私の家は魔術の名門。数々の大魔導師を輩出している
お父さんとお母さんも大魔導師。当然その子供は期待されて。
才能は、あったんだ。類稀なる支援・補助魔法の才。
どれほど学び、鍛えても辿りつけないほどの素質を持って私は生まれた。
私の魔法にかかれば子猫は虎のように力強く、鳥はまるで弾丸のように飛べる
でも、神様ってケチだね。それ以外の魔法の才能はくれなかったんだ、ひとつも。
「エスリー、お前は初歩の火球も出せないのか。本当にフォルワードの娘か?」
「あなたは本当にダメね、エスリー。治癒魔術なんて練習する程の事じゃないのよ」
「エスリーだ!あいつと遊ぶと魔法使えないのが感染るぞっ!逃げろーっ!」
「かわいそうに…」「長女があれじゃあねえ、同情するよ」
「里子に出すのかい?」「次の子はマトモに生まれてくるといいね」
「どうして出来ないんだ」
ちがうよお父さん。私出来るよ。
「どうして出来ないの」
見て、お母さん。私の魔法を
「「氷の礫は?解毒術は?土塊の壁や光源生成、動物使役は?」」
「「念話は出来るのか??水をせき止め、雨雲を呼び寄せる事は?」」
それは
「「エスリー、やっぱりお前は何一つできないじゃないか」」
「「こんな子がフォルワードの家に生まれるなんて!」」
私は何も出来ない。
何の魔法も使えない。
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