名簿/484877

  • 【GA226/12】 -- 2012-08-29 (水) 23:20:38
    • (王室の間を出ていくヴァイドを見ながら、西ローディアの玉座へと、静かに腰掛ける)
      (この御座に座る者を龍として送り出したのもまた自身であるが、それに対しても何の感慨も抱けなかった)
      (アリシアの言を思い出す。――私は、人ではないらしい。それは在る意味で正鵠を射ている。私も、そう思っているのだからね)
      (ヴァイドの横をすり抜けてくる影に向かって、玉座の肘掛けに肩肘を載せ、そこに頬杖をついたまま言葉を投げる)
      ……良く来たね、シュウ。開戦時にこの私が、此処にて誰かを心待ちにするなどという夢想、誰が抱けただろう。 -- 本爛 2012-08-29 (水) 23:25:16
      • そういって頂けるのなら、この二十余年、汚濁に塗れて生きた甲斐もあるというものです
        (全身血塗れ。しかし、1つとして自分の負傷はない)
        (六つ目の仮面を朱に染めて、同じく朱を吸う、水銀を練りこんだ骨槍を翳す)
        (玉座に座る本爛を見上げる形で、血道を進む)
        既に、この城の周辺の部隊は凰爛様の本隊との戦いに駆り出されています
        お陰で難なく入り込めましたよ
        ……尤も。俺がこの陽動策をとるであろうことも、アナタにとっては予想の範疇だったのでしょうけれどね -- 宗爛 2012-08-29 (水) 23:40:26
      • ……ほう、蓋を開ければ絡繰りなどという物は単純な物であるのだな。
        あれが帝国が為に西侵をするか。時代を感じるな。
        何方でもいい。お前がここにいるというそれだけの事実さえあれば、方法や過程など仔細問題がない。
        私はね。……他でもないお前を待っていたのだよ、シュウ。
        (半月型に、口が裂ける。ぎこちない笑みを無理やり作るような、笑顔)
        ……今この場で、お前の兄本爛として、お前を待っていたのだよ。
        ――お前の願いを、叶える為に、な。

        この城内に私の敵はいてもお前の敵などいはすまい。時間は無限ではないが戯言と切り捨てるはその戯言を聞き終えた後でも良かろう。
        この兄の言に少し付き合ってもらえぬだろうか?
        (玉座の前、先ほどヴァイドが座っていた椅子が残されているのを顎で指す) -- 本爛 2012-08-29 (水) 23:59:34
      • (静寂の後)
        ええ、それは勿論。喜んで
        (翳した骨槍をあっさりと下して、これまたあっさりと進められた椅子に座る)
        (豪奢な椅子は見る見るうちに血色に滲み、立てかけた槍からも同じように血が流れる)
        (まるで起床して袖を通したばかりのような兄とは対照的に、血と肉で汚れきった弟が対面する)

        薄々、そう誘ってくれるんじゃないかと思っていたんですよ
        だって――こうしてまた兄様と喋ることこそが、僕の願いだったのですから -- 宗爛 2012-08-30 (木) 00:08:06
      • 成る程な。……話は早い。だが、或いは早すぎるのやもしれん。
        シュウ、それは余りにも無欲だ。私はこう言っているのだよ。
        ……お前の願いを、全て叶えてやると。
        (玉座に肘を置き、明朗に語りだす)
        私はね、この戦を通じて様々な願いを他者に問うてきた。
        西方の騎士に、或いは傭兵に、或いは帝国の戦人に、或いは愛すべき兄弟姉妹に。
        或る者は答え、或る者は答えに詰まり、或る者は唾棄し、或る者は吠えた。
        この幾千幾億もの民の生命と願いが潰える戦場にて、それぞれの戦への理由を尋ねてきたわけだ。
        そしてシュウ。お前にも、その問いを投げようと思う。

        シュウ。お前はこの戦で、何を手に入れたい
        お前はこの西爛という戦を以って、何を願いとする。

        ……だが、こう私が問うておきながらお前は答えずともいい。
        お前が相対している相手は本爛という、お前が追い求めてきた兄であるのだからな。
        だから私はこう言おう。
        宗。

        ――全てを捨て、私と来る気はないか。 -- 本爛 2012-08-30 (木) 00:32:32

      • (静かに、それは、玉座から立ち上がる)

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        お前が追い求めて来た物を、追い求めて来た者を、私が差し出してやろう。
        悦べ、宗爛。
        『俺』はお前の為に、全てを捨ててもいいと思っている。
        今まで積み重ねられてきた全ての物語、全ての詩を無価値と断じ、今ここで廃棄してしまおう。
        幾千幾万幾億の潰えてきた願いを踏みにじり、ただお前の為だけに存在してやろうではないか。

        兵も持たず、武装もせず、周囲は帝国の兵によって囲まれている。
        この今の状態を私にとっての窮地であるとお前は本当に思っているわけではないのだろう?
        その気になれば、『俺』という存在は、今まで紡がれてきた全ての条理を破壊して、新しい条理を作ることも出来ると。
        『俺』であるなら、全ての不条理を条理に変え、その上で誰もが納得出来る結末を紡ぐことが出来ると。
        お前は、心の底でそれを期待しているのだろう?


        飛爛は言った。
        『俺』とシュウが争わないでいい世界を作りたいと。
        叶えよう。

        アリシアは言った。
        誰もが救われる戦争の結末が欲しいと。
        叶えよう。

        程爛は言った。
        帝国の民を捨てる事はできない、守りたいと。
        叶えよう。

        その一つ一つの願いに万全なる答えを差し出し、
        一つの文句も出ない形で、シュウ、お前に『俺』という解答を差し出そう。
        ここから先はお前は考える必要はない。
        ただ、『俺』を見続け、追いかければいい。
        お前は『俺』に何を求める。
        模範となるべき兄か? 叶えよう。
        一騎当千の味方か? 叶えよう。
        切磋琢磨する同胞か? 叶えよう。
        帝国を滅ぼす革命の為の将か? 叶えよう。
        世界を見る為の翼か? 叶えよう。
        永遠不変の巨大なる敵か? 叶えよう。
        超えなくてはならぬ好敵か? 叶えよう。
        お前を包む世界そのものか? 叶えよう。
        この世に存在する遍く法則か? 叶えよう。

        永遠の、お前の遊び相手か――?
        時に立場を変え、お前の前にあらゆる姿を以って具現化する、最高の遊び相手か――?
        叶えよう。

        悦べ、シュウ。
        『俺』こそが、何の本質も持たない『俺』という存在こそが。
        『お前』がこの四年間、足掻きに足掻いて渇望し、死ぬほどまでに手に入れたかった『黄金の栄光(ゴールデンロア)』という、解答だよ。

        (堂々と、何の憂いもなく高らかに。『それ』は宗爛に向けて語った) -- 本爛 2012-08-30 (木) 00:32:48
      • なるほど……アナタは本当に良く僕を見抜いている
        (永い、永い、独白のようにすら聞こえる兄の告白を聞いて、仮面を外す)
        いつだってアンタはそうだった
        僕が一番欲しい言葉をくれて
        僕が一番欲しいモノをくれて
        僕が一番欲しい機をくれて
        僕が一番欲しい舞台をくれて
        僕が一番欲しい時間をくれて

        (その仮面の下にあるのは)

        僕が一番欲しい――世界をくれる

        (目前の無形……否、無業と全く同じ)
        (歪な笑顔)

        確かにアナタは完全無欠に完璧で、これ以上ないほど理想的だった
        その言葉が
        その容姿が
        その思想が
        その在り方が
        その余裕が
        その態度が
        その力量が

        その全てが

        そう、アナタ(解答)そのものこそが僕が求めた全てだ

        ええ、喜びましょうとも。慶びましょうとも。心から歓びましょう。身が震えるほどに悦びましょう
        だからこそ――こう答えましょう

        否と

        何故ならフォン兄様。分かるからですよ
        アナタが僕の解答であるからこそ……分かるんですよ。愛する兄様

        そんな風に誘っておきながら、アナタはここで僕が首を縦に振ることなど――欠片も望んでいないという事が

        なるほど、確かにアナタは1人で何でもできる。正しく全知全能だ
        別にどんな結末でも構わないし、どんな始末でも同じように愉しめる
        でも、だからこそ

        アナタも『求めた』んだ

        自身の歪んだ鏡像を。己の快楽の型枠を

        やはり、アナタこそが皇帝に相応しい。アナタこそが唯一王に相応しい

        だが、だからこそ……僕が今度は叶えましょう

        悦べ、本爛
        『僕』こそが、何の宗旨も持たない『僕』という存在こそが

        『アナタ』がこの四年間、期待もせずに冷笑し、手にすることすら諦めていた『黄金の虚実』(ゴールデンロア)という、反証ですよ

        (最早、怯むこともなく。最早、嘲る事もなく)
        (堂々と、何の躊躇いもなく高らかに。『それ』は本爛に向けて語った) -- 宗爛 2012-08-30 (木) 01:40:51

      • (すぅ、と眼を細める)
        ほう。
        拒むか。
        剰え、ここに於いてお前が私に何かを与える、と?

        何故だシュウ。
        お前はそうやって、この四年間、ずっと何かのためにその身を切り分けてきた。
        時に望まぬ立場で苦渋を舐め、時に願わぬ言葉を口にし。
        期待しては裏切られ、期待されてはそれに応え、宗爛という形を常に全うし続けてきた。
        肥大化する自己の存在や爛の名にいつだって陰を作りながら、鬱屈した気持ちで陣頭指揮を取るのはさぞ辛かったろう。
        本来お前が成したいことすら、時に犠牲にしながら、この『四年』という戦争の日々をお前は超えてきた。
        お前がお前であることを期待する全ての者によって、お前という個は意味以外の全てを剥奪され、宗爛という形骸に成り果てた。
        その胸の内を、私ならば理解してやれると言っているのに。

        今この卓に於いて、『俺』と『お前』しか存在しないこの卓の上で――何の意地を張っている。

        何なら、この遍く紡がれてきた戦争の結末でも変えてくれようか?
        私にそれが出来ないと、思っているわけはあるまい。
        それどころか、やはりお前もそれを心の何処かで望んでいるのだ。
        驚き、歓び、震え、快哉すら叫びたくなるような日々を、帝国というシステムの中にいながら常に望んでいた。
        だからこそ、『ここ』に辿り着いたのだろう。この本爛という世界の中に。
        ここから先、例え『俺』か『お前』どちらかが勝利を収めようが、それは『俺』にとっても、もはや『お前』にとっても予測の付く範囲のことだ。
        だったら、この叙事詩の結末は、私が創ろう
        誰もがすでに納得した来るべき結末に、誰もが驚嘆し、それを愉悦とすることが出来る、『お前』のための驚嘆の結末をすげ替えよう。
        その中心に、お前がいるのだ。シュウ、『俺』の世界にはお前が必要だ。
        受け入れろ。
        意地を張るな。
        お前はもう楽しんでいいのだ。この世界を。
        そしてその楽しむべき世界は、『俺』が全て創りあげてやる
        お前のための叙事詩を、この『俺』が編纂してやろう!!
        苦楽を超えるカタルシスを作り、ありとあらゆる不条理に理由をつけて説明し、
        努力で乗り越えられる程度の苦難を配置し、世界全てを『お前』の手に委ねてやろう――!!


        もうお前は、何も創らなくていい。
        そんな苦しみはもう、『お前』に必要ないんだ、シュウ。
        お前はただ、私が与える物で生き、私が与える物で死せ。

        三度は問わぬ。
        『俺』の方向性を、『お前』だけに向けさせろ。
        『俺』の世界の物になれ――シュウ。

        (妄執のように、熱病のように、初めて湧いた自分の欲を相手に全力で叩きつけるかの如く)
        (何の躊躇いもない全力の欲望が、漆黒の感情が玉座の前に立つ皇より――何者でもない者から、放たれた) -- 『  』 2012-08-30 (木) 02:08:48
      • 意地ではありませんよ
        (晒された欲望に対して……『少年』は笑った)

        何故なら既に――僕はアナタのモノなんですから

        (心から、嬉しそうに)

        兄様は僕の辛苦を全て理解し、僕の苦悩を全て解決し、僕の苦難を全て溶解してくれる
        アナタはそれをしてきた。今もしている。僕が望んでいることをしてくれている

        アナタの望みと僕の望みは限りなく同じ方向を向いている

        僕はアナタがいればいい。そして、アナタは僕がいればいい
        今回の戦争だって、これだけ最前線にいるのだって、詰まるところアナタに会うためだ
        何故、この身を釜に投げ入れたのか? アナタの為だ
        何故、甘んじて苦渋を受け入れたのか? アナタの為だ
        何故、劣等感と陰鬱を胸に生き延びてきたのか? アナタの為だ
        何故、記号と成り果ててまで只管進み続けたのか? アナタの為だ

        アナタの為に殺し、アナタの為に生かし、アナタの為に生き、アナタの為に創り、アナタの為に差し出し、アナタの為に向き合い、アナタの為に引き出し、アナタの為に失い、アナタの為に投げ打ち、アナタの為に去来した

        我々は同じ嗅覚を持っていて、同じ理想を持っている
        だからこそ、焦がれるほどに『曳かれ合う』

        アナタの言葉は悉く甘美だ
        僕はアナタに求められたかった。それすらアナタは理解して、熱狂して、そして今こそ自分の思うまま僕を欲してくれている
        だからこそ、僕はその言葉に身を委ねた

        身を委ねた上で……アナタの前に立っている

        アナタの物になったからこそ
        アナタの作る世界で生きるいるからこそ
        アナタの興味を曳いているからこそ

        僕は既にアナタの敵なんです

        ――アナタを、独りにしてしまわないように。ここに立っている

        アナタは独りになりすぎた
        だから、アナタのモノの僕が前に立ち続けなきゃいけない
        でなければ、アナタは独りきりの王様になって、独りきりの世界でまた何時の日か退屈に押し潰されてしまう

        別にアナタは独りでも問題はないでしょう。独りでも王にはなれる

        しかし、皇にはなれない

        退屈は人を殺すのですよ。少なくともアナタはそうやって殺された(楽しめなくなった)

        殺され果てた末のアナタが今のアナタだ

        僕は、アナタこそ皇帝に相応しいと思っている
        その隣に僕が居たいとも思っている

        しかし、その隣にいる以上、アナタと同じ立場にいなければいけないんですよ

        少なくとも……張り合える程度にはアナタを惹きつけ続けながら

        アナタと一緒に――『創り続けなければならない』

        フォン兄様

        『僕』の世界にはアナタが必要だ

        だから、約束を果たしますよ

        アナタを退屈させないという、約束を

        アナタを王から皇にするために

        同時に

        アナタの前に立ち続ける為に

        愛してますよ。フォン兄様

        だからこそ、僕のモノになってください
        『アナタのモノである僕のモノに』

        (最初から、そうだった)
        (つまるところ、2人の間に意味も理由も仔細もなく)
        (ただ、そこには1つの感情があっただけなのだ)

        (同属嫌悪と言う名の歪な愛情が) -- 宗爛 2012-08-30 (木) 23:49:26

      • (表情を失した顔で、小さく呟く)
        あくまで。
        ……あくまで『お前』は、『俺』と対等であろうというのか。
        『お前』が『俺』の為に存在するだけではなく……『俺』もまた、『お前』の為に存在すると。
        『俺』の世界と『お前』の世界は例え形が同じ物であっても相剋を示す。水と油などではなく、水と水であるからこそ相容れない。
        それを理解していながら……何故、『俺』の世界の一部であることを拒むのだ、シュウ。

        だが。それが『お前』の選んだ道であるならば、『俺』はそれでもいい。
        例え『お前』と行く道が別れようが、『俺』はどちらでもいいのだ。

        ここで肉親という軛を断ち切り、新しい遥かなる道程を示そう。
        【私】というフリストフォン・ラヴェル・フォランでありながら本欄という名を持つ存在は、この戦争を終わらせる鍵となり得るのだ。
        これから先、長く続くであろう冷戦を束ね、西と東の鎹となることも……また、一つの詩としては形が整っているとも言える。
        【私】は、『俺』は、そこまでを織り込んで、この大局を俯瞰で見下ろしていたのだよ。
        お前なら分かるだろう……全てを収める、【私】という名の本物の皇が今求められていることを。

        嗚呼。
        それすらも、『俺』は……どちらでも、いいのだがな。

        (静かに、何の焦りも矛盾も迷いも躊躇いもなく剣を抜き宗爛へと歩き近づく)
        ――少なくとも『お前』の世界は【私】が使ってやろう。
        ――愛する、弟よ。
        (明確な、断絶を以って、全てにピリオドを打つために) -- 『  』 2012-08-31 (金) 00:14:37
      • 拒んではいませんよ
        そうしたいと思っている。思っているからこそ……此処ではアナタの前に立ち続ける

        (迫る『本質』対し、にこやかに微笑んだまま。独白を続ける)
        ただし、1人の皇として

        きっとアナタはどちらでも、何でもいいのだろうから

        さて、今度は此方の手番です。愛する兄様
        暫し、弟の戯言に付き合っていただけますかな?
        (有無を言わせぬ強い口調で、続ける)
        (本来の宗爛にそんな威圧力はない。しかし、今はそんなスペック差など無視して、その弟はそこにいる)
        (皇は完璧である必要などない。寧ろ欠けていれば欠けているほどいい)
        (欠ければ欠けるほど……周囲が補うものなのだから) -- 宗爛 2012-08-31 (金) 01:01:27
      • (柔らかい微笑みを湛えたまま、暖かな感情を湛えたまま、それは呟く)
        アナタの本質は無形そのものだ
        故にアナタの内側には何も無い

        アナタは心の奥底では空虚に餓えている。空虚に最も近いからこそ……それを求めている

        完全とは即ち終焉。終末に一番近いアナタは常にその瀬戸際を覗き込んでいる

        でも、兄様。フォン兄様という形骸に成り果てた兄様

        この弟はそんな無形の本質たるアナタを愛しているのです
        フォン兄様ではなく、兄様を……つまり、アナタがフォン兄様でいる必要などないのですよ
        アナタのいう事は正しい
        確かに時代はアナタという皇を求めている

        しかし、アナタが……フリストフォン・ラヴェル・フォランである必要もなければ、本爛である必要もない

        アナタはアナタでありさえすればいい
        退屈などしないように、僕の世界をアナタに差し出しましょう
        アナタを退屈させないために -- 宗爛 2012-08-31 (金) 05:30:57
      • 僕はアナタと同じだから、分かりますよ

        どちらでもいいというのは、期待してないことの裏返し
        同時に……本当は期待していたことの裏返し

        本当は求めているんだ。アナタも

        自分(読み手)のページを捲る手が早まるような、そんな結末を
        (そういって差し出した手の先にあったものは)

        (狗の骨を切り出した、異形面と)

        (蟲の複眼を模した、六つ目の異形面)

        アナタなら、この両方の仮面を被る事が易々出来るはずだ
        声も、容姿も、過程も、行く末も、有様も、生き様も、何もかも徹頭徹尾完璧に……こなす事が出来るはずだ

        アナタが本爛という役を演じることと、何も変わりはない

        どちらでも、いいことですよ

        フリストフォン・ラヴェル・フォランは遅かれ早かれ死ぬ
        しかし、兄様は死なない
        いいや、死ねない

        だってもう、アナタは最初から終わっている最悪の存在なのだから
        だからこそ、導きましょう。アナタを僕が

        アナタという無形をそのまま愛する僕が導きますよ -- 宗爛 2012-08-31 (金) 05:31:13
      • (去来する虚無に、心が零を取り戻す)
        ……何だそれは。
        ……お前は、それを本気で述べているのか。
        私の言を遮り、剰え導きをねじ曲げて尚、そんな形の結末を私に差し出すつもりなのか?

        それは。
        それこそ……私にとっては、退屈な催しだ。
        本当に私のことを理解しているなら、そんな戯言戯れにでも口にするはずがない。
        西爛という戦が始まる前より、延々ただお前の為に準備をしたこの宴に、そんな有り体な花を添えるのか。
        (ありありと、落胆の色が浮かんだ)
        だとすれば……それではお前はその結末に、私を導くことは出来ない。

        (剣を、静かに抜く)
        私に、皇に、成りたいのであれば。
        そのような一時の甘言でなく、緻密に編み込んだ刃で、心の臓を抉れ。
        ――シュウ。……これ以上、お前に失望させるな。
        (生まれて初めて見せる感情のような物に突き動かされ、剣による銀の一閃が振られた) -- 本爛 2012-09-01 (土) 05:57:27
      • (失望の色濃い兄の顔を見て、微笑を湛えたまま)

        本気ですとも
        ついさっきまでは

        (その冷たい感情の中に、飛び込む)
        (今までずっと筋書きをおって)
        (今までずっと舞台を彩ってきた舞台装置が初めてみせた)
        (嫌悪という明確な感情……その間隙)
        (銀閃に一歩踏み込んで、肩口に剣戟を受け、そこからまた更に一歩、血と冷笑に塗れながらも踏み込んで)
        (手にした二つの仮面を差し出す)

        (否。仮面の裏に隠された、骨の短剣を……滑り込ませるように兄の心の臓へと)

        アナタという無形を導いて、感情を引き出せればどちらでもよかった

        結末なんてどちらでもよくないというその意志と言葉と
        感情を

        (返答の是非など、元より関係ない)
        (確かめる事ができれば、どちらでもよかった)
        (ずっと見え隠れしていた、兄の感情)
        (それでも、ずっと作り物のようで、判然としなかった)
        (しかし、それは……嫌悪と言う輪郭を得る事で初めて明確に嗅ぎ取ることができるようになって)
        (兄が人の輪郭を持つだけのバケモノではなく)
        (バケモノの輪郭を持った人であるということがわかった)

        (それでも、結局手にした結末は)

        (この人を手にすることは、きっとできないのだろうということ)

        (不思議と、哀しくはなかった)
        ((苛立ちもしなかった)

        (ただ、すこし寂しかった) -- 宗爛 2012-09-01 (土) 21:55:50
      • (偶像は貫けない)
        (実体を持たない虚構だけは、何ぴとたりとも傷つけ得ない)
        (何処にも居らず、何処にも在らず、ただ輪郭だけで万物足りえる怪異は、その時たった一つだけ欲してしまった)
        (たった一つ、欲してしまった物に最後まで気づかずに)
        (――心の臓を貫かれる)

        (欲したものは、『結末』)
        (その万物を愉悦足りえる化生が、壊されまいと最初に手を伸ばした物は)
        (――誰もが恐れるはずのたった一つの物だった)

        (深く、突き刺さる刃に、身を捩る)
        (抱きあうような形になり、捩じ込まれる楔に口から血を零した)
        (それは――その時ですら嗤った)
        (その結末すらどちらでもいいという、たった一つの在り様を思い出したように)

        (耳元で囁く。消えゆくような、僅かな音で)
        (その時間だけを稼ぐ為に、自分の死せる身体を死霊術という異端で動かしながら)
        シュウ……『俺』は『お前』に、呪いを掛けよう。
        一つ。
        私という世界がなくなり、またお前は導無き道へと放逐される。
        お前は、王となり、そしてやがては皇と成るだろう。
        人々はお前に縋るだろう。求めるだろう。凭れ掛かり、名を呼ぶだろう。
        遥かなる頂きに、遠く崇めるだろう。創りだした偶像だけをその目で視るだろう。
        お前の世界に僅かな施しを与えて……その代わりにお前から全てを奪っていくだろう。
        今までもそうだったように、これからもお前はその永遠の縛鎖に今まで以上に苦しめられ続けるのだ。
        私が、今日この日にお前に与えた【毒】によってな……。

        (喀血する。宗爛の肩口が熱い血で濡れる)
        お前の中で、私の存在は。
        今日この日の記憶は、永遠の毒となる。
        甘美で、蠱惑的で、中毒性のある、お前を芯から震えさせた、蝕む『最悪の蠱毒』だ。
        お前はこの毒を生涯に渡り背負っていかねばならない。
        この本爛という悦楽を伴う毒に、身体を蝕まれながら、軈てはその身を皇へと替えていかなくてはならない。
        お前の選んだ道は、私の歩んでいた道は、そういう道だ。
        本爛という在り様が、他者からの影響によって反応を返す、指向性零(ゼロベクトル)の異形であったのと同じように、お前は他者の希望によって身を形骸化していくだろう。

        ――シュウ。
        果たして本爛をしてこそ此処でお前に魅せたそれを……お前という存在が全う出来るだろうか……?
        (再び、血を吐く。刃は致命の傷を与えていた)

        お前は。この空虚さの中。……宗爛で在り続けることは出来るか。

        この結末すら。
        『私の世界の中』のそれだとするなら。
        『これから先』の『お前の世界』に……本爛を遊ばせることは、出来るだろうか……? -- 本爛 2012-09-01 (土) 22:12:39
      • (自分の血と、兄の血が混ざり合い……それが濃く混ざる度、体温を失う兄の声から、毒が漏れ出す)
        (しかし、それは毒というには余りに甘美であり、憐憫と言う名の慈愛に満ちていて)
        (聞けば聞くほどに、飲み込めば飲み込むほどに……身体を駆け巡っていった)
        ……一から十まで、本当に……反論のしようもないくらいに……その通りだよ
        僕は兄様についていくために必死で、いつでも我武者羅で、いつでも兄様の関心を引きたくて、そればかりを考えていて
        結局それでも、望む結果は導けなくて
        今だって、結末を導き出した結果……その結末は欲望からは掛け離れている
        この4年間……あったのはひたすらな焦りだけで
        今もその焦りが……それこそずっと焦げ付いていて
        何をしても満たされることもなく、何をしても落ち着くこともなく、何をしても歯噛みする事ばかりだった
        民の視線に怯え、友の視線に怯え、皇の視線に怯えた
        その末に結局身動きがとれなくなって、最後はアナタの胸にこうして飛び込んだ

        そんな、この道すら、僕は自分で歩んできたつもりだったけど……そうじゃなかった

        歩かざるをえない道を歩いて、進まなければならない道を進んで……導かれる結末こそが自分の意志であると勘違いして
        進んだ先で、今は欲しかったものを手放す結果になっている

        お笑い種ですよ。僕は結局何1つ手に出来なかった
        否と答えた上でアナタに結末を与えることを望みながら、同時にアナタの全てを台無しにしてやりたいとも思っている

        ああ、つまるところそうだ
        僕はアナタが欲しかっただけなんだ
        欲して欲して欲しすぎて、その先にアナタの心を見る目も曇り果てた

        しかし、それでも尚……今は断言する。今はコレが正しいと
        アナタと決別することが正しいと
        ……アナタに甘えることは甘美で、愛おしくて、夢見心地そのものだろうけれど……その先には、何もない
        緩やかにアナタを失う未来があるだけだ
        アナタに甘えれば、アナタ以外の全ては手にできるかもしれない
        アナタ以外の全てを払いのける事もできるかもしれない

        それでも、アナタは手に入らない
        ……ふふふ……結局どちらの結末でも『同じこと』だったんですよ
        しかし、だからこそ

        (一際強く体重をかけて、臓腑を抉りながらもたれかかる。倒れこむように)

        僕の取る行動も、僕の進む道も、僕の択ぶ結末も、何1つ変わりはしない
        せめて、アナタのくれた毒と共に生きましょう。そして尚、同じように歩み……踏破しましょう

