《 ス リ ュ ヘ イ ム 汚 染 公 領 》
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

領土
 
 
 

南西部の魔術汚染地域と入江、砂漠、山岳地帯が母体。
最後まで統一王朝に抵抗していた民族の末裔であり、
可住地を追われてこの僻地にまで追いやられた過去を持つ。
魔術汚染は原理のよく分かっていない現象だが、
マナの汚染によって生まれる世界の悪性変異であると伝えられている。
魔術汚染に長く触れていると奇病、身体の異形化などの変異に侵され、最終的には死に至る。
しかし、魔術汚染下でしか採取できない作物や鉱物なども存在している。
 

平地や森林が少なく、山の壁面に壇上の町や道をつくって生活している。
上層に貴族などの支配階級がくらし、中層に中産市民、治安の悪い下層には下層民が住んでいる。
 

また、公領民達は自らの土地のことを「公国」と称しているが、国際的には認められておらず、
外の人間からも公領と呼ばれているため、ここでも公領と記述する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

産業
 
 
 

魔術汚染を受けている地域のため、様々な魔石や鉱物が多く産出する。
特に銀や銅などの貴金属が非常によくとれ、硝石や石炭などの燃料も多く産出する。
また、海外由来の魔導製鉄の技術を持っており、西の中でも一風変わった冶金技術を持っている。
そのため、西の国々の中で唯一真鍮を作ることが出来る。
 

特産品としては、魔術汚染地域からのみ産出する特殊金属の1つ、オリハルコンがあげられる。
ここで定義されているオリハルコンは極濃の魔術汚染地域から少量産出される希少金属であり、
特性として高い硬度と異常なほどに高効率の魔力伝導率を誇っている。
また、完全な断熱性を持っており、如何なる炎でも焼かれず、如何なる風雪によっても劣化しない。
本来なら加工できないほどの強度を誇っているにも関わらず、
高い魔力伝導率から魔術による加工のみ可能であり、
西側では魔導製鉄の技術に精通したスリュヘイムのみが扱うことができる。
オリハルコンのみここでは解説したが、魔術汚染地域から産出する特産品は他にも無数に存在している。
 

また、西側で唯一火薬の精製法を知っており、死体から硝石を取る方法なども知っている。
マスケット銃の生産なども行っている。公領軍では標準装備の一つである。
これらを交易で輸出し、外貨に変える事で足りない食料や物資を他国から買い上げて補っているのである。
 

山岳の絶壁などに建造物を作る関係から物理学や数理学に精通しており、
バリスタや遠方投石器などの器械製造にも長けている。
入り江という特殊な環境を支配している関係で治水にも長けており、
運河の開削技術や灌漑用水を溜めるための貯水湖なども効率的に管理している。
 

反面、食産は魔術汚染の関係もあって壊滅的であり、食料自給率は実に20%をきっている。
そのため、食料は輸入に頼るほかなく、長い距離を輸送されて届く関係から乾燥した保存食が主である。
そのような食糧事情背景が存在しているため、
公領民は慢性的な栄養不足に陥っており、平均寿命の低下を招いている。
疫病も慢性的に蔓延っている。
公領では生鮮食品は非常に貴重で高価なものであり、もし腐らせず、
加工せずに持ち込むことが出来るなら高値で取引される。
 

魔術としては数秘術とネクロマンシーに長けており、ゴーレムやアンデッドの生産、販売なども行っている。
 
 
 

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これはスリュヘイムにいつか存在している大型魔導炉の一つで、
魔導製鉄やゴーレムの生産などに使われる。

かつてスリュヘイムが名も無き未開の地であった頃、
未開の汚染地へと追いやられた人々と魔導師が
築いたとされている柔らかい金属で出来た炉の一つ。
人や大地の資源をもって駆動するこの炉は
それに換わる"何か"を大地へと産み堕とす、
この炉の力によりスリュヘイムは繁栄し、
そして渇いてゆくのである。
なお、魔導炉は小型のものもあり、
自宅の工房にそれらを設置している技師なども存在している。
 
 

『 炉が掲げるはまだらの蛭、

    そは世界の血肉もて渇きの水を産み堕とさん 』

          〜 求道の導師 カ・イン の予言より 〜
 
 
 
 
 
        《 大 型 魔 導 炉 》   

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

歴史・文化
 
 
 

