爛 2012-07-25 (水) 02:57:00
      • んー・・・
         (望遠鏡で敵の城をじっと見ている飛爛。これは東ローディアで手に入れたものだ、カタクァにも)
        (望遠鏡はあったが、こっちの方がピントもあわせやすくて気に入っていた。)
        (部下である古参のシャツァル兵には、そんなものより自分の目のほうが頼りになりますわい、と笑われたりしたが。)
         (先日少しだけ気まずい別れ方をした宗爛と飛爛は何の因果か攻城戦部隊の先発として)
        (派遣された。城攻めである、『城を攻める側は、守る側の10倍の兵力と膨大な資材が必要)
        (やねんで、ぶっちゃけ正面からいくのはバカやで』と、兵法の偉い人が言ったとおりの事がそのまま)
        (この時代の常識でもあった。こちらは多めに数えて5千、対する向こうは兵士だけでおよそ8千人らしい。)
        (当然、司令部がこの二人に期待したのも、補給路を断って相手を孤立させる程度の仕事である。)
         (ところが、飛爛は周囲にちょうどよさそうな丘を見つけると、さっさとそこに陣取り、出撃するそぶりすら)
        (見せなかった。飛行ユニットであり移動速度の速いシャツァルの次くらいに砂漠では早く頼りになる)
        (蟲達になにやら大量の荷物を運ばせるよう頼んだあとは、宗爛たちの部隊が本隊から離れて)
        (突出する自分達に追いついてくるのを待っていた。)
         (そして合流したのがつい先日のことである。その間敵は城から一歩も出てこなかった。完全に篭城の)
        (構えである。おそらく首都と連絡しあって迎撃の体制をとろうというのだろう。)

        お城頂戴ってお願いしたら、いいよ!って言ってくれないかなー
         (姫様はさらりとアホなことを言い出しなさった。宗爛と再会したあともなんだかずっとこんな調子だ)
        (のんきに冗談を言ってみたり、偵察いってくるといっては、一人でココロアの背にのって飛んで行ったり。)
        (相手がまったく動かないので、いっそのこと本隊が合流するまで仕事をサボるつもりなのではないかと)
        (すら思える。) -- 飛爛 2012-07-25 (水) 03:25:53
      • 時と場合によりますが、今は難しいでしょうな
        (あのような別れ方をしたところで、互いの絆に傷がつくわけでもなく、こちらも普通に接している)
        (無論思うところがないわけでは決して無いが……それ以上に姉のことが心配なのである)
        言われたとおりの資材は持ってきましたが……これは少し手間が掛かりそうな要塞ですな。あれだけの兵と資材で本当に足りるのですか?
        (宗爛にも腹案がないわけではないが、この城攻めの全権を任せられているのは宗爛よりも位階が上の飛爛だ)
        (彼女に何か策があるのならそちらがまずは優先である) -- 宗爛 2012-07-25 (水) 03:38:24
      • 上のほうは無理だろーなーとか思ってるわよねきっと。癪だからいろいろ準備はしたけどね・・・。
         (望遠鏡を畳みながら宗爛のほうへ振り返る飛爛。もう10月に入ったというのに暑い日が)
        (続いたせいか、毛織のショールは外して、白のワンピースと短いレギンスという格好だった。)
        ねぇ、宗はやるとしたらどうやって攻める? -- 飛爛 2012-07-25 (水) 03:56:42
      • (無防備な格好の姉から恥ずかしげに目を逸らし、淀みなく答える)
        煙攻め
        風上は我々が完全に陣取っていますからね。ここで火を焚き、砂塵と煙で要塞を包み込んでやればいい
        天教術師に風向きを操作させれば、数日で中にいる兵の半数は窒息死するでしょう
        その後は空から姉上の鳥が城壁に炸薬でも落としてくれれば、それで事は済みます
        あとは降伏勧告でもしてやればいい -- 宗爛 2012-07-25 (水) 04:09:40
      • 炙り出しだね!ちょっと柴を調達するのが手間だけど、それが一番よさそう。飛び出してきた敵だけ
        迎え撃てばいいし、住人だけ先に逃げてくれるかもしれないしー。やっぱ宗は頭いいねぇ、うん。
        (なるべく被害は最小限に抑えたい、当然飛爛もそう考えていた。)
        ・・・どうしよかな、やっぱ宗の言うとおり燻すだけ燻して、本隊来るの待ってようかな・・・その方が
        絶対安全なんだよねぇ・・・。
        (味方の大部隊は明日か明後日、遅くとも三日とまたずに来るだろう。)
        でも、それじゃあ・・・いつまでも使いっぱしりで終わっちゃうわよね・・・。
         (遠く、敵城砦を見下ろす飛爛の空色の瞳が、獲物を狙う猛禽類のようになっていたかもしれない。)
        (幾たびかの戦いを経る内に、雛鳥が綿毛を脱ぎ捨てて翼と爪を得るように、今までの彼女とは別の)
        (何かが育ち始めていた。) -- 飛爛 2012-07-25 (水) 04:31:13
      • 問題ありません。資材なら山ほど持ってきました。それに……足りなくなったらアレを燃やせば良い
        (そういって顎で示した先にあるのは味方や敵兵の死体)
        骨や灰も風にのせてやれば戦意も殺げることでしょう

        まぁそうですな……本隊がくるまで待つのが利口ではありますが……
        (姉の目を見ればにやりと微笑む)
        確かにそれでは、我々にとって面白い戦果になりそうにはないですな

        ……打って出ますか。姉上 -- 宗爛 2012-07-25 (水) 04:48:48
      •  (敵のみならず味方の死体すら道具として使い潰す帝国の戦い。あらゆる恐怖を刃に滴らせながら)
        (屈服か死を迫るのだ。)
         (その恐怖を超える衝撃を与えなければならない。飛爛はこの時眼下に城砦を見下ろしながらそう思った。)

        私を止めなくていいの?てっきりお目付け役にでも来たのかと思ってたんだけど。
         (冗談っぽく飛爛が笑う。笑いながらも、半分は本気だった、先日宗爛と会った折に本当なら反乱のことまで)
        (言うつもりはなかったのだ、というか最後まで隠し通すつもりだった。)
         (だが、飛爛は隠し事や嘘が苦手らしい、あっさりばれてしまった。ばれてしまった以上は・・・)
        (味方になって欲しいと思っていた。だから冗談めかしながらまだ敵ではないと思われる彼の心を探る。)
        (探りながら、言葉だけではきっと分かって貰えないからと、今一度、ここに至るまで何度もしてきた)
        (決意をもう一度、繰り返した。しつこいくらいに何度もしないと気持ちが萎えてしまいそうだったから。)
         (彼女が大爛という恐怖を超えるために、今この地に刻もうとしているのは、恐怖を超える更なる恐怖なのだから。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 03:00:13
      • その時がくれば止めますよ。愛する姉に犬死にして欲しくないですから
        (さらっと、そう答える)
        (あれから何度も姉から探りをいれられているが、その度にかわさず、はぐらかさず、正面から受け止めてそう答えている)
        (少なくとも今は敵ではないし、敵になりたくはないと)
        (暗に何度もいっているのだ。無謀なことは止めろと)
        (未だ機は熟していないと)

        (嘘と隠し事と打算だけでここまでのし上がった弟)
        (それでも、姉にだけは。この姉にだけは嘘をつきたくない)
        (誰に語りもしない、偽らざる本心だった)

        それより、どうするんですか?
        劇的な戦果をあげるとなると、短気決戦に持ち込んで、本隊が来る前に我々だけでケリをつける必要があります
        そうなると煙攻めなんて悠長なことはしていられませんよ。何か策はあるのですか? -- 宗爛 2012-07-26 (木) 06:00:05
      •  うむ、あの気弱だった宗ちゃんが大変強気に育って私はうれしいです。
        (むふぅーと腕組みして息を吐きながら答えた。答えてから今度こそ厳しく口元を結ぶ。)
        (策はある、というかこの日のために散々準備されてきたのだ、それこそ何十年も前から。)
        あなたに運んで貰った荷物さ、実は新型の武器なんだよね。
        私たちが図面を描いて、爛国とローディアの職人に作らせた部品が今ここで形になる。
        (高台の麓で、覆いを取られ、梱包を解かれた荷物たちが、運搬する人手に比してあきらかに巨大な)
        (それらが、次々に運び下ろされていく。)
        半月は落ちないだろうといわれてた城が、たった半日で、真正面から千人足らずに挑まれて崩壊する。
        そんな冗談みたいな話が現実に起こったら
        ・・・私たちにも世界は変えられるんだって、あなたも信じてくれるかな?

        (宗爛へ振り返った飛爛の背後、カタクァの兵士たちがちゃくちゃくと準備を進めていた。)
        (それは今までシャツァル達が戦場で抱えていたよりも大きく、洗練された形の爆薬であり、巨鳥の鎧に装着)
        (される、金属の鏃と羽をもった火薬矢が連ねられた弾帯であり、炎に巻かれて毒香を撒き散らす)
        (劇薬と燃料が見事に密閉された皮袋であった。)
        (どれもその原型は帝国の中にあり、だがどれ一つとして、今の帝国には無い兵器ばかりであった。)

         (かつて、カタクァの民は南下してきた侵略者の持つ騎馬と武器に抗えず辺境の地へと押し込まれた。)
        (彼らは何百年もそのことを忘れずに記録にとどめてきたのだ。そして今シャツァルという天の助けを借り)
        (反撃の手段を長い、長い年月をかけて結実させていた。)
        (そこに加えて、彼女はもはや城砦すらもその存在は無力であるという非情なる事実を刻みつけようと)
        (している。目の前の城の総てを焼き尽くしかねない炎でもって。)
        (それはあきらかに、今までの飛爛ではとりえない選択であった。戦に、空とともに生きる民の誇りである)
        (シャツァルを使うことすら拒んでいた頃の彼女には。) -- 飛爛 2012-07-26 (木) 06:42:47
      • (無数に運び込まれる、見慣れない兵器)
        (後の時代を変えるであろう新兵器。いつでも技術によって戦場は変革を続けてきた)
        (いま、それを出来る武器と人材が目前にいる。心躍らないといえば、1人の将軍として嘘をついていることになる)
        (それでも、溜息をついてこういう)

        まだ、信じられませんし、信じませんよ
        ……とりあえず、結果を見てからじゃないとね

        (自分も、姉も既に無垢ではいられなかった)
        (姉の姿はかわっていなくても、姉は確かにかわっていた)
        (シャツァルを戦に積極的に使う手段を考え、そして実行している姉)
        (いや、実行せざるを得ない状況に追い込まれている……姉)
        (互いに、生きるためには毒を得なければならなかった)
        (それが如実にわかって、少し哀しかった)

        (その後は、戦にすらならなかった)
        (飛爛の用いた最新兵器と、宗爛の陽動作戦の繰り返しで、敵はあっというまに沈黙し、本当にあっけなく拠点は陥落した)
        (そのときは、俺達は2人とも中央から労いの言葉と褒賞を受けたが……のちにこの大戦果が理由で苦労することになるとは、そのときの俺達には知る術もなかった) -- 宗爛 2012-07-29 (日) 00:47:39
      •  (流れていく雲はますます赤く染まっていった、地上に流された血の染み込んだような色をした夕日が)
        (黒々とした地平へ没していく。)
        (太陽はこの日流された大量の命と血を吸ったのだ、大地は爆轟と炎に焼かれたのだ。)
         (焼け焦げた匂いがする。無機物有機物、総て等しく本来の用途が分からぬまでに、二重の壁)
        (をもった城の中にあったものは総て焼き尽くされた。残っているのは黒こげの石組みばかり。)
         (吐き気のする匂いがする。撒き散らされた毒は、今だにその残り香を大気の中に放っていた。)
        (死が山積みとなった城の中で、生きているのは死体を食らう巨大な鳥達の影ばかり。)

         (突風が煤煙も、毒の残滓も吹き飛ばして、城の中庭に一際大きな蒼い巨鳥が降り立った。)
        (他の鳥たちは場所を開けて、すでに夜の暗さとなっていたもの陰に後ずさる。その姿は巨大さも)
        (あいまって化け物じみていた。血を滴らせる牙付きの嘴と、爬虫類的なギョロ目が暗がりにひしめく。)
         (蒼い巨鳥の背から飛爛がゆっくりと地面に降りた、その足元には折り重なった死体の山。)
        (腕がない、頭が割れて中身がこぼれ、あるいは焼け爛れ、腹を割かれて桜色の腸で)
        (こんもりと山を作る。戦闘のあとというより、手際が最悪な肉屋の店頭といった様相だった。)
         (実際、大喰らいの猛禽類である、シャツァルにとっては本能に訴えかける絶好の餌場だったのだろう。)
        (もはや半年以上にも及ぶ長い行軍で彼らは腹をすかせていた。)

         (飛爛の後に続いて、完全に崩れ落ちた城門からカタクァの兵士達が戸板を担いで入ってきた。)
        (10人がかりでもって4畳ほどもある大きな戸板を運び込み、その上に焼け爛れた羽毛に包まれた)
        (物体を乗せた。それはシャツァルの死体だった。開戦以来圧倒的な力を見せ付けた巨鳥が)
        (この戦いで初めて撃墜されたのだ。)
         (そして、その乗り手はこの死体の山の中のどこかに埋まっているらしかった。)
        (啄ばまれた跡のある鳥の死骸が運び出されていく。飛爛は無言でそれを見送ると、死体の山の中を)
        (探し始める。煙と、血と、毒の匂いで吐いてしまいそうだった、だけど嘔吐も涙も、)
        (もう流すわけにはいかない。必死で堪えた。)
         (崩れかけた城壁に囲まれた城内はますます暗くなる、もう足元に転がっているのが、棒なのか人なのか)
        (見分けが付きそうもない。)
        明かりを・・・
         (そう、部下につぶやいた後、飛爛は井戸の底から見上げるように狭くて高い、藍色の空を見る。)
        (この惨状を巻き起こす直前に、弟の見せた少し哀しそうな表情が浮かんで・・・目の前が滲んだ。)
        (それでもまた堪えた。堪えるしかなかった、もう彼女には懺悔をする資格も散っていった者達を)
        (嘆く資格もないのだ、総ては自分自身が強いたことなのだから。その掲げた理想が現実の大地に)
        (現れるその日までは・・・・・・・・・。) -- 飛爛 2012-07-29 (日) 02:03:35