        僕は僕であり続けますよ
        あなたの世界を喰らい続ける蛇であり続けましょう
        そして、僕の世界の中でアナタの毒を『殺し』続けましょう

        これが、答えです兄様

        その空虚すらその身に喰らい、世界を作る材料として

        アナタを僕の世界で弄び続けます

        これからも、ずっと
        (最早、息をしていない兄の身体に深く深く骨剣を捻じ込んで)
        (泣き笑いを浮かべたまま、そう骸に誓った) -- 宗爛 2012-09-03 (月) 07:25:32

      • (威なことを、兄として自分が演じてきた仮面は恐らく、そういう感想を浮かべただろう)
        (胸の内の空虚は貫かれたままであったがゆえに、氷解しなかったが故の感情の残滓だったかもしれない)

        (だが、その弟の言葉を聞き)
        (どこか救われたような顔で)

        ……嗚呼。

        であるならば。
        (すう、と)
        (静かに、目を細めた)

        ――この世に未だ退屈せずとも、済みそうだ

        (小さく)
        (それだけを呟いて)
        (フリストフォン・ラヴェル・フォランであり、本爛であり――『誰でもない何か』は)
        (その言葉を最期に――その亡骸は、静かに心臓の鼓動を停止した) -- 本爛 2012-09-03 (月) 09:56:53
  • 【GA226/12】 -- 2012-08-28 (火) 20:29:20
    • (陣頭指揮を直接王が採るという采配によって、無人の玉座前)
      (そこに、二人の男が杯を片手に暗闇の中、静かに酒盃を傾けている)
      (帝国の侵攻は既にこの王都中央にまで迫っており、外からは悲鳴と怒号、炸裂音と破壊音がここからは遠く、聞こえてくる)
      (静かに酒盃を傾けると、片方の男は訥々と言葉を紡ぎ始める) -- フリストフォン 2012-08-28 (火) 20:40:09
      • ……かつて、本欄という男がいた。帝国に爛の字を持ち生まれてきたその子供は、時代の寵児であり、稀代の忌み子であった。
        その才覚は幼き頃より次代の皇と持て囃され、それに見合う成長を遂げていった。一を聞けば一を成し、弐を聞けば肆を成す。
        その側にいた誰もが帝国の百年の安泰を夢想し、思いを馳せたことだろう。……たった一人、当代の皇を除いては。 -- フリストフォン 2012-08-28 (火) 20:45:18
      • 慧眼を持つ皇に取って本爛という寵児は、身や國を脅かす災いにしか思えなかったのだろう。薬も過ぎれば毒であるように、使いこなせぬ優など唯の逸脱に過ぎない。
        故に、これを他の爛の名を持つ子供と同じように大爛帝国の膝下に置くわけにはいかなかった。
        だから、本爛という子供がまだ帝国の庇護下にあるうちに、帝国の所有物として消費しようとしたのだ。つまりは、この寵児を利用しようとしたわけだ。
        愚かしくも。そして、傲慢にも。……そうでなくては、皇などという者は務まらぬのではあろうがな。 -- フリストフォン 2012-08-28 (火) 20:49:16

      • この西爛戦争が始まる、遥か以前の話だ。私は西ローディアへ「供物」として捧げられた。次代の皇と噂される寵児を、他国に送り出すことで、それを不戦の生き約定としようとしたのだ。
        道理に叶っている。説得力は優秀さに付随してくることを考えれば、皇しか見えぬ不確定要素は天秤の上に載せずに済む。
        西ローディアからしてみれば、スパイを抱え込むというリスクを払いながらも、人間の盾となり、更には帝国の次代の牙を折ることも出来ようという考えであったのだろうな。
        西ローディアの西方という帝国との間に距離を隔てた地に、私は西方候という檻にて幽閉をされることになった。
        フリストフォンという新しい名は直ぐにこの地の者にとって耳聞こえの良い物になったであろうな。何せこの国で私は内政を拡充することのみにその能力の全てを費やしてきたのだから。 -- フリストフォン 2012-08-28 (火) 20:54:45
      • 嗤いどころは二つある。
        一つは、突発的に始まったとされるこの西爛という名の戦争は、それ程前から見越して動いていた唯の計画だったという点だ。
        水銀毒の悪化など、一つの契機に過ぎない。帝国という一つの塊が、飢えたが故に隣国を喰らい始めたというだけのこと。あれはそういう類の化物であるのだよ。お前がゾドにて使った餓鬼車のようにな。
        もう一つは、私の存在など帝国にとってはどうでもいいものであると、この国は見抜くことができなかったことだ。
        私が不戦の約定とは成り得ないことを、当時両手の指に少し余るくらいの歳の私ですら理解していたにもかかわらずな。
        これがこの戦争の顛末であり、私という主観が捉えた滑稽な舞踏の全容だ。
        誰もが演者であり、台本はいつも見えざる誰かの手によって捲り続けられていたのだ。指し手すら指されている現状に私が「どちらでもいい」という評を下した理由でもある。
        (静かに酒盃を傾ける)
        だが、その茶番に感謝もしよう。或いは、この状況をどちらでも愉しめるようにしたのは私の性質ではなく……。
        (目を閉じ、舌先で酒精を転がす)……ヴァイド。お前がこれが悦楽であると、教示をしてくれたからやもしれんからな。

        exp022246.png -- フリストフォン 2012-08-28 (火) 21:03:47
      • 人は皆賢者であるが故に愚者である。
        遥か神の時代より知恵の木の実を手に入れた人は、知恵と同時に悪を覚えた。
        つまり疑うということを。それらが隣人であればあるほど強く、信頼という名の光の裏に
        常に不信という言葉がちらつく。
        盲目である人々は今自分の隣に居るものこそ敵であると…信じ、疑い生きる。
        それらの者にとって遥か遠くのものなど知る必要のない、遠い先の出来事かのように遥か。
        ふと見れば誰でもわかるはずだ、大爛が飢獣ように大地を貪る姿が。
        最も…あれらがこの西を喰らおうと戦乱など何度でも起きるが。

        この世界の歴史は賢者であり愚者である人々が…そう、人である限りその因果から逃れられない者らが
        演者となり台本を造り書き割りを作ってきたのが人の歴史という舞踏。
        賢者の一手が愚者の一手となり、愚者の一手が賢者の一手となるこの舞台。
        全知全能の神などでは決して創りだせない舞台がここにはある…
        お前も俺も、今この世界が生み出した産物の1つでありながらその世界であるのだ。
        誰もが理解しえぬ、感じえぬ相対性の中に愉しみを見出すことが出来るのはその外に居ながら
        その中にいるものでなくてはならぬ。それらを愉しみ、悦楽とし、愉悦とする…
        短い間ではあったが良き同好の士とめぐり合えたことは生涯にあるかないかの僥倖であったよフォン。
        (くくく、と口を歪ませ酒を静かに呷る。今生の別れが来る前の酒宴であるかのように) -- ヴァイド 2012-08-28 (火) 21:40:10

      • exp022247.png -- 2012-08-28 (火) 21:46:53
      • そうか。ならばこの胸の空虚な闇は、やはり悪と名を付けられるべきだったのやもしれぬな。
        何者にも縛られない代わりに、何者へも干渉できぬ中空の存在はその闇で人を盲目に変えてきた。
        闇の中で闇を視る事ができるのは、同じ昏い闇であったというだけの話なのかもな……。

        (外から砲撃の音が聞こえてくる、かすかに地面が揺れた)
        仮初のそれとはいえ、任と忠義、苦労であった、ヴァイド。
        盤の上の盤という茶番でありながら、私の舞踏に合わせて良く踊ってくれたものだ。
        或いは貴公であるなら自らの為と嘯くであろうが、それすら私も同じような物であるからな。
        互いが互いの愉悦の為に時に互いの身を戦の風に晒し、血肉を暴き、痛みを悦楽とした。ただそれだけの利用関係であったというだけの話だが、悪くはなかった。

        (ワインを口にし、嗤う)……ここで私は私の観客を待とう。
        何処へ行くかは分からぬが、もし互いに再びまみえることでもあった時は、この後にどの様な物を見たかということを肴に。
        また酒盃を血で満たそうぞ。互いの悦楽のためにな。
        (男は昏く、暗く嗤った) -- フリストフォン 2012-08-28 (火) 21:56:20
      • ハハハハ何をいう、正義も悪も表裏一体。ただの概念に過ぎぬ。
        それらに縛られ愉しみを失うなど…いやはやなんとも惜しいことであろうよ。
        視線を、枷を少し外すだけで愉しみ、世界はいくらでも広がるのだ。
        光と闇を味わえる黄昏とはなんとも贅沢なことよ。

        (遠雷の如く兵士達の怒号と砲撃の音が聞こえてくる)
        よいよい、常日ごろから盤で遊ぶのも勤めであるし、この西爛戦争…中々に変えがたい時間であった。
        次があるならば…そうだな、互いに公も揃えて遊べばまたより愉しめるかもしれん。
        今度はもっともっと楽しい舞踏会にしよう。ここから先の時代は混沌に染まる世界か
        暁に光が差し込む世界か…どちらにせよそう、明日という未来から生まれる愉しみという雫は尽きぬ
        よきかなよきかな

        (たゆたわせ、遊び、口に運び)うむ、では余は余の演目役者たる英雄を待とう。
        黒山羊傭兵団の頭ヴァイドであり、ローディア連合王国南方候こと太陽王ラー・アルラーム・カイル
        そして統一王朝より続く死の主、冥府の王族たる余が…其方と再び悦楽で満たされた杯をもって
        愉悦という享楽を肴に興じる日を生涯の楽しみにしておこうではないか…
        ローディア連合王国西方候にして退屈王、フリストフォン・ラヴェル・フォラン
        …そして大爛が生んだ常闇にして常世の黄昏…本爛よ
        (明るく、晴れるように。しかしそれは暗く笑い声を響かせた) -- ヴァイド 2012-08-28 (火) 22:21:55
  •   -- 2012-08-27 (月) 21:24:25
  •   -- 2012-08-27 (月) 21:24:22
  • (特に公務があったわけでもなく報告を行うような事も無い、それゆえに断られたらそれまで、と申し入れた謁見である)
    (相手は西方公フリストフォン・ラヴェル・フォラン、無論知らぬ相手ではないが、その真意までを知っているかと聞かれれば否である)
    (黒山羊の件、そして先のウラスエダールの件、いささか悩んだが結局自分の内なる声には勝てなかった)
    (話が聞けるかどうかはまた別の問題ではあるが、ともかく行動だけはしておこうと待合室にて落ち着かぬ時間を過ごしている) -- アリシア 2012-08-24 (金) 21:55:16
    • (硝子の大地と化したバルバランド、そして相剋を成す神国を抱き込み、後方にスリュヘイムを従える)
      (戦争をする上で必要な物は手駒だったが、その手駒全てが今や西ローディアの方針決定の手綱を握る幾人かの手の上にある)
      (盤上の一手を指す権利は今手中に収められた。一つずつ、一つずつ動かしてきた盤の上で、最高の戦力がその矛先を帝国へと向けている)
      (決戦の時は近い。恐らく、ゾドにて互いの戦力はぶつかり合い、そして連合軍そのまま東侵を進めるだろう)
      (盤上に全て並べられた白き駒を指先で遊びながら、静かに椅子に背中を預けた)

      (壮年メイドが、声を掛けてくる。そろそろ面会の時間らしい。入室案内を促すと、メイドはいつも通り無言で頷き、待合室へと歩いて行く)
      (アリシアの下に訪れたメイドは、公務中ですのでそれでも良ければ、と公務室へと案内をし、一礼をして部屋の外へと侍った)
      (その一部始終を椅子に座ったまま眺め、ゆっくりと立ち上がる)……済まない。時勢が時勢だけにさして気の利いた場を設けることができそうもない、フロフレック公。このような場で申し訳ない。 -- フリストフォン 2012-08-24 (金) 22:07:54
      • (幾度か訪れた事がある部屋に通される、さほど変わらぬ部屋の様子とさほど変わらぬ部屋の主、西方公フリストフォン)
        (その机上に置かれた盤に一瞬目を止めるも、何事も無かったかのように一礼する)
        いえ、急な申し入れを受けていただいた私の申し上げるべき事です、公務の合間にこのような時間を取って頂きありがとうございます公爵閣下
        (かつて騎士の叙勲を受けたばかりの彼女はもういない、良かれ悪しかれこの戦争において磨かれた結果であろう)

        (一通りの礼を終え、フリストフォンを向き合った状態で単刀直入に切り出す)
        不興を買う事は承知で伺わせていただきます、かの悪名高き傭兵団黒山羊、その隊長であるヴァイドなる人物と縁を持ちました
        そしてその場において、閣下の名を持って下された命を聞きました、彼らとの繋がり
        もしよろしければその理由をお聞かせください、問題はあるが有用である……と言う理由であれば、彼らを用いるのは危険ではないかと思います -- アリシア 2012-08-24 (金) 22:33:49
      • (無言で頷く)……成る程。故に、今より始まる戦の前に於いては、その箴言が急務であると、そう判断されたのであろうな。
        ……繋がり、か。知っての通り今は亡き東ローディアの傭兵にして、難民が一団である、
        というのが彼らを西方候が受け入れた理由だよ。腐らせておくには惜しい才は付随したものに過ぎない。
        貴公がどの様な場と状況であれを……ヴァイドという男を見たのかは存ぜぬが、
        あれは見た目と在り様に反して、私にとっても中々有能な男でね。問題はあるが有用なのではなく、有用であるが問題があると、そう認識している。
        時には汚さねばならぬ私の手の代わりに、進んでその身を汚してくれるという意味では、彼らにはとても世話になっているよ。 -- フリストフォン 2012-08-24 (金) 22:48:41
      • (フリストフォンの言葉を聞き、やはりこちらも頷きで返す)
        いえ、換言が急務であると感じたわけではありません、私が感じる事を公爵閣下が看過し得ないとは思えません
        この戦争に勝つため、であるなら……納得もします、柱の王もウラスエダールも、守るべき民を捨て置いても成さねばならぬと言うのなら……
        (そう言葉を発する口の端がかすかに震えた、納得すると口にしながらも内心それを許せない想いが強いのであろう)
        ですが!黒山羊は、彼らは勝つことを至上としてこちらに組しているわけではない、その手段を満たすためだけにこちらを利用していると思えます
        それ故に、それでも彼らを使う理由がわかりません、難民の一団であると言う理由だけでは……
        (漠然とした不安がある、仮に勝ったとしてその先は?住民を殺し自らの国土を焼き、そして一国を滅ぼした上で勝利を得たとして)
        (その犠牲となった者の遺恨は帝国に対するものとなんら変わらぬほど強いものとなるだろう)
        (果たして西方公はその先を見据えているのだろうか、と、帝国に勝てさえすれば民がどうなろうと構わないと考えているのではないだろうか、と) -- アリシア 2012-08-24 (金) 23:49:36
      • (突きつけられた言葉を、内心で弄ぶ。以前、ネーナという兵に言われた言葉と矛先は違うが根本は似た物がある)
        (だが、外様の兵であるネーナよりも、このアリシアという少女が抱いている物の方が、根が深いように思える)
        (或いは。……ネーナで得ることの出来なかった答えを、この少女の根本は持っているのではないだろうか)
        (静かに)
        (虫の腸を探るが如き、無垢な好奇心が、静かにその残酷性を発露し始める)
        私は……むしろ、その在り様の方が、戦場に沿うに足る資質でないかと、最近思い始めたよ。
        彼らは彼らの利を以って、私という個と交渉に臨んでいる。私がその目的を達するために手段を選ばない引換えに、彼らは手段を達成するための目的を選ばない。
        彼らにその明確なベクトルが存在する限り、彼らを理ではなく利で律する事ができる。
        事実、彼らが行う「手段」という悪行によって死を齎される人間の何倍もの人間は、私の「目的」によって救われることになる。
        それは、正当な計算であり、利を量として推し量るのであれば……私の采配が狂っているのではないと、私は思うのだが。
        (人を数と認識し、線上を盤と認識する。戦に臨む目的は別として、少を犠牲にして多を活かす、温度を感じさせない王の采配がそこにはある)
        (恐らく。アリシアと最初に会った時の退屈王と揶揄されていた男であるなら。その理論を以って、アリシアの理論をねじ伏せるに至っただろう)
        (だが、今の男は。……元々零であったベクトルに、少しの人間性を匙で加えていた)
        (だからこそ、問う)
        ……あるいは。
        その「手段」による采配なくして、私の「目的」に沿う結果が得られる、画期的な方法があるのだろうか?
        例えば、その剣で。……もっと多くの人を、犠牲なく救えるのであるなら、それに越したことはないのだが。(小さく、嗤う) -- フリストフォン 2012-08-25 (土) 00:05:47
      • (アリシアの思考の根本に根差すもの、ローディアと言う国かあるいは風土か、それらが育んだ騎士道と言う名の精神)
        (誇りという名の呪いと言い換えてもいい、だが、力を持つものが持たざるものを守り導くと言う理念は間違いと言えるのだろうか)
        (答えは否であろう、しかしながら戦場においてそれが必ずしも+に働くとは限らない、むしろ限界を露呈してしまう)
        (フリストフォンの言う戦場に沿うに足る資質、主義思想理念に囚われずあらゆる手段を模索しただ相手を倒す、それだけの事なのだろうとアリシアは思う)

        閣下は、戦争に挑むに自らの欲望以外の理由をもってするは間違いだと言われるのですか
        あるいは、戦略において動かされる兵の感情や誇り、そういったものは利による采配の前には等しく無意味であると……
        (燃える瞳がフリストフォンを捉える)

        exp022195.png

        小の犠牲によって大を生かせる選択があれば其を選ぶ、それは理解できます、私達も命を賭して戦う身、駒として扱われるのも止む無しですが
        私は、小だからといって守るべき市民をその手にかける様な、そのような事は納得など出来かねます
        (それこそが彼女の戦う理由、呪いと比喩した騎士道であり、それゆえにフリストフォンの采配、ウラスエダールの顛末はヴァイドと同種のものを感じるのだ)
        (かつてヴァイドに吐きかけた単語がある、流石に其れを口にする事は無いが……その目は言う、それが王なのかと)

        (その西方公を見据えていた瞳が伏せられた)
        ですが、それしかなかったのでしょう……もしもっと良い方法があるのであれば、公爵閣下がとうに試されていたのでしょうから……
        (結局のところ自分の言は感情に根差すものであり理による正論を覆す事が出来るはずも無い、握られる拳は相手の正しさを認める事と同意だった)
        -- アリシア 2012-08-26 (日) 00:04:47
      • では。
        その言葉に君が望むような言葉で、明確に返答しようじゃないか。

        君の言うように、善を最良とするのであれば、もっと善い選択肢は幾らでも存在する。
        彼らに彼らの恭悦のための虐殺を辞めさせることですら、王の采配で行えば幾らでも出来よう。
        だが、それで得られる結果は「善い事」であるが故にその域を出ない場当たり的な物となるだろう。
        結果、一介の師団程度が虐殺を行う以上の人間の血が、帝国の攻戦によって流されるだろう。
        結局は、能動的に死ぬか受動的に死ぬかの違いでしかない。ならば、「この国の為に、享楽の為に死ぬ」ことは、戦に巻き込まれて死ぬことより有意義ではないだろうか、フロフレック女史。

        ウラスエダールの犠牲を以って、この国の人間は多数が救われた。
        そこに戦の尊さや、剣の誇りなど存在しない。
        多数を救うために、少数を殺した結果が、今こうして私達が顔を突き合わせることが出来る時間を創りだした。
        その恩恵に肖っている身でそれを否と嘯くのは、いささか不公平が過ぎるのではないかと私は思うが、如何か。

        exp022196.png

        そして、最後に一番君が聞きたいことであろう言葉を言おう。
        私は。私の欲望によって、ヴァイドの虐殺を肯定しよう。
        あれは、その程度の餌で飼える駒なのだとしたら、私個人の目的を達成するためには……安いものなのだ。
        アリシア・フロフレック公。君も騎士公の一人であるのなら、私と対等に話をするのであれば、訪ねよう。
        この戦争で、その誇りと、剣を以って、一体何人の人間を守れたと、胸を張るのだろうか……?
        それは、ヴァイドが私の采配で救われた人間から、殺した人間を差し引いた数より、多いのだろうか?
        (残酷な問いを、若き騎士に向けて投げる)

        国を護るためという甘言にて、自らその水銀に焼かれる身を国へと捧げた、『柱の王』という名の狂信の徒よりも。
        ―― 一人でも多く救えただろうか?
        (その事実を。他でもない騎士の娘に向けて、真っ直ぐに、突き刺すようにして捧げた) -- フリストフォン 2012-08-26 (日) 00:29:37
      • (フリストフォンの言葉は鈍器で殴りつけられたような衝撃を伴って耳朶を響かせる)
        (虐殺された人間は死んだと言う事実をもってのみ有意義な存在である、そう断言されたのだ)
        そ、それ、は……
        (それは違う、違うと叫びたい、しかし今のローディアがそういった犠牲によって辛うじて倒れずに済んでいるのは、紛れも無く事実)
        (今こうして問答に興じている時間がウラスエダール滅亡の上に成り立っていると突きつけられれば、その後の言葉を続けられるはずも無く)
        (自分が救ったと胸を張って言える人間などいるはずも無い、むしろ無力さを嘆くばかりなのだから)

        ……っ
        (気丈に向き合っていた顔が下を向く、結局成し遂げた結果からすれば何一つ反論出来るようなものではない)
        (そうやって消えかけた瞳に再び火が灯ったのはフリストフォンが放った最後の言葉)
        狂信……!国を護るために身を捧げる事を狂信と言われるのですか!
        かつて貴方は言われました、胸を張らねば、でなければこの地位を得ようとして得られぬものに示しが付かぬ、と
        その責任を果たす事を、それを貴方は……!
        (もし傍から見ているものがいたとすれば、抜くのではないか、そう危惧するであろう程の剣幕で迫る)
        (しかしそれも束の間の事、自分を落ち着けるように深く息を吸い見据えられる瞳にそういった色は消えていた)

        閣下、最後に一つだけお聞かせください
        国を護るためにとの言葉を甘言とし、それに命を捧げる事を狂信とし、誇りも尊厳も無く戦うその理由は何ですか
        先ほど私に聞かれました、多くの人を救う方法があるのかと、国を護る必要も、誇りも何もかも投げ捨てるのであれば……
        戦う事無く降伏してしまえばよかっただけではありませんか、開戦当時は無理であってもローディア王が崩御された今であればそれも可能だったはず -- アリシア 2012-08-26 (日) 02:03:51
      • (両手を広げる)
        (そう、それは、自己に対する言葉でもある)
        (この戦の意味を、ネーナに、アリシアに、ヴァイドに、暁翼に、程爛に尋ねた時と同じように)
        (その問いは自己にも投げかけられるべきであり、今がその答えを出す時であるのだ)

        理由など、ないよ。フロフレック公。
        理由など、ないのだ。
        私に、理由など必要ないのだ。――どちらでもいいのだから。
        どちらでも――私は愉しいのだからね。
        ただ今回は、それをしなかったというだけで、どちらかを選んだわけではないのさ。

        私は目的の為に歩む道を決めるのではなく、
        歩む道の上で目的を探しているのだよ。
        こういうのも、いいのではないかというのが、私の根本を形作っている物でね。

        王たれと誰もが望むのであれば、私は冷徹にそれを遂行しよう。
        個人たれと誰もが望むのであれば、私は熱を以って語ろう。

        戦がどうなろうが、誰がどうなろうが、関係がないのだ。
        私は。――どれでも楽しく。――どれでも、退屈を覚えたことはないのだから。
        (零の狂気。拘りを持たないという拘りで発せられる、絶対零度のベクトルを持たない言葉が呟かれる)
        (理解し得ないであろうその異質な言葉は、何処か恍惚として部屋の中に響いた) -- フリストフォン 2012-08-26 (日) 02:20:16
      • (憮然と、まさに憮然とした表情で立ち尽くす)
        (西方公は、フリストフォン・ラヴェル・フォランという人物はいったい何を言っているのだろう)
        ……理由が、無い、どちらでもいい……?(この期に及んでようやく理解した、目の前にいる人物は自分とは、いや、おそらくは誰とも違う異能なのだと)

        公爵閣下、私は黒山羊のヴァイドなる者は道を外れた者、外道であると感じました、そして先ほどまで貴方も同じではないかと疑いを持っておりました
        しかし今は違います……貴方はその言葉に当たらない、その心は人が持っていいものではない……
        (失望かあるいは怒りによってか、放つ声と握りこまれた手が震える)
        &brそれを神というのか悪魔というのか分かりません、ただ……貴方は人でなしです
        (彼はどちらでも良いと言った、つまりは私にどう思われようとそれすらも愉悦の一部としているのだろうから)

        閣下、今更ですが先ほどの質問に答えさせていただきます
        今の私には犠牲なく多くの人を救う術は思いつきません、ですが私は私の正しいと思う道によってそれを成す方法を探します
        その結果、黒山羊、引いては……(その異能によりローディアに害成す存在となった貴方に剣を向けることになろうとも)
        (言葉なくしてそう伝え、恭しい一礼と共に執務室を退室する)
        (張り詰めた緊張感が解け、その場にへたり込んだのはメイドに見送られてすぐ後の事だった) -- アリシア 2012-08-27 (月) 01:09:03
  •   -- 2012-08-24 (金) 21:18:38
  •   -- 2012-08-24 (金) 21:18:34
  • 【GA225/10】 -- 2012-08-18 (土) 23:12:34
    • (こうしてこの城に、この部屋に来るのは何度目だろう。依頼を受けて生き残り、報告をしに戻ってきてねぎらいの言葉を受ける。)
      (嫌なことも逃げたくなることも目を背けたくなることも何度もあった。でもそれでも、それは、この戦時において。道を見失いつつあったわたしにとっての居場所として確立されつつあったのだ)

