《 大 爛 帝 国 》
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 

領土
 
 
 

大陸東部の広大な高原地帯を母体としており、その他北部には山岳、東部には丘陵地帯、南部には森林地帯が広がっている。
 

元々は幾つもの国や部族に分かれていたが、幾たびにも渡る戦乱の結果、統一された。
地図上に表記された国土も帝国の広大な領土の一部でしかなく、北部や東の海の向こうにはさらに領邦が広がっている。
東の海に浮かんでいる島々もほぼ例外なく帝国領である。
 

それぞれの土地が固有の特色や産業を持ち、その結果得られる特産物を国内交易で循環することで帝国全土に益を広めている。
北部、西部は西側の平均的な土地よりも寒冷な高原地帯であり、農耕に適さない代わりに放牧や狩猟に適している。
南部、東部は東の海より吹き込む季節風のお陰で西側よりも若干暖かく、湿気の高い土地柄であり、それに伴い大地も肥沃で豊かである。
そのため、農作に適している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

産業
 
 
 

主に食産は狩猟による畜肉、大規模放牧による酪農畜産及び稲作など。
特に寒冷で乾燥している北西部では放牧を利用した三圃式農業、
年間降雨量が多く比較的高温多湿な南東側の土地では年間を通して農作が可能であるため、小麦、根菜類、稲、牧草及び香草類による輪栽式農業が主流である。
ただし、疫病伝染による飢饉に耐えるため、作物は地域毎に品種の違うものを幾つも育てている。
品種の違いによって商品価値なども変わってくるため、流通による市場活性化の意味合いも含まれている。
 

鉄が殆どとれないかわりに天然水銀がとれる。
水銀は魔術の触媒や武器として使われる他、砂金採掘の媒質、もしくは薬剤として使われる。
薬剤としての主な用途は塗料、消毒液、堕胎薬など。
なお、堕胎薬として使用することは極めて危険な用途であるため、一般的には禁忌とされている。
東側は西側よりも化学的に発達した土壌にあるため、水銀の毒性は広く認知されている。
具体的にいえば有機水銀の極めて高い毒性などは最早常識の域である。
また、硝石、硫黄などの天然資源も非常に多く産出する。
そのため、火薬の精製は勿論のこと、強酸(硫酸、硝酸、塩酸など)の精製法なども知っている。
これらは純粋な武器利用のほか、獣骨武具の加工、人相整形、拷問器具、魔術触媒として用いられる。
 
 
 

               一見金属質にみえるが、これらのほぼ全ては有機物によって作られている。
 
                         《 化 学 的 に 加 工 さ れ た 獣 骨 武 具 》  
 
 
 

林業も非常に盛んであり、荒野や砂漠などの緑地化運動にも力を入れている。
帝国では林は育てるものであるという概念が浸透化しており、伐採した森林跡は放牧地にして土地の地力を回復させたのち、
計画的に植林して再生させている。
そのため、帝国の林業地帯は伐採地・放牧などに使われる平地・植林地と宛ら縞模様の森林地帯が形成されることが多い。
 

鉄が殆ど採れない帝国では武具は獣皮、魚鱗、獣骨、石器がいまだに主流であり、生産の安定しない石器よりも動物資源が重宝されている。
そのため、中・大型動物(西では魔物と呼ばれるような存在)を多く飼育することでそれらの骨を武器にしている。
無論肉は食用になる。
帝国では動物資源の徹底利用が基礎として定着しており、飼育されている動物は数限りなくいる。
 

特に帝国各地でよく見かけられる動物を以下にあげておく。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

用畜紹介
 
 
 
 

・ 馬 ・
 
軍用、乗用、食用、農用と幅広く使える汎用動物。
帝国で最も多く飼育されている動物の一つ。
主に弓騎兵や軽装歩兵が乗るため、機動性に富んだサラブレッドなどの軽種が広く飼育されている。
 
 
 
・ 犬 ・
 
太古の昔より人類に飼育されてきた動物。
人によく懐き、飼育しやすいため、軍用、食用、愛玩用と幅広く飼育されている。
帝国で飼育されている犬の多くは原種である狼に近い大型種であり、高い白兵戦闘能力を有している。
ごくごく一部では大原種である、全長3mを越える大狼、山犬などを飼育している部族も存在する。
 
 
 
・ 牛 ・
 
食用、農用、乗用、乳用、薬用として使われる。
帝国では牛角も加工して武器や薬として扱うので角がついたままの野生に近い牛が飼育される。
糞も燃料や肥料として使用できるため、大事にされる。
 
 
 
・ 猪 ・
 
食用、薬用として使われる。
非常に生命力が高く、繁殖力の高い動物であるため、他の家畜を放牧する前に土地の安全性を確認するために放牧されることもある。
猪を放して猪まで死滅するような土地は間違いなくそのままでは使いものにならない土地だからである。
その場合は無論、開発が行われる。
凶暴かつ危険な動物であるため、飼育は複数の強靭な屯田兵によって行われる。
かわりに肉は非常に美味であり、また、脂肪は油、骨や内臓は薬、毛皮、骨、牙は武具として利用される。
帝国では放牧の習慣があるせいか、豚は飼っていてもすぐに野生化して猪になってしまうため、最初から猪を飼育している
牙や毛皮を利用するからという理由も当然ある。
 
 
 
・ 羊 ・
 
食用、乳用、脂用、羊毛用として使われる。
魔術儀式の生贄としても頻繁に利用される。
固い草や木の芽も根こそぎ食べるので除草獣としても利用される。
 
 
 
・ 象 ・
 
西側の一部ではモンスターとして扱われている巨大な草食動物。
帝国南部ではその巨体から軍用としてのほか、農用、もしくは乗用として扱われる。
非常に知能が高い動物であり、巨獣の中では飼いならすことが比較的容易で、人にもよく懐く。
有用な動物であるため、終生大事に扱われることが多く、食用にされることはあまりない。
繁殖が緩やかであり、飼育に時間がかかるという理由もある。
ただし、その骨は資材としては勿論、仙薬としても重宝するため、死体は高値で取引される。
特に象牙は非常に高価である。
 
