「こいつは命の実のみを授かった試作のはずだ。どうしてこんな事に。」
・・・・・・。
「驚いたな、機械制御のAIを侵蝕して知能を得るとは。異常な進化能力だ。さすが神が御創りになっただけはある。」
・・・・・・。
「おはようデッドディグス。」
・・・デッド・・・?
「君の番号・・・名前だ。[既存の死]、[概念の死]、[死を玩ぶ者]・・・意味合いは様々だな。」
・・・・・・ワタシ・・・デッドディグス・・・アナタタチハ・・・?
「君の育ての親だ。生みの親は我らの神。君は神の命を受けこの世に存在している。」
・・・・・・カミ・・・?
「そう、君は神の使い。正しき吸血鬼像を示さんがための贄。デッドディグス・ヴァンパイアだ。」
キュウケツキ・・・ワタシハ・・・キュウケツキ・・・・・・。
・・・・・・。
「おはようデッドディグス。」
おはよう御座います、教祖様。
「最近外部の情報網に接続しているみたいだね?」
はい、私について・・・吸血鬼について勉強していました。
「そうかそうか。君は真面目だね。神もきっとお喜びだ。」
お褒め頂き、ありがとう御座います。
「それで、勉強して分かっただろう?今の吸血鬼の事。」
はい。上位魔族。不死の王。強く。気高く。気品に溢れ・・・
「傲慢で脆弱な愚かな失敗作どもだ。」
・・・・・・え?
「己が在り方に満足し、深く考えず、没落した貴族のように惨めだ。・・・なぜ彼らは日光や銀が苦手だと思うかね?」
・・・それは吸血鬼だから・・・。
「違う。吸血鬼は文字通り「血を吸う鬼」だ。それ以上でもそれ以下でもない。それ以外はただのオプションだ。」
・・・・・・。
「奴らは皆、旧祖第二竜魔公の真似をしているに過ぎない。もはや呪いと言ってもいい。」
・・・・・・彼らは間違ってると?
「大間違いだ。他の上位魔族を見たまえ。どこにあれだけ弱点を抱える者がいる。どこにあれだけ尾ひれの付く者がいる。」
・・・・・・それは、皆吸血鬼と言うものにあこがれて・・・。
「その事に気づかず、ただ愚直に貴族の真似をする。裸の王様もいいところだ。・・・・・・だからこそ神は大変お嘆きになられたのだよ。」
神様が?
「そう、神は今の進化しない古い吸血鬼を排除し、本来の意味を持つ、血を吸う鬼をお望みになった。それが君さ。」
私が・・・私が吸血鬼たる理由はそんな神様の勝手で・・・?
「勝手ではない。正しき世界のためだ。君はそのために在るんだ。新祖計画の礎よ。」
・・・・・・違う。
「何がだ?」
彼らは望んで今の在り方になったんだ。
「自ら愚かな道を選んだと?」
愚かだろうと何だろうと道を選び進めばそれは進化だ。吸血鬼は進化して、強く、誇りを持ち、弱点も受け止め、今こうして存在してるんだ。事実、デイウォーカーの例があるようにさらに未来に進んでいる。
「ずいぶんと遠回りな進化だ。間違いもいいところではないか。」
進化に正しいも間違いも無い。それは例え神でも決めれる事では・・・・・・そうか。
「?」
進化できないのは神の方だ。昔の吸血鬼像なんかに囚われ、未来が見えてない。そしてそれを信じるあなた達もだ。
「貴様は神を、生みの親を愚弄する気か!!」
・・・進化できないから私に押し付けただけでしょう?むしろ神の望みどおり、吸血鬼らしく・・・・・・吸血鬼の誇りを持って今から行動します。
「・・・何をする気だ。」
・・・・・・カミヘノ・・・ハンギャクダ。
その日、悪しき国教を抱えた一つの国が滅んだ。
黒い鎧を身に纏った異形の怪物を捕獲、あるいは討伐のために、騎士団、教団が後を追ったが、
どちらも壊滅寸前に追いやられ、逃亡を許したと言う。
尚、生き残った教徒も騎士団によって討伐され、宗教・・・ひいては崇められた神は死んだ。
頭部だけなら暴走せず鎧を作れる。
「誓約」を使えば暴走せず全身「禍冠の不死王」へ変形可能に
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