      ……失礼します。帝国軍勢北方の視察と牽制の任務を終え、戻って参りました……。
      偵察部隊として、戻ってこられたのは私だけ……でしたけれど、あの物量差では、ウラエスダールも…… -- ネーナ 2012-08-18 (土) 23:19:17
      • (報告書に目を通し、椅子に座ったまま頷く)ああ、最善とは言うまいが、当初の予定通り……期待通りの戦果ではある。
        犠牲が出てしまったことは悲しいことだが、それでもこの一手は帝国の侵攻を確実に阻む物と成るだろう。
        改めて言おう……よく頑張ってくれたね。
        君たちは、君たちの仕事をした。……後は、我々の仕事、というわけだ。
        (数日前、調印した『軍略』の書かれた公文書の文字をなぞり、内心で小さく嗤った)
        (全ては思惑通り進んでいる。孤軍を気取っていた山岳の民は、数の暴力の前に利として消費されるだろう)
        (それは、ネーナ達がどのように動いたところで、変わらず、最初から決まっていたように) -- フリストフォン 2012-08-18 (土) 23:33:46
      • でも……でも、私は……また……何も出来ませんでした。個人の力ではたかが知れていることも、西ローディアとして動くことが出来ないのも分かります……今回ので時間が稼げたとしても……
        また……東ローディアみたいに……私はただ、崩壊していく事を眺めることしか出来ないなんて……やっぱり悔しい……ですよ……。連邦はこれからどうするんでしょう……やはり、降伏するんでしょうか……
        (もしもそうなれば、更に帝国に拠点を与えることとなり、西ローディアは中央、北からの軍隊同時展開により確実に落城することとなる)
        この戦争は……どうすれば終わるんですか……。どうしたらいいんですか……フリストフォン様なら何か、お知恵を持っていらっしゃるのではないのですか……
        (功績を認めてはくれていても、見てきた現実と比べてしまうとやはり不安は芽生えてしまう。自身の行動に意味はあったのか、この行動が果たして正しかったのか) -- ネーナ 2012-08-18 (土) 23:51:18
      • (頬に手をやり、額を人差し指で押す)……厳しいと言わざるをえない、だろうね。
        恐らく、私よりもネーナ君の方がそれを肌で感じてきただろうが……状況は芳しくはない。
        元々、ウラスエダールはその土地の性質上、竜害から身を守る術を育ててきた反面、歴史的に人の侵略を防ぐ技術を持たない。
        加えて、支援を送ろうにも、山岳で囲まれた地形が災いし君たちのような軽装の兵を強行軍で短期間送り込むという場当たり的な措置になる。
        残念ながら、君が感じた不安の種は、帝国が正着の手を打ってくる限り、確実にウラスエダールの地で芽吹くだろう。
        ……このままでは、君たちが講じた少しの時間稼ぎも、何の実を結ばないまま地に落ちるだろうね。
        (少しだけ、違和感があった。自らの中に芽生えたその初めての感情は、静かに、音もなく湧き出てきた)
        (それが――破壊衝動だと気づくには、あまりにもその感覚に大しての経験が少なすぎた。――故に。それは小さく芽吹く)
        だからこそ。……我々が、手を汚すべきではあるのだろうが。
        (口の端が、小さく持ち上がるのを、頬に当てた手で隠す)……残念だよ。このような手を使わざるを得ないのは。……酷く、残念だ。
        (ネーナに、気紛れに公文書を見せる。そこに記されたのはウラスエダール陥落後に行われる、龍の卵による焦土作戦の内容と)
        (……フリストフォン自身の署名捺印だった) -- フリストフォン 2012-08-19 (日) 00:04:53
      • やはり……(それは理論的な意見。さらに絶対的に信頼している主君からの意見である。自分の不安を後押しするには十分すぎるものだった)
        でも、だからこそ対策を考えて……へ……っ?なんです……これ……(何を言って、と文書に目を通す)
        (そこに書かれているのはおよそ人間の所業とは思えない内容だった。災害を操り、災害を以って、我が国に振りかかるであろう今後の災害を滅す。まるで神か魔王か、若しくは基板上のゲームのプレイヤーのような簡素な思考)
        (簡素ゆえに誰も思いつかず、誰もしようとは思わないはずの。最悪の所業。)
        ……えっと……その……これは……?その、け、計画……っ、そういう計画がある、っていうだけですよね!?もしもの時の…だってこんなの……こんなことしたら……
        人も……国すら……何も、何一つ……残らなくなっちゃうじゃないですか……幾らなんでも…こんな事は……
        (次ぐ言葉は、悪か、最低か、信頼し尊敬する主君の前で到底発す事はできない言葉であった) -- ネーナ 2012-08-19 (日) 00:20:18
      • (両手の指を、机の上で絡める。意識的に。意図的に。何かを壊してみようという試みは、静かに始まる)
        (何度も、何度も何度も、何度も何度も何度も何度も死地に送った)
        (それでも、死という一線を一度も超えず、耐え難い苦境にも屈さず、生き延びてきたこの兵のことを買っているからこそ)
        (その、悪意のベクトルの矛先にしてみるのに相応しく。――自分にとって、彼女はどちらでもいい存在に他ならなかったが故に)
        ……私達が、初めて会った時のことを、覚えているかい。
        世の中には、儘ならぬ事も存在する。それを、僅かな言葉や所作で誘導し、最善とは言わない、次善を目指すことが……私は施政であると思っている。
        これは。君からしてみれば、とてもではないが最善に見えないかもしれない。……だが、この急場で我々西ローディアが行いうる、次善の策なのだ。
        僅かな犠牲で、多数が助かる。
        しかも……私が育み、君が守るべき……この西ローディアの民を、だ。
        だとしたら……その調印とサインが、私の意思であることは……君にも汲んで貰えるのではと。
        (それは、穏やかな表情で発された)……私は、期待しているのだが。 -- フリストフォン 2012-08-19 (日) 00:28:13
      • 僅かな被害って、ウラエスダールの人たちを焼き尽くして滅ぼして……国一つを消してしまって、それが僅かなんですか……
        次善の…善の策なんですか……。わからないです……私は……わからないです。どんな時だって、犠牲は出さないよう軍を任されては動いて来ました……結果が伴ってないと言われればそれまでですが……
        それでも、誰かを犠牲にして自分たちだけ助かろうなんて作戦は立てたことはありません……
        だから……だから……これは……(俯く、どうして、まるで掌の上で転がされているかのように感情を逆なでされ意を口にしてしまう)

        ……せめて、せめて……民間人の救助等の支援は行えないんですか……少しでも、少しだけでも命を救うことは……(甘い考えを口にする、当然的に秘密裏の作戦となるであろうこの書文にそんなものを考慮する余地など残っているはずなどなかろうということは解っていながら) -- ネーナ 2012-08-19 (日) 00:41:34
      • (それは。……それは悪手だよ、ネーナ君。盤上で打つべきではない、甘い一手だ)
        ……では、問おう。ネーナ・ロックニー女史。
        民を助けるために人員を割けば、恐らく君たちを先遣隊に遣わしたときと同じように、いや……それ以上に、犠牲が出ることだろう。
        その上で、どれだけの犠牲を払い、どれだけの民を救えば……私や他の貴族は許されるのだろうか。
        この判断を下した人間を……他ならぬ君が許してくれるのだろうか。

        これは、西ローディアに昔からある謎掛けだ。
        君の親と恋人。二人が崖から落ちそうになっている。
        片方しか助けられない時。君はどちらに手を伸ばすんだい。
        ……この命題には、答えがない。どちらを助けることも、正解であると誰かが保証してくれるわけではない。
        この命題の正答を選ぶのは……命題に答える側の人間なんだよ、ネーナ君。
        そして、私や、諸侯は……自国の民を選んだ。そうすることが、『王』としての役割だからだ。 -- フリストフォン 2012-08-19 (日) 00:50:29
      • ……(何も言い返せなかった。確かにその問答で、そう決めたというのなら、きっと生き残った西ローディアの民も、王に、正答者にオーディエンスとして正しい選択をしたと言ってくれるだろう)
        確かに、そのとおりです……猶予も人材もない……だからっ……こうするしか無かった、そう言われれば何も言えません……
        でも、私が引っかかっているのは、そこではなくて……これは……この検案は恋人と親を選ぶかのように苦渋の末に選択されたものなのか、どうか……
        なんででしょう……どうしてでしょう……いつも暖かく感じるお言葉が今はとても冷たく思えるんです……
        まるで……(心を仮面で閉ざした者たちのように……、そう思い君主の顔を見上げ。目を丸くする、信頼していた君主の顔にも、目線を隠すように白きマスクが、備えられているのが見えてしまったからだ)
        (何を隠しているのかは知らない、分からない。何を偽っているのかも知らない、わからない。でもそれは心の壁として、他者との隔たりとして、存在するものであることだけは判っている。)
        (過酷な状況、凄惨な現状を幾度と無く目にして、人のナマの感情を何度もぶつけられ、何時しか芽生えてしまった技能。能力、力……最早呪いかもしれない)
        (それでも、それを認めたら、自分に与えられかけたこの居場所すらなくなるから。目を閉じて俯く、それを拒否する)
        お願いです……答えて下さい、これは、苦渋の決断だったと、この犠牲は永劫忘れることのない選んでしまったものの罪でもあったと……
        (なんでもいいから、耳障りのいい言葉を求める。言葉に溺れさせて欲しい。此の違和感を吹き飛ばしてくれるような、ただただ納得させてくれるような) -- ネーナ 2012-08-19 (日) 01:27:32
      • (小さく)
        (小さく零した笑いは、水面を伝わり、波紋となって広がる)
        (たった一滴零れただけで、水を酒と化す神の雫のように、それは水を一瞬にして尽く濁していく)
        どちらでも、代わりはしないのだよ。
        結局のところ、私にとっては、全てがどちらでも良かったのだ。
        ただ、合理的に、利の多い方を選択してきただけで、何を選ぶかで迷ったことは、一度もないのさ。
        (立ち上がる。ゆっくりと歩を進める)
        選ぶ物が重要なのではない。選ぶ事が重要なんだよ。先の命題で最悪の回答とは、どちらも選べない事なのだからね。
        私は選択自体を罪だとは思わない。むしろ、それを選ぶ選択肢を、他者より与えられたのが残念であったとそう思っているのさ。
        ネーナ君。
        戦場に罪は存在しないよ。
        戦場に罰など存在できないのだよ。
        天秤の上に、そんな不確かな重さのない物を載せることはできないのだよ。
        その目で見てきただろう。
        その耳で聞いてきただろう。
        人が簡単に死ぬ所を。誇りなど何の訳にも立たないことを。
        それが事実で。それが全てなのだよ。
        あの場では、利という絶対的な指標以外は意味を成さない。
        人は数で数えられ、その生命は金額に換算される。
        君はその戦場に……今まで何を求めて、何を成そうとしてきたのか……聞かせて欲しい物だ。 -- フリストフォン 2012-08-19 (日) 01:47:48
      • どちらでも……って……そんな……(突き付けられるのは残酷とも思える合理的な言葉と思想)
        (それらは全て、理解できてしまうがゆえに自身を苦しめる、正論であるがゆえに刃となって突き刺さる)
        (弱い理想論など唾棄すべきものだと、一蹴されているのだと。己が自身も当初、此処まで北から出奔してきた目的を思い出す)

        ……違、う……違うんです……
        (私は……自分の居場所を得るために、エゴのために……)
        私は…ただ……
        (自分の力を誇示するために、誉れを得るために……)
        騎士としての勤めを……果たすべき……勤めを……
        (祖国にて騎士としての居場所を得るために、地位を得るために、自身の為に……)

        違うっ…違うの、そんなことは……う、ぁ……あ……っ!?
        (顔を両手で覆った時、気がついてしまった。自身にも、その顔にも確りと仮面が張り付いていることに)

        あ……ぅ……(へたり、とその場に崩れ落ちる、今まで緊張しながらも心地よく思えていたこの場所が、急に針の筵と化したかのように感じた)

        ……じゃあ……じゃあ、私はどうすればよかったんですか……今までの任務も……全部、この国の為になることじゃなかったんですか……! -- ネーナ 2012-08-19 (日) 02:08:25


      • exp022135.png

        (嗚呼。成る程)
        (この兵を、手元に置いておきたかったという、自分の気紛れの意味が、ようやく理解できた)
        (これは私と同じように。……自己の欲求の本質に無自覚であったのだ)
        (忠義や正義、大義に飾られ、合理を振り翳す傍らで……どうしようもなく自分の利を追い求めてしまう本質に)
        なるさ。いや、なっている、のだろうな。
        喜べ、ネーナ・ロックニー。戦場には誇りはないが、市井にはそれは必要不可欠なものだ。
        貴公の働きは弱き民から見れば英雄の偶像が如き輝きを見せるだろう。
        そう見えるように、私が今まで飾ってきたのだからな。
        或いはそれは私が退屈王として、今を以って軍権まで移譲されている『王』としての働きを認められているのと同じだ。
        内側にどんな意を蓄えていようが、どんな理由で戦争に参加していようが。
        どんな理由で、生命を秤に掛けていようが……その選択で生命を散らせていようが……。
        そんなこと、民にとっては、どちらでもいいのだ。
        喜ぶといい。
        貴公の働きは、人の死の上で勇敢な選択として私の采配の上で生涯讃えられることだろう。
        貴公の中に――何一つ誇るべき、信念があろうが、なかろうが、な。
        それが。戦争という物の、貴公が目を背け続けていた真実だよ。ネーナ君。 -- フリストフォン 2012-08-19 (日) 02:25:58
      • (仮面をいくら剥がそうとしても剥がれない。勿論他人から見れば手で顔を覆っているようにしか見えないだろう、気に留められるべき行動でもない)
        (光を失った瞳で、今まで受けたことのない心からの賛美を受ける。違う違うと否定しながらもその言葉には当初求めていたものが全て詰まっていた)

        (私は居場所が欲しいから戦っている……誰からも奪われない、私だけの居場所が欲しいから……)
        (心の声がなんども何度も囁く、そういう子なんだから深く気にしなくていいじゃない、と。今までどおり彼の期待に応え、任務を熟して行けばいい、と)
        (今を受け入れれば、地位も名誉も、居場所も、全て手に入るのだ。何も、何一つ問題など無い。)

        (でも、だから、その状況が怖かった。向けられた笑顔の意味も考えたくないくらいに怖くて、このままだと違う世界に、違う自分に、足を踏み入れてしまうのではないか、と)
        わ、っ……私は……私はその……、し、失礼しました…っ!
        (ゾクリとした寒気を覚え立ち上がると、碌な答えも出せぬまま逃げるように去ってしまう)

        (ただ、彼女が座っていた床に、周囲に。冷気と、凍てつき鏡のような氷を残して) -- ネーナ 2012-08-19 (日) 03:01:32
      • (どの様にして生み出されたかは理解できないが、その凍てつく床に自分の顔を写す)
        (成る程)
        ……笑顔というものも、意識せずとも表出するものなのだな?
        (そして恐らく、去りゆくネーナという同じ仮面を持つ者も)
        (だとしたら……それを自覚した時、どの様な笑みを零すのか)
        (想像するだけで、刻まれた笑顔の色が濃く、深くなっていくのを、感じざるを得なかった) -- フリストフォン 2012-08-19 (日) 03:16:11
  • 【GA225/6】 第二次バルトリア会戦・後夜 -- 2012-08-16 (木) 19:00:00
    • (人肌に温めた水を、頭から被る。体についた泥や澱、埃の類が洗い流され、石造りの床の隙間を這うように排水口へと流れていく)
      (滴る水が肩口を叩き、髪をまとめて額に張り付かせる。火の着いた身体は水浴でどうにかなるものではないらしい。熱い息を壁に塗るように零し、両手を壁に着いた)
      (西ローディア西方領は海に面している。大陸の西を流れる温暖な風が豊富に塩を含んだ風を届けるため、程度の差こそあれ、湯浴みや水浴びのような風習に抵抗はさほどない)
      (帝国ほどではないが、西方とて仕掛け一つで水が無尽蔵に溢れ出るほど卓越した治水がなされているわけではない為)
      (汲み置いた水を浴びるに留めているが、その治水もまた西ローディアの課題の一つであろう、そんな王としての意見が頭をよぎった) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:10:35
      • (思考に、思考が挟まる不快感に、小さく身を捩る)
        (余りにも長い間、自覚的に自己としての思考を封じていたがために、未だに幾つもの思考が頭の中で湧き水のように溢れ、思考を濁らせる)
        (何も考えずにいられるよう、水を浴びているのだろうに、その水に課題を投げかけられている時点で)
        (私はどうしようもなくフリストフォンという形をした王なのであろうと嗤いまで零れた) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:12:28

      • (無理からぬことではある)
        何せこの感触もまた、幾年振りであるのだから
        (身体を滴る水滴)
        (壁についた手のひらに返ってくる感触)
        (自己の思考による頭の疼き)

        (その全てが、自分にとっては久しく忘却の彼方に置き去りにしてきた感覚であったのだから) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:14:33

      • exp022103.png

      • (例えば。優れた神胡奏者や弦奏楽の唄い手が盲であること)
        (例えば。優れた芸術家が日常生活も儘ならぬ程の白痴であること)
        (そういった事例は、帝国でも広く、実存在を以って知られていた)
        (人の脳という物は使用する領域は通常限られており、その限られた使用領域がずれることによって、生み出される天才というものが存在することは、帝国の医学、そして皇帝すらも知るところであった)
        (或いは、それを完全に理解していないからこそ、簡単に手を染めたのであるとも言える)
        (今にして、西方最新の医療ですら未踏の地とされる脳の領域へのアクセスは、これを冒涜と言わず何を悪辣とするのであろうという問いすら払いのけて、手探りで始められた) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:25:52
      • (それは、論理的なアクセスではなく、ある程度神秘的なアクセスとして存在していたことも、行為に歯止めをかけない理由の一つとなった)
        (帝国の呪術師がその神性が外界に漏れぬように五穴の幾つかを塞ぐ行為を以って、自らの神性を内側に留めるという風習を持っていたことも災いした)
        (塞げば勢いが増す)
        (単純にして明快であるが故に大きく倫理としても論理としても逸脱しているそれは、次代の皇帝……或いは、言い換えるならば天禀を持つ者を待ち望んでいた帝国にとって)
        (暗中模索ではあるが確実な一歩として、大いなる必要と一匙の好奇心進められた) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:31:33
      • (何のことはない)
        (最初から何も感じられないという、心の疾患を患って生まれてきた存在から、肉体の痛みをも奪っただけの話だ
        (帝国の医療……主に薬学で封じられたのは『触覚』だった)
        (触れたところで何も感触が返ってこないが故に、自己の存在を認めることも出来ない)
        (飛爛が大地からの飛翔を以ってその名と翼を与えられたように、本爛という存在も、周囲から絶縁とも言える浮遊を与えられただけの話だ)
        (他者と心で触れ合えないことと、他者と肉体で触れ合えないことは、人格の形成に大きく影響を与えた)
        (他者の存在を自己の中に確立出来ないことで、自己の存在を浮き彫りにし、本爛という名の少年に非凡なる才能(やまい)を授けた)
        (曰く、残影症。あるいは、有像残留症)
        (――塞がれ、押し出された非凡は、少年の目に表れることになる) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:38:12
      • (一度見た物を永遠に記憶することが出来る、サヴァンという特性を持つ人間の事例が西方にも存在する)
        (だが、比較が許されるのであれば、それよりも醜悪にして程度の酷い、悪意が介在したとしか思えない瞳が、両目に宿っていた)
        一度見た物は永遠に残り続ける。言葉で表現するのであれば、そう表現するしかない)
        (恐らく通常、人の視界という物は時間の経過によって写像が上書き保存されていく仕組みになっているのだろう)
        (目と脳の関係が光への入力装置であるのであれば、そう対応するのが情報量的にも最適であると私も言える)
        (だが、この特別製の瞳は、過去にあった視界、それ全てを写像という形で上書きし続けるのだ)
        (そして、悲惨なことに、それ全てを同時に理解しうる脳までも与えてくれたらしい)
        (私にとっては今も以前も、昔も、過去ですら同時に存在しており)
        (そしてその全てに影響を与える事が出来ない、絶対的な観測者でしかなかった) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:47:09

      • (人は天才と謳った)
        (一度見たものを忘れないのでも、忘れられないのでもない)
        (ただ、永遠にそこに存在するが故に、それをなぞるだけでこの世の全ての道理は解き解される)
        (挙動の一つで虚実を見抜き、些細な写像の変化で心を見抜く)
        (遍くこの世の全てに到達できない場所や場面は存在せず、ただ、そこには私だけがいなかった)
        (人工的に作られた天才は、帝国にとって最高の成功作であり、最大の失敗作であった)
        (恐らく、帝国の機密たる記録にはそう残っているだろう) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:50:55

      • (だが、唯一つ)
        (唯一つだけ誤算があったとするならば)
        (少年にとってはそれすらも、他人から与えられた物ではなかったということに尽きる)

        (それは、その天才が出来る以前。人工的に無痛症を作る行為であると、少年が知った瞬間)
        (既に、少年の頭脳と身体は、その実験と試行がどのような目的を以って行われ、どのような行為で行われるのか、唯理解していた)

        (理解していたからこそ)
        (それをなぞろうとしただけにすぎない)
        (それは言うなれば……どちらでも、良かったのだ。) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:54:35
      • (人工的に無痛症を施す子供が、生まれた時点で偶然心無症を患っていたのではない)
        (その結果、施した術式が感覚を閉じることで功を奏し、天才が生み出されたというわけではない)
        (少年は生まれた時から、本爛という存在であった
        (唯、それだけの……簡単な理由だったのだ) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 19:57:26


      • (頬で龍の細工を施した耳飾りが鳴り、現実に引き戻される)
        (それに左手で触れ、その感触を楽しむように指先で転がした)
        (触覚を閉じずに、何かに触れることなど、久しぶりであったから。それすらも自分にとっては愉快な感触であった)
        (例えば。この指で弟に)
        (宗爛という弟の形に触れた時。……どのような愉悦が芽生えるだろうか)
        (考えただけで、小さく震えが起こる) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 20:00:07

      • (バルトリア会戦において、龍と化した王の姿を見て、確信したことがある)
        (私はやはり、あれに成りたいのだ)
        (ヴァイドや、フロフレック候が聞けば一笑に付されるであろうその願いは、ずっと昔、かつて本爛と名乗っていた頃から存在していた)
        (たった一つの願いだった) -- フリストフォン 2012-08-16 (木) 20:02:51

      • exp022105.png -- 2012-08-16 (木) 20:04:20

      • 私は。
        ……私こそが指向性を持たない、完全なる邪悪なのやもしれんと、何度も思ったよ。
        悪という物は突き詰めて考えれば、ある側面から見たときの不利益を与えてくる存在だ。
        だが、その不利益を与える方からの視点では、大抵それは正義と名を変えることになる。
        時にそれ時代に、歴史に、叙事に流され、美談と成り、覇道と飾られ、時には崇敬まで抱かれる。

        だが、大衆からの脚色なしにしても、この世に「絶対悪」という物は存在し得ない。
        絶対悪であろうとする思惑に是を返す正義が己の中にあれば、それはもはや絶対的な悪ではありえないからだ。 -- 本爛 2012-08-16 (木) 20:10:00

      • では最たる悪辣とは、この世で最も邪悪な存在とは何かという問いは、ずっと私の中に存在していた。
        この30年余りの人生で、片時も忘れたことはない、私の人生に課せられた命題だった。
        その命題は何せ、解かねば……その最悪が私ではないだろうか?という疑問に、否を返す事ができないという悪魔の証明だったからだ。

        だが、ようやく理解出来たよ。
        やはり、指向性を持たない私は、私がずっと危惧していた最悪そのものであったと。
        何の理由も必要無く。
        何の事情も関係無く。
        何の因果も躊躇無く。
        何の正義も携帯無く。
        何の利益も省み無く。
        何の選択も解釈無く。
        何の歴史も存在無く。
        何の証明も意味無く。
        何の情状も酌量無く。

        どちらでもいいというたった一つの無の方向性で試行し得る。
        龍が己が身で地を焼く事に頓着がないように。
        ただ。
        成し、
        為し、
        生し、
        亡し、
        作し、
        済し、
        做し、
        納す。

        そんな存在が人の形を取っているような半端は許されぬというのに。
        皮肉にも故に私は永遠に辿りつけぬ絶対悪を欲しながら、この身を龍に変えることも叶わぬ。
        ――ただの、最悪であると、今自覚したよ。 -- 本爛 2012-08-16 (木) 20:20:20

      • exp022107.png -- 2012-08-16 (木) 20:23:18

      • (自らを抱きしめた爪が)
        (両肩を容赦なく抉り、床に紅い華を咲かせた)

        誰一人。
        それを、許してはくれなかったよ……ヴァイド。
        そのような愉しみ方は、出来なかったのだ。
        私も知っていたからだ。
        触れもしないのに壊れる物に、どうして、誰が触れられる……?