 
 
・ 大 山 羊 ・
 
西側ではモンスターとして扱われる猛獣。
西側ではレッサーバフォメットと呼ばれる。
農業大国としての側面も強い帝国にとって、
木の根まで根こそぎ喰らってしまう野山羊の存在は無視できるものではなく、害獣として認知され、古来より駆除・捕獲されてきた。
主に乳用、食用、皮用として飼育されているが、
山岳部での悪路走破性と膂力では馬を上回る性能を持っているため、一部の部隊では軍用として飼育されている。
しかし、非常に気性が荒いため、乗りこなせる兵士はそれほど多くない。
 
 
 
・ 鵬 [ おおとり ] ・
 
西側ではモンスターとして扱われる怪鳥。
西側ではロック鳥と呼ばれる。
帝国では非常にポピュラーな養鳥であり、帝国中で飼育されている。
帝国で鳥肉といえばだいたいはこの鵬の肉のことである。
全長3mほどの巨大な鳥だが、人を乗せることなどは出来ない。
野生の鵬は当然空を飛ぶが、帝国で飼育されているものは風切羽を落とされるので飛べないものが殆ど。
飛べない鵬は骨、肉、羽毛、卵に至るまで徹底的に利用される。
肉、卵は当然ながら食用、また筋などが弓の弦などとしても扱われる。
卵の殻も砕いて塗料や薬などに使われる。
巨大な骨は武具として加工され、羽毛は耐寒具や寝具、または弓の矢羽として加工される。
特に風切羽をつかった矢は非常に遠くまで届くため、珍重される。
 
 
 
鵬の頭蓋、鵬の弓を装備した弓兵。
 
 
 
軍用の鵬は飛行機能を持たされたまま伝書などの通信手段として主に用いられる。
一部の部隊では爆薬を持たせて爆撃させることもあるが、爆薬を投げ込むだけなら投石器で十分であると考えられるため、あまり用いられない。
軍用に訓練された貴重な個体を失うリスクを避けたいという考えもある。
また、鵬の最大の特徴として雌は水銀に対する高い耐性を持つという点があげられる。
鵬は摂取した水銀を肝臓に溜め込み、一定量ためこむと卵の外殻として排出するため、鵬の体内には残らない。
水銀を多く含んだ鵬の卵はルビーのような深紅であり、また非常に重く、加工すればそのまま武器として扱うことができる。
この状態なら卵のタンパク質とカルシウム、そして鵬の体内で精製された特殊酵素が水銀を被覆し、無害なものへと変えてくれる。
ただし、極端な高温に晒すと酵素が死滅してしまい、卵のカルシウムやタンパク質も分解されてしまうため、水銀だけが残り、
最後には蒸発して有毒ガスを発生させてしまう。
そのため、慎重に利用される。雄は水銀を肝臓に溜め込むことはできるが、卵を産めないため排出の手段を持っておらず、許容量を越えると死に至る。
しかし、水銀を十二分に溜め込んだ雄の鵬の肝臓は猛毒として利用される。
乾燥させ、加工し、水銀を保存するための容器として利用されることもある。
 
 
 
・ 鶏 ・
 
何処にでもいる普通の鶏。
鵬を飼育するついでに飼育されるか、鵬を飼育できるほどの土地を所有してない農家が飼育することが多い。
鵬は成育するまでに少しばかり時間がかかるが、鶏はすぐに成長し、また繁殖力も強く飼育も容易であるため、広く飼育されている。
羽毛、卵、肉、糞とこちらも余すとこなく利用される。
魔術儀式の生贄のされることもよくある。
 
 
 
・ 蛇 ・
 
帝国では蛇の飼育は一般的である。
食用、皮用としては勿論のこと、マムシなどの毒蛇も薬用として珍重されるため、
安全な環境が確保されていれば積極的に飼育される。
また、帝国では利用価値が薄く、管理もし辛い猫を飼う習慣があまりないため、
無毒の蛇であればネズミなどの小型害獣駆除のために放し飼いにされることもある。
蛇はあまり活動的な動物ではなく、基本的には冷暗所でじっとしている性質の動物であるため、飼育事態は容易なのである。
蟲毒の原料のほか、血清精製、軍用毒の抽出の為に利用される。
 
 
 
・ 蜂 ・
 
何処にでもいる蜜蜂。
蜂蜜の利用は勿論のこと、帝国では虫は一般的に食されており、蜂は幼虫、成虫ともに食材としても利用されている。
また、毒針を弓の先などにつけて打ち出す蜂毒なども広く利用されている。
蟲毒の原料にもなる。
 
 
 
・ 蚕 ・
 
古代より家畜化されてきた白色の蛾。
絹の生産の為であることは無論のこと、食料、油用、薬用と本体も余すことなく利用される。
 
 
 
・ 大 蜘 蛛 ・
 
西側ではモンスターとして扱われる巨大昆虫。
西側ではジャイアントスパイダーと呼ばれる。
全長50cmを超える巨大な毒蜘蛛であり、凶暴な肉食性だが、
餌が取れる限りは巣から移動しないため、餌を与え続ければ危険はない。
飼育している農家などでは一家に数匹程度の割合で飼育されている。
主に強靭な蜘蛛糸を取るために飼育されており、死骸も食用、薬用などとして利用される。
特に柔らかい腹肉は絶品であるといわれている。
毒も持っているため、無論、蟲毒の原料としても利用される。
大蜘蛛の毒は人を死に至らしめるほどの毒ではないが、動きを緩慢にさせ、意識や感覚を遮断させる麻痺毒である。
そのため、抽出して軍用や医療用に使われる。
鋼鉄の5倍以上の強度を誇る大蜘蛛の糸は様々な用途に用いられるが、それほど数が採れないため、最高級品として認知されている。
余談ではあるが、帝国では蜘蛛が害虫を捕食する益虫であるということは広く認知されており、古来より小さな蜘蛛を飼う習慣がついている。
引越しなどをする際にはわざわざ野生の蜘蛛を捕まえてきて自宅の隅に巣を作らせるほどである。
 