産出する資源が基本的にそのままでは使えないものばかりなため、
海外からそれらを扱うための学問体系を輸入し、学者を数多く誘致している。
そのため、公領は西側錬金術発祥の地であり、理系学問の最高峰である。
 

また人口が少なく、人も魔術汚染や疫病、竜害などでよく死ぬので慢性的な労働力不足に見舞われている。
そのため、その労働力の不足を補うためにゴーレムの作成技術と死体を働かせる技術、
即ち、数秘術とネクロマンシーが発達した。
なので公領では死体にすら市民権が与えられる。
逆に言えば死して尚休むことは許されない。
公領では死は労働を休む理由にはならないのである。
それらの死者利用の関係や、魔術汚染の影響で妙な見た目の領民が多いため、亜人なども特に差別されない。
吸血鬼やオークやゴブリンなどの魔族ですら公領に不利益を与えないのなら問題なく出入りが許され、
申請すれば市民権すら発行される。
外洋交易の関係で海港を多く持ち、様々な異人種や別の種族と触れ合う機会が多いからという理由もあるが、
統一王朝時代に自分たちが迫害された歴史をもっているからという理由もある。
 

また、公領では魔術汚染は空気汚染の一種であると信じられており、
ガスマスクによってそれらを防ぐことができると考えられている。
公領では外に出歩く際にガスマスクをつけることは常識であると同時にオシャレでもあり、
公領のガスマスクはさながら舞踏会の仮面のように意匠を凝らされたものから
機能性重視の無骨なものまで様々なデザインが多彩に存在している。
いまやそれは公領特色の文化として育ちつつある。
 

しかし、知識階級にはわかっていることなのだが、
魔術汚染がガスマスクによって防げるというのはまったく何の根拠もない迷信であり、
実際の魔術汚染防止効果は皆無である。
 

都市部と違い、一大交易地である入り江の海港などはある程度活発で快活な空気が保たれており、
様々な異文化、異人種、異種族が交わるそこは独特な文化体系を築きあげている。
波打ち際では船乗り同士であることを簡単に確認するために
「君の帆に良き風が吹かんことを」と言う特別な挨拶がある。
これにたいしては「波間の囁きに気をつけてな」と返すのが正解であり、
それ以外の返事を返すと余所者であるとみなされ、市場で吹っ掛けられたりする。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

施政
 
 
 

基本的にはスリュヘイム大公爵による独裁だが、大公爵は昔から最終決定権を行使するだけで、
基本的な行政は取り巻きの貴族や大商人達の集まりである、公国評議会に任せている。
また、評議会も決定しているのは行政部分のみであり、立法は基本的に行われず、
司法は大公爵が定めた公国法と呼ばれる1024条からなる厳格な憲法によって取り仕切られている。
 

そしてその公国法を執行するのは意思のないゴーレムやアンデッド達である。
感情を差し挟まない彼等の無機質な判断こそが真に公正な判断であると公領では信じられており、
誰もそれを疑っていない。
事実、公国法を執行する司法局のゴーレムやアンデッド達は
たとえ大貴族だろうが公国法に違反していると判断すれば躊躇なく極刑に処す。
相手が乞食であろうと貴族であろうと、彼らには関係のないことなのだ。
 

しかし、それらの苛烈な司法体制以上に印象的な施政が公領には存在している。
それが水による恐怖政治である。
公領では水は飲料であることは勿論だが、同時に資源でもある。
工業の発達した公領において水は他国のそれ以上に高い価値を持っているのだ。
そんな水の供給源である山上の大水源及び国内の運河を管理しているのが大公爵であり、
それらに続く水門の開け閉めは大公爵及び公国評議会の意向で全てが決まる。
公国では上に逆らえばすぐさま水門が操作され、反逆者への水の供給を止めてしまう。
そうなるとその反逆者はもちろんのこと、
その反逆者の周囲及び下層にいる人間すべてへの水の供給が滞ることになり、
すぐさま反逆者は周囲の住民の協力によって燻り出され、司法局に突き出される。
かくして、公領の人々は互いに疑心を抱き、
それ以上に警戒心を抱くことで自衛意識を高めると共に反逆の芽を摘み取られているのである。
 

また、それらの関係から水源地に近く、
水門による節水制限を受けにくい上層に行けばいくほど土地の値は跳ね上がり、
その値を払えるだけの上流階級のみが居座るという図式になる。
かくして公領の市民階級は都市部下層にいけばいくほど、治安も市民の生活も悪くなっていくのである。
 