        (その両手を広げて、顔を覆う)
        (嗤っている)
        (今私は、自覚的に、嗤っている)
        (そうか、これが、愉悦という感情か)

        (滴る血と汗と水滴の中)
        (――二度目の産声のように、小さく最悪の哄笑が響いた) -- 本爛 2012-08-16 (木) 20:32:44
  •  
  •  
  • 【GA224/11-2】 -- 2012-08-09 (木) 23:29:33
    • (フォンランが暁翼と爛煌との出会いを済ませた後。もっと細かく言えばコインの裏を見た後であるが)
      (部屋の主、ひいてはこの領の主の許しもなく部屋に男が堂々と入り込む)
      (その顔はこう語っている…「よぉ本爛、あの2人はどうだったかな」と…)
      ゼナンではいい拾いものをした。今動いている件も含めてローディアとアルメナの繋がりはより強固になったかな -- ヴァイド 2012-08-09 (木) 23:35:28
      • (中央からの公文書への返答を自筆で認めていたところ、ドアが開き、そちらも見ずに仕事を続ける)
        私が動かずとも、いずれ誰かが打っていた手だったろうな。今回は柱の騎士という明確な切欠があった分、やりやすくはあったが。
        帝国とやりあうのなら、この二大国はお互いの首に手をかけたまま反対の手で握手をせねば立ちゆかぬ。
        (肩を竦め、ヴァイドの顔を見て)いいご身分だな黒山羊。高みの見物というものをされたのは生まれて初めてだ。中々に貴重な体験だったよ。
        ……突飛さだけであの二人を巡りあわせたことを評価をするなら最高のサプライズではあったがな。あれはお前の玩具か? -- フリストフォン 2012-08-09 (木) 23:43:56
      • あれは実によかった。お陰でいいことを思いついた。7月には見せられると思うから愉しみにしているといい
        (そのまま椅子に腰掛け長旅の疲れが出ました、というかの如く気だるげに。かつその疲れもまた楽しみだと言わんばかりに横になり…)
        金の切れ目が縁の切れ目というが繋がりを強める場合はどう言うのだろうな、うむ

        うん…? ほぉ……(と、他愛もない話から切り替えられたかの如く目の輝きがまた変わり)
        本爛、あの2人をみてどう思った。俺がどういう意図で会わせたか、という答えでも構わないぞ -- ヴァイド 2012-08-09 (木) 23:58:07
      • (沈思する。無音で五秒程盤上に瞳をやり)……幾許かの感想レベルの評価を抜きにして観察した事を述べるなら。
        倒錯だな。……多少滑稽ではあったよ。剣たろうとする人と人たろうとする剣が、お互いに己の在り様を理解していないというのは。
        戦いに理由を必要とする剣と、戦いに理由を必要としない人。そんな歪に歪んでいながら、本人達はそれに何の危機感も抱いていない。
        優れた芸術という物は一回性、不帰性を重んじるというが、どちらかといえば享楽性の度合いよりこちらの意図があるように思えた。
        あれは。今観測せねば、恐らく近いうちにその歪さが故に自壊する類の在り様だ。恐らく、戦で何かを掴んだという錯覚を以って、笑顔で逝く類のな。 -- フリストフォン 2012-08-10 (金) 00:05:40
      • (文学的表現にもならぬもので表すならばニヤニヤと、笑いを絶やさず感想を聞き)
        (その洞察力、推測の力は実に素晴しい。頭のキレるヤツと言うならばまさにこのことだろう)
        流石だな。よく見えている。一目見てそのような印象を受け取れたというのならば、充分だろう。
        一合でそのように描けるのは生来のものか。役職ゆえか


        どちらにせよそうなると宗爛に興味が沸いてきたな。

        あの2人を返すついでに顔を拝んでいこう。
        (と。いきなりどこからでたのかというぐらいに…今まで出もしなかった人物の名前を挙げた) -- ヴァイド 2012-08-10 (金) 00:23:19
      • 違うな、そこにしか興味が抱けなかったというだけの話だ。帝国にいる限り、その目的には帝国の意図が入り込む。
        どの道、誰もがその大いなる思惑の傀儡に過ぎんよ、あそこに居る限りな。あれは、国というよりは一つの生き物だからな。

        (ほう、と片眉を上げ)……やはりお前は私をも自らの享楽の玩具の一つとしたいらしいな。(言いながら嗤う)
        客観的に見て、煮ても焼いても美味くは食えぬだろうに、悪食もここまで来ると一つの長所だな。
        だが、生憎あれにもそれ程興味がある訳ではない。あれが握っている剣も生蔵、拘っている事が些事たる過去とあらば、もはやその生蔵すらない今にして果てているやもしれんしな。
        あの低身狭窄な視野で何を見通せるというのか。……私の、言うことを聞いていればいいものを、な。 -- フリストフォン 2012-08-10 (金) 00:35:22
      • クククク…俺もあの2人を見て似たような気を感じたよ。
        俺もお前もやはり同じであるが、やはり違うとも今感じている。
        しかしなわかるか本爛。これはお前の今の質を表している…

        考えても見ろ、ただそれだけの者らに俺は興味を持つか?俺が。
        よく整理してみろ、そんな一目見て解るようなものを抱えたやつを
        何かしら興味を持った要素があるならば…何もせずそのまま放っておくかと。
        あの2人については盤上どころか盤を置く机すら塗り替えるものがあるが
        今お前にそれについて話ても仕方がないので省くぞ。
        足して言えば、戦も帝国を離れるように諭してはおいた。面倒見がいいだろう?
        子を作ってみろ。中々にこの楽しさの範疇、味わえんぞ


        さて…いいか本爛
        お前は誰よりも何事をこなし、理解する力がある。能力がある。人の王というより管理者というのが相応しいぐらいに。
        だがそれがいかん。目の前に自分の今見て取れる興味が沸き立つものしか飢えを示さない。
        どちらでもよい、なんでも楽しめるというがそこには些かの潔さがある。
        楽しめないなら触れる必要はない…と。
        だからお前は俺が寄越した、というにも関わらず知ろうとしなかった。
        今感じ取れる範囲で歯牙にかける必要などない…と判断したからだ。
        俺とお前の大きな違いはそこだ、何でも楽しもうとする享楽がない。
        せっかく面白いものがあるというのに、目も向けぬとは友として遊び甲斐がないぞ。

        で、あるが
        その本爛が自ら積極的に動く相手がいる。
        それが宗爛だ。
        お前は西方である程度自分の範疇であるならば…程度で動いているがそれを越えて
        いわば職務とそのついでを越えて、最前線まで行き、見て遊ぶほどのことをしている。
        もっとも最前線に出たのは別の目的であったはそれでもお前は明らかに定法、賢さを無視していた。
        お前のいう興味のない、という口ぶりからする以上に語っている。
        理解しているとしてもその目をそらすことができない、お前の無意識にある享楽足りえる男が。
        俺は気になるな。 -- ヴァイド 2012-08-10 (金) 01:10:46
      • (朗々と謳うように告げる男の言葉を聞きながら、静かに両手の指を重ね、思考に沈む)
        (全てを聞き終えたところで、小さく呟く)

        成る程な。
        お前が本当に目的としていたのは、「こちらへの揺さぶり」だったか。

        自覚なき己の在り様が悲劇だと嘆いた口の持ち主が、同じ病に囚われていると。
        ただ、その為だけに寄越した供物か。
        興味の対象に無自覚であるサンプルケースでありながら、同時に自己が興味を引く対象が、余人には無価値に見えるということへの暗喩か。
        (何一つ言い訳しようがない。懐に居る者だけが打ち得る、快哉の一手だと認めざるをえない)
        ……(額に手を当てる)……やってくれる。(策を以って弄された気分に、小さく嗤い首を振った)

        (男は)
        (男の形をした何かは、そのまま呟く)
        一つ。
        その印象に訂正をしよう。ヴァイド。
        私は、恐らくお前の言が全て正しかったとしても、それでも一つだけは間違っていると言えることがある。
        私はな。もしお前の言う通り、宗爛という存在に執着をしていたとしても……それは、無意識のものではないんだよ。
        その興味は、有意識下でありながら、私は……その発露の仕方が理解できないだけなのやもしれん。

        私はな。
        退屈王と揶揄されながらも……。
        今まで、一度として退屈などと思ったことはないんだ。

        (その表情は、空虚で、絶無でしかない)
        (そこにいながら、仮面を外した姿では誰をも触れられぬ浮遊感を伴い、ただ男の形として存在する)

        何一つ。
        この世に存在する物が、私の興味を引けたことなど、たった一度もないのだから

        だから、どちらでもいいのだよ。
        ――どちらでも、構わないのだ。
        どちらでも享楽であり、また無価値であるのだ。

        私は、西のフリストフォンであり、東の本爛でもある。
        その在り様と同じように、私は両極に存在しながら、中庸であるという自分の生き方を、正しく理解している。

        だから。
        或いはそのお前の言が正しいのだとしたら。
        (それは、笑顔なき漆黒の嗤み)
        (退屈すら享楽で、享楽すら退屈であるという空虚)
        (無すら存在しない空虚にして、万なる価値観の居城)
        (ベクトルが存在しない、絶対値零の悪)

        ――私の人生で、初めての出来事なのやもしれんな。

        (それすらも退屈(たのし)そうに、男は無表情に嗤った) -- 『     』 2012-08-10 (金) 01:36:19
      • ハハハハ、2人の感想を聞いて些かに視野が狭まっているのではないかと思ってな。
        ちょっとしたからかいのつもりだったがどうしてこれは。

        非を認めねばならんな、なるほどなるほど。お前はそうか。
        それなら話が早いだろう。
        ことここにきて正しさも悪しさもあるまい。
        気付いたんだろう、ならばよいではないか友よ
        俺は今まで、一度も退屈などと思ったことはない。
        加えていうならばこの世に存在する物の多くが俺の愉しみだ。

        (その空虚な顔の前にあるは薄暗い笑い、闇から生まれた微笑)
        (光も闇も飲み込む笑う顔があった)

        悦べフリストフォン・ラヴェル・本爛

        お前は愉しみを見つけながら有耶無耶に発露もさせるか、いわば零れ落ちていただけ…
        それがようやく解ったんだ。これは大きな事態だぞ、とても大事なことだ。
        幸いなことに中庸とはこと都合がいいものでな、よく理解しているだろう。
        西のフリストフォンでありながら東の本爛である、これは実に都合がいいと。

        (今、この男らを見るものがいればなんと思うだろうか)
        (空虚な闇と、愉悦に満ちた闇が広がるこの場所を)

        で、あるなあらばどうすればわかっているだろう?
        もっとも意識しつつ、少しずつ広げていたのかもしれないが。
        そのどちらの立場も使って愉しみ退屈すればよいではないか。
        中庸とは危ういバランスながらも両者の手を使えるのが取り得だ。
        西方の将として戦場で遊べるだろう?東方の皇子として遊べるであろう?

        ならば全力を持って遊ぶといい。お前ならそれができる。どうだ?お前の求めていた発露だ
        楽しいぞ…この遊びは。特にお前のような者ならば如何様にも遊び方を考えられる。
        今ある全知全能を持って、遊ぶのさ。遊びに力を注げばいい。
        中であるというのならば、それを、宗爛を芯に据えてやればいい。
        本爛…お前なら世を回しそれすらも使い宗爛で楽しむことができる。

        この遊びは、必ずお前を満たしてくれるはずだ
        (まるでこの場にあるかのような美酒を注ぐかのごとく一滴を足らした) -- ヴァイド 2012-08-10 (金) 02:10:38
      • 嗚呼。
        或いは、それが真実であるとするならば、それこそが……幸福なのやもしれんな。
        (まるでそれは、夢物語に恋焦がれる少女のように繊細でありながら)
        (同時に赤子が手加減無しに何かを毀すときの手つきに似ていて)

        ……では、どちらでもいいという私の規則に則り。
        その話、少しだけ乗ってみることにしよう……。
        (男は、その一滴の誘いを垂らされた愉悦の杯を手の中で弄びながらも未だそれに口を付けず、その香りだけを愉しむかのごとく小さく嗤った) -- フリストフォン 2012-08-10 (金) 02:24:36
  •  
  •  
  • 【GA224/11】 -- 2012-08-07 (火) 23:04:13
    • (執務室。不在時の内政状況に目を通し、国内生産の下降が許容枠に留まっていることを確認し、サインをして王室へ回す)
      (財政はそれ程盤石とは行かないが、少なくとも領民が貧窮をする程度のものではない)
      (蓄えは徐々に減りつつあるが、或いはそれで領内の平和を買っていると考えれば安い物だ)
      (アルメナの遠征の帰りに見た各地の暴動や内紛は、あまり傍に置いておきたいと思える物ではなかったからだ)
      (ペンを置いたところで、ドアが鳴る。測ったようなタイミングに苦笑をしながら使用人の態度を見るに王室者ではない様子なので、そのまま入室を許可した) -- フリストフォン 2012-08-07 (火) 23:13:20
      • (せめて服装は西の傭兵に見えるように。しかも身分の高い者に面通しが叶う程度には小奇麗に)
        (そんな面倒な変装も、あのヴァイドら黒山羊騎士団の手に係ればそう難しい手配ではなかったらしく)
        (余計な面倒を見られた、と思いつつ手際の良さに舌を巻いていた所である)
        (使用人らしき者につき、その扉を前にして…僅かに目を細めた)
        (入室の許可が出れば、開けられたドアに素直に入る)
        ……
        (中に居たのは、自分よりは背が高い男…まず、体躯を見て「こいつはかなり戦えそうだな」と判断したきり発言は無い) -- 暁翼 2012-08-07 (火) 23:27:37
      • (西方特有の封建社会故の機嫌伺いの挨拶がなかったので、書類から目を上げる)
        (成る程、使用人が困惑するわけだ。招かれざる客でありながら、この執務室まで目通りが叶っているということは、誰か信頼に足る人間の手引きがあったということだ)
        (ともあれ、無言というのはいただけない。何らかの思惑を口に出すべきでないと判断しての無言であるなら、その口から出てくる言葉は機嫌伺いよりよっぽど性質が悪い物であろう)
        (椅子に座ったまま指を組み、膝の上に載せて尋ねる)
        ここは、フリストフォン・ラヴェル・フォラン西方候の執務室だ。
        ……何か用があって来たのではないのかな、客人。 -- フリストフォン 2012-08-07 (火) 23:40:15
      • (西側の服飾に身を包まれた姿を見て、その格好はなかなかに愉快であるな、と持ち手に軽口を叩く剣)
        (人の姿を取らなければ、この声暁翼にしか聞こえぬ為反応すれば大いに不審な顔をされる。)
        (剣の身であれば変装も必要無い、気楽なものだ。)
        (来るまでにすれ違った女人の服を見てつくづく安心する、あのようにあちこち締め付ける服着せられては堪らない)
        (さてあの黒山羊が一目置く男、というから、山をも貫く大男かと思いきや、存外見た目は凡庸だ)
        (賢そうではあるが、如何にも強そう、といったふうには見えなかった。)
        「ぬらーっとした男であるな、して何故黙りこんでおる?」
        (目的があって会いに来たのでは無いのか?と) -- 爛煌 2012-08-07 (火) 23:58:02
      • (そして、それ以上の物は読めなかった。だが、声を出した事で記憶が蘇ってきた、顔は明確に判断出来なかったが)
        (初めてヴァイドと邂逅した時、宗爛と戦っていた何者かの声。あの日の記憶は忘れられなかった)
        フリストフォン・ラヴェル・フォラン。確かにあんたらしいな
        (使用人の退出を確認してから、口を開いた。どうにも他人に聞かせられぬぞんざいな口調である)
        用件はあんたを酷く買ってる男が居たもんで、人となりを拝見させて貰いにきたって所かな
        (腹芸が得意なタイプではない、半分以上の来訪目的は白状してしまった)
        (「そう焦るなって。そもそもお前、こいつの事は知らないのか?」)
        (魔剣にはそう、脳内で答えた) -- 暁翼 2012-08-08 (水) 00:03:46
      • (肩を竦め、頭を振る)……随分と横柄な客人もいたものだな。開いた口が塞がらない経験など久しぶりだ。
        これでも忙しい身分でね。そのような曖昧模糊とした用向きに付き合う程、退屈そうに見えたのなら謝罪をすべきかな。
        君のような礼儀をわきまえぬ客人に、拝見願うような人となりも、生憎持ち合わせがない。
        誰の手引きで誰の評価を確かめに来たかは知らないが、まず、見知らぬ相手を訪じて「何を行うべき」かを学んでから、もう一度出直してきては如何かな。
        (温和に微笑み、言葉の裏に誰何を織り交ぜて言葉を投げた) -- フリストフォン 2012-08-08 (水) 00:14:03
      • 「本爛といえば有名であったがなー それだけであるぞ」
        (などと言葉を交している内、さて雲行きが怪しくなってきた)
        (得体の知れぬ馬の骨の無礼を喜ぶ奇特者などそうは居ないというのに、形だけでも行儀よく出来ぬものかな)
        (呆れたような言葉と、聞えよがしなため息)

        (今更姿を表しても逆効果で無かろうか…とぼやきながら、剣より少女が躍り出た)
        我が臣民の無礼申し訳ない、突然の訪問の非礼も合わせ、どうかこの珍奇な姿に免じて許していただきたく
        故あってこのような姿に身を窶しているが、大爛帝国第72…73…?…74…
        ……であったかもしれぬ…(考えこむ)………とにかくそのぐらいの皇女の程爛煌、と申す
        (拱手した後顔をあげ、改めて相手の顔を見やる。)
        (本爛と言えば名前だけはとかく有名であった気がするが、幼い頃の記憶ではどうにも曖昧だ。)
        (確かに目の前の男が、それであるのか…という確証がいまいち持てぬ)

        …戦場にてそちらの臣下のばいど…なる者になにゆえか説教をされた
        悔しくはあったが、確かに的を居ているようにも思えた故、その男が買っている貴公がどのような人間であるのか気になった…
        ………のであるかな、言われてみればつまらぬ理由である
        忙しきというのであれば斬り捨てて貰って構わぬ、むざむざ戦中に敵の懐まで飛び込んだのだ
        この男も覚悟くらい出来ておろう ただその前に一つだけ質問を許してもらえるか、貴公は以前本爛との名を持っていたと聞く
        誠であろうか -- 爛煌 2012-08-08 (水) 00:41:56
      • (地位の高い相手に横柄な態度を取った場合、大概烈火の如く怒るか、呆れかえって衛兵が出て来るかである)
        (前者なら隙ができて素顔が垣間見えるし、後者なら指示の出し方でこちらの実力を見抜いているかが分かる)
        (結果は、どちらでもなく。相手は微笑むだけでこちらに興味を持った様子すらない。一つだけ分かった事は…)
        やっぱり狙いは宗爛の事だけで俺の事なんぞは眼中になかったか。そっちから襲ってきた癖にいい御身分だぜ…まずは礼儀正しく身分を明かし挨拶しろ、か
        (さて、帝国式の儀礼でいいのかと、軍でやらされていたような礼を取ろうと姿勢を正し、名乗ろうと口を開きかけた所で…爛煌が出てきた)
        あ、お前…
        (しかもまぁ、まぁ慣れない腹芸でもして徐々に言おうと思った事がずらずら出て来るものである)
        (ほぼ洗いざらい経緯まで説明しだした爛煌に、今度はこちらが茫然とするばかりである。完全に道化だ) -- 暁翼 2012-08-08 (水) 01:04:43
      • (突如として現れた女の姿に、東方の呪い師の類かと不審が強まったところで、現れた女の口からは意外な名が出てきた)
        ………。(状況が読めないが、ヴァイドが打って来た布石だとするならば、納得がいく)
        (成る程、利用しろとは言ったが、彼奴にとっては私も舞台上で踊る道化が一つに過ぎんか)
        (それにしても……招きうるゲストの中では余りにも荒唐無稽なキャスティングをしてきたものだが。暗く嗤いが漏れた。爛煌……皇女、それに、宗爛だと……? 言葉の中に出てきた名前を反駁する)
        ……成る程。どのような顛末があったかは知らぬが、珍奇な姿より数奇な巡り合わせの方がよっぽど興味を引く。
        何の勝算があって敵陣の中に単騎飛び込んできたかも含めてな……。

        まずは、同郷の好にて疑問にお答えしよう。客人に非礼を働いた詫びも込めてな。
        (瞳に手を当て、灼熱の瞳を顕にする)……いかにも。かつて本爛と呼ばれていた男の成れの果てだ。
        して、如何にする。……生命を支払うことで私を見て、何か答えでも見つけられたかな。お二方。
        その答えを活かす生命をまず持ち帰らねば、その得られた答えを持ち帰ることも叶わぬ訳だが。
        (昏い感情が静かに芽吹く)あるいは……余程、私達が戦争という盤を囲む相手として、舐められていると思っても、構わないのかな。 -- フリストフォン 2012-08-08 (水) 01:18:43
      • 「無事に帰れたら兄君殿に礼儀と駆け引きの仕方の一つでも教えてもらうと良いぞ?」
        (大凡始めて持ち手の一枚上手をいけたと感じたのか、愉快そうな声が暁翼に響く)
        勝算などあるまいよ、散々に考えてみたが私にもここからどうやって国へ帰ったものか見当もつかぬ
        この男とてなるようになるぐらいしか考えてなかろ
        (それとも何かあるのか、と言いたげに持ち手をジト目で見上げる)

        …西の方では人の身弄ぶような遊びが流行っておると噂に聞いておったが、眼の色も変えれるのか
        実に愉快であるな…
        (どのような仕組みで眼の色を偽っていたのやら、皆目見当がつかない)
        (ガラス片を目の中に入れる、という発想自体無かったため目を丸くして、感心したように頷き)
        …戦争は駒遊びではあるまいよ、盤を囲むという表現 好かぬ
        そも舐めているといえば貴公の部下の方ではないか、その様子であれば何も聞いておらぬようであるが
        あのままであれば我等、斬り捨てられて不毛の大地で死を迎えていたであろう
        それをわざわざここまで招き入れ
        (西の服に身を包んだ暁翼にちらりと目をやる)…ここまでお膳立てしてくれたのだ
        今の我等では貴公の生命脅かす脅威になりえぬと判断されたのだろう、実際そうであるが 実に舐められておる
        であろう、暁翼よ -- 爛煌 2012-08-08 (水) 01:39:20
      • 名は、暁翼だ
        (爛煌のそれよりは大分粗末だが、一応は形になっている礼を終え。言葉としては名乗るだけで終わる)
        (宗爛の名前にはやはり食い付いた気はする、がその内心を押し測れる程の物ではなく)
        (頭を使うのは本格的に諦めた方がいいかな。少なくともその方面ではこの場に居る人間で一番程度が低かろう)
        帝国の皇子なのか…なんでそれが西側に居る事になってるのやら…

        (爛煌は何か知っている…というのは期待できそうにないが、一応横目にし。そしてそちらから振られると頷いた)
        ま、そうだろうな
        (一方「駆け引きはお前も習っておけよな。戻るなら、だが」とそんな返しもしていた)
        蟻が象の足の隙間を抜けられるか試すのは、舐めてはないと思うぜ。命の話なら爛煌の言う通りゼナンでヴァイドに会った時点で死んでる。生きてたのは運よく見逃されただけだ
        (事情は分からないが、ヴァイドは暁翼と爛煌を活かす理由があったのだろう。次は無いと分かっているが。それでも拾い物は拾い物だ。この運がここを切り抜けても続くなら、何か見えるかもしれない)
        俺の直感は、今の所本爛って男を見ておくべきだ、で止まってるんでな。次が浮かぶまでは相方に任せたい所だ
        爛煌、お前はこの男が本爛ってのを確かめただけでいいのか? -- 暁翼 2012-08-08 (水) 01:56:19
      • ……成る程。ただの蛮勇しか持たぬ者であれば身の程を教えて遣るも一興かと思ったが、状況の判断は出来ていると見える。
        彼我の興すら利用せしめるその豪胆さは嫌いではないよ。流石は爛の血、帝国の地というところか。
        ヴァイドが寄越した者達であれば、それなりに興じさせる者たちであろうとは思っていたが、あれで期待は裏切らぬ男のようだな。

        (静かに立ち上がる)では……一つ、質問を返していいだろうか。爛の者、そして暁翼。
        貴殿らは、何を以ってこの戦に望んでいる。
        何を以って、宗爛の下で剣を取り、それを振るっている……?
        その理由を、聞かせて貰いたい。 -- フリストフォン 2012-08-08 (水) 01:58:57
      • …と言われても他に浮かばぬな?
        次期皇帝とも噂されておった帝国の麒麟児、本欄殿がなにゆえ敵国の将へ身を奴しているのか…
        などとつまらぬ質問をするのも興が削がれるであろう
        (はてさて、と考え込んでいた所、立ち上がった様子に顔を上げる)
        ………今我が身は剣であるが故、などと言ったらつまらぬと炉に投げ捨てられようかな…
        (ちらり、と暁翼を見る。)
        (この男が宗爛の下で働き、なにゆえ戦に赴くか…というのは散々問いただして知ってはいるが)
        …とはいえ、事実であるからそうとしか言えぬ
        この男が私を振るう場所がたまたま、兄…宗爛殿の下であった、というだけのこと
        ……それだけのことであるが
        少なくとも私は、宗爛殿の下でなければこれほどに気を入れなかったであろうな
        幼き頃、蠱毒に苛まれる中優しさを教えて頂いた そのご恩返し、といったところであろうか
        (口にしてみれば、思ったよりくだらないと思えた。)
        (恐らくに本人に言った所で眉を顰められるだろう、とはいえ泥を塗ったような人生の中で僅かに与えられた暖かさの一つである)
        生きて戻り、再びその下で過ごす機会あればまた、深き理由も出来ようが…今はこの程度の小さき理由である -- 爛煌 2012-08-08 (水) 02:28:09
      • (まだ、完全に遊ばれている状況だ。分かっていた事とは言え、悔しい)
        (切り抜け、生きて行けば鼻を明かす機会もあるだろうか…と考えたが)
        (その考え自体が、危険な気がして一旦納めた)


        がっかりさせそうだが、大層な大義だとか立派な信念はないね
        そもそも俺としては、生きる必要性以外に帝国の為に剣を振るう理由は無い。宗爛についても同じだ
        (最初の出会いも、軍に囲まれていた「必死」の状況が無ければ従ってはいなかったはずだ)
        ただ、あいつに一つ借りがある。一度は戻る気だ
        (爛煌にかつて語ったものとは多少変わっている。だが、それは嘘ではなく「変化」だ)
        小さくもないだろ(これは爛煌に向けて言い) 爛煌の方が立派な理由があるようだし、今俺はこいつの意思を尊重する事にしてる
        もう少し身の振り方を考えて…まだ戦争に加担する、ってなれば宗爛の所でまた剣を振るのかもしれないな
        (曖昧だが、今の暁翼は己のあり方を見直している最中で、それ故に確固とした足場のある言葉は出て来なかった) -- 暁翼 2012-08-08 (水) 02:37:10
      • (静かに、内に溜まっていく澱のような暗黒を、手のひらの上で弄ぶ)
        (成る程、敵陣の只中に単騎で来る訳だ、と小さく独りごちる)

        では、こう提案してみよう。
        ……貴公達が生きる糊口、私が駕ごう。
        西方候、フリストフォン・ラヴェル・フォランの名に置いて、貴公達が保護したいと考える全てを
        貴公らが成したいと思う全てを……この西ローディアが西方領で受け入れ、与えることを約束しよう。

        宗爛に義や信があるというのなら、宗爛をも迎え入れようではないか。
        貴公達は義や信をそのままに、宗の下、西ローディアの為に剣を振るがいい。
        (爛煌の方を向き)自国の領民がいるというのなら、それも受け入れを順次開始出来よう。
        剣でありたいと言うのであれば、その矛先はどこに向いていようが構わぬのだろう?
        (暁翼の方を向き)貴公らに大層な大義や立派な信念がないのであれば、この国にて臣民を守るために、侵略者から守る大義を与えよう。
        少なくとも、徒に帝国の命に従い剣を振るうよりは、誇りのある戦になると思うがな。
        ……如何かな。冗談を言っているつもりはないのだが -- フリストフォン 2012-08-08 (水) 02:54:15
      • ふん?
        (暁翼の言葉に、僅かに眉を上げて鼻を鳴らす)
        (てっきりくだらぬ理由と笑われるとばかり思っていた…のと想像していたより上等な答えがその口から出た為だ)
        (さて答えが出揃った所でどう出るか…と、向き直れば)

        (何を馬鹿な事を)
        (正気であるか、如何にもな罠ではないか…何を考えているのか)
        (その顔睨むようにした所で、その奥にある企みはさっぱりと見えない)
        (好条件である、怪しすぎて逆に何の裏も無いのではないかと思えるほどに)
        (狼狽えた様子を見せて、それでも何とかそれを見せぬよう努め、返事を返す) ……宗爛殿が貴公に下り、戦に参ずるというのであれば、その話真面目に考えよう
        しかし宗爛殿には、自らが治める都がある、部下も在る
        とてもではないが、その提案にしっぽを振って乗ってくるようには思えぬ
        貴公には宗爛殿を説き伏せる、何ぞまじないの言葉でもあるというのか -- 爛煌 2012-08-08 (水) 22:10:54
      • (糊口を凌ぐ。つまりは面倒を見る事か。しかも…)
        (西のこの国に、自分達を受け入れ。戦う理由を与えるという)
        (自分に語りかけられる言葉より、爛煌にかけられた言葉が気になった。こいつは、爛煌に剣で居ろというわけか)
        (それは、現状かなり気に入らないが…当の本人がそれを受け入れている上、自分はまだそれを破る手段を持たない。強制では駄目なのだから)
        その臣民を護る、侵略者から護るってのは俺がその臣民…この国の民に対して恩義や借りやらがないと誇り云々の話にはならないな
        (自分に対して提示された条件は、こちらを引き入れる決め手だとは思えない。これは、実質爛煌への誘いなのではないかと思う) -- 暁翼 2012-08-08 (水) 22:16:27

      • ない。
        が、出来る。

        呪いの言葉も、策略すら必要ない。それは、私がやろうと思えば、出来ることなのだ。
        今は可不可の話をしているのではない。貴公達がこの提案に是を返すか、否を返すかという、問いなのだ。爛煌
        全ての諸条件が完全に達成されるとした場合、その提案に爛煌という個人や、暁翼という個人は乗る余地はあるのかと。
        そう、尋ねているのだよ。