 
 
・ 大 百 足 ・
 
西側は勿論のこと、酒場の街近辺でもモンスターとして扱われる巨大昆虫。
西側ではデモンセンチピードと呼ばれる。
帝国でも野生の巨大な大百足は人々の生活を脅かす恐るべき害虫だが、家畜化された全長1m前後のものは甲殻や毒を利用するために飼育されている。
タンパク質なら残飯でも何でも食べるため、比較的飼育は容易なのである。
養蟲の文化が根付いている帝国では主に使いものにならない蟲肉、蟲卵、もしくは糞などが大百足の餌として利用されている。
罪人の死骸などが放り込まれることもある。
固く強靭で、流線型によって矢の通り難い甲殻を武具として利用することは勿論のこと、毒をそのまま利用したり、薬として利用することも一般的である。
勿論、蟲毒の原料にもなる。
また、肉は茹でると海老に似た味がして美味である。
野生の大百足の死骸は甲殻、毒ともに非常に良質であるため、高値で取引される。
 
 
 
・ 大 蠍 ・
 
西側は勿論のこと、酒場の街近辺でもモンスターとして扱われる巨大昆虫。
西側ではキラースコーピオンと呼ばれる。
大百足とほぼ同じ用途で小型に家畜化して飼育されているが、大百足よりも遙かに飼育が難しく、危険が伴うため、高級品として扱われている。
大蠍は甲殻、毒尾、鋏、肉と一切余さずに利用される。
また、肉は茹でると蟹に似た味がして美味である。
無論、野生の巨大な大蠍の死骸はかなりの高値で取引される。
大蠍の甲殻を用いて作り出した装備は、非常に堅牢かつ優美であり、一部の選ばれた者しか手にすることができない高級品である。
余談ではあるが、帝国の処刑法の一つに蠍闘刑という極刑があり、それは素手でこの大蠍と戦う刑のことである。
倒せれば無罪放免となるが、概ねは餌として捕食されて終わる。
 
 
 
・ 大 海 蛇 ・
 
西側ではモンスターとして扱われる怪魚。
西側ではサーペントと呼ばれる。
最大で全長10mを越える怪物であり、鯨でさえ即死させうる強力な神経毒を持っている。
沖合いに生息しているが、海運の妨げとなるため、害獣としてたびたび討伐の対象となっている。
巨大種の討伐の際には艦隊が率いられることもある。
特に養殖などはされていないが、頻繁に討伐されるため、それなりに死骸は流通しており、その鱗や肉は珍重される。
特に鱗を魚鱗甲 (本来の魚鱗甲は魚鱗を模した鉄製の鎧だが、帝国では鉄があまりとれないので本物を使う) として利用した場合は高級品となる。
小動物なら触れただけでも死に至らしめる強力な神経毒もまた様々な用途に利用される。
 
 
 
・ 鯱 [ しゃちほこ ] ・
 
西側の海には生息していない巨大魚。
全長1m前後で、虎のような顔と巨大な牙を持ち、
さらに強靭な鱗を供えた凶暴なテッポウウオの一種。
海中での捕食行動のほか、水面から強力な水圧弾を吐き出し、水鳥などを打ち落として捕食する。
鱗や牙は武具として使用できるほか、食用としても優秀であり、脂身の少ない赤味はさっぱりとした味わいで美味である。
帝国東方の一部では火災防止の呪いを込めて城や砦の屋根に鯱を模った石像などを設置する習慣がある。
 
 
 
・ 人間 / 亜人種 ・
 
人間や亜人も無論例外ではない。
帝国では人食は頻繁に行うものでこそないが、忌避はされていない。
アニミズムが信奉されている帝国では人間を食することはその人間の魂や根源を自らの身体に宿すという意味合いも含まれており、
むしろ死亡した偉人や家族を調理することは極めて一般的である。
これは食葬と呼ばれ、最も立派な弔い方の一つとされている。
帝国では死体は立派な資源なのである。
他にも、ミイラにして薬として利用されたり、魔術道具として用いられたりする。
病死したりした場合は投石器にのせられ、そのまま天然生物兵器となって敵陣に放り投げられる。
勿論、皮や骨は加工して武具として利用される。
人間や亜人の皮や骨から作り出される防具は原材料の関係からぴったりと身体にフィットすることが多く、尚且つ軽量で丈夫なので人気が高い。
特にリザードマンやコボルドが死亡した際は積極的に外皮が加工される。
極々一部ではそれ専用に買い上げられている奴隷もいるが、帝国では奴隷は丁重に扱われるため、あまり一般的ではない。
何故なら奴隷は貴重な汎用労働力であり、さっさと殺して消耗してしまうのは如何にも勿体無いからである。
たまたま死亡した奴隷の死体を加工することは全く一般的だが、わざわざ殺すために奴隷を買う事は極めて異常かつ非合理的なことであり、忌避される。
奴隷は言うなれば高価な仕事道具であると同時に、ペットなのである。
農村で牛や馬が大事にされるのと同じように、奴隷も必要最低限の健康管理は保証されている。
むしろ賃金の発生する小作人や小間使いより大事にされることすらある。
 
 
 

無論、これらの動物はあくまで広く飼育されている動物であり、他にも様々な特徴的な動物を広く飼育している。
地域限定や一部の部族限定で飼育されている動物なども数限りなく存在している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

文化
 
 
 