 
 

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スリュヘイムの最下層民。
深刻な汚染地区で暮らす彼らは
汚染により生まれる異形や奇病から身を守るために
地下で暮らしているといわれている。
 

その地下で、貧困の地獄で何が起きているのかは
……外では余り知られていない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
      《 共 喰 ら い の 最 下 層 》  

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

汚染公
 
 
 

『 汚染公 』、スリュヘイム大公爵………
 

公領の支配者といわれている人物だが、その姿を見たものは中産階級以下には存在せず、
上層貴族ですら極一部の選ばれた者しか謁見することは叶わないといわれている。
公の場に出てくることもなく、ただ無機質に行政の是非のみを決し、その証もまた紙面の筆跡でのみ確認される。
また、遡れば200年以上前の統一王朝時代から
汚染公という称号は存在しているが、代替りしたという話も聞かれていない。
そのため、実在を疑われている人物であり、大公爵は評議会の作り出した架空の人物であると謳う者たちもいる。
逆に、大公爵に出会ったと主張するものたちもいる。
彼らの中には大公爵は不死身の怪物であると主張する者もいれば、
大公爵は統一王朝によって作り出されたオリハルコンのゴーレムであると嘯く者もいる。
果ては大公爵の正体を探ろうとしたものは抹殺されるなどという都市伝説まで出回る始末である。
無論、どれも真相は定かではない。
 

汚染公という称号は蔑称ではなく、汚染を治める者という意を持つ尊称であり、
大公爵という地位はかつての統一王朝から下賜されたものである。
汚染公のことでわかっていることは、
初代の汚染公自身はかつてこの地が統一王朝に下った際に統一王朝側から派遣されてきた人物であり、
原住民ではないということだけである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

経済
 
 

貴金属、魔石、燃料、加工金属などの輸出により財を成している。
食料自給率は実に20%をきっているため、交易なくして公領の運営は立ち行かない。
陸運に力を入れる王国とは異なり、海運に力をいれている国であり、
他の西の国々が国交を持っていない様々な国と国交を持っている。
 

諸外国の通貨が乱雑に入り混じっており、公領特有の通貨というものはない。
様々な国の通貨が両替の手間なく使用できるため、この地を拠点にして活動する海運商は多く、
当然、為替で儲けようとする山師や両替屋なども多く点在している。
しかし、一番公領で力をもっている通貨は王国製の通貨であるため、経済面では王国の属領ともいえる。
だが、それを逆手にとった公領側は牽制の為に王国通貨の買占めを行っており、
実に全体流通量の25%前後の王国貨幣を公領が所有している。
無論、その影響で王国とは仲が悪いが、
お互いに必要な物資をお互いが持っているため、高い関税をかけながらも互いに交易を続けている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

軍事
 
 
 

人口が少ないため、正規軍の規模自体が他国に比べて少なく、
その不足を補うために財力を活用して傭兵を多く雇っている。
長期契約を結んでいる外人傭兵を多く擁しているため、
実質的な公領軍本隊は彼等傭兵達であるといっても過言ではない。
 

正規軍は傭兵部隊の半分ほどの規模である。
また、人間は貴重な汎用労働力であるため余り配備されておらず、
その兵力の大部分をアンデッドとゴーレムに頼っている。
ネクロマンシーにより強制蘇生されたアンデッド兵士は不死兵と呼ばれる。
また、不死兵の中には生きたまま殺される高級なアンデッドも存在している。
人間の軍人はそれらを使役する魔術師と作戦指揮をする士官が殆どであり、兵士の数は多くない。
人間や亜人の前線部隊に至っては志願者のみである。
 
 
 

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この不死兵は前述した高級モデルの生ける屍タイプである。
 

スリュヘイムでは人的資源がもっとも貴重な存在であるが、
戦となるとゴーレムだけでは不可能な判断を行う為、
人間を消費する必要が出てくる。
 

彼らは戦の場において " 不要な恐怖 " の排除と
" 必要な不死 " を与えられた生きた死者達である。
幾何度死のうとその身に纏う鎧呪が彼らを動かし、
凍れる思考の元に敵を撃ち殺すだろう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
          《 不 死 兵 》   

 
 
 

正規軍の標準装備としては銃剣付きマスケットもしくは長槍、スコップ、チェインメイルなどが主である。
ただし、公領のマスケットは手作業で量産している関係もあり、
個体差が激しく、命中精度は最悪である。無論、単発の弾込め式なので連射もできない。
そのため、これらのマスケットで狙いを定めることに殆ど意味はなく、
10m以下の至近距離から密集して一つの対象に撃つ場合のみ効果が認められる。
代わりに威力は絶大であり、当たれば一撃で騎馬を沈黙させ、重甲冑を貫く。
防衛戦において威力を発揮する武器であるといえる。
 

公領軍の火砲やバリスタは他の国のそれより遠くまで届くことで有名である。
物理学を学ぶ故に弾道学を理解している彼らは非常に効率的かつ科学的に器械兵器を運用することが出来、
それらの強みから少勢でもなんとか列強に名を連ねることが出来ている。
 

公領の基本戦術は火砲、バリスタ、投石器などの支援を受けながらアンデッド部隊が突撃を敢行し、
その後にゴーレムを率いて傭兵部隊と正規軍が雪崩れ込んで
敵兵の死体をアンデッド化させて使役しつつ制圧を行うというものである。
ただ、物量が圧倒的に不足している公領軍はその兵力の多くを
金だけの繋がりの傭兵と人形同然のアンデッドやゴーレムに依存しているため士気が低く、継戦能力に乏しい。
そのため、短期決戦か、要塞などから支援と
補給を受けつつ戦える防衛戦以外の戦術をとることができないという、大きすぎる欠点を持っている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

外交
 
 
 

陸運は王国に、内海交易は神国にそれぞれ牛耳られているため、公領では外洋交易が主である。
公領から輸出される商品は軽く小さな貴金属が殆どであるため、
小型の高速船でも一回の航海で十二分な利益が出るのである。
外洋には巨大なサーペントやクラーケンが頻繁に出没するため、
大型船では遭難して商品を失った際のリスクが大きいせいもある。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

交易国
 
 
 
 

ローディア連合王国
 
陸路にて交易。王国主体の交易体制であり、公領側は余り得をしていないが、
陸路でつながる国が王国しかない上、貴重な食産国であるため、長く交易を続けている。
 
 
 
バルバランド協定連盟
 
全体ではなく、海辺に住んでいる一部の部族と海路にて交易している。
主に鉄を輸入し、かわりに此方は貴金属、魔石、火薬などを輸出している。
 
 
 
アドラフリューグ
 
海路にて交易。
シュレースブルグにいくつかのギルドを配置しており、北海交易の拠点の一つとしても利用している。
テクサン銃は公領で使われているマスケットの原型になったものであり、
火薬の製造技術なども大元を辿ればこの国から輸入したものである。
主にヴルストをはじめとした保存食の他、ヨーレン・クラフトなどの工芸品を転売目的で輸入している。
無論、すべて転売するわけではなく、いくつかは公領貴族達の手元に美術品として残る。
特にヴルストは公領では定番の肉料理として人気が高い。
公領では魔術汚染の影響で普通の肉は殆ど産出しないのである。
また、シュレースブルグでは海産物を食べる習慣があまりないので、
漁港をアドラフリューグ政府に申請して設置しており、そこで取れた海塩や海産物を逆輸入している。
かわりに此方は貴金属、真鍮、魔石、そして鉱山作業用のゴーレムを輸出している。
 
 
 
ウィトゥルス半島
 
海路にて交易。
カポリにいくつかのギルドを配置しており、南海交易の拠点の一つとしても利用している。
十字教の教義から忌避されるアンデッドを使役している関係もあるため、ロツィなどには余り近寄っていない。
主には半島で豊富に取れる食材から生み出される多彩な保存食を大量に輸入しており、
半島の保存食は公領では一般的にも馴染みのある食材として愛されている。
そのほか特産品であるロツィアン・グラス、ミラス貝、ザルディナ織などを転売目的で輸入している。
無論、すべて転売するわけではなく、いくつかは公領貴族達の手元に美術品として残る。
反面、蜂火薬や聖銀などはカタログスペックが信頼できないという理由であまり輸入していない。
此方からは貴金属や真鍮を主に輸出している。
 
 
 
クァクキングダム
 
国単位ではなく、船乗りや商人たちの一部が個人的に関係を持っている。
主に沈没船の積荷をサルベージするために彼らと取引をする。
貨幣制度の存在しない彼の国とは通常の取引が出来ないため、
取引の形は区々であり、商品について特筆できることは余りない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Last-modified: 2012-07-11 Wed 23:43:31 JST (2712d)