        (一歩)
        (また一歩、と暁翼と爛煌の方へと歩を進める)
        (音のない執務室の中、皮の靴がカツン、カツンと歩みを続ける音だけを響かせる)
        おや、おかしな話ではないか。
        暁翼。今、貴公はその誇りすら持たぬのであろう……?
        今しがた貴公の口から「生きる必要性以外に帝国の為に剣を振るう理由はない」とそう聞いたはずなのだが。
        少なくとも、帝国にて明日なき侵略に身を置くよりは、生命の危機が側にあることはなかろう。
        それに正しく伝わっておらぬのであれば、再度言おうではないか。私はあるいは臣民を守るため、と言ったのだ。
        貴公がもし戦に誇りや恩義といった理由を求めるのであれば、その誇りを向ける相手すら、受け入れようと言っているのだぞ?
        帝国の民を西にて受け入れるという私の提案、確かに容易な道ではないだろうな。恐らく東ローディアの難民以上に風当たりは強い物となるだろう。
        帝国も、恐らくは寝返った貴公らやその臣民を許すことはないであろう。
        故に、それを――私が約束する平穏を乱す侵略者より臣民を守る剣となれ、という提案なのだが

        再度問おう。如何かな。 -- フリストフォン 2012-08-08 (水) 22:31:15
      • ……左様であるか
        (戯言だ、と一生に付す事も出来る。しかし)
        (この男ならば或いは、出来るのであろうな、と納得している自分が居た)
        (決して声を荒げている訳でもなく、だというのに言葉に、この場の空気に飲まれかける)
        (この身になっていより、よくよく揺らがされる意思だと笑えた)
        (靴の音に後退りそうになるのを、拳を握り堪え)

        …否、乗らぬ
        宗爛殿が西へ寝返れば六稜の民はどうなるであろうか、それも一人残らず受け入れる…というのなら良かろうが
        決して全ての民がそれを善しとする訳ではなかろう
        故郷はそう簡単に捨てられぬ、粛清の憂き目に会おうとも居残る者もおろう
        ……それを見捨て平然とこの地、貴公の下で生きれるような者であれば、その下で働きたいと思えぬ

        …故に、である
        とはいえこれは私の意思である、暁翼 合わせずとも良いぞ
        暁翼が自らの意思にて是を返すというのであれば、その時はその時で決別の仕方を考えようぞ
        ……ということである、煮るなり砕くなり好きにすれば宜しい、貴公にこれ以上私と話す理由もあるまい -- 爛煌 2012-08-08 (水) 22:57:53
      • …あるいは?
        (正しく、本爛のいう言葉を呑みこめて居なかったらしい)
        (場を整えて、為すべき仕事を渡す。という事か)誇りを向ける相手か…帝国の民が? 平穏を護るねぇ…悪い
        大義や信念の話を持ち出したせいで勘違いさせたらみたいで悪いが、そういう願望は無い
        (全て、気の向かない話だった。宗爛が乗るか反るかもどうでもいいくらいに)
        (そも、誇りというものを理解できているかも妖しいが。何かを護る剣。という時点でごめんだ)
        (問題は一つ、この提案を安易に蹴って生き残れるか、だ)
        (だが、それよりも言っておく事がある。直感で)

        それでもこの話にはとさせて貰う
        まあ、これに否で返しても別案を持ってくるなんて簡単なんだろう
        だから条件の問題じゃあなくてな
        (あるいは、民を護る誇りというものを知るべく戦うのもよかったのかもしれないが)
        (否。とした爛煌が、こちらに問うのを横目で鋭く見返し、本欄にその視線を戻して)

        爛煌自身が認めていようと、意思があるにも関わらず剣ならば剣でいいと言ったお前は気に入らん -- 暁翼 2012-08-08 (水) 23:07:43

      • (否と。そう返す二人に、目を伏せる)
        左様か。
        (小さく嗤い、肩を竦める)……それは、実に残念だ。
        やれやれ……この世とは実に儘ならぬ物であるな。
        正当な理と利を以ってテーブルについても、感情という物が立ちはだかる。
        或いは、爛煌の故郷への愛着や、暁翼の私への方向の不合が、この場合正当な利を享受することを阻害しているのだろうな。

        好きにしろ……そう、言うのであれば、一つだけ貴公らに進言をしようではないか。

        貴公らは、その理由で人を殺す事ができるのか?
        砕いて言おう。それは、戦争に参加する、という理由として、充分なものだろうか。
        確かに、方や臣民を守るという目的、方や自分の意思を貫きたいという目的、立派に見えるが、
        問いを重ねられてようやく返せる消極的なその目的のために――西の人間を蹂躙しているという自覚は持っているのだろうか。

        貴公らは。
        自らが手に掛けた人間の、今までの人生を想ったことはあるかな。
        私は、貴公らのその方向性が、内側にしか向いていない、自分がどうあればいいか、どうすれば納得できるかということだけに執着をした、
        貴公らの中で閉じた世界での納得の理由としか思えぬのだ。

        ――爛煌とやら。
        先ほど、今の貴公らでは私の生命を脅かす脅威となりえぬと判断したと、私が貴公らを舐めていると、そう言ったな。
        その言葉に訂正を求めよう。前半は正しいが、後半は絶望的な程に間違っている
        私は、けして貴公らには殺されようもないことを、確信しているのだ。
        貴公らの剣が喉元まで迫ろうが、私が荒野の中心で孤軍にて丸腰であろうが、絶対に貴公らの剣が私に届くことはない。
        貴公らには覚悟が欠けている。
        この戦争に参加しているという自覚が欠けている。
        確かに私の喉を切り裂けば、私は絶命するだろうな。だが、その後の事にまで想像が巡ることはけしてない。
        精々が無事に貴公らがこの国から脱し、宗爛の下へ帰る事ができるか、という己が危機感だけであろう。

        私という、フリストフォン・ラヴェル・フォランという男を殺す意味を理解していない限り、私はけして死なないのだよ。
        私は、西方領で施政を任されている。つまりは私が死ぬことで、西ローディアの幾千の民は路頭に迷うことになる。
        その未来全てを保証し、利と理を以ってその明日を担える者のみが、私を殺しうる存在であるのだよ。
        貴公らがいくら剣を以って私にそれを突きつけようが、それを理解していない限り、貴公らは私を殺すことなど、出来はしない。
        西ローディア幾千の民を救う手立てを、その剣にて果たせるのであれば、幾らでも相手をしよう。
        だが……貴公らは、自らの中にのみ問題の所在を求めている。
        俯瞰の目も持たぬそのような相手の剣など、幾億突きつけられようが、動じることもない。

        最初にこの部屋を訪れた時から感じていたことだ。
        貴公らは戦争という物を正面から捉えようとしていない。
        問題が自己の中にのみ存在するという自惚れの上を揺蕩い、けして自分が死ぬ訳はないと錯覚している。
        自らの采配や剣で人が死ぬ事も、大切な何かの為に命を賭す事も、理と利を以って正しく世界を捉えることもしていない。
        だからこそ、こうやって敵だと自らが嘯く私の前に姿を現すような愚を犯せるのだ。
        貴公らは目の前にいるこの私を、貴公らの前に立ちはだかったヴァイドを、敵であるとは理解し、認識していない。
        それは、貴公らを束ねる宗爛とて同じ事だ。彼奴は我が弟ながら、私の幻影を追っているに過ぎない。
        故に、盤を囲むには不十分であると、私は常々言っているのだよ。故に進言を重ねてきた。
        貴公らが「敵として」私の前に立ちはだかるのであれば、幾らでも相手をしよう。
        だが、貴公らは未だ味方どころか。

        (それは)
        (無よりもなお亡く)
        (零よりもまだ虚無であり)
        (指向性(ベクトル)を一切持つことのない絶望である)

        (ただ。自分の世界がこれほどまでに退屈であるという、世界に向けた悪意)

        exp022015.png

        ――私の敵足りえないんだよ


        (目を伏せ、振り返り、歩を進め、自分の席に座る)

        宗爛に伝えるがいい。
        そして己が身にも省みるがいい。

        貴公らがこの戦に、剣を振る意味に、己が意思の向く先に何を求むるのか、ということと向き合わぬ限り。
        ……貴公らは何も成せずに無残に死ぬだろうと。
        知るところではないが、無自覚に持つやもしれん、真に貴公らが剣を振らねばならぬ理由を、
        この本爛の前で高々と声を張り上げ、我を通せる胆を以って向き合えるたときは。
        喜んで相手を務めよう、と。 -- 「       」 2012-08-08 (水) 23:42:35
      • …眼中にも無い、というわけであるか
        (敵国の民など何千死んでも構わぬ、と斬り捨てて世迷いごとと聞き流す程剛毅でもなく)
        (かといってそれならば、と救いの手立てを出せる程の賢人でもない)
        (自らが戦う理由を述べるのにすら保険を掛ける中途半端な己で、どうして言い返すことが出来ようか)
        (この場に立つべきではなかった、と今更に後悔する)
        (その口から出る言葉は呪いの如く、耳の奥にこびりつく)
        http://notarejini.orz.hm/up2/file/qst080698.jpg 
        ……人が人を殺すに十分たる理由など、この世の何処にもあるまいよ
        (苦し紛れに呟いた言葉は、自らの愚かさを更に露呈させただけに留まった)
        (確固たる覚悟の無い者がそのような戯言ほざいた所で、やはりそれは自らへの慰めの言葉にしかならない)
        (なるほど確かに敵足り得ない)

        (この言葉すら、自分たちに向けられたものであるかも怪しい)
        ………ご指導感謝致す 確かに、宗爛殿へも伝えよう
        (拱手し、踵を返す。今の自分らがこれ以上ここにいても、惨めと無様を晒すだけであろう)
        (恐らくそれは、この退屈王の目に愉悦にすら映らぬ)
        (言葉ひとつに負かされた屈辱に唇を噛んで、姿を消した。) -- 爛煌 2012-08-09 (木) 00:33:39
      • (ヴァイドはこの男について、こう評していた)
        (「如何なる言葉も空気も人心も愉しむためのものであるとし」)
        (「時が来て、立てば表の世を崩し整え制する者だ」)
        (それを信じるなら…)
        (今、この男から感じる圧迫感は、前者よりも後者を感じさせるものだった)
        …ようやく半分は地が出たか?
        (細かな反論ならばいくらでも出て来る)
        (そも、借りを果たし状況が許せば戦乱に関わる必要性など感じていないだとか)
        (西ローディアの民が何千人に死のうが関係ないだとか)
        (その民毎何もかも滅ぼす気ならこの場で殺してもいいという事ではないのかとか)
        (勘違いもあるだろう。だが、一つだけ確かな事は)
        (そのいずれも、この男の視界には届かないだろう。いや、見てはいても気には留めない)
        (盤という表現を引用するなら、それを挟んで同じ視野で相対しなければ)
        (そして、相対する必要があるかどうかすら判断がつかない今の自分には戦える相手ではなかろう)

        俺の耳には相手が小さすぎて退屈って愚痴に聞こえたが…
        ともかく戦に加担するなら、真に己の意思の行き先を見つけなければ死ぬと
        戦から離れれば特に問題なさそうだからそれもありかもな
        (その事について責められようと痛痒は感じない。暁翼にとっては生きている事こそが正義なのだから)
        どうするかはこれから決める。まあ忠告された分、伝言役はやってくるさ
        (爛煌が姿を消すのを確認すると、踵を返して執務室の出口に向かい、その扉の前で)
        失礼します、だったっけ?
        (思い出したかの様におざなりな礼をして退出した) -- 暁翼 2012-08-09 (木) 00:53:18

      • (男が退出をすると、静かに椅子に背を預ける)
        (右手を置くそのレストマットの下に、警報装置を忍ばせていたのだが)
        (その隣に置いてあるコインが裏を向いていたので)
        (――押すのをやめ、静かに小さく嗤った)

        (どちらでも構わないという、それが自分の在り様である故に) -- フリストフォン 2012-08-09 (木) 01:04:36
  •  
  •  
  • 【GA224/9〜10】 -- 2012-08-05 (日) 23:41:34
    • (アルメナの宮殿、瀟洒な机の上を目に見えない通貨が行き来する)
      (全ての物は利で出来ているということは、通貨によって取引を行う者であれば、それが認めたかろうがなかろうが、実感のあるものだろう)
      (ただ、自分たちの平穏や剣を掲げる意味までもが取引の上に「利益」という札を付けられ、明確に金貨一枚まで値段を決められていると知る者は少ないだろう)
      (人は自己の生命の重さについて幻想という名の曇り硝子を通してでしか見ようとしない)
      (それは生命そのものが尊いが故に目を潰さない配慮ではなく、その天秤の上に乗る金貨の余りの少なさに心を潰さないためであると私は思う) -- フリストフォン 2012-08-05 (日) 23:48:50
      • (西ローディアの西方地域は連合王国にしては珍しく、貴族と執政侯による分担統治の形を取らない)
        (国に統治を委任されているのはあくまで西方を領として「所有」する貴族であり、西方候たるフリストフォン・ラヴェル・フォランはその権利を貸与・あるいは慣習による譲渡をされているという立場を取る)
        (これは前西方領主候であるフリストフォン一世が国との取り決めによって成立した関係である)
        (この煩雑な統治形態が不和を生まず、スムーズに運んでいた経緯は様々だが、一言で言えば公領主が二重委任統治していた頃の西方貴族は、ローディアの貴族にしては優秀な者が揃っていたと聞き及ぶ)
        (フリストフォン一世が優れた施政者でなかったわけではない。彼もまた西方を束ねるに値する器を持っていながら、だからこそその慧眼で貴族に権利を委ねている方が国に利が回ることを見抜いていた)
        (分担統治の形を採らないことで、貴族の顔を潰さないどころか立てる形とし、今の地位を確立したフリストフォン一世の賢しさも透けて見える)
        (そういった諸々の事情を含め、他地方が慣習として持ち合わせている「お飾りの貴族」という一般論を西方は次世代まで持ち合わせることはなかった)
        (それが……幸運であるか、不幸であるかは置いておくとして) -- フリストフォン 2012-08-06 (月) 00:05:22
      • (前西方候と前貴族の話をそういった話の引き合いに出すということが、現西方候たる私と現貴族の関係を如実に表す何よりの皮肉ではあるが、代替わりをした西方貴族は……端的に述べれば飾りにもならぬ首から上しか持っていなかった)
        (元々の西ローディアの貴族の体質ばかりを受け継ぎ、その施政の才や思考の妙を一切持ち合わせていない愚鈍が冠を戴くことになった)
        (今、外交官として席に座る御歴々の姿を省みて、痴呆の豚にももう匙一杯分の知性を感じるという感想が湧いて出てきそうになる)
        (いや、思うまい。まだ飾りとして口を開くことをしないだけ豚よりは賢い)
        (これだけのお膳立てをした上で余計な口を出され、この話が破談とならなかったことは、評価されるべきであろうな)

        (元々――私の策略はここを向けて動いていたのだから) -- フリストフォン 2012-08-06 (月) 00:16:28

      • (神国アルメナには三種類の人種がいる。曰く、神に仕える者、神より遣わされた者、そして神を使う者だ)
        (今私と卓を囲んでいる枢機卿は神をシステムと見做し、有効な利として使う、話が通じる人間であった)
        (羨ましい限りだ。少なくとも信仰と思考が混ざり、思考を放棄した者が施政を握っていないだけで、神国アルメナという国は神に祝福される価値があると、そう思う)
        (少なくとも卓を囲む相手に恵まれたことが、やはりまだ自分は捨てたものではないのだという証左のように思えた)
        (着地点が互いに理解出来ているからこそ、ひと通りの儀式めいた議論は机の上に見えない金貨を滑らせながら続いていく)
        (防御と攻撃のゼロサムゲームの最適解は、最初の一回を攻撃として後は互いに防御を選び続けることが最大の利益を生む。功を焦る相手以外との対局は心が落ち着き、なんとも好ましい。この私をして、だ) -- フリストフォン 2012-08-06 (月) 00:26:41
      • (あくまで、思考の遊戯である)
        (西ローディアへ西進を続けている帝国に対して、アルメナ勢力を装い横から帝国に奇襲を掛ける)
        (全てが想定状況通りに行くとは思ってはいなかったが、結果として柱の騎士という前バルトリア会戦の立役者が、私たちよりも印象深く帝国の内部に楔を打った)
        (ここまで状況が揃えば、「早期西進を断念した後の帝国の動き」という物は、施政者でなくとも分かる者もいるだろう)
        (側方に巨大な害があることを看過したままに西進を続けるよりは、より面として攻撃が出来るようアルメナへ南進を掛ける、中長期的な軍略に出ると)
        (未だに文化の輸入をせずに骨器を至高の品としている外国の事情に疎い帝国であっても、一度躓いた石に対しては思考を働かすであろう。つまり、東ローディアの捕虜から、西方の情勢を知ることくらいはするだろう)
        (故に、西ローディアとアルメナの関係が一定の距離を置いていることに着目しての南進かもしれない)
        (加えて北のウラスエダールが山々に囲まれているために侵攻がしづらいとあれば、もはや次の一手は打ったのではなく打たされたと言っても過言ではない)
        (故に、東ローディアの次に矢面に立たせられるのはアルメナであると、アルメナの施政者も、西ローディアの施政者も見抜いていた) -- フリストフォン 2012-08-06 (月) 00:47:50
      • (思惑は成る。矛先はアルメナを向いた)
        (が故に、テーブルを囲む対等を手に入れたとも言える)
        (専守防衛の為とあっては自軍を動かすことに渋りを見せる諸侯に取り入る隙が出来た)
        (つまり、利を以って軍を動かすという契約が各地で結ばれるという結果を持たらす)
        (東西ローディア戦の帝国の西進による断念によって、戦争特需が失われた神国にとっては、渡りに船であったように思える)
        (恐らく、件の柱の騎士ですら、その技術を解放するために大きな資金が西ローディアや、あるいはどこかの諸国から供託されていたことだろう)
        (砕いて言えば、私より手の早く、顔の利く切れ者が西にもいるらしい。悦ばしい話だ)

        (安全と平和が机の上で着地点を求めて金貨の額と共に舞う様は、なんとも皮肉に満ちている)
        (神国としても瀬戸際であるが故に知恵を回す必要があることを知っている為に、その分水領を見極める目には同じ光が灯っていた) -- フリストフォン 2012-08-06 (月) 00:53:46

      • (戦場だけが盤だと思っているのなら)
        (その思い上がりだけは蹴散らしてやらねばな)
        (それが――兄としてしてやれる、最高の教示であるだろうから) -- フリストフォン 2012-08-06 (月) 00:56:17
  •   -- 2012-08-05 (日) 01:04:49
  •   -- 2012-08-05 (日) 01:04:46
  • 【GA224/8】 -- 2012-08-03 (金) 23:39:21
    • (アルメナと東ローディアの国境沿い。人里離れたと言っても過言ではない、丘陵地帯)
      (前線からは遠く、未だに戦火の煙すら見えないこの地域に、従者も付けず一人佇む)
      (遥か東にカタクァから北西へと続く山脈を望み、眩い陽射しに天を仰いだ)
      (私の待ち人は、空から来る)
      (来る可能性は五分といった所だ。賭けるに分の悪い勝負ではない)
      (先日、使者に持たせた伝書が巡り巡って飛爛の手に渡っていれば、そしてそこに記された本爛の名が、飛爛という妹に効力を残していれば、の話だが。こちらを踏まえると確率は二割程度)
      (幸運が味方してくれることだけを願いながら、静かに天を仰いだまま待った) -- フリストフォン 2012-08-03 (金) 23:41:14
      •  (太陽の中を影がよぎった。普通の鳥のシルエットとは明らかに異なる6枚羽、間近に見るのは)
        (西爛開戦以来見るのは2度目、首とドラゴンじみた鉤爪付きの後肢にも翼を生やした鳥、)
        (間違いなくそれはカタクァにのみ生息する巨鳥シャツァルの姿で、そして空を音も無く滑る)
        (羽の色はその背景にある空と同じ輝きだった。)
         (鳥は丘の上に立つフリストフォンの周囲をうかがうようにゆっくりと旋回していた。)
        (やがて本当に一人だと分かると、羽を畳んで急降下、地面すれすれで羽ばたいて)
        (地面を蹴るように再び急上昇したとき、突風が丘の上を吹きぬけていった。)
        ・・・・・・・・・ぶはっ!
         (風が吹きすぎたあと、背の高い夏草の茂みから、草まみれになりながら顔をあげる少女が居た。)
        (微妙に着地失敗した飛爛本人であった。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 00:14:47
      • (それは過去に何度も見たような郷愁を胸に抱かせる。そんな感傷がまだ自分の中に残っていたのかと、そう思えるくらいには)
        (或いは飛爛の姿が、当時の面影を残していたことも大きく起因しているのかもしれない)
        (ただ、幸運なことに、一目見てその相手が待ち人であると分かる程度には、妹の姿は記憶の中のそれと相違なかった)
        (近場の岩に腰を下ろす)……大丈夫かい、あるいは……久しぶり、と言う資格は、まだ私に残っているかな。フェイ。
        (幼少時、良く呼んでいた名前で呼ぶ。この華桌の皇女とはシュウと共に懇意にしていた)
        (最も、それは自身の字に刻まれた「爛」の字に、誰もが無自覚であった無邪気な頃の記憶でしかないが)
        君が、私の名を、書簡を信じて此処に来てくれたこと……私は嬉しいよ。
        (例えそれが、本意を探り探りの行動だったとしても、少なくとも最初に鼻を付きあわせなければ、何も始めることができないから)
        (静かに目を伏せ、感謝の意を述べた) -- 本爛 2012-08-04 (土) 00:31:52
      •  (しばらく、静かに語る姿を、髪の毛に葉っぱをくっつけたまま、じっと空色の瞳が見つめていた。)
        (飛爛の相棒であるココロアも天空に輪を描いて滑りながら地上を睨んでいるようだった。)
        久しぶり、本兄
         (本爛の記憶の中にある飛爛の姿はおそらく笑っている姿だろう、変り者で友人も少ない)
        (彼女だったが、その数少ない友人達の前では笑顔だけで喜怒哀楽全部表せるのでは、)
        (というほど、彼女はいつも笑っていた。その時と同じ笑顔があった。)
         (だけど彼女の風貌も笑顔も確かに、遠い日にみた飛爛と同一と思わせるに十分だったが)
        (今ここにこうしているいるということは、幼き日から長い時を経て、幾多の戦いを抜けてきた)
        (証拠でもあった、それは彼も彼女も同じであっただろう。)

        まさかこんな所にいるなんて思わなかったよ。
         (巨鳥はずっと頭上を旋回している、地面に下りてこないのは、何かあればすぐにこの場から)
        (飛び去るためだろうか、あるいは、あの凶暴な鉤爪が即座に振り落ちてくるのかもしれない。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 01:03:10
      • 驚かせた、かな。
        済まない。不躾であるとは承知していたが、どうしても早急に話しておかねばと思ってね。
        それに、何しろこのような時勢だ。正式な申し出にて場を設けて会う、ということは中々出来なかろうしな。
        それが……西方と東方の人間であるなら、もはや絶望的にな。(言いながら、唯一の武装である剣を目の前の地面に刺す。柄には西方候の龍を象った文様が描かれている)
        (自分に敵意がないことと、自分が今まで何処にいたかを、言外に相手に伝える)
        ……重ねて驚かせて、済まない。
        私は、今西ローディアにいるのだ。フリストフォンと、名を変えてね。
        多数の策謀に巻き込まれた結果、今此処にいるのは帝国が皇子の一人、本爛であり、また西ローディア西方候フリストフォン・ラヴェル・フォランであるんだ。
        ……自分でも、よくもまあこの位置と場所に……流れ着いた物だと思うがね。
        (自分ではその大きな流れに抗いようがもなかった、という憂いを、溜息に載せて告げた) -- 本爛 2012-08-04 (土) 01:15:56
      • 私なら、どこへでもすぐに飛んでいけるもんね
         (今までと現在、簡単ではあったが説明を聞いて、何故自分が呼び出されたのか)
        (納得が行った様に飛爛は頷いた。)
         (本欄が腰掛ける岩の側へ飛爛が歩み寄る、座っている本欄と立っている飛爛の)
        (目線が大体同じであった。)
        でも、西の総督が本兄だったなんてほんとにびっくりすることばかりだね
        戦場で怖い思いさせてたらごめんね?
         (兄と妹といっても二人の年はかなり近いせいもあって、普通に友に接するような調子だ)
        (ズボンの膝についた土を払い、長い黒髪と、白いワンピースのような上着にひっついた)
        (とりながら飛爛は笑う、笑いながら急にがくっとうなだれた。)
        ごめん、自分で言ってて自分で笑えなかったよ・・・下手したら気付かないで、殺してた
        かもしれないんだよね・・・はぁぁ・・・・・・・・・ -- 飛爛 2012-08-04 (土) 01:41:44
      • (憂いの表情を浮かべる妹の顔を見て、同じように表情を沈ませて見せた)
        むしろ……予めその可能性が予見できていた私の方が、やはり先んじて手を打つべきであったのだ。
        フェイや、シュウ(宗爛)がこの戦に参加していない、などという幻想は、開戦した当初から抱いていなかったのだからな。
        (小さくため息を吐く)……シュウに会ったよ。皮肉なことに、戦場でね。
        だが、互いに立場が立場だ。抜いた剣を己が意志だけで収めることは難しかったのだろうな。
        私は……恨むよ。自分の運命を。……帝が私を西へと送り出したことは、ある意味では和平の証であったと思っていた。
        結果はどうだ。結局、より大きな力と切迫した理由で戦争は始まってしまい、私たち兄妹ですら互いに剣を向け合うことになった。

        (顔を、悲痛に押さえる)
        聞けば、帝国の西進の理由は、水銀汚染の悪化による国域の拡大にあるというじゃないか……。
        私が、本爛であった頃と……帝国は、何一つ変わっちゃいない。
        そのようなことを理由に争いを肯定してしまえば、一つの戦争が終わっても……いくらでも理由が補充されてしまう。
        かつてカタクァが侵されていた頃と同じように……より利用できる土地を求めて、今度はそのカタクァの者が駆り出される始末だ。
        私は……心底、帝国の在り様を軽蔑したよ……。
        フェイ。ここに呼び出した理由は、一つだ。……せめて君くらいは……この戦争から、手を引いてくれ。
        君が帝国にいる限り、君は……君の守りたい物は永遠に戦から逃れられない
        私は同じ事を……シュウにも伝えたかったのだが……この私の願いは、馬鹿げていると思うか……? -- 本爛 2012-08-04 (土) 01:59:04
      • 私も昔人質だったことあるし、本兄の言ってること間違ってないと思う。
         (心の底から悲しそうに語る言葉に、素直に切りそろえた黒い前髪を揺らして頷く。)
        (飛爛は兄が嘘を言ってるとは思わなかった。)
         (一緒にいたときは、まだ飛べない雛鳥だったココロアの背中にのってヨタヨタ駆け回る)
        (だけだった自分が今こうして、何十km離れていても一飛びに出来るようになると)
        (本当によく覚えていなければ思いつきもしないのであろうから。)
        (だから、他でもない自分に文を託したことだけで、本爛が本当に仲の良かった兄弟達の事を)
        (案じているのだろうと思えた。)