Edit

  • 神聖ローディア共和国、前線拠点の一つ

    --(ところどころ崩れながらも連なるその石壁の列は陣地を構築するのにはうってつけだった。)
    (小高い丘の斜面に段々畑をつくるように、古代の石垣の跡が残されいて。)
     (目の前の平原では、共和国軍勢の中を放たれた矢のごとく縦横に駆け回る騎馬、騎獣、そして蟲。)
    (鎧に覆われた小山のような軍馬が得意の突撃体勢を取ることもできず。矢に翻弄され、槍を掠められ)
    (巨大蠍の挟みに足をもがれていく。)
     (開始から僅かな間も持たず、戦場の趨勢は帝国側に傾きつつあった。)
    (丘陵の遺跡地帯に築かれた陣地は唯一、相手の足を封じ互角以上の戦いに持ち込める場所、)
    (数少ない残された希望の一つだったが・・・その希望もあっけなく打ち砕かれた。)
     (機動力を戦力とする帝国軍、その中でも最速の部隊。その連なった石垣も、林立する石柱も)
    (彼らの足を止めることはできなかった。なぜなら、それは翼をもって空を翔けて来た。) -- 2012-07-22 (日) 01:19:51
    • (生体ユニットは血にまみれ、鎧には煤や元は何であったか知れない焦げがこびりつく。まさしく満身創痍、疲労困憊、そんな状況でさらに天からの贈り物。敵である)
      (わざわざ的になりに行く事はない、地上で息を潜めていれば良かったのだが、怪物や兵士たちの前ではそうも行かない。後方と上空、最悪の二正面作戦)
      (元々少なかった味方の兵士は次々と倒され、自分も永遠に戦い続けられる訳ではない……となると、道は一つ)
      自分だけでも、逃げる……!(身にまとう「鎧」が折りたたまれ、また広がっていく。四足で走るような姿勢をとる少女を、鉄の板が巨大な魚に変えて行った)
      ……ゴー!(掛け声とともに足元で爆発。その勢いに乗って一気に上空を目指す。敵航空部隊より上に行ければ有利なはずだ) -- フェロミア 2012-07-22 (日) 01:33:06
    •  (爆撃と急降下による波状攻撃を繰り返していた巨鳥の部隊は拠点を守る義勇軍の軍勢が)
      (打ち倒されると、つぎつぎと地面にすれすれに飛び、その背から歩兵達を投下していく。)
      (弓矢と投げやりで武装した軽装な歩兵達によって、いよいよ拠点は完全に制圧された。)
       (轟音と砂塵を巻き上げ、上空へと飛び出していったフェロミアを上空で旋回していた巨鳥の群れが)
      (翼で風をたたきつけるように、舞い上がりながら追った。)
      (しかし、上昇力がそもそも違うのか、その鎧のような尾びれに追いつくことができない。)
       (このまま逃げ切れるかと思われたその瞬間だ。突風が吹き荒れた。)
      (他の巨鳥達が旋回しながら高度を取るその真ん中を、一際大きく、そして蒼く輝く翼が)
      (ほとんど垂直に、フェロミアめがけて一直線に駆け上がっていく。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 01:51:22
    • よしっ(とりあえずは振り切れそうだ、と少し安心して下を見る。誰がどう見ても完敗だ)
      あいつら、次会ったら……(やっつけてやる、とでも呟こうとしたのであろう、その瞬間。バイザーが異変を伝える。このパターンは……「高速移動物体接近中」)
      嘘だろおい……(相手のスタミナがそれほど続かない事を祈りつつブーストをかける。炎の武具結晶が使い手の体力を吸い上げ、推力に変えた。命を削って命を繋がんと)
      (よりシャープな形に変形しながら魚は空を翔ける。捕食者たる蒼い鳥から逃げおおせるために) -- フェロミア 2012-07-22 (日) 01:59:49
    •  (追いすがる巨鳥がその羽の生えた肢から何かを落す、やや遅れて地上で爆発が起こった。)
      (爆装したまま追いかけっこをしていたのだ、身軽になった巨鳥はさらにその速度を上げていく。)
      空を泳いでるみたい面白い…。ココロア!
       (背に腹ばいになった少女、飛爛の声に答えて、巨鳥、ココロアは6枚の翼をそれぞれ別々に動かす。)
      (空を泳ぐ巨大な鉄の魚など、帝国にだって居るはずはない。それが何故飛べるのか彼女もその相棒)
      (も知る由はない。)
       (だが、フェロミアの巻き起こした気流の渦をまるで見えているかのように、6枚の翼で捕まえて)
      (ぐんぐんと加速していく。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 02:28:37
    • (すわ攻撃か、とも思うが狙いは地上の爆撃だ。つまり、重荷を捨ててさらに加速するという事)
      (水平に飛んでいては間違いなくすぐに追いつかれる。だが相手は鳥、生き物だ。速度で勝る相手、付け入る隙があるとすればそこしかない)
      付いて来い……っ!(機首……魚の頭を上方に向け、さらに上空を目指す。こうなったら我慢比べだ、空気が薄くなっても鳥は飛べるのか試してやる) -- フェロミア 2012-07-22 (日) 11:16:33
    •  (フェロミアの鱗を掴み損ねた鉤爪が空を切り、鋼鉄の罠が跳ね閉じたような音を立てた。)
      (猛烈な勢いで風が耳元を吹きすぎていく上空で、声が届いたかどうかは分からないが、)
      (その勝負を受けて立つといわんばかりに激しく、翼を羽ばたかせ巨鳥もまた垂直に空を駆け上がった。)
       (壮大な合戦上が遥か下方の点景として遠ざかっていき。遥か上空を流れていた雲はぐんぐん近づいてくる。)
      (世界の音が、断崖を遡上する魚のごとく上っていくフェロミアと蒼天色の羽ばたきが巻き起こす風切音)
      (だけに置き換わっていった。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 21:15:22
    • くっ(迫り来る爪に掴まれるのは避け得たが、反射的に取ってしまった回避行動が加速を若干鈍らせる。次に掴みかかられたら、今度こそ捕らえられてしまうかも知れない)
      (未だ到達した事のない高みを目指し、魚と鳥が空を翔けた。競争と言うのも生ぬるいデッドヒート)
      (限界間近の極限状態の中、鰭と翼が空気を裂く音だけが二者の意思を伝えあうように響く) -- フェロミア 2012-07-22 (日) 22:33:41
    • ; (高度は上がり続けた、もはや地上は見えない。白く煙った視界に再び青が戻ったとき、ついには雲すらも)
      (背後へと落ちていく。深い深い空の下に丸く地平線が弧を引いた。)
       (生身でココロアの背にのる飛爛にとって、すでに息苦しいを通り越して生存すら危ぶまれる高さ)
      (だったが、そこで止まる気はなかった。少しでも気を抜けば意識が手から零れ落ち、)
      (目覚める前に地面にたたきつけられるかもしれないというのに。)
       (世界最高峰を積み上げたよりも高く、どこまでも深く広がる深淵なる空の只中を駆け上がる。)
      (目の前の敵と己の翼の限界、そして存在しているだけで戦場を翔けるよりも危険な雲の上の世界に)
      (挑みかかり、飛爛の心はどこまでも猛々しく舞い上がっていく。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 22:57:57
    • (いつしか逃げる獲物と追う捕食者と言う関係性は消えていた。これはもはや対決、どちらがより高く飛べるのか?高高度のさだめたる冷気と空気の薄さにもう声を出す事も叶わない)
      (やがて競争者達は機械と魔術で強化された少女とその鎧にも耐えられない環境に到達した。凍結、単純ながら魔力の炎が生み出す熱の力で空を翔けるフェロミアには致命的な現象である)
      (上昇速度は目に見えて落ち、冷え切った生体ユニットは思考能力を失っていく。鎧や肌に張り付いた薄氷が撒き散らされ、流星の尾のように輝いていた) -- フェロミア 2012-07-22 (日) 23:08:12
    •  (遮るものの無い陽光の下で砕けた氷が舞い散り、飛爛の横を通り過ぎていく。)
      (彼女の黒い髪も先に雲を通り抜けたときに濡れてその毛先が白く凍った。)
       (フェロミアの推力が弱まるのとほぼ同時に、いくら羽ばたいても高空の薄い大気は巨鳥の羽を)
      (すり抜けて、飛び続けるために進化した強靭な肺も酸素を求めてあえぎ始めた。)
       (ここが限界・・・飛爛はまだその頭上高くある空を見上げて、最後にもう一度だけココロアの翼を)
      (強く羽ばたかせた。最後の上昇、その頂点、ついに横にフェロミアの横へ並び再び鉤爪を繰り出した!) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 23:28:55
    • (酸素不足で朦朧とする頭をフル回転させて状況を分析する。ほぼ生まれて初めて吐き気を覚える。もはや上っているのか落ちているのかも怪しいが、限界を超えている事だけは明らかだった)
      (そんな考えをめぐらせていたせいか、視界の端に蒼を捉えた時にはもう手遅れだった。だが突然鎧を掴まれても意外に驚かないものだな、と思う。機械の補助脳すら今はまともに動作していないのだろうか)
      (巨大な鳥とそれに乗る人間。それらの重さを押し付けられてなお空に上がる力など残っていようもなく……目を閉じる。空を翔けていた者達は一塊になってゆっくりと、不思議なほどゆっくりと来た道を戻り始めた) -- フェロミア 2012-07-22 (日) 23:37:36
    •  (無重力の凪に浮かんだのもつかの間、奇妙な浮遊感を伴って再び風は吹き荒れ始めた。)
      (落ちていく、加速していく、今度は逆に空が足早に遠ざかる。)
      (フェロミアの鎧をプレス機のような力で掴む鉤爪、がっちりと組み合ったまま一つになって落ちていく。)
      そのままよ、ココロア!
       (背に乗せた者の言葉に従い、巨鳥は翼を羽ばたかせずに自由落下に身を任せた。)
      (鉤爪を突き出したその巨体が空気抵抗を受けてやがてゆっくりと回転をはじめる。地面へと向かいながら)
      (掴んだフェロミアと鳥の身体が、互いの周りを回り続ける連星の軌道ように円を描く。)
      (まるでダンスでも踊っているかのようで、その間も高度は下がり続ける。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 23:54:11
    • (音を立てて軋む鎧、その悲鳴も今のフェロミアには届かない。無理な加速と寒さ、そして酸素不足が生体部分から力を奪っていた。今や柔らかいだけのマネキンにも等しい)&br:(少女は無抵抗のまま螺旋状の落下に身を任せていた。が、落下によってやがて周囲の空気と気温が許容範囲に戻る。そして頬を打つ風と爪の圧力が刺激となって意識を呼び覚ました)
      (補助脳の働きが弱まっているせいか、意識を取り戻したフェロミアにある種の感情と呼べる衝動が起こる。その衝動とは)
      っそ……見てろよ……(悔しさとか、怒りとか、そんな風に分類できるかもしれない。掴もうとする。相手の一部なら何でもいい、鳥でも、その上に乗っている人間でも。逆螺旋のロンドの中で、パートナーに必死に手を伸ばす) -- フェロミア 2012-07-23 (月) 00:06:22
    •  (鉤爪がフェロミアを捕まえ、フェロミアの腕は逆に巨鳥の肢を掴む。速度は上がり続けた。)
      (潜り抜けて来た雲へともつれ合って落下し、眼下に戦場の大地が広がった。)
       (やがて風の中に熱砂が混じりはじめる、だがお互いに掴みあった状態、どちらかが離さない限り)
      (このまま落ち続けていくことになる。高度を競い決着はつかず、そして今、深度を競う。)
      (赤茶けた大地が命のリミットとして刻一刻と迫りくる!)
       (そんな死と隣り合わせの状況で、間近に組み合ったフェロミアを巨鳥の肩越しに見る少女は)
    • (笑っていた。獲物を狙う禽獣のような凶暴なそれではなく、飛行帽に隠れた目元は分からないが、確かに、心底楽しそうに笑っていた。) -- 飛爛 2012-07-23 (月) 00:27:22
      (重力の助けを得て両者は加速する。その向きは変わっても戦いである事は変わらない。結局の所我慢比べである)
      (最後の力を振り絞って鳥を離さぬ様に握り締めた。こいつをクッションにして生き残る、と自分の中で理屈を付けはするが、ヤケになっているのも確かだ。例え地面にぶつかったって離すものか)
      (だが、見てしまった。覚悟も、理屈も吹き飛ぶその表情を。この死に至る状況を、興奮のせいでも絶望のせいでもない、快楽の笑みで受け入れる少女を)
      (なぜ?人間ってそうじゃないだろ?理解不能は混乱を、混乱は恐慌を招く。フェロミアが生まれて初めて心の底から浮かべる表情は)
      は……(恐怖と、驚愕)離せ、離せよ……!(先に自分の手を離し、無駄と知りつつも鉤爪から逃れようともがく。心を持たない兵器の心が折れる瞬間。ともに地面に激突するか、奇跡的に助かるか。結果がどうであれ、この時点で「敗北」である) -- フェロミア 2012-07-23 (月) 00:41:31
      「姫様が度胸試ししてるぞ!」
      「誰とだ、さっき昇って行った奴か!?」
      「やばい、やばい・・・二人とも速過ぎる!墜落するぞ!!」
       (遥か下方に取り残され、まっすぐに天へと駆け上がって行った、飛爛とフェロミアを見上げていた)
      (カタクァのシャツァル兵達が騒ぐ。まっすぐに空から落ちて来た二人はもう地面のすぐ側まで来ていた。)
      (後十数m、赤茶けた岩山がまっさかさまに落ちる二人の頭上に迫ったその瞬間。)
      昇って!
      (ココロアが蒼く輝く翼を広げ、羽ばたいた。空中で急停止、絡まりあった二つの身体を捉えていた)
      (重力加速が一瞬の衝撃となって、突き抜けていく。)
       (巨鳥の翼は再び浮力を取り戻し、フェロミアの身体を地面へ下ろした。)
      (誰もが墜落を予想して息を止めていた中を、ココロアの背に乗った飛爛は飛行帽を右手で掴み)
      (高く掲げ上げ、その身に風を受けながら旋回した。それはまぎれもなく勝利の宣言。)
      (周りで見守っていたカタクァの兵達は一斉に歓喜の雄たけびを空に地上に響かせた。) -- 飛爛 2012-07-23 (月) 01:05:07

Edit

  • 223年ゾルドヴァの戦いに揺れる東ローディア
    (3ヶ月に及ぶことになるこの戦いも大規模であるが故に、その総ての日と夜が戦いだけに費やされたわけではない。)
    (日々塗り換わっていく互いの勢力範囲を固め、相手の手を探りあい、そしてすでに数ヶ月以上行軍を続けている)
    (兵士達を食わせ続けなければならない。およそ大部分の時間がそのために費やされた。)

    (そんな緊張感の解けない、凪の中に居るようなある日のことだ。)
    (六稜軍の陣の上をにわかに強い風が吹き抜けて、陣幕を揺らした。) -- 2012-07-22 (日) 02:59:50
    • (最前線。ひとまず前線拠点として制圧したレムザに、一陣の強い風が吹く)
      (すわ、砂嵐か、それとも西の魔術かと身構える)
      ……何事だ? -- 宗爛 2012-07-22 (日) 03:43:00
      •  (目の前に現れたものは見上げるほどに巨大なのに、あまりに素早く急降下してきたため。)
        (ほとんどだれも気付けなかった。地面スレスレで広がった翼が突風を巻き起こす。)
        (蒼く輝くその身体はまるで晴れ渡った空が雫を落したようだった。)
         (六稜の兵が突然現れたシャツァルを見上げるなか、それが飛爛の翼であるココロアだと)
        (気付けるのは、幼き日にその背に乗ったことのある宗爛だけだろう。記憶の中にある姿より)
        (かなり大きくはなっているが。)
        宗いるー?
        (そして鳥の大きな背中から、ひょっこりと顔を出した黒髪の少女は、昔の姿からあまり変わって)
        (居なかった。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 04:03:30
      • (兵士たちが怯えるなか、一歩前にでる)
        (忘れようはずもない。ココロアに「久しいな」と小さく声をかけながら一歩前に出て、膝を突いて迎える)
        ……お久しゅうございます。姉上。ご健勝なようで何よりです
        (6つ目の仮面をつけたまま、自分よりも位階が上の姉に恭しく挨拶をする) -- 宗爛 2012-07-22 (日) 20:44:31
      •  (軽い足音、巨鳥の背の上から重さを感じさせない跳躍で地面に降り立つ飛爛。相変わらず高所恐怖症とは無縁なようだ。)
        ええ、あなたも無事でなによりです。
        (型どおりの礼をする宗爛に、部下の目もあるためか、簡略ながら礼を返す。)
        (その横を太い首を伸ばしてココロアが頬を宗爛に寄せてくっくっと喉を鳴らした、そこで限界だった。)
        あはぁっひっさしぶりぃー!すっかり声がわりしちゃってもー!
        (ココロアの反対側からおもいっきり抱きついていた。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 21:39:35
      • ありがとうございます……それもこれも姉上の前線での働……ごふっ!?
        (突然抱き締められ、もがく。仮面をつけているせいで息が上手くできない)
        もごご!? あが……(がくり)
        (相変わらずの虚弱体質) -- 宗爛 2012-07-22 (日) 22:50:54
      • ・・・おおぅ
         (飛爛の細腕にホールドを決め込まれ、ダウンした彼の名誉のために一言そえるならば、)
        (簡単な命綱と取っ手だけを頼りに巨鳥の背に乗り、激しく3次元機動するシャツァル兵は、)
        (たとえ小柄でも腕力は相当なものになり、それはこの王女にしても同じことであった。)
        (それでもいささか、あっさりフォールされすぎではあるが。)
        ご、ごめっ大丈夫!?そのお面外したほうがいいよ、息苦しそうだよ?
        (あわてて腕を離す飛爛、すぐよこで、ココロアが笑うようにクァッと嘴を開いた。人の頭が豆粒みたいに)
        (咥えられそうなでかさだった。) -- 飛爛 2012-07-23 (月) 02:54:55
      • (あっさりと仮面を外され、なんとか息を吹き返す宗爛)
        ……ぜぇ、ぜぇ……ふぇ、飛姉……兵もみています……ひとまず、こちらへ……
        (なんとかそう平静を装い、陣幕の内側を指差す)
        (部下たちに軽く人払いをさせたところで、何とか落ち着いた)
        ……はぁ、『本当に』お変わりないようでなによりです。姉上
        今日はどんな御用向きで?
        (外れた仮面の下の顔は、幼い頃の面影を残してはいるが、大分男らしいそれにかわっていた) -- 宗爛 2012-07-23 (月) 03:06:32
      • へっへっへ、シャツァル乗りは小柄な方がいいんだよ、下手に大柄だと振り回されて落っこちちゃうからね!
        (宗爛を見て、大分男らしくなってるけど・・・線が細いのはあいかわらずだねぇ。などと笑う飛爛自身、もっと肉食え)
        (胸が育たんぞと言われそうなほどの少女体系でよく言うものである。)
        まぁ用ってほどのことはないんだ、最近はうちらの実力も認められたのはいいけど
        偵察してこいとか伝令やれとか、いろいろ鳥使い荒くて、今は総司令部様のお使いの帰り。 -- 飛爛 2012-07-23 (月) 03:28:49
      • ふふ、つまりは不肖の弟の様子を見に来てくれたというわけですか……ありがたい限りです
        (在りし日と同じ笑顔を姉に向けるが、総司令の話がでれば少し顔が曇る)
        第五皇子……玄爛様、ですか
        余りに高位のお方ゆえ、あまりは話はききませんが……姉上と私の武功両方が届いているのならありがたいことですね
        今は苦労しても、いつかは中央で安寧に暮らせる日が来ます
        (姉の胸中を知ってか知らずか、そう呟く) -- 宗爛 2012-07-23 (月) 03:47:53
      • 私も直接あってるわけじゃないけどね
         (苦笑い。いかに飛爛のシャツァル部隊が驚異的な戦力をもたらしていようと、宗爛が武功を立て、)
        (東ローディアの街を帝国の統治下に加えようと。しょせん、どちらも外様の王族でしかない。)
        (その行き着く先はおのずと見えていた。)
        ・・・私、たぶんもうあの場所には戻らないと思う。
         (あの場所、とは帝都爛京のことだろうか。それなら、今は彼女は遥か南の辺境地、華桌を預かる身である)
        (それも当然かもしれない。)
        宗は・・・爛国が好き? -- 飛爛 2012-07-23 (月) 04:08:39
      • (一瞬、姉の問いに対する返答に窮するが……この姉に嘘をついても仕方が無いことは分かっている)
        (しかし、どこで兵を聞き耳を立てているか分からない、手前その言葉を口にすることはできない……故に)
        ……姉上の御想像通りかと
        (どうとでも取れるが、飛爛には意味の伝わる言葉で答える)
        (互いに見詰め合えば、もうそれで分かる)
        (互いの言いたい事が、それで概ね) -- 宗爛 2012-07-23 (月) 04:27:28
      • そっか
         (飛爛は笑った、そう彼女はよく笑う、笑顔だけで喜怒哀楽全部表現できるのではというくらい。)
        (この時彼女が見せたのは、なんだか泣き出しそうな笑顔だった。)
        うん、宗はすっごくがんばってると思う。空からね、街の様子とか見てたんだ。
         (宗爛が大爛帝国の範図に加えたレムザの街は、征服から2ヶ月余りにも関わらず、実によく栄えている)
        (同時にその周りに広がる、死か、恐怖を捧げた恭順の2択を迫る帝国式の戦いの跡も見下ろした。)
         (飛爛が今日ここに降りたのは、昔を思い出したかったからかもしれない。)
        (彼女自身、姿こそ昔のままと大差なかったが、もう幾度も戦場でココロアの爪に命を握り潰させてきた。)
        (さらに、この時すでに彼女の心にはもう帝国への忠誠は無く・・・。)
         (それでも、まだどこか決意とやさしい記憶の中で揺れていた彼女は。自分の心を確かめるように)
        (ここへ来たのかもしれない。) -- 飛爛 2012-07-23 (月) 04:48:27
      • (飛爛のその笑顔を見た瞬間……抱き締めたい衝動に駆られる)
        (なんて、なんて哀しい笑い方をするようになってしまったのかと)
        (その笑顔を今強いてしまった自分に苛立ちを覚えつつも……同時に彼女のハラも理解していまう)
        (彼女は……本気だ)
        (昔から変わっていない。変わっているのは覚悟と、笑顔だけ)
        (いつのまにか傍らに近寄っていた黒咲が、飛爛に寄り添う)
        ……なぁ『飛姉』……
        他に生き方は……なかったのか? -- 宗爛 2012-07-23 (月) 05:37:01
      •  (黒咲のあごひげに額をあて、その頬をやさしく撫でる飛爛。彼女達が顔を合わせたのはまだ黒咲が)
        (ほんの子山羊の頃であっただろうが、ココロアが宗爛にそうしたように、黒咲もまた彼女に優しかった。)
        ・・・・・・・・・あったと思う、たくさん。
        (互いに、動物感応能力が特別高い者同士でしか成立しない会話だった。)
        (宗は幼い時より、生まれつきに。飛は、彼の持つ特別な力の事を知って後に。)
         (言葉にせずとも、偽ろうとさえしなければ、なんとなく思っていることは分かるのだ。)
        でも、これはあなたが悪いんじゃないのよ
        (大きく息を吸って、彼女は笑った。)
        宗、私はね今よりも、もっともっと・・・幸せに生きられる人達を増やしたいの。
        (すっと胸に自分の手を当て、ながら彼女は続けた)
        人は足元じゃなくて、ここに故郷の土を持てば、ずっと自由になれる。
        大地に引いた線の右と左で、憎みあったり奪い合ったりしなくていい世界は・・・作れるよ
        隣人の死を笑わずに泣き、豊穣のときも飢える日も、そしてその命を空へ返す日まで。
        供に笑いながら、生きる術を私は・・・ううん、私達カタクァは知ってるから。
        (今度は、明るく笑っていた。その言葉の真意を知るものが聞けば明らかに反乱の意図を)
        (知れるだろう、だが、その時彼女は何のためらいもなくその心を見せた。) -- 飛爛 2012-07-23 (月) 06:05:04
      • (胸が、熱くなる。目頭が、熱くなる)
        (姉は、之ほどまでに気高い我が胎違いの姉は……)
        (その身が血に塗れても、その名誉が泥に塗れても)
        (何も変わっていなかった。自分の知る優しく、そして気高い姉のままだった)
        (しかし、だからこそ……それゆえに)
        違う……

