「おいティナ。なんで俺までお前の家のパーティに参加しなくちゃいけないんだよ」
少年がそう言うと、赤毛の少女はにっこりと微笑んでくるりと回った。
「だいじょぶだいじょぶぅ。今日は親戚がみーんな集まるんだもの。一人くらい他人がいたって平気平気」
「お前ん家、ほんとに家族が多いよな」
「そうなの。昔はね、そんなでも無かったみたいなんだけど、曾お婆ちゃんが頑張ってたっくさん子供育てたんだって!」
「そんで、今日が誕生日か」
「なあんだ、知ってるんじゃない。そだよう、96歳!まだまだ元気一杯なの、凄いでしょ!」
「『その元気にあやかりたくって、同じ名前をつけてもらったんだ』だろ?」
「わあ正解!すっごいねえ予知能力?」
「いっつも同じ話聞かされてりゃあな」
二人は小さなBARにたどり着く。大勢の家族が、笑いあい、一族の中心で皆を支え続けてきた人物を祝福していた。
「ああティナが来たよ、まったく何処で道草食ってたんだい」
「婆ちゃん、ティナが来たよ」
「お婆ちゃん」
「母さん」
赤毛の少女は小さな老婆に歩み寄り、にっこりと飛び切りの笑顔で笑った。
「ティナおばあちゃん。誕生日おめでとう」
老婆は夕暮れ色の瞳を細めて
小さく、頷いた。
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