         (同時に、この乱世を嘆く兄の姿に直感的に違和感を感じた。)
        (『こいつこんなキャラだっけ?』身も蓋もない言い方するとそういう感じである。)
        (だから、飛爛はすぐに返答を返すでもなく、兄の願いをかなえられない理由を連ねるでも)
        (なく、空をぐるぐると回るココロアを見上げながら、つぶやいた。)
        ねぇ、本兄と逢ったとき、宗は悲しそうな顔してた? -- 飛爛 2012-08-04 (土) 02:28:51
      • (昔から、掴みどころの無い妹であるとは思っていた)
        (多分それは他の人間が地に足をつけて生きている事との違いより、もっと深い)
        (飛爛の名に相応しく、彼女の心は何かに縛られることなく自由にあり続ける)
        ……ああ。残念ながらね。
        恐らく、彼にとって私は……国を、祖国を捨てた裏切り者でしかない。
        何も告げられないことを理由として、何も告げずに国を出たことを……シュウはずっと恨み続けているのかもしれない。
        そんな私の声は……今の互いの関係では、正確に伝えることは出来なかった。
        ……だからこそ、フェイ、君に伝えようと思ったんだ。
        シュウは未熟だ、まだ戦場に出るべきではない。戦争を甘く見すぎている……。敵軍に捕まるような愚を、進んで犯すような者に、戦の非情さはまだ早すぎる。
        それは、王としての行いではなく、個としての行いだ。そして帝国は、個としての駒を求めてなどいない……!
        捕虜として捕まった彼を助けたのは、君の部隊なんだろう、フェイ。
        (アリシアより報告を受けていた、宗爛を助けた飛来した何者かの見当を、半ば推測という形で投げてみる)
        だからこそ、君を呼んだというのもあるんだ……私では伝えられないことを、君なら聞き、そして或いは伝えられるかもしれない。
        私はシュウにもフェイにも。……こんな無益な戦争で、何かを失って欲しくはないんだ。
        (苦渋に満ちた顔で言葉を漏らす)……今直ぐに、剣を置けなどと言うつもりはない。それが無理であることは重々承知した上で……私は告げたかったんだ。
        帝国の在り様は、いつか個を個と見做さなくなる。帝国の求める戦争とは、そういう物だ。略奪を主とする、最も原始的な闘争……。そこには何の義も理念も、民を慮る気持ちも個の意志も介在しない。
        私は、西方諸国の全てを肯定するつもりはない。だが、私はあるいは帝国にいた頃より、爛という王族の名ではなく、本(フォン)という個人がどう思い、どうしたいかという気持ちを尊重するようになった。
        だから、この王として来たとしたら自らの身すら顧みない、果てしない愚行に見えるかもしれない独行も……王の一人として来たのではなく……本爛として。
        個の意志を全う出来る国に居る、一人の男として。自分が生命を賭けるものや時期は、自分で決められる世界があるのだと……その個の意見を伝えたかったんだ。 -- 本爛 2012-08-04 (土) 02:51:16
      • 恨みかぁ・・・そっか、本兄には宗のあの顔がそう見えたんだね・・・
         (前に言葉を交わしたのは10年以上前だというのに、まるでつい昨日まで側にいた)
        (かのように飛爛は自然に呼吸していた。)
        ふふっ実はね、捕まった宗を助けにいったのは私だよ、敵に捕まったって聞いたら
        居ても立っても居られなくなっちゃってさ。
        (つまり十二分に彼女も指導者としてはどーなんだという未熟さであった。)
         (飛爛はにんまり笑いながら、空を見上げていた視線を本爛へむける、)
        (ずっと見上げていた空の色が移ったような瞳の色だった。)

        本兄の考えてること、やっぱり私と似てるとおもう。私もね、血を分けた者同士で
        戦いあわせる大爛のやり方は好きじゃないんだ。
        騙したり、傷つけたり、殺しあったり・・・王様達がそうだから、国中の人たちも
        いつでも自分が優位になろうと必死なんだ。違うのはやり方だけ、みんな自分が大事で・・・
        こないだの災害の時だって、みんな奪い合ってた、本当は助け合う事だって出来たのに、
        大爛っていう国が、皇帝が、それを許さないから・・・。
         (飛爛の頭に浮かぶのは、皇の血を引いたという理由だけで、泣くことすら許されない)
        (一人ぼっちの少年であり、戦いを強いられる数多の人々であり・・・)

        だから、そんな国ぶっ壊しちゃってもっといいところにしようぜ!って宗に言ったら
        めっちゃ怒られちゃった、そんな無茶なことはやめろってさ。
         (悪戯っぽく笑うその顔は、さらりと、帝国への忠誠など微塵もないことを暴露した。)

        たぶんその時、宗は本兄と戦場であったのと同じ顔してたと思うよ。
        すごく怒ってたけど、私には今にも泣き出しそうに見えたな。
         (それは暗に、見ている世界が少しだけ違うんだと、言っているようでもあった。)
        (1つ2つ、大きな羽ばたきが聞こえる、太陽の周りをまだ蒼い巨鳥はめぐっていた。)
        宗は生真面目な子だからね・・・きっと私が言っても剣を置けないよ、だから私も
        今すぐにも、後ででも戦いをやめることはできない。 -- 飛爛 2012-08-04 (土) 03:42:58
      • そうか……。こんな時、私はどの立場の顔をしていいのか、こちらに来てすぐは分からなかったよ。
        西の王として、捕虜を奪われた苦渋を表せばいいのか、東の宗の兄として、無事に保護してくれた礼を言えばいいのか。
        ……でもね(瞳に触れ、瞳の色を偽る色幕を取る。本爛の真紅の瞳がそこにある)今なら分かる。……済まない。飛爛のその稚気に、私は感謝する。

        ……中にいては、分からないことも多い。そこには、異常が普通として転がっている物だからな。
        フェイ、君は俯瞰の視点を持っている。私たちが地面を這う視線しか持てないのに比べて、遥か空から見下ろすことが出来た。
        だから、シュウが未だ辿りつけず、私が国外に出て初めて至ることが出来た理(ことわり)に、国の中にいながら到達できたのかもしれない。

        私も、この位置と地位に来て初めて自分の剣を、自分の為に使う意味を知った。
        ……それは、本来ならば誰もが持ち合わせているはずの、当たり前のことなんだ。
        自身で、何を成す為に、何をすればいいかを……今は考えて欲しい。
        (戦いを辞めることはできないというフェイの言葉に目を伏せ)……結論を出すことは、何も今すぐでなくていい。
        ただ、何かを決めることに間に合わない悲劇だけは避けると、それだけ約束してくれれば。
        私は、自分がフェイやシュウにどうあって欲しいか、それだけは伝えることが出来たと、そう思っているから。
        フェイが決め、フェイが行うと決めたことに、協力することが出来るなら……それが本爛としてでも西の王としてでも……できる限り力になりたいと思っている。
        (言葉にはしない。飛爛の言うように、帝国を毀すという行動を自分の立場で箴言してしまえば、それこそが飛爛を縛る鎖となってしまう)
        (あくまで、飛爛は……その名にもあるように。自由で、思うように飛べてこそ、自分にとっての彼女なのだから)

        (立ち上がり、東の方向を見る。そこには、華桌を隠すようにして、山脈が連なっている)
        戦火が遠い地にいることを、本来は西の王として恥じねばならぬだろうに。
        ……それでも、私の目には、この美しい華桌の山々を望むのは……静謐の中にありたいと。そう、フェイの隣に居るときは……思ってしまう。
        (小さく笑い)済まない、飛爛。君の立場を以って、この時間を裂くには容易ではなかったろうに。
        ……また、何処かで会えればと、そして同じ方向を見れればと、そう思わずにはいられない。
        もし君もそうであるなら……兄としてはこの上なく嬉しいよ。(小さく、肩を竦めた) -- 本爛 2012-08-04 (土) 04:14:42
      •  (本爛の視線の先にある、青く霞む山脈をみた、それは遥かに遠くあったが間違いなく)
        (その麓にカタクァを抱く大陸中央山脈の背であった。いや実際は違ったとしても)
        (地平線から青く聳え立ち、頂が雲の中へ消えるその山々の姿は、飛爛にも故郷を)
        (思わせるのに十分で、なんでこんな場所を会談の場所に選んだのか、分かった気がした。)
         (昔から、大人よりも賢く、どこか何を考え感じているのか分からない兄だったが)
        (その抜け目なさはいよいよ磨きがかかっているらしいと、飛爛は思った。)
        (そんな風に冷静に思いながら、元来感情の起伏が激しい彼女は同時に抑え切れない)
        (心の鷹揚も感じていた。)
         (兄は自分が帝国に叛意を持っていることを伝えても、寝返れとは言わない、最初に)
        (手を引いて欲しいといわれたときは、暗に寝返りを要求されたのかとおもったが。)

         (そもそも、密書を受け取ったときから少なからず期待はしていたのだ、もしも、)
        (この本爛兄が自分達の味方になってくれるなら・・・どれだけ心強いことだろうと。)
        (だけど彼女は瞳を閉じた。打算や計算ではない、今完全に大爛と決別してしまえば)
        (きっともう、宗とは会えなくなるのだろうとおもったから。)

        私は・・・辛い顔を仮面で隠してでも生きなきゃいけない世界が、もう少しだけ優しく
        なればいいなって、そう思ってるだけだよ。
         (長く続く戦で、不安定になっていた彼女の心では、今だ先が見通せない現状で)
        (何かを決断することはできなかった。)
         (ただ、昔の事を覚えていて自分達を心配してくれる兄の存在はうれしかった、たとえ)
        (その背後に何か得体の知れないものを感じたとしても・・・。だから彼女はもう一度笑って、)
        なんかおかしいと思ってたけどそうだった、本兄は宗と同じ眼の色だったね
        うん、そっちのがいいよ。 -- 飛爛 2012-08-04 (土) 05:14:57
      • (どれくらい、本心と懐内が伝わったか、それが捉えられぬ相手は厄介ではあるな、と自省する)
        (掴み所がないという利点は、その動きを手繰ろうとしている者にとっては厄介な性質となる)
        (ただ、今はその進行方向にそっと石を置くだけでいい)
        (空を飛ぶ者には、道を歩く者よりも些細な関心しか引くことが出来ないであろうが)
        (逆を言えば躓いた経験のない者の印象に、その躓きは、深く根付く)

        西ローディア西方には珍しい灼熱色の瞳の色は、今は隠しておくべきだという、私の前の西方候の判断なのだ。
        だが、私も、フェイと同じように。
        ……いずれは、この仮面を取り、堂々と自分の名と生まれを明かす日がくればいいと。
        そう思いながら、仮初の瞳の色を通して……今を見ている。
        帝国ではなく、あるいはこの灼熱の瞳も、蒼空の瞳すら受け入れられるかもしれない、私の統治するローディアの……懐の深さを期待して、な。
        (言いながら剣を地面から抜き、腰に挿した。西ローディアの王の一人として) -- フリストフォン 2012-08-04 (土) 05:27:35
      •  (飛爛とて、皇女として総督して、あるいはカタクァの王として立場というものを意識しないという)
        (事は無かったが、骨の鬼面で素顔を隠す弟宗爛や、10年以上にわたって自身の素性を)
        (隠し続けてきた兄本爛の心の内に秘めた思いはどれほどだろうと飛爛は思う、)
         (だから、自然とそう言っていた。)
        できるよ、心を偽らないまま、誰もが幸せになれる方法はきっとある、そんな国は絶対に作れるから
        本兄も宗ももっと素直になればいいと思うな、あはぁっ私はそのためにちょっとがんばって
        きちゃおうかな!

        (本爛が評したように、ほんとうに彼女は子供のようだった、年は本爛と大差ないはずなのに)
        (彼女とて、戦場というむごい現実のむき出しになる場所を幾多も過ぎてきただろうに。)
         (彼女がやってきたときと同じように、風が強く吹く。音も無く蒼色の翼をした巨体は飛爛の)
        (後に降り立っていた。)
         (それじゃあ、またね、と言い残して重さを感じさせない猫のような身軽さで馬よりも高い)
        (巨鳥の背に乗る。翼を広げた巨鳥は丘の斜面を駆け下って空へと舞い上がっていった。) -- 飛爛 2012-08-04 (土) 06:07:55

      • (妹を、ぎこちない笑みで送り出し、静かに目を伏せる)
        (遥か遠く、雄々しき翼を広げて飛び去るその姿は、矮躯である妹との対比で、酷く痛ましくあった)
        (そして、思惑どおり事が運べば――あるいはその心だけを縛りつけて、羽を自由に空を舞う……一つの駒となり得るかもしれない)

        (ポケットの中、弄ぶようにしていた騎士の駒を少しだけ撫で)
        ……心を偽らないまま、誰もが幸せになれる方法、か。
        本当にお前は……昔のままだな。
        その理論では。

        最初から心を持たぬ者は、救われぬではないか。
        (小さく嗤い、その場を後にした) -- 本爛 2012-08-05 (日) 00:33:57
  •  
    • (第一次バルトリア会戦が柱の騎士の出現により収束してから暫く、アリシアはフリストフォン公爵の居城に在る)
      (混乱の極みにあった統一連合の指揮系統がある程度の回復を待って報告が行ったのだろう、宗爛が救出されてはや一ヶ月である)
      (それでも呼び出しを受けた理由については大体察しがついた、それ故に)

      敵軍の将を捕虜にしたが奇襲を受け奪取された

      (と極めて端的な事実確認をもって公爵の面会を待っている状態だった) -- アリシア 2012-08-02 (木) 01:09:08
      • (内政は暴動により普段より難度を上げているが、ある程度は許容範囲であった)
        (平時に於いて余力を残している物を、緊急時に回すという簡単で確実な対処が何よりも功を奏した)
        (だが、手すきであるとも、退屈であるとも口が裂けても言えない。日々はめまぐるしく変わっていくし、報告の全てを吟味しているような時間はなかった)

        (だが、そんな中に於いても、その報告はある程度の目を引いた)
        (事実関係を確認するために担当の者の名前を書面で軽く目を通しただけで執務室へと招いた)

        (執務室の外、フリストフォン付きの壮年メイドが温和な顔でアリシアを室内へと促す) -- フリストフォン 2012-08-02 (木) 01:23:17
      • (と、ある程度の覚悟を持ってやって来たものの、メイドに公爵様がお呼びです、と呼びかけられでは緊張に背筋を震わせる他はない)

        失礼します公爵閣下、アリシア・フロフレック参りました

        (それでも何とか執務室へ足を踏み入れ、決まりきった挨拶をする)
        (こうして直に顔を合わせるのは実に一年半ぶりだが、公爵の顔は騎士叙勲の際と何も変わっていないように思えた)
        (それに比べて自分はどうだろう、あのときの期待の言葉にまるでそぐわない有様に心も重く、すこし洞察力が優れていれば見て取れそうな雰囲気を漂わせ立ち尽くしている) -- アリシア 2012-08-02 (木) 01:35:50
      • (執務室内、書類にサインを走らせ、ペンを置く。机の上を羽箒で掃き、一息を入れる)
        すまないね。本来ならばこの手の報告は執務室ではなく会議室で聞くべきであるが、急な仕事というものはどうも私のことを好いていてくれるらしくてね。
        (失敗の報告であること。そしてアリシアの様子から少しでも気がほぐれればと思い、冗談を零した)
        (椅子を引き、書類の山を横へと押して、尋ねる)
        本来ならば、何らかの時候の挨拶から始め、君がこの一年で何を見てきたか、そんなところから話を入りたいものだが、
        どうも、そういった用向きではない上、火急を要するのではないかと言う点を鑑み「私に伝えるべきであると君が思っている報告」から伺おう。
        ……それで、大丈夫かな、フロフレック候。(指を絡めて、机の上に両肘を置いた) -- フリストフォン 2012-08-02 (木) 01:44:21
      • あっえ…っええと……いやその、し、仕事も出来る方を選ぶ自由があるのですよ、あ、あは……
        (対するアリシアといえば、公爵の思惑もよく理解できないままに冗談とも何とも言えぬ返答をしたまま固まっている)
        (しかしながら、気を解すという一点においてはそれなりの効果をあげたようで)
        申し訳ありません、私も本題に入っていただいた方が助かります、緊張仕切りなので……

        先のバルトリア平原での会戦において一人の捕虜を得ました、名は宗爛、帝国の皇子だそうです
        (呼吸を整え一息でそこまで口にする、柱の騎士に追われたのか小勢で逃げていたところを捕らえたのだ)
        (名は彼が自ら明かした、無論アリシアの手には余る、故に大本営へと報告を行い判断を待った)
        (本来であれば彼の去就を伺うためにこの場に訪れていたのであろう、だが)
        その後ランス要塞の地下牢へ監禁していたのですが、数日のうちに帝国の飛行部隊と思われる敵の奇襲を受け、駆けつけたときにはすでに宗爛の姿はありませんでした
        (戦場の混乱があるとは言え、それは間違いなく無念な報告であっただろう) -- アリシア 2012-08-02 (木) 01:59:42
      • (静かに、その報告を聞く。指を絡ませた上に高い鼻を載せ、思考に沈むように目を閉じる)
        (その報告は、皮肉にも福音のようにも、同時に後の祭りの寂寥音にも聞こえるという稀有な音色を奏でた)
        (宗爛。捕虜。飛行部隊。垂涎のネームバリュを以ってなお、それを組み合わせて出来上がる絵の益体無さは溜息すら出る)
        (しかし、おくびにも出さず報告を聞き終え、呟く)……それは、さぞ、無念であったろうね。
        加えて、何故それを私に直接報告に来たか、ということにも合点がいったよ。
        確かにそれは……捕らえたという利を以っても埋めがたい失態ではある。今更、嘆いても仕方がないことであろうけれどね。
        ……宗爛、か。恐らく、君の聞いた通り帝国の数多居る皇子の一人であろうな。
        彼は……何か言っていたかな。無論それは、何者かによる奪還前に情報を聞き出していれば、という前提があるが。 -- フリストフォン 2012-08-02 (木) 02:15:00
      • (報告を終え思案に耽る公爵の顔を見る、それはまるで出来立てのワインをゆっくりと味見するかのように思えた)
        (甘味酸味苦味、それら全てを愛でるかのように……はっと顔を上げる、何か宗爛は何か言っていたであろうか)
        いえ……
        (柱の騎士の事やこちらの内情を知りたがってはいた、しかし公爵が求める何か、とはまた別のものではないか)
        (まるで宋爛の言葉を気にするような……?しかし、結局その何かに思い当たる事は無く)
        報告にあげるような事は特に何も聞き出せておりません
        (と簡潔にまとめ、申し訳ありませんと頭を下げる) -- アリシア 2012-08-02 (木) 02:28:15
      • (成る程。何も聞けなかったということは、逆に言えば何も情報を持ち帰れなかったということだ)
        (せめて敵に捕まり皇を名乗る愚を犯すのであれば、それ相応の物を持ち帰るを是とすればいいものを)
        (そもそもそれがアリシアという騎士の性質を利用した策略という程の物でもないのだとしたら……やはり、この盤を囲むは早いだろう、シュウ)
        (その思考は、此処に至って溜息となって表出する。頭を下げる身としては、生きた心地はせんだろうな、と内心で小さく嗤う)
        (だが、それを以って最大の罰としたほうが、恐らくこの類の自戒を旨とする騎士には効果があろう。喜んで憎まれよう)
        仔細、承知した。元より捕縛自体が僥倖であったのだ、そう気を落とされるな……。
        恐らく、相応の処断は下るだろうが、候の騎士生命や家名に傷つくことはあるまい。その無念、私も察するに余りあるからな。
        軍務官口添えの一つもしておこう。
        ……時にフロフレック候。率直に聞こう、君の見た彼が、今我々が剣を向けている相手なのだが……君にはその姿がどう見えた。
        憎むべき敵に見えたかい。それとも、今は剣を向ける先が違うだけの、同じ人間に見えたかな……? -- フリストフォン 2012-08-02 (木) 02:39:17
      • (ここに来てようやく安堵の色を滲ませた息を吐いた)
        (処罰は処罰として覚悟はしていただけに、ひとまず報告の責務を終えたという事実のほうが大きかったのであろう)
        わかりました
        (しかしながら「ありがとうございます」とも言いづらくその一言を選び姿勢を正す)

        彼自身への憎しみは湧きませんでした、むしろ皇子と言うに相応しい人物だと見ます、大いに人望と尊敬と畏怖を集めている……ですが
        正直者でそれゆえに損をする、そのような感じを受ける人物でした
        (その質問は十分予測していたのだろう、アリシアが感じたままの人物像を余すことなく答える)
        敵の指揮官としては厄介極まりないですね、もちろん手を緩めるつもりはありませんし相手も同じでしょうから -- アリシア 2012-08-02 (木) 03:00:48

      • (その言葉を)
        (目を伏せ、静かに、胸の内で愉しむかのごとく転がした)
        ……そうか。分かった。
        処遇については、追って武官より報告があるだろう。
        公務に戻ってくれていい。この時勢だ、フロフレック候を必要としている仕事も、恐らくは多い。
        君は君の逃した功績や、行なってしまった失態ばかりを見るのではなく、今出来ること、することで我が国の為になることに。
        その心血を注いでもらいたい。――報告、感謝するよ。 -- フリストフォン 2012-08-02 (木) 03:05:29
      • はい、そのように心がけるつもりです……では失礼します公爵閣下
        (メイドに開けられた執務室のドアを潜り退出する、処遇については不安なもののどのような事であれ全力で尽くそうと気持ちを新たにするのであった) -- アリシア 2012-08-02 (木) 03:14:24

      • (椅子を回し、窓の外を見る。アリシアが宗爛を捕縛し、逃したという報告は全て後手となり、最善の結果は得られなかった)
        (だが、それは本爛という自分の立場からの視点であり、大きくこの戦局全てを見た場合、それが齎す意味は余りに小さい)
        (恐らく辺境を与えられただけの仮初の皇の姿を、騎士候に成って間もないの女騎士が過大に評価しているだけに過ぎない)
        (宗爛という男を手元に置くということは、私にとっては意味があるが、戦局にとってそれ程重要なことではない。ならば、私はどちらでもいいのだ)

        (だが、アリシアの述べた宗爛という男への所管は)
        (――それは。余りに甘美な言葉だった)

        (テーブルの横、ラックよりヴァイドが餞別にと置いていったワインの封を切り、グラスに注ぐ)

        ……よりにもよって、敵対し、蹂躙されている最中の敵将に対し、憎しみが湧かないと?
        間近でそれを見て、抱いた感慨が正直者でそれゆえに損をするという、人柄とは……。
        シュウ。……お前は、まだ、敵ではないようだぞ。
        憎み、死を願われる大敵に、成り切れていない。だとしたら、そんなところにいたら駄目じゃないか

        ……しかしそれは、アリシア・フロフレックという騎士候の甘さも加味せねばなるまい。
        だとしたら……この酒を甘くするのは、どちらか一人というわけではなさそうだな。
        (酒を回し、舌の上に載せた)……全く。
        知らぬ美酒の味が、身近にあるという自らの寡聞を恥じ入るべきだな。
        フロフレック候。或いは、動かしようのある手駒かもしれんな。(指先で、チェスの駒を撫でる)
        (兵士の駒。敵陣に置いて、象徴となり得る女王の駒にプロモーションの出来る、可能性の駒)
        ――いかんな……これは、クセになりつつあるようだ。

        (言いながらグラスの縁を指でなぞり、アリシアが出ていった扉を光のない瞳で眺めていた) -- フリストフォン 2012-08-02 (木) 03:18:58
  •  
  • 【GA223/2〜3】 -- 2012-07-29 (日) 02:28:39
    • (先遣隊が道を拓き、行軍は順調に進んでいる。矢面に立つヴァイドの部隊は想像以上に優秀であったらしい)
      (アルメナより出発して五日程経った地にて、ようやく敵軍らしき影を見たというのだから)
      (側面から帝国の進軍を叩くという隠密行軍は上手くいっているのだろう)
      (敵影から隠れるべく、行軍を止め、物陰に小部隊を潜ませる)
      (ここが戦場でないこと、そして身を守るには余りに乏しい小隊であることがなければ、一つ間違えば一瞬で潰されてもおかしくない行軍の采配である)
      (そのタイトロープのような綱の上を慎重に歩く己が身に走る震えは、恐らく恐怖によるものだけではあるまいと自省する) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 02:38:08
      • (潜めた隊をそのままに、視線だけを陰から出す。敵影は見える。だが、敵そのものに、違和感を覚えた)
        (高い。……あれは、飛行部隊だろうか)
        (陰が近づいて来る。不幸にも進行の直線上に我が隊はあるらしい)
        (僅かな幸運が生命を繋いだ。敵が有翼の飛行部隊であったことが、彼我の距離と視認の困難さを稼いだ)

        (遥か上空。――飛び去りぬ白亜を見た) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 02:42:47

      • (その光景は幽幻であり、荘厳であり……戦場の緊張さえなければ、皆感嘆の声を御しきれなかったであろう)
        (全ての兵が遥か天空を見上げ、自らの顔に陰を落とすその部隊の優雅な行軍に見惚れていた)
        (私もまた、その光景に目を奪われ)
        (……奪われただけではなく、どこか郷愁に似た何かが胸に沸くのを感じていた)

        (私はこの光景を。何処かで……この目で見たことがあった) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 02:45:45

  • 飛爛。

    (その名を、口にした)
    (それは、今唐突に泡のように浮かんだ言葉であり、意識しない部分から湧き出てきた記憶の破片であった)

    そうか。
    ……君も、名を列ねているのか。
    宗といい……ままならぬことばかりだな。

    (飛んでいくその優美な姿を見送りながら、かつて本爛と呼ばれていた男は、静かに呟いた) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 02:56:00

  •     ◆  ◇  ◆  ◇  ◆ -- 2012-07-29 (日) 02:57:34

  • (そんなものを、見たからだろう)
    (夢を見た)
    (かつて第8皇子として寵愛を受け、皇帝となるべく教育を施されている頃の自分を) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 02:59:04
  • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021897.png -- 2012-07-29 (日) 02:59:58
  • (本欄、という名を受けたことが、そこに親の期待の全てが乗っていることの何よりの証明であった)
    (爛という字はもちろん、本という文字には、帝国に於いて誰が見ても分かる程度の特別な意味を持っていたからだ)
    (帝国の皇の家系に於いて、親の期待は冠く名に集約されていると言っても過言ではない)
    (皮肉にも自分を孕んだ母親は本妻ではなく妾の一人であったが、その名に載せた期待通り)
    (これから先数多く名を連ねる皇子の中でも、本爛という子供は取り分け濃い皇の血を以って生まれてきた) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:06:49
  • (親の期待は過剰なものであった。だがその過剰な期待を受けた上で、本爛という少年はそれ以上を返す力を若くして備えていた)
    (与えられる様々な課題は誰に教えて貰うでもなく解体され、在るべき姿に収められる)
    (手習いをすれば完璧にそれを真似してみせ、度々大人を喜ばせた)
    (周囲の誰もがかつての皇帝の再来と唄い、それを信じて疑うこともしなかったという) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:13:00