        そんなものは幻想だ

        (そんな絵空事には、賛同できない)
        飛姉……貴女は強く、美しい。見栄えだの体躯だのではない
        その魂が、その心が、その生き様が……美しい
        (紅い瞳が揺れる。毒を孕み、濁りきった瞳)
        故に、理解していない。地を這う者共の現実を。その醜さを
        (そこに光はない。あるのは闇。影。世界が彼に見せ続けた、景色の写し身)
        世界の幸せの総量は決まっている。故に、人は限られたそれを奪いあって生きる他ない
        あなたのような翼のある鳥には、地を這う事しか出来ない毒蟲を理解することはできない……遠見の幸せを手にすることはできない
        ……俺はそれを何度も「父」に教えられた。一言も語らず、一目と見ることの叶わない父に。何度も……何度も!
        (仮面を、付け直す。6つ目の仮面を。六道の辻より出ずる、異形の鬼を模した面を)
        ……夢を語るのも、夢を見るのも結構だ
        だが、貴女は皇女だ
        忘れるな。支配者の夢は、貴女の夢は民に伝播する
        伝播したその夢は……民を殺す。甘美なその悪夢に人々は群がり、理想という名の毒に侵されて死ぬ

        砂漠で必要なものは確かに地図だろう。だが、今目の前で餓えている民に必要なものは水だ

        ……ご自重なされよ飛爛。我等の生きる内に、貴女の見る夢が熟す事は無い -- 宗爛 2012-07-24 (火) 03:18:49
      • ・・・・・・・・・うん、わかってる
         (弟である宗爛の言うことは何も間違ってなどいなかった、そうだこの世界は一握りの希望と、)
        (望んだが故に生まれる大多数の絶望と諦めの上に成り立っている。)
        (総ての人間が幸せになれば、人は自分が幸福であることを自覚できなくなるだろう。)
         (だけど、彼女はそれを受け入れる気にはならなかった。そもそも、昔を懐かしんで仲の良い)
        (姉と弟として、会いたかったのなら、こんな話はしなければよかったのだ。宗爛のことを仲間に)
        (できるという確証があったわけじゃない、それどころか、彼が帝国民として務めを果たせば。)
        (命取りになりかねない。それなのに、飛爛にはそんな打算を差し挟む気すらおきなかった。)

         (飛爛は宗の辛そうな顔を見過ごすことはできなかった。)
        (そうだ、あの日も彼女はただ・・・高い壁に囲われておびえている彼を見て・・・)
        私はね誰もが願いながらも言葉にできなかった、最初から諦めてた夢を、
        多くの人が私に託してくれなければきっと、夢を見る事すらできなかった。
         (幼い子供が声を上げて泣くことすら許さないあの冷たい壁を作った世界を許せないと思ったのだ。)
        理想に命をかけられる人が少ないのと同じように、非情なままで生きていける人間だって多くは無いはずだよ
         (大儀や野心なんて関係なかった、あの日の幼子と同じように、涙すら仮面で隠さないといけない)
        (のがこの世界なのだとしたら・・・間違っているのは、世界の方だと、飛爛はそう確信した。)
        私は自分が皇女だからとか、あるいは王様だから、なんとかしようって思ったんじゃないんだ。
        みんなが願っていることがあるのに、誰もそれを叶えようとしないのを納得できなかっただけ。
        生きてる間に総てを叶えられなくても・・・困ったときに、助け合うよりも奪い合いを当たり前の
        ように選ばせる世界はおかしいって、気付かせることはできるかもしれない。

         (長い言葉だった、一息で吐き出してしまってから、ふっと飛爛は笑った。)
        それにね・・・私に翼は生えてない、ココロアが居なければ空を飛べない。
        私は特別な何かなんかじゃない、あなたと同じように、この地上を悩みながら、苦しみながらそれでも
        懸命に生きている人間だよ。 -- 飛爛 2012-07-24 (火) 04:36:21
      • だからといって、そんな理想の人柱に、貴女がなる必要はないと俺はいっているんだよ!
        (声を荒げ、叫ぶ)
        (心の底から、懇願するように)
        ……今の話は、聞かなかったことにしておきましょう
        姉上……個人の力で世界は変わりなんてしない。国も変わりなんてしない。変わるとしたら……それはゆっくりと、多くの人々の痛みと嘆きによって変わるものだ……
        (踵を返し、陣幕を出ていく)
        ……お帰りください、姉上。そして、もう一度よく考えて下さい
        ……全てを忘れて生きる道もあれば、1人の女として生きる道も貴女にはあるのです
        ですが、そのままその道を進むのなら……いつかはこの宗爛と刃を交える事となるでしょう
        ……不肖の弟は、その日が来ないことを切に願っております -- 宗爛 2012-07-24 (火) 05:53:43
      •  ありがと、宗は・・・やっぱり優しい子だね。
         (出入り口の覆いを押しのけて、真夏の強い日に影を落す背中に飛爛は静かに声をかけた。)
        (人柱ということ、なるほど、誰か他の人間が理想を掲げるのにちょうど良い旗印が自分だったから、)
        (担ぎ上げられたかもしれないという事を飛爛は今まで考えすらしなかった。)
         (彼女が弟のことを想うように、彼もまた自分を想ってくれたのだと分かると、思わず、ありがとうと言っていた。)


         (黒咲を最後に一撫でして別れを告げると、彼女もまた陣幕の中を後にした。)
        (僅かな間に色々と考えが頭をめぐった。一番笑顔にしてあげたかった相手に、そんな事をしても)
        (絶対に不幸になるだけだと、泣きそうな顔で怒られてしまった。)
         (だけどもう止められはしなかった。この時すでに、爛国内で相次いだ反乱の折、難民となったもの達を)
        (カタクァは多く抱え込み、棄民をも手厚く救済してくれるとの噂は方々に飛び。予想を遥かに超えた数の)
        (民がその地へ流れ込んでいた。)
         (帝国へ対する怨嗟と新天地への渇望は極限にまで高まってしまっていたのだ。もうその圧力を止める)
        (術を誰も持ち合わせていなかった。)


         (飛爛をその背にのせるため、身体を低く伏せたココロアの鞍に足をかけながら、彼女は仮面をつけた)
        (宗爛をじっと見つめた。何があっても、彼だけは決して傷つけたくないと思った時、ふと突拍子もない)
        (言葉が浮かんできた。でもそれは、飛び切り素敵なようなことにも思えて、思わず・・・。)
        ねぇ宗、私をお嫁さんにしない?
        (その場にいる誰の頭上よりも高いところにあるココロアの翼が広がった、鮮やかな蒼い羽が)
        (真夏の陽光を受けてよりいっそう強烈に輝く。その背で飛爛はとびっきりの笑顔で笑っていた。) -- 飛爛 2012-07-24 (火) 06:31:17
      • (優しいといわれて、静かに首を振る)
        (優しくなんて、ない。自分はただ……自分の手が届く場所にある幸せを、手放したくないだけだ)
        (例え、多くの民が不幸になろうと)
        (自分の民と、自分の愛する者達が幸せなら、自分はそれでいい)
        (その為に世界のその他全てが不幸になるというのなら、喜んで彼らを不幸にしよう)
        (世界の幸せの総量は決まっている。だったら、自分の為に全ての幸せを奪えばいい)
        (かつて、世界の全てが自分にそうしてきたように)

        (彼女を取り巻く環境も、きっと俺と同じなんだ)
        (きっと、俺のように幸せを奪いたい誰かが彼女の傍にいて)
        (きっと、彼女を……飛爛を不幸にすることで、幸福になろうとしている)
        (もう、その歯車は回り始めている。だからこそ、彼女は俺にまで謀反の話を持ちかけた)
        (……そうせざるを得ないところにまで、愛する姉は追い詰められた)

        (なら、いいだろう)

        (お前たちが、俺から姉を奪おうというのなら)
        (お前たちが、俺から母を奪ったように)

        互いに生きて帰れたならば、その時にこそ喜んで

        俺は、お前たちから幸福を奪ってやろう
        (誰の笑顔が曇っても良い。だが、俺から、俺がが笑顔でいて欲しいと思う者の笑顔を奪うというのなら)

        (俺は一辺の容赦もしない) -- 宗爛 2012-07-24 (火) 07:00:50
      • あっはっは、冗談よ!
         (とびっきりの笑顔のままで彼女は言った。)
        (何を考えているのかまでは分からなかったが、とても強い決意で彼がそう言ったのは分かったから。)
        (あわてて、びっくりするかなという予想がはずれて、それがうれしくもあり、同時に寂しくもあったけど)
        (それ以上に張り裂けそうな程に張り詰めたその心の気配が心配で。)
        でも生きて戻ったらなんて、死亡フラグみたいな口説き文句はダメだと思うの
        お嫁さんっていうのは、幸せで幸せで、幸せの絶頂にいるときになるものだって、誰かが言ってたわ。
         (ばさりっとココロアが羽ばたいた、風が吹き抜けていく。)
        困ったことがあったら、いつでも頼っていいからね、私とココロアがいつだって飛んでいってあげるんだから!
         (羽ばたきが強く繰り返される、吹き荒れる風が目を開けているのも辛いほどになった瞬間。)
        (地面を強く蹴ったココロアの蒼い体は宙に浮いていた。)
        (普通は滑走するか断崖から飛び降りなければ飛び立てないシャツァルの巨大な体が、重力の束縛を)
        (断ち切ったように浮かんで、飛んでいった。あとには、砂塵を吹き飛ばした風だけが残っていた。) -- 飛爛 2012-07-24 (火) 07:32:16
      • でしょうな
        (悲しみを秘めた姉の顔を見て、そう仮面の下で笑い返す)
        (半ば本気で言った言葉に対して、わざと茶化して返してくれる)
        (心配してくれたようだ。でもそれでいい)

        なら、宗にとっては姉上が生きていてくれることが幸せです
        何も違いはありませんよ&br
        姉上も、お困りの際は弟を頼ってください
        くれぐれも……お1人で無理はなさいませんように

        (そう、暗に釘をさして見送る)
        (大空を舞う、ココロアが見えなくなるまでずっと)

        ……空を舞いながらも、鎖は既にその首についている
        ……理想という名の鎖が……

        飛姉、どうかご無事で -- 宗爛 2012-07-24 (火) 07:44:13

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  • 黄金暦223年 7月  神聖ローディア共和国 ゾルドヴァ古代遺跡群にて
    (開戦よりわずか二ヶ月、医薬品に対する需要は予想をはるかに超えるペースで膨らんでいる)
    (よほどの短期決戦でも望めぬかぎり、医療の質、量共にこれから落ちていく一方だろう)
    (それらをいかにして食い止め、損耗を抑えるのか)
    (虎塞の医師や薬種商たちに寄せられる期待とは、つまりそういうことだ)
    (今のところ、拒む理由もない)

    (兵站の人間や主計官たちにその場をまかせ、色とりどりの旗幟がはためく広大な帷幄を歩く)
    (故国の香りがする風に顔を上げれば、相変わらずどこか浮世離れした姉がそこにいた)姉者…? -- 喬爛 2012-07-22 (日) 04:03:55
    •  (シャツァルは身体がでかい、そのうえ空を飛ぶために半端無いカロリーを必要とする。)
      (地元であるカタクァが水銀害や震災の影響をあまり受けなかったため、カタクァ軍の兵糧は)
      (大分余裕があったとはいえ。)
      (行軍が長引けば、現地調達も多くなりなかなか苦労していた。輜重隊へ陳情へいく回数も)
      (かなり増えていた。)
      ん、誰ー?
      (眉間をぐにぐにしていた指を離しながら、呼びかけられた方に振り向く。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 04:23:23
      • 覚えておられぬのか…(この姉と最後に会ったのはいつのことだろう まだ都に暮らしていた頃だった気がする)
        (ましてや己の姿は似ても似つかぬ あれから黒髪は白く抜け、瞳は真紅に染まってしまった 一目でそれとわかる方が珍しいのだ)
        (そう自分に言い聞かせて)
        この顔、見忘れたとあっては名乗らねばならぬが道理(二房の髪を解いて手櫛を入れ)喬爛だ 姉者もこちらにおられたか -- 喬爛 2012-07-22 (日) 04:45:59
      • にょあっ!?
        (飛爛は襟から背中に毛虫が入り込んだような声を上げた。その名前と記憶の中にあった容姿に)
        (あまりに差がありすぎたせいであって、べつにまずい相手に会ったとかそういう意味はない。)
        (その証拠に驚きのあまりまんまるくしていた空色の瞳と表情は、すぐにうれしそうな笑顔に変わり。)
        そのしゃべり方・・・喬なの!?わっすっごーい!ひっさしぶりー!
         (すごくうれしそうに駆け寄る、この時飛爛にしっぽが付いていれば振っていたのではあるまいか。)
        (帝都の王宮で変人扱いされていた幼き日の飛爛にとって、すっかり姿は変わっていても彼女は)
        (数少ないまともに付き合いのあった姉妹の一人なのだ。) -- 飛爛 2012-07-22 (日) 21:29:00
      • え…あ、はっ…姉者!?(あまりの落差に面食らいつつ目を瞬き、花の咲く様な笑顔になって)…覚えていて下さったのか
        ふふ、おいくつになられたのだ? 姉者はまるで変わっておられぬ なるほど華桌の民が羨まれる訳であるな
        聞けば目覚しいご活躍ぶりだとか、この喬爛の耳にも噂ばかり届いていたのだが…やはり人は見かけによらぬもの、お強くなられたのだな
        その方もだ、ココロア!(蒼い巨鳥に近づき、その背をなでて)見違えたな…さすがは姉者の本体(さわさわ)
        …兄者のことは(ぽつり、と思い出すままに呟く 煙台を治めた男のことを言っている)残念であったな 心中お察しする -- 喬爛 2012-07-23 (月) 00:57:55
      •  (喬はすっかり背も伸びてかっこよくなったよね!私よりも背たかいじゃんッ等とはしゃぎつつ)
        (全身で喜びを表現する。ココロアも、オプション扱いの飛爛と違い、数年の間で2倍くらいには)
        (なったのでは?という巨体を喬爛へ寄せてくっくっと喉を鳴らした。)
        私とココロアはカタクァで一番速くて強いんだから、へへーん・・・あ、と・・・うん、アレはね・・・うん
        (能天気そのものに笑っていた笑顔が俄かに曇った。反逆の罪により粛清され、轟爛の手へと渡った)
        (南方都市煙台。)
         (煙台は飛爛のカタクァ、喬爛の虎塞にも近い所にあった。過去形なのは、轟爛の支配下となった後に)
        (城と街と後は彼が必要としたもの以外何も残されなかったからだ。)
        ・・・みんなで助け合えれば、もっと他にやり方があったかもしれないけど・・・しょうがないよ。 -- 飛爛 2012-07-23 (月) 01:28:21
      • 姉者は肉親の情にとらわれず務めを果たされたのだ そんな顔をするものではない(自然と頭に手が伸びて、気付けばそっと撫でていた)
        …さぞお辛かったであろうな 血を分けた者同士が喰らいあわねばならぬなど 兄者もなにゆえ乱心などされたのだ!
        今はその相手が(声のトーンを落として)この国の者らにすり替わったにすぎぬ 我らの敵は一体どこにいるのだろうな
        それがわからぬ限り…この戦、いつまでも終わるまい 時に姉者、その「しょうがない」というのは好かぬ どうも嫌いなのだ
        剣を振るい、弓引くばかりが戦にあらず! 姉者も翼を持っておられるではないか(ドヤ顔気味にふふんと笑って)
        民心を安んずることこそ我らが務め ならばこの生業、私のような者より姉者の方がずっと向いておられよう -- 喬爛 2012-07-23 (月) 02:01:11
      •  うん、そうだよね・・・私もそう思う。
        (煙台の粛清に関して、そう仕向けたのは他でもない自分自身。あの街があるかぎり自分達や)
        (他の南に住まう諸族たちにチャンスはなかったから・・・だから、思わずいつもの自分らしくない)
        (しょうがないという言葉が口をついて出た。)
        空から見れば大地のどこにも線引きなんてされて無い、故郷の土は人の胸の中に
        あるものなのに、みんな目に見える何かを手に入れようとする・・・たぶん、私も。
         (何年かぶりに明けられた記憶の小箱、その中にある喬爛の姿は今と変わらないまっすぐで)
        (素直な女の子の姿だったことが、今更ありありと思い出され。)
        (そのまっすぐさが、今の飛爛の胸の奥につきささってくる。)
        (思わず泣いてしまっていた。堪えようと思っても、涙があふれてくる。元より彼女は感情の起伏が)
        (激しいのだ、それはむしろ子供の時代より成長した今の方がいっそう強くなっているような気すらする。) -- 飛爛 2012-07-23 (月) 02:38:53
      • …ああ、少しも変わっておられぬ(泣きじゃくる姉に胸を貸し、背中をさすって)お優しい、泣き虫の姉者のままなのだな
        (胸の奥の、そのまた奥に幽かに残ったわだかまりが洗い落とされていく心地がして、自然と安堵の笑みが浮かんだ)