実用主義の全体主義社会であり、実用に役立つ異文化の摂取については排他性が薄く、学術や技術を貪欲に吸収する。
国号である「爛」という字は腐乱と光輝、栄枯盛衰の意味を内包した字であり、帝国民は一般的に自分達の国のことを爛、もしくは爛国と呼ぶ。
 

また、動物や植物を利用する文化が根付いており、同時に死体利用等も非常に丁寧である。
帝国において、死者をただ葬るということは非常に非効率的かつ冒涜的な行いであり、忌避される。
死んだ以上は資源として活用することが死者の為にもなると考えられているのである。
故に、帝国では人間ですら死亡すれば調理、もしくは加工することが一般的である。
故人の骨で作ったアクセサリなどを形見として身につけることも、極めて一般的なオシャレである。
こうすることで死亡した故人のことを何時までも忘れず、同時にアニミズム的な観点から故人の力を自らに宿すことで強く生きようという心の表れでもある。
これは元々の帝国の母体が北の厳寒な高原地帯であり、厳しい自然と不毛の大地に適応するために自然発生的にそうなったものだと考えられている。
 

帝国の人間は役立たずであることを恐れる風潮があり、同時に役立たずである存在を忌避する。
故に常に内側から駆り立ててくる自己価値観という名の影に駆り立てられる部分が強く、
自らの価値を自らの価値観において証明し続けるために動き続ける傾向が強い。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

化学
 
 
 

帝国は古来より帝国各地で採掘される水銀をはじめとした天然資源などを扱っている関係もあり、化学方面に対して明るい。
黒色火薬の精製法は勿論のこと、強酸の精製法なども知っている。
酸素の存在を認知してはいないが、火が燃焼する際に空気中で何かしらの存在が消費されていること自体には薄々気付いており、
密閉所で火を焚くと酸欠に陥ることを理解している。
これを利用した閉所での攻城戦術なども発明されている。
そしてそれらの実験の副産物として一定密度以上の粉塵で満たされた密閉所に火を放つと
粉塵爆発が起きることも原理は知らずとも経験から理解しており、たびたび攻城戦などで利用される。
水銀の有毒性についても深く理解しており、水銀が生物に一度摂取され、そして凝縮されていくことでより有毒な有機水銀へと変質することも知っている。
無論、原理は知らない。
 

また、膨大な死体利用の経験から解剖学、そして漢方的な薬学に精通している。
反面、哲学などの直接国益に影響を及ぼさない文化に対しては関心が薄く、それほど力をいれていない。
アニミズムが浸透している関係上、わざわざ汎用的な真理を問いただす必要がないからである。
帝国の民は愛や死について深く考えはしない。
自分たちにとって身近なそれは、わざわざ深く考えなくても理解しているものだからである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

教育
 
 
 

帝国は国単位での市民教育は特に行っていないため、目立った義務教育等は特にない。
そのため、識字率も5割程度である。
巧みな言い回しや高尚な構文を理解している層となると3割弱となる。
幼少の頃から騎獣を乗りこなす訓練を必ず受けるが、これも親が常識として行う範囲のものであり、法として定めてやっていることではない。
教育や研究などはそれぞれの氏族や豪族の地方統治の中で、
もしくはそれぞれの宗教組織の中で行われるものなので、地域格差がある。
自然、知識階級も支配者層に多くなり、大衆の煽動をしやすい土壌を作り上げている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

宗教
 
 
 

宗教に関してもアニミズムが浸透しているため、多神教の土壌にあり、全ての神々を差別なく許容している。
俗にいわれる悪魔崇拝者までいるが、帝国は政権に弓引く存在でなければそれすらも許容している。
帝国では自然そのものを信奉している風潮が強いため、自然から生み出されたそれらは全て等しく世界の輩であり、
尊厳ある存在として崇拝されているのなら聖も魔も差異はないと考えているのである。
これは帝国に根付いている竜脈や地脈から大地のマナを引き出す風水的な魔術土壌が密接に関係している。
帝国では魔術とは自然の流れを乗りこなす技術であり、深くそれらを理解し、同時に共存することで一となす技術なのである。
 
 
 

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これは、大爛帝国に併合された少数の地教民族、カザツの呪術師である。

彼らの装具は東の地では希少といえる金属と、
東ではどこにでもある獣骨を融け合わせたもので作られており、
舞踏に合わせて鳴り響く金属音が術者自身を神がかりへといざなってゆく。

彼ら自身がシャーマンであると同時に鍛冶師でもあり、
その神がかりの中で獣骨と金属を織り交ぜた独特の装具を生み出すと言われている。
 
 
 
 
 
 
 
       《 地 教 の 呪 術 師 》   

 
 
 

例えば帝国でもっともポピュラーな魔術は植物感応や動物感応の魔術である。
これらは大地のマナを通じて植物や動物に自分の意志をダイレクトに伝える魔術であり、
帝国ではこれらの魔術が発達している故に動植物の徹底利用が容易な土壌が出来上がっている。
といっても、これらの魔術ですら一方通行の魔術であり、動植物の意志をこちら側で理解することは一般的には出来ない。
利便性でいえば動物が普通に調教するよりもいう事を聞きやすくなる程度である。
見えざる何かや大地に存在する威容、不可思議を信奉している帝国魔術は大地のマナの誘引と共存による独占が基礎である。
そのため、帝国魔術は各所に魔術基点を設置して自分たちに有利な魔術土壌を築くことから始まる。
余所の魔術と比べれば幾分か悠長に見える方式をとっているが、汎用性に富み、信奉する神魔からの加護を受けやすいのが特徴である。
 

以下、帝国で主に信奉されている神々や宗教について簡単にまとめておく。
当然、これらはほんの一例であり、他にも無数の神魔や教典が信奉されている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

四元教
 
 
 

帝国で主流である4つの宗教。
これらは宗教というよりもライフスタイルやポリシーなどに直結したものであり、
教えというよりは生き方に近い何かである。
四元教はそれだけを信奉する原理主義者の数はそれほど多くなく、多くの教徒は他の小さな宗教や分派と兼ねて緩やかに信仰している。
 
 
 

・ 自然信奉 ・
 
我々の知るところでいう神道に近いアニミズム的な考え方の宗教。
森羅万象全てのものには霊的な何かが宿っており、そしてそれらを守護する神が存在しているという考え方。
宗教というよりは帝国に根付いている基本思想の一つである。
大地や物、現象に宿る神魔や精霊、妖精などを全て等しく超常の存在であると認め、それ等と交流することで自然の力の流れを御そうとする。
帝国の魔術師達はこの考えに乗っ取り、固有の土地神や妖精、悪魔などと契約を交わし、
ゆっくりとその土地に根付く魔術的な力を自分たちに迎合的かつ協力的なものへと変質させていく。
動物感応や植物感応の技術もこの宗教から生み出されたものである。
これらの魔術は一般に動物や植物の魂に大地に潜む偉容や共存しているマナから訴えかける技術である。
外の世界の人間にとって分かりやすくこの自然信奉のことを説明するなら、無宗教に近いものがこれである。
つまり、帝国における常識ということになる。
 
 
 
・ 天 教 ・
 
世界の起源は天より降りてきたと考えている宗教。
サムシンググレートを信奉し、太陽を本尊とする。
天災の多くは空に関係するものであり、それらの気紛れで人の世の情勢は荒れも纏まりもする。
故に彼らはそれらに重きを置いて世界の在り方を考えており、神や精霊に対して親和性が高い。
天の礎とは与えることであると説き、平等化を善しとする。
天気予報やごく軽度の天候操作、祈祷などを得意とする。
高次元存在との感応・交流により、他次元バイパスを通じての予言や透視、占星術などに長けている。
高次元存在との感応には輝石などが用いられることもある。
また、火、風、光などに関係する現象や超常存在との感応に長ける。
別段、地教と不仲だったりはしない。
 
 
 
・ 地 教 ・
 
世界の起源は地より自然発生的に生まれたものだと考えている宗教。
大地を信奉し、世界そのものを本尊とする。
恵みの多くは地に関係するものであり、それらの量によって人の世は荒れも纏まりもする。
故に彼らはそれらに重きを置いて世界の在り方を考えており、魔王や妖怪に対して親和性が高い。
地の礎とは奪うことであると説き、弱肉強食を善しとする。
地質変質やごく軽度の地形操作、儀式などを得意とする。
魔術基点を操作・再設置し、地脈や龍脈を通じて大地のマナとの感応や召喚、札占術などに長けている。
魔術基点には生贄として即身仏などが用いられることもある。
また、水、土、闇などに関係する現象や超常存在との感応に長ける。
別段、天教と不仲だったりはしない。
 
 
 
・ 皇 帝 信 仰 ・
 
科教とも呼ばれる比較的歴史の浅い宗教。
現人神として扱われる皇帝を本尊としているため、皇帝信仰と名付けられてこそいるが、
その実態は今日で言われるところの科学に近いもののことであり、いうなれば人間信仰のことである。
万物の霊長たる人間及び亜人には世界に存在する不可思議を解き明かし、神魔の領域を侵さない範囲で理解する義務があると考えており、
新技術の発見及び既存技術の汎用化を目的としている。
火薬や強酸の開発、水銀毒の実験などもこの一派が行ったものである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

その他宗教
 
 
 
 

・ 龍 信 仰 ・
 
ここでいう竜とはドラゴンのことではなく、霊的かつ神的な空想存在である龍のことを示す。
帝国で言われる龍とは存在を人間が認知することができないほどに神格次元の高いものの事であり、帝国の龍信奉者達の言を借りるなら
「受肉した時点で既にそれは龍ではない」
のである。
龍信仰者が本尊とするそれは即ち龍脈のことであり、また、彼らは自然災害のいくつかを龍力の顕現であると捉えている。
彼らは龍脈と感応することで土地の状況を把握することに長けており、農業や林業などで活躍する。
 
天教徒の分派が多く信奉している。
 
 
 
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矛 盾 の 魔 王
 
酒場の地でも有名な御伽噺の魔王。
帝国では宵闇の監視者、堕落の守護者として信奉されており、
帝国における矛盾の魔王の眷属やその信奉者の力は酒場の地のそれらよりも強力である。

一般に厳しい環境で生活を営む者達の間で人気があり、特に寒村では子供を夜に出歩かせないようにする戒めの為に言い伝えられる。
不用意に夜の森や荒野に出ると魔王に攫われてしまうぞ、などと脅すのである。

地教徒の分派が多く信奉している。
 
 
 
 

       《 無 慈 悲 な る 矛 盾 の 魔 王 》   

 
 
 

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・ メ ド ペ ル ア 教 団 ・
 
変化、改革を教義とする異形の集団。
全貌のはっきりしない密教であり、テロリストや武器商人などの間で密かに信奉されている。
その教義ゆえに体制の転覆を目論む不逞の輩も擁しているため、帝国では珍しい邪教指定宗教である。

明確な目的も動向も不明だが、信者同士の間では横のつながりがあるらしく、根絶には至っていない。
奇妙な布を被った集団であり、凸面鏡をシンボルとして持っている。
凸面鏡が意味ありげにおいてある店では注意が必要。
 
 

          《 教 団 近 影 》   

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

施政
 
 
 

緩やかな中央集権。
基本的な立法や予算決議は中央が行うが、細かい行政は各地方を担当する総督に一切を任せる地方分権の形をとっている。
ただし、総督は中央に臣従的なものが必ず送られる。
総督はだいたい皇族縁の者が送られ、その多くは無数に存在する皇子・皇女である。
皇帝にはより優れた次代を残す為に多くの子を成す義務が課せられるため、皇子・皇女の数自体は掃いて捨てるほどいる。
皇子、皇女は名のどこかに国号である「爛」の字を入れることが許されており、必ず爛の字を名の何処かに入れている。
 

帝国は植民地でも中央に対して反抗的で無ければ寛大であり、宗教及び政治形態について特に口出しはしない。
中央への忠誠と一定の納税義務を課し、中央から派遣される総督府及び常設軍の設置を求めるだけである。
当然、見返りとして帝国による保護を受けることができる。
この民族表現の自由及び既存の文化形態への不干渉が帝国を寛大な支配者として地方民に素早く認知させる役割を果たしており、
帝国による支配をむしろ解放と捉える植民地も少なくない。
反面、抵抗の意志があるとみなした場合は一切の容赦はせずに皆殺しにし、更地にして新しい都を建ててしまう。
これは反政府勢力に対する見せしめの意味も強い。
情報を重要な資源と考えている帝国では恐怖も重要な威嚇情報なのである。
故に情報伝達の要である伝令は最優先で交通機関を利用する権利が与えられており、たとえ皇帝一族でも伝令の通行を妨げることは許されない。
 

しかし、些か自由が過ぎるこの施政はその巨体を維持するためには限界がきている。
特に中央の威光が届き難い末端では反乱が起きることもたびたびある。
近年、不作が続いたことで地方への重税が顕著になってきた関係もある。
故に、中央は帝国に反発する氏族や豪族を頻繁に粛清しており、
粛清してあまった土地を有力豪族に再分配……ということを繰り返してこれらに対応している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

天壌帝
 
 
 

現皇帝である第30代皇帝壌爛 ( ジョウラン ) の尊称。
天壌とは即ち天地のことであり、また、壌は穣とも通じる。
穣は途方もなく巨大な数の位であり、10の28乗に値する数である。
帝国の皇帝は生ける限り子を成し続ける義務があるので、尋常ではない数の皇子・皇女が存在する。
つまり、次期皇帝を狙う立場の皇子・皇女からすれば皇位継承権を持ったライバルが無数にいることになる。
天壌帝は狐の巣である皇室において、手段を選ばずあらゆる手を用いることで皇帝の座についた野心の強い人物であり、
齢80を越える現在でも一向に政権を手放す様子がない。
次期皇帝は必ず現皇帝に指名されてなるものなのだが、自らの境遇ゆえか、次代にも同じものを求めており、
次期皇帝もまたより力のある皇子・皇女に任せる心算でいる。
故に、皇子や皇女同士での政争を暗に奨励しており、皇室は最早、蟲毒の様相を呈する陰惨な地獄と化している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

経済
 
 
 

典型的重商主義。
商業ルートを抑えて国際商業を管理し、経済を活性化させて支配者が利益をあげることを目指す。
内陸の国や港湾国家は一般に、通過する財貨に関税をかけて国際交易の利益を吸い上げようとするが、
帝国は従来の関税をほぼ全て撤廃し、商品の最終売却地でのみ商品価格の三十分の一の売却税をかけるように税制を改め、商業の活性化に勤めている。
 

また、情報は重要な資源であると考えられており、交通網はインフラ整備され、貨幣も既に帝国全土で統一されている。
帝国はいわゆる、金本位制の経済モデルであり、故に帝国通貨は国外でも一定以上の値を保証されている。
これらは無論、事実上の国際通貨である貴金属を多く集めることで国際商業への投資に振り向けるためである。
通貨は金貨だけでは価値が高すぎて融通が利かないため、銀貨、銅貨、そして鉄貨が存在する。
金属の価値が通常よりも高い帝国ではこれらは貨幣としても成り立つのである。
紙幣も存在してはいるが、上記の貨幣よりはいくらか価値が低い。
再利用、徹底利用の文化が根付いている帝国ではありとあらゆるものが商品として扱われるため、何も売るものがないという状態があまりなく、
あらゆる商品が循環し、貨幣となり、そしてまた流通が繰り返されることで貧富の差を低減している。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

軍事
 
 
 

弓騎兵を主体とした撹乱を得意とし、機動性を重視した波状戦術を用いる。
帝国では幼少期から騎獣を乗りこなす訓練を受けることが半ば義務付けられており、多くの帝国民は生まれながらの騎兵である。
騎獣として扱われる動物は馬が主であるが、他の動物や魔獣が扱われることもよくある。
特に大山羊と象などはポピュラーである。
帝国では軍団は十進法で管理され、十人で小隊、百人で中隊、千人で大隊、一万人で師団と厳格に定義されている。
軍は主に大隊単位で戦術的に管理運営され、戦略的な管理運用は師団長の仕事になる。
一般兵卒は所属している隊の小隊長に、
小隊長は所属している隊の中隊長に、
中隊長は所属している隊の大隊長に、
そして大隊長は所属している隊の師団長(または将軍とよばれる)に対する絶対服従を強いられる。
厳しい軍規と管理によって統制された機動体系を確立しており、それらが10人単位で戦術的運用をされるのである。
 
 
 

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帝国の祖は、古くは 『 馬賊 』 と呼ばれた東の平原の一族であり、
後に幾つかの部族を併呑し"爛"という国を興す事となる。
爛国は彼ら獣面の兵の機動力によってその勢力を大きく広げたと言われている。
 

後の大爛帝国の要でもある彼らの意匠が
今日までの帝国の基本的な戦闘装束となっているのはその為である。
幼少の頃から馬や大山羊といった騎獣動物と共に育てられる彼らは高い操獣術を持ち、
平原には馬、山岳には大山羊というように複数の騎獣を乗りこなすという。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     《 大 山 羊 に 跨 が る 弓 騎 兵 》  

 
 
 
 

下記の乗り手と大山羊はまだ年若く、身体も小さい……
幾多の戦や無数の旅を経て強く大きく成長してゆく事だろう。
 
 
 

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                        《 獣 骨 面 を 装 備 し た 若 き 山 岳 騎 兵 》  
 
 
 

帝国の基本的な戦闘は3プロセスに分けられる。
即ち、前線撹乱、制圧、後方再開発の3つである。
まず、最初に軽装で機動力に富んだ弓騎兵と軽装魔術騎兵を主体とした前線部隊が戦場を撹乱して敵兵を混乱させ、情報を後方部隊に持ち帰る。
次に陣形が崩れて統制が乱れたところで重装騎兵や重装歩兵による突撃が敢行され、制圧・掃討を行う。
そして最後にずっと後方から屯田兵及び工兵と祈祷兵達が農民達と共に放牧とマナ基点の設置を行いながらゆっくりと後に続き、
荒れた土地を速やかに再開発して帝国領にしてしまう。
このように補給拠点ごと前線を押し上げる方式を取っているため、前線の部隊が孤立することが少なく、継戦能力に優れた軍団を維持することが出来る。
 

帝国の兵士は大きく分けて4つに分けられる。
基本は常備兵。屯田兵。傭兵。奴兵の四門である。
常備兵は所謂常設軍であり、職業軍人のことである。
彼らは戦闘しか行わず、平時でも訓練を続けて非常時に備えている。
屯田兵は普段は農耕や酪農を行っている兵士たちであり、平時は産業に従事している。
常備兵ほどの戦闘能力はないが、代わりに前線では工兵としての役割も果たす重要な兵である。
傭兵は読んで字の如く雇用した兵士である。
帝国では傭兵は大隊単位で雇われ、傭兵を雇うための予算は概ね大隊長の私財から捻出される。
彼らは損出しても痛みのない前線部隊として使い捨てられる。
同時に、外の国の情報を持っていることも往々として存在しているため、積極的に雇用される。
そして奴兵は侵略した際に最初に降伏しなかった部族や国の捕虜である。
彼らは普段は手枷を嵌められて管理され、戦時のみ縛めを解かれて最前線に突き出される。
彼らの仕事は文字通りの捨て駒であり、後退は許されない。
後退すれば正規軍に殺される。
最低限の装備のみでの前線突撃を強要され、正規軍の弾除けの為に浪費される。
稀に生き延び、軍功を上げたものが常備軍に昇格されることもあるが、その殆どはあえなく前線で憤死する。
 

帝国では鉄が殆どとれないため、その装備の多くは甲殻、獣骨、獣皮、魚鱗、石器が主流である。
獣骨は大きなものはそのまま頭蓋が兜になり、アバラ骨などは削られて刀剣となる。
小さなものは矢尻や槍頭として使われる。甲殻はそのまま肩当てや胸甲として加工される。
獣皮は服、幌、外套と幅広く用いられ、軽装騎兵の主兵装となる。
魚鱗は小さなモノはやはり槍頭や矢尻として加工され、大きなものは魚鱗甲の原料となる。
石器については凡そ既存の文明の使い方と似たような使い方をしているが、特筆するとすれば主に輝石を用いた武具である。
これらは魔術付加が容易であり、尚且つそれぞれが精霊や神魔の力を宿しているため、それらの加護を受けて品質がよく、
高級士官などの間で愛用されている。
 

化学技術が発達した帝国では毒物や火薬を用いた戦術なども積極的に利用され、工兵による特殊な作戦も数多く実施される。
特に魔術師による風読みを前提とした高所からの毒物散布は攻城戦に於ける基本戦術の一つである。
技術的に発達している帝国ではその他、爆薬、連弩などの兵器も用いられている。
その他、水銀の軍事利用が特色として挙げられ、
水銀を多く含んだ鵬の卵の殻を矢尻として利用した水銀矢、
動物の骨に水銀を流し込んだ水銀槍などがその主な利用だ。
水銀は比重の重い物質であるため、少量でも十二分な重さを備えており、同時に水銀武器による殺傷は水銀中毒を併発するため、
敵兵の前線復帰を阻害する働きがある。
金属の重さに加え、骨の柔軟性や耐衝撃性、そして天然毒をもった理想的な武器が水銀兵器である。
また、わざと水銀汚染させた動物の死骸を投石器にのせて敵水源に放り込み、兵糧攻めする場合などもある。
極稀にではあるが焦土作戦の際に土地を殺すために大規模散布されることもある。
 
 
 

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帝国が誇る水銀兵器の一つ、水銀弓は西の兵にとってもっとも恐るべき武器の一つである
水銀によって比重の増した矢は雹雨のごとく降り注ぎ、
鎧を貫き肉と骨に致命的な毒を刻み込んだ。
 

帝国では騎獣弓兵が基本であるが、彼らが主に使うのは取り回しの良い軽弓であり、
このような重弓は歩兵が使う物であった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
     《 水 銀 弓 を 持 っ た 弓 兵 》   

 
 
 

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東の国では金属がそのまま産出する事はまれであり、
それは多くの場合水銀として地より湧き出づるものである。
その水銀が害を成し、人や獣を殺す。
水銀が恐ろしいの毒となる事を東の民は古くから知っていた。
 

東の術士によって生み出されたもの
銀骨の武器は魔獣の骨にある無数の穴に水銀を注入する事で堅牢さと比重を増し、
さらに刃が相手の体内へと至る際には固化していた水銀が溶け出し、
身体の内より敵を死に至らしめる銀毒となる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
        《 獣 骨 の 水 銀 槍 》   

 
 
 

生物学的利用の見地から死体も戦術兵器として積極的に利用される。
腐乱死体は天然の生物兵器であり、投石器によって敵陣に放り込まれるほか、死肉を武器に塗って天然毒として用いられることもある。
その他、死体を土地神や精霊の供物に捧げることでマナ基点として扱い、
土地の魔力を自分たちに有利なものに書き換えるためなどに利用されることもある。
帝国では戦場で自分の死体が使われることは名誉なことであり、戦士の家系では戦死した後に死体が家に返されることは恥とされている。
 
 
 

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帝国にある無数の宗教の中に一つの異様を誇る行為がある。
それは他者や教義によって強制されたものでは無く、
あくまで個の意思によって成される行為であり、
それゆえに一切の雑念の無い、
ただ一つの想いによってのみ行使されるのである。
 

しかし、その想いに反して世俗はそれを如何様にして利用するかだけを考える。
この秘儀を行使しきる者はそれを成す程の異常とも言える魂の素養を持ち、
死して固定されたその精神の力はより巨大な意思を動かすに足る基点となるのである。
 

……たとえその死が間違っていたとしても
        彼の力は未だそこに在りつづける……
 
 
 
 
 
 
   《 大 地 に 捧 げ ら れ し 即 身 仏 》   

 
 
 

その他、帝国軍では特に情報が戦術資源として非常に重要視される。
情報戦こそが戦争の趨勢を決する最大の戦闘であると考えられているのである。
故に情報の根源を為す前線部隊にはさらに斥候部隊、
そのうえその斥候部隊の中にさらに偵察部隊が設けられるほどである。
関税をほぼ撤廃して外の人間を積極的に取り入れるのも、彼らの言葉を介して外の情報を取り入れるためであり、
帝国はむしろ次の侵略先に想定している国とは積極的に交易するのである。
そして、その情報の中でも最も帝国が多用する情報は「恐怖」である。
帝国軍は反発するものは一切の容赦なく叩きのめし、虐殺し、文化体系も根こそぎ破壊しつくして蹂躙する。
これは敵対する者達に対して恐怖を植えつけるために行っていることであり、これらの畏怖を諸国に知らしめることで無用な戦闘を避けているのである。
故に帝国は戦争を始める際、宣戦布告なしに戦闘を始めることは決してせず、
必ず使節を送り、降伏した際の利点と徹底抗戦した場合の報復の内容をそれぞれ伝え、その返事を聞いてから戦争を始める。
そして、降伏した場合は寛大な処置をとり、抗戦を選んだ場合は容赦なく叩き潰して恐怖の出汁に使うのである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

外交
 
 
 

重商主義を基礎に掲げているため、各地と積極的に行っている。
外からやってくる商人も非常に多い。
関税がないに等しい帝国では商売は非常にやりやすいのである。
陸路は勿論のこと、海洋交易にも力を入れているが、
帝国が面する東の海はモンスターも多く出る危険な海であるため、
足が遅く、遭難した際のリスクが大きい大型船舶による交易よりも小型の高速船による小交易が主である。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

交易国
 
 
 
 

神聖ローディア共和国
 
西方の異郷。
商人が多く、都市国家的な分業統治が主流の彼の国とは都市レベルでの小さな交易を細々と行っている。
輸出しているものは主に食料品であり、輸入しているものは主に鉄である。
下々の商人たちや市民とは帝国は良好な関係を築いているが、支配階級にあたる西方人たちにはあまり好まれていない様子
 
 
 
・ 酒場の街周辺及び酒場の街 ・
 
南西に位置している異郷。
北側諸国よりも科学的に発達した土壌にある彼の地では
水銀の使い道がこちらよりも多岐に渡るため、よく売れる。
その他食料品は勿論のこと、民芸品や薬剤、特殊な魔術器具の数々を輸出している。
輸入しているものは多岐に渡るが、
帝国規模の国からみると酒場の街周辺での一大産業は特に見受けられないため、特筆できるほどの規模で輸入しているものはない。
様々なものを個人レベルで細々と輸入している。
 
 
 
コーガ領
 
未開拓地を挟み、帝国からほぼ南西すぐの位置にある異郷の開拓地。
帝国はコーガ領開闢当初から既に交易をもっており、帝国からは食料、薬剤、動物資源を輸出し、コーガ領からは鉄の輸入をしている。
鉄がほぼ採れない帝国においてコーガ領の存在は大きなものであり、良好な関係を築いている。
もし、帝国の版図が更に拡大し、コーガ領にまで届く事になれば侵略の対象となる日も来るかもしれないが、
現時点では互いにそのメリットが存在していないため、杞憂である。戦争とは経済活動である。
 
 
 
北の雪国
 
遙か北方に位置する鬼の国。
彼の国とは陸路で交易を行っている。
主に特産品である虹色月長石の輸入を行っており、帝国からはそのほかの資源、薬剤、食料品の輸出を行っている。
遠方の国ではあるが、遠方であるが故に互いに戦火を交える可能性はなく、
また、農業大国の側面も持っている帝国からすれば一年中吹雪に閉ざされている彼の地を侵略する理由はないため、良好な関係を築いている。
輸入した虹色月長石は魔術触媒として利用されるほか、加工した上で民芸品や魔術礼装として他国に売り払われたりする。
 
 
 
斗国
 
北東に存在する龍の治める国。陸路でもつながっているが、だいたいは海路で交易している。
交易に重きをおく両国の関係は良好だが、どちらも経済的な最終目的が同じであるため、積極的に食い合うことは避けている。
平和的かつ消極的にならない程度に積極的に交易をしている。
動物資源や魔術概念を輸出するかわりに鉱物資源や機械技術を輸入している。
といっても、帝国では機械技術を有用に扱えるだけの資源が存在していないので、だいたいはカラクリ細工程度のレベルにまで落として汎用化されている。
また、金本位主義を取る帝国は力ある国に対して貴金属が流出することを善しとしていないので、貴金属の輸出に関しては制限をかけている。
彼の国の首魁の存在は龍信仰信者の教義とかちあうものではあるが、別段敵視はされておらず、かといって神聖視もされていない。
定義の違い及び文化の違いとして認識されるためである。
かといって両国の関係が険悪かといえばそういうことはなく、交易のパートナーとして友好関係を保ち続けている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Last-modified: 2012-07-05 Thu 05:39:43 JST (4275d)