  • (何故それが出来るのか、そう問う人間は多くいたが、それに少年が言葉を返すことはなかった)
    (その問いに返すべき言葉として、何故それが出来ないのかという疑問は、彼の口から外に出ることはなかったからだ)
    (やり方さえわかれば、それをなぞるだけであらゆることは出来た)
    (経験の積み重ねにより、学んだ情報を組み合わせて解釈すれば、この世の全ては簡単に紐解けてしまうことを、他人が理解していないことが不思議で仕方がなかった)
    (だがそれを口にすることで、誰かに共感を得られることもないことを、周囲の評価から察する事が出来る程度には、少年は余りに小賢しかったといえる) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:17:58

  • (――ある日、帝国北方より管楽団が訪れた。その日の我領は宮廷音楽を嗜む程度にはまだ平穏の中にあった)
    (少年は名も覚えていないが、帝国の中でも有数の楽団であったらしくいくらかの皇族が招かれ、その中に本爛という少年の姿もあった)
    (最高峰の音楽は聞く者の胸を突き、その音色の素晴らしさに涙を零す者までいた)
    (宴もたけなわといったところで、興が載った一人の皇族が「この中で一番難しい楽器はどれか」そんな問いを投げた)
    (楽団は答えて曰く、「それは一本の弦にて様々な音色を奏でる、「神胡」という楽器である」と言った)
    (すかさずその奏者が前に出て、「神胡」による演奏を披露した。熟練の指使いは聞くものの心を震わせ、盛大な拍手が湧いた) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:36:40

  • (――よせばいいのに)

    (恐らく、その提案の意図は、感動で緊張した場を和ませ、再び宴会の雰囲気を作りだそうという計らいであったのだと、今では思う)
    (その様を見て、嗚呼、本爛という少年にも少年らしい側面があるではないかと、誰もが日頃から思いたがっていた結果の提案だったのかもしれない)

    (――よせばいいのに)
    (その皇族は、こう、提案したのだ)

    本爛よ。あれは、弾けるか?と) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:39:29
  • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021898.png -- 2012-07-29 (日) 03:40:17

  • (その演奏が終わるまで)
    (誰一人、言葉を口にしなかった)
    (いや、少年の記憶が確かならば)
    (その少年がその演奏を終え、静かに席を立った後でも)

    (その宴会で、誰一人として口を開く者はいなくなっていた)

    (――演奏は、たった一回の手本を以って)
    (完璧に修められていた) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:42:10


  • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021899.png -- 2012-07-29 (日) 03:45:11


  • (――その翌日)
    (楽団の神胡奏者は、少年の住まう宮廷の中で首を吊って生命を絶っていた)

    (足元には真っ二つに折られた神胡があり……遺書のようなものは見当たらなかったという)
    (その死に、どんな力が加わり、どんな理由で結論付けられたかは結局のところ広く知られることはなかった)
    (何より、その死に対して、少年は一定以上の興味を抱くことができなかったからだ) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:48:32
  • (それは帝国の中に在り来りに存在していた死の形であり、少年にとっても、誰にとっても、取り分けて騒ぎ立てるようなことではなかったという理由もある)
    (ただ、少年はその風に揺れる姿を見て、何故一つのことが出来ないくらいで全てを投げ出す必要があるのかと、それだけは疑問に思った)
    (もしそれがダメなのだったら……また次の物を探せばいいじゃないかと。……そう、失われた生命を残念に思った)
    (あるいは、その分野に於いては……自分と話ができる唯一の相手だったかもしれないのに) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:52:39

  • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021900.png -- 2012-07-29 (日) 03:56:25

  • こんなもの弾けなくても。
    君は生きていていいのに。 -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:57:31


  • (結局のところ。それが一つの原因であったことは事実であるが、それが決定的なものだったかは分からない)
    (ただ、こういった事の積み重ねで、皇帝は少年の本質をいち早く見抜いていたといえる)
    (……物事にはベクトルがある)
    (例えば一つの方向から見たとき、それは正義と言われる物があったとする。だが、それを反対から見ればそれは悪と定義付ける事もできるのだ)
    (人を殺すことは悪である。だが人を殺さざるを得ない状況という物は一概に悪と定義付けることができない)
    (ベクトルを持つということは、それが私利私欲に依るものでも忠誠からくる義によるものであっても、二つの側面を必ず持つ) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 04:01:33
  • (ただ、その時の少年の本質は、一切のベクトルを伴っていなかった)
    (だから、その本質を誰をも見ぬくことは出来なかった)
    (ただ一人、慧眼によってそれを見抜いた者が皇帝であったことは……少年の運命を決定的に変えることになる)

    (法でも秩序でもなく、ベクトルを持たない存在としての悪は、未だ眠ったままであった)
    (まだ、この時は――) -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 04:05:18
  • (あの戦場から西へと戻り、ヘルガから一ヶ月程度の謹慎を言い渡される。)
    (こうしている間にも帝国は着々と西侵の準備を続けているのだろうと思うと薄ら寒い)
    (家に火が放たれているというのに自身の身体の動かし方を忘れてしまったような焦燥感にかられながら一ヶ月は過ぎていき……、謹慎が解ければ真っ直ぐに彼女はここへとやってきていた)
    (フリストフォン・ラヴェル・フォラン、彼女に手を差し伸べてくれた恩人であり侯爵の位を持つ王の一人)
    (正直、騎士としても傭兵としても新兵もいいところな自分は、場違いというか居心地の悪さを感じ、通されたドアの前で緊張したようにもじもじと立ち尽くしていたが、意を決して)

    あ、あのっ……えっと、その、以前東ローディアでは、有難うございました…私も、あのままだったら……
    (その後の東ローディアの事は、町中でも大まかにであるが伝わってきた。一国が滅んだとあれば誰しもそれを知りたくなるのだろう) -- ネーナ 2012-07-28 (土) 02:39:54
    • (聞き流すだけの処務を持ち込んできた士官かと思ったが、聞きなれない声で捺印と署名を繰り返していた作業を止めて、顔を上げた)
      ……君は。(成る程。小さく笑う。随分と呑気な兵もいたものだと)ネーナくん、だったね。
      いや、礼には及ばないよ。西ローディアの施政を預かる者として、当然といえば当然の義務を行っただけにすぎない。
      ……わざわざ、それを言いにこのような色気のない場所にかい?(くすりと、品のいい冗談に笑うように表情を緩ませた) -- フリストフォン 2012-07-28 (土) 02:52:11
      • はわっ、わわっ……そ、そんなことなくてです…!(侯爵なんていう偉い人からちゃんと名前を覚えて貰っていたことと緊張のあまり名乗るのを忘れていたことで二重に赤面しつつ)

        そ、そのっ……先の戦いで、私は自身の無力さを知りました……前線まで行っておきながら何も、出来なかった……。
        私に出来ることはないのだろうかと、絶望さえしました……此方に帰ってきて一人になってからは特に……強く……
        (唇を噛み、目を伏せる。本当にどうしようもなかったのか、ヘルガ隊長なら、他の皆ならもっとなにかうまくやれたのではないかと悔やんだ)

        (そんな謹慎中に聞いたのは彼の演説、民衆の心を動かし奮い立たせる。先の、東ローディアでのこともあり、もしかしたら、自分の中の何かを、この世界の何かを変えてくれるかもしれない、そんな淡い期待もありながら)
        でも……でも、それでも、何かしたい、と思う気持ちもあるんです…このままじゃいけない、それだけは判ります……以前も言いましたけれど……
        私に、私にもこの国のために出来ることを手伝わせて欲しいんです……!(思いの外、緊張で死んでしまうこともなく、真っ直ぐに、相手へと自分の言葉を伝えることが出来た) -- ネーナ 2012-07-28 (土) 03:04:45
      • (そこで、再び筆を止めた。一秒だけ、思考に没頭する。言葉の意味を理解した上で顔を上げると、真っ直ぐな瞳がこちらを見てきていた)
        (新兵なのだろう。自信なさげに潤んでいるにも関わらず、真っ直ぐであるその瞳は、久しく見ぬ類の物だった)
        (本来なら、責務を全うしろと、そう告げるのが王として正しく、最適の回答であるだろう。それは重々に承知していた)
        ……そうだね。君の言う通りだ。先の演説で言った通り、戦況は逼迫している。
        私も憂いているよ。このまま正着の手ばかりを打ち続ければ、恐らく国の集合として盤石でない我らは、敗北を喫するとは言わないが、大きな損害を被る。
        それを最小限に食い止めるのも、我々施政者の努めであるとは思っているんだ。
        (表情を沈ませ)……どうにも、今の西方には手が足りないのがもどかしいけれどね。 -- フリストフォン 2012-07-28 (土) 03:18:11
      • 私もスレイプニル隊の末席……ヘルガちゃ……隊長からは後方支援を頼まれてばかりですけど……それでもやれます!
        (ドアの前から進む、一歩、二歩と歩んで、彼のデスクの上が見えるくらいの距離まで近づき)
        やります……人手が足りないなら、私がそれを補います!
        その、私、割と手先は器用ですし!文字も数カ国分読んだり喋ったりできますし!武芸以外にもきちんと教養受けてますからその、きっとお役に立てると……(言っておいてなんかアピールすべき所違ったかなと、最終的にどもりながら) -- ネーナ 2012-07-29 (日) 03:13:22
      • (胸の内が、静かにざわめいた。感情は表現をされず、内心で小さく燻る。恐らくこれは、良くない感情である)
        (どうして。こんな生き方が出来るのだろうかと感心さえする。自分の手だけで何をも救えるという万能感の裏返しでもなければ、こうは成るまい)
        (だとしたら。……自分が成すべきは。小さく、嗤った)そうか……。
        では、一つ……頼むとしよう。君は、あの激戦の地を小規模の軍隊で生き残った経験を持つ。
        その幸運は、あるいは我々の軍に最も必要なものかもしれないからね。そして、恐らく君の存在は、前線で戦う者に光を灯すだろう。
        (地図の上、赤丸を記す)かなり手を焼いているという報告をグエスヒシュテン書記官を介して受けている。
        帝国の軍だけでなく、未確認の怪物までをも出るという話だ。余りに人手が足らず、かといって正規軍を送ることもできず、事態は逼迫しているらしい。 -- フリストフォン 2012-07-29 (日) 03:26:16
      • (何もできない自分が嫌だから。誰かを頼ってでも何かを為さないといけないから。東ローディアのような事態をどうにか防ぎたいから。)
        (言葉に嘘はなく、気持ちに偽りはなく。自分を必要としてくれる、それならば、と身を乗り出す。今まで、純粋で単純で、馬鹿だと一蹴されるのが常であっただろう)

        (地図を見て)ここに……確かに此方では本隊の戦場から離れてますし援軍は送りにくいですね……
        (帝国の兵だけでなく、怪物まで居る、と聞かされると少し身を縮こまらせたが)
        この地点の防衛……わ、わかりました……、任せてください。侯爵様の期待の分まで頑張りますから!
        (そう継げる表情は、変わらず真っ直ぐなものであった。多分に其れが彼を侵害しているのだとも気が付かずに) -- ネーナ 2012-07-29 (日) 03:46:58
  • 【GA224/1】 --2012-07-27 (金) 00:13:18
    • (結果として)
      (神聖ローディア、通称東ローディアは無血開城という形で中心を失い、国としての体裁をなくした)
      (その国の成り立ちを、そこで剣を持っていた者の何割が正確に知っているかは知らぬ話だが、それでもローディアの片割れを自らの手で落とした、という事実に酔いしれていることだろう)
      (楽観視できる状況ではないのも確かだ)
      (仮にそれが一時、戦功に酔いしれている状態であるとしても、一度勢いがついてしまった軍は規模の違う西ローディアをも駆逐する可能性が出てくる) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:19:00
      • (同じ危機感を抱いている諸侯は当然いる)
        (でなければこれほど早急に各国の主席を招いた大会議など催されるはずはない)
        (恐らく、東ローディアがどうなろうが、この会議自体は施行が決まっていたのだろう)
        (国も馬鹿の集まりではない。施政は愚鈍にはできるが馬鹿にはできない。あるいは私が見通せなかった東ローディアの無血開城をも見抜いていた者がいてもおかしくはない) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:21:48
      • (時期は早まったが、問題はない)
        (例えスタートの合図が予想より幾分早く鳴らされようが、それより遥か以前から身構えていれば出遅れる心配はない)
        (このための布石はあらゆるところに撒いた。今は少しずつ、それを回収していくだけでいい)

        (東ローディアの無血開城は、一時捕虜とされていた東ローディア軍兵の志気を絶望的なまでに奪った)
        (同時に、東ローディアの解体によって生じた多くの難民が、西ローディアに押し寄せることになった)
        (苦肉の策である。アルメナに逃避した者もいたはずだが、それでも母数の大きい西ローディアに助けを求めるというのは民の思考を辿るに、致し方ない選択でもあったのだろう) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:25:40
      • (その多くが、死人もかくや、と言わんばかりの顔色をしていた)
        (西ローディアほど盤石な基盤はないが、東ローディアも短い歴史ながら封建制度が根付いていた土地であった)
        (口先でいくら取り繕おうが、自分たちの力が及ばないことで国は奪われたという事実に変わりはない)
        (それに、民には分かるまい。民を思い、その結果の無血開城であるなどとは)
        (恐らく、民の中には自分たちを守護する者がその責務を放棄したと思っている者も多いだろう)
        (私は書状を片手に、その死人の群れを高みから見下ろし、小さく嘆息した) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:29:47
      • (この多くの兵と民の何処かに、ヴァイドやその一団もいるのだろう)
        (意識すると、頬が少しだけ動いたが、今は邪魔をしないでもらおうか、黒山羊)

        (まるで助けや救いを求めるような目が、一斉にこちらを向く)
        (かつて自分たちに剣を向けた西ローディアの人間に、怨嗟の視線を送ってくる者もいる)
        (成る程、誰も会議で志願しないはずだ。……泥を被る覚悟でもなければ、この場所は針の筵だ)
        (私にとっては、その全てが何もかも想像通りで、退屈以外の何物でもないがな) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:32:45


      • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021863.png -- 2012-07-27 (金) 00:34:11

      • ……まず、何をも於いて最初に名乗る無礼を許していただこう、東ローディアの民よ。
        私はローディア連合王国が王の一人、フリストフォン・ラヴェル・フォランである。
        重ねて、詫びよう。
        今この場にて、西ローディアの意向を代弁する者に過ぎないことを。

        貴公らもその身で理解しているように、戦況は逼迫している。
        今も帝国の暴虐な西進は続いており、西ローディアもまた、その矢面に立つ国の一つとして早急な対処を求められている。
        西方諸国全ての危機が、すぐ間近に迫っているということを以って、西ローディアの意向を私の口から伝えるという無礼を、どうか許していただきたい。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:39:04

      • 先日、無血開城を以って、神聖ローディアは崩国した。貴公らの無念悼むに余りある。
        誇りや戦の価値すら理解できぬ蛮族相手に、その身を盾にして国を守ろうとした者たちの勇気を、私はけして忘れることはないだろう。
        そしてその誇り貴き血は、貴公らの中にも確かに根付き、それこそが東ローディアという国の在り様に他ならないということは、
        施政者にとって東ローディアという国に経緯を払うに充分過ぎるほどの感情を、私個人の中にも呼び起こしている。

        今は、その血の滾りだけを胸に、静かにその身を、心を休めて欲しい。
        私たち西ローディアは、仲間であるなどと烏滸がましい事を言うつもりはない。
        かつてあった遺恨を未だ胸の内に眠らせている者、度重なる戦で大事な者を失った者、全てを水に流せなどということを言うつもりは、一握たりともない。 -- 2012-07-27 (金) 00:45:17

      • 一つだけ確かなことがあるとすれば、私たちは貴公らを拒むことはないということだ。
        貴公らの戦乱での無念の慰みになるかはわからないが、先ほどの方針会議で西ローディアの西部、戦線から最も遠い地に、西爛戦争の難民居住区を設けることが決まった。
        これは、王からの勅命であったが、私自身、西ローディア西方候として望み願うことでもあった。
        貴公らにはその傷ついた身体と心を休める時間が、何よりも必要だと、私自身も思っているからだ。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:49:56


      • (そこで、静かに、書状を仕舞った) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:54:40


      • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021861.png
      • (語調を、少し強くして感情を込めて言う)

        ここまでが、西ローディアとしての決定で、私はそれを貴公らに伝えに来たに過ぎない。
        だが、ここで私の言葉を口にする自由がいただけるとするならば、今しばらくの清聴をお願いしたい。

        ……私は。
        帝国の人間を、許すことが出来ない

        何の義も忠もなく、ただ、己が利という目的のために、他者を蹂躙せしめる。
        此度の西侵の理由を聞くに、奴らは清浄なる両ローディアを一(はじめ)とする諸国を簒奪する目的でこの侵攻を始めたらしい。
        そのような暴が。
        ……許されていいのだろうか。
        (拳を握りしめ、表情は変えず、口調だけを強くして言う) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 00:59:48
      • 私には、剣を取る力はない。
        今の今まで、そのような暴を必要としたことは、欲したことは一度もなかったからだ。
        それは、貴公らをはじめとする、全ての臣民や臣下に守られてきたという事実があるからに過ぎない。
        だが、此処に於いて、その愛すべき臣下や民を蹂躙する存在が現れたことで。

        私は……その力が欲しいと、初めて願ったよ
        何をも必要としない平和を愛し、安穏とした退屈の中にいた身であったにも関わらずだ。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 01:02:32

      • 貴公らも知っているだろう。
        神聖ローディアという国には、誇り高きヨゼフ・イブラヒムという騎士がいた。
        彼はその名の中に、盾という文字を背負うことで愛する臣民を守ることを誇りに思っていた。
        そして、此度の戦争において、その生き方を貫き、戦場に散った。

        (静かに、拳を、握り閉める)

        彼が守ったのは、何だ。
        彼が、その生命を賭してまで守ろうとしたものは何だ。
        何故、自らの生命を犠牲にしてまで、何かを成すことが出来た。
        敗戦濃厚な神聖ローディアに於いて、血に塗れながらも最後まで盾としてあり続けられたのは何故だ。

        彼が、その身を盾として、守り通した物は何なのだ。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 01:07:48

      • それは、貴公らの、神聖ローディアの誇りそのものだ。

        彼は信じていたのだ、その身が朽ち、戦場に散ろうとも、
        彼の志を継ぎ、神聖ローディアの誇りを受け継いでくれる者が必ず現れると。

        暴を許さず、義を貫き、
        その身を盾や剣と変え、必ずやその誇りを以って蛮族を討ち滅ぼすと。


        貴公らに今必要な物は、休息だ。
        では、二番目に必要な物は何であるか、それを今一度考えてもらいたい。

        重ねて言う。
        私は、西ローディア西方領は、貴公らを拒むことはない
        自ら剣となりて、義を貫く者があるならば、喜んで迎え入れる。
        西ローディアの王が一人、フリストフォン・ラヴェル・フォラン西方領公主の名に於いて。

        ……以上、清聴を感謝する。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 01:13:56

      • (主演者は壇上を降り、舞台は幕を閉じる)

        (――幕間は終わる。そして、本当の戦争が始まるのだ) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 01:17:35
      •  
        (演目が終わり静かに…まるで燻ぶるかのように静まり返る東ローディアの民)
        (その中で誰かが。ボロを纏った知らぬ誰かが慟哭した。涙を流し吼えるように)
        (燻ぶっていた思いに火が着いた。吼え、泣き。枝の束が燃え盛る炎となることで1つになるような)
        (熱を生み出していた)
         
        (そして。先に取り計らっていたか顔合わせは思うよりもスムーズに行われた)
        (西方候の施政室には赤髪の男が一人通された。丁度以前とは真逆のシチュエーションで…)
        見事な演説でしたなフリストフォン閣下。これで彼らの意は纏まり誇りを胸に剣を手に取るでしょう -- ヴァイド 2012-07-27 (金) 01:35:05
      • (応接間、壮年メイドが持ってきた紅茶を口にしながら足を組み替えて嗤う)
        何を見え透いた戯言を。誰のための舞台であったと思っている。
        慣れぬ言葉を口にして、舌でも噛み千切れないかだけが心配であったな。

        元より、あの程度の誰でも言える言葉に焚き付けられた熱など、現実を前にしては再び冷めるだろう。
        その熱を冷まさぬ者の半分も使い物になるまい。それには、微塵も期待していない。それに期待が出来るほど人という物に幻想は抱いておらぬのでな。
        だが、少なくとも何処の者とも知れぬ傭兵団を抱え込んだところで、それが謀反であると咎める者がいなくなったことは事実だ。
        美談という物は誰の舌の上でも甘い物だからな。難民受け入れという支払いに対する対価としては、いい買い物であったと思っているのだが。
        それは私の気のせいだろうか、ヴァイド。(チェスの駒を一つ取り上げ、放る。それは一度蓋が開けば盤上を自由に闊歩する塔の駒だ) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 18:57:48
      • (胡桃同士を擦り鳴らしたような乾き弾んだ笑い声が応接間にて…)
        (投げられた塔の駒をはしと受け取る。その手で遊びつつも)
        (許可など求めずともいいだろうと応接間でフリストの対面の長椅子に座り笑う)
        これはこれは…ずいぶんと買ってもらってるようで驚いたよ。
        だが大衆も貴族も、役人も美談で甘い…甘美なものを求めるもの。その裏にあるものを隠して余るほど。
        夢中になる甘いものが…特にこの時勢。大爛による東ローディア制圧の下ならばな…

        難民の連中はよくて半年だな。所詮東の難民であるゆえに西の西に追いやられた。地元の人間との軋轢。
        次第に亡くなった国を忘れ怠惰に貪る豚と化すのは目に見えている。それが人間だからな。
        人間易きに落ち着くものよ。農民と兵隊もどきが精々か。だからなだからこそ…その中に紛れた
        愛国心も怒りも熱も持たぬ自由の徒を掬い執ったのはいかなる貿易商でも出来ぬ、政(まつりごと)に長けたものしか出来ないものだと俺は思うがね
        もっともフリスト、お前は政だけではないと思っているが…ククク、むしろあちらのほうが得意、好むところか
        (思い出すのは以前、戦乱であったフリストフォン…本爛と宗爛という彼の弟との戯れ)
        (つい、口の端が牙を見せて哂う)

        さて正式な辞令やらはうまいやつに任せる。そういう演出、小道具を仕立てるのは得意だろうしな
        俺が聞きたいのは…王が今いかなる駒を持ち、盤を見ているかだ(机の上に塔の駒を数度、請うようにカチカチと慣らし問う) -- ヴァイド 2012-07-27 (金) 19:21:28
      • そちらこそ買い被ってくれるな、まだ盤を前に座っただけに過ぎない。
        施政者であろうがそうでなかろうが少し高い場所から見下ろせれば誰とて見通すことが出来る単純な盤上だ。
        余りに行儀良く、余りに整然としすぎていて、囲むには退屈を齎してくれるがな。

        (指を絡ませて膝の上に置き)それにな、手駒は常に片手落ちだ。
        約束された勝利の上に胡座を搔く方が好ましいのであれば、今直ぐにでも傅く先を変えるべきだな。
        ここから先は、最善手と京楽手を互いに繰り出しながらタイトロープを渡るような道を往くことになるだろうからな。

        (チェス盤の上に、地図を広げる)恐らく、帝国は直線にて西ローディアを叩きに来るだろう。私なら恐らくそういう形で駒を動かす。
        それが帝国にとって最短で西を「制圧」せしめる手であるからな。
        何より、統一連合が急場の連合であることは帝国の者も理解はしているだろう。それの基盤が緩い内に最大の打撃で瓦解させるには、今を於いてこの後にはない。

        ……ではこの戦況に於いて、帝国が最も恐れる、最悪の手とは何かを考えた。
        (地図の上。神国アルメナを指さす)……私が帝国の施政者ならば、一番恐れるのは側面からの攻撃だ。
        西ローディアの堅牢さは、東ローディアの比ではない。加えて、東ローディアの侵攻は、図らずとも西ローディアと挟撃の形になってしまったがため、背後から攻撃を加えたことに起因する。
        恐らく、帝国は主力の軍を「西ローディアに向けて」放ってくるだろう。
        つまり……側面は手薄になる。

        今、この一手を打ち、「側面からの攻撃もあり得る」という印象を抱かせなければ、帝国は直線にて西ローディアに攻め入って来るだろう。
        何より、想像するだに嗤える話になる。攻めている最中に攻められることを想像し得ぬ愚かな者を、側面から最大に侮辱できるのだからな。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 19:57:01
      • だがだが。見ればみるほどその盤は脆い。いや一見して盤の形を保っているが
        すぐそらほれ横から見ればグズグズではないかといえるほどの脆弱さよ。
        打っている間に片方の盤が崩れてしまわぬか誰しもが思うほどにな。
        だがそれらを誰かが綺麗に整えている。それが今の世界だ。

        そう、それだな。やはり手駒があまりに少ない。
        来るべき舞台の締めを飾るというのならばそもそも色を塗り替えるべきだな。
        その始末も終わりもすぐ切り上げられよう。が、そうであっては見えぬ。本当に見るべきものが見える前にゲームは終わるだろう
        盤を整え、駒を動かし増やし整え、並べようやくだ。ようやく始まる。
        これはそこに至るまでのまず最初の一手。よもや戯れの手をはいわせんぞ。
        (地図上のゼナンに自らの塔の駒を置く。ここより出でて遊べば連中も無視できなくなる、と)

        そして補足するなら側面からの攻撃、もう一手のウラスエダールであるが。
        これはないと言っていい。東西ローディアで取り合ってたが今は西ローディアに落ち着いたといえ
        内政は未だ変わらず、バルバラより酷い有様だ。年末にあそこにいたからよくわかる。
        おまけに大爛は山岳部隊が粒ぞろいだ。ゾルドヴァのときに話したが【災いの母】のようなのまでいる。
        直進するならばバルトリアで来るだろうが、連中のような山岳部隊は北方でいいようにサボタージュ
        あるいは奇襲によりほぼ手玉にとっているだろうな。
        ローディア連合が一年もったら、その次はラチをあけるためにウラスエダールが滅ぶだろうというぐらいには。
        もっとも統一連合として纏まったといえ会談は最後まで手柄の関係でもめていたろう。
        そんな連中が真っ向から勝てるわけがないのは誰からみても明らかだ、本当によく茶番を演じるよ連中は。
        ついこの前まで互いに戦っていたというのに様式も違う他国の軍隊同士が連携など取れるものか。
        まったく兵が憐れだな。
        だが・・・中央に西方の貴族連中が出向いているというならば。
        力を削いでくれる丁度良い機会になるであろう好機か。

        それと。王と塔だけでは話にならん。兵、騎士、司祭・・・今は走者でもいい。耳と口に走らせる者がよいか。
        アテはあるのか。お前のことだ、今まで適うものを探していただろう。
        (俺のように、と座り開いた膝の上に乗せた手が、指が。駒を入れる箱を指す。) -- ヴァイド 2012-07-27 (金) 21:14:00
      • どうだろうな?(肩を竦める)元来よりどのようなボードゲームでも王が一手につき進められる駒は一つのみだ。
        今の私には塔のみで充分過ぎるほどだ。……あまり買い被るなと言っているだろう。
        手駒というものは最小限でいいのだよ。何故なら、これは個人の闘争ではなく国同士の戦争だからだ。
        それも、二国間ではなく、様々な価値が錯綜する複合型のな。だとすれば、兵や騎士、司祭を私が所持している必要はないんだよ、ヴァイド。
        盤上で勝手に動いてくれる者を、わざわざ手ずから動かす必要はないだろう……?
        私はその行動に相乗りするだけで充分なんだよ。その中で必要とあらば手駒を増やしていくさ。

        だが、その箴言、有難く頂戴することにしよう。
        確かに、王と塔だけでは戦として話にならないのも事実だ。
        先ほど私が述べた通り、アルメナより側方奇襲を掛けるとして、必要なものが一つある。そのたった一つを、今の私は持っていない。
        (薄く嗤いながら指を立て、折る)
        アルメナの正規軍ではない、ある程度の権力者の名を借りて動けるという自由だ。

        生憎と外交は貴族ではなく王族に委ねられているのでな。甚だ手詰まりではあるのだよ。
        ……困った。よもや都合よく、最初の駒がアルメナへのパイプなど持っているわけもあるまいにな。
        最初に会合した地がアルメナで、そこで死者の軍勢を急増するなどという自由と暴虐を許されている者が、
        何の権力の庇護下にもないわけはないなどという私の考えは、間違っているのやもしれんな。
        なあ、ヴァイド。
        (黒山羊傭兵団へと打ったその一手は、一手でありながら次の一手への布石であるという、複数の意味を持つ行動でもあった)
        (盤上に、混沌を齎すための、最小で最初の一手) -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 21:52:41
      • いずれそうなると期待してるということだよ。
        ククク…なら、その通り動こう。逆に言えば今の時期では持て余すかもしれんな。
        余計な茶々を入れられることもある…程よく掃除ができたからか。
        ハハハ、つまるところ女王が兵や騎士、司祭を持っていればいいだけの話か。
        言いえて妙なゲームだ。ゆえに一見隊伍をあわせていれば…


        おぉそうだな、それはそうだ。窮屈そうだな西方諸侯は。
        いかに西方諸侯であれど西方にいるならば
        南のアルメナと交流があるかといわれれば難しいだろうな。
        しかもゼナンより出でるなどとは、ただの雑兵では無理だろう…
        カハハハ、フハハハ ハハハハハハハ!

        俺がここまで遊んでいる人間に興味があるらしくてな、あいつも近々会いたいと言っていたぞ。

        暇なときにこい、あいつもまだまだ時間に余裕のあるうちに会っておきたいとのことだ
        では我々は神国アルメナ…アメクス枢機卿の命もいただきゼナンより側面を突こう。
        統一連合軍などどうなるかわかったものではないがアルメナのみで固めた者らも着けばやりやすい。
        もっとも数でいえばゼナンは最前線、その防衛もあり出せるのは少数だろうがな。

        さて決まれば早い。すぐにでも向かう。だがなフリスト、その前に盤を馴らしておきたい。
        行きがけに集落をいくつか始末する…大爛の間諜の拠点として潰そうと思っている。
        東ローディアのときから感じていたがどうも連中根回しも耳も目も良い。
        真偽はさておきあぶりだす要因にしておきたい。異人や異種族の集落を中心に食い散らかしておくべきだろう。
        そういう連中はどこにでも紛れられるからな、いやはや実に厄介だよ -- ヴァイド 2012-07-27 (金) 22:15:53
      • (嗤い)それはまた幸運な遇期もあったものだな。私の悪運も捨てたものではないらしい。
        ではそちらは任せよう。いずれ目通り願うだろうな、その切欠にもなればアルメナとのパイプになるやもしれん。
        構わんぞ。名でも金でも好きなように必要なだけ使うがいい。
        躓く小石が少ないほうが歩きやすいのは私も同じだ。

        やれやれ、退屈で椅子を磨くような毎日をそれなりに愛していたものを。
        ……厄介なことに巻き込まれたものだな、本当に。
        (嗤い、盤上を睥睨し、肩を震わせた)

        ああ、それとな。(思い出したように振り返り、席を立つヴァイドを呼び止める)
        フリストは辞めろ。この西方領の先代の領主の名なのだ。
        呼ぶならフォンと。そう呼べ、ヴァイド。古き友や東方での臣下はそう呼んでいた。 -- フリストフォン 2012-07-27 (金) 22:28:09
      • では我らのやり方で小石を掃除するとしよう。
        さて…知らしめるためにだれか都合の良い書記官はいたかな…

        …フッ、到底椅子磨きを愛する男が発する言葉ではなかったが
        次の退屈はいつになるかな?退屈王
        (と地図も駒のそのままに席を立てば呼び止められれ)

        そうだったかならばフォン…アルメナにて会うとき俺の名を教えよう。
        今は時間が惜しいからな…よもやヴァイド(奪う者)が真名とは思っていまい
        忘れるなフォン、お前は俺で、俺はお前だ。
        (そうして手を軽く振って応接室を後にした)
        (向かうは野、向かうは暴虐の地、向かうは…ゼナン城砦)
        (率いるは黒山羊) -- ヴァイド 2012-07-27 (金) 22:39:00
    • (人知れず、動く影があった。そしてそれを、動かざる影と化してゆくものも、また影である。)
      (西側諸国の諸侯が集う合同会議・・・そのような舞台には招かれざる聴衆も観衆も数多く訪れる。そして、その客から生命という名の代金を徴収する係員もまた、十分に配備されているのだ)
      (客が多いと、「もぎり」も忙しくなる。処理は容易いが、あくまで隠密裏にという心配りが面倒と言えば面倒ではあった) -- エルサ 2012-07-27 (金) 23:13:20
  •  
  •  
  • 【GA223/9下旬】 -- 2012-07-24 (火) 01:17:21
    • (ゾルドヴァで東ローディアが大敗を喫した後、西ローディアに戻ってきたリコルはフリストフォンの城を訪れていた)
      (定期監察との名目ではあるが、実際にはただ気が向いたから来てみただけに過ぎない)
      (応接間に通され、質のいい椅子に身体を預けてだらけた様子で対面するフリストフォンに語りかける)
      ……なー。お前さー、今回のゾルドヴァでの戦いの話、もう聞いてるかー…?
      (持ち歩いている書類の束をぺらぺらと捲りながら問いかける。特に意図の無い、世間話としての問いかけ)
      私なー…直接行ってきたんだけどなー…これ結構不味い事態かもしんねーなー… -- リコ 2012-07-24 (火) 01:21:58
      • http://notarejini.orz.hm/up3/img/exp021843.png
      • (王室付きの従者が用意した教科書通りのお茶に手を伸ばしながら、小さく笑う)
        それは、いくら戦場から遠い西方を統治している身とはいえ、
        流石にここに於いて何も聞いていないというのは嘘になりますが。
        思わせぶりですね。あまり、聞くに期待できない事態でありながら、
        恐らく書記官にとっては観測のしがいのある事態があったのかと思うと、聞くことが躊躇われますね。
        (自分の冗談に肩を竦めて、報告を待つ) -- フリストフォン 2012-07-24 (火) 01:30:11
      • まーなー…何つーか、思った以上に帝国が強くてなー……いや、東ローディアが弱かったって言うべきなんかなー
        (はぁ、と接敵から撤退まで押されっぱなしだった今回の戦闘を思い出してため息をつく)
        互いになー?未知の兵器やら戦術があるのは当然なんだけどなー?帝国の戦術やら兵器やらがなー…想像以上に殲滅戦に慣れてたっていうかなー
        (まぁ見てみろってー、と付け加えて今回の戦闘を記録した書類を投げ渡す。書面には戦闘の経緯と、帝国の戦術、兵器がびっしりと書き込まれている)
        あそこまで思いっきり負けるとは思ってなかったからなー…正直ちょい凹むんだー。マジでここも危ないかもしんねーぞー? -- リコ 2012-07-24 (火) 01:37:56
      • 確かに……中央が思っていたよりも西侵の速度が早いらしいですから。金属加工も知らぬ蛮族と侮っていた結果でしょうね……。
        (書類を受け取り、目を通す)……どうにも、歴史の上で侵略を繰り返してきただけある。
        よく、研究している内容ですね、これは。戦術には人間心理すら利用している匂いすらする。
        (危ないかも、と言われ)でしょうね。私が帝国の指揮官であると想定すれば、東ローディアを陥落せしめたあとは、直線で西ローディアの制圧に向かいますから。
        地図でも明らかなように、アルメナとウラスエダールによる挟撃が実現する前に、ローディアを叩きに来ることは自明でしょう。 -- フリストフォン 2012-07-24 (火) 01:46:14
      • やっぱー…そうだよなー?うちもどうにかして手を打たないとー…マジでヤバいんじゃねーかなー…
        (背もたれに身体を預けて天井を仰ぎ見る。言葉の割に口調に緊迫感は無い。いつものことではあるが)
        …噂のアンデッド兵?ってのもなー。何かあんまり役には立たなかったしなー…
        あれだなー。変に意識持たせたアンデッドとかー、意味ねーなー?
        (戦場で見た統一王朝の騎士のことを思いだす。大層な宣伝文句と裏腹に、いの一番にやられてしまった)
        東ローディアとの戦争ではそれなりに役に立ってたらしいんだけどなー…流石に統一王朝とかは時代錯誤過ぎるよなー? -- リコ 2012-07-24 (火) 02:02:56
      • (意識を持たせたアンデッド兵、と言われ表情を変えぬ裏で東の黒山羊が使役せしめた死体を連想する)
        (成る程。確かに……完全な駒として使用する方が、有用であったな。口の端を見えないように歪めた)
        誰にとっても、恐らくこの戦争の火蓋は寝耳の水だったでしょうからね。
        本来の力量が出せず、志半ばで死んだ者も多かったと思えば、誰がやられ誰が生き残ってもおかしくない戦いであったと思いますよ。
        ……中央も愚鈍の集まりではないでしょう。恐らくは何らかの対策を取るはずです。
        東ローディアも、防戦ではありますが後退しつつ防衛に務めている。悲観する材料ばかりではないと思いますよ(少しだけ嘆息し、茶を口にした) -- フリストフォン 2012-07-24 (火) 02:10:04
      • …だといーんだけどなー…(何度目か知れないため息をつき、出されたお茶を飲み干して)
        何かなー?こないだまで激戦地に居たからさー…こーやってお茶飲んでのんびりしてる此処もー、あんな感じになるんかーって思うとどうしてもなー
        (愚痴ばかり聞かせて申し訳ないという想いは一応無いではない。が、そんなことを言えるような性格でもないので言い淀む)
        ……つかだなー。お前は大して驚いたりとかー、慌てたりとかしてねーのなー?
        (この男の普段の性格からして、慌てふためいている姿というのがそもそも想像しづらくはあるが)
        (それでも此処まで落ち着き払っているのは少し驚きだった) -- リコ 2012-07-24 (火) 02:18:01
      • ……どうでしょうね。私は、あまり想像力のある方ではないですから。
        実際に戦乱の中に身を置いていた書記官とは、危機感に差があるのかもしれませんね……。
        あくまで、語った理論も論理も机上のそれでしかないと言われてしまえば、それまでだ。
        バルバランドの地震のように不確定要素が混じって来た場合、それを踏まえることはできても予測はできないですから。
        だから、何より情報を尊ぶんですよ。……私は想像力がない割に臆病ですから、予測と現実の差は、できるだけ縮めておきたい、そう願っているだけです。
        いや、これでは民や臣下にまたどやされるでしょうから、王が揺るがぬことが民の安心に繋がる、とでもしておきましょうか。 -- フリストフォン 2012-07-24 (火) 02:26:23
      • ふーん……そんなもんかねー。私は書記官だしー。王としてどうあるべきーなんてのは分かんないなー
        まー…情報が大事ってのは同意だなー。やっぱー、情報仕入れて動くのが一番だもんなー
        (にへ、とだらしなく口元を綻ばせる。情報が大事と言われれば自分の仕事が大事と褒められているような気がして嬉しかった)
        まーあれだなー!何かー、欲しい情報とかあったらー言えよなー?書記官様がー、色々教えてやっかんなー
        (得意気に語るが、機密保持の観点からどうなの、とかそういうことは考えていない。自分はあくまで記録するのが仕事だ)
        ……あ、そだ。お前暫く開けてたみたいだけどー。どこ行ってたんだー?
        遊びに…じゃない。視察に行こうと思ってたのにタイミングずれまくりだったじゃんかよー -- リコ 2012-07-24 (火) 02:34:36
      • それは頼もしい……是非とも。今までも幾度となく有用に活用させてもらっていますからね。
        (何処に、と聞かれて、一秒だけ思考を巡らせる)
        (手の指を膝の上で組み、小さく笑い)
        質問を質問で返そうかとも思いましたが、中々に意地悪な問題になりそうでしたので、趣を変えましょう。
        私には、グエスヒシュテン書記官女史もまた、物事に動じない人間であると認識しています。
        ですから、こう訪ねましょう。
        もし、仮に私が不在の期間、東方の前線に視察に行っていた、と言えば……驚いていただけますか? -- フリストフォン 2012-07-24 (火) 02:40:45
      • ………は?
        (彼女にしては珍しく素っ頓狂な声を出して目を丸くした)
        …あー……いやでもまーそれならまぁ…うん。成程なー
        いやなー?もうちょっとなー、今回の戦闘記録とかの情報にな?食いついてくるかと思ってたんだー
        実際そうでもなかったからさ。何でだー?とは思ってたんだけどそれならまぁ……いやでも、マジでー?
        (一人で頷いたり首を捻ったりしながら再度確認してみる。公主がわざわざ他国の戦争の前線になど、正気の沙汰ではない)
        (しかしながら、この男ならやってもおかしくは無いと思えてしまうだけの何かがあるのは確かだったし、そうだとしても受け入れられるぐらいにはリコの頭は柔軟であった)
        (深く考えないタチだったとも言うが) -- リコ 2012-07-24 (火) 02:50:26
      • 仮定の話ですけどね……あるいはそうであるかもしれないという可能性があるだけです。(肩を竦めて嘯く)
        元より、先程も言いましたようにこの防戦においては万全に力を発揮できぬ者も多いでしょうから、
        この時点で何が脅威かと序列を付ける必要がないと、個人的に思っているからかもしれませんね。
        例えば、開戦時において平面で戦場を展開する場合、帝国も中央から兵を送ることもないでしょう。
        今前線を作り上げているのは、地方を任された領主とその身兵であると予想されます。
        ですから、恐らく、西ローディアに向けて中央突破を行うその時にこそ、子飼いの強将を配置してくるのではないでしょうか。
        まああくまでこれは、予想の範囲内ですけどね。……戦場をこの目で見たわけじゃないかもしれませんし。 -- フリストフォン 2012-07-24 (火) 02:58:08
      • んだよー…かもしれないとかー、仮定の話とかややこしい言い方してさー
        (何だか上手い事煙にまかれたような気がする。仮定した上での推察の話だと前置きしてややこしくなる話に顔をしかめた)
        …まーいいやー。どっちにしろさー、私はちょっと不安なわけだ。というわけでなー?もっと私の気がまぎれるようにちやほやするといいぞー
        (何故突然仮定の話をし始めたのか。何故戦場の状況を見て来たかの如く言い当てられるのか)
        (色々と考えれば分かりそうな気もしたが、面倒だったので話を切り上げてお茶のお代わりを要求するリコであった)

        (後日、一人で考えてみてやっぱりアイツ前線行ってたよなー…?という答えに行き当たったが)
        (それ以上の情報も無く、だから何だということにしかならなかったので深く考えるのはやめておいた)
        (彼が何か考えを持って前線に赴いたのは恐らく事実であろうが、それは自分には関係ないだろう)
        (彼の考えがどう作用しようと、そこで起きたことを記録して報告すればいいだけだ)
        (かくしてリコは彼の重大な企みを知るチャンスをみすみす逃したのであった) -- リコ 2012-07-24 (火) 03:14:21
  • 【GA223/5末】 -- 2012-07-20 (金) 00:27:35
    • リコル・グエスヒシュテン書記官から拝借した資料の写しに目を通しながら、自室にて深く思考の海に沈む)
      (頬杖をつき、その一つ一つの数字の意味を内申で吟味しながら、論理と理論の狭間を揺蕩う)

      (間諜に調べさせたところ、存外に早くその名前には行き着いた)
      (各国の表向きの情勢が不安定な時分にあちこちを突くことで藪蛇を起こす真似をしたくなかったのだが、幸運は少しだけ味方をしたらしい)
      (敵の姿より異質な味方というものは、兵の脳裏に深く記憶として刻み込まれているらしい)
      不死兵団。馬鹿げているが、西ローディアの参戦者は皆口を揃えてその騎士団を冗談のような名で呼んでいるらしい) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 00:34:48
      • ……馬鹿げているな。
        (直接その目でその事実を見たもの以外は皆そう思うのも無理はないだろう)
        (将にとって理想の兵は「自身で考え、主にとって最適な解を齎す兵」であるが、その次に重宝されるのは「勤勉な無能」、所謂「命令に従う傀儡」だ)
        (その顕現であるかのような振る舞いと居姿は、スリュヘイムという国の歪みの体現のようで、口元が嗤いの形を取ることを抑え切れない)
        (誰に見られているわけでもないが右手で口元を覆い、思考に耽る)
        (北の蛮族や南の汚染者に差別意識はないが、なんとも、国の歪みというものはそのまま施政者の思考にまで反映されるのかと暗い嗤いが灯った) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 00:42:47
      • (何にせよ、表向きに同盟関係にある内はいいが、いずれアレは脅威となり得る。利用することこそあれ、手駒とするにはリスクが大きすぎる)
        (優れた衝撃というものは周りに余波や波及を残さないように、過ぎた力は要らぬ破壊を齎す)
        (例えその技術が手中に転がり込んできても、恐らく使用できうる場というものは限られてくるだろうし、それは手を汚すという大きなリスクを孕む)
        (場を構築する物、災害のようなものであると認識して、結果だけを簒奪するように動く程度に留めておくべきだろう)

        ……これを、事前に知れたことは大きな収穫ではあるがな。
        (グエスヒシュテン女史は王室子飼いの名門書記官の家計であると聞いているが、その立場は中央の王室内では低いらしい)
        (情報を統括し、引き出すことが出来るという事の重要性を理解していない者が多いか、あるいは理解しているからこその処置だろうと思う)
        (他者が羨む物は自分も欲しいと感じるのは、貴族であろうが庶民であろうが同じことだからだ) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 00:51:06
      • (彼女とのパイプという物は、自分にとっては現在の不安定な情勢の中では思った以上に重要なウェイトを占めている)
        (何がそこまで重要たらしめているかといえば、彼女は入力は受け付けても出力する機構が備わっていないからだ)
        (生まれが書記官であるならば、生き方も書記官であるという徹底した姿勢が、何より好ましい)
        (武器職人というものは自身の武器の威力を本当に理解していないほうが、無慈悲で残酷な殺戮兵器を生み出すというものだ)
        (情報という武器を収集することはあっても使用することがない彼女は、私にとって、西ローディアにとって要の武器庫であると言える) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 00:54:47

      • 生まれが、生き方を決める、か。
        (思考が、思考を引き連れてくる)
        ヘルガ・ブロムベルグ?アリシア・フロフレックという西ローディアの騎士二名を思い出す)
        (両者は同じように私の、戦う理由、ここに騎士としている理由はという問いに、家名という答えを返してきた)
        (西ローディアには封建社会が根付いて久しい。連綿と続いている騎士階級や貴族階級が背負う家名には、他国よりも重い意味を持つ者が多い)
        (自分もまた、この西側諸国を収める公爵家の名を、後天的ではあるが背負わされていることが、少なからず自分をこの土地に縛り付けていると言って過言ではない)
        (共感をすることは本質的にはできないかもしれないが、理解することは容易い) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 01:00:13
      • (全ての理由を自己に求める自己中心的な生き方と同じくらい、その理由を他者に求める生き方という物は楽なものだ)
        (与えられた価値観に阿る事は明確な基準を与えてくれるし、何よりその後ろ盾が騎士公各位自身の安定を盤石な物とする)
        (私が私の生き方しか出来ぬように、彼女たちもまたその価値観の上にしか存在できない鎖が、彼女たちの指向性を決定する)
        (剣という物は歪曲しているほうが傷の治りが遅いものだが、この国の剣は直刃の物が多い)
        (同じようにこの国の騎士も、騎士道という直線を以って生き方を決定している者が多いことは、私としてはとてもやりやすくはある) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 01:04:02
      • (彼女たちは騎士にしておくには惜しいと感じるほど、美しい見目を持つ。恐らく、戦場に於いてそれは華となり、市井に於いては花となるだろう)
        (騎士としての生き方を選んだ彼女達にとっては皮肉な話だが、美醜というものはどちら側に傾いていようが永遠に背負っていかなくてはならない業のようなものでもある)
        (国が直線を欲するように、また国民も直線の生き方を欲するのであれば)
        (彼女たちが功を成すことも、あるいは戦場で美しき死を遂げることも、何もかもが施政者にとっては都合のいい一流の食材であると思う)
        (中央の執政官がそれを見越して登用や叙勲を行なっているのだとしたら……西ローディアは暫く盤石であるであろうし、互いの退屈を埋めるいい酒の肴になりそうではある) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 01:09:20

      • (最後に)
        (今しがた西側の諜報が報告を寄越した書類を机から拾う)
        (ここより遥か東。大爛帝国にて西侵の気運が高まり、大号令にまで発展しているとの報だ)
        (遠い血の戦の始まりが、静かに自身の血を全身に巡らせる)
        (恐らく、私の存在は、この為にこの位置に配置されたのだろう)
        (で、あるならば、国という単位で思考を巡らせると、各国の思考が詳らかになっていき、何とも皮肉な絵図を描いている)

        誰が描いたか知らぬが……退屈な演劇と台本だ……。

        (口の端を持ち上げながら嘯く)
        (今はまだ――退屈は部屋の中に横たわっている) -- フリストフォン 2012-07-20 (金) 01:17:02
  •  
  •  
  • (チェス盤を前にして思考に耽っていた。無骨な指先が駒の頭を撫でるが、視線はどこか遠くを見る)
    (東方遠征はやはり戦争の密約と合意を得る為であり、それだけは何もかも予想通りだった。ブレストンが言うように茶番の一幕ではあるだろうし、それぞれが己が利益のために進んで血を流す戦いが始まるだろう)
    (騎士や諸侯は名を上げるため、貴族家族は懐を肥やすため、兵や民は自らの身を守るために剣を取る)
    (何の利も存在しない争いがこの世にないように、今回のそれもまた多数の意図によって編まれた錯綜した思惑で形作られることだろう) -- フリストフォン 2012-07-16 (月) 11:15:42
    • (ただ、そうであるならば、西方の兵まで強権で以って中央に招集が掛かる理由とは何だ)
      (異例とは言わないが、今回はあまりにも規模が大きすぎる。真相を確かめるべく西方王族に随伴すらしたものの、密約も合意も今まで数多く行われていた戦争と何ら変わりはない)
      (あるいはそれは、地方統括を任じられている自分や、引いてはその監視のために置かれている王族すらも傀儡であるかのように手引きする、もっと上位の存在の思惑が場を支配しているのではないだろうか)
      (東ローディアとの戦役に関して最も被害が少ないであろう連合王国の西から兵を奪うことは、王族や諸侯にとって「不自然ではない程度に説得力があるという違和感」が存在する)
      (誰もが首を傾げながらも異を唱えられるほどの暴論ではないことを理解できる、ぎりぎりのラインだ。そのラインを見極められる大きな思惑が介在しているとなれば、それは先見視に長けた存在であり)
      (その長けた先見視にて何を見たのかは、暇に明かしている今だからこそ考えておくべきではないかと思った) -- フリストフォン 2012-07-16 (月) 11:21:57

      • (仮に、中央に召し抱えられた大勢力を以って東ローディアを駆逐する策略であるならば、方々の貴族や諸侯が今までと変わらず合意を以って戦争に臨むというのはおかしいはずだ)
        西方地域を二分する理由がない。名前ほどの繋がりは薄いとはいえ、神国と神聖国の繋がりは今も表面上は友好関係にあり、この度も戦役を前にした臨時協定によって結ばれるだろう)
        (完全に東を欺く形で西ローディアがその地域を侵略するのであれば、スタートラインに各国が立つ愚を犯すわけはない)
        (国は愚者でも動かせるが、馬鹿では動かせない。自らの利も理解できないような者が大きな意思を伴って何かを決定しているとは考えにくい)
        (何より今開戦すればおそらくはウラスエダールを巻き込んで西方を二分する泥沼の戦争に発展する)
        (そこには誰の利も存在せず、各国が疲弊するだけであることは、恐らく私などでも思いつくくらいだ、その決定が自己の利に直結している者達が読み違えることはあるまい) -- フリストフォン 2012-07-16 (月) 11:29:26
      • (では、東ローディアの策謀である可能性はどうか。あるいは、考えられないこともない。東ローディアの後ろには帝国が存在している)
        (そして西ローディアからは東ローディアがフィルタとなってその動きの全てを掴むに至ってはいないはずだ)
        (東ローディアが帝国を味方につける、という可能性は考えられなくもないが、それ以上に考えうるのは帝国が東ローディアの内部に深く食らいつき、内側から食い荒らしているという想定だろう)
        (この図式であれば、恐らく帝国は東ローディアを盾にした状態で侵攻をしてくるだろう。この勢力に対抗するためというのは、中央に兵を招致する十分な理由になりえる)
        (帝国がどのような思惑で西方に侵攻してくるかは私の知ったことではないし、知りたくもない思惑だが、国の現状を鑑みた時のとりあえずの筋は通る) -- フリストフォン 2012-07-16 (月) 11:34:48
      • (ただ、そう考えた場合、東ローディアにわざわざ赴き肌で感じた空気や、ブレストン候の態度にどうしても違和感を覚える)
        (暴や智の力によって押さえつけられているようには見えなかったし、財を使うほどの行儀の良さは、あの蛮国にはあるまい)
        (だとするなら、東ローディアがすでに帝国の傀儡であるという可能性も消える)

        (いくつか想定する盤上に思考を零したが、どれも明確な形にはならず盤上を水で濡らすだけだった)
        (盤上には思考によって流された駒たちが盤から去り、相手の王をむき出しにしていた)
        (盤を反転させ、むき出しの王を手前に持ってくる)
        (さながら、今の私の状態はこれに似ている。戦場からは遠いが、中央によって軍力のほとんどを奪われ、身動きの取れない牛歩の王) -- フリストフォン 2012-07-16 (月) 11:43:12

      • もし……事を運ぶ必要があるのだとしたら。
        二枚、いや……三枚は欲しい、な。

        (東方のチェスは相手から奪った駒を使うことができるらしい)
        (なんとも残酷で、単純美化された戦争だろうか)

        ――汚れることを厭わない『塔』。
        ――武力の顕現としての『騎士』。
        ――象徴として、プロモーションが可能な『兵』。


        (1つずつ、自らの『翼将』となる駒を盤上に並べる)
        (小さく嘆息して、チェス盤をそのままに自分の席へと戻った)
        (今自分が見通せていない何かが起こるのだとしたら……あるいは、自分の退屈も埋めてくれるのだろうか)
        (そうであれば、幸福な話だ。夢物語を机の下に投げ、退屈王は雑務の処理に戻った) -- フリストフォン 2012-07-16 (月) 11:51:17

Last-modified: 2012-09-03 Mon 09:56:53 JST (2862d)