        「しかし、何故こんな事になったのだろう」「分らぬ」「全く何事も我々には判らぬ」
        「理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ」
        (見世物ではない、とたしなめる様な一瞥に駆けつけた兵らが散って)ふふ、つらいものだな 泣き言のひとつも漏らせぬとは
        私でよければ今だけ姉者の枕となろう(帝姫たる身に相応しい盛装も誇らしげに胸を張り)その涙、涸れるまで存分に泣かれるがよい
        …とはいえ、ここは人が多すぎるな姉者 誰もおらぬところへ参ろう(と天空を指差して その日は少し遅くに帰陣したのだった) -- 喬爛 2012-07-24 (火) 01:27:15
      •  (喬爛を宿営地まで送ってから飛爛も帰路についた。満点の星空の下にココロアは翼を広げて飛んでいく。)
        (最初に思わず泣き出してしまった後は完全に相手のペースだったような気する。これではどっちが姉で)
        (どっちが妹なのかわからない。だが、表裏のない妹の存在は飛爛にとって本当に救いであった。)
         (もしかして、彼女も決起の日、仲間に加わってくれるかもしれない・・・。そう思って飛爛は)
        (頭を振った。もしも失敗すれば彼女もまた反逆者として処罰されるだろう。それはだめだ・・・。)
         (満点の空の下をココロアの背にのり、ゆっくりと飛ぶ彼女はまた泣きそうになった。)
        (すでに、来るべき日に帝国へ反攻することを決めた諸族達を炊きつけたのは自分だ。)
        (なのに今更、妹だからという理由で守る命とそうでない命を選択してしまっている自分を嫌悪した。)
         (また、泣きそうになった。今度は堪える、もう自分の流す涙は贖罪にも懺悔にもならないと分かっているから。)
        ねぇ、ココロア・・・喬はとても良い子なの、へへっ頭はあんまりよくないんだけどね?
        (他に誰もいない地上から数十mの空の上。飛爛はココロアに語りかける。)
        ・・・私は少しでも世界を変えられるかな・・・もしも変えられたら・・・その後を彼女のような人たちが
        引き継いでくれるかな・・・。
         (ココロアは答えずに、ただ大きく羽ばたくと、より高度をあげる。カタクァ人が本当の故郷と信じる)
        (星々の世界へ近づくように大きく羽ばたきながら、8月の暑い夜気の中を昇っていった。) -- 飛爛 2012-07-24 (火) 05:05:43

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  • 【黄金暦223年7月 ひがしろーでぃあぞるどヴぁ】 -- 2012-07-22 (日) 03:32:00
    • 姫様 -- クラト 2012-07-22 (日) 03:32:12
      • なにー? -- 飛爛 2012-07-22 (日) 03:32:25
      • ふと思ったのですが、シャツァルって6枚羽で有名ですよね -- クラト 2012-07-22 (日) 03:32:48
      • うん、そういう設定だよね。首と主翼とあと肢に -- 飛爛 2012-07-22 (日) 03:33:08
      • 尾羽を入れたら7枚羽なのでは? -- クラト 2012-07-22 (日) 03:33:31
      • ・・・・・・・・・ -- 飛爛 2012-07-22 (日) 03:33:43
      • ・・・・・・・・・ -- クラト 2012-07-22 (日) 03:33:59
      • 以後シャツァルの羽の枚数は最重要機密とする! -- 飛爛 2012-07-22 (日) 03:34:47
      • 御意! -- クラト 2012-07-22 (日) 03:34:57

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  •  
    • 【黄金暦223年6月、ガルガの門付近、カタクァの陣地】
       大爛の戦に昼も夜もない、必要とあればいつでも出撃の命が下される。
      だがこの夜は静かに休むことができた。カタクァの陣地から見下ろせる眼下の大地は昼間の戦が
      夢だったかのように静かで、やさしい月明かりの下では無残な戦いの傷跡も見えない。
      どこまでも青く広がる荒野は海底に居るようで本当に夢の中にいるような光景だった。
       そんな夢幻の中に沈んだ光景に背を向けて、飛爛は焚き火の側にしゃがんでいる。
      飛爛の手の中で絞られた布切れがボタボタと水を落した。滴り落ちる水は赤く黒く淀んで血の匂いがした。
       絞った布で、傍らに立っていた愛鳥ココロアの巨大な鉤爪付きの足をぬぐってやる。
      少し綺麗になると、すぐに乾いた血を吸った布切れは血糊を広げる、それをまた濯ぐ。 -- 2012-07-21 (土) 04:30:30
      •  シャツァル特有の後肢の羽にも血は飛び散っていたが、羽毛にしみこんだそれはぬぐっても取れなかった。
        夏へと向かう6月の生暖かい夜気に溶けた血の匂い、飛爛の手が震えて、小さく嗚咽が漏れた。
        蒼い羽に染み込んだのは人の血、ほんの数時間前まで生きていた誰か、彼女がココロアを駆って
        その鉤爪に握りつぶさせた身体に流れていた血。
         自覚してしまったら、もう震えを止めることは出来ず、零れ落ちる涙も抑えることができなかった。
        だが、彼女は手を止めることはしなかった。いくら涙を流しても、戦場の道理に乗っ取った言葉を
        尽くしても、奪ったこの血を返すことはできない。
        今ここで立ち止まってしまえば、彼女の言葉に従って命をかけた仲間達を裏切ることになる。
        だから、この涙は誰のためにも流すことは許されないと、自身に言い聞かせ。必死になって血を拭い続けた。 -- 2012-07-21 (土) 05:03:54
      •  そんな主人、いや雛の時より寄り添うようにして育てられた姉妹とも言うべき巨鳥は
        その大きな背を丸めて飛爛の背中を嘴で撫でた。
        くっくっと小さく喉を鳴らし、慰めるように天蓋のように大きな翼で、飛爛の身体を包み込む。
         その暖かな覆いの中で飛爛は声をあげて泣いた。泣きながら詫びた。自分が奪った命に
        自分の言葉によって奪わせた命に、そして天と地の間を生命の在るがままに飛び生きていた気高い
        シャツァルの魂を人の血と欲で汚したことを。彼女の懺悔を聞き届ける者は何も無かった。

         彼女はこの後も戦場の空を飛び続けることになる。そしてより大きな戦乱へと人々を
        駆り立てることになるのだ。大いなる歴史の分岐点で翼をもがれ終の地に墜ちるその時まで。 -- 2012-07-21 (土) 05:23:49

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  •  (陣幕の中に集められた人数は200あまり、皆同じような格好をしているが、その肩掛けやあるいはツナギ)
    (のような服の色はそれぞれ皆個性的でカラフルなため、その場は南国の花畑か極彩色のペルシャ絨毯)
    (が敷き詰められているような景観だった。年齢も体格もみなバラバラで、男女入り混じっている。)
    (だが、全員一様に厳しく引き締まった顔をしていた。)
    目的地はここですよ、国境から一番近くにあって、もっとも大きな都市。
    (指示棒でキャンバスの上に広げられた大きな筆書きの地図を指し示す男はクラト、飛爛の側近だ。)
    敵の頭上で失速すれば、周囲数km離陸に適した地形はないので。必ず高度は高く取るように。
    国境沿いにすでに大部隊が展開していますがぁ…ま、アテにはできないでしょうね。
    我々は彼らの頭上を飛び越し、遥かに敵地の奥へと食い込むので。しかし、すでに2度実戦を経験
    した勇士諸君にとって、今回の作戦は敵地に爆弾投げ込んでくるだけの簡単なお仕事に終わるでしょう。
    では、姫様。
    (一見少年のようにも見えてしまう、年齢不詳の男クラトが説明を終えると、一礼し、横で座っていた)
    (飛爛へと場所を譲る。)
    •  (白くて短いワンピースにズボン、そして毛皮のブーツという姿はいつもどおり。だけど普段のような肩掛け)
      (の代わりに金で編まれたショールを身に付けて居た、その胸元で紅いルビーがいくつも連なって揺れている。)
      (巨鳥や天に住まうとされる星々の神を象形した造形に飾られたその金のショールは豪奢である以前に)
      (どこか神聖さをその輝きの中に見せていた。それはカタクァの祭事の折に王が見につける装身具だった。)
      私達はついにここまで来た、でもここからが本当の始まり。
      (ゆっくりと青い瞳を開きながら、この場に集った全員へ向けて飛爛は語りかける。)
      空に抱かれて生きる地上に支配者なんて居ない。だけど彼らは多くを殺し、多くを奪った。
      (飛爛の語る彼らは…ローディアの国々のことではない。)
      羽を休める足場があれば人は生きていけるのだということを、私達がかつて同じ空の兄弟であった彼ら
      にも思い出させなくてはならない。そうでなければ、この地上はいつまでも悲しいままだから…。
      臥した翼を広げよ!これより我らは空を翔る!
      (陣幕の中に大きな歓声が巻き起こった。その歓喜の声を小さな身体で受け止める飛爛の横顔が)
      (泣き出しそうなことに気付いた者は少ない。) -- 2012-07-20 (金) 23:46:16
    • (少女の声に唸りを上げるかのように揺れる陣幕)
      (部隊の士気が熱狂とも言える渦の中にあるというのに、一人。この男は普段と変わらぬ冷徹な瞳で飛爛を見つめて居た)
      ……随分と、大層な文句だな。指導者としては立派なものだが…正視に耐えん
      (年端もいかぬ少女の外見とは似つかわしくない彼女の言葉に、ニタリと口元をゆがませる)
      …だが、良い余興だよ。一度地に臥した鳥がどこまで飛べるのか、観察するのも悪くは無い
      …これが巨鳥の再生の羽ばたきだというのなら。今はその羽が巻き起こす風に身を任せるとしようか

      (爆撃部隊が離陸の準備を進める中、歩兵部隊の一員として、切り伏せるべき敵に視線を移すのだった) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 00:04:40
  •  (山の斜面に翼を広げ、灰蒼色の風となって巨鳥が駆け下りていく。やがて翼に風を纏わりつかせ空へと舞い上がった。)
    (地上に投げかけられていた巨大な影が見る見る小さくなっていく。)
    (すでに頭上は旋回しながら高度を上げていくシャツァルが群れていた。その数およそ90羽。)
    (地上戦力の輸送を任された者は一足先に目的地へと飛び立っていく。やがて空の上に残ったのは)
    (その巨大な鉤爪で取って付きの五右衛門風呂のようなものを抱えた30羽のみ。)
     (地上でその取っ手付き五右衛門風呂…投下爆薬を用意していた人々の頭上を一際巨大な影が)
    (飛びすぎていく。それは飛爛の乗るシャツァル、ココロアの姿。)
    (鮮やかに蒼く煌くココロアが一直線、駆け上がるように空へ昇る、空で待機していた者たちは)
    (彼女を頂点にくの字の編隊となってまっすぐに飛び出して行った。) -- 2012-07-21 (土) 00:25:33
     (時に時速100kmを超えることもあるシャツァルの翼は重荷を持っていても、風のように飛んでいく)
    (駱駝を連れた隊商の頭上を飛び越え。小高い丘の上に居た羊の群れを驚かせ。追い風を捕まえて)
    (ついに標的を眼下に捉えた。)
    (手信号で飛爛が合図を送る、編隊は一糸乱れぬ動きで高度を下げながら旋回し投下地点へと近づいていく。)
    見つけた!………落せぇッ!!!
     (突然飛来した巨大な鳥の群れに、住人達が驚いて空を見上げる中、一際大きな壁と敷地を持つ)
    (建物があった、中から弓矢を持った兵士達が飛び出して来る。)
    (その矢が飛び出すよりも早く、シャツァル達が肢に抱えていた物を落した。)
    (空中に投げ出されると、先ずパンッと乾いた音を立てて荷物を支えていた2本の柄が弾け飛んだ。)
    (それは導火線に火が付いた合図。大きな塊が地面に鈍い音を立てて落ち跳ねながら転がった瞬間。)
     (一際大きな爆発音が響く。次々に乾いた炸裂音が鼓膜を揺さぶり、あっという間にあたり一面が)
    (黒い霧に包まれていく。建物の壁が割れ、砕けた城壁のレンガが地面を叩いた。)
    (火薬の上げる爆煙がのろしのようにいくつも風にたなびいて昇っていった。仲間を求めて)
    (建物からも煙が噴出し交じり合っていく。そこへさらに後続の鳥が落した爆弾が吸い込まれる様に)
    (落ちて行き…激しい火柱が立ち上った。) -- 飛爛 2012-07-21 (土) 01:06:44
     (立ち上る炎を見てそれまで地に伏せて隠れていたカタクァの歩兵たちも進撃を開始した。)
    (弓と極めて短い投槍で武装した軽装の歩兵達が火災に見舞われた敵拠点へと殺到していく。)
     (逃げ出そうとする者、消火しようとする者、前線とはいえかなり後方に位置していたその基地は)
    (突然の奇襲にたった数分で大混乱に陥っていた。)
    (そこへ500ばかりの身軽なカタクァ兵達が乱入し弓矢を浴びせかける。)
    (頭上には炎の上を悠々と飛び回る巨鳥の群れ、そして突然の侵入者達、混乱はさらに加速していく。) -- 2012-07-21 (土) 01:33:04
    •  (炎と煙に包まれた乱戦の頭上で、爆撃を終えたシャツァルの部隊が旋回している。)
      (飛爛の横を飛んでいたクラトが、すぐに後方へと引くよう飛爛に合図を送る。)
      (この作戦は奇襲だ、長いは無用。だが、合図を送られた彼女はじっと地上を見つめている。)
       (熱く焼けた空気、目と喉を焼く黒煙。空の上にまで地上で巻き起こる悲鳴が届いてくる。)
      ・・・・・・・・・私に続け!!
      (完全な奇襲であってもこちらは寡兵、地上での戦いの不利は否めない。現に混乱の最中にも)
      (騎馬を持ち出し、反撃の力を強めている共和国兵の姿があった。)
      (猛々しい嘶きと供に前足を振り上げてカタクァの歩兵を踏み潰さんとしている。)

      (翼を畳んだココロアが急降下を始めた。炎と煙を突き破り。敵地の真っ只中で大きく翼を広げる。)
      (空から振り落とされた巨大な鉤爪が兜諸共騎馬兵の頭蓋を粉砕した。)
      (首を肩にめり込ませながら絶命した兵士を踏み台にココロアは再び高く舞い上がっていく。) -- 飛爛 2012-07-21 (土) 01:49:02
    •  (あーあー…と困ったように飛行帽を被った頭を振るクラト。)
      (姫様のご活躍で地上も空の部隊もすっかり興奮して舞い上がっていた。駄洒落ではない。)
      (数騎の熟練なシャツァル兵だけについてくるよう指示を出し。彼もまた愛鳥を駆って急降下を開始した。) -- クラト 2012-07-21 (土) 01:53:42
      (矢を構える暇すら与えられない混乱と、地上と空両方からの襲撃に、その基地を守っていた総ての)
      (兵達が僅かに焼け残った建物の中へ逃げ込もうとするようになるのは時間の問題だった。) -- 2012-07-21 (土) 02:02:58
      (それはいつもの様に順調に終わる筈だった、戦に紛れ村々を破壊し、人を殺し、女を犯し金品を略奪する)
      (単調過ぎて退屈さすら感じる程の、いつも通りに進む日常…だが、それは突如現れた大爛の者達により、終焉を告げる)
  • あいつらマジでこっちまで来やがったのか…!!
    (襲い来る大爛の者達を切り捨て、一先ずは売り物…奴隷達を商人に引かせて、一刻も早くこの場から逃げ出せようとする) -- 胡久美 2012-07-21 (土) 00:20:00
    (後方より迫り来る大爛の軍勢を一人、二人と切り捨てて胡久美が逃げ出そうと身をひるがえしたその時であった)
    (先に逃がした筈の奴隷商の断末魔が響く。崩れ落ちる奴隷商の死体を踏み越え、一人の男が胡久美を見据えている)
    (本隊に先行して陣地を撹乱する役目をおったカタクァの尖兵である)
    • ;…奴隷商か。下らん…西方の愚図共の倫理は帝国よりよほど愚劣であるらしいな
      (そう吐き捨てると、手にした曲刀についた血を振り払いながら胡久美の方へと歩を進めた) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 00:33:36
    • あーあ…(別段悲しむ様子もなく、奴隷商へは目もくれず、那岐李へ目を移す)
      どうしてくれんだよ、まだそいつから報酬も貰ってねえってのによ…(やれやれと大袈裟にため息をつき、顔を手で抑える。だが、指の隙間から見えるその口元は、喜びに釣り上がり)
      …ま、いっか。楽しめそうな奴が代わりに来てくれたしな。
      (両の手に持った刀を、那岐李へ向け構える。その二本の内、右手の赤い刀身の刀からは、明らかに危険な気配を漂わせている…恐らく、何らかの曰くつきの武器だろう) -- 胡久美 2012-07-21 (土) 00:39:08
      …中々興味深い物を持っているな。貴様如き下郎には勿体ないのではないかな?
      (胡久美が手にした赤い刀から発する異様な気配に口元が更に吊り上る)
      その刀…報酬代わりに頂いて行く―ッ!!
      (言うが早いか、身を低くしたまま地を蹴り、まるで這うかの如く距離を詰める)
      (そこから振るわれる一閃は胡久美の左膝から右わき腹を両断せんとしたものだ)
      (速さに任せた乱雑とも言える一撃。そして足を切り裂き、相手の動きを封じるためとも言える一撃だ) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 00:48:01
    • ;オカマ野郎には勿体ない位立派だ…ろっ!!
      (悪態をつきつつ、襲い来る一撃は後退し何なく避ける…が、その一撃は予想よりも素早かったのか、甲冑の繋ぎ目、膝の辺りからは一筋の血が流れる。)
      (だが、その顔はますます邪悪に歪み)
      いい根性してるじゃねえか…いきなり足狙いたあ、てめえもまともな兵士じゃ無さそうだな…(言いながら、背中のもう一対の腕に、短刀を握らせる。)
      今度はこっちからいくぜ!(何の変哲もない、単なる右の剣による突き放つ。特別工夫もない…それどころか、手を抜いた様にすら感じられる一撃。)
      (だがそれはフェイク、本命は背中のもう一対の腕から繰り出される、短刀による一撃。それは異形体のみが放てる技)
      (放つ事即ち勝利を意味する、邪道の一撃…否、二撃必殺の型) -- 胡久美 2012-07-21 (土) 01:02:59
    • …フン、戦場を荒し私欲を満たす人以下の屑よりは真っ当なつもりだがな
      (微かな手ごたえと、胡久美の膝から流れ出る少量の血に愉悦の色を深めていく)
      大層な事を言う割には、単調な一撃だn―っ!?
      (この身に宿る異形の力が警鐘を鳴らす。この一撃を受け止めてはいけないと)
      (野生の勘にも似た判断で、右方向に飛びのいて距離を取る)
      (が、咄嗟の判断故に体勢を崩してしまう。放たれたフェイクの突きに胸元を切り裂かれながらも無様に飛びのいた) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 01:10:39
    • なっ・・・!(驚いたのはこちらも同じ。その性格から完全に見切り、反撃に転じると思った筈が)
      (後退され、目論見は崩れる。そして、一瞬の後、那岐李の直感を裏付けるかのように、複腕による横薙ぎが、丁度那岐李の首のあったであろう場所を通過する。あのまま反撃に転じていたら…)
      (四本の腕を持つ異形の戦士は、短刀を刀へ、四本の刀を持つと那岐李へ訝しむ様な表情を向ける)
      どうしてわかった?テメエからは完全に死角だった筈なんだが…
      (周囲では、胡久美の仲間と大乱の兵士が互角の戦いを繰り広げている、とはいえ数で負けているせいか、徐々に胡久美の側が押されつつある) -- 胡久美 2012-07-21 (土) 01:16:22
    • ……っ、随分と…奇妙な身体をしているな。西方の化け物というわけか…
      (切り裂かれた胸元から流れる血を拳で拭い、歯噛みする。先ほどまでの愉悦は消え、苛立ちと殺気に満ちた瞳で胡久美を見据えた)
      …なに、異形なのは貴様だけでは無いということだ。この身体に満ちる血を流させたこと、公開させてくれる…
      (周囲の状況を考えれば、このまま行けば数で押し切れる。全滅するまで粘る程この男も愚かではないはずだ)
      (再び身を低くし、弓を引くかの如き姿勢で剣を構えれば、胸の傷から沁み出した血が、霧のように那岐李の身体に纏わりつく)
      ―その奇怪な腕、切り落としてくれよう
      (再び地を蹴るもその速度は先程よりも更に上がっている)
      (獣の如き速さから繰り出されるその突きの先端から、まとわりついた黒い霧が蛇の如き咢を成して胡久美の左後腕に迫る) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 01:28:42
    • おいおい、化物たぁ言ひでえ言い草だな…ま、否定はしねえけど
      (先程よりも更なる勢いで迫る那岐李に、青年は4本の刀を構え迎撃の体勢を取る)
      (迫りくる疾風の如き刺突を、紙一重で避けようとして)っくそが!
      (迫りくる蛇に狙われた左後ろの腕を、咄嗟に大きく逸らす。それでも避けきれなかったのか、蛇はその腕に巻きつくや、深々と牙を食いこませる)
      やってくれんじゃねえか…!!(痛みにより怒りに燃えた表情は、さながら鬼の如く。避けた後ろの腕を除いた、両の手の刀を、交差させるようにそれぞれ袈裟切りに斬りかかる!)
      け、ちゃちな手品見せやがって!とっととくたばりな!(言いつつも、ちらりと周りを見回せば、劣勢に追い込まれているのはこちら。とっとと逃げたい所だが、目の前の敵はそうやすやすと逃がしてくれるほど甘くは無い) -- 胡久美 2012-07-21 (土) 01:48:51

      …ふん、どうやら貴様の血は我が蛇神の舌には合わんようだな?
      (一撃で腕を食いちぎる算段だったが、胡久美の咄嗟の判断で攻撃を逸らされたことへの皮肉を語れば、再び口元が吊り上る)
      それは此方の、台詞だ―ッ!!(左右の肩口を切り裂かんと振り下ろされる二本の刀)
      (正直に刀で受ければ、後ろに隠された残りの腕からの攻撃がこの身を両断するだろう。単純明快ながら、その効果は絶大だ)
      さ、せるかッ!!(単純に避けるだけでも残った腕が即座に追撃をかける筈。それを封じるには後の先を取るしかない)
      (右手に持った曲刀を横一文字に構え、胡久美が振り下ろした二本の刀を受ける寸前でその身を胡久身の背後へ回り込むように右へと滑らせる)
      (が、相手もまた異形の力を宿した尋常ならざる使い手であった。振り下ろされた刀を交わしきれずに、左腕が大きく切り裂かれる)
      ぐ、ぬぅぅぅぁぁぁぁっ!!(苦悶の表情を浮かべながらも、渾身の力で残った右手の曲刀を叩きつけるように胡久美の背後へと振るう―!) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 02:06:36
    •  (本隊から離れて胡久美達と競り合いをしていた 那岐李とカタクァ歩兵達の部隊の上に突然)
      (大きな鳥の影が落ちた。空より急降下で降りてきた6枚羽の猛禽類、シャツァルの巨大な鉤爪が)
      (カタクァ兵を刺し貫こうとしていた敵兵を空へと持ち上げて放り上げた。遠くでドチャッだのメメタァッだの)
      (何か嫌な音がした。)
      那岐李!よく敵兵をひきつけて置いてくれた、撤収だ!奴らはもうおしまいですよ!
      (低空を旋回するクラトが弓で指し示す方向、街の中から大きな煙がもうもうと立ち上っていた。) -- クラト 2012-07-21 (土) 02:24:24
      っがぁああ!!(右後ろ腕の刀を酒場に持ち、寸での所で叩き斬られるのを避ける。技術も何もない力任せの防御は、その痩身からは想像もつかない力で容易く刀を撓ませる)
      (不意に聞こえた声に視線を移せば、そこには巨鳥に跨る増援の姿)
      ち…こりゃあ…潮時だな、おい!(仲間に合図すると、奴隷を捉えていた折を青年の仲間が断ち切る、すると)
      (捉えられていた者達が一斉に、我先にと逃げ出し、大爛の者に助けと感謝の言葉を見舞う)
      勝負はお預けだ、また会おうぜ…(最後に、邪悪な笑みを残すと胡久美と名乗った青年は、仲間と共にその場から逃げだす、追おうにも解放された奴隷が邪魔で、思う様に追跡できない…諦めるしかないだろう) -- 胡久美 2012-07-21 (土) 02:44:45
    • ―ッ!!!(全力で振り抜いた筈の一撃が、激しい音を打ち鳴らして防がれた)
      (反動でバランスを崩し、後ろへとたたらを踏んだ時、上空より一羽の巨鳥が飛来した)
      …っ、く…おの、れ…っ!(切り裂かれた左腕を抑えながら、撤退していく胡久美を見逃すしかなかった)
      (どの道これ以上の戦闘は那岐李にも不可能だった。左腕を失い、渾身の一撃を防がれて体勢を崩していた)
      (クラトの乱入が無ければ間違いなくやられていたのだ)
      …っは、ぁ…はぁ…助かりましたよ。まさか、此処までの傷を負うとは…
      次は…必ず、仕留める……!
      (流れ出る血液でふらつく意識を何とか保ったまま、撤退する一団の中にその身を紛れ込ませるのだった―) -- 那岐李 2012-07-21 (土) 02:53:34
  • ひっ! ひっ! な、なんなんだあいつ等……! 名乗りあげも無しに突然襲い掛かってきやがって……これだから蛮族共は!
    神殿騎士A「隊長! 逃げましょう! 物量差がありすぎます!」
    バカいえ! 今逃げたら丸損だ! 最低でも活きの良い女2,3人はつれてかえるぞ! -- カルロ 2012-07-21 (土) 01:26:32

    (巨大な蠍や山羊に乗った弓騎兵達によって機動性を生かして滅多撃ちにされ、最後に爆薬による一撃が加えられる)
    (爆風は殺傷力よりも戦意を喪失させることが目的のようだ) -- 2012-07-21 (土) 01:34:22
    神殿騎士A「ひ、ひぃいい! もう追いつかれ……かこまれた!?」
    神殿騎士B「た、隊長やつらどこからか火砲まで持ってきてますよ! 逃げましょうよぉ!」
    火砲があんな手軽に連射できてたまるか! 火薬をそのまま投げつけているだけだ、おちつけ、おちつかんか!!(いくら喚いてそれ以上の音量の爆風に負ける声が出せるわけもない)
    (支持が適切に飛ばされることはなく、虚しく声が空へと消えていく) -- カルロ 2012-07-21 (土) 01:37:02
    •  (カルロの声が吸い込まれていく空から逆にけたたましい羽ばたきの音が聞こえる。)
      (6枚羽の巨大な鳥の影が数十の群れとなって頭上を飛び越えていった。その後に突風が吹き荒れる。)
      (そしてさらに、飛び去っていった一団の後から、十数羽の編隊が空を滑り降りるように近づいてくる。) -- 2012-07-21 (土) 02:07:18
      神殿騎士A「ろ、ロック鳥!?」
      神殿騎士B「違う、大きい!」
      神殿騎士C「隊長! どどd、どうします!?」
      ええい、うろたえるなアホ共! 交戦にきまってるだろうが!
      逃げようにも相手の足をとめねばしょうがない! 全員武器を持て!(そういってハルバードを握り締め、一歩前にでる)
      やぁやぁ、我こそは神国が神殿騎士! カルロ・ブレンゴーラ! 貴殿ら、何者だ! 誰の許しを得て我等が神の祝福された土地を侵す!? -- カルロ 2012-07-21 (土) 02:12:24
    •  (名乗りに答える声は無かった。この時の飛爛はたった今まで殺し合いの最中に居て。)
      (全身の血が逆流するような鼓動と風切音を聞きながら、空色の瞳を氷のように冷たく光らせて)
      (獲物を探す猛禽のように猛っていた。だから答える声は無く。)
      ギィィィィィィィィィィィィィッッッッッ
      (血と硝煙の匂いを張り付かせた神殿騎士達の前に壁のような巨大な翼を広げて巨鳥が)
      (ガラスをこすり合わせたような凄まじい咆哮を放った。その鉤爪と皮の鎧に覆われた腹は)
      (ドス黒く返り血に染まっている。) -- 飛爛 2012-07-21 (土) 02:22:40
    • 神殿騎士A「ひひいい、ひぃいい!」
      神殿騎士B「あ、悪魔! 悪魔だ!」
      ぐっ……ええい、言葉を交わす礼すら持ち合わせておらんか、蛮族共め!
      クソ! 落ちろぉ!(半ば半狂乱になりつつ、ハルバードを大空を舞う巨鳥に対して投擲する) -- カルロ 2012-07-21 (土) 02:34:17
    •  (重砲の一撃のごとくほとんど一直線に投げ出されたハルバード、その切っ先めがけて飛び込む巨鳥が)
      (翼を畳んで空中で一回転した。腹と背を天地逆にした巨鳥の背の上に小柄な人影。)
      (ハルバードが掠めて吹き飛ばされた皮の飛行帽子とゴーグルの下はまだ年端もいかないような)
      (黒髪の少女の顔で。金細工のショールを身に着けた少女の蒼い瞳が冷たく眼下の敵兵達をにらんでいた。)

      (再び巨鳥が大きく翼を広げる、空中で宙返りを打ち、鉤爪を突き出して敵の真っ只中へ突撃していく。) -- 飛爛 2012-07-21 (土) 02:44:22
    • なっ!? 女……?(一瞬、その姿に看取れたが、それがいけなかった)
      ああ、っぐあああ!?(滑空し、突撃してきた巨鳥に額の三目をやられ、もんどりうって倒れる。神殿騎士の恐ろしいタフネスにより、即死は免れたが、目に見える重傷だ)
      神殿騎士A「た、隊長!」
      神殿騎士B「カルロ様がやられた! かついて運べ! 退くぞ!」
      あああああああ! 見えないぃ、みえない見えないぃいいい! くそ、くっそ、くっそぉおおおおお!
      殺してやる殺してやるぞ蛮族共!! 1人残らず挽肉にして枢機卿の玩具にしてやる! させてやる! 壊してやる、殺してやる、殺してやるからなぁああああああ!
      (呪詛をはきながら、撤退していく) -- カルロ 2012-07-21 (土) 02:51:37
    •  (飛爛のシャツァルを追って飛んできた編隊が低く神殿騎士達の頭上を掠めて飛んでいく。)
      (彼らは再び一つの編隊へと戻ると迫ってきていた大爛の部隊のさらに向こう側へと飛び去っていった。) -- 飛爛 2012-07-21 (土) 02:58:12

Edit

  •  
  • 【黄金暦223年3月】 -- 2012-07-20 (金) 00:05:36
    • (帝国南部の密林地帯は通年寒さとは無縁の世界だが、その上空2000m近いところに位置する)
      (カタクァ首都、マクン・バシルは涼しいを通り越して寒い。ことに朝晩の冷え込みはかなりのものがある。)
      (那岐李が石造りの大広間に通されたのは、まだ太陽が低い位置にある冷えた朝のことだった。)

      (数日ほど宛がわれた部屋から自由に出る事の許されなかった身には、その広間の大きさは)
      (ことさらに巨大に写ったかもしれない。)
      (縦横20mと11m高さは13mあまり、細長い台形の空間で小規模な体育館くらいありそうだ。)
       (中は入り口と細長い窓の部分を除いて壁沿いに3段の階段が連なっていた。階段には少々高すぎるが)
      (腰掛けるにはちょうどよさそうな高さの石段だ。)
       (そしてすべてが石で出来ていた。床も天井も壁も柱も、複雑な形に切り出された石が形作っている。)
      (天井付近にはまっている石など、ほぼ岩といっても差し支えなさそうなほど巨大であった。)
       (しばらくここで待つように、と言われ那岐李は一人その巨大な石の広間に残される。)
      (那岐李を連れてきた王宮詰の兵士は一つきりな広間の出入り口の前で見張っているらしい。) -- 2012-07-20 (金) 00:42:47
      • (古代文明や少数民族独自の文化を調べている那岐李にとっては、そこで目にする全てが輝いて見えた)
        (これほどまでの高所に、こうも巨大な都市を築き上げたこと自体がそもそも驚嘆に値する。彼等が操る巨鳥の力無くしては有り得ない)
        (幽閉に近い扱いを受けていた間も、彼は微塵も退屈しなかった。宛がわれた石作りの部屋から、そこに至るまでの通路や都市の外観などをスケッチし、考察を深めるだけで時間は過ぎていく)
        (想像を絶する程の長い歴史が、こうまで特異な文化を生み出したのだ)
        (その歴史に想いを馳せていたある日、彼は唐突に呼び出しを受けた。通された広間もまた、彼の知的探究心をおおいに刺激する)
        ……素晴らしい。この石を加工する技術だけでも、帝国内の技術とは一線を画している
        そして何より…こんな僻地へとこれだけの石を運び、こうして巨大な城を、都市を作り上げる等……信じられない
        (もっと、もっと知りたい。この一族がどのような技術を持っており、どのような歴史を辿ったのか)
        (彼等の歴史を辿れば、自身が求める祖先の歴史にも交わることもあるかもしれない)
        (故郷を出てから追い求めてきた自身のルーツにたどり着けるかもしれないのだ)
        (だだっ広い石造りの広間で那岐李の好奇心と野心は静かに燃え上っていた) -- 那岐李 2012-07-20 (金) 00:53:44
      • (静かに盛り上がる那岐李を細長い溝のような窓から差し込んだ朝日が照らす。)
        (腕を差し込んでも外へと届かないほどに外壁の石材も分厚い。)
        北の湖の近くに石切り場があるらしいよ。
        (那岐李の独り言に答える黒い髪の少女。青いゆったりとしたワンピースに赤と黄色の)
        (紐帯を腰に締めている、カタクァでよく観られるタイプの服だ。下に白いズボンも穿いている)
        (が足は素足にサンダルであった、冷えないのだろうか。)
        (その少女がほいっと那岐李に抱えていたものを差し出す。これまた実にカラフルな毛織物の)
        (クッションであった。これに座りなされということらしい。この子供は召使か何かであろうか。) -- 2012-07-20 (金) 01:21:53
      • (差し込む陽光に照らされ、石造りの広間は柔らかな空気に満ちる)
        (ともすれば幻想的とも言える光景の中、一人の少女が自身の疑問に解を与えてくれた)
        北の…だとしても此処まで巨大な石を運ぶのは並大抵のことではない。やはり、巨鳥の力を…?
        (自力で運んだのだとしてもそれはそれで興味深い。見たところこの城は建てられてからかなりの年月が経過しているようにも思えた)
        (現代使われている運搬技術を建設当時に使用していたのだとすれば驚くべき文化レベルである)
        …っと、失礼しました。私は那岐李。此方に通され、待つように指示を受けたのですが……貴方は使者の方で…?
        (クッションを差し出され、思考をようやく中断する。意識を目の前の少女に向ければ、想像以上に幼い)
        (カタクァの長は女性だとは聞いていたが、まさかこのような少女に長が務まるとも思えない)
        (差し出されたクッションに腰かけ、少し砕けた口調で話しかけてみた) -- 那岐李 2012-07-20 (金) 01:34:59
      •  (那岐李の横にクッションを置くと、ひょいっと飛び上がるようにして腰掛ける少女。)
        (つま先がぎりぎり地面についている。平均身長が低いカタクァ人だが彼女は確実に平均以下だ。)
        どうやってこのお城の石を運んだのかは今はもう分からないの、ずっと昔に巨大な石を
        使うのは止めちゃったから。でもシャツァルに引っ張らせるのは無理ね、だって空は飛べる
        けど荷物を運ぶのなら山羊や牛の方が強いもの。
        (話しながらずいずい、と那岐李の方へクッションごと横移動して近づく少女。)
        (彼女も相当に歴史大好きっ子なのであろうか、いわゆる歴女なのであろうか。)
        あ、ごめん言い忘れてた、私飛爛ね、よろしく那岐李!
        (皇女でした。ただし、その空の色にも似た青い瞳は間違いなくカタクァ人のそれも特に王族によく)
        (見られる瞳の色であった。) -- 飛爛 2012-07-20 (金) 01:47:27
      • (随分人懐っこい少女だな、と内心思う。同時に、なぜこのような場所に?という疑問も湧く)
        (飛爛…だったであろうか。長である少女の侍女であると見るのが妥当であろう)
        (謁見の時が来るまで、この少女から知識を引き出しておくのも悪くは無いだろう)
        やはり…口伝では伝わってはいませんか。いえ、だからこそ調査のしがいがあるというものですけれど
        しかし…巨鳥ではないとすればそれこそ牛やヤギを…?今でこそ普通にこの都市近辺での酪農も行われているでしょうが…
        そもそもこの高地に飼いならされた家畜を運ぶこと自体が困難な筈。元々存在していた野生のものを飼いならして家畜化した…?
        だとすればそれこそ私が想像しているより長い歴史がありそうですね…
        (少女の言葉に逐一頷きつつ、興味深げに手にした手帳にペンを走らせる)
        えぇ、はい…ふむふむ、名前は飛爛……飛爛…?(ぺらぺらとよく喋る少女の次の言葉をメモしようとしてペンが止まる)
        …これは失礼いたしました。まさか長大な歴史を誇るカタクァの長が貴方のような見目麗しい少女とは思わず…!
        (即座にクッションから離れ、飛爛の足元に傅いて頭を垂れた)
        (しくじった。学術的好奇心が逸り過ぎた。これから取り入ろうという一族の長に早々に無礼を働くとは―) -- 那岐李 2012-07-20 (金) 02:07:22
      • あっはっははは!!やっぱひっかかったー!
        (いよっしゃっ!とガッツポーズしながら大爆笑する飛爛の声がガランドウな石広間に響いた。)
        初対面の人って大体私のこと総督だって気付けないのよね
        (それは為政者としてどうなのだろうか。)
        ごめんね、馬鹿にしたわけじゃないの。正体分からない方が便利なこと多くてね。
        (そういいながら、傅く那岐李の横にしゃがむ飛爛の顔はまだにやけていた。絶対楽しんでる。)

        お世辞も社交辞令も今は要らないわ、そのために部下を追い出したんだから。
        (那岐李に立つよう促しながら、再びぴょこんっと毛織のクッションの上に飛び乗る飛爛。)
        (やっぱりどう見てもどこにでも居そうな普通の少女にしか見えない。) -- 飛爛 2012-07-20 (金) 02:21:48
      • (快活な笑い声が大広間に響く間、那岐李は考えていた)
        (この少女は―何だ?)
        (カタクァの長である飛爛その人であるならば、どうにも自身が思い描いていたカタクァの実情とのズレがある)
        (帝国の傘下にあるたかだか一部族が皇帝に反旗を翻すなど、並大抵の覚悟ではない)
        (それを指揮しているのであれば、それ相応の威厳とカリスマがあって然る筈。目の前の少女にはお世辞でもそれが備わっているとは言い難い)
        ……お戯れを。失礼ながら申し上げれば、飛爛様の外見に依るところが大きいのでしょう
        重ね重ね失礼を承知で申し上げますが……どうにも、ね(朗らかな少女の声と仕草に少し、緊張が和らいだ)
        しかし飛欄様。人払いをしてまで何故このような…?(顔を上げ、少し砕けた口調で真意を問う) -- 那岐李 2012-07-20 (金) 02:37:14
      • シャツァルに乗るには小柄な方がいいし
        (少女のような・・・下手すると幼児体系な身体の事を言われても一向に気にしていない様子。)
        部下の前ではちゃんと王様らしくしないといけないし
        (実に分かりやすい理由であった。ようは堅苦しいことが嫌いなのである。)

        それに…あなたは私達の今一番大事な秘密を知っちゃったのよ。
        生きて居たかったら私と仲良くなってくれなくちゃ。・・・でしょ?
        (屈託のない笑顔のままでさらりと言ったが、ようは仲間orDIEということである。) -- 飛爛 2012-07-20 (金) 02:55:55
      • ―(思わず、息をのむ)
        (自身が抱いていたこの少女への浅はかな印象を早急に書き換えなければならない)
        …えぇ、それは勿論。喜んで協力させていただきますよ
        貴方方の独自の文化に裏打ちされた特異な戦術には興味もありますし、ね
        (極力表情を変えぬまま答える。生殺与奪の権利は完全に相手にある。此方から提案など望めぬ筈もない)
        (だがしかし。此方にも引けぬ一線はあるのだ。あくまで協力者として、食客としての立ち位置は意地せねば調査も覚束ない)
        しかし、私にも目的が無いでもないのです。貴方方に協力する代わりに…とは言ってもなんですが
        貴方方カタクァの祖先が遺した遺跡、資料等を優先的に調べさせて頂きたい―
        (しっかりと飛爛の目を見て。口調こそ丁寧ではあるものの、その瞳に見える強大な意志と、自身の目的に掛ける執念を隠そうとはしない)
        (ここで今後の立ち位置全てが決まる。いばらの道へは既に足を踏み入れているのだ。何を躊躇することがある―) -- 那岐李 2012-07-20 (金) 03:07:31
      • そんなに怖い眼しなくてもいいよ。
        (那岐李に向けられたのはやわらかい微笑みだった、この少女は笑顔だけで喜怒哀楽)
        (全部表せるのではないかと思えるほどによく笑い、そして色んな表情を見せる。)
        目的が別にあるにしたって、普通もっとマシな嘘つくものでしょ
        (立ち上がった飛爛は石段を軽快に跳び上って、最上段から細い石窓のそばに立つ。)
        だから良いよ、カタクァの歴史のこと調べてくれるっていうなら歓迎する、私も
        故郷の事をもっとたくさん知りたいし、忘れられている事も全部思い出してあげたいの。
        (細い窓の向こうには、高く上った、さえぎるもののない陽をあびて煌くカタクァの街があった。)
         (彼女にとって、命がけで帝国へ反逆を企てることも、祖先から受け継いだ地の現在を生きる事も)
        (まるで等しい事なのだ。だから、二つを並べてどちらかを取るなどということは端から考えていなかった。)

        ただし、今みんなすごい忙しい時期だからあんまりお手伝いとかは期待しないでね -- 飛爛 2012-07-20 (金) 03:28:24
      • ―…失礼しました。少し、熱くなってしまったようで(拍子抜け。そんな言葉が似合う程にあっさりと了承された)
        (そして那岐李は知った。やはりこの少女はカタクァの長であるに足る人物であったと)
        (王たる者の威圧感も、迫力も無い。だがこの少女には人を惹きつける何かがあった)
        (出会ったばかりの自分がそう思うのだ。それこそ同じ民族からすれば圧倒的な求心力となるのだろう)
        ……分かりました。私も研究者を名乗る以上、しっかりと結果は出してみせましょう
        いえ、許可を頂けただけで十分ですよ。基本的には遺跡の場所と内部の簡単な情報を頂ければそれで結構です
        (石窓から差し込む光を受けた少女は、どこか神々しさすら感じさせる程であった)
        (石段の下から少女を見上げ、もう一度頭を下げる)
        (我が一族にも彼女のような指導者が居れば、何かが変わったのだろうか)
        (反乱を企て、実行に移す程の胆力と頭脳、求心力を兼ね備えた人物が居れば―)
        (内心に渦巻く嫉妬にも似た感情を押し殺しながら)

        (この時より、那岐李は改めてカタクァの共犯者となったのであった) -- 那岐李 2012-07-20 (金) 03:40:15

Edit

  •  (大爛帝国の中央部に広がる大平原の南端に位置する都市国家「煙台」)
    (首都爛京より遥か南西に位置し、南部の有数な都市六稜よりも南にある。)
    (そこは帝国の南部の鎮守として築かれた大都市で、背後には東西を分ける大陸中央山脈、前方は)
    (密林を切り開いて作られた広大な開墾地と草原に囲まれ、高台に位置するその都市は万全の守りを誇る。)
     (その都市からの連絡が2〜3ヶ月前より途絶えていた。)
    (223年、この年は反乱が相次いでいた、当然南部の守護として置かれたこの地にも兵を派遣せよとの)
    (命令はとうに下っているはずだが。巨大な朱色の城門は天を遮る壁のように閉ざされたまま沈黙していた。)
    (送り出される伝令の早馬はみな消息を絶っていた。またかの都市より送られる者も皆無であった。) -- 2012-07-18 (水) 23:32:41
    • (草原一面に、血色の旗が翻り、万に達する軍勢の鎧や槍がキラキラと輝いている)
      (赤死隊──轟爛が所有する私兵の大軍隊である)
      (全てが選りすぐりの精鋭で、帝国最強の部隊とその名を轟かせている)
      (小高い丘の上、魔獣「牙王」に跨った轟爛は、沈黙を続けている城門をじっと見下ろしていた)
      こちらの軍勢は見えているだろう。さあどう出る。(そう呟くと、傍らの飛爛へと視線を落とす)
      これまでの経緯を話してもらおうか。部下から話は聞いたが、この地へ先陣したお前の口から聴いてみたいのだ。飛よ。
      -- 轟爛 2012-07-18 (水) 23:52:30
      • はい
        (呼ばれて進み出たのは兜の代わりに、ゴーグルのついた皮のフードを被った黒髪の少女。)
        (白いワンピースとズボン、毛皮のブーツ。その上から複雑な幾何学模様に編まれたカラフルな)
        (毛織物の肩掛けをかけた姿は武装した軍勢の中で浮いていた。およそ武器らしいものは)
        (腰に下げた弓矢一つだけだろうか。)
         (大柄な轟爛と比べると大人と子供程に体格に差があり。騎獣にまたがった轟爛を見上げて)
        (いる。その瞳は晴れ渡った頭上の空と同じ色をしていた。)

        すでにお聞き及びの通り、煙台市は南部の守護を任されながら、2ヶ月に渡り
        篭城を続けております。粛清の勅命の折、習いに従って私ども、華桌は煙台軍の指揮下に
        入る予定だったのですが…。彼らからは何の便りもなく、またこちらの呼びかけにも応じません。
         (まともに言葉を交わしたことのない腹違いの兄へ言葉を述べる飛爛の顔は初陣の緊張からか)
        (強張っていた。)
        そこで、先日、直接真意を問いただそうと、軍を伴い行ったところ…。
        (視線を遠く丘の上へ向ける、平原のなだらかなくぼ地をはさんで、向こう側。)
        (そこには城壁の前に柵を築き、布陣する軍勢の姿があった。)
        (その数およそ20,000、騎馬も騎獣も多くその戦列の中に観られる。) -- 飛爛 2012-07-19 (木) 00:19:28
      • ふん。腑に落ちんな。(部下のそれと変わらない報告を聞いて鼻を鳴らす)
        (主人の苛立ちを感じ取ったのか、猪とも、狼ともつかない巨大な魔獣は低く、唸り声を上げた)
        人は利で動く。此度の篭城にはいくばくの利も無い。
        軍も出さず、ただ篭り続けているだけで何が出来る?不可解な事ばかりだ。
        お前はどう見る、飛。(射抜くような視線を、ぎろりと落とした)
        -- 轟爛 2012-07-19 (木) 00:35:29
      • (飛爛の背に電流の痺れに似た悪寒が走った。まるで目の前の魔獣の口の中に居るようだと思った。)
        それは…
        (思わず言いよどむ。ほんの一瞬の間に、すさまじく重たい空気が沈殿した。) -- 飛爛 2012-07-19 (木) 00:52:20
      • っと、失礼、はい失礼。兵隊さんちょっくら通していただけますかな?
        (居並ぶ兵隊の隙間をひょいひょいとくぐりながら、ふらりと割って入った男がいる。)
        帝都生まれとはいえ、幼くして華桌へと参られた姫様は巨大な牙を持つ獣が怖くて
        泣きそうであられる。なにせ華桌の地では軍獣が少ないので。ほら、姫様スマーイル
        (突然割って入った男は、飛爛の頬を指で持ち上げた。あにふんのよー!?と怒る飛ちゃん。)
        え、私、姫様の家臣を務めております、クラトと申します。
        姫様は戦は未経験にございまして。本件に関する諸事細々、私めに一任成されておられたのですが。
        責任感の強い姫様に置かれましては。「帝都より大の兄君がお越しなさるというならば。
        私が代表として出なければ失礼に当たる!」と意気込まれまして。
        参上仕ったしだいでございますが…。(むーにむーにと顔をこねくられてすげぇ面白い顔になる飛ちゃん)
        あとの説明は私が現場責任者といたしまして、横から口を差し挟む非礼をお許しいただけないでしょうか? -- 2012-07-19 (木) 00:52:31
      • ちょっこねすぎよ!離しなさい!? -- 飛爛 2012-07-19 (木) 00:52:42
      • おや、これは失礼、姫様は今日もよき柔らか具合でございますね。 -- 2012-07-19 (木) 00:52:50
      • どう見ると、聞いている (刃物のように鋭い視線が、飛爛の沈黙により、その冷たさを増していく)
        (そんな折に現れた闖入者に、片眉を跳ねて視線を移した)
        ほう、貴様が代弁するというのか?だが、些か礼儀に事欠いているようだな
        (にやりと笑ったかと思うと、腰の長剣を素早く抜き放ち、真向から振り下ろした。銀色の刃は、クラトの眉間に触れる寸前で止まった)
        俺の言葉を遮った非礼は、貴様の首では足りんぞ。俺に忠誠を見せた妹に免じて止めはしたが次は無い (刃を引いて腰に納めた)
        話せ
        -- 轟爛 2012-07-19 (木) 01:07:07

      • (刃が振り落とされる一瞬、クラトは眉一つ動かさずぎらつく切っ先を見つめていた。)
        (むしろ驚いたのは飛爛の方であった。)
        ははっ、閣下と姫様のご恩情深く愚心に刻みます。
        (ひざまずき、深い礼を取るクラト。地面に向けられた額から数滴血が落ちた。)
        え、では僭越ながら申し上げます。この南方の地は元来水銀の少ない土地です。
        加えて先日の大地震の影響もさほどはうけませんでした。全国的な凶作とはいえ。
        もとより豊かな煙台の倉庫にはまだ大量の備蓄がございましょう。
         それらの資源は有事の際、南部諸族のみならず飢餓に苦しむ諸国へと送られるはずですが…
        彼らはその義務すらも怠っております。つまり、ただ座して待つだけで、他の都市は弱り
        彼らは強くなるというわけです…。
        臆病な持てる者が故の反逆の戦法…と私どもはにらんでおります。

        (その時、煙台の城の方から、平原を駆けてくる馬が一騎。その背に使者の旗をさしている。)
        ほら、いまさら何かいいわけでもしに来たのでしょう。
        叛意がなければ、閣下の軍が到着なされた時点で、早々に陣を払い城門を開くものだと思われますが・・・。 -- クラト 2012-07-19 (木) 01:25:41
      • 滅ぼされるとわかっていてか?(一つの都市国家が反旗を翻したところで、すぐさま粛清されるのは眼に見えている)
        だとしたら、随分と悠長な反逆だな。(くっくっく、と唇から漏らすように笑うと、遠方よりこちらへと駆けてくる使者を見た)
        言い分は聞いてやらねばなるまい。どのような答えであれ、罪は免れえぬがな。もうよい、下がれ (クラトを視線で下がるように命じると、飛爛をじっと見下ろした)
        華桌には…帝国でも類を見ない航空戦力があったな、飛よ。シャツァルといったか。あれは素晴しいな。
        帝国全土へ配備できれば、戦の歴史は変わるだろう…。地形に邪魔立てされず、馬よりも早い。
        隠密裏にことを運ぶにはまさにうってつけではないか、なあ、飛。(いつの間にか、轟爛は身を乗り出し、飛爛の顔を覗き込むように凶悪な笑みを見せている)
        -- 轟爛 2012-07-19 (木) 01:46:58
      • (恭しく礼をしたクラトが下がると、飛欄は再び一人その場に残される。)
        彼らは…我ら南方の諸族を蛮族と蔑み、帝都から離れているのをいいことに自ら王のように
        振舞うことも少なからずありましたので。
        (獲物を狙う獰猛な巨大トカゲのような兄の視線に、今度はひるむことはなかった。)
        兄上様、恐れながら申し上げますが、シャツァルは本来戦のための道具ではありません。
        赤子と雛とを対の兄弟として育つ巨鳥は華桌の民にとって家族であり、身体の一部であり、
        心の在り処そのものです。
        (しかと、蒼色の瞳に力をこめて見つめ返す。)
        それを危険な戦場に持ち込むことは、身も心も差し出して忠誠を誓う事とお思いください。 -- 飛爛 2012-07-19 (木) 01:57:47
      • (青色の瞳…帝国においてそれは珍しい。カクタァの血筋を引くその眼には、確かに覚悟の輝きを見て取れた)
        (しかし、気に食わんな)
        (その輝きを、轟爛は今までに幾度となく目にしてきたように思う)
        (生き残ったものが見せる、復讐誓った眼に、それはよく似ていた)
        ふん、そういったものか。(覗き込むように乗り出していた背を戻し、騎獣を起こす)
        使者が着けば俺に通せ。(そういって、自軍の陣へと戻り始めた)
        -- 轟爛 2012-07-19 (木) 20:46:24
  • はい
    (一礼し、戻っていく大きな後姿を見送る。その姿が見えなくなったところで、飛欄は)
    (意識して開いたままにしていた手をぎゅっと握る。いまさらになって心臓が激しく鼓動していた。)-- 飛爛
  • 大丈夫ですよ姫様、今はこちらが選ばれたようですから。私どもの首がちゃんとつながってるのが
    何よりの証拠でございます。しかし剣圧だけで切れるとは、いやはやなんとも恐ろしい。
    (傍に居た兵士から手ぬぐいを受け取ると、額にまきつけるクラト。)
    (轟爛が自陣へと引いたあと、飛爛とクラトの周りに残ったのはカタクァの歩兵達だけだ。)
    (シャツァルの部隊はもっと後方の丘の上で離陸の準備に入っている。)-- クラト
  • あ…クラトさっきはありがとう…傷、大丈夫?
    (自分が打ち合わせどおりにやれなかったせいで、傷を負わせてしまったことが気になるのか)
    (飛爛が心配そうな顔をする。)-- 飛爛
  • いやぁ、あまりに鋭い切れ味すぎてもう皮がくっついてしまいましたよハッハッハ!
    それよりも、今回の戦、姫様は後方の編隊に居てもらいます。なるべく高度を取って決して敵の上に
    降りませんようお願いします。
    (でも、と反論しようとする飛爛を抑える。)
    大規模な実戦は我々もシャツァル達もはじめてです、姫様を失うわけには行きませんので。
    それに、あの兄君様は私達を信用してはおられないようです、気が変わって下からバックリ・・・
    なんてことになられても困りますからね。-- クラト
  • (その後、斬り捨てられた煙台の使者の首が草原に転がり戦端は切って落された。)
    (黄金暦223年冬、帝国南方の鎮守都市煙台は反逆の罪により粛清された。)
    (シャツァルの飛行部隊が大規模な軍事作戦に投入された最初の戦いではあったが、)
    (赤死隊の猛烈な突進の前に煙台軍はほとんど反撃する間も無くわずか半刻ほどで潰滅。)
    (城門の上から煙台総督の斬首体が投げ落とさるも時すでに遅く。)
    (結局その街の中で何が起こっていたのか、知る者は誰一人残らなかった。)
  • ふん、飛め。(煙台の塔の上から、手中に落ちた街を見下ろしながら笑う)
    何を企んでいるかは知らんが、まあいい。今は策に乗ってやろう。この地を得られたことは俺にとっても利を齎す訳だからな。
    だが。(上空を飛ぶ一際美しいシャツァルを睨み上げる。飛爛とその愛鳥だ)
    最期に全てを得るのはこの俺だ。せいぜいそのときまで、籠の中を飛び回っているといい。
    羽を撒き散らし、落ちるまでな!ふふふ・・・はははははは!!!(屍が折り重なる煙台の街に、悪鬼の笑いが木霊した・・・)
    -- 轟爛 2012-07-20 (金) 00:16:40

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  • 【黄金暦223年某日】 -- 2012-07-17 (火) 07:05:22
    • (大爛帝国、中央平原地帯の南端、南部の密林地帯に程近い街道の脇だ。)
      (二人の男がいた。ともに帝国風の役人の装束を着ていて。一人はどこにでも居そうな帝国民の)
      (特徴を備えているが、もう一人は色白でやや小柄だ。ともすれば少年のようにもみえる。)
      まいったね、馬に乗れるお前が足を怪我しては…まさかシャツァルで乗り付けるわけにもいくまい。
      (めんぼくないと頭を下げる二人組みの片割れ。帝国内でも辺境にあたるこの地域は)
      (宿場の間隔もめっぽう広い、一番近くの村まで何十kmとある。)
      (しかし、二人には残された時間は少なかった。一刻も無駄にできない事情があったのだ。)
      おや・・・ほっこれは空の助け、いや向こうは地上をあるいてくるわけだが。
      (小柄の方の男が、道の遥か遠く、常人では見つけられないような距離に一人街道を行く旅人の)
      (姿を見つけた。)
      あいつが爛国の役人でないことを祈ろう、あるいは職務よりも懐具合が大事な奴だとうれしいな。

       (那岐李が怪しげな二人組みに、自分達の代わりに大事な書類を届けてきてくれと頼まれる)
      (ことになるのはこのすぐ後のことであった。) -- 2012-07-19 (木) 01:10:27
      • (街道を行く途中、使者と思しき男達から頼みをされた。普段であれば一笑に付して立ち去る所であった)
        (しかしながら書類を届ける先が煙台となれば話は別だ。自分も煙台に点在する少数部族の遺跡の調査を目論んでいたのだ)
        (此処で煙台の支配者とパイプを作っておくのも良いだろう。施政者に媚びへつらい、機嫌を取って調査をする手間が少しは省けるだろうと判断し、引き受けたのであった)
        (頼まれた仕事自体はすぐに片付いた。書類を届け、煙台の下見をしてから来た道を戻れば男達が先程の場所で待っているではないか)

        おや、待っていて下さったのですか?これはこれは…お待たせいたしました。無事、書類は届けましたよ
        (にこり、と馬上から貼り付けたような笑顔を向ける)
        しかし…よろしかったのですか?煙台の施政者に直接届けるような書類を私に任せてしまって…貴方方が行けば直接褒美を頂けたでしょうに -- 那岐李 2012-07-19 (木) 01:24:27
      • いえいえ、こちらこそ、運悪く立ち往生していた所を助かりましたよ。
        (先に那岐李が聞いた話では、正副あわせて二人の伝令が折悪しく二人そろって)
        (怪我をしてしまい、そのうえ馬にも一頭逃げられてしまったという事だった。)
        約束どおり、お礼を支払いましょう。まずはこれは前金。
        (小柄な男が、温和そうな笑顔で那岐李へと金貨の入った袋をさしだす。)
        (ところで、分かれる前は二人組みだったはずだが、片方がいない。もう一人の背の高いほうの男はどこへいったのか。)
        (その時不意に、近くの藪の中でギラリときらめくものがあった。) -- 2012-07-19 (木) 01:37:10
      • えぇ、確かに受け取りました(手渡された袋の重みでそれなりの金額であることは分かる)
        (約束の報酬も受け取り、これでこの取引は終わり―)
        (そう思う程、この男は間抜けでは無かった。姿の見えないもう片方の男。視界の隅で煌めく"何か"そもそも感じていたこの話の「違和感」)
        (全てのピースが此処に来てカチリ、と嵌る。表面に張り付いていた薄っぺらい笑みが、心底楽しそうな、歪な笑みが浮かび上がる)
        ―成程、そういうことか(小さくつぶやく。此処で自分を殺し、口封じを図れば金は手元に戻り、事実を知る者も居なくなる)
        (大方、昨今頻発している反乱分子の一部なのであろう。先ほどの書類は煙台の施政者に対しての謀反の一端か―)
        …随分と物騒な報酬もあったものだな?(先程までとは語調を変え、藪の中に潜んでいるであろう男にも聞こえるよう、本来の言葉で問いかける。) -- 那岐李 2012-07-19 (木) 01:46:01
      • 放て!
        (那岐李の目の前の男は、笑顔のままで叫ぶとまったく躊躇の無い動きで懐より寸胴な)
        (切り詰めたショットガンのような銃を取り出した。それは火薬の扱いに長けた帝国内でも珍しい兵器であり)
        (主に扱うのは西側の諸国のはずだが。なぜかこの男の手の中にそれはあり、銃口を那岐李へと向けていた。)
        (乾いた轟発音。那岐李の前後両面より、矢と銃弾が放たれる!) -- 2012-07-19 (木) 02:02:33
      • (男が叫んだその刹那。ぐにゃりと那岐李の周囲の空気が歪む)
        (火薬の爆ぜる音が響くその刹那。那岐李の足元からどす黒い何かが噴出してくる)
        (那岐李の周囲を覆う壁のような形をとったそれに銃弾が触れれば、先ほどまで那岐李を貫かんと飛来していた銃弾は中空でぴたりと制止する)
        ……さて、次はどうする?貴様ら如きが我を駒として使おうなど…分を弁えろ
        (威圧の言葉と共に、制止していた銃弾がパラパラと地面に落ちる)貴様らにも下らん策を企てるだけの理由があり、誇りがあるのだろう…?
        ならばその誇りを我に示せ。命の限り足掻き、無様に地に臥すといい
        (すらり、と腰に差した刀を抜き、目の前に立つ男の首元へと突きつける)
        (にたり、と薄気味の悪い笑みと共に、爬虫類の如き鋭い瞳が男を見据えている) -- 那岐李 2012-07-19 (木) 02:18:44
      • あっちゃー…
        (少年のような笑顔を引きつらせて、こいつはやべぇ、という顔を小柄な男はした。)
        渡りに船と思ったら海賊船にございましたよ。
        (硝煙をあげる単発式の銃を躊躇なく地面に投げ捨てる。)
        いやもう、我らの手に負えるような御仁じゃないことはよっくわかりました。
        (代わりに男は首から提げた小さな木の笛をくわえ、吹き鳴らす。草原に鷹の鳴き声のような音が)
        (響き渡った。)
        (音がところどころ茶色に剥げた草原を遠方へと駆けさっていった後。羽ばたきの音が聞こえる。)
        (それはすさまじい速度で近づいてくる。)
        グナン、ラチェニカ!
        (異国の言葉で男が叫ぶ、那岐李と男の頭上にあった太陽がその巨大な影に隠れる。)
        (草原の彼方より一瞬で飛来したのは、巨大な怪鳥、鵬の倍もあろうかという巨体に6枚の翼を)
        (そなえた灰蒼色の巨鳥の姿)

        (一瞬だった、空より巨体が振ってきたかと思うと、その巨大な鉤爪が那岐李の乗った馬の)
        (目玉に食い込み、頭蓋と首の骨が砕ける音がした。)
        (馬が末期の悲鳴を上げ、那岐李がその背から投げ出される一瞬前。那岐李の眼前には)
        (恐竜めいた巨鳥の肢とたたきつけるような突風の向こうに灰蒼色の胴体があった。) -- 2012-07-19 (木) 02:38:21
      • ―っ!!
        (突如飛来した巨大な鳥に驚く間も無く、乗っていた馬の頭蓋が一瞬で粉砕される)
        (崩れ落ちる馬の背から半ば投げ出されるように飛び降り、地面へと着地する)
        ……その巨鳥…貴様ら、華桌…いや、カタクァの人間か(古代文明や少数民族を専門とする那岐李が知らぬわけはない)
        (天を覆うばかりの灰蒼色の巨鳥を従える民族など、この広い帝国領の中でも彼等以外に居るはずもない)
        …く、はは、はははははは!!(恭順を誓い、帝国の傘下に入り、今や王族として一地方を預かる身ともなった一族が反乱を企てている)
        (これを笑わずして何を笑おう)…くく…これは天が与えた奇跡か…?好都合だ……貴方方、一つ取り引きをしましょう
        (立ち上がり、歩み寄る。到底太刀打ちできぬような巨鳥が二羽。自身の前に立ちふさがっているというのに)
        (この男は身じろぎもせず、再び張り付くような笑顔を浮かべ、極めて紳士的な態度で言葉を並べる)
        …私は貴方方の謀反の企みは一切口外致しません。その代わりと言ってはなんですが、貴方方のカタクァの歴史、文化を調べさせて頂きたいのです
        …いえね、私は帝国内に点在する遺跡や少数民族の歴史、文化の調査を生業としているのですよ
        以前から、貴方方カタクァのことにも興味がありましてね……如何です?
        (ペラペラと気味が悪い程紳士的な態度だった。先ほどまで纏っていた殺気は形を潜め、張り付いた笑顔で一歩、男達の方へと踏み出した) -- 那岐李 2012-07-19 (木) 02:57:27
      • (思わぬ申し出に、営業スマイルも忘れて少年のような男は一瞬あっけに取られた。)
        (謀がばれた今、殺すことが難しいなら、せめて脅して本拠地へ連行し、食客として大人しく)
        (飼い慣らすが得策かと考え。この男の欲の深さ具合によってはやはり殺すしかないかも)
        (知れぬ・・・とカタクァの政務を取り仕切るこの男は考えていた。)
        (その矢先に那岐李のこの申し出である。)

        ええぇ・・・あんまりにも欲がなさすぎて、私正直ちょっと引き気味でございますが。
        (とはいえ、相手の得たいの知れない術は怖かった。どうやら戦力は今天秤の上で拮抗しているとは言え。)
        (貴重なシャツァルを闇雲に戦わせて失うことはできない。)
        (その巨鳥はカタクァ人にとって自らの半身とも言うべき存在であり、それはこの男も同様であった。)

        ・・・・・・・・・しかし、あなたも私も互いに仲良くしたいというのであれば。
        無用な戦いは避けてしかるべきでしょうかな。
        (頭上で2羽の巨鳥が太陽を中心に円を描き、旋回している。怪しい動きがあれば再び鉤爪が)
        (振り落ちてくるのだろう。) 
        私の名はクラト、あっちの大きいのはコチャ。して、あなたのお名前は?
        (近づいてくる那岐李にクラトは何の構えも取らず、待つ。) -- クラト 2012-07-19 (木) 03:13:34
      • …なに、研究者としての好奇心に比べればその他の欲など些細なことですよ
        私は那岐李。私設ではありますが…古代文明調査機関、間史廼把の長を務めています
        (怪しまれて当然。疑われて当然。しかしそれでも、此処でカタクァの人間とパイプを作れるのは那岐李にとってはかなり魅力的だった)
        (余計な手間を省いて普段より深くまで調査することが出来る上に、彼等が謀反を企てているとなれば尚更だ)
        (彼等が仮に皇帝を打ち倒すようなことがあれば、各地の史跡調査が格段に楽になる。失敗すれば彼らが遺した貴重な文化遺産も自らの手に渡る)
        (漏れだしてしまいそうな歪んだ笑顔を、貼り付けた表情で押し隠しながらその手を差し出す)
        シャツァル…でしたか。あの巨大な鳥も含めて、カタクァの文化は特異な点が多い
        これだけ特殊な文化を築くには相応の深い歴史が必要となります。それらを知りたいと思うのは、研究者としては当然なのですよ -- 那岐李 2012-07-19 (木) 03:27:24
      • 帝国の人には珍しく、我らのことをよく知っておいでだ。
        (上機嫌で語る那岐李にクラトは眉を左右別々の角度にもちあげて、困り半分苦笑い半分な笑いを見せた。)
        (那岐李の名乗った機関の名前は知らないでもなかった。付随する嫌な噂とともに。)
        (クラトには目の前の男は身も心も捧げた度をすぎた研究者というより、何か得たいのしれない怪物のようにすら思えた。)
         (離れたところにいるコチャに手で合図をすると、ヒュッという短い口笛のあとに、再び耳慣れない)
        (カタクァの言葉が聞こえる。)
        (その声に促されて頭上を旋回していたシャツァルの1羽が馬の死骸を抱えて飛び去っていった。)

        え、では、まずは私達の都にご同行いただきたい。
        (カタクァの都、それは聳え立つ台地の上に築かれた古の都市だ。そこに連れて行かれれば、)
        (台地上の生物達が長く外界から守られてきたのと同じように、世界から隔絶されることになる。)
        何せ物騒な時分でございますのでね。 -- クラト 2012-07-19 (木) 03:46:39
      • (クラトの反応もまた予想の範疇であった。これだけ掌を返しておいて不審に思わぬ者など、それこそただの愚者でしかない)
        (だがしかし、こうして取引を受け入れた以上、少なくとも調査という表向きの目的はしっかりと果たせるのだ)
        (多少の疑いの眼差しなど気に留める程のことでもないだろう)

        えぇ、それは此方としても願ってないことで。早速カタクァの文化の中枢に触れられるのですからね
        (首都への連行。半ば軟禁状態に陥ることになるだろう。だがそれも大した問題でもない)
        (自身に向けられる疑いの眼差しなど、行動で晴らしてしまえばいい。本心を偽ることなど今まで幾らでもやってきたことなのだから)
        …本当に、楽しみですよ
        (薄っぺらい微笑みの下で渦巻く様々な感情を悟られぬよう、今はただ黙って従おう) -- 那岐李 2012-07-19 (木) 04:07:41
  • 姫様、新兵器のリサーチが完了しました。 -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:43:22
    • 花火爆弾? -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:43:46
      • いえ、あちらは点火装置の量産がまだなので。以前より進めていた新兵器の方です -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:45:02
      • おー…何これちゃっちゃくて革張りになった樽爆弾? -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:45:34
      • いえ、中身は油です
        (でっかい取っ手が付いたサンドバックみたいな物) -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:46:19
      • 油 -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:46:31
      • シャツァルに持たせたあと、敵の頭上でこのヒモを引っ張ると中身の油が散布されます -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:47:12
      • あー…ああー…なんか想像ついたわ -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:47:30
      • はい、そのぶちまけた油に後続の部隊が樽爆を投下すると、燃えます -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:48:07
      • ……… -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:48:20
      • こんがりBBQです -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:48:32
      • ……… (露骨に嫌な顔) -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:48:54
      • 上手にできましt -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:49:08
      • いいから、そういうのはいいから。ただでさえガチな人らから雰囲気浮いてるから -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:49:47
      • …はい、しかし威力は絶大だと開発部の方から報告があがっております -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:50:42
      • うーえー…でも焼くんでしょ?火責めってすごく苦しくて酷いって言うじゃない、やだなー… -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:51:30
      • 大きな火があればシャツァルの上昇力もあがりますし…それに、これは戦争ですので。 -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:52:31
      • 分かってるけど………そういうの持ってると街ごと焼き払って来いとか言われそうで、やだなー… -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:53:52
      • そもそもさぁ…シャツァルって戦で使っちゃだめだと思うの。なんていうか…
        空を飛ぶときは、救われてなきゃいけないと思うの、一人と一羽で、孤独で…豊かで… -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:55:43
      • がぁああああ!(ヒリにアームロックかけられる姫様) -- 飛爛 2012-07-17 (火) 04:57:11
      • テンプレはココロア様がなされたので省きますね。
        姫様、空を駆けるには羽を休める大地が必要です。そこは帝国の地の上にはありません。 -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 04:59:41
      • …彼らは多くの人々から多くを奪いすぎた。でしょう?
        分かってる、わかってるわよ…でも、やっぱり、戦争だから何をしてもいいっていうのは嫌 -- 飛爛 2012-07-17 (火) 05:01:31
      • …では、この新兵器は導入を中止しますか -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 05:02:08
      • …しない、そこまでわがまま言わない。
        ヤダケドガンバゥー…(ココロアの羽に顔つっこんで変な声) -- 飛爛 2012-07-17 (火) 05:03:37
      • どんなに理由つけても殺し会うのは酷い方法も、サクッと殺すのも一緒だし。 -- 飛爛 2012-07-17 (火) 05:05:47
      • 姫様 -- 側近っぽいの 2012-07-17 (火) 05:06:07
      • 今は誰かの敵になることでしか、他の誰かの味方になれない私がやらなきゃいけないことだから -- 飛爛 2012-07-17 (火) 05:06:48

Edit

  • カタクァ人豆知識「カタクァ人は豆で生きてる」 -- 飛爛 2012-07-15 (日) 01:38:30
    • どんぐらい豆で生きてるかというと、毎日3食朝昼晩、加えておやつも大概豆 -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:02:35
      • その体はきっと豆でできていた…。 -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:03:32
      • 姫様誰に何を語ってらっしゃるので -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:04:25
      • あのね側近、肉抜きのチリビーンズってチリビーンズじゃないと思うの、ベイクドビーンズだと思うの -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:06:08
      • 辛ければチリビーンズです -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:06:36
      • お肉食べたい -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:08:10
      • 王族とてそう毎日肉ばかり食べるわけにもいきませんよ、昨今はただでさえ出費がかさんでるんです -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:08:48
      • ねぇ、肉 -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:08:56
      • 私は肉ではありませんが -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:09:29
      • 姫様は帝都暮らしがながかったですからね、まぁ早く慣れることです -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:10:14
      • ……… -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:10:28
      • ワリの豆なんかはお肉みたいな食感でおいしいですよ(モグモグ -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:12:19
      • にぃぃぃぃくぅぅうううう!辛抱ならないわ!ちょっと一狩り行って来るから!!
        へーい!ココロアー! (窓からダイブ) -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:13:40
      • 姫様ー!? -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:14:02
      • 山羊とってくるわー!晩御飯はジンギスカンねー!!!
        (大きく翼を広げてカタクァの雲ひとつない真っ青な空へと舞い上がっていく、巨大な鳥の影。) -- 飛爛 2012-07-16 (月) 01:15:05
      • お食事中に飛び出すのは行儀悪いですよー姫サマー! -- 側近っぽいの 2012-07-16 (月) 01:15:23

Edit

  • 『ああ!うっさい!!あんた何度、弱音吐けば気が済むの!?』
    狭い抜け穴とも言えないような、ミミズの掘った穴みたいな土中の穴の中で。
    幼き日の宗爛の手引いて。泥だらけで、もう二度と使い物にならないだろうという程に、伸びきった腕を引っ張って。
     黒髪に青い瞳、およそ帝国中のどの民族にも見ない姿の少女は笑った。
    『もう少しだから、がんばって。あなたに本当の世界を見せてあげる』

    大爛帝国首都、皇帝の住まう内城の壁の地下を掘り進み、夜陰に乗じ、首都郊外の原野へと、
    出でようとするこの小さな闖入者は。大爛帝国第72皇子「宗爛」と大爛帝国第63皇女「飛爛」その幼き日の姿であった。 -- 2012-07-05 (木) 11:14:40
    • 『ひぐっ……えぐっ……』
      ただ後ろをついていくだけだというのに、それでも闇と泥に塗れた細い抜け道を往く事は、まだ幼い少年にとっては不安そのものでしかなかった
      帝都に無数にある、非常時に皇族が逃げるために使われる脱出用の秘密通路。ここはその一つ
      ……といっても、すくなくとも自分たちが生まれてから使われたことはおろか、点検されたことすらないであろう帝都のそれだ。何時崩れてもおかしくはない
      ロクに返事もできず、ただ怖い、帰りたいと呟きながら、黒い子山羊を大事そうに抱いて飛爛についていく -- 宗爛 2012-07-05 (木) 11:25:06
      • 『ぷはぁ!』
        せまい穴倉の空気をさも鬱陶しそうに吐き出した飛爛の声が、宗爛にも聞こえる。
        二つ三つばかり年上で、成長期の男女の体格差の習いの通り。
        飛爛が、半ば無理やり宗爛の腕を引っ張って連れ出したのは、大爛首都、城壁の外側。
         満月の照らす荒野だ。 -- 飛爛 2012-07-05 (木) 11:34:27
      • 『……ひっ!』
        突然開けた視界に、つい悲鳴を上げる。薄暗い穴倉から外に出れば、そこは例え夜でもひどく明るく感じた
        月明かりに照らされて、地平線の向こうまで荒野が広がっている
        『……広い』 -- 宗爛 2012-07-05 (木) 11:42:43
      • 『広い?』
        皇族のみに与えられる高価な絹で編まれた子供服の膝と尻についた土を
        ぱむぱむ、と叩き落としながら飛爛は、今だに目をぱちくりさせている宗爛に向き直る。
        『本当に広いのはここなんかじゃない』
        そういう、飛爛の背後に巨大な黒い影が立っていたのはいつの間だろうか。

         「羽音も立てず、巨体を獲物の元へ滑らせる」その例えの通り、飛爛の背後大きな影を落として
        たたずんでいたのは、カタクァの民のみが乗り、翔るという巨鳥シャツァルの姿。
        『その羊ちゃんは置いてきなさい、空の上で落っことしたくないでしょう?』
        勝気に笑う飛爛の背後で満月の光を浴びて羽を広げた巨鳥の姿は、青空の蒼よりも
        まばゆく光をその羽の端に光らせた。 -- 飛爛 2012-07-05 (木) 11:53:28
      • 『……おおきい』
        宵闇に怯え、広漠さを怯え、そして目前の少女にすら怯えた少年……しかし、目前の巨鳥に怯えることはなかった
        闇を切り裂くように夜空から舞い降りたシャツァルの姿をみて、目を輝かせる
        『や、やだ、黒咲もつれてく……大丈夫、黒咲は暴れないから平気。ね? 黒咲』
        小さく語りかければ、一声か細い声でメェと鳴く子山羊。本当に会話しているかのようにすら見える
        蒼瞳に紅瞳を交差させて、あとは誘われるままについていく -- 宗爛 2012-07-05 (木) 12:03:13
      • 『・・・』
        思いがけない宗爛の言葉に、飛爛は一瞬黙った。
        『いいわ、じゃあこのアニド、あなたとその羊ちゃんに巻いてあげなさい、骨盤の当たりに巻くのよ?』
        そういって、巨鳥のまたがるというか、正座するような形で飛び乗った飛爛は
        巨鳥の背に乗せられた馬のものよりはるかに頼りない蔵と、その蔵についた
        皮の帯を宗爛に指し示す。
        装着に難しいことは無いだろうが。
        『いい?どんなに地上が離れても決して羽や背中の毛をつかんじゃだめよ?』
        用意の済んだ宗爛に、そんな言葉をかける飛爛は、これからこの月夜の草原の斜面を駆け下り、この巨鳥、シャツァルを飛ばして見せようと言うのだ -- 飛爛 2012-07-05 (木) 12:12:14
      • 『う、うん、わかった、ありがとう』
        そう答えながらも、未だ不安そうな顔でついていく
        黒山羊を手放したくない理由は、やはり未だその胸中に恐れが渦巻いているせいなのだろう
        しかし、鳥で空を飛ぶということには幼いながらも興味があるようで、おっかなびっくり飛爛につれられてついていく -- 宗爛 2012-07-05 (木) 12:17:03
      • 飛爛は巨鳥の背の上、鞍も命綱もつけずにまたがった飛爛の背後で
        宗欄が黒い子羊と一緒に、おっかなびっくり、巨鳥の鞍の上に乗っているのを見た。
        『それじゃあ・・・いくわよー!』
        掛け声と供に、飛爛と宗爛と羊を乗せた巨鳥は丘を下って加速した。
        遥か地平の果てまで続くと、ローディアの詩に謡われた城壁が、満月を受けて
        煌々と照っている。蒼く静かな月夜と満天の夜空は美しく・・・。
        『・・・・・・・・・飛ばないわね』
        十数度目の離陸に失敗して、丘のふもとにたたずむ、皇女と皇子と羊を乗せた巨鳥の姿があった。 -- 飛爛 2012-07-05 (木) 12:33:41
      • 数度目の離陸失敗。暫く身をこわばらせ、緊張した面持ちでその様子をみていた宗爛だったが
        『……くっ』
        『ふふ、あはは、はははははは!』
        しまいに、笑い出す
        『ははは! おねーちゃん、飛ぶはずないよ。だってこの子ずっと痛がってるもの』
        『右脚が痛いっていってる、見てあげて』 -- 宗爛 2012-07-05 (木) 12:44:50
      • 意気込んで連れ出した手前、格好がつかず飛爛はぐぬぬ・・・という顔をしていた。
        『え、ほんと!?やだ、怪我しちゃったの!?』
        あわてた飛爛は巨鳥の背から飛び降りた。まだ風切羽も生え変わったばかりの子供の鳥とはいえ
        その背丈はすでに馬よりも高いが、まったく高さを恐れる様子はなかった。
        『こっそり連れ出した上に怪我させたら縛りあげられるわ!?』
        巨鳥の腹の下から慌てた飛爛の声がする。
        『真っ暗で何も見えないー!』 -- 飛爛 2012-07-06 (金) 04:23:57
      • 『大丈夫、右足の、爪の間に小石が挟まってるだけだよ。それでちょっと不機嫌なだけみたいだから、とればきっと飛んでくれるよ』
        まるで我がことのように暗闇の中で語り、飛爛を促す
        そこに既に怯えはなく、声色は喜色を帯びていた -- 宗爛 2012-07-07 (土) 00:22:26
      • 言われた通りに、腹の下を手で探ってみれば果たして巨大な鍵爪のついた指の間に、ざらざらしたやすりのような巨鳥の
        肢の感触とは異なる物があった。
        後肢にも羽をもつシャツァルの足指は前方に2本と後方へ1本伸びたY字型をしている。
        他の鳥が体重を支えるのに使う指の1本が羽の骨格になっているのだ。
        巨体を支えるため残った指は太く肉質なごわごわしたバットで。その指の間に
        握りこぶしほどの石ががっちりと挟みこまれていた。
        『・・・あった!これね、しゃがんでココロア』
        巨鳥の指は空中で獲物をしっかり掴むために、足を持ち上げた状態でぎゅっと丸くなる。
        わずかに手綱を引いて飛爛が声をかけると、巨鳥は前傾姿勢をとった、地面に押さえつけられるように
        足の指が広がり、挟まっていた石を取り外す事ができた。
        『整地してないところでは気をつけないとだめね、宗はすごいね、シャツァルを見たのは初めてでしょ?よく言葉わかったね』
        ぽーんと放られた石が、暗い草原のどこかに落ちてボテッと音を立てる。 -- 飛爛 2012-07-07 (土) 04:11:36
      • ふとほめられて、嬉しそうに、はにかむように顔を赤らめる
        この特技のことで褒められたことなんて、今まで殆どなかった。親ですら褒めてくれなかった
        だから、とってもこそばゆくて……だから、咄嗟に……
        『うん、彼らは……人と違って、騙らないから』
        思い出さなくてもいいことを、思い出して
        消え入るような声で、そう答える
        『真っ直ぐで、素直だから……人よりよっぽど良く分かる。分かってくれる』
        宮殿で、はっきりいってこの皇子と皇女は浮いていた
        かたや、羊にしか心を開かない、妾の子
        かたや、辺境部族の血を受けた異端児
        どちらも、普段語り合う相手は人ではなく……獣であった -- 宗爛 2012-07-07 (土) 04:39:26
      • 『ふむぅ、人の心も見えたりするのかしら…うん、じゃあ私宗の事かわいそうな子とか思うのはやめるわ』
        ふたたび巨鳥の背へ飛び乗って、飛爛は笑った。宗爛へ向き直るその笑顔の横で
        ふわりと広がった長い髪が月光を受けて銀糸のように煌いた。
        『同情されたり恩着せがましくされるの、嫌でしょ、だから全部はっきり言うわー』
        『今日連れ出したのはね、なんかいっつも、隅っこの方でうじうじってしてるの見たらこう・・・イラッと来てね』
        どことなく、似た境遇を持ち、歳も近いことから興味が沸くのも当然として。
        この皇女にしてはお転婆にすぎる小娘は、そんなことを考えていたようだ。 -- 飛爛 2012-07-07 (土) 05:12:42
      • 『そこまで細かいことはわからないよ。怒ってるかなとか、哀しいのかなとか、その程度のことが少しよく分かるだけ』
        歯に衣着せない、胎違いの姉の言葉はその当時の俺にとってはとても新鮮で、とても気持ちがいいもので
        気付けば、よく後ろをついていっていた気がする
        あの日も、真白い月の下で輝く彼女の髪は絹よりも細やかに見えて
        キラキラ輝く月明かりをその身に受けて振り返るその姿は……まだ小さな俺には、その矮躯もとても頼もしく見えた
        手を差し出されれば、もう躊躇う気持ちなんてあるわけもなくて
        ただ、導かれるままに、仔山羊と一緒に巨鳥の背にのっていた -- 宗爛 2012-07-11 (水) 09:19:27

      • つまる所、飛爛の予想はてんで外れて、早とちりで的外れなことを言ったわけだが。
        そんな事はまったく気にしないようで。
        『よかった、少しは元気出たようね』
        高くて暗い壁の向こう側で、うじうじとしていた宗爛がはっきりと言葉を交わしてくれる事を
        ただよろこんでいた。
        『あの壁の向こうは、嫌な奴ばっかだけど、全員が悪い奴じゃないしさ、ほら私みたいのもいるし』
        『・・・でもやっぱり、おかあさん居なくなっちゃったの寂しいのかな』
        ココロアと呼ばれた巨鳥が再び小高い丘の上で足を止めた。
        暗い雲が風に吹かれて足早に月の前をかけぬけている。 -- 飛爛 2012-07-13 (金) 00:24:04
      • 母の話ともなれば、その顔が曇るのも当然だった
        凡そ幸せとはいえない死に方をした母。思い出せば自然と目尻には涙が浮かぶ
        それでも、少年はなんとか顔をあげて答えた
        「大丈夫……死んだ人は、もう二度と帰ってこないから……もう、大丈夫。それに、まだ黒咲もいてくれるもの」
        大事に抱き上げたままの仔山羊をみてそういえば、笑顔を見せる
        無理やり作り上げた笑顔。本当は今だって泣き出したい。でも、それをできない。できるわけがない
        目の前の、胎違いの姉だって同じような思いをしているのだ
        自分だけ、泣き出すなんて出来るわけがない
        強がりでもなんでも、そのときはそう思ったんだ -- 宗爛 2012-07-13 (金) 15:58:45
      • 『泣きたいときは泣いたっていいのよ』
        最初に泣くなといいながら引っ張りだしておきながら泣いてもいいぞと言い出す胎違いの姉
        おかしな奴だった。健気にも幼子が気丈に振舞っているというのに。
        『ぬー、こういうの何て言うんだろう、そうやってむりやり気持ちを押し込めてる
        みたいなの見てるとなんかこう・・・』
        宗爛の肩をつかむ手に力がこもる。彼女は本気で憤っているようだった。
        『でも別にあなたが悪いわけじゃないんだからね!』
        彼女は自分の事以上に、小さな子供ですら心のままに生きることを許さない世界に
        腹を立てていたのかもしれない。

        雲が切れて、再び蒼白く光る荒野が地平の向こうまで広がる。その瞬間、羽を大きく
        広げたココロアが身を低くして斜面を駆け下り始めた。
        ぐんぐん加速していく、今までの滑走よりも段違いに速い。最速の騎馬の横を通り
        すぎていくよりも速く景色が後ろへと追いやられていく。
        耳元を過ぎ去る風の唸りが一瞬途絶えた後、二人の足元から地面が遠ざかり始める。
        二人と1匹を乗せたココロアの6枚の翼が大きく風をはらんで高く高く舞い上がっていく。 -- 飛爛 2012-07-14 (土) 01:16:56
      • 素直で、真っ直ぐな言葉
        初めて飛ぶ空。夜空から眺める帝都の光は、まるで空に浮かぶ星々のそれのようにも見えた
        そんな大地の夜空を仰ぎながら、そう語る姉の姿は、真っ直ぐで、嘘偽りなくて
        打算も、思惑もなく思ったことをそのまま言葉にするその清々しさは、今眼前に写るどんな絶景よりも眩しくてbr;ただ、その蒼穹のような許容の言葉を前にして
        ただ、そのときはそう伝える事しかできなかった
        震える言葉で、熱くなる胸を押さえながらただ一言
        『……うん、ありがとう……お姉ちゃん』
        そう、搾り出すように伝えた
        今度は、もう、溢れる涙を我慢したりはしなかった

        そんな、大昔の記憶 -- 宗爛 2012-07-14 (土) 20:16:00

Last-modified: 2012-09-30 Sun 22:52:33 JST